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特開2024-96514地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント
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  • 特開-地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント 図1
  • 特開-地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096514
(43)【公開日】2024-07-16
(54)【発明の名称】地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20240708BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
F16F15/02 L
E04H9/02 331E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151714
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】202310003778.7
(32)【優先日】2023-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】513059401
【氏名又は名称】同▲済▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】陳之毅
(72)【発明者】
【氏名】賈鵬
(72)【発明者】
【氏名】劉志謙
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AB14
2E139AC19
2E139CA22
2E139CA24
2E139CC03
3J048AA04
3J048AC01
3J048AD05
3J048BG01
3J048BG04
3J048DA01
3J048EA38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウントを提供する。
【解決手段】本発明は、マウントには制振部品が含まれ、制振部品には、順次に接触されている上部台板、スチールスライダ及び下部台板が含まれ、スチールスライダに接触する上部台板の側面、スチールスライダに接触する下部台板の側面には、一層の接触面の摩擦を軽減するための材料がそれぞれ設置されている。本発明は、小さな地震の作用下で、マウントが回転でき、主要柱の頂部の拘束条件を変更することで、主要柱の地震応答を軽減する。大地震の作用下では、マウントはスライドすることができ、地震中の地下建築物構造の主要柱の内力が耐力を超えないようにすることができる。異なる強度の地震に直面しても、ベアリングは回転と滑りの自己調整を実現し、構造物の安全性を最大限に高める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウントであって、当該マウントには、上部接続部品、下部接続部品、及び上部接続部品と下部接続部品との間に位置する制振部品が含まれ、
前記制振部品には、順次に接触されている上部台板(2)、スチールスライダ(3)及び下部台板(4)が含まれ、
前記スチールスライダ(3)と接触する前記上部台板(2)の側面、および前記スチールスライダ(3)と接触する下部台板(4)の側面には、一層の接触面の摩擦を軽減するための材料がそれぞれ設置され、
前記上部台板(2)は、前記上部接続部品の底面に固定され、
前記下部台板(4)は、前記下部接続部品の頂面に固定されていることを特徴とする地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント。
【請求項2】
前記スチールスライダ(3)の上部は半球体であり、下部は円柱であり、前記円柱の底面が円弧状凸面であることを特徴とする請求項1に記載の地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント。
【請求項3】
前記スチールスライダ(3)と接続する前記上部台板(2)の側面の中央には、前記半球体と嵌合する溝が設けられ、
前記スチールスライダ(3)と接続する前記下部台板(4)の側面の中央には、前記円弧状凸面と嵌合する溝が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント。
【請求項4】
円弧状の前記溝の周囲には、リミットリテーナリング(12)が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント。
【請求項5】
前記上部接続部品には、上部設置板(1)、前記上部設置板(1)の上に固定された第1ボルトスリーブ(8)、及び前記上部台板(2)と前記上部設置板(1)とをねじ連結するための第1シャーボルト(9)が含まれることを特徴とする請求項1に記載の地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント。
【請求項6】
前記上部設置板(1)は、溶接アンカーバーを介して地下建築物構造の頂部梁の底部に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント。
【請求項7】
前記下部接続部品には、下部設置板(5)、前記下部設置板(5)に固定されている第2ボルトスリーブ(11)、及び前記下部台板(4)と前記下部設置板(5)とをねじ連結するための第2シャーボルト(10)が含まれることを特徴とする請求項1に記載の地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント。
【請求項8】
前記下部設置板(5)は、溶接アンカーバーを介して地下建築物構造の主要柱の頂部に固定されていることを特徴とする請求項7に記載の地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント。
【請求項9】
前記接触面の摩擦を軽減するための材料は、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント。
【請求項10】
前記マウントには回転モードとスライドモード、この二つのモードがあることを特徴とする請求項1に記載の地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築工学の技術分野に関し、詳しくは、地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウントに関する。
【背景技術】
【0002】
都市化の加速に伴い、都市空間の需要が急増している。地上の土地資源の下方への延長として、地下空間資源は国の戦略資源であり、その開発と利用は都市の土地資源不足、交通渋滞、頻発する浸水災害を効果的に軽減できる。世界の都市開発の経験は、地下空間の科学的開発と安全な利用が、都市の居住空間を改善し、都市開発の方法を変える唯一の方法であることを示している。「複雑な機能、三次元開発、公共交通指向を備えた集中的且つコンパクトな開発モデルを推進し、地上と地下の空間利用を統合する。」中国の地下土木建設は黄金時代に入った。地下鉄交通を例にとると、2022年までに合計23都市で57本の新しい都市鉄道交通線が追加され、総走行距離は1,030キロメートルに達し、新しい駅は629か所になると推定されている。
【0003】
現在の耐震設計では、主に補強率の増加や断面サイズの増大により地下構造物の剛性を高め、構造物の耐震性能を向上させているが、この設計法では構造体の内力が増大する場合が多く、同時に局所補強法では剛性の急激な変化、局所的な応力集中、脆弱部の移動などの問題が発生しやすい。地下建築物構造の地震被害に関する調査研究によると、地下建築物構造は主に柱の破損によって引き起こされ、柱の端に衝撃吸収装置を配置することで被害を効果的に軽減でき、主要柱の地震応答を効果的に低減できるので、構造全体の耐震性能を向上できる。
【0004】
地下建築構造物は地中に埋設されており、表層土からの垂直力を受けるため、地下建築構造物の主要柱は地上構造物に比べて軸方向の圧縮率が大きくなる。一般に、スライドマウントを地下の建物構造物に適用する場合、垂直方向の圧力が大きいため、小規模な地震ではスライドマウントが滑ることができず、小規模な地震が繰り返すと、構造物に与える影響により構造性能が低下する。また、衝撃吸収装置に関する既存の研究では、地震時の構造堅牢性の向上のみに焦点が当てられており、地震後の復旧段階における構造物の回復性が無視されていることが多い。この理由から、本発明は、地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウントを提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術における上述の欠点の少なくとも1つを克服するために、地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウントを提供することである。当該マウントにはクイックチェンジ部品が設けられ、地震後の制振部品のクイックチェンジを実現でき、構造の地震後の回復時間を効果的に短縮し、構造の回復性を向上させる。同時に、構造の主材料は鋼であり、ゴムベアリングよりも安価で、製造が容易で、耐久性が高いため、地下建築物構造の耐震性能を効果的に向上できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明概念:地下建築物構造の特性に基づいて、設計者は、回転とスライドが自己調整できるショックマウントを提案し、小さな地震の作用下で、マウントが回転でき、主要柱の頂部の拘束条件を変更することで、主要柱の地震応答を軽減できる。大地震の作用下では、マウントはスライドすることができ、地震中の地下建築物構造の主要柱の内力が耐力を超えないようにすることができる。異なる強度の地震に直面しても、マウントは回転とスライドの自己調整を実現できて、構造物の安全性を最大限に高める。
【0007】
本発明は、以下の技術的解決策によって実現できる。
地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウントであって、当該マウントには、上部接続部品、下部接続部品、及び上部接続部品と下部接続部品との間に位置する制振部品が含まれ、上記制振部品には、順次に接触されている上部台板、スチールスライダ及び下部台板が含まれ、スチールスライダと接触する上記上部台板の側面、およびスチールスライダと接触する下部台板の側面には、一層の接触面の摩擦を軽減するための材料がそれぞれ設置され、上記上部台板は、上部接続部品の底面に固定され、上記下部台板は、下部接続部品の頂面に固定されている。
【0008】
更に、上記スチールスライダの上部は半球体であり、下部は円柱であり、上記円柱の底面が円弧状凸面である。
【0009】
更に、スチールスライダと接続する上記上部台板側面の中央には、半球体と嵌合する溝が設けられ、スチールスライダと接続する上記下部台板側面の中央には、円弧状凸面と嵌合する溝が設けられている。
【0010】
より具体的には、上部台板の中央には、スチールスライダの上半分の球面に嵌合する溝が設けられて、地面が揺れたときにスチールスライダ3がその中で回転するようになっている。下部台板には、スチールスライダの下側凹面と嵌合するスライド凹面が設けられて、スチールスライダが凹面上をスライドできるようになっている。同時に、凹面はスチールスライダにリセット力を提供するため、制振部品に一定の自己リセット能力を持たせる。地震が激しくない場合、スチールスライダは上部台板2の溝内で回転でき、主要柱頂部の接続形態を変化させて、地震時の主要柱の内力を軽減でき、地震が激しい場合、スチールスライダは下部台板4の凹面内をスライドし、スライドにより主要の内力を制限する。
【0011】
更に、上記円弧状溝の周囲には、リミットリテーナリングが設置されて、スチールスライダのスライド距離が大きくなりすぎることを防止している。
【0012】
更に、上記の上部接続部品には、上部設置板、上部設置板の上に固定された第1ボルトスリーブ、及び上部台板と上部設置板とをねじ連結するための第1シャーボルトが含まれる。ボルトスリーブにより、制振部品を交換する際にシャーボルトの取り外しが便利になり、制振装置の交換が必要な場合は、ボルトを取り外すことで、制振部品クイックチェンジが実現できる。
【0013】
更に、上記の上部設置板は、溶接アンカーバーを介して地下建築物構造の頂部梁の底部に固定されている。
【0014】
更に、上記の下部接続部品には、下部設置板、下部設置板に固定されている第2ボルトスリーブ、及び下部台板4と下部設置板とをねじ連結するための第2シャーボルトが含まれる。ボルトスリーブにより、制振部品を交換する際にシャーボルトの取り外しが便利になり、制振装置の交換が必要な場合は、ボルトを取り外すことで、制振部品クイックチェンジが実現できる。
【0015】
更に、上記下部設置板は、溶接アンカーバーを介して地下建築物構造の主要柱の頂部に固定されている。
【0016】
更に、上記の接触面の摩擦を軽減するため材料は、ポリテトラフルオロエチレンである。
【0017】
更に、上記のマウントには回転モードとスライドモード、この二つのモードがある。
【0018】
より具体的には、地震が激しくない場合、マウントは回転モードになり、制振部品のスチールスライダはスライドせず、上部台板の溝内で回転でき、主要柱頂部の境界拘束を変更して、従来構造における固定接合がほぼヒンジ接合となり、地下建築物構造の横剛性と主要柱の相対剛性を軽減した。剛性の変化により、地下建築物構造への地震作用や地下建築物構造内部の内力分布が緩和され、主要柱の内力が低減される。
【0019】
地震が激しい場合、マウントはスライドモードになり、制振部品のスチールスライダは下部台板の溝内でスライドでき、主要柱にかかる最大せん断力は摩擦面にかかる摩擦力とほぼ等しく、地震時の地下建築物構造の主要柱の内力が耐力を超えないようにするため、主要柱が破壊しないことが保証されている。同時に、スチールスライダが凹面上をスライドする場合、凹面はスチールスライダにリセット力を提供するため、制振部品に一定の自己リセット能力を持たせる。制振部品は、地下の建物構造全体の耐震性能を効果的に向上できる。
【発明の効果】
【0020】
従来技術と比較して、本発明には以下の利点がある。
(1)弱い部分の保護:現在の耐震設計では、主に補強率の増加や、断面サイズの拡大により地下構造物の剛性を高め、構造物の耐震性能を向上させる方法が採用されている。本発明は、地下建築物構造の屋根梁と主要柱との間に地下建築物構造用のクイックチェンジショックマウントを設置することにより、地下建築物構造の主要柱の地震応答を低減し、弱いリンクへの破壊を回避することで、構造全体の耐震性能をより効果的に向上できる。
【0021】
(2)回転とスライドの自己調整:一般に、スライドマウントを地下建築構造物に適用する場合、垂直方向の圧力が大きいため、小規模な地震ではスライドマウントはスライドできず、小規模な地震が繰り返すと、構造性能の低下が生じる。地下建築物構造の特性に基づいて、本発明は回転とスライドが自己調整可能なショックマウントを提案し、小規模な地震の作用下では、マウントが回転でき、主要柱頂部の拘束を変更することで主要柱の地震応答を軽減できる。大地震の作用下では、マウントはスライドでき、地震中の地下建築物構造の主要柱の内力が耐力を超えないようにすることができる。異なる強度の地震に直面しても、ベアリングは回転とスライドの自己調整を実現し、構造物の安全性を最大限に高める。
【0022】
(3)地震後のクイックチェンジ:現在の耐震設計は、主に地震時の構造体の堅牢性を考慮し、地震後の構造体の回復性は無視されている。本発明には、クイックチェンジ部品が設けられて、地震発生後、当該部分によって、装置の制振部品をクイックチェンジできるため、地震後の構造物の復旧時間を大幅に短縮し、構造の復旧性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例に記載の装置の概略図である。
図2】実施例に記載の装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面および特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明する。本実施例は、本発明の技術的解決策を前提として実施され、詳細な実施形態および具体的な操作プロセスが示されるが、本発明の保護範囲は以下の実施例に限定されない。
【0025】
実施例
図1~2に示すように、地下建築物構造用の回転とスライドが自己調整できるクイックチェンジ可能なショックマウントであって、当該マウントには、上部接続部品、下部接続部品、及び上部接続部品と下部接続部品との間に位置する制振部品が含まれ、制振部品には、順次に接触されている上部台板2、スチールスライダ3及び下部台板4が含まれ、スチールスライダ3と接触する上部台板2の側面、およびスチールスライダ3と接触する下部台板4の側面には、一層の接触面の摩擦を軽減するための材料がそれぞれ設置され、上部台板2には、ポリテトラフルオロエチレン製の球面板6が設けられ、下部台板4にはポリテトラフルオロエチレン製の凹面板7が設けられ、上部台板2は、上部接続部品の底面に固定され、下部台板4は、下部接続部品の頂面に固定されている。
【0026】
スチールスライダ3の上部は半球体であり、下部は円柱であり、円柱の底面が円弧状凸面である。スチールスライダ3と接続する上部台板2の側面の中央には、半球体と嵌合する溝が設けられ、スチールスライダ3と接続する下部台板4の側面の中央には、円弧状凸面と嵌合する溝が設けられている。円弧状溝の周囲には、リミットリテーナリング12が設けられている。上部接続部品には、上部設置板1、上部設置板1の上に固定された第1ボルトスリーブ8、及び上部台板2と上部設置板1とをねじ連結するための第1シャーボルト9が含まれる。上部設置板1は、溶接アンカーバーを介して地下建築物構造の頂部梁の底部に固定されている。下部接続部品には、下部設置板5、下部設置板5に固定されている第2ボルトスリーブ11、及び下部台板4と下部設置板5をねじ連結するための第2シャーボルト10が含まれる。下部設置板5は、溶接アンカーバーを介して地下建築物構造の主要柱の頂部に固定されている。マウントには回転モードとスライドモード、この二つのモードがある。
【0027】
動作原理:
地下建築物構造の地震被害に関する調査研究によると、地下建築物構造は主に柱の破壊によって引き起こされている、即ち、主要柱は地下建築物構造の地震に弱い部分であることが判明した。本発明の装置は、地下建築物構造の屋根梁と主要柱の間に配置され、主要柱の地震応答を低減することで構造全体の耐震性能を向上させる。同時に、マウントは、異なる強度の地震に直面しても、マウントは回転とスライドの自己調整を実現できて、構造物の安全性を最大限に高める。
【0028】
地震が激しくない場合、マウントは回転モードになり、制振部品のスチールスライダはスライドせず、上部台板の溝内で回転でき、主要柱頂部の境界拘束条件を変更して、従来構造における固定接合がほぼヒンジ接合となり、地下建築物構造の横剛性と主要柱の相対剛性を軽減させる。剛性の変化により、地下建築物構造への地震作用や地下建築物構造内部の内力分布が緩和され、主要柱の内力が低減される。
【0029】
地震が激しい場合、マウントはスライドモードになり、制振部品のスチールスライダ3は下部台板4の溝内でスライドでき、主要柱にかかる最大せん断力は摩擦面にかかる摩擦力とほぼ等しく、地震時の地下建築物構造の主要柱の内力が耐力を超えないようにするため、主要柱が破壊しないことが確保されている。同時に、スチールスライダ3が凹面でスライドする場合、凹面はスチールスライダ3にリセット力を提供するため、制振部品に一定の自己リセット能力を持たせる。制振部品は、地下の建築物構造全体の耐震性能を効果的に向上できる。
地震発生後、設置板と制振部品をねじ連結していたシャーボルトを取り外すことで、制振部品を素早く分解及び再設置できるため、地下建築物構造物の地震後の復旧時間を大幅に短縮し、構造物の復旧性が向上した。
【0030】
以上の内容は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を他の形態に限定することを意図するものではない。当業者であれば、上記に開示された技術内容を利用して、同等の変更を加えた同等の実施形態に変更または修正することができる。しかしながら、本発明の技術的解決内容から逸脱することなく、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施形態に行われる任意の単純な変更、等価な変更、及び修正は、依然として本発明の技術的解決策の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0031】
1 上部設置板
2 上部台板
3 スチールスライダ
4 下部台板
5 下部設置板
6 ポリテトラフルオロエチレン製の球面板
7 ポリテトラフルオロエチレン製の凹面板
8 第1ボルトスリーブ
9 第1シャーボルト
10 第2シャーボルト
11 第2ボルトスリーブ
12 リミットリテーナリング
図1
図2