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特開2024-96598電動ターボ機械および燃料電池システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096598
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電動ターボ機械および燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/08 20060101AFI20240709BHJP
   F04D 29/34 20060101ALI20240709BHJP
   F04D 17/10 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F04D25/08 301
F04D29/34 J
F04D17/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000181
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 亮
(72)【発明者】
【氏名】飯田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 幹人
(72)【発明者】
【氏名】四條 利久磨
(72)【発明者】
【氏名】今井 俊爾
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AA13
3H130AB12
3H130AB47
3H130AB62
3H130AB65
3H130AC03
3H130BA66G
3H130DA02X
3H130DB01Z
3H130DB08Z
3H130DB13X
3H130DD02X
3H130EA07G
(57)【要約】
【課題】電動モータとターボ機械の性能向上を同時に実現できる電動ターボ機械、および該電動ターボ機械を備える燃料電池システムを提供する。
【解決手段】電動ターボ機械は、回転シャフトと、回転シャフトに取り付けられるインペラと、回転シャフトのインペラよりも一方側に片持ち支持される第1支持部、第1支持部に外周側から支持される第1永久磁石、および、第1永久磁石の内周側に隙間を有して対向するように配置された第1静止コイル部を有する第1ステータ、を含む第1電動モータと、回転シャフトのインペラよりも他方側に片持ち支持される第2支持部、第2支持部に外周側から支持される第2永久磁石、および、第2永久磁石の内周側に隙間を有して対向するように配置された第2静止コイル部を有する第2ステータ、を含む第2電動モータと、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転シャフトと、
前記回転シャフトに取り付けられるインペラと、
前記回転シャフトの前記インペラよりも一方側に設けられる第1電動モータであって、
前記回転シャフトの前記インペラよりも前記一方側に片持ち支持される第1支持部、
前記第1支持部に外周側から支持される第1永久磁石、および、
前記第1永久磁石の内周側に隙間を有して対向するように配置された第1静止コイル部を有する第1ステータ、を含む第1電動モータと、
前記回転シャフトの前記インペラよりも他方側に設けられる第2電動モータであって、
前記回転シャフトの前記インペラよりも前記他方側に片持ち支持される第2支持部、
前記第2支持部に外周側から支持される第2永久磁石、および、
前記第2永久磁石の内周側に隙間を有して対向するように配置された第2静止コイル部を有する第2ステータ、を含む第2電動モータと、を備える、
電動ターボ機械。
【請求項2】
前記インペラは、
前記回転シャフトに取り付けられる第1ハブ部であって、前記回転シャフトの軸線方向における前記一方側から前記他方側に向かうにつれて前記回転シャフトの軸線からの距離が大きくなる外周面を有する第1ハブ部と、
前記第1ハブ部の前記外周面に取り付けられた少なくとも1つのコンプレッサ翼と、
前記回転シャフトに取り付けられる第2ハブ部であって、前記軸線方向における前記他方側から前記一方側に向かうにつれて前記回転シャフトの前記軸線からの距離が大きくなる外周面を有するとともに、前記第1ハブ部に対して背面同士が対向するように配置された第2ハブ部と、
前記第2ハブ部の前記外周面に取り付けられた少なくとも1つのタービン翼と、を含む、
請求項1に記載の電動ターボ機械。
【請求項3】
前記回転シャフトおよび前記インペラを収容するように構成されたケーシングをさらに備え、
前記ケーシングは、
前記少なくとも1つのコンプレッサ翼を通過する気体を前記ケーシングの外部から内部に導入するためのコンプレッサ側導入口であって、前記回転シャフトの前記軸線に対して交差する方向に向かって開口するコンプレッサ側導入口と、
前記少なくとも1つのタービン翼を通過する気体を前記ケーシングの外部から内部に導入するためのタービン側導入口であって、前記軸線に対して交差する方向に向かって開口するタービン側導入口と、を有する、
請求項2に記載の電動ターボ機械。
【請求項4】
前記インペラは、
前記回転シャフトに取り付けられるハブ部であって、前記回転シャフトの軸線方向における前記一方側から前記他方側に向かうにつれて前記回転シャフトの軸線からの距離が大きくなる外周面を有するハブ部と、
前記ハブ部の前記外周面に取り付けられた少なくとも1つのタービン翼と、
前記少なくとも1つのタービン翼の先端に取り付けられた環状のディスク部であって、前記軸線方向における前記一方側から前記他方側に向かうにつれて前記軸線からの距離が大きくなる外周面を有する環状のディスク部と、
前記環状のディスク部の外周面に取り付けられた少なくとも1つのコンプレッサ翼と、を含む、
請求項1に記載の電動ターボ機械。
【請求項5】
前記回転シャフトおよび前記インペラを収容するように構成されたケーシングをさらに備え、
前記ケーシングは、
前記回転シャフトの前記軸線方向における前記一方側から前記他方側に前記少なくとも1つのコンプレッサ翼に導入される気体を導くためのコンプレッサ側供給流路と、
前記回転シャフトの前記軸線方向における前記他方側から前記一方側に前記少なくとも1つのタービン翼を通過した気体を排出するためのタービン側排出流路と、が内部に形成された、
請求項4に記載の電動ターボ機械。
【請求項6】
前記タービン側排出流路に設けられて、前記回転シャフトの前記インペラと前記第1支持部との間を回転可能に支持するように構成された一方側軸受と、
前記ケーシングの前記タービン側排出流路を形成する内壁面から前記回転シャフトの径方向における内側に向かって突出して前記一方側軸受を支持するように構成された複数の一方側軸受支持部であって、前記回転シャフトの周方向に互いに間隔をあけて配置される複数の一方側軸受支持部と、をさらに備える、
請求項5に記載の電動ターボ機械。
【請求項7】
前記ハブ部の前記軸線方向における前記他方側の端部に、前記第2電動モータの少なくとも一部を収容するハブ部側凹部が形成された
請求項4乃至6の何れか1項に記載の電動ターボ機械。
【請求項8】
前記第2ステータの前記軸線方向における一端部に、前記回転シャフトの前記他方側を収容するステータ側凹部が形成され、
前記電動ターボ機械は、前記ステータ側凹部に収容された前記回転シャフトを回転可能に支持するように構成された他方側軸受をさらに備える、
請求項7に記載の電動ターボ機械。
【請求項9】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の電動ターボ機械と、
燃料電池と、を備え、
前記インペラは、前記燃料電池に供給される酸化ガスを圧縮するように構成された少なくとも1つのコンプレッサ翼を含む、
燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動モータと該電動モータにより駆動するターボ機械とを備える電動ターボ機械、および、該電動ターボ機械を備える燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料電池に供給された燃料ガス(水素)と酸化ガス(酸素)との化学反応により発電する。燃料電池に供給される酸化ガスの過給に電動ターボ機械が用いられることがある。電動ターボ機械は、電動モータと、電動モータにより駆動する圧縮機などのターボ機械と、を備える。例えば、特許文献1には、電気モータにより駆動される圧縮機によって、燃料電池に供給される酸化ガスを過給することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-135910号公報
【特許文献2】特開2020-094588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池向けに使われる電動ターボ機械は、小流量高圧力比の過給が求められる。この要求に応えるには、燃料電池に供給される酸化ガスの過給を行う圧縮機(ターボ機械)の高周速化が必要となる。しかしながら、上記圧縮機の羽根車の直径を大きくすることにより圧縮機の高周速化を図ると、羽根車の翼高さが小さくなり圧縮機の性能低下を招く虞がある。このため、圧縮機の高周速化を図るためには、電動モータの高速回転化が必要となるが、電動モータの高速回転化を図ると、電動モータの性能低下を招く虞がある。つまり、電動ターボ機械には、圧縮機と電動モータの性能向上を同時に実現できないという問題がある。
【0005】
電動ターボ機械の高性能化を目的として幾つかの方策が提案されている。特許文献2には、電動モータにより駆動する駆動シャフトの両端の夫々に圧縮機を設け、これらの圧縮機により燃料電池に供給される酸化ガスを段階的に過給することが開示されている。特許文献2に記載の発明によれば、圧縮機を2段にすることで1段当たりの圧力比を下げることができるが、電動モータの性能を向上させるものではない。
【0006】
電動モータには、回転磁石をロータ(回転子)にして内周側に収容し、静止コイル(巻線)をステータ(固定子)にして上記ロータの外周側に配置するインナーロータ型の電動モータと、静止コイルをステータにして内周側に収容し、回転磁石をロータにして上記ステータの外周側に配置するアウターロータ型の電動モータとがある。アウターロータ型の電動モータは、回転磁石と静止コイルとの間に保持材を設けなくてもよく、回転磁石の外周側の支持を厚くすることがインナーロータ型に比べて容易であるため、インナーロータ型の電動モータを採用した場合に比べて、電動モータの高周速化が可能である。しかしながら、アウターロータ型の電動モータは、静止コイルの保持構造や冷却構造を電動モータの内周側に設ける必要があり、特許文献2に記載の発明のような駆動シャフトの両端の夫々にターボ機械を設ける構造にすることは、電動モータにおける各機器の複雑化や信頼性の低下を招く虞があるので現実的には難しい。電動モータの片側のスペースを上記保持構造などに費やす必要があるため、電動モータの性能が向上できても、ターボ機械の性能を向上させることができない。
【0007】
上述した事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態の目的は、電動モータとターボ機械の性能向上を同時に実現できる電動ターボ機械、および該電動ターボ機械を備える燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態にかかる電動ターボ機械は、
回転シャフトと、
前記回転シャフトに取り付けられるインペラと、
前記回転シャフトの前記インペラよりも一方側に設けられる第1電動モータであって、
前記回転シャフトの前記インペラよりも前記一方側に片持ち支持される第1支持部、
前記第1支持部に外周側から支持される第1永久磁石、および、
前記第1永久磁石の内周側に隙間を有して対向するように配置された第1静止コイル部を有する第1ステータ、を含む第1電動モータと、
前記回転シャフトの前記インペラよりも他方側に設けられる第2電動モータであって、
前記回転シャフトの前記インペラよりも前記他方側に片持ち支持される第2支持部、
前記第2支持部に外周側から支持される第2永久磁石、および、
前記第2永久磁石の内周側に隙間を有して対向するように配置された第2静止コイル部を有する第2ステータ、を含む第2電動モータと、を備える。
【0009】
本開示の一実施形態にかかる燃料電池システムは、
前記電動ターボ機械と、
燃料電池と、を備え、
前記インペラは、前記燃料電池に供給される酸化ガスを圧縮するように構成された少なくとも1つのコンプレッサ翼を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、電動モータとターボ機械の性能向上を同時に実現できる電動ターボ機械、および該電動ターボ機械を備える燃料電池システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態にかかる電動ターボ機械を備える燃料電池システムの構成を概略的に示す概略構成図である。
図2】本開示の一実施形態にかかる電動ターボ機械の軸線方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
図3】本開示の一実施形態にかかる電動ターボ機械の軸線方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
図4】本開示の一実施形態にかかる電動ターボ機械の軸線方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
図5図4に示されるインペラを軸線方向における一方側から視認した状態を示す概略図である。
図6図4に示されるインペラを径方向における外側から視認した状態を示す概略図である。
図7図4に示される一方側軸受および複数の一方側軸受支持部を軸線方向における一方側から視認した状態を示す概略図である。
図8】本開示の一実施形態にかかる電動ターボ機械におけるインペラ近傍の軸線方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0013】
(燃料電池システム、燃料電池)
図1は、本開示の一実施形態にかかる電動ターボ機械を備える燃料電池システムの構成を概略的に示す概略構成図である。幾つかの実施形態にかかる電動ターボ機械10は、図1に示されるように、燃料電池(FC:Fuel Cell)20向けに使われるものであり、燃料電池システム1に搭載される。燃料電池システム1は、電動ターボ機械10と、燃料電池20と、を少なくとも備える。
【0014】
燃料電池20は、正極活物質となる酸化ガスと、負極活物質となる燃料ガスと、が常温または高温環境で供給(補充)されるようになっている。燃料電池20は、燃料電池20に供給された燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応により発電可能に構成されている。図示される実施形態では、燃料電池20に供給される酸化ガスは、空気中の酸素からなり、燃料電池20に供給される燃料ガスは、水素ガスからなる。
【0015】
燃料電池20は、図1に示されるように、電子受容側電極(カソード)である空気極21と、電子放出側電極(アノード)である燃料極22と、空気極21と燃料極22とを隔てるように空気極21と燃料極22との間に挟まれた電解質膜23と、を含む少なくとも1つの発電セル20Aを有する。なお、燃料電池20は、複数の発電セル20Aと、複数の発電セル20Aの夫々の間に挟まれたセパレータと、が積層された構成にしてもよい。図示される実施形態では、電解質膜23は、固体高分子電解質膜からなる。
【0016】
図示される実施形態では、燃料電池システム1は、燃料電池20に酸化ガスを供給するための酸化ガス供給ライン2と、燃料電池20に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給ライン3と、燃料電池20から排出される排ガスを導くための排ガス排出ライン4と、をさらに備える。燃料電池20は、酸化ガス供給ライン2を通じて、複数の発電セル20Aの夫々の空気極21側の触媒層に酸素を含む空気が供給されるようになっている。また、燃料電池20は、燃料ガス供給ライン3を通じて、複数の発電セル20Aの夫々の燃料極22側の触媒層に水素ガスが供給されるようになっている。
【0017】
燃料電池20は、空気極21に酸素を含む空気が供給され、且つ燃料極22に水素ガスが供給されることで、下記に示すような化学反応が生じるため、電極間(空気極21と燃料極22との間)に発生する起電力として電気エネルギーを取り出すことが可能となる。
空気極21(カソード):1/2O+2H+2e→H
燃料極22(アノード):H→2H+2e
【0018】
(電動ターボ機械)
図2は、本開示の一実施形態にかかる電動ターボ機械の軸線方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。電動ターボ機械10は、図2に示されるように、回転シャフト11と、回転シャフト11に取り付けられるインペラ30(ターボ機械)と、回転シャフト11のインペラ30よりも一方側(図中左側)に設けられる第1電動モータ40と、回転シャフト11のインペラ30よりも他方側(図中右側)に設けられる第2電動モータ50と、を備える。
【0019】
図示される実施形態では、電動ターボ機械10は、図2に示されるように、回転シャフト11およびインペラ30を収容するように構成されたケーシング60と、回転シャフト11の上記一方側を回転可能に支持するように構成された一方側軸受12と、回転シャフト11の上記他方側を回転可能に支持するように構成された他方側軸受13と、をさらに備える。
【0020】
電動ターボ機械10は、複数の電動モータ40、50が発生させる動力(回転力)により、インペラ30を駆動(回転)させるように構成されている。図2に示される実施形態では、インペラ30は、燃料電池20に供給される酸化ガスを圧縮するように構成された少なくとも1つのコンプレッサ翼32を含む。少なくとも1つのコンプレッサ翼32は、上述した酸化ガス供給ライン2(図1参照)に設けられる。複数の電動モータ40、50に電力を供給し、複数の電動モータ40、50を駆動させることで、インペラ30が回転し、インペラ30の上記少なくとも1つのコンプレッサ翼32を通過して燃料電池20に供給される酸化ガスが圧縮される。
【0021】
図2に示される実施形態では、インペラ30は、少なくとも1つのコンプレッサ翼32の他に、少なくとも1つのタービン翼34をさらに含む。少なくとも1つのタービン翼34は、燃料電池20から排出された排ガスのエネルギーにより、駆動(回転)するように構成されている。少なくとも1つのタービン翼34は、上述した排ガス排出ライン4(図1参照)に設けられる。なお、後述するように、インペラ30は、少なくとも1つのコンプレッサ翼32と、少なくとも1つのコンプレッサ翼32とは異なる少なくとも1つの第2のコンプレッサ翼34Aと、含んでいてもよい。
【0022】
回転シャフト11は、回転シャフト11の軸線方向X、すなわち、回転シャフト11の軸線LAが延在する方向(図2中左右方向)に沿って長手方向を有する。以下、回転シャフト11の軸線方向Xのうち、第2電動モータ50に対して第1電動モータ40が位置する側を一方側X1と定義し、軸線方向Xのうち一方側X1とは反対側を他方側X2と定義する。また、回転シャフト11の軸線LAに直交する方向を径方向Yとする。本開示において、径方向Yにおける外側を単に外周側と云うことがあり、径方向Yにおける内側を単に内周側と云うことがある。なお、本開示における「或る方向に沿って」とは、或る方向だけでなく、或る方向に対して±15°以内の範囲において傾斜する方向をも含むものである。
【0023】
(第1電動モータ)
第1電動モータ40は、アウターロータ型の電動モータである。第1電動モータ40は、図2に示されるように、第1支持部41と、第1永久磁石42と、第1ステータ43と、を含む。第1支持部41は、回転シャフト11のインペラ30よりも一方側X1に片持ち支持される。第1永久磁石42は、第1支持部41に外周側(径方向Yにおける外側)から支持される。第1ステータ43は、第1永久磁石42の内周側(径方向Yにおける内側)に隙間を有して対向するように配置された第1静止コイル部44を有する。
【0024】
図示される実施形態では、第1支持部41は、回転シャフト11の一方側X1に内側端部が嵌合などにより機械的に接続されるとともに径方向Yに沿って延在する径方向延在部45と、径方向延在部45の外側端部から軸線方向Xに沿って一方側X1に向かって延在する軸線方向延在部46と、を含む。第1ステータ43は、回転シャフト11の一方端111よりも軸線方向Xにおける一方側X1に配置されている。この第1ステータ43は、回転シャフト11の回転に対して不動に設けられている。第1静止コイル部44は、第1ステータ43の外周側(径方向Yにおける外側)に設けられている。
【0025】
図示される実施形態では、電動ターボ機械10は、第1ステータ支持部14をさらに備える。第1ステータ支持部14は、ケーシング60に径方向Yにおける外側の端部が機械的に接続され、径方向Yに沿って延在している。第1ステータ支持部14は、第1ステータ43を軸線方向における一方側X1から支持するように構成されている。
【0026】
第1永久磁石42は、第1静止コイル部44に対して径方向Yにおける外側に、第1静止コイル部44に対して隙間を有して対向するように配置されている。第1永久磁石42は、第1永久磁石42に対して径方向Yにおける外側に配置された軸線方向延在部46に外周側から支持されている。軸線方向延在部46は、回転シャフト11の一方端111よりも軸線方向Xにおける一方側X1において、その内周側(径方向Yにおける内側)に第1永久磁石42を収容するようになっている。
【0027】
第1永久磁石42は、軸線方向Xに沿って延在する棒状に形成されたものが、回転シャフト11の周方向に互いに間隔をおいて複数配置されていてもよい。第1支持部41の軸線方向延在部46は、回転シャフト11の周方向に互いに間隔をおいて配置された複数の第1永久磁石42の夫々を個別に支持する複数の支持部により構成されていてもよい。なお、第1永久磁石42や第1支持部41の形状や配置構成は、この例に限定されない。例えば、第1支持部41の軸線方向延在部46は、回転シャフト11の周方向に互いに間隔をおいて配置された複数の第1永久磁石42をまとめて支持するように、回転シャフト11の周方向に沿って延在する環状に形成されていてもよい。
【0028】
(第2電動モータ)
第2電動モータ50は、アウターロータ型の電動モータである。第2電動モータ50は、図2に示されるように、第2支持部51と、第2永久磁石52と、第2ステータ53と、を含む。第2支持部51は、回転シャフト11のインペラ30よりも他方側X2に片持ち支持される。第2永久磁石52は、第2支持部51に外周側(径方向Yにおける外側)から支持される。第2ステータ53は、第2永久磁石52の内周側(径方向Yにおける内側)に隙間を有して対向するように配置された第2静止コイル部54を有する。
【0029】
図示される実施形態では、第2支持部51は、回転シャフト11の他方側X2に内側端部が嵌合などにより機械的に接続されるとともに径方向Yに沿って延在する径方向延在部55と、径方向延在部55の外側端部から軸線方向Xに沿って他方側X2に向かって延在する軸線方向延在部56と、を含む。第2ステータ53は、回転シャフト11の他方端112よりも軸線方向Xにおける他方側X2に配置されている。この第2ステータ53は、回転シャフト11の回転に対して不動に設けられている。第2静止コイル部54は、第2ステータ53の外周側(径方向Yにおける外側)に設けられている。
【0030】
図示される実施形態では、電動ターボ機械10は、第2ステータ支持部15をさらに備える。第2ステータ支持部15は、ケーシング60に径方向Yにおける外側の端部が機械的に接続され、径方向Yに沿って延在している。第2ステータ支持部15は、第2ステータ53を軸線方向における他方側X2から支持するように構成されている。
【0031】
第2永久磁石52は、第2静止コイル部54に対して径方向Yにおける外側に、第2静止コイル部54に対して隙間を有して対向するように配置されている。第2永久磁石52は、第2永久磁石52に対して径方向Yにおける外側に配置された軸線方向延在部56に外周側から支持されている。軸線方向延在部56は、回転シャフト11の他方端112よりも軸線方向Xにおける他方側X2において、その内周側(径方向Yにおける内側)に第2永久磁石52を収容するようになっている。
【0032】
第2永久磁石52は、軸線方向Xに沿って延在する棒状に形成されたものが、回転シャフト11の周方向に互いに間隔をおいて複数配置されていてもよい。第2支持部51の軸線方向延在部56は、回転シャフト11の周方向に互いに間隔をおいて配置された複数の第2永久磁石52の夫々を個別に支持する複数の支持部により構成されていてもよい。なお、第2永久磁石52や第2支持部51の形状や配置構成は、この例に限定されない。例えば、第2支持部51の軸線方向延在部56は、回転シャフト11の周方向に互いに間隔をおいて配置された複数の第2永久磁石52をまとめて支持するように、回転シャフト11の周方向に沿って延在する環状に形成されていてもよい。
【0033】
第1静止コイル部44および第2静止コイル部54は、不図示の電力源から供給された電力により、第1電動モータ40の回転子(第1支持部41、第1永久磁石42)や第2電動モータ50の回転子(第2支持部51、第2永久磁石52)を回転させる磁界を発生させる。第1静止コイル部44や第2静止コイル部54が発生させた磁界により、回転シャフト11およびインペラ30が回転する。
【0034】
幾つかの実施形態にかかる電動ターボ機械10は、図2に示されるように、上述した回転シャフト11と、上述したインペラ30と、上述した第1支持部41、第1永久磁石42および第1ステータ43を含む第1電動モータ40と、上述した第2支持部51、第2永久磁石52および第2ステータ53を含む第2電動モータ50と、を少なくとも備える。
【0035】
上記の構成によれば、電動ターボ機械10は、第1電動モータ40および第2電動モータ50の夫々をアウターロータ型にすることで、各電動モータ40、50における永久磁石42、52と静止コイル部44、54との間に保持材を設けなくてもよく、各永久磁石42、52に対する外周側からの支持を厚くできるため、インナーロータ型の電動モータを採用した場合に比べて、複数の翼を含むインペラ30の高周速化が可能である。これにより、電動ターボ機械10における全体としての電動モータの性能向上が図れる。
【0036】
電動ターボ機械10は、2つの電動モータ40、50を備えるので、仮に1つの電動モータを備える場合に比べて、各電動モータ40、50の軸長を短くできる。また、各電動モータ40、50をアウターロータ式にすることで、インナーロータ式の電動モータに比べて、各電動モータ40、50の軸長を短くできる。各電動モータ40、50の軸長を短くすることで、各電動モータ40、50の小型軽量化が可能である。また、各電動モータ40、50の軸長を短くすることで、各電動モータ40、50の回転子(永久磁石および支持部)を回転シャフト11に片持ち支持させることができるため、回転シャフト11の両端の夫々に電動モータ40、50を配置できる。上記の構成によれば、電動モータ40、50間に複数の翼を含むインペラ30を設けることができるため、電動ターボ機械10における全体としてのターボ機械の性能向上が図れる。
【0037】
(第1の実施形態)
幾つかの実施形態では、図2に示されるように、上述したインペラ30(30A)は、第1ハブ部31および少なくとも1つのコンプレッサ翼32を含む遠心式のコンプレッサインペラ30Bと、第2ハブ部33および少なくとも1つのタービン翼34を含む遠心式のタービンインペラ30Cと、を含む。
【0038】
具体的には、インペラ30Aは、回転シャフト11に取り付けられる第1ハブ部31と、第1ハブ部31の外周面311に取り付けられた少なくとも1つのコンプレッサ翼32と、回転シャフト11に取り付けられる第2ハブ部33と、第2ハブ部33の外周面331に取り付けられた少なくとも1つのタービン翼34と、を含む。第2ハブ部33は、第1ハブ部31に対して背面312、332同士が対向するように配置されている。
【0039】
第1ハブ部31は、軸線方向における一方側X1から他方側X2に向かうにつれて回転シャフト11の軸線LAからの距離が大きくなる外周面311を有する。第2ハブ部33は、軸線方向における他方側X2から一方側X1に向かうにつれて回転シャフト11の軸線LAからの距離が大きくなる外周面331を有する。図示される実施形態では、外周面311および外周面331の夫々は、径方向Yにおける内側に向かって凹む凹湾曲形状を有する。
【0040】
第1ハブ部31および第2ハブ部33の夫々は、回転シャフト11を軸線方向Xに沿って挿通させる貫通孔を形成する内周面313、333を有する。第1ハブ部31および第2ハブ部33の夫々は、回転シャフト11に機械的に固定されているため、第1ハブ部31、少なくとも1つのコンプレッサ翼32、第2ハブ部33および少なくとも1つのタービン翼34は、回転シャフト11と一体的に回転可能である。
【0041】
図示される実施形態では、少なくとも1つのコンプレッサ翼32は、回転シャフト11の周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された複数のコンプレッサ翼32を含む。複数のコンプレッサ翼32の夫々の先端321(チップ端)は、ケーシング60の凸状に湾曲するシュラウド面601との間に隙間(クリアランス)が形成されている。コンプレッサインペラ30Bは、オープンインペラからなる。すなわち、複数のコンプレッサ翼32の夫々の先端321には、環状のディスク部が取り付けられていない。
【0042】
図示される実施形態では、少なくとも1つのタービン翼34は、回転シャフト11の周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された複数のタービン翼34を含む。複数のタービン翼34の夫々の先端341(チップ端)は、ケーシング60の凸状に湾曲するシュラウド面602との間に隙間(クリアランス)が形成されている。タービンインペラ30Cは、オープンインペラからなる。すなわち、複数のタービン翼34の夫々の先端341には、環状のディスク部が取り付けられていない。
【0043】
コンプレッサインペラ30Bは、酸化ガス供給ライン2に設けられて、軸線方向における一方側X1から導入される気体(酸化ガス)を径方向Yにおける外側に導くように構成されている。タービンインペラ30Cは、排ガス排出ライン4に設けられて、径方向Yにおける外側から導入される気体(排ガス)を軸線方向における他方側X2に導くように構成されている。
【0044】
上記の構成によれば、少なくとも1つのタービン翼34により、排ガスのエネルギーを回転エネルギーに変換することで、少なくとも1つのコンプレッサ翼32を回転させることができる。これにより、電動ターボ機械10における全体としてのターボ機械(インペラ30)の性能向上が図れる。また、上記の構成によれば、第1ハブ部31と第2ハブ部33とを背面312、332同士が対向するように配置することで、電動ターボ機械10におけるターボ機械(インペラ30)の軸長を短くできるため、電動ターボ機械10の小型化や軽量化が図れる。
【0045】
幾つかの実施形態では、図2に示されるように、上述した電動ターボ機械10は、回転シャフト11およびインペラ30(30A)を収容するように構成されたケーシング60(60A)を備える。ケーシング60(60A)は、少なくとも1つのコンプレッサ翼32を通過する気体をケーシング60の外部から内部に導入するためのコンプレッサ側導入口611と、少なくとも1つのタービン翼34を通過する気体をケーシング60の外部から内部に導入するためのタービン側導入口621と、を有する。コンプレッサ側導入口611およびタービン側導入口621の夫々は、回転シャフト11の軸線LAに対して交差する方向に向かって開口している。
【0046】
図示される実施形態では、上述したケーシング60(60A)は、ケーシング60の内部に導入された気体を少なくとも1つのコンプレッサ翼32に供給するためのコンプレッサ側供給流路61を形成するコンプレッサ側供給流路壁面612と、ケーシング60の内部に導入された気体を少なくとも1つのタービン翼34に供給するためのタービン側供給流路62を形成するタービン側供給流路壁面622と、を有する。
【0047】
コンプレッサ側導入口611は、コンプレッサ側供給流路壁面612の上流端に形成された開口面である。コンプレッサ側導入口611は、少なくとも1つのコンプレッサ翼32よりも軸線方向における一方側X1に形成されている。タービン側導入口621は、タービン側供給流路壁面622の上流端に形成された開口面である。タービン側導入口621は、少なくとも1つのタービン翼34よりも軸線方向における他方側X2に形成されている。コンプレッサ側導入口611の垂直中心軸線613およびタービン側導入口621の垂直中心軸線623の夫々は、図2に示されるような電動ターボ機械10の軸線方向に沿った断面において、軸線LAに直交する方向に沿って延在している。
【0048】
上記の構成によれば、コンプレッサ側導入口611およびタービン側導入口621の夫々を回転シャフト11の軸線LAに対して交差する方向に向かって開口させることで、ターボ機械(インペラ30)を流れる気体の流路の軸線方向における長さを短くできるため、電動ターボ機械10の小型化や軽量化が図れる。
【0049】
幾つかの実施形態では、図2に示されるように、上述したケーシング60(60A)は、少なくとも1つのコンプレッサ翼32を通過した気体をケーシング60の外部に排出するためのコンプレッサ側排出口631と、少なくとも1つのタービン翼34を通過した気体をケーシング60の外部に排出するためのタービン側排出口641と、を有する。コンプレッサ側排出口631およびタービン側排出口641の夫々は、回転シャフト11の軸線LAに対して交差する方向に向かって開口している。
【0050】
図示される実施形態では、上述したケーシング60(60A)は、少なくとも1つのコンプレッサ翼32を通過した気体をケーシング60の外部に排出するためのコンプレッサ側排出流路63を形成するコンプレッサ側排出流路壁面632と、少なくとも1つのタービン翼34を通過した気体をケーシング60の外部に排出するためのタービン側排出流路64を形成するタービン側排出流路壁面642と、を有する。
【0051】
コンプレッサ側排出口631は、コンプレッサ側排出流路壁面632の下流端に形成された開口面である。タービン側排出口641は、タービン側排出流路壁面642の下流端に形成された開口面である。コンプレッサ側排出口631の垂直中心軸線633およびタービン側排出口641の垂直中心軸線643の夫々は、図2に示されるような電動ターボ機械10の軸線方向に沿った断面において、軸線LAに直交する方向に沿って延在している。
【0052】
上記の構成によれば、コンプレッサ側排出口631およびタービン側排出口641の夫々を回転シャフト11の軸線LAに対して交差する方向に向かって開口させることで、ターボ機械(インペラ30)を流れる気体の流路の軸線方向における長さを短くできるため、電動ターボ機械10の小型化や軽量化が図れる。
【0053】
(第2の実施形態)
図3は、本開示の一実施形態にかかる電動ターボ機械の軸線方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。幾つかの実施形態では、図3に示されるように、上述したインペラ30(30D)は、第1ハブ部31および少なくとも1つのコンプレッサ翼32を含む遠心式の第1のコンプレッサインペラ30Bと、第2ハブ部33および少なくとも1つのコンプレッサ翼34Aを含む遠心式の第2のコンプレッサインペラ30Eと、を含む。
【0054】
具体的には、インペラ30Dは、上述した第1ハブ部31と、上述した少なくとも1つのコンプレッサ翼32と、回転シャフト11に取り付けられる第2ハブ部33と、第2ハブ部33の外周面331に取り付けられた少なくとも1つのコンプレッサ翼34Aと、を含む。第2ハブ部33は、第1ハブ部31に対して背面312、332同士が対向するように配置されている。
【0055】
第2ハブ部33は、回転シャフト11に機械的に固定されているため、第2ハブ部33および少なくとも1つのコンプレッサ翼34Aは、回転シャフト11と一体的に回転可能である。図示される実施形態では、少なくとも1つのコンプレッサ翼34Aは、回転シャフト11の周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された複数のコンプレッサ翼34Aを含む。複数のコンプレッサ翼34Aの夫々の先端341(チップ端)は、ケーシング60の凸状に湾曲するシュラウド面602との間に隙間(クリアランス)が形成されている。コンプレッサインペラ30Eは、オープンインペラからなる。すなわち、複数のコンプレッサ翼34Aの夫々の先端341には、環状のディスク部が取り付けられていない。
【0056】
コンプレッサインペラ30Eは、酸化ガス供給ライン2(図1参照)のコンプレッサインペラ30Bよりも下流側に設けられて、軸線方向における他方側X2から導入される気体(コンプレッサインペラ30Bにより過給された酸化ガス)を径方向Yにおける外側に導くように構成されている。
【0057】
上記の構成によれば、複数の電動モータ40、50を駆動させることで、コンプレッサ翼32やコンプレッサ翼34Aを回転させることができ、これらのコンプレッサ翼32、34Aにより、燃料電池20に供給される酸化ガスを過給できる。これにより、電動ターボ機械10における全体としてのターボ機械(インペラ30)の性能向上が図れる。
【0058】
幾つかの実施形態では、図3に示されるように、上述した電動ターボ機械10は、回転シャフト11およびインペラ30(30D)を収容するように構成されたケーシング60(60B)を備える。ケーシング60(60B)は、上述したコンプレッサ側導入口611と、少なくとも1つのコンプレッサ翼34Aを通過した気体をケーシング60の外部に排出するためのコンプレッサ側排出口641Aと、を有する。コンプレッサ側排出口641Aは、回転シャフト11の軸線LAに対して交差する方向に向かって開口している。
【0059】
図示される実施形態では、上述したケーシング60(60B)は、上述したコンプレッサ側供給流路壁面612と、少なくとも1つのコンプレッサ翼32を通過した気体を少なくとも1つのコンプレッサ翼34Aに供給するためのコンプレッサ側連絡流路65を形成するコンプレッサ側連絡流路壁面651と、少なくとも1つのコンプレッサ翼34Aを通過した気体をケーシング60の外部に排出するためのコンプレッサ側排出流路64Aを形成するコンプレッサ側排出流路壁面642Aと、を有する。
【0060】
コンプレッサ側排出口641Aは、コンプレッサ側排出流路壁面642Aの下流端に形成された開口面である。コンプレッサ側排出口641Aの垂直中心軸線643Aは、図3に示されるような電動ターボ機械10の軸線方向に沿った断面において、軸線LAに直交する方向に沿って延在している。
【0061】
上記の構成によれば、コンプレッサ側導入口611およびコンプレッサ側排出口641Aの夫々を回転シャフト11の軸線LAに対して交差する方向に向かって開口させることで、ターボ機械(インペラ30)を流れる気体の流路の軸線方向における長さを短くできるため、電動ターボ機械10の小型化や軽量化が図れる。
【0062】
(第3の実施形態)
図4は、本開示の一実施形態にかかる電動ターボ機械の軸線方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。図5は、図4に示されるインペラを軸線方向における一方側から視認した状態を示す概略図である。図6は、図4に示されるインペラを径方向における外側から視認した状態を示す概略図である。図6における符号Rは、回転シャフト11の回転方向を示している。
幾つかの実施形態では、図4に示されるように、上述したインペラ30(30F)は、回転シャフト11に取り付けられるハブ部71と、ハブ部71の外周面711に取り付けられた少なくとも1つのタービン翼72と、少なくとも1つのタービン翼72の先端721(チップ端)に取り付けられた環状のディスク部73と、環状のディスク部73の外周面731に取り付けられた少なくとも1つのコンプレッサ翼74と、を含む。
【0063】
ハブ部71は、軸線方向における一方側X1から他方側X2に向かうにつれて回転シャフト11の軸線LAからの距離が大きくなる外周面711と、回転シャフト11を軸線方向Xに沿って挿通させる貫通孔を形成する内周面712と、を有する。ハブ部71は、ハブ部71は、回転シャフト11に機械的に固定されているため、ハブ部71、少なくとも1つのタービン翼72、環状のディスク部73および少なくとも1つのコンプレッサ翼74は、回転シャフト11と一体的に回転可能である。
【0064】
環状のディスク部73は、軸線方向における一方側X1から他方側X2に向かうにつれて回転シャフト11の軸線LAからの距離が大きくなる外周面731を有する。図示される実施形態では、外周面711および外周面731の夫々は、径方向Yにおける内側に向かって凹む凹湾曲形状を有する。
【0065】
図示される実施形態では、図5に示されるように、少なくとも1つのタービン翼72は、回転シャフト11の周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された複数のタービン翼72を含む。複数のタービン翼72の夫々の先端(チップ端)721は、環状のディスク部73の内周面732に機械的に接続されている。少なくとも1つのコンプレッサ翼74は、回転シャフト11の周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された複数のコンプレッサ翼74を含む。複数のコンプレッサ翼74の夫々の先端(チップ端)741は、ケーシング60の凸状に湾曲するシュラウド面603(図4参照)との間に隙間(クリアランス)が形成されている。複数のコンプレッサ翼74の夫々の先端(チップ端)741には、環状のディスク部が取り付けられていない。
【0066】
少なくとも1つのコンプレッサ翼74は、上述した酸化ガス供給ライン2に設けられて、軸線方向における一方側X1から導入される気体(酸化ガス)を径方向Yにおける外側に導くように構成されている。少なくとも1つのタービン翼72は、上述した排ガス排出ライン4に設けられて、径方向Yにおける外側から導入される気体(排ガス)を軸線方向における一方側X1に導くように構成されている。
【0067】
上記の構成によれば、少なくとも1つのタービン翼72により、排ガスのエネルギーを回転エネルギーに変換することで、少なくとも1つのコンプレッサ翼74を回転させることができる。これにより、電動ターボ機械10における全体としてのターボ機械の性能向上が図れる。また、上記の構成によれば、少なくとも1つのタービン翼72の外周側に少なくとも1つのコンプレッサ翼74を設けることで、軸線方向において少なくとも1つのタービン翼と少なくとも1つのコンプレッサ翼とを隣接して配置させる場合に比べて、電動ターボ機械10におけるターボ機械(インペラ30)の軸長を短くできるため、電動ターボ機械10の小型化や軽量化が図れる。
【0068】
幾つかの実施形態では、上述した電動ターボ機械10は、図4図6に示されるような、少なくとも1つのタービン翼72よりも排ガス排出ライン4の上流側に設けられる少なくとも1つのタービン側静翼75をさらに備えていてもよい。なお、電動ターボ機械10は、不図示であるが、少なくとも1つのコンプレッサ翼よりも酸化ガス供給ライン2に設けられる少なくとも1つのコンプレッサ側静翼をさらに備えていてもよい。
【0069】
図示される実施形態では、少なくとも1つのタービン側静翼75は、タービン側供給流路62Aに設けられている。少なくとも1つのタービン側静翼75は、図6に示されるように、回転シャフト11の周方向に互いに間隔をあけて配置された複数のタービン側静翼75を含む。図6に示される実施形態では、複数のタービン側静翼75の夫々は、径方向Yにおける外側から視たときに、複数のタービン側静翼75を通過した気体が、回転シャフト11の回転方向Rに沿った方向に向かって流れるように構成されている。複数のタービン翼72の夫々は、径方向Yにおける外側から視たときに、複数のタービン翼72を通過した気体が、回転シャフト11の回転方向Rとは反対方向に沿った方向に向かって流れるように構成されている。また、複数のコンプレッサ翼74の夫々は、径方向Yにおける外側から視たときに、複数のコンプレッサ翼74を通過した気体が、回転シャフト11の回転方向Rとは交差する方向(例えば、直交方向)に沿った方向に向かって流れるように構成されている。
【0070】
幾つかの実施形態では、図4に示されるように、上述した電動ターボ機械10は、回転シャフト11およびインペラ30(30F)を収容するように構成されたケーシング60(60C)を備える。ケーシング60(60C)は、回転シャフト11の軸線方向における一方側X1から他方側X2に少なくとも1つのコンプレッサ翼74に導入される気体(酸化ガス)を導くためのコンプレッサ側供給流路61Aと、回転シャフト11の軸線方向における他方側X2から一方側X1に少なくとも1つのタービン翼72を通過した気体(排ガス)を排出するためのタービン側排出流路64Bと、が内部に形成されている。
【0071】
タービン側排出流路64Bは、コンプレッサ側供給流路61Aの内周側に(径方向Yにおける内側)に設けられている。図示される実施形態では、ケーシング60(60C)は、軸線方向に沿って延在してコンプレッサ側供給流路61Aとタービン側排出流路64Bとを区画する筒状部16を有する。タービン側排出流路64Bは、筒状部16の内壁面161により、筒状部16の内周側に形成される。コンプレッサ側供給流路61Aは、筒状部16の外壁面162と、シュラウド面603の一方側X1に連なるコンプレッサ側供給流路壁面611Aにより、筒状部16の外周側に形成される。
【0072】
上記の構成によれば、ケーシング60(60C)の内部にコンプレッサ側供給流路61Aとタービン側排出流路64Bとを設けることで、一方側軸受12から漏れ出た潤滑油が少なくとも1つのコンプレッサ翼74を通過する気体に混入することを抑制できる。具体的には、一方側軸受12から漏れ出た潤滑油を、タービン側排出流路64Bを流れる気体により電動ターボ機械10の外部に排出できる。この場合には、一方側軸受12にオイルレス軸受を用いたり、電動ターボ機械10に一方側軸受12からの油漏れを抑制する抑制構造を別途設けたりしなくても良いので、電動ターボ機械10の構造の複雑化や大型化、製造コストの高額化を抑制できる。
【0073】
幾つかの実施形態では、図4に示されるように、上述したケーシング60(60C)は、少なくとも1つのタービン翼72を通過する気体をケーシング60の外部から内部に導入するためのタービン側導入口621Aと、少なくとも1つのコンプレッサ翼74を通過した気体をケーシング60の外部に排出するためのコンプレッサ側排出口631Aと、を有する。コンプレッサ側排出口631Aは、軸線方向におけるタービン側導入口621Aよりも一方側X1に設けられる。タービン側導入口621Aおよびコンプレッサ側排出口631Aの夫々は、回転シャフト11の軸線LAに対して交差する方向に向かって開口している。
【0074】
図示される実施形態では、上述したケーシング60(60C)は、ケーシング60の内部に導入された気体を少なくとも1つのタービン翼72に供給するためのタービン側供給流路62Aを形成するタービン側供給流路壁面622Aと、少なくとも1つのコンプレッサ翼74を通過した気体をケーシング60の外部に排出するためのコンプレッサ側排出流路63Aを形成するコンプレッサ側排出流路壁面632Aと、を有する。
【0075】
タービン側導入口621Aは、タービン側供給流路壁面622Aの上流端に形成された開口面である。コンプレッサ側排出口631Aは、コンプレッサ側排出流路壁面632Aの下流端に形成された開口面である。タービン側導入口621Aの垂直中心軸線623Aおよびコンプレッサ側排出口631Aの垂直中心軸線633Aの夫々は、図4に示されるような電動ターボ機械10の軸線方向に沿った断面において、軸線LAに直交する方向に沿って延在している。
【0076】
上記の構成によれば、タービン側導入口621Aおよびコンプレッサ側排出口631Aの夫々を回転シャフト11の軸線LAに対して交差する方向に向かって開口させることで、ターボ機械(インペラ30)を流れる気体の流路の軸線方向における長さを短くできるため、電動ターボ機械10の小型化や軽量化が図れる。
【0077】
幾つかの実施形態では、上述した電動ターボ機械10は、図4に示されるように、タービン側排出流路64Bに設けられて、回転シャフト11のインペラ30(30F)と第1支持部41との間を回転可能に支持するように構成された一方側軸受12と、ケーシング60(60C)のタービン側排出流路64Bを形成する内壁面161から回転シャフト11の径方向Yにおける内側に向かって突出して一方側軸受12を支持するように構成された複数の一方側軸受支持部17と、を備える。
【0078】
図7は、図4に示される一方側軸受および複数の一方側軸受支持部を軸線方向における一方側から視認した状態を示す概略図である。図7に示されるように、複数の一方側軸受支持部17は、回転シャフト11の周方向に互いに間隔をあけて配置されている。複数の一方側軸受支持部17の夫々は、径方向Yにおける外側の端部が内壁面161に接続されるとともに、径方向Yにおける内側の端部が一方側軸受12を外周側から支持している。
【0079】
図示される実施形態では、上述した筒状部16は、一方側軸受12および電動モータ40を内部に収容している。ケーシング60(60C)は、コンプレッサ側供給流路61Aの外周側を形成するコンプレッサ側供給流路壁面611Aから回転シャフト11の径方向Yにおける内側に向かって突出して筒状部16を支持するように構成された複数の筒状部支持部18を備える。複数の筒状部支持部18は、回転シャフト11の周方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0080】
上記の構成によれば、一方側軸受12をタービン側排出流路64Bに設け、この一方側軸受12を外周側から複数の一方側軸受支持部17により支持させることで、電動ターボ機械10における一方側軸受12の支持構造の軸線方向における長さおよび径方向における長さを短くできるため、電動ターボ機械10の大型化を抑制できる。また、一方側軸受12をタービン側排出流路64Bに設けることで、タービン側排出流路64Bを回転シャフト11の径方向における内側に位置させることができるため、ケーシング60の径方向における長さを短くできる。これによっても、電動ターボ機械10の大型化を抑制できる。
【0081】
(第4の実施形態)
図8は、本開示の一実施形態にかかる電動ターボ機械におけるインペラ近傍の軸線方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。幾つかの実施形態では、図8に示されるように、上述した電動ターボ機械10は、上述したインペラ30(30F)を備え、ハブ部71の軸線方向における他方側X2の端部713に、第2電動モータ50の少なくとも一部を収容するハブ部側凹部714が形成されている。
【0082】
図示される実施形態では、ハブ部側凹部714は、端部713の他方側X2の端面から一方側X1に向かって凹んで形成されている。ハブ部側凹部714は、第2支持部51の径方向延在部55を少なくとも収容している。
【0083】
上記の構成によれば、第2電動モータ50の少なくとも一部をハブ部側凹部714に収容させることで、電動ターボ機械10におけるターボ機械(インペラ30)の軸長を短くできるため、電動ターボ機械10の小型化や軽量化が図れる。
【0084】
幾つかの実施形態では、図8に示されるように、上述した電動ターボ機械10は、上述したインペラ30(30F)を備える。上述した第2ステータ53の軸線方向における一方側X1の端部(一端部)531に、回転シャフト11の他方側X2を収容するステータ側凹部532が形成されている。上述した他方側軸受13は、ステータ側凹部532に収容された回転シャフト11を回転可能に支持するように構成されている。
【0085】
図示される実施形態では、ステータ側凹部532は、端部531の一方側X1の端面から他方側X2に向かって凹んで形成されている。ステータ側凹部532は、他方側軸受13および回転シャフト11の他方端112を収容している。他方側軸受13は、第2ステータ53により外周側から支持されている。
【0086】
上記の構成によれば、回転シャフト11の他方側X2をステータ側凹部532に収容させることで、電動ターボ機械10におけるターボ機械(インペラ30)の軸長を短くできるため、電動ターボ機械10の小型化や軽量化が図れる。他方側軸受13をステータ側凹部532に収容させることで、他方側軸受13から漏れ出た潤滑油が少なくとも1つのコンプレッサ翼74や少なくとも1つのタービン翼72を通過する気体に混入することを抑制できる。具体的には、ハブ部71や第2ステータ53が他方側軸受13から漏れ出た潤滑油の流れを遮断できる。この場合には、他方側軸受13にオイルレス軸受を用いたり、電動ターボ機械10に他方側軸受13からの油漏れを抑制する抑制構造を別途設けたりしなくても良いので、電動ターボ機械10の構造の複雑化や大型化、製造コストの高額化を抑制できる。
【0087】
幾つかの実施形態にかかる燃料電池システム1は、図1に示されるように、上述した電動ターボ機械10と、上述した燃料電池20と、を備え、上述したインペラ30は、燃料電池20に供給される酸化ガスを圧縮するように構成された少なくとも1つのコンプレッサ翼32、34A又は74を含む。
【0088】
上記の構成によれば、電動ターボ機械10は、燃料電池システム1において、燃料電池20に供給される酸化ガスの過給に使われる。この電動ターボ機械10は、電動モータ40、50とターボ機械(インペラ30)の性能向上を同時に実現できるため、電動ターボ機械10を備える燃料電池システム1の効率を向上させることができる。
【0089】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0090】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0091】
1)本開示の少なくとも一実施形態にかかる電動ターボ機械(10)は、
回転シャフト(11)と、
前記回転シャフト(11)に取り付けられるインペラ(30)と、
前記回転シャフト(11)の前記インペラ(30)よりも一方側(X1)に設けられる第1電動モータ(40)であって、
前記回転シャフト(11)の前記インペラ(30)よりも前記一方側(X1)に片持ち支持される第1支持部(41)、
前記第1支持部(41)に外周側から支持される第1永久磁石(42)、および、
前記第1永久磁石(42)の内周側に隙間を有して対向するように配置された第1静止コイル部(44)を有する第1ステータ(43)、を含む第1電動モータ(40)と、
前記回転シャフト(11)の前記インペラ(30)よりも他方側(X2)に設けられる第2電動モータ(50)であって、
前記回転シャフト(11)の前記インペラ(30)よりも前記他方側(X2)に片持ち支持される第2支持部(51)、
前記第2支持部(51)に外周側から支持される第2永久磁石(52)、および、
前記第2永久磁石(52)の内周側に隙間を有して対向するように配置された第2静止コイル部(54)を有する第2ステータ(53)、を含む第2電動モータ(50)と、を備える。
【0092】
上記1)の構成によれば、電動ターボ機械(10)は、第1電動モータ(40)および第2電動モータ(50)の夫々をアウターロータ型にすることで、各電動モータ(40、50)における永久磁石(42、52)と静止コイル部(44、54)との間に保持材を設けなくてもよく、各永久磁石(42、52)に対する外周側からの支持を厚くできるため、インナーロータ型の電動モータを採用した場合に比べて、複数の翼を含むインペラ30の高周速化が可能である。これにより、電動ターボ機械(10)における全体としての電動モータの性能向上が図れる。
【0093】
電動ターボ機械(10)は、2つの電動モータ(40、50)を備えるので、仮に1つの電動モータを備える場合に比べて、各電動モータ(40、50)の軸長を短くできる。また、各電動モータ(40、50)をアウターロータ式にすることで、インナーロータ式の電動モータに比べて、各電動モータ(40、50)の軸長を短くできる。各電動モータ(40、50)の軸長を短くすることで、各電動モータ(40、50)の小型軽量化が可能である。また、各電動モータ(40、50)の軸長を短くすることで、各電動モータ(40、50)の回転子(永久磁石および支持部)を回転シャフト(11)に片持ち支持させることができるため、回転シャフト(11)の両端の夫々に電動モータ(40、50)を配置できる。上記1)の構成によれば、電動モータ(40、50)間に複数の翼を含むインペラ30を設けることができるため、電動ターボ機械(10)における全体としてのターボ機械の性能向上が図れる。
【0094】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の電動ターボ機械(10)であって、
前記インペラ(30(30A))は、
前記回転シャフト(11)に取り付けられる第1ハブ部(31)であって、前記回転シャフト(11)の軸線方向における前記一方側(X1)から前記他方側(X2)に向かうにつれて前記回転シャフト(11)の軸線(LA)からの距離が大きくなる外周面(311)を有する第1ハブ部(31)と、
前記第1ハブ部(31)の前記外周面(311)に取り付けられた少なくとも1つのコンプレッサ翼(32)と、
前記回転シャフト(11)に取り付けられる第2ハブ部(33)であって、前記軸線方向における前記他方側(X2)から前記一方側(X1)に向かうにつれて前記回転シャフト(11)の前記軸線(LA)からの距離が大きくなる外周面(331)を有するとともに、前記第1ハブ部(31)に対して背面同士が対向するように配置された第2ハブ部(33)と、
前記第2ハブ部(33)の前記外周面(331)に取り付けられた少なくとも1つのタービン翼(34)と、を含む。
【0095】
上記2)の構成によれば、少なくとも1つのタービン翼(34)により、排ガスのエネルギーを回転エネルギーに変換することで、少なくとも1つのコンプレッサ翼(32)を回転させることができる。これにより、電動ターボ機械(10)における全体としてのターボ機械(インペラ30)の性能向上が図れる。また、上記2)の構成によれば、第1ハブ部(31)と第2ハブ部(33)とを背面同士が対向するように配置することで、電動ターボ機械(10)におけるターボ機械(インペラ30)の軸長を短くできるため、電動ターボ機械(10)の小型化や軽量化が図れる。
【0096】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の電動ターボ機械(10)であって、
前記回転シャフト(11)および前記インペラ(30(30A))を収容するように構成されたケーシング(60(60A))をさらに備え、
前記ケーシング(60)は、
前記少なくとも1つのコンプレッサ翼(32)を通過する気体を前記ケーシング(60)の外部から内部に導入するためのコンプレッサ側導入口(611)であって、前記回転シャフト(11)の前記軸線(LA)に対して交差する方向に向かって開口するコンプレッサ側導入口(611)と、
前記少なくとも1つのタービン翼(34)を通過する気体を前記ケーシング(60)の外部から内部に導入するためのタービン側導入口(621)であって、前記軸線(LA)に対して交差する方向に向かって開口するタービン側導入口(621)と、を有する。
【0097】
上記3)の構成によれば、コンプレッサ側導入口(611)およびタービン側導入口(621)の夫々を回転シャフト(11)の軸線(LA)に対して交差する方向に向かって開口させることで、ターボ機械(インペラ30)を流れる気体の流路の軸線方向における長さを短くできるため、電動ターボ機械(10)の小型化や軽量化が図れる。
【0098】
4)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の電動ターボ機械(10)であって、
前記インペラ(30(30F))は、
前記回転シャフト(11)に取り付けられるハブ部(71)であって、前記回転シャフト(11)の軸線方向における前記一方側(X1)から前記他方側(X2)に向かうにつれて前記回転シャフト(11)の軸線(LA)からの距離が大きくなる外周面(711)を有するハブ部(71)と、
前記ハブ部(71)の前記外周面(711)に取り付けられた少なくとも1つのタービン翼(72)と、
前記少なくとも1つのタービン翼(72)の先端(721)に取り付けられた環状のディスク部(73)であって、前記軸線方向における前記一方側(X1)から前記他方側(X2)に向かうにつれて前記軸線(LA)からの距離が大きくなる外周面(731)を有する環状のディスク部(73)と、
前記環状のディスク部(73)の外周面(731)に取り付けられた少なくとも1つのコンプレッサ翼(74)と、を含む。
【0099】
上記4)の構成によれば、少なくとも1つのタービン翼(72)により、排ガスのエネルギーを回転エネルギーに変換することで、少なくとも1つのコンプレッサ翼(74)を回転させることができる。これにより、電動ターボ機械(10)における全体としてのターボ機械の性能向上が図れる。また、上記4)の構成によれば、少なくとも1つのタービン翼(72)の外周側に少なくとも1つのコンプレッサ翼(74)を設けることで、軸線方向において少なくとも1つのタービン翼と少なくとも1つのコンプレッサ翼とを隣接して配置させる場合に比べて、電動ターボ機械(10)におけるターボ機械(インペラ30)の軸長を短くできるため、電動ターボ機械(10)の小型化や軽量化が図れる。
【0100】
5)幾つかの実施形態では、上記4)に記載の電動ターボ機械(10)であって、
前記回転シャフト(11)および前記インペラ(30(30F))を収容するように構成されたケーシング(60(60C))をさらに備え、
前記ケーシング(60)は、
前記回転シャフト(11)の前記軸線方向における前記一方側(X1)から前記他方側(X2)に前記少なくとも1つのコンプレッサ翼(74)に導入される気体を導くためのコンプレッサ側供給流路(61A)と、
前記回転シャフト(11)の前記軸線方向における前記他方側(X2)から前記一方側(X1)に前記少なくとも1つのタービン翼(72)を通過した気体を排出するためのタービン側排出流路(64B)と、が内部に形成された。
【0101】
上記5)の構成によれば、ケーシング(60)の内部に上記コンプレッサ側供給流路(61A)と上記タービン側排出流路(64B)とを設けることで、一方側軸受(12)から漏れ出た潤滑油が上記少なくとも1つのコンプレッサ翼(74)を通過する気体に混入することを抑制できる。具体的には、一方側軸受(12)から漏れ出た潤滑油を、タービン側排出流路(64B)を流れる気体により電動ターボ機械(10)の外部に排出できる。この場合には、一方側軸受(12)にオイルレス軸受を用いたり、電動ターボ機械(10)に一方側軸受(12)からの油漏れを抑制する抑制構造を別途設けたりしなくても良いので、電動ターボ機械(10)の構造の複雑化や大型化、製造コストの高額化を抑制できる。
【0102】
6)幾つかの実施形態では、上記5)に記載の電動ターボ機械(10)であって、
前記タービン側排出流路(64B)に設けられて、前記回転シャフト(11)の前記インペラ(30)と前記第1支持部(41)との間を回転可能に支持するように構成された一方側軸受(12)と、
前記ケーシング(60)の前記タービン側排出流路(64B)を形成する内壁面(161)から前記回転シャフト(11)の径方向における内側に向かって突出して前記一方側軸受(12)を支持するように構成された複数の一方側軸受支持部(17)であって、前記回転シャフト(11)の周方向に互いに間隔をあけて配置される複数の一方側軸受支持部(17)と、をさらに備える。
【0103】
上記6)の構成によれば、一方側軸受(12)をタービン側排出流路(64B)に設け、この一方側軸受(12)を外周側から複数の一方側軸受支持部(17)により支持させることで、電動ターボ機械(10)における一方側軸受(12)の支持構造の軸線方向における長さおよび径方向における長さを短くできるため、電動ターボ機械(10)の大型化を抑制できる。また、一方側軸受(12)をタービン側排出流路(64B)に設けることで、タービン側排出流路(64B)を回転シャフト(11)の径方向における内側に位置させることができるため、ケーシング(60)の径方向における長さを短くできる。これによっても、電動ターボ機械(10)の大型化を抑制できる。
【0104】
7)幾つかの実施形態では、上記4)から上記6)までの何れかに記載の電動ターボ機械(10)であって、
前記ハブ部(71)の前記軸線方向における前記他方側の端部(713)に、前記第2電動モータ(50)の少なくとも一部を収容するハブ部側凹部(714)が形成された。
【0105】
上記7)の構成によれば、第2電動モータ(50)の少なくとも一部をハブ部側凹部(714)に収容させることで、電動ターボ機械(10)におけるターボ機械(インペラ30)の軸長を短くできるため、電動ターボ機械(10)の小型化や軽量化が図れる。
【0106】
8)幾つかの実施形態では、上記7)に記載の電動ターボ機械(10)であって、
前記第2ステータ(53)の前記軸線方向における一端部(531)に、前記回転シャフト(11)の前記他方側を収容するステータ側凹部(532)が形成され、
前記電動ターボ機械(10)は、前記ステータ側凹部(532)に収容された前記回転シャフト(11)を回転可能に支持するように構成された他方側軸受(13)をさらに備える。
【0107】
上記8)の構成によれば、回転シャフト(11)の上記他方側をステータ側凹部(532)に収容させることで、電動ターボ機械(10)におけるターボ機械(インペラ30)の軸長を短くできるため、電動ターボ機械(10)の小型化や軽量化が図れる。他方側軸受(13)をステータ側凹部(532)に収容させることで、他方側軸受(13)から漏れ出た潤滑油が上記少なくとも1つのコンプレッサ翼(74)や上記少なくとも1つのタービン翼(72)を通過する気体に混入することを抑制できる。具体的には、上記ハブ部(71)や第2ステータ(53)が他方側軸受(13)から漏れ出た潤滑油の流れを遮断できる。この場合には、他方側軸受(13)にオイルレス軸受を用いたり、電動ターボ機械(10)に他方側軸受(13)からの油漏れを抑制する抑制構造を別途設けたりしなくても良いので、電動ターボ機械(10)の構造の複雑化や大型化、製造コストの高額化を抑制できる。
【0108】
9)本開示の少なくとも一実施形態にかかる燃料電池システム(1)は、
上記1)から上記8)までの何れかに記載の電動ターボ機械(10)と、
燃料電池(20)と、を備え、
前記インペラ(30)は、前記燃料電池(20)に供給される酸化ガスを圧縮するように構成された少なくとも1つのコンプレッサ翼(32、34A又は74)を含む。
【0109】
上記9)の構成によれば、電動ターボ機械(10)は、燃料電池システム(1)において、燃料電池(20)に供給される酸化ガスの過給に使われる。この電動ターボ機械(10)は、電動モータ(40、50)とターボ機械(30)の性能向上を同時に実現できるため、電動ターボ機械(10)を備える燃料電池システム(1)の効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0110】
1 燃料電池システム
2 酸化ガス供給ライン
3 燃料ガス供給ライン
4 排ガス排出ライン
10 電動ターボ機械
11 回転シャフト
12 一方側軸受
13 他方側軸受
14 第1ステータ支持部
15 第2ステータ支持部
16 筒状部
17 一方側軸受支持部
18 筒状部支持部
20 燃料電池
20A 発電セル
21 空気極
22 燃料極
23 電解質膜
30,30A,30D,30F インペラ
30B,30E コンプレッサインペラ
30C タービンインペラ
31 第1ハブ部
32 コンプレッサ翼
33 第2ハブ部
34 タービン翼
34A コンプレッサ翼
40 第1電動モータ
41 第1支持部
42 第1永久磁石
43 第1ステータ
44 第1静止コイル部
45,55 径方向延在部
46,56 軸線方向延在部
50 第2電動モータ
51 第2支持部
52 第2永久磁石
53 第2ステータ
54 第2静止コイル部
60 ケーシング
61,61A コンプレッサ側供給流路
62,62A タービン側供給流路
63,63A コンプレッサ側排出流路
64,64A,64B タービン側排出流路
65 コンプレッサ側連絡流路
71 ハブ部
72 タービン翼
73 環状のディスク部
74 コンプレッサ翼
75 タービン側静翼
LA 軸線
X 軸線方向
X1 一方側
X2 他方側
Y 径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8