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特開2024-96542情報伝送装置、情報伝送方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096542
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】情報伝送装置、情報伝送方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 51/06 20220101AFI20240709BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H04L51/06
G06F3/01 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000026
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島倉 孝満
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA61
5E555BA01
5E555BB01
5E555BC04
5E555CA41
5E555FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数人が脳情報を利用して会話するときの円滑化を図る情報伝送装置、情報伝送方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】複数のユーザそれぞれが装着する複数の情報処理装置と、情報制御装置と、を備える情報伝送装置において、情報制御装置30は、第1ユーザの第1脳活性情報を取得する第1情報取得部及び第2ユーザの第2脳活性情報を取得する第2情報取得部である情報取得部31と、第1脳活性情報と第2脳活性情報との差分が予め設定された第1の判定値以上であるか否かを判定する判定部33と、判定部の判定結果に基づいて第1ユーザと第2ユーザとの間で送受信するコンテンツの容量を変化させる情報制御部34と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザの第1脳活性情報を取得する第1情報取得部と、
第2ユーザの第2脳活性情報を取得する第2情報取得部と、
前記第1脳活性情報と前記第2脳活性情報との差分が予め設定された第1の判定値以上であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて前記第1ユーザと前記第2ユーザとの間で送受信するコンテンツの容量を変化させる情報制御部と、
を備える情報伝送装置。
【請求項2】
前記差分が前記第1の判定値以上であると判定されたとき、前記情報制御部は、前記コンテンツを要約する、
請求項1に記載の情報伝送装置。
【請求項3】
前記差分が前記第1の判定値以上であると判定されたとき、前記情報制御部は、前記コンテンツの再生速度を変更する、
請求項1に記載の情報伝送装置。
【請求項4】
前記コンテンツを多重化する多重化処理部を有し、前記差分が前記第1の判定値以上であると判定されたとき、前記情報制御部は、多重化された前記コンテンツを送信する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報伝送装置。
【請求項5】
第1ユーザの第1脳活性情報を取得するステップと、
第2ユーザの第2脳活性情報を取得するステップと、
前記第1脳活性情報と前記第2脳活性情報との差分が予め設定された第1の判定値以上であるか否かを判定するステップと、
判定結果に基づいて前記第1ユーザと前記第2ユーザとの間で送受信するコンテンツの容量を変化させるステップと、
を含む情報伝送方法。
【請求項6】
第1ユーザの第1脳活性情報を取得するステップと、
第2ユーザの第2脳活性情報を取得するステップと、
前記第1脳活性情報と前記第2脳活性情報との差分が予め設定された第1の判定値以上であるか否かを判定するステップと、
判定結果に基づいて前記第1ユーザと前記第2ユーザとの間で送受信するコンテンツの容量を変化させるステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報伝送装置、情報伝送方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、脳の情報を計測する技術が発達し、脳と機械とを直接つなぐインターフェースであるブレインマシンインターフェース(BMI:Brain-Machine-Interface)が現実的になってきている。このような技術として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1は、ユーザが刺激を受けたとき、ユーザから複数の定常状態視覚誘発反応電位信号を得て、供給するように構成された複数の生物電気センサを用いて、脳波コミュニケーションをするための、システム・コマンド信号を供給するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-117957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、人は、脳が刺激を受けたとき、物事を理解する理解力に個人差がある。すなわち、人は、いわゆる、頭の回転が速い人と、頭の回転が遅い人がいる。そのため、脳情報を利用して会話をする場合、頭の回転が速い人や遅い人に応じて情報量を調整することが望まれている。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、複数人が脳情報を利用して会話するときの円滑化を図る情報伝送装置、情報伝送方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の情報伝送装置は、第1ユーザの第1脳活性情報を取得する第1情報取得部と、第2ユーザの第2脳活性情報を取得する第2情報取得部と、前記第1脳活性情報と前記第2脳活性情報との差分が予め設定された第1の判定値以上であるか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて前記第1ユーザと前記第2ユーザとの間で送受信するコンテンツの容量を変化させる情報制御部と、を備える。
【0007】
また、本開示の情報伝送方法およびプログラムは、第1ユーザの第1脳活性情報を取得するステップと、第2ユーザの第2脳活性情報を取得するステップと、前記第1脳活性情報と前記第2脳活性情報との差分が予め設定された第1の判定値以上であるか否かを判定するステップと、判定結果に基づいて前記第1ユーザと前記第2ユーザとの間で送受信するコンテンツの容量を変化させるステップと、を含む。
【0008】
また、本開示のプログラムは、第1ユーザの第1脳活性情報を取得するステップと、第2ユーザの第2脳活性情報を取得するステップと、前記第1脳活性情報と前記第2脳活性情報との差分が予め設定された第1の判定値以上であるか否かを判定するステップと、判定結果に基づいて前記第1ユーザと前記第2ユーザとの間で送受信するコンテンツの容量を変化させるステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の情報伝送装置、情報伝送方法およびプログラムによれば、複数人が脳情報を利用して会話するときの円滑化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態の情報伝送装置を表すブロック構成図である。
図2図2は、情報処理装置を表すブロック構成図である。
図3図3は、情報制御装置を表すブロック構成図である。
図4図4は、情報の多重化処理を表す説明図である。
図5図5は、再生制御方法を表すフローチャートである。
図6図6は、多重化判定方法を表すフローチャートである。
図7図7は、第2実施形態の情報伝送装置における多重化処理方法を表すフローチャートである。
図8図8は、第3実施形態の情報伝送装置における多重化処理方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0012】
[第1実施形態]
<情報伝送装置>
図1は、第1実施形態の情報伝送装置を表すブロック構成図である。
【0013】
図1に示すように、情報伝送装置10は、複数(第1実施形態では、3個)の情報処理装置20A,20B,20Cと、情報制御装置30とを備える。情報処理装置20A,20B,20Cは、第1ユーザ、第2ユーザ、第3ユーザが装着する。情報制御装置30は、例えば、サーバ装置である。情報処理装置20A,20B,20Cと、情報制御装置30とは、例えば、無線通信網を介して接続される。第1実施形態では、第1ユーザ(情報処理装置20A)と、第2ユーザ(情報処理装置20B)と、第3ユーザ(情報処理装置20C)が情報制御装置30を介して情報の伝送を行う。なお、ここでは、ユーザ(情報処理装置)を3人としたが、2人でも4人以上であってもよい。
【0014】
<情報処理装置>
図2は、情報処理装置を表すブロック構成図である。以下に、情報処理装置20A,20B,20Cについて説明するが、情報処理装置20A,20B,20Cは、同様の構成であるから、代表して、情報処理装置20Aについて説明する。
【0015】
図2に示すように、情報処理装置20Aは、脳情報入出力部21と、受信部22と、再生部23と、再生制御部24と、送信部25と、接続制御部26とを有する。
【0016】
脳情報入出力部21は、情報(受信コマンド)をユーザの脳波にエンコードして脳電極に入力し、脳電極から採取した脳波からデコードされた情報に基づいて送信コマンドを検出する。このとき、脳情報入出力部21は、検出した送信コマンドに送信者識別信号を付加してメッセージとする。脳情報入出力部21は、例えば、BMIである。
【0017】
脳情報入出力部21は、例えば、ユーザの脳情報である脳波を取得する。脳情報入出力部21は、例えば、脳の神経ネットワークに流れる微弱な電流から出る脳波を検出する電気センサ(例えば、電極)を有する。脳情報入出力部21は、ユーザが外部から刺激を受けたときや、ユーザの思念などの思考に基づく、微弱な電流の電位(電気信号)を検出する。なお、脳情報入出力部21は、脳波の検出に限定されるものではない。脳情報入出力部21は、例えば、ユーザの脳情報である脳活動による血流量を、例えば、近赤外光計測などによって取得するものであってもよい。また、脳情報入出力部21は、ユーザの前頭葉のヒスタミンH3受容体の密度を取得するものであってもよい。
【0018】
脳情報入出力部21は、脳波デコーダを有する。脳波デコーダは、取得したユーザの脳波の電気信号をユーザの思考情報に復元する。この場合、事前に、ユーザの脳波の複数の電気信号とユーザの思考情報との関係を紐付けておく。例えば、ディープラーニング(深層学習)などによる機械学習を用いて、脳波の電気信号とユーザの思考情報との関係を紐付けることが好ましい。
【0019】
脳情報入出力部21は、例えば、ユーザに脳情報である脳波を入力する。脳波デコーダは、受信したユーザの思考情報をユーザの脳波の電気信号に変換する。脳情報入出力部21は、脳波の電気信号を脳波にエンコードして脳電極に入力する。また、脳情報入出力部21は、経頭蓋磁気刺激装置を有してもよい。この場合、脳情報入出力部21の脳波デコーダは、脳波の電気信号を脳波にエンコードして磁気により脳へ入力する。
【0020】
受信部22は、外部、具体的には、情報制御装置30からメッセージを受信して蓄積する。受信部22は、再生部23が接続される。
【0021】
再生部23は、受信部22が受信したメッセージから受信者識別情報を除去する。再生部23は、脳情報入出力部21に接続される。再生部23は、受信者識別情報を除去したメッセージを、脳情報入出力部21からデコードされる情報と同じ再生速度で脳情報入出力部21に入力する。
【0022】
再生部23は、メッセージを再生するとき、メッセージが前回のメッセージと異なる送信者からのものである場合、現在のユーザの脳波を記録し、前回のメッセージの送信者との通信時に保存したユーザ脳波を脳情報入出力部21に出力させてから、メッセージの再生を開始する。
【0023】
再生制御部24は、再生部23に接続される。再生制御部24は、再生部が処理したメッセージを脳情報入出力部21に入力するタイミングを制御する。再生制御部24の処理の詳細については、後述する。
【0024】
送信部25は、脳情報入出力部21に接続される。送信部25は、脳情報入出力部21からメッセージが入力されると、メッセージを外部、具体的には、情報制御装置30に送信する。送信部25は、例えば、有線または無線により情報の送信を行う通信モジュールである。
【0025】
接続制御部26は、受信部22および送信部25に接続される。接続制御部26は、受信部22および送信部25に対して外部、具体的には、情報制御装置30との接続を制御する。
【0026】
なお、再生部23、再生制御部24、接続制御部26は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有する。再生部23、再生制御部24、接続制御部26は一体であってもよく、別々であってもよい。または再生部23は、現在のユーザの脳波を記録するためにメモリなどを備えてもよい。
【0027】
受信部22が受信するメッセージや送信部25が送信するメッセージは、脳波を標準形式に変換し、ヘッダ情報を付加したものである。ヘッダ情報は、送信者識別信号、受信者識別信号、制御情報などからなる。制御情報は、「私はこう考える」「あなたにこれをお願いする」などの脳波の位置づけを示す情報である。
【0028】
<情報制御装置>
図3は、情報制御装置を表すブロック構成図である。
【0029】
図3に示すように、情報制御装置30は、情報取得部31と、多重化処理部32と、判定部33と、情報制御部34とを有する。
【0030】
情報取得部31は、複数の情報処理装置20A,20B,20Cに接続される。情報取得部31は、情報処理装置20A,20B,20Cから複数のユーザの脳活性情報を取得する。情報取得部31は、情報処理装置20A,20B,20Cにて、脳情報入出力部21(図2参照)が取得した脳波、脳活動による血流量、前頭葉のヒスタミンH3受容体密度を取得する。情報取得部31は、例えば、有線又は無線により情報の送信を行う通信モジュールである。
【0031】
多重化処理部32は、ユーザが発振した情報(コンテンツ)を多重化する。第1実施形態の多重化処理部32は、情報を時分割多重化処理する。すなわち、多重化処理部32は、情報を複数分割し、分割した分割情報を時間的にずらして送信する。多重化処理部32の処理については、後述する。
【0032】
判定部33は、例えば、情報処理装置20Aから取得した第1脳活性情報と、情報処理装置20Bから取得した第2脳活性情報との差分を算出する。判定部33は、算出した差分が予め設定された第1の判定値以上であるか否かを判定する。判定部33は、例えば、第1脳活性情報である第1ヒスタミンH3受容体密度と、第2脳活性情報である第1ヒスタミンH3受容体密度の差分が第1の判定値以上であるか否かを判定する。
【0033】
人の前頭葉のヒスタミンH3受容体は、作業記憶に関係しており、前頭葉のヒスタミンH3受容体密度が低い人ほど、作業記憶に重要な前頭葉の活動が高い。すなわち、人は、前頭葉のヒスタミンH3受容体密度が高いほど、頭の回転が速い。判定部33は、複数の脳活性情報を比較することで、複数のユーザの理解力(理解速度)の相違量を差分として算出する。第1の判定値は、予め設定されたものであり、多数のユーザの脳活性情報を取得し、平均や標準偏差などを用いて設定すればよい。
【0034】
情報制御部34は、判定部33の判定結果に基づいて複数のユーザの間で送受信する情報(コンテンツ)の容量を変化させる。すなわち、情報制御部34は、頭の回転が同じユーザ同士、または、頭の回転が遅いユーザから頭の回転が速いユーザへの情報の送受信時は、複数のユーザの間で送受信する情報(コンテンツ)の容量を変化させない。一方、頭の回転が速いユーザから頭の回転が遅いユーザへの情報の送受信時は、複数のユーザの間で送受信する情報(コンテンツ)の容量を減少させる。
【0035】
情報制御部34は、例えば、差分が第1の判定値以上であると判定されたとき、頭の回転が速いユーザから頭の回転が遅いユーザへの情報を要約する。要約については、種々の技術を利用すればよい。なお、判定値を複数設けておき、差分が大きければ大きいほど、文字数を削減する要約をしてもよい。また、情報制御部34は、例えば、差分が第1の判定値以上であると判定されたとき、頭の回転が速いユーザから頭の回転が遅いユーザへの情報の再生速度を低下させる。再生速度については、種々の技術を利用すればよい。なお、判定値を複数設けておき、差分が大きければ大きいほど、再生速度を早くしてもよい。そして、情報制御部34は、差分が第1の判定値以上であると判定されたとき、多重化された情報(コンテンツ)を送信する。そのため、頭の回転が速いユーザ(再生速度が比較的早いユーザ)と、頭の回転が遅いユーザ(再生速度が比較的遅いユーザ)との会話を同時に確立することができ、時分割多重化処理での通話が可能になる。
【0036】
なお、多重化処理部32、判定部33、情報制御部34は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有する。再生部23、再生制御部24、接続制御部26は一体であってもよく、別々であってもよい。
【0037】
<多重化処理>
図4は、情報の多重化処理を表す説明図である。
【0038】
図4に示すように、ユーザAとユーザBとユーザCが情報伝送装置10を用いて会話をするとき、ユーザAがユーザBの情報とユーザCの情報を受信する。このとき、時分割多重化処理を行うことで、ユーザAは、ユーザBの情報B1、ユーザCの情報C1、ユーザBの情報B2、ユーザCの情報C2、ユーザBの情報B3、ユーザCの情報C3…の順に受信する。
【0039】
このとき、ユーザAの脳活性情報とユーザBおよびユーザCの脳活性情報との差分(ユーザAの脳活性情報-(ユーザBおよびユーザCの脳活性情報))が第1の判定値より小さいと、ユーザAに対して、ユーザBの情報B1、ユーザCの情報C1、ユーザBの情報B2、ユーザCの情報C2、ユーザBの情報B3、ユーザCの情報C3…の順に送信する。一方、ユーザAの脳活性情報とユーザBおよびユーザCの脳活性情報との差分が第1の判定値以上であると、ユーザAに対して、例えば、ユーザBの情報B1、ユーザBの情報B2、ユーザBの情報B3の順に送信したり、ユーザCの情報C1、ユーザCの情報C2、ユーザCの情報C3…の順に送信したりする。
【0040】
なお、ユーザAの脳活性情報とユーザBおよびユーザCの脳活性情報との差分と第1の判定値との比較を用いているがこれに限定されない。ユーザAの脳活性情報とユーザBまたはユーザCの脳活性情報の一方との差分が第1の判定値より小さいか、第1の判定値以上かを比較してもよい。または、ユーザAの脳活性情報と、ユーザBおよびユーザCの脳活性情報の平均値との差分が第1の判定値より小さいか、第1の判定値以上かを比較してもよい。
【0041】
<再生制御方法>
図5は、再生制御方法を表すフローチャートである。
【0042】
図2および図5に示すように、ステップS11にて、再生制御部24は、脳情報入出力部21が処理中、つまり、送信コマンドを出力中または受信コマンドを入力中であるか否かを判定する。再生制御部24は、脳情報入出力部21が処理中であると判定(Yes)すると、このルーチンを抜ける。一方、再生制御部24は、脳情報入出力部21が処理中ではないと判定(No)すると、ステップS12に移行する。
【0043】
ステップS12にて、再生制御部24は、再生部23が処理中であるか否かを判定する。再生制御部24は、再生部23が処理中であると判定(Yes)すると、このルーチンを抜ける。一方、再生制御部24は、再生部23が処理中ではないと判定(No)すると、ステップS13に移行する。
【0044】
ステップS13にて、再生制御部24は、受信部22にメッセージが入っているか否かを判定する。再生制御部24は、受信部22にメッセージが入っていいないと判定(No)すると、このルーチンを抜ける。一方、再生制御部24は、受信部22にメッセージが入っていると判定する(Yes)と、ステップS14に移行する。そして、ステップS14にて、再生制御部24は、再生部23を制御し、受信部22に入っているメッセージのうち、最も古いメッセージから順にものの再生を行うように、再生部23に指示する。
【0045】
このとき、接続制御部26は、接続を確立していない送信者からメッセージを受信すると、脳情報入出力部21から送受信させる情報が所定のレート以下であるときに、メッセージを受信部22に追加して接続を確立し、それ以外の場合は、処理中であることを示すメッセージを外部に送信する。
【0046】
また、接続制御部26は、脳情報入出力部21が接続の切断を要求する旨のメッセージを送信した場合、メッセージの受信者との接続を切断する。また、接続制御部26は、外部から接続の切断を要求する旨のメッセージを受信した場合、メッセージの送信者との接続を切断する。そのため、再生速度が比較的早いユーザと、再生速度が比較的遅いユーザとの接続を同時に確立することができ、時分割多重化処理での通話が可能になる。
【0047】
なお、上述の説明にて、再生制御部24が使用するスケジューリングアルゴリズムは、先着順サービス方式であるが、他の方式であってもよい。
【0048】
<多重化判定方法>
図6は、多重化判定方法を表すフローチャートである。
【0049】
図3および図6に示すように、ステップS21にて、情報取得部31は、情報処理装置20A,20B,20Cから複数のユーザの脳活性情報を取得する。ステップS22にて、判定部33は、取得した複数の脳活性情報を比較して差分を算出する。ステップS23にて、判定部33は、算出した差分が第1の判定値以上であるか否かを判定する。判定部33は、差分が第1の判定値以上ではないと判定(No)すると、このルーチンを抜ける。すなわち、多重化処理部32は、情報(コンテンツ)の多重分割処理をせず、情報制御部34は、情報(コンテンツ)の容量を変化させない。
【0050】
一方、判定部33は、差分が第1の判定値以上であると判定(Yes)すると、ステップS24に移行する。ステップS24にて、多重化処理部32は、情報(コンテンツ)の多重分割処理を行い、情報制御部34は、情報(コンテンツ)の容量を減少させる。
【0051】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の情報伝送装置における多重化処理方法を表すフローチャートである。なお、第2実施形態の基本的な構成は、上述した第1実施形態と同様であり、図3を用いて説明し、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】
図3に示すように、情報制御装置30は、情報取得部31と、多重化処理部32と、判定部33と、情報制御部34とを有する。第2実施形態にて、多重化処理部32は、周波数分割多重処理を行う。
【0053】
すなわち、情報制御装置30は、第1ユーザ(情報処理装置20A)と第2ユーザ(情報処理装置20B)と第3ユーザ(情報処理装置20C)との間で会話を行うとき、情報を所定のデータ単位ごとに周波数を割り当て、同時に伝送する。第2実施形態にて、多重化されている要素情報は、例えば、感覚情報に関するα波、β波、θ波を周波数分割して多重化するものである。
【0054】
図3および図7に示すように、ステップS31にて、情報取得部31は、情報処理装置20A,20B,20Cから脳活性化情報としての脳波を取得する。ステップS32にて、多重化処理部32は、取得した各ユーザの脳波から特定の異なる周波数の脳波を抽出する。この場合、特定の異なる周波数の脳波とは、例えば、感覚情報に関するα波、β波、θ波である。多重化処理部32は、抽出された複数の脳波を合成し、合成した脳波を出力する。例えば、ユーザAとユーザBとユーザCが情報伝送装置10を用いて会話をするとき、ユーザAがユーザBの情報とユーザCの情報を受信する。このとき、多重化処理部32は、ユーザBの脳波からα波を抽出し、ユーザCの脳波からθ波を抽出し、ユーザBのα波とユーザCのθ波を合成して出力する。このとき、多重化処理部32は、複数のユーザから抽出した複数の脳波を所定の割合で加重平均して合成することが好ましい。そのた、ユーザAは、複数のユーザB,Cの情報を同時に共有することができる。
【0055】
なお、判定部33と情報制御部34の処理は、第1実施形態と同様である。
【0056】
[第3実施形態]
図8は、第2実施形態の情報伝送装置における多重化処理方法を表すフローチャートである。なお、第2実施形態の基本的な構成は、上述した第1実施形態と同様であり、図1から図3を用いて説明し、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】
図3に示すように、情報制御装置30は、情報取得部31と、多重化処理部32と、判定部33と、情報制御部34とを有する。第3実施形態にて、多重化処理部32は、符号分割多重処理を行う。
【0058】
すなわち、情報制御装置30は、第1ユーザ(情報処理装置20A)と第2ユーザ(情報処理装置20B)と第3ユーザ(情報処理装置20C)との間で会話を行うとき、情報を所定のデータ単位ごとに識別可能な符号を付けて、予め設定した単位長で、同時多重化伝送する。ここで、識別可能な符号は、符号化信号内に発生しない固有パターンもつものである。
【0059】
図3および図8に示すように、ステップS41にて、情報取得部31は、情報処理装置20A,20B,20Cから脳活性化情報としての脳波を取得する。ステップS42にて、情報取得部31は、脳活性化情報をデコードする。ステップS43にて、多重化処理部32は、取得した各ユーザの脳波から特定の異なる情報に対して符号を付与する。ステップS44にて、各ユーザの異なる情報に対してフィルタ処理を行うことで、符号が付与された情報だけを抽出する。
【0060】
ステップS45にて、多重化処理部32は、各ユーザにおける符号が付けられた複数の情報の加算処理を行う。ここでは、例えば、音声の情報と映像の情報とを合成する。このとき、多重化処理部32は、情報の重複しない要素が通過するように指定するフィルタ指定を行う。すなわち、ステップS44のフィルタ処理に対して、異なるトピックのように排他的な関係にある情報を指定する。例えば、音声と映像を指定した場合、ユーザAからは聴覚野の信号がデコードされた情報が送信され、ユーザBからは視覚野の信号がデコードされた情報が送信される。ステップS46にて、加算した情報をエンコードし、ステップS47にて、エンコードされた脳波を出力する。そのた、ユーザAは、複数のユーザB,Cの情報を同時に共有することができる。
【0061】
なお、ステップS44のフィルタ処理にて、ゲートウェイに内蔵し、各ユーザについて送受信可能または不可能なトピックやフィルタを設定できるように構成してもよい。
【0062】
なお、判定部33と情報制御部34の処理は、第1実施形態と同様である。
【0063】
なお、図6のステップS23にて、判定部33は、算出した差分が第1の判定値以上であるか否かを判定し、差分が第1の判定値以上ではないと判定すると、このルーチンを抜けるとしたがこれに限定されない。判定部33は、差分が第2の判定値以下であると判定した場合には、このルーチンを抜け、さらに情報制御部34は情報処理装置20A、情報処理装置20B、情報処理装置20Cに対して、情報の伝送、すなわち、メッセージを外部、具体的には、情報制御装置30に送信することを停止させる信号を生成し送信してもよい。これにより、ユーザAがユーザBの情報とユーザCの情報を受信した際、ユーザAのユーザAの脳活性情報が小さく、ユーザBおよびユーザCの脳活性情報が大きい場合に、ユーザBおよびユーザCのメッセージをユーザAへ送信させず、ユーザAの処理能力を超えることを防ぐことができる。
【0064】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の情報伝送装置は、第1ユーザの第1脳活性情報および第2ユーザの第2脳活性情報を取得する情報取得部31と、第1脳活性情報と第2脳活性情報との差分が予め設定された第1の判定値以上であるか否かを判定する判定部33と、判定部33の判定結果に基づいて第1ユーザと第2ユーザとの間で送受信するコンテンツの容量を変化させる情報制御部34とを備える。
【0065】
本実施形態の情報伝送装置によれば、複数のユーザの脳活性情報の差分に基づいてコンテンツの容量を変化させることから、例えば、頭の回転の異なる人との間で情報を伝送するとき、適切なコンテンツの容量を伝送することで、複数のユーザが脳情報を利用して会話するときの円滑化を図ることができる。
【0066】
本実施形態の情報伝送装置は、差分が第1の判定値以上であると判定されたとき、情報制御部34は、コンテンツを要約する。そのため、頭の回転の異なる人との間で適切な量のコンテンツの伝送することができる。
【0067】
本実施形態の情報伝送装置は、差分が第1の判定値以上であると判定されたとき、情報制御部34は、コンテンツの再生速度を変更する。そのため、頭の回転の異なる人との間でコンテンツの適切な速度で伝送することができる。
【0068】
本実施形態の情報伝送装置は、コンテンツを多重化する多重化処理部32を有し、差分が第1の判定値以上であると判定されたとき、情報制御部34は、多重化された前記コンテンツを送信する。そのため、多数のユーザ間でコンテンツを適切に伝送することができる。
【0069】
なお、上述した実施形態にて、情報伝送装置10は、複数の情報処理装置20A,20B,20Cと情報制御装置30とを備えるものとし、情報処理装置20A,20B,20Cを各ユーザが装着し、情報制御装置30をサーバ装置としたが、この構成に限定されるものではない。情報制御装置30をサーバ装置とせずに、情報制御装置30の機能を各情報処理装置20A,20B,20Cにそれぞれ持たせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 情報伝送装置
20A,20B,20C 情報処理装置
21 脳情報入出力部
22 受信部
23 再生部
24 再生制御部
25 送信部
26 接続制御部
30 情報制御装置
31 情報取得部(第1情報取得部、第2情報取得部)
32 多重化処理部
33 判定部
34 情報制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8