(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096595
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】光学モジュール、画像投影用光学エンジン、グラスディスプレイ、検体検査装置、光学モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20240709BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20240709BHJP
B81C 3/00 20060101ALI20240709BHJP
G02B 26/08 20060101ALN20240709BHJP
G02B 27/02 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
B81B7/02
B81C3/00
G02B26/08 E
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000175
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】福澤 英明
(72)【発明者】
【氏名】水野 友人
(72)【発明者】
【氏名】小巻 壮
(72)【発明者】
【氏名】青柳 岳
(72)【発明者】
【氏名】アルダラン・ヘシュマティ
(72)【発明者】
【氏名】林 杰曙
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
2H199
3C081
【Fターム(参考)】
2H045AB13
2H045AB72
2H141MA12
2H141MB24
2H141MC06
2H141MD13
2H141MD16
2H141MD20
2H141MD24
2H141MD40
2H141ME01
2H141ME09
2H141ME25
2H141MF21
2H141MF28
2H141MZ03
2H141MZ16
2H141MZ22
2H141MZ24
2H141MZ28
2H199CA12
2H199CA29
2H199CA34
2H199CA42
2H199CA87
3C081AA17
3C081BA28
3C081CA05
3C081CA32
3C081DA27
3C081EA11
3C081EA39
(57)【要約】
【課題】レーザー発光素子、光学レンズ、およびミラーをそれぞれ基板に搭載した後に、光軸調整を行うことが可能な光学モジュール、およびこれを用いた画像投影用光学エンジン、グラスディスプレイ、検体検査装置、光学モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】第1基板の一主面にレーザー発光素子が形成されたレーザー光源部と、第2基板の一主面に光走査ミラー素子が形成されたミラー部と、第3基板の一主面に光学レンズが形成されたレンズ部と、を有し、前記第1基板と前記第3基板とは、金属接合層を介して接合されており、前記レーザー発光素子から出射されたレーザー光を前記光学レンズを介して前記光走査ミラー素子で反射させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の一主面にレーザー発光素子が形成されたレーザー光源部と、
第2基板の一主面に光走査ミラー素子が形成されたミラー部と、
第3基板の一主面に光学レンズが形成されたレンズ部と、を有し、
前記第1基板と前記第3基板とは、金属接合層を介して接合されており、
前記レーザー発光素子から出射されたレーザー光を前記光学レンズを介して前記光走査ミラー素子で反射させることを特徴とする光学モジュール。
【請求項2】
前記第2基板と前記第3基板とは、金属接合層を介して接合されていることを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項3】
前記金属接合層は、少なくとも金、またはスズを含むことを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項4】
前記第1基板、前記第2基板、および前記第3基板は、それぞれ、シリコン基板、酸化アルミニウム基板、窒化アルミニウム基板、石英基板のうち、いずれか1つから構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項5】
前記レーザー発光素子は、380nm以上、800nm未満の波長範囲の可視光域レーザー光を出射することを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項6】
前記レーザー発光素子は、800nm以上、1800nm未満の波長範囲の近赤外域レーザー光を出射することを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項7】
前記レンズ部は、前記光学レンズと、前記光学レンズを支持するシリコンからなるレンズホルダと、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項8】
前記光学レンズは、複数の前記レーザー発光素子からそれぞれ出射されたレーザー光を、前記光走査ミラー素子の1点に集光させるように屈折させることを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項9】
前記第1基板には前記レーザー発光素子に接続される第1配線層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項10】
前記第2基板には前記光走査ミラー素子に接続される第2配線層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項11】
前記光走査ミラー素子はMEMSデバイスであり、反射角度を任意に調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項12】
前記レーザー光源部は複数形成され、それぞれの前記レーザー光源部を構成する前記第1基板が、前記金属接合層を介して、それぞれ前記レンズ部を構成する前記第3基板に接合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項13】
前記光走査ミラー素子の鏡面部の表面は、中心点を通る断面が放物線状を成す凹面鏡であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項14】
請求項1または2に記載の光学モジュールと、
前記第1基板、前記第2基板、および前記第3基板とを載置する1つの共通基板と、
前記共通基板に形成され、前記レーザー発光素子および前記光走査ミラー素子を制御する集積回路と、を有することを特徴とする画像投影用光学エンジン。
【請求項15】
請求項14に記載の画像投影用光学エンジンと、
眼鏡状のフレームと、を有し、
前記画像投影用光学エンジンは、前記フレームのテンプル部に配されることを特徴とするグラスディスプレイ。
【請求項16】
請求項14に記載の画像投影用光学エンジンと、
検査用の検体を載置するステージと、を有し、
前記画像投影用光学エンジンから前記レーザー光を前記ステージに向けて照射させることを特徴とする検体検査装置。
【請求項17】
請求項2に記載の光学モジュールの製造方法であって、
前記第1基板と前記第3基板のうち少なくとも一方の端面、および前記第2基板と前記第3基板のうち少なくとも一方の端面に、それぞれ前記金属接合層の構成材料からなる接合材料をディップする接合材料形成工程と、
前記接合材料を挟んで前記レーザー光源部と前記レンズ部とを隣接させ、また、前記レンズ部と前記ミラー部とを隣接させて配置する配置工程と、
前記レーザー発光素子を発光させたレーザー光を前記光学レンズを介して前記光走査ミラー素子で反射させ、反射させたレーザー光を光学検出装置に入射させるとともに、前記レーザー光源部、前記レンズ部、および前記ミラー部の互いの相対位置を調整して、前記レーザー光の光軸を前記光学レンズのレンズ光軸および前記光走査ミラー素子の中心位置に合わせる調整工程と、
熱線を照射して前記接合材料を溶解し、前記第1基板と前記第2基板、および前記第2基板と前記第3基板とを、前記調整工程での調整位置でそれぞれ接合する接合工程と、
を有することを特徴とする光学モジュールの製造方法。
【請求項18】
前記熱線は、YAGレーザー装置から照射される赤外レーザー光であることを特徴とする請求項17に記載の光学モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュール、画像投影用光学エンジン、グラスディスプレイ、検体検査装置、および光学モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AR(Augmented Reality:拡張現実)グラス、VR(Virtual Reality:仮想現実)グラスは小型のウェアラブルデバイスとして期待されている。このようなデバイスにおいて、フルカラーの可視光を発光する発光素子は、高品質な画像を描画するための中心的な素子の1つである。かかるデバイスにおいては、発光素子が例えば可視光を表現するRGBの3色の各々の強度を独立に高速に変調し、所望の色で動画を表現している。
【0003】
このような発光素子として、特許文献1には可視光のレーザーを導波路に入射して、各色のレーザーチップの出射強度を電流により制御することによりカラーの動画を出射する発光素子が開示されている。また、引用文献2には、光ファイバを介して電気光学効果を有する基板に形成された導波路を有する外部変調器にレーザー光を入射して、外部変調器によりRGBの3色の各々の強度を独立に変調する変調器が開示されている。
【0004】
ARグラス、VRグラスのようなウェアラブルデバイスにおいては、発光モジュールは通常の眼鏡型のサイズに各機能が収まるように小型化されることが普及に対するカギとなっている。こうしたウェアラブルデバイスに適用可能な小型化された発光モジュールは、発光素子から出射されたレーザー光を、導波路などを介することなくミラーによって表示面に向けて直接反射させる構成が考えられている。例えば、特許文献3では、1つの共通の基板上に、レーザー発光素子とミラーとを搭載した光学モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-86976号公報
【特許文献2】特許第6728596号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/0110331号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に開示された光学モジュールは、1つの共通基板上にレーザー発光素子、レンズ、およびミラーそれぞれを固着させた構成であるため、光学モジュールの製造後にレンズに入射するレーザー光の光軸位置を調整することはできなかった。このため、光学モジュールをデバイスに搭載する際に、レーザー光を表示面の所定位置に出射させるために、光学モジュールの搭載位置の調整が煩雑になるという課題があった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、レーザー発光素子、光学レンズ、およびミラーをそれぞれ基板に搭載した後に、光軸調整を行うことが可能な光学モジュール、およびこれを用いた画像投影用光学エンジン、グラスディスプレイ、検体検査装置、光学モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)本発明の第1態様に係る光学モジュールは、第1基板の一主面にレーザー発光素子が形成されたレーザー光源部と、第2基板の一主面に光走査ミラー素子が形成されたミラー部と、第3基板の一主面に光学レンズが形成されたレンズ部と、を有し、前記第1基板と前記第3基板とは、金属接合層を介して接合されており、前記レーザー発光素子から出射されたレーザー光を前記光学レンズを介して前記光走査ミラー素子で反射させることを特徴とする。
【0009】
(2)本発明の第2態様に係る光学モジュールは、第1態様において、前記第2基板と前記第3基板とは、金属接合層を介して接合されていてもよい。
【0010】
(3)本発明の第3態様に係る光学モジュールは、第1又は第2態様において、前記金属接合層は、少なくとも金、またはスズを含んでいてもよい。
【0011】
(4)本発明の第4態様に係る光学モジュールは、第1から第3のいずれか1つの態様において、前記第1基板、前記第2基板、および前記第3基板は、それぞれ、シリコン基板、酸化アルミニウム基板、窒化アルミニウム基板、石英基板のうち、いずれか1つから構成されていてもよい。
【0012】
(5)本発明の第5態様に係る光学モジュールは、第1から第4のいずれか1つの態様において、前記レーザー発光素子は、380nm以上、800nm未満の波長範囲の可視光域レーザー光を出射してもよい。
【0013】
(6)本発明の第6態様に係る光学モジュールは、第1から第4のいずれか1つの態様において、前記レーザー発光素子は、800nm以上、1800nm未満の波長範囲の近赤外域レーザー光を出射してもよい。
【0014】
(7)本発明の第7態様に係る光学モジュールは、第1から第6のいずれか1つの態様において、前記レンズ部は、前記光学レンズと、前記光学レンズを支持するシリコンからなるレンズホルダと、を有していてもよい。
【0015】
(8)本発明の第8態様に係る光学モジュールは、第1から第7のいずれか1つの態様において、前記光学レンズは、複数の前記レーザー発光素子からそれぞれ出射されたレーザー光を、前記光走査ミラー素子の1点に集光させるように屈折させてもよい。
【0016】
(9)本発明の第9態様に係る光学モジュールは、第1から第8のいずれか1つの態様において、前記第1基板には前記レーザー発光素子に接続される第1配線層が形成されていてもよい。
【0017】
(10)本発明の第10態様に係る光学モジュールは、第1から第9のいずれか1つの態様において、前記第2基板には前記光走査ミラー素子に接続される第2配線層が形成されていてもよい。
【0018】
(11)本発明の第11態様に係る光学モジュールは、第1から第10のいずれか1つの態様において、前記光走査ミラー素子はMEMSデバイスであり、反射角度を任意に調整可能であってもよい。
【0019】
(12)本発明の第12態様に係る光学モジュールは、第1から第11のいずれか1つの態様において、前記レーザー光源部は複数形成され、それぞれの前記レーザー光源部を構成する前記第1基板が、前記金属接合層を介して、それぞれ前記レンズ部を構成する前記第3基板に接合されていてもよい。
【0020】
(13)本発明の第13態様に係る光学モジュールは、第1から第12のいずれか1つの態様において、前記光走査ミラー素子の鏡面部の表面は、中心点を通る断面が放物線状を成す凹面鏡であってもよい。
【0021】
(14)本発明の第14態様に係る画像投影用光学エンジンは、第1から第13のいずれか1つの態様の光学モジュールと、前記第1基板、前記第2基板、および前記第3基板とを載置する1つの共通基板と、前記共通基板に形成され、前記レーザー発光素子および前記光走査ミラー素子を制御する集積回路と、を有することを特徴とする。
【0022】
(15)本発明の第15態様に係るグラスディスプレイは、第14態様の画像投影用光学エンジンと、眼鏡状のフレームと、を有し、前記画像投影用光学エンジンは、前記フレームのテンプル部に配されることを特徴とする。
【0023】
(16)本発明の第16態様に係る検体検査装置は、第14態様の画像投影用光学エンジンと、検査用の検体を載置するステージと、を有し、前記画像投影用光学エンジンから前記レーザー光を前記ステージに向けて照射させることを特徴とする。
【0024】
(17)本発明の第17態様に係る光学モジュールの製造方法は、第2態様の光学モジュールの製造方法であって、前記第1基板と前記第3基板のうち少なくとも一方の端面、および前記第2基板と前記第3基板のうち少なくとも一方の端面に、それぞれ前記金属接合層の構成材料からなる接合材料をディップする接合材料形成工程と、前記接合材料を挟んで前記レーザー光源部と前記レンズ部とを隣接させ、また、前記レンズ部と前記ミラー部とを隣接させて配置する配置工程と、前記レーザー発光素子を発光させたレーザー光を前記光学レンズを介して前記光走査ミラー素子で反射させ、反射させたレーザー光を光学検出装置に入射させるとともに、前記レーザー光源部、前記レンズ部、および前記ミラー部の互いの相対位置を調整して、前記レーザー光の光軸を前記光学レンズのレンズ光軸および前記光走査ミラー素子の中心位置に合わせる調整工程と、熱線を照射して前記接合材料を溶解し、前記第1基板と前記第2基板、および前記第2基板と前記第3基板とを、前記調整工程での調整位置でそれぞれ接合する接合工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
(18)本発明の第18態様に係る光学モジュールの製造方法は、第17態様の光学モジュールの製造方法において、前記熱線は、YAGレーザー装置から照射される赤外レーザー光であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、レーザー発光素子、光学レンズ、およびミラーをそれぞれ基板に搭載した後に、光軸調整を行うことが可能な光学モジュール、およびこれを用いた画像投影用光学エンジン、グラスディスプレイ、検体検査装置、光学モジュールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1実施形態の光学モジュールを示す外観斜視図である。
【
図3】本実施形態の光学モジュールの製造方法を段階的に示したフローチャートである。
【
図4】本発明の第2実施形態の光学モジュールを示す外観斜視図である。
【
図5】本発明の第2実施形態の光走査ミラー素子の作用を示す模式図である。
【
図6】本発明の第2実施形態の他の構成の光走査ミラー素子の作用を示す模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態の画像投影用光学エンジンを示す外観斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態のグラスディスプレイを示す要部拡大斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態の検体検査装置を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を適用した一実施形態である光学モジュール、およびこれを用いた画像投影用光学エンジン、グラスディスプレイ、検体検査装置、光学モジュールの製造方法について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0029】
[光学モジュール:第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の光学モジュールを示す外観斜視図である。また、
図2は、
図1に示す光学モジュールの断面図である。
本実施形態の光学モジュール10は、レーザー光源部11と、ミラー部12と、レンズ部13と、金属接合層14とを有している。
【0030】
レーザー光源部11は、第1基板(サブキャリア)21と、この第1基板21の一主面21aに形成されるレーザー発光素子23と、を有している。
第1基板21は、シリコン(Si)基板、酸化アルミニウム(Al2O3)基板、窒化アルミニウム(AlN)基板、石英(SiO2)基板などから構成されている。こうした第1基板21は、ミラー部12を構成する第2基板22と同一の材料を用いても良く、第2基板22とは異なる材料を用いてもよい。
【0031】
レーザー発光素子23は、レーザー光Lを出射可能な素子、例えば、LEDから構成されている。レーザー発光素子23は、レーザー光Lを入射させる対象物に応じて、任意の波長のレーザー光Lを出射することができればよい。
【0032】
例えば、レーザー発光素子23は、波長が380nm以上、800nm未満の波長範囲の赤色レーザー光、緑色レーザー光、青色レーザー光など、可視光域のレーザー光を出射可能な可視光LED素子を用いることができる。また、例えば、レーザー発光素子23は、800nm以上、1800nm未満の波長範囲の近赤外域のレーザー光を出射可能な赤外線LED素子を用いることもできる。
【0033】
レーザー発光素子23は、第1基板21に対して、例えば金属層27を介して接合されている。金属層27は、例えば、第1金属層27aと、第2金属層27bの2層の金属層から構成されていればよい。こうした金属層27は、例えばスパッタ、蒸着、ペースト化した金属の塗布等の公知の手法によって形成可能である。
【0034】
第1金属層27aは、例えば、金(Au)とスズ(Sn)との合金、スズ(Sn)と銅(Cu)との合金、インジウム(In)とビスマス(Bi)との合金及びスズ(Sn)-銀(Ag)-銅(Cu)系はんだ合金(SAC)等から構成されていればよい。第2金属層27bは、例えば金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、鉛(Pb)、インジウム(In)及びニッケル(Ni)等から構成されていればよい。
【0035】
第1基板21の一主面21aには、一端側がレーザー発光素子23に接続される第1配線層25が形成されている。第1配線層25は、レーザー発光素子23に駆動電流を供給するための電気配線であり、例えば、金、銀、アルミニウムなどからなる金属薄膜を所定のパターンで形成したパターン配線であればよい。こうした第1配線層25の他端側には、第1電極(電極パッド)28が形成されていればよい。第1電極(電極パッド)28は、例えば、外部の駆動電源や制御用の集積回路に接続される。
【0036】
ミラー部12は、第2基板(サブキャリア)22と、この第2基板22の一主面22aに形成される光走査ミラー素子24と、を有している。
【0037】
第2基板22は、シリコン(Si)基板、酸化アルミニウム(Al2O3)基板、窒化アルミニウム(AlN)基板、石英(SiO2)基板などから構成されている。第2基板22は、一主面22aに対して所定の角度、例えば45°で傾斜した傾斜面22bを有する傾斜部22Sを有している。
【0038】
傾斜部22Sの傾斜部22Sは、傾斜面22bの一部が一主面22aよりも厚み方向に深い位置まで広がるように形成されている。こうした傾斜部22Sの傾斜面22bに、光走査ミラー素子24が載置される。なお、傾斜面22bの一主面22aに対する傾斜角度は、例えば、10°~70°の範囲内であればよい。
【0039】
光走査ミラー素子(MEMSミラー)24は、例えば、シリコンウェーハを微細加工することによって得られるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスである。本実施形態の光走査ミラー素子24は、基体24aの中央に配された円形の鏡面部24bと、この鏡面部24bを支持する梁部24cと、梁部24cを屈曲させる印加電極(図示略)とを有している。鏡面部24bの表面(反射面)は、例えば、平面状に形成されている。なお、鏡面部24bは、本実施形態では円形に形成されているが、円形に限定されるものではなく、任意の形状、例えば矩形や多角形形状に形成されていてもよい。
【0040】
こうした光走査ミラー素子24は、印加電極に所定の電圧を印加することによって静電力を発生させる。そして、この静電力を発生させる位置に応じて梁部24cを局所的に屈曲させ、これにより、梁部24cに支持された鏡面部24bの角度を2次元的(水平方向(X方向)および垂直方向(Y方向))に変化させる。こうした鏡面部24bの角度の変化によって、鏡面部24bで反射されるレーザー光Lの反射角度を変化させる。即ち、鏡面部24bでレーザー光Lを走査させて、レーザー光Lによる表示面に任意の文字や図形を表示させることができる。
【0041】
第2基板22の一主面22aには、一端側が光走査ミラー素子24に接続される第2配線層26が形成されている。第2配線層26は、光走査ミラー素子24の鏡面部24bの角度を変化させる駆動電流を供給するための電気配線であり、例えば、金、銀、アルミニウムなどからなる金属薄膜を所定のパターンで形成したパターン配線であればよい。こうした第2配線層26の他端側には、第2電極(電極パッド)29が形成されていればよい。第2電極(電極パッド)29は、例えば、外部の駆動電源や制御用の集積回路に接続される。
【0042】
レンズ部13は、第3基板(サブキャリア)15と、この第3基板15の一主面15aに形成される光学レンズ16と、この光学レンズ16を支持するレンズホルダ17と、を有している。
【0043】
第3基板15は、シリコン(Si)基板、酸化アルミニウム(Al2O3)基板、窒化アルミニウム(AlN)基板、石英(SiO2)基板などから構成されている。こうした第1基板21は、レーザー光源部11を構成する第1基板21や、ミラー部12を構成する第2基板22と同一の材料を用いても良く、第1基板21や第2基板22とは異なる材料を用いてもよい。
【0044】
光学レンズ16は、例えば、レーザー発光素子23から出射されたレーザー光Lを絞って、指向性をより高める凸レンズであればよい。
また、レンズホルダ17は、例えば、全体がシリコンから形成され、光学レンズ16の周縁部に接して光学レンズ16を支持する。
【0045】
こうした光学モジュール10を構成するレーザー光源部11、レンズ部13、およびミラー部12は、直線上に並べて配されている。そして、レーザー光源部11を構成する第1基板21と、レンズ部13を構成する第3基板15との間、およびこの第3基板15とミラー部12を構成する第2基板22との間は、互いに金属接合層14を介して直接接合されている。即ち、レーザー光源部11とミラー部12とはレンズ部13を挟んで金属接合層14によって一体化され、光学モジュール10を構成している。
【0046】
金属接合層14は、第1基板21の構成材料、第2基板22の構成材料、および第3基板15の構成材料に対して共に接合可能な金属材料、例えば、少なくとも金、またはスズを含む金属材料から構成される。より具体的には、金系はんだ材として、金スズはんだ(Au-Sn)、金ゲルマニウムはんだ(Au-Ge)、金シリコンはんだ(Au-Si)などが挙げられる。また、スズ系はんだ材として、共晶はんだ(Sn-Pb)、鉛フリーはんだ(Sn-Ag)、銅スズはんだ(Sn-Cu)などが挙げられる。これら金属接合層14の構成材料は、第1基板21、第2基板22、第3基板15の構成材料に応じて適宜選択されればよい。
【0047】
なお、金属接合層14は、1層に限定されるものではない。例えば、第1基板21と第3基板15とが互いに異なる材料からなる場合、それぞれの基板材料の接合に最適な金属材料を用いた2層からなる金属接合層によって、第1基板21と第3基板15とを接合することもできる。また、例えば、第2基板22と第3基板15とが互いに異なる材料からなる場合、それぞれの基板材料の接合に最適な金属材料を用いた2層からなる金属接合層によって、第2基板22と第3基板15とを接合することもできる。あるいは、互いに異なる材料によって3層以上の金属接合層を形成することもできる。
【0048】
また、本実施形態では、第1基板21と第3基板15との間、および第2基板22と第3基板15との間を、それぞれ金属接合層14によって接合しているが、本発明の光学モジュールは、少なくとも第1基板21と第3基板15との間だけが金属接合層14によって接合されていてもよい。こうした構成では、第2基板22と第3基板15との間は、金属接合層14以外の各種接着剤によって接合する構成や、第2基板22と第3基板15に分けずに1つの基板にして、この1つの基板上に光学レンズと光走査ミラー素子とを配する構成であってもよい。
【0049】
[光学モジュールの製造方法]
以上のような構成の第1実施形態の光学モジュールの製造方法、および第1実施形態の光学モジュールの作用、効果を説明する。
図3は、本実施形態の光学モジュールの製造方法を段階的に示したフローチャートである。
【0050】
第1実施形態の光学モジュール10を製造する際には、まず、第1基板21の一主面21aに金属層27を介してレーザー発光素子23を接合する。また、第1基板21の一主面21aに、第1配線層25、および第1電極28を形成する。これにより、レーザー光源部11を得る(レーザー光源部形成工程S1)。
【0051】
また、第2基板22を構成する傾斜部22Sの傾斜面22bに、例えば接着層を介して光走査ミラー素子24を接合する。また、第2基板22の一主面22aに、第2配線層26、および第2電極29を形成する。これにより、ミラー部12を得る(ミラー部形成工程S2)。
【0052】
また、第3基板15の一主面15aに、光学レンズ16を支持したレンズホルダ17を、例えば接着層を介してを接合する。これにより、レンズ部13を得る(レンズ部形成工程S3)。
【0053】
次に、レーザー光源部11を構成する第1基板21の端面、またはレンズ部13を構成する第3基板15の一方の端面(第1基板21と対向する端面)のうち、少なくともいずれか一方、または両方に、金属接合層14の構成材料からなる接合材料をディップする。また、ミラー部12を構成する第2基板22の端面、またはレンズ部13を構成する第3基板15の他方の端面(第2基板22と対向する端面)のうち、少なくともいずれか一方、または両方に、金属接合層14の構成材料からなる接合材料をディップする(接合材料形成工程S4)。本実施形態ではレンズ部13を構成する第3基板15の一方の端面、および他方の端面に接合材料をディップしている。
【0054】
次に、レーザー光源部11とレンズ部13とミラー部12とを、それぞれ接合材料を挟んで隣接させて配置(仮置き)する(配置工程S5)。
【0055】
次に、レーザー発光素子23に第1配線層25を介して電源を接続してレーザー発光素子23を駆動させ、レンズ部13を構成する光学レンズ16を介してミラー部12を構成する光走査ミラー素子24の鏡面部24bに向けてレーザー光Lを照射させる。また、鏡面部24bで反射されたレーザー光Lを光学検出装置、例えばフォトディテクターに入射させる。そして、この状態で第1基板21、第2基板22、第3基板15の互いの位置決めを行う。即ち、レーザー光Lの光軸が、光学レンズ16のレンズ光軸、および光走査ミラー素子24の鏡面部24bの中心位置に合致するように、フォトディテクターの測定値を参照しつつ、レーザー光源部11、レンズ部13、およびミラー部12の、互いの相対位置を調整する(調整工程S6)。
【0056】
本実施形態では、レーザー光源部11の相対位置をレンズ部13、およびミラー部12に対して動かすことによって、レーザー発光素子23から出射されたレーザー光Lの光軸を光学レンズ16のレンズ光軸、および光走査ミラー素子24の鏡面部24bの中心位置に合致させている。
【0057】
そして、調整工程S6で調整された位置において、第2基板22の一方の端面、および他方の端面に向けて、それぞれ熱線を照射して、それぞれの接合材料を溶解する。そして第1基板21と第3基板15の端面同士、および第2基板22と第3基板15の端面同士を、溶解した接合材料が冷却固化されものからなるそれぞれの金属接合層14を介して接合する(接合工程S7)。こうした接合工程S7で用いる熱線は、例えば、YAGレーザー装置から照射される波長1064μmを主体とした固体レーザー光であればよい。
【0058】
以上のような工程を経て、第1実施形態の光学モジュール10を製造することができる。
第1実施形態の光学モジュール10によれば、レーザー発光素子23を載置する基板(第1基板21)、光走査ミラー素子24を載置する基板(第2基板22)、および光学レンズ16を載置する基板(第3基板15)を、それぞれ別個の基板とし、こうした3つの基板どうしを金属接合層14を介して接合する構成であるため、製造時に第1基板21、第2基板22、および第3基板15のそれぞれの相対位置を調整して、レーザー光Lの光軸が、光学レンズ16のレンズ光軸、および光走査ミラー素子24の鏡面部24bの中心位置にそれぞれ合致するように、レーザー光Lの光軸位置のアライメントを行うことができる(アクティブアライメント)。
【0059】
これにより、例えば、レーザー発光素子、光学レンズ、およびミラー素子を全て1つの共通基板に載置した従来の光学モジュールと比較して、強い光量を保ったレーザー光Lを、高い位置精度で照射することが可能な光学モジュール10を得ることができる。
【0060】
また、レーザー発光素子23を載置する基板(第1基板21)、光走査ミラー素子24を載置する基板(第2基板22)、および光学レンズ16を載置する基板(第3基板15)を互いに別個の基板として構成するため、後述する第2実施形態の光学モジュールの製造も容易である。
【0061】
[光学モジュール:第2実施形態]
次に、第2実施形態の光学モジュールの構成を説明する。第1実施形態と同様の構成には同一の番号を付し、重複する説明を省略する。
図4は、本発明の第2実施形態の光学モジュールを示す外観斜視図である。
【0062】
第2実施形態の光学モジュール30は、3つのレーザー光源部31A,31B,31Cをそれぞれ構成する第1基板41A,41B,41Cが、1つのレンズ部33を構成する第3基板45に対して、それぞれ金属接合層14を介して接合された構成となっている。そして、レンズ部33の第3基板45が、1つのミラー部32を構成する第2基板42に対して、金属接合層14を介して接合された構成となっている。
【0063】
レーザー光源部31Aを構成するレーザー発光素子43Aは、例えば、赤色レーザー光RLを出射する赤色LEDから構成されている。また、レーザー光源部31Bを構成するレーザー発光素子43Bは、例えば、緑色レーザー光GLを出射する緑色LEDから構成されている。更に、レーザー光源部31Cを構成するレーザー発光素子43Cは、例えば、青色レーザー光BLを出射する青色LEDから構成されている。
【0064】
また、レンズ部33を構成する光学レンズ46は、外形が楕円形の非球面レンズであり、互いに異なる方向から入射する複数のレーザー光RL,GL,BLを、光走査ミラー素子24の鏡面部24bの中心に向けて集光させる。
【0065】
これらレーザー光源部31A,31B,31Cからそれぞれ出射されるレーザー光は、レンズ部33を構成する光学レンズ46を介して、ミラー部32を構成する光走査ミラー素子24の鏡面部24bの中心に向けて集光させている。そして、光走査ミラー素子24の鏡面部24bの表面は、例えば、凹面状の反射面(凹面鏡)となっている。
【0066】
より詳しくは、
図5に示すように、光走査ミラー素子24の鏡面部24bの中心を通る断面が放物線状を成す凹面鏡となっている。このように、レーザー光の出射位置が互いに異なるレーザー光源部31A,31B,31Cからそれぞれ出射されるレーザー光RL,GL,BLは、レンズ部33を介して光走査ミラー素子24の鏡面部24bの表面に対して、互いに異なる角度で入射する。しかしながら、本実施形態のように、光走査ミラー素子24の鏡面部24bの表面を、凹面状の反射面(凹面鏡)にすることで、互いに異なる角度で入射するレーザー光RL,GL,BLを、互いに平行な平行光として反射させることができる。
【0067】
これにより、レーザー光RL,GL,BLのそれぞれの出射位置が異なっていても、鏡面部24bの投影位置の物理的距離、位置関係が固定している限り、任意の1領域に向けて、互いに平行なレーザー光RL,GL,BLを照射されるようにすることが可能となる。
【0068】
こうした第2実施形態の光学モジュール30によれば、レーザー光源部31A,31B,31Cをそれぞれ任意のタイミングで走査させることで、光走査ミラー素子24の鏡面部24bで反射されるレーザー光WLによって、任意の色調の画像、例えば、フルカラー画像を外部の表示面に表示させることができる。
【0069】
そして、こうした光学モジュール30においても、第1基板41A,41B,41Cが、1つの第3基板45に対して、それぞれ金属接合層14を介して接合された構成にすることで、光学モジュール30の製造時に、レーザー光源部31A,31B,31Cと、光学レンズ46との間で光軸位置のアライメントを行うことができる(アクティブアライメント)。これにより、3つのレーザー光RL,GL,BLを、光走査ミラー素子24の鏡面部24bの中心といった1点に向けて、正確に集光させることが可能になり、鮮明でブレの無いフルカラー画像を外部の表示面に表示させることが可能になる。
【0070】
また、第2実施形態の光学モジュール30によれば、レーザー光源部31A,31B,31Cからそれぞれ出射されるレーザー光を、光学レンズ46を介して、光走査ミラー素子24の鏡面部24bの中心に集光させる構成であるため、従来のように、複数のレーザー光を合波させるための光導波路ユニットなどが不要になり、コンパクトで軽量なフルカラー画像対応の光学モジュール30を実現することができる。
【0071】
なお、第2実施形態の変形例として、
図6に示すように、光走査ミラー素子24の鏡面部24bの中心を通る断面が放物線状を成す凹面鏡にすれば、R,G,B3つのレーザー光源部を2組有する構成にして、一方の組のレーザー光源部31aから3つのレーザー光RL1,GL1,BL1を出射させて、レンズ部33aを介して鏡面部24bの中心付近の一領域で反射させる。また、他方の組のレーザー光源部31bから3つのレーザー光RL2,GL2,BL2を出射させて、レンズ部33bを介して鏡面部24bの中心付近の他の一領域で反射させる構成にすることもできる。
【0072】
これにより、互いに平行なレーザー光RL1,GL1,BL1、およびRL2,GL2,BL2からなる、互いに平行な2組のRGBのレーザー光を、外部の表示面などに照射することができる。
【0073】
[画像投影用光学エンジン]
次に、本発明の一実施形態の画像投影用光学エンジンの構成を説明する。なお、第1実施形態の光学モジュールと同様の構成には同一の番号を付し、重複する説明を省略する。
図7は、本発明の一実施形態の画像投影用光学エンジンを示す外観斜視図である。
【0074】
本実施形態の画像投影用光学エンジン50は、第1実施形態の光学モジュール10と、集積回路51と、共通基板52とを有している。
集積回路51は、レーザー光源部11を構成するレーザー発光素子23(
図1、2を参照)の発光制御や、ミラー部12を構成する光走査ミラー素子24(
図1、2を参照)の角度制御を行う。
【0075】
共通基板52は、レーザー光源部11を構成する第1基板21、ミラー部12を構成する第2基板22、およびレンズ部13を構成する第3基板15とが載置される1つの共通の基板を成す。
【0076】
こうした画像投影用光学エンジン50によれば、小型化されたコンパクトな形状のレーザー画像投影手段として機能する。例えば、ウェアラブルデバイスにこうした画像投影用光学エンジン50を組み込むことで、違和感のない程度の着用感を確保しつつ、鮮明な画像投影が可能なウェアラブルデバイスを実現することができる。
【0077】
[グラスディスプレイ]
次に、本発明の一実施形態の画像投影用光学エンジンの構成を説明する。なお、前述した実施形態の画像投影用光学エンジンと同様の構成部分には同一の番号を付し、重複する説明を省略する。
図8は、本発明の一実施形態のグラスディスプレイを示す要部拡大斜視図である。
【0078】
本実施形態のグラスディスプレイ60は、前述した実施形態の画像投影用光学エンジン50と、眼鏡状のフレーム61と、を有している。
フレーム61を構成するテンプル部62には、小型化された画像投影用光学エンジン50が内蔵されている。
【0079】
こうした画像投影用光学エンジン50は、フレーム61を構成するフロント枠63に支持されたグラス64に向けて、画像光を構成するレーザー光を出射させる。グラス64は、例えばハーフミラーであり、画像投影用光学エンジン50から出射されたレーザー光Lによる画像が投影される。グラスディスプレイ60の着用者は、グラス64の内側面に投影された画像を直接観察することができる。
【0080】
このように、本実施形態のグラスディスプレイ60によれば、コンパクトで軽量な画像投影用光学エンジン50を用いることによって、スペースに制約のある眼鏡状のフレーム61のテンプル部62を大きく膨らませることなく、良好な装着感を維持したグラスディスプレイ60を実現することができる。
【0081】
[検体検査装置]
次に、本発明の一実施形態の検体検査装置の構成を説明する。なお、前述した実施形態の画像投影用光学エンジンと同様の構成部分には同一の番号を付し、重複する説明を省略する。
図9は、本発明の一実施形態の検体検査装置を示す要部拡大斜視図である。
【0082】
本実施形態の検体検査装置70は、前述した実施形態の画像投影用光学エンジン50と、検査用の検体を載置するステージ71と、を有している。
画像投影用光学エンジン50は、検体に作用する波長のレーザー光、例えば、800nm以上、1800nm未満の波長範囲の近赤外域レーザー光をステージ71に向けて出射する。ステージ71に載置された検体Mは、画像投影用光学エンジン50によって照射された近赤外域レーザー光Lによって、特定の反応が生じる。こうしたレーザー光による反応後の検体を分析することによって、検体を組成や病変などを分析することが可能になる。
【0083】
本実施形態の検体検査装置70によれば、コンパクトで軽量な画像投影用光学エンジン50を用いることによって、小型で低コストな、生体の光分析などを行う検体検査装置70を実現することができる。
【0084】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0085】
10…光学モジュール
11…レーザー光源部
12…ミラー部
13…レンズ部
14…金属接合層
15…第3基板(サブキャリア)
16…光学レンズ
17…レンズホルダ
21…第1基板(サブキャリア)
22…第2基板(サブキャリア)
23…レーザー発光素子
24…光走査ミラー素子(MEMSミラー)