(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009638
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】潜熱回収型燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20240116BHJP
F24H 9/16 20220101ALI20240116BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20240116BHJP
F24H 15/246 20220101ALI20240116BHJP
F24H 15/30 20220101ALI20240116BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20240116BHJP
F23L 17/14 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
F24H9/00 B
F24H9/16 E
F24H15/10
F24H15/246
F24H15/30
F24H1/14 B
F23L17/14 L
F23L17/14 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111315
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】及川 諒弥
(72)【発明者】
【氏名】小島 輝明
(72)【発明者】
【氏名】阿部 進
(72)【発明者】
【氏名】内山 高志
(72)【発明者】
【氏名】星野 健太
【テーマコード(参考)】
3L034
3L036
【Fターム(参考)】
3L034BA25
3L036AA12
3L036AA15
(57)【要約】
【課題】ドレン水に含まれる煤や油分の影響を受けにくい安定した霧化手段を有する潜熱回収型燃焼装置を提供する。
【解決手段】潜熱回収用熱交換器を有する燃焼装置であって、潜熱回収用熱交換器で生じたドレン水を貯留するドレン水タンク39と、このドレン水を超音波振動で霧化する霧化ユニット40と、ドレン水タンク39をドレン水が流入する第1槽91と霧化ユニット40が配置される第2槽92に仕切る仕切壁(80)と、第1槽91と第2槽92を連通する導入口82と、第1槽91のドレン水の水位の変動に追従して上昇下降するフロート81と、フロート81の上昇下降に伴って導入口82を開閉する開閉手段88とを備え、霧化ユニット40と導入口82はフロート81より下方側に配置した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜熱回収用熱交換器を有する燃焼装置であって、
前記潜熱回収用熱交換器で生じたドレン水が通過するドレン流入口と、
前記ドレン流入口と連通し前記ドレン水を貯留するドレン水タンクと、
前記ドレン水タンク内の前記ドレン水を超音波振動で霧化する霧化ユニットと、
前記ドレン水タンクを前記ドレン流入口からの前記ドレン水が流入する第1槽と前記霧化ユニットが配置される第2槽に仕切る仕切壁と、
前記第1槽と前記第2槽を連通する導入口と、
前記第1槽の前記ドレン水の水位の変動に追従して上昇下降するフロートと、
前記フロートの上昇下降に伴って前記導入口を開閉する開閉手段と、
を備え、
前記霧化ユニットは前記フロートより下方側に配置し、
前記導入口は前記フロートより下方側に配置した
ことを特徴とする潜熱回収型燃焼装置。
【請求項2】
前記第2槽は前記仕切壁を有底筒状に形成した容器によって前記第1槽と仕切られ、
前記霧化ユニットは前記容器に固定され、
前記ドレン水タンクは、
前記容器の上下方向を規制し前記ドレン水の水位に応じ前記容器を上下方向に移動可能にする移動規制手段を有し、
前記フロートは前記容器の上部に備えられ、
前記フロートの上面は前記ドレン水の水面より上方側に位置し、
前記開閉手段は前記ドレン水タンクの底部に配置され、
前記導入口は前記開閉手段と対向する前記容器の底面に備えられている
ことを特徴とする請求項1に記載の潜熱回収型燃焼装置。
【請求項3】
燃料を燃焼して前記潜熱回収用熱交換器に燃焼ガスを排出する燃焼部と、
前記燃焼部の燃焼制御と前記霧化ユニットの駆動制御を行う制御部と、
を備え、
前記ドレン水タンクは、
前記ドレン水タンク内の水位の上限を検出する第1水位検知手段と、
前記ドレン水タンク内の水位の下限を検出する第2水位検知手段と、
を備え、
前記制御部は、
前記第2水位検知手段が水位の下限を検出しないとき、前記霧化ユニットを駆動させ、
前記第2水位検知手段が水位の下限を検出したとき、前記霧化ユニットの駆動を停止し、
前記第1水位検知手段が水位の上限を検出したとき、前記燃焼部の燃焼を停止させる
ことを特徴とする請求項2に記載の潜熱回収型燃焼装置。
【請求項4】
前記移動規制手段は、前記ドレン水タンクのタンク側壁に垂直方向に延設され、前記タンク側壁より内側方向に張り出した複数のビードであり、
前記ビードの高さは、内側の前記仕切壁に接しない高さに形成した
ことを特徴とする請求項2または3に記載の潜熱回収型燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用の潜熱回収型燃焼装置に関し、特にドレン水を超音波発生器で霧化する潜熱回収型給湯機などの潜熱回収型燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、潜熱回収型給湯機は、二次熱交換器にて高温の燃焼ガスが受熱管内の水によって冷却され、燃焼ガス中の水蒸気は酸性の結露水となるため、酸性結露水を中和器へと導き、中和剤によって中和した上で、装置外へと排水していた。
そのため、非潜熱回収型給湯機から潜熱回収型給湯機への入れ替えに時に排水設備の配管工事等の施工工事が必要となっていた。
そこで、従来から特許文献1に示すような、中和後のドレン水を霧化手段によって霧化することで、配管工事等の施工工事が不要となる潜熱回収型給湯機が考案されていた。
特許文献1に示す潜熱回収型給湯機では、霧化したドレン水を超音波により霧化させ、これを燃焼用の送風ファンからの送風により機外に放出することが提案されている。
特許文献1によれば、ドレン回収手段(11)の内側下部に超音波振動子(23)を備えて、ドレン水を貯留するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に潜熱回収用熱交換器から発生するドレン水は、ガスや灯油を燃焼させた燃焼ガスが熱を失って凝縮したものであるため、ドレン水の中には煤や未燃油が混入することがある。ドレン水に煤や未燃油などの油分が混入すると、ドレン水の水面に煤や油膜が形成されたり、超音波振動子(23)の表面に煤や油分が付着して、超音波振動子(23)による霧化能力が低下するという問題を抱えていた。
【0005】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、ドレン水の排水のための配管設備が不要となり、ドレン水タンクに煤や油分が混入した場合も、霧化能力を低下させることなく、安定した霧化が可能な潜熱回収型燃焼装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1では、潜熱回収用熱交換器を有する燃焼装置であって、前記潜熱回収用熱交換器で生じたドレン水が通過するドレン流入口と、前記ドレン流入口と連通し前記ドレン水を貯留するドレン水タンクと、前記ドレン水タンク内の前記ドレン水を超音波振動で霧化する霧化ユニットと、前記ドレン水タンクを前記ドレン流入口からの前記ドレン水が流入する第1槽と前記霧化ユニットが配置される第2槽に仕切る仕切壁と、前記第1槽と前記第2槽を連通する導入口と、前記第1槽の前記ドレン水の水位の変動に追従して上昇下降するフロートと、前記フロートの上昇下降に伴って前記導入口を開閉する開閉手段と、を備え、前記霧化ユニットは前記フロートより下方側に配置し、前記導入口は前記フロートより下方側に配置したことを特徴とした。
【0007】
請求項2では、前記第2槽は前記仕切壁を有底筒状に形成した容器によって前記第1槽と仕切られ、前記霧化ユニットは前記容器に固定され、前記ドレン水タンクは、前記容器の上下方向を規制し前記ドレン水の水位に応じ前記容器を上下方向に移動可能にする移動規制手段を有し、前記フロートは前記容器の上部に備えられ、前記フロートの上面は前記ドレン水の水面より上方側に位置し、前記開閉手段は前記ドレン水タンクの底部に配置され、前記導入口は前記開閉手段と対向する前記容器の底面に備えられていることを特徴とした。
【0008】
請求項3では、燃料を燃焼して前記潜熱回収用熱交換器に燃焼ガスを排出する燃焼部と、前記燃焼部の燃焼制御と前記霧化ユニットの駆動制御を行う制御部と、を備え、前記ドレン水タンクは、前記ドレン水タンク内の水位の上限を検出する第1水位検知手段と、前記ドレン水タンク内の水位の下限を検出する第2水位検知手段と、を備え、前記制御部は、前記第2水位検知手段が水位の下限を検出しないとき、前記霧化ユニットを駆動させ、前記第2水位検知手段が水位の下限を検出したとき、前記霧化ユニットの駆動を停止し、前記第1水位検知手段が水位の上限を検出したとき、前記燃焼部の燃焼を停止させることを特徴とした。
【0009】
請求項4では、前記移動規制手段は、前記ドレン水タンクのタンク側壁に垂直方向に延設され、前記タンク側壁より内側方向に張り出した複数のビードであり、前記ビードの高さは、内側の前記仕切壁に接しない高さに形成したことを特徴とした。
【発明の効果】
【0010】
この本発明によれば、ドレン水の排水のための配管設備が不要となり、貯留したドレン水に含まれる煤や油分の影響を受けにくい安定した霧化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態を説明する潜熱回収型燃焼装置の概略構成図
【
図2】本発明の第1の実施形態のドレン水タンクの斜視図
【
図3】本発明の第1の実施形態をドレン水タンクのA-A端面図
【
図4】本発明の第1の実施形態を説明する要部ブロック図
【
図5】本発明の第1の実施形態を説明するフローチャート
【
図6】本発明の第1の実施形態の作動を説明するための説明図
【
図7】本発明の第2の実施形態のドレン水タンクの概略構成図
【
図8】本発明の第2の実施形態の作動を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかる潜熱回収用熱交換器を備えた給湯機の第1の実施形態を
図1を参照して説明する。
【0013】
1は、第1の実施形態の潜熱回収型給湯機で、上向きに火炎を形成する燃焼部8を備える給湯機である。
具体的には、13は燃焼用ファンで、該燃焼用ファン13から送風される送風空気が、空気流路部30を通過して、排気出口49から排出されるものである。
空気流路部30には、後述する燃焼部8,燃焼室19、一次熱交換器25、潜熱回収用熱交換器である二次熱交換器27、霧化気流路41、合流部46が備わる。
【0014】
燃焼部8は、石油等の燃油を燃焼させるものであり、9は、燃焼部8に送油管10を介して燃油を圧送する燃料ポンプである。燃焼部8で燃焼される一次空気と二次空気は燃焼用ファン13によって供給される。
【0015】
燃焼部8の燃焼ガスの下流側に一次熱交換器25が配設され、一次熱交換器25の下流に二次熱交換器27が配設されているものであり、一次熱交換器25、二次熱交換器27の順に通過した燃焼ガスは、燃焼排気路35と、合流部46とを経由して排気出口49より潜熱回収型給湯機1の外に排気されるものである。
【0016】
一次熱交換器25は、燃焼室19内に収容された顕熱熱交換器であり、燃焼部8の燃焼により発生した燃焼ガスから顕熱を回収し一次受熱管24を流通する被加熱流体を加熱するフィンチューブ式で構成されている。
【0017】
二次熱交換器27は、一次熱交換器25を通過した後の燃焼ガスから潜熱を回収し受熱管26を流通する被加熱流体を加熱するものである。
二次熱交換器27の下方には、受熱管26の表面に発生して滴下した結露水を導くため、傾斜した底板29が備えられ、該底板29によって結露水を、二次熱交換器27の下方に備えたU字管路33に誘導し、結露水流路32へと導くようになっている。
【0018】
底板29によって導かれた結露水は、結露水流路32を介して、結露水流路32と連通し炭酸カルシウムを主成分とする中和剤を備えた中和器37にて中和され、ドレン水流路38を介し、ドレン流入口38aを経て、ドレン水流路38と連通するドレン水タンク39へ貯留される。
【0019】
ドレン水タンク39には、図示しないリード線を介して後述する制御部60と信号接続された霧化ユニット40が備わる。霧化ユニット40は、ドレン水タンク39に貯留されたドレン水を霧化するものである。
ドレン水タンク39と合流部46との間に霧化気流路41が備わる。
【0020】
霧化ユニット40により霧化された霧化空気は、燃焼用ファン13の駆動により、霧化気流路41と、合流部46とを経て、排気出口49から装置外へ排気される。
【0021】
図2と
図3に示すように、霧化ユニット40は容器80に備えられた保持台80cに螺子等の締結部を介して固定される。
この容器80は、ドレン流入口38aからのドレン水が流入する第1槽91と霧化ユニット40が備えられた第2槽92を仕切る仕切壁(80)を有底筒状に形成したものである。
容器80には、該容器80をドレン水の水位の変動に追従させるフロート81が備えられている。また、容器80の下部からドレン水を導入して霧化ユニット40をドレン水タンク39のドレン水に水没させるための導入口82を底面80aに備えている。導入口82は底面80aに開けられた円形の貫通穴であり、貫通穴の容器80の外側の直径は内側の直径より大きく形成してある。
さらに、霧化ユニット40はフロート81より下方側に保持してあり、フロート81の上面81aがドレン水の水面より上方側に配置されるようにしてある。
【0022】
ドレン水タンク39のタンク上面39cには、制御部60と信号接続された磁気検出型の第1水位検知手段84を備え、ドレン水タンク39の外側のタンク底面39aには、同じく制御部60と信号接続された磁気検出型の第2水位検知手段85を備える。
ドレン水タンク39の内側のタンク底面39dには、導入口82に対向する位置に、垂直断面が台形で上方に先細りとなる円錐形状のゴム製の開閉手段88を備える。開閉手段88は、導入口82と嵌合して容器80へのドレン水の流入出を阻止し、導入口82と離れて容器80へのドレン水の流入出を可能にするものである。
【0023】
容器80の上部には上部マグネット86が備えてあり、上部マグネット86が第1水位検知手段84に接近すると第1水位検知手段84の信号回路が開となって、ドレン水タンク39内のドレン水が満水位の状態であることを制御部60が検出できるようになっている。
また、容器80の底面80aには下部マグネット87が備えてあり、下部マグネット87が第2水位検知手段85に接近すると第2水位検知手段85の信号回路が開となって、ドレン水タンク39内のドレン水が低水位の状態であることを制御部60が検出できるようになっている。
【0024】
また、ドレン水タンク39のタンク側壁39bには、容器80の上下方向を規制し、ドレン水の水位に応じ容器80を上下方向に移動可能にする移動規制手段83を備えている。この移動規制手段83は、ドレン水タンク39の内側のタンク側壁39bに垂直方向に延設され、このタンク側壁39bより内側方向に張り出したビードによって形成されている。このビードの高さは、容器80に接しない程度の高さに形成されている。
【0025】
図2に示すように、容器80の外周には移動規制手段83であるビードに隣接する位置にわずかにすき間を開けてダボ形状の突起部83aを複数備えている。これは、容器80の周方向の移動を規制し、ドレン水タンク39に備えた第1水位検知手段84と容器80に備えた上部マグネット86が、同じくドレン水タンク39に備えた第2水位検知手段85と容器80に備えた下部マグネット87が、正しく接近するように、容器80に設けたものである。
【0026】
図4に示すように、制御部60は、燃焼用ファン13と燃料ポンプ9の駆動を制御して燃焼部8の燃焼の制御を行う燃焼制御部62と、霧化ユニット40の駆動制御を行う霧化制御部63とを備えるマイコンからなり、入力側には給水管21の流量検知手段23と、第1水位検知手段84と、第2水位検知手段85が接続され、出力側には燃焼部8に備わる図示しない点火プラグ、燃焼用ファン13、燃料ポンプ9、霧化ユニット40が接続されている。
また、制御部60と操作部71とが通信可能に接続されている。
【0027】
次に、第1の実施形態の作動について説明する。
【0028】
制御部60は、給湯管22に連通した図示しない給湯栓が開栓され、流量検知手段23が被加熱流体の流通を検出すると、図示しない点火プラグの放電と、燃料ポンプ9の駆動により燃焼部8で燃油が点火され、燃焼用ファン13の駆動により燃焼を開始する。燃焼が開始されると、燃料ポンプ9と図示しない油比例弁による要求熱量に合わせた必要な噴霧油量の燃料供給と燃焼用ファン13により、適切な空燃比を保ちながら燃焼部8に燃焼火炎が形成される。
【0029】
燃焼による燃焼ガスは、一次熱交換器25の一次受熱管24を加熱して、一次受熱管24を流通する被加熱流体を加熱する。さらに燃焼ガスは、一次熱交換器25を通過した後、燃焼ガスから潜熱を回収し受熱管26を流通する被加熱流体を加熱する。一次熱交換器25、二次熱交換器27の順に通過した燃焼ガスは、燃焼排気路35と合流部46を経由して排気出口49より潜熱回収型給湯機1の外に排気されるものである。
【0030】
燃焼中に二次熱交換器27の受熱管26の表面に発生した結露水は、滴下して傾斜した底板29によって結露水流路32へと導かれ、炭酸カルシウムを主成分とする中和剤を備えた中和器37にて中和され、ドレン水流路38を経由して、ドレン水タンク39へ貯留される。
ドレン水タンク39へ貯留されたドレン水は、霧化ユニット40によって霧化され、霧化気流路41を経由して排気出口49から器具外へ排出されるものである。
【0031】
次に、本実施形態の制御処理を
図5と
図6に基づいて説明する。
【0032】
使用者により給湯要求が発生すると、潜熱回収型給湯機1が燃焼を開始して、二次熱交換器27でドレン水が発生し、中和器37を経由してドレン水タンク39にドレン水が貯留されるようになる。
【0033】
ドレン水タンク39に流入したドレン水は、ドレン水タンク39のタンク底面に位置する容器80の外周に貯留する。このとき、ドレン水には煤や油分が含まれることがあるが、この煤や油分は水分と分離してドレン水の上部に浮上する。
さらにドレン流入口38aからドレン水が流入すると、ドレン水に含まれていた煤や油分は引き続き容器80の側壁80bの外側の水面に煤や油膜となって浮遊して、ドレン水に含まれる水分は煤や油膜と分離されて下方側に貯留される。
【0034】
さらにドレン流入口38aからドレン水が流入すると、容器80の外側の水位が上昇し、この時点ではまだ空の容器80の浮力により容器80が上昇すると、容器80の下部に備えたドレン水を導入するための導入口82と開閉手段88とが離れ、導入口82からドレン水が容器80の内部に導入される。このとき、導入口82から容器80に流入するドレン水は、前述したドレン水に含まれる水分のみで、煤や油分は容器80内に流入しない。ドレン水が容器80の内部に導入されると、容器80の外側の水位と容器80の内側の水位が釣り合う(
図6(a))。
【0035】
この状態で、制御部60は、ステップS1で第1水位検知手段84が満水位を検出せず、かつ、ステップS2で第2水位検知手段85が低水位を検出する状態なので、ステップS3に遷移して霧化ユニット40を停止させ、ステップS1に遷移する。
【0036】
ドレン水がさらに貯留されて水位が上昇し、これに伴って容器80がフロート81の浮力によって水位に追従して上昇すると(
図6(b))、下部マグネット87も上昇するため、第2水位検知手段85は低水位を検知しなくなる。
これにより、制御部60は、ステップS2で低水位を検知しないためステップS6へ遷移し、ステップS6で霧化ユニット40を駆動する。
その結果、容器80内のドレン水が霧化され、霧化されたドレン水は燃焼用ファン13の駆動により空気流路部30を経て排気出口49より排出される。
【0037】
単位時間当たりのドレン水の発生量と、霧化ユニット40による単位時間当たりの霧化処理量とが拮抗している場合は、ドレン水タンク39の水面高さは
図6(b)の高さを維持する。
【0038】
一方、単位時間当たりのドレン水の発生量が、霧化ユニット40による単位時間当たりの霧化処理量より少ない場合、ドレン水タンク39の水面高さは
図6(a)の高さとなり、第2水位検知手段85が低水位を検知する状態となる。
これにより、制御部60は、再びステップS3に遷移し霧化ユニット40を停止する。
【0039】
他方、単位時間当たりのドレン水の発生量が、霧化ユニット40による単位時間当たりの霧化処理量より多い場合、ドレン水タンク39の水面高さはさらに上昇し、
図6(c)の高さとなり、上部マグネット86が第1水位検知手段84に接近し、第1水位検知手段84が満水位を検知する状態となる。
これにより、制御部60は、ステップS1で満水位を検知してステップS4へ遷移し、燃焼中であれば燃焼を停止し(ステップS5)、ステップS6で霧化ユニット40の駆動を継続する。
その結果、容器80内のドレン水が霧化され、霧化されたドレン水は燃焼用ファン13の駆動により空気流路部30を経て排気出口49より排出される。
【0040】
また、使用者により給湯要求が無い場合も、すなわち、燃焼が行われず二次熱交換器27でドレン水が発生していない場合も、ドレン水タンク39の水位に応じて霧化ユニット40を駆動し得るものであり、制御部60は、ステップS1からステップS6を通して、ドレン水の霧化処理を行うものである。
【0041】
これにより、ドレン水の排水のための配管設備が不要となり、ドレン水タンク39に煤や油分が混入した場合も、霧化能力を低下させることなく、安定した霧化が可能となるものである。
この結果、ドレン水を効果的に超音波振動により霧化することができるので、ドレン水の排水のための配管設備が不要となり、非潜熱回収型給湯機から潜熱回収型給湯機への入れ替えがスムーズにできるものである。
【0042】
本発明にかかる潜熱回収用熱交換器を備えた給湯機の第2の実施形態を
図7と
図8を参照して説明する。
なお、各図において、共通する構成要素や同種の構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0043】
図7の139は第2の実施形態の潜熱回収型給湯機100のドレン水タンクである。
【0044】
霧化ユニット40は、ドレン水タンク139に備えられた保持台80cに螺子等の締結部を介して固定されている。
80は、ドレン流入口38aからのドレン水が流入する第1槽91と霧化ユニット40を備える第2槽92を仕切る仕切壁(80)である。この仕切壁(80)の下部には、第1槽91と第2槽92を連通する導入口82を備える。
【0045】
第1槽91には、ドレン水の水位の変動に略追従させるフロート81が備えられており、このフロート81の上昇下降に連動して、軸89を介して導入口82の開閉を行う開閉手段88が備わる。
さらに、霧化ユニット40と導入口82はフロート81より下方側に設置してある。
この開閉手段88は、フロート81が上昇したとき、開閉手段88は導入口82を開口し、フロート81が下降して最下位に位置するとき開閉手段88が導入口82を閉口するものである。
【0046】
第2槽92には、前述した霧化ユニット40のほかに、それぞれドレン水タンク139の側壁に制御部60と信号接続された第1水位検知手段84と第2水位検知手段85を備える。第1水位検知手段84と第2水位検知手段85は、浮き子と一体型のフロートレベルスイッチであり、浮き子が水没すると信号回路が開となって、第1水位検知手段84では満水位を、第2水位検知手段85では低水位であることを制御部60が検出できるようになっている。
【0047】
次に、第2の実施形態の作動について説明する。
【0048】
使用者により給湯要求が発生すると、潜熱回収型給湯機100が燃焼を開始して、二次熱交換器27でドレン水が発生し、中和器37を経由してドレン水タンク139の第1槽91にドレン水が貯留されるようになる。
【0049】
ドレン水が第1槽91に流入すると、ドレン水の中には煤や油分が含まれることがあるが、第1槽91の中でこの煤や油分が水分と分離してドレン水の上部に浮上する。
さらにドレン流入口38aからドレン水が流入すると、フロート81がその浮力により上昇し、これに連動して開閉手段88がドレン水の水中で開口し、導入口82から第2槽92へドレン水が導入される。このとき、導入口82から第2槽92に流入するドレン水は、ドレン水に含まれる水分のみで、煤や油分は第2槽92内に流入しない(
図8(a))。
【0050】
この状態で、制御部60は、
図5のステップS1で第1水位検知手段84が満水位を検出せず、かつ、ステップS2で第2水位検知手段85が低水位を検出する状態なので、ステップS3に遷移して霧化ユニット40を停止させ、ステップS1に遷移する。
【0051】
ドレン水がさらに貯留されて水位が上昇し、これに伴ってフロート81がその浮力によって水位に追従して上昇すると(
図8(b))、第2水位検知手段85は低水位を検知しなくなる。
これにより、制御部60は、ステップS2で低水位を検知しないためステップS6へ遷移し、ステップS6で霧化ユニット40を駆動する。
その結果、第2槽92内のドレン水が霧化され、霧化されたドレン水は燃焼用ファン13の駆動により空気流路部30を経て排気出口49より排出される。
【0052】
単位時間当たりのドレン水の発生量と、霧化ユニット40による単位時間当たりの霧化処理量とが拮抗している場合は、ドレン水タンク139の水面高さは
図8(b)の高さを維持する。
【0053】
一方、単位時間当たりのドレン水の発生量が、霧化ユニット40による単位時間当たりの霧化処理量より少ない場合、ドレン水タンク139の水面高さは
図8(a)の高さとなり、第2水位検知手段85が低水位を検知する状態となる。
これにより、制御部60は、再びステップS3に遷移し霧化ユニット40を停止する。
【0054】
他方、単位時間当たりのドレン水の発生量が、霧化ユニット40による単位時間当たりの霧化処理量より多い場合、ドレン水タンク139の水面高さはさらに上昇し、
図8(c)の高さとなり、第1水位検知手段84が満水位を検知する状態となる。
これにより、制御部60は、ステップS1で満水位を検知してステップS4へ遷移し、燃焼中であれば燃焼を停止し(ステップS5)、ステップS6で霧化ユニット40の駆動を継続する。
その結果、第2槽92内のドレン水が霧化され、霧化されたドレン水は燃焼用ファン13の駆動により空気流路部30を経て排気出口49より排出される。
【0055】
また、使用者により給湯要求が無い場合も、すなわち、燃焼が行われず二次熱交換器27でドレン水が発生していない場合も、ドレン水タンク139の水位に応じて霧化ユニット40を駆動し得るものであり、制御部60は、ステップS1からステップS6を通して、ドレン水の霧化処理を行うものである。
【0056】
これにより、ドレン水の排水のための配管設備が不要となり、ドレン水タンク139に煤や油分が混入した場合も、霧化能力を低下させることなく、安定した霧化が可能となるものである。
この結果、ドレン水を効果的に超音波振動により霧化することができるので、ドレン水の排水のための配管設備が不要となり、非潜熱回収型給湯機から潜熱回収型給湯機への入れ替えがスムーズにできるものである。
【0057】
なお、第1の実施形態と第2の実施形態では、霧化ユニット40の駆動は第1水位検知手段84と第2水位検知手段85によって駆動と停止を行うようにし、第1水位検知手段84が満水位を検出した時に燃焼を停止するようにしたが、予め燃焼が停止したときにのみ、第1水位検知手段84と第2水位検知手段85によって霧化ユニット40の駆動と停止を行うようにしても良いものである。
【0058】
なお、第1水位検知手段84および第2水位検知手段85は、本実施形態ではマグネットタイプの磁気検出型の水位検知手段、または、浮き子を一体としたフロートレベルスイッチなどの水位検知手段を用いたが、2本の水位電極の導通によりドレン水の水位を検出する水位検知手段を用いてもよく、設計者が適宜判断してよいものである。
【0059】
なお、本実施形態は、潜熱回収型給湯機を用いて説明したが、潜熱回収型燃焼装置を備える温水暖房機に応用してもよいものである。
【0060】
なお、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
8 :燃焼部
38a :ドレン流入口
39、139 :ドレン水タンク
39b :タンク側壁
40 :霧化ユニット
60 :制御部
80 :容器
80a :底面
80b :側壁
81 :フロート
81a :上面
82 :導入口
83 :移動規制手段
84 :第1水位検知手段
85 :第2水位検知手段
88 :開閉手段
91 :第1槽
92 :第2槽