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特開2024-96552硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096552
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/30 20060101AFI20240709BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C11D3/30
C11D1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000073
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 哲也
(72)【発明者】
【氏名】末吉 政智
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB19
4H003AB31
4H003BA12
4H003DA05
4H003DB01
4H003DC02
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA21
(57)【要約】
【課題】本発明は、洗浄性及び速乾性に優れる硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)成分:特定の構造で表される化合物と、(B)成分:硫酸エステル型アニオン界面活性剤及びスルホン酸型アニオン界面活性剤から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤と、を含有し、前記(A)成分と前記(B)成分との質量比(A)/(B)が50/50より大きく99/1以下である、硬質表面用洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:下記一般式(1)で表される化合物と、
(B)成分:硫酸エステル型アニオン界面活性剤及びスルホン酸型アニオン界面活性剤から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤と、を含有し、
前記(A)成分と前記(B)成分との質量比(A)/(B)が50/50より大きく99/1以下である、硬質表面用洗浄剤組成物。
【化1】
[一般式(1)において、Rは炭素数6~22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、AO及びAOはそれぞれ独立して、炭素数2~4のアルキレンオキシ基であり、mはAOの平均繰返し数を示し、nはAOの平均繰返し数を示し、(m+n)は2~22の数であり、そのうちAOとAOのエチレンオキシ基の総数は2~10の数である。ただし、mが1超の場合、複数のAOは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。nが1超の場合、複数のAOは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。]
【請求項2】
請求項1に記載の硬質表面用洗浄剤組成物を用いて硬質表面を洗浄する、硬質表面の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我々を取り巻く住環境設備には、タイル、プラスチック、金属等を材料とした各種硬質表面が存在する。これらの硬質表面には、日常生活において様々な汚れが付着する。例えば、病院等の公共施設の床面は、日常的に多数の人が往来するため汚れが蓄積しやすく清掃範囲も広いため、汚れをきれいに落とすことばかりではなく、作業性の向上が求められる。作業性向上の効果的な手段として作業場がいち早く乾くこと(速乾性)が挙げられ、洗浄性と速乾性とを有した洗浄剤が強く望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、特定のアミン系の非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とを含有する液体洗浄剤組成物が開示されている。特許文献2には、特定のアルカノールアミド、特定の脂肪酸アミドベタイン及び特定のポリオキシエチレンアルキルアミン等から選ばれる1種以上の化合物と、特定のアルカンスルホン酸化合物と、特定の脂肪酸とを含有する手洗い用食器洗浄剤組成物が開示されている。特許文献3には、特定のアルキルグリコシドと特定の非イオン界面活性剤等とを含有する硬質表面用洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-236397号公報
【特許文献2】特開2016-132689号公報
【特許文献3】特開2015-7220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~3の洗浄剤組成物は、硬質表面における速乾性が充分ではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、洗浄性及び速乾性に優れる硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の化合物と特定のアニオン界面活性剤とを特定の割合で含む硬質表面用洗浄剤組成物を用いることで、かかる課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1](A)成分:下記一般式(1)で表される化合物と、
(B)成分:硫酸エステル型アニオン界面活性剤及びスルホン酸型アニオン界面活性剤から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤と、を含有し、
前記(A)成分と前記(B)成分との質量比(A)/(B)が50/50より大きく99/1以下である、硬質表面用洗浄剤組成物。
【0009】
【化1】
【0010】
[一般式(1)において、Rは炭素数6~22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、AO及びAOはそれぞれ独立して、炭素数2~4のアルキレンオキシ基であり、mはAOの平均繰返し数を示し、nはAOの平均繰返し数を示し、(m+n)は2~22の数であり、そのうちAOとAOのエチレンオキシ基の総数は2~10の数である。ただし、mが1超の場合、複数のAOは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。nが1超の場合、複数のAOは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。]
【0011】
[2][1]に記載の硬質表面用洗浄剤組成物を用いて硬質表面を洗浄する、硬質表面の洗浄方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法によれば、洗浄性及び速乾性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[硬質表面用洗浄剤組成物]
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、以下に示す(A)成分と、以下に示す(B)成分とを含有する組成物である。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
<(A)成分>
(A)成分は、下記一般式(1)で表される化合物である。(A)成分は、いわゆるアミン型非イオン界面活性剤である。
【0015】
【化2】
【0016】
一般式(1)において、Rは、炭素数6~22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。
炭素数6~22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ドデシル基、イソドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ノナデシル基、n-ドコシル基等が挙げられる。
炭素数6~22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、n-ヘキセニル基、n-オクテニル基、n-デセニル基、n-ドデセニル基、イソドデセニル基、n-テトラデセニル基、n-ヘキサデセニル基、イソヘキサデセニル基、n-オクタデセニル基、n-ドコセニル基等が挙げられる。
これらのうち、速乾性及び洗浄性により優れる観点から、炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基が好ましく、炭素数10~14の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
【0017】
一般式(1)中、AO及びAOはそれぞれ独立して、炭素数2~4のアルキレンオキシ基である。AO及びAOとしては、それぞれプロピレンオキシ基(PO)やエチレンオキシ基(EO)が好ましく、速乾性や洗浄性の観点からエチレンオキシ基(EO)がより好ましい。
【0018】
mが1超の場合、複数のAOは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。AOが異なる場合、例えば、EOとPOとが混在する場合、EOとPOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。
nが1超の場合、複数のAOは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。AOが異なる場合、例えば、EOとPOとが混在する場合、EOとPOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。
【0019】
一般式(1)中、m、nは、それぞれAO、AOの平均繰返し数(平均付加モル数)を示し、(m+n)は、2~22の数であり、そのうちAOとAOのEOの総数は2~10の数である。速乾性の観点から、EOの総数は4~8が好ましく、6~8がより好ましい。
OとAOのPOの総数は、速乾性の観点から、0~10が好ましく、0~6がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0020】
(A)成分のより具体的な例としては、n-ヘキシルアミンEO8モル付加物、n-ヘキシルアミンPO6モルEO6モルブロック付加物、n-オクチルアミンEO7モル付加物、2-エチルヘキシルアミンEO6モル付加物、n-デシルアミンEO8モル付加物、n-ドデシルアミンEO2モル付加物、n-ドデシルアミンEO4モル付加物、n-ドデシルアミンEO7モル付加物、n-ドデシルアミンEO8.5モル付加物、n-ドデシルアミンEO10モル付加物、イソトリデシルアミンEO8モル付加物、n-テトラデシルアミンEO6モル付加物、n-ヘキサデシルアミンEO5モル付加物、(Z)-9-オクタデセン-1-アミン(別名:オレイルアミン)EO8モル付加物、n-オクタデシルEO5モル付加物、n-ノナデシルアミンEO4モル付加物等が挙げられる。
これらのうち、(A)成分としては、速乾性及び洗浄性の観点から、n-ドデシルアミンEO4~8モル付加物が好ましく、n-ドデシルアミンEO6~8モル付加物がより好ましい。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
(A)成分の含有量は、硬質表面用洗浄剤組成物の総質量に対して、例えば、0.001~30質量%が好ましく、0.0025~9質量%がより好ましく、0.0025~3質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、速乾性及び洗浄性をより高められる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、水への希釈性をより高められる。
【0022】
<(B)成分>
(B)成分は、硫酸エステル型アニオン界面活性剤及びスルホン酸型アニオン界面活性剤から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である。
本明細書において、「硫酸エステル型アニオン界面活性剤」とは、官能基(-O-SO )を有するアニオン界面活性剤を意味し、対となるカチオンは、水素イオン(酸型)であってもよく、ナトリウムイオン等(塩型)であってもよい。
本明細書において、「スルホン酸型アニオン界面活性剤」とは、スルホン酸基(-SOH)又はその塩を有するアニオン界面活性剤を意味し、スルホン酸基とその塩とは共存していてもよい。
【0023】
アニオン界面活性剤の疎水性基としては特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、ベンジル基等のアリール基等が挙げられる。疎水性基におけるアルキル基及びアルケニル基は、それぞれ直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。疎水性基におけるベンジル基等のアリール基は、アルキル基を有していてもよいし、有していなくてもよい。アルキル基、アルケニル基、ベンジル基等のアリール基は炭素数2~4のアルキレンオキシ基が付加されていてもよい。
【0024】
アニオン界面活性剤の塩としては特に限定されないが、例えば、アルカリ金属であるナトリウムやカリウム等の塩、アルカリ土類金属であるマグネシウム等の塩、アンモニウム塩、第一級アミンであるモノエタノールアミンやシクロヘキシルアミン等の塩、第二級アミンであるジエチルアミンやジエタノールアミン等の塩、第三級アミンであるトリメチルアミンやトリエタノールアミン等の塩等が挙げられる。
【0025】
硫酸エステル型アニオン界面活性剤のより具体的な例としては、炭素数8~24の脂肪族アルコールの硫酸エステル(塩)が挙げられ、例えば、ドデシル硫酸塩、オクタデシル硫酸塩、オクタデセニル硫酸塩等が挙げられる。また、炭素数8~24の脂肪族アルコールのEO1~10モル付加物硫酸エステル(塩)等が挙げられ、例えば、ドデシルアルコールEO3モル付加物硫酸エステル塩等が挙げられる。
ここで、「硫酸エステル(塩)」は、硫酸エステル及び硫酸エステル塩の双方又はいずれか一方を意味する。
【0026】
スルホン酸型アニオン界面活性剤のより具体的な例としては、炭素数8~24のアルケニルスルホン酸(塩)が挙げられ、例えば、テトラデセンスルホン酸塩等が挙げられる。また、ベンジル基等のアリール基を有するスルホン酸(塩)が挙げられ、例えば、炭素数6~24のアルキルベンゼンスルホン酸(塩)、ジフェニルエーテルジスルホン酸(塩)等が挙げられる。
ここで、「スルホン酸(塩)」は、スルホン酸及びスルホン酸塩の双方又はいずれか一方を意味する。
【0027】
これら(B)成分の中でも、速乾性及び経済性の観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸(塩)が好ましく、環境負荷低減の観点から、直鎖型のドデシルベンゼンスルホン酸(塩)がより好ましい。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
(B)成分の含有量は、硬質表面用洗浄剤組成物の総質量に対して、例えば、0.0002~20質量%が好ましく、0.0005~6質量%がより好ましく、0.0005~2質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、速乾性をより高められる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、洗浄性や水への希釈性をより高められる。
【0029】
(A)成分と(B)成分との質量比(A)/(B)は、50/50より大きく99/1以下であり、55/45以上85/15以下が好ましく、60/40以上80/20以下がより好ましい。質量比(A)/(B)が上記下限値超であれば、洗浄性をより高められる。加えて、質量比(A)/(B)が上記下限値超であれば、速乾性をより高められる。質量比(A)/(B)が上記上限値以下であれば、速乾性をより高められる。
【0030】
<任意成分>
硬質表面用洗浄剤組成物には、本発明の効果に影響を及ばさない範囲で、洗浄剤の技術分野で配合することが知られている他の成分(任意成分)を配合することができる。任意成分としては、例えば、水、有機溶剤、キレート剤、増粘剤、防腐剤、香料、着色料、(A)成分及び(B)成分以外の界面活性剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
水としては、特に限定されないが、例えば、水道水、脱イオン水(イオン交換水)、純水、超純水、蒸留水等が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(塩)、ジエチレントリアミン五酢酸(塩)、ニトリロ三酢酸(塩)、ポリカルボン酸(塩)等が挙げられる。
ここで、「酢酸(塩)」は、酢酸及び酢酸塩の双方又はいずれか一方を意味する。「カルボン酸(塩)」は、カルボン酸及びカルボン酸塩の双方又はいずれか一方を意味する。
【0031】
任意成分の含有量は特に限定されないが、硬質表面用洗浄剤組成物の総質量に対して、例えば、0~99.99質量%が好ましい。
任意成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
<製造方法>
硬質表面用洗浄剤組成物は、(A)成分及び(B)成分と、必要に応じて水及び任意成分の1つ以上とを混合することで得られる。
【0033】
<形態>
硬質表面用洗浄剤組成物の形態としては特に限定されず、固体状であってもよいし、液体状であってもよい。使用のしやすさや、溶け残りを防ぐ観点から、硬質表面用洗浄剤組成物は液体状であることが好ましい。液体状の硬質表面用洗浄剤組成物は、分散粒子を含んでもよい。なお、本明細書において、液体状の硬質表面用洗浄剤組成物を「硬質表面用液体洗浄剤」又は「硬質表面用液体洗浄剤組成物」ともいう。
【0034】
<使用方法>
硬質表面用洗浄剤組成物は、硬質表面用の洗浄剤である。
硬質表面用洗浄剤組成物は、水等で希釈せずにそのまま硬質表面の洗浄に使用してもよいし、硬質表面用洗浄剤組成物を水で希釈して使用してもよい。
本明細書において、硬質表面用洗浄剤組成物を水で希釈した希釈液を「洗浄液」ともいう。
【0035】
硬質表面用洗浄剤組成物を洗浄液として使用する場合、水への希釈倍率は、特に限定されないが、例えば、0~500倍が好ましく、10~200倍がより好ましい。
【0036】
洗浄液中の(A)成分の含有量は、洗浄液の総質量に対して、例えば、0.001~0.2質量%が好ましく、0.0025~0.05質量%がより好ましく、0.0025~0.02質量%がさらに好ましい。(A)成分が上記下限値以上であれば、速乾性及び洗浄性をより高められる。(A)成分が上記上限値以下であれば、床等の硬質表面への残存による滑り等の発生をより抑制できる。
【0037】
洗浄液中の(B)成分の含有量は、洗浄液の総質量に対して、例えば、0.0002~0.2質量%が好ましく、0.0005~0.05質量%がより好ましく、0.0005~0.02質量%がさらに好ましい。(B)成分が上記下限値以上であれば、速乾性をより高められる。(B)成分が上記上限値以下であれば、床等の硬質表面への残存による滑り等の発生をより抑制できる。
【0038】
洗浄液のpH(20℃)は、特に限定されないが、例えば、6~9が好ましく、6~8がより好ましい。洗浄液のpHが上記下限値以上であれば、金属製品を損傷する恐れを低減できる。洗浄液のpHが上記上限値以下であれば、床に適用する場合のワックス剥離のおそれを低減できる。
洗浄液のpHを調整するpH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、酢酸、クエン酸等を好適に用いることができる。
これらpH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
洗浄液のpH(20℃)は、洗浄液を20℃に調整し、ガラス電極法等の公知の方法で測定できる。
【0039】
[硬質表面の洗浄方法]
本発明の硬質表面の洗浄方法は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を用いて硬質表面を洗浄する方法である。具体的には、硬質表面に付着した汚れに、上述した硬質表面用洗浄剤組成物又は洗浄液を接触させて汚れを除去する。
硬質表面の洗浄方法としては、例えば、洗浄液を硬質表面にスプレー等で付着させた後に布巾、雑巾、不織布、モップ等の清掃用品で余分な洗浄液を拭き取る方法;洗浄液を布巾、雑巾、モップ等の清掃用品にスプレーや含浸で付着させ、硬質表面を拭く方法等が挙げられる。
硬質表面の洗浄方法としては、清掃作業の作業性の観点から、洗浄液を清掃用品にスプレーや含浸で付着させ、硬質表面を拭く方法が好ましい。
洗浄液を清掃用品にスプレーや含浸で付着させ、硬質表面を拭く方法に用いるモップは、乾燥したモップでもよく、水や洗浄液等で湿った状態のモップでもよい。
【0040】
清掃用品への洗浄液の含浸量は、特に限定されないが、清掃用品の未含浸状態(乾燥状態)の総質量に対して、100~1000質量%が好ましく、150~400質量%がより好ましい。含浸量が上記下限値以上であれば、より充分な洗浄性を得られる。含浸量が上記上限値以下であれば、洗浄液が床等の硬質表面に残存して清掃作業の作業性が低下することを抑制できる。
【0041】
硬質表面としては、例えば、硬質材料で形成された部品や物品、具体的には、床、壁、食器、自動車、医療器具、浴槽、トイレ、窓等の表面が挙げられる。
硬質材料としては、例えば、金属、樹脂、セラミックス、ガラス、石材、木材等が挙げられる。
金属としては、特に限定されないが、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられる。
樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビニル系樹脂、塩化ビニル、ポリウレタン等が挙げられ、より具体的には、ビニル系樹脂と可塑剤からなるビニル床タイル、一般的に長尺塩化ビニルシートと呼ばれるビニル床シート等が挙げられる。
セラミックスとしては、陶器等が挙げられる。
本発明の効果が顕著であることから、硬質表面としては、床面が好ましく、硬質材料としては、床用に用いられる材質が好ましい。
【0042】
洗浄対象となる汚れとしては、特に限定されないが、例えば、油溶性汚れ、水溶性汚れ、固体汚れ、これらの複合的な汚れ等が挙げられる。
油溶性汚れとしては、例えば、動植物油脂、鉱油等による汚れ等が挙げられる。
水溶性汚れとしては、例えば、食塩、砂糖、汗等の水溶性の無機塩や水溶性の有機化合物による汚れ等が挙げられる。
固体汚れとしては、例えば、泥、鉄分、カーボン等による汚れ等が挙げられる。
【0043】
<作用効果>
以上説明した本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(A)成分と(B)成分とを含み、質量比(A)/(B)が特定の範囲内であるため、洗浄性及び速乾性に優れる。
【実施例0044】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の各例において、特に断りのない限り、「%」は、質量%(w/w%)を表し、「部」は、質量部を表す。「EO」はエチレンオキシドを表し、「PO」はプロピレンオキシドを表す。圧力の単位「MPa・G」はゲージ圧を表し、「室温」は、25℃を表す。
【0045】
[使用原料]
使用した各成分は、以下の通りである。
<(A)成分>
・(A1):n-ヘキシルアミンEO8モル付加物(合成品)。
・(A2):n-ヘキシルアミンPO6モルEO6モルブロック付加物(合成品)。
・(A3):n-ヘプチルアミンEO7モル付加物(合成品)。
・(A4):2-エチルヘキシルアミンEO6モル付加物(合成品)。
・(A5):n-ノニルアミンEO7モル付加物(合成品)。
・(A6):n-デシルアミンEO8モル付加物(合成品)。
・(A7):n-ドデシルアミンEO2モル付加物(合成品)。
・(A8):n-ドデシルアミンEO3モル付加物(合成品)。
・(A9):n-ドデシルアミンEO4モル付加物(合成品)。
・(A10):n-ドデシルアミンEO5モル付加物(合成品)。
・(A11):n-ドデシルアミンEO7モル付加物(合成品)。
・(A12):n-ドデシルアミンEO9モル付加物(合成品)。
・(A13):n-ドデシルアミンEO10モル付加物(合成品)。
・(A14):n-テトラデシルアミンEO6モル付加物(合成品)。
・(A15):n-ヘキサデシルアミンEO5モル付加物(合成品)。
・(A16):n-ヘキサデシルアミンEO7モル付加物(合成品)。
・(A17):n-ノナデシルアミンEO4モル付加物(合成品)。
・(A18):n-イコシルアミンEO5モル付加物(合成品)。
<(a)成分((A)成分の比較成分)>
・(a1):n-ブチルアミンEO7モル付加物(合成品)。
・(a2):n-ドデシルアミンEO1モル付加物(合成品)。
・(a3):n-ドデシルアミンEO15モル付加物(合成品)。
【0046】
<(B)成分>
・(B1):ドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学(株)製、製品名:n-ドデシルベンゼンスルホン酸(直鎖型ドデシルベンゼンスルホン酸))。
・(B2):直鎖アルキル(炭素数10~14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム及びトリエタノールアミン塩の混合物(有効成分38%)(日華化学(株)製、製品名:BH-320K)。
・(B3):テトラデセンスルホン酸ナトリウム(有効成分37%)(ライオン(株)製、製品名:リポラン(登録商標)LB-440)。
・(B4):ポリオキシエチレン(付加モル数3)アルキル(炭素数10~16)エーテル硫酸ナトリウム(有効成分27%)(花王(株)製、製品名:エマール(登録商標)327)。
・(B5):ドデシル硫酸ナトリウム(ナカライテスク(株)製、製品名:ラウリル硫酸ナトリウム)。
<(b)成分((B)成分の比較成分)>
・(b1):ドデシルリン酸ナトリウム(日光ケミカルズ(株)製、製品名:ラウリルリン酸ナトリウム)。
・(b2):ドデカン酸ナトリウム(ナカライテスク(株)製、製品名:ラウリン酸ナトリウム)。
【0047】
[(A)成分の合成例]
((A1)の合成)
n-ヘキシルアミン101部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO264部(6モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0048】
((A2)の合成)
n-ヘキシルアミン101部(1モル部)及び水酸化カリウム0.5部をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃にてPO348部(6モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度130~140℃、圧力0.49MPa・G以下で5時間熟成を行った。次いで、EO264部(6モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、130~140℃で8時間熟成し、熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0049】
((A3)の合成)
n-ヘプチルアミン115部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO220部(5モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0050】
((A4)の合成)
2-エチルヘキシルアミン129部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO176部(4モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0051】
((A5)の合成)
n-ノニルアミン143部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO220部(5モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0052】
((A6)の合成)
n-デシルアミン157部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO264部(6モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0053】
((A7)の合成)
n-ドデシルアミン185部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0054】
((A8)の合成)
n-ドデシルアミン185部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO44部(1モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0055】
((A9)の合成)
n-ドデシルアミン185部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0056】
((A10)の合成)
n-ドデシルアミン185部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO132部(3モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0057】
((A11)の合成)
EOの部数132部を220部(5モル部)に変更した以外は、(A10)の合成と同様にして目的物を得た。
【0058】
((A12)の合成)
EOの部数132部を308部(7モル部)に変更した以外は、(A10)の合成と同様にして目的物を得た。
【0059】
((A13)の合成)
EOの部数132部を352部(8モル部)に変更した以外は、(A10)の合成と同様にして目的物を得た。
【0060】
((A14)の合成)
n-テトラデシルアミン213部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO176部(4モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0061】
((A15)の合成)
n-ヘキサデシルアミン241部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO132部(3モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0062】
((A16)の合成)
EOの部数132部を220部(5モル部)に変更した以外は、(A15)の合成と同様にして目的物を得た。
【0063】
((A17)の合成)
n-ノナデシルアミン284部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0064】
((A18)の合成)
n-イコシルアミン298部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO132部(3モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0065】
((a1)の合成)
n-ブチルアミン73部(1モル部)をオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に、温度120℃以上にてEO88部(2モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度155~165℃、圧力0.39MPa・G以下で15分間熟成を行った。熟成後、脱ガス処理を行い、室温まで冷却した。続いて、オートクレーブに触媒として水酸化カリウム0.5部を仕込み、窒素置換した後、120℃に昇温し、1時間減圧脱水処理を行った。その後、温度140℃以上にてEO220部(5モル部)の滴下を開始し、滴下終了後、反応温度160~170℃、圧力0.35MPa・G以下で1時間熟成を行った。熟成後は脱ガス処理を行い、目的物を得た。
【0066】
((a2)の合成)
EOの部数88部を44部(1モル部)に変更した以外は、(A7)の合成と同様にして目的物を得た。
【0067】
((a3)の合成)
EOの部数132部を572部(13モル部)に変更した以外は、(A10)の合成と同様にして目的物を得た。
【0068】
≪洗浄液の調製≫
[実施例1~30、比較例1~8]
表1~7に記載の組成(質量%)で各例の硬質表面用洗浄剤組成物を調製した。表中、「残部」は、合計が100質量%となるように水を添加したことを表す。「-」は、その成分を含有しないことを表す。
次に、表1~7に記載の希釈倍率となるように硬質表面用洗浄剤組成物を水で希釈して、各例の洗浄液を調製した。洗浄液のpH(20℃)は、水酸化カリウム又は90%酢酸を用いて、7~8になるように調整した。
【0069】
[評価方法]
<速乾性1>
ステンレス片(SUS304[50×25×1.0mm])の中央部に洗浄液70μLを滴下した。風の影響がない室内下(温度25℃、相対湿度45%)で、洗浄液の水滴が完全になくなるまでの時間(乾燥時間)を測定した。
各例の洗浄液の乾燥時間を、等量の水道水の乾燥時間で除した下記算出式(1)の値で、下記評価基準に基づいて速乾性(速乾性1)を評価した。「3」以上を合格とした。結果を表1~7に示す。
算出式(1):(洗浄液の乾燥時間[min]/水道水の乾燥時間[min])×100
《評価基準》
5:算出式(1)の値が0.40未満。
4:算出式(1)の値が0.40以上0.55未満。
3:算出式(1)の値が0.55以上0.70未満。
2:算出式(1)の値が0.70以上0.85未満。
1:算出式(1)の値が0.85以上。
【0070】
<速乾性2>
汚れやワックスを取り除いたビニル床タイルに洗浄液100μLを滴下した。風の影響がない室内下(温度25℃、相対湿度50%)で、洗浄液の水滴が完全になくなるまでの時間(乾燥時間)を測定した。
各例の洗浄液の乾燥時間を、等量の水道水の乾燥時間で除した上記算出式(1)の値で、下記評価基準に基づいて速乾性(速乾性2)を評価した。「3」以上を合格とした。結果を表1~7に示す。
《評価基準》
5:算出式(1)の値が0.40未満。
4:算出式(1)の値が0.40以上0.55未満。
3:算出式(1)の値が0.55以上0.70未満。
2:算出式(1)の値が0.70以上0.85未満。
1:算出式(1)の値が0.85以上。
【0071】
<洗浄性>
ステンレス片(SUS304[50×25×1.0mm])の中央部に汚れ成分として10μLのトリオレインを塗布して、直径10mm程度の円形状に均一に広げて、室温で1時間放置したものを試験片とした。得られた試験片を100mLの洗浄液で満たした瓶に投入し、25℃で12分間浸漬処理を行った。試験片を取り出し、すすぎとして20℃の水道水2Lに試験片を浸漬し、3回軽く揺すった後、試験片を取り出し、50℃で30分間乾燥した。乾燥後の試験片を目視で観察し、トリオレインの脱落面積を下記算出式(2)で算出し、下記評価基準に基づいて、洗浄性を評価した。「3」以上を合格とした。結果を表1~7に示す。なお、試験片に付着しているトリオレインの面積は、試験片を写真撮影し、画像解析により求めた。
算出式(2):脱落面積(%)=(直径10mmの円の面積[mm]-試験片に付着しているトリオレインの面積[mm])/直径10mmの円の面積[mm]×100
《評価基準》
5:脱落面積が80%以上。
4:脱落面積が65%以上80%未満。
3:脱落面積が50%以上65%未満。
2:脱落面積が25%以上50%未満。
1:脱落面積が25%未満。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
表1~7に示すように、本発明を適用した実施例1~30は、速乾性1、速乾性2及び洗浄性の評価が「3」以上であり、洗浄性及び速乾性に優れていることが確認できた。
これに対し、(B)成分を含有しない比較例1は、速乾性1及び速乾性2の評価が「2」だった。(A)成分を含有しない比較例2は、速乾性1及び速乾性2の評価が「1」で、洗浄性の評価が「2」だった。(A)成分に代えて(a)成分を用いた比較例3は、速乾性2の評価が「2」だった。(A)成分に代えて(a)成分を用いた比較例4~5は、速乾性1の評価が「2」で、速乾性2の評価が「1」だった。(B)成分に代えて(b)成分を用いた比較例6は、速乾性2の評価が「2」だった。(B)成分に代えて(b)成分を用いた比較例7は、速乾性1の評価が「2」で、速乾性2の評価が「1」だった。質量比(A)/(B)が本発明の範囲外である比較例8は、速乾性1及び速乾性2の評価が「1」で、洗浄性の評価が「2」だった。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、洗浄性及び速乾性に優れる洗浄剤として広く適用可能である。