(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009649
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】下げ搬送装置
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111336
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099357
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100105418
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 聖
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】松井 智史
(72)【発明者】
【氏名】北村 鉄治
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA22
3B115CB07
3B115CB12
(57)【要約】
【課題】客の入れ替え時において飲食済み容器を速やかに回収し、次の客の案内までの時間を短くすることができる下げ搬送装置を提供する。
【解決手段】飲食客エリアA側において、外部に露出せずに設置された下げ搬送路13を備え、各客席の飲食テーブル8の下方には、下げ搬送路13と連通する開口50が配され、開口50が飲食テーブル8の天板80により開閉可能になっている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を載置した容器を厨房側から飲食客側に搬送させる搬送装置とともに設置され、複数の前記容器を収容可能な箱体を前記厨房側に回収する下げ搬送装置であって、
前記飲食客側において、外部に露出せずに設置された下げ搬送路を備え、各客席の飲食テーブルの下方には、前記下げ搬送路と連通する投入口が配され、
前記投入口が前記飲食テーブルの天板により開閉可能になっていることを特徴とする下げ搬送装置。
【請求項2】
前記飲食テーブルの下方には、前記下げ搬送路と交わる連通路が延設されており、前記投入口は前記連通路に上方から連通していることを特徴とする請求項1に記載の下げ搬送装置。
【請求項3】
前記飲食テーブルの天板を施錠する施錠装置を更に備え、前記施錠装置の解錠に基づき当該施錠装置が属する前記下げ搬送路の駆動が停止されることを特徴とする請求項1に記載の下げ搬送装置。
【請求項4】
前記下げ搬送路は、前記飲食テーブルの天板を開く動作に基づき駆動が停止されることを特徴とする請求項1に記載の下げ搬送装置。
【請求項5】
前記下げ搬送路は、前記連通路から前記箱体が移載される際に、当該連通路からの進路に少なくとも前記箱体1つ分のスペースを確保して駆動が停止されることを特徴とする請求項2に記載の下げ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食済みの容器を厨房側に回収する下げ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、回転寿司と称されている寿司店には、クレセントチェーンコンベアによって飲食物が循環搬送される循環搬送路や、個別に注文した飲食物が直接搬送される注文搬送路を備え、厨房エリアから飲食客エリアまで、人手を必要とせずに飲食物を提供できるようになっている。このように飲食物の提供に人手を必要としない飲食店でも、飲食済みの食器などは店員が厨房側に戻すことが一般的であった。
【0003】
そこで、近年では上記のような飲食物搬送装置において、飲食客が飲食した後の飲食済みの食器などを、客席から厨房エリアまで搬送させることができる下げ搬送装置の普及も進んでいる(特許文献1参照)。詳しくは、搬送路(ここでは循環搬送路)に沿って外部に露出せずに設置された下げ搬送コンベアと、その下げ搬送コンベアに向けて食器を投入する投入口とを備えており、投入口から投入された食器が下げ搬送コンベアを介して厨房側に回収されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第4761268号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の上記特許文献に記載の下げ搬送装置は、下げコンベアに向けて食器を投入する投入口の位置が限定された場所に設けられているので、客の入れ替え時において店員は飲食済み容器を投入口まで運ぶ手間があるため、複数の客席にて同様のタイミングで片付け作業を行う必要がある場合には、投入口まで何度も往復しなければならず、次の客の案内までの時間が長くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、客の入れ替え時において飲食済み容器を速やかに回収し、次の客の案内までの時間を短くすることができる下げ搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の下げ搬送装置は、
飲食物を載置した容器を厨房側から飲食客側に搬送させる搬送装置とともに設置され、複数の前記容器を収容可能な箱体を前記厨房側に回収する下げ搬送装置であって、
前記飲食客側において、外部に露出せずに設置された下げ搬送路を備え、各客席の飲食テーブルの下方には、前記下げ搬送路と連通する投入口が配され、
前記投入口が前記飲食テーブルの天板により開閉可能になっていることを特徴としている。
この特徴によれば、使用済みの容器が収容された箱体を各客席から下げ搬送路に投入することができ、迅速に片付け作業を行え、かつ下げ搬送路に連通する投入部の開口は飲食テーブルの天板により閉塞されることから、飲食中の飲食客には下げ搬送装置の存在を隠蔽することができ、衛生管理を行いやすく、かつ美観に優れる。
【0008】
前記飲食テーブルの下方には、前記下げ搬送路と交わる連通路が延設されており、前記投入口は前記連通路に上方から連通していることを特徴としている。
この特徴によれば、連通路に予め配置しておいた箱体に対して、投入口を通じて使用済みの容器を収容させることができ、片付け作業を効率よく行うことができる。
【0009】
前記飲食テーブルの天板を施錠する施錠装置を更に備え、前記施錠装置の解錠に基づき当該施錠装置が属する前記下げ搬送路の駆動が停止されることを特徴としている。
この特徴によれば、下げ搬送路に箱体を移載させる際に同じ下げ搬送路に面する他の客席から搬送された箱体と干渉することを防止できる。
【0010】
前記下げ搬送路は、前記飲食テーブルの天板を開く動作に基づき駆動が停止されることを特徴としている。
この特徴によれば、下げ搬送路に箱体を移載させる際に複数の客席から搬送された箱体との干渉が防止される。
【0011】
前記下げ搬送路は、前記連通路から前記箱体が移載される際に、当該連通路からの進路に少なくとも前記箱体1つ分のスペースを確保して駆動が停止されることを特徴としている。
この特徴によれば、別の客席から搬送される箱体で、連通路から下げ搬送路への進路が塞がれることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係る下げ搬送装置を備える自動化設備全体と、循環搬送路を示す平面図である。
【
図4】飲食客エリアにおける循環搬送路、注文搬送装置、下げ搬送装置の上下位置関係を示す断面図である。
【
図7】飲食テーブルの扉を開け、開口から連通路が露出した状態を示す斜視図である。
【
図8】連通路から下げ搬送路に回収ボックスが押し込まれた状態を示す斜視図である。
【
図9】確認画面が表示されたディスプレイ装置を示す図である。
【
図10】カメラマップ画面が表示されたディスプレイ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る下げ搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0014】
実施例に係る下げ搬送装置につき、
図1から
図10を参照して説明する。
図1は、本発明の下げ搬送装置である自動化設備1が設置された飲食店設備を示すイメージ図である。自動化設備1は、例えば店員H1が飲食物を調理したり、店員H2が食器の洗い作業を行う厨房エリア(厨房側)Cと客が飲食を行う飲食客エリア(飲食客側)Aとに亘って設けられる循環搬送路2、注文搬送装置(搬送装置)4(
図2参照)、同様に厨房エリアCと飲食客エリアAとに亘って設けられる下げ搬送装置7(
図3参照)、を備えている。尚、
図1では、飲食客エリアAにて循環搬送路2の形状に沿って上方に配されるルーフR(
図4参照)を省略して図示してある。
【0015】
厨房エリアCと飲食客エリアAは、隔壁3により仕切られている。飲食客エリアAには、隔壁3を貫通して配置されるクレセントチェーンコンベアより成る循環搬送路2が無端状に設けられている。循環搬送路2は平面視E型を成している。
【0016】
また、
図2に示されるように、飲食客エリアAには、互いに並設される3列の注文搬送路5(5A、5B、5C)が、厨房エリアCから所定間隔離間して隔壁3を貫通して配置され、これら注文搬送路5A、5B、5Cに直交して、客席を構成する飲食テーブル8が設けられている。このうち注文搬送路5Bには、その幅方向の両側に飲食テーブル8が設けられている。また、このうち注文搬送路5A、5Cの幅方向の一方側には、これら注文搬送路5A、5Cに沿って客席カウンタ6が設けられている。
【0017】
循環搬送路2には、厨房エリアC側で皿などの飲食容器が載置され、飲食客エリアA側にて各客席(飲食テーブル8,客席カウンタ6の各席)に亘って飲食物が循環される。注文搬送路5A、5B、5Cは、厨房エリアC側で互いの端部が近接して配置されており、厨房側の店員(例えばH1)によって、飲食物が載せられた皿やコップなどが走行体(図示せず)に載置されて各客席まで搬送されるようになっている。
【0018】
また、飲食客エリアAの客席から飲食物の注文を受けると、飲食物は厨房エリアCにおいて調理された後、走行体に載置され注文搬送装置4により当該客席まで搬送される。
【0019】
飲食物が載置された走行体は、3本の注文搬送路5A、5B、5Cのいずれかに移載され、飲食客エリアAの客席まで走行される。飲食物が載せられた皿やコップなどの容器は、客席で客によって走行体から直接取り出され、飲食物を搬送した後の走行体は厨房エリアC側に帰還する。尚、走行体の上に配膳盆などを載置させ、この配膳盆ごと取り出される構成でもよい。
【0020】
図3に示されるように、厨房エリアCと飲食客エリアAとに亘って設けられる下げ搬送装置7は、飲食テーブル8と客席カウンタ6とに沿って平面視E型を成している。
【0021】
図4に示されるように、下げ搬送装置7は、循環搬送路2及び注文搬送装置4の下方に、これらの形状に沿って配設されている。尚、
図4では、注文搬送路5Aの部分の一部断面図であり、注文搬送路5B、5Cについても循環搬送路2及び注文搬送装置4と下げ搬送装置7との位置関係は同様である。
【0022】
注文搬送路5A、5B、5Cは、箱型に構成された支持枠20の上面に敷設されており、また支持枠20の上面から起立する支持フレーム21には、注文搬送路5A、5B、5Cの上方に所定間隔離間して循環搬送路2が敷設されている。
【0023】
そして、注文搬送路5Aが敷設される支持枠20の内部空間S1に下げ搬送装置7を構成する下げ搬送路13Aが敷設されている。同様に、注文搬送路5B、5Cの下方における支持枠20の内部空間S1には下げ搬送路13B,13Cがそれぞれ敷設されている。
【0024】
下げ搬送路13(13A,13B,13C)は、厨房エリアC側から延びて回収ボックス22を往復移動可能なコンベアである。
図3に示されるように、下げ搬送装置7は下げ搬送路13A,13B,13Cと、厨房エリアC側にて循環搬送路2の下方にて隔壁3に沿うように延設される回収コンベア12とで構成されている。これら下げ搬送路13と回収コンベア12は、それぞれ複数の使用後の容器を収容可能な回収ボックス(箱体)22の幅よりも若干大きな幅を有しており、これら下げ搬送路13と回収コンベア12の長手方向に長手が沿うように載置された回収ボックス22を回収場所30まで搬送可能となっている。
【0025】
回収コンベア12は、基本的に一方向に駆動され、長手方向における一方側(下流側)先端近傍に配設された洗浄のための回収場所30に回収ボックス22を搬送するようになっている。
【0026】
下げ搬送路13A,13B,13Cの厨房エリアC側の端部、つまり回収コンベア12との交差箇所には、各下げ搬送路13A,13B,13Cを構成する搬送手段であるコンベア23(23A,23B,23C)の駆動から縁切りされた複数のローラとストッパー装置(図示略)からなる待機部24(24A,24B,24C)が設けられている。待機部24A,24B,24Cには、回収ボックス22を回収コンベア12に移載させる移載装置である移載ローラ27が備えられている。
【0027】
図4に示されるように、各客席では、飲食テーブル8は循環搬送路2と注文搬送路5Aよりも低い位置にあり、客は循環搬送路2や注文搬送路5Aを搬送される飲食物を飲食テーブル8側にスムーズに取り出すことができる。
【0028】
図5に示されるように、回収ボックス22は、合成樹脂により形成され、幅約40cm、長さ約55cm、高さ20cmほどの上部に開口を有する矩形の箱状体である。回収ボックス22にはRFIDタグ31が取り付けられている。尚、回収ボックス22にそれぞれ設けられる識別情報についてはRFIDタグに限らず、リーダとの組み合わせに対応する他の識別子であってもよい。
【0029】
飲食テーブル8の天板80は、循環搬送路2側が基部80bと分割されており、この分割された部分が循環搬送路2側に設けられたヒンジ(図示略)を中心に回動となっており、後述する開口50(
図7,8参照)の扉80aを構成している。
【0030】
図4と
図8とに示されるように、飲食テーブル8の天板80の下方には、下げ搬送路13Aに直交する連通路S2が形成されている。連通路S2は、回収ボックス22の長さ寸法と高さ寸法よりも大きな開口断面積で下げ搬送路13Aが敷設される支持枠20内の内部空間S1に連通している。また、連通路S2の上方には、回収ボックス22の幅寸法と長さ寸法よりも大きな開口断面積の開口50が形成されており、この開口50を通して連通路S2の底面34に回収ボックス22を載置させることができる。
【0031】
図7と
図8に示されるように、連通路S2は、支持枠20に対して幅方向から直交する上方に開口する上向きのコ字状部材25で形成されている。このコ字状部材25は天板80の扉80aよりも先端側の基部80bを支持する構造材26と支持枠20とに架設されている。前述の開口50はコ字状部材25の上方の開口により構成されている。
【0032】
図4と
図8に示されるように、連通路S2の底面34には、下げ搬送路13Aに向けて複数本のレール29が延設され、これらレール29の上面は平滑面となっている。回収ボックス22は連通路S2のレール29に載置された状態から、下げ搬送路13Aに向けて押し込まれることで、連通路S2から下げ搬送路13Aに移載される。ここで、レール29の上面は平滑面であるため、連通路S2に載置された回収ボックス22が連通路S2に沿って下げ搬送路13Bまでスライド移動させ易くなっている。
【0033】
詳しくは図示しないが、扉80aは注文搬送路5A方向に90度よりも大きく回動させることで跳ね上げたまま保持され、開口50を開いた状態を維持できるようになっている。すなわち、連通路S2に回収ボックス22を載置した状態で、天板80の基部80b側から開口50を介して飲食物の容器を回収ボックス22に収容させることができる。
【0034】
開口50は、各飲食テーブル8に形成され、それぞれの飲食テーブル8毎に片付け作業を行うことができる。また、ここでは図示しないが客席カウンタ6にも1つから複数の扉にて開閉できる開口が形成されており、この開口から回収ボックス22を下げ搬送装置7に移載させることができる。
【0035】
また、注文搬送路5Aの先端つまり支持枠20の各先端部にも、下げ搬送路13Aに連通する扉にて開閉できる開口が形成されている。更に、
図3に示されるように、飲食客エリアAと厨房エリアCとを隔てる隔壁3の所定箇所にも扉(図示略)にて開閉できる開口28が形成されている。この開口28から挿入された回収ボックス22は、回収コンベア12に直接移載させることができる。
【0036】
下げ搬送路13の搬送手段であるコンベア23は、ここでは図示しない駆動モータにより駆動可能となっており、駆動モータはステッピングモータ等であり、コンベア23上に載置された回収ボックス22を任意の位置で停止させることできる。また、駆動モータは駆動モータに接続されたコンピュータなどで構成される制御部によって駆動が制御される。
【0037】
図6に示されるように、通常、開口50は扉80aで閉鎖されており、連通路S2及び下げ搬送路13A内を通過する回収ボックス22やコンベア23A等が客から見えないようになっている。また、扉80aは図示しない施錠装置(施錠手段)により施錠されている。
【0038】
図3及び
図6から8に示されるように、支持枠20の上方、ここでは注文搬送路5A(5B,5C)の幅方向の側面にそれぞれボタン35が設置されており、飲食店の店員がボタン35を操作することで、開口50を開閉する扉80aの施錠装置が解錠され、手動で開閉できるようになる。尚、ボタン35の位置はどこでもよく、また物理的なボタンではなく、例えば施錠装置に対して店員が所持する通信端末から解錠コマンドを送信する構成であってもよい。これによれば、客によるボタンのご操作等を防止することができる。
【0039】
次いで、飲食が終了した客席の片付け作業時における下げ搬送装置7の利用手順を
図6から
図9を用いて説明する。尚、
図6から
図8では、説明の都合上、注文搬送路と循環搬送路2を省略し、支持枠20のみを図示している。
【0040】
まず、店員は、飲食が終了した客席(ここでは飲食テーブル8)に到着すると、この飲食テーブル8に対応するボタン35を押下する。ボタン35は厨房エリアC側の制御部に繋がっている。制御部では、各ボタン35が識別可能となっており、押下されたボタン35のある客席(例えば客席番号)を把握する。
【0041】
制御部では、押下されたボタン35がどの下げ搬送路13A~13Cに属するかを認識可能である。ボタン35が押下されると、制御部は当該ボタン35が対応する扉80aの施錠装置の解錠を行うともに、当該ボタン35が属する下げ搬送路13(ここでは下げ搬送路13B)に属するその他全てのボタン35からの信号に対して、施錠装置の解錠を禁止する処理(解錠禁止処理)を行う。この解錠禁止処理は、後述する特定の条件を満たした場合に解除される。
【0042】
また、制御部は、いずれかのボタン35が押下され、施錠装置の解錠を行った場合、当該ボタン35及び施錠装置が属する下げ搬送路13(ここでは下げ搬送路13B)のコンベア23Bを停止処理する。
【0043】
また、連通路S2には、RFIDリーダ36(
図3,
図8参照)がそれぞれ設置されており、連通路S2内に載置された回収ボックス22のRFIDタグ31と通信し、その回収ボックス22の識別情報を制御部に送信する。
【0044】
店員は施錠装置の解錠が行われたことを確認すると、扉80aを開け、開口50を露出させる。そして、開口50から連通路S2へ回収ボックス22を挿入する(
図7参照)。本実施例では、回収ボックス22は店員が飲食テーブル8まで運搬するものとする。また、飲食テーブル8上の皿などの容器は、連通路S2に挿入された空の回収ボックス22に収容させる態様で説明する。尚、飲食テーブル8上に回収ボックス22を置き、飲食積みの皿などの容器を収容させた状態の回収ボックス22を連通路S2に挿入させてもよい。
【0045】
図8に示されるように、次いで店員は、飲食テーブル8上の容器を収容させた状態の回収ボックス22を連通路S2から下げ搬送路13Bに押し込み、コンベア23Bに回収ボックス22を移載させる。
【0046】
連通路S2と下げ搬送路13Bとの合流地点近傍にはセンサ(検知手段・
図4参照)42がそれぞれ配設されており、このセンサ42が下げ搬送路13Bへの回収ボックス22の移載が完了したことを検知したことに基づき、制御部はコンベア23Bの駆動を再開させる。
【0047】
制御部は記憶手段を備え、ボタン35の識別情報と施錠装置の識別情報と下げ搬送路(13A~13C)の識別情報と、の対応関係が予め記憶されている。また、制御部は、いずれかのセンサ42が下げ搬送路へ回収ボックス22の移載が完了したことを検知した場合、このセンサ42の識別情報と、このセンサ42が検知した時間情報と、このセンサ42が属する下げ搬送路(13A~13C)の識別情報とをそれぞれ紐づけて記憶する。
【0048】
制御部は、回収ボックス22を下げ搬送路13Bの厨房エリアC側に搬送し、コンベア23Bの端部から待機部24Bに移載し、図示しないストッパーを動作させて、回収ボックス22の移動を規制した状態で待機部24Bにて待機させる。
【0049】
次いで制御部は、他の待機部24A,24Cに他の回収ボックス22が待機されておらず、かつ他の下げ搬送路13A,13Cを搬送中の回収ボックス22がないことが確認できた場合、待機部24Bに設置されたストッパーによる移動規制を解除するとともに、移載装置である移載ローラ27を駆動させ、待機部24Bにて待機させていた回収ボックス22を回収コンベア12に移載させる。
【0050】
一方で制御部は、他の待機部24A,24Cに他の回収ボックス22が待機されている場合、または他の下げ搬送路13A,13Cを搬送中の回収ボックス22がある場合には、現在待機部24A,待機部24B,24Cに待機中の回収ボックス22、下げ搬送路13A,13B,13Cを搬送中の回収ボックス22の時間情報に基づき、時間情報の古いものから順番に回収コンベア12に移載させる制御を行う。つまり、制御部は、回収コンベア12において回収位置側(下流側)の先端位置に、その時点で回収位置に回収されていない最も古い時間情報に紐付けられた回収ボックス22が配置され、そこから順番に上流側に時間情報に基づく順序で回収ボックス22を整列させる(整列処理)。
【0051】
尚、飲食客エリアA側から回収コンベア12に回収ボックス22を直接移載させることができる開口50の扉80aの解錠要求については、制御部は全ての下げ搬送路13A,13B,13Cで搬送中の回収ボックス22がない状態、かつ全ての待機部24A,待機部24B,24Cに待機中の回収ボックス22がない状態でのみ、解錠を可能とする処理を行う。
【0052】
また、制御部は、いずれかのRFIDリーダ36からRFIDタグ31の識別情報を受信した場合、RFIDタグ31の識別情報と、このRFIDリーダ36の位置情報(識別情報)と、このRFIDリーダ36が属する下げ搬送路の識別情報とをそれぞれ紐づけて記憶する。加えて制御部は、記憶した対応関係情報を後述する確認画面39として厨房エリアCの回収場所30の近傍に設置されたディスプレイ装置(表示装置)38に表示させる。
【0053】
図9に示されるように、ディスプレイ装置38には、飲食客エリアA側から下げ搬送装置7に移載され、回収場所30にて洗い作業の順番待ち状態となっている回収ボックス22の現状を確認できる確認画面39が表示される。
【0054】
確認画面39には、回収位置に送られる順番と、RFIDタグ31の識別情報と、センサ42が下げ搬送路への回収ボックス22の移載が完了したことを検知した時間情報と、RFIDリーダ36の位置情報すなわち客席情報と、当該RFIDリーダ36が属する下げ搬送路の識別情報と、が一覧表示される。
【0055】
制御部は、整列処理によって回収コンベア12上の回収ボックス22を時間情報の古いものから順番に整列させており、この配置の順番と確認画面39の表示の順番とが整合されている。
【0056】
店員は、回収コンベア12における回収場所30側(下流側)の先端位置まで搬送された回収ボックス22から順に回収場所30である洗い場に取り出して移し、洗い作業を行う。店員は、回収コンベア12の先端位置から回収ボックス22を洗い場に取り出した時点で、確認画面39における先頭、ここでは順番「1」の横に表示される回収済ボタン41を選択する。確認画面39では、回収場所30に送られる順番に表示が整列されており、回収コンベア12から洗い場に回収ボックス22を取り出した後、それぞれに表示された回収済ボタン41が店員により選択されると、選択された行が暗転し、順番が繰り上がって表示が更新される。
【0057】
ディスプレイ装置38は制御部に対して通信可能であり、回収済ボタン41が店員により選択されたことを受けた制御部は、回収コンベア12を駆動させ、回収コンベア12の先端位置にその時点で最古の回収ボックス22を搬送する。
【0058】
上述したように、飲食テーブル8において扉解錠用のボタン35が押下されると、制御部は当該ボタン35が対応する扉80aの施錠装置の解錠を許可するとともに、当該ボタン35が属する下げ搬送路13に属するその他全てのボタン35からの信号に対して解錠禁止処理を行う。
【0059】
解錠禁止処理の解除の条件としては、いずれかの扉80aの施錠装置が解錠された後、連通路S2と下げ搬送路13との合流地点近傍のセンサ42の検知に基づきコンベア23の駆動が再開された状態において、当該扉80aが閉じられ自動的に施錠が行われた後、かつ当該扉80aが属する下げ搬送路13のコンベア23の駆動が停止した、すなわちコンベア23の下流側の先端に回収ボックス22が到着したことに基づき、制御部により当該下げ搬送路13に属するその他全てのボタン35からの信号に対して解錠禁止処理が解除される。
【0060】
すなわち、制御部は、1つの下げ搬送路13につき1つの扉が解錠されている間は、他のボタンによる扉80aの解錠をさせず、この下げ搬送路13において回収ボックス22の順番が前後することを防ぐとともに、回収ボックス22同士の干渉を防ぐようになっている。
【0061】
このように、下げ搬送装置7は、飲食客エリアA側において、外部に露出せずに設置された下げ搬送路13を備え、各客席の飲食テーブル8の下方には、下げ搬送路13と連通する投入口である開口50が配され、開口50が飲食テーブル8の天板80により開閉可能になっている。これによれば、使用済みの容器が収容された回収ボックス22を各客席から下げ搬送路13に投入することができ、迅速に片付け作業を行え、かつ下げ搬送路13に連通する開口50は飲食テーブル8の天板80により閉塞されることから、飲食中の飲食客に下げ搬送装置7の存在を隠蔽することができ、衛生管理を行いやすく、かつ美観に優れる。
【0062】
また、飲食テーブル8の下方には、下げ搬送路13と交わる連通路S2が延設されており、開口50は連通路S2に上方から連通しており、連通路S2に予め配置しておいた回収ボックス22に対して、開口50を通じて使用済みの容器を収容させることができ、回収ボックス22を飲食テーブル8の天板80上に載置しなくてよいため、扉80aを開いたことによる飲食テーブル8の載置面積の減少の影響がなく、片付け作業を効率よく行うことができる。
【0063】
また、飲食テーブル8の天板80を施錠する施錠装置を更に備え、施錠装置の解錠に基づき施錠装置が属する下げ搬送路13のコンベア23の駆動が停止される。これによれば、下げ搬送路13に回収ボックス22を移載させる際に、同じ下げ搬送路13に面する他の客席から搬送された回収ボックス22と干渉することを防止できる。
【0064】
センサ42の構造は、ここでは詳述しないが、連通路S2側から下げ搬送路13上を搬送される回収ボックス22を検知可能となっている。制御部は、下げ搬送路13のコンベア23の駆動を停止させる際には、このセンサ42の検知情報に基づき、連通路S2から下げ搬送路13への進路に少なくとも回収ボックス22の長さ1つ分のスペースが確保された状態で停止するように駆動を制御する。これによれば、別の客席から搬送される回収ボックス22で、連通路S2から下げ搬送路13への進路が塞がれることがない。
【0065】
また、下げ搬送装置7を構成する下げ搬送路13A,13B,13C及び回収コンベア12には、ここでは図示しないカメラが複数点在配置されており、これらカメラで撮像した画像または動画は、ディスプレイ装置38で視聴することができる。詳しくは、制御部は各カメラの位置情報を把握しており、
図10に示されるように、ディスプレイ装置38に表示されるカメラマップ画面43には、下げ搬送装置7の簡易的な配置
図44と、実際に各カメラが配置される位置において、配置
図44上にそれぞれ配されるモニタボタン45が表示させることができる。店員は、任意のモニタボタン45を選択することで、そのカメラの画像または動画を視聴することができ、下げ搬送装置7における回収ボックス22の混雑状況や回収ボックス22内の容器の汚れ状況等を直感的に確認でき、効率よく洗い作業を行うことができる。
【0066】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0067】
例えば、前記実施例では、下げ搬送路13のコンベア23は解錠用のボタン35の操作に基づき駆動が停止される構成であったが、これに限らず、例えば飲食テーブル8の扉80aの開動作を検知するマイクロスイッチを設け、飲食テーブル8の扉80aを開く動作に基づき下げ搬送路のコンベアの駆動が停止される構成であってもよい。
【0068】
また、扉80aは手動に限らず、例えば制御部からの制御信号を受けて電動で開閉する構成であってもよい。
【0069】
また、前記実施例において、制御部が下げ搬送路13のコンベア23の駆動を停止させることで、下げ搬送路への回収ボックス22の挿入が行いやすくなっているが、これに限らず、例えば回収ボックス22の挿入時には、下げ搬送路13のコンベア23の駆動を停止させず、低速に制御してもよい。
【0070】
また、前記実施例では、扉80aの解錠禁止処理の解除の条件は、いずれかの扉80aの施錠装置が解錠された後、連通路S2と下げ搬送路13との合流地点近傍のセンサ42の検知に基づきコンベア23の駆動が再開された状態において、当該扉80aが閉じられ自動的に施錠が行われた後、かつ当該扉80aが属する下げ搬送路のコンベアの駆動が停止した、すなわちコンベアの下流側の先端に回収ボックス22が到着したことに基づき、制御部により当該下げ搬送路に属するその他全てのボタン35からの信号に対して解錠禁止処理が解除されているが、これに限らない。例えば、いずれかの扉80aの施錠装置が解錠された後、連通路S2と下げ搬送路13との合流地点近傍のセンサ42の検知に基づきコンベア23の駆動が再開された状態において、当該扉80aよりも上流側の飲食テーブル8の扉80aの解錠禁止処理を解除してもよい。また同様に、いずれかの扉80aの施錠装置が解錠された後、コンベア23の駆動が再開された状態において、当該扉80aから挿入され搬送される回収ボックス22の現在位置よりも上流側の飲食テーブル8の扉80aの解錠禁止処理が解除されるようにしてもよい。
【0071】
また、扉80aの開閉方向は限定されず、例えば注文搬送路5に沿う方向に開閉されてもよいし、回動により開閉されるものに限らず、引き戸構造や、蓋として着脱される構造であってもよい。
【0072】
また、飲食テーブル8の下方の連通路S2を省略し、開口から下げ搬送路13のコンベア23に直接移載できる構成であってもよく、この場合には、当該開口と下げ搬送路13との合流地点近傍にセンサ(検知手段)37をそれぞれ配設する。
【0073】
また、下げ搬送路13や回収コンベア12への投入口(開口)が設置される場所は、前記実施例で示した箇所に限らず、例えば下げ搬送路13の下流側の先端に投入口を配設してもよい。