(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096564
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電気機器および電気機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20240709BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240709BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H05K1/02 F
H05K1/02 Q
H05K1/02 B
H05K1/02 N
H05K7/20 B
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000121
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】301072650
【氏名又は名称】NECスペーステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】田中 明佳
【テーマコード(参考)】
5E322
5E338
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322FA04
5E338AA01
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB05
5E338BB51
5E338BB75
5E338CC06
5E338CC08
5E338CD17
5E338EE02
5E338EE32
5F136BB01
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA23
(57)【要約】
【課題】電気部品の放熱効率が良く、より容易に製造することが可能な電気機器等を提供する。
【解決手段】電気機器は、電気部品が実装される配線基板を含む電気機器であって、前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品に電気的に接続される配線層と、前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品からの熱を放熱する放熱層と、可撓性を有する材料によって形成され、前記配線基板の側面から延出され、前記放熱層および前記電気部品の間を熱的に接続する延出部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品が実装される配線基板を含む電気機器であって、
前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品に電気的に接続される配線層と、
前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品からの熱を放熱する放熱層と、
可撓性を有する材料によって形成され、前記配線基板の側面から延出され、前記放熱層および前記電気部品の間を熱的に接続する延出部と、
を備えた電気機器。
【請求項2】
前記延出部が、
前記電気部品を構成する面のうちで、前記配線層と向き合う面と反対側の面に、熱的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記延出部が、
前記電気部品を構成する面のうちで、前記配線層と向き合う面に、熱的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項4】
前記延出部が、複数に分割され、
分割された前記延出部のうちの少なくとも1つが、前記電気部品と熱的に接続され、
分割された前記延出部のうちの少なくとも1つが、前記配線基板の外部の放熱部と熱的に接続される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項5】
前記放熱層がグランド電極を兼ねる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項6】
前記延出部が、
前記放熱層の一部によって形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項7】
前記放熱層および前記延出部が、
前記放熱層の面内方向の熱伝導率が高く、前記放熱層の厚さ方向の熱伝導率が低い異方性熱伝導の性質を有する
ことを特徴とする請求項6に記載の電気機器。
【請求項8】
前記放熱層および前記延出部が、
グラファイトシートによって形成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の電気機器。
【請求項9】
電気部品が実装される配線基板を含む電気機器の製造方法であって、
前記電気機器は、
前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品に電気的に接続される配線層と、
前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品からの熱を放熱する放熱層と、
可撓性を有する材料によって形成され、前記放熱層と熱的に接続され、前記配線基板の側面から延出された延出部と、
を備え、
前記延出部を前記電気部品に熱的に接続させる、
ことを特徴とする電気機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の、高集積化および高速化に伴って、プロセッサや画像処理IC(Integrated Circuit)などの電気部品の発熱量が増大している。これらの電気部品は電気機器の筐体内に収容される。これらの電気部品の発熱量が増大すると、電気部品の温度が正常動作範囲を超える恐れがある。このため、これらの電気部品から生じる熱を逃がす技術の重要性が増している。
【0003】
例えば、特許文献1には、電気部品の放熱を効率よく行おうとするための技術が開示されている。この技術では、放熱層が一体的に積層されたプリント基板(本願の配線基板に相当)が用いられる。プリント基板の1つの絶縁層と別の絶縁層との間に、放熱層が積層されている。そして、放熱層の一端側がプリント基板の側面から外部に延出されている。また、延出された放熱層が、曲折自在な可撓性を有する。この延出された放熱層が筐体の壁面等に接触される。このような構成により、電気部品から絶縁層、放熱層、および筐体へと順次、熱が伝えられる。これにより、電気部品の放熱が効率よく行われる。また、特許文献1には、放熱層が露出されるように、絶縁層に凹部を設ける構成も開示されている。この構成では、露出した放熱層に電気部品の熱が伝達される。このため、電気部品の放熱が、さらに効率よく行われるとされている。
【0004】
また、特許文献2にも関連する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-233904号公報
【特許文献2】特開2018-147996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、電気部品を放熱層に接触させるために、絶縁層に凹部を設ける必要があった。つまり、電気部品の製造においては、凹部を設けるための工程が必要であった。このため、製造工程が複雑になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、電気部品の放熱効率が良く、より容易に製造することが可能な電気機器等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の電気機器は、電気部品が実装される配線基板を含む電気機器であって、前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品に電気的に接続される配線層と、前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品からの熱を放熱する放熱層と、可撓性を有する材料によって形成され、前記配線基板の側面から延出され、前記放熱層および前記電気部品に熱的に接続される延出部と、を備える。
【0009】
また、本発明の電気機器の製造方法は、電気部品が実装される配線基板を含む電気機器の製造方法であって、前記電気機器は、前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品に電気的に接続される配線層と、前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品からの熱を放熱する放熱層と、可撓性を有する材料によって形成され、前記放熱層と熱的に接続され、前記配線基板の側面から延出された延出部と、を備え、前記延出部を前記電気部品に熱的に接続させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果は、電気部品の放熱効率が良く、より容易に製造することが可能な電気機器等を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態の電気機器を示す平面図である。
【
図2】第1の実施形態の電気機器を示す断面図である。
【
図3】第1の実施形態の電気機器の変形例1を示す断面図である。
【
図4】第1の実施形態の電気機器の変形例1の一具体例を示す平面図である。
【
図5】第1の実施形態の電気機器の変形例2を示す平面図である。
【
図6】第1の実施形態の電気機器の変形例2を示す断面図である。
【
図7】第1の実施形態の電気機器の変形例3を示す斜視図である。
【
図8】第1の実施形態の電気機器の変形例3を示す断面図である。
【
図9】第1の実施形態の電気機器の変形例4を示す斜視図である。
【
図10】第1の実施形態の電気機器の変形例4を示す断面図である。
【
図11】第1の実施形態の電気機器の変形例5を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の電気機器100を示す平面図である。また、
図2は、第1の実施形態の電気機器100を示す断面図である。電気機器100は、配線基板1と、電気部品2とを有する。なお、電気部品は、本発明において、必須の構成要素ではなく、省略可能である。
【0014】
配線基板1は、配線層11、延出部12および放熱層13が設けられている。
図1および
図2の例では、配線層11および放熱層13はそれぞれ一層である。しかし、配線基板1には、表面又は内部に少なくとも一層の配線層11が形成されてもよい。また、配線基板1には、表面又は内部に少なくとも一層の放熱層13が形成されてもよい。また、配線層11おとび放熱層13の間には、絶縁層(不図示)が設けられている。配線層11は、例えば、導電性部材(例えば、アルミニウムや銅など)により形成されている。また、配線基板1の表面には、配線9が形成されている。この配線9は、配線基板1の表面側の配線層をエッチングするなどして形成される。この配線9の一部がさらに絶縁層で被覆されても良い。放熱層13は、例えば、熱伝導性部材(例えば、アルミニウムや銅やグラファイトシートなど)により、形成されている。絶縁層は、ガラスエポキシやポリイミド等の絶縁性材料により形成されている。
【0015】
配線層11は、配線基板1の少なくとも上面(表側の表面、
図2の紙面の上側)に形成されている。上述の通り、配線基板1には、表面又は内部に少なくとも一層の配線層11が形成されてもよい。配線層11上の配線9には、電気部品2が電気的に接続される。
図1、
図2の例では、配線層11の上面(
図2の紙面の上側)に、絶縁層(
図2にて不図示)を介して、配線9が形成されている。上述の通り、配線層11は、例えば、導電性部材(例えば、アルミニウムや銅など)により、形成されている。そして、配線層11の備える配線9に、電気部品2に電気的に接続されている。なお、配線9は、アルミニウムや銅などの導電性部材により形成されている。
【0016】
放熱層13は、配線基板1の下面(裏側の表面、
図2の紙面の下側)に形成されている。具体的には、放熱層13は、絶縁層(
図2にて不図示)を介して、配線層11に重ね合わせられている。すなわち、
図2の例では、放熱層13、絶縁層(
図2にて不図示)および配線層11の順で各層が積層されている。上述の通り、配線基板1には、表面又は内部に少なくとも一層の放熱層13が形成されてもよい。後述するように、延出部12を介して、放熱層13が電気部品2の熱を受熱する。そして、放熱層13が、電気部品2からの熱を放熱する。放熱層13は、例えば、熱伝導性部材(例えば、アルミニウムや銅やグラファイトシートなど)により、形成されている。そして、例えば、ベタパターンとして、放熱層13が配線層11に積層される。なお、ベタパターンは、例えば、信号配線の空きスペースに部材をベタ塗りすることで作成される。また、放熱層13が、グランド電極を兼ねても良い。
【0017】
延出部12は、配線基板1に設けられている。延出部12は、配線基板1の側面から延出される。延出部12は、可撓性を有する材料によって形成される。より好ましくは、延出部12は、可撓性に加えて、さらに湾曲自在性を有するとよい。延出部12が可撓性および湾曲自在性を有することで、延出部12の所望の位置への接続が可能になる。また、延出部12の材料には、熱伝導性部材が用いられる。具体的には、延出部12の材料には、例えば、熱伝導性部材(例えば、アルミニウムや銅やグラファイトシートなど)のシート材を用いることができる。
【0018】
図1および
図2の例では、放熱層13と延出部12が一体に形成されている。この場合、延出部12の材料は放熱層13と同じである。つまり、例えば、放熱層13の材料が銅であれば、延出部12の材料も銅である。また、放熱層13の材料がグラファイトシートであれば、延出部12の材料もグラファイトシートである。
【0019】
ここで、グラファイトシートについて説明する。グラファイトシートは、異方性熱伝導の性質を持つ材料である。その熱伝導率は面内方向で高く、厚さ方向で低い。このため、一体に形成された放熱層13および延出部として、グラファイトシートが用いられると、電気部品2の熱が速やかに放熱層13に放熱される。一方で、配線基板1の中で放熱層13に隣り合う層には熱が伝達しにくい。つまり、放熱層13の熱が配線層11には伝達されにくい。その結果、配線層11上に実装された放熱対象以外の部品に熱が伝達されない。このため、配線層11上の耐熱性の低い部品の破損が防止される。
【0020】
なお、延出部12は、放熱層13とは別部材で形成されてもよい。この場合、延出部12の材料は放熱層13と異なってもよいし、同じであってもよい。延出部12が放熱層13とは別部材で形成された場合、延出部12の一端部は、放熱層13に熱的に接続され、延出部12の他端部は、電気部品2に熱的に接続される。具体的には、延出部12の一端部は、たとえば、熱圧着やはんだ付けなどにより、放熱層13に接続される。後述のように、延出部12の他端部は、たとえば、電気部品2に直接貼り付けられる。あるいは、粘着テープなどによって、延出部12の他端部が電気部品2に貼り付けられる。
【0021】
なお、延出部12の表面および裏面の一方または双方に、可撓性且つ絶縁性を有する部材(ポリイミドなど)を貼り付けてもよい。これにより、延出部12が他の部品と接触しても、他の部品との間の短絡(ショート)が抑制される。延出部12は、放熱層13および電気部品2の間を熱的に接続する。つまり、延出部12によって、放熱層13と電気部品2とが、熱的に接続される。
【0022】
ここで、延出部12の接続関係を詳しく説明する。例えば、電気部品2を構成する面のうちで、配線層11と向き合う面と反対側の面(
図2にて紙面上側の面)に、延出部12が熱的に接続される。例えば、はんだや熱伝導率の高い接着剤等からなる接着層3によって、延出部12が電気部品2に、熱的に接続される。あるいは、延出部12が電気部品2に直接、接触され、粘着テープ等で固定されても良い。なお、配線基板1に電気部品2を実装する表面実装の分野では、配線層11と向き合う面を電気部品2の下面と称されるのが慣例である。そして、配線層11と向き合う面と反対の面を電気部品2の上面と称されるのが慣例である。このため、以降の説明では、上記の慣例にならって、電気部品2の上面および下面の文言が使用される。
【0023】
なお、電気部品2と延出部12の電気的な接続は、用途に応じて定められる。例えば、放熱層13がグランド電極で、電気部品2の上面にグランド電極があれば、両者が電気的に接続される。一方、電気部品2の回路と延出部12との電気的接続が好ましくなければ、両者が絶縁される。
【0024】
以上の構成では、電気部品2で発生した熱が、延出部12に伝達され、延出部12から放熱層13に放熱される。すなわち、延出部12を介して、電気部品2で発生した熱が放熱層13に伝達される。そして、その熱が主に放熱層13で放熱される。すなわち、電気部品2で発生した熱は、電気部品2および延出部12でも放熱される。しかし、主として放熱層13で、電気部品2で発生した熱が放熱される。こうして、電気部品2の放熱効率が良い電気機器100が構成される。また、延出部12が電気部品2に接続されて放熱構造が形成される。つまり、電気機器100を筐体に取り付ける前に、放熱構造の形成が完了する。このため、電気機器100を筐体に取り付ける際に放熱構造が形成される特許文献1の構成よりも、本実施形態の電気機器100の方が、製造作業が容易である。
【0025】
(変形例1)
図3は、第1の実施形態の電気機器100の変形例1を示す断面図である。変形例1では、取り付け部材20によって、配線基板1が、配線基板1の外部にある放熱部21に取り付けられている。
【0026】
電気部品2で発生した熱は、接着層3を介して延出部12に伝達される。延出部12の熱は放熱層13に放熱される。さらに、取り付け部材20を介して、放熱層13の熱が放熱部21に伝達される。そして、その熱が放熱部21で放熱される。こうして、電気部品2で発生した熱が、効率よく放熱される。なお、放熱部21が、電気部品2を収容する筐体の一部であっても良い。
【0027】
図4は、第1の実施形態の電気機器100の変形例1の一具体例を示す平面図である。本具体例では、配線層11に3つの電気部品2が実装されている。そして、それぞれの電気部品2に、延出部12が熱的に接続されている。このように、延出部12によって、複数の電気部品2が、放熱層13に熱的に接続されても良い。
【0028】
(変形例2)
図5は、第1の実施形態の電気機器100の変形例2を示す平面図である。また、
図6は、第1の実施形態の電気機器100の変形例2を示す断面図である。
【0029】
図1、2に例示した電気機器100では、延出部12が、電気部品2の上面に接続されていた。変形例2では、延出部12が電気部品2の下面に、熱的に接続される。なお、下面は、電気部品2を構成する面のうちで、配線層11と向き合う面である。また、上面は、下面と反対側の面である。
【0030】
図5、6に示されているように、配線層11上の配線に電気部品2が電気的に接続されている。そして、電気部品2の下面に延出部12が熱的に接続されている。接続は、例えば、熱伝導率の高い接着層3によって行われる。この際、例えば、延出部12が、電気部品2に接続する配線9から離間している。これにより、電気部品2の動作への、延出部12の影響が防止される。
【0031】
製造に当たっては、例えば、先に延出部12が電気部品2の下面に接続され、後に電気部品2が配線層11に接続される。このようにすると、作業が容易である。
【0032】
(変形例3)
図7は、第1の実施形態の電気機器100の変形例3を示す斜視図である。また、
図8は、第1の実施形態の電気機器100の変形例3を示す断面図である。変形例3の電気機器100では、配線基板1に電気部品2が実装されている。また、配線基板1が、配線層11と放熱層13と第2の配線層11aを備えている。また、取り付け部材20によって、配線基板1が放熱部21に取り付けられている。なお、
図8では、電気部品2と延出部12とを接続する接着層3の記載が省略されている。
【0033】
そして、変形例3では、延出部12が2つに分割されている。さらに、分割された延出部12のうちの少なくとも1つが、電気部品2と熱的に接続される。また、分割された延出部12のうちの少なくとも1つが、配線基板1の外部の放熱部21に熱的に接続される。
【0034】
この構成では、電気部品2で発生した熱が延出部12を介して放熱層13および放熱部21に放熱される。このため、電気部品2で発生した熱が、効率よく放熱される。
【0035】
なお、変形例3の構成は
図7、8の例に限られず、延出部12が3つ以上に分割されても良い。
【0036】
(変形例4)
図9は、第1の実施形態の電気機器100の変形例4を示す斜視図である。また、
図10は、第1の実施形態の電気機器100の変形例4を示す断面図である。変形例4では、配線基板1が、複数の配線層11と複数の放熱層13を備えている。ここでは、配線基板1に、配線層11と、第2の配線層11aと、第3の配線層11bと、放熱層13と、第2の放熱層13aが設けられている。
【0037】
そして、延出部12が電気部品2と放熱層13とを熱的に接続している。また、第2の延出部12aが、第2の放熱層13aと放熱部21とを熱的に接続している。電気部品2で発生した熱が、延出部12を介して放熱層13に伝達される。第2の配線層11aおよび取り付け部材20を介して、放熱層13の熱が第2の放熱層13aに伝達される。そして、第2の延出部12aおよび取り付け部材20を介して、第2の放熱層13aの熱が、放熱部21伝達される。その熱が、放熱部21で放熱される。
【0038】
以上のような熱の移動によって、電気部品2で発生した熱が効率よく放熱される。なお、配線層11および放熱層13の数は上記の例に限られない、例えば、配線層11が4つ以上でも良い。また放熱層13が3つ以上でも良い。
【0039】
(変形例5)
図11は、第1の実施形態の電気機器100の変形例5を示す断面図である。変形例5は、変形例4の構成とほぼ同じである。ただし、変形例4の構成に加えて、延出部12と第2の延出部12aとの間に伝熱部材4が設けられている。伝熱部材4によって、延出部12と第2の延出部12aとが熱的に接続される。伝熱部材4は、熱伝導性材料によって形成されている。具体的には、例えば、はんだ、導電ペーストの固化物などによって、伝熱部材4が形成される。
【0040】
この構成では、電気部品2で発生した熱が、延出部12に伝達される。次いで、延出部12の熱が、伝熱部材4を介して第2の延出部12aに伝達される。そして、その熱が放熱部21に放熱される。以上のようにして、電気部品2で発生した熱が、効率よく放熱される。
【0041】
以上、本実施形態の電気機器100等について説明した。
【0042】
本実施形態の電気機器100は、電気部品2が実装される配線基板1を含む電気機器である。配線基板1の表面又は内部には、配線層11が少なくとも一層形成される。配線層11が、電気部品2と電気的に接続される。また、配線基板1の表面又は内部には、放熱層13が少なくとも一層形成される。放熱層13が、電気部品2からの熱を放熱する。可撓性を有する材料によって、延出部12が形成される。配線基板1の側面から、延出部12が延出される。放熱層13および電気部品2の間を、延出部12が熱的にする。
【0043】
以上の構成では、電気部品2で発生した熱が、延出部12に伝達され、延出部12から放熱層13に放熱される。こうして、電気部品2の放熱効率が良い電気機器100が構成される。また、延出部12が電気部品2に接続されて放熱構造が形成される。つまり、電気機器100を筐体に取り付ける前に、放熱構造の形成が完了する。このため、電気機器100を筐体に取り付ける際に放熱構造が形成される特許文献1の構成よりも、本実施形態の電気機器100の方が、製造が容易である。
【0044】
また、一態様によれば、電気機器100において、電気部品2を構成する面のうちで、配線層11と向き合う面と反対側の面に、延出部12が熱的に接続される。
【0045】
一般的に、電気部品2において、配線層11と向き合う面と反対側の面は、面積が大きい。このため、この面と、延出部12を熱的に接続することで、熱抵抗が低くなる。
【0046】
また、一態様によれば、電気機器100において、電気部品2を構成する面のうちで、配線層と向き合う面に、延出部12が熱的に接続される。
【0047】
リードを持つ半導体チップなどの電気部品2では、チップ本体と配線層11との間に隙間がある。この隙間において、電気部品2の配線層11と向き合う面は、比較的面積が大きい。このため、この面と、延出部12を熱的に接続することで、熱抵抗が低くなる。
【0048】
また、一態様によれば、電気機器100において、延出部12が、複数に分割される。そして、分割された延出部12のうちの少なくとも1つが、電気部品2と熱的に接続される。また、分割された延出部12のうちの少なくとも1つが、配線基板1の外部の放熱部21に熱的に接続される。
【0049】
この構成では、電気部品2で発生した熱が延出部12を介して放熱層13および放熱部21に放熱される。このため、電気部品2で発生した熱が、効率よく放熱される。
【0050】
また、一態様によれば、電気機器100において、放熱層13がグランド電極を兼ねる。
【0051】
配線基板1において、放熱層13が、大面積に形成される。放熱層13が導体であれば、電位が安定である。このため、放熱層13が、グランド電極に好適である。
【0052】
また、一態様によれば、電気機器100において、延出部12が、放熱層13の一部によって形成される。
【0053】
配線基板1では、少なくとも一層の配線層11と少なくとも一層の放熱層13が積層されている。例えば、放熱層13が配線基板1の側面から延出されることで、容易に延出部12が形成される。
【0054】
また、一態様によれば、電気機器100において、放熱層13および延出部12が、異方性熱伝導の性質を有する。この異方性熱伝導の性質では、放熱層13および延出部12の面内方向の熱伝導率が高い。一方。放熱層13および延出部12の厚さ方向の熱伝導率が低い。
【0055】
このような放熱層13および延出部12を用いると、延出部12の高熱伝導率の方向に電気部品2と放熱層13とが接続されている。このため、電気部品2から放熱層13電気部品2の熱が速やかに放熱層13に放熱される。また、速やかに、熱が放熱層13の面内に拡散される。一方で、配線基板1の中で放熱層13に隣り合う層には熱が伝達しにくい。つまり、放熱層13の熱が配線層11には伝達されにくい。その結果、配線層11上に実装された放熱対象以外の部品に熱が伝達されない。このため、配線層11上の耐熱性の低い部品の破損が防止される。
【0056】
また、一態様によれば、電気機器100において、放熱層13および延出部12が、グラファイトシートによって形成されている。
【0057】
グラファイトシートは、異方性熱伝導性の材料である。すなわち、グラファイトシートにおいては、面内方向の熱伝導率が高く、厚さ方向の熱伝導率が低い。そして、面内方向の熱伝導率が、金属のアルミニウムや銅よりも高い。この異方性熱伝導の性質では、放熱層13および延出部12の面内方向の熱伝導率が高い。一方、厚さ方向の熱伝導率が、面内方向より2桁程度小さい。このため、グラファイトシートは、上記の異方性熱伝導の性質を備えた材料に好適である。
【0058】
また、本実施形態の電気機器の製造方法は、電気機器100の製造方法である。電気機器100は、電気部品2が実装される配線基板1を含む。また、電気機器100は、電気部品2が実装される配線基板1を含む電気機器である。配線基板1の表面又は内部には、配線層11が少なくとも一層形成される。配線層11が、電気部品2と電気的に接続される。また、配線基板1の表面又は内部には、放熱層13が少なくとも一層形成される。放熱層13が、電気部品2からの熱を放熱する。延出部12が、可撓性を有する材料によって形成される。延出部12が、放熱層13と熱的に接続される。配線基板1の側面から延出部12が延出される。そして、本実施形態の電気機器の製造方法では、延出部12が電気部品に熱的に接続される。
【0059】
以上の構成では、延出部12が放熱層13に熱的に接続されている。そして、延出部12が、配線基板1の外部に延出され、かつ、可撓性を有する。このため、延出部12が電気部品2に容易に接続できる。これにより、電気部品2で発生した熱を放熱層13に放熱する構成が容易に形成される。
【0060】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0061】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
電気部品が実装される配線基板を含む電気機器であって、
前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品に電気的に接続される配線層と、
前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品からの熱を放熱する放熱層と、
可撓性を有する材料によって形成され、前記配線基板の側面から延出され、前記放熱層および前記電気部品の間を熱的に接続する延出部と、
を備えた電気機器。
(付記2)
前記延出部が、
前記電気部品を構成する面のうちで、前記配線層と向き合う面と反対側の面に、熱的に接続される、
ことを特徴とする付記1に記載の電気機器。
(付記3)
前記延出部が、
前記電気部品を構成する面のうちで、前記配線層と向き合う面に、熱的に接続される、
ことを特徴とする付記1に記載の電気機器。
(付記4)
前記延出部が、複数に分割され、
分割された前記延出部のうちの少なくとも1つが、前記電気部品と熱的に接続され、
分割された前記延出部のうちの少なくとも1つが、前記配線基板の外部の放熱部と熱的に接続される、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一付記に記載の電気機器。
(付記5)
前記放熱層がグランド電極を兼ねる、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか一付記に記載の電気機器。
(付記6)
前記延出部が、
前記放熱層の一部によって形成される、
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか一付記に記載の電気機器。
(付記7)
前記放熱層および前記延出部が、
前記放熱層の面内方向の熱伝導率が高く、前記放熱層の厚さ方向の熱伝導率が低い異方性熱伝導の性質を有する
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか一項に記載の電気機器。
(付記8)
前記放熱層および前記延出部が、
グラファイトシートによって形成されている、
ことを特徴とする付記7に記載の電気機器。
(付記9)
電気部品が実装される配線基板を含む電気機器の製造方法であって、
前記電気機器は、
前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品に電気的に接続される配線層と、
前記配線基板の表面又は内部に少なくとも一層形成され、前記電気部品からの熱を放熱する放熱層と、
可撓性を有する材料によって形成され、前記放熱層と熱的に接続され、前記配線基板の側面から延出された延出部と、
を備え、
前記延出部を前記電気部品に熱的に接続させる、
ことを特徴とする電気機器の製造方法。
【符号の説明】
【0062】
1 配線基板
2 電気部品
3 接着層
4 伝熱部材
9 配線
11 配線層
12 延出部
13 放熱層
20 取り付け部材
21 放熱部
100 電気機器