(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096501
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ヒータおよび流体加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/00 20060101AFI20240705BHJP
H05B 3/42 20060101ALI20240705BHJP
H05B 3/78 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H05B3/00 320C
H05B3/42
H05B3/78
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024081179
(22)【出願日】2024-05-17
(62)【分割の表示】P 2020065989の分割
【原出願日】2020-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日浦 規光
(57)【要約】
【課題】ヒータ導体からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【解決手段】ヒータは、第1面と第2面とを有する板状のセラミック積層体と、該セラミック積層体の層間に位置するヒータ導体と、前記セラミック積層体のうち前記ヒータ導体より前記第1面側に位置する第1センサ導体と、前記セラミック積層体のうち前記ヒータ導体より前記第2面側に位置する第2センサ導体とを備え、前記第1センサ導体の配置の密度と前記第2センサ導体の配置の密度とが異なっていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と該第1面の反対に位置する第2面とを有するセラミック積層体と、
該セラミック積層体の層間に位置するヒータ導体と、
前記ヒータ導体より前記第1面側に位置する第1センサ導体と、
前記ヒータ導体より前記第2面側に位置する第2センサ導体と、を備え、
前記第1センサ導体と前記第2センサ導体とは、配置の密度が異なっている、ヒータ。
【請求項2】
前記第1センサ導体の配置の密度は、前記第2センサ導体の配置の密度よりも高い、請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のヒータと、
該ヒータが挿入され、流入口および流出口を有する流路部材と、を備え、
前記ヒータは、前記第1センサ導体の配置の密度が、前記第2センサ導体の配置の密度よりも高く、
前記流路部材は、前記第1面側に前記流入口が位置し、前記第2面側に前記流出口が位置している、流体加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載暖房用水加熱ヒータまたはシャワートイレ用ヒータ等に用いられるヒータおよび流体加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載暖房用水加熱ヒータまたはシャワートイレ用ヒータ等の流体加熱に用いられるヒータとして、例えば特許文献1に記載のセラミックヒータが挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載のセラミックヒータは、セラミック層と、セラミック層の層間に設けられたヒータ配線および割れ検出用配線と、を備えている。これにより、セラミック層に割れが生じた際に、割れ検出用配線が断線することによって、セラミック層の割れを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなセラミックヒータにおいては、割れ検出用配線がヒータ配線の片側にしか設けられていなかった。そのため、反対側から浸水が生じた際にヒータ配線からの漏電を検知することができなかった。その結果、ヒータ配線からの漏電が生じるリスクを低減することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のヒータは、第1面と第2面とを有する板状のセラミック積層体と、該セラミック積層体の層間に位置するヒータ導体と、前記セラミック積層体のうち前記ヒータ導体より前記第1面側に位置する第1センサ導体と、前記セラミック積層体のうち前記ヒータ導体より前記第2面側に位置する第2センサ導体とを備え、前記第1センサ導体の配置の密度と前記第2センサ導体の配置の密度とが異なっていることを特徴とする。
【0007】
また、本開示の流体加熱装置は、前記ヒータと、該ヒータが挿入され、流入口および流出口を有する流路材とを備え、前記ヒータは、前記第1センサ導体の配置の密度と前記第2センサ導体の配置の密度とが異なっており、前記流路部材は、前記第1面側に前記流入口が位置し、前記第2面側に前記流出口が位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示のヒータによれば、前記セラミック積層体のうち前記ヒータ導体より前記第1面側に位置する第1センサ導体と、前記セラミック積層体のうち前記ヒータ導体より前記第2面側に位置する第2センサ導体と、を有している。これにより、ヒータ導体の第1面側または第2面側のどちらから浸水が生じたとしても、第1センサ導体または第2センサ導体に抵抗変化が生じるため、この抵抗変化を検知することにより、浸水を検知することができる。その結果、ヒータ導体からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0009】
また、本開示のヒータによれば、前記第1センサ導体の配置の密度と前記第2センサ導体の配置の密度とが異なっている。このため、たとえば、浸水が生じやすい面側において浸水の検出可能性を高めつつ、浸水が生じにくい面側においてセラミック積層体とセンサ導体との間の熱応力を低減することができる。これにより、ヒータの耐久性を高めつつ、ヒータ導体からの漏電のリスクを良好に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図6】本開示のヒータの他の例を示す斜視図である。
【
図10】他の例のヒータの断面を示す断面図である。
【
図11】他の例のヒータの断面を示す断面図である。
【
図12】他の例のヒータの断面を示す断面図である。
【
図13】他の例のヒータの断面を示す断面図である。
【
図14】他の例のヒータの断面を示す断面図である。
【
図15】他の例のヒータの断面を示す断面図である。
【
図16】他の例のヒータの断面を示す断面図である。
【
図17】本開示の一例のヒータの使用例を示す断面図である。
【
図18】本開示の他の例のヒータの使用例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、ヒータ10について、図面を参照して説明する。本開示の一例のヒータ10は、板状のセラミック積層体1と、ヒータ導体2と、第1センサ導体3と、第2センサ導体4と、を備えている。以下、
図1~
図5に示すヒータ10の一例について説明する。
【0012】
セラミック積層体10は、上面11と下面12とを有する板状の部材である。セラミック積層体10は、例えば酸化アルミニウム、窒化珪素または窒化アルミニウム等の材料を有している。セラミック積層体10は、複数のセラミック層からなる。セラミック積層体10の表面には、ガラスまたは樹脂等の絶縁性材料を含む絶縁膜5が設けられていてもよい。セラミック積層体10の寸法は、例えば長さを20~250mmに、幅を10~250mmに、厚さを0.3~10mmにすることができる。
【0013】
ヒータ導体2は通電により発熱する部材である。ヒータ導体2は、セラミック積層体10の層間に位置している。ヒータ導体2は、例えば線状、紐状または帯状の部材である。ヒータ導体2は、複数の折返し部を有していてもよい。ヒータ導体2は、セラミック積層体10の層間のうち、全面に引き回されて位置していてもよい。ヒータ導体2は、例えば、タングステン、白金、金、銀、銅、ニッケル、モリブデン、またはパラジウム等の導電性の材料を有している。ヒータ導体2の寸法は、例えば全長を10~6000mmに、幅を0.2~3mmに、厚さを0.01~0.5mmにすることができる。また、ヒータ導体2は、ヒータ10の一端側においてリード端子6に接続されており、外部部材と通電していてもよい。ヒータ導体2の発熱により、セラミック積層体10の上面11および下面12に触れる流体を加熱することができる。
【0014】
第1センサ導体3および第2センサ導体4は、抵抗変化により、浸水の有無を検出する導体である。第1センサ導体3は、セラミック積層体10のうちヒータ導体2より上面11側に設けられている。ここで、セラミック積層体10のうちヒータ導体2より上面11
側とは、セラミック積層体10の上面11も含むものである。第2センサ導体4は、セラミック積層体10のうちヒータ導体2より下面12側に設けられている。ここで、セラミック積層体10のうちヒータ導体2より下面12側とは、セラミック積層体10の下面12も含むものである。例えば線状、紐状または帯状の部材である。第1センサ導体3および第2センサ導体4は、複数の折返し部を有していてもよい。第1センサ導体3および第2センサ導体4は、例えば、タングステン、白金、金、銀、銅、ニッケル、モリブデン、またはパラジウム等の導電性の材料を有している。第1センサ導体3および第2センサ導体4の寸法は、例えば全長を10~7000mmに、幅を0.1~3mmに、厚さを0.01~0.5mmにすることができる。第1センサ導体3および第2センサ導体4は、同一の材料を有していてもよいし、異なる材料から形成されていてもよい。また、第1センサ導体3および第2センサ導体4は、ヒータ10の一端側においてリード端子6に接続されており、外部部材と通電していてもよい。
【0015】
図2から
図5は、セラミック積層体10の上面11または下面12に垂直な断面を見た断面図ある。本開示のヒータ10は、
図2に示すように、セラミック積層体10のうちヒータ導体2より上面11側に位置する第1センサ導体3と、セラミック積層体10のうちヒータ導体2より下面12側に位置する第2センサ導体4と、を有している。これにより、ヒータ導体2の上面11側または下面12側のどちらから浸水が生じたとしても、第1センサ導体3または第2センサ導体4に抵抗変化が生じるため、この抵抗変化を検知することにより、浸水を検知することができる。その結果、ヒータ導体2からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0016】
また、
図2(a)に示すように、セラミック積層体10の積層方向に重なる位置に第1センサ導体3または第2センサ導体4が設けられていてもよい。これにより、セラミック積層体10の上面11または下面12からヒータ導体2を最短距離で結ぶ直線上に、第1センサ導体3または第2センサ導体4を設けることができる。そのため、浸水のリスクが高い箇所において、第1センサ導体3または第2センサ導体4を設けることができる。その結果、ヒータ導体2からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0017】
また、セラミック積層体10の幅と第1センサ導体3または第2センサ導体4の幅とが略同一であってもよい。
【0018】
また、
図2(b)に示すように、セラミック積層体10の積層方向に重ならない位置に第1センサ導体3または第2センサ導体4が設けられていてもよい。言い換えると、第1センサ導体3または第2センサ導体4は、セラミック積層体10の間に設けられていてもよい。これにより、ヒータ導体2の発熱により、第1センサ導体3または第2センサ導体4とセラミック積層体10との間に熱応力が生じ、第1センサ導体3または第2センサ導体4が断線してしまうおそれを低減できる。その結果、ヒータ10の耐久性を高めることができる。
【0019】
また、
図2(c)に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4の厚さが、ヒータ導体2の厚さよりも小さくてもよい。また、
図2(d)に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4の幅が、ヒータ導体2の幅よりも小さくてもよい。これにより、単位長さあたりの抵抗値を高めることができるため、微細なクラック等による小さな抵抗変化も検知することができる。そのため、第1センサ導体3または第2センサ導体4を設けることができる。その結果、ヒータ導体2からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0020】
また、セラミック積層体10の幅と第1センサ導体3または第2センサ導体4の幅とが略同一であってもよい。
【0021】
また、
図2(b)に示すように、セラミック積層体10の積層方向に重ならない位置に第1センサ導体3または第2センサ導体4が設けられていてもよい。言い換えると、第1センサ導体3または第2センサ導体4は、セラミック積層体10の間に設けられていてもよい。これにより、ヒータ導体2の発熱により、第1センサ導体3または第2センサ導体4とセラミック積層体10との間に熱応力が生じ、第1センサ導体3または第2センサ導体4が断線してしまうおそれを低減できる。その結果、ヒータ10の耐久性を高めることができる。
【0022】
また、
図2(c)に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4の厚さが、ヒータ導体2の厚さよりも小さくてもよい。また、
図2(d)に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4の幅が、ヒータ導体2の幅よりも小さくてもよい。これにより、単位長さあたりの抵抗値を高めることができるため、微細なクラック等による小さな抵抗変化も検知することができる。そのため、第1センサ導体3または第2センサ導体4が抵抗変化をより検出し易くすることができる。その結果、ヒータ導体2からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0023】
また、
図2(d)に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4が、ヒータ導体2よりも高密度に配置されていてもよい。これにより、第1センサ導体3または第2センサ導体4が浸水を検出できる可能性をより高めることができる。その結果、ヒータ導体2からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0024】
また、
図3(e)に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4の幅が、ヒータ導体2の幅よりも小さく、かつ、第1センサ導体3または第2センサ導体4が、ヒータ導体2に重なる位置に設けられていてもよい。
【0025】
また、
図3(f)に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4は、ヒータ導体2に重なる位置に設けられていており、断面視したときに、第1センサ導体3または第2センサ導体4の両端部が、ヒータ導体2の両端部に対して、積層方向に垂直な方向にずれて位置していてもよい。これにより、ヒータ導体2、第1センサ導体3または第2センサ導体4の両端部に熱応力が生じたときに、熱応力を分散させることができる。これにより、ヒータ10の耐久性を高めることができる。
【0026】
また、
図3(g)に示すように、第1センサ導体3と第2センサ導体4の配置の密度が異なっていてもよい。また、例えば上面11側に流入口が、下面12側に流出口が位置しており、第1センサ導体3が、第2センサ導体4よりも密に設けられていてもよい。この場合は、流入口側を流れる流体は、流出口側を流れる流体よりも低温であるため、流入口側に位置する上面11において、熱応力が生じやすく、浸水が生じやすい。このように、浸水が生じやすい上面11側に位置する第1センサ導体3を密に設けることによって、より浸水を検知することができる。加えて、相対的に熱応力が生じにくい下面12側に位置する第2センサ導体4は、第1センサ導体3よりも疎に設けられているため、セラミック積層体10との間の熱膨張差による熱応力を低減することができる。その結果、ヒータ10の耐久性を高めつつ、ヒータ導体2からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0027】
また、
図4に示すように、第1センサ導体3がセラミック積層体10の上面11に設けられていてもよい。同様に、第2センサ導体4がセラミック積層体10の下面12に設けられていてもよい。この場合は、第1センサ導体3または第2センサ導体4がセラミック積層体10の内部に埋設されている場合と比較して、セラミック積層体10の熱容量を低減することができる。そのため、ヒータ導体2で生じた熱を流体に伝えやすくすることが
できる。その結果、流体の加熱効率を高めることができる。
【0028】
また、
図5に示すように、ヒータ10は、セラミック積層体10の上面11に絶縁膜5を有し、第1センサ導体3は、セラミック積層体10の上面11と絶縁膜5との間に設けられていてもよい。これにより、ヒータ導体2とセラミック積層体10との間に亀裂が生じたときに、セラミック積層体10と絶縁膜5との界面で亀裂の進行を止めることができる。その結果、ヒータ10の耐久性を高めることができる。
【0029】
以下、
図6~
図16に示す他の例のヒータ10について説明する。ヒータ10は、筒状のセラミック積層体10と、ヒータ導体2と、第1センサ導体3と、第2センサ導体4と、を備えている。
【0030】
セラミック積層体10は、内周面13と外周面14とを有する筒状の部材である。セラミック積層体10は、例えば酸化アルミニウム、窒化珪素または窒化アルミニウム等の材料を有している。セラミック積層体10は、複数のセラミック層からなる。セラミック積層体10の表面には、ガラスまたは樹脂等の絶縁性材料を含む絶縁膜5が設けられていてもよい。セラミック積層体10の寸法は、例えば長さを20~250mmに、内径を1~78mmに、外径を1.5~80mmに、厚さを0.5~5mmにすることができる。
【0031】
なお、セラミック積層体10の外周面14には、長手方向に伸びる溝が設けられていてもよい。これにより、セラミック積層体10の外周面14の熱応力を低減することができる。
【0032】
ヒータ導体2は通電により発熱する部材である。ヒータ導体2は、セラミック積層体10の層間に位置している。ヒータ導体2は、例えば線状、紐状または帯状の部材である。ヒータ導体2は、複数の折返し部を有していてもよい。ヒータ導体2は、セラミック積層体10の層間のうち、全面に引き回されて位置していてもよい。ヒータ導体2は、例えば、タングステン、白金、金、銀、銅、ニッケル、モリブデンまたはパラジウム等の導電性の材料を有している。ヒータ導体2の寸法は、例えば全長を10~4000mmに、幅を0.2~3mmに、厚さを0.01~0.5mmにすることができる。ヒータ導体2の発熱により、セラミック積層体10の内周面13および外周面14に触れる流体を加熱することができる。
【0033】
第1センサ導体3および第2センサ導体4は、抵抗変化により、浸水の有無を検出する導体である。第1センサ導体3は、セラミック積層体10のうちヒータ導体2より内周面13側に設けられている。ここで、セラミック積層体10のうちヒータ導体2より内周面13側とは、セラミック積層体10の内周面13も含むものである。第2センサ導体4は、セラミック積層体10のうちヒータ導体2より外周面14側に設けられている。ここで、セラミック積層体10のうちヒータ導体2より外周面14側とは、セラミック積層体10の外周面14も含むものである。例えば線状、紐状または帯状の部材である。第1センサ導体3および第2センサ導体4は、複数の折返し部を有していてもよい。第1センサ導体3および第2センサ導体4は、例えば、タングステン、白金、金、銀、銅、ニッケル、モリブデン、またはパラジウム等の導電性の材料を有している。第1センサ導体3および第2センサ導体4の寸法は、例えば全長を10~5000mmに、幅を0.1~3mmに、厚さを0.01~0.5mmにすることができる。第1センサ導体3および第2センサ導体4は、同一の材料を有していてもよいし、異なる材料から形成されていてもよい。また、第1センサ導体3および第2センサ導体4は、ヒータ10の一端側においてリード端子6に接続されており、これにより外部部材と通電していてもよい。
【0034】
図7に示すように、本開示の他の例のヒータ10によれば、セラミック積層体10のう
ちヒータ導体2より内周面13側に位置する第1センサ導体3と、セラミック積層体10のうちヒータ導体2より外周面14側に位置する第2センサ導体4と、を有している。これにより、ヒータ導体2の内周面13側または外周面14側のどちらから浸水が生じたとしても、第1センサ導体3または第2センサ導体4に抵抗変化が生じるため、この抵抗変化を検知することにより、浸水を検知することができる。その結果、ヒータ導体2からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0035】
また、
図7に示すように、セラミック積層体10に径方向に重なる位置に第1センサ導体3または第2センサ導体4が設けられていてもよい。これにより、セラミック積層体10の内周面13または外周面14からヒータ導体2を最短距離で結ぶ直線上に、第1センサ導体3または第2センサ導体4を設けることができる。そのため、浸水のリスクが高い箇所において、第1センサ導体3または第2センサ導体4を設けることができる。その結果、ヒータ導体2からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0036】
また、セラミック積層体10の幅と第1センサ導体3または第2センサ導体4の幅とが略同一であってもよい。
【0037】
また、
図8に示すように、セラミック積層体10の径方向に重ならない位置に第1センサ導体3または第2センサ導体4が設けられていてもよい。言い換えると、第1センサ導体3または第2センサ導体4は、セラミック積層体10の間に設けられていてもよい。これにより、ヒータ導体2の発熱により、第1センサ導体3または第2センサ導体4とセラミック積層体10との間に熱応力が生じ、第1センサ導体3または第2センサ導体4が断線してしまうおそれを低減できる。その結果、ヒータ10の耐久性を高めることができる。
【0038】
また、
図9に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4の厚さが、ヒータ導体2の厚さよりも小さくてもよい。また、
図10に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4の幅が、ヒータ導体2の幅よりも小さくてもよい。これにより、単位長さあたりの抵抗値を高めることができるため、微細なクラック等による小さな抵抗変化も検知することができる。そのため、第1センサ導体3または第2センサ導体4を設けることができる。その結果、ヒータ導体2からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0039】
また、
図10に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4が、ヒータ導体2よりも高密度に配置されていてもよい。これにより、第1センサ導体3または第2センサ導体4が浸水を検出できる可能性をより高めることができる。その結果、ヒータ導体2からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0040】
また、
図11に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4の幅が、ヒータ導体2の幅よりも小さく、かつ、第1センサ導体3または第2センサ導体4が、ヒータ導体2に重なる位置に設けられていてもよい。
【0041】
また、
図12に示すように、第1センサ導体3または第2センサ導体4は、ヒータ導体2に重なる位置に設けられていており、断面視したときに、第1センサ導体3または第2センサ導体4の両端部が、ヒータ導体2の両端部に対して、積層方向に垂直な方向にずれて位置していてもよい。これにより、ヒータ導体2、第1センサ導体3または第2センサ導体4の両端部に熱応力が生じたときに、熱応力を分散させることができる。これにより、ヒータ10の耐久性を高めることができる。
【0042】
また、
図13に示すように、第1センサ導体3と第2センサ導体4の配置の密度が異な
っており、内周面13側に位置する第1センサ導体3よりも、外周面14側に位置する第2センサ導体4の密度が高くてもよい。また、
図14に示すように、外周面14側に位置する第2センサ導体4よりも、内周面13側に位置する第1センサ導体3の密度が高くてもよい。例えば、セラミック積層体10の内周側に流入口が設けられており、セラミック積層体10の外周側に流出口が設けられている場合は、外周面14側に位置する第2センサ導体4よりも、内周面13側に位置する第1センサ導体3の密度が高くてもよい。流入口側を流れる流体は、流出口側を流れる流体よりも低温が流れるため、流入口側に位置する内周面13において、熱応力が生じやすく、浸水が生じやすい傾向にある。このように、浸水が生じやすい内周面13側に位置する第1センサ導体3を密に設けることによって、より浸水を検知することができる。加えて、相対的に熱応力が生じにくい外周面14側に位置する第2センサ導体4は、第1センサ導体3よりも疎に設けられているため、セラミック積層体10との間の熱膨張差による熱応力を低減することができる。その結果、ヒータ10の耐久性を高めつつ、ヒータ導体2からの漏電が生じるリスクを低減することができる。
【0043】
また、
図15に示すように、第2センサ導体4がセラミック積層体10の外周面14に設けられていてもよい。同様に、第1センサ導体3がセラミック積層体10の内周面13に設けられていてもよい。この場合は、第1センサ導体3または第2センサ導体4がセラミック積層体10の内部に埋設されている場合と比較して、セラミック積層体10の熱容量を低減することができる。そのため、ヒータ導体2で生じた熱を流体に伝えやすくすることができる。その結果、流体の加熱効率を高めることができる。
【0044】
また、
図16に示すように、ヒータ10は、セラミック積層体10の外周面14に絶縁膜5を有し、第2センサ導体4は、セラミック積層体10の上面11と絶縁膜5との間に設けられていてもよい。これにより、ヒータ導体2とセラミック積層体10との間に亀裂が生じたときに、セラミック積層体10と絶縁膜5との界面で亀裂の進行を止めることができる。その結果、ヒータ10の耐久性を高めることができる。
【0045】
以下に、本開示のヒータ10の使用例について説明する。ヒータ10は、例えば
図17に示すように、一端側にフランジ7が設けられており、他端側が流路部材8に挿入されていてもよい。フランジ7および流路部材8は、例えばセラミックまたは金属等の部材であってもよい。流路部材8は、例えば環状の部材であって、流路部材8の内周面13と、ヒータ10の外表面とによって、流路が形成されていてもよい。また、流入口または流出口は、フランジ7に設けられていてもよい。流路部材8は、例えば、セラミック積層体10の上面11側に流入口を有し、セラミック積層体10の下面12側に流出口を有していてもよい。
【0046】
また、
図18に示すように、ヒータ10が円筒状である場合は、ヒータ10の内周側を流路として用いることができる。また、ヒータ10の一端側が流入口または流出口であってもよい。これにより、流路部材8またはフランジ7に設ける流路を減らすことができるため、液密性を高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
1:セラミック積層体
11:上面
12:下面
13:内周面
14:外周面
2:ヒータ導体
3:第1センサ導体
4:第2センサ導体
5:絶縁膜
6:リード端子
7:フランジ
8:流路部材
10:ヒータ