(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096529
(43)【公開日】2024-07-16
(54)【発明の名称】トレーニングデータを介したより良好な一般化による、点群として存在する測定データの処理
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20240708BHJP
G06N 3/0985 20230101ALI20240708BHJP
【FI】
G06N20/00
G06N3/0985
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023223224
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】10 2023 200 022.9
(32)【優先日】2023-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】キリアン ランバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド シュテッケル
(72)【発明者】
【氏名】マクシム タタールチェンコ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空間内の点の点群として存在する測定データを処理する方法を提供する。
【解決手段】方法は、各測定変数(2a~2c)について、点群(1)の点(1a~1d)が割り当てられている当該測定変数(2a~2c)のすべての値(2a#~2c#)を収集するステップ(110)及び集約表現(3a~3c)に処理するステップ(120)であって、当該表現(3a~3c)は、点群(1)のいくつの点(1a~1d)に、それぞれの測定変数(2a~2c)の同様の次元性を有する値(2a#~2c#)が割り当てられているかに依存しないステップと、表現(3a~3c)のうちの1つ又は複数を、タスクネットワーク(4)に入力として供給するステップ(130)と、1つ又は複数の表現(3a~3c)を、タスクネットワーク(4)から、予め設定されたタスクに関連して検索された出力(5)にマッピングするステップ(140)と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内の点(1a~1d)の点群(1)として存在する測定データを処理するための方法(100)であって、前記点群(1)は、予め設定されたタスクに関連して、各前記点(1a~1d)に、1つ又は複数の測定変数(2a~2c)の値(2a#~2c#)を割り当てる、方法において、
・各前記測定変数(2a~2c)について、前記点群(1)の前記点(1a~1d)が割り当てられている前記測定変数(2a~2c)のすべての値(2a#~2c#)を収集するステップ(110)、及び、集約表現(3a~3c)に処理するステップ(120)であって、前記表現(3a~3c)は、前記点群(1)のいくつの前記点(1a~1d)に、それぞれの前記測定変数(2a~2c)の同様の次元性を有する値(2a#~2c#)が割り当てられているかに依存しない、ステップと、
・前記表現(3a~3c)のうちの1つ又は複数を、タスクネットワーク(4)に入力として供給するステップ(130)と、
・前記1つ又は複数の表現(3a~3c)を、前記タスクネットワーク(4)から、前記予め設定されたタスクに関連して検索された出力(5)にマッピングするステップ(140)と、
を含む方法(100)。
【請求項2】
前記集約表現(3a~3c)は、前記測定変数(2a~2c)の値範囲に、当該値範囲内の前記測定変数(2a~2c)の値(2a#~2c#)を有する点(1a~1d)の数を割り当てるヒストグラムを含む(121)、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記値範囲は、前記測定変数(2a~2c)の収集された値(2a#~2c#)が移動する区間を、予め設定された数K個の間隔に分割することによって求められる(121a)、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記タスクネットワーク(4)のアーキテクチャの間隔の数K及び/又は少なくとも1つの特性量が、ハイパーパラメータとして最適化され(121b)、
・前記ハイパーパラメータの各値について、テスト点群(1’)及び/又は検証点群(1’’)が、出力(5)のために処理され(131,141)、
・そのように得られた前記出力(5)と、前記テスト点群(1’)又は前記検証点群(1’’)をラベル付けしている目標出力(5’,5’’)との偏差が、前記ハイパーパラメータの最適化のためのフィードバックとして使用される(142)、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記集約表現(3a~3c)は、前記測定変数(2a~2c)の収集された値(2a#~2c#)の量の1つ又は複数の統計的特性量を含む(122)、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
・パラメータ化された分布関数が、前記パラメータの変更により、前記測定変数(2a~2c)の前記収集された値(2a#~2c#)に適合化され(123)、
・前記適合化が最適であるパラメータの値は、前記集約表現(3a~3c)に取り込まれる(124)、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
自身の入力を、予め設定された分類の1つ又は複数のクラスに関して分類スコア(5a~5e)にマッピングする分類器ネットワークが、タスクネットワーク(4)として選択される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項8】
完全にネットワーク化された層を有する多層パーセプトロンが、前記タスクネットワーク(4)として選択される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
レーダ反射、ライダ反射及び/又は超音波反射を有する点群(1)が、前記測定データとして選択される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項10】
・前記測定データ(1)の処理は、前記測定変数(2a~2c)の少なくとも1つの値(2a#~2c#)が考慮されないままという条件付きで繰り返され(150)、
・これにより生じる、前記タスクネットワーク(4)の得られた前記出力(5’)の変更から、前記測定変数(2a~2c)の少なくとも1つの考慮されないままの値(2a#~2c#)の重要性(7)が求められる(160)、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項11】
・予め設定されたタスクに関する目標出力(5*)でラベル付けされたトレーニング点群(1*)が、測定データ(1)として選択され(105)、
・前記タスクネットワーク(4)の求められた前記出力(5)と、前記目標出力(5*)との偏差が、予め設定されたコスト関数(L)を用いて評価され(170)、
・前記タスクネットワーク(4)の特性を特徴付けるタスクパラメータ(4a)は、前記トレーニング点群(1*)のさらなる処理の際に、評価が前記コスト関数(L)によって改善されるという目標に最適化される(180)、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項12】
・前記タスクネットワーク(4)の求められた前記出力(5)から、駆動制御信号(6)が求められ(190)、
・車両(50)、運転支援システム(51)、ロボット(60)、領域を監視するためのシステム(70)、品質管理のためのシステム(80)、及び/又は、医療用撮像のためのシステム(90)が、前記駆動制御信号(6)を用いて駆動制御される(200)、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、1つ又は複数のコンピュータ及び/又はコンピュータ/インスタンス上で実行されるときに、前記1つ又は複数のコンピュータ又はコンピュータインスタンスに、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法(100)を実施させるための機械可読命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを備えた機械可読データ担体及び/又はダウンロード製品。
【請求項15】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを備えた、及び/又は、請求項14に記載の機械可読データ担体及び/又はダウンロード製品を備えた1つ又は複数のコンピュータ及び/又はコンピュータインスタンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点群として存在する測定データ、例えば、レーダ、ライダ(Lidar)又は超音波データのニューラルネットワークを用いた処理に関する。このような処理は、特に、例えば、予め設定されたタスクに関する測定データの評価に向けられるものであり得る。
【背景技術】
【0002】
交通において少なくとも部分的に自動化されて案内される車両は、特に他の道路利用者及びそれらのアクションに適時に反応することができるようにするために、その周辺環境の絶え間ない監視に依存している。このために、カメラの他に、特に、例えば、時刻や天気に依存することなく動作するレーダセンサも使用される。評価のために、例えば識別された対象物のタイプを分類するニューラルネットワークが使用される。
【0003】
処理が機能する精度は、実質的に、記録された測定データがトレーニングデータと同様の分布にどの程度属するかに依存する。この分布内においては、ニューラルネットワークは、トレーニングデータから、トレーニング中に見たことのない測定データに良好に汎化される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の開示
本発明は、空間内の点の点群として存在する測定データを処理するための方法を提供する。この種の点群は、各点に1つ又は複数の測定変数の値を割り当てる。これらの測定変数は、測定データの任意の特徴に関連付けることができる。そのため、例えば、レーダ反射については、レーダ断面を示す信号強度の他に、さらに、反射が検出されたときの距離及び/又は角度も記録することができる。すなわち、測定変数は、直接検出された測定変数も、信号処理パイプラインにより直接的に検出された測定変数から求められ導出された測定変数も含み得る。点群は、必ずしも測定変数の全体値が検出されたすべての点を含む必要はない。それどころか、点群は、例えば、対象物認識のための任意の方法によって既に1つの同一の対象物に属しているものと識別された点のみを含み得る。
【0005】
それぞれの測定変数について、点群の点に割り当てられたこの測定変数のすべての値が収集され、集約表現に処理される。この場合、この集約は、あらゆる任意の関数により行うことができ、その結果は、測定変数のすべての値に依存するが、測定変数の個々の値についての推論はもはや許容されない。表現は、点群のいくつの点に各測定変数の値が割り当てられているかに依存することなく、同様の次元性を有する。すなわち、点群のどのくらいの数の点が各測定変数に関する情報を供給するかに依存することなく、常に同一の数の数値が含まれている。
【0006】
これらの表現のうちの1つ又は複数は、タスクネットワークに入力として供給される。この目的のために、これらの表現は、特に、例えば、情報損失なしで相互に連結される(接触させる)ことが可能である。ただし、これらの表現は、例えば、任意の形態に集約されるものとしてもよい。1つ又は複数の表現は、設けられているタスクに関連してタスクネットワークから検索された出力にマッピングされる。
【0007】
このようにして、測定データにおいて起こり得る変動及び不確実性の影響が、タスクネットワークに供給される入力に対して抑制されることが認識された。ここでの集約は、特に、測定変数の個々の値の揺らぎの影響が抑制されることを引き起こす。表現における常に同様の次元性は、点群の個々の点についての個々の測定変数に関する情報の欠落に対するロバスト性、又は、それどころか、特にレーダ反射の際に頻繁に起こるような点の自発的出現及び再度の消滅に対するロバスト性をもたらす。個々の測定変数に関する情報の欠落についての多くの原因は、これらの測定変数を処理するためのセンサにより記録された測定データの品質が、下流側に接続された信号処理パイプラインによって過度に悪化することにある。そのため、例えば、レーダ反射の方位角は、雑音のある生データの場合、非常に不正確にしか求めることができない。個々の測定変数の値の欠落についてのさらなる原因は、複雑なシナリオにおいて、信号処理連鎖により導出される特定の測定変数を求めることに時間がかかりすぎて中断を余儀なくされることにある。なぜなら、レーダ反射は、全体として確定されている時間までに供給しなければならないからである。したがって、このことは、レポートの作業者が作業時間の終了にあたり、完璧なレポートが提出の遅れのために「不十分」との評価を受けることよりも個々の課題を未処理のままにしておくことを選ぶかを決めかねていることに類似する。
【0008】
このようなロバスト性は、検出された測定データが内容的に類似するようなシナリオに関連している限り、タスクネットワークに供給される入力が、実質的に同様の分布に属することを目指すものである。例えば、車両の周辺環境における交通状況を検出する測定データは、非常に多くの様々な交通状況が存在しているにもかかわらず、また、これらの状況が周囲条件の大きい帯域幅のもとでも起こり得るにもかかわらず、内容的に類似している。すなわち、交通状況に関連する測定データの分布は複雑であるが、タスクネットワークをトレーニングするために捕捉可能である。この目的のために、シナリオが互いに異なる可能性のあるすべての関連する態様に関して十分な変動性を有するトレーニング例を有するトレーニングデータセットを使用することができる。例えば、トレーニングデータセットが、対象となる各タイプについて十分な数のトレーニング例を有し、これらのトレーニング例も多くの異なる視点から捕捉されている場合、対象物のタイプの分類に有益である。
【0009】
しかしながら、例えばレーダデータのランダムな揺らぎは、多くのトレーニング例を用いても捕捉することができない。それゆえ、これらの揺らぎは、タスクネットワークの動作中は、タスクネットワークのトレーニングのために使用されるトレーニング例の分布から測定データが外れる傾向を常に有する。ただし、タスクネットワークがトレーニング中に見たことのない測定データに汎化する能力は、見たことのない測定データが、タスクネットワークがトレーニングされたトレーニング例の分布にまだどの程度属しているかに大きく依存する。すなわち、タスクネットワークの入力に対するランダムな揺らぎの影響を低減することにより、最終的にはタスクネットワークの出力の精度が向上する。
【0010】
同時に、各測定変数についての集約表現の作成により、測定データにおいて特定の測定変数又は特徴が常に組合せにおいて起こらなければならないという要求からも解放される。すなわち、点群の各点は、それが他の測定変数に関しても情報を供給できるか否かに依存することなく、測定変数に関する情報を供給することができる。それにより、総じて点群に含まれる情報量をより良好に活用することができ、このことも、タスクネットワークから供給される情報の精度に有利に作用する。
【0011】
最後に、表現の固定的な次元性は、下流側に接続されたタスクネットワークによるさらなる処理が、メインメモリにおいて常に同等の時間及び同等の量を必要とすることにもつながる。このことは、リアルタイムシステムの枠内において最終結果が供給されるまでの処理時間を保証できるようにするために特に重要である。まさにこれは、車両周辺環境又はその変化に反応する必要がある場合の車両において使用する際に重要であり得る。
【0012】
本方法は、チーム内において収集された情報に基づく企業における意思決定プロセスに少しだけ類似している。チームのメンバーは、点群内の点に対応し、議題のトピックは、総じて捕捉された測定変数に対応し、テーマに関するチームメンバーによる発言は、測定変数の特定の値を有する点群の特定の点の注釈に対応する。そのような意思決定プロセスにおいては、あらゆるチームメンバーがあらゆるトピックに貢献することができる実質的な何かを持っているということはめったに起こらない。むしろ、1人又は複数のチームメンバーが、それぞれ個々のテーマに関する自身の準備にギャップを抱えている。最終的な決定を下す理事会は、誰がどのテーマについて準備していたのか若しくは準備していなかったのか、又は、誰がどの講演部分に貢献することができたのかには関心がない。これに関する電子メールの山は、システムに不安をもたらし、当てにしている決定を逸らすだけである。この決定のためには、チームによって役員草案に準備された情報の表現のみが重要である。
【0013】
表現のための点群の前処理は、計算能力及びメインメモリにわずかなコストしか要求しない。タスクネットワークの処理のために例えば制御装置又は他の埋め込みシステムに設けられたリソースは、前処理を付加的に可能にするために拡張する必要はない。
【0014】
特に好適な実施形態においては、集約表現は、測定変数の値範囲に、これらの値範囲内で測定変数の値を有する点の数を割り当てるヒストグラムを含む。ヒストグラムは、個々の測定変数に関する個々の点の情報が欠落している場合、又は、個々の点も完全に欠落している場合、わずかしか変化しない。これについては、特に値範囲内の離散化(Bins)が関与する。
【0015】
これらの値は、特に、例えば、測定変数の収集された値が移動する区間を、予め設定された数K個の間隔に分割することによって求めることができる。このために、すべての値がK個の間隔の1つに収まる必要もない。むしろ、K個の間隔は、例えば、測定変数の総じて捕捉された値のサブセットのみを包含することもでき、このサブセット外の値は、最初から外れ値としてフィルタリングされるものとしてもよい。サブセットは、例えば、各測定変数の平均値を中心とした標準偏差の倍数(例えば2倍)の範囲内に収まることが可能である。
【0016】
特に好適なさらなる実施形態においては、間隔の数Kがハイパーパラメータとして最適化される。ここでは、ハイパーパラメータの各値について、テスト点群及び/又は検証点群が、出力のために処理される。次いで、そのように得られた出力と、テスト点群又は検証点群をラベル付けしている目標出力との偏差が、ハイパーパラメータの最適化のためのフィードバックとして使用される。これにより、特に、例えば、完全にトレーニングされた所与のタスクネットワークを起点として、このタスクネットワークに入力する前の点群の前処理は、ランダムな揺らぎの影響が可及的に抑制され、タスクネットワークにより可及的に正確な結果が供給できるように最適化することができる。
【0017】
しかしながら、例えば、タスクネットワークのアーキテクチャの構成を客観化するために、タスクネットワークのアーキテクチャの少なくとも1つの特性量をハイパーパラメータとして最適化することも可能である。したがって、テスト点群及び/又は検証点群の処理前に、ハイパーパラメータの値に応じて構成されたタスクネットワークを、トレーニング例を用いて新たにトレーニングすること又はさらにトレーニングすることが必要であり得る。
【0018】
特に、タスクネットワークの深さに関して、一方ではタスクネットワークの表現容量と、他方ではトレーニング例における必要性との間で目標矛盾が生じる可能性がある。利用可能なトレーニング例の量に関してタスクネットワークが過度に大きい場合、タスクネットワークは、自身の明示的な容量を「誤用」してこれらのトレーニング例を過剰適合化させる、すなわち、汎化のための潜在性なしで「暗記学習」する可能性がある。タスクネットワークの深さをハイパーパラメータとして最適化することにより、過剰適合化がまだ発生しない最大限可能な深さを求めることができる。
【0019】
特に好適なさらなる実施形態においては、集約表現は、測定変数の収集された値の量の1つ又は複数の統計的特性量を含む。これらの特性値も、ランダムな揺らぎの際にはわずかしか変化しない。統計的特性量は、例えば、平均値及び/又は標準偏差若しくは分散を含み得る。これらの特性量は、ガウス正規分布を特徴付ける。しかしながら、例えば共分散などの他の分布を特徴付ける任意の他の特性量を使用することもできる。
【0020】
特に好適なさらなる実施形態においては、パラメータ化された分布関数が、パラメータの変更により、測定変数の収集された値に適合化される。適合化が最適であるパラメータの値は、集約表現に取り込まれる。この適合化も、点群の個々の点に関する揺らぎによる強い影響を受けない。
【0021】
タスクネットワークは、特に、例えば、分類ネットワークであるものとしてよく、この分類ネットワークは、自身の入力を、予め設定された分類の1つ又は複数のクラスに関する分類スコアにマッピングする。例えば、分類器ネットワークは、それらの存在が点群を示す対象物のタイプを含み得るものであり、又は、完全なシナリオの包括的な評価を含むこともあり得る。
【0022】
タスクネットワークは、特に、例えば、完全にネットワーク化された層を有する多層パーセプトロンであるものとしてよい。この種のタスクネットワークは、点群の処理のために、例えば画像の処理のために多岐に使用される畳み込みニューラルネットワークよりも良好に適している。そのため、このタスクネットワークは、特に、個々の不良に関する情報の散発的で一時的な欠落を許容する。ここで、個々の測定変数に関する集約表現がそれぞれ常に同様の次元性を有することにより、個々の情報の欠落が、タスクネットワークの入力の次元性にもはや影響を与えることはなくなる。これにより、完全にネットワーク化されたタスクネットワークを使用する際のこのことに関する問題は排除される。
【0023】
点群は、特に、例えば、レーダ反射、ライダ反射、及び/又は、超音波反射を測定データとして含み得る。これらのすべての測定様式に共通することは、1つ又は複数の測定変数の値をそれぞれ離散点にのみ割り当てることであり、それに対して、これらの離散点の間の介在空間においては、測定変数の値は説明されないということである。
【0024】
特に好適なさらなる実施形態においては、測定データの処理は、測定変数の少なくとも1つの値が考慮されないままという条件付きで繰り返される。これにより生じるタスクネットワークの得られた出力の変更から、測定変数の少なくとも1つの考慮されないままの値の重要性が求められる。すなわち、タスクネットワークから供給される出力を格段に変化させるためには、点群をどの程度変更する必要があるかを検査することができる。このようにして、どの測定変数が、タスクネットワークを用いた処理の適正な機能のために特に重要であるのかを特定することができる。タスクネットワークの作業は良好に説明可能である。
【0025】
特に好適なさらなる実施形態においては、予め設定されたタスクに関する目標出力でラベル付けされたトレーニング点群が、測定データとして選択される。タスクネットワークの求められた出力と、目標出力との偏差は、予め設定されたコスト関数を用いて評価される。タスクネットワークの特性を特徴付けるタスクパラメータは、トレーニング点群のさらなる処理の際に、評価がコスト関数によって改善されるという目標に最適化される。すなわち、固定の次元性を有する1つ又は複数の表現への点群の前処理を、既にトレーニングのために使用することができ、これにより、タスクネットワークに供給される入力はすべて、1つの共通の分布に属し、この分布を学習することができる。
【0026】
特に好適なさらなる実施形態においては、タスクネットワークの求められた出力から、駆動制御信号が求められる。車両、運転支援システム、ロボット、領域を監視するためのシステム、品質管理のためのシステム、及び/又は、医療用撮像のためのシステムが、駆動制御信号を用いて駆動制御される。タスクネットワークの出力の改善された精度は、これに関連して、駆動制御信号に対するそれぞれ駆動制御されたシステムの反応が、測定データの点群において具現化される状況のより高い確率で適当になるという効果を有する。
【0027】
本方法は、完全に又は部分的にコンピュータ実装することができ、したがって、ソフトウェアにおいて具現化されるものとしてよい。それゆえ、本発明は、1つ又は複数のコンピュータ及び/又はコンピュータインスタンス上で実行されるときに、1つ又は複数のコンピュータ及び/又はコンピュータインスタンスに、上述の方法を実施させるための機械可読命令を含む1つ又は複数のコンピュータプログラムにも関する。この意味においては、同様に機械可読命令を実行することが可能である車両用の制御装置及び技術系装置用の組込みシステムもコンピュータとみなすことができる。コンピュータインスタンスは、例えば、特にクラウドにおいて提供することができる仮想機械、コンテナ又はサーバレスの実施環境であるものとしてよい。
【0028】
同様に、本発明は、1つ又は複数のコンピュータプログラムを備えた機械可読データ担体及び/又はダウンロード製品にも関する。ダウンロード製品は、データネットワークを介して伝送可能な、すなわち、データネットワークのユーザによってダウンロード可能なデジタル製品であり、これは、例えば、即時にダウンロードするためのオンラインショップで販売可能である。
【0029】
さらに、1つ又は複数のコンピュータ及び/又はコンピュータインスタンスは、1つ又は複数のコンピュータプログラムを備え、機械可読データ担体又はダウンロード製品を備えるものとしてよい。
【0030】
以下においては、本発明を改良するさらなる手段を、図面に基づく本発明の好適な実施例の説明と共により詳細に示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】測定データ1を処理するための方法100の実施例を示した図である。
【
図2】測定データ1からタスクネットワーク4の出力5,5a~5eまでの処理を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施例
図1は、予め設定されたタスクに関連して、空間内の点1a~1dの点群1として存在する測定データを処理するための方法100の1つの実施例の概略的なフローチャートである。点群1は、各点1a~1dに、1つ又は複数の測定変数2a~2cの値2a#~2c#を割り当てる。
【0033】
ステップ110においては、各測定変数2a~2cについて、点群1の点1a~1dが割り当てられているこれらの測定変数2a~2cのすべての値2a#~2c#が収集される。
【0034】
ステップ120においては、これらの値2a#~2c#は、それぞれの測定変数2a~2cの集約表現3a~3cに処理される。
【0035】
ブロック121によれば、集約表現3a~3cは、特に、例えば、測定変数2a~2cの値範囲に、これらの値範囲における測定変数2a~2cの値2a#~2c#を有する点1a~1dの数を割り当てるヒストグラムを含み得る。
【0036】
ブロック121aによれば、これらの値範囲は、測定変数2a~2cの収集された値2a#~2cが移動する区間を、予め設定された数K個の間隔に分割することによって求めることができる。上述したように、値範囲は、収集されたすべての値2a#~2c#を包含する必要はなく、むしろ値2a#~2c#も外れ値として完全に考慮されないままであり得る。
【0037】
ブロック121bによれば、タスクネットワーク4のアーキテクチャの間隔の数K及び/又は少なくとも1つの特性量を、ハイパーパラメータとして最適化することができる。
【0038】
ブロック122によれば、集約表現3a~3cは、測定変数2a~2cの収集された値2a#~2c#の量の1つ又は複数の統計的特性量を含み得る。
【0039】
ブロック123によれば、パラメータ化された分布関数は、パラメータの変更により、測定変数2a~2cの収集された値2a#~2c#に適合化させることができる。次いで、ブロック124により、適合化が最適であるパラメータの値を、集約表現3a~3cに取り込むことができる。
【0040】
ステップ130においては、測定変数2a~2cの表現3a~3cのうちの1つ又は複数が、タスクネットワーク4に入力として供給される。
【0041】
ステップ140においては、1つ又は複数の表現3a~3cが、タスクネットワーク4から、予め設定されたタスクに関連して検索された出力5にマッピングされる。
【0042】
ブロック141によれば、ハイパーパラメータの最適化の際に、ハイパーパラメータの各値について、テスト点群1’及び/又は検証点群1’’を出力5に処理することができる。次いで、ブロック142により、そのように得られた出力5と、テスト点群1’又は検証点群1’’のラベル付けに用いられる目標出力5’,5’’との偏差を、ハイパーパラメータの最適化のためのフィードバックとして使用することができる。
【0043】
タスクネットワーク4から供給される出力5は、多岐にわたる手法により利用可能である。
【0044】
例えば、ステップ150においては、測定データ1の処理を、測定変数2a~2cの少なくとも1つの値2a#~2c#が考慮されないままという条件付きで繰り返すことができる。次いで、ステップ160においては、これにより生じる、タスクネットワーク4の得られた出力5’の変更から、測定変数2a~2cの少なくとも1つの考慮されないままの値2a#~2c#の重要性7を求めることができる。
【0045】
ブロック105により、予め設定されたタスクに関する目標出力5*でラベル付けされたトレーニング点群1*が、測定データ1として選択される場合、ステップ170においては、タスクネットワーク4の求められた出力5と、目標出力5*との偏差を、予め設定されたコスト関数Lを用いて評価することができる。次いで、ステップ180においては、タスクネットワーク4の特性を特徴付けるタスクパラメータ4aは、トレーニング点群1*のさらなる処理の際に、評価がコスト関数Lによって改善されるという目標に最適化され得る。タスクパラメータ4aの完全に最適化された状態は、参照符号4a*で示されている。
【0046】
ステップ190においては、タスクネットワーク4の求められた出力5から、駆動制御信号6を求めることができる。次いで、ステップ200においては、車両50、運転支援システム51、ロボット60、領域を監視するためのシステム70、品質管理のためのシステム80、及び/又は、医療用撮像のためのシステム90を、駆動制御信号6を用いて駆動制御することができる。
【0047】
図2は、4つの点1a~1dを有する点群1の例において、
図1に示されている処理プロセスを示しており、これらの点1a~1dは、それぞれ3つの異なる測定変数2a~2cの値2a#~2c#で注釈されている。
【0048】
各測定変数2a~2cについて、本方法100のステップ110においては、すべての点1a~1dからそれぞれの値2a#~2cが収集され、ステップ120においては、測定変数2a~2cの表現3a~3c、ここではヒストグラムに処理される。
【0049】
これらの表現3a~3cは、ステップ130において連結されて、
図2に示されている例においては3つの完全にネットワーク化された層FCを含むタスクネットワーク4に供給される。
【0050】
ステップ140においては、タスクネットワーク4は、予め設定されたタスクに関連して検索された出力5を生成する。
図2に示されている例においては、このタスクは、点群1が属する対象物のタイプの分類である。それに応じて、タスクネットワーク4の出力5は、予め設定された分類の1つ又は複数のクラスに関する分類スコア5a~5eへの入力を含む。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内の点(1a~1d)の点群(1)として存在する測定データを処理するための方法(100)であって、前記点群(1)は、予め設定されたタスクに関連して、各前記点(1a~1d)に、1つ又は複数の測定変数(2a~2c)の値(2a#~2c#)を割り当てる、方法において、
・各前記測定変数(2a~2c)について、前記点群(1)の前記点(1a~1d)が割り当てられている前記測定変数(2a~2c)のすべての値(2a#~2c#)を収集するステップ(110)、及び、集約表現(3a~3c)に処理するステップ(120)であって、前記表現(3a~3c)は、前記点群(1)のいくつの前記点(1a~1d)に、それぞれの前記測定変数(2a~2c)の同様の次元性を有する値(2a#~2c#)が割り当てられているかに依存しない、ステップと、
・前記表現(3a~3c)のうちの1つ又は複数を、タスクネットワーク(4)に入力として供給するステップ(130)と、
・前記1つ又は複数の表現(3a~3c)を、前記タスクネットワーク(4)から、前記予め設定されたタスクに関連して検索された出力(5)にマッピングするステップ(140)と、
を含む方法(100)。
【請求項2】
前記集約表現(3a~3c)は、前記測定変数(2a~2c)の値範囲に、当該値範囲内の前記測定変数(2a~2c)の値(2a#~2c#)を有する点(1a~1d)の数を割り当てるヒストグラムを含む(121)、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記値範囲は、前記測定変数(2a~2c)の収集された値(2a#~2c#)が移動する区間を、予め設定された数K個の間隔に分割することによって求められる(121a)、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記タスクネットワーク(4)のアーキテクチャの間隔の数K及び/又は少なくとも1つの特性量が、ハイパーパラメータとして最適化され(121b)、
・前記ハイパーパラメータの各値について、テスト点群(1’)及び/又は検証点群(1’’)が、出力(5)のために処理され(131,141)、
・そのように得られた前記出力(5)と、前記テスト点群(1’)又は前記検証点群(1’’)をラベル付けしている目標出力(5’,5’’)との偏差が、前記ハイパーパラメータの最適化のためのフィードバックとして使用される(142)、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記集約表現(3a~3c)は、前記測定変数(2a~2c)の収集された値(2a#~2c#)の量の1つ又は複数の統計的特性量を含む(122)、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項6】
・パラメータ化された分布関数が、前記パラメータの変更により、前記測定変数(2a~2c)の前記収集された値(2a#~2c#)に適合化され(123)、
・前記適合化が最適であるパラメータの値は、前記集約表現(3a~3c)に取り込まれる(124)、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項7】
自身の入力を、予め設定された分類の1つ又は複数のクラスに関して分類スコア(5a~5e)にマッピングする分類器ネットワークが、タスクネットワーク(4)として選択される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項8】
完全にネットワーク化された層を有する多層パーセプトロンが、前記タスクネットワーク(4)として選択される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項9】
レーダ反射、ライダ反射及び/又は超音波反射を有する点群(1)が、前記測定データとして選択される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項10】
・前記測定データ(1)の処理は、前記測定変数(2a~2c)の少なくとも1つの値(2a#~2c#)が考慮されないままという条件付きで繰り返され(150)、
・これにより生じる、前記タスクネットワーク(4)の得られた前記出力(5’)の変更から、前記測定変数(2a~2c)の少なくとも1つの考慮されないままの値(2a#~2c#)の重要性(7)が求められる(160)、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項11】
・予め設定されたタスクに関する目標出力(5*)でラベル付けされたトレーニング点群(1*)が、測定データ(1)として選択され(105)、
・前記タスクネットワーク(4)の求められた前記出力(5)と、前記目標出力(5*)との偏差が、予め設定されたコスト関数(L)を用いて評価され(170)、
・前記タスクネットワーク(4)の特性を特徴付けるタスクパラメータ(4a)は、前記トレーニング点群(1*)のさらなる処理の際に、評価が前記コスト関数(L)によって改善されるという目標に最適化される(180)、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項12】
・前記タスクネットワーク(4)の求められた前記出力(5)から、駆動制御信号(6)が求められ(190)、
・車両(50)、運転支援システム(51)、ロボット(60)、領域を監視するためのシステム(70)、品質管理のためのシステム(80)、及び/又は、医療用撮像のためのシステム(90)が、前記駆動制御信号(6)を用いて駆動制御される(200)、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、1つ又は複数のコンピュータ上で実行されるときに、前記1つ又は複数のコンピュータに、請求項1に記載の方法(100)を実施させるための機械可読命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを備えた機械可読データ担体。
【請求項15】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを備えた、又は、請求項14に記載の機械可読データ担体を備えた1つ又は複数のコンピュータ。
【外国語明細書】