(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009642
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】インパクトビームを有する車両
(51)【国際特許分類】
B60J 5/00 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B60J5/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111321
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上畑 賢美
(57)【要約】
【課題】 インパクトビームの新たな取付構造を提供する。
【解決手段】 車両は、車体と、車体の側面に設けられたサイドドアと、サイドドアに配置されたインパクトビームと、サイドドアに固定されており、インパクトビームの一端を車両左右方向の内側から支持するブラケットプレートと、サイドドアに固定されており、ブラケットプレートに車両左右方向の内側から対向するクラッシュボックスと、ブラケットプレートのクラッシュボックスに対向する面に接合された補強プレートとを備える。ブラケットプレート及び補強プレートは、クラッシュボックスが対向する範囲よりも、インパクトビームの長手方向に沿って長く延びている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の側面に設けられたサイドドアと、
前記サイドドアの内部に配置されたインパクトビームと、
前記サイドドアに固定されており、前記インパクトビームの一端を車両左右方向の内側から支持するブラケットプレートと、
前記サイドドアに固定されており、前記ブラケットプレートに前記車両左右方向の内側から対向するクラッシュボックスと、
前記ブラケットプレートの前記クラッシュボックスに対向する面に接合された補強プレートと、を備え、
前記ブラケットプレート及び前記補強プレートは、前記クラッシュボックスが対向する範囲よりも、前記インパクトビームの長手方向に沿って長く延びている、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、路面を走行する車両に関し、特に、サイドドアの内部にインパクトビームを有する車両に関する。
【0002】
特許文献1に、車両が開示されている。この車両では、サイドドアの内部に、インパクトビームが配置されている。インパクトビームの両端は、ブラケット及びリインフォースメントを用いて、サイドドアに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両では、様々な衝突試験が公的に規定されており、一定の基準をクリアすることが求められる。側面衝突に対して要求される基準も厳しくなっており、インパクトビームの取付構造に関して、新たな技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する技術は、車両に具現化される。この車両は、車体の側面に設けられたサイドドアと、前記サイドドアの内部に配置されたインパクトビームと、前記サイドドアに固定されており、前記インパクトビームの一端を車両左右方向の内側から支持するブラケットプレートと、前記サイドドアに固定されており、前記ブラケットプレートに前記車両左右方向の内側から対向するクラッシュボックスと、前記ブラケットプレートの前記クラッシュボックスに対向する面に接合された補強プレートとを備える。前記ブラケットプレート及び前記補強プレートは、前記クラッシュボックスが対向する範囲を越えて、前記インパクトビームの長手方向に延びている。
【0006】
車両に側面衝突が発生すると、インパクトビームに大きな衝突荷重が負荷される。このとき、インパクトビームの一端は、ブラケットプレート、補強プレート材及びクラッシュボックスの三者によって、車両の内側から強固に支持される。加えて、ブラケットプレート及び補強プレートは、クラッシュボックスが対向する範囲を越えて、インパクトビームの長手方向へ長く延びている。これにより、インパクトビームの一端がブラケットプレートから外れて、車両の内部へ入り込むことが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例の車両の要部であって、サイドドアの内部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、実施例の車両について説明する。ここで、図面における方向FRは、車両の前後方向における前方を示し、方向RRは、車両の前後方向における後方を示す。また、方向LHは車両の左右方向における左方を示し、方向RHは車両の左右方向における右方を示す。そして、方向UPは車両の上下方向における上方を示し、方向DWは車両の上下方向における下方を示す。
【0009】
図1から
図3に示すように、本実施例の車両は、車体の側面に設けられたサイドドア10と、サイドドア10の内部に配置されたインパクトビーム20を備える。サイドドア10は、アウタパネル12とインナパネル14を有する。アウタパネル12とインナパネル14は、それぞれ金属で構成されたパネル材であり、インパクトビーム20は、それらのパネル12、14の間に位置する。インパクトビーム20は、金属で構成されたパイプ状の部材であって、車両の前後方向に延びている。
【0010】
車両はさらに、ブラケットプレート30と、クラッシュボックス40と、補強プレート50とを備える。ブラケットプレート30は、サイドドア10の内部に位置しており、サイドドア10のインナパネル14に固定されている。ブラケットプレート30は、金属で構成された板材であり、インパクトビーム20の前端22を、車両左右方向の内側から支持している。ブラケットプレート30には、半筒形状の凹部32が形成されており、インパクトビーム20の前端22は、当該凹部32に収容されている。インパクトビーム20は、ブラケットプレート30に溶接されており、インパクトビーム20に沿って溶接ビード24が長く形成されている。
【0011】
クラッシュボックス40は、サイドドア10の内部に位置しており、サイドドア10のインナパネル14に固定されている。クラッシュボックス40は、ブラケットプレート30に対して、左右方向の内側から対向している。これにより、車両に側面衝突が発生したときに、車両の内側へ変位するインパクトビーム20の前端22が、クラッシュボックス40によって支持される。クラッシュボックス40は、金属で構成された箱状の部材であり、インパクトビーム20が当接したときに、自身が塑性変形することによって衝突エネルギーを吸収する。なお、クラッシュボックス40の具体的な構成については特に限定されない。
【0012】
補強プレート50は、金属で構成された板状の部材であり、ブラケットプレート30に接合されている。補強プレート50は、ブラケットプレート30とクラッシュボックス40との間に位置しており、ブラケットプレート30の内面30a(即ち、クラッシュボックス40に対向する面)に接合されている。特に限定されないが、補強プレート50は、複数の溶接点56(
図1中のX印)において、ブラケットプレート30に溶接されている。複数の溶接点56は、補強プレート50の全体に亘って広く分布しており、側面衝突においてブラケットプレート30及び補強プレート50に変形が生じた場合でも、両者の剥離が抑制される。補強プレート50は、インパクトビーム20の長手方向に沿って、第1の部分52と第2の部分54とに区分することができる。
【0013】
補強プレート50の第1の部分52は、クラッシュボックス40が対向する範囲A(
図2参照)に位置する部分である。特に限定されないが、第1の部分52は、概してハット形状を有しており、クラッシュボックス40と対向する面は平坦であって、ブラケットプレート30との間に一定の空間を形成する。これにより、補強プレート50の第1の部分52は、クラッシュボックス40と同様に、車両に側面衝突が発生したときは、自身が塑性変形することによって衝突エネルギーを吸収することができる。
【0014】
補強プレート50の第2の部分54は、第1の部分52から車両の後方に向けて、インパクトビーム20に沿って延びている。即ち、補強プレート50は、クラッシュボックス40が対向する範囲Aを越えて、クラッシュボックス40が対向しない範囲B(
図2参照)まで、インパクトビーム20の長手方向に延びている。特に限定されない、第2の部分54の形状は、第1の部分52の形状と異なり、ブラケットプレート30に合わせた形状となっている。前述したように、ブラケットプレート30には、円筒状の凹部32が形成されており、補強プレート50の第2の部分54にも同様に、円筒状の凹部が形成されている。
【0015】
車両に側面衝突が発生すると、インパクトビーム20には、車両の外側から大きな衝突荷重が負荷される。このとき、インパクトビーム20の前端22は、車両の内側に向けて変位するが、ブラケットプレート30、補強プレート50及びクラッシュボックス40の三者によって、車両の内側から強固に支持される。このとき、クラッシュボックス40及び補強プレート50は塑性変形し、それによって衝突エネルギーが吸収される。
【0016】
一方、インパクトビーム20の中間部分は、インパクトビーム20の前端22(及び後端)よりも、車両の内側へより大きく変位しようとする。その結果、インパクトビーム20の前端22(及び後端)では、インパクトビーム20の長手方向に沿って引張荷重が作用する。この点に関して、本実施例の車両では、ブラケットプレート30及び補強プレート50が、クラッシュボックス40が対向する範囲Aを越えて、インパクトビーム20の長手方向に長く延びている。これにより、インパクトビーム20の前端22がブラケットプレート30から外れて、車両の内部へ入り込むことが回避される。また、ブラケットプレート30及び補強プレート50は、それらの先端部分まで十分に溶接されているので、補強プレート50のエッジが車両の内部へ入り込むことも回避される。
【符号の説明】
【0017】
10:サイドドア、20:インパクトビーム、22:インパクトビームの前端、30:ブラケットプレート、40:クラッシュボックス、50:補強プレート、52:補強プレートの第1の部分、54:補強プレートの第2の部分、