(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096513
(43)【公開日】2024-07-16
(54)【発明の名称】分散剤、これを用いた誘電体スラリー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 29/14 20060101AFI20240708BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20240708BHJP
C04B 35/634 20060101ALI20240708BHJP
C04B 35/626 20060101ALI20240708BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20240708BHJP
C09K 23/52 20220101ALI20240708BHJP
【FI】
C08L29/14
H01G4/30 201L
H01G4/30 515
C04B35/634 200
C04B35/626 300
C08K3/00
C09K23/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086320
(22)【出願日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2023-0000715
(32)【優先日】2023-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ ミン
(72)【発明者】
【氏名】ロー、ヒュン ギョー
(72)【発明者】
【氏名】ユン、グム ヒー
(72)【発明者】
【氏名】オク、キュン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ミュン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、イエ リ
【テーマコード(参考)】
4D077
4J002
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
4D077AA01
4D077AC05
4D077BA01
4D077BA02
4D077BA03
4D077DD03X
4D077DD15X
4D077DD15Z
4D077DE03X
4D077DE07X
4D077DE08X
4D077DE09X
4J002BE061
4J002DA066
4J002DC006
4J002DL006
4J002FA086
4J002GH01
4J002GQ00
4J002HA06
5E001AB03
5E001AH01
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC38
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、超低重合度の高分子分散剤及びこれを用いた誘電体スラリーを提供することである。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る分散剤は、重合度が100以上200以下、水酸基量が4mol%以上40mol%以下、アセタール基量が40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量が1mol%以上20mol%以下であることを満たすポリビニルアセタール系樹脂を含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たすポリビニルアセタール系樹脂を含む、分散剤。
【請求項2】
前記ポリビニルアセタール系樹脂は、分子量5000g/mol以上16000g/mol以下を満たす、請求項1に記載の分散剤。
【請求項3】
前記ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂である、請求項1に記載の分散剤。
【請求項4】
無機粉末と、
重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たす第1ポリビニルアセタール系樹脂を含む分散剤と、を含む、誘電体スラリー。
【請求項5】
前記分散剤の含量は、前記無機粉末100重量部に対して0.1重量部以上20重量部以下を満たす、請求項4に記載の誘電体スラリー。
【請求項6】
重合度200以上5000以下の第2ポリビニルアセタール系樹脂を含むバインダーをさらに含む、請求項4に記載の誘電体スラリー。
【請求項7】
前記バインダーの含量は、前記無機粉末100重量部に対して0.01重量部以上40重量部以下を満たす、請求項6に記載の誘電体スラリー。
【請求項8】
ポリビニルアルコールを有機溶剤に溶解して第1溶液を設ける段階と、
前記第1溶液に酸性溶液を添加して第2溶液を設ける段階と、
前記第2溶液にアルデヒドを添加して第3溶液を設ける段階と、
前記第3溶液を水溶性溶剤に沈殿させてポリビニルアセタール系樹脂を収得する段階と、を含み、
前記ポリビニルアセタール系樹脂は、重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たす、分散剤の製造方法。
【請求項9】
前記ポリビニルアルコールは重合度100以上200以下である、請求項8に記載の分散剤の製造方法。
【請求項10】
前記有機溶剤は極性非プロトン性溶剤を含む、請求項8に記載の分散剤の製造方法。
【請求項11】
前記極性非プロトン性溶剤は、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)、アセトン(acetone)、エチルアセテート(ethyl acetate)、アセトニトリル(acetonitrile)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、N-ジメチルホルムアミド(N-dimethylformamide)、N,N-ジメチルアセトアミド(N,N-Dimethylacetamide)、ピリジン(pyridine)及びヘキサメチルホスホルアミド(hexamethylphosphoramide)のうち少なくとも一つを含む、請求項10に記載の分散剤の製造方法。
【請求項12】
前記ポリビニルアセタール系樹脂は、分子量5000g/mol以上16000g/mol以下を満たす、請求項8に記載の分散剤の製造方法。
【請求項13】
前記ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂である、請求項8に記載の分散剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散剤、これを用いた誘電体スラリー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)等の映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話等の様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器等、各種の電子機器が小型化、高出力化するにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化への要求が増大している。
【0004】
一方、小型及び高容量の積層型電子部品を製造するための微粒誘電体粉末の場合、表面の静電気的特性上、凝集現象が発生しやすい。これにより、誘電体特性を円滑に実現することが困難になることがあり、製品の誘電特性等の不均一等が発生することがあるため、部品の製造過程において誘電体粉末の分散性のために分散剤を投入することで、これを解決している。但し、分散剤の場合、バインダーとは異なり、これまで重要度が低いと考えられていたため、分散剤の分散性に影響を与える様々な因子に対する研究が相対的に欠如している状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2012-0027158号
【特許文献2】韓国公開特許公報第10-2019-0121222号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、超低重合度の高分子分散剤及びこれを用いた誘電体スラリーを提供することである。
【0007】
但し、本発明が解決しようとするいくつかの課題は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る分散剤は、重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たすポリビニルアセタール系樹脂を含むことができる。
【0009】
本発明の他の一実施形態に係る誘電体スラリーは、無機粉末と、重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たす第1ポリビニルアセタール系樹脂を含む分散剤と、を含むことができる。
【0010】
本発明の他の一実施形態に係る分散剤の製造方法は、ポリビニルアルコールを有機溶剤に溶解して第1溶液を設ける段階と、上記第1溶液に酸性溶液を添加して第2溶液を設ける段階と、上記第2溶液にアルデヒドを添加して第3溶液を設ける段階と、上記第3溶液を水溶性溶剤に沈殿させてポリビニルアセタール系樹脂を収得する段階と、を含み、上記ポリビニルアセタール系樹脂は、重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たすことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のいくつかの効果の一つは、超低重合度の高分子分散剤を使用することにより、誘電体スラリーの分散性を向上させることである。
【0012】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る分散剤の製造方法の概略的な工程図である。
【
図2】ポリビニルアセタール系樹脂の反応過程を概略的に示すものである。
【
図3】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものである。
【
図4】内部電極の積層構造を示す分離斜視図を概略的に示すものである。
【
図5】
図3のI-I'線に沿った断面図を概略的に示すものである。
【
図6】
図3のII-II'線に沿った断面図を概略的に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張されることがあり、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0015】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されるものではない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0016】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0017】
分散剤
小型及び高容量の積層型電子部品を製造するための微粒誘電体粉末の場合、表面の静電気的特性上、凝集現象が発生しやすい。このような凝集現象により、誘電体特性を円滑に実現することが困難になることがあり、製品の誘電特性等の不均一等が発生することがあるため、誘電体粉末の分散性のために分散剤を投入することで、これを解決している。
【0018】
但し、誘電体粉末に対する分散剤の場合、そのバインダーとは異なり、これまで重要度が低いと考えられていたため、分散剤の分散性に影響を与える様々な因子に対する研究は相対的に欠如している状況である。
【0019】
誘電体粉末の凝集現象に関する問題点は、ポリビニルアセタールの合成法のうち、均一系反応法を活用した分散剤の製造により解決することができる。均一系反応とは、非水系反応法であって、水系反応である沈殿法とは異なり、均質反応であるため、官能基の調節が水系反応より容易であり、高い反応比率のアセタール化も可能であることから、因子別分散性の研究に好適であり得る。
【0020】
均一系反応により微粒サイズを有する低い重合度(DP:Degree of Polymerization)のポリビニルアセタール系樹脂が製造できるが、これは、沈殿法を用いた場合や高重合度のポリビニルアセタール系樹脂に比べて製法や極性度の差異により、粉末の収集時に凝集現象が容易に発生し、作業時における取り扱いの困難性及び製品の不均一等の問題点が存在することがある。ここで、重合度(DP)とは、高分子の一鎖に単量体が結合した数を意味することができる。
【0021】
本発明の一実施形態に係る分散剤は、重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たすポリビニルアセタール系樹脂を含むことができる。
【0022】
ここで、水酸基量、アセタール基量及びアセチル基量は、ポリビニルアセタール系樹脂の官能基に該当し、これらの総和は100mol%を満たすことができる。
【0023】
重合度100以上200以下の低重合度の分散剤の場合、誘電体の粒子サイズに応じた均一な粒子分散によって、より均一なセラミックグリーンシート及び微細構造の誘電体層の作製が可能となり、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。また、低重合度の分散剤を使用することで誘電体スラリーの粘度の調節が可能であり、これによりセラミックグリーンシートの製造工程を最適化し、揮発作業時間を短縮させることができる利点がある。
【0024】
重合度が100未満の場合、分散性を均一に確保することができるが、誘電体スラリーで誘電体グリーンシートを作製する際に、可塑化効果を付与することになり、延伸性の制御が困難になることがある。重合度が200を超える場合、無機粒子のサイズに応じて分散性が低下し、凝集現象が発生する可能性があり、バインダーとの相溶性も低くなってセラミックグリーンシートの表面粗さが悪くなることがある。
【0025】
ポリビニルアセタール系樹脂の水酸基量は、4mol%以上40mol%以下を満たすことができる。
【0026】
水酸基量が4mol%以上40mol%以下を満たすことにより、誘電体スラリー組成物内の無機粉末の分散性に優れることができ、セラミックグリーンシートの流動性及び剛性が向上することができる。
【0027】
水酸基量が4mol%未満の場合、誘電体粒子を十分に分散させ難く、誘電体粒子の凝集現象が発生する可能性があり、誘電体シートの強度が不十分になる可能性がある。水酸基量が40mol%を超える場合、有機溶剤に対する溶解性が阻害され、様々な溶剤への適用が難しくなる可能性があり、これと関連して無機粉末の凝集現象等が発生するおそれがある。
【0028】
ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール基量は、40mol%以上95mol%以下を満たすことができる。
【0029】
ここで、アセタール基量とは、ポリビニルアセタール系樹脂の官能基数のうち、ブチルアルデヒドによってアセタール化された水酸基数の比率を意味することができる。アセタール基量の計算方法は、ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール基が2つの水酸基からアセタール化されているため、アセタール化された2つの水酸基を数える方法を用いることでアセタール基量のmol%を算出することができる。
【0030】
ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール基量が40mol%以上95mol%以上を満たすことにより、有機溶剤に対する溶解性に優れることができる。
【0031】
ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール基量が40mol%未満の場合、有機溶剤に対する溶解性が阻害される可能性があり、アセタール化度が95mol%超過の場合は、ポリビニルアセタール系樹脂の工業上の製造が困難になる可能性がある。
【0032】
ポリビニルアセタール系樹脂のアセチル基量は、1mol%以上20mol%以下を満たすことができる。
【0033】
ポリビニルアセタール系樹脂のアセチル基量が1mol%以上20mol%以下を満たすことにより、水酸基量とアセタール基量に対して最適化された調整が可能であり、ポリビニルアセタール系樹脂が無機粉末の表面に吸着しやすくなり、誘電体スラリー内の無機粉末の分散性に優れることができる。
【0034】
ポリビニルアセタール系樹脂のアセチル基量が1mol%未満の場合、工業上の製造が困難になる可能性があり、アセチル基量が20mol%超過の場合、誘電体スラリーの粘性が低下して分散性が低下するおそれがある。
【0035】
本発明の一実施形態に係る分散剤において、ポリビニルアセタール系樹脂は、分子量5000g/mol以上16000g/mol以下を満たすことができる。
【0036】
ここで、分子量は数平均分子量を意味することができ、上述した重合度、水酸基量、アセタール基量、アセチル基量等の様々な条件により決定されることができ、特に重合度によって主に決定されることができる。
【0037】
分子量が5000g/mol未満の場合、分散性を均一に確保することができるが、誘電体スラリーで誘電体グリーンシートを作製する際に、可塑化効果を付与することになり、延伸性の制御が困難になることがある。分子量が16000g/molを超える場合、無機粒子のサイズに応じて分散性が低下し、凝集現象が発生する可能性があり、バインダーとの相溶性も低くなってセラミックグリーンシートの表面粗さが悪くなることがある。
【0038】
本発明の一実施形態において、ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルブチラール(PVB:polyvinyl butyral)を含むことができる。
【0039】
ポリビニルアセタールの縮合反応を概略的に示す
図2を参照して説明すると、ポリビニルブチラール(PVB)は、ポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)とブチルアルデヒド(BA:butyraldehyde)を酸触媒下で反応させて製造することができる。
【0040】
ポリビニルブチラール樹脂は、アルコール、ケトン、エステル等のその他の有機溶剤によく溶解する性質があり、他の樹脂との相溶性が良く、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂等の合成樹脂との相溶性に優れることができる。
【0041】
ポリビニルブチラール樹脂は、無機粉末の効率的な分散のための分散剤の役割を果たすことができ、かつ、セラミックグリーンシートに強度と接着性等を付与するバインダーとしての役割も果たすことができる。
【0042】
ここで、無機粉末は、金属粒子、導電性粒子、セラミック粒子、誘電体粒子及びガラス粉末等を含むことができる。
【0043】
本発明の一実施形態の分散剤について、誘電体スラリーに投入されて誘電体粒子の分散性を向上させることを中心に説明したが、特にこれに限定されるものではなく、内部電極ペーストの分散剤としても使用することができる。内部電極ペーストの分散剤として使用する場合、金属粒子の凝集現象を防止し、金属粒子の分散性を向上させることができる効果がある。すなわち、無機粉末の分散性を向上させることができる。
【0044】
誘電体スラリー
本発明の他の一実施形態に係る誘電体スラリーは、無機粉末と、重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たす第1ポリビニルアセタール系樹脂を含む分散剤と、を含むことができる。
【0045】
すなわち、ポリビニルアセタール系樹脂を含む分散剤を誘電体スラリーに投入することで、無機粉末、例えば、誘電体粉末の分散性を向上させることができる。
【0046】
誘電体スラリーに対する説明において、分散剤として扱われるポリビニルアセタール系樹脂を第1ポリビニルアセタール系樹脂と定義することができ、バインダーとして扱われるポリビニルアセタール系樹脂を第2ポリビニルアセタール系樹脂と定義することができる。
【0047】
分散剤の含量は、無機粉末100重量部に対して0.1重量部以上20重量部以下を満たすことができる。
【0048】
分散剤の含量が無機粉末100重量部に対して0.1重量部以上20重量部以下を満たす場合、第1ポリビニルアセタール系樹脂が無機粉末の表面に容易に吸着できるため、誘電体スラリー内の無機粉末の分酸性をより向上させることができる。
【0049】
分散剤の含量が無機粉末100重量部に対して0.1重量部未満の場合、無機粉末の分散性が不十分になる可能性があり、20.0重量部超過の場合、分散剤間の凝集により誘電体の分散性が阻害される可能性があり、粘性が過度に高くなって誘電体スラリー作業時における取り扱いが容易でない可能性がある。
【0050】
バインダーは、分散剤と同じ物質であるポリビニルアセタール系樹脂を含むことができるが、重合度、分子量、各種官能基の種類や含量等において異なることがあり、これによって分散剤とは異なる役割を果たすことができる。
【0051】
一般的に、バインダーは、誘電体スラリーを塗布して形成するセラミックグリーンシートと、内部電極ペーストを塗布して形成する内部電極パターン間の接合性を向上させる役割を果たす。
【0052】
第2ポリビニルアセタール系樹脂の重合度が200以上5000以下を満たすことにより、セラミックグリーンシートの強度が向上することができ、誘電体スラリーの粘度を適正レベルに保持できるようにし、例えば、キャリアフィルム(carrier film)上への塗布が円滑であり、均一な厚さのセラミックグリーンシートを作製することができる。
【0053】
第2ポリビニルアセタール系樹脂の重合度が200未満の場合、セラミックグリーンシートのシート強度が不十分になるおそれがあり、重合度が5000超過の場合は、誘電体スラリーの粘性が過度に高くなって塗布が円滑にならない可能性がある。
【0054】
バインダーの含量は、無機粉末100重量部に対して0.01重量部以上40重量部以下を満たすことができる。
【0055】
バインダーの含量が無機粉末100重量部に対して0.01重量部以上40重量部以下を満たすことにより、無機粉末の分散性を向上させることができるとともに、セラミックグリーンシートの強度、柔軟性及び接着性等に優れることができる。
【0056】
バインダーの含量が無機粉末100重量部に対して0.01重量部未満の場合、無機粉末の分散性が不十分になる可能性があり、セラミックグリーンシートの強度、柔軟性及び接着性等が低下することがある。バインダーの含量が無機粉末100重量部に対して40重量部を超える場合、誘電体スラリーの粘性が過度に高くなったり、塗布性が低下して作業時における取り扱いが困難になる可能性がある。
【0057】
本発明の誘電体スラリーは、分散性を阻害しない範囲で適切に、可塑剤、潤滑剤、帯電防止剤等を含む添加剤をさらに含むことができる。
【0058】
誘電体スラリーに含まれた組成物の検出及び測定方法は、次のような方法を用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0059】
ポリビニルアセタール系樹脂の合成の有無は、水素-核磁気共鳴法(1H-NMR:1H-Nuclear Magnetic Resonance)又はフーリエ変換赤外線(FTIR:fourier transform infrared)を用いて検出することができる。
【0060】
より具体的に、製造されたポリビニルアセタール系樹脂をジメチルスルホキシド(DMSO-d6)溶剤に溶解した後、1H-NMRによってアセタール化度(degree of acetalization)及び各官能基の比率を確認することができる。
【0061】
さらに他の方法としては、製造されたポリビニルアセタール系樹脂を10%溶液で製造した後、キャスティング(casting)法によりフィルム上に10μm~20μmの厚さで塗布した後、JIS-K-6728に基づくFTIR透過法分析によって、そのアセタール化度及び各官能基の比率を確認することができる。
【0062】
また、無機粒子と分散剤であるDP100以上200以下の第1ポリビニルアセタール系樹脂溶液の混合後、動的光散乱(DLS:dynamic light scattering)等の粒度分析法により無機粒子の分散度及びスラリーの製造を確認することができる。
【0063】
また、バインダーであるDP200以上5000以下の第2ポリビニルアセタール系樹脂溶液の混合後、DLS等の粒度分析法により無機粒子の分散度及びスラリーの製造をさらに確認することができる。
【0064】
分散剤の製造方法
以下では、分散剤の製造方法について説明するが、上述の分散剤と同様の内容については省略して説明することがある。
【0065】
一般的に、ポリビニルアセタール系樹脂は、原料となるポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)が含まれた溶液に酸触媒を活用した水系反応法である沈殿法を用いて収得する。しかし、沈殿法による場合、架橋副反応や不均質系反応の特性上、DP200以下の超低重合度の分散剤を収得し難い可能性がある。
【0066】
そこで、本発明は、ポリビニルアルコール及びポリビニルアセタールの両方を溶解することができる極性非プロトン性溶剤(polar aprotic solvent)を活用した非水系の均一系反応法(non-aqueous homogeneous reaction)を用いてDP200以下の超低重合度ポリビニルアセタール系樹脂を収得することができる。
【0067】
本発明の他の一実施形態に係る分散剤の製造方法は、
図1に示すように、ポリビニルアルコールを有機溶剤に溶解して第1溶液を設ける段階(S100)と、上記第1溶液に酸性溶液を添加して第2溶液を設ける段階(S200)と、上記第2溶液にアルデヒドを添加して第3溶液を設ける段階(S300)と、上記第3溶液を水溶性溶剤に沈殿させてポリビニルアセタール系樹脂を収得する段階(S400)と、を含み、上記ポリビニルアセタール系樹脂は、重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たすことができる。
【0068】
ポリビニルアセタール(polyvinyl acetal)は、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)とアルデヒド(aldehyde)との縮合(アセタール化)反応によって得ることができる。
【0069】
ポリビニルアセタールを製造する他の方法としては、ポリビニルアセテート(PVAc:polyvinyl acetate)の鹸化反応とアルデヒド縮合反応とを同時に行って合成することができる。
【0070】
ポリビニルアセタールは、結合しているアルデヒドの種類及び比率、アセタール化度、残存アセチル基の量、原料であるポリビニルアルコールの重合度等に応じて様々な性質を有することができる。すなわち、ポリビニルアセタールは重合度や分子量等によってその性質が多様になり得る。
【0071】
まず、ポリビニルアルコールを有機溶剤に溶解して第1溶液を設ける段階(S100)を行うことができる。
【0072】
図2を参照して説明すると、ポリビニルアルコールは、ビニルアセテート(vinylacetate)のフリーラジカル重合反応を経てポリビニルアセテート(PVAc:polyvinyl acetate)を得た後、メチルアルコール(methyl alcohol)と水酸化ナトリウム(NaOH)を加えて、30℃~50℃の温度条件で加水分解させて収得することができる。
【0073】
ポリビニルアルコールは、重合度100以上200以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たすことができ、これは、分子量で約4000g/mol以上11000g/mol以下に相応することができる。
【0074】
本発明の製造方法によれば、ポリビニルアセタール系樹脂の縮合反応前の原料となるポリビニルアルコールの重合度及びアセチル基量が、収得後のポリビニルアセタールの重合度及びアセチル基量に大きく影響を与えず、重合度及び分子量において同一・類似の特性を有するように収得することができる。
【0075】
これにより、最終的に収得されるポリビニルアセタール系樹脂も、重合度100以上200以下、分子量5000g/mol以上16000g/mol以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たすことができる。
【0076】
ポリビニルアルコールは、本発明の効果を損なわない範囲でエチレン性不飽和単量体を共重合したものであってもよい。上記エチレン性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、アクリロニトリルメタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル-(3-アクリルアミド-3-ジメチルプロピル)-アンモニウムクロライド、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリールスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物の存在下で酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体とエチレンとを共重合し、それを鹸化することにより得られた末端変性ポリビニルアルコールも用いることができる。
【0077】
ポリビニルアルコールは、上記ビニルエステルとα-オレフィンとを共重合した共重合体を鹸化したものであってもよい。また、さらに上記エチレン性不飽和単量体を共重合させ、エチレン性不飽和単量体に由来する成分を含有するポリビニルアルコールとしても良い。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物の存在下で酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体とα-オレフィンとを共重合し、それを鹸化することにより得られた末端ポリビニルアルコールも用いることができる。上記α-オレフィンとしては特に限定されず、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、シクロヘキシレン(cyclohexylene)、シクロヘキシルエチレン、シクロヘキシルプロピレン等が挙げられる。
【0078】
有機溶剤は、極性非プロトン性溶剤(polar aprotic solvent)であれば、如何なるものでも使用することができ、好ましくは、ポリビニルアルコール及びポリビニルアセタール系樹脂の両方を溶解できる物質であればよい。ここで、極性非プロトン性溶剤とは、極性を有してはいるものの、0-H結合又はN-H結合基がないため、水素結合のプロトン供与体(proton donor)としての役割を果たせない溶剤を意味することができる。
【0079】
極性非プロトン性溶剤は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP:N-methyl-2-pyrrolidone)を使用することが好ましいが、特にこれに限定されるものではなく、アセトン(acetone)、エチルアセテート(ethyl acetate)、アセトニトリル(acetonitrile)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、N-ジメチルホルムアミド(N-dimethylformamide)、N,N-ジメチルアセトアミド(N,N-Dimethylacetamide)、ピリジン(pyridine)及びヘキサメチルホスホルアミド(hexamethylphosphoramide)のうち選択された一つ以上を含むことができる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0080】
ポリビニルアルコールの鹸化度(けん化度)は、ポリビニルアセタールのアセチル基量を勘案してモル百分率(mol.%)を基準に80%以上を使用することができ、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上のものを使用することが良い。分子量は、4000g/mol以上11000g/mol以下のものを使用することが好ましい。有機溶剤に溶解させる際は、100℃~150℃の温度で溶解することが好ましく、より好ましくは、120℃の温度を保持することが良い。溶解時間は30分~2時間が好ましく、より好ましくは、1時間の間第1溶液を撹拌しながら溶解することが良い。
【0081】
次に、第1溶液に縮合反応を誘導するために、酸性溶液を添加して第2溶液を設ける段階(S200)を含むことができる。
【0082】
縮合反応の触媒として塩酸又は硫酸等の無機物を使用することができ、酸性溶液を添加することにより、ポリビニルアルコールのアセタール化を付与することができる。
【0083】
このとき、塩酸の濃度は30%以上40%以下が好ましく、より好ましくは35%濃度の塩酸を使用することが良い。塩酸の場合、発熱が発生することがあり、危険性があるため、比較的低温である40℃以下、より好ましくは30℃を保持しながら溶解することが好ましい。
【0084】
次に、第2溶液にアルデヒドを添加して第3溶液を設ける段階(S300)を含むことができる。
【0085】
アルデヒドは、炭化水素基にホルミル基が添加された化合物であって、分子式はR-CHOで表すことができる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒドとブチルアルデヒドを使用することができ、それぞれ縮合反応により、ポリビニルホルマール(PVF:polyvinyl formal)とポリビニルブチラール(PVB:polyvinyl butyral)となることができる。すなわち、ポリビニルホルマールとポリビニルブチラールはポリビニルアセタール系に該当することができる。
【0086】
アルデヒドとしては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド等を使用することができ、ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサノン、シクロヘキサノン等を使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0087】
アルデヒドを添加して撹拌するときは、比較的徐々に添加することが好ましく、過剰量を添加する場合、作業上の安全が問題となる可能性がある。また、一定の温度を保持することが好ましく、重合体は工程全体にわたって可溶性に保持することが良い。
【0088】
次に、第3溶液を水溶性溶剤に沈殿させてポリビニルアセタール系樹脂を収得する段階(S400)を含むことができる。
【0089】
ここで、第3溶液を2時間~72時間が経過した後に生成された物質に水酸化ナトリウムを添加してポリビニルアセタール系樹脂を収得することができる。
【0090】
水溶性溶剤は水を使用することができるが、特にこれに限定されるものではなく、水溶性基を有する物質であれば、如何なるものでも使用できる。
【0091】
ここで、水酸化ナトリウムを添加する場合、ポリビニルアセタール系樹脂をより容易に収得することができる。水酸化ナトリウムは、水溶性溶剤1Lに対して0.1g以上5.0g以下添加されることが好ましい。
【0092】
次に、収得したポリビニルアセタール系樹脂を水洗し、真空で乾燥させることにより、重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たすポリビニルアセタール系樹脂を収得することができる。
【0093】
ここで収得されたポリビニルアセタール系樹脂はポリビニルブチラール樹脂であり得るが、特にこれに限定されるものではない。
【0094】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これは、本発明の具体的な理解を助けるためのものであり、本発明の範囲が実施例によって限定されるものではない。
【0095】
(実施例)
実施例1は、DP190、分子量10000g/mol、アセチル基量20.0mol%のPVA(鹸化度80%)11.5gを120℃で1時間の間N-methylpyrrolidone(NMP)500mLに溶解させた。その後、塩酸(35%)を0.65mL添加して縮合を触媒化した。規定された温度30℃で撹拌しながらブチルアルデヒド(BA)5.83mLを徐々に添加した。混合物を撹拌しながら規定された温度(30℃)を保持し、重合体は工程全体にわたって可溶性に保持された。2時間後、生成された生成物を2.25gの水酸化ナトリウムを含有する水4.5Lに徐々に沈殿させてポリビニルブチラール樹脂を収得し、数回洗浄した後、最終的に真空で乾燥させた。
【0096】
実施例1で収得されたポリビニルブチラール樹脂は、DP190、水酸基量25.2mol%、アセタール基量54.8mol%、アセチル基量20.0mol%の官能基を有することが確認された。
【0097】
実施例2は、DP190、分子量8500g/mol、アセチル基量3.0mol%のPVA(鹸化度99%)11.5gを120℃で1時間の間N-methylpyrrolidone(NMP)500mLに溶解させた。その後、塩酸(35%)を0.65mL添加して縮合を触媒化した。規定された温度30℃で撹拌しながらブチルアルデヒド(BA)5.83mLを徐々に添加した。混合物を撹拌しながら規定された温度(30℃)を保持し、重合体は工程全体にわたって可溶性に保持された。2時間後、生成された生成物を2.25gの水酸化ナトリウムを含有する水4.5Lに徐々に沈殿させてポリビニルブチラール樹脂を収得し、数回洗浄した後、最終的に真空で乾燥させた。
【0098】
実施例2で収得されたポリビニルブチラール樹脂は、DP190、水酸基量30.5mol%、アセタール基量66.5mol%、アセチル基量3.0mol%の官能基を有することが確認された。
【0099】
実施例3は、DP190、分子量8500g/mol、アセチル基量3.0mol%のPVA(鹸化度99%)11.5gを120℃で1時間の間N-methylpyrrolidone(NMP)500mLに溶解させた。その後、塩酸(35%)を1.95mL添加して縮合を触媒化した。規定された温度30℃で撹拌しながらブチルアルデヒド(BA)17.49mLを徐々に添加した。混合物を撹拌しながら規定された温度(30℃)を保持し、重合体は工程全体にわって可溶性に保持された。2時間後、生成された生成物を2.25gの水酸化ナトリウムを含有する水4.5Lに徐々に沈殿させてポリビニルブチラール樹脂を収得し、数回洗浄した後、最終的に真空で乾燥させた。
【0100】
実施例3で収得されたポリビニルブチラール樹脂は、DP190、水酸基量25.3mol%、アセタール基量71.7mol%、アセチル基量3.0mol%の官能基を有することが確認された。
【0101】
実施例4は、DP190、分子量8500g/mol、アセチル基量3.0mol%のPVA(鹸化度99%)11.5gを120℃で1時間の間N-methylpyrrolidone(NMP)500mLに溶解させた。その後、塩酸(35%)を3.9mL添加して縮合を触媒化した。規定された温度30℃で撹拌しながらブチルアルデヒド(BA)34.98mLを徐々に添加した。混合物を撹拌しながら規定された温度(30℃)を保持し、重合体は工程全体にわたって可溶性に保持された。2時間後、生成された生成物を2.25gの水酸化ナトリウムを含有する水4.5Lに徐々に沈殿させてポリビニルブチラール樹脂を収得し、数回洗浄した後、最終的に真空で乾燥させた。
【0102】
実施例4で収得されたポリビニルブチラール樹脂は、DP190、水酸基量4.7mol%、アセタール基量92.3mol%、アセチル基量3.0mol%の官能基を有することが確認された。
【0103】
実施例5は、DP120、分子量6500g/mol、アセチル基量20.0mol%のPVA(鹸化度80%)11.5gを120℃で1時間の間N-methylpyrrolidone(NMP)500mLに溶解させた。その後、塩酸(35%)を0.65mL添加して縮合を触媒化した。規定された温度30℃で撹拌しながらブチルアルデヒド(BA)5.83mLを徐々に添加した。混合物を撹拌しながら規定された温度(30℃)を保持し、重合体は工程全体にわたって可溶性に保持された。2時間後、生成された生成物を2.25gの水酸化ナトリウムを含有する水4.5Lに徐々に沈殿させてポリビニルブチラール樹脂を収得し、数回洗浄した後、最終的に真空で乾燥させた。
【0104】
実施例5で収得されたポリビニルブチラール樹脂は、DP120、水酸基量25.2mol%、アセタール基量54.8mol%、アセチル基量20.0mol%の官能基を有することが確認された。
【0105】
以下では、上述した分散剤を投入した誘電体スラリーについて説明する。
【0106】
実施例6は、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末100重量部、エタノール溶剤700重量部、実施例1で収得したDP190、水酸基量25.2mol%、アセタール基量54.8mol%、アセチル基量20.0mol%の官能基を有する第1ポリビニルアセタール系樹脂(ポリビニルブチラール樹脂)である分散剤1.0重量部及びDP1500の第2ポリビニルアセタール系樹脂(ポリビニルブチラール樹脂)であるバインダーを20重量部投入して撹拌した後、ビーズミル(beads-mill)で2時間の間撹拌し、セラミックグリーンシートの作製に適した誘電体スラリーを製造した。
【0107】
実施例6で製造された誘電体スラリーは、適正なチタン酸バリウム(BaTiO3)粉末の分散度、誘電体スラリーの粘性、追ってのセラミックグリーンシート製造時における適正な接着力及び強度等を有することが確認された。
【0108】
積層型電子部品
以下では、上述した分散剤を誘電体スラリーに投入して誘電体層を形成し、これを含むか、又は上述の分散剤を内部電極ペーストに投入して内部電極を形成して、これを含む積層型電子部品について説明する。
【0109】
図3は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、
図4は、内部電極の積層構造を示す分離斜視図を概略的に示すものであり、
図5は、
図3のI-I'線に沿った断面図を概略的に示すものであり、
図6は、
図3のII-II'線に沿った断面図を概略的に示すものである。
【0110】
以下、
図3~
図6を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品について詳細に説明する。但し、積層型電子部品の一例として、積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明は誘電体組成物を用いる様々な電子製品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、又はサーミスタ等にも適用することができる。
【0111】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0112】
より具体的に、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する容量形成部Acを含むことができる。
【0113】
本体110の具体的な形状に特に限定はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなってもよい。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0114】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1~第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0115】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0116】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り限定されない。一般的に、ペロブスカイト(ABO3)系材料を使用することができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、セラミック粉末の例示として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶した(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)などが挙げられる。
【0117】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)等の粉末に、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤、バインダー等が添加されることができる。
【0118】
より具体的に、重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たす第1ポリビニルアセタール 系樹脂を含む分散剤が添加されてもよく、又は重合度200以上5000以下の第2ポリビニルアセタール系樹脂を含むバインダーが添加されてもよい。
【0119】
誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。
【0120】
但し、積層型電子部品の高容量化を達成するために誘電体層111の厚さは3.0μm以下であってもよく、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために誘電体層111の厚さは1.0μm以下であってもよく、好ましくは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0121】
ここで、誘電体層111の厚さtdは、第1及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の厚さtdを意味することができる。
【0122】
一方、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の第1方向のサイズを意味することができる。また、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さtdを意味することができ、誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0123】
誘電体層111の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの誘電体層111を第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0124】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されてもよい。
【0125】
内部電極121、122は第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、第1及び第2内部電極121、122は本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0126】
より具体的に、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出することができ、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体110の第3面3には、第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体110の第4面4には、第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0127】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結されることができる。このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されてもよい。
【0128】
一方、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0129】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0130】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法等を使用することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0131】
内部電極用導電性ペーストを形成する原料は、電気伝導性に優れた材料である導電性物質等の粉末に、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤、バインダー等が添加されることができる。
【0132】
より具体的に、重合度100以上200以下、水酸基量4mol%以上40mol%以下、アセタール基量40mol%以上95mol%以下及びアセチル基量1mol%以上20mol%以下を満たす第1ポリビニルアセタール 系樹脂を含む分散剤が添加されてもよく、又は重合度200以上5000以下の第2ポリビニルアセタール系樹脂を含むバインダーが添加されてもよい。
【0133】
一方、内部電極121、122の厚さteは特に限定する必要はない。
【0134】
但し、積層型電子部品の高容量化を達成するために内部電極121、122の厚さは1.0μm以下であってもよく、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために内部電極121、122の厚さは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0135】
ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味することができる。また、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さteを意味することができ、内部電極121、122の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0136】
内部電極121、122の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの内部電極121、122を第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0137】
一方、本発明の一実施形態において、誘電体層111の厚さtdと内部電極121、122の厚さteは、td>2×teを満たすことができる。
【0138】
言い換えれば、誘電体層111の厚さtdは、内部電極121、122の厚さteの2倍よりも大きくてもよい。
【0139】
一般的に、高電圧電装用電子部品は、高電圧環境下で絶縁破壊電圧(BDV:Breakdown Voltage)の低下による信頼性の問題が主要なイシューである。
【0140】
したがって、高電圧環境下で絶縁破壊電圧の低下を防止するために、誘電体層111の厚さtdを内部電極121、122の厚さteの2倍よりもさらに大きくすることにより、内部電極間の距離である誘電体層の厚さを増加させることができ、絶縁破壊電圧特性を向上させることができる。
【0141】
誘電体層111の厚さtdが内部電極121、122の厚さteの2倍以下である場合には、内部電極間の距離である誘電体層の厚さが薄くなり、絶縁破壊電圧が低下することがある。
【0142】
高電圧電子部品において、内部電極の厚さteは1μm以下であってもよく、誘電体層の厚さtdは3.0μm以下であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0143】
一方、本体110は、容量形成部Acの第1方向の両端面(end-surface)上に配置されるカバー部112、113を含むことができる。
【0144】
より具体的に、容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112、及び容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0145】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0146】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0147】
一方、カバー部112、113の厚さtcは特に限定する必要はない。
【0148】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0149】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向のサイズを意味することができる。また、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味することができ、カバー部112、113の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0150】
カバー部112、113の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージ中、一つのカバー部において第2方向に等間隔である30個の地点で厚さを測定した平均値であることができる。
【0151】
一方、積層型電子部品100は、本体110の第3方向の両端面(end-surface)上に配置されるサイドマージン部114、115を含むことができる。
【0152】
より具体的に、サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114、及び本体110の第6面6に配置された第2サイドマージン部115を含むことができる。
【0153】
サイドマージン部114、115は、図示のように、本体110の第1及び第3方向の断面(cross-section)を基準に、第1及び第2内部電極121、122の第3方向の両端面(end-surface)と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0154】
サイドマージン部114、115は、容量形成部Acに適用されるセラミックグリーンシート上にサイドマージン部114、115が形成される箇所を除き、導電性ペーストを塗布して内部電極121、122を形成し、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体110の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの第3方向の両端面(end-surface)上に第3方向に積層して形成することもできる。
【0155】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0156】
第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0157】
一方、第1及び第2サイドマージン部114、115の幅wmは特に限定する必要はない。
【0158】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、サイドマージン部114、115の幅wmは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0159】
ここで、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の第3方向のサイズを意味することができる。また、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の平均幅wmを意味することができ、サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味することができる。
【0160】
サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズは、本体110の第1及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、第1方向に等間隔である30個の地点で第3方向のサイズを測定した平均値であることができる。
【0161】
本発明の一実施形態では、セラミック電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0162】
外部電極131、132は本体110上に配置され、内部電極121、122と連結されることができる。
【0163】
より具体的に、外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。すなわち、第1外部電極131は本体の第3面3に配置されて第1内部電極121と連結されることができ、第2外部電極132は本体の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0164】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに、多層構造を有してもよい。
【0165】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a、131b、132b及び電極層131a、132a、131b、132b上に配置されるめっき層131c、132cを含むことができる。
【0166】
電極層131a、132a、131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132a、131b、132bは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であってもよく、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
【0167】
また、電極層131a、132a、131b、132bは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であってもよい。
【0168】
また、電極層131a、132a、131b、132bは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。
【0169】
電極層131a、132a、131b、132bに含まれる導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を使用することができ、例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができるが、特にこれらに限定されない。
【0170】
本発明の一実施形態において、電極層131a、132a、131b、132bは、第1電極層131a、132a及び第2電極層131b、132bを含む2層の構造を有することができる。これにより、外部電極131、132は、導電性金属及びガラスを含む第1電極層131a、132a及び上記第1電極層131a、132a上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む第2電極層131b、132bを含むことができる。
【0171】
第1電極層131a、132aは、ガラスを含むことにより本体110との接合性を向上させる役割を果たし、第2電極層131b、132bは、樹脂を含むことにより曲げ強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0172】
第1電極層131a、132aに使用される導電性金属は、静電容量の形成のために上記内部電極121、122と電気的に連結できる材質であれば、特に限定されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。第1電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成することができる。
【0173】
第2電極層131b、132bに含まれる導電性金属は、第1電極層131a、132aと電気的に連結されるようにする役割を果たすことができる。
【0174】
第2電極層131b、132bに含まれる導電性金属は、電極層131a、132aと電気的に連結できる材質であれば、特に限定されず、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。
【0175】
第2電極層131b、132bに含まれる導電性金属は、球状粒子及びフレーク状粒子のうち1以上を含むことができる。すなわち、導電性金属はフレーク状粒子のみからなるか、又は球状粒子のみからなることができ、フレーク状粒子と球状粒子とが混合された形態であってもよい。ここで、球状粒子は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下の形態を含むことができる。フレーク状粒子とは、平たいかつ細長い形態を有する粒子を意味し、特に限定されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。上記球状粒子及びフレーク状粒子の長軸と短軸の長さは、セラミック電子部品の第3方向の中央部で切断した第1及び第2方向の断面(cross-section)を走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得られたイメージから測定することができる。
【0176】
第2電極層131b、132bに含まれる樹脂は、接合性の確保及び衝撃吸収の役割を果たす。第2電極層131b、132bに含まれる樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作製できるものであれば、特に限定されず、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0177】
また、第2電極層131b、132bは、複数の金属粒子、金属間化合物及び樹脂を含むことができる。上記金属間化合物を含むことにより、第1電極層131a、132aとの電気的連結性をより向上させることができる。上記金属間化合物は、複数の金属粒子を連結して電気的連結性を向上させる役割を果たし、複数の金属粒子を囲んで互いに連結する役割を果たすことができる。
【0178】
このとき、上記金属間化合物は、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属を含むことができる。すなわち、上記金属間化合物が樹脂の硬化温度よりも低い融点を有する金属を含むため、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属が乾燥及び硬化工程を経る過程で溶融し、金属粒子の一部と金属間化合物を形成して金属粒子を囲むようになる。このとき、金属間化合物は、好ましくは300℃以下の低融点金属を含むことができる。
【0179】
例えば、213~220℃の融点を有するSnを含むことができる。乾燥及び硬化工程を経る過程でSnが溶融し、溶融したSnがAg、Ni又はCuのような高融点の金属粒子を毛細管現象により湿らせ、Ag、Ni又はCu金属粒子の一部と反応してAg3Sn、Ni3Sn4、Cu6Sn5、Cu3Snなどの金属間化合物を形成するようになる。反応に関与しなかったAg、Ni又はCuは金属粒子の形態で残る。
【0180】
したがって、上記複数の金属粒子は、Ag、Ni及びCuのうち一つ以上を含み、上記金属間化合物は、Ag3Sn、Ni3Sn4、Cu6Sn5及びCu3Snのうち一つ以上を含むことができる。
【0181】
めっき層131c、132cは実装特性を向上させる役割を果たす。
【0182】
めっき層131c、132cの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む単一層のめっき層131c、132cであってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0183】
めっき層131c、132cに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131c、132cはNiめっき層又はSnめっき層であってもよく、電極層131a、132a、131b、132b上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、めっき層131c、132cは、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0184】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0185】
また、本発明において使用された「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態に説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明と理解することができる。
【0186】
本発明において使用された用語は、単に一実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0187】
100:積層型電子部品
110:本体
112、113:カバー部
114、115:サイドマージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極