(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096549
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】油圧緩衝器及びこの油圧緩衝器を備えた鞍乗り車両
(51)【国際特許分類】
F16J 15/3232 20160101AFI20240709BHJP
F16J 15/18 20060101ALI20240709BHJP
F16J 15/48 20060101ALI20240709BHJP
F16F 9/56 20060101ALI20240709BHJP
B62K 25/20 20060101ALI20240709BHJP
B60G 15/06 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F16J15/3232 101
F16J15/18 A
F16J15/48
F16F9/56 Z
B62K25/20
B60G15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000034
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤川 暢介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真崇
(72)【発明者】
【氏名】村上 陽亮
【テーマコード(参考)】
3D014
3D301
3J006
3J043
3J069
【Fターム(参考)】
3D014DF21
3D301AA48
3D301BA11
3D301DA08
3D301DA33
3D301DB38
3J006AB11
3J006AE04
3J006AE08
3J006AE25
3J006AE28
3J006AE38
3J043AA12
3J043BA09
3J043CA02
3J043CB13
3J043DA09
3J043DA20
3J069CC01
(57)【要約】
【課題】油圧緩衝器のシール部材の数量を削減すること。
【解決手段】油圧緩衝器10は、筒状の第1の筒体71と、前記第1の筒体71を覆っている筒状の第2の筒体72と、前記第1の筒体71と前記前記第2の筒体72との間を軸方向へ相対移動可能な筒状のプランジャ80と、前記第1の筒体71と前記第2の筒体72と前記プランジャ80とによって区画された油圧室74と、前記プランジャ80の、前記油圧室74側の端部81に組み込まれた単一のシール部材90とを備えている。前記第1の筒体71の外周面71cと、前記第2の筒体72の内周面72cと、前記プランジャ80との間は、前記単一のシール部材90によってシールされている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の第1の筒体と、
前記第1の筒体に対して同心に位置するとともに、前記第1の筒体を覆っている筒状の第2の筒体と、
前記第1の筒体に対して同心に位置するとともに、前記第1の筒体と前記前記第2の筒体との間を軸方向へ相対移動可能な筒状のプランジャと、
前記第1の筒体と前記第2の筒体と前記プランジャとによって区画された油圧室と、
前記プランジャの、前記油圧室側の端部に組み込まれており、前記第1の筒体の外周面と前記第2の筒体の内周面と前記プランジャとの間をシール可能な単一のシール部材と、を備えた油圧緩衝器。
【請求項2】
前記シール部材は、
前記油圧室に発生する油圧により径内方へ弾性変形して、前記第1の筒体の前記外周面と前記プランジャ80との間のオイルシールが可能な第1オイルシールリップと、
前記油圧室に発生する前記油圧により径外方へ弾性変形して、前記第2の筒体の前記内周面と前記プランジャ80との間のオイルシールが可能な第2オイルシールリップとを備えている、請求項1に記載の油圧緩衝器。
【請求項3】
前記第1オイルシールリップ及び前記第2オイルシールリップは、前記プランジャの、前記油圧室側の端面よりも前記油圧室側に位置している、請求項2に記載の油圧緩衝器。
【請求項4】
前記シール部材は、
前記第1オイルシールリップに対し、前記油圧室とは反対側の部位に、前記第1の筒体の前記外周面と前記プランジャと間のダストシールが可能な第1ダストシールリップと、
前記第2オイルシールリップに対し、前記油圧室とは反対側の部位に、前記第2の筒体の前記内周面と前記プランジャと間のダストシールが可能な第2ダストシールリップとの、
少なくとも一方を備えている、請求項2に記載の油圧緩衝器。
【請求項5】
前記シール部材は、前記プランジャに対し凹凸の嵌め込み構造によって組み込まれている、請求項1に記載の油圧緩衝器。
【請求項6】
前記筒状のプランジャは、前記油圧室側の端面に凹凸状に形成されている第1のプランジャ側嵌合部と、外周面と内周面のいずれか一方に凹凸状に形成されている第2のプランジャ側嵌合部と、を備え、
前記シール部材は、前記第1のプランジャ側嵌合部に嵌め込み可能な第1のシール側嵌合部と、前記第2のプランジャ側嵌合部に嵌め込み可能な第2のシール側嵌合部と、を備えている、請求項5に記載の油圧緩衝器。
【請求項7】
前記プランジャは樹脂成型品である、請求項6に記載の油圧緩衝器。
【請求項8】
請求項1に記載の油圧緩衝器を備え、
前記プランジャは、前記油圧室の油圧に従って懸架用バネの伸縮方向に進退することによって前記懸架用バネを伸縮方向に調整可能に位置している、鞍乗り車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧緩衝器及びこの油圧緩衝器を備えた鞍乗り車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の鞍乗り型車両に搭載されている油圧緩衝器のなかには、内筒と外筒との間を、軸方向へ相対移動可能な筒状のプランジャを備えたものがある。このプランジャは、油圧に従って軸方向へ移動する。このような油圧緩衝器としては、例えば車高を調整するための車高調整装置を備えたものを挙げることができる。車高調整装置は、油圧ジャッキによって懸架用バネを伸縮方向に調整する。懸架用バネを調整することによって、鞍乗り型車両の車高を調整することができる。このような油圧緩衝器は、例えば特許文献1によって知られている。
【0003】
特許文献1で知られている油圧緩衝器は、懸架用バネを伸縮方向に調整可能なプランジャと、このプランジャを進出方向へ押し出し可能な油を充填したジャッキ室と、を備えている。詳しく述べると、油圧緩衝器は、ダンパシリンダの外周に嵌め込まれているスリーブ(筒状の第1の筒体)と、このスリーブを覆っているハウジング(筒状の第2の筒体)と、スリーブとハウジングとの間を、軸方向へ相対移動可能な筒状のプランジャと、このプランジャを進出方向へ押し出し可能な油を充填したジャッキ室(油圧室)と、を備えている。
【0004】
手動式油圧ポンプの加圧操作ノブを操作することにより、ポンプ室の油を加圧し、このポンプ室に連なるジャッキ室内のプランジャを上下動することによって、懸架用バネを伸縮方向に調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で知られている油圧緩衝器によれば、スリーブの外周面とプランジャの内周面との間は、第1のOリングによってシールされている。ハウジングの内周面とプランジャの外周面との間は、第2のOリングによってシールされている。これによって、ジャッキ室から外部への油の漏洩を防止している。シール部材の一種である、第1のOリング及び第2のOリングは、プランジャに形成されている各々のシール溝に、嵌め込まれている。これらのシール部材は、互いに大きさが異なっている。
【0007】
近年は、車高調整装置の電動化が進んでおり、それに伴ってプランジャの作動頻度も多くなってきた。このため、各シール部材の耐久性向上の要求が高まっている。これに対応するためには、Oリングよりも耐久性が高いオイルシールを採用することが考えられる。しかも、シール部材の材料もウレタンゴム等の高耐久性のものを選択することが考えられる。しかしながら、互いに大きさが異なる2種類のシール部材を用いるのでは、油圧緩衝器のコストアップの要因となるので、得策ではない。
【0008】
本発明は、油圧緩衝器のシール部材の数量を削減することができる技術を、提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、鋭意検討の結果、第1の筒体及びこの第1の筒体を覆っている第2の筒体と協働して、油圧室を区画しているプランジャの、先端部分に着目した。そして、この先端部分にシール部材を設けることによって、油圧室の内部を有効活用することができるので、第1の筒体の外周面と第2の筒体の内周面とプランジャとの間を、一括してシールすることが可能であることを知見した。本発明は、これらの知見に基づいて完成させた。
【0010】
本開示によれば、筒状の第1の筒体と、前記第1の筒体に対して同心に位置するとともに、前記第1の筒体を覆っている筒状の第2の筒体と、前記第1の筒体に対して同心に位置するとともに、前記第1の筒体と前記前記第2の筒体との間を軸方向へ相対移動可能な筒状のプランジャと、前記第1の筒体と前記第2の筒体と前記プランジャとによって区画された油圧室と、前記プランジャの、前記油圧室側の端部に組み込まれており、前記第1の筒体の外周面と前記第2の筒体の内周面と前記プランジャとの間をシール可能な単一のシール部材と、を備えた油圧緩衝器が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示では、油圧緩衝器のシール部材の数量を削減することができる技術を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1による油圧緩衝器を備えた鞍乗り型車両の側面図である。
【
図2】
図1に示される油圧ジャッキ部の拡大図である。
【
図4】
図3に示されるプランジャとシール部材とを分解した図である。
【
図5】
図2に示されるプランジャを中心線に沿って断面した斜視図である。
【
図6】
図5に示されるプランジャを成型する成型用型の断面図である。
【
図7】実施例2による油圧緩衝器の油圧ジャッキ部の要部の断面図である。
【
図8】実施例3による油圧緩衝器の油圧ジャッキ部の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、添付図に示した形態は本発明の一例であり、本発明は当該形態に限定されない。
【0014】
<実施例1>
図1~
図6を参照しつつ、実施例1の油圧緩衝器10及びこの油圧緩衝器10を備えた鞍乗り車両20を説明する。
【0015】
図1に示されるように、油圧緩衝器10は例えば乗り物に採用され、一例として、乗員が跨がって乗車する鞍乗り型車両の一種である自動二輪車20の、リヤクッションとして用いられる。以下において、自動二輪車20を「鞍乗り型車両20」または「車両20」と称することがある。
【0016】
この油圧緩衝器10は、ピストンロッド31と、このピストンロッド31の一端部31a(第1端部31a)に支持されているピストン32と、このピストン32を往復運動可能に収納しているダンパチューブ33と、このダンパチューブ33とピストンロッド31とを相反する方向へ付勢する懸架用バネ34とを備えている。
【0017】
ダンパチューブ33の閉鎖されている一端部33a(第1端部33a)、つまりダンパヘッド33aの先端には、第1支持部35が設けられている。この第1支持部35は、自動二輪車20の車体21に対し、支持軸22によって支持される。ダンパチューブ33の他端部33b(第2端部33b)は、ロアキャップ36によって塞がれている。ピストンロッド31の他端部31b(第2端部31b)側には、第2支持部37が設けられている。この第2支持部37は、例えばリンク機構やスイングアーム等の後輪支持機構23を介して、自動二輪車20の後輪を支持することが可能である。
【0018】
ダンパチューブ33の内部は、ピストン32によって、第1端部33a側の油室41と、第2端部33b側の油室42とに、区画されている。
【0019】
懸架用バネ34は、ダンパチューブ33の外周面33cを囲うように位置した圧縮コイルばねによって構成されている。この懸架用バネ34の両端34a,34bは、ピストンロッド31の第2端部31bに設けられているリテーナ51と、スプリングシート52と、によって支持されている。
【0020】
スプリングシート52は、懸架用バネ34とプランジャ80との間に、補助プランジャ53を介して設けられている。但し、このスプリングシート52及び/又は補助プランジャ53の有無は任意である。スプリングシート52及び補助プランジャ53を有しない場合、懸架用バネ34の他端34bは、プランジャ80によって支持することができる。以下、リテーナ51によって支持される懸架用バネ34の一端34aを「第1の端34a」といい、プランジャ80によって支持され得る他端34bを「第2の端34b」という。
【0021】
さらに油圧緩衝器10は、懸架用バネ34を伸縮方向Arに調整する車高調整装置60を備えている。この車高調整装置60は、懸架用バネ34を伸縮方向Arに調整する油圧ジャッキ部61と、この油圧ジャッキ部61の油圧を制御する油圧制御部62と、を備えている。
【0022】
油圧ジャッキ部61は、懸架用バネ34に対しリテーナ51とは反対側に位置している。この油圧ジャッキ部61は、ジャッキハウジング70及びプランジャ80を備えている。
【0023】
図2に示されるように、ジャッキハウジング70は、ダンパチューブ33に対して同心に位置、つまりダンパチューブ33の中心線CL上に位置するとともに、ダンパチューブ33の外周面33cを囲っている。このジャッキハウジング70は、ダンパチューブ33に対して軸方向(中心線CLに添う方向)への相対移動が規制されている。例えば、ジャッキハウジング70は、ダンパチューブ33に一体化されている。
【0024】
詳しく述べると、
図2に示されるように、ジャッキハウジング70は、ダンパチューブ33の外周面33cを囲う筒状の第1の筒体71と、この第1の筒体71を覆っている筒状の第2の筒体72と、第1の筒体71の上端71aと第2の筒体72の上端72aとの間を閉鎖している閉鎖板73(底板73)とによって構成されている。この閉鎖板73は、環状の平板から成る。第1の筒体71の下端71bと第2の筒体72の下端72bとの間は、開放している。つまり、懸架用バネ34が配置されている側のみが開放されている。このように、ジャッキハウジング70は、一端が閉鎖されるとともに他端(懸架用バネ34側の端)のみが開放された、いわゆる有底の二重筒状の構成である。
【0025】
プランジャ80は、第1の筒体71に対して同心に位置するとともに、第1の筒体71と前記第2の筒体72との間を軸方向へ相対移動可能な筒状の部材である。このプランジャ80は、懸架用バネ34の第2の端34bを直接に、またはスプリングシート52及び/又は補助プランジャ53を介して押している。このように、プランジャ80は、油圧室74の油圧に従って懸架用バネ34の伸縮方向Arに進退することによって、懸架用バネ34を伸縮方向Arに調整可能に位置している。
【0026】
さらに、閉鎖板73によって一端が閉鎖されているジャッキハウジング70は、第1の筒体71と第2の筒体72とプランジャ80とによって、油圧室74(ジャッキ室74)を区画している。この油圧室74には、プランジャ80を進出方向へ押し出し可能な油Juが充填されている。この油圧室74は、プランジャ80に組み込まれた単一のシール部材90によって密閉されている。
【0027】
図1に示されるように、油圧制御部62は、油圧緩衝器10に組み込まれている。この油圧制御部62は、油圧室74に油圧を供給するポンプ62aと、このポンプ62aを駆動するモータ62bとを備えている。ポンプ62aから供給された油(油圧)は、第2の筒体72の供給口75から油圧室74へ導入される。
【0028】
次に、
図3及び
図4を参照しつつ、シール部材90について説明する。
【0029】
シール部材90は、ゴム等の弾性を有している材料によって構成されており、プランジャ80の、油圧室74側の端部81(一端部81)に組み込まれている。ここで、「プランジャ80の、油圧室74側の端部81」とは、プランジャ80のうちの、少なくとも油圧室74側の端面82からの、シール部材90を組み込み可能な範囲の部位をいう(
図4参照)。
【0030】
このシール部材90は、第1の筒体71の外周面71cと、第2の筒体72の内周面72cと、プランジャ80と、の間をシール可能である。このため、単一のシール部材90によって、第1の筒体71の外周面71cとプランジャ80との間、及び、第2の筒体72の内周面72cとプランジャ80との間の、両方をシールできる。
【0031】
詳しく述べると、シール部材90は、プランジャ80の一端部81(油圧室74側の端部81)に組み込み可能な基部91と、この基部91から油圧室74へ向かって延びた第1オイルシールリップ92及び第2オイルシールリップ93とを備えている。
【0032】
基部91は、プランジャ80に対し凹凸の嵌合によって組み込まれている。この基部91の詳細については、後述する。
【0033】
第1及び第2オイルシールリップ92,93は、第1の筒体71に対して同心に位置(ジャッキハウジング70の中心線CL上に位置)する環状の部分である。つまり、第1及び第2オイルシールリップ92,93は、プランジャ80の、油圧室74側の端面82よりも油圧室74側に位置している。第1オイルシールリップ92に対して、第2オイルシールリップ93は径方向の外側に位置している。第1及び第2オイルシールリップ92,93の形状は、任意である。
【0034】
第1オイルシールリップ92の先端部分は、第1の筒体71の外周面71cに弾性を有して接している。この第1オイルシールリップ92は、油圧室74に発生する油圧により径内方(径方向の内側)へ弾性変形することによって、第1の筒体71の外周面71cに押し付けられる。この結果、第1の筒体71の外周面71cとプランジャ80との間のオイルシール(オイルのシール、封止)が可能である。
【0035】
第2オイルシールリップ93の先端部分は、第2の筒体72の内周面72cに弾性を有して接している。この第2オイルシールリップ93は、油圧室74に発生する油圧により径外方(径方向の外側)へ弾性変形することによって、第2の筒体72の内周面72cに押し付けられる。この結果、第2の筒体72の内周面72cとプランジャ80との間のオイルシール(オイルのシール、封止)が可能である。
【0036】
次に、
図3~
図5を参照しつつ、プランジャ80及びシール部材90の組み込み構造について説明する。
【0037】
先に、プランジャ80について説明する。
プランジャ80は樹脂成型品によって構成されている。
図4に示されるように、このプランジャ80の、油圧室74側の端部81の径D2は、プランジャ80全体の外周面83の径D1よりも小径である。この結果、
図3に示されるように、第2の筒体72の内周面72cと、プランジャ80の、油圧室74側の端部81の外周面81aとの間には、シール部材90を組み込むためのスペースSpが形成される。油圧室74側の端部81のことを、適宜「小径部81」ということがある。
【0038】
図3~
図5に示されるように、このプランジャ80は、油圧室74側の端面82に凹凸状に形成された第1のプランジャ側嵌合部85と、油圧室74側の端部81に凹凸状に形成された第2のプランジャ側嵌合部86と、を備えている。
【0039】
第1のプランジャ側嵌合部85は、プランジャ80の、油圧室74側の端面82から軸方向の反対側へ窪んだ第1凹部85aと、油圧室74側の端面82のうち、この第1凹部85aを除く他の部位85b(第1凸部85b)と、によって構成されている。
【0040】
第1凹部85aは、例えば、プランジャ80の内周面87と油圧室74側の端面82との角に、全周にわたって形成された、環状の溝(周溝)によって構成される。第1凸部85bは、第1凹部85aよりも径方向の外側に位置し、油圧室74側の端面82に全周にわたって形成された、環状の凸条によって構成される。
【0041】
第2のプランジャ側嵌合部86は、油圧室74側の端部81の外周面81aと、プランジャ80の内周面87と、油圧室74側の端部81の外周面81aとの、いずれか一方に形成されている。例えば、この第2のプランジャ側嵌合部86は、小径部81の外周面81aに形成された第2凹部86aにより構成されている。この第2凹部86aは、例えば、油圧室74側の端部81(小径部81)に、全周にわたって形成された溝(周溝)によって構成される。
【0042】
次に、シール部材90の基部91について説明する。
図3及び
図4に示されるように、シール部材90の基部91は、プランジャ80の第1のプランジャ側嵌合部85に嵌め込み可能な第1のシール側嵌合部100と、プランジャ80の第2のプランジャ側嵌合部86に嵌め込み可能な第2のシール側嵌合部110と、を備えている。
【0043】
第1のシール側嵌合部100は、基部91の下端面91aからプランジャ80の第1凹部85aへ向かって延びた第1シール側凸部101と、基部91の下端面91a(端面91a)のうち、第1シール側凸部101を除く他の部位102(第1シール側凹部102)と、によって構成されている。ここで、「基部91の下端面91a」とは、プランジャ80の端面82に対して、向かい合う面91aのことをいう。
【0044】
第1シール側凸部101は、油圧室74側から第1凹部85aに弾性を有して嵌め込み可能である。この第1シール側凸部101は、例えば、基部91の内周面に沿って全周にわたり膨出した、環状の凸条により構成される。第1シール側凹部102は、油圧室74側から第1凸部85bに弾性を有して嵌め込み可能である。この第1シール側凹部102は、例えば、第1凹部85aの外周面に沿って全周にわたり形成された、環状の溝(周溝)により構成される。
【0045】
第2のシール側嵌合部110は、基部91の下端面91aからプランジャ80の端部81の外周面81aに沿いつつスペースSp内へ延びた筒状の延出部111と、この延出部111の先端から径方向の内側へ膨出した第2シール側凸部112と、によって構成されている。延出部111は、プランジャ80の端部81の外周面81aに対し、弾性を有して嵌め込み可能な、筒状の構成である。第2シール側凸部112は、第2凹部86aに弾性を有して嵌め込み可能である。この第2シール側凸部112は、例えば、全周にわたり膨出した、環状の凸条によって構成される。
【0046】
このように、第1のシール側嵌合部100が第1のプランジャ側嵌合部85に凹凸の嵌め合いによって組み込まれることにより、シール部材90は、プランジャ80に対し凹凸の嵌合によって組み込まれている。つまり、第1シール側凸部101が第1凹部85aに嵌め込まれるとともに、第1シール側凹部102が第1凸部85bに嵌め込まれることによって、プランジャ80に対するシール部材90の径方向の位置決めと、プランジャ80の端面82に対する軸方向の位置決めが成されている。
【0047】
さらに、第2のシール側嵌合部110が第2のプランジャ側嵌合部86に凹凸の嵌め合いによって組み込まれることにより、シール部材90は、プランジャ80に対し凹凸の嵌合によって組み込まれている。つまり、第2シール側凸部112が第2凹部86aに嵌め込まれることによって、プランジャ80に対するシール部材90の径方向の位置決め及び保持と、プランジャ80の端面82に対する軸方向の位置決め及び保持が成されている。
【0048】
第1のシール側嵌合部100と第1のプランジャ側嵌合部85との凹凸の嵌合、及び、第2のシール側嵌合部110と第2のプランジャ側嵌合部86との凹凸の嵌合によって、シール部材90をプランジャ80に対して確実に且つ堅固に組み込むことができる。
【0049】
さらに、シール部材90は、第2の筒体72の内周面72cとプランジャ80と間のダストシール(ダストのシール、封止)が可能なダストシールリップ120を、一体に備えている。このダストシールリップ120は、第1オイルシールリップ92に対し、油圧室74とは反対側の部位に位置しており、例えば、筒状の延出部111の下端111aに一体に形成される。このダストシールリップ120は、第1の筒体71に対して同心に位置(ジャッキハウジング70の中心線CL上に位置)する、環状の部分である。
【0050】
ダストシールリップ120の形状は、任意である。ダストシールリップ120の先端部分は、第2の筒体72の内周面72cに弾性を有して接している。ジャッキハウジング70の外部から開放端へ侵入してきたダストを、ダストシールリップ120によって防止することによって、油圧室74へのダストの侵入を阻止することができる。しかも、プランジャ80が軸方向へ移動することによって、ダストシールリップ120の先端部分は、第2の筒体72の内周面72cに付着しているダストを、掻き落とすことができる。
【0051】
次に、
図6を参照しつつ、樹脂製のプランジャ80の製造方法について説明する。
先ず、プランジャ80を樹脂成型するための成形用金型130を準備する(型準備工程)。成形用金型130は、プランジャ80の外周面83(
図5参照)を形成するための雌型(キャビティ)を構成する第1型140と、プランジャ80の内周面87(
図5参照)を形成するための雄型(コア)を構成する第2型150とを含む。第1型140は、中心線GLを基準として径方向へ、第1半体141と第2半体142とに二分割することが可能な分割型である。
【0052】
第1型140は、第2型150を受け入れる側の端である第1端を開口端143とし第1型140の中心線GL方向において開口端143の反対側の端を平坦な底144とした、有底の空洞部145を備える。この空洞部145の中心線GLは、
図5に示されるプランジャ80(ジャッキハウジング70)の中心線CLに合致する。空洞部145の内周面146は、
図5に示されるプランジャ80の外周面83を形成するための面である。
【0053】
第2型150は、第1型140に対して、空洞部145の中心線GLに沿う方向に、移動可能に嵌め込み可能である。第2型150の外周面151は、プランジャ80の内周面87(
図5参照)を形成するための面である。さらに、第2型150の外周面151は、プランジャ80の第1凹部85a(
図5参照)を形成するための、環状の凸条部152を備えている。この凸条部152は、第2型150の外周面151のうち、第1型140に嵌め込む基端153側に位置している。
【0054】
第1型140と第2型150とを準備したら、続いて、第1型140に対して第2型150を型締めする(型締め工程)。
【0055】
型締めした後には、第1型140と第2型150とによって挟まれる部位(空間)に、図示せぬ射出成形機から液状の樹脂を充填する(充填工程)。
【0056】
充填した液状の樹脂が固まったら、続いて、第1型140に対し第2型150を中心線GLに沿って軸方向へ引き抜き、第1型140を径方向へ分解する(型開き工程)。
【0057】
次に、空洞部145から樹脂成型されたプランジャ80(
図5参照)を取り出す(取り出し工程)。これで、プランジャ80の製造を完了する。
【0058】
第1型140が、中心線GLを基準として径方向へ二分割する分割型なので、成型されたプランジャ80の第2凹部86a(
図5参照)には、パーティングラインが残る。しかし、第1凹部85a及び第2凹部86aは、シール部材90のシール性能に影響を及ぼすことはない。また、第2型150は、第1型140に対して、空洞部145の中心線GLに沿う方向に、移動可能に嵌め込み可能である。このため、プランジャ80の第1凹部85a(
図5参照)の成型は容易である。
【0059】
<実施例2>
図7を参照しつつ、実施例2の油圧緩衝器200を説明する。
図7は上記
図3に相当する。
【0060】
実施例2の油圧緩衝器200は、上記
図1~6に示される実施例1の第1のプランジャ側嵌合部85及び第1のシール側嵌合部100を、
図7に示される第1のプランジャ側嵌合部285及び第1のシール側嵌合部290に変更したことを特徴とする。油圧緩衝器200の、その他の構成については、上記実施例1による油圧緩衝器10と共通する。実施例1による油圧緩衝器10と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0061】
実施例2の第1のプランジャ側嵌合部285は、上記
図3及び
図4に示される第1のプランジャ側嵌合部85に対応しており、第1凸部85bの位置を、プランジャ80の径方向の内側へ寄せたことを特徴とする。
【0062】
これに合わせて、実施例2の第1のシール側嵌合部290は、上記
図3及び
図4に示される第1のシール側嵌合部100に対応しており、第1シール側凹部102の位置を、プランジャ80の径方向の内側へ寄せたことを特徴とする。
【0063】
実施例2による油圧緩衝器200は、実施例2の効果の他に、上記実施例1の油圧緩衝器10と同様の効果を発揮することができる。
【0064】
<実施例3>
図8を参照しつつ、実施例3の油圧緩衝器300を説明する。
図8は上記
図3に相当する。
【0065】
実施例3の油圧緩衝器300は、上記
図1~6に示される実施例1のシール部材90を、
図8に示されるシール部材390に変更したことを特徴とする。油圧緩衝器300の、その他の構成については、上記実施例1による油圧緩衝器10と共通する。実施例1による油圧緩衝器10と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0066】
実施例3のシール部材390は、実施例1のシール部材90に対してダストシールリップ391を追加したことを特徴とする。このダストシールリップ391は、第1の筒体71の外周面71cとプランジャ80と間のダストシール(ダストのシール、封止)が可能である。
【0067】
なお、上記2つのダストシールリップ120,391を区別するために、次のように言い換えることがある。
第1の筒体71の外周面71cとプランジャ80と間のダストシールが可能なダストシールリップ391のことを、「第1ダストシールリップ391」と言い換える。
第2の筒体72の内周面72cとプランジャ80と間のダストシールが可能なダストシールリップ120のことを、「第2ダストシールリップ120」と言い換える。
【0068】
第1ダストシールリップ391について、詳しく説明する。この第1ダストシールリップ391は、第1オイルシールリップ92に対し、油圧室74とは反対側の部位に位置しており、例えば、第1シール側凸部101の内周面に一体に形成される。この第1ダストシールリップ391は、第1の筒体71に対して同心に位置(ジャッキハウジング70の中心線CL上に位置)する、環状の部分である。
【0069】
第1ダストシールリップ391の形状は、任意である。第1ダストシールリップ391の先端部分は、第1の筒体71の外周面71cに弾性を有して接している。ジャッキハウジング70の外部から開放端へ侵入してきたダストを、第1ダストシールリップ391によって防止することによって、油圧室74へのダストの侵入を阻止することができる。しかも、プランジャ80が軸方向へ移動することによって、第1ダストシールリップ391の先端部分は、第1の筒体71の外周面71cに付着しているダストを、掻き落とすことができる。
【0070】
このように、実施例3のシール部材390は、第1ダストシールリップ391と第2ダストシールリップ120の、両方を備えている。このため、第1の筒体71の外周面71cとプランジャ80と間、及び、第2の筒体72の内周面72cとプランジャ80と間の、両方のダストシールが可能である。シール部材390のダストシール性を、より高めることができる。
【0071】
実施例3による油圧緩衝器300は、実施例3の効果の他に、上記実施例1及び実施例2の油圧緩衝器10,200と同様の効果を発揮することができる。
【0072】
以上の説明から明らかなように、シール部材90,390は、第1の筒体71の外周面71cとプランジャ80と間のダストシールが可能な第1ダストシールリップ391と、第2の筒体72の内周面72cとプランジャ80と間のダストシールが可能な第2ダストシールリップ120との、少なくとも一方(いずれか一方又は両方)を備えている。その場合に、シール部材90,390の構成を、内径側と外径側とで逆にすることも可能である。
【0073】
以上に説明した油圧緩衝器10,200,300及びこの油圧緩衝器10,200,300を備えた鞍乗り車両20についてまとめると、次の通りである。
【0074】
本実施例によれば、第1に、
図2、
図3、
図7及び
図8に示されるように、油圧緩衝器10;200;300は、
筒状の第1の筒体71と、
第1の筒体71に対して同心に位置するとともに、第1の筒体71を覆っている筒状の第2の筒体72と、
第1の筒体71に対して同心に位置するとともに、第1の筒体71と前記第2の筒体72との間を軸方向へ相対移動可能な筒状のプランジャ80と、
第1の筒体71と第2の筒体72とプランジャ80とによって区画された油圧室74と、
プランジャ80の、油圧室74側の端部81に組み込まれており、第1の筒体71の外周面71cと第2の筒体72の内周面72cとプランジャ80との間をシール可能な単一のシール部材90;390と、を備えている。
【0075】
このように、プランジャ80は、第1の筒体71及び第2の筒体72と協働して、油圧室74を区画している。このプランジャ80の先端部分81(油圧室74側の端部81)に、単一のシール部材90;390を組み込んでいる。プランジャ80のなかでも、油圧室74側の端部81であれば、シール部材90;390を配置するのに、制約が少ない。第1の筒体71の外周面71cとプランジャ80との間、及び、第2の筒体72の内周面72cとプランジャ80との間の、両方を一括してシールすることができる。従って、シール部材90;390の数量を削減することができるとともに、プランジャ80に対するシール部材90;390の組み付け工数を削減することができる。この結果、油圧緩衝器10のコストダウンを図ることができる。
【0076】
第2に、好ましくは、第1に記載の油圧緩衝器10;200;300であって、
図3、
図7及び
図8に示されるように、シール部材90;390は、
油圧室74に発生する油圧により径内方へ弾性変形して、第1の筒体71の外周面71cとプランジャ80との間のオイルシールが可能な第1オイルシールリップ92と、
油圧室74に発生する油圧により径外方へ弾性変形して、第2の筒体72の内周面72cとプランジャ80との間のオイルシールが可能な第2オイルシールリップ93と、を備えている。
【0077】
シール部材90;390は、一般的なOリングよりも耐久性が高いオイルシールリップによる、シール構造を採用している。このため、プランジャ80の作動頻度が多くなっても、シール部材90;390の高耐久性を図ることができる。しかも、シール部材90;390に対して第1及び第2オイルシールリップ92,93を容易に一体化することができる。この結果、シール部材90;390の数量を容易に削減することができるとともに、プランジャ80に対するシール部材90;390の組み付け工数を容易に削減することができる。
【0078】
第3に、好ましくは、第2に記載の油圧緩衝器10;200;300であって、
図3、
図7及び
図8に示されるように、第1オイルシールリップ92及び第2オイルシールリップ93は、プランジャ80の、油圧室74側の端面82よりも油圧室74側に位置している。
【0079】
油圧室74の内部であれば、第1及び第2オイルシールリップ92,93の形状や配置を設定するのに、制約が少なく、設計の自由度が高い。しかも、第1及び第2オイルシールリップ92,93の弾性変形性を、より高めることができる。この結果、第1及び第2オイルシールリップ92,93のシール性の向上を図ることができる。油圧室74に発生する油圧により、第1及び第2オイルシールリップ92,93を、第1の筒体71の外周面71cや第2の筒体72の内周面72cに押し付けて、十分に密接させることができる。
【0080】
第4に、好ましくは、第2~第3に記載の油圧緩衝器10;200;300であって、
図3、
図7及び
図8に示されるように、シール部材90;390は、
第1オイルシールリップ92に対し、油圧室74とは反対側の部位に、第1の筒体71の外周面71cとプランジャ80と間のダストシールが可能な第1ダストシールリップ391と、
第2オイルシールリップ93に対し、油圧室74とは反対側の部位に、第2の筒体72の内周面72cとプランジャ80と間のダストシールが可能な第2ダストシールリップ120との、少なくとも一方を備えている。
【0081】
このため、シール部材90;390に対して、ダストシール391;120を容易に一体化することができる。つまり、単一のシール部材90;390によって、オイルシール機能とダストシール機能の両方を備えることができる。シール部材90;390に対して、オイルシールリップ92,93の他に、ダストシール391;120をも一体化するので、シール部材90;390の数量を、より削減することができる。
【0082】
第5に、好ましくは、第1~第4に記載の油圧緩衝器10;200;300であって、
図3、
図7及び
図8に示されるように、シール部材90;390は、プランジャ80に対し凹凸の嵌合によって組み込まれている。
【0083】
凹凸の嵌合だけなので、プランジャ80に対するシール部材90;390の組み込みが容易である。
【0084】
第6に、好ましくは、第5に記載の油圧緩衝器10;200;300であって、
図3、
図7及び
図8に示されるように、
筒状のプランジャ80は、油圧室74側の端面82に凹凸状に形成されている第1のプランジャ側嵌合部85;285と、油圧室74側の外周面81aと内周面87のいずれか一方に凹凸状に形成されている第2のプランジャ側嵌合部86と、を備えている。
シール部材90;390は、第1のプランジャ側嵌合部85;285に嵌め込み可能な第1のシール側嵌合部100;290と、第2のプランジャ側嵌合部86に嵌め込み可能な第2のシール側嵌合部110と、を備えている。
【0085】
このように、シール部材90;390はプランジャ80に対して、径方向及び軸方向の、2方向の嵌め込み(引っ掛かり)によって、装着されている。このため、シール部材90;390をプランジャ80に対して確実に且つ堅固に組み込むことができるとともに、その組み込み状態を安定して保持することができる。プランジャ80に対するシール部材90;390の脱落防止を確実に図ることができる。
【0086】
第7に、好ましくは、第1~第6に記載の油圧緩衝器10;200;300であって、
図5及び
図6に示されるように、プランジャ80は樹脂成型品である。
【0087】
上記特許文献1では、プランジャに形成されている各々のシール溝に、2つのOリングを嵌め込む構成であった。Oリングによるシール性能を確保するためには、シール溝の底面が平滑面であることを求めらる。これに対応するには、プランジャにシール溝を切削加工する必要があった。
【0088】
これに対し、本発明では、プランジャ80にシール部材90;390を嵌め込むための凹凸(溝を含む)を形成するだけですみ、凹凸によってシール性能を高める必要はない。切削加工によって、プランジャ80に凹凸を形成する必要もない。従って、プランジャ80を樹脂成型品とすることが可能である。プランジャ80を樹脂成型するときに、凹凸部分にパーティングラインが有っても、シール性能に影響を及ぼすことはない。このため、プランジャ80を樹脂成型品とすることによって、製造コストを低減することができる。
【0089】
第8に、好ましくは、第1~第7に記載の油圧緩衝器10;200;300を備えた鞍乗り車両20であって、
図1に示されるように、プランジャ80は、油圧室74の油圧に従って懸架用バネ34の伸縮方向Arに進退することによって懸架用バネ34を伸縮方向Arに調整可能に位置している。
【0090】
安価な油圧緩衝器10;200;300を鞍乗り車両20に採用することによって、鞍乗り車両20のコストダウンを図ることが可能になった。
【0091】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
例えば、各実施例の油圧緩衝器10;200;300は、任意の2つ以上の実施例同士を組み合わせることができる。
また、油圧緩衝器10;200;300は、車高調整装置60を備えた構成を例示を説明したが、これに限定されるものではない。
また、ダンパチューブ33によって、ジャッキハウジング70の第1の筒体71を兼ねることができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の油圧緩衝器10;200;300は、鞍乗り型車両20に搭載するのに好適である。
【符号の説明】
【0093】
10 油圧緩衝器
20 鞍乗り型車両
34 懸架用バネ
60 車高調整装置
70 ジャッキハウジング
71 第1の筒体
71c 第1の筒体の外周面
72 第2の筒体
72c 第2の筒体の内周面
74 油圧室
80 プランジャ
81 油圧室側の端部
82 油圧室側の端面
85 第1のプランジャ側嵌合部
86 第2のプランジャ側嵌合部
90 シール部材
92 第1オイルシールリップ
93 第2オイルシールリップ
100 第1のシール側嵌合部
110 第2のシール側嵌合部
120 第2ダストシールリップ(ダストシールリップ)
200 油圧緩衝器
285 第1のプランジャ側嵌合部
290 第1のシール側嵌合部
300 油圧緩衝器
390 シール部材
391 第1ダストシールリップ(ダストシールリップ)