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特開2024-96538画像形成システム及び画像形成制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096538
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像形成システム及び画像形成制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240709BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240709BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20240709BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240709BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J29/38 301
B41J21/00 Z
G03G21/00 510
H04N1/00 002A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000022
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 宗利
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AS06
2C061HJ06
2C061HN04
2C061HN15
2C061KK26
2C061KK28
2C061KK35
2C187AC06
2C187AG05
2C187BF49
2C187DB04
2C187DB30
2C187DC06
2C187HA14
2H270LA19
2H270LA22
2H270LA39
2H270LD03
2H270LD14
2H270MB11
2H270NC01
2H270NE14
2H270QA13
2H270QA18
2H270QA23
2H270RA03
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA05
5C062AB09
5C062AB22
5C062AB33
5C062AC04
(57)【要約】
【課題】不良が検出された画像の再印刷を適切に行えるようにする。
【解決手段】本発明の一側面に係る画像形成システムの制御部は、印刷ジョブに基づく画像の印刷が行われるロール紙の搬送方向における距離をその距離内に制限する距離である印刷制限距離の情報に基づいて、印刷済みの画像に続く位置から不良と判定された画像を再印刷させるか否かを判定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙に印刷された複数の画像の検品を行う検品部と、
前記検品部によって不良と判定された画像を前記ロール紙に再印刷させる制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、印刷ジョブに基づく画像の印刷が行われる前記ロール紙の搬送方向における距離をその距離内に制限する距離である印刷制限距離の情報に基づいて、印刷済みの前記画像に続く位置から前記不良と判定された画像を再印刷させるか否かを判定する
画像形成システム。
【請求項2】
印刷ジョブに含まれる複数の画像を、前記ロール紙の搬送方向に対して連続して印刷する画像形成部を備える
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記印刷制限距離は、前記印刷ジョブにおける前記画像の印字率に基づいて定まる
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像形成部に対して、前記不良と判定された画像のうち、前記印刷制限距離によって規定される範囲内に印刷可能な画像のみを、印刷済みの前記画像に続く位置から再印刷させる制御を行う
請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記不良と判定された画像のすべての画像を、前記印刷制限距離によって規定される範囲内に印刷可能であると判定した場合に、印刷済みの前記画像に続く位置から再印刷させる制御を行う
請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像形成部に対して、前記印刷制限距離によって規定される範囲の終わりの地点まで前記不良と判定された画像を印刷した後、予め定められた所定の区間においては印刷を行わず、前記区間が終了した地点から、再び前記不良と判定された画像の再印刷を行わせる制御を行う
請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記画像形成部に対して、前記印刷ジョブに含まれる画像を印刷した後、予め定められた所定の区間においては印刷を行わず、前記区間が終了した地点から、前記印刷ジョブに基づいて印刷された画像のうちの不良と判定された画像の再印刷を行わせる制御を行う
請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記画像形成部は、複数の印刷ジョブのそれぞれに基づく印刷を、前記ロール紙の走査方向における位置が異なる各列を対象として行い、
前記制御部は、複数の印刷ジョブの一つである第1の印刷ジョブに基づいて印刷された画像のうちの不良と判定された画像である第1の画像の再印刷を、前記印刷制限距離によって規定される範囲内に印刷できないと判定した場合であって、前記第1の印刷ジョブとは異なる第2の印刷ジョブにおける、印刷済みの前記画像の最後尾の画像に続く位置に、前記第2の印刷ジョブに基づいて印刷された画像のうちの不良と判定された画像である第2の画像を追加することにより、前記印刷制限距離を延伸させることが可能であると判定した場合、前記第2の印刷ジョブにおける、印刷済みの前記画像の最後尾の画像に続く位置に前記第2の画像を追加し、延伸後の前記印刷制限距離によって規定される範囲内に、前記第1の画像を再印刷させる制御を行う
請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記ロール紙の走査方向における前記印刷ジョブによる前記画像の印字位置とは異なる位置にパッチを印刷することにより、前記印刷制限距離を延伸させることが可能であると判定した場合、前記印刷ジョブに含まれる画像に前記パッチの画像を追加する制御を行う
請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記印刷ジョブに含まれる複数の画像がすべて同一の画像である場合、印刷ジョブに含まれる画像の後端の画像に続く位置から、前記印刷制限距離の終点までの範囲に、不良と判定された画像の代わりに用いることが可能な予備の画像を追加する制御を行う
請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項11】
ロール紙に印刷された複数の画像の検品を行う検品部と、前記検品部によって不良と判定された画像を前記ロール紙に再印刷させる制御を行う制御部と、を備えた画像形成システムによる画像形成制御方法であって、
前記制御部が、印刷ジョブに基づく画像の印刷が行われる前記ロール紙の搬送方向における距離をその距離内に制限する距離である印刷制限距離の情報に基づいて、印刷済みの前記画像に続く位置から前記不良と判定された画像を再印刷させるか否かを判定する手順を有する
画像形成制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム及び画像形成制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、剥離紙付きのロール紙(ラベル紙)の表面にラベル画像を印刷する、ラベル印刷機と称される画像形成装置が知られている。印刷後のラベル画像の品質を検査する画像検査において、いずれかの画像が不良と判定された場合、該画像の再印刷が行われるが、その再印刷は、実行中の印刷ジョブにおいて実行されることがある。実行中の印刷ジョブにおける再印刷は、例えば、印刷済みの画像の後続の位置を起点として行われる。
【0003】
特許文献1には、異常が検出された画像に対して連続シートの主走査方向で同一となるレーンの位置に、異常が検出された画像を再印刷する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-116898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、実行中の印刷ジョブにおいて、印刷済みの画像の後続の位置から再印刷を行う場合、印刷制限距離の問題が発生する。印刷制限距離とは、印刷ジョブに基づく画像の印刷をその距離によって示される範囲内に制限(限定)する距離であり、用紙の搬送方向における距離によって示される。
【0006】
印刷制限距離は、トナーこぼれ等の発生を防ぐ目的で設けられた距離であり、印刷制限距離によって規定される範囲外に印刷が行われた場合、トナーこぼれ等が発生して印刷事故につながる可能性がある。したがって、不良と判定された画像の再印刷は、印刷制限距離を考慮して行われる必要があるが、特許文献1には、再印刷時に印刷制限距離を考慮することについては記載されていない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、不良と判定された画像の再印刷を適切に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る画像形成システムは、ロール紙に印刷された複数の画像の検品を行う検品部と、検品部によって不良と判定された画像をロール紙に再印刷させる制御を行う制御部を備える。制御部は、印刷ジョブに基づく画像の印刷が行われるロール紙の搬送方向における距離をその距離内に制限する距離である印刷制限距離の情報に基づいて、印刷済みの画像に続く位置から不良と判定された画像を再印刷させるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不良と判定された画像の再印刷を適切に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来の画像形成システムの課題を説明する図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す概略図である。
図3】実施例1に係る画像形成システムによるNG画像と判定された画像の再印刷処理の例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態の実施例1における、ユーザーによる判断の内容に基づく処理の手順の例を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態の実施例4に係る画像形成システムによるNG画像と判定された画像の再印刷処理、及び、予備画像の印刷処理の例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態の実施例6に係る捨てパッチの印刷例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態の実施例7に係る再印刷時の印字位置調整処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書および図面において、実質的に同一の機能または構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
まず、各種実施形態の構成例を説明する前に、本発明で解決する上記課題について、より具体的に説明する。図1は、従来の画像形成システムの課題を説明する図である。
【0013】
図1には、ロール紙Rの左側の列にある矩形ラベルに「A」~「H」の画像が印刷され、右側の列にある円形ラベルに「1」~「8」の画像が印刷された例を示す。「A」~「H」の画像の印刷は、第1の印刷ジョブに基づいて行われ、「1」~「8」の画像の印刷は、第2の印刷ジョブに基づいて行われたものとする。そして、第1の印刷ジョブに基づく印刷おいては「B」の画像がNG(不良)画像であると判定され、第2の印刷ジョブに基づく印刷においては「4」及び「6」の画像がNG画像であると判定されたとする。
【0014】
そして、NG画像と判定された「B」の画像は、第1の印刷ジョブに基づく画像が印刷された左側の列における、印刷済みの「H」に続く位置に再印刷される。また、NG画像と判定された「4」及び「6」の各画像は、第2の印刷ジョブに基づく画像が印刷された右側の列における、印刷済みの「8」に続く印刷に再印刷されるとする。
【0015】
このとき、再印刷される「B」、「4」及び「6」の各画像は、第1の印刷ジョブ及び第2の印刷ジョブにおける印字率によって定まる、印刷制限距離D12によって規定される範囲内に印刷される必要がある。印刷制限距離D12は、画像が印刷される範囲をその距離によって規定される範囲内に制限する距離であり、ロール紙Rの搬送方向における距離によって示される。印字率は、印刷距離D11によって規定される範囲に対する、印字される画像の積算面積が占める割合を示す。印刷距離D11は、第1の印刷ジョブ及び第2の印刷ジョブによる印刷が行われる用紙搬送方向における距離である。
【0016】
図1に示す例では、NG画像と判定された「B」及び「4」の各画像は印刷制限距離D12内に印刷可能であるが、NG画像と判定された「6」の画像は、印刷制限距離D12によって規定される範囲の外に印刷されることになる。そして、印刷制限距離D12によって規定される範囲外に画像が印刷された場合、トナーこぼれ等の印刷事故が発生してしまう可能性がある。
【0017】
以下に示す本発明の実施形態では、NG画像と判定された画像の適切な再印刷を実現させる手法を提案する。
【0018】
<画像形成システムの全体構成>
図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成システム100の全体構成を示す概略図である。図2に示す画像形成システム100は、端末装置1と、コントローラ2と、画像形成装置3と、を含む。端末装置1及びコントローラ2間は、インターネット等のネットワークN1を介して接続され、コントローラ2及び画像形成装置3間は、VIF(Virtual network InterFace)等のネットワークN2を介して接続される。
【0019】
[端末装置]
端末装置1は、例えばPC(Personal Computer)等で構成され、PDF(Portable Document Format)等のファイル形式の入稿ファイルを、ネットワークN1を介してコントローラ2に送信する。
【0020】
[コントローラ]
コントローラ2は、例えばPC等で構成され、制御部21、記憶部22、メモリ23及び通信I/F(Interface)部24等を含む。
【0021】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、コントローラ2を構成する各部の動作を制御する。例えば、制御部21は、端末装置1から送信された入稿ファイルに含まれる画像データを、画像形成装置3が印刷可能なラスター・イメージ画像に変換するRIP(Raster Image Processor)処理を行う。そして、RIP処理後の画像データを印刷ジョブに含め、該印刷ジョブを、通信I/F部24を介して画像形成装置3に送信する制御を行う。
【0022】
また、制御部21は、画像形成装置3から受信した印刷物の検品結果に基づいて、NG画像と判定された画像のみを集約した印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブを、通信I/F部24を介して画像形成装置3に送信する制御を行う。
【0023】
なお、制御部21は、GPU(Graphics Processing Unit)等の他のプロセッサにより構成されてもよく、RIP等の画像生成処理機能を有する専用のデバイス等で構成されてもよい。
【0024】
記憶部22は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成される。記憶部22には、入稿ファイルのデータや、RIP処理後の画像データ等が記憶される。
【0025】
メモリ23は、不図示のROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、コントローラ2を動作させるシステムプログラムや、本実施形態に係る画像形成制御処理を実行するプログラム、画像形成装置3に送信したNG画像の画像データ等が格納される。つまり、メモリ23の不図示のROMは、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。なお、プログラムは記憶部22に記憶される場合には、記憶部22も、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
RAMは、制御部21によるプログラムの実行時にワークエリアとして使用される。
【0026】
通信I/F部24は、例えばNIC(Network Interface Card)等で構成され、ネットワークN1を介して端末装置1との間で行う通信の制御、ネットワークN2を介して画像形成装置3との間で行う通信の制御等を行う。
【0027】
なお、図1には、コントローラ2と画像形成装置3とが別体で構成される例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。コントローラ2は、画像形成装置3内に設けられてもよい。
【0028】
[画像形成装置]
画像形成装置3は、ロール紙(ラベル紙)にラベル画像を印刷するラベル印刷機であり、静電気を用いて画像を形成する電子写真方式によって、ラベル画像を印刷する。また、画像形成装置3は、ロール紙を画像形成装置3の本体に搬送する給紙装置と、ラベル画像が印刷されたロール紙を巻き取る巻き取り装置(いずれも図示略)と、を有する。
【0029】
巻き取り装置によって巻き取られたロール紙は、ユーザーによって取り外され、後処理機(図示略)の給紙装置にセットされる。そして、後処理機が、ロール紙に形成されたラベル画像の形状に合わせたカッター刃で、1つずつラベル画像をラベル紙からくり抜くことによって、ラベルが完成する。
【0030】
画像形成装置3は、制御部31、メモリ32、画像形成部33、検品部34及び操作表示部35等を含む。
【0031】
制御部31は、CPU等で構成され、画像形成装置3を構成する各部の動作を制御する。例えば、制御部31は、コントローラ2から送信された印刷ジョブに含まれるラベル画像データに基づく画像を、画像形成部33によってロール紙Rに印刷(画像形成)させる制御を行う。
【0032】
また、制御部31は、画像形成部33によって画像が形成された印刷物に不良が含まれているか否かの検品処理を、検品部34に行わせる制御と、検品部34による検品結果を、ネットワークN2を介してコントローラ2に送信する制御と、を行う。
【0033】
さらに、制御部31は、操作表示部35に各種設定画面や各種通知などを表示させる制御を行う。各種通知には、NG画像と判定された画像を、印刷済みの画像に続く位置から再印刷するか否かをユーザーに確認する通知などがある。
【0034】
なお、制御部31は、GPU等の他のプロセッサにより構成されてもよく、画像処理機能を有する専用のデバイス等で構成されてもよい。
【0035】
メモリ32は、不図示のROM及びRAMを含む。ROMには、画像形成装置3を動作させるシステムプログラムや、本実施形態に係る画像形成制御処理を実行するプログラム、コントローラ2に送信した検品結果等が格納される。つまり、メモリ32の不図示のROMは、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。RAMは、制御部31によるプログラムの実行時にワークエリアとして使用される。
【0036】
画像形成部33は、印刷ジョブに基づいてロール紙に画像(ラベル画像)を印刷する。制御部31より、NG画像であると判定された画像の再印刷が指示された場合には、指定された画像をロール紙に再印刷する。NG画像と判定された画像の再印刷は、検品の対象となった画像を印刷した印刷ジョブと同一のジョブにおいて行われる場合と、別の印刷ジョブによって行われる場合とがある。いずれの方法で再印刷を行うかは制御部31によって指示される。
【0037】
検品部34は、不図示のラインセンサー等を備え、該ラインセンサーによる印刷物の読取画像に基づいて、印刷物の検品を行う。検品としては、例えば、印刷されたラベル画像への汚れの付着の有無、ラベル画像のかすれの有無、ラベル画像の印刷内容における不備の有無などの確認を行う。そして、検品部34は、検品の結果を制御部31に出力する。
【0038】
操作表示部35は、液晶パネル等からなる表示部、及び、タッチセンサ等からなる操作入力部で構成され、表示部及び操作入力部はタッチパネルとして一体に形成される。なお、操作入力部をマウスやタブレットなどで構成することにより、操作入力部と表示部とをそれぞれ別体で構成してもよい。
【0039】
<画像形成システムによる画像形成制御方法>
次に、本実施形態に係る画像形成システム100による画像形成制御方法について説明する。本実施形態では、画像形成システム100による画像形成制御方法について、実施例1~実施例7を例に挙げて説明する。
【0040】
[実施例1]
実施例1では、画像形成システム100は、印刷制限距離によって規定される範囲内に印刷可能な分の画像のみを再印刷する。図3は、実施例1に係る画像形成システム100による、NG画像と判定された画像の再印刷処理の例を示す図である。
【0041】
図3には、第1の印刷ジョブに基づく「A」~「H」の画像と、第2の印刷ジョブに基づく「1」~「8」の画像とがロール紙Rに印刷され、検品部34によって、「B」、「4」及び「6」の各画像がNG画像であると判定された例を示す。
【0042】
実施例1では、コントローラ2の制御部21(図2参照)は、これらのNG画像と判定された画像のうち、印刷制限距離D2によって規定される範囲内に印字可能な「B」及び「4」の画像のみを、画像形成装置3の画像形成部33に再印刷させる制御を行う。より詳細には、制御部21は、「B」の画像を、第1の印刷ジョブによって最後に印刷された画像である「H」に続く位置に印刷させ、「4」の画像を、第2の印刷ジョブによって最後に印刷された画像である「8」に続く位置に印刷させる制御を行う。
【0043】
実施例1によれば、印刷制限距離D2によって規定される範囲外にNG画像と判定された画像の再印刷が行われてしまうことを防ぐことができる。印刷制限距離D2によって規定される範囲内に再印刷ができなかった画像、ここでは「6」の画像は、別の印刷ジョブとして生成しておき、ユーザーによって指示されたタイミング等によって再印刷させることができる。
【0044】
なお、実施例1の制御は、検品部34によるNG画像の検知後に自動的に行われてもよいが、印刷制限距離内に印刷可能な画像のみを再印刷する処理を実行するか否かを、ユーザーに判断させてもよい。図4は、実施例1における、ユーザーによる判断の内容に基づく処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、コントローラ2の制御部21は、検品部34から送信された検品結果にNG画像が含まれているか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1で、NG画像は含まれていないと判定された場合(ステップS1がNO判定の場合)、制御部21は、画像形成部33に通常の印刷を実行させる(ステップS2)。すなわち、次の印刷ジョブに基づく印刷を行わせる。
【0046】
一方、ステップS1で、NG画像が含まれると判定された場合(ステップS1がYES判定の場合)、コントローラ2の制御部21は、再印刷の準備を行う(ステップS3)。具体的には、制御部21は、NG画像のみを集約した再印刷用の印刷ジョブを生成する。次いで、制御部21は、再印刷の対象となる画像の印刷位置が、印刷制限距離を超えた位置となるか否かを判定する(ステップS4)。
【0047】
ステップS4で、印刷制限距離は超えないと判定された場合(ステップS4がNO判定の場合)、制御部21は、画像形成部33に、NG画像と判定された画像を、印刷済みの画像の後続の位置に再印刷させる制御を行う(ステップS5)。
【0048】
一方、ステップS4で、印刷制限距離を超えると判定された場合(ステップS4がYES判定の場合)、制御部21は、再印刷される画像の印刷位置が印刷制限距離によって規定される範囲を超える旨を、ユーザーに通知する(ステップS6)。ユーザーへの通知は、不図示のユーザー端末の表示画面におけるメッセージの表示等によって行うことができる。
【0049】
次いで、制御部21は、ユーザーによって、印刷制限距離によって規定される範囲内に再印刷を行う指示が行われたか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7で、再印刷を行わない指示が入力されたと判定された場合(ステップS7がNO判定の場合)、制御部21は、画像形成部33に再印刷は行わせず、次の印刷ジョブによる印刷(通常印刷)を実行させる(ステップS8)。NG画像と判定された画像は、他の印刷ジョブとして保存される。
【0050】
一方、ステップS7で、印刷制限範囲によって規定される範囲内を対象とした再印刷の実行が指示されたと判定された場合(ステップS7がYES判定の場合)、制御部21は、画像形成部33に、印刷済みの画像の後続の位置に、印刷制限範囲によって規定される範囲内に印刷可能な画像のみを再印刷させる制御を行う(ステップS9)。
【0051】
ステップS2、ステップS5、ステップS8又はステップS9の処理後、実施例1に係る画像形成制御処理は終了する。
【0052】
実施例1によれば、印刷制限距離の外の位置に再印刷が行われてしまうことを防ぐことができるため、画像形成システム100は、NGと判定された画像の再印刷を適切に実行することができる。
【0053】
[実施例2]
実施例2では、コントローラ2の制御部21は、印刷制限距離を超える位置に画像が印刷される場合には、印刷が行われない空白の区間を挿入し、該空白の区間の終わりの位置から、続く画像の再印刷を行わせる制御を行う。なお、再印刷の途中で挿入される空白の区間の長さは、制動距離の長さよりも短いものとする。制動距離は、異なる印刷ジョブが連続して実行される場合において、印刷ジョブ間に自動的に設けられるものであり、制動距離によって規定される範囲においては、画像形成部33(図2参照)は印刷を行うことができない。
【0054】
したがって、実施例2によれば、印刷制限距離を超える位置への画像の再印刷を防ぎつつ、印刷ジョブを分けて再印刷を行う場合と比較して、空白の区間、すなわち、ヤレ紙となる部分の量を少なくすることができる。
【0055】
[実施例3]
実施例3では、コントローラ2の制御部21は、印刷ジョブに基づいて印刷された画像の位置が、印刷制限距離によって規定される範囲の後端に到達していない場合であっても、通常印刷が終了した時点で印刷を終了する。そして、印刷ジョブ間に設けられる制動距離の終わりの地点から、画像形成部33にNG画像と判定された画像を再印刷させる制御を行う。
【0056】
実施例3によれば、制動距離による余白は生じてしまうが、NG画像と判定された画像の再印刷を一つの印刷ジョブに纏めることができるため、NG画像の再印刷漏れ等の発生を防ぐことができる。
【0057】
[実施例4]
実施例4では、コントローラ2の制御部21は、印刷ジョブに含まれる画像が単一の画像である場合には、画像形成部33に、通常印刷による画像の印字位置の後続の位置から印刷制限距離の後端の位置までの間を対象として、予備の画像を印刷させる制御を行う。予備の画像とは、検品部34によってNG画像が検出された場合に、該NG画像の代わりの画像として使用可能な画像である。
【0058】
図5は、実施例4に係る画像形成システム100によるNG画像と判定された画像の再印刷処理、及び、予備画像の印刷処理の例を示す図である。
【0059】
図5に示す例では、第1の印刷ジョブに基づいて、ロールRの左側の列に「A」の画像が連続して印刷され、第2の印刷ジョブに基づいて、ロール紙Rの右側の列に「1」~「8」の各画像が印刷されている。そして、検品部34によって、第2の印刷ジョブに基づいて印刷された「4」及び「6」の各画像がNG画像であると判定されたとする。NG画像と判定された「4」及び「6」の各画像の再印刷は、印刷制限距離D3によって規定される範囲内に行うことができる。
【0060】
一方、第1の印刷ジョブに基づいて印刷された「A」の画像においては、NG画像は検出されていない。しかし、変形例4においては、制御部21は、最後に印刷された「A」の画像の後続の位置から印刷制限距離D3の終点までの間に、予備の画像「A」を2つ追加で印刷させる。予備の画像は、後に実行される別の印刷ジョブにおいて「A」の画像に不良が検出された場合に、その画像の正常画像として用いることができる。
【0061】
[実施例5]
実施例5では、コントローラ2の制御部21は、印刷ジョブが、ラベルの1つ1つにそれぞれ違う画像を印刷するバリアブル印刷のジョブであると判定した場合、その印刷ジョブに含まれるバリアブル画像をすべて印刷させる。バリアブル印刷は、1つのラベル画像ごとにシリアル番号などの異なる内容を印刷するものである。
【0062】
制御部31は、例えば、実施例2の処理、すなわち、印刷制限距離を超えるごとに挿入される空白部分を挟みつつ、すべてのバリアブル画像を印刷させることにより、すべてのバリアブル画像をまとめて印刷することができる。もしくは、制御部31は、印刷制限距離を超える範囲に印刷される分のバリアブル画像を、別の印刷ジョブとして、実行した印刷ジョブと対応付けて保存してもよい。
【0063】
実施例5によれば、すべてのラベル画像が順番通りに印刷される必要があるバリアブル印刷の再印刷の実行時に、印刷される画像に抜けや漏れが生じたりする事態の発生を防ぐことができる。
【0064】
[実施例6]
実施例6の処理は、NG画像と判定された画像を再印刷する領域が足りない場合等に行われる処理である。コントローラ2の制御部21は、ロール紙R上の、印刷ジョブによって印刷される画像と重ならない位置に、測色対象としないパッチ(以下、「捨てパッチ」と称する)を印刷できるか否かを判定する。つまり、ロール紙の走査方向において、捨てパッチを印刷可能な領域が存在するか否かを判定する。
【0065】
さらに、制御部21は、捨てパッチを印刷して印字率を増加させることによって、印刷制限距離を延伸できるか否かを判定する。そして、印刷制限距離を延伸可能であると判定した場合、制御部21は、画像形成部33に対して、空いている領域に捨てパッチを印刷させるとともに、捨てパッチの形成によって延伸された印刷制限距離によって生成される領域に、NG画像と判定された画像を再印刷させる。
【0066】
図6は、実施例6に係る捨てパッチの印刷例を示す図である。図6は、ロール紙Rの左側の列に「A」の画像が印刷され、中央の列に「1」の画像が印刷され、右側の列に「2」の画像が印刷された例を示す。また、図6には、これらの画像の印字位置と重ならない領域に、捨てパッチPy,Pm,Pc,Pkが印刷された例を示す。
【0067】
実施例6によれば、捨てパッチを印刷して印刷制限距離を延ばすことにより、再印刷可能な画像の数を増やすことができる。
【0068】
[実施例7]
実施例7では、コントローラ2の制御部21は、再印刷を行う画像の印字位置を調整することにより印刷制限距離を延ばすことが可能であると判定した場合、再印刷画像の印字位置の調整を行う。そして、画像の印字位置の調整により延びる印刷制限距離により規定される範囲に、NG画像と判定された画像の再印刷を行う。図7は、実施例7に係る再印刷時の印字位置調整処理の例を示す図である。
【0069】
図7Aには、ロール紙の左側の列に「A」~「H」の各画像が印刷され、右側の列に「1」~「12」の各画像が印刷された例を示す。「A」~「H」の各画像は第1の印刷ジョブに基づいて印刷され、「1」~「12」の各画像は第2の印刷ジョブに基づいて印刷されるとする。
【0070】
そして、第1の印刷ジョブに基づいて印刷された画像の数が少ないことによって、左側の列の下側にある領域Arにおいては、第2の印刷ジョブに基づく「9」~「12」の画像のみが印刷されている。したがって、第2の印刷ジョブに基づく印刷が行われる印刷距離D4によって規定される印刷範囲内における印字率は低くなり、それに伴って印刷制限距離D5も印刷距離D4と同じ長さとなる。
【0071】
図7Bには、第1の印刷ジョブ及び第2の印刷ジョブに基づく印刷の検品部34(図2参照)による検品結果を示す。図7Bに示す例では、第1の印刷ジョブに基づいて印刷された「B」、「C」及び「F」の各画像(第1の画像の一例)がNG画像と判定され、第2の印刷ジョブに基づいて印刷された「4」及び「6」の各画像(第2の画像の一例)がNG画像と判定されている。
【0072】
通常であれば、第2の印刷ジョブによる印刷画像の最後端にある「12」の画像に続く位置から、NG画像と判定された「4」及び「6」の画像が印刷され、その左側の列における、用紙搬送方向で「4」の画像と同じ位置から、NG画像と判定された「B」、「C」及び「F」の各画像が再印刷される。図7Bに示すように、印刷制限距離D5の終点は「12」の画像が印字された位置となっており、「12」の画像に続く位置から再印刷を行うことができない。
【0073】
この場合、コントローラ2の制御部21は、印字率の低い領域Arに、第1の印刷ジョブに基づく印刷においてNG画像であると判定された「B」、「C」及び「F」の各画像を再印刷する印刷ジョブを設定する。印刷ジョブに「B」、「C」及び「F」の各画像が追加されることにより領域Arにおける印字率は上がり、これに伴って印刷制限距離D5も延伸される。
【0074】
図7Cには、印刷制限距離が延伸された例を示す。図7Cに示す例では、ロール紙Rの搬送方向において円形のラベルの2個分に相当する距離だけ印刷制限距離が延伸されて、印刷制限距離D5′となっている。そして、このように印刷制限距離が延伸されることにより、制御部21は、NG画像と判定された「4」及び「6」の各画像を、印刷制限距離によって規定される範囲内に再印刷することが可能となる。
【0075】
実施例7によれば、制御部21は、再印刷を行う画像の印字位置を調整することにより印刷制限距離を延ばすことができ、延びた印刷制限距離によって規定される範囲に、追加の再印刷画像を印刷することが可能となる。
【0076】
なお、上述した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【0077】
また、図4において実線で示した制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0078】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【符号の説明】
【0079】
1…端末装置、2…コントローラ、3…画像形成装置、21…制御部、33…画像形成部、34…検品部、35…操作表示部、100…画像形成システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7