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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096512
(43)【公開日】2024-07-16
(54)【発明の名称】ロータリー装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/24 20060101AFI20240708BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
F16H55/24
F16H1/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076500
(22)【出願日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】112100135
(32)【優先日】2023-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】518435873
【氏名又は名称】東佑達自動化科技股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】No.55, Xinji 3rd Rd., Annan Dist., Tainan City, 70947 Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石 施▲れい▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 向緯
(72)【発明者】
【氏名】曾 坤成
【テーマコード(参考)】
3J009
3J030
【Fターム(参考)】
3J009DA09
3J009EA06
3J009EA19
3J009EA23
3J009EA32
3J009EB24
3J009FA25
3J030AB01
3J030BA03
3J030CA10
(57)【要約】
【課題】従動ギアと主動ギアの間のバックラッシュを微調整できるロータリー装置を提供する。
【解決手段】内部空間11を囲むように形成された筐体10と、所定の軸線Lを回転軸として回転することによって、少なくとも2つの固定位置で筐体に固定可能、且つ、筐体に固定される際、内部空間に連通し、軸線から所定の距離を離れた偏心軸L1を中心とする第1の偏心孔23が形成されている第1の回転調整盤20と、筐体に取り付けられて駆動力を出力する駆動手段30と、駆動手段により駆動される主動ギア41及び主動ギアにより駆動されて回転する従動ギア42を有するギアセット40と、第1の回転調整盤20とギアセットが有する従動ギアとの間に介在し、従動ギアが回転する軸心を偏心軸に規定する第1の軸受け51と、を備えるロータリー装置を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を囲むように形成された筐体と、
所定の軸線を回転軸として回転することによって少なくとも2つの固定位置で前記筐体に固定可能であり、且つ、前記筐体に固定される際、前記内部空間に連通し、前記軸線から所定の距離を離れた偏心軸を中心とする第1の偏心孔が形成されている第1の回転調整盤と、
前記筐体に取り付けられて駆動力を出力する駆動手段と、
前記駆動手段により駆動される主動ギア及び前記主動ギアにより駆動されて回転する従動ギアを有するギアセットと、
前記第1の回転調整盤と前記ギアセットが有する前記従動ギアとの間に介在し、前記従動ギアが回転する軸心を前記偏心軸に規定する第1の軸受けと、を備えることを特徴とするロータリー装置。
【請求項2】
前記第1の回転調整盤は、円盤状に形成された第1の本体部と、前記第1の偏心孔を囲む内周面に沿って前記第1の本体部から突起する第1の環状部と、を有するように形成されており、
前記筐体は、前記第1の回転調整盤に対応し、前記第1の本体部を収容できるように凹陥する第1の収容凹部と、該第1の収容凹部の底面から更に凹陥して前記第1の環状部に対応して収容する第1の収容スロットと、前記第1の収容スロットの底面に開口し、且つ、前記第1の収容スロットの底面に直交するように延伸し、前記内部空間の一部として前記従動ギアを収容する縦孔と、を有するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリー装置。
【請求項3】
前記筐体には、前記軸線との最短距離がいずれも所定の半径距離と一致するように、前記第1の収容凹部の底面に形成された少なくとも2つの第1の固定孔が形成されており、
前記第1の回転調整盤の前記第1の本体部には、前記第1の固定孔の数よりも多くの調整対応孔が、前記軸線との最短距離がいずれも前記半径距離と一致するように形成されており、
更に、すべての前記第1の固定孔に対応するよう、前記第1の回転調整盤に形成される前記調整対応孔から選択された前記第1の固定孔と同じ数の前記調整対応孔に対して、第1のボルトを挿通させてから対応の前記第1の固定孔にねじ込むことにより、前記第1の回転調整盤を前記筐体に固定することが可能であり、
前記第1の回転調整盤に形成される前記調整対応孔から選択される前記調整対応孔を変更することにより、前記第1の回転調整盤の前記筐体に固定される相対角度を変更することで、前記第1の回転調整盤に形成される前記第1の偏心孔により規定される前記偏心軸の位置を変更して該偏心軸を回転の軸心とする前記従動ギアの前記主動ギアに対する相対距離を微調整することができることを特徴とする請求項2に記載のロータリー装置。
【請求項4】
前記第1の回転調整盤の前記筐体に面する側の反対側に配置され、且つ、前記第1の回転調整盤の前記第1の偏心孔を経由して前記従動ギアに固定される出力盤を更に有することを特徴とする請求項1に記載のロータリー装置。
【請求項5】
前記主動ギアはウォームであり、前記従動ギアはウォームホイールであることを特徴とする請求項1に記載のロータリー装置。
【請求項6】
前記所定の距離は0.1mm~0.4mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のロータリー装置。
【請求項7】
前記偏心軸を中心とする第2の偏心孔を囲む内周面と、前記軸線を中心とする外周面とを有し、該外周面に各前記調整対応孔にそれぞれ対応する複数の係合ノッチが形成されている第2の回転調整盤と、
前記第2の回転調整盤と前記従動ギアとの間に介在するように前記第2の偏心孔内に配置され、前記従動ギアが回転する軸心を前記第1の軸受けと共に前記偏心軸に規定する第2の軸受けと、を更に有し、
前記筐体は、前記第2の回転調整盤を収容できるように凹陥する第2の収容凹部と、前記軸線との最短距離がいずれも前記外周面の半径に略一致するように、前記第2の収容凹部の底面に形成される少なくとも1つの第2の固定孔とが形成されており、
すべての前記第2の固定孔に対応するよう、選択された前記調整対応孔に対応する前記係合ノッチに対して第2のボルトを嵌め込ませてから対応の前記第2の固定孔にねじ込むことにより、前記第2の回転調整盤を前記筐体に固定することが可能であり、
前記第1の回転調整盤に形成される前記調整対応孔から前記第1のボルトにより挿通されるように選択された前記調整対応孔の変更に対応して、前記第2のボルトに嵌め込まれる前記係合ノッチを選択することにより、前記第1の回転調整盤に合わせて前記第2の回転調整盤の前記筐体に固定される相対角度を変更することで、前記第2の回転調整盤に形成される前記第2の偏心孔により規定される前記偏心軸の位置を変更して該偏心軸を回転の軸心とする前記従動ギアの前記主動ギアに対する相対距離を前記第1の回転調整盤に合わせて微調整することができることを特徴とする請求項3に記載のロータリー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロータリー装置に関し、特に、バックラッシュが調整可能なロータリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1図2に示されるように、従来のロータリー装置(SMC株式会社製、ロータリテーブルLERシリーズ)はリニア装置と異なり、回転する駆動力を出力することが出来、工業界において広く用いられている。この平面ロータリー装置は動力源1(ステッピングモーター)と、動力伝達メカニズム2と、軸受け3と、回転出力部品4とにより構成される。この動力伝達メカニズム2はベルトホイールアセンブリ201と、歯車アセンブリ202(ウォームとウォームホイールを含む)を有する。動力源1はベルトホイールアセンブリ201を駆動して歯車アセンブリ202を連動させ、最終的に回転出力部品4の一つの上方の盤の表面から回転動力を出力する。
【0003】
ウォームとウォームホイールは加工や組立などの様々な原因により、平歯車と比べてバックラッシュが大きく、従ってその性能パラメータには、±0.3°以下のバックラッシュ値が表記され、このバックラッシュ値は必然的にクライアント側での使用上の精度に影響を及ぼす。
【0004】
この他、電動モータにより駆動される電動式平面ロータリー装置では、力を伝導するメカニズムとして通常は歯車アセンブリを選択して使用するが、必要とされる減速レートが比較的に低いものには、平歯車とはすば歯車の組合せが選択され、必要とされる減速レートが比較的に高いものには、かさ歯車あるいはウォームギヤが選択される。どの形式の歯車アセンブリを選択するにせよ、バックラッシュの調整は必須であり、バックラッシュが小さすぎると、歯車同士の摩耗を加速して使用寿命が減り、バックラッシュが大きすぎると、クライアント側での使用上の精度に影響を及ぼす。従って、バックラッシュをいかに調整するかは、平面ロータリー装置の課題の1つとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、従来技術の少なくとも1つの欠点を解決できるロータリー装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点に鑑みて、本発明は、内部空間を囲むように形成された筐体と、所定の軸線を回転軸として回転することによって少なくとも2つの固定位置で前記筐体に固定可能であり、且つ、前記筐体に固定される際、前記内部空間に連通し、前記軸線から所定の距離を離れた偏心軸を中心とする第1の偏心孔が形成されている第1の回転調整盤と、前記筐体に取り付けられて駆動力を出力する駆動手段と、前記駆動手段により駆動される主動ギア及び前記主動ギアにより駆動されて回転する従動ギアを有するギアセットと、前記第1の回転調整盤と前記ギアセットが有する前記従動ギアとの間に介在し、前記従動ギアが回転する軸心を前記偏心軸に規定する第1の軸受けと、を備えることを特徴とするロータリー装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のロータリー装置は、軸線を回転軸として回転して角度を調整できる第1の回転調整盤に、軸線から所定の距離を離れた偏心軸を中心とする第1の偏心孔が形成されるので、軸線を回転軸として回転して角度を調整することにより、第1の偏心孔により規定される偏心軸の位置を調整することができるので、動力の転送に用いられる従動ギアの回転軸をこの位置が可変な偏心軸に合わせることで、この従動ギアと主動ギアの相対位置、すなわちバックラッシュを微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来のロータリー装置の構成が示される平面模式図である。
図2図1におけるII-II線に沿った断面図である。
図3】本発明の一実施形態におけるロータリー装置の外部構成が示される斜視図である。
図4】上記実施形態のロータリー装置の内部構成が示される分解斜視図である。
図5】上記実施形態のロータリー装置における第1の回転調整盤の構成が示される上面図である。
図6図5におけるVI-VI線に沿った断面図である。
図7】上記実施形態のロータリー装置の内部構成が示される一部切り抜き斜視図である。
図8】上記実施形態のロータリー装置の内部構成が示される縦断面図である。
図9図8におけるIX-IX線に沿った縦断面図である。
図10図8におけるX-X線に沿った横断面図である。
図11】本発明の一実施形態における従動ギアと主動ギアとの位置関係(接近前)が示される一部拡大断面図である。
図12】本発明の一実施形態における従動ギアと主動ギアとの位置関係(接近後)が示される一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
具体的説明に入る前に、本発明において同じ役割を担う構成要素に関しては、全く同じものでなくても、同じ符号が振り分けられている。また、以下の説明における「前」、「後」、「左」、「右」などの用語は、各部材の間の相対的位置関係をわかりやすく説明するために用いられるものであり、本発明の構成を限定するものではない。
【0010】
以下は各図面を用いて本願発明について詳しく説明する。
【0011】
図3図4に示されるように、本発明のロータリー装置の実施形態は、例えばリニア装置(図示せず、例えば、台湾特許第I776605号を参照)と協働して駆動力の伝搬、方向転換、もしくは出力に用いることができるものであり、図7図9に示されるように、この実施形態において、ロータリー装置は筐体10と、第1の回転調整盤20と、第2の回転調整盤80と、駆動手段30(図4参照)と、ギアセット40と、第1の軸受け51と第2の軸受け52と、複数の第1のボルト61と第2のボルト62と、出力盤70と、を有する。
【0012】
図5図9に示されるように、筐体10は内部空間11を囲むように形成されていると共に、所定の軸線Lに略直交するトップ面101と、トップ面101の反対側において軸線Lに略直交するボトム面102とを有する。
【0013】
第1の回転調整盤20は、軸線Lと平行し、且つ、軸線Lから所定の距離(例えばこの実施形態では0.1mm)を離れた偏心軸L1を中心とする第1の偏心孔23が形成されていると共に、円盤状に形成された第1の本体部21と、第1の偏心孔23を囲む内周面231に沿って、第1の本体部21からギアセット40側へ突起する第1の環状部22と、を有するように形成されている。
【0014】
また、筐体10のトップ面101には、第1の回転調整盤20に対応し、第1の本体部21を収容できるように凹陥する第1の収容凹部122Aと、該第1の収容凹部122Aの底面126から更に凹陥して第1の回転調整盤20の第1の環状部22に対応して第1の環状部22を収容できる第1の収容スロット123Aと、が形成されている。また、筐体10は、第1の収容スロット123Aの底面に開口を有し、且つ、第1の収容スロット123Aの底面に直交するように(すなわち、図中の縦方向である軸線Lに平行するように)延伸し、内部空間11の一部としてギアセット40を構成する従動ギア42を収容する縦孔124を囲む。
【0015】
なお、第1の環状部22は回転可能に第1の収容スロット123Aに収容されるので、第1の環状部22の外周面は軸線Lを中心として形成されている。すなわち、第1の環状部22の内側にある第1の偏心孔23は、円管状の第1の環状部22と偏心するように形成されている。
【0016】
駆動手段30は、ギアセット40を駆動し、駆動モータ31と、連動ベルト32とを有する。
【0017】
図8図10に示されるように、内部空間11は、縦孔124の隣に、従動ギア42と共にギアセット40を構成し、駆動モータ31により駆動されて従動ギア42を駆動する主動ギア41を収容すると共に、図中の横方向に沿って延伸する駆動側スペース111と、駆動モータ31を収容するモータ収容スペース112と、駆動側スペース111とモータ収容スペース112とをつなぐ連動スペース113と、を更に有し、駆動モータ31は連動スペース113に配置される連動ベルト32を経由して主動ギア41を駆動するように構成されている。
【0018】
なお、この実施形態において、主動ギア41はウォームであり、従動ギア42はウォームホイールであるが、これに限らず、他の連動関係を成立させる他の種類の歯車を用いることは可能である。
【0019】
図4も併せて参照すると、筐体10の第1の収容凹部122Aの底面126に、軸線Lとの最短距離がいずれも所定の半径距離と一致する少なくとも2つ(図示のように、この実施形態では4つ)の第1の固定孔125Aが形成されており、第1の回転調整盤20の第1の本体部21には、第1の固定孔125Aの数よりも多く(図示のように、この実施形態では20個)の調整対応孔214が、軸線Lとの最短距離がいずれも前記半径距離と一致するように形成されている。すなわち、この実施形態において、第1の固定孔125Aの数は4であるため、隣り合う2つの第1の固定孔125Aと軸線Lとの最短距離を示す仮想線同士は、90°を成し、そして調整対応孔214の数は20個であるため、隣り合う2つの調整対応孔214と軸線Lとの最短距離を示す仮想線同士は、18°を成すように形成されている。
【0020】
なお、調整対応孔214の数を第1の固定孔125Aの数よりも多くすることにより、第1の回転調整盤20の軸線Lを回転軸として回転することによって筐体10に固定可能な固定位置は2以上になる。
【0021】
なお、第1の固定孔125A及び調整対応孔214が形成される位置の基準となる軸線Lと、中心として第1の偏心孔23が形成される基準となる偏心軸L1との間の距離は、については、上記のようにこの実施形態では0.1mmと設定されているが、本発明としては、0.1mm~0.4mmの範囲内に設定することが好ましく、そして必要に応じて適切に設定、調整することも可能である。
【0022】
筐体10に形成されたすべての第1の固定孔125Aに対応するよう、第1の回転調整盤20に形成された複数の調整対応孔214から選択された第1の固定孔125Aと同じ数の調整対応孔214に対して、第1のボルト61を挿通させてから対応の第1の固定孔125Aにねじ込むことにより、第1の回転調整盤20を筐体10に固定することが出来る上、第1の回転調整盤20に形成される複数の調整対応孔214から選択される調整対応孔214を変更する(すなわち、第1のボルト61が取り外された状態で第1の回転調整盤20を筐体10に対して回転させることによって、第1の固定孔125Aに連通する調整対応孔214を変更してから、各第1の固定孔125A及び対応する各調整対応孔214に第1のボルト61をねじ込ませて固定する)ことにより、第1の回転調整盤20の筐体10に固定される相対角度を変更することで、第1の回転調整盤20に形成される第1の偏心孔23により規定される偏心軸L1の位置を変更することができる。
【0023】
第1の軸受け51は、第1の偏心孔23を囲む内周面231に接するように第1の偏心孔23の内側に取り付けられ、縦孔124内に収容される従動ギア42に接続して従動ギア42が回転する軸心を偏心軸L1に一致させる。上記のように第1の軸受け51によって偏心軸L1の位置を変更(微調整)することにより、該偏心軸L1を回転の軸心とする従動ギア42の位置を調整し、すなわち主動ギア41に対する相対距離であるバックラッシュを微調整することができる。例えば、図11図12に示されるように、図11に示される従動ギア42が主動ギア41から離れた位置から、図12に示される従動ギア42が主動ギア41に接近した位置に調整することができる。
【0024】
図4及び図7図9に示されるように、第2の回転調整盤80は、偏心軸L1を中心とする第2の偏心孔83が形成されていると共に、軸線Lを中心とする外周面を有する第2の本体部81と、第2の偏心孔83を囲む内周面831に沿って、第2の本体部81からギアセット40側へ突起する第2の環状部82と、を有し、本体部81の外周面に、軸線Lに対する角度関係が各調整対応孔214にそれぞれ対応し、且つ同じ数(この実施形態では20個)の係合ノッチ812が形成されている。すなわち、この実施形態において、係合ノッチ812の数は20個であるため、隣り合う2つの係合ノッチ812と軸線Lとの最短距離を示す仮想線同士は、18°を成すように形成されている。
【0025】
上記構成を有する第2の回転調整盤80に対応し、筐体10のボトム面102には、第2の回転調整盤80の第2の本体部81を収容可能に形成される第2の収容凹部122Bと、第2の収容凹部122Bの底面から更に凹陥して第2の回転調整盤80の第2の環状部82を収容可能に形成されると共に、縦孔124に連通する第2の収容スロット123Bと、第2の収容凹部122Bの底面に形成される第2の固定孔125Bと、が設けられる。
【0026】
第2の軸受け52は第2の回転調整盤80と従動ギア42との間に介在するように第2の偏心孔83内に配置され、従動ギア42が回転する軸心を第1の軸受け51と共に偏心軸L1に規定する。
【0027】
すなわち、第1の回転調整盤20の筐体10に対する相対回転角度により決定される第1の偏心孔23の中心軸にある偏心軸L1に、第2の回転調整盤80の第2の偏心孔83の中心軸を一致させるよう、第2の回転調整盤80を筐体10に対して相対回転させてから、すべての(この実施形態においては1つの)第2の固定孔125Bに対して該第2の固定孔125Bに対応する係合ノッチ812を選択して第2のボルト62を嵌め込むことによって、第2の回転調整盤80を筐体10に固定することにより、第1の回転調整盤20に合わせて第2の回転調整盤80の筐体10に固定される相対角度を変更することで、第2の回転調整盤80に形成される第2の偏心孔83の中心軸が第1の回転調整盤20に形成される第1の偏心孔23の中心軸に一致し、第1の軸受け51及び第2の軸受け52により保持される従動ギア42が回転する軸心である偏心軸L1が決定される。
【0028】
なお、この実施形態では、第2の固定孔125Bが1つのみ形成されているが、第1の回転調整盤20側の第1の固定孔125Aそれぞれの軸線Lに対する角度関係と上下対応するように、第2の回転調整盤80側に第1の固定孔125Aと同じ数の第2の固定孔125Bを形成する構成も考えられる。この場合、第2の回転調整盤80に形成されるすべての第2の固定孔125Bに対応するよう、第1の回転調整盤20側において選択された(第1のボルト61により挿通された)調整対応孔214それぞれの軸線Lに対する角度関係と上下対応する係合ノッチ812に対して第2のボルト62を嵌め込ませてから対応の第2の固定孔125Bにねじ込むことにより、第2の回転調整盤80を筐体10に固定することによって、第2の回転調整盤80に形成される第2の偏心孔83の中心軸を第1の回転調整盤20に形成される第1の偏心孔23の中心軸に一致させることができる。
【0029】
また、第1の回転調整盤20の筐体10に対する角度関係の変更(微調整)が行われた際、第1の回転調整盤20に形成される調整対応孔214から第1のボルト61により挿通されるように選択された調整対応孔214の変更に対応して、第2の回転調整盤80側の係合ノッチ812を選択して第2のボルト62を嵌め込ませることにより、第1の回転調整盤20に合わせて第2の回転調整盤80の筐体10に固定される相対角度を変更することで、第2の回転調整盤80に形成される第2の偏心孔83により規定される偏心軸L1の位置を変更して該偏心軸L1を回転の軸心とする従動ギア42の主動ギア41に対する相対距離を第1の回転調整盤20に合わせて微調整することができる。
【0030】
従動ギア42は、駆動モータ31が連動ベルト32を経由して駆動する主動ギア41により駆動されて偏心軸L1を回転軸として回転し、そして回転駆動力を更に出力盤70に出力する。
【0031】
出力盤70は筐体10に対して回転自在になるように筐体10の外側(図4図7図8に示されるように、この実施形態においては、第1の回転調整盤20の上側)に配置され、出力盤70に形成された固定孔711を挿通する固定ボルト72により、従動ギア42と同軸に回転するように従動ギア42に固定されている。
【0032】
なお、この実施形態においては、第1の回転調整盤20は調整対応孔214が複数形成された円盤状の第1の本体部21を有するように構成されているが、第1の回転調整盤20として、この実施形態における第2の回転調整盤80に準ずるように、外周面に係合ノッチを有する構成を採用することも可能である。更に、第2の回転調整盤80を省略する構成も可能であるが、第1の回転調整盤20と第2の回転調整盤80を両方備えることにより、従動ギア42の回転軸をより安定に保持することが出来る。
【0033】
また、この実施形態において、調整対応孔214及び係合ノッチ812の数を20個にすることにより、従動ギア42の主動ギア41に対する相対距離、すなわちバックラッシュは10段階刻みで調整可能になる。すなわち、調整対応孔214及び係合ノッチ812の数を変更することにより、従動ギア42の主動ギア41に対する相対距離を調整できる段数を変更することが可能である。
【0034】
また、ウォームである主動ギア41とウォームホイールである従動ギア42の寸法としては、例えば、モジュールの値m(モジュールの値=ピッチ円の直径/歯数)=1の場合、主動ギア41と従動ギア42の間のバックラッシュは0.08mm~0.2mmの間にある可能性があり、そしてもし要求される加工精度に応じて、バックラッシュを0.02mm~0.04mmの間に調整する必要がある場合、軸線Lと偏心軸L1との距離は、0.12mm~0.25mmの間、あるいはこれ以上に設定することが好ましいと言える。
【0035】
更に、ウォームである主動ギア41とウォームホイールである従動ギア42のモジュールの値m=5の場合、主動ギア41と従動ギア42の間のバックラッシュは0.15mm~0.3mmの間にある可能性があり、そしてもし要求される加工精度に応じて、バックラッシュを0.05mm~0.08mmの間に調整する必要がある場合、軸線Lと偏心軸L1との距離は、0.15mm~0.35mmの間、あるいはこれ以上に設定することが好ましいと言える。
【0036】
更に、主動ギア41及び従動ギア42の両方としていずれも平歯車を使用し、モジュールの値m=3の場合、主動ギア41と従動ギア42の間のバックラッシュは0.18mm~0.36mmの間にある可能性があり、そしてもし要求される加工精度に応じて、バックラッシュを0.03mm~0.06mmの間に調整する必要がある場合、軸線Lと偏心軸L1との距離は、0.18mm~0.4mmの間、あるいはこれ以上に設定することが好ましいと言える。
【0037】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 筐体
101 トップ面
102 ボトム面
11 内部空間
111 駆動側スペース
112 モータ収容スペース
113 連動スペース
122A 第1の収容凹部
122B 第2の収容凹部
123A 第1の収容スロット
123B 第2の収容スロット
125A 第1の固定孔
125B 第2の固定孔
126 底面
20 第1の回転調整盤
21 第1の本体部
214 調整対応孔
22 第1の環状部
23 第1の偏心孔
231 内周面
30 駆動手段
31 駆動モータ
32 連動ベルト
40 ギアセット
41 主動ギア
42 従動ギア
51 第1の軸受け
52 第2の軸受け
61 第1のボルト
62 第2のボルト
70 出力盤
711 固定孔
72 固定ボルト
80 第2の回転調整盤
81 第2の本体部
812 係合ノッチ
82 第2の環状部
83 第2の偏心孔
831 内周面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を囲むように形成された筐体と、
所定の軸線を回転軸として回転することによって少なくとも2つの固定位置で前記筐体に固定可能であり、且つ、前記筐体に固定される際、前記内部空間に連通し、前記軸線から所定の距離を離れた偏心軸を中心とする第1の偏心孔が形成されている第1の回転調整盤と、
前記筐体に取り付けられて駆動力を出力する駆動手段と、
前記駆動手段により駆動される主動ギア及び前記主動ギアにより駆動されて回転する従動ギアを有するギアセットと、
前記第1の回転調整盤と前記ギアセットが有する前記従動ギアとの間に介在し、前記従動ギアが回転する軸心を前記偏心軸に規定する第1の軸受けと、を備え
前記第1の回転調整盤は、円盤状に形成された第1の本体部と、前記第1の偏心孔を囲む内周面に沿って前記第1の本体部から突起する第1の環状部と、を有するように形成されており、
前記筐体は、前記第1の回転調整盤に対応し、前記第1の本体部を収容できるように凹陥する第1の収容凹部と、該第1の収容凹部の底面から更に凹陥して前記第1の環状部に対応して収容する第1の収容スロットと、前記第1の収容スロットの底面に開口し、且つ、前記第1の収容スロットの底面に直交するように延伸し、前記内部空間の一部として前記従動ギアを収容する縦孔と、を有するように形成されており、
前記筐体には、前記軸線との最短距離がいずれも所定の半径距離と一致するように、前記第1の収容凹部の底面に形成された少なくとも2つの第1の固定孔が形成されており、
前記第1の回転調整盤の前記第1の本体部には、前記第1の固定孔の数よりも多くの調整対応孔が、前記軸線との最短距離がいずれも前記半径距離と一致するように形成されており、
更に、すべての前記第1の固定孔に対応するよう、前記第1の回転調整盤に形成される前記調整対応孔から選択された前記第1の固定孔と同じ数の前記調整対応孔に対して、第1のボルトを挿通させてから対応の前記第1の固定孔にねじ込むことにより、前記第1の回転調整盤を前記筐体に固定することが可能であり、
前記第1の回転調整盤に形成される前記調整対応孔から選択される前記調整対応孔を変更することにより、前記第1の回転調整盤の前記筐体に固定される相対角度を変更することで、前記第1の回転調整盤に形成される前記第1の偏心孔により規定される前記偏心軸の位置を変更して該偏心軸を回転の軸心とする前記従動ギアの前記主動ギアに対する相対距離を微調整することができることを特徴とするロータリー装置。
【請求項2】
前記第1の回転調整盤の前記筐体に面する側の反対側に配置され、且つ、前記第1の回転調整盤の前記第1の偏心孔を経由して前記従動ギアに固定される出力盤を更に有することを特徴とする請求項1に記載のロータリー装置。
【請求項3】
前記主動ギアはウォームであり、前記従動ギアはウォームホイールであることを特徴とする請求項1に記載のロータリー装置。
【請求項4】
前記所定の距離は0.1mm~0.4mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のロータリー装置。
【請求項5】
前記偏心軸を中心とする第2の偏心孔を囲む内周面と、前記軸線を中心とする外周面とを有し、該外周面に各前記調整対応孔にそれぞれ対応する複数の係合ノッチが形成されている第2の回転調整盤と、
前記第2の回転調整盤と前記従動ギアとの間に介在するように前記第2の偏心孔内に配置され、前記従動ギアが回転する軸心を前記第1の軸受けと共に前記偏心軸に規定する第2の軸受けと、を更に有し、
前記筐体は、前記第2の回転調整盤を収容できるように凹陥する第2の収容凹部と、前記軸線との最短距離がいずれも前記外周面の半径に略一致するように、前記第2の収容凹部の底面に形成される少なくとも1つの第2の固定孔とが形成されており、
すべての前記第2の固定孔に対応するよう、選択された前記調整対応孔に対応する前記係合ノッチに対して第2のボルトを嵌め込ませてから対応の前記第2の固定孔にねじ込むことにより、前記第2の回転調整盤を前記筐体に固定することが可能であり、
前記第1の回転調整盤に形成される前記調整対応孔から前記第1のボルトにより挿通されるように選択された前記調整対応孔の変更に対応して、前記第2のボルトに嵌め込まれる前記係合ノッチを選択することにより、前記第1の回転調整盤に合わせて前記第2の回転調整盤の前記筐体に固定される相対角度を変更することで、前記第2の回転調整盤に形成される前記第2の偏心孔により規定される前記偏心軸の位置を変更して該偏心軸を回転の軸心とする前記従動ギアの前記主動ギアに対する相対距離を前記第1の回転調整盤に合わせて微調整することができることを特徴とする請求項に記載のロータリー装置。