(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096588
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電動作業車
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240709BHJP
A01D 34/68 20060101ALI20240709BHJP
A01D 34/64 20060101ALI20240709BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20240709BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20240709BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240709BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
A01D34/68 K
A01D34/64 A
B60L53/80
B60L58/18
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000164
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓実
(72)【発明者】
【氏名】山田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】伊東 寛和
【テーマコード(参考)】
2B083
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083CA07
2B083CA28
2B083DA03
2B083DA08
2B083HA19
3D235AA14
3D235BB26
3D235BB41
3D235CC12
3D235CC15
3D235DD38
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH08
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC13
5H125BC26
5H125BC29
5H125BC30
5H125EE27
5H125FF06
(57)【要約】
【課題】長時間の作業走行を実現し、かつ、バッテリ交換をするときの作業負担を軽減することができる電動作業車を提供する。
【解決手段】走行可能な機体3と、機体3に収納された第一バッテリ20と、機体3の後部に上下揺動可能に連結された三点リンク機構Tと、三点リンク機構Tを揺動駆動可能な駆動装置と、三点リンク機構Tに着脱可能に取り付けられた第二バッテリ60と、が備えられ、三点リンク機構Tの揺動駆動により、第二バッテリ60が接地する下降状態と、第二バッテリ60が対地上昇する上昇状態と、に切り換え可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な機体と、
前記機体に収納された第一バッテリと、
前記機体の後部に上下揺動可能に連結された三点リンク機構と、
前記三点リンク機構を揺動駆動可能な駆動装置と、
前記三点リンク機構に着脱可能に取り付けられた第二バッテリと、が備えられ、
前記三点リンク機構の揺動駆動により、前記第二バッテリが接地する下降状態と、前記第二バッテリが対地上昇する上昇状態と、に切り換え可能に構成されている電動作業車。
【請求項2】
前記第二バッテリが前記上昇状態のときに、前記第二バッテリを、前記機体に連結支持する支持機構が備えられている請求項1に記載の電動作業車。
【請求項3】
前記第一バッテリからの給電と前記第二バッテリからの給電とを自動又は手動で切り替える切替機構が備えられている請求項1又は2に記載の電動作業車。
【請求項4】
前記切替機構に、前記第一バッテリからの給電と前記第二バッテリからの給電とを手動で切り替える切替操作部が備えられている請求項3に記載の電動作業車。
【請求項5】
前記切替機構は、前記第一バッテリ及び前記第二バッテリのうち、給電中である一方のバッテリの残量が一定値未満になったときに、自動で他方のバッテリの給電に切り替える請求項3に記載の電動作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三点リンク機構を備え、バッテリから給電されるモータによって駆動される電動作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動作業車において、モーアユニット等の作業装置を用いて、長時間の作業走行を実現するために稼働時間を長くしようとすると、例えば、特許文献1に記載されているように、主バッテリとは別に補完バッテリを備える必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電動作業車では、主バッテリ及び補完バッテリの両方の蓄電量が無くなると、それ以降、作業走行を続けることができなくなる。また、例えば、補完バッテリを、充電済みの別のバッテリと交換しようとすると、重量が大きなバッテリを高い位置まで持ち上げる必要があり、バッテリ交換をするときに、大きな作業負担がかかるものであった。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、長時間の作業走行を実現し、かつ、バッテリ交換をするときの作業負担を軽減することができる電動作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動作業車は、走行可能な機体と、前記機体に収納された第一バッテリと、前記機体の後部に上下揺動可能に連結された三点リンク機構と、前記三点リンク機構を揺動駆動可能な駆動装置と、前記三点リンク機構に着脱可能に取り付けられた第二バッテリと、が備えられ、前記三点リンク機構の揺動駆動により、前記第二バッテリが接地する下降状態と、前記第二バッテリが対地上昇する上昇状態と、に切り換え可能に構成されている。
【0007】
この発明によれば、作業車の駆動輪又は作業装置等に電力を供給するバッテリとして、第一バッテリに加えてされに第二バッテリを備えているため、第一バッテリのみ備えている場合と比べて、長時間の作業走行を実現することが可能となる。また、第二バッテリが、3点リンク機構に脱着可能に備えられているため、第二バッテリを別の充電済みのバッテリに交換することができることから、さらに長時間の作業走行を実現できるとともに、3点リンク機構の揺動駆動により第二バッテリを対地上昇させることができ、高い位置までバッテリを持ち上げる作業を要しないため、バッテリ交換に伴う作業負荷を軽減することが可能となる。
【0008】
本発明においては、前記第二バッテリが前記上昇状態のときに、前記第二バッテリを、前記機体に連結支持する支持機構が備えられていると好適である。
【0009】
この構成によれば、第二バッテリが支持機構により支持されるため、第二バッテリが上昇状態において、第二バッテリの落下等を、より好適に防ぐことが可能となる。
【0010】
本発明においては、前記機体は、前記機体の後側部分に、左右の縦フレーム部と左右の前記縦フレーム部の上端同士をつなぐ横フレーム部とを有する保護フレームを備え、前記支持機構は、左右の前記縦フレーム部と前記第二バッテリの左右の側壁とをそれぞれ連結する二つの連結部材で構成されていると好適である。
【0011】
この構成によれば、第二バッテリが、連結部材によって、強固に構成されている保護フレームに直接連結されるため、より強固に第二バッテリの落下等を防ぐことが可能となる。
【0012】
本発明においては、前記第一バッテリからの給電と前記第二バッテリからの給電とを自動又は手動で切り替える切替機構が備えられていると好適である。
【0013】
この構成によれば、第一バッテリと第二バッテリとを切り替える切替機構を備えているため、例えば、第一バッテリの蓄電量が少なくなった場合に、第二バッテリに手動又は自動で切り替えることができる。よって、第一バッテリによる作業車の駆動輪又は作業装置等への電力の供給が不足する場合には、第一バッテリから第二バッテリに切り替えることで、第二バッテリから電力を供給でき、電動作業車の稼働時間を長く確保できる。
【0014】
本発明においては、前記切替機構に、前記第一バッテリからの給電と前記第二バッテリからの給電とを手動で切り替える切替操作部が備えられていると好適である。
【0015】
この構成によれば、操作者が第一バッテリ又は第二バッテリのいずれから電力を供給するのかを切り替えることが可能となり、使用するバッテリの選択の自由度を高めることができる。
【0016】
本発明においては、前記切替機構は、前記第一バッテリ及び前記第二バッテリのうち、給電中である一方のバッテリの残量が一定値未満になったときに、自動で他方のバッテリの給電に切り替えると好適である。
【0017】
この構成によれば、給電中のバッテリの残量が一定値未満になったときに、自動でバッテリの切替が行われるため、作業走行の途中で操作者によるバッテリの切替操作が不要となり、操作者の操作負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】走行装置及び草刈機の電気系統を示すブロック図である。
【
図4】上昇状態の電動トラクタを示す側面図である。
【
図5】別実施形態における電動トラクタの平面図である。
【
図6】別実施形態における電動トラクタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0020】
〔トラクタの全体構成〕
図1及び
図2に示すように、右及び左の前輪1(本発明の「走行装置」に相当)、右及び左の後輪2(本発明の「走行装置」に相当)により、機体3が支持されている。機体3の前部にボンネット4が設けられ、機体3の後部に運転部5が設けられている。運転部5に、前輪1を操向操作する操縦ハンドル6、運転座席7、及びフロア8が設けられている。
【0021】
機体3は、機体3の後側部分に運転座席7の後側上方を囲うように上方に延びる転倒保護用のロプスフレーム9(本発明の「保護フレーム」に相当)を備える。ロプスフレーム9は、左右一対の縦方向に沿って延びる縦フレーム部9aと、左右の縦フレーム部9aの上端同士を繋いで横方向に沿って延びる横フレーム部9bとを有している。
【0022】
機体3は、右及び左の機体フレーム10、ミッションケース11等を有して構成されている。ミッションケース11は、前ケース12と後ケース13とが連結されて構成されている。右及び左の機体フレーム10が、ミッションケース11に連結されて、運転部5の下方に前後方向に沿って配置されている。ミッションケース11が、運転部5の運転座席7の下方に設けられている。
【0023】
前車軸ケース14が機体フレーム10の前部に支持され、右及び左の前輪1が前車軸ケース14に支持されている。右及び左の後輪2が、ミッションケース11(後ケース13)に支持されている。
【0024】
本実施形態では、フロア8の下方に、作業装置のであり、電力で駆動するモーアユニットMが設けられている。
【0025】
〔三点リンク機構の構成〕
図1及び
図2に示すように、機体3の後部には、三点リンク機構Tが連結されている。三点リンク機構Tは、単一のトップリンク15と、左及び右のロアリンク16と、が備えられている。
【0026】
トップリンク15、右及び左のロアリンク16が、ミッションケース11(後ケース13)の後部に上下に揺動可能に設けられており、ロータリ耕耘装置等の作業装置(図示せず)を、トップリンク15及びロアリンク16に連結することができる。ロアリンク16は機体フレーム10の後部に揺動可能に連結されている。
【0027】
右及び左のリフトアーム17がミッションケース11(後ケース13)の後部に設けられ、リフトアーム17とロアリンク16とに亘って連係ロッド18が接続されている。リフトアーム17が上下に揺動操作されることにより、トップリンク15及びロアリンク16が昇降操作される。
【0028】
また、ボンネット4の内部には、主バッテリ20(本発明の「第一バッテリ」に相当)が備えられている。主バッテリ20は、ボンネット4に覆われ、機体3に収納されている。主バッテリ20の下方には、走行用モータ26(本発明の「第一電動モータ」に相当)が備えられている。
【0029】
〔ミッションケースの構成〕
図3に示すように、静油圧式の無段変速装置28が、ミッションケース11の前ケース12の内部に収容されており、走行用モータ26の動力が伝動軸29を介して無段変速装置28に伝達される。無段変速装置28は、前進側及び後進側に無段階に変速可能であり、運転部5のフロア8に設けられた変速ペダル(図示せず)により操作される。
【0030】
副変速装置30、後輪デフ装置31、前輪変速装置32が、ミッションケース11の後ケース13の内部に収容されている。無段変速装置28により変速された動力が、副変速装置30に伝達され、副変速装置30から後輪デフ装置31を介して後輪2に伝達される。
【0031】
副変速装置30と後輪デフ装置31との間から分岐した動力が、前輪変速装置32に伝達され、前輪変速装置32から伝動軸33を介して、前車軸ケース14の内部に収容された前輪デフ装置34に伝達され、前輪デフ装置34から前輪1に伝達される。
【0032】
PTO変速装置35が、ミッションケース11の後ケース13の内部に収容されており、PTO軸36が、ミッションケース11の後ケース13の後部に設けられている。作業装置がトップリンク15及びロアリンク16に連結された場合、PTO軸36と作業装置とに亘って伝動軸(図示せず)が接続される。
【0033】
走行用モータ26の動力が伝動軸29を介して無段変速装置28に伝達される場合、伝動軸29の動力(無段変速装置28により変速されない動力)が、PTO変速装置35に伝達され、PTO変速装置35により変速された動力がPTO軸36に伝達され、PTO軸36から作業装置に伝達される。
【0034】
単動型の油圧シリンダ37が、ミッションケース11(後ケース13)の後部の上部に設けられており、油圧シリンダ37によりリフトアーム17が昇降操作される。
【0035】
油圧ポンプ38及び制御弁39が、ミッションケース11(後ケース13)の後部の内部に設けられている。ミッションケース11(後ケース13)に貯留される潤滑油が、作動油として油圧ポンプ38に供給され、油圧ポンプ38から制御弁39に供給される。
【0036】
ポンプモータ40が、ミッションケース11(後ケース13)の後部の上部に設けられており、ポンプモータ40により油圧ポンプ38が駆動される。インバータ24において主バッテリ20の直流電力が交流電力に変換され、ポンプモータ40に供給されて、ポンプモータ40が作動する。
【0037】
制御弁39から油圧シリンダ37に対して作動油の給排操作が行われて、油圧シリンダ37によるリフトアーム17の昇降操作が行われるのであり、油圧シリンダ37から排出された作動油が、制御弁39からミッションケース11(後ケース13)に戻される。
【0038】
〔バッテリユニットの取付について〕
図1、
図2、及び
図4に示すように、三点リンク機構Tは、補助バッテリであるバッテリユニット60(本発明の「第二バッテリ」に相当)を取付可能に構成してある。
【0039】
主バッテリ20及びバッテリユニット60は、走行用モータ26、ポンプモータ40、モーアユニットM等に電力を供給する。
【0040】
トップリンク15と左右のロアリンク16とに、バッテリユニット60を取付可能にする被取付部50が備えられている。被取付部50は、トップリンク15及び左右のロアリンク16のうち、機体3に接続されている側とは反対側の端部に設けられている。左右のロアリンク16の端部に、被取付部50として、バッテリユニット60を保持可能な孔50aが設けられ、トップリンク15の端部には、被取付部50として、バッテリユニット60を保持可能な孔50bが設けられている。なお、被取付部50は、三点リンク機構Tに作業機等を支持するために既に設けられている構成を利用してもよい。
【0041】
バッテリユニット60には、バッテリ本体61と、バッテリ本体61を保持するキャリア62と、キャリア62に設けられ、バッテリユニット60を三点リンク機構Tに脱着可能に取り付ける取付部63が備えられている。
【0042】
キャリア62には、バッテリユニット60の前下部に、右及び左のシュー64が下向きに備えられ、バッテリユニット60の後下部における右端部及び左端部の夫々に、右及び左のキャスタ輪として大径キャスタ輪65とが備えられている。バッテリユニット60は、大径キャスタ輪65によって他の荷台等を要さずとも運搬可能に構成されている。
【0043】
取付部63は、バッテリユニット60の左右の前壁の下側部分に設けられ、前方に向けて突出して設けられている側方取付部63aと、バッテリユニット60の前壁の上側部分に設けられている前方取付部63bと、を備える。
【0044】
バッテリユニット60を、三点リンク機構Tに取り付けるとき、ピンPを側方取付部63aに設けられた孔とロアリンク16の端部の孔50aとに挿通し、さらにピンPを前方取付部63bに設けられた孔とトップリンク15の端部の孔50bとに挿通することで、バッテリユニット60は、三点リンク機構Tに保持される。なお、ピンPにスナップピンを係止させて抜け止めされている構成としてもよい。
【0045】
リフトアーム17は、駆動装置であるポンプモータ40の駆動に基づいて、上下揺動可能に構成されている。そして、リフトアーム17の上下揺動に伴ってロアリンク16が上下揺動する。バッテリユニット60と連結されたトップリンク15も、ロアリンク16の上下揺動と連係して上下揺動する。バッテリユニット60は、トップリンク15とロアリンク16との夫々に相対揺動可能に連結され、トップリンク15とロアリンク16との夫々の上下揺動と連係してバッテリユニット60は上下に昇降する。これらの構成により、三点リンク機構Tは、上下揺動可能に構成されている。
【0046】
操作者が高さ設定レバー(図示せず)を操作すると、ポンプモータ40の駆動によりリフトアーム17が揺動し、バッテリユニット60が上下昇降する。このように、三点リンク機構Tの揺動駆動により、
図1に示すようなバッテリユニット60が接地する下降状態と、
図4に示すようなバッテリユニット60が対地上昇する上昇状態と、に切り換え可能に構成されている。
【0047】
バッテリユニット60を上昇状態にすることにより、トラクタは、バッテリユニット60が接地していない状態で、作業走行をすることが可能となる。また、上昇状態では、バッテリユニット60が、機体3の後部に接地していない状態であることから、カウンターウェイトとしての役割をも果たすことができる。なお、バッテリユニット60が下降状態のままでも、シュー64は接地せず、大径キャスタ輪65のみが接地するようにすることで、バッテリユニット60を牽引する状態で、作業走行することも可能である。
【0048】
図4に示すように、ロプスフレーム9には、バッテリユニット60が上昇状態のときに、バッテリユニット60を、機体3に連結支持する支持機構52が備えられている。支持機構52は、機体3に取り付けられるアーム部材52aと、トップリンク15に設けられ、アーム部材52aのうちロプスフレーム9に取り付けられる側とは反対側の端部と連結される保持部52bと、を備える。アーム部材52aと保持部52bとを連結する方法としては、様々な方法があるが、例えば、アーム部材52aの端部がL字状に折り曲げて形成されたフック状に構成され、当該端部を保持部52bに形成された孔に挿通することで連結させる方法がある。アーム部材52aと保持部52bとを連結することにより、バッテリユニット60を、支持機構52及びトップリンク15を介して、機体3に連結支持する。
【0049】
図1及び
図4に示すように、操作者は、バッテリユニット60を三点リンク機構Tに取り付ける際、バッテリユニット60のバッテリ本体61に、ハーネス53を接続する。
図3に示すように、主バッテリ20とバッテリユニット60とは、切替機構54を介して自動又は手動で切替可能に接続されている。なお、バッテリユニット60は、ハーネス53を介して切替機構54に連結される。切替機構54により切り替えられることで、主バッテリ20又はバッテリユニット60と、走行用モータ26及びポンプモータ40とが接続される。
図3に示すように、切替機構54には、主バッテリ20からの給電とバッテリユニット60からの給電とを手動で切り替える切替操作部55が備えられている。切替操作部55は、例えば、シーソースイッチで構成され、運転部5に備えられている構成としてもよいが、これに限られるものではなく、ラジオスイッチ等で構成されていてもよく、また、運転部5以外の箇所に備えられていてもよい。
【0050】
また、切替機構54は、主バッテリ20からモータに供給される電力量と、バッテリユニット60からモータに供給される電力量とを同程度に制御しているのが好ましい。この場合、走行用モータ26及びポンプモータ40は切り替え前後で電力量の変動を受けることなく円滑に駆動される。
【0051】
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。
【0052】
(1)上記実施形態では、1つの主バッテリ20と1つのバッテリユニット60とを備える構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、主バッテリ20とバッテリユニット60とは、それぞれ、複数備えられていてもよい。
【0053】
(2)上記実施形態では、バッテリユニット60には、バッテリ本体61と、バッテリ本体61を保持するキャリア62と、が備えられ、キャリア62に取付部63、シュー64、及び大径キャスタ輪65が備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、バッテリ本体61に取付部63が直接備えられている構成としてもよい。
【0054】
(3)上記実施形態では、支持機構52が備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、支持機構52を備えない構成としてもよい。
【0055】
(4)上記実施形態では、支持機構52は、アーム部材52aと保持部52bとで構成されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、
図5及び
図6に示すように、支持機構52は、左右の縦フレーム部9aとバッテリユニット60の左右の側壁60aとをそれぞれ連結する二つの連結フレーム52c(本発明の「連結部材」に相当)で構成されていてもよい。このとき、左右の縦フレーム部9aと連結フレーム52cとを連結する方法、及び、バッテリユニット60の左右の側壁60aと連結フレーム52cとを連結する方法としては、様々な方法があるが、例えば、左右の縦フレーム部9aとバッテリユニット60の左右の側壁60aと連結フレーム52cとに形成された孔(図示せず)を挿通するビス52dを用いて連結してもよいが、これに限られたものではない。また、支持機構52は、アーム部材52aと保持部52bと二つの連結フレーム52cで構成されていてもよい。なお、
図5及び
図6では、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0056】
(5)上記実施形態では、切替操作部55が備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、切替操作部55を備えない構成としてもよい。このとき、切替機構54は、例えば、主バッテリ20及びバッテリユニット60のうち、給電中である一方のバッテリの残量が一定値未満になったときに、自動で他方のバッテリの給電に切り替える構成としてもよい。
【0057】
(6)上記実施形態では、バッテリユニット60のバッテリ本体61に、ハーネス53を接続する構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、キャリア62にハーネス53を接続し、キャリア62を介してバッテリ本体61と切替機構54とが連結される構成としてもよい。
【0058】
(7)上記実施形態では、トップリンク15はアーム部材52aに設けられた構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、アーム部材52aは、バッテリユニット60のキャリア62に設けられている構成としてもよい。
【0059】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、三点リンク機構を備え、バッテリから給電されるモータによって駆動される電動作業車に利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
3 :機体
20 :主バッテリ(第一バッテリ)
40 :ポンプモータ(駆動装置)
52 :支持機構
54 :切替機構
55 :切替操作部
60 :バッテリユニット(第二バッテリ)
T :三点リンク機構