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特開2024-96562熟練度算出システム、熟練度算出方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096562
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】熟練度算出システム、熟練度算出方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0639 20230101AFI20240709BHJP
【FI】
G06Q10/0639
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000115
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増渕 光太
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度をより正確に算出することができる技術を提供する。
【解決手段】取得部11は、制作作業に係るデータベース情報として案件情報DB111、作業実績DB112および機械情報DB113の情報を取得する。算出部12は、取得されたデータベース情報に基づき、作業者が制作作業を実施した実施履歴と、作業者による制作作業において生じた不具合の不具合履歴とを含む評価情報を算出する。算出部12は、実施履歴と不具合履歴とを含む評価情報に基づき熟練度を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度を算出する熟練度算出システムであって、
前記制作作業に係るデータベース情報を取得する取得部と、
前記熟練度を算出する算出部とを備え、
前記算出部は、
取得された前記データベース情報に基づき、前記作業者が前記制作作業を実施した実施履歴と、前記作業者による前記制作作業において生じた不具合の不具合履歴とを含む評価情報を算出し、
前記実施履歴と前記不具合履歴とを含む前記評価情報に基づき前記熟練度を算出する、熟練度算出システム。
【請求項2】
前記印刷物の仕様には、前記制作作業において実施される作業工程が異なる複数の制作仕様があり、
前記算出部は、前記複数の制作仕様の各々に対する前記熟練度を算出する、請求項1に記載の熟練度算出システム。
【請求項3】
前記制作作業は、複数の作業工程から成り、
前記算出部は、前記複数の作業工程の各々に対する前記熟練度を算出する、請求項1に記載の熟練度算出システム。
【請求項4】
前記制作作業は、複数の機械のうちの1つ以上を使用して行われることがあり、
前記算出部は、前記複数の機械の各々に対する前記熟練度を算出する、請求項1に記載の熟練度算出システム。
【請求項5】
前記データベース情報は、前記制作作業に使用する機械の操作をやり直したことを特定可能な第1の情報を含み、
前記算出部は、
前記評価情報として、前記第1の情報に基づき前記作業者が前記機械の操作をやり直した第1の履歴をさらに算出し、
前記第1の履歴を含めた前記評価情報に基づき前記熟練度を算出する、請求項1に記載の熟練度算出システム。
【請求項6】
前記データベース情報は、前記制作作業に使用する機械に故障が発生したことを特定可能な第2の情報を含み、
前記算出部は、
前記評価情報として、前記第2の情報に基づき前記作業者が使用している前記機械に故障が発生した第2の履歴をさらに算出し、
前記第2の履歴を含めた前記評価情報に基づき前記熟練度を算出する、請求項1に記載の熟練度算出システム。
【請求項7】
前記データベース情報は、前記印刷物の再制作を実施したことを特定可能な第3の情報を含み、
前記算出部は、
前記評価情報として、前記第3の情報に基づき前記作業者が前記印刷物の再制作を実施した第3の履歴をさらに算出し、
前記第3の履歴を含めた前記評価情報に基づき前記熟練度を算出する、請求項1に記載の熟練度算出システム。
【請求項8】
前記不具合履歴は、前記印刷物の検品作業において指摘された不具合の第4の履歴を含む、請求項1に記載の熟練度算出システム。
【請求項9】
前記不具合履歴は、前記印刷物の依頼主からのクレームにおいて指摘された不具合の第5の履歴を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の熟練度算出システム。
【請求項10】
印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度を算出する熟練度算出方法であって、
前記制作作業に係るデータベース情報を取得するステップと、
前記熟練度を算出するステップとを備え、
前記算出するステップは、
取得された前記データベース情報に基づき、前記作業者が前記制作作業を実施した実施履歴と、前記作業者による前記制作作業において生じた不具合の不具合履歴とを含む評価情報を算出するステップと、
前記実施履歴と前記不具合履歴とを含む前記評価情報に基づき前記熟練度を算出するステップとを含む、熟練度算出方法。
【請求項11】
請求項10に記載の熟練度算出方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度を算出する熟練度算出システム、熟練度算出方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷工場等において、依頼主からの依頼に基づき印刷物の制作作業を行っている。依頼主からの要求品質が高い制作案件については、当該制作案件の制作作業に対する熟練度が高い作業員を割り当てる。これにより、依頼主が要求する品質を担保することができる。
【0003】
このような制作作業に対する熟練度を予測するものとして、たとえば、特開平7-319338号公報(特許文献1)に開示された複写管理システムが挙げられる。この複写管理システムでは、依頼を受けた制作案件の作業内容と工場内のマシンに対する制作所要時間とから、作業者の熟練度を算出し、作業者に制作案件の割り当てを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-319338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、制作所要時間に基づいて作業者の熟練度を正確に把握することは難しい。上述の複写管理システムに開示された熟練度の算出方法を用いた場合、制作所要時間は短いが品質の悪い印刷物を制作する作業者が、要求品質の高い制作案件に高熟練者として割り当てられてしまう可能性がある。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度をより正確に算出することができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく熟練度算出システムは、印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度を算出するシステムである。熟練度算出システムは、取得部と、算出部とを備える。取得部は、制作作業に係るデータベース情報を取得する。算出部は、熟練度を算出する。算出部は、取得されたデータベース情報に基づき、作業者が制作作業を実施した実施履歴と、作業者による制作作業において生じた不具合の不具合履歴とを含む評価情報を算出する。算出部は、実施履歴と不具合履歴とを含む評価情報に基づき熟練度を算出する。
【0008】
好ましくは、印刷物の仕様には、制作作業において実施される作業工程が異なる複数の制作仕様がある。算出部は、複数の制作仕様の各々に対する熟練度を算出する。
【0009】
好ましくは、制作作業は、複数の作業工程から成る。算出部は、複数の作業工程の各々に対する熟練度を算出する。
【0010】
好ましくは、制作作業は、複数の機械のうちの1つ以上を使用して行われることがある。算出部は、複数の機械の各々に対する熟練度を算出する。
【0011】
好ましくは、データベース情報は、制作作業に使用する機械の操作をやり直したことを特定可能な第1の情報を含む。算出部は、評価情報として、第1の情報に基づき作業者が機械の操作をやり直した第1の履歴をさらに算出する。算出部は、第1の履歴を含めた評価情報に基づき熟練度を算出する。
【0012】
好ましくは、データベース情報は、制作作業に使用する機械に故障が発生したことを特定可能な第2の情報を含む。算出部は、評価情報として、第2の情報に基づき作業者が使用している機械に故障が発生した第2の履歴をさらに算出する。算出部は、第2の履歴を含めた評価情報に基づき熟練度を算出する。
【0013】
好ましくは、データベース情報は、印刷物の再制作を実施したことを特定可能な第3の情報を含む。算出部は、評価情報として、第3の情報に基づき作業者が印刷物の再制作を実施した第3の履歴をさらに算出する。算出部は、第3の履歴を含めた評価情報に基づき熟練度を算出する。
【0014】
好ましくは、不具合履歴は、印刷物の検品作業において指摘された不具合の第4の履歴を含む。
【0015】
好ましくは、不具合履歴は、印刷物の依頼主からのクレームにおいて指摘された不具合の第5の履歴を含む。
【0016】
本開示に基づく熟練度算出方法は、印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度を算出する方法である。熟練度算出方法は、制作作業に係るデータベース情報を取得するステップと、熟練度を算出するステップとを備える。算出するステップは、取得されたデータベース情報に基づき、作業者が制作作業を実施した実施履歴と、作業者による制作作業において生じた不具合の不具合履歴とを含む評価情報を算出するステップと、実施履歴と不具合履歴とを含む評価情報に基づき熟練度を算出するステップとを含む。
【0017】
本開示に基づくプログラムは、熟練度算出方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度をより正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態における熟練度算出システムを示す図である。
図2】演算装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】案件情報DBの一例である。
図4】機械情報DBの一例である。
図5】作業実績DBの一例である。
図6】熟練度DBの一例である。
図7】熟練度算出システムが実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図8】制作仕様に対する熟練度算出処理を表わすフローチャートである。
図9】作業工程に対する熟練度算出処理を表わすフローチャートである。
図10】機械に対する熟練度算出処理を表わすフローチャートである。
図11】熟練度算出処理を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0021】
図1を参照して、本実施の形態における熟練度算出システム100の構成について説明する。図1は、本実施の形態における熟練度算出システム100を示す図である。熟練度算出システム100は、印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度を算出するシステムである。
【0022】
本実施の形態における熟練度算出システム100は、たとえば、印刷工場で稼働することが想定される。印刷工場では、制作依頼主(以下、「顧客」とも記載する)からの依頼に基づき印刷物を制作する。印刷物は、印刷工場で制作作業を行う作業者によって制作される。
【0023】
印刷工場において制作される印刷物は、たとえば、本、ポスター、名刺等である。これらの印刷物は、複数の作業工程を経て制作される。たとえば、本の制作において、印刷、製本、検品、梱包等の作業工程が含まれる。
【0024】
以下、本実施の形態では、制作依頼主から依頼を受けた業務の単位を「案件」と記載する。たとえば、制作依頼主から名刺100枚の制作依頼を受けた場合、この名刺100枚を制作する作業を、「案件A」のように表現する。
【0025】
本実施の形態に係る印刷工場では、複数の加工機201、複数の印刷機202および熟練度算出システム100を含む各種設備が設置されている。加工機201は、印刷物の折り、断裁等の加工を行う機械であって、製本機A201a、製本機B201b等が含まれる。たとえば、加工機201(製本機)によって本の「綴り製本」の作業工程が実行される。
【0026】
また、印刷機202によって印刷物の印刷が行われる。印刷機202には、印刷機A202a、印刷機B202b等が含まれる。たとえば、印刷機202によって本の「印刷」の作業工程が実行される。以下、製本機A201a、製本機B201b、印刷機A202a、印刷機B202bを、それぞれ単に、製本機A、製本機B、印刷機A、印刷機Bとも称する。
【0027】
熟練度算出システム100は、演算装置10と、案件情報DB(データベース)111と、作業実績DB(データベース)112と、機械情報DB(データベース)113と、熟練度DB(データベース)114とを備える。なお、これらのデータベース(案件情報DB111と、作業実績DB112と、機械情報DB113と、熟練度DB114)を除いたシステム(つまり、演算装置10)を、熟練度算出システム100として構成してもよい。
【0028】
案件情報DB111には、印刷工場が制作依頼主から受注した案件の情報等が記録されている。案件情報DB111には、案件名、制作依頼主の名称(顧客名)、制作仕様、商品名、必要な作業工程等が記録されている。詳しくは、図3を用いて後述する。
【0029】
作業実績DB112には、制作された案件(印刷物)の情報が作業工程ごとに記録されている。記憶される情報には、案件名、作業工程、使用した機械、作業者、不具合の情報が記録されている。不具合の情報として、制作依頼主からのクレームあるいは工場内の評価者による制作物への指摘に関する情報が記録されている。詳しくは、図5を用いて後述する。
【0030】
機械情報DB113には、案件制作時の機械(加工機201、印刷機202)の操作履歴や機械の状態の情報が保持される。詳しくは、図4を用いて後述する。
【0031】
熟練度算出システム100の演算装置10は、取得部11と、算出部12と、更新部13とを備える。取得部11は、制作作業に係るデータベース情報を取得する。ここで、「データベース情報」は、案件情報DB111に記録された案件情報と、作業実績DB112に記録された作業者の作業実績と、機械情報DB113に記録された機械情報(使用した機械の操作履歴や作業時の機械状態等)を指す。
【0032】
算出部12は、取得部11が取得したデータベース情報に基づき、作業者の熟練度を算出する。熟練度DB114には、作業者ごとの熟練度の情報が記録されている。更新部13は、算出部12が算出した作業者の熟練度によって、熟練度DB114に記録された熟練度を更新する。
【0033】
作業者の熟練度には、複数の評価項目がある。複数の評価項目には、「制作仕様」、「作業工程」、「機械」が含まれる。算出部12は、制作仕様に対する熟練度、作業工程に対する熟練度、機械に対する熟練度をそれぞれ算出可能である。更新部13は、熟練度DB114に記録されたこれらの熟練度を更新する。詳しくは、図6を用いて後述する。
【0034】
取得部11、算出部12および更新部13の各々は、各処理を実現するプログラムとプロセッサとの組み合わせとして、あるいは、各処理を実現するように構成された回路素子の組み合わせとして、実現され得る。
【0035】
案件情報DB111、作業実績DB112、機械情報DB113および熟練度DB114は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)その他の不揮発性の記憶装置によって実現される。
【0036】
演算装置10のハードウェア構成の一例を示す。図2は、演算装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0037】
演算装置10は、主たる構成要素として、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)1と、演算装置10の使用者(操作者)による指示の入力を受けるマウス2およびキーボード3と、CPU1によるプログラムの実行により生成されたデータ、またはマウス2もしくはキーボード3を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM4と、データを不揮発的に格納するハードディスク5と、光ディスク駆動装置6と、通信インターフェイス(I/F)7と、モニタ8とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。光ディスク駆動装置6には、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)9その他の光ディスクが装着される。
【0038】
演算装置10における処理は、各ハードウェアおよびCPU1により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク5に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD-ROM9その他の記録媒体に格納されて、コンピュータプログラムとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なアプリケーションプログラムとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置6その他の読取装置によりその記録媒体から読み取られて、あるいは、通信インターフェイス7を介してダウンロードされた後、ハードディスク5に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1によってハードディスク5から読み出され、RAM4に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1は、そのプログラムを実行する。
【0039】
図2に示される演算装置10を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本開示に係る技術思想の本質的な部分の一つは、RAM4、ハードディスク5、CD-ROM9その他の記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。記録媒体は、一時的でない、コンピュータ読取可能なデータ記録媒体を含み得る。なお、演算装置10の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0040】
なお、記録媒体としては、CD-ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、SSD(Solid State Drive)、磁気テープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。
【0041】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0042】
演算装置10は、たとえば、1台のパーソナルコンピュータによって実現されてもよいし、サーバ装置を含む複数台のコンピュータによって実現されてもよい。本実施の形態において実行されるプログラムは、パーソナルコンピュータ(端末装置)によって実行されてもよいし、サーバ装置によって実行されてもよい。
【0043】
以下、図3図6を用いて、熟練度算出システム100が用いる各種データベースの具体例を説明する。図3は、案件情報DB111の一例である。案件情報DB111には、案件ごとに案件情報が記録されている。案件情報DB111には、各案件名に対応した、「顧客名」、「制作仕様」、「商品名」および「作業工程」が記録されている。
【0044】
たとえば、案件Aにおいて、顧客名は「依頼者A」であり、制作仕様は「綴り製本」、商品名は「製品A」である。「作業工程」は、「DTP」、「印刷」、「断裁」、「折」、「綴り製本」、・・・、「検品」、「梱包」を含む。このうち、丸が付された作業項目が順に実行される。案件Aでは、DTP、印刷、綴り製本、・・・、検品、梱包の順に作業工程が実行される。
【0045】
たとえば、DTPの作業工程において、依頼者Aから受領したデザイン、レイアウトデータあるいは手書きのレイアウトイメージ等を元に、作業者が印刷のための前準備(印刷可能な状態にレイアウトデータを加工する等)を行う。図1には示されていないが、作業者は、専用のコンピュータを用いて「DTP」の作業工程を実行する。その後、作業者は、印刷機202を用いて「印刷」の作業工程を実行し、加工機201(製本機)を用いて「綴り製本」の作業工程を実行する。そして、最終的に作業者は、検品および梱包作業を行い、製品Aが完成し、案件Aの制作作業が完了する。
【0046】
案件Bにおいて、顧客名は「依頼者B」であり、制作仕様は「ポスター」であり、商品名は「製品B」である。案件Bでは、DTP、印刷、・・・、検品、梱包の順に作業工程が実行される。なお、図3には示されていないが、案件情報には、印刷物の印刷枚数/部数、紙の種類等の情報も含まれる。
【0047】
図4は、機械情報DB113の一例である。機械情報DB113には、各機械の機械情報が時系列で記録されている。機械情報DB113には、案件制作時の機械(加工機201、印刷機202)の操作履歴や機械の状態等の情報が保持される。機械情報DB113には、「機械名称」とその「状態」と「作業者」とが「日時」と共に記録されている。
【0048】
機械情報DB113には、機械がどのように動作したかが稼働ログとして記録される。なお、図4に示されないが、機械の型番、シリアル番号等も機械情報DB113に記録される。
【0049】
たとえば、2020年10月1日の15:00において、印刷機Aの状態として、出力設定が完了したことが記録されている。このときの作業者は、作業者Aである。2020年10月1日の15:01において、印刷機Aの状態として、ファイルAの出力が開始したことが記録されている。このときの作業者は、作業者Aである。
【0050】
2020年10月1日の15:04において、製本機Bの状態として、製本機Bの電源がONしたことが記録されている。このときの作業者は、作業者Bである。2020年10月1日の15:05において、印刷機Aの状態として、紙詰まりが発生したことが記録されている。このときの作業者は、作業者Aである。
【0051】
なお、図4の例において、機械情報DB113のデータに作業者の情報が含まれる例を示したが、必ずしも、機械情報DB113のデータに作業者の情報が含まれなくてもよい。たとえば、後述の作業実績DB112において、作業工程を実施した日時を記録するようにし、作業実績DB112に記録された日時と、機械情報DB113に記録された日時を照合することで、機械情報DB113に記録された情報において作業者が誰であったのかを特定するようにしてもよい。
【0052】
この印刷工場においては、熟練度算出システム100とは別に、印刷システムが設置されているものとする。印刷工場の作業者は、印刷システムの端末を利用して案件情報DB111の更新作業(案件情報の入力)を行う。また、印刷システムは、加工機201および印刷機202と接続されており、随時、加工機201および印刷機202の機械情報を取得して、機械情報DB113を更新するものとする。さらに、印刷システムは、作業工程ごとに、作業実績DB112を更新するものとする。印刷システムの端末から不具合情報が入力された場合は、これを作業実績DB112に反映するものとする。なお、作業実績DB112の更新は、熟練度算出システム100が実行するようにしてもよい。
【0053】
図5は、作業実績DB112の一例である。作業実績DB112には、案件(案件名)ごとに作業実績が記録されている。作業実績DB112には、各案件名に対応して、「作業工程」、「使用機械」、「作業者」および「不具合」が記録されている。不具合として、「検品評価」および「クレーム」が記録されている。検品評価は、印刷工場内での検品時に指摘された不具合である。クレームは、制作依頼主(顧客)から指摘された不具合である。
【0054】
たとえば、案件Aの作業工程「印刷」において、作業者として「作業者A」が作業を実施し、使用機械として「印刷機A」が使用されたことが記録されている。案件Aには不具合は記録されていない。
【0055】
案件Aの作業工程「綴り製本」において、作業者として「作業者A」が作業を実施し、使用機械として「製本機B」が使用されたことが記録されている。案件Aには、顧客からのクレームとして本の「落丁」があったことが「不具合」として記録されている。
【0056】
案件Bの作業工程「印刷」において、作業者として「作業者B」が作業を実施し、使用機械として「印刷機B」が使用されたことが記録されている。案件Bには、社内での検品時の検品評価として印刷物の「汚れあり」が「不具合」として記録されている。
【0057】
図6は、熟練度DB114の一例である。熟練度DB114には、作業者ごとの熟練度が記録されている。本実施の形態では、評価項目ごとに熟練度をA~Cの3段階で評価している。熟練度「A」は、該当する評価項目の作業の熟練度が高いことを示す。熟練度「C」は、該当する評価項目の作業の熟練度が低いことを示す。熟練度「B」は、該当する評価項目の作業の熟練度が中程度であることを示す。つまり、A、B、Cの順に熟練度が高いことを意味する。
【0058】
熟練度は、制作仕様(「評価項目1」とも称する)、作業工程(「評価項目2」とも称する)、機械(「評価項目3」とも称する)といった評価項目ごとに記録されている。具体的には、熟練度DB114には、各作業者に対応した「制作仕様」、「作業工程」および「機械」のそれぞれに対する熟練度が記録されている。
【0059】
評価項目1(制作仕様)は、「制作仕様A(たとえば、綴り製本)」、「制作仕様B(たとえば、ポスター)」、「制作仕様C」を含む。熟練度DB114は、これらの制作仕様ごとの熟練度が記録されている。評価項目1おいては、たとえば、無線綴じ本、大判ポスター、名刺等といった制作仕様に対する作業者の熟練度が示される。
【0060】
評価項目2(作業工程)は、「作業工程1(たとえば、印刷)」、「作業工程2(たとえば、製本)」、「作業工程3」を含む。熟練度DB114は、これらの作業工程ごとの熟練度が記録されている。評価項目2においては、たとえば、特殊紙に対する印刷、断裁、無線綴じといった作業工程に対する作業者の熟練度が示される。
【0061】
評価項目3(機械)は、「印刷機A」、「印刷機B」を含む。熟練度DB114は、これらの機械ごとの熟練度が記録されている。評価項目3においては、たとえば、印刷機、折り機、裁断機、製本機といった印刷工場が保有する機械に対する作業者の熟練度が示される。
【0062】
本例において、熟練度DB114には、作業者として、作業者A、作業者B、作業者C等のデータが記録されている。たとえば、作業者Aの、制作仕様Aの熟練度は「A」であり、制作仕様Bの熟練度は「A」であり、制作仕様Cの熟練度は「B」である。作業者Aの、作業工程1の熟練度は「A」であり、作業工程2の熟練度は「A」であり、作業工程3の熟練度は「A」である。作業者Aの、印刷機Aの熟練度は「A」であり、印刷機Bの熟練度は「B」である。
【0063】
作業者Bの、制作仕様Aの熟練度は「B」であり、制作仕様Bの熟練度は「A」であり、制作仕様Cの熟練度は「C」である。作業者Bの、作業工程1の熟練度は「B」であり、作業工程2の熟練度は「A」であり、作業工程3の熟練度は「C」である。作業者Bの、印刷機Aの熟練度は「A」であり、印刷機Bの熟練度は「C」である。
【0064】
作業者Cの、制作仕様Cの熟練度は「B」であり、作業工程2の熟練度は「B」であり、印刷機Bの熟練度は「B」である。作業者Cについては、制作仕様A、制作仕様B、作業工程1、作業工程3、印刷機Aの作業を行っていないため、熟練度の評価がされていない。
【0065】
上記例では、制作仕様Aの依頼を受けた場合、品質の高い印刷物を制作する(あるいは作業時間を短縮する)ためには、熟練度の高い作業者Aに作業をさせるとよいことが分かる。作業工程3の工程を実施する場合、熟練度の高い作業者Aに作業をさせることで、高品質化あるいは作業時間の短縮化を図ることができる。印刷機Aを用いた作業を実施する場合、熟練度の高い作業者Aまたは作業者Bに作業をさせることで、高品質化あるいは作業時間の短縮化を図ることができる。
【0066】
以下、フローチャートを用いて、熟練度算出システム100が実行する処理を説明する。図7は、熟練度算出システム100が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。本処理は、たとえば、1つの案件の作業が完了するたびに起動するようにすればよい。あるいは、1つの案件を複数の作業者が担当する場合は、各担当者の作業が完了するたびに本処理を起動するようにしてもよい。
【0067】
本処理が開始すると、取得部11は、S101において、作業実績DB112から作業実績を取得する。取得部11は、S102において、案件情報DB111から案件情報を取得する。取得部11は、S103において、機械情報DB113から機械情報を取得する。これにより、図3図5に例示された各データベースの情報が取得される。
【0068】
算出部12は、S104において、案件に含まれる作業工程を1人の作業者が全て実施したか否かを判定する。算出部12は、案件に含まれる作業工程を1人の作業者が全て実施したと判定した場合(S104でYES)、処理をS105に進める。算出部12は、案件に含まれる作業工程を1人の作業者が全て実施したと判定しなかった場合(S104でNO)、処理をS106に進める。
【0069】
たとえば、図3に示された案件Aにおいて、作業者Aが制作仕様「綴り製本」の全ての作業工程を実施したとする。この場合、算出部12は、S105において、制作仕様に対する熟練度算出処理(詳細は、図8参照)を実行する。これにより、作業者Aにおいて、制作仕様「綴り製本」の熟練度が算出される。作業者Aは、制作仕様「綴り製本」の作業工程のうち、1つでも実施していない作業工程がある場合は、制作仕様「綴り製本」の熟練度が算出されない。
【0070】
算出部12は、S106において、作業工程に対する熟練度算出処理(詳細は、図9参照)を実行する。上記例において、作業者Aが制作仕様「綴り製本」の全ての作業工程を実施した場合は、全ての作業工程について熟練度が算出される。作業者Aが制作仕様「綴り製本」の一部の作業工程を実施した場合は、実施した作業工程のそれぞれについて熟練度が算出される。
【0071】
算出部12は、S107において、制作時に機械を使用したか否かを判定する。算出部12は、制作時に機械を使用したと判定した場合(S107でYES)、処理をS108に進める。算出部12は、制作時に機械を使用したと判定しなかった場合(S107でNO)、処理をS109に進める。
【0072】
算出部12は、S108において、機械に対する熟練度算出処理(詳細は、図10参照)を実行する。たとえば、上記例において、案件Aの作業工程には、「印刷」および「綴り製本」が含まれている。そして、作業実績DB(図5)において、案件Aの作業工程「印刷」には「印刷機A」が使用され、案件Aの作業工程「綴り製本」には「製本機B」が使用されていることが示されている。このケースにおいては、「印刷機A」および「製本機B」の熟練度が算出される。作業工程において機械が使用されていない場合(検品等)、機械に対する熟練度は算出されない。
【0073】
更新部13は、S109において、熟練度DB114を更新して、本処理を終了する。たとえば、上記例では、図6において、評価項目1(制作仕様)において「綴り製本(たとえば、制作仕様A)」の熟練度が更新される。評価項目2(作業工程)において「DTP(たとえば、作業工程1)」、「印刷(たとえば、作業工程2)」、「綴り製本」、「検品」、「梱包」の熟練度が更新される。評価項目3(機械)において「印刷機A」、「製本機B」の熟練度が更新される。
【0074】
熟練度の算出にあたっては、各評価項目に関して案件の制作を実施した回数等を用いて評価を行う。一例として、作業者Aが「無線綴じ製本」の制作を実施した場合、たとえば、以下の熟練度が上がる。
【0075】
無線綴じ製本の制作により、評価項目1として、「無線綴じ製本」の熟練度が上がる。無線綴じ製本の制作により、評価項目2として、「カラー印刷」、「断裁」、「無線綴じ」等の各作業工程に対する熟練度が上がる。無線綴じ製本の制作により、評価項目3として、カラー印刷に使用した「印刷機A」、断裁に用いた「断裁機B」、無線綴じに使用した「製本機C」の各機械に対する熟練度が上がる。
【0076】
一方で、作業者Aが無線綴じ製本の制作の内、「印刷作業」のみの作業工程を実施した場合、以下の熟練度が上がる。印刷作業の実施により、評価項目2として、「カラー印刷」の作業工程に対する熟練度が上がる。印刷作業の実施により、評価項目3として、カラー印刷に使用した「印刷機A」に対する熟練度が上がる。
【0077】
図8は、制作仕様に対する熟練度算出処理を表わすフローチャートである。印刷物の仕様には、制作作業において実施される作業工程が異なる複数の制作仕様(制作仕様A,B,C・・・)がある。算出部12は、複数の制作仕様の各々に対する熟練度を算出する。制作仕様に対する熟練度算出処理においては、算出対象となる作業者かつ算出対象となる制作仕様における熟練度を算出する。
【0078】
制作仕様に対する熟練度算出処理が開始すると、算出部12は、S201において、対象となる作業者かつ対象となる制作仕様の情報を抽出情報として抽出する。図7で示した例においては、実行した案件Aにおいて、対象となる作業者は「作業者A」であり、対象となる制作仕様は「綴り製本」である。
【0079】
この場合、まず、案件情報DB111の、案件Aの「綴り製本」における全ての作業工程(DTP、印刷、綴り製本、検品、梱包等)を抽出する。次に、作業実績DB112から作業者Aに関するデータを抽出する。さらに、機械情報DB113から機械情報も読み出す。
【0080】
算出部12は、S202において、熟練度算出処理(詳細は、図11参照)を実行して、本処理を終了する。上記例においては、熟練度算出処理が実行されると、作業者Aの制作仕様「綴り製本」の熟練度が算出される。
【0081】
この場合、DTP、印刷、綴り製本、検品、梱包等(綴り製本における全ての作業工程)の全ての作業が実施されている場合に、制作仕様「綴り製本」が1セット実施されたものとしてカウントされる。この場合、原則として、制作仕様「綴り製本」のセットが実施された回数が多いほど制作仕様「綴り製本」の熟練度が高いものとして評価される。ただし、抽出されたデータにおいて、不具合の発生が記録されている場合(たとえば、「落丁」のクレームあり)等において、熟練度がマイナス評価される。
【0082】
図9は、作業工程に対する熟練度算出処理を表わすフローチャートである。制作作業は、複数の作業工程から成る。算出部12は、複数の作業工程(作業工程1,2,3・・・)の各々に対する熟練度を算出する。作業工程に対する熟練度算出処理においては、算出対象となる作業者かつ算出対象となる作業工程における熟練度を算出する。
【0083】
作業工程に対する熟練度算出処理が開始すると、算出部12は、S301において、対象となる作業者かつ対象となる作業工程の情報を抽出情報として抽出する。上記例においては、実行した案件Aにおいて、対象となる作業者は「作業者A」であり、対象となる作業工程は「DTP」、「印刷」、「綴り製本」、「検品」、「梱包」等である。作業実績DB112から、作業者Aに関する作業工程「DTP」、「印刷」、「綴り製本」、「検品」、「梱包」等のデータを抽出する。さらに、機械情報DB113から機械情報も読み出す。
【0084】
算出部12は、S302において、熟練度算出処理(詳細は、図11参照)を実行して、本処理を終了する。上記例においては、熟練度算出処理が実行されると、作業者Aの「DTP」、「印刷」、「綴り製本」、「検品」、「梱包」等の各熟練度が算出される。
【0085】
たとえば、作業工程「印刷」の熟練度を算出する場合、原則として、作業工程「印刷」の実施回数が多いほど熟練度が高いものとして評価される。ただし、抽出された作業工程「印刷」のデータにおいて、不具合の発生が記録されている場合(たとえば、「汚れあり」の検品評価あり)等において、熟練度がマイナス評価される。
【0086】
図10は、機械に対する熟練度算出処理を表わすフローチャートである。制作作業は、複数の機械(加工機201、印刷機202)のうちの1つ以上を使用して行われることがある。算出部12は、複数の機械(印刷機A,B・・・)の各々に対する熟練度を算出する。機械に対する熟練度算出処理においては、算出対象となる作業者かつ算出対象となる機械における熟練度を算出する。
【0087】
たとえば、同じ印刷機であっても、印刷機Aと印刷機Bとでは操作方法が異なる等、機械ごとに特性の違いがある。このため、個別の機械に対して作業者がどれだけ熟知しているかを評価するために、機械ごとの熟練度を算出するようにしている。
【0088】
機械に対する熟練度算出処理が開始すると、算出部12は、S401において、対象となる作業者かつ対象となる機械の情報を抽出情報として抽出する。上記例においては、実行した案件Aにおいて、対象となる作業者は「作業者A」であり、対象となる機械は「印刷機A」、「製本機B」である。作業実績DB112から、作業者Aに関する機械「印刷機A」、「製本機B」のデータを抽出する。さらに、機械情報DB113から機械情報も読み出す。
【0089】
算出部12は、S402において、熟練度算出処理(詳細は、図11参照)を実行して、本処理を終了する。上記例においては、熟練度算出処理が実行されると、作業者Aの機械「印刷機A」および「製本機B」の各熟練度が算出される。
【0090】
この場合、たとえば、機械「印刷機A」の熟練度を算出する場合、原則として、機械「印刷機A」の実施回数が多いほど熟練度が高いものとして評価される。ただし、抽出された機械「印刷機A」のデータにおいて、不具合の発生が記録されている場合(たとえば、「落丁」のクレームあり)等において、熟練度がマイナス評価される。
【0091】
以下、熟練度算出処理について説明する。図11は、熟練度算出処理を表わすフローチャートである。算出部12は、取得されたデータベース情報(案件情報DB111、作業実績DB112、機械情報DB113に記録された情報)に基づき評価情報を算出する。そして、算出部12は、評価情報に基づき熟練度を算出する。
【0092】
「評価情報」とは、少なくとも実施履歴と不具合履歴とを含む情報である。実施履歴は、作業者が制作作業を実施した履歴(本実施の形態においては、制作作業を実施した回数)である。不具合履歴は、作業者による制作作業において生じた不具合の履歴(本実施の形態においては、不具合の回数)である。
【0093】
このように、作業者が制作作業を実施した履歴に基づいて熟練度を評価するのみならず、作業者による制作作業において生じた不具合の履歴も加味して熟練度を評価することで、印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度をより正確に算出することができる。これにより、適切に作業者の熟練度を評価することができるため、印刷工場が受注する案件にあった作業者を適切に割り当てることが可能となる。
【0094】
本実施の形態においては、評価情報は、実施履歴、第1の履歴、第2の履歴、第3の履歴および不具合履歴を含むよう構成される。不具合履歴は、第4の履歴および第5の履歴を含む。上述のデータベース情報は、第1の情報、第2の情報および第3の情報を含んでいる。算出部12は、データベース情報に基づき実施履歴を算出する。
【0095】
第1の情報は、制作作業に使用する機械の操作をやり直したことを特定可能な情報である。第1の履歴は、作業者が機械の操作をやり直した履歴(本実施の形態においては、機械の操作をやり直した回数)である。算出部12は、第1の情報に基づき第1の履歴を算出する。
【0096】
第2の情報は、制作作業に使用する機械に故障が発生したことを特定可能な情報である。第2の履歴は、作業者が使用している機械に故障が発生した履歴(本実施の形態においては、故障が発生した回数)である。算出部12は、第2の情報に基づき第2の履歴を算出する。
【0097】
第3の情報は、印刷物の再制作を実施したことを特定可能な情報である。第3の履歴は、作業者が印刷物の再制作を実施した履歴(本実施の形態においては、再制作を実施した回数)である。算出部12は、第3の情報に基づき第3の履歴を算出する。
【0098】
第4の履歴は、印刷物の検品作業において指摘された不具合の履歴(本実施の形態においては、検品作業における不具合の回数)である。第5の履歴は、印刷物の依頼主からのクレームにおいて指摘された不具合の履歴(本実施の形態においては、クレームによる不具合の回数)である。算出部12は、データベース情報に基づき不具合履歴(第4の履歴、第5の履歴)を算出する。
【0099】
算出部12は、実施履歴、第1の履歴、第2の履歴、第3の履歴および不具合履歴(第4の履歴、第5の履歴)を含めた評価情報に基づき熟練度を算出する。
【0100】
なお、本実施の形態において、「履歴」とは「回数」を意味するが、これに限らない。たとえば、実施履歴は、作業者が制作作業を実施するたびに実施ポイントが付され、この実施ポイントの積算値を意味するものであってもよい。第1の履歴おいて、操作をやり直すたびにやり直した操作の種類に応じたポイントが付され、このポイントの積算値を意味するものであってもよい。第4の履歴において、指摘された不具合の種類に応じたポイントが付され、このポイントの積算値を意味するものであってもよい。
【0101】
以下、フローチャートを用いて具体的に説明する。図11に示すように、熟練度算出処理が開始すると、算出部12は、S501において、データベース情報から抽出した抽出情報から、対象とする評価項目の実施回数(つまり、「実施履歴」)を算出する。
【0102】
たとえば、図8の例において、制作仕様に対する熟練度が算出される場合、「作業者A」が制作仕様は「綴り製本」を実施した回数(セット数)を算出する。図9の例において、作業工程に対する熟練度が算出される場合、「作業者A」が作業工程「DTP」、「印刷」、「綴り製本」、「検品」、「梱包」等のそれぞれを実施した回数を算出する。図10の例において、機械に対する熟練度が算出される場合、「作業者A」が機械「印刷機A」、「製本機B」のそれぞれを実施した回数を算出する。
【0103】
以下、作業工程に対する熟練度として、「作業者A」の作業工程「印刷」の熟練度を算出する場合について説明する。作業実績DB112から抽出された「作業者A」が「印刷」を実施したデータから、「作業者A」が「印刷」を実施した回数をカウントした結果、「21回」であったとする。
【0104】
算出部12は、S502において、データベース情報から抽出した抽出情報から機械操作のやり直し(以下「事象1」と称する)の回数(つまり、「第1の履歴」)を算出する。事象1は、たとえば、印刷機や製本機などを操作している際の設定のやり直し等を含む。熟練度が低い場合、印刷機や製本機を動作させるためのパラメータ設定がうまくいかず、何度もやり直すことがある。このため、上記事象を、熟練度の低さを評価するための指標として使用している。
【0105】
上述の、制作作業に使用する機械の操作をやり直したことを特定可能な第1の情報は、作業実績DB112および機械情報DB113に記録されている。上記「作業者A」の作業工程「印刷」の熟練度を算出する例において、作業実績DB112から抽出された23回の「作業者A」が「印刷」を実施したデータにおいて、使用機械として「印刷機A」および「印刷機B」が使用されていたものとする。
【0106】
この場合、機械情報DB113から、「印刷機A」または「印刷機B」のデータにおいて、「作業者A」が機械操作をやり直したデータを抽出する。たとえば、機械名称「印刷機A」の状態として、何らかの操作が取り消されて再度当該操作が実行されたものが含まれている場合、そのデータを抽出する。「作業者A」が「印刷機A」または「印刷機B」の操作をやり直した回数が「3回」であった場合、「機械操作のやり直し回数」が「3回」として算出される。
【0107】
算出部12は、S503において、データベース情報から抽出した抽出情報から機械故障(以下「事象2」と称する)の発生回数(つまり、「第2の履歴」)を算出する。事象2は、たとえば、紙詰まりなどの印刷機や折り機などを操作している際の機械の故障等を含む。
【0108】
熟練度が低い場合、たとえば、印刷機への紙のセットのやり方が悪いために、紙詰まりを誘発する原因となり得る。10枚同時に紙送りされるようなトラブルに対しては、紙と紙の間に空気を入れることで正常に1枚ずつ紙送りされるように対処する等、熟練度によって、機械故障の発生頻度も異なる。このため、上記事象を、熟練度の低さを評価するための指標として使用している。
【0109】
上述の、制作作業に使用する機械に故障が発生したことを特定可能な第2の情報は、機械情報DB113に記録されている。上記「作業者A」の作業工程「印刷」の熟練度を算出する例において、機械情報DB113から、「作業者A」が作業した「印刷機A」または「印刷機B」のデータにおいて、機械故障が発生したデータを抽出する。
【0110】
たとえば、作業者Aが作業した印刷機Aの状態が「紙詰まり発生」である場合、機械故障が発生したデータとして抽出する。このように、ハードウェアあるいはソフトウェアトラブルにより機械が停止するよう状態が記録されている場合、機械故障が発生したものとしてデータが抽出される。
【0111】
算出部12は、S504において、データベース情報から抽出した抽出情報から再制作を実施(以下「事象3」と称する)した回数(つまり、「第3の履歴」)を算出する。事象3は、たとえば、品質不良等による制作のやり直し等を含む。本事象も、熟練度の低さを評価するための指標として使用される。
【0112】
上述の、印刷物の再制作を実施したことを特定可能な第3の情報は、機械情報DB113および案件情報DB111に記録されている。上記「作業者A」の作業工程「印刷」の熟練度を算出する例において、機械情報DB113から、「作業者A」が作業した「印刷機A」または「印刷機B」のデータにおいて、再制作が実施されたデータを抽出する。
【0113】
図示しないが、案件情報DB111の情報には、その案件の制作部数の情報が含まれる。たとえば、案件Aの商品Aを100部印刷することが定められているとする。これに対応する機械情報DB113のデータにおいて、たとえば、作業者Aが印刷機Aで商品A(ファイルA)を100部印刷した後に、さらに、作業者Aが印刷機Aで商品A(ファイルA)を1部印刷していたとする。両データを比較することで、必要な100部の商品Aの印刷に対して、商品Aが1部再制作されたことを検出できる。
【0114】
この場合、再制作の実施回数が「1回」として算出される。あるいは、再制作が実施されたときの部数に限らず、印刷処理が実行された回数を再制作の実施回数として算出してもよく、たとえば、再制作が実施された印刷処理において3部印刷された場合に、再制作の実施回数を「3回」とするなど、部数でカウントするようにしてもよい。
【0115】
算出部12は、S505において、データベース情報から抽出した抽出情報から検品評価での不具合(以下「事象4」と称する)の発生回数(つまり、「第4の履歴」)を集計する。事象4は、印刷物制作後の印刷工場内での検品評価による指摘等である。上記「作業者A」の作業工程「印刷」の熟練度を算出する例では、作業実績DB112から、「作業者A」が作業工程「印刷」を実行したデータが集計対象となる。
【0116】
そして、この集計対象となるデータのうち、「不具合」の「検品評価」の項目に不具合情報が記載されているデータを抽出する。たとえば、「検品評価」の項目に「汚れあり」、「落丁」等の不具合情報が記載される場合に、検品評価での不具合回数としてカウントされる。この不具合は、印刷工場内での検品作業において指摘された不具合である。
【0117】
算出部12は、S506において、データベース情報から抽出した抽出情報からクレームによる不具合(以下「事象5」と称する)の発生回数(つまり、「第5の履歴」)を集計する。事象5は、たとえば、納品した印刷物に対する制作依頼主からのクレーム等を含む。上記「作業者A」の作業工程「印刷」の熟練度を算出する例では、作業実績DB112から、「作業者A」が作業工程「印刷」を実行したデータが集計対象となる。
【0118】
そして、この集計対象となるデータのうち、「不具合」の「クレーム」の項目に不具合情報が記載されているデータを抽出する。たとえば、「クレーム」の項目に「汚れあり」、「落丁」等の不具合情報が記載される場合に、検品評価での不具合回数としてカウントされる。この不具合は、顧客からのクレームにより指摘された不具合である。
【0119】
事象4における不具合は印刷工場内で指摘されたものであり、事象5における不具合は、依頼主から指摘されたものであり、いずれも印刷物の品質に起因する不具合である。「依頼者からのクレーム」は、依頼主あるいは依頼主を経由して印刷物を購入したエンドユーザからの印刷物に関する苦情、不具合の指摘等を指す。
【0120】
算出部12は、S507において、実施回数(実施履歴)に基づき評価値0を算出する。本実施の形態では、S501で算出された実施回数に係数K0を乗じたものを評価値0として算出する。たとえば、上記「作業者A」の作業工程「印刷」の熟練度を算出する例において、実施回数が「23回」であるので、評価値0=23×K0となる。
【0121】
算出部12は、S508において、機械操作のやり直し回数(第1の履歴)に基づき評価値1を算出する。つまり、評価値1は、事象1に基づく評価値である。本実施の形態では、S502で算出された機械操作のやり直し回数に係数K1を乗じたものを評価値1として算出する。たとえば、この回数が1回であった場合、評価値1=1×K1となる。評価値1は、実施回数(23回)に対する機械操作のやり直し頻度(1回/23回)に基づいた評価値であると言える。
【0122】
算出部12は、S509において、機械故障の発生回数(第2の履歴)に基づき評価値2を算出する。つまり、評価値2は、事象2に基づく評価値である。本実施の形態では、S503で算出された機械故障の発生回数に係数K2を乗じたものを評価値2として算出する。たとえば、この回数が0回であった場合、評価値2=0×K2となる。評価値2は、実施回数(23回)に対する機械故障の発生頻度(0回/23回)に基づいた評価値であると言える。
【0123】
算出部12は、S510において、再制作を実施した回数(第3の履歴)に基づき評価値3を算出する。つまり、評価値3は、事象3に基づく評価値である。本実施の形態では、S504で算出された再制作を実施した回数に係数K3を乗じたものを評価値3として算出する。たとえば、この回数が0回であった場合、評価値3=0×K3となる。評価値3は、実施回数(23回)に対する再制作の実施頻度(0回/23回)に基づいた評価値であると言える。
【0124】
算出部12は、S511において、検品評価での不具合回数(第4の履歴)に基づき評価値4を算出する。つまり、評価値4は、事象4に基づく評価値である。本実施の形態では、S505で算出された検品評価での不具合回数に係数K4を乗じたものを評価値4として算出する。たとえば、この回数が1回であった場合、評価値4=1×K4となる。評価値4は、実施回数(23回)に対する検品評価での不具合の発生頻度(1回/23回)に基づいた評価値であると言える。
【0125】
算出部12は、S512において、依頼者からのクレームによる不具合回数(第5の履歴)に基づき評価値5を算出する。つまり、評価値5は、事象5に基づく評価値である。本実施の形態では、S506で算出されたクレームによる不具合回数に係数K5を乗じたものを評価値5として算出する。たとえば、この回数が0回であった場合、評価値5=0×K5となる。評価値5は、実施回数(23回)に対するクレームによる不具合の発生頻度(0回/23回)に基づいた評価値であると言える。
【0126】
算出部12は、S513において、評価値=評価値0-評価値1-評価値2-評価値3-評価値4-評価値5の式により、評価値を算出する。このように、算出部12は、実施履歴と第1の履歴と第2の履歴と第3の履歴と第4の履歴と第5の履歴とから算出される、評価値0と評価値1と評価値2と評価値3と評価値4と評価値5とに基づき、熟練度を算出している。
【0127】
評価値は、実施回数が多ければ多いほど大きくなる。これにより、作業者の熟練度が上げることになる。一方、実施回数に対して、機械操作のやり直し頻度、機械故障の発生頻度、再制作の実施頻度、検品評価での不具合の発生頻度、クレームによる不具合、つまり、事象1~5の発生頻度のうちの1つまたは複数の頻度が高ければ評価値が小さくなる。これにより、作業者の熟練度が下がることになる。
【0128】
上記例では、評価値=23×K0-1×K1-0×K2-0×K3-1×K4-0×K5となる。仮に、K0=1、K2=K3=K4=K5=2である場合、評価値=23-1×2-0×2-0×2-1×2-0×2=19となる。
【0129】
ただし、これに限らず、重要度の高い評価項目の係数を相対的に大きく設定するようにすればよい。たとえば、K1<K2<K3<K4<K5のように設定した場合、クレームによる不具合の発生頻度、検品評価での不具合の発生頻度、再制作の実施頻度、機械故障の発生頻度、機械操作のやり直し頻度の順に評価項目の重要度が高くなる。また、不具合の評価において、「汚れあり」、「落丁」などの不具合の内容に応じて評価値を異ならせるようにしてもよい(「汚れあり」、「落丁」とで係数を異ならせる)。故障内容、操作のやり直しの内容に応じて評価値を異ならせるようにしてもよい。
【0130】
算出部12は、S514において、評価値に基づき熟練度を決定し、本処理を終了する。本実施の形態では、評価値がh1(たとえば、10)以下である場合に、熟練度をCと決定する。評価値がh1より大きくh2(たとえば、20)以下である場合に、熟練度をBと決定する。評価値がh2より大きい場合に、熟練度をAと決定する。
【0131】
上記例では、評価値(=19)はh1(=10)より大きくh2(=20)以下であるため、熟練度は「B」と決定される。本例では、作業工程「印刷」を23回実施することにより、評価値0によるプラス評価(+23)がされている。一方で、機械操作のやり直しによる評価値1のマイナス評価(-1回×2)および検品評価での不具合による評価値3のマイナス評価(-1回×2)が発生している。
【0132】
仮に、評価値1~5によるマイナス評価がない場合、実施回数が10回以下では熟練度がCに設定され、実施回数が10回を超えると熟練度がBに設定され、実施回数が20回を超えると熟練度がAに設定されることになる。つまり、実施回数を重ねるほど、熟練度が高く評価される。
【0133】
上記例において、実施回数21回であり、この間、評価値1~5によるマイナス評価がなかった場合、評価値=21(21回)であるため、熟練度がAに設定される。次に実施したとき(実施回数22回)に、機械操作のやり直し(事象1)による評価値1のマイナス評価(-1回×2)があった場合、評価値=22(評価値0)-1×2(評価値1)=20となる。評価値がh2(=20)以下となったため、熟練度は「A」から「B」に変更される。つまり、評価値1~5のいずれかによるマイナス評価があった場合は、熟練度を決定する評価値が下がることになる。
【0134】
さらに、次に実施したとき(実施回数23回)に、検品評価での不具合(事象4)の発生による評価値4のマイナス評価(-1回×2)があった場合、評価値=23(評価値0)-1×2(評価値1)-1×2(評価値1)=19となり、熟練度は「B」に設定される。この場合、検品評価での不具合の発生により、評価値が20から19に下がっている。以降、マイナス評価がなく実施回数を重ねた場合、熟練度が再度Aに設定されることになる。
【0135】
上述のように、本実施の形態では、評価情報に基づき熟練度を算出している。評価情報は、実施履歴、第1の履歴、第2の履歴、第3の履歴、不具合履歴(第4の履歴、第5の履歴)を含む。ただし、評価情報としては、少なくとも実施履歴および不具合履歴を含めばよい。つまり、実施履歴と不具合履歴とに基づき熟練度を算出すればよい。あるいは、実施履歴と第4の履歴とに基づき熟練度を算出してもよいし、実施履歴と第5の履歴とに基づき熟練度を算出してもよいし、実施履歴と第1の履歴と不具合履歴とに基づき熟練度を算出してもよいし、実施履歴と第2の履歴と不具合履歴とに基づき熟練度を算出してもよいし、実施履歴と第3の履歴と不具合履歴とに基づき熟練度を算出してもよいし、どのような組合せで不具合履歴を算出するようにしてもよい。
【0136】
また、上記熟練度の算出方法はあくまで一例である。実施履歴に基づく評価により熟練度が上がるように評価され、上述した実施履歴以外の履歴に基づく評価により熟練度が下がるように評価されるものであれば、どのような算出方法により熟練度を算出してもよい。
【0137】
以上説明したように、本実施の形態において、取得部11は、制作作業に係るデータベース情報(案件情報DB111、作業実績DB112および機械情報DB113の情報)を取得する。算出部12は、取得されたデータベース情報に基づき、作業者が制作作業を実施した実施履歴と、作業者による制作作業において生じた不具合の不具合履歴とを含む評価情報を算出する。算出部12は、実施履歴と不具合履歴とを含む評価情報に基づき熟練度を算出する。
【0138】
このように、作業者が制作作業を実施した履歴に基づいて熟練度を評価するのみならず、作業者による制作作業において生じた不具合の履歴も加味して熟練度を評価することで、印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度をより正確に算出することができる。これにより、適切に作業者の熟練度を評価することができるため、印刷工場が受注する案件にあった作業者を適切に割り当てることが可能となる。
【0139】
印刷物の仕様には、制作作業において実施される作業工程が異なる複数の制作仕様がある。算出部12は、複数の制作仕様の各々に対する熟練度を算出する。これにより、制作仕様ごとの作業者の熟練度をより正確に算出することができる。
【0140】
制作作業は、複数の作業工程から成る。算出部12は、複数の作業工程の各々に対する熟練度を算出する。これにより、作業工程ごとの作業者の熟練度をより正確に算出することができる。
【0141】
制作作業は、複数の機械(加工機201、印刷機202)のうちの1つ以上を使用して行われることがある。算出部12は、複数の機械の各々に対する熟練度を算出する。これにより、機械ごとの作業者の熟練度をより正確に算出することができる。
【0142】
データベース情報は、制作作業に使用する機械の操作をやり直したことを特定可能な第1の情報を含む。算出部12は、評価情報として、第1の情報に基づき作業者が機械の操作をやり直した第1の履歴をさらに算出する。算出部12は、第1の履歴を含めた評価情報に基づき熟練度を算出する。これにより、熟練度が低いために発生する機械の操作のやり直しも加味して、作業者の熟練度をより正確に算出することができる。
【0143】
データベース情報は、制作作業に使用する機械に故障が発生したことを特定可能な第2の情報を含む。算出部12は、評価情報として、第2の情報に基づき作業者が使用している機械に故障が発生した第2の履歴をさらに算出する。算出部12は、第2の履歴を含めた評価情報に基づき熟練度を算出する。これにより、熟練度が低いために発生する機械の故障も加味して、作業者の熟練度をより正確に算出することができる。
【0144】
データベース情報は、印刷物の再制作を実施したことを特定可能な第3の情報を含む。
算出部12は、評価情報として、第3の情報に基づき作業者が印刷物の再制作を実施した第3の履歴をさらに算出する。算出部12は、第3の履歴を含めた評価情報に基づき熟練度を算出する。これにより、熟練度が低いために発生する印刷物の再制作も加味して、作業者の熟練度をより正確に算出することができる。
【0145】
不具合履歴は、印刷物の検品作業において指摘された不具合の第4の履歴を含む。これにより、印刷物の制作時に指摘された不具合の発生を加味して、作業者の熟練度をより正確に算出することができる。
【0146】
不具合履歴は、印刷物の依頼主からのクレームにおいて指摘された不具合の第5の履歴を含む。これにより、依頼主により指摘された不具合の発生を加味して、作業者の熟練度をより正確に算出することができる。
【0147】
(付記)
以上のように、本実施の形態は以下のような開示を含む。
【0148】
[構成1]
印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度を算出する熟練度算出システムであって、
前記制作作業に係るデータベース情報を取得する取得部と、
前記熟練度を算出する算出部とを備え、
前記算出部は、
取得された前記データベース情報に基づき、前記作業者が前記制作作業を実施した実施履歴と、前記作業者による前記制作作業において生じた不具合の不具合履歴とを含む評価情報を算出し、
前記実施履歴と前記不具合履歴とを含む前記評価情報に基づき前記熟練度を算出する、熟練度算出システム。
【0149】
[構成2]
前記印刷物の仕様には、前記制作作業において実施される作業工程が異なる複数の制作仕様があり、
前記算出部は、前記複数の制作仕様の各々に対する前記熟練度を算出する、構成1に記載の熟練度算出システム。
【0150】
[構成3]
前記制作作業は、複数の作業工程から成り、
前記算出部は、前記複数の作業工程の各々に対する前記熟練度を算出する、構成1または構成2に記載の熟練度算出システム。
【0151】
[構成4]
前記制作作業は、複数の機械のうちの1つ以上を使用して行われることがあり、
前記算出部は、前記複数の機械の各々に対する前記熟練度を算出する、構成1~3のいずれかに記載の熟練度算出システム。
【0152】
[構成5]
前記データベース情報は、前記制作作業に使用する機械の操作をやり直したことを特定可能な第1の情報を含み、
前記算出部は、
前記評価情報として、前記第1の情報に基づき前記作業者が前記機械の操作をやり直した第1の履歴をさらに算出し、
前記第1の履歴を含めた前記評価情報に基づき前記熟練度を算出する、構成1~4のいずれかに記載の熟練度算出システム。
【0153】
[構成6]
前記データベース情報は、前記制作作業に使用する機械に故障が発生したことを特定可能な第2の情報を含み、
前記算出部は、
前記評価情報として、前記第2の情報に基づき前記作業者が使用している前記機械に故障が発生した第2の履歴をさらに算出し、
前記第2の履歴を含めた前記評価情報に基づき前記熟練度を算出する、構成1~5のいずれかに記載の熟練度算出システム。
【0154】
[構成7]
前記データベース情報は、前記印刷物の再制作を実施したことを特定可能な第3の情報を含み、
前記算出部は、
前記評価情報として、前記第3の情報に基づき前記作業者が前記印刷物の再制作を実施した第3の履歴をさらに算出し、
前記第3の履歴を含めた前記評価情報に基づき前記熟練度を算出する、構成1~6のいずれかに記載の熟練度算出システム。
【0155】
[構成8]
前記不具合履歴は、前記印刷物の検品作業において指摘された不具合の第4の履歴を含む、構成1~7のいずれかに記載の熟練度算出システム。
【0156】
[構成9]
前記不具合履歴は、前記印刷物の依頼主からのクレームにおいて指摘された不具合の第5の履歴を含む、構成1~8のいずれかに記載の熟練度算出システム。
【0157】
[構成10]
印刷物の制作作業を行う作業者の熟練度を算出する熟練度算出方法であって、
前記制作作業に係るデータベース情報を取得するステップと、
前記熟練度を算出するステップとを備え、
前記算出するステップは、
取得された前記データベース情報に基づき、前記作業者が前記制作作業を実施した実施履歴と、前記作業者による前記制作作業において生じた不具合の不具合履歴とを含む評価情報を算出するステップと、
前記実施履歴と前記不具合履歴とを含む前記評価情報に基づき前記熟練度を算出するステップとを含む、熟練度算出方法。
【0158】
[構成11]
構成10に記載の熟練度算出方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
【0159】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0160】
1 CPU、2 マウス、3 キーボード、4 RAM、5 ハードディスク、6 光ディスク駆動装置、7 通信インターフェイス、8 モニタ、9 CD-ROM、10 演算装置、11 取得部、12 算出部、13 更新部、100 熟練度算出システム、111 案件情報DB、112 作業実績DB、113 機械情報DB、114 熟練度DB、201 加工機、202 印刷機。
図1
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図11