(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096539
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】用紙処理システム及び用紙処理方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240709BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240709BHJP
B41J 29/387 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B41J29/38 206
G03G21/00 370
G03G21/00 386
B41J29/38 204
B41J29/387
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000023
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 賢一
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ03
2C061HJ04
2C061HJ06
2C061HJ07
2C061HJ10
2C061HK03
2C061HK07
2C061HK11
2C061HL01
2C061HL02
2C061HN08
2C061HN15
2C061HN19
2C061HN22
2H270KA57
2H270LA75
2H270LC02
2H270LC06
2H270LC07
2H270LC19
2H270MC67
2H270NB22
2H270NE01
2H270PA06
2H270PA07
2H270PA08
2H270PA09
2H270PA14
2H270PA29
2H270QB01
2H270QB04
2H270QB05
2H270QB07
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】利用者の負担を大きくすることなく、断裁用紙と非断裁用紙を同じ向きで積載することができる用紙処理システムを提供する。
【解決手段】用紙処理システムは、複数の給紙部と、1枚の用紙を複数枚に断裁する用紙断裁部と、用紙積載部と、給紙選択部と、を備える。給紙選択部は、指定されたジョブが、1枚の用紙を複数枚に断裁して積載する第1の処理と、用紙を断裁せずに積載する第2の処理とを含む場合、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を収納する給紙部を第2の処理において選択する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給紙部と、1枚の用紙を複数枚に断裁する用紙断裁部と、用紙積載部と、を備えた用紙処理システムであって、
指定されたジョブが、1枚の用紙を複数枚に断裁して積載する第1の処理と、用紙を断裁せずに積載する第2の処理とを含む場合、前記第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を収納する給紙部を前記第2の処理において選択する給紙選択部を備える
用紙処理システム。
【請求項2】
前記用紙積載部は、少なくとも1つの積載トレイを有し、
前記第1の処理と前記第2の処理では、同じ積載トレイに用紙を積載する
請求項1に記載の用紙処理システム。
【請求項3】
用紙に画像を形成する画像形成部を備える
請求項1に記載の用紙処理システム。
【請求項4】
前記第1の処理では、断裁前の1枚の用紙にN(Nは2以上の自然数)ページ分の画像を形成する
請求項3に記載の用紙処理システム。
【請求項5】
前記給紙選択部は、前記第1の処理における用紙の条件に対応する給紙部を選択する
請求項1に記載の用紙処理システム。
【請求項6】
前記用紙の条件は、紙種もしくは用紙の物性条件である
請求項5に記載の用紙処理システム。
【請求項7】
前記用紙の物性条件は、紙厚、坪量及び表面性の少なくともいずれか1つである
請求項6に記載の用紙処理システム。
【請求項8】
前記給紙選択部は、前記第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズを、前記第1の処理における断裁前の用紙の向き及びサイズと断裁条件とに基づいて決定する
請求項1に記載の用紙処理システム。
【請求項9】
前記給紙選択部は、前記第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズを、前記第1の処理における断裁前の用紙の向き及びサイズと断裁条件と断ち落としサイズとに基づいて決定する
請求項1に記載の用紙処理システム。
【請求項10】
前記第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を収納する給紙部が存在しない場合に、その旨を通知する
請求項1に記載の用紙処理システム。
【請求項11】
前記第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を収納する給紙部が存在しない場合に、前記第1の処理を開始した後で、かつ、前記第2の処理を開始する前に、ジョブを中断する
請求項10に記載の用紙処理システム。
【請求項12】
前記第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を収納する給紙部が存在しない場合に、ジョブの開始を禁止する
請求項10に記載の用紙処理システム。
【請求項13】
前記第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を収納する給紙部が存在せず、当該断裁後の用紙のサイズに対応する用紙を収納する給紙部が存在する場合に、当該存在する給紙部の用紙の向きを変更すべき旨を通知する
請求項10に記載の用紙処理システム。
【請求項14】
ジョブで指定された画像の総ページ数がMである場合に、M/Nの商の数だけ前記第1の処理を行い、M/Nの剰余の数だけ前記第2の処理を行う
請求項4に記載の用紙処理システム。
【請求項15】
指定されたジョブが、1枚の用紙を複数枚に断裁して積載する第1の処理と、用紙を断裁せずに積載する第2の処理とを含む場合、前記第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を前記第2の処理において選択する
用紙処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理システム及び用紙処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙に画像を形成(以下、「印刷」ともいう。)する画像形成装置では、用紙1枚ごとに印刷コストが計上されることがある。このため、印刷コストの低減を目的として、1枚の用紙に複数ページ分(Nページ分)の画像を印刷する処理、すなわちN-UP印刷が一般的に利用されている。N-UP印刷におけるNの値は、1枚の用紙に何ページ分の画像を印刷するかによって決まる。例えば、1枚の用紙に2ページ分の画像を印刷する場合は、2―UP印刷となり、1枚の用紙に4ページ分の画像を印刷する場合は、4-UP印刷となる。
【0003】
1枚の用紙にN-UP印刷を施してN枚の用紙を得るには、複数ページ分の画像が印刷された1枚の用紙を複数枚に断裁する必要がある。例えば、4-UP印刷では、4面分のサイズを有する1枚の用紙に4ページ分の画像を割り付けて印刷した後、印刷済みの用紙を4枚に断裁する必要がある。その際、ジョブで指定された印刷すべき画像の総ページ数Mが4の倍数でない場合に、M/Nの剰余のページの画像を、4面分のサイズを有する用紙に印刷すると、断裁後に白紙の印刷物が生成されてしまう。
【0004】
特許文献1には、ジョブでN-UP印刷が指定された場合に、第1のサイズの用紙と、第1のサイズよりも小さい第2のサイズの用紙を使用して印刷することにより、断裁後に白紙の印刷物が生成されることを抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
用紙断裁部を備える画像形成システムでは、複数ページ分(例えば、4ページ分)の画像が印刷された1枚の用紙を複数枚(例えば、4枚)に断裁して得られる用紙と、1ページ分の画像が印刷された用紙を、同じ積載トレイに積載することができる。その際、特許文献1に記載された技術において、上記第2のサイズの用紙として、印刷対象の画像が読み取られた原稿と同じサイズの用紙を保持する給紙部(給紙カセット)を選択し、この給紙部から供給された用紙に原稿の画像を印刷すると、次のような不具合が生じることがある。
【0007】
特許文献1に記載された技術では、印刷対象の画像が読み取られた原稿と同じサイズの用紙を保持する給紙部を選択しているが、この給紙部に収納されている用紙の向きについては考慮されていない。このため、複数ページ分の画像が印刷された1枚の用紙を複数枚に断裁して得られる用紙(以下、「断裁用紙」ともいう。)と、1ページ分の画像が印刷された用紙(以下、「非断裁用紙」ともいう。)を、同じ積載トレイに積載する場合に、積載トレイに積載される断裁用紙のサイズと非断裁用紙のサイズは同じでも、積載トレイに積載される断裁用紙の向きと非断裁用紙の向きが異なることがある。
【0008】
このように、向きが異なる用紙が積載トレイに混在すると、その後の用紙の取り扱いが面倒になる。また、断裁用紙と非断裁用紙が同じ向きで積載されるように、断裁前の用紙の向きやサイズ、用紙の断裁条件、断裁後の用紙の向きやサイズなどを考慮して、利用者が用紙の処理条件を細かく設定するとなると、利用者の負担が大きくなってしまう。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、利用者の負担を大きくすることなく、断裁用紙と非断裁用紙を同じ向きで積載することができる用紙処理システム及び用紙処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る用紙処理システムは、複数の給紙部と、1枚の用紙を複数枚に断裁する用紙断裁部と、用紙積載部と、を備えた用紙処理システムであって、指定されたジョブが、1枚の用紙を複数枚に断裁して積載する第1の処理と、用紙を断裁せずに積載する第2の処理とを含む場合、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を収納する給紙部を第2の処理において選択する給紙選択部を備える。
また、本発明に係る用紙処理方法は、指定されたジョブが、1枚の用紙を複数枚に断裁して積載する第1の処理と、用紙を断裁せずに積載する第2の処理とを含む場合、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を第2の処理において選択する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、利用者の負担を大きくすることなく、断裁用紙と非断裁用紙を同じ向きで積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る用紙処理システムの構成例を示す概略図である。
【
図2】各々の給紙部に対する用紙情報の設定例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る用紙処理システムの制御構成を示すブロック図である。
【
図4】用紙断裁部によって行われる断裁処理の具体例を説明する図(その1)である。
【
図5】用紙断裁部によって行われる断裁処理の具体例を説明する図(その2)である。
【
図6】用紙断裁部によって行われる断裁処理の具体例を説明する図(その3)である。
【
図7】用紙断裁部によって行われる断裁処理の具体例を説明する図(その4)である。
【
図8】用紙断裁部によって行われる断裁処理の具体例を説明する図(その5)である。
【
図9】N-UP印刷における画像の割り付けと用紙の断裁を説明する図(その1)である。
【
図10】N-UP印刷における画像の割り付けと用紙の断裁を説明する図(その2)である。
【
図11】N-UP印刷と断裁処理を組み合わせて用紙を積載した例を説明する図(その1)である。
【
図12】N-UP印刷と断裁処理を組み合わせて用紙を積載した例を説明する図(その2)である。
【
図13】本発明の実施形態に係る用紙処理システムによって行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る用紙処理システムの構成例を示す概略図である。
図1に示す用紙処理システム1は、指定されたジョブに基づいて用紙を処理する。用紙処理システム1は、操作表示部21、又はネットワーク上のPC(Personal Computer)端末(図示せず)からジョブを受け付ける。用紙処理システム1は、画像形成装置2と、用紙積載装置3とを備えている。画像形成装置2は、用紙に画像を形成する装置である。画像形成装置2を備える用紙処理システム1は、画像形成システムと言い換えることができる。用紙積載装置3は、画像形成部2から送り出される用紙を所定の場所に積載する装置である。用紙積載装置3は、画像形成装置2に隣接して設置されている。
【0015】
画像形成装置2は、例えば、電子写真方式に基づいて用紙に画像を形成(印刷)する。ただし、画像形成方式は電子写真方式に限定されるものではなく、他の方式でもよい。画像形成装置2は、操作表示部21と、複数の給紙部22a,22b,22c,22dと、用紙搬送部23と、画像形成部24とを備えている。
【0016】
操作表示部21は、利用者が各種の情報を入力するための操作部、及び、利用者に対して各種の情報を表示するための表示部として機能する。例えば、操作表示部21は、ジョブで実行すべき処理の内容やジョブの開始などを利用者が入力操作によって指示するための操作部として機能する。また、操作表示部21は、ジョブの進行状況や各種のメッセージ(エラーメッセージ、案内メッセージ、警告メッセージ等)を利用者に表示する表示部として機能する。操作表示部21は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等を含むタッチパネルによって構成される。
【0017】
給紙部22a,22b,22c,22dは、それぞれ所定枚数の用紙10を収納可能な容量を有する。各々の給紙部22a,22b,22c,22dは、例えば、画像形成装置2の本体(筐体)に対して出し入れ可能(引き出し及び押し込みが可能)な給紙トレイによって構成される。給紙トレイに収納された用紙10は、図示しない給紙ローラによって1枚ずつ送り出される。個々の給紙部22a,22b,22c,22dに対する用紙のセット作業(収納作業)及び用紙の取り出し作業は、利用者が行う。本実施形態においては、一例として、画像形成装置2が4つの給紙部22a,22b,22c,22dを備えている。以降の説明では、個々の給紙部22a,22b,22c,22dを区別する必要がない場合は、単に給紙部22と記載する。
【0018】
各々の給紙部22a,22b,22c,22dにおける用紙のサイズ、用紙の向き、用紙の種類(以下、「紙種」という。)、用紙の物性条件などの情報(以下、「用紙情報」ともいう。)は、給紙部ごとに手動又は自動で設定することが可能である。手動設定は、利用者が操作表示部21又は上記PC端末を操作することで行われる。自動設定は、給紙部又はその近傍に設置された各種のセンサを用いて行われる。このように給紙部ごとに設定される用紙情報は、画像形成装置2が備えるストレージ(図示せず)に記憶され、例えば、利用者によって指定されたジョブの内容に合わせて給紙部を自動で選択するときに参照される。
【0019】
用紙のサイズは、例えば、A版サイズ(A3、A4、A5等)及びB版サイズ(B4、B5、B6等)のうちいずれか1つのサイズに設定される。用紙の向きは、縦向き又は横向きに設定される。縦向きは、用紙の長辺が用紙搬送方向と直交するように用紙が収納される向きである。横向きは、用紙の短辺が用紙搬送方向と直交するように用紙が収納される向きである。用紙の物性条件は、用紙の厚さ(以下、「紙厚」という。)、用紙の坪量、用紙の表面性のうち少なくともいずれか1つである。紙厚は、例えば自動設定の場合は、紙厚センサの計測結果に基づく数値で設定される。用紙の坪量は、例えば自動設定の場合は、坪量センサの計測結果に基づく数値で設定される。用紙の表面性は、用紙表面の平滑性又は平滑度を示す特性である。用紙の表面性は、例えば自動設定の場合は、表面性センサの計測結果に基づく数値で設定される。
【0020】
図2は、各々の給紙部に対する用紙情報の設定例を示す図である。
図2において、用紙の向きは、横向きであることを示す符号「S」と、縦向きであることを示す符号「L」のいずれかで表記されている。また、給紙部を構成する給紙トレイには、識別情報(固有のトレイ番号)が付されている。給紙トレイ1は給紙部22aに対応し、給紙トレイ2は給紙部22bに対応する。また、給紙トレイ3は給紙部22cに対応し、給紙トレイ4は給紙部22dに対応する。
【0021】
図2に示すように、給紙部22aには、用紙のサイズがA3、用紙の向きが横向き「S」、用紙の坪量が120gsm、紙種がコート紙であることを示す用紙情報が設定されている。給紙部22bには、用紙のサイズがA4、用紙の向きが縦向き「L」、用紙の坪量が120gsm、紙種がコート紙であることを示す用紙情報が設定されている。給紙部22cには、用紙のサイズがA4、用紙の向きが横向き「S」、用紙の坪量が64gsm、紙種が普通紙であることを示す用紙情報が設定されている。給紙部22dには、用紙のサイズがA4、用紙の向きが横向き「S」、用紙の坪量が120gsm、紙種がコート紙であることを示す用紙情報が設定されている。
【0022】
用紙搬送部23は、4つの給紙部22a,22b,22c,22dのうちいずれかの給紙部22から供給された用紙10を用紙搬送路25に沿って搬送する。用紙搬送部23は、用紙搬送路25上に所定の間隔で配置された複数のローラ対26によって構成されている。
【0023】
画像形成部24は、用紙搬送部23によって搬送される用紙10に画像を形成する。画像形成部24は、感光体ドラム241と、帯電器242と、露光器243と、現像器244と、転写器245と、定着器246と、クリーナー247とを備えている。感光体ドラム241は、図の矢印方向(時計回り方向)に回転可能に設けられている。帯電器242は、感光体ドラム241の表面を一様な電位に帯電させる。露光器243は、感光体ドラム241の表面を画像データに基づいて露光走査することにより、感光体ドラム241の表面に静電潜像を形成する。現像器244は、感光体ドラム241表面の静電潜像にトナーを付着させて現像することにより、感光体ドラム241の表面にトナー画像を形成する。転写器245は、感光体ドラム241表面のトナー画像を用紙に転写させる。定着器246は、加熱及び加圧によって用紙にトナー画像を定着させる。クリーナー247は、感光体ドラム241の表面に残留する不要なトナーを取り除く。
【0024】
用紙積載装置3は、用紙搬送部31と、用紙断裁部32と、用紙積載部33とを備えている。
【0025】
用紙搬送部31は、画像形成装置2から送り込まれる用紙10を用紙搬送路35に沿って搬送する。用紙搬送部31は、用紙搬送路35上に所定の間隔で配置された複数のローラ対36によって構成される。用紙搬送路35の終端に配置されたローラ対36は、積載トレイ34上に用紙10を排出する排出ローラ対として機能する。用紙搬送路35は、画像形成装置2と用紙積載装置3との境界部で用紙搬送路25とつながっている。このため、いずれかの給紙部22から供給された用紙10は、用紙搬送部23と用紙搬送部31とによって画像形成部24と用紙断裁部32を順に経由するように搬送される。その際、用紙10は、
図1の右側から左側に向かって搬送される。
【0026】
用紙断裁部32は、用紙搬送部31によって搬送される用紙10を断裁する。用紙断裁部32による用紙10の断裁は、主に、N-UP印刷と断裁処理を含むジョブが指定された場合に行われる。用紙断裁部32は、第1断裁部321と、第2断裁部322とを備えている。第1断裁部321と第2断裁部322は、互いに断裁方向が異なる。具体的には、第1断裁部321は、用紙搬送方向と平行な方向(以下、「FD方向」ともいう。)に用紙10を断裁する部分であり、FD(Feed Direction)断裁部とも呼ばれる。第2断裁部322は、用紙搬送方向と直交する方向(以下、「CD方向」ともいう。)に用紙10を断裁する部分であり、CD(Cross Direction)断裁部とも呼ばれる。断裁のメカニズムに関しては、公知であるため詳細な説明を省略する。
【0027】
用紙積載部33は、積載トレイ34を備えている。積載トレイ34は、用紙処理システム1で処理された用紙10を積載するためのトレイである。積載トレイ34は、例えば、図示しないトレイ昇降機構によって昇降可能に設けられている。トレイ昇降機構は、積載トレイ34と共に、用紙積載部33を構成する要素である。トレイ昇降機構は、積載トレイ34上に積載された用紙10の枚数(用紙束の厚さ)に応じて、積載トレイ34の高さを補正するための機構である。
【0028】
図3は、本発明の実施形態に係る用紙処理システムの制御構成を示すブロック図である。
図3に示すように、画像形成装置2は、上述した操作表示部21、複数の給紙部22a~22d、用紙搬送部23及び画像形成部24の他に、画像形成制御部27と、通信I/F28と、給紙選択部29とを備えている。
【0029】
画像形成制御部27は、図示はしないが、コンピュータハードウェア資源であるCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ストレージとを備えている。画像形成制御部27は、画像形成装置2の動作(処理を含む)を統括的に制御する。また、画像形成制御部27は、指定されたジョブに断裁処理が含まれる場合に、通信I/F28,38を介して用紙積載制御部37に断裁処理の実行を指示する。画像形成制御部27が制御する画像形成装置2の動作には、操作表示部21の動作、各々の給紙部22a~22dに対応する給紙ローラの動作、用紙搬送部23の動作、画像形成部24の動作、通信I/F28の動作、給紙選択部29の動作などが含まれる。画像形成装置2の動作を制御するために必要なプログラムやデータは、上述したROM及びストレージに記憶され、必要に応じてRAMに読み出される。
【0030】
通信I/F28は、NIC(Network Interface Card)やモデム等で構成され、後処理装置3及び上記PC端末との接続を確立し、各種データの送受信を実行する。
【0031】
給紙選択部29は、指定されたジョブに基づいて、複数の給紙部22a~22dの中からいずれかの給紙部22を選択する。例えば、給紙選択部29は、指定されたジョブの処理内容が、複数ページ分の画像を、ページごとに1枚の用紙に形成(印刷)する内容であり、1ページ分の画像のサイズ及び向きが、A4-Sに対応(適合)し、紙種がデフォルトで普通紙に設定されている場合は、
図2に示す用紙情報の設定に基づいて給紙部22cを選択する。給紙選択部29の選択結果は画像形成制御部27に送られる。そして、画像形成制御部27は、給紙選択部29の選択結果に基づいて、給紙部22cに対応する給紙ローラ(図示せず)を駆動する。これにより、給紙部22cから用紙搬送路25に向けて用紙10が供給される。
【0032】
用紙積載装置3は、上述した用紙搬送部31、用紙断裁部32及び用紙積載部33の他に、用紙積載制御部37及び通信I/F38を備えている。
【0033】
用紙積載制御部37は、図示はしないが、コンピュータハードウェア資源であるCPUと、ROMと、RAMと、ストレージとを備えている。用紙積載制御部37は、用紙積載装置3の動作(処理を含む)を統括的に制御する。また、用紙積載制御部37は、画像形成制御部27から断裁処理の実行が指示された場合に、この指示に基づいて用紙積載装置3の動作を制御する。用紙積載制御部37が制御する用紙積載装置3の動作には、用紙搬送部31の動作、用紙断裁部32の動作、用紙積載部33の動作、通信I/F38の動作などが含まれる。用紙積載装置3の動作を制御するために必要なプログラムやデータは、上述したROM及びストレージに記憶され、必要に応じてRAMに読み出される。
【0034】
通信I/F38は、NICやモデム等で構成され、画像形成装置2との接続を確立し、各種データの送受信を実行する。
【0035】
次に、用紙積載装置の用紙断裁部によって行われる断裁処理の具体例について、
図4~
図8を用いて説明する。図中の破線は、用紙断裁部32によって断裁される位置を示している。
用紙の断裁処理には、例えば、中央十字断裁、四方断裁、ドブ裁ち落とし、などがある。中央十字断裁は、
図4に示すように、用紙10を十字形に断裁する処理である。中央十字断裁では、1枚の用紙10が、元の用紙サイズよりも小さい4枚の用紙に分割される。この場合、断裁後の用紙のサイズは、断裁前の用紙サイズの1/4のサイズになる。具体例を挙げると、断裁前の用紙のサイズ及び向きが、A4-L(297mm×210mm)である場合に、この用紙を中央十字断裁すると、断裁後の用紙のサイズ及び向きがA6-L(148.5mm×105mm)である4枚の用紙が得られる。また、断裁前の用紙のサイズ及び向きが、A4-S(210mm×297mm)である場合に、この用紙を中央十字断裁すると、断裁後の用紙のサイズ及び向きがA6-S(105mm×148.5mm)である4枚の用紙が得られる。
【0036】
四方断裁は、
図5に示すように、用紙10の四方(4辺)をそれぞれ所定のサイズ(裁ち落としサイズ)で切り落とす処理である。この場合、断裁後の用紙のサイズは、断裁前の用紙サイズよりも一回り小さいサイズになる。
【0037】
ドブ裁ち落としは、
図6に示すように、用紙10の途中の部分11を切り落とす処理である。この場合、断裁後の用紙のサイズは、断裁前の用紙サイズの1/2のサイズに比べて短辺の長さが短いサイズになる。
【0038】
また、用紙の断裁処理には、
図7に示すように、四方断裁とドブ裁ち落としとを組み合わせた断裁(以下、「組み合わせ断裁」ともいう。)もある。図示した組み合わせ断裁では、1枚の用紙10が、元の用紙サイズよりも小さい2枚の用紙に分割される。この場合、断裁後の用紙のサイズは、断裁前の用紙サイズの1/2のサイズよりも一回り小さいサイズになる。具体例を挙げると、断裁前の用紙のサイズ及び向きが、SRA3-S(320mm×450mm)である場合に、用紙搬送方向の先端側及び後端側をそれぞれ10mmずつCD方向(用紙搬送方向と直交する方向)に用紙を裁ち落とすとともに、用紙先端から220mm離れた位置から10mm幅でCD方向に用紙をドブ裁ち落としをし、更に利用者の立ち位置から見て用紙搬送路の奥側で用紙を11mmのサイズでFD方向(用紙搬送方向と平行な方向)に裁ち落とす一方、用紙搬送路の手前側で用紙を12mmのサイズでFD方向に断ち落とすことにより、断裁後の用紙のサイズ及び向きがA4-L(297mm×210mm)である2枚の用紙が得られる。利用者の立ち位置は、利用者が画像形成装置2の正面に立って操作表示部21を操作するときの立ち位置である。
【0039】
また、用紙の断裁処理には、上述した4つの例の他にも、
図8に示すように、1枚の用紙10を長辺の中間で半分に断裁する処理(以下、「半分断裁」ともいう。)もある。この半分断裁においては、断裁後の用紙のサイズは、断裁前の用紙サイズの1/2のサイズになる。具体例を挙げると、断裁前の用紙のサイズ及び向きが、A4-L(297mm×210mm)である場合に、この用紙を長辺の中間でFD方向に断裁すると、断裁後の用紙のサイズ及び向きがA5-S(148.5mm×210mm)である2枚の用紙が得られる。また、断裁前の用紙のサイズ及び向きが、A4-S(210mm×297mm)である場合に、この用紙を長辺の中間でCD方向に断裁すると、断裁後の用紙のサイズ及び向きがA5-L(210mm×148.5mm)である2枚の用紙が得られる。また、四方断裁とドブ裁ち落としとを組み合わせた断裁処理では、用紙10を十字形にドブ裁ち落としすることにより、1枚の用紙を4枚の用紙に分割することも可能である。
【0040】
用紙の断裁処理は、断裁条件に基づいて行われる。断裁条件は、断裁位置と断裁方向によって指定される。また、用紙の断裁処理は、断裁条件及び裁ち落としサイズに基づいて行われる。例えば、中央十字断裁や半分断裁は、断裁条件に基づいて行われる。また、四方断裁やドブ裁ち落としは、断裁条件及び裁ち落としサイズに基づいて行われる。
【0041】
ところで、4-UP印刷を指定して5ページ分の画像を印刷する場合、
図9に示すように、4面分のサイズを有する1枚の用紙10aに4ページ分の画像を割り付けて印刷し、残り1ページ分の画像を、4面分のサイズを有する1枚の用紙10bに割り付けて印刷すると、各々の用紙10a,10bを中央十字断裁した場合に、3枚の白紙の印刷物が生成されてしまう。
【0042】
これに対して、
図10に示すように、4面分のサイズを有する1枚の用紙10aに4ページ分の画像を割り付ける、いわゆる4面付けによって印刷し、残り1ページ分の画像を、1面分のサイズを有する1枚の用紙10cに割り付ける、いわゆる1面付けによって印刷すると、断裁後に白紙の印刷物が生成されることがない。
【0043】
また、
図11に示すように、4面付けして印刷された用紙10a(
図10参照)を中央十字断裁して得られる4枚の用紙10a-1,10a-2,10a-3,10a-4の向きと、1面付けして印刷された用紙10cの向きが同じであれば、これらの用紙10a-1,10a-2,10a-3,10a-4,10cを同じ積載トレイ34に積載する場合に、各々の用紙10a-1,10a-2,10a-3,10a-4,10cを揃えて積載することができる。この場合、用紙10a-1,10a-2,10a-3,10a-4はそれぞれ断裁用紙に相当し、用紙10cは非断裁用紙に相当する。
【0044】
ただし、特許文献1に記載された技術のように、原稿のサイズ(言い換えると、1ページ分の画像のサイズ)のみに基づいて、1面付け印刷用の給紙部を選択すると、積載トレイ34に積載される断裁用紙の向きと非断裁用紙の向きが異なることがある。具体的には、
図12に示すように、4面付けして印刷された用紙10aを中央十字断裁して得られる4枚の用紙10a-1,10a-2,10a-3,10a-4と同じサイズの用紙10dを収納する給紙部が存在する場合に、この給紙部を選択して1面付け印刷すると、これらの用紙10a-1,10a-2,10a-3,10a-4,10dを同じ積載トレイ34に積載する場合に、断裁用紙である用紙10a-1,10a-2,10a-3,10a-4の向きと、非断裁用紙である用紙10dの向きが異なる。
【0045】
このように、向きが異なる用紙が積載トレイ34に混在すると、その後の用紙の取り扱いが面倒になる。例えば、
図12に示す5枚の用紙セット(10a-1,10a-2,10a-3,10a-4,10d)を合計200セット(合計1000枚)積載する場合に、積載された用紙全体の質量バランスが不安定になる。このため、例えば梱包処理や製本処理などの後工程が行われる場所又は装置まで、利用者が両手で用紙束を持って運搬する場合、あるいは台車に用紙束を載せて運搬する場合に、持ち運びが困難になったり用紙が崩れやすくなったりする。また、用紙処理システム1が平綴じや中綴じなどの冊子生成部を含む場合は、積載トレイ34に積載された用紙10のサイズが同じであっても、用紙10の向きが異なると、そのままでは後工程の処理を行うことができない。一般的に年賀状印刷では官製はがきサイズ4面分の用紙が使用され、この用紙に4面付け印刷した後に、用紙を4枚に断裁するため、同様の課題が生じる。また、断裁後の用紙の向きは、断裁前の用紙の向きや用紙の断裁条件によって決まるが、ジョブを指定する利用者が、断裁前の用紙の向きやサイズ、用紙の断裁条件、断裁後の用紙の向きやサイズなどを考慮して、用紙の処理条件を細かく設定するとなると、利用者の負担が大きくなってしまう。
【0046】
そこで本実施形態に係る用紙処理システム1においては、指定されたジョブが、1枚の用紙を複数枚に断裁して積載する第1の処理と、用紙を断裁せずに積載する第2の処理とを含む場合、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を収納する給紙部22を第2の処理において選択する給紙選択部29を備えた構成を採用している。第1の処理における用紙の断裁は、例えば、中央十字断裁、組み合わせ断裁、半分断裁などである。また、第2の処理において給紙選択部29が給紙部22を選択することは、この給紙部22に収納されている用紙10を選択することと実質的に同義である。
【0047】
図13は、本発明の実施形態に係る用紙処理システムによって行われる処理の手順を示すフローチャートである。
まず、画像形成制御部27は、操作表示部21、又は、ネットワーク上のPC端末からジョブを受け付ける(ステップS1)。ジョブの内容は、操作表示部21又はPC端末を操作する利用者によって指定される。本実施形態においては、一例として、印刷すべき画像の総ページ数(以下、「印刷画像総ページ数」という。)がMで指定され、印刷方式がN-UP印刷(N=4)で指定され、断裁処理が中央十字断裁で指定されたものとする。また、指定されたジョブでは、N-UP印刷によって1枚の用紙に印刷されるページ数Nと、印刷画像総ページ数Mが、M≧Nの条件を満たすものとする。
【0048】
なお、上述した印刷画像総ページ数Mは、ジョブで指定された画像の総ページ数に相当する。この印刷画像総ページ数Mに含まれるページ単位の画像は、すべて同じ画像でもよいし、すべて異なる画像でもよいし、一部分(たとえば、宛名書きの部分)のみ異なる画像でもよいし、同じ画像と異なる画像が混在する画像でもよい。
【0049】
次に、画像形成制御部27は、M/N(MをNで割り算したとき)の商が0(ゼロ)であるか否か、すなわちM/N=0の条件を満たすか否かを判断する(ステップS2)。そして、ステップS2でNOと判断した場合はステップS3に進み、ステップS2でYESと判断した場合はステップS5に移行する。なお、ステップS2でYESと判断する場合は、言い換えると、第1の処理を行った後に第2の処理を行う必要がない場合である。また、ステップS2でNOと判断する場合は、言い換えると、第1の処理を行った後に第2の処理を行う必要がある場合である。
【0050】
ステップS3において、給紙選択部29は、第2の処理に適した給紙部が存在するか否かを判断する。第2の処理に適した給紙部とは、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応(適合)する用紙を収納する給紙部である。その際、給紙選択部29は、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズを、第1の処理における断裁前の用紙の向き及びサイズと断裁条件(断裁位置と断裁方向)とに基づいて決定する。例えば、給紙選択部29は、第1の処理における断裁前の用紙の向き及びサイズがA3の横向き(A3-S)であり、断裁条件が中央十字断裁である場合は、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズを、A5の横向き(A5-S)に決定する。また、給紙選択部29は、第1の処理における断裁前の用紙の向き及びサイズがA3の横向き(A3-S)であり、断裁条件が半分断裁である場合は、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズを、A4の縦向き(A4-L)に決定する。その際、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズを決定するパラメータに、第1の処理における断裁前の用紙の向き及びサイズと断裁条件の他に、裁ち落としサイズを加えてもよい。給紙選択部29は、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズがA4-Lである場合は、これに対応(適合)する用紙を収納する給紙部が存在するか否かを、各々の給紙部22a,22b,22c,22dに対応付けて設定された用紙情報(
図2参照)を参照することによって判断する。
【0051】
その際、給紙選択部29は、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応するだけでなく、第1の処理における用紙の条件(紙種もしくは用紙の物性条件)にも対応する給紙部の存否を判断することが好ましい。これにより、給紙選択部29は、例えば、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズがA4-Sで、かつ、第1の処理における用紙の条件がコート紙である場合は、第2の処理に適した給紙部として給紙部22d(
図2参照)を選択することになる。なお、給紙選択部29は、ステップS3において、第2の処理に適した給紙部における用紙の残り枚数がゼロの場合にもNOと判断してよい。
【0052】
次に、画像形成制御部27は、第2の処理に適した給紙部が存在すると給紙選択部29が判断した場合は、ステップS3からステップS5に移行し、第2の処理に適した給紙部が存在しないと給紙選択部29が判断した場合は、ステップS3からステップS4に進む。
【0053】
ステップS4において、画像形成制御部27は、第2の処理に適した給紙部が存在しない旨を利用者に通知する。具体的には、例えば、画像形成制御部27は、
図14に示す通知画面100を操作表示部21、及び/又は、PC端末の画面に表示する。
図14に示す通知画面100には、第2の処理で1面付け印刷に使用する給紙トレイが存在しない旨のメッセージ101と、第2の処理で1面付け印刷に使用する用紙のセットを促すメッセージ102と、第2の処理で1面付け印刷に使用する用紙の情報(図例では、サイズ-向き、坪量、紙種)103と、OK釦104が表示されている。この段階で通知画面100を表示することにより、利用者は、第2の処理に適した給紙部が存在しないことを早期に認識することができる。また、利用者は、メッセージ102と用紙の情報103を確認することにより、第2の処理で1面付け印刷に使用する用紙を、サイズ等を間違えることなく給紙部22にセット(収納)することができる。通知画面100の表示は、利用者がOK釦104を押すまで継続される。
【0054】
ここで、ステップS3でNOと判断されるケースとして、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を収納する給紙部は存在しないものの、当該断裁後の用紙のサイズに対応する用紙を収納する給紙部が存在する場合がある。具体例を挙げると、
図2に示すように用紙情報が設定されている状況で、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙が、A4-L、64gsmの普通紙である場合である。この場合、A4サイズ-S、64gsmの普通紙は給紙部22cに収納されている。
【0055】
そこで、ステップS4においては、
図14に示す通知画面100に代えて、
図15に通知画面200を操作表示部21、及び/又は、PC端末の画面に表示することが好ましい。
図15に示す通知画面200には、第2の処理で1面付け印刷に使用する給紙トレイが存在しない旨のメッセージ201と、第2の処理で1面付け印刷に使用する用紙のセットを促すメッセージ202と、給紙トレイ3(給紙部22c)の用紙の向きを変更すべき旨のメッセージ203と、第2の処理で1面付け印刷に使用する用紙の情報(図例では、サイズ-向き、坪量、紙種)204と、OK釦205が表示されている。このような通知画面200を表示することにより、利用者は、現在いずれかの給紙部22に収納されている用紙を取り出して別の用紙(第2の処理に適合する用紙)をセットし直すか、現在給紙トレイ3(給紙部22c)収納されている用紙の向きを変更するかを、利用者の希望や状況に応じて選択することができる。また、利用者は、現在収納されている用紙の向きを変更するだけで、第2の処理に適した給紙部が存在しない状況を解消することができる。
【0056】
次に、画像形成制御部27は、残り印刷数Lに印刷画像総ページ数Mを代入する(ステップS5)。残り印刷数Lは、印刷を終えていない画像のページ数を示す変数である。第1の処理を開始する前の段階では、L=Mに設定される。
次に、画像形成制御部27は、残り印刷数Lの値とNの値とが、L≧Nの条件を満たすか否か判断する(ステップS6)。そして、L≧Nの条件を満たす場合は、ステップS6からステップS7に進み、L≧Nの条件を満たさない場合は、ステップS6からステップS11に移行する。
【0057】
次に、画像形成制御部27は、1枚の用紙にN-UP印刷を行うべく、給紙部22、用紙搬送部23及び画像形成部24の動作を制御する(ステップS7)。これにより、例えば、ジョブで指定されたN-UP印刷が4-UP印刷であった場合は、4面分のサイズを有する1枚の用紙に4ページ分の画像が割り付けて印刷される。
【0058】
次に、用紙積載制御部37は、画像形成制御部27からの指示に基づいて、1枚の用紙をN枚に断裁すべく、用紙搬送部31及び用紙断裁部32を制御する(ステップS8)。これにより、例えば、ジョブで指定された断裁処理が中央十字断裁であった場合は、4面付けの印刷によって生成された1枚の用紙が4枚の用紙に断裁される。
【0059】
次に、用紙積載制御部37は、断裁後の用紙を積載すべく、用紙搬送部31及び用紙積載部33の動作を制御する(ステップS9)。これにより、例えば、ジョブで指定された断裁処理が中央十字断裁であった場合は、中央十字断裁によって生成された4枚の用紙が積載トレイ34に積載される。
ステップS7~S9の処理は、第1の処理に相当する。
【0060】
次に、画像形成制御部27は、残り印刷数Lの値からNの値を差し引いた後(ステップS10)、上記ステップS6に戻る。これにより、M/Nの商の数だけ第1の処理が行われる。例えば、ステップS1で受け付けたジョブの内容が、印刷画像総ページ数M=50、N―UP印刷に適用するNの値がN=4で指定された場合は、M/Nの商が12になるため、第1の処理は12回行われる。
【0061】
一方、ステップS11において、画像形成制御部27は、残り印刷数Lの値がゼロであるか否か、すなわちL=0の条件を満たすか否かを判断する。そして、L=0の条件を満たさない場合は、ステップS11からステップS12に進み、L=0の条件を満たす場合は、その時点で一連の処理を終了する。
【0062】
次に、ステップS12において、給紙選択部29は、第2の処理に適した給紙部が存在するか否かを判断する。そして、第2の処理に適した給紙部が存在すると給紙選択部29が判断した場合は、ステップS12からステップS15に移行し、第2の処理に適した給紙部が存在しないと給紙選択部29が判断した場合は、ステップS12からステップS13に進む。なお、ステップS12の処理は、上述したステップS3の処理と同様に行われ、ステップS13の処理は、上述したステップS4の処理と同様に行われる。
【0063】
次に、画像形成制御部27は、ステップS14でジョブを中断した後、ステップS12に戻る。これにより、用紙処理システム1は、上記
図14に示す通知画面100又は
図15に示す通知画面200を見た利用者が、用紙のセット作業、あるいは用紙の向きを変更する作業を終えるまで待機状態になる。ジョブの中断は、第1の処理を開始した後で、かつ、第2の処理を開始する前に行われる。本実施形態においては、好ましい例として、画像形成制御部27は、第1の処理を終了した後にジョブを中断している。第1の処理は、ステップS6でNOと判断した時点で終了している。また、第2の処理は、ステップS12でYESと判断した後に開始される。
【0064】
一方、ステップS15において、画像形成制御部27は、1枚の用紙に1-UP印刷を行うべく、給紙部22、用紙搬送部23及び画像形成部24の動作を制御する。これにより、1面分のサイズを有する1枚の用紙に1ページ分の画像が印刷される。また、ステップS15においては、画像形成制御部27の制御下で、第2の処理に適した給紙部22から用紙10が供給され、この用紙10が用紙搬送部23に搬送されるとともに、搬送中の用紙10に画像形成部24によって画像が形成(印刷)される。
【0065】
次に、用紙積載制御部37は、用紙を積載すべく、用紙搬送部31及び用紙積載部33の動作を制御する(ステップS16)。これにより、ステップS15で画像が印刷された1枚の用紙が、用紙断裁部32で断裁されることなく、積載トレイ34に積載される。
ステップS15,S16の処理は、第2の処理に相当する。
【0066】
次に、画像形成制御部27は、残り印刷数Lの値から1を差し引いた後(ステップS17)、上記ステップS11に戻る。これにより、M/Nの剰余の数だけ第2の処理が行われる。例えば、ステップS1で受け付けたジョブの内容が、印刷画像総ページ数M=50、N―UP印刷に適用するNの値がN=4で指定された場合は、M/Nの剰余が2になるため、第2の処理は2回行われる。
【0067】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る用紙処理システム1は、指定されたジョブが、1枚の用紙を複数枚に断裁して積載する第1の処理と、用紙を断裁せずに積載する第2の処理とを含む場合、第1の処理における断裁後の用紙の向き及びサイズに対応する用紙を収納する給紙部22を第2の処理において選択する給紙選択部29を備えている。これにより、利用者が操作表示部21等を操作して用紙の処理条件を細かく設定してなくても、第1の処理でN-UP印刷及び断裁された用紙と、第2の処理で1-UP印刷された用紙を同じ向きで積載トレイ34に排出させることができる。したがって、利用者の負担を大きくすることなく、断裁用紙と非断裁用紙を同じ向きで積載することができる。
【0068】
<変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0069】
例えば、
図13に示すフローチャートにおいて、画像形成制御部27は、ステップS3で給紙選択部29がNOと判断した場合に、ステップS4の処理を行った後、ステップS5の処理を行っているが、本発明はこれに限らない。例えば、画像形成制御部27は、ステップS4の処理を行った後、ステップS5の処理に進む前に、ジョブ(第1の処理を含む)の開始を禁止してもよい。これにより、第1の処理を開始する前に、ジョブの進行が停止した状態になる。また、画像形成制御部27は、上述のようにジョブの開始を禁止した後、ステップS3に戻り、ステップS3で給紙選択部29がYESと判断した時点で、それまで禁止していたジョブの開始を許可してもよい。その場合、利用者は、ジョブの開始が禁止されている間に、
図14の通知画面100又は
図15の通知画面200に従って用紙のセット作業、あるいは用紙の向きを変更する作業を行い、この作業を終えた時点で給紙選択部29がステップS3でYESと判断することになる。これにより、画像形成制御部27の制御下で一旦停止したジョブを自動的に再開させることができる。
【0070】
また、上記実施形態において、用紙処理システム1は、単色(モノクロ)画像を形成する画像形成部24を備えた構成になっているが、本発明はこれに限らず、カラー画像を形成可能な画像形成部を備えた構成であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態において、用紙処理システム1は、用紙10の片面に画像を形成する画像形成装置2を備えた構成になっているが、本発明はこれに限らず、用紙10の両面に画像を形成可能な画像形成装置を備えた構成であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態において、用紙積載部33は、1つの積載トレイ34を備えた構成になっているが、本発明はこれに限らず、用紙積載部は複数の積載トレイを備えた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…用紙処理システム
10…用紙
22a,22b,22c,22d…給紙部
24…画像形成部
32…用紙断裁部
33…用紙積載部
34…積載トレイ