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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096427
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
H01L27/146 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024077020
(22)【出願日】2024-05-10
(62)【分割の表示】P 2023031641の分割
【原出願日】2018-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 真
(72)【発明者】
【氏名】綱島 貴徳
(57)【要約】
【課題】信頼性を確保することが可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、絶縁基板と、絶縁基板上に配置され第1方向に延在し、第1方向と交差する第2方向に配列された複数のゲート線と、第2方向に延在し第1方向に配列された複数の信号線と、絶縁基板の検出領域において、複数のゲート線と複数の信号線で囲まれた領域に各々配置された複数の光電変換素子と、複数の光電変換素子の各々に対応して設けられた複数の第1スイッチング素子と、信号線と重なって第2方向に延在し、複数の光電変換素子に電源信号を供給する電源信号線と、を有し、複数の光電変換素子は絶縁基板側に設けられた下部電極と、下部電極と反対側に設けられた上部電極と、を有し、上部電極は、接続配線を介して電源信号線に接続され、第2方向に配列された複数の光電変換素子は、共通の電源信号線に接続される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板上に配置され第1方向に延在し、前記第1方向と交差する第2方向に配列された複数のゲート線と、
前記第2方向に延在し前記第1方向に配列された複数の信号線と、
前記絶縁基板の検出領域において、前記複数のゲート線と前記複数の信号線で囲まれた領域に各々配置された複数の光電変換素子と、
前記複数の光電変換素子の各々に対応して設けられた複数の第1スイッチング素子と、
前記信号線と重なって前記第2方向に延在し、前記複数の光電変換素子に電源信号を供給する電源信号線と、を有し、
前記複数の光電変換素子は前記絶縁基板側に設けられた下部電極と、前記下部電極と反対側に設けられた上部電極と、を有し、
前記上部電極は、接続配線を介して前記電源信号線に接続され、
前記第2方向に配列された前記複数の光電変換素子は、共通の前記電源信号線に接続される
検出装置。
【請求項2】
前記信号線の幅は、前記電源信号線の幅よりも大きい
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記信号線は、前記絶縁基板の法線方向において、前記絶縁基板と前記電源信号線との間に設けられる
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記複数の第1スイッチング素子の各々は、
第1半導体と、
前記絶縁基板の法線方向において、前記第1半導体と重なって設けられ、前記第2方向に延在するゲート電極と、を含み、
前記ゲート電極の延在方向は、前記接続配線の延在方向と直交する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記複数の第1スイッチング素子の各々は、
第1半導体と、
前記絶縁基板の法線方向において、前記第1半導体を挟んで設けられた第1ゲート電極と第2ゲート電極とを含み、
前記複数のゲート線は、前記第1ゲート電極に接続された第1ゲート線と、前記第2ゲート電極に接続された第2ゲート線と、を含み、
前記第2ゲート線は、前記第1ゲート線と重なって前記第1方向に延在する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第2ゲート線の幅は、前記第1ゲート線の幅と異なる
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第2ゲート線の幅は、前記第1ゲート線の幅よりも大きい
請求項5に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人認証等に用いられる指紋センサとして、光学式の指紋センサが知られている(例えば、特許文献1)。光学式の指紋センサは、照射される光量に応じて出力される信号が変化する光電変換素子を有する。特許文献1に記載されている指紋センサは、フォトダイオード等の光電変換素子が半導体基板上に複数配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0012069号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光電変換素子を駆動するバックプレーンとして、絶縁基板上に薄膜トランジスタや各種配線を形成した場合、光電変換素子や電極を成膜する際に薄膜トランジスタに不純物が侵入する可能性がある。このため、薄膜トランジスタの信頼性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、信頼性を確保することが可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、絶縁基板と、前記絶縁基板の検出領域に配列され、それぞれに照射された光に応じた信号を出力する複数の光電変換素子と、複数の前記光電変換素子のそれぞれに対応して設けられ、第1半導体、ソース電極及びドレイン電極を含む第1スイッチング素子と、前記絶縁基板の法線方向において、前記光電変換素子と前記第1スイッチング素子との間に設けられた無機絶縁層と、を有する。
【0007】
本発明の一態様の表示装置は、上記の検出装置と、画像を表示するための表示素子を有し、前記検出装置と対向して配置される表示パネルと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、検出装置を示す回路図である。
図4図4は、部分検出領域を示す回路図である。
図5図5は、検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
図6図6は、第1実施形態に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。
図7図7は、図6のVII-VII’線に沿う断面図である。
図8図8は、第2実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図9図9は、第3実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図10図10は、第4実施形態に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。
図11図11は、図10のXI-XI’線に沿う断面図である。
図12図12は、第5実施形態に係る表示装置の概略断面構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、検出装置1は、絶縁基板21と、センサ部10と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、アナログフロントエンド回路(以下、AFE(Analog Front End)と表す)48と、制御回路102と、電源回路103と、を有する。
【0011】
図1に示すように、絶縁基板21には、フレキシブルプリント基板71を介して制御基板101が電気的に接続される。フレキシブルプリント基板71には、AFE48が設けられている。制御基板101には、制御回路102及び電源回路103が設けられている。制御回路102は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路102は、センサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。電源回路103は、電源信号SVS(図4参照)等の電圧信号をセンサ部10及びゲート線駆動回路15に供給する。
【0012】
図1に示すように、絶縁基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、センサ部10が有する複数のフォトダイオードPD(図4参照)と重なる領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外側の領域であり、フォトダイオードPDと重ならない領域である。すなわち、周辺領域GAは、検出領域AAの外周と絶縁基板21の端部との間の領域である。ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、周辺領域GAに設けられる。
【0013】
図2に示すように、検出装置1は、さらに検出制御部11と検出部40と、を有する。検出制御部11の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。また、検出部40のうち、AFE48以外の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。
【0014】
センサ部10は、光電変換素子であるフォトダイオードPDを有する光センサである。センサ部10が有するフォトダイオードPDは、照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。また、センサ部10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号VGCLに従って検出を行う。
【0015】
検出制御部11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部11は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御部11は、選択信号SEL等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。
【0016】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GCL(図3参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLに接続された複数のフォトダイオードPDを選択する。
【0017】
信号線選択回路16は、複数の信号線SGL(図3参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、検出制御部11から供給される選択信号SELに基づいて、選択された信号線SGLとAFE48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、フォトダイオードPDの検出信号Vdetを検出部40に出力する。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。
【0018】
検出部40は、AFE48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、記憶部46と、検出タイミング制御部47と、を備える。検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、AFE48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、が同期して動作するように制御する。
【0019】
AFE48は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0020】
信号処理部44は、AFE48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理部44は、指が検出面に接触又は近接した場合に、AFE48からの信号に基づいて指や掌の表面の凹凸を検出できる。
【0021】
記憶部46は、信号処理部44で演算された信号を一時的に保存する。記憶部46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0022】
座標抽出部45は、信号処理部44において指の接触又は近接が検出されたときに、指等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。座標抽出部45は、センサ部10の各フォトダイオードPDから出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出部45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。
【0023】
次に、検出装置1の回路構成例及び動作例について説明する。図3は、検出装置を示す回路図である。図4は、部分検出領域を示す回路図である。図5は、検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【0024】
図3に示すように、センサ部10は、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。図4に示すように、部分検出領域PAAは、フォトダイオードPDと、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。第1スイッチング素子Trは、フォトダイオードPDに対応して設けられる。第1スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。第1スイッチング素子Trのゲートはゲート線GCLに接続される。第1スイッチング素子Trのソースは信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、フォトダイオードPDのアノード及び容量素子Caに接続される。
【0025】
フォトダイオードPDのカソードには、電源回路103から電源信号SVSが供給される。また、容量素子Caには、電源回路103から、容量素子Caの初期電位となる基準信号VR1が供給される。
【0026】
部分検出領域PAAに光が照射されると、フォトダイオードPDには光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。第1スイッチング素子Trがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SGLに電流が流れる。信号線SGLは、信号線選択回路16を介してAFE48に接続される。これにより、検出装置1は、部分検出領域PAAごとに、フォトダイオードPDに照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0027】
図3に示すように、ゲート線GCLは、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAと接続される。また、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8は、第2方向Dyに配列され、それぞれゲート線駆動回路15に接続される。なお、以下の説明において、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を区別して説明する必要がない場合には、単にゲート線GCLと表す。ゲート線GCLの数は8本であるが、あくまで一例であり、ゲート線GCLは、8本以上、例えば256本配列されていてもよい。
【0028】
なお、第1方向Dxは、絶縁基板21と平行な面内の一方向であり、例えば、ゲート線GCLと平行な方向である。また、第2方向Dyは、絶縁基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。絶縁基板21の法線方向は、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。
【0029】
信号線SGLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAに接続される。また、複数の信号線SGL1、SGL2、…、SGL12は、第1方向Dxに配列されて、それぞれ信号線選択回路16及びリセット回路17に接続される。信号線SGLの数は12本であるが、あくまで一例であり、信号線SGLは、12本以上、例えば252本配列されていてもよい。また、図3では、信号線選択回路16とリセット回路17との間にセンサ部10が設けられている。これに限定されず、信号線選択回路16とリセット回路17とは、信号線SGLの同じ方向の端部にそれぞれ接続されていてもよい。
【0030】
ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST等の各種制御信号を、レベルシフタ151を介して受け取る。ゲート線駆動回路15は、複数の第2スイッチング素子TrG(図7参照)を有している。ゲート線駆動回路15は、第2スイッチング素子TrGの動作により、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を時分割的に順次選択する。ゲート線駆動回路15は、選択されたゲート線GCLを介して、複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAが、検出対象として選択される。
【0031】
信号線選択回路16は、複数の選択信号線Lselと、複数の出力信号線Loutと、第3スイッチング素子TrSと、を有する。複数の第3スイッチング素子TrSは、それぞれ複数の信号線SGLに対応して設けられている。6本の信号線SGL1、SGL2、…、SGL6は、共通の出力信号線Lout1に接続される。6本の信号線SGL7、SGL8、…、SGL12は、共通の出力信号線Lout2に接続される。出力信号線Lout1、Lout2は、それぞれAFE48に接続される。
【0032】
ここで、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6を第1信号線ブロックとし、信号線SGL7、SGL8、…、SGL12を第2信号線ブロックとする。複数の選択信号線Lselは、1つの信号線ブロックに含まれる第3スイッチング素子TrSのゲートにそれぞれ接続される。また、1本の選択信号線Lselは、複数の信号線ブロックの第3スイッチング素子TrSのゲートに接続される。具体的には、選択信号線Lsel1、Lsel2、…、Lsel6は、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6に対応する第3スイッチング素子TrSと接続される。また、選択信号線Lsel1は、信号線SGL1に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL7に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。選択信号線Lsel2は、信号線SGL2に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL8に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。
【0033】
制御回路102(図1参照)は、レベルシフタ161を介して、選択信号SELを順次選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて信号線SGLを時分割的に順次選択する。また、信号線選択回路16は、複数の信号線ブロックで同時に1本ずつ信号線SGLを選択する。このような構成により、検出装置1は、AFE48を含むIC(Integrated Circuit)の数、又はICの端子数を少なくすることができる。
【0034】
図3に示すように、リセット回路17は、基準信号線Lvr、リセット信号線Lrst及び第4スイッチング素子TrRを有する。第4スイッチング素子TrRは、複数の信号線SGLに対応して設けられている。基準信号線Lvrは、複数の第4スイッチング素子TrRのソース又はドレインの一方に接続される。リセット信号線Lrstは、複数の第4スイッチング素子TrRのゲートに接続される。
【0035】
制御回路102は、リセット信号RST2を、レベルシフタ171を介してリセット信号線Lrstに供給する。これにより、複数の第4スイッチング素子TrRがオンになり、複数の信号線SGLは基準信号線Lvrと電気的に接続される。電源回路103は、基準信号VR1を基準信号線Lvrに供給する。これにより、複数の部分検出領域PAAに含まれる容量素子Caに基準信号VR1が供給される。
【0036】
図5に示すように、検出装置1は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを有する。電源回路103は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetに亘って、電源信号SVSをフォトダイオードPDのカソードに供給する。また、リセット期間Prstが開始する前の時刻に、制御回路102は、高レベル電圧信号の基準信号VR1及びリセット信号RST2を、リセット回路17に供給する。制御回路102は、ゲート線駆動回路15にスタート信号STVを供給し、リセット期間Prstが開始する。
【0037】
リセット期間Prstにおいて、ゲート線駆動回路15に含まれるシフトレジスタは、スタート信号STV、クロック信号CK及びリセット信号RST1に基づいて、順次ゲート線GCLを選択する。ゲート線駆動回路15は、ゲート駆動信号VGCLをゲート線GCLに順次供給する。ゲート駆動信号VGCLは、高レベル電圧VGHと低レベル電圧VGLとを有するパルス状の波形を有する。図5では、256本のゲート線GCLが設けられており、各ゲート線GCLに、ゲート駆動信号VGCL1、…、VGCL256が順次供給される。
【0038】
これにより、リセット期間Prstでは、全ての部分検出領域PAAの容量素子Caは、順次信号線SGLと電気的に接続されて、基準信号VR1が供給される。この結果、容量素子Caの容量がリセットされる。
【0039】
ゲート駆動信号VGCL256がゲート線GCLに供給された後に、露光期間Pexが開始する。なお、各ゲート線GCLに対応する部分検出領域PAAでの、実際の露光期間Pex1、…、Pex256は、開始のタイミング及び終了のタイミングが異なっている。露光期間Pex1、…、Pex256は、それぞれ、リセット期間Prstでゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧VGHから低レベル電圧VGLに変化したタイミングで開始される。また、露光期間Pex1、…、Pex256は、それぞれ、読み出し期間Pdetでゲート駆動信号VGCLが低レベル電圧VGLから高レベル電圧VGHに変化したタイミングで終了する。露光期間Pex1、…、Pex256の露光時間の長さは等しい。
【0040】
露光期間Pexでは、各部分検出領域PAAで、フォトダイオードPDに照射された光に応じて電流が流れる。この結果、各容量素子Caに電荷が蓄積される。
【0041】
読み出し期間Pdetが開始する前のタイミングで、制御回路102は、リセット信号RST2を低レベル電圧にする。これにより、リセット回路17の動作が停止する。読み出し期間Pdetでは、リセット期間Prstと同様に、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLにゲート駆動信号VGCL1、…、VGCL256を順次供給する。
【0042】
例えば、ゲート駆動信号VGCL1が高レベル電圧VGHの期間に、制御回路102は、選択信号SEL1、…、SEL6を、信号線選択回路16に順次供給する。これにより、ゲート駆動信号VGCL1により選択された部分検出領域PAAの信号線SGLが順次、又は同時にAFE48に接続される。この結果、検出信号VdetがAFE48に供給される。同様に、各ゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧VGHとなる期間ごとに、信号線選択回路16が順次信号線SGLを選択する。これにより、読み出し期間Pdetで、検出装置1は、全ての部分検出領域PAAの検出信号VdetをAFE48に出力することができる。
【0043】
検出装置1は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを、繰り返し実行して指紋検出を行ってもよい。或いは、検出装置1は、指等が検出面に接触又は近接したことを検出したタイミングで、検出動作を開始してもよい。
【0044】
次に、検出装置1の詳細な構成について説明する。図6は、第1実施形態に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。図7は、図6のVII-VII’線に沿う断面図である。図7では、検出領域AAの層構造と周辺領域GAの層構造との関係を示すために、VII-VII’線に沿う断面と、周辺領域GAの第2スイッチング素子TrGを含む部分の断面とを、模式的に繋げて示している。さらに、図7では、周辺領域GAの端子部72を含む部分の断面を模式的に繋げて示している。
【0045】
なお、検出装置1の説明において、絶縁基板21の表面に垂直な方向において、絶縁基板21からフォトダイオードPDに向かう方向を「上側」とする。フォトダイオードPDから絶縁基板21に向かう方向を「下側」とする。また、「平面視」とは、絶縁基板21の表面に垂直な方向から見た場合を示す。
【0046】
図6に示すように、部分検出領域PAAは、ゲート線GCLと、信号線SGLとで囲まれた領域である。本実施形態では、ゲート線GCLは、第1ゲート線GCLAと第2ゲート線GCLBとを含む。第1ゲート線GCLAは、第2ゲート線GCLBと重なって設けられる。第1ゲート線GCLAと第2ゲート線GCLBとは、絶縁層(第5無機絶縁層22c及び第6無機絶縁層22d(図7参照))を介して異なる層に設けられている。第1ゲート線GCLAと第2ゲート線GCLBとは、任意の箇所で電気的に接続され、同じ電位を有するゲート駆動信号VGCLが供給される。第1ゲート線GCLA及び第2ゲート線GCLBの少なくとも一方が、ゲート線駆動回路15に接続される。なお、図6では、第1ゲート線GCLAと第2ゲート線GCLBとは異なる幅を有しているが、同じ幅であってもよい。
【0047】
フォトダイオードPDは、ゲート線GCLと、信号線SGLとで囲まれた領域に設けられる。フォトダイオードPDは、第3半導体31と、上部電極34と、下部電極35とを含む。フォトダイオードPDは、例えば、PIN(Positive Intrinsic Negative Diode)型のフォトダイオードである。
【0048】
図6に示すように、上部電極34は、接続配線36を介して電源信号線Lvsと接続される。電源信号線Lvsは、電源信号SVSをフォトダイオードPDに供給する配線である。本実施形態では、電源信号線Lvsは、信号線SGLと重なって第2方向Dyに延在する。第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAは、共通の電源信号線Lvsに接続される。このような構成により、部分検出領域PAAの開口を大きくすることができる。下部電極35、第3半導体31及び上部電極34は、平面視で四角形状である。ただし、これに限定されず、下部電極35、第3半導体31及び上部電極34の形状は適宜変更できる。
【0049】
第1スイッチング素子Trは、ゲート線GCLと信号線SGLとの交差部の近傍に設けられる。第1スイッチング素子Trは、第1半導体61、ソース電極62、ドレイン電極63、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bを含む。
【0050】
第1半導体61は、酸化物半導体である。より好ましくは、第1半導体61は、酸化物半導体のうち透明アモルファス酸化物半導体(TAOS:Transparent Amorphous Oxide Semiconductor)である。第1スイッチング素子Trに酸化物半導体を用いることにより、第1スイッチング素子Trのリーク電流を抑制できる。すなわち、第1スイッチング素子Trは、図5に示す読み出し期間Pdetにおいて、非選択の部分検出領域PAAからのリーク電流を低減できる。このため、検出装置1は、S/N比を向上させることができる。
【0051】
第1半導体61は、第1方向Dxに沿って設けられ、平面視で第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bと交差する。第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bは、それぞれ第1ゲート線GCLA及び第2ゲート線GCLBから分岐して設けられる。言い換えると、第1ゲート線GCLA及び第2ゲート線GCLBのうち、第1半導体61と重なる部分が第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bとして機能する。第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bは、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金が用いられる。また、第1半導体61の、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bと重なる部分にチャネル領域が形成される。
【0052】
第1半導体61の一端は、コンタクトホールH1を介してソース電極62と接続される。第1半導体61の他端は、コンタクトホールH2を介してドレイン電極63と接続される。信号線SGLのうち、第1半導体61と重なる部分がソース電極62である。また、第3導電層67のうち、第1半導体61と重なる部分がドレイン電極63として機能する。第3導電層67はコンタクトホールH3を介して下部電極35と接続される。このような構成により、第1スイッチング素子Trは、フォトダイオードPDと信号線SGLとの間の接続と遮断とを切り換え可能になっている。
【0053】
次に第1スイッチング素子Tr及びフォトダイオードPDの層構成について説明する。図7に示すように、フォトダイオードPDは、バックプレーン2の上に設けられる。バックプレーン2は、所定の検出領域ごとにセンサを駆動する駆動回路基板である。バックプレーン2は、絶縁基板21と、絶縁基板21に設けられた第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子TrG及び各種配線等を有する。
【0054】
第1スイッチング素子Trは、絶縁基板21に設けられている。絶縁基板21は、例えばガラス基板である。或いは、絶縁基板21は、ポリイミド等の樹脂で構成された樹脂基板又は樹脂フィルムであってもよい。検出装置1は、酸化物半導体を含む第1スイッチング素子Trが絶縁基板21の上に形成される。このため、例えばシリコン基板などの半導体基板を用いた場合に比べ、検出装置1は、検出領域AAの面積を大きくすることが容易である。
【0055】
第2ゲート電極64Bは、第3無機絶縁層22a及び第4無機絶縁層22bを介して絶縁基板21の上に設けられる。第3無機絶縁層22aから第9無機絶縁層22gは、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等が用いられる。また、各無機絶縁層は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0056】
第5無機絶縁層22cは、第2ゲート電極64Bを覆って第4無機絶縁層22bの上に設けられる。第1半導体61、第1導電層65及び第2導電層66は、第5無機絶縁層22cの上に設けられる。第1導電層65は、第1半導体61のうちソース電極62と接続される端部を覆って設けられる。第2導電層66は、第1半導体61のうちドレイン電極63と接続される端部を覆って設けられる。
【0057】
第6無機絶縁層22dは、第1半導体61、第1導電層65及び第2導電層66を覆って第5無機絶縁層22cの上に設けられる。第1ゲート電極64Aは、第6無機絶縁層22dの上に設けられる。第1半導体61は、絶縁基板21に垂直な方向において、第1ゲート電極64Aと第2ゲート電極64Bとの間に設けられる。つまり、第1スイッチング素子Trは、いわゆるデュアルゲート構造である。ただし、第1スイッチング素子Trは、第1ゲート電極64Aが設けられ、第2ゲート電極64Bが設けられないトップゲート構造でもよく、第1ゲート電極64Aが設けられず、第2ゲート電極64Bのみが設けられるボトムゲート構造でもよい。
【0058】
第7無機絶縁層22eは、第1ゲート電極64Aを覆って第6無機絶縁層22dの上に設けられる。ソース電極62(信号線SGL)及びドレイン電極63(第3導電層67)は、第7無機絶縁層22eの上に設けられる。本実施形態では、ドレイン電極63は、第1半導体61の上に第6無機絶縁層22d及び第7無機絶縁層22eを介して設けられた第3導電層67である。また、第5無機絶縁層22cから第7無機絶縁層22eは、第1スイッチング素子Trの層間を絶縁する層間絶縁層であり、ソース電極62及びドレイン電極63は、第1半導体61の上側に層間絶縁層を介して設けられる。第6無機絶縁層22d及び第7無機絶縁層22eにはコンタクトホールH1、コンタクトホールH2が設けられる。コンタクトホールH1の底部には第1導電層65が露出する。ソース電極62は、コンタクトホールH1及び第1導電層65を介して第1半導体61と電気的に接続される。同様に、コンタクトホールH2の底部には第2導電層66が露出する。ドレイン電極63は、コンタクトホールH2及び第2導電層66を介して第1半導体61と電気的に接続される。
【0059】
第1導電層65は、ソース電極62と第1半導体61との間において、少なくともコンタクトホールH1の底部と重なる部分に設けられ、第1半導体61と接する。第2導電層66は、ドレイン電極63と第1半導体61との間において、少なくともコンタクトホールH2の底部と重なる部分に設けられ、第1半導体61と接する。第1導電層65及び第2導電層66が設けられているため、検出装置1は、コンタクトホールH1、H2をエッチングにより形成する際に、第1半導体61がエッチング液により除去されることを抑制できる。つまり、検出装置1は、検出領域AAの第1スイッチング素子Trと、周辺領域GAの第2スイッチング素子TrGとを同じ工程で形成することができるため、製造コストを抑制できる。
【0060】
第1導電層65、第2導電層66及び第3導電層67は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)等の金属材料又はこれらの合金が用いられる。第1導電層65及び第2導電層66は、コンタクトホールH1、H2を形成する際にエッチングの進行を抑制する導電材料であればよい。
【0061】
第3導電層67は、平面視で、フォトダイオードPDと重なる領域に設けられる。第3導電層67は、第1半導体61、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bの上側にも設けられる。つまり、第3導電層67は、絶縁基板21に垂直な方向において、第1ゲート電極64Aと下部電極35との間に設けられる。これにより、第3導電層67は、第1スイッチング素子Trを保護する保護層としての機能を有する。
【0062】
第2導電層66は、第1半導体61と重ならない領域において、第3導電層67と対向して延在する。また、第1半導体61と重ならない領域において、第6無機絶縁層22dの上に第4導電層68が設けられる。第4導電層68は、第2導電層66と第3導電層67との間に設けられる。これにより、第2導電層66と第4導電層68との間に容量が形成され、第3導電層67と第4導電層68との間に容量が形成される。第2導電層66、第3導電層67及び第4導電層68により形成される容量は、図4に示す容量素子Caの容量である。
【0063】
第1有機絶縁層23aは、ソース電極62(信号線SGL)及びドレイン電極63(第3導電層67)を覆って、第7無機絶縁層22eの上に設けられる。第1有機絶縁層23aは、第1スイッチング素子Trや、各種導電層で形成される凹凸を平坦化する平坦化層である。
【0064】
絶縁基板21の法線方向において、第1無機絶縁層25は第1有機絶縁層23aとフォトダイオードPDとの間に設けられる。第1無機絶縁層25は、第1有機絶縁層23aの上面を覆う。フォトダイオードPDの下部電極35は、第1無機絶縁層25の上に設けられる。言い換えると、第1無機絶縁層25は、絶縁基板21の法線方向において、フォトダイオードPDと第1スイッチング素子Trとの間に設けられる。第1無機絶縁層25は、平面視で、複数の部分検出領域PAAに跨がって連続して設けられる。なお、第1無機絶縁層25は、部分検出領域PAAごとに設けられていてもよく、少なくとも、フォトダイオードPDと重なる領域及び第1スイッチング素子Trと重なる領域に亘って設けられていてもよい。
【0065】
第1無機絶縁層25は、酸化アルミニウム膜(Al)、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等が用いられる。第1無機絶縁層25は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0066】
図7に示すように、フォトダイオードPDは、バックプレーン2の第1無機絶縁層25の上に、下部電極35、第3半導体31、上部電極34の順に積層される。
【0067】
第3半導体31は、アモルファスシリコン(a-Si)である。第3半導体31は、i型半導体32a、p型半導体32b及びn型半導体32cを含む。i型半導体32a、p型半導体32b及びn型半導体32cは、光電変換素子の一具体例である。図7では、絶縁基板21の表面に垂直な方向において、n型半導体32c、i型半導体32a及びp型半導体32bの順に積層されている。ただし、反対の構成、つまり、p型半導体32b、i型半導体32a及びn型半導体32cの順に積層されていてもよい。
【0068】
下部電極35は、フォトダイオードPDのアノードであり、検出信号Vdetを読み出すための電極である。下部電極35は、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)等の金属材料が用いられる。又は、下部電極35は、これらの金属材料が複数積層された積層膜であってもよい。下部電極35は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料であってもよい。
【0069】
下部電極35は、第1有機絶縁層23aに設けられたコンタクトホールH3及び第1無機絶縁層25に設けられた開口25aを介して第3導電層67と電気的に接続される。開口25aはコンタクトホールH3と連通して設けられる。また、第3導電層67は、フォトダイオードPDのアノードである下部電極35と電気的に接続されるとともに、フォトダイオードPDと、第1スイッチング素子Trの第1ゲート電極64Aとの間に設けられる。
【0070】
n型半導体32cは、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。p型半導体32bは、a-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。i型半導体32aは、例えば、ノンドープの真性半導体であり、n型半導体32c及びp型半導体32bよりも低い導電性を有する。
【0071】
上部電極34は、フォトダイオードPDのカソードであり、電源信号SVSを光電変換層に供給するための電極である。上部電極34は、例えばITO等の透光性導電層であり、フォトダイオードPDごとに複数設けられる。
【0072】
第1無機絶縁層25の上に、第8無機絶縁層22f及び第9無機絶縁層22gが設けられている。第8無機絶縁層22fは、上部電極34の周縁部を覆い、上部電極34と重なる位置に開口が設けられている。接続配線36は、上部電極34のうち、第8無機絶縁層22fが設けられていない部分で上部電極34と接続される。第9無機絶縁層22gは、上部電極34及び接続配線36を覆って第8無機絶縁層22fの上に設けられる。第9無機絶縁層22gの上に平坦化層である第2有機絶縁層23bが設けられる。
【0073】
周辺領域GAには、ゲート線駆動回路15の第2スイッチング素子TrGが設けられている。第2スイッチング素子TrGは、第1スイッチング素子Trと同一の絶縁基板21に設けられる。第2スイッチング素子TrGは、第2半導体81、ソース電極82、ドレイン電極83及びゲート電極84を含む。
【0074】
第2半導体81は、ポリシリコンである。より好ましくは、第2半導体81は、低温ポリシリコン(以下、LTPS(Low Temperature Polycrystalline Silicone)と表す)である。LTPSを用いた第2スイッチング素子TrGは、600℃以下のプロセス温度で製造できる。このため、ゲート線駆動回路15や信号線選択回路16等の回路を、第1スイッチング素子Trと同一基板上に形成できる。ポリシリコンは、a-Siに比べキャリアの移動度が高い。このため、検出装置1は、第2スイッチング素子TrGにポリシリコンを用いることにより、ゲート線駆動回路15を小型化できる。この結果、検出装置1は、周辺領域GAの面積を小さくすることができる。また、ポリシリコンを用いた第2スイッチング素子TrGは、a-Siに比べ信頼性が高い。
【0075】
第2半導体81は、第3無機絶縁層22aの上に設けられる。つまり、第1スイッチング素子Trの第1半導体61は、絶縁基板21に垂直な方向において、第2スイッチング素子TrGの第2半導体81よりも絶縁基板21から離れた位置に設けられる。これにより、ポリシリコンからなる第2半導体81と、酸化物半導体からなる第1半導体61を同一の絶縁基板21に形成できる。
【0076】
ゲート電極84は、第4無機絶縁層22bを介して第2半導体81の上側に設けられる。ゲート電極84は、第2ゲート電極64Bと同層に設けられる。第2スイッチング素子TrGは、いわゆるトップゲート構造である。ただし、第2スイッチング素子TrGは、デュアルゲート構造でもよく、ボトムゲート構造でもよい。
【0077】
ソース電極82及びドレイン電極83は、第7無機絶縁層22eの上に設けられる。ソース電極82及びドレイン電極83は、第1スイッチング素子Trのソース電極62及びドレイン電極63と同層に設けられる。コンタクトホールH4、H5は、第4無機絶縁層22bから第7無機絶縁層22eに亘って設けられる。ソース電極82は、コンタクトホールH4を介して第2半導体81と電気的に接続される。ドレイン電極83は、コンタクトホールH5を介して第2半導体81と電気的に接続される。
【0078】
コンタクトホールH4、H5は、4層の無機絶縁層(第4無機絶縁層22bから第7無機絶縁層22e)に形成され、コンタクトホールH1、H2は、2層の無機絶縁層(第6無機絶縁層22d、第7無機絶縁層22e)に形成される。つまり、コンタクトホールH4、H5の、絶縁基板21に垂直な方向での長さは、コンタクトホールH1、H2よりも長い。この場合であっても、第1スイッチング素子Trには、第1導電層65及び第2導電層66が設けられているため、検出装置1は、コンタクトホールH1、H2とコンタクトホールH4、H5とを同一工程で形成できる。
【0079】
第1無機絶縁層25は、検出領域AA及び周辺領域GAに亘って設けられる。すなわち、第1無機絶縁層25は、第2スイッチング素子TrGと重なる領域に亘って設けられる。
【0080】
なお、図3に示す、信号線選択回路16が有する第3スイッチング素子TrSも、第2スイッチング素子TrGと同様の構成とすることができる。すなわち、第3スイッチング素子TrSの半導体は、ポリシリコンであり、より好ましくはLTPSである。この場合、検出装置1は、信号線選択回路16の回路規模を抑制できる。これに限定されず、第3スイッチング素子TrSの半導体は、TAOSを含む酸化物半導体であってもよい。同様に、図3に示す、リセット回路17が有する第4スイッチング素子TrRも、第2スイッチング素子TrGと同様の構成とすることができる。すなわち、第4スイッチング素子TrRの半導体は、ポリシリコンであり、より好ましくはLTPSである。この場合、検出装置1は、リセット回路17の回路規模を抑制できる。これに限定されず、第4スイッチング素子TrRの半導体は、TAOSを含む酸化物半導体であってもよい。
【0081】
端子部72は、周辺領域GAのうち、ゲート線駆動回路15が設けられた領域とは異なる位置に設けられる。端子部72は、第1端子導電層73、第2端子導電層74、第3端子導電層75及び第4端子導電層76を有する。第1端子導電層73は、第2ゲート電極64Bと同層に、第4無機絶縁層22bの上に設けられる。コンタクトホールH6は、第5無機絶縁層22c、第6無機絶縁層22d、第7無機絶縁層22e及び第1有機絶縁層23aを連通して設けられる。
【0082】
第2端子導電層74、第3端子導電層75及び第4端子導電層76は、コンタクトホールH6内に、この順で積層され、第1端子導電層73と電気的に接続される。第2端子導電層74は、第3導電層67等と同じ材料を用い、同じ工程で形成できる。また、第3端子導電層75は、下部電極35と同じ材料を用い、同じ工程で形成できる。第4端子導電層76は、接続配線36及び電源信号線Lvs(図6参照)と同じ材料を用い、同じ工程で形成できる。
【0083】
なお、図7では1つの端子部72を示しているが、端子部72は間隔を有して複数配列される。複数の端子部72は、例えばACF(Anisotropic Conductive Film)等により、フレキシブルプリント基板71(図1参照)と電気的に接続される。
【0084】
以上説明したように、本実施形態の検出装置1は、絶縁基板21と、絶縁基板21の検出領域AAに配列され、それぞれに照射された光に応じた信号を出力する複数の光電変換素子(フォトダイオードPD)と、複数の光電変換素子のそれぞれに対応して設けられ、第1半導体61、ソース電極62及びドレイン電極63を含む第1スイッチング素子Trと、絶縁基板21の法線方向において、光電変換素子と第1スイッチング素子Trとの間に設けられた第1無機絶縁層25と、を有する。
【0085】
これによれば、第1無機絶縁層25は、フォトダイオードPDから発生する水素(H)が、第1スイッチング素子Trに拡散することを抑制できる。つまり、第1無機絶縁層25は、水素(H)の透過を抑制するバリア層として機能する。フォトダイオードPDから発生する水素(H)は、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)からなる第3半導体31を成膜する際や、ITOで形成された下部電極35を熱処理する際に生じる。これにより、検出装置1は、水素(H)の拡散による第1スイッチング素子Trの第1半導体61等の特性の変化を抑制して、信頼性を確保することができる。
【0086】
また、本実施形態の検出装置1は、第1スイッチング素子Trを覆う平坦化膜(第1有機絶縁層23a)を有し、絶縁基板21の法線方向において、第1無機絶縁層25は平坦化膜と光電変換素子との間に設けられる。
【0087】
これによれば、第1無機絶縁層25は、フォトダイオードPDの製造工程において平坦化膜への影響を抑制することができる。また、フォトダイオードPDとしてアモルファスシリコン(a-Si)を用いた構成を説明したが、これに限定されない。フォトダイオードPDは、有機材料を用いてもよい。この場合であっても、第1無機絶縁層25により、フォトダイオードPDの有機材料と第1有機絶縁層23aとが接しないので、フォトダイオードPDの製造工程において平坦化膜への影響を抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態の検出装置1において、ソース電極62及びドレイン電極63は、第1半導体61の上側に層間絶縁層(第6無機絶縁層22d、第7無機絶縁層22e)を介して設けられ、それぞれ、層間絶縁層に設けられたコンタクトホールH1、H2を介して第1半導体61と電気的に接続され、平坦化膜は、ソース電極62及びドレイン電極63を覆う。すなわち、第1無機絶縁層25は、第1スイッチング素子Trが有する複数の層間絶縁層とは異なる層に設けられ、水素(H)の透過を抑制するバリア層として機能する。
【0089】
また、本実施形態の検出装置1において、第1無機絶縁層25は、第2スイッチング素子TrGと重なる領域に亘って設けられる。これにより、検出装置1は、水素(H)の拡散による第2スイッチング素子TrGの特性の変化を抑制することができる。
【0090】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。なお、以下の説明において、上述した実施形態で説明した構成要素については、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0091】
図8に示すように、本実施形態の検出装置1Aにおいて、第1無機絶縁層25に替えて第2無機絶縁層25Aが設けられている。絶縁基板21の法線方向において、第2無機絶縁層25Aは、第1有機絶縁層23aと第1スイッチング素子Trとの間に設けられる。具体的には、第2無機絶縁層25Aは、ソース電極62(信号線SGL)及びドレイン電極63(第3導電層67)を覆って第7無機絶縁層22eの上に設けられる。また、フォトダイオードPDの下部電極35は、第1有機絶縁層23aの上に設けられる。
【0092】
本実施形態においても、第2無機絶縁層25Aは、フォトダイオードPDから発生する水素(H)が第1スイッチング素子Trに透過することを抑制することができる。
【0093】
また、第2無機絶縁層25Aは、第2スイッチング素子TrGと重なる領域に亘って設けられ、ソース電極82及びドレイン電極83を覆う。これにより、フォトダイオードPDから発生する水素(H)が、第2スイッチング素子TrGに透過することを抑制することができる。
【0094】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。図9に示すように、本実施形態の検出装置1Bにおいて、第1無機絶縁層25に加え第2無機絶縁層25Aが設けられている。第1無機絶縁層25は、絶縁基板21の法線方向において、第1有機絶縁層23aとフォトダイオードPDとの間に設けられる。第2無機絶縁層25Aは、第1有機絶縁層23aと第1スイッチング素子Trとの間に設けられる。具体的には、第2無機絶縁層25Aは、第1スイッチング素子Trのソース電極62(信号線SGL)及びドレイン電極63(第3導電層67)を覆う。絶縁基板21の法線方向において、第1有機絶縁層23aは、第1無機絶縁層25と、第2無機絶縁層25Aとの間に挟まれて配置される。
【0095】
本実施形態においても、第1無機絶縁層25及び第2無機絶縁層25Aは、フォトダイオードPDから発生する水素(H)が、第1スイッチング素子Trに透過することを抑制することができる。これにより、第1実施形態及び第2実施形態に比べてフォトダイオードPDから発生する水素(H)を遮蔽する効果を高めることができる。また、第1無機絶縁層25及び第2無機絶縁層25Aは、周辺領域GAにも設けられ、第2スイッチング素子TrGと重なる領域に亘って設けられる。
【0096】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態に係る検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。図11は、図10のXI-XI’線に沿う断面図である。図10に示すように、第1ゲート線GCLA(第1ゲート電極64A)と第2ゲート線GCLB(第2ゲート電極64B)とは、複数の第2ゲート線GCLBと複数の信号線SGLとで囲まれた領域で、電気的に接続される。なお、複数の第2ゲート線GCLBと複数の信号線SGLとで囲まれた領域とは、隣り合う信号線SGLの間の第2ゲート線GCLBと重なる領域も含む。
【0097】
具体的には、第1ゲート線GCLAは、第2方向Dyに延在して、第2ゲート線GCLBは、第1方向Dxに延在している。第2ゲート線分岐部GCLBaは、第2ゲート線GCLBから分岐して第2方向Dyに延在する。第1ゲート線GCLAは、第2ゲート線分岐部GCLBaと重なって設けられる。ゲート線接続層CNGCLは、第1ゲート線GCLA及び第2ゲート線GCLBの一部と重なって設けられる。
【0098】
図11に示すように、第2ゲート線GCLBは、第4無機絶縁層22bの上に設けられる。第1ゲート線GCLAは、第6無機絶縁層22dの上に設けられる。ゲート線接続層CNGCLは第7無機絶縁層22eの上に設けられる。第1ゲート線GCLAは、第7無機絶縁層22eに設けられたコンタクトホールGH1を介してゲート線接続層CNGCLと接続される。第2ゲート線GCLBは、第5無機絶縁層22cから第7無機絶縁層22eを貫通して設けられたコンタクトホールGH2を介してゲート線接続層CNGCLと接続される。これにより、第1ゲート線GCLAと第2ゲート線GCLBとは、ゲート線接続層CNGCLを介して電気的に接続される。
【0099】
本実施形態では、部分検出領域PAAのそれぞれにおいて、第1ゲート線GCLA(第1ゲート電極64A)と第2ゲート線GCLB(第2ゲート電極64B)とが電気的に接続される。このため、周辺領域GAで第1ゲート線GCLAと第2ゲート線GCLBとが電気的に接続された構成に比べて、第1ゲート電極64Aに印加される電圧と第2ゲート電極64Bに印加される電圧の差を小さくすることができる。
【0100】
(第5実施形態)
図12は、第5実施形態に係る表示装置の概略断面構成を示す断面図である。図12に示すように、表示装置120は、検出装置1と、表示パネル121と、タッチパネル122と、カバーガラス123とを有する。表示パネル121は、例えば、表示素子として発光素子を用いた有機ELディスプレイパネル(OLED: Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイ(マイクロLED、ミニLED(Mini-LED))であってもよい。或いは、表示パネル20は、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であってもよい。また、検出装置1に用いる光電変換素子としてアモルファスシリコン材料を用いていたが、代わりに有機材料等を用いてもよい。
【0101】
表示パネル121は、第1主面121aと、第1主面121aと反対側の第2主面121bとを有する。第1主面121aは、表示素子からの光L1をカバーガラス123に向けて照射して、画像を表示する面である。第1主面121aは、画像を表示する表示領域DAを有する。
【0102】
タッチパネル122は、例えば静電容量方式により、カバーガラス123の表面に接触又は近接する指Fgを検出する。タッチパネル122は、透光性を有し、光L1及びカバーガラス123と空気との界面で反射した光L2を透過できる。なお、表示装置120は、タッチパネル122を有さない構成であってもよい。また、表示パネル121は、タッチパネル122と一体化されていてもよく、タッチパネル122の機能を内蔵してもよい。
【0103】
カバーガラス123は、表示パネル121等を保護するための部材であり、表示パネル121等を覆っている。カバーガラス123は、例えばガラス基板である。なお、カバーガラス123に限定されず、樹脂基板等がタッチパネル122の上に設けられていてもよい。
【0104】
検出装置1は、表示パネル121の第2主面121bと対向して設けられる。検出装置1は、カバーガラス123と空気との界面で反射した光L2を検出することで、指Fgの表面の凹凸を検出できる。検出装置1は大面積化が容易であるため、検出装置1の検出領域AAは、表示パネル121の表示領域DAの全体と対向して設けられる。なお、これに限定されず、検出領域AAは、表示パネル121の表示領域DAの一部と対向していてもよい。
【0105】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【0106】
例えば、検出装置1、1A、1Bは、指Fgの指紋を検出する指紋センサとして用いられる場合に限定されない。検出装置1、1A、1Bは、指Fgや掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素濃度等、種々の生体に関する情報を検出する生体センサとして用いることもできる。
【符号の説明】
【0107】
1、1A、1B 検出装置
2 バックプレーン
10 センサ部
15 ゲート線駆動回路
16 信号線選択回路
17 リセット回路
21 絶縁基板
25 第1無機絶縁層
25A 第2無機絶縁層
31 第3半導体
34 上部電極
35 下部電極
36 接続配線
48 AFE
61 第1半導体
62 ソース電極
63 ドレイン電極
64A 第1ゲート電極
64B 第2ゲート電極
81 第2半導体
82 ソース電極
83 ドレイン電極
84 ゲート電極
120 表示装置
AA 検出領域
GA 周辺領域
GCL ゲート線
PAA 部分検出領域
PD フォトダイオード
SGL 信号線
Tr 第1スイッチング素子
TrG 第2スイッチング素子
TrS 第3スイッチング素子
TrR 第4スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12