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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096371
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075645
(22)【出願日】2024-05-08
(62)【分割の表示】P 2021575130の分割
【原出願日】2020-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】中出 眞弓
(57)【要約】
【課題】
ヘッドマウントディスプレイ装置装着時のユーザの危険を回避可能なヘッドマウントディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
そのために、外界画像を第一画像入力部で取得して表示部に表示するビデオ透過型のヘッドマウントディスプレイ装置であって、装着者の両眼の状態の画像を取得する第二画像入力部と、制御部を有し、制御部は、第二画像入力部で取得した装着者の両眼の状態の画像から、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続しない場合には装着者は覚醒状態であると判断し、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続した場合には装着者は睡眠状態であると判断し、睡眠状態から覚醒状態になった場合、表示部に第一画像入力部で取得した外界画像を表示するように構成する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外界画像を第一画像入力部で取得して表示部に表示するビデオ透過型のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
装着者の両眼の状態の画像を取得する第二画像入力部と、
制御部を有し、
前記制御部は、前記第二画像入力部で取得した装着者の両眼の状態の画像から、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続しない場合には装着者は覚醒状態であると判断し、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続した場合には装着者は睡眠状態であると判断し、前記睡眠状態から前記覚醒状態になった場合、前記表示部に前記第一画像入力部で取得した外界画像を表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記覚醒状態から前記睡眠状態となった場合は、前記表示部の表示を、前記覚醒状態で表示していたアプリケーション画像から無映像画面に切り替え、その後、前記睡眠状態から前記覚醒状態になった場合、前記表示部の表示を、前記無映像画面から前記外界画像に切り替えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記覚醒状態から前記睡眠状態となった場合は、前記表示部の表示として、前記覚醒状態で表示していたアプリケーション画像を継続表示し、その後、前記睡眠状態から前記覚醒状態になった場合、前記表示部の表示を、前記アプリケーション画像から前記外界画像に切り替えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記覚醒状態から前記睡眠状態となった場合は、前記表示部の表示を、前記覚醒状態で表示していたアプリケーション画像から前記外界画像に切り替えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項5】
外界画像を第一画像入力部で取得して表示部に表示するビデオ透過型のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
装着者の両眼の状態の画像を取得する第二画像入力部と、
制御部を有し、
前記制御部は、前記第二画像入力部で取得した装着者の両眼の状態の画像から、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続しない場合には装着者は覚醒状態であると判断し、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続した場合には装着者は睡眠状態であると判断し、前記睡眠状態から前記覚醒状態になった場合、前記表示部にヘッドマウントディスプレイ装置を装着中である旨を警告する警告メッセージを表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記覚醒状態から前記睡眠状態となった場合は、前記表示部の表示を、前記覚醒状態で表示していたアプリケーション画像から無映像画面に切り替え、その後、前記睡眠状態から前記覚醒状態になった場合、前記表示部に、前記無映像画面に前記警告メッセージを重畳表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項7】
請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記覚醒状態から前記睡眠状態となった場合は、前記表示部の表示として、前記覚醒状態で表示していたアプリケーション画像を継続表示し、その後、前記睡眠状態から前記覚醒状態になった場合、前記表示部に、前記アプリケーション画像に前記警告メッセージを重畳表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項8】
請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記覚醒状態から前記睡眠状態となった場合は、前記表示部に、前記覚醒状態で表示していたアプリケーション画像に前記警告メッセージを重畳表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項9】
外界画像を第一画像入力部で取得して表示部に表示するビデオ透過型のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
通信部と、
制御部を有し、
前記制御部は、前記通信部を介して緊急警報を受信した場合には、前記表示部の表示を、表示していたアプリケーション画像から前記第一画像入力部で取得した外界画像に切り替えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記緊急警報の内容を知らせる警告メッセージを前記表示部に重畳表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項11】
請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記警告メッセージとして、外界表示を示唆するアイコンと、該アイコンを見ることで外界画像を確認できる旨のメッセージを表示し、前記第二画像入力部で取得した装着者の両眼の状態の画像から、前記アイコンに所定時間以上視線を合わせていると判断した場合、前記表示部の表示を、前記第一画像入力部で取得した外界画像に切り替えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項12】
請求項11に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記アイコンは、非常ドアの閉状態のマークであることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイ装置(以下、HMD:Head Mount Display、と称す)に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイを搭載し、頭部に装着して情報を視聴するHMDは、近年、ゲーム用途や作業支援の分野での利用が広がりつつある。
【0003】
本技術分野の背景技術として特許文献1がある。特許文献1には、表示画面に映像信号による映像を表示すると共に外光が透過するように成され、映像表示部分と外光透過部分との割合いを制御できるように成されかつ使用者の頭部に装着可能に成された表示手段と、使用者の見ようとする方向あるいは使用者の頭部の姿勢や頭部の位置を検出する検出手段と、検出手段の検出に応じて表示手段の表示画面における映像表示部分と外光透過部分との割合いを制御する表示制御手段とを備えた頭部装着型表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-328512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ユーザがHMDを装着したままで、使用者の見ようとする方向あるいは使用者の頭部の姿勢や頭部の位置に応じて、HMDの表示画像と外界映像とを見ることが出来る。
【0006】
しかしながら、ユーザがHMDを装着したまま寝てしまい、睡眠後に覚醒、或いは半覚醒した際に、ユーザがHMDを装着していることを失念する場合が考えられる。この場合、ユーザはHMDにより視界をふさがれて周辺状況を確認できないため、自身の状況を把握できず、慌てて行動した場合などは危険な状態を引き起こす可能性がある。上記特許文献1にはこのような状況に関して考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、HMD装着時のユーザの危険を回避可能なHMDを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、その一例を挙げるならば、外界画像を第一画像入力部で取得して表示部に表示するビデオ透過型のヘッドマウントディスプレイ装置であって、装着者の両眼の状態の画像を取得する第二画像入力部と、制御部を有し、制御部は、第二画像入力部で取得した装着者の両眼の状態の画像から、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続しない場合には装着者は覚醒状態であると判断し、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続した場合には装着者は睡眠状態であると判断し、睡眠状態から覚醒状態になった場合、表示部に第一画像入力部で取得した外界画像を表示するように構成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、HMD装着時のユーザの危険を回避可能なHMDを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1におけるHMDのハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】実施例1におけるHMDの外観および装着図である。
図3】実施例1におけるHMDの機能構成図である。
図4】実施例1におけるHMDの処理フローチャートである。
図5】実施例2におけるHMDの処理フローチャートである。
図6】実施例2における警告メッセージの表示例である。
図7】実施例3におけるHMDの処理フローチャートである。
図8】実施例4におけるHMDの処理フローチャートである。
図9】実施例4におけるHMDの警告メッセージの表示例である。
図10】実施例4におけるHMDの外界表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例0012】
図1は、本実施例におけるHMD100のハードウェア構成を示すブロック図である。図1において、101は主制御部(CPU/MCU等)であって、102はコマンドやデータの送受信経路であるバス、103は、基本動作プログラムやその他の動作プログラム実行時のワークエリアとなるRAM、110は、FlashROM/EEPROM/SSD/HDD等の不揮発記憶媒体であるストレージ部である。
【0013】
また、120は、ユーザ操作インタフェースである操作入力部であり、SW類や電源キーや音量キー等の操作キー121と、タッチパッドなどのタッチセンサ122を有する。
【0014】
また、130は、イメージ(ビデオ)プロセッサ等の画像処理部であり、表示部(ディスプレイ)131、画像信号処理部(イメージ(ビデオ)シグナルプロセッサ)132、外界映像取得用の外部カメラである第一画像入力部133、両眼確認用の内部カメラである第二画像入力部134を有する。
【0015】
また、140は音声処理部(オーディオプロセッサ)であって、音声出力部(スピーカ)141、音声信号処理部(オーディオシグナルプロセッサ)142、音声入力部(マイク)143を有する。
【0016】
また、151は位置情報取得部(GPS受信部)である。また、160はセンサ部であって、ジャイロセンサ161、地磁気センサ162、加速度センサ163を有する。
【0017】
また、170は、LAN(Wi-Fi(登録商標))通信部やモバイル通信部、Bluetooth(登録商標)通信部等からなる通信部、180は拡張インタフェース部であり、例えば充電端子等の機能を有する。
【0018】
図2は、本実施例におけるHMDの外観および装着図である。本実施例におけるHMDは、図2に示すように、ゴーグル型であり、前面に窓がある光学透過型ではなく、外界画像をカメラで撮像してHMD内の表示部に表示するビデオ透過型の密閉型のHMDである。(A)は、ユーザU1の頭部にHMD100を装着した状態の上面図であり、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【0019】
図2において、133Lは左側の外部カメラである第一画像入力部(L)、133Rは右側の外部カメラである第一画像入力部(R)である。なお、第一画像入力部は一つ(例えば、中央部に一つの第一画像入力部133)のみでもよい。
【0020】
また、122Lはタッチセンサ(L)、122Rはタッチセンサ(R)(図示省略)であり、タッチセンサは左右何れか一つのみでもよい、
また、141Lは音声出力部(L)(ステレオスピーカL)、141Rは音声出力部(R)(ステレオスピーカR)(図示省略)である。
【0021】
なお、図示は省略するが、音声入力部143としてモノラルマイクを有し、また、HMDの筐体の内側に、ユーザから視認可能に配置されたLCD等からなる表示部131を有する。また、表示部131は、左目用の表示部131Lと右目用の表示部131Rで構成されてもよい。また、HMDの筐体の内側には、更に、ユーザの両眼の状態を確認可能に配置された内部カメラである第二画像入力部134を有する。また、第二画像入力部134も、左目の状態を確認可能な第二画像入力部134Lと右目の状態を確認可能な第二画像入力部134Rで構成されてもよい。
【0022】
図3は、本実施例におけるHMDの機能構成図である。図3において、ストレージ部110は、OS等の基本的なプログラムである基本動作プログラム1001と、本実施例の機能を実行するアプリケーション(以降アプリと省略する)や、その他のアプリを含むアプリケーション1002と、各種動作設定値や各種情報(動画/静止画/音声等)を記憶しておく領域である各種データ記憶領域1009で構成されている。
【0023】
ストレージ部110に記憶されているプログラム/アプリは、RAM103に展開(ロード)され、主制御部101が、展開されたプログラム/アプリを実行することにより、本実施例の機能部やその他の機能部が実行される。
【0024】
図3において、RAM103には、展開される実行プログラムを機能別に記載している。すなわち、HMD100の基本動作プログラムを実行する基本動作機能部1101と、第二画像入力部(内部カメラ)134の取得画像を解析してHMD100を装着するユーザU1の両眼の状態や視線位置を確認する両眼状態確認部1111、通信部170を介して受信した情報を解析して受信した情報が緊急警報等か否かを確認する通信状態確認部1112、HMD100を装着するユーザU1の操作指示に応じて各種アプリの起動/実行等の処理を制御しアプリ画面(アプリ映像)を生成するアプリ制御部1113、両眼状態確認部1111で確認したユーザの両眼の状態や視線位置または通信状態確認部1112で確認した受信情報が緊急警報等か否かに応じてアプリ制御部1113で生成されたアプリ画面の映像(アプリ映像)と第一画像入力部(外部カメラ)が取得した外界映像の一方を選択して表示部131への表示を制御する表示制御部1114を有する。また、RAM103はアプリにより作成/取得された各種情報の一時的な記憶領域である一時記憶領域1199を有している。
【0025】
図4は、本実施例におけるHMDの処理フローチャートである。図4において、まずステップS101で、表示制御部1114が、アプリ制御部1113がユーザの操作指示に従って起動/実行して生成したアプリ画面(アプリ映像)を表示部131に表示し、S102に進む。S102では、第二画像入力部(内部カメラ)134が、ユーザの両眼画像を取得し、S103に進む。S103では、両眼状態確認部1111が、S102の処理で取得したユーザの両眼画像を解析し、ユーザの両眼がともに閉じた状態であると判断した場合には、S104に進む。ユーザの両眼がともに閉じた状態ではないと判断した場合には、S102に戻る。S104では、両眼状態確認部1111が、タイマーのカウント値を初期化して、S105に進む。S105では、第二画像入力部(内部カメラ)134がユーザの両眼画像を取得し、S106に進む。S106では、両眼状態確認部1111が、S105の処理で取得したユーザの両眼画像を解析し、ユーザの両眼のいずれかが開いた状態であると判断した場合には、S102に戻る。ユーザの両眼のいずれも開いた状態ではないと判断した場合には、S107に進む。S107では、両眼状態確認部1111が、タイマーのカウント値をカウントアップして、S108に進む。S108では、両眼状態確認部1111が、タイマーのカウント値を予め定めた所定値と比較し、タイマーのカウント値≧所定値であった場合には、S109に進む。タイマーのカウント値≧所定値でなかった場合には、S105に戻る。
【0026】
S109では、ユーザが睡眠状態になったものとして、表示制御部1114が、スリープ画面(無映像で暗い画面)を生成して表示部131に表示し、S110に進む。なお、S109の処理はなくてもよい。
【0027】
S110では、第二画像入力部(内部カメラ)134が、ユーザの両眼画像を取得し、S111に進む。S111では、両眼状態確認部1111が、S110で取得したユーザの両眼画像を解析し、ユーザの両眼のいずれかが開いた状態であると判断した場合には、S112に進む。ユーザの両眼のいずれも開いた状態ではないと判断した場合には、S110に戻る。なお、S111の後にタイマーを付加して、所定時間以上眼が開いている状態を検出した場合にS112に進むようにしてもよい。
【0028】
S112では、ユーザが覚醒状態(或いは半覚醒状態:以下同様)になったものとして、第一画像入力部(外部カメラ)133が、外界映像を取得し、S113に進む。S113では、表示制御部1114が、S112で取得した外界映像を表示部131に表示し、処理を終了する。
【0029】
以上のように、本実施例では、内部カメラが装着者(ユーザ)の両眼の状態を確認し、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続しない場合は、装着者(ユーザ)は覚醒状態であると判断し、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続した場合、装着者(ユーザ)が睡眠状態であると判断する。そして、覚醒状態から睡眠状態となった場合は、アプリ映像をスリープ画面(無映像)に切り替え、その後、覚醒状態になった場合、スリープ画面をビデオスルー映像(外部カメラ映像)に切り替える。これにより、HMD装着時に寝てしまい、その後覚醒した場合であっても、装着者(ユーザ)は自身の周囲(実空間)の状況を確認することが可能となる。
【0030】
なお、覚醒状態から睡眠状態となった場合、アプリ映像をスリープ画面(無映像)に切り替えずに、アプリ映像の表示を継続してもよいが、無映像で暗い画面であるスリープ画面に切り替えることで、装着者が睡眠状態の際のHMDのバッテリ消費の節約が可能となる。また、覚醒状態から睡眠状態となった場合に、アプリ映像をビデオスルー映像(外部カメラ映像)に切り替えてもよい。
【0031】
また、S101で表示部131に表示されたアプリ画面(アプリ映像)が音声出力を伴っている(音声出力部141から音声出力を行っている)場合、S109でスリープ画面(無映像)に切り替える際に音声出力も併せて停止するようにしてもよい。或いは、HMDが稼働中であること(稼働中であったこと)を示すため、S109でスリープ画面(無映像)に切り替える際に音声出力はそのまま継続するようにしてもよい。また、音量を下げて音声出力を継続するようにしてもよい。
【0032】
以上のように本実施例によれば、HMD装着時に寝てしまい、その後覚醒した場合であっても、ユーザは自身の周囲状況を確認することが可能となり、危険を回避可能なHMDを提供できる。
【実施例0033】
実施例1では、睡眠状態から覚醒した場合、外部カメラ映像に切り替えることで、ユーザは自身の周囲状況を確認することが可能となり、危険を回避可能とする構成について説明した。本実施例では、他の危険回避例について説明する。
【0034】
図5は、本実施例におけるHMDの処理フローチャートである。図5において、図4と同じ処理は同じ符号を付し、その説明は省略する。図5において、図4と異なる点は、ステップS122、S123であり、睡眠状態から覚醒した際に、装着者(ユーザ)にHMD装着中である旨のメッセージを表示する点である。
【0035】
すなわち、図5において、S101~S111は図4の動作と同様である。なお、図5では、S109は記載していないが、図4と同様に覚醒状態から睡眠状態となった場合、スリープ画面を表示してもよい。
【0036】
S111でYesの場合、睡眠状態から覚醒した状態であって、S122に進む。S122では、表示制御部1114が、ユーザにHMDを装着中である旨を警告するためのメッセージを生成し、S123に進む。S123では、表示制御部1114が、アプリ制御部1113がユーザの操作指示に従って起動/実行して生成したアプリ画面(アプリ映像)に、S122で生成した警告メッセージを重畳して表示部131に表示し、処理を終了する。
【0037】
図6は、本実施例における警告メッセージの表示例である。図6において、表示部131には、S122で生成した警告メッセージM11が、アプリ画面(アプリ映像)AP11に重畳して表示されている。なお、覚醒状態から睡眠状態となった場合にスリープ画面を表示する場合は、無映像で暗い画面であるスリープ画面に警告メッセージM11を重畳表示する。また、警告メッセージの表示例は前述の他、『X時間寝ていました』等の表示や単なる現在時刻表示等であってもよい。即ち、ユーザにHMD装着中であることを気づかせるものであればよい。
【0038】
また、警告メッセージは、図6に示したように、表示部131に表示するのみではなく、音声出力として音声出力部141から出力するようにしてもよい。この場合、同一の警告メッセージを複数回繰り返すようにすれば、ユーザが警告メッセージを聞き逃す可能性を低減できる。また、警告メッセージの音声出力を停止させるためのユーザの指示があるまで警告メッセージの音声出力を繰り返すようにしてもよい。
【0039】
以上のように本実施例によれば、HMD装着時に寝てしまい、その後覚醒した場合であっても、ユーザは警告メッセージを確認することができ、危険を回避可能なHMDを提供できる。
【0040】
なお、覚醒状態から睡眠状態となった場合に、表示部131に、覚醒状態で表示していたアプリ画面に警告メッセージを重畳表示してもよい。
また、警告メッセージを確認後、ユーザが外界映像の表示への切り替えを希望する場合は、操作入力部120からのユーザによる指示やジェスチャ動作等で切り替えればよい。また、ユーザの指示により、警告メッセージを消去してアプリ画面の表示を再開してもよい。
【実施例0041】
本実施例では、HMD装着時の他の危険回避例について説明する。
【0042】
図7は本実施例におけるHMDの処理フローチャートである。図7において、まず、ステップS201で、表示制御部1114が、アプリ制御部1113がユーザの操作指示に従って起動/実行して生成したアプリ画面(アプリ映像)を表示部131に表示し、S202に進む。
【0043】
S202では、通信部170が、外部ネットワーク上の機器や連携動作中の機器、例えば、スマートホン等の携帯情報端末から送信されたメッセージを受信し、S203に進む。S203では、通信状態確認部1112が、S202で受信したメッセージを解析し、受信したメッセージが緊急警報等であると判断した場合には、S204に進む。受信したメッセージが緊急警報等ではないと判断した場合には、S202に戻る。
【0044】
S204では、第一画像入力部(外部カメラ)133が、外界映像を取得し、S205に進む。S205では、表示制御部1114が、S204で取得した外界映像を表示部131に表示し、処理を終了する。
【0045】
このように、本実施例では、HMDは、通信部を介して例えば地震速報等の緊急警報(メール等)を受信した場合には、覚醒状態や睡眠状態によらず、アプリ映像をビデオスルー映像(外界映像)に切り替える。これにより、ビデオ透過型の密閉型のHMD装着時においても、緊急事態には、外界映像に切り換えることで、ユーザは自身の周囲状況を確認することが可能となり、危険を回避可能なHMDを提供できる。
【0046】
なお、緊急警報の内容を知らせる警告メッセージを表示部に重畳表示するようにしてもよい。
【0047】
また、音声入力部143が音声情報を取得し(S202の処置の代替)、取得した音声情報を解析して、その音声情報が非常ベル等であると判断した場合(S203の処置の代替)に、外界映像に切り替えるようにしてもよい。
【実施例0048】
実施例2では、睡眠状態から覚醒した場合に表示画面に警告メッセージを重畳表示することで危険を回避可能なHMDについて説明した。
【0049】
本実施例では、警告メッセージの重畳表示後に、所定アイコンを注視することで外界映像に切り換える点について説明する。
【0050】
図8は本実施例におけるHMDの処理フローチャートである。図8において、まず点線で囲ったステップは、図5のS101からS111までの処理であり、省略して記載しており、その説明も省略する。
【0051】
S111でYesの場合、睡眠状態から覚醒した状態であって、S124に進む。S124では、表示制御部1114が、ユーザにHMDを装着中である旨を警告するためのメッセージを生成し、S125に進む。S125では、表示制御部1114が、アプリ制御部1113がユーザの操作指示に従って起動/実行して生成したアプリ画面(アプリ映像)に、S124で生成した警告メッセージを重畳して表示部131に表示する。
【0052】
図9は、本実施例における警告メッセージの表示例である。図9において、表示部131には、S124で生成した警告メッセージM12が、アプリ画面(アプリ映像)AP11に重畳して表示されている。また、非常ドアの閉状態のマークである所定アイコンO11が表示されている。警告メッセージM12には、HMDを装着中である旨の表示と共に、“外部を確認したい場合はドアマークを見て下さい”とのメッセージが表示されている。後述するが、この所定アイコンO11に所定時間以上視線を合わせると、表示部に表示される映像がアプリ映像から外界映像に切り替わる。
【0053】
なお、S125では、所定アイコンO11のみを表示するようにしてもよい。即ち、所定アイコンO11が表示されることに警告メッセージM12の意味合いを含めてもよい。
【0054】
次に、S302において、第二画像入力部(内部カメラ)134が、ユーザの両眼画像を取得し、S303に進む。S303では、両眼状態確認部1111がS302で取得したユーザの両眼画像を解析して、ユーザの視線位置を検出し、S304に進む。S304では、両眼状態確認部1111が、S303で検出したユーザの視線位置を確認し、ユーザの視線位置が所定アイコン上にあると判断した場合にはS305に進む。ユーザの視線位置が所定アイコン上にないと判断した場合にはS302に戻る。なお、ユーザの視線位置が、所定アイコンを含み、所定アイコンよりも大きな所定範囲内にある場合に、ユーザの視線位置が所定アイコン上にあるものとして判断するようにしてもよい。
【0055】
S305では、ユーザが所定アイコンを見ていると判断して、両眼状態確認部1111が、タイマーのカウント値を初期化して、S306に進む。S306では、第二画像入力部(内部カメラ)134が、ユーザの両眼画像を取得し、S307に進む。S307では、両眼状態確認部1111が、S306で取得したユーザの両眼画像を解析して、ユーザの視線位置を検出し、S308に進む。S308では、両眼状態確認部1111が、S307の処理で検出したユーザの視線位置を確認し、ユーザの視線位置が所定アイコン上(所定範囲内)から外れたと判断した場合には、S302に戻る。ユーザの視線位置が所定アイコン上(所定範囲内)から外れていないと判断した場合には、S309に進む。S309では、両眼状態確認部1111が、タイマーのカウント値をカウントアップして、S310に進む。S310では、両眼状態確認部1111が、タイマーのカウント値を予め定めた所定値と比較し、タイマーのカウント値≧所定値であった場合には、所定アイコンに所定時間以上視線を合わせている、すなわち注視していると判断しS311に進む。タイマーのカウント値≧所定値でなかった場合には、S306に戻る。
【0056】
S311では、第一画像入力部(外部カメラ)133が、外界映像を取得し、S312に進む。S312では、表示制御部1114が、S311で取得した外界映像を表示部131に表示し、処理を終了する。
【0057】
図10は、本実施例における外界表示例である。図10において、表示部131には、S312により、外界映像OW11が表示される。すなわち、図9における所定アイコンO11に所定時間以上視線を合わせると、表示部131に表示される映像がアプリ映像に重畳された警告メッセージから外界映像に切り替わるとともに、非常ドアの閉状態のマークの所定アイコンO11から非常ドアの開状態のマークの所定アイコンO12に変わる。
【0058】
なお、所定アイコンO12に所定時間以上視線を合わせると、表示部131に表示される映像が外界映像からアプリ映像に切り替わる。更に、所定アイコンのデザインも非常ドアの開状態のマークの所定アイコンO12から非常ドアの閉状態のマークの所定アイコンO11に変わる。
【0059】
なお、所定アイコンは非常ドアマークでなくてもよく、外界表示を示唆するアイコンであればよい。
【0060】
また、視線注視による外界切替えの待ちループは、割り込み処理、すなわち、操作入力部120からのユーザによる指示によりアプリ画面表示に切替えるようにしてもよい。
【0061】
以上のように本実施例によれば、HMD装着時に寝てしまい、その後覚醒した場合であっても、ユーザは警告メッセージを確認することができ、所定アイコンを注視することで外界映像に自動的に切り換えることが出来る。
【0062】
なお、所定アイコンO11は、ユーザの睡眠状態と覚醒状態との遷移によらず、アプリ実行中は常にアプリ映像AP11に重畳して表示しておくようにしてもよい。即ち、長時間アプリ映像AP11により視界が実空間から遮断されているとユーザが不安を感じる場合もあるため、ユーザがいつでも所定アイコンO11に視線を合わせることにより外界を確認できるようにすれば、危険を回避可能となる。
【0063】
また、上記した各実施例では、HMDがビデオ透過型の密閉型のHMDである場合について説明を行った。しかしながら、HMDが光学透過型のHMDであっても、アプリの実行により生成されたオブジェクトが表示部の多くを覆ってしまう場合には、上記した各実施例で説明した処理と同様の処理を行うことにより、HMD装着時に寝てしまい、その後覚醒した場合に、アプリ画面(アプリ映像)によって実空間上の視界を遮られることなく、装着者(ユーザ)は自身の周囲(実空間)の状況を確認することが可能となる。なお、HMDが光学透過型のHMDである場合、上記した各実施例におけるビデオスルー映像(外部カメラ映像)に切り替える処理は、アプリ映像の表示を停止する処理に変更すればよい。
【0064】
以上実施例について説明したが、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
100:HMD(ヘッドマウントディスプレイ装置)、101:主制御部、103:RAM、110:ストレージ部、120:操作入力部、121:操作キー、122:タッチセンサ、130:画像処理部、131:表示部、132:画像信号処理部、133:第一画像入力部、134:第二画像入力部、140:音声処理部、141:音声出力部、142:音声信号処理部、143:音声入力部、151:位置情報取得部、160:センサ部、170:通信部、180:拡張インタフェース部、1001:基本動作プログラム、1002:アプリケーション、1009:各種データ記憶領域、1101:基本動作機能部、1111:両眼状態確認部、1112:通信状態確認部、1113:アプリ制御部、1114:表示制御部、1199:一時記憶領域、U1:ユーザ、M11、M12:警告メッセージ、AP11:アプリ画面(アプリ映像)、O11、O12:所定アイコン、OW11:外界映像。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外界画像を第一画像入力部で取得して表示部に表示するビデオ透過型のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
装着者の両眼の状態の画像を取得する第二画像入力部と、
制御部を有し、
前記制御部は、前記第二画像入力部で取得した装着者の両眼の状態の画像から、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続しない場合には装着者は覚醒状態であると判断し、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続した場合には装着者は睡眠状態であると判断し、前記睡眠状態から前記覚醒状態になった場合、前記表示部にヘッドマウントディスプレイ装置を装着中である旨を警告する警告メッセージを表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記覚醒状態から前記睡眠状態となった場合は、前記表示部の表示を、前記覚醒状態で表示していたアプリケーション画像から無映像画面に切り替え、その後、前記睡眠状態から前記覚醒状態になった場合、前記表示部に、前記無映像画面に前記警告メッセージを重畳表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記覚醒状態から前記睡眠状態となった場合は、前記表示部の表示として、前記覚醒状態で表示していたアプリケーション画像を継続表示し、その後、前記睡眠状態から前記覚醒状態になった場合、前記表示部に、前記アプリケーション画像に前記警告メッセージを重畳表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項4】
外界画像を第一画像入力部で取得して表示部に表示するビデオ透過型のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
装着者の両眼の状態の画像を取得する第二画像入力部と、
制御部を有し、
前記制御部は、
前記第二画像入力部で取得した装着者の両眼の状態の画像から、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続しない場合には装着者は覚醒状態であると判断し、所定時間以上両眼を閉じた状態が継続した場合には装着者は睡眠状態であると判断し
記覚醒状態から前記睡眠状態となった場合は、前記表示部に、前記覚醒状態で表示していたアプリケーション画像にヘッドマウントディスプレイ装置を装着中である旨を警告する警告メッセージを重畳表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項5】
請求項1または4に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記警告メッセージとして、外界表示を示唆するアイコンと、該アイコンを見ることで外界画像を確認できる旨のメッセージを表示し、前記第二画像入力部で取得した装着者の両眼の状態の画像から、前記アイコンに所定時間以上視線を合わせていると判断した場合、前記表示部の表示を、前記第一画像入力部で取得した外界画像に切り替えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記アイコンは、非常ドアの閉状態のマークであることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項7】
外界画像を第一画像入力部で取得して表示部に表示するビデオ透過型のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
通信部と、
制御部を有し、
前記制御部は、前記通信部を介して緊急警報を受信した場合には、前記表示部の表示を、表示していたアプリケーション画像から前記第一画像入力部で取得した外界画像に切り替えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記緊急警報の内容を知らせる警告メッセージを前記表示部に重畳表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。