(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096447
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】フィルムコーティング紙容器の製造装置及びフィルムコーティング紙容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B31D 5/02 20170101AFI20240705BHJP
B29C 51/12 20060101ALI20240705BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20240705BHJP
B29C 53/04 20060101ALI20240705BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B31D5/02
B29C51/12
B29C51/10
B29C53/04
B65D77/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024077711
(22)【出願日】2024-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】喜久川 智美
(57)【要約】
【課題】内部空間におけるシール性をより良好とすることが可能なフィルムコーティング紙容器をより確実に製造可能なフィルムコーティング紙容器の製造装置等を提供する。
【解決手段】フィルムコーティング紙容器は、フランジ紙パーツ及び本体紙パーツを有してなる仮組容器本体を備える。仮組容器本体を得るにあたっては、まず、基準線BL方向にヘッド部2112及び第一紙部材を相対移動させ、第一紙部材を斜面部2112bに押し当てることにより第一紙部材を折り曲げてフランジ紙パーツ2を得る。次いで、フランジ紙パーツ2のフラップ部2bが斜面部2112bに沿う状態を維持したまま、斜面部2112bに沿わせるようにして第二紙部材を折り曲げることで本体紙パーツを得る。その結果、フラップ部2bの外側に側壁部が配置されてなる仮組容器本体が得られる。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の平坦なフランジ部、及び、該フランジ部との境界部分にて折り曲げられることで該フランジ部の内縁部から垂れ下がる状態とされたフラップ部を有するフランジ紙パーツと、
平坦な底壁部、及び、該底壁部との境界部分にて折り曲げられることで該底壁部の外縁部から立ち上がる状態とされるとともに前記フラップ部の外側に配置される側壁部を有する本体紙パーツと、
前記フランジ部、前記フラップ部、前記側壁部及び前記底壁部に対しこれらを覆うようにして取着されるフィルム部材と
を備えてなるフィルムコーティング紙容器の製造装置であって、
全体が平坦な折り曲げ前の前記フランジ紙パーツである第一紙部材を折り曲げて前記フランジ紙パーツを得るとともに、全体が平坦な折り曲げ前の前記本体紙パーツである第二紙部材を折り曲げて前記本体紙パーツを得て、さらに、前記フラップ部の外側に前記側壁部が配置された、前記フランジ紙パーツ及び前記本体紙パーツを仮組してなる仮組容器本体を得る仮組手段と、
前記側壁部及び前記底壁部に対応する形状の収容凹部を有するとともに、前記仮組手段から受け渡された前記仮組容器本体を前記収容凹部に配置した状態で保持する容器本体保持手段と、
前記収容凹部に前記仮組容器本体が配置された状態で、前記フランジ部、前記フラップ部、前記側壁部及び前記底壁部に対しこれらを覆うようにして前記フィルム部材を取着するフィルム取着手段とを備え、
前記仮組手段は、
前記底壁部に対応する頂部と前記側壁部に対応する斜面部とを有し、所定の基準線方向に沿って山型状に突出するヘッド部と、
前記基準線方向に前記ヘッド部及び前記第一紙部材を相対移動させ、前記第一紙部材における前記フラップ部に相当する部位を前記斜面部に押し当てることにより前記第一紙部材を折り曲げて、前記フラップ部が前記斜面部に沿う状態の前記フランジ紙パーツを得る第一折り曲げ手段と、
前記フラップ部が前記斜面部に沿う状態を維持したまま、前記第二紙部材における前記側壁部に対応する部位を前記斜面部に沿わせるようにして前記第二紙部材を折り曲げることにより、前記フラップ部の外側に前記側壁部が配置されてなる前記仮組容器本体を得る第二折り曲げ手段とを有することを特徴とするフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【請求項2】
前記第二折り曲げ手段は、前記斜面部に対し出没動作可能であるとともに、前記第二紙部材における前記側壁部に対応する部位を吸着可能な側壁部吸着手段を具備し、
前記側壁部吸着手段は、前記斜面部から突出した状態で前記第二紙部材における前記側壁部に対応する部位を吸着可能であるとともに、該部位の吸着を維持した状態で前記斜面部に没入することにより前記第二紙部材を折り曲げ可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【請求項3】
前記第二折り曲げ手段は、
前記側壁部吸着手段を有するとともに、一端部が前記ヘッド部に対し回動可能に取付けられた第一リンクと、
一端部が前記第一リンクの他端部に対し回動可能に取付けられた第二リンクと、
前記第二リンクの他端部が回動可能に取付けられるとともに、前記ヘッド部の内部に設けられ、かつ、前記基準線方向に往復移動可能な第三リンクとを備え、
前記第三リンクの往復移動により、前記斜面部に対する前記側壁部吸着手段の出没動作が行われるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【請求項4】
前記第二折り曲げ手段は、前記頂部に設けられ、前記第二紙部材における前記底壁部に対応する部位を吸着可能な底壁部吸着手段を具備することを特徴とする請求項1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【請求項5】
前記第一折り曲げ手段は、前記ヘッド部の周囲に配置されるとともに、前記基準線方向に往復移動可能であり、かつ、前記第一紙部材における前記フランジ部に対応する部位を吸着可能なフランジ部吸着手段を具備し、
前記第一紙部材における前記フランジ部に対応する部位を吸着した状態で前記フランジ部吸着手段を前記基準線方向に移動させることにより、前記第一紙部材における前記フラップ部に対応する部位を前記斜面部に押し当てて、前記第一紙部材を折り曲げるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【請求項6】
前記仮組手段は、前記ヘッド部が下向きに突出した状態となるように回転可能であるとともに、前記第二折り曲げ手段による前記第二紙部材の折り曲げにより前記ヘッド部に被せられた状態で得られる前記仮組容器本体を吸着保持可能に構成されており、
前記ヘッド部に被せられた状態の前記仮組容器本体を前記仮組手段によって吸着保持した上で、前記ヘッド部が下向きに突出した状態となるように前記仮組手段を回転させ、さらに、前記仮組手段による前記仮組容器本体の吸着保持を解除することによって、前記仮組手段から前記容器本体保持手段に対する前記仮組容器本体の受け渡しが行われるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【請求項7】
前記仮組手段は、所定の回転軸を中心として回転可能であるとともに、回転方向に複数並んで設けられ、
前記回転軸を中心とする前記仮組手段の列は、前記回転軸方向に複数設けられ、
前記仮組手段に対し、前記第一紙部材を供給する第一供給手段と、
前記仮組手段に対し、前記第二紙部材を供給する第二供給手段とを備え、
前記第一供給手段及び前記第二供給手段は、前記仮組手段の列ごとにそれぞれ1つずつ設けられ、
複数の前記第一供給手段及び複数の前記第二供給手段のうちの少なくとも一方は、前記仮組手段の回転方向にずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【請求項8】
前記側壁部における前記フラップ部と重なる位置には貫通孔が形成されており、
前記容器本体保持手段は、前記貫通孔を通して前記フラップ部を吸引することで、前記フラップ部を吸着保持可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【請求項9】
環状の平坦なフランジ部、及び、該フランジ部との境界部分にて折り曲げられることで該フランジ部の内縁部から垂れ下がる状態とされたフラップ部を有するフランジ紙パーツと、
平坦な底壁部、及び、該底壁部との境界部分にて折り曲げられることで該底壁部の外縁部から立ち上がる状態とされるとともに前記フラップ部の外側に配置される側壁部を有する本体紙パーツと、
前記フランジ部、前記フラップ部、前記側壁部及び前記底壁部に対しこれらを覆うようにして取着されるフィルム部材と
を備えてなるフィルムコーティング紙容器の製造方法であって、
全体が平坦な折り曲げ前の前記フランジ紙パーツである第一紙部材を折り曲げて前記フランジ紙パーツを得る第一折り曲げ工程、及び、全体が平坦な折り曲げ前の前記本体紙パーツである第二紙部材を折り曲げて前記本体紙パーツを得るとともに、前記フラップ部の外側に前記側壁部が配置された、前記フランジ紙パーツ及び前記本体紙パーツを仮組してなる仮組容器本体を得る第二折り曲げ工程を含む仮組工程と、
前記側壁部及び前記底壁部に対応する形状の収容凹部を有する容器本体保持手段によって、前記仮組工程により得られた前記仮組容器本体を前記収容凹部に配置した状態で保持する容器本体保持工程と、
前記容器本体保持工程によって前記収容凹部に前記仮組容器本体が配置された状態で、前記フランジ部、前記フラップ部、前記側壁部及び前記底壁部に対しこれらを覆うようにして前記フィルム部材を取着するフィルム取着工程とを含み、
前記第一折り曲げ工程及び前記第二折り曲げ工程では、前記底壁部に対応する頂部と前記側壁部に対応する斜面部とを有し、所定の基準線方向に沿って山型状に突出するヘッド部が共通に用いられ、
前記第一折り曲げ工程では、前記基準線方向に前記ヘッド部及び前記第一紙部材を相対移動させ、前記第一紙部材における前記フラップ部に相当する部位を前記斜面部に押し当てることにより、前記第一紙部材を折り曲げて、前記フラップ部が前記斜面部に沿う状態の前記フランジ紙パーツを得るとともに、
第二折り曲げ工程では、前記フラップ部が前記斜面部に沿う状態を維持したまま、前記第二紙部材における前記側壁部に対応する部位を前記斜面部に沿わせるようにして前記第二紙部材を折り曲げることにより、前記フラップ部の外側に前記側壁部が配置されてなる前記仮組容器本体を得ることを特徴とするフィルムコーティング紙容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製の容器本体をフィルム部材でコーティングしてなるフィルムコーティング紙容器の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等を収容するための容器として、紙製の容器本体の内面にフィルム部材が取着されてなるフィルムコーティング紙容器が提案されている。フィルムコーティング紙容器は、全体をプラスチック材料により形成した容器と比較して、環境負荷の低減などの点で有利である。
【0003】
フィルムコーティング紙容器としては、底壁部(底面部)、該底壁部の外縁から立ち上がる側壁部(側面部)及び該側壁部の上端から外向きに突出するフランジ部とを備えた容器本体を1枚の紙から形成するとともに、底壁部、側壁部及びフランジ部に対しこれらを覆うようにしてフィルム部材を取着してなるものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。フィルム部材で覆われたフランジ部は、容器の内部空間を密封するためのカバーの取着対象として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に係る容器本体において、フランジ部には、紙の外縁に当たる部分が位置しており、該部分の影響による凹凸が存在している。従って、フィルム部材で覆われたフランジ部に対しカバーを取着した場合に、凹凸の影響によってフィルムに対するカバーの取着状態が不適切なものとなり、ひいては容器の内部空間におけるシール性が不十分となるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部空間におけるシール性をより良好なものとすることが可能なフィルムコーティング紙容器をより確実に製造することができるフィルムコーティング紙容器の製造装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.環状の平坦なフランジ部、及び、該フランジ部との境界部分にて折り曲げられることで該フランジ部の内縁部から垂れ下がる状態とされたフラップ部を有するフランジ紙パーツと、
平坦な底壁部、及び、該底壁部との境界部分にて折り曲げられることで該底壁部の外縁部から立ち上がる状態とされるとともに前記フラップ部の外側に配置される側壁部を有する本体紙パーツと、
前記フランジ部、前記フラップ部、前記側壁部及び前記底壁部に対しこれらを覆うようにして取着されるフィルム部材と
を備えてなるフィルムコーティング紙容器の製造装置であって、
全体が平坦な折り曲げ前の前記フランジ紙パーツである第一紙部材を折り曲げて前記フランジ紙パーツを得るとともに、全体が平坦な折り曲げ前の前記本体紙パーツである第二紙部材を折り曲げて前記本体紙パーツを得て、さらに、前記フラップ部の外側に前記側壁部が配置された、前記フランジ紙パーツ及び前記本体紙パーツを仮組してなる仮組容器本体を得る仮組手段と、
前記側壁部及び前記底壁部に対応する形状の収容凹部を有するとともに、前記仮組手段から受け渡された前記仮組容器本体を前記収容凹部に配置した状態で保持する容器本体保持手段と、
前記収容凹部に前記仮組容器本体が配置された状態で、前記フランジ部、前記フラップ部、前記側壁部及び前記底壁部に対しこれらを覆うようにして前記フィルム部材を取着するフィルム取着手段とを備え、
前記仮組手段は、
前記底壁部に対応する頂部と前記側壁部に対応する斜面部とを有し、所定の基準線方向に沿って山型状に突出するヘッド部と、
前記基準線方向に前記ヘッド部及び前記第一紙部材を相対移動させ、前記第一紙部材における前記フラップ部に相当する部位を前記斜面部に押し当てることにより前記第一紙部材を折り曲げて、前記フラップ部が前記斜面部に沿う状態の前記フランジ紙パーツを得る第一折り曲げ手段と、
前記フラップ部が前記斜面部に沿う状態を維持したまま、前記第二紙部材における前記側壁部に対応する部位を前記斜面部に沿わせるようにして前記第二紙部材を折り曲げることにより、前記フラップ部の外側に前記側壁部が配置されてなる前記仮組容器本体を得る第二折り曲げ手段とを有することを特徴とするフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【0009】
上記手段1によれば、フランジ紙パーツによって環状の平坦なフランジ部が構成されているため、フランジ部に凹凸が形成されることがない。また、側壁部はフラップ部の外側に配置されるから、側壁部がフランジ部よりも突出することはなく、フィルム部材で覆われたフランジ部に対しカバーを取着するにあたって、側壁部が邪魔になることはない。従って、製造されるフィルムコーティング紙容器において、その内部空間におけるシール性をより良好なものとすることが可能となる。
【0010】
また、フィルム部材は、側壁部、フラップ部、フランジ部及び底壁部を覆うようにしてこれらに取着されるため、フィルム部材によってフランジ紙パーツ及び本体紙パーツをより強固に一体化することができる。これにより、製造されたフィルムコーティング紙容器における強度の向上を図ることができる。
【0011】
さらに、第一紙部材を折り曲げることにより、フラップ部が斜面部に沿う状態を維持した上で、第二紙部材における側壁部に対応する部位を斜面部に沿わせるようにして該第二紙部材を折り曲げることにより、フラップ部の外側に側壁部が配置される。従って、フラップ部の外側に側壁部を確実に配置することができ、内部空間におけるシール性をより良好なものとすることが可能なフィルムコーティング紙容器をより確実に製造することができる。
【0012】
加えて、第一紙部材及び第二紙部材の折り曲げには共通のヘッド部を利用するため、装置の小型化を図ることができるとともに、これら紙部材を適切な角度で折り曲げることが可能となる。
【0013】
手段2.前記第二折り曲げ手段は、前記斜面部に対し出没動作可能であるとともに、前記第二紙部材における前記側壁部に対応する部位を吸着可能な側壁部吸着手段を具備し、
前記側壁部吸着手段は、前記斜面部から突出した状態で前記第二紙部材における前記側壁部に対応する部位を吸着可能であるとともに、該部位の吸着を維持した状態で前記斜面部に没入することにより前記第二紙部材を折り曲げ可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【0014】
上記手段2によれば、斜面部から突出した状態の側壁部吸着手段により第二紙部材における側壁部に対応する部位を吸着した上で、斜面部に没入するように該側壁部吸着手段を動作させることにより、第二紙部材を折り曲げることができる。従って、折り曲げ時における第二紙部材の位置ずれを効果的に防止することができ、第二紙部材を適切な位置にて折り曲げることがより確実に可能となる。
【0015】
さらに、上記手段2によれば、第二折り曲げ手段の全体をヘッド部の外部に設ける場合と比べて、装置の小型化をより効果的に図ることができる。
【0016】
手段3.前記第二折り曲げ手段は、
前記側壁部吸着手段を有するとともに、一端部が前記ヘッド部に対し回動可能に取付けられた第一リンクと、
一端部が前記第一リンクの他端部に対し回動可能に取付けられた第二リンクと、
前記第二リンクの他端部が回動可能に取付けられるとともに、前記ヘッド部の内部に設けられ、かつ、前記基準線方向に往復移動可能な第三リンクとを備え、
前記第三リンクの往復移動により、前記斜面部に対する前記側壁部吸着手段の出没動作が行われるように構成されていることを特徴とする手段2に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【0017】
上記手段3によれば、第三リンクを往復移動させることだけで、側壁部吸着手段を一定経路に沿って出没動作させて、第二紙部材を適切に折り曲げることができる。従って、装置の動作安定性をより高めることができる。
【0018】
また、上記手段3によれば、第二折り曲げ手段の構造をより簡素化することができるため、装置の製造やメンテナンス等に係るコストの低減を図ることができる。
【0019】
手段4.前記第二折り曲げ手段は、前記頂部に設けられ、前記第二紙部材における前記底壁部に対応する部位を吸着可能な底壁部吸着手段を具備することを特徴とする手段1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【0020】
上記手段4によれば、底壁部吸着手段によって第二紙部材を吸着保持した状態で、該第二紙部材を折り曲げることができる。従って、折り曲げ時における第二紙部材の位置ずれをより効果的に防止することができ、第二紙部材を適切な位置にて折り曲げることがより一層確実に可能となる。
【0021】
手段5.前記第一折り曲げ手段は、前記ヘッド部の周囲に配置されるとともに、前記基準線方向に往復移動可能であり、かつ、前記第一紙部材における前記フランジ部に対応する部位を吸着可能なフランジ部吸着手段を具備し、
前記第一紙部材における前記フランジ部に対応する部位を吸着した状態で前記フランジ部吸着手段を前記基準線方向に移動させることにより、前記第一紙部材における前記フラップ部に対応する部位を前記斜面部に押し当てて、前記第一紙部材を折り曲げるように構成されていることを特徴とする手段1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【0022】
上記手段5によれば、第一紙部材におけるフランジ部に対応する部位を吸着した状態でフランジ部吸着手段を移動させることにより、第一紙部材を折り曲げることができる。従って、折り曲げ時における第一紙部材の位置ずれを効果的に防止することができ、第一紙部材を適切な位置にて折り曲げることがより確実に可能となる。
【0023】
また、上記手段5によれば、第一折り曲げ手段を比較的簡易な構造によって実現することができるため、製造等に係るコストの低減をより効果的に図ることができる。
【0024】
手段6.前記仮組手段は、前記ヘッド部が下向きに突出した状態となるように回転可能であるとともに、前記第二折り曲げ手段による前記第二紙部材の折り曲げにより前記ヘッド部に被せられた状態で得られる前記仮組容器本体を吸着保持可能に構成されており、
前記ヘッド部に被せられた状態の前記仮組容器本体を前記仮組手段によって吸着保持した上で、前記ヘッド部が下向きに突出した状態となるように前記仮組手段を回転させ、さらに、前記仮組手段による前記仮組容器本体の吸着保持を解除することによって、前記仮組手段から前記容器本体保持手段に対する前記仮組容器本体の受け渡しが行われるように構成されていることを特徴とする手段1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【0025】
上記手段6によれば、仮組手段による吸着保持によって仮組容器本体における形状崩れを効果的に抑えながら、仮組手段から容器本体保持手段に対し仮組容器本体を受け渡すことができる。従って、適正形状のフィルムコーティング紙容器をより確実に得ることができる。
【0026】
また、上記手段6によれば、仮組手段から容器本体保持手段に対し仮組容器本体を受け渡すにあたって、ヘッド部から仮組容器本体を外した後に、該仮組容器本体の向きを調節するなどの面倒な工程が不要となる。従って、生産性の向上を図ることができる。
【0027】
手段7.前記仮組手段は、所定の回転軸を中心として回転可能であるとともに、回転方向に複数並んで設けられ、
前記回転軸を中心とする前記仮組手段の列は、前記回転軸方向に複数設けられ、
前記仮組手段に対し、前記第一紙部材を供給する第一供給手段と、
前記仮組手段に対し、前記第二紙部材を供給する第二供給手段とを備え、
前記第一供給手段及び前記第二供給手段は、前記仮組手段の列ごとにそれぞれ1つずつ設けられ、
複数の前記第一供給手段及び複数の前記第二供給手段のうちの少なくとも一方は、前記仮組手段の回転方向にずれた位置に設けられていることを特徴とする手段1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【0028】
上記手段7によれば、仮組手段は、自身の回転方向に複数並んで設けられるとともに、仮組手段の列は、回転軸方向に複数設けられている。また、第一紙部材を供給する第一供給手段及び第二紙部材を供給する第二供給手段は、それぞれ仮組手段の列数と同数設けられている。従って、生産性をより高めることが可能となる。
【0029】
また、複数の第一供給手段及び複数の第二供給手段がそれぞれ回転軸方向に並んで設けられる場合、供給する紙部材のサイズによっては、隣り合う供給手段から供給された紙部材同士が干渉し合うおそれがあるところ、上記手段7によれば、複数の第一供給手段及び複数の第二供給手段のうちの少なくとも一方は、仮組手段の回転方向にずれた位置に設けられている。従って、紙部材同士の干渉をより確実に抑制することができ、ひいては製造装置のより安定的な動作を実現することができる。
【0030】
手段8.前記側壁部における前記フラップ部と重なる位置には貫通孔が形成されており、
前記容器本体保持手段は、前記貫通孔を通して前記フラップ部を吸引することで、前記フラップ部を吸着保持可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載のフィルムコーティング紙容器の製造装置。
【0031】
上記手段8によれば、側壁部におけるフラップ部と重なる位置には貫通孔が形成されており、容器本体保持手段は、この貫通孔を利用してフラップ部を吸着保持可能とされている。従って、通常、側壁部の存在により吸着保持することが難しいフラップ部をより確実に吸着保持することができる。これにより、側壁部やフラップ部に対し、フィルム部材をより適切に取着することができ、ひいては製造されるフィルムコーティング紙容器の強度をより高めること等が可能となる。
【0032】
手段9.環状の平坦なフランジ部、及び、該フランジ部との境界部分にて折り曲げられることで該フランジ部の内縁部から垂れ下がる状態とされたフラップ部を有するフランジ紙パーツと、
平坦な底壁部、及び、該底壁部との境界部分にて折り曲げられることで該底壁部の外縁部から立ち上がる状態とされるとともに前記フラップ部の外側に配置される側壁部を有する本体紙パーツと、
前記フランジ部、前記フラップ部、前記側壁部及び前記底壁部に対しこれらを覆うようにして取着されるフィルム部材と
を備えてなるフィルムコーティング紙容器の製造方法であって、
全体が平坦な折り曲げ前の前記フランジ紙パーツである第一紙部材を折り曲げて前記フランジ紙パーツを得る第一折り曲げ工程、及び、全体が平坦な折り曲げ前の前記本体紙パーツである第二紙部材を折り曲げて前記本体紙パーツを得るとともに、前記フラップ部の外側に前記側壁部が配置された、前記フランジ紙パーツ及び前記本体紙パーツを仮組してなる仮組容器本体を得る第二折り曲げ工程を含む仮組工程と、
前記側壁部及び前記底壁部に対応する形状の収容凹部を有する容器本体保持手段によって、前記仮組工程により得られた前記仮組容器本体を前記収容凹部に配置した状態で保持する容器本体保持工程と、
前記容器本体保持工程によって前記収容凹部に前記仮組容器本体が配置された状態で、前記フランジ部、前記フラップ部、前記側壁部及び前記底壁部に対しこれらを覆うようにして前記フィルム部材を取着するフィルム取着工程とを含み、
前記第一折り曲げ工程及び前記第二折り曲げ工程では、前記底壁部に対応する頂部と前記側壁部に対応する斜面部とを有し、所定の基準線方向に沿って山型状に突出するヘッド部が共通に用いられ、
前記第一折り曲げ工程では、前記基準線方向に前記ヘッド部及び前記第一紙部材を相対移動させ、前記第一紙部材における前記フラップ部に相当する部位を前記斜面部に押し当てることにより、前記第一紙部材を折り曲げて、前記フラップ部が前記斜面部に沿う状態の前記フランジ紙パーツを得るとともに、
第二折り曲げ工程では、前記フラップ部が前記斜面部に沿う状態を維持したまま、前記第二紙部材における前記側壁部に対応する部位を前記斜面部に沿わせるようにして前記第二紙部材を折り曲げることにより、前記フラップ部の外側に前記側壁部が配置されてなる前記仮組容器本体を得ることを特徴とするフィルムコーティング紙容器の製造方法。
【0033】
上記手段9によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【0034】
尚、上記各手段に係る技術事項を適宜組み合わせてもよい。従って、例えば、上記手段2に係る技術事項に対し、上記手段4~8に係る技術事項のうちの少なくとも1つを組み合わせてもよい。また、上記手段9に係る技術事項に対し、上記手段2~8に係る技術事項のうちの少なくとも1つを組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】フィルムコーティング紙容器の斜視図である。
【
図2】フィルムコーティング紙容器の断面図である。
【
図3】カバーが取着されたフィルムコーティング紙容器の断面図である。
【
図4】フィルムコーティング紙容器の製造装置の概略構成図である。
【
図5】複数の仮組装置の位置関係を示すための平面模式図である。
【
図6】第一紙部材ホッパ及び第二紙部材ホッパの配置位置を示すための平面模式図である。
【
図7】真空レール及び搬送バケットの構成を示す断面模式図である。
【
図8】仮組装置から搬送バケットに対する仮組容器本体の受け渡しについて説明するための断面模式図である。
【
図9】仮組容器本体に対しフィルム部材を取着する工程において、搬送バケット及び上型によってフランジ部及びフィルム部材を挟持した状態を示す断面模式図である。
【
図10】仮組容器本体に対しフィルム部材を取着する工程において、プラグを下動させて、フィルム部材を延伸させた状態を示す断面模式図である。
【
図11】仮組容器本体に対しフィルム部材を取着する工程において、気体の供給により、フィルム部材を延伸させて仮組容器本体に取着させた状態を示す断面模式図である。
【
図14】第一紙部材を折り曲げる工程において、第一紙部材を吸着保持した状態を示す斜視模式図である。
【
図15】第一紙部材を折り曲げる工程において、第一紙部材を吸着保持した状態を示す断面模式図である。
【
図16】第一紙部材を折り曲げる工程において、第一紙部材をヘッド部に押し当てることで折り曲げた状態を示す斜視模式図である。
【
図17】第一紙部材を折り曲げる工程において、第一紙部材をヘッド部に押し当てることで折り曲げた状態を示す断面模式図である。
【
図18】第二紙部材を折り曲げる工程において、第二紙部材を吸着保持した状態を示す斜視模式図である。
【
図19】第二紙部材を折り曲げる工程において、第二紙部材を吸着保持した状態を示す断面模式図である。
【
図20】第二紙部材を折り曲げる工程において、第二紙部材をヘッド部に押し当てることで折り曲げた状態を示す斜視模式図である。
【
図21】第二紙部材を折り曲げる工程において、第二紙部材をヘッド部に押し当てることで折り曲げた状態を示す断面模式図である。
【
図22】別の実施形態において、フラップ部を吸着保持した状態の搬送バケット等を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、本実施形態におけるフィルムコーティング紙容器の製造装置10(
図4参照。以下、単に「製造装置10」という)によって製造されるフィルムコーティング紙容器について説明する。
【0037】
図1,2に示すように、フィルムコーティング紙容器1は、それぞれ1枚の紙からなるフランジ紙パーツ2及び本体紙パーツ3と、これら紙パーツ2,3に取着されて両紙パーツ2,3を一体化させるフィルム部材4とを備えている。両紙パーツ2,3により「容器本体」が構成される。尚、
図1では、フィルム部材4の図示を省略している。また、
図2等では、両紙パーツ2,3及びフィルム部材4などを実際によりも厚肉で示している。
【0038】
フランジ紙パーツ2は、矩形環状の平坦なフランジ部2aと、該フランジ部2aとの境界部分にて折り曲げられることで該フランジ部2aの内縁部から垂れ下がる状態とされたフラップ部2bとを有する。フランジ紙パーツ2は、第一紙部材8(
図14参照)を折り曲げることで得られる。従って、第一紙部材8は、全体が平坦な折り曲げ前のフランジ紙パーツ2であるといえる。
【0039】
本体紙パーツ3は、矩形状の平坦な底壁部3aと、該底壁部3aとの境界部分にて折り曲げられることで該底壁部3aの外縁部から立ち上がる状態とされるとともに、フラップ部2bの外側に配置された側壁部3bとを有する。本体紙パーツ3は、第二紙部材9を折り曲げることで得られる。従って、第二紙部材9は、全体が平坦な折り曲げ前の本体紙パーツ3であるといえる。
【0040】
フィルム部材4は、少なくとも表面に紙パーツ2,3に対する接着のための熱可塑性樹脂層が設けられてなり、実質的に通気性を有しないものとされている。
図3に示すように、フィルム部材4は、底壁部3a、側壁部3b及びフラップ部2bで形成されるボウル状の収容部5における内面(つまり、内容物N側に位置する面)からフランジ部2aの上面にかけて取着されている。つまり、フィルム部材4は、フランジ部2a、フラップ部2b、側壁部3b及び底壁部3aに対し、これらを覆うようにして取着されている。
【0041】
尚、フィルム部材4で覆われたフランジ部2aは、収容部5の内部空間(つまり、内容物Nの収容空間)を密閉状態で維持するためのカバー6の取着対象として機能する。尚、内容物Nの長期保存などを可能とすべく、収容部5内に所定のガス(例えば、窒素や二酸化炭素などの不活性ガス)を封入してもよい。
【0042】
次に、
図4を参照して、フィルムコーティング紙容器1を製造するための製造装置10について説明する。製造装置10は、仮組ユニット20、第一紙部材ホッパ30、第二紙部材ホッパ40、搬送装置50、フィルム供給装置60、フィルム取着装置70、打抜装置80及び搬出装置90を備えている。本実施形態では、第一紙部材ホッパ30が「第一供給手段」を構成し、同様に、第二紙部材ホッパ40が「第二供給手段」を、フィルム取着装置70が「フィルム取着手段」を、それぞれ構成する。
【0043】
仮組ユニット20は、側壁部3bがフラップ部2bの外側に配置された状態で、フランジ紙パーツ2及び本体紙パーツ3を仮組してなる仮組容器本体7(
図8等参照)を得るとともに、得られた仮組容器本体7を搬送装置50に受け渡すためのものである。仮組ユニット20は、所定の回転軸L1を中心として回転可能であって、回転方向に並んで設けられた複数(本実施形態では、計16個)の仮組装置21を備えており、これら仮組装置21を用いて、両紙パーツ2,3を搬送しながら仮組容器本体7の組立を行う。本実施形態において、回転軸L1を中心とする仮組装置21の列は、回転軸L1方向に複数(本実施形態では2列)設けられている(
図5参照)。尚、
図4~6においては、仮組装置21を簡素化して示している。
【0044】
また、各仮組装置21は、回転軸L1を中心とした回転により、第一供給ポジションP1及び第二供給ポジションP2に順次移動する。第一供給ポジションP1は、第一紙部材ホッパ30から仮組装置21に対する第一紙部材8の供給が行われるポジションであり、第二供給ポジションP2は、第二紙部材ホッパ40から仮組装置21に対する第二紙部材9の供給が行われるポジションである。尚、仮組装置21の詳細な構成については、後に説明する。
【0045】
第一紙部材ホッパ30は、第一供給ポジションP1に対応して配置されており、仮組装置21に対する第一紙部材8の供給を行う。第一紙部材ホッパ30は、多数の第一紙部材8を重ねた状態で収容可能に構成されている。そして、第一紙部材ホッパ30は、その供給口が仮組装置21の移動経路に近接した状態で設置されており、該供給口を通して、第一供給ポジションP1に配置された仮組装置21に第一紙部材8を供給する。
【0046】
また、第一紙部材ホッパ30は、仮組装置21の列ごとに1つずつ設けられている。従って、本実施形態では、計2つの第一紙部材ホッパ30が設けられている。そして、2つの第一紙部材ホッパ30は、回転軸L1方向に並んだ状態で設けられている(
図6参照)。従って、第一供給ポジションP1は、仮組装置21の列ごとに1つずつ存在しているところ、これらの第一供給ポジションP1は、回転軸BL方向に並ぶようにして存在している。
【0047】
第二紙部材ホッパ40は、第二供給ポジションP2に対応して配置されており、仮組装置21に対する第二紙部材9の供給を行う。第二紙部材ホッパ40は、多数の第二紙部材9を重ねた状態で収容可能に構成されている。そして、第二紙部材ホッパ40は、その供給口が仮組装置21の移動経路に近接した状態で設置されており、該供給口を通して、第二ポジションP2に配置された仮組装置21に第二紙部材9を供給する。
【0048】
また、第二紙部材ホッパ40は、第一紙部材ホッパ30と同様に、仮組装置21の列ごとに1つずつ設けられている。但し、各第二紙部材ホッパ40は、第一紙部材ホッパ30と異なり、仮組装置21の回転方向にずれた位置に設けられている(
図6参照)。従って、第二供給ポジションP2は、仮組装置21の列ごとに1つずつ存在しているところ、これらの第二供給ポジションP2は、仮組装置21の回転方向に沿って異なる位置に存在している。
【0049】
搬送装置50は、仮組ユニット20(仮組装置21)から受け渡された仮組容器本体7を吸着保持しつつ、フィルム取着装置70側へと搬送する。搬送装置50は、
図7に示すように、真空レール51及び搬送バケット52を備えている。本実施形態では、搬送バケット52が「容器本体保持手段」を構成する。尚、
図4では、真空レール51の図示を省略している。
【0050】
真空レール51は、搬送バケット52の移動をガイドするとともに、搬送バケット52の後述する吸気路52bを真空引きする(つまり、吸気路52bに負圧を供給する)ためのものである。真空レール51は、仮組ユニット20の回転軸L1の鉛直下方に位置する受渡しポジションP3から、後述する加熱装置71の鉛直下方に位置する加熱ポジションP4を経て、後述するフィルム成形装置72の鉛直下方に位置する取着ポジションP5にかけて設けられている(各ポジションP3,P4,P5については
図4参照)。また、真空レール51の内部には、所定の真空ポンプ(図示略)によって真空引きされた状態(負圧が供給された状態)の真空引き空間51aが設けられており、この真空引き空間51aは、真空レール51の長手方向に沿って連続している。
【0051】
さらに、真空引き空間51aは、真空レール51の上面にて開口し、真空レール51の長手方向に沿って一定間隔で設けられた連通孔51bと連通している。そして、搬送バケット52が真空レール51上を一定距離移動するごとに、前記連通孔51bを介して、搬送バケット52の後述する吸気路52bと真空引き空間51aとが連通するようになっている。尚、連通孔51bに対応して所定の電磁弁(不図示)が設けられており、該電磁弁を適切に開閉制御することで、真空引き空間51aを真空引きした状態で維持可能とされている。
【0052】
搬送バケット52は、仮組ユニット20側からフィルム取着装置70側へと移動することで、仮組容器本体7を仮組ユニット20からフィルム取着装置70に搬送する。より詳しくは、搬送バケット52は、側壁部3b及び底壁部3aに対応する形状の収容凹部52aを有するとともに、仮組装置21から受け渡された仮組容器本体7を収容凹部52aに配置した状態で吸着保持する。そして、搬送バケット52は、所定の押圧手段(不図示)により押されることで所定の環状経路に沿って移動可能とされており、真空レール51の配設箇所においては該真空レール51に沿って移動することで、仮組容器本体7を仮組ユニット20からフィルム取着装置70に搬送する。尚、本実施形態において、搬送バケット52は、前記環状経路に沿って等間隔に複数設けられている。
【0053】
さらに、搬送バケット52は、内面(収容凹部52aを形成する面)及び上面において開口する吸気路52bを備えており、この吸気路52bは、真空レール51の配設箇所にて連通孔51bを介して真空引き空間51aと連通するように構成されている。これにより、吸気路52bを真空引きされた状態(負圧が供給された状態)とすることができ、ひいては収容凹部52aに配置された仮組容器本体7を吸着保持することが可能とされている。本実施形態では、搬送バケット52により、収容凹部52aに配置された仮組容器本体7を保持する工程が「容器本体保持工程」に相当する。
【0054】
尚、本実施形態において、吸気路52bは、収容凹部52aに配置された仮組容器本体7における底壁部3a及びフランジ部2aに向けて開口するように設定されている。従って、搬送バケット52は、仮組容器本体7を構成する2つの紙パーツ2,3のそれぞれを直接的に吸着保持する。
【0055】
図4に戻り、フィルム供給装置60は、搬送バケット52とフィルム取着装置70との間に、帯状のフィルム部材4を供給するための装置である。フィルム供給装置60は、ロールセット部61及び巻取部62を備えている。
【0056】
ロールセット部61は、帯状のフィルム部材4がロール状に巻回されてなる原反がセットされる部位であり、例えば、該原反を回転可能な状態で支持する軸部などを備えている。
【0057】
巻取部62は、図示しない駆動手段によって間欠的に回転可能に構成されており、回転することでスクラップ101を巻取る。スクラップ101は、帯状のフィルム部材4のうち、打抜装置80による打抜後に残った部分をいう。
【0058】
フィルム取着装置70は、搬送バケット52の収容凹部52aに収容された仮組容器本体7に対しフィルム部材4を取着するための装置である。フィルム取着装置70は、フィルム部材4の搬送経路に沿って、加熱装置71及びフィルム成形装置72を順に備えている。
【0059】
加熱装置71は、フィルム成形装置72の直上流位置に設けられており、加熱ポジションP4に配置されたフィルム部材4を加熱して軟化させる。
【0060】
フィルム成形装置72は、仮組容器本体7におけるフランジ部2a、フラップ部2b、底壁部3a及び側壁部3bを覆うようにしてこれらにフィルム部材4を取着する。フィルム成形装置72は、
図9に示すように、上型72a及びプラグ72bを備えている。
【0061】
上型72aは、下方に開口する内部空間を有しており、搬送バケット52との間でフィルム部材4及びフランジ部2aを挟み込むことで、該内部空間及び収容凹部52aにより形成される空間を密閉状態で維持可能に構成されている。本実施形態において、フィルム部材4及びフランジ部2aの挟み込みは、図示しない駆動手段によって搬送バケット52が上動し上型72aに接近することでなされる。
【0062】
また、上型72aの内部空間には、所定の気体(例えば空気など)が供給可能に構成されており、この供給された気体により、軟化状態のフィルム部材4に圧力を加えて、該フィルム部材4を仮組容器本体7側(搬送バケット52側)に向けて膨出変形させることが可能とされている。
【0063】
プラグ72bは、上型72aの内部空間に配置されており、図示しない駆動手段によって上下動可能に構成されている。プラグ72bの下動により、軟化状態のフィルム部材4を仮組容器本体7側(搬送バケット52側)に向けて押圧して延伸させることが可能である。
【0064】
上述したフィルム成形装置72では、次のようにして仮組容器本体7に対するフィルム部材4の取着が行われる。すなわち、まず、搬送バケット52が取着ポジションP5(上型72aの鉛直下方位置)に配置されると、該搬送バケット52が一時停止した上で上動する。これにより、上型72a及び搬送バケット52によって、軟化状態のフィルム部材4とフランジ部2aとが挟み込まれた状態となる。挟み込みにより、フランジ部2aに対しフィルム部材4が取着される。
【0065】
次いで、プラグ72bを下動させることで、フィルム部材4を仮組容器本体7側(搬送バケット52側)に向けて膨出変形させる(
図10参照)。但し、プラグ72bの下動量は、フィルム部材4を底壁部3aに接触させない程度の量に設定されている。
【0066】
その後、上型72aの内部空間に気体を供給し、プラグ72bによって膨出変形したフィルム部材4をさらに延伸させることで、フラップ部2b、側壁部3b及び底壁部3aに対し、これらを覆うようにしてフィルム部材4が取着される。これにより、フランジ紙パーツ2及び本体紙パーツ3は、フィルム部材4によって一体化された状態となる。
【0067】
尚、プラグ72bの下動と同時期に、上型72aの内部空間に対する気体の供給を行うようにしてもよい。また、上型72aの内部空間に対する気体の供給に代えて又は加えて、搬送バケット52の収容凹部52aからの気体の吸引を行うことで、フィルム部材4を仮組容器本体7側に変形させてもよい。収容凹部52aからの気体の吸引は、例えば、本体紙パーツ3における隣り合う側壁部3b間の隙間を通して行うことができる。
【0068】
仮組容器本体7に対しフィルム部材4を取着した後には、プラグ72bが上動し、搬送バケット52が下動することで、プラグ72b及び搬送バケット52が元の位置に戻る。尚、仮組容器本体7は帯状のフィルム部材4に貼り付いた状態となっているため、搬送バケット52の下動により、収容凹部52aから仮組容器本体7が取り出される。そして、収容凹部52aから取り出された仮組容器本体7は、フィルム供給装置60によるフィルム部材4の搬送に伴い、打抜装置80へと搬送される。本実施形態では、フィルム取着装置70により、仮組容器本体7に対しフィルム部材4を取着する工程が「フィルム取着工程」に相当する。
【0069】
図4に戻り、打抜装置80は、フィルム部材4におけるフランジ部2aの外縁に当たる位置を打抜くための装置である。フィルム部材4の打抜きにより、フィルムコーティング紙容器1が得られる。
【0070】
搬出装置90は、例えばコンベアベルト等によって構成されており、打抜装置80により得られたフィルムコーティング紙容器1を所定の下流位置まで搬送する。
【0071】
次いで、仮組装置21についてより詳しく説明する。仮組装置21は、第一紙部材8を折り曲げてフランジ紙パーツ2を得るとともに、第二紙部材9を折り曲げて本体紙パーツ3を得て、さらに、本体紙パーツ3を得ると同時に仮組容器本体7を得ることが可能な装置である。仮組装置21は、
図12,13,15に示すように、ベース部211、第一折り曲げ機構212及び第二折り曲げ機構213を備えている。
【0072】
ベース部211は、両折り曲げ機構212,213を保持するとともに、両折り曲げ機構212,213による両紙部材8,9の折り曲げ時に両紙部材8,9が押し当てられるものである。ベース部211は、ボディ部2111及びヘッド部2112を備えている。
【0073】
ボディ部2111は、外観上、矩形柱状をなしており、ヘッド部2112における矩形状の基端部よりも外側に位置する側面を有している。ボディ部2111は、後述するサイドロッド部2121bが挿通される外側挿通孔2111aと、同様に後述するセンターロッド部2133が挿通される中心挿通孔2111bとを備えている。
【0074】
外側挿通孔2111aは、ボディ部2111におけるヘッド部2112の基端部よりも外側に位置する部位に設けられており、所定の基準線BL方向に沿って見たときに、ボディ部2111における各側面の中心とヘッド部2112の基端部との間に位置している。外側挿通孔2111aは、ボディ部2111の各側面に対応して複数(本実施形態では計4つ)設けられている。外側挿通孔2111aは、基準線BLと平行に延びており、ボディ部2111を貫通している。
【0075】
中心挿通孔2111bは、ボディ部2111のうち、基準線BL方向に沿ってヘッド部2112の後述する頂部2112aの中心と重なる位置に設けられている。中心挿通孔2111bは、ボディ部2111を貫通するとともに、ヘッド部2112の内部空間に連通している。
【0076】
ヘッド部2112は、底壁部3aに対応する頂部2112aと側壁部3bに対応する複数(本実施形態では4つ)の斜面部2112bとを有しており、所定の基準線BL方向に沿ってボディ部2111から山型状に突出している。本実施形態において、ヘッド部2112は、外観上、全体として四角錐台状をなしている。
【0077】
また、ヘッド部2112は、頂部2112aから斜面部2112bにかけた部位にリンク配置孔2112cを備えており、リンク配置孔2112cは、ヘッド部2112の内部空間と連通した状態とされている。尚、リンク配置孔2112cは、斜面部2112bごとに1つずつ設けられている。
【0078】
第一折り曲げ機構212は、基準線BL方向にヘッド部2112及び第一紙部材8を相対移動させ、第一紙部材8におけるフラップ部2bに相当する部位を斜面部2112bに押し当てることにより第一紙部材8を折り曲げて、フラップ部2bが斜面部2112bに沿う状態のフランジ紙パーツ2を得るための機構である。第一折り曲げ機構212は、立柱部2121、第一駆動部2122及び第一戻しばね2123を備えている。
【0079】
立柱部2121は、ヘッド部2112との間でボディ部2111を挟む位置(つまり、ボディ部2111の裏側)に設けられた床部2121aと、床部2121aに立設された複数(本実施形態では4本)のサイドロッド部2121bとを備えている。各サイドロッド部2121bは、それぞれ外側挿通孔2111aに往復移動可能な状態で挿通されており、ヘッド部2112の周囲に配置された状態となっている。
【0080】
また、サイドロッド部2121bには、先端部にて開口するフランジ部吸着孔2121cが貫通形成されており、該フランジ部吸着孔2121cは、所定の吸引機構(不図示)により、真空引きされた状態(負圧が供給された状態)となることが可能に構成されている。これにより、フランジ部吸着孔2121cが開口したサイドロッド部2121bの先端部によって、第一紙部材8におけるフランジ部2aに相当する部位を吸着可能なフランジ部吸着部2121dが構成されている。本実施形態では、フランジ部吸着部2121dが「フランジ部吸着手段」に相当する。
【0081】
第一駆動部2122は、立柱部2121を移動させるための駆動源として機能する。第一駆動部2122は、基準線BL方向に往復移動可能に構成されており、立柱部2121と接触した状態で基準線BL方向に往動することにより、立柱部2121を基準線BL方向に往動させる。第一駆動部2122によって立柱部2121が往動することで、ヘッド部2112の頂部2112aを越える位置までフランジ部吸着部2121dを移動させることが可能である。
【0082】
第一戻しばね2123は、立柱部2121を復動させるためのものであり、立柱部2121及びボディ部2111間に設けられたコイルばねによって構成されている。第一戻しばね2123及び第一駆動部2122によって、フランジ部吸着部2121dを基準線BL方向に往復移動させることが可能である。尚、本実施形態において、第一戻しばね2123は、複数(本実施形態では4つ)設けられており、各第一戻しばね2123は、それぞれサイドロッド部2121bの外周に配置されている。
【0083】
第二折り曲げ機構213は、第二紙部材9における側壁部3bに対応する部位を斜面部2112bに沿わせるようにして第二紙部材9を折り曲げることにより、仮組容器本体7を得るための機構である。第二折り曲げ機構213は、第一リンク2131、第二リンク2132、センターロッド部2133、第二駆動部2134、第二戻しばね2135及び底壁部吸着部2136を備えている。本実施形態においては、底壁部吸着部2136が「底壁部吸着手段」を構成する。
【0084】
第一リンク2131は、一端部がヘッド部2112(特に頂部2112a)における前記リンク配置孔2112cを形成する部位に回動可能に取付けられている。第一リンク2131は、一端部を中心として回動することで、該一端部以外の部分が斜面部2112bに対し出没動作可能とされている。
【0085】
また、第一リンク2131は、所定の吸引機構(不図示)により、真空引きされた状態(負圧が供給された状態)となることが可能な側壁部吸着部2131aを備えている。本実施形態においては、側壁部吸着部2131aが「側壁部吸着手段」を構成する。側壁部吸着部2131aは、第二紙部材9における側壁部3bに対応する部位を吸着するものであり、第一リンク2131の回動に伴い斜面部2112bに対し出没動作する。
【0086】
第二リンク2132は、一端部が第一リンク2131の他端部に回動可能に取付けられており、センターロッド部2133の移動による動力を第一リンク2131に伝達する。
【0087】
センターロッド部2133は、中心挿通孔2111bに往復移動可能な状態で挿通されており、全体として棒状をなしている。センターロッド部2133の先端部には、第二リンク2132の他端部が回動可能に取付けられる第三リンク2133aが設けられている。第三リンク2133aは、ヘッド部2112の内部に配置されており、センターロッド部2133の往復移動時に、基準線BL方向に往復移動可能である。
【0088】
第二駆動部2134は、第一リンク2131、第二リンク2132及び第三リンク2133aからなるリンク機構を動作させるための駆動源として機能する。第二駆動部2134は、センターロッド部2133と同軸に配置されており、基準線BL方向に往復移動可能に構成されている。そして、第二駆動部2134がセンターロッド部2133の基端部と接触した状態で基準線BL方向に往動し、第三リンク2133aが往動することで、斜面部2112bから側壁部吸着部2131aが突出するようにして、各リンク2131,2132が動作する。一方、第二駆動部2134の復動に伴い第三リンク2133aが復動することで、斜面部2112bに対し側壁部吸着部2131aが没入するようにして、各リンク2131,2132が動作する。従って、本実施形態では、第三リンク2133aの往復移動により、斜面部2112bに対する側壁部吸着部2131aの出没動作が行われる。
【0089】
第二戻しばね2135は、センターロッド部2133を復動させるためのものであり、ヘッド部2112及びセンターロッド部2133間に設けられたコイルばねによって構成されている。
【0090】
底壁部吸着部2136は、ヘッド部2112の頂部2112aに設けられており、所定の吸引機構(不図示)により、真空引きされた状態(負圧が供給された状態)となることが可能とされている。底壁部吸着部2136は、第二紙部材9における底壁部3aに対応する部位を吸着保持する役割を有する。尚、本実施形態において、底壁部吸着部2136は、基準線BLの周囲に複数(本実施形態では4つ)設けられている。
【0091】
次いで、上述した仮組装置21の動作について説明する。まず、回転軸L1を中心とした回転により仮組装置21が第一供給ポジションP1に配置されると、第一駆動部2122が往動することで、フランジ部吸着部2121dが頂部2112aを越える位置に配置される。その上で、フランジ部吸着部2121dが第一紙部材8におけるフランジ部2aに相当する部位を吸着保持することで、第一紙部材ホッパ30から仮組装置21へと第一紙部材8が供給される(
図14,15参照)。
【0092】
次いで、第一駆動部2122が復動して、第一戻しばね2123から加わる弾性力により、フランジ部吸着部2121dが第一紙部材8を吸着保持したまま復動することで、第一紙部材8におけるフラップ部2bに相当する部位が斜面部2112bに押し当てられる。これにより、フラップ部2b及びフランジ部2aの境界部分に当たる位置にて第一紙部材8が折り曲げられて、フラップ部2bが斜面部2112bに沿う状態のフランジ紙パーツ2が得られる(
図16,17参照)。本実施形態では、第一紙部材8を折り曲げてフランジ紙パーツを得る工程が「第一折り曲げ工程」に相当する。
【0093】
その後、フランジ紙パーツ2におけるフラップ部2bが斜面部2112bに沿っている状態を維持したまま、回転軸L1を中心とした回転により、仮組装置21が第二供給ポジションP2に配置される。仮組装置21が第二供給ポジションP2に配置されると、第二駆動部2134が往動することで、斜面部2112bから側壁部吸着部2131aが突出した状態とされる。その上で、側壁部吸着部2131aが第二紙部材9における側壁部3bに対応する部位を吸着保持し、また、底壁部吸着部2136が第二紙部材9における底壁部3aに対応する部位を吸着保持することで、第二紙部材ホッパ40から仮組装置21へと第二紙部材9が供給される(
図18,19参照)。尚、本実施形態において、斜面部2112bから突出した状態の側壁部吸着部2131aが、底壁部吸着部2136と同じ高さ位置(基準線BL方向に沿って同じ位置)に配置されるように、第二駆動部2134の移動量が設定されている。
【0094】
次に、第二駆動部2134が復動して、第二戻しばね2135から加わる弾性力によりセンターロッド部2133(第三リンク2133a)が復動することで、側壁部吸着部2131aが第二紙部材9における側壁部3bに対応する部位を吸着保持したまま、該側壁部吸着部2131aが斜面部2112bに没入するようにして移動する。これにより、第二紙部材9における側壁部3bに相当する部位が斜面部2112bに沿うようにして第二紙部材9が折り曲げられて、本体紙パーツ3が得られる。また、本体紙パーツ3が得られると同時に、フラップ部2bの外側に側壁部3bが配置されてなる仮組容器本体7が、ヘッド部2112に被せられた状態で得られる(
図20,21参照)。本実施形態では、第二紙部材9を折り曲げて本体紙パーツ3を得るとともに、フラップ部2bの外側に側壁部3bが配置された、フランジ紙パーツ2及び本体紙パーツ3を仮組してなる仮組容器本体7を得る工程が「第二折り曲げ工程」に相当する。また、「第一折り曲げ工程」及び「第二折り曲げ工程」を含む工程が「仮組工程」に相当する。上記の通り、「第一折り曲げ工程」及び「第二折り曲げ工程」では、両紙部材8,9を折り曲げるにあたって、ヘッド部2112が共通に用いられる。
【0095】
仮組容器本体7が得られると、仮組装置21は、側壁部吸着部2131a、底壁部吸着部2136及びフランジ部吸着部2121dによって、ヘッド部2112に被せられた状態の該仮組容器本体7を吸着保持したまま、回転軸L1を中心とした回転により、受渡しポジションP3に配置される。これにより、仮組装置21は、ヘッド部2112が下向きに突出した状態となる。
【0096】
そして、仮組装置21の鉛直下方に搬送バケット52が配置されている状態で、仮組装置21(側壁部吸着部2131a、底壁部吸着部2136及びフランジ部吸着部2121d)による仮組容器本体7の吸着保持が解除されることにより、仮組容器本体7が落下して、搬送バケット52に受け渡される(
図8参照)。落下した仮組容器本体7は、収容凹部52aに配置された状態で吸着保持される。尚、仮組装置21から搬送バケット52に対する仮組容器本体7の受渡し時に、搬送バケット52における吸気路52bに負圧を供給しておくことで、収容凹部52a側に仮組容器本体7を引き寄せて、収容凹部52aに仮組容器本体7を配置することがより確実に可能となる。
【0097】
以上詳述したように、本実施形態によれば、フランジ紙パーツ2によって環状の平坦なフランジ部2aが構成されているため、フランジ部2aに凹凸が形成されることがない。また、側壁部3bはフラップ部2bの外側に配置されるから、側壁部3bがフランジ部2aよりも突出することはなく、フィルム部材4で覆われたフランジ部4に対しカバー6を取着するにあたって、側壁部3bが邪魔になることはない。従って、製造されるフィルムコーティング紙容器1において、その内部空間におけるシール性をより良好なものとすることが可能となる。
【0098】
また、フィルム部材4は、側壁部3b、フラップ部2b、フランジ部2a及び底壁部3aを覆うようにしてこれらに取着されるため、フィルム部材4によって両紙パーツ2,3をより強固に一体化することができる。これにより、製造されたフィルムコーティング紙容器1における強度の向上を図ることができる。
【0099】
さらに、第一紙部材8を折り曲げることにより、フラップ部2bが斜面部2112bに沿う状態を維持した上で、第二紙部材9における側壁部3bに対応する部位を斜面部2112bに沿わせるようにして該第二紙部材9を折り曲げることにより、フラップ部2bの外側に側壁部3bが配置される。従って、フラップ部2bの外側に側壁部3bを確実に配置することができ、内部空間におけるシール性をより良好なものとすることが可能なフィルムコーティング紙容器1をより確実に製造することができる。
【0100】
加えて、第一紙部材8及び第二紙部材9の折り曲げには共通のヘッド部2112を利用するため、仮組装置21の小型化を図ることができるとともに、これら紙部材8,9を適切な角度で折り曲げることが可能となる。
【0101】
また、本実施形態では、斜面部2112bから突出した状態の側壁部吸着部2131aにより第二紙部材9における側壁部3bに対応する部位を吸着した上で、斜面部2112bに没入するように該側壁部吸着部2131aを動作させることにより、第二紙部材9を折り曲げることができる。従って、折り曲げ時における第二紙部材9の位置ずれを効果的に防止することができ、第二紙部材9を適切な位置にて折り曲げることがより確実に可能となる。さらに、第二折り曲げ機構213の全体をヘッド部2112の外部に設ける場合と比べて、仮組装置21の小型化をより効果的に図ることができる。
【0102】
加えて、第三リンク2133a(センターロッド部2133)を往復移動させることだけで、側壁部吸着部2131aを一定経路に沿って出没動作させて、第二紙部材9を適切に折り曲げることができる。従って、仮組装置21の動作安定性をより高めることができる。また、リンク機構を利用することで、第二折り曲げ機構213の構造をより簡素化することができるため、仮組装置21の製造やメンテナンス等に係るコストの低減を図ることができる。
【0103】
さらに、底壁部吸着部2136によって第二紙部材9を吸着保持した状態で、該第二紙部材9を折り曲げることができる。従って、折り曲げ時における第二紙部材9の位置ずれをより効果的に防止することができ、第二紙部材9を適切な位置にて折り曲げることがより一層確実に可能となる。
【0104】
また、第一紙部材8におけるフランジ部2aに対応する部位を吸着した状態でフランジ部吸着部2121dを移動させることにより、第一紙部材8を折り曲げることができる。従って、折り曲げ時における第一紙部材8の位置ずれを効果的に防止することができ、第一紙部材8を適切な位置にて折り曲げることがより確実に可能となる。
【0105】
加えて、本実施形態によれば、第一折り曲げ機構212を比較的簡易な構造によって実現することができるため、仮組装置21の製造等に係るコストの低減をより効果的に図ることができる。
【0106】
また、仮組装置21による吸着保持によって仮組容器本体7における形状崩れを効果的に抑えながら、仮組装置21から搬送バケット52に対し仮組容器本体7を受け渡すことができる。従って、適正形状のフィルムコーティング紙容器1をより確実に得ることができる。
【0107】
さらに、仮組装置21から搬送バケット52に対し仮組容器本体7を受け渡すにあたって、ヘッド部2112から仮組容器本体7を外した後に、該仮組容器本体7の向きを調節するなどの面倒な工程が不要となる。従って、生産性の向上を図ることができる。
【0108】
併せて、仮組装置21は、自身の回転方向に複数並んで設けられるとともに、仮組装置21の列は、回転軸L1方向に複数設けられている。また、第一紙部材ホッパ30及び第二紙部材ホッパ40は、それぞれ仮組装置21の列数と同数設けられている。従って、生産性をより高めることが可能となる。
【0109】
加えて、複数の第二紙部材ホッパ40が回転軸L1方向に並んで設けられる場合、供給する第二紙部材9のサイズによっては、隣り合う第二紙部材ホッパ40から供給された第二紙部材9同士が干渉し合うおそれがあるところ、本実施形態では、第二紙部材ホッパ40は、仮組装置21の回転方向にずれた位置に設けられている。従って、第二紙部材9同士の干渉をより確実に抑制することができ、ひいては製造装置10のより安定的な動作を実現することができる。
【0110】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0111】
(a)上記実施形態においては、複数の第二紙部材ホッパ40が、仮組装置21の回転方向にずれた位置に設けられている。これに対し、複数の第一紙部材ホッパ30を、仮組装置21の回転方向にずれた位置に設けてもよい。勿論、複数の第一紙部材ホッパ30及び複数の第二紙部材ホッパ40のそれぞれを、仮組装置21の回転方向にずれた位置に設けてもよい。尚、紙部材8,9のサイズによっては、複数の第一紙部材ホッパ30及び複数の第二紙部材ホッパ40のそれぞれを、回転軸BL方向に並べて設けてもよい。
【0112】
(b)上記実施形態において、搬送バケット52は、仮組容器本体7における底壁部3a及びフランジ部2aを吸着保持可能に構成されている。これに対し、例えば、搬送バケット52における吸気路52bが、収容凹部52aにおける側壁部3bに対応する部位にて開口することで、搬送バケット52により側壁部3bを吸着保持可能としてもよい。
【0113】
また、
図22に示すように、側壁部3bにおけるフラップ部2bと重なる位置に貫通孔3cを形成し、該貫通孔3cを通してフラップ部2bを吸引することで、搬送バケット52によりフラップ部2bを吸着保持可能に構成してもよい。このように構成することで、通常、側壁部3bの存在により吸着保持することが難しいフラップ部2bをより確実に吸着保持することができる。従って、側壁部3bやフラップ部2bに対し、フィルム部材4をより適切に取着することができ、ひいては製造されるフィルムコーティング紙容器1の強度をより高めること等が可能となる。尚、フラップ部2bを吸着保持するにあたっては、吸気路52bを、搬送バケット52における収容凹部52aを形成する部位のうち、貫通孔3cと重なることとなる部位にて開口させればよい。
【0114】
(c)上記実施形態においては、仮組装置21の列が複数設けられているが、仮組装置21の列を1列のみ設けてもよい。また、仮組装置21の列数に応じて、紙部材ホッパ30,40の数を適宜変更してもよい。勿論、仮組装置21を1つのみ設けてもよい。
【0115】
(d)上記実施形態において、複数の仮組装置21は、円形状の経路に沿って移動するものとされているが、長円形状の経路に沿って移動するものであってもよい。この場合、仮組装置21の移動経路は、搬送バケット52の移動経路と平行な経路を有するものであってもよい。
【0116】
(e)上記実施形態では、ヘッド部2112に向けて第一紙部材8を移動させることで、該第一紙部材8が折り曲げられているが、第一紙部材8に向けてヘッド部2112を移動させることで、第一紙部材8を折り曲げるように構成してもよい。
【0117】
(f)上記実施形態におけるフィルムコーティング紙容器1の形状は一例であり、フィルムコーティング紙容器1の形状を適宜変更してもよい。例えば、底壁部3aが円形状や多角形状(例えば六角形状)などをなすようにしてもよい。勿論、フィルムコーティング紙容器1の形状に合わせて、ヘッド部2112の形状や各折り曲げ機構212,213の構成(例えば、吸着部2121d,2131aの数など)を適宜変更してもよい。
【0118】
(g)上記実施形態において、第二折り曲げ機構213の一部(両リンク2131,2132等)は、斜面部2112bに対し出没動作可能とされており、ヘッド部2112内に収容可能とされている。これに対し、全体がヘッド部2112の外部に位置するように、第二折り曲げ機構を構成してもよい。例えば、第二折り曲げ機構として、全体がヘッド部2112の外部に位置するものであって、第二紙部材9におけるヘッド部2112とは反対側に配置される面を押圧することで、該第二紙部材9を折り曲げるものを利用してもよい。
【符号の説明】
【0119】
1…フィルムコーティング紙容器、2…フランジ紙パーツ、2a…フランジ部、2b…フラップ部、3…本体紙パーツ、3a…底壁部、3b…側壁部、3c…貫通孔、4…フィルム部材、7…仮組容器本体、8…第一紙部材、9…第二紙部材、10…フィルムコーティング紙容器の製造装置、21…仮組装置(仮組手段)、30…第一紙部材ホッパ(第一供給手段)、40…第二紙部材ホッパ(第二供給手段)、52…搬送バケット(容器本体保持手段)、52a…収容凹部、70…フィルム取着装置(フィルム取着手段)、212…第一折り曲げ機構(第一折り曲げ手段)、213…第二折り曲げ機構(第二折り曲げ手段)、2112…ヘッド部、2112a…頂部、2112b…斜面部、2121d…フランジ部吸着部(フランジ部吸着手段)、2131…第一リンク、2131a…側壁部吸着部(側壁部吸着手段)、2132…第二リンク、2133a…第三リンク、2136…底壁部吸着部(底壁部吸着手段)、BL…基準線、L1…回転軸。