(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096377
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】実時間サンプリング装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024075838
(22)【出願日】2024-05-08
(62)【分割の表示】P 2020115741の分割
【原出願日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】62/870,545
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・アール・ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ティー・パンゼンベック
(57)【要約】
【課題】装置を輸送するために使用され得る内視鏡の視野範囲を超える患者における組織サンプリング又は薬物送達処置の実時間観察を可能にする。
【解決手段】医療システムで使用される細長いアクセス装置は、医療用具及びその中に配置された超音波プローブを有し、シースであって、超音波プローブを受容するように構成されている第1の管腔と、医療用具を受容するように構成されている第2の管腔と、シースの遠位表面を越えて延在するように構成されている管腔ライナと、を備えるシースと、シースに取り付けられるように構成されている先端部であって、少なくとも1つの連結装置と、ハブであって、プローブ管腔と、傾斜管腔と、を備えるハブと、ノーズ装置と、傾斜管腔内に受容されるように構成されており、管腔ライナの少なくとも一部分を受容するように構成されている傾斜装置と、を備える先端部と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部及び遠位端部を有し、医療システムで使用される細長いアクセス装置であって、前記細長いアクセス装置が医療用具及びその中に配置された超音波プローブを有し、前記細長いアクセス装置が、
シースであって、
前記超音波プローブを受容するように構成されている第1の管腔と、
前記医療用具を受容するように構成されている第2の管腔と、
前記シースの遠位表面を越えて延在するように構成されている管腔ライナと、
を備えるシースと、
前記シースに取り付けられるように構成されている先端部であって、
少なくとも1つの連結装置と、
ハブであって、プローブ管腔と、傾斜管腔と、を備えるハブと、
ノーズ装置と、
前記傾斜管腔内に受容されるように構成されており、前記管腔ライナの少なくとも一部分を受容するように構成されている傾斜装置と、
を備える先端部と、
を備える、細長いアクセス装置。
【請求項2】
前記傾斜装置が、
管腔を備える近位端部と、
遠位端部と、
前記近位端部と前記遠位端部との間に位置する傾斜区分と、を備え、前記傾斜区分が、出口ポートと、前記近位端部の前記管腔と流体連通している傾斜部と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハブが、
近位端部と、
遠位端部と、
前記傾斜管腔に隣接する前記ハブの前記近位端部と前記遠位端部との間に位置する出口ポートと、を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記傾斜管腔が、
前記傾斜装置の前記近位端部及び前記傾斜区分を受容するように構成されている第1の管腔と、
前記傾斜装置の前記遠位端部を受容するように構成されている第2の管腔と、を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記傾斜管腔の前記第2の管腔内に受容される前記傾斜装置の前記遠位端部が、前記ハブに対する前記傾斜装置の移動を制限する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記傾斜装置の前記遠位端部及び前記傾斜管腔の前記第2の管腔が楕円形の断面構成を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ハブが、
近位区分及び遠位区分を有する近位端部であって、前記近位区分が、前記遠位区分の外径よりも小さい外径を有する、近位端部と、
近位区分及び遠位区分を有する遠位端部であって、前記遠位区分が、前記近位区分の外径よりも小さい外径を有する、遠位端部と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ノーズ装置が、近位区分と、遠位区分と、前記ノーズ装置の前記近位区分と前記遠位区分との間に位置する中央区分と、を備え、前記近位区分が、前記中央区分の外径よりも小さい外径を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記シースが、近位区分と遠位区分と、を備え、前記遠位区分が、前記近位区分の外径よりも小さい外径を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの連結装置が、近位オーバースリーブ及び遠位オーバースリーブを備え、
前記近位オーバースリーブが、前記シースの前記遠位区分及び前記ハブの前記近位端部の前記近位区分に、接着、インサート成形、又は熱結合の内の少なくとも1つを施されることであり、
前記遠位オーバースリーブが、前記ハブの前記遠位端部の前記遠位区分及び前記ノーズ装置の前記近位区分に、接着、インサート成形、又は熱結合の内の少なくとも1つを施されることである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ノーズ装置の前記遠位区分が、非外傷性組織の相互作用のために丸みを帯びている、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記ノーズ装置が、長手方向軸線を有し、超音波ゲルを受容するように構成されているポートを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記ノーズ装置が、前記超音波プローブの遠位端部と適合するように構成されている近位表面を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記先端部が、
前記ハブ及び前記ノーズ装置と係合されるように構成されている1つ以上の配向ピンであって、少なくとも1つのオーバースリーブによって少なくとも部分的に包み込まれている配向ピンを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
医療用装置であって、
シースであって、
撮像装置を受容するように構成されている第1の管腔と、
医療用具を受容するように構成されている第2の管腔と、
前記シースの遠位表面を越えて前記第2の管腔から延在するように構成されている管腔ライナと、を備えシースと、
前記シースに取り付けられるように構成されている先端部であって、
少なくとも1つのオーバースリーブと、
ハブであって、
近位端部と、
遠位端部と、
傾斜管腔と、
前記傾斜管腔に隣接する前記ハブの前記近位端部と前記遠位端部との間に位置する出口ポートと、
プローブ管腔と、を備える、ハブと、
ノーズ装置と、
前記傾斜管腔内に受容されるように構成されており、前記管腔ライナの少なくとも一部分を受容するように構成されている傾斜装置であって、
管腔を備える近位端部と、
遠位端部と、
前記傾斜装置の前記近位端部と前記遠位端部との間に位置する傾斜区分と、を備え、前記傾斜区分が、出口ポートと、前記近位端部の前記管腔と流体連通している傾斜部と、を備える傾斜装置と、
を備える先端部と、
を備える、医療用装置。
【請求項16】
前記傾斜管腔が、
前記近位端部及び前記傾斜区分を受容するように構成されている第1の管腔と、
前記傾斜装置の前記遠位端部を受容し、前記ハブに対する前記傾斜装置の移動を制限するように構成されている第2の管腔と、を備える、請求項15に記載の医療用装置。
【請求項17】
前記傾斜装置の前記遠位端部及び前記傾斜管腔の前記第2の管腔が、楕円形の断面構成を有する、請求項16に記載の医療用装置。
【請求項18】
前記ハブが、
近位区分及び遠位区分を有する近位端部であって、前記近位区分が、前記遠位区分の外径よりも小さい外径を有する、近位端部と、
近位区分及び遠位区分を有する遠位端部であって、前記遠位区分が、前記近位区分の外径よりも小さい外径を有する、遠位端部と、を備え、
前記ノーズ装置が、近位区分と、遠位区分と、前記ノーズ装置の前記近位区分と前記遠位区分との間に位置する中央区分と、を備え、前記ノーズ装置の前記近位区分が、前記中央区分の外径よりも小さい外径を有し、
前記シースが近位区分と遠位区分とを備え、前記遠位区分が、前記近位区分の外径よりも小さい外径を有し、
前記少なくとも1つのオーバースリーブが、近位オーバースリーブ及び遠位オーバースリーブを備え、
前記近位オーバースリーブが、前記シースの前記遠位区分及び前記ハブの前記近位端部の前記近位区分に、接着又は熱結合の内の少なくとも1つを施されることであり、
前記遠位オーバースリーブが、前記ハブの前記遠位端部の前記遠位区分及び前記ノーズ装置の前記近位区分に、接着又は熱結合の内の少なくとも1つを施されることである、請求項15に記載の医療用装置。
【請求項19】
前記先端部が、
前記ハブ及び前記ノーズ装置と係合されるように構成されている1つ以上の配向ピンであって、前記少なくとも1つのオーバースリーブによって少なくとも部分的に包み込まれている配向ピンを更に備える、請求項15に記載の医療用装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
末梢性肺腫瘍の、超音波による視覚化及びサンプリングのために現在利用可能な医療用装置は、それらの移動範囲及び診断能力が制限されている。通常、末梢サンプリング中、ガイドシースは、気管支鏡を通って送り込まれ、気管支鏡の届く範囲を越えて遠くまで延在されるため、ガイドシースの遠位端部は見えない。ラジアル式超音波気管支鏡(EBUS)の小型プローブは、ガイドシースを貫通し、腫瘍のおおよその位置を測定するために使用される。
【0002】
残念ながら、気道周辺を中心とする腫瘍に対向するものとして、気道の片側から離れて位置する末梢性腫瘍は、現在のラジアル式EBUS技術の制限によって、部分的には診断率が実質的に低く、これにより、操作者は、プローブからの深さを認識できるが、腫瘍又は病変の方向を認識できない。サンプリングニードルは、シースから軸外に延在し、それ故に、ニードル及び対象の回転配向に関する知識が必要とされる。ラジアル式超音波プローブは、病変に対するニードルの配向を示さない。ラジアル式超音波画像は、使用者が病変を確認できる360°画像であるが、使用者は、ニードルが病変を指しているのか否かを識別することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/106787号
【特許文献2】国際公開第2018/106789号
【特許文献3】国際公開第2018/157038号
【特許文献4】国際公開第2018/003242号
【特許文献5】特開平10-118072号公報
【特許文献6】特表2018-519902号公報
【特許文献7】特開2000-152940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書にて開示された技術の実施形態は、装置を輸送するために使用され得る内視鏡の視野範囲を超える患者における組織サンプリング又は薬物送達処置の実時間観察を可能にするための、可撓性装置を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本開示の技術の一態様は、それぞれの近位端部及び遠位端部を有し、医療システムで使用される細長いアクセス装置を対象とする。細長いアクセス装置は、医療用具及び超音波プローブを別個の管腔内に受容する。細長いアクセス装置は、シースと、シースに取り付けられた管腔内先端部と、を含む。管腔内先端部は、オーバースリーブによって形成された超音波プローブ空洞を形成するために互いに隔置されている、ハブ及びノーズ装置を含む。1つ以上の配向ピンはハブ及びノーズ装置と係合し、シース内に固定されてもよい。傾斜装置がハブ内に受容される。医療用具は、傾斜装置と係合した場合に軸外に偏向するように構成されている。超音波プローブは、1つ以上のピンに関連する画像異常への近接に基づいて、医療処置中に、偏向された医療用具が標的に向けられることを確実にするように、管腔内先端部の超音波プローブ空洞内に受容される。
【0006】
開示された技術のその他の特徴及び態様は、添付図面と併せて以下の詳細な説明から明らかとなり得るが、実施例により、開示された技術の実施形態による特徴を例示する。要約は、本明細書に添付された特許請求の範囲によってのみ定義される、本明細書に記載される任意の発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】開示された技術の一実施形態による気管支鏡システムで使用される細長いアクセス装置の一例を示す。
【
図2】開示された技術の一実施形態による細長いアクセス装置の遠位端部の平面図である。
【
図3】
図2の細長いアクセス装置の遠位端部の側面図である。
【
図4】シース及び細長いスリーブが両方とも取り外された場合に、配向ピンと、それぞれの傾斜ドーナツ部及び先端ドーナツ部とが互いに係合された方法を示す、細長いアクセス装置の遠位端部の等角図である。
【
図5】互いに係合された配向ピン並びにそれぞれの傾斜ドーナツ部及び先端ドーナツ部の実施形態を示す。
【
図6】互いに係合された配向ピン並びにそれぞれの傾斜ドーナツ部及び先端ドーナツ部の実施形態を示す。
【
図7】細長いアクセス装置の例示的なシースの一部を示す。
【
図8】細長いアクセス装置の遠位端部及び気管支鏡が、気道の片側から離れて位置する末梢性腫瘍のサンプリングにおいて係合される、体の肺部分の一例を示す。
【
図9】
図1~
図8に示す構成要素と共に使用されるラジアル式超音波プローブにより生成した、例示的画像である。
【
図10】本明細書に記載された技術の一実施形態に従って形成された細長いアクセス装置の遠位端部の、等角図である。
【
図15】
図10に示す装置の一部を形成するシースの遠位端部の等角図である。
【
図16】
図10に示す細長いアクセス装置の遠位端部の一部の断面図である。
【
図17】
図10に示す細長いアクセス装置の遠位端部のX線図である。
【
図18】本明細書に記載された技術の一実施形態に従って形成された細長いアクセス装置の遠位端部の、等角図である。
【
図19】本明細書にて記載された技術の一実施形態に従って形成された細長いアクセス装置の遠位端部の、等角図である。
【
図20】本明細書にて記載された技術の一実施形態に従って形成された細長いアクセス装置の遠位端部の、等角図である。
【
図21】本明細書に記載された技術の一実施形態に従って形成された細長いアクセス装置の遠位端部の、等角図である。
【
図22】本明細書にて記載された技術の一実施形態に従って形成された細長いアクセス装置の遠位端部の、等角図である。
【
図23】本明細書にて記載された技術の一実施形態に従って形成された細長いアクセス装置の遠位端部の、側面部分X線図である。
【
図28】第1の動作モードにおける二重管腔シース装置の遠位端部の断面図である。
【
図29】第2の動作モードにおける
図28の装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書にて開示された技術を、1つ以上の種々の実施形態に従って、以下の図を参照して詳細に記述する。図面は、例示のみを目的として提供され、開示された技術の典型的又は例示的な実施形態を単に描写するものである。これらの図面は、開示された技術の読者の理解を容易にするために提供され、それらの広さ、範囲、又は適用性を制限すると見なされるべきではない。明確さ及び説明を容易にするために、これらの図面は必ずしも縮尺どおりに作製されていない、という点に留意すべきである。
【0009】
以下の説明では、本技術の種々の実施形態について説明する。説明の目的で、実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な構成及び詳細が記載される。しかし、本明細書にて開示された技術は、具体的な詳細なしに実施され得ることも当業者には明らかであろう。なお、説明される実施形態を不明瞭にしないために、周知の特徴を省略又は簡略化することができる。
【0010】
ここで
図1を参照すると、気管支鏡システム10は、挿入管14を備えた気管支鏡12と、ラジアル式超音波システム16と、細長いアクセス装置20と、を含む。ラジアル式超音波システム16は、信号プロセッサ24と、表示装置18と、ラジアル式超音波プローブ22と、を含む。ラジアル式超音波プローブ22、並びに医療用装置30(例えば、組織サンプリング用及び/又は薬剤送達用ニードル)は、細長いアクセス装置20のハンドル構成要素を介して気管支鏡12内で受容される。
【0011】
表示装置18は、気管支鏡12及び/又は信号プロセッサ24と、有線又は無線信号通信している。表示装置18は、気管支鏡12及び/又は、ラジアル式超音波プローブ22の遠位端部にてラジアル式超音波変換器からの画像情報を受信する信号プロセッサ24から受信した情報に基づいた画像を提示する。診断用気管支鏡(例えば、Olympus(登録商標)製のBF-X190)は、気管支鏡12の一例であり、Olympus(登録商標)製のラジアル式超音波気管支鏡(EBUS)の小型プローブは、ラジアル式超音波システム16の例である。
【0012】
図2は、開示された技術の一実施形態による、細長いアクセス装置20の遠位端部の平面図であり、
図3は側面図である。医療用装置30及び超音波プローブ22は、細長いアクセス装置20内に摺動可能に受容される。細長いアクセス装置20は、シース32と、シース32の遠位端部で互いに取り付けられるように構成されている管腔内先端部21と、を含む。シース32は、複数の管腔、例えば、4つの管腔33a、33b、33c、及び33dを含み、これらはそれぞれ、
図7にて最適に示されて、以下に記載されるように、それを通して種々の構成要素を受容する。管腔内先端部21は、互いに離間され、スリーブ28内に配置されるように構成されている傾斜ドーナツ部34及び先端ドーナツ部36を含む。スリーブ28は、
図3に示されるように、医療用装置30がそこから突出することを可能にする出口開口部/ポート29を含む。スリーブ28は、超音波プローブ22を包含するドーナツ部34、36間の超音波透過窓部を画定する。超音波ゲル44又は例えば等張生理食塩水などのその他の好適な流体を先端部21へと挿入して、超音波エネルギーの連続的かつ信頼のおける伝播を確実にする。スリーブ28は、可撓性ポリエーテルから作製された熱可塑性エラストマーであるPebax(登録商標)などの市販の超音波透過性材料で作製され、医療用装置に使用される種々の成形構成要素における最大機械的性能を提供する、市販のグレードの最高剛性ポリアミド構成要素である。
【0013】
図4は、配向ピン26と、傾斜ドーナツ部34及び先端ドーナツ部36とが互いに係合される方法を示すためにスリーブ28が取り除かれた先端21の一実施形態の一部の、等角図である。傾斜ドーナツ部34は、超音波プローブ22及び配向ピン26がそれを通過することを可能にするために、それに形成された第1の複数の通路38a、38b、及び38cを有する一般に円筒形の形状である。傾斜ドーナツ部34は、外側表面43上に形成された傾斜溝42を含む。傾斜溝42は、医療処置中に医療用装置30が傾斜ドーナツ部34と係合している場合に、医療用装置30を管腔内先端部21の長手方向軸線から離れる方向に偏向させるように角度付けされる。傾斜溝42は、管腔内先端部21及びシース32の長手方向軸線から分岐する中心軸線を有する。傾斜溝42は、例えば傾斜溝42を装着せずに、ニードルを用いて繰り返し末梢サンプリングを可能にする。傾斜ドーナツ部34及び先端ドーナツ部36は、ステンレス鋼、ポリフェニルスルホン酸(PPSU)、又は同等の材料で作製されてもよい。一実施形態では、通路38aは超音波プローブ22を受容するために使用され、それぞれの通路38b、38cは、配向ピン26がそれを通過するために使用される。
【0014】
先端ドーナツ部36は、複数の通路40a、40b、及び40cを有する一般に円筒形の形状である。一実施形態では、通路40aは、超音波ゲル44を受容してその中に流れ、超音波プローブ22を挿入するための底打点を提供するが、これは、超音波ゲル44(例えば、
図2及び
図3)が漏れ出るのを防止するために、通路40aを塞ぐものである。通路40b、40cは、配向ピン26に取り付けられる。一実施形態では、配向ピン26は、
図2~
図4に示すように、U字形状に形成される1つの連続ピン材料から形成されてもよい。
【0015】
配向ピン26は、ニチノール、ステンレス鋼、ステンレス鋼編組、又は超音波反射特性を有する同等の材料で作製されてもよい。配向ピン26は、超音波プローブから送信された超音波信号を反射するためのエコー源性特性を有してもよく、したがって、超音波画像内の「ヘッドライト」に似た陰影効果を提供し得る。ヘッドライト効果は、医療用装置30が傾斜溝42から出る場所を示す。配向ピン26は、ピン26のエコー源性を増加させるための、反射性機構(例えば、エッチング又は溝)を含んでよい。上述したように、配向ピン26は可撓性であり、曲げられた後に元の形状に戻る。配向ピン26は、傾斜ドーナツ部34及び先端ドーナツ部36を定位置に保持するのを手助けするために、シース32内に固定されてもよい。配向ピン26は、種々の形状、例えば円形、楕円形、長方形を有してもよく、同等の形状を有する複数の通路を伴う。
【0016】
図5は、ピン26-1が2つの別個のピンであることを除いて、
図4と同様である。
【0017】
図6は、傾斜ドーナツ部34-1及び先端ドーナツ部36-1が異なる構成を有することを除いて、
図5と同様である。先端ドーナツ部36-1は、ピン通路40-1b、40-1cに沿って1つ以上のスリット72を含む。スリット72は、配向ピン26-1のそれぞれが、それぞれの通路40-1b、40-1cへと挿入された後に圧着することができる。先端ドーナツ部36-1と配向ピン26-1との間に力を加えるために、圧着又はピーニング処理が行われる。一実施形態では、配向ピン26-1が複数の通路へと所定の位置に挿入された後、極低温プレス嵌め動作が実行されて、傾斜ドーナツ部34-1及び先端ドーナツ部36-1に固定力を加える。一実施形態では、レーザスポット溶接部は、スリット72を介して空洞70及び/又は先端ドーナツ部36-1を通って、ピン26-1と傾斜ドーナツ部34-1との間に適用されてもよい。
【0018】
図7は、管腔内先端部21に取り付けられたシース32の一部を示す。前述したように、シース32は、複数の管腔、例えば、4つの管腔33a、33b、33c、及び33dを含み、これらはそれぞれ、医療用装置30、配向ピン26、及び超音波プローブ22などの種々の構成要素を受容する。例えば、配向ピン26のそれぞれは、管腔33a、33b内に固定され、超音波プローブ22は、管腔33cを摺動可能に通過する。医療用装置30は、管腔33dを摺動可能に通過する。シース32は、ハンドル部分(図示せず)から延在する。管腔33a、33b、33c、及び33dは全て、シース32の遠位面を介してアクセス可能である。管腔33c、33dは、ハンドル部分に位置する近位ポート(気管支鏡若しくはその他のスコープ装置のハンドル上にあるポート)に、又は、操作者若しくは医療専門家によりアクセス可能な場所に位置する近位ポート(図示せず)に対して延在する。管腔33c、33dにより、装置が近位端部から、シース32の遠位端部まで完全に挿入されることが可能になる。上述したように、径方向プローブ(即ち、超音波)管腔33cは、
図8で最も明らかなように、径方向超音波プローブ22を摺動可能に受容するように寸法付けられる。シース32は、管腔内にPTFEライナを有する編組(ステンレス鋼)シース、及びシース本体及び外側ジャケットを構成する熱可塑性エラストマー材料(例えば、Pebax(登録商標)材料)などの可撓性材料で作製される。シース32及び管腔内先端部21は、強い接合機構を提供するPebax(登録商標)などの熱可塑性エラストマー材料で作製された、配向ピン26及び/又はスリーブ28を介して互いに接合される。
【0019】
図8は、細長いアクセス装置20の遠位端部及び気管支鏡12が、気道の片側から離れて位置する生体組織標的又は末梢性腫瘍62のサンプリングにおいて係合される、肺本体60の一部分の一例を示す。
図9は、
図1~
図8に示す構成要素と共に使用されるラジアル式超音波プローブ22により生成した、例示的画像である。細長いアクセス装置20の遠位端部は可撓性であり、関節運動した気管支鏡12を通って移動することができる。前述したように、スリーブ28は、超音波ゲル44によって取り囲まれた超音波プローブ22を包含する超音波窓部を生成し、それによって、処置中、それらの間に空隙がない状態で、先端部21の超音波窓部が生体組織標的62又は気道壁と接触している場合に、超音波信号が標的62内へと直接送信される。配向ピン26は、処置中に超音波画像90上で目視可能であり、医療用装置30が生検のために生体組織標的62に対して正確な位置でシース32から突出することを確実にするために使用される、という点に留意すべきである。
【0020】
ラジアル式超音波プローブ22が先端部21内に位置付けられた場合、ラジアル式超音波プローブ22は、360°画像を生成することができる。360°画像は、配向ピン26の鏡映を含む。配向ピン26が第1の管腔33cの同一の半分に位置するため、次に、第2の管腔33dを通過するあらゆる医療用装置30は、
図9で最も明らかなように、配向ピン26の鏡映間の最短の円弧距離間で、360°画像上に視覚的に位置する標的62と相互作用することになる。上述したように、開示された技術は、超音波画像上で目視可能であり、したがって、標的62に対するアクセス装置20の遠位端部及び医療用装置30の回転配向を使用者に警告する、エコー源性配向ピン26を使用する。更に、開示された技術の1つの利点は、操作中、それらの間に空隙がない状態で、超音波窓部が標的62又は気道壁と接触している場合に、超音波信号が標的62内へと直接送信されることである。
【0021】
引き続き
図8を参照すると、動作中及び非限定的な例により、気管支鏡12は、患者又はその他の被検者の気管を通して標的62付近の気管支通路内へと前進させられる。
図2の細長いアクセス装置20(例えば、シース32及び管腔内先端部21)は、気管支鏡12の管腔のうちの1つを通って、気管支鏡12を越えて遠位に前進して、気管支気道の超音波画像を提供する。管腔内先端部21が標的62に近づいた際に、超音波プローブ22は、
図9で最も明らかなように、末梢標的62の超音波画像を提供する。超音波プローブ22が末梢標的62と超音波接触することにより、使用者又は医療専門家は、先端部21を配向し、それによって、生体組織標的62と関連付けられたフィードバックを示す観察画像が、ピン26の超音波信号の鏡映によって生成されたエコー陰影内に位置し、次に、通路31dを通って医療用装置30を遠位に前進させる。上述のように、超音波プローブ22は、医療用装置30の方向性が操作中に生体組織標的に直接配向されることを確実にするように、管腔内先端部21と係合するように構成されている。最後に、生検又はその他の処置が完了した後、次に医療用装置30をシース32内に後退させ、細長いアクセス装置20の遠位端部を気管支鏡12内に近位に後退させ、患者から取り外す。
【0022】
図9に戻って参照すると、表示装置18に出力された画像90が示されている。画像90は、遠位端部で受容された超音波変換器を備える挿入管14が、
図8に示した肺本体60などの体腔内に位置付けられた場合に、ラジアル式超音波システム16(
図1)により生成される。画像90は、360°の撮像機構による画像を示す。画像90はまた、配向ピン26を識別するフィードバック92も含む。通路33dは、配向ピン26間に位置するが、ここでは、ピンフィードバック92間の円弧は最小である。したがって、一般的に医療専門家である操作者又は使用者には、通路33d及び傾斜部42を出る任意の医療用装置30が常にこの最小の円弧の位置の周囲で出ることが、周知であろう。画像90において、医療用装置30は、およそ350°~080°の角度値の間で先端部21の外に出ることになる。画像90において、000°は、12時の位置におけるものであると考えられる。したがって、標的がラジアル式超音波画像内で識別される場合、医療用装置をその標的62と相互作用させるために全ての使用者がする必要のあることは、標的62が、配向ピンフィードバック92によって縁取りされる、360°画像の最小パイ内に位置するまで、ハンドルを介してシース32を回転させることである。
【0023】
更に、一実施形態では、開示される技術は、シース32に取り付けられた管腔内先端部21を作製する方法に関する。本方法は、それぞれが、成形、機械加工、又は印刷によって、第1の複数の通路38a、38b、38c、並びに第2の複数の通路40a、40b、及び40cをそれぞれ有する、傾斜ドーナツ部34及び先端ドーナツ部36を形成することを含む。次に、それぞれの第2の複数の通路38a、38b、38c及び40a、40b、及び40cを通して配向ピン26を挿入する。次に、ピン26をドーナツ部34、36に取り付ける。マンドレル(図示せず)を使用して、熱可塑性エラストマー材料をそれぞれの傾斜ドーナツ部34及び先端ドーナツ部36上、配向ピン26上、並びにマンドレルの少なくとも一部分上に形成することによって、スリーブ28を作製する。形成された熱可塑性エラストマー材料は、シース32の一部分上に熱的にリフローされてもよく、したがって、先端部21をシース32に接合する。シース32内のそれぞれの管腔内にピン26を接着するなどの、その他の接合方法が使用されてもよい。次に、超音波プローブ22を、傾斜ドーナツ部34の第1の複数の通路38aのうちの1つを介して挿入し、先端ドーナツ部36の第2の複数の通路40aのうちの1つを介して超音波ゲル44を注入し、挿入された超音波プローブ22のための底打点を提供するが、これは、超音波ゲル44が漏れ出ることを防止するように、先端ドーナツ部36の第2の複数の通路のうちの1つを塞ぐ。
【0024】
図10~
図17は、代替の遠位先端部120を示す。遠位先端部120は、オーバースリーブ130によってシース122の遠位端部に取り付けられる。遠位先端部120は、超音波ゲルを超音波プローブ空洞へと挿入することを可能にする遠位キャップ126を含む。遠位先端部120は、超音波プローブを受容し、それが超音波プローブ空洞へと通ることを可能にする近位ハブ124を含む。遠位先端部120はまた、遠位キャップ126及びハブ124に接続する配向ピン128を含み、シース122内の管腔に受容/接続されてもよい。配向ピン128は、ハブ124、キャップ126及び/又はシース122へと、(例えば、エポキシで)接着されてもよく、インサート成形及び/又は圧力嵌めされてもよい。
【0025】
キャップ126は、非外傷性組織相互作用のための丸みを帯びた遠位表面を有する。管腔152は、丸みを帯びた遠位表面から近位表面まで延在する。管腔152は、挿入装置(例えば、シリンジ)から超音波ゲルを受容するためのポートである。キャップ126はまた、その近位側上に丸みを帯びた内部表面を含むが、これは超音波プローブの遠位端部のドッキングを可能にするように寸法付けられている。
【0026】
ハブ124は、配向ピン128を受容するための2つの管腔162と、超音波プローブ通路160と、傾斜係止管腔164と、傾斜係止管腔164に接続する傾斜管腔138と、を含む。用具出口ポートは、傾斜管腔138においてハブ124の側面に位置する。ハブ124及びキャップ126は、成形プラスチック又は同等の材料であってもよい。
【0027】
図14~
図17にて示すように、傾斜装置140は、傾斜管腔138及び係止管腔164内に受容される。
図14にて示すように、傾斜装置140は、遠位区分174、傾斜区分170、及び近位区分172を含む。遠位区分174は楕円形の断面を有する。係止管腔164は、遠位区分174の構成に対応する楕円形の断面構成を有する。したがって、傾斜係止管腔164内に着座された場合の遠位区分174は、傾斜係止管腔164内の遠位区分174の回転を制限し、したがって、傾斜区分170をハブ124内で適切に整列させる。係止構成要素のその他の形状を使用して、この回転防止機構を提供することができる。
【0028】
傾斜装置140は、傾斜区間170の周囲の遠位縁部がハブ124の用具出口ポートの遠位縁部の近位側に位置付けられ、傾斜区分170の周囲の近位縁部が用具出口ポートの近位縁部の近位側に位置付けられるように、傾斜管腔138においてハブ124内に長手方向に位置付けられる。用具出口ポートの近位縁部及び/又は遠位縁部は、サンプリングニードルなどの用具がより容易に退出するのを促進するために、角度をなしてもよい(即ち、ハブ124の長手方向軸線に垂直ではない)。傾斜装置140は、成形/機械加工された金属又はプラスチックで作製されてもよい。
【0029】
図15~
図17にて示すように、シース122は、プローブ管腔182及び用具管腔184を含む。用具ライナ180は、用具管腔184を取り囲んでいる。用具ライナ180は、シース122の遠位表面を越えて延在する。傾斜装置140の近位区分172は、用具ライナ180の外径と同じか又はそれよりも大きい内径を有する。用具ライナ180は、傾斜装置140の近位区分172によって受容され、圧力/スナップ嵌め、接着剤、又は何らかのその他の手段のうちの1つによってそこへと固定される。
【0030】
一実施形態では、オーバースリーブ材料(例えば、Pebax(登録商標))130が、ハブ124の近位レリーフ/フランジ部分及びシース122の遠位レリーフ/フランジ部分の上に適用される(即ち、熱源(例えば、レーザー)を介して熱的にリフローされる)。一実施形態では、シース122の遠位端部とハブ124の近位端部との間に間隙が含まれる。これにより、先端部120とシース122との間の柔軟性が増大する。遠位のオーバースリーブ又は超音波窓部132が、配向ピン128上のオーバースリーブ130と同様の方法で、遠位先端部126の近位レリーフ/フランジ区分、及びハブ124の遠位レリーフ/フランジ区分に適用される。オーバースリーブ130、132は、レリーフ/フランジ区分に接着及び/又は熱リフロー接合されてもよい。配向ピン128は、ハブ124から近位方向に延在し、構成要素間のより高い剛性を提供するために、シース122内の受容空洞内へと延在してもよい。
【0031】
図10~
図17にて示す実施形態とは異なり、
図18にて示すように、遠位先端部198及び近位ハブ195は、主に、配向ピン194と、シース200の用具管腔(即ち、ニードルライナ)から延在する傾斜部196と、シース200のプローブ管腔から延在するプローブ(即ち、超音波)管腔197と、を収容する、射出成形材料192によって主に形成される。傾斜部196は、ニードルライナの遠位端部から形成されてもよい。リフローされた材料192は、配向ピン194、超音波ライナ197、及び傾斜部196の支持部を形成するように成形/形成される。リフローされた材料192はまた、
図10のキャップ126と同様の形状の遠位キャップ198を形成する。
【0032】
図19に示すように、遠位先端部204は、ハブ206と、ハブ206とキャップ208との間の第1の熱リフロー材料210によって部分的に取り囲まれた遠位キャップ208と、ハブ206とシース200との間の第2の熱リフロー材料212と、を含む。ハブ206は、シース200の用具管腔から延在する傾斜部214を支持する。ハブ206はまた、シース200のプローブ管腔から延在するライナを支持してもよい。ピンはハブ206とキャップ208との間を接続し、材料210によって取り囲まれる。ハブ206及び/又はキャップ208は、オーバースリーブ材料210、212内へとインサート成形される。
【0033】
図20にて示すように、遠位先端部220は、単一の熱リフロー材料224がハブ222上の遠位キャップ226からシース200まで延在することを可能にするために、ハブ222の外径が低減されていることを除いて、
図19に示す遠位先端部204に類似している。縁部228は出口ポートを取り囲んでいる。縁部228は、ハブ222の中心線からハブ222の残部よりも大きい半径を有する。ハブ222は、シース200の用具チャネルから延在する傾斜部230を支持する。
【0034】
図21は、傾斜装置がシース200から延在しないことを除いて、
図19に示す遠位先端部204と類似した遠位先端部236を示す。傾斜機構238は、ハブ240へと形成又は機械加工される。
【0035】
図22は、傾斜装置がシース200から延在しないことを除いて、
図20に示す遠位先端部220と類似した遠位先端部250を示す。傾斜機構252は、ハブ254へと形成又は機械加工される。
【0036】
図23は、シース319に取り付けられた例示的な遠位先端部318のX線図を示す。遠位先端部318は、
図10~
図17に示す遠位先端部120と類似している。遠位先端部318は、ハブ320、遠位先端部350、及び一対の配向ピン352を含む。ピン352は、遠位先端部350とハブ320との間に取り付けられて、超音波プローブを受容するための空間を画定する。ハブ320は、プローブ管腔322と、傾斜装置340を受容する用具管腔324とを含む。
図23~
図27にて示すように、傾斜装置340は、近位中空区分342、遠位端部344、傾斜区分346、及び遠位突出部348を含む。遠位突出部348は、傾斜装置340のその他の区分と一体である、又は傾斜装置340の遠位区分344内の空洞内に取り付けられた別個の部品である。
【0037】
ハブ320は、用具管腔324の出口ポートである用具窓部326を含む。用具管腔324は、より小さい突出管腔330に遠位に移行する。傾斜装置340は、遠位突出部346が管腔330内に受容された状態で用具管腔324内に受容される。
【0038】
図28は、ニードル404を摺動可能に収容するための、遠位端部に傾斜を有する第1の管腔を有する二重管腔シース400の、側面X線図を示す。二重管腔シース400は、シース400の遠位端部に開いている第2の管腔を含む。第2の管腔は、ラジアル式超音波プローブ402を摺動可能に受容する。柔軟バルーン410は、シース400の外側に、第1の管腔の傾斜区分から直近位に位置する。バルーン410には、第3の管腔(図示せず)が設けられている。
【0039】
最初に、シース400を標的408に隣接する気道406内へと前進させた後、バルーン410は、気道406を封止するために膨張される。次に、流体(例えば、生理食塩水)424又は超音波信号を伝播する別の材料が、ニードル404により、シース400の第1の管腔又は第2の管腔を介して気道406内へと挿入される。ここで、超音波プローブ402は、シース400の遠位端部を越えて前進する。流体424は、遮断バルーン410によって気道406内に保持されるため、超音波信号412は標的408に伝播することができる。
【0040】
開示される技術の更なる態様は、シースに取り付けられるように構成されている管腔内先端部を作製する方法に関する。本方法は、成形又は機械加工によって、それぞれ第1の複数の通路及び第2の複数の通路を有する傾斜ドーナツ部及び先端ドーナツ部を形成することを含む。次に、複数の通路を介して配向ピンを挿入する。傾斜機構は、傾斜機構の移動を安定させるために、傾斜ドーナツ部の傾斜管腔内へと挿入される。次に、先端部は、傾斜機構を介してシースの機構に取り付けられる。マンドレル(図示せず)を使用して、熱可塑性エラストマー材料を、それぞれの傾斜ドーナツ部及び先端ドーナツ部の少なくとも一部、配向ピン、マンドレルの少なくとも一部、並びにシースの少なくとも一部上に形成することにより、細長いスリーブを作成する。次に、超音波プローブを、傾斜ドーナツ部の第1の複数の通路のうちの1つを介して挿入し、先端ドーナツ部の第2の複数の通路のうちの1つを介して超音波ゲルを注入し、挿入された超音波プローブのための底打点を提供するが、これは、超音波ゲルが漏れ出ることを防止するように、先端ドーナツ部の第2の複数の通路のうちの1つを塞ぐ。
【0041】
A.それぞれの近位端部及び遠位端部を有する、医療システムで使用される細長いアクセス装置であり、医療用具及びその中に配置された超音波プローブを有する細長いアクセス装置であって、細長いアクセス装置の遠位端部が、シースであって、超音波プローブを受容するように構成されている第1の管腔と、医療用具を受容するように構成されている第2の管腔と、シースの遠位表面を越えて延在するように構成されている管腔ライナと、シースに取り付けられるように構成されている先端部であって、少なくとも1つの連結装置と、プローブ管腔及び傾斜管腔を備えるハブと、ノーズ装置と、傾斜管腔内に受容されるように構成され、管腔ライナの少なくとも一部分を受容するように構成されている傾斜装置と、を備える先端部と、を備えるシースと、を含む、細長いアクセス装置。
【0042】
B.傾斜装置が、管腔を備える近位端部と、遠位端部と、近位端部と遠位端部との間に位置する傾斜区分と、を備え、傾斜区分が、出口ポートと、近位端部の管腔と流体連通している傾斜部と、を備える、Aに記載の装置。
【0043】
C.ハブが、近位端部と、遠位端部と、傾斜管腔に隣接するハブの近位端部と遠位端部との間に位置する出口ポートと、を備える、A又はBに記載の装置。
【0044】
D.傾斜管腔が、傾斜装置の近位端部及び傾斜区分を受容するように構成されている第1の管腔と、傾斜装置の遠位端部を受容するように構成されている第2の管腔と、を備える、Cに記載の装置。
【0045】
E.第2の管腔内に受容された傾斜装置の遠位端部が、ハブに対する傾斜装置の移動を制限する、Dに記載の装置。
【0046】
F.傾斜装置の遠位端部及び第2の管腔が楕円形の断面構成を有する、Eに記載の装置。
【0047】
G.ハブが、近位区分及び遠位区分を有する近位端部(近位区分が遠位区分の外径よりも小さい外径を有する)と、近位区分及び遠位区分を有する遠位端部(遠位区分が近位区分の外径よりも小さい外径を有する)と、を備える、A~Fのいずれかに記載の装置。
【0048】
H.ノーズ装置が、近位区分と、遠位区分と、ノーズ装置の近位区分と遠位区分との間に位置する中央区分と、を備え、近位区分が、中央区分の外径よりも小さい外径を有する、Gに記載の装置。
【0049】
I.シースが近位区分と遠位区分とを備え、遠位区分が、近位区分の外径よりも小さい外径を有する、Hに記載の装置。
【0050】
J.少なくとも1つの連結装置が、近位オーバースリーブと遠位オーバースリーブとを備え、近位オーバースリーブが、シースの遠位区分及びハブの近位端部の近位区分に、接着、インサート成形、又は熱結合の内の少なくとも1つを施されることであり、遠位オーバースリーブが、ハブの遠位端部の遠位区分及びノーズ装置の近位区分に、接着、インサート成形、又は熱結合の内の少なくとも1つを施されることである、Iに記載の装置。
【0051】
K.ノーズ装置の遠位区分が、非外傷性組織相互作用のために丸みを帯びている、H~Jのいずれかに記載の装置。
【0052】
L.ノーズ装置が、長手方向軸線を有し、超音波ゲルを受容するように構成されているポートを備える、H~Kのいずれかに記載の装置。
【0053】
M.ノーズ装置が、超音波プローブの遠位端部と適合するように構成されている近位表面を備える、H~Lのいずれかに記載の装置。
【0054】
N.ノーズ装置及び少なくとも1つのオーバースリーブがモノリシック材料を形成する、A~Mのいずれかに記載の装置。
【0055】
O.先端部が、ハブ及びノーズ装置と係合されるように構成されており、少なくとも1つのオーバースリーブによって少なくとも部分的に包み込まれている、1つ以上の配向ピンを更に備える、A~Nのいずれかに記載の装置。
【0056】
P.医療用装置であって、シースであって、撮像装置を受容するように構成されている第1の管腔と、医療用具を受容するように構成されている第2の管腔と、シースの遠位表面を越えて延在するように構成されている管腔ライナと、シースに取り付けられるように構成されている先端部であって、少なくとも1つのオーバースリーブと、ハブであって、近位端部と、遠位端部と、傾斜管腔と、傾斜管腔に隣接するハブの近位端部と遠位端部との間に位置する出口ポートと、プローブ管腔と、を備えるハブと、ノーズ装置と、傾斜管腔内に受容されるように構成され、管腔ライナの少なくとも一部分を受容するように構成されている傾斜装置であって、管腔を備える近位端部と、遠位端部と、傾斜装置の近位端部と遠位端部との間に位置する傾斜区分と、を備える傾斜装置(傾斜区分は、出口ポートと、近位端部の管腔と流体連通している傾斜部と、を備える)と、を備える先端部と、を備えるシースと、を備える、医療用装置。
【0057】
Q.傾斜管腔が、傾斜装置の近位端部及び傾斜区分を受容するように構成されている第1の管腔と、傾斜装置の遠位端部を受容し、ハブに対する傾斜装置の移動を制限するように構成されている第2の管腔と、を備える、Pに記載の医療用装置。
【0058】
R.傾斜装置の遠位端部及び第2の管腔が楕円形の断面構成を有する、Qに記載の医療用装置。
【0059】
S.ハブが、近位区分及び遠位区分を有する近位端部(近位区分は、遠位区分の外径よりも小さい外径を有する)と、近位区分及び遠位区分を有する遠位端部(遠位区分は、近位区分の外径よりも小さい外径を有する)と、を備え、ノーズ装置が、近位区分と、遠位区分と、ノーズ装置の近位区分と遠位区分との間に位置する中央区分と、を備え、ノーズ装置の近位区分が、中央区分の外径よりも小さい外径を有し、シースが、近位区分と遠位区分と、を備え、遠位区分が、近位区分の外径よりも小さい外径を有し、少なくとも1つのオーバースリーブが、近位オーバースリーブと遠位オーバースリーブと、を備え、近位オーバースリーブが、シースの遠位区分及びハブの近位端部の近位区分に、接着又は熱結合の内の少なくとも1つを施されることであり、遠位オーバースリーブが、ハブの遠位端部の遠位区分及びノーズ装置の近位区分に、接着又は熱結合の内の少なくとも1つを施されることであり、P~Rのいずれかに記載の医療用装置。
【0060】
T.先端部が、ハブ及びノーズ装置と係合されるように構成され、少なくとも1つのオーバースリーブによって少なくとも部分的に包み込まれている、1つ以上の配向ピンを更に備える、P~Sのいずれかに記載の医療用装置。
【0061】
開示された技術の種々の実施形態が上述されてきたが、それらは単なる例として提示されており、限定するものではない、と理解すべきである。同様に、種々の図は、開示された技術のための例示的な構成又はその他の構成を示してもよく、これは、開示された技術に含まれ得る特徴及び機能を理解する助けとなる。開示された技術は、例示された例示的な実施例の構造又は構成に限定されないが、所望の特徴は、種々の代替的な構造及び構成を使用して実施することができる。実際に、本明細書にて開示された技術の所望の特徴を実施するために、代替の機能的、論理的、又は物理的分配及び構成をどのように実施することができるかが、当業者には明らかであろう。また、本明細書にて示されるもの以外の多数の異なる構成部品名を、種々の部品に適用することができる。更に、流れ図、動作説明、及び請求の方法に関して、本明細書に記載される工程が提示される順序は、文脈がそうでない旨を指示しない限り、種々の実施形態が、列挙された機能を同じ順序で実行するために実施されることは必須ではない。
【0062】
開示された技術は、種々の例示的な実施形態及び実施に関して上述されているが、個々の実施形態のうちの1つ以上に記載されている種々の特徴、態様、及び機能は、それらが説明される特定の実施形態へのそれらの適用性に限定されないことを理解するべきであるものの、このような実施形態が記載されているか否か、及びこのような特徴が記載された実施形態の一部として提示されているか否かにかかわらず、開示された技術のその他の実施形態のうちの1つ以上に、単独で又は種々の組み合わせで適用することができる。したがって、本明細書にて開示された技術の広さ及び範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれかによっても限定されるべきではない。
【0063】
本明細書で使用される用語及び語句、並びにその変形形態は、特に明示的に記載されない限り、制限とは対照的に、オープンエンドとして解釈されるべきである。前述の例として、用語「含む(including)」は、「限定することなく、含む」等を意味するものとして読まれるべきである。用語「実施例(example)」は、説明中の項目の例示的な事例を提供するために使用されるが、網羅的ではない、又はその列挙を限定するものではなく、用語「a」又は「an」は、「少なくとも1つ(at least one)」、「1つ以上の(one or more)」などを意味するものとして読まれるべきであり、「従来の(conventional)」、「伝統的な(traditional)」、「通常の(normal)」、「標準的な(standard)」、「周知の(known)」、及び同様の意味の用語は、所与の時間に記載される項目、又は所与の時間として利用可能な項目に限定するものとして解釈されるべきではないが、その代わりに、現在又は将来の任意の時点で利用可能又は周知であり得る、従来の、伝統的な、通常の、又は標準的な技術を包含するように読まれるべきである。同様に、本文書が、当業者には明らかである又は周知である技術を意味する場合、このような技術は、現在又は将来の任意の時点において、当業者には明らかである又は周知の技術を包含する。
【0064】
場合によっては、「1つ以上(one or more)」、「少なくとも(at least)」、「これらに限定されない(but not limited to)」、又はその他の同様の語句などの広範化された単語及び語句の存在は、このような広範化された語句が存在しない場合に、状況によってより狭い場合が意図される、又は必要とされる、と意味するように読まれるべきではない。
【符号の説明】
【0065】
120 遠位先端部
122 シース
124 近位ハブ
128 配向ピン
126 遠位キャップ
152 管腔
162 管腔
164 傾斜係止管腔
21 先端部
22 超音波プローブ
26 配向ピン
28 スリーブ
29 開口部/ポート
30 医療用装置
32 シース
33a、33b、33c、33d 管腔
34 傾斜ドーナツ部
36 先端ドーナツ部
38a、38b、38c 通路
40a、40b、40c 通路
42 傾斜溝
70 空洞
72 スリット
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部及び遠位端部を有し、医療システムで使用される細長いアクセス装置であって、該細長いアクセス装置がサンプリングニードル及びその中に配置された超音波プローブを有し、前記細長いアクセス装置が、 前記サンプリングニードルを受容するように構成された用具管腔及びプローブ管腔を備えるシースと、
前記シースの遠位端上に配置された先端部であって、
少なくとも1つの連結装置と、
ハブであって、前記シースのプローブ管腔を延在している超音波プローブ管腔と、前記シースの用具管腔を延在している傾斜管腔と、を備えるハブと、
超音波プローブを取り囲んでいるノーズ装置と、
前記傾斜管腔内に配置され、前記サンプリングニードルを前記ハブの側壁の出口ポートから導くように構成されている傾斜装置と、
を備える先端部と、
を備える、細長いアクセス装置。
【請求項2】
前記超音波プローブの少なくとも遠位部がオーバースリーブで覆われている、請求項1に記載の細長いアクセス装置。
【請求項3】
前記オーバースリーブが前記シースの遠位部から前記ノーズ装置に亘って延在している、請求項2に記載の細長いアクセス装置。
【請求項4】
前記ノーズ装置が、前記超音波プローブの視野内に位置決めされた少なくとも1つの配向ピンを備えている、請求項1に記載の細長いアクセス装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの配向ピンが前記ハブに接着されている、請求項4に記載の細長いアクセス装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの配向ピンがオーバースリーブによって覆われている、請求項4に記載の細長いアクセス装置。
【請求項7】
前記ノーズ装置が、超音波ゲルを受容するように適合された管腔を備え、前記超音波プローブを取り囲んでいる、請求項1に記載の細長いアクセス装置。
【請求項8】
前記傾斜装置が、
傾斜管腔を備えた近位端部と、
遠位端部と、
前記近位端部と前記遠位端部との間に位置している傾斜区分であって、該傾斜区分が、出口ポートと、前記近位端部の前記傾斜管腔と流体連通している傾斜部と、を備えた傾斜区分と、
を備えている、請求項1に記載の細長いアクセス装置。
【請求項9】
前記ハブが、
近位区分及び遠位区分を有する近位端部であって、前記近位区分が、前記遠位区分の外径よりも小さい外径を有する、近位端部と、
近位区分及び遠位区分を有する遠位端部であって、前記遠位区分が、前記近位区分の外径よりも小さい外径を有する、遠位端部と、
を備えている、請求項1に記載の細長いアクセス装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの連結装置が、近位オーバースリーブ及び遠位オーバースリーブを備え、
前記近位オーバースリーブが、前記シースの前記遠位区分及び前記ハブの前記近位端部の前記近位区分に、接着、インサート成形、又は熱結合の内の少なくとも1つを施されることであり、
前記遠位オーバースリーブが、前記ハブの前記遠位端部の前記遠位区分及び前記ノーズ装置の前記近位区分に、接着、インサート成形、又は熱結合の内の少なくとも1つを施されることである、請求項9に記載の細長いアクセス装置。
【請求項11】
前記ノーズ装置の前記遠位区分が、非外傷性組織の相互作用のために丸みを帯びている、請求項9に記載の細長いアクセス装置。
【請求項12】
前記ノーズ装置が、長手方向軸線を有し、超音波ゲルを受容するように構成されているポートを備えている、請求項11に記載の細長いアクセス装置。
【請求項13】
前記ノーズ装置が、前記超音波プローブの遠位端部と適合するように構成されている近位表面を備えている、請求項11に記載の細長いアクセス装置。
【請求項14】
前記先端部が、
前記ハブ及び前記ノーズ装置と係合されるように構成されている1つ以上の配向ピンであって、少なくとも1つのオーバースリーブによって少なくとも部分的に包み込まれている配向ピンを更に備える、請求項1に記載の細長いアクセス装置。
【請求項15】
医療用装置であって、
シースであって、
撮像装置を受容するように構成されている第1の管腔と、
サンプリングニードルを受容するように構成されている第2の管腔と、を備えているシースと、
該シースに取り付けられるように構成されている先端部であって、
少なくとも1つのオーバースリーブと、
ハブであって、
近位端部と、
遠位端部と、
傾斜装置と、
該傾斜装置に隣接する前記ハブの前記近位端部と前記遠位端部との間に位置する出口ポートと、
プローブ管腔と、を備えている、ハブと、
ノーズ装置と、
を備え、
前記傾斜装置が、
管腔を備える近位端部と、
遠位端部と、
前記傾斜装置の前記近位端部と前記遠位端部との間に位置する傾斜区分と、を備え、前記傾斜区分が、出口ポートと、前記近位端部の前記管腔と流体連通している傾斜部と、を備えている、先端部と、
前記第1の管腔及び前記第2の管腔を通って延在し、前記ノーズ装置に至る、超音波プローブと、
を備えている、医療用装置。
【請求項16】
前記シースが、該シースの遠位表面を越えて前記第2の管腔から延在するように構成された管腔ライナを備えている、請求項15に記載の医療用装置。
【請求項17】
前記傾斜装置が前記管腔ライナの少なくとも一部分を受容するように構成されている、請求項16に記載の医療用装置。
【請求項18】
前記先端部が、
前記ハブ及び前記ノーズ装置と係合されるように構成されている1つ以上の配向ピンであって、前記少なくとも1つのオーバースリーブによって少なくとも部分的に包み込まれている配向ピンを更に備えている、請求項15に記載の医療用装置。
【請求項19】
前記超音波プローブの少なくとも遠位部が前記少なくとも1つのオーバースリーブで覆われている、請求項15に記載の医療用装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのオーバースリーブが前記シースの遠位部から前記ノーズ装置に亘って延在している、請求項15に記載の医療用装置。
【外国語明細書】