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  • 特開-グリルシャッタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009640
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】グリルシャッタ
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B60K11/04 J
B60K11/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111317
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 博樹
(72)【発明者】
【氏名】藤川 仁孝
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AA06
3D038AC01
3D038AC11
3D038AC17
(57)【要約】
【課題】少なくとも1個のフィンが回転不能である場合に、他のフィンを回転させることができる技術を提供する。
【解決手段】
グリルシャッタは、枠体に対して回転軸を中心に回転可能な複数のフィンと、複数のフィンを枠体に対して回転させる回転機構と、を備え、回転機構は、アクチュエータと、アクチュエータによって枠体に対して回転されるアームと、複数のフィンのそれぞれの突出部に連結されており、アームの回転に伴って枠体に対して移動される連結部と、を備え、アクチュエータによってアームを介して連結部を枠体に対して移動させることによって、複数のフィンを枠体に対して回転させ、連結部は、複数のフィンのうちの少なくとも1個の特定のフィンの突出部に所定の力を負荷しても特定のフィンが連結部に伴って回転しない場合に、特定のフィンの突出部との連結を解除してよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体に対して回転軸を中心に回転可能に取り付けられる複数のフィンと、
前記複数のフィンを前記枠体に対して回転させる回転機構と、を備え、
前記複数のフィンのそれぞれは、前記回転機構に連結される突出部を備え、
前記回転機構は、
アクチュエータと、
アクチュエータによって前記枠体に対して回転されるアームと、
前記複数のフィンのそれぞれの前記突出部に連結されており、前記アームの回転に伴って前記枠体に対して移動される連結部と、を備え、
前記アクチュエータによって前記アームを介して前記連結部を前記枠体に対して移動させることによって、前記複数のフィンを前記枠体に対して回転させ、
前記連結部は、前記複数のフィンのうちの少なくとも1個の特定のフィンの前記突出部に所定の力を負荷しても前記特定のフィンが前記連結部に伴って回転しない場合に、前記特定のフィンの前記突出部との連結を解除する、グリルシャッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、グリルシャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、フロントグリルとラジエータとの間に配置される可変ダクト装置が開示されている。可変ダクト装置は、可変ルーバと、可変ルーバの下方に位置する下部ルーバと、可変ルーバ及び下部ルーバを揺動させるリンク機構と、を備える。リンク機構は、可変ルーバと下部ルーバとを連動させる。下部ルーバに外力が付与されると、下部ルーバと可変ルーバとの連動が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-088584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可変ダクト装置のようなグリルシャッタでは、可変ルーバのように、回転することによってラジエータへの空気の導入が調整される複数のフィンと、複数のフィンを連動して回転させるアクチュエータと、が配置されている。複数のフィンが連動する構成では、1個のフィンが回転不能に固着していると、他のフィンも回転することができなくなる。
【0005】
本明細書は、少なくとも1個のフィンが回転不能である場合に、他のフィンを回転させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される技術は、グリルシャッタに関する。グリルシャッタは、枠体と、前記枠体に対して回転軸を中心に回転可能に取り付けられる複数のフィンと、前記複数のフィンを前記枠体に対して回転させる回転機構と、を備え、前記複数のフィンのそれぞれは、前記回転機構に連結される突出部を備え、前記回転機構は、アクチュエータと、アクチュエータによって前記枠体に対して回転されるアームと、前記複数のフィンのそれぞれの前記突出部に連結されており、前記アームの回転に伴って前記枠体に対して移動される連結部と、を備え、前記アクチュエータによって前記アームを介して前記連結部を前記枠体に対して移動させることによって、前記複数のフィンを前記枠体に対して回転させ、前記連結部は、前記複数のフィンのうちの少なくとも1個の特定のフィンの前記突出部に所定の力を負荷しても前記特定のフィンが前記連結部に伴って回転しない場合に、前記特定のフィンの前記突出部との連結を解除してよい。
【0007】
この構成によると、特定のフィンが固着して枠体に対して回転することができない場合に、特定のフィンの突出部と回転機構の連結部との連結が解除される。この結果、複数のフィンのうち、特定のフィン以外のフィンは、回転機構によって枠体に対して回転することができる。これにより、少なくとも1個のフィンが回転不能である場合に、他のフィンを回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】グリルシャッタの斜視図を示す。
図2】閉状態における回転機構の側面図を示す。
図3】開状態における回転機構の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すグリルシャッタ2は、自動車等の車両の前端部において、車両のフロントグリルとラジエータとの間に配置される。グリルシャッタ2は、車両の前端のフロントグリルからラジエータに向かう空気量を調整する。これにより、ラジエータにおける冷却性能が調整される。
【0010】
グリルシャッタ2は、枠体4と、複数のフィン6、8と、回転機構10(図2参照)と、を備える。枠体4は、樹脂製の略長方形状の枠組みを有する。枠体4は、例えば、車両の骨格部材に取り付けられる。複数のフィン6、8は、枠体4に囲まれて配置されている。複数のフィン6、8は、上下方向に並んで配置されている。フィン6は、正面視で長方形状、側面視で上下方向の中央から上下方向のそれぞれに向かって徐々に細くなる形状を有する。図2は、フィン6の右側面から見た図面である。フィン6は、左右両端のそれぞれに配置される回転軸6aを中心とする円柱形状の回転シャフト6bを有する。左右両端の回転シャフト6bのそれぞれは、枠体4に回転可能に支持されている。
【0011】
フィン6は、さらに、右端に配置される回転シャフト6bから車両後方に延びるアーム6cを有する。アーム6cは、回転シャフト6bを中心に、枠体4に対して回転可能である。アーム6cは、回転シャフト6bと反対側の端部に、左右方向(図2の紙面垂直方向)に突出する突出部6dを有する。突出部6dは、円柱形状を有する。フィン6は、樹脂の一体成形で作製されている。フィン8は、フィン6と同様の構成を有し、回転軸6a、回転シャフト6b、アーム6c及び突出部6dの夫々と同様の回転軸8a、回転シャフト8b、アーム8c及び突出部8dを有する。
【0012】
突出部6d、8dのそれぞれは、回転機構10に連結されている。回転機構10は、アクチュエータ12と、アーム14と、連結部16と、を備える。アクチュエータ12は、枠体4に固定されている。アクチュエータ12は、例えばサーボモータを備え、回転軸12aを中心にアーム14を回転させる。アクチュエータ12は、車両のメイン制御ユニットによって制御される。
【0013】
アーム14は、回転軸12aから後方に延び、アーム6c、8cと平行に配置されている。アーム14の後端には、連結部16が配置されている。連結部16は、矩形の平板形状の本体20と、2個の貫通孔22、24と、2個の挟持部26、28と、を有する。本体20は、アーム14に回転可能に連結されている。貫通孔22は、本体20を左右方向に貫通する。貫通孔22は、上下方向に延びている。貫通孔22の上端には、挟持部26が配置されている。挟持部26は、一対の挟持片26a、26aを備える。挟持片26aは、本体20から貫通孔22の内側に延びる2本の脚部26b、26bと、2本の脚部26b、26bの先端部を連結する当接部26cと、を備える。一対の挟持片26a、26aの当接部26c、26cは、互いに突出部6dの直径よりも小さい隙間を有して対向している。一対の挟持片26a、26aは、上下方向の両端において、互いに隙間を有して配置される。当接部26c、26cの隙間には、突出部6dが配置されている。これにより、突出部6dが、一対の挟持片26a、26aに挟持され、本体20に対して回転可能に保持されている。
【0014】
貫通孔24は、アーム14を挟んで、貫通孔22の下方に配置されている。貫通孔24及び挟持部28のそれぞれは、貫通孔22及び挟持部26のそれぞれと同様の構成を有する。即ち、挟持部28は、一対の挟持片28a、28aを有し、各挟持片28aは、2本の脚部28b、28bと、当接部28cと、を備える。突出部8dは、一対の挟持片28a、28aに挟持され、本体20に対して回転可能に保持されている。本体20と一対の挟持片26a、26aと一対の挟持片28a、28aとは、樹脂で一体成形されている。
【0015】
図1及び図2に示すように、グリルシャッタ2は、複数のフィン6、8によって枠体4の内側が閉ざされている閉状態から、ラジエータへの空気量を増加させる場合、車両のメイン制御ユニットからの指令に応じて、回転機構10が、アクチュエータ12を駆動させて、複数のフィン6、8を枠体4に対して回転させる。これにより、図3に示すように、アーム14が回転軸12aを中心に枠体4に対して上方に向かって回転する。連結部16は、アーム14の回転に伴って、上方に移動される。この結果、突出部6d、8dが連結部16に伴って上方に移動されて、アーム6c、8cが枠体4に対して上方に向かって回転する。フィン6、8が回転軸6a、8aを中心に枠体4に対して回転することによって、枠体4の内部が開放される。メイン制御ユニットは、アクチュエータ12の回転量を制御することによって、フィン6、8の回転量、即ち傾きを調整することができる。これにより、ラジエータへの空気量を調整することができる。
【0016】
しかしながら、複数のフィン6、8のうちの少なくとも1個のフィン(本実施例ではフィン8)が、例えば、凍結や小石等の小さな物体の侵入によって枠体4に固着して、枠体4に対して回転することができない場合がある。この場合、アクチュエータ12によって連結部16が上方に移動されても、突出部8dは、連結部16の移動に追従することができない。突出部8dを保持する一対の挟持片28a、28aは、突出部8dが連結部16の移動に追従しない場合に、突出部8dが一対の挟持片28a、28aの下端の隙間から抜け出て、突出部8dと連結部16の連結が解除される。
【0017】
アクチュエータ12によって連結部16が上方に移動されると、一対の挟持片28a、28aから突出部8dに上向きの力が加えられる。一対の挟持片28a、28aから突出部8dに加えられる力が予め決められた所定の力を超えると、一対の挟持片28a、28a、特に脚部28bが変形して、一対の挟持片28a、28aの下端の隙間が、突出部8dによって拡げられる。これにより、突出部8dが、一対の挟持片28a、28aの下端の隙間から抜け落ちる。図3に示すように、連結部16が上方に移動されても、突出部8dの位置は維持される。貫通孔24は、連結部16の移動に合わせて湾曲している。このため、連結部16が移動しても突出部8dが本体20と干渉せずに済む。
【0018】
これにより、フィン8が固着して回転することができない場合であっても、フィン6、8のうち、回転可能なフィン6のみを回転させることができる。この構成によると、複数のフィン6、8のうちの少なくとも1枚のフィン(実施例ではフィン8)が固着したとしても、残りのフィン(実施例ではフィン6)を回転させることによって、ラジエータに空気を供給することができる。したがって、フィン6、8が回転することができない事態を回避することによって、ラジエータに供給される空気量が減少して、ラジエータ内の冷却水の冷却性能が低下することを抑制することができる。
【0019】
例えば図3に示すように、アクチュエータ12によって、連結部16が上方に移動された状態から図2に示す位置に戻される場合、突出部8dは、一対の挟持片28a、28aの下端の隙間から、一対の挟持片28a、28aの隙間に進入して、一対の挟持片28a、28aの間に戻って保持される。この構成によると、フィン8の固着の原因が解消されると、回転機構10によって、フィン8を回転させることができる。
【0020】
(変形例)
貫通孔22、24は、フィン6、8が固着して突出部6d、8dが移動することができない状態で、連結部16が移動される状況において、本体20と移動することができない突出部6d、8dと干渉しない形状を有していればよく、例えば、上下方向に直線状であってもよい。また、貫通孔22は、挟持部28の上方に延びていてもよい。この構成によると、フィン6が閉状態から回転した位置で固着した状態で、連結部16が下方に移動される場合に、突出部6dが一対の挟持片26a、26aの上端の隙間から抜け出すことができる。貫通孔24も同様であってもよい。
【0021】
連結部16は、挟持部26、28に替えて、アクチュエータ12によって移動される連結部16から突出部6d、8dに加えられる力が予め決められた所定の力を超えると、突出部6d、8dとの連結が解除されるような機構を有していればよい。例えば、連結部16は、本体20が突出部6dの先端に対向しており、突出部6dを上下方向に挟む突起部を有していてもよい。突出部6dと突起部とは上下方向において互いに当接することによって係合していてもよい。連結部16がアクチュエータ12によって移動される場合に、突起部から突出部6dに加えられる力が所定の力を超えると、本体20、突起部及び突出部6dの少なくとも1個が変形して、突出部6dと突起部との係合が解除されて、連結部16が突出部6dを残して移動可能であってもよい。連結部16の突出部8dに対応する形状も同様であってもよい。
【0022】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0023】
2:グリルシャッタ、4:枠体、6、8:フィン、6b、8b:回転シャフト、6c、8c:アーム、6d、8d:突出部、10:回転機構、12:アクチュエータ、14:アーム、16:連結部、20:本体、22、24:貫通孔、26、28:挟持部
図1
図2
図3