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特開2024-96387リードフレーム、リードフレームの製造方法及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096387
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】リードフレーム、リードフレームの製造方法及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
H01L23/50 R
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076162
(22)【出願日】2024-05-08
(62)【分割の表示】P 2020048164の分割
【原出願日】2020-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】永田 昌博
(72)【発明者】
【氏名】松尾 幸一
(72)【発明者】
【氏名】榊 真史
(57)【要約】
【課題】裏面側樹脂を有するリードフレームを用いて作製された半導体装置において、半導体装置の側面に向けて開口する凹部を容易に形成することが可能なリードフレームの製造方法を提供する。
【解決手段】リードフレーム10の製造方法は、金属基板31を準備する工程と、金属基板31の裏面側から厚み方向の途中までエッチングすることにより、裏面側凹部36を形成する工程と、周囲領域10bを含む裏面側の領域10cを露出した状態で、金属基板31の裏面側に裏面側樹脂18を形成し、裏面側樹脂18によって裏面側凹部36を覆う工程と、金属基板31の表面側から厚み方向の途中までエッチングする工程と、金属基板31の裏面側から厚み方向の途中までエッチングすることにより、周囲領域10bにパッケージ間凹部19を形成する工程と、裏面側樹脂18を所定の厚みだけ研磨する工程と、を備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームの製造方法において、
金属基板を準備する工程と、
前記金属基板の裏面側に裏面側凹部を形成する工程と、
パッケージ領域周囲の領域を含む前記金属基板の裏面側の領域が露出するように、前記金属基板の裏面側に裏面側樹脂を形成し、前記裏面側樹脂によって前記裏面側凹部を覆う工程と、
前記金属基板を表面側から薄肉化する工程と、
前記パッケージ領域周囲を前記金属基板の裏面側から薄肉化する工程と、
前記裏面側樹脂を所定の厚みだけ研磨する工程と、を備え、
前記パッケージ領域周囲を前記金属基板の裏面側から薄肉化する工程は、前記裏面側樹脂によって前記裏面側凹部を覆う工程よりも後の工程であり、かつ、前記裏面側樹脂を所定の厚みだけ研磨する工程よりも前の工程である、リードフレームの製造方法。
【請求項2】
前記金属基板を表面側から薄肉化する工程と、前記パッケージ領域周囲を前記金属基板の裏面側から薄肉化する工程とが、同時に行われる、請求項1記載のリードフレームの製造方法。
【請求項3】
前記裏面側凹部を形成する工程の後、前記金属基板の裏面側を粗化する工程が設けられている、請求項1又は2記載のリードフレームの製造方法。
【請求項4】
リードフレームの製造方法において、
金属基板を準備する工程と、
前記金属基板を表面側及び裏面側から薄肉化する工程と、
前記金属基板の表面側を被覆材で覆うとともに、パッケージ領域周囲の領域を含む前記金属基板の裏面側の領域が露出するように、前記金属基板の裏面側に裏面側樹脂を形成する工程と、
前記パッケージ領域周囲を前記金属基板の裏面側から薄肉化する工程と、
前記裏面側樹脂を所定の厚みだけ研磨する工程と、を備え、
前記パッケージ領域周囲を前記金属基板の裏面側から薄肉化する工程は、前記裏面側樹脂を形成する工程よりも後の工程であり、かつ、前記裏面側樹脂を所定の厚みだけ研磨する工程よりも前の工程である、リードフレームの製造方法。
【請求項5】
前記裏面側樹脂の表面は、前記金属基板の表面と同一平面上に位置する、請求項4記載のリードフレームの製造方法。
【請求項6】
前記金属基板を表面側及び裏面側から薄肉化する工程の後、前記金属基板の裏面側を粗化する工程が設けられている、請求項4又は5記載のリードフレームの製造方法。
【請求項7】
前記パッケージ領域は、ダイパッドと、前記ダイパッドの周囲に配置されたリード部とを有し、前記リード部の外側にパッケージ間凹部が形成されている、請求項1乃至6のいずれか一項記載のリードフレームの製造方法。
【請求項8】
前記パッケージ間凹部は、前記リード部の幅方向全域に形成される、請求項7記載のリードフレームの製造方法。
【請求項9】
前記パッケージ間凹部は、前記リード部の幅方向の一部のみに形成される、請求項7記載のリードフレームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リードフレーム、リードフレームの製造方法及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板に実装される半導体装置の小型化及び薄型化が要求されてきている。このような要求に対応すべく、従来、リードフレームを用い、その搭載面に搭載した半導体素子を封止樹脂によって封止するとともに、裏面側にリードの一部分を露出させて構成された、いわゆるQFN(Quad Flat Non-lead)タイプの半導体装置が種々提案されている。
【0003】
しかしながら、従来、リードフレームが薄くなるにしたがって、リードフレームの強度を維持することが難しくなり、エッチング後にリードフレームが変形してしまうことが問題となる。
【0004】
また近年、チップサイズを変更することなく、リードの数(ピン数)を増やすことが求められてきている。これに対して、従来、リードの幅を細くすることが行われているが、リードが細くなるにしたがって、リードに変形が生じやすくなり、ワイヤボンディングを安定して行いにくくなるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-57590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、リードフレームの裏面に樹脂部を設けた後、樹脂部の不要部を除去する技術が開示されている。しかしながら、従来、裏面に樹脂部を設けたリードフレームを用いて半導体装置を作製する場合、裏面が樹脂部で覆われているため、半導体装置のリード部に、側面に向けて開口する凹部(ディンプル)を形成することが難しい。
【0007】
本開示は、裏面側樹脂を有するリードフレームを用いて作製された半導体装置において、半導体装置の側面に向けて開口する凹部を容易に形成することが可能な、リードフレーム、リードフレームの製造方法及び半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によるリードフレームの製造方法は、リードフレームの製造方法において、金属基板を準備する工程と、前記金属基板の裏面側から前記金属基板を厚み方向の途中までエッチングすることにより、裏面側凹部を形成する工程と、パッケージ領域周囲の領域を含む裏面側の領域を露出した状態で、前記金属基板の裏面側に裏面側樹脂を形成し、前記裏面側樹脂によって前記裏面側凹部を覆う工程と、前記金属基板の表面側から前記金属基板を厚み方向の途中までエッチングする工程と、前記金属基板の裏面側から前記金属基板を厚み方向の途中までエッチングすることにより、前記パッケージ領域周囲の領域にパッケージ間凹部を形成する工程と、前記裏面側樹脂を所定の厚みだけ研磨する工程と、を備えている。
【0009】
本開示によるリードフレームの製造方法において、前記金属基板の表面側から前記金属基板をエッチングする工程と、前記パッケージ間凹部を形成する工程とが、同時に行われても良い。
【0010】
本開示によるリードフレームの製造方法において、前記裏面側凹部を形成する工程の後、前記金属基板の裏面側を粗化する工程が設けられていても良い。
【0011】
本開示によるリードフレームの製造方法は、リードフレームの製造方法において、金属基板を準備する工程と、前記金属基板の表面側及び裏面側をエッチングする工程と、前記金属基板の表面側を被覆材で覆うとともに、パッケージ領域周囲の領域を含む裏面側の領域を露出した状態で、前記金属基板の裏面側に裏面側樹脂を形成する工程と、前記金属基板の裏面側から前記金属基板を厚み方向の途中までエッチングすることにより、前記パッケージ領域周囲の領域にパッケージ間凹部を形成する工程と、前記裏面側樹脂を所定の厚みだけ研磨する工程と、を備えている。
【0012】
本開示によるリードフレームの製造方法において、前記裏面側樹脂の表面は、前記金属基板の表面と同一平面上に位置しても良い。
【0013】
本開示によるリードフレームの製造方法において、前記金属基板の表面側及び裏面側をエッチングする工程の後、前記金属基板の裏面側を粗化する工程が設けられていても良い。
【0014】
本開示によるリードフレームの製造方法において、前記パッケージ領域は、ダイパッドと、前記ダイパッドの周囲に配置されたリード部とを有し、前記リード部の外側に前記パッケージ間凹部が形成されていても良い。
【0015】
本開示によるリードフレームの製造方法において、前記パッケージ間凹部は、前記リード部の幅方向全域に形成されても良い。
【0016】
本開示によるリードフレームの製造方法において、前記パッケージ間凹部は、前記リード部の幅方向の一部のみに形成されても良い。
【0017】
本開示によるリードフレームは、複数のパッケージ領域を有するリードフレームにおいて、各パッケージ領域は、ダイパッドと、前記ダイパッドの周囲に配置されたリード部と、前記ダイパッドと前記リード部の周囲であって、前記リードフレームの裏面側に配置された裏面側樹脂と、を備え、前記リード部の外側及び前記パッケージ領域周囲の領域に、前記裏面側樹脂が充填されていないパッケージ間凹部が形成されている。
【0018】
本開示による半導体装置の製造方法は、半導体装置の製造方法において、本開示によるリードフレームを準備する工程と、前記リードフレーム上に半導体素子を搭載する工程と、前記半導体素子と前記リードフレームとを接続部材により電気的に接続する工程と、前記リードフレームと、前記半導体素子と、前記接続部材とを封止樹脂により封止する工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、裏面側樹脂を有するリードフレームを用いて作製された半導体装置において、半導体装置の側面に向けて開口する凹部を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、第1の実施の形態によるリードフレームを示す平面図。
図2図2は、第1の実施の形態によるリードフレームを示す底面図。
図3図3(a)(b)は、第1の実施の形態によるリードフレームを示す断面図(それぞれ図1のIIIA-IIIA線、IIIB-IIIB線断面図)。
図4図4は、第1の実施の形態による半導体装置を示す平面図。
図5図5は、第1の実施の形態による半導体装置を示す断面図(図4のV-V線断面図)。
図6図6(a)-(i)は、第1の実施の形態によるリードフレームの製造方法を示す断面図。
図7図7(a)-(f)は、第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を示す断面図。
図8図8は、第1の実施の形態による半導体装置が配線基板に実装された状態を示す断面図。
図9図9は、リード部の一変形例を示す拡大底面図。
図10図10は、第2の実施の形態によるリードフレームを示す断面図。
図11図11は、第2の実施の形態による半導体装置を示す断面図。
図12図12(a)-(j)は、第2の実施の形態によるリードフレームの製造方法を示す断面図。
図13図13は、第3の実施の形態によるリードフレームを示す断面図。
図14図14は、第3の実施の形態による半導体装置を示す断面図。
図15図15(a)-(i)は、第3の実施の形態によるリードフレームの製造方法を示す断面図。
図16図16は、第4の実施の形態によるリードフレームを示す断面図。
図17図17は、第4の実施の形態による半導体装置を示す断面図。
図18図18(a)-(j)は、第4の実施の形態によるリードフレームの製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
以下、第1の実施の形態について、図1乃至図9を参照して説明する。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
【0022】
本明細書中、X方向、Y方向とは、リードフレーム10の各辺に平行な二方向であり、X方向とY方向とは互いに直交している。また、Z方向は、X方向及びY方向の両方に対して垂直な方向である。また、「内」、「内側」とは、各パッケージ領域10aの中心方向を向く側をいい、「外」、「外側」とは、各パッケージ領域10aの中心から離れる側をいう。また、「表面」とは、半導体素子21が搭載される側(Z方向プラス側)の面をいい、「裏面」とは、「表面」の反対側(Z方向マイナス側)の面であって外部の図示しない配線基板に接続される側の面をいう。
【0023】
また、本明細書中、ハーフエッチングとは、被エッチング材料をその厚み方向に途中までエッチングすることをいう。ハーフエッチング後の被エッチング材料の厚みは、ハーフエッチング前の被エッチング材料の厚みの例えば30%以上75%以下、好ましくは40%以上60%以下となる。
【0024】
(リードフレームの構成)
まず、図1乃至図3により、本実施の形態によるリードフレームの概略について説明する。図1乃至図3は、本実施の形態によるリードフレームを示す図である。
【0025】
図1及び図2に示すように、リードフレーム10は、外枠40と、外枠40の内側に配置されたパッケージ領域(単位リードフレーム)10aを含んでいる。
【0026】
この場合、パッケージ領域10aは、多列及び多段に(マトリックス状に)複数配置されている。しかしながら、これに限らずパッケージ領域10aは1つ以上存在していれば良い。なお、パッケージ領域10aは、それぞれ半導体装置20(後述)に対応する領域であり、図1及び図2において仮想線の内側に位置する領域である。また、図1及び図2の仮想線は半導体装置20の外周縁に対応している。
【0027】
次に、図1乃至図3を参照してリードフレーム10の構成についてさらに説明する。
【0028】
図1乃至図3に示すように、リードフレーム10の各パッケージ領域10aは、ダイパッド11と、ダイパッド11周囲に設けられ、半導体素子21と外部回路(図示せず)とを接続する複数の細長いリード部12と、ダイパッド11とリード部12の周囲であって、リードフレーム10の裏面側に配置された裏面側樹脂18と、を備えている。隣接するパッケージ領域10a同士の間には、支持リード(支持部材)13が配置されている。この支持リード13は、ダイパッド11とリード部12とを支持するものであり、X方向及びY方向に沿ってそれぞれ延びている。
【0029】
ダイパッド11は、平面略正方形形状を有している。この場合、ダイパッド11は、ハーフエッチングされておらず、加工前の金属基板(後述する金属基板31)と同一の厚みを有している。ダイパッド11の平面形状は、正方形に限らず、長方形等の多角形としても良い。なお、ダイパッド11の表面側が部分的にハーフエッチングされて薄肉化されていてもよい。
【0030】
ダイパッド11の四隅にはそれぞれ吊りリード14が連結されており、ダイパッド11は、この4本の吊りリード14を介して支持リード13に連結支持されている。各支持リード13は、パッケージ領域10aの周囲であってパッケージ領域10aよりも外側に配置されている。各支持リード13は、細長い棒形状を有している。また支持リード13には、複数のリード部12が支持リード13の長手方向に沿って間隔を空けて連結されている。支持リード13は、裏面側から薄肉化されており、支持リード13の裏面は裏面側樹脂18に接触している。また4つのパッケージ領域10aに囲まれた部分には裏面側から薄肉化されたコーナー部14aが設けられ、これら4つのパッケージ領域10aからそれぞれ延びる4本の吊りリード14がコーナー部14aにおいて互いに連結されている。各パッケージ領域10aのダイパッド11は、4本の吊りリード14を介して各コーナー部14aに連結支持されている。各コーナー部14aには、それぞれ4本の支持リード13が連結されている。
【0031】
各パッケージ領域10a周囲の領域には、周囲領域10bが形成されている。周囲領域10bとは、各パッケージ領域10aよりも外側に位置する領域であって、各パッケージ領域10aに隣接して形成された領域をいう。この周囲領域10bは、互いに隣接する2つのパッケージ領域10a同士の間に位置している。すなわち、隣接する2つのパッケージ領域10aは、周囲領域10bを介して互いに連結されている。また、最外周にあるパッケージ領域10aにおいては、周囲領域10bは、当該パッケージ領域10aの周囲に位置する外枠40にも隣接する。支持リード13は、周囲領域10b内に位置している。
【0032】
図3(a)(b)に示すように、ダイパッド11は、表面側に位置するダイパッド表面11aと、裏面側に位置するダイパッド裏面11bとを有している。ダイパッド表面11aには、後述する半導体素子21が搭載される。ダイパッド裏面11bは、リードフレーム10から外方に露出する。また、ダイパッド11のうちリード部12を向く側には、第1ダイパッド側面11cと、第2ダイパッド側面11dとが形成されている。第1ダイパッド側面11cは、ダイパッド表面11a側に位置しており、リードフレーム10から外方に露出している。第2ダイパッド側面11dは、ダイパッド裏面11b側に位置しており、裏面側樹脂18に密着している。
【0033】
各リード部12は、それぞれ後述するようにボンディングワイヤ22を介して半導体素子21に接続されるものであり、ダイパッド11との間に空間を介して配置されている。また、一のパッケージ領域10aのリード部12と、当該パッケージ領域10aに隣接するパッケージ領域10aのリード部12とは、リード連結部16によって互いに連結されている。リード連結部16は、各パッケージ領域10aの外側であって、周囲領域10b内に位置している。各リード連結部16は、支持リード13の一部を構成している。裏面側から見たとき(図2)、互いに隣接するリード連結部16同士の間には、裏面側樹脂18が配置され、リード連結部16同士は裏面側樹脂18を介して互いに分離している。また、一のパッケージ領域10aのリード部12と、当該パッケージ領域10aに隣接するパッケージ領域10aのリード部12と、これらを連結するリード連結部16とは、一体化されている。
【0034】
各リード部12は、ダイパッド11の周囲において支持リード13の長手方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。このリード部12の裏面には、それぞれ外部の配線基板(図示せず)に電気的に接続される外部端子17が形成されている。各外部端子17は、半導体装置20(後述)の製造後に、それぞれ半導体装置20から外方に露出するようになっている。
【0035】
図3(a)に示すように、リード部12は、内側(ダイパッド11側)に位置するインナーリード51と、外側(リード連結部16側)に位置する端子部53とを有している。このうちインナーリード51は、端子部53からダイパッド11側に延びており、その表面側の先端部には内部端子15が形成されている。この内部端子15は、後述するようにボンディングワイヤ22を介して半導体素子21に電気的に接続される領域である。なお、内部端子15上には、ボンディングワイヤ22と密着性を向上させるめっき層25が設けられている。めっき層25は、例えば銀めっきからなっていても良い。
【0036】
インナーリード51は、裏面側からハーフエッチングにより薄肉化されている。インナーリード51は、インナーリード表面51aと、インナーリード裏面51bとを有している。インナーリード表面51aの一部には、内部端子15が形成される。インナーリード裏面51bは、裏面側樹脂18に密着している。また、インナーリード51のうちダイパッド11を向く側には、インナーリード側面51cが形成されている。インナーリード側面51cは、リードフレーム10から外方に露出している。
【0037】
端子部53は、リード連結部16側に延びており、その基端部はリード連結部16に連結されている。なお、端子部53の裏面には、上述した外部端子17が形成されている。端子部53のうち外部端子17が形成された部分は、ハーフエッチングされることなく、ダイパッド11と同一の厚みを有している。
【0038】
本実施の形態において、リード部12の端子部53の外側(インナーリード51の反対側)及び周囲領域10bに、パッケージ間凹部19が形成されている。パッケージ間凹部19には、裏面側樹脂18が充填されておらず、金属面が露出している。パッケージ間凹部19は、リードフレーム10の裏面側であって、一のパッケージ領域10aのリード部12と、当該リード部12に連結されたリード連結部16と、隣接するパッケージ領域10aのリード部12とに跨がって連続的に形成されている。
【0039】
パッケージ間凹部19は、リード部12の裏面のうち、外部端子17よりも外側に形成されている。またパッケージ領域10aの外周に対応する線が、パッケージ間凹部19を横切っている。このパッケージ間凹部19は平面視で長方形形状を有し、リード部12及びリード連結部16の長手方向に沿って延びている(図2)。
【0040】
パッケージ間凹部19は、ハーフエッチングにより裏面側から薄肉化されることにより形成されている。すなわちパッケージ間凹部19は、リード部12及びリード連結部16の裏面側から厚み方向(Z方向)の途中まで凹む非貫通凹部から構成されている。なお、パッケージ間凹部19の表面側は薄肉化されておらず、ダイパッド11のダイパッド表面11aと同一平面上に位置している。
【0041】
また、パッケージ間凹部19は、リード部12及びリード連結部16の幅方向全域にわたって形成されている(図2)。この場合、パッケージ間凹部19は、リード部12の裏面のうち外部端子17よりも外側の部分と、リード連結部16の裏面全体とに形成されている。
【0042】
図1及び図2に示すように、裏面側樹脂18は、一のパッケージ領域10aと、当該パッケージ領域10a周囲の周囲領域10bと、隣接するパッケージ領域10aとに跨がるように連続的に形成されている。
【0043】
各パッケージ領域10aにおいて、裏面側樹脂18は、ダイパッド11及びリード部12の周囲に配置されている。すなわち、図1に示すように、表面側から見て、裏面側樹脂18は、ダイパッド11の一辺と、当該辺に対向する複数のリード部12と、2本の吊りリード14と、パッケージ領域10aの外周縁とによって取り囲まれる領域に位置している。また、図2に示すように、裏面側から見て、裏面側樹脂18は、ダイパッド11の各辺と、複数のリード部12と、パッケージ領域10aの外周縁とによって取り囲まれる領域に位置している。なお、図1及び図2において、裏面側樹脂18を網掛けで示している(後述する図4図9についても同様)。
【0044】
図3(a)(b)に示すように、裏面側樹脂18は、リードフレーム10の裏面側に配置されている。すなわち裏面側樹脂18は、リードフレーム10のうち、厚み方向(Z方向)の中間位置よりも表面側(Z方向プラス側)には存在せず、厚み方向の中間位置よりも裏面側(Z方向マイナス側)にのみ存在している。なお、上記中間位置は、リードフレーム10の厚み方向の中央に限らず、厚み方向の中央よりも表面側又は裏面側に位置しても良い。
【0045】
図3(a)に示すように、裏面側樹脂18は、断面視で、端子部53と、インナーリード裏面51bと、第2ダイパッド側面11dとによって取り囲まれた領域に配置されている。また裏面側樹脂18は、表面側に位置する樹脂表面18aと、裏面側に位置する樹脂裏面18bとを有している。このうち樹脂表面18aは、第1ダイパッド側面11cとインナーリード側面51cとの間の空間から外方に露出する。樹脂裏面18bは、リードフレーム10の裏面側から外方に露出する。また樹脂裏面18b、ダイパッド裏面11b及び外部端子17は、互いに同一平面上に位置している。
【0046】
図3(b)に示すように、リード部12が存在しない箇所の断面において、裏面側樹脂18は、一のパッケージ領域10aのダイパッド11から、隣接する他のパッケージ領域10aのダイパッド11まで連続的に形成されている。また、周囲領域10bにおいて、裏面側樹脂18は、裏面側から薄肉化されることなく、樹脂裏面18bは、ダイパッド裏面11b及び外部端子17と同一平面上に位置している(図3(a)(b))。
【0047】
裏面側樹脂18としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいはPPS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。なお、裏面側樹脂18と後述する封止樹脂23との密着性を高めるため、裏面側樹脂18として、封止樹脂23と同一の材料を用いることが好ましい。
【0048】
以上説明したリードフレーム10は、全体として銅、銅合金、42合金(Ni42%のFe合金)等の金属から構成されている。また、リードフレーム10の厚みは、製造する半導体装置20の構成にもよるが、80μm以上250μm以下とすることができる。
【0049】
(半導体装置の構成)
次に、図4及び図5により、本実施の形態による半導体装置について説明する。図4及び図5は、本実施の形態による半導体装置(QFNタイプ)を示す図である。
【0050】
図4及び図5に示すように、半導体装置(半導体パッケージ)20は、ダイパッド11と、ダイパッド11の周囲に配置された複数のリード部12と、ダイパッド11上に搭載された半導体素子21と、リード部12と半導体素子21とを電気的に接続する複数のボンディングワイヤ(接続部材)22とを備えている。また、ダイパッド11とリード部12の周囲であって、半導体装置20の裏面側に裏面側樹脂18が配置されている。さらに、ダイパッド11、リード部12、半導体素子21及びボンディングワイヤ22は、封止樹脂23によって樹脂封止されている。
【0051】
このうちダイパッド11、リード部12及び裏面側樹脂18は、上述したリードフレーム10から作製されたものである。また各リード部12の裏面のうち、半導体装置20の外周20aに対応する位置に、それぞれ凹部26が形成されている。この凹部26は、上述したパッケージ間凹部19の一部からなる。各凹部26は、リード部12のうち外部端子17よりも外側の領域に形成されている。また、凹部26は、リード部12の裏面側に開口するとともに、リード部12の側面にも開口している。この凹部26は、半導体装置20の外周20a側から見た場合、四角形形状を有している。なお、封止樹脂23及び裏面側樹脂18は凹部26内には充填されていない。
【0052】
このほか、ダイパッド11、リード部12及び裏面側樹脂18の構成は、半導体装置20に含まれない領域を除き、上述した図1乃至図3に示すものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0053】
また、半導体素子21としては、従来一般に用いられている各種半導体素子を使用することが可能であり、特に限定されないが、例えば集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等を用いることができる。この半導体素子21は、各々ボンディングワイヤ22が取り付けられる複数の電極21aを有している。また、半導体素子21は、例えばダイボンディングペースト等の接着剤24により、ダイパッド11の表面に固定されている。
【0054】
各ボンディングワイヤ22は、例えば金、銅等の導電性の良い材料からなっている。各ボンディングワイヤ22は、それぞれその一端が半導体素子21の電極21aに接続されるとともに、その他端が各リード部12の内部端子15上に位置するめっき層25にそれぞれ接続されている。
【0055】
封止樹脂23としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいはPPS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。封止樹脂23全体の厚みは、300μm以上1500μm以下程度とすることができる。また、封止樹脂23の一辺(半導体装置20の一辺)は、例えば1mm以上16mm以下することができる。ダイパッド11とリード部12との間の空間において、封止樹脂23は、裏面側樹脂18の樹脂表面18aに密着している。なお、図4において、ダイパッド11、リード部12及び裏面側樹脂18よりも表面側に位置する封止樹脂23の表示を省略している。
【0056】
(リードフレームの製造方法)
次に、図1乃至図3に示すリードフレーム10の製造方法について、図6(a)-(i)を用いて説明する。
【0057】
まず図6(a)に示すように、平板状の金属基板31を準備する。この金属基板31としては、銅、銅合金、42合金(Ni42%のFe合金)等の金属からなる基板を使用することができる。なお金属基板31は、その両面に対して脱脂等を行い、洗浄処理を施したものを使用することが好ましい。
【0058】
次に、金属基板31の表裏全体にそれぞれ感光性レジストを塗布し、乾燥する。続いて、金属基板31上の感光性レジストに対してフォトマスクを介して露光し、現像することにより、所望の開口部32b、33bを有するエッチング用レジスト層32、33を形成する(図6(b))。
【0059】
次に、ハーフエッチングにより、金属基板31の裏面側から金属基板31を厚み方向の途中まで薄肉化する。この場合、裏面側のエッチング用レジスト層33を耐腐蝕膜として、金属基板31の裏面側に腐蝕液でエッチングを施す(図6(c))。なお、このとき表面側のエッチング用レジスト層32を図示しないフィルムで覆っても良い。これにより、金属基板31の裏面側に非貫通凹部である裏面側凹部36を形成する。この裏面側凹部36は、裏面側樹脂18に対応する形状を有する。なお、腐蝕液は、使用する金属基板31の材質に応じて適宜選択することができ、例えば、金属基板31として銅を用いる場合、通常、塩化第二鉄水溶液を使用し、この塩化第二鉄水溶液を金属基板31の一方の面又は両面からスプレーエッチングしても良い。
【0060】
次に、表面側のエッチング用レジスト層32を残して、裏面側のエッチング用レジスト層33を剥離除去し、次いで金属基板31を水洗及び乾燥させる(図6(d))。
【0061】
続いて、パッケージ領域10aの周囲に位置する周囲領域10bを含む裏面側の領域10cを露出した状態で、金属基板31の裏面側に裏面側樹脂18を形成し、裏面側樹脂18によって裏面側凹部36を覆う(図6(e))。この際、金属基板31の裏面側に、例えば熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いてスクリーン印刷を施し、裏面側樹脂18を所定のパターン状に形成しても良い。これにより、裏面側樹脂18が裏面側凹部36内に充填される。なお、ダイパッド裏面11bに対応する部分11eからの裏面側樹脂18の厚みT1は、25μm以上200μm以下としても良い。この場合、裏面側の領域10cは、金属基板31の裏面であって、周囲領域10bと、リード部12の外部端子17に対応する部分17aよりも外側の部分とを含む。この裏面側の領域10cは、裏面側樹脂18に覆われることなく、金属基板31の裏面が露出する。
【0062】
次に、ハーフエッチングにより、金属基板31の表面側から金属基板31を厚み方向の途中まで薄肉化する。この場合、表面側のエッチング用レジスト層32を耐腐蝕膜として、金属基板31の表面側に腐蝕液でエッチングを施す(図6(f))。これにより、ダイパッド11及びリード部12の外形が形成される。また、金属基板31の表面側がハーフエッチングされることにより、ダイパッド11とリード部12との間に隙間が形成され、裏面側樹脂18が表面側に露出する。なお、腐蝕液としては、金属基板31の裏面側をエッチングする際に用いたものと同様のものを用いることができる(図6(c))。
【0063】
これと同時に、ハーフエッチングにより、金属基板31の裏面側から金属基板31を厚み方向の途中まで薄肉化する。この場合、裏面側の裏面側樹脂18を耐腐蝕膜として、金属基板31の裏面側に腐蝕液でエッチングを施す(図6(f))。これにより、金属基板31のうち周囲領域10bを含む裏面側の領域10cに、パッケージ間凹部19を形成する。このパッケージ間凹部19は、周囲領域10bと、リード部12のうち外部端子17よりも外側の領域とに形成される。
【0064】
このように、金属基板31の表面側から金属基板31をエッチングする工程と、パッケージ間凹部19を形成する工程とを、同時に行うことにより、表面側のエッチング用レジスト層32と裏面側の裏面側樹脂18とを利用して、一度のエッチングによりダイパッド11及びリード部12の形状と、パッケージ間凹部19とを効率良くまとめて形成することができる。なお、これに限らず、金属基板31の表面側から金属基板31をエッチングする工程と、金属基板31の裏面側からパッケージ間凹部19を形成する工程とを別工程で行っても良い。
【0065】
次に、裏面側樹脂18を所定の厚みだけ研磨して、金属基板31の裏面を露出させる(図6(g))。具体的には、裏面側樹脂18を裏面側から研磨してゆき、金属基板31の裏面が出現した際、裏面側樹脂18の研磨を終了する。このとき、ダイパッド11のダイパッド裏面11b及びリード部12の外部端子17を構成する金属面が裏面側に露出する。なお、裏面側樹脂18を研磨する方法としては、例えば、半導体素子21を所定の厚さに仕上げるための裏面研削(バックグラインドと言われている)と同様の方法を挙げることができる。
【0066】
次に、エッチング用レジスト層32を剥離除去し、次いで金属基板31を水洗及び乾燥させる(図6(h))。
【0067】
その後、リード部12のインナーリード51に電解めっきを施す。これによりリード部12のインナーリード51上に金属(例えば銀)を析出させて、めっき層25を形成する。このようにして図1乃至図3に示すリードフレーム10が得られる(図6(i))。
【0068】
(半導体装置の製造方法)
次に、図4及び図5に示す半導体装置20の製造方法について、図7(a)-(f)を用いて説明する。
【0069】
まず、例えば図6(a)-(i)に示す方法により、リードフレーム10を作製する(図7(a))。
【0070】
次に、リードフレーム10のダイパッド11上に、半導体素子21を搭載する。この場合、例えばダイボンディングペースト等の接着剤24を用いて、半導体素子21をダイパッド11上に載置して固定する(ダイアタッチ工程)(図7(b))。
【0071】
次に、半導体素子21の各電極21aと、各リード部12に形成されためっき層25とを、それぞれボンディングワイヤ(接続部材)22によって互いに電気的に接続する(ワイヤボンディング工程)(図7(c))。
【0072】
次に、リードフレーム10に対して、例えば熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を射出成形又はトランスファ成形することにより、封止樹脂23を形成する(図7(d))。このようにして、リードフレーム10、リード部12、半導体素子21及びボンディングワイヤ22を封止する。
【0073】
次に、各半導体素子21間の周囲領域10bに位置する封止樹脂23及びリード連結部16をダイシングすることにより、リードフレーム10を各半導体装置20毎に分離する(図7(e))。この際、例えばダイヤモンド砥石からなるブレード38を回転させながら、周囲領域10bに位置する封止樹脂23及びリード連結部16(支持リード13)を切断しても良い。これにより、パッケージ間凹部19のうち周囲領域10bに位置する部分が除去され、各リード部12のうち外部端子17よりも外側の領域に、パッケージ間凹部19の一部からなる凹部26が形成される。この凹部26は、リード部12の裏面側及び側面側に開口する。
【0074】
このようにして、図4及び図5に示す半導体装置20が得られる(図7(f))。
【0075】
その後、半導体装置20は配線基板80に接続される(図8)。このとき、ダイパッド11のダイパッド裏面11bは、半田部81によって配線基板80に接続される。また、リード部12の外部端子17、凹部26及び外面12aに設けられた半田めっきが、半田フィレット82を形成する。これにより、リード部12と配線基板80とを安定して接続することができ、半導体装置20の接続信頼性を向上することができる。また、半田フィレット82が凹部26の内部に充填されるので、外観検査時にリード部12と配線基板80とが接続されたことを外側から容易に確認することができる。
【0076】
本実施の形態によれば、周囲領域10bを含む金属基板31の裏面側の領域10cを露出した状態で、金属基板31の裏面側に裏面側樹脂18を形成し、この裏面側樹脂18によって裏面側凹部36を覆う(図6(e))。次いで、金属基板31の裏面側から金属基板31を厚み方向の途中までエッチングすることにより、周囲領域10bにパッケージ間凹部19を形成する(図6(f))。その後、裏面側樹脂18を所定の厚みだけ研磨する(図6(g))。半導体装置20を作製する際、このパッケージ間凹部19は、部分的に切断されて、リード部12の裏面側及び側面側に開口する凹部26を形成する(図7(e))。このように本実施の形態によれば、裏面側樹脂18を有するリードフレーム10を用いて作製された半導体装置20において、半導体装置20の側面に向けて開口する凹部26を容易に形成することができる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、金属基板31の表面側から金属基板31をエッチングする工程と、金属基板31の裏面にパッケージ間凹部19を形成する工程とが、同時に行われる(図6(f))。これにより、金属基板31からダイパッド11及びリード部12を形成するエッチングとパッケージ間凹部19を形成するエッチングとを一度の作業で行うことができる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、エッチングにより裏面側樹脂18を表面側に露出させる工程及び金属基板31の裏面にパッケージ間凹部19を形成する工程(図6(f))は、裏面側樹脂18を研磨する工程(図6(g))よりも前に行われる。これにより、金属基板31の表面側をエッチングする際、パッケージ間凹部19に対応する裏面側の領域10cを除く金属基板31の裏面側が裏面側樹脂18によって覆われるので、金属基板31の裏面側を他の部材で覆う工程を別途設ける必要がない。
【0079】
また、本実施の形態によれば、エッチング用レジスト層32、33を形成するためのフォトリソグラフィの工程を1回とすることができるので(図6(b))、リードフレーム10の製造工程を簡潔にすることができる。
【0080】
なお、上記実施の形態において、パッケージ間凹部19は、リード部12及びリード連結部16の幅方向全域にわたって形成されている場合を例にとって説明したが(図2)、これに限られるものではない。図9に示すように、パッケージ間凹部19は、リード部12及びリード連結部16の幅方向略中央に位置していても良い。この場合、パッケージ領域10a内の外部端子17は、底面から見て外側に向けて開放された凹形状(U字形状)となる。また周囲領域10bにおいて、パッケージ間凹部19の幅方向両側には、裏面側から薄肉化されていない縁部12bが形成されている。なお、半導体装置20を作製した後、リード部12の外面は、半導体装置20の外側から見て、逆凹形状(逆U字形状)となる。
【0081】
(第2の実施の形態)
次に、図10乃至図12を参照して第2の実施の形態について説明する。図10乃至図12は第2の実施の形態を示す図である。図10乃至図12に示す第2の実施の形態は、主として、ダイパッド11及びリード部12のうち裏面側樹脂18に接触する部分が粗面化されている点が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。図10乃至図12において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
(リードフレーム及び半導体装置の構成)
図10は本実施の形態によるリードフレーム10Aを示す断面図であり、図11は本実施の形態による半導体装置20Aを示す断面図である。
【0083】
図10に示すリードフレーム10A及び図11に示す半導体装置20Aにおいて、ダイパッド11及びリード部12のうち、裏面側樹脂18に接触する部分が粗面化されている。具体的には、ダイパッド11の第2ダイパッド側面11dと、各リード部12の端子部53の内側面53aと、各リード部12のインナーリード裏面51bとがそれぞれ粗面化されている。
【0084】
この粗面化された部分は、後述するように金属基板31の表面を粗面化処理(例えばマイクロエッチング処理)することにより形成される。すなわち、ダイパッド11及びリード部12の粗面化された部分のあらさは、ダイパッド11及びリード部12の他の部分よりも粗い。粗面化された部分の平均あらさは、例えばRa=0.2μm以上0.6μm以下とすることができる。平均あらさRaは、JIS B0601で規定される算術平均あらさである。なお、図10及び図11において、便宜上、粗面化された部分を太い破線で示している(後述する図12図16乃至図18についても同様)。
【0085】
なお、図示していないが、ダイパッド11のダイパッド裏面11bとリード部12の外部端子17も同様に粗面化されていても良い。
【0086】
(リードフレームの製造方法)
次に、図10に示すリードフレーム10Aの製造方法について、図12(a)-(j)を用いて説明する。図12(a)-(j)において、図6(a)-(i)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0087】
まず、上述した図6(a)、(b)に示す工程と略同様にして、金属基板31を準備し(図12(a))、金属基板31の表裏にそれぞれエッチング用レジスト層32、33を形成する(図12(b))。
【0088】
次に、上述した図6(c)に示す工程と略同様にして、ハーフエッチングにより、金属基板31の裏面側から金属基板31を厚み方向の途中まで薄肉化し、裏面側凹部36を形成する(図12(c))。次いで、上述した図6(d)に示す工程と略同様にして、裏面側のエッチング用レジスト層33を剥離除去する(図12(d))。
【0089】
続いて、金属基板31の裏面側を粗化する(図12(e))。このとき金属基板31の裏面に対してマイクロエッチング液を供給し、金属基板31の裏面全域に粗面を形成する。ここでマイクロエッチング液とは、金属表面を僅かに溶かし、微細な凹凸の粗面を形成する表面処理剤である。例えば銅又は銅合金からなる金属基板31を粗面化する場合、過酸化水素水と硫酸を主成分とするマイクロエッチング液を用いても良い。
【0090】
続いて、上述した図6(e)に示す工程と略同様にして、周囲領域10bを含む裏面側の領域10cを露出した状態で、金属基板31の裏面側に裏面側樹脂18を形成し、裏面側樹脂18によって裏面側凹部36を覆う(図12(f))。
【0091】
次に、上述した図6(f)に示す工程と略同様にして、ハーフエッチングにより、金属基板31の表面側から金属基板31を厚み方向の途中まで薄肉化する(図12(g))。これにより、ダイパッド11及びリード部12の外形が形成される。また、ダイパッド11とリード部12との間に隙間が形成され、裏面側樹脂18が表面側に露出する。同時に、ハーフエッチングにより、金属基板31の裏面側から金属基板31を厚み方向の途中まで薄肉化する。これにより、金属基板31のうち周囲領域10bを含む裏面側の領域10cに、パッケージ間凹部19を形成する。
【0092】
続いて、上述した図6(g)に示す工程と略同様にして、裏面側樹脂18を所定の厚みだけ研磨して、金属基板31の裏面を露出させる(図12(h))。
【0093】
次に、上述した図6(h)に示す工程と略同様にして、エッチング用レジスト層32を剥離除去し、次いで金属基板31を水洗及び乾燥させる(図12(i))。
【0094】
その後、上述した図6(i)に示す工程と略同様にして、リード部12のインナーリード51にめっき層25を形成する。このようにして図10に示すリードフレーム10Aが得られる(図12(j))。
【0095】
(半導体装置の製造方法)
本実施の形態による半導体装置20Aの製造方法は、図7(a)-(f)に示す半導体装置20の製造方法と略同様にして行うことができる。
【0096】
本実施の形態によれば、ダイパッド11及びリード部12のうち裏面側樹脂18に接触する部分が粗面化されている。これにより、ダイパッド11及びリード部12を構成する金属と、裏面側樹脂18を構成する樹脂との密着性を高め、裏面側樹脂18がダイパッド11及びリード部12から剥離することを抑制することができる。
【0097】
(第3の実施の形態)
次に、図13乃至図15を参照して第3の実施の形態について説明する。図13乃至図15は第3の実施の形態を示す図である。図13乃至図15に示す第3の実施の形態は、主として、裏面側樹脂18がリードフレーム10の厚み方向(Z方向)全域に形成されている点等が異なるものである。図13乃至図15において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態及び図10乃至図12に示す第2の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0098】
(リードフレーム及び半導体装置の構成)
図13は本実施の形態によるリードフレーム10Bを示す断面図であり、図14は本実施の形態による半導体装置20Bを示す断面図である。
【0099】
図13に示すリードフレーム10B及び図14に示す半導体装置20Bにおいて、裏面側樹脂18が、リードフレーム10の厚み方向(Z方向)の中間位置よりも裏面側(Z方向マイナス側)だけでなく、厚み方向の中間位置よりも表面側(Z方向プラス側)にも存在している。すなわち裏面側樹脂18は、ダイパッド11の第1ダイパッド側面11cとリード部12のインナーリード側面51cとの間の空間にも充填されている。裏面側樹脂18の樹脂表面18aと、ダイパッド11のダイパッド表面11aと、リード部12のインナーリード表面51aとは、互いに同一平面上に位置している。
【0100】
なお、本実施の形態によるリードフレーム10Bにおいても、周囲領域10bには支持リード(支持部材)13が設けられている。
【0101】
(リードフレームの製造方法)
次に、図13に示すリードフレーム10Bの製造方法について、図15(a)-(i)を用いて説明する。図15(a)-(i)において、図6(a)-(i)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0102】
まず、上述した図6(a)、(b)に示す工程と略同様にして、金属基板31を準備し(図15(a))、金属基板31の表裏にそれぞれエッチング用レジスト層32、33を形成する(図15(b))。
【0103】
次に、エッチング用レジスト層32、33を耐腐蝕膜として金属基板31に腐蝕液でエッチングを施す。これにより、ダイパッド11及びリード部12の外形が形成される(図15(c))。
【0104】
次いで、エッチング用レジスト層32、33を剥離除去する(図15(d))。
【0105】
続いて、金属基板31の表面側を樹脂フィルム等の被覆材39で覆うとともに、周囲領域10bを含む裏面側の領域10cを露出した状態で、金属基板31の裏面側に裏面側樹脂18を形成する(図15(e))。これにより、裏面側樹脂18によって領域10cを除く金属基板31の裏面側を覆うとともに、ダイパッド11とリード部12との間の領域に裏面側樹脂18を充填する。
【0106】
次に、金属基板31の表面側を被覆材39で覆った状態で、ハーフエッチングにより、金属基板31の裏面側から金属基板31を厚み方向の途中まで薄肉化する(図15(f))。これにより、金属基板31のうち周囲領域10bを含む裏面側の領域10cに、パッケージ間凹部19を形成する。
【0107】
続いて、上述した図6(g)に示す工程と略同様にして、裏面側樹脂18を所定の厚みだけ研磨して、金属基板31の裏面を露出させる(図15(g))。
【0108】
次に、金属基板31の表面側の被覆材39を剥離除去し、次いで金属基板31を水洗及び乾燥させる(図15(h))。
【0109】
その後、上述した図6(i)に示す工程と略同様にして、リード部12のインナーリード51にめっき層25を形成する。このようにして図13に示すリードフレーム10Bが得られる(図15(i))。
【0110】
(半導体装置の製造方法)
本実施の形態による半導体装置20Bの製造方法は、図7(a)-(f)に示す半導体装置20の製造方法と略同様にして行うことができる。
【0111】
本実施の形態によれば、裏面側樹脂18がリードフレーム10Bの厚み方向(Z方向)全域に形成されている。これにより、ダイパッド11及びリード部12を構成する金属と、裏面側樹脂18を構成する樹脂との密着性を高め、裏面側樹脂18がダイパッド11及びリード部12から剥離することを抑制することができる。
【0112】
(第4の実施の形態)
次に、図16乃至図18を参照して第4の実施の形態について説明する。図16乃至図18は第4の実施の形態を示す図である。図16乃至図18に示す第4の実施の形態は、主として、ダイパッド11及びリード部12のうち裏面側樹脂18に接触する部分が粗面化されている点が異なるものであり、他の構成は上述した第3の実施の形態と略同一である。図16乃至図18において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態、図10乃至図12に示す第2の実施の形態、及び図13乃至図15に示す第3の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0113】
(リードフレーム及び半導体装置の構成)
図16は本実施の形態によるリードフレーム10Cを示す断面図であり、図17は本実施の形態による半導体装置20Cを示す断面図である。
【0114】
図16に示すリードフレーム10C及び図17に示す半導体装置20Cにおいて、ダイパッド11及びリード部12のうち、裏面側樹脂18に接触する部分が粗面化されている。具体的には、ダイパッド11の第1ダイパッド側面11cと、ダイパッド11の第2ダイパッド側面11dと、各リード部12の端子部53の内側面53aと、各リード部12のインナーリード裏面51bと、各リード部12のインナーリード側面51cとがそれぞれ粗面化されている。
【0115】
この粗面化された部分は、後述するように金属基板31の表面を粗面化処理(例えばマイクロエッチング処理)することにより形成される。この粗面の構成については、上述した第2の実施の形態の場合(図10及び図11)と略同様である。
【0116】
(リードフレームの製造方法)
次に、図16に示すリードフレーム10Cの製造方法について、図18(a)-(j)を用いて説明する。図18(a)-(j)において、図6(a)-(i)及び図15(a)-(i)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0117】
まず、上述した図15(a)、(b)に示す工程と略同様にして、金属基板31を準備し(図18(a))、金属基板31の表裏にそれぞれエッチング用レジスト層32、33を形成する(図18(b))。
【0118】
次に、上述した図15(c)に示す工程と略同様にして、エッチング用レジスト層32、33を耐腐蝕膜として金属基板31に腐蝕液でエッチングを施す。これにより、ダイパッド11及びリード部12の外形が形成される(図18(c))。
【0119】
次いで、表面側のエッチング用レジスト層32を残して、裏面側のエッチング用レジスト層33を剥離除去し、次いで金属基板31を水洗及び乾燥させる(図18(d))。
【0120】
続いて、金属基板31の裏面側を粗化する(図18(e))。このとき金属基板31の裏面に対してマイクロエッチング液を供給し、金属基板31の裏面全域に粗面を形成する。ここでマイクロエッチング液とは、金属表面を僅かに溶かし、微細な凹凸の粗面を形成する表面処理剤である。銅又は銅合金からなる金属基板31を粗面化する場合、過酸化水素水と硫酸を主成分とするマイクロエッチング液を用いても良い。
【0121】
続いて、表面側のエッチング用レジスト層32を剥離除去するとともに、上述した図15(e)に示す工程と略同様にして、金属基板31の表面側を樹脂フィルム等の被覆材39で覆う。次いで、周囲領域10bを含む裏面側の領域10cを露出した状態で、金属基板31の裏面側に裏面側樹脂18を形成する(図18(f))。これにより、裏面側樹脂18によって領域10cを除く金属基板31の裏面側を覆うとともに、ダイパッド11とリード部12との間の領域に裏面側樹脂18を充填する。
【0122】
次に、上述した図15(f)に示す工程と略同様にして、金属基板31の表面側を被覆材39で覆った状態で、ハーフエッチングにより、金属基板31の裏面側から金属基板31を厚み方向の途中まで薄肉化する(図18(g))。これにより、金属基板31のうち周囲領域10bを含む裏面側の領域10cに、パッケージ間凹部19を形成する。
【0123】
続いて、上述した図15(g)に示す工程と略同様にして、裏面側樹脂18を所定の厚みだけ研磨して、金属基板31の裏面を露出させる(図18(h))。
【0124】
次に、上述した図15(h)に示す工程と略同様にして、金属基板31の表面側の被覆材39を剥離除去し、次いで金属基板31を水洗及び乾燥させる(図18(i))。
【0125】
その後、上述した図15(i)に示す工程と略同様にして、リード部12のインナーリード51にめっき層25を形成する。このようにして図16に示すリードフレーム10Cが得られる(図18(j))。
【0126】
(半導体装置の製造方法)
本実施の形態による半導体装置20Cの製造方法は、図7(a)-(f)に示す半導体装置20の製造方法と略同様にして行うことができる。
【0127】
本実施の形態によれば、ダイパッド11及びリード部12のうち裏面側樹脂18に接触する部分が粗面化されている。また、裏面側樹脂18がリードフレーム10Cの厚み方向(Z方向)全域に形成されている。これにより、ダイパッド11及びリード部12を構成する金属と、裏面側樹脂18を構成する樹脂との密着性を高め、裏面側樹脂18がダイパッド11及びリード部12から剥離することを抑制することができる。
【0128】
上記各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0129】
10 リードフレーム
10a パッケージ領域
11 ダイパッド
12 リード部
15 内部端子
17 外部端子
18 裏面側樹脂
20 半導体装置
21 半導体素子
22 ボンディングワイヤ(接続部材)
23 封止樹脂
24 接着剤
25 めっき層
31 金属基板
36 裏面側凹部
図1
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