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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096605
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電子機器およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/497 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
G01N33/497 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000203
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】302031454
【氏名又は名称】東海電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】石澤 毅
(72)【発明者】
【氏名】大平 健治
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045CB22
2G045DA74
(57)【要約】
【課題】 電源からの電気の供給が停止されたことを示すログを記録することができる電子機器およびプログラムを提供する。
【解決手段】 電池から供給された電気によって動作するアルコール測定装置は、キャパシターと、電池からアルコール測定装置への電気の供給が停止されたことを示すログとしての電源喪失ログを記録するログ記録部とを備え、ログ記録部は、電池からアルコール測定装置への電気の供給が停止された場合にキャパシターから供給される電気によって動作して電源喪失ログを記録する(S83)ことを特徴とする。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から供給された電気によって動作する電子機器であって、
補助電源と、
前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止されたことを示すログとしての電源喪失ログを記録するログ記録部と
を備え、
前記ログ記録部は、前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止された場合に前記補助電源から供給される電気によって動作して前記電源喪失ログを記録することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記補助電源は、キャパシターであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記補助電源に蓄えられている電力を消費する特定の負荷を備え、
前記ログ記録部は、前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止された場合に前記補助電源から前記特定の負荷への電気の供給を停止させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子機器は、呼気中のアルコール濃度の測定を実行するアルコール測定装置であって、
前記ログ記録部は、前記測定の結果を示すログとしての測定結果ログと、前記測定の動作のうち、前記測定の開始以降、前記測定結果ログの記録前の少なくとも一部の動作のログとしての測定動作ログとを記録することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は、呼気中のアルコール濃度の測定を実行するアルコール測定部を備えるアルコール測定装置であって、
前記アルコール測定部は、前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止された場合に前記測定の実行中であるとき、前記測定の実行を中止することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
電源から供給された電気によって動作する電子機器に、前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止されたことを示すログとしての電源喪失ログを記録するログ記録部を実現させ、
前記電子機器は、補助電源を備え、
前記ログ記録部は、前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止された場合に前記補助電源から供給される電気によって動作して前記電源喪失ログを記録することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源から供給された電気によって動作する電子機器およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源から供給された電気によって動作する電子機器として、電源としての電池から供給された電気によって動作するアルコール測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-085715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたアルコール測定装置においては、電池が取り外されるなどして電池からアルコール測定装置への電気の供給が停止された場合に、動作を継続することができないので、電池からアルコール測定装置への電気の供給が停止されたことを示すログを記録することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、電源からの電気の供給が停止されたことを示すログを記録することができる電子機器およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、電源から供給された電気によって動作する電子機器であって、補助電源と、前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止されたことを示すログとしての電源喪失ログを記録するログ記録部とを備え、前記ログ記録部は、前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止された場合に前記補助電源から供給される電気によって動作して前記電源喪失ログを記録することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の電子機器は、電源からの電気の供給が停止された場合に補助電源から供給される電気によって動作して電源喪失ログを記録するので、電源からの電気の供給が停止されたことを示すログを記録することができる。
【0008】
本発明の電子機器において、前記補助電源は、キャパシターであっても良い。
【0009】
この構成により、本発明の電子機器は、静電気を利用して蓄電することができるキャパシターが補助電源であるので、化学変化によって蓄電することができる電池が補助電源である構成と比較して、補助電源の寿命を延ばすことができる。
【0010】
本発明の電子機器は、前記補助電源に蓄えられている電力を消費する特定の負荷を備え、前記ログ記録部は、前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止された場合に前記補助電源から前記特定の負荷への電気の供給を停止させても良い。
【0011】
この構成により、本発明の電子機器は、電源から電子機器への電気の供給が停止された場合に補助電源から特定の負荷への電気の供給を停止させるので、補助電源に蓄えられている電力が特定の負荷によって消費される可能性を低減することができ、その結果、補助電源に蓄えられている電力によって電源喪失ログを記録することができる可能性を向上することができる。
【0012】
本発明の電子機器において、前記電子機器は、呼気中のアルコール濃度の測定を実行するアルコール測定装置であって、前記ログ記録部は、前記測定の結果を示すログとしての測定結果ログと、前記測定の動作のうち、前記測定の開始以降、前記測定結果ログの記録前の少なくとも一部の動作のログとしての測定動作ログとを記録しても良い。
【0013】
この構成により、本発明の電子機器は、呼気中のアルコール濃度の測定の開始以降、測定結果ログの記録前に、電源から電子機器への電気の供給が停止された場合に、呼気中のアルコール濃度の測定の開始以降、測定結果ログの記録前に、電源から電子機器への電気の供給が停止されたことを、測定動作ログ、測定結果ログおよび電源喪失ログに基づいて利用者に認識させることができる。
【0014】
本発明の電子機器において、前記電子機器は、呼気中のアルコール濃度の測定を実行するアルコール測定部を備えるアルコール測定装置であって、前記アルコール測定部は、前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止された場合に前記測定の実行中であるとき、前記測定の実行を中止しても良い。
【0015】
この構成により、本発明の電子機器は、電源から電子機器への電気の供給が停止された場合に、呼気中のアルコール濃度の測定の実行中であるとき、呼気中のアルコール濃度の測定の実行を中止するので、補助電源に蓄えられている電力が呼気中のアルコール濃度の測定によって消費される可能性を低減することができ、その結果、補助電源に蓄えられている電力によって電源喪失ログを記録することができる可能性を向上することができる。
【0016】
本発明のプログラムは、電源から供給された電気によって動作する電子機器に、前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止されたことを示すログとしての電源喪失ログを記録するログ記録部を実現させ、前記電子機器は、補助電源を備え、前記ログ記録部は、前記電源から前記電子機器への電気の供給が停止された場合に前記補助電源から供給される電気によって動作して前記電源喪失ログを記録することを特徴とする。
【0017】
この構成により、本発明のプログラムを実行する電子機器は、電源からの電気の供給が停止された場合に補助電源から供給される電気によって動作して電源喪失ログを記録するので、電源からの電気の供給が停止されたことを示すログを記録することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電子機器およびプログラムは、電源からの電気の供給が停止されたことを示すログを記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態に係るアルコール測定装置のブロック図である。
図2】電源オン指示が入力されたときの図1に示すアルコール測定装置における電気の主な流れを示す図である。
図3】電源オン指示が入力された場合の図1に示すアルコール測定装置の動作のフローチャートである。
図4】電池が取り外された直後の図1に示すアルコール測定装置における電気の主な流れを示す図である。
図5】電池が取り外された場合の図1に示すアルコール測定装置の動作のフローチャートである。
図6】操作部、表示部、呼気圧センサー、吸引ポンプおよびアルコールセンサーへの電気の供給を負荷スイッチに停止させた場合の図1に示すアルコール測定装置における電気の主な流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
まず、本発明の一実施の形態に係る電子機器としてのアルコール測定装置の構成について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係るアルコール測定装置10のブロック図である。
【0023】
図1に示すように、アルコール測定装置10は、種々の操作が入力される例えばボタンなどの操作デバイスである操作部11と、種々の情報を表示する例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部12と、被測定者によって吹き込まれた呼気の強さとしての呼気圧を検出する呼気圧センサー13と、被測定者によって吹き込まれた呼気を吸引する吸引ポンプ14と、吸引ポンプ14によって吸引された呼気中のアルコール濃度を検出するアルコールセンサー15と、電源としての電池30から電気が供給されて特定の電圧(以下「電源電圧」という。)の電気を出力する安定化電源回路である電源回路16と、電池30から電源回路16に供給される電気の電圧を監視する電圧監視回路17と、電源回路16に電池30から電気が供給されなくなった場合の補助電源としてのキャパシター18と、特定の負荷への電気の供給を停止させる負荷スイッチ19と、各種のデータを記憶している半導体メモリーなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部20と、アルコール測定装置10全体を制御する制御部21とを備えている。
【0024】
アルコール測定装置10は、電池30から電源回路16に供給された電気によって動作する。電池30は、例えば、単3形の電池でも良い。電池30は、例えば、アルカリ乾電池などの乾電池でも良いし、充電池でも良い。
【0025】
アルコール測定装置10は、利用者によって着脱可能に電池30を支持している。利用者は、例えば、電池30の交換のためにアルコール測定装置10に対して電池30を着脱することができる。電源回路16は、アルコール測定装置10に電池30が取り付けられた場合に電池30と電気的に接続する。また、電源回路16は、アルコール測定装置10から電池30が取り外された場合に電池30との電気的な接続が切断される。
【0026】
負荷スイッチ19が電気の供給を停止させる負荷は、電源回路16と、電圧監視回路17と、キャパシター18と、記憶部20と、制御部21とを除く負荷である。すなわち、負荷スイッチ19が電気の供給を停止させる負荷は、操作部11、表示部12、呼気圧センサー13、吸引ポンプ14およびアルコールセンサー15である。
【0027】
記憶部20は、アルコール測定装置10の動作を制御するためのプログラム20aを記憶している。
【0028】
記憶部20は、呼気中のアルコール濃度の測定の動作のログとしての測定動作ログを複数記憶可能である。例えば、記憶部20は、測定動作ログ20bを記憶している。
【0029】
記憶部20は、呼気中のアルコール濃度の測定の結果を示すログとしての測定結果ログを複数記憶可能である。例えば、記憶部20は、測定結果ログ20cを記憶している。
【0030】
記憶部20は、アルコール測定装置10の電源がオフされたことを示すログとしての電源オフログを複数記憶可能である。例えば、記憶部20は、電源オフログ20dを記憶している。
【0031】
記憶部20は、電池30からアルコール測定装置10への電気の供給が停止されたことを示すログとしての電源喪失ログを複数記憶可能である。例えば、記憶部20は、電源喪失ログ20eを記憶している。
【0032】
制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、制御部21のCPUの作業領域として用いられるメモリーとしてのRAM(Random Access Memory)とを備えている。制御部21のCPUは、記憶部20または制御部21のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0033】
制御部21は、プログラム20aを実行することによって、呼気中のアルコール濃度の測定を実行するアルコール測定部21aと、ログを記録するログ記録部21bとを実現する。
【0034】
次に、アルコール測定装置10の動作について説明する。
【0035】
図2は、電源をオンにする指示(以下「電源オン指示」という。)が入力されたときのアルコール測定装置10における電気の主な流れを示す図である。
【0036】
被測定者は、図2に示すように電池30がアルコール測定装置10に取り付けられている場合に、電源オン指示を操作部11に入力することができる。電源回路16は、電源オン指示が操作部11に入力されると、電池30から電源回路16に供給された電気の電圧を電源電圧に変更した後、電源電圧の電気を電圧監視回路17、キャパシター18、負荷スイッチ19、記憶部20および制御部21に供給する。キャパシター18は、電源回路16から電気が供給されると、電源回路16からキャパシター18に供給された電気を、キャパシター18自身に蓄えるとともに、キャパシター18自身に蓄えられている電気を電圧監視回路17、負荷スイッチ19、記憶部20および制御部21に供給する。負荷スイッチ19は、電源回路16またはキャパシター18から電気が供給されると、電源回路16またはキャパシター18から負荷スイッチ19に供給された電気を、操作部11、表示部12、呼気圧センサー13、吸引ポンプ14およびアルコールセンサー15に供給する。したがって、操作部11、表示部12、呼気圧センサー13、吸引ポンプ14およびアルコールセンサー15は、キャパシター18に蓄えられている電力を消費する。制御部21は、電源電圧の電気が供給されると、図3に示す動作を実行する。
【0037】
図3は、電源オン指示が入力された場合のアルコール測定装置10の動作のフローチャートである。
【0038】
図3に示すように、アルコール測定部21aは、アルコールセンサー15によって検出されたアルコール濃度が特定の濃度未満であると判断するまで、アルコールセンサー15によって検出されたアルコール濃度が特定の濃度未満であるか否かを判断する(S51)。ここで、特定の濃度は、例えば、0.05mg/Lである。
【0039】
アルコール測定部21aは、アルコールセンサー15によって検出されたアルコール濃度が特定の濃度未満であるとS51において判断すると、電源をオフにする指示(以下「電源オフ指示」という。)が操作部11に入力されたか否かを判断する(S52)。
【0040】
アルコール測定部21aは、電源オフ指示が操作部11に入力されていないとS52において判断すると、呼気中のアルコール濃度の測定の開始の指示(以下「測定開始指示」という。)が操作部11に入力されたか否かを判断する(S53)。
【0041】
アルコール測定部21aは、測定開始指示が操作部11に入力されていないとS53において判断すると、S52の処理を実行する。
【0042】
ログ記録部21bは、測定開始指示が操作部11に入力されたとS53において判断されると、呼気中のアルコール濃度の測定の開始を示す情報を例えば現在の日時などの情報と関連付けて測定動作ログとして記憶部20に記録する(S54)。S54において記録される測定動作ログは、呼気中のアルコール濃度の測定の開始時の動作のログである。
【0043】
アルコール測定部21aは、S54の処理が終了すると、例えば「呼気を吹き込んでください。」というメッセージの表示など、呼気の吹き込みを被測定者に指示するための通知を表示部12による表示によって実行する(S55)。被測定者は、S55において実行された、表示部12における表示を見て、アルコール測定装置10への呼気の吹き込みを開始することができる。
【0044】
アルコール測定部21aは、S55の処理が終了すると、呼気圧センサー13によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上であると判断するまで、呼気圧センサー13によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上であるか否かを判断する(S56)。
【0045】
アルコール測定部21aは、呼気圧センサー13によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上であるとS56において判断すると、直前のS56において特定の呼気圧以上であるとアルコール測定部21aによって判断されてからアルコール測定装置10に吹き込まれた呼気の流量が特定の流量に到達したか否かを判断する(S57)。アルコール測定部21aは、呼気圧センサー13によって検出された呼気圧に基づいて流量を算出する。
【0046】
アルコール測定部21aは、直前のS56において特定の呼気圧以上であるとアルコール測定部21aによって判断されてからアルコール測定装置10に吹き込まれた呼気の流量が特定の流量に到達していないとS57において判断すると、呼気圧センサー13によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上であるか否かを判断する(S58)。S58における「特定の呼気圧」は、S56における「特定の呼気圧」と同一である。
【0047】
アルコール測定部21aは、呼気圧センサー13によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上ではないとS58において判断すると、S56の処理を実行する。
【0048】
アルコール測定部21aは、呼気圧センサー13によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上であるとS58において判断すると、S57の処理を実行する。
【0049】
アルコール測定部21aは、直前のS56において特定の呼気圧以上であるとアルコール測定部21aによって判断されてからアルコール測定装置10に吹き込まれた呼気の流量が特定の流量に到達しているとS57において判断すると、アルコール測定装置10に吹き込まれた呼気を吸引ポンプ14に吸引させる(S59)。なお、アルコール測定装置10は、S56~S59の処理によって、被測定者の肺の中に取り込まれることなく被測定者の口の中に存在していた空気など、被測定者の肺の中に存在していなかった空気を吸引ポンプ14によって吸引することなく、被測定者の肺の中に存在していた空気を吸引ポンプ14によって吸引することが可能である。
【0050】
ログ記録部21bは、S59の処理が終了すると、S59において吸引した呼気に対してアルコールセンサー15によって検出されたアルコール濃度を例えば現在の日時などの情報と関連付けて測定結果ログとして記憶部20に記録する(S60)。
【0051】
アルコール測定部21aは、S60の処理が終了すると、S60において保存したアルコール濃度を表示部12に表示して(S61)、S51の処理を実行する。
【0052】
ログ記録部21bは、電源オフ指示が操作部11に入力されたとS52において判断されると、電源オフ指示に応じた終了であることを示す情報と、電圧監視回路17によって監視されている現在の電圧とを例えば現在の日時などの情報と関連付けて電源オフログとして記憶部20に記録する(S62)。電池30がアルコール測定装置10に取り付けられている場合、電圧監視回路17によって監視されている電圧は、通常、ゼロではない。
【0053】
アルコール測定部21aは、S62の処理が終了すると、電圧監視回路17、キャパシター18、負荷スイッチ19、記憶部20および制御部21への電気の供給を電源回路16に停止させる処理としての電源オフ処理を電源回路16に開始させて(S63)、図3に示す動作を終了する。
【0054】
図4は、電池30が取り外された直後のアルコール測定装置10における電気の主な流れを示す図である。
【0055】
被測定者などの利用者は、図2に示すように電池30がアルコール測定装置10に取り付けられていた場合に、図4に示すようにアルコール測定装置10から電池30を取り外すことができる。電池30がアルコール測定装置10に取り付けられている場合にアルコール測定装置10から電池30が取り外されると、電源回路16は、電池30(図2参照。)から電気が供給されることがない。そのため、電源回路16から電圧監視回路17、キャパシター18、負荷スイッチ19、記憶部20および制御部21に電気が供給されることもない。しかしながら、図2に示す状態においてキャパシター18には、電気が蓄えられている。したがって、キャパシター18は、キャパシター18自身に蓄えられている電気がなくなるまで、キャパシター18自身に蓄えられている電気を電圧監視回路17、負荷スイッチ19、記憶部20および制御部21に供給する。負荷スイッチ19は、キャパシター18から電気が供給されると、キャパシター18から負荷スイッチ19に供給された電気を、操作部11、表示部12、呼気圧センサー13、吸引ポンプ14およびアルコールセンサー15に供給する。
【0056】
図4に示す状態において、アルコール測定装置10から電池30が取り外されているので、電圧監視回路17によって監視されている電圧はゼロになる。制御部21は、電圧監視回路17によって監視されている電圧がゼロになると、図5に示す動作を実行する。
【0057】
図5は、電池30が取り外された場合のアルコール測定装置10の動作のフローチャートである。
【0058】
図5に示すように、アルコール測定部21aは、図3に示す処理、すなわち、メインの処理の実行を中止する(S81)。
【0059】
ログ記録部21bは、S81の処理が終了すると、操作部11、表示部12、呼気圧センサー13、吸引ポンプ14およびアルコールセンサー15への電気の供給を負荷スイッチ19に停止させる(S82)。
【0060】
図6は、操作部11、表示部12、呼気圧センサー13、吸引ポンプ14およびアルコールセンサー15への電気の供給を負荷スイッチ19に停止させた場合のアルコール測定装置10における電気の主な流れを示す図である。
【0061】
図6に示す状態においては、図4に示す状態と比較して、負荷スイッチ19は、キャパシター18から負荷スイッチ19に供給された電気を、操作部11、表示部12、呼気圧センサー13、吸引ポンプ14およびアルコールセンサー15に供給することを停止する。
【0062】
図5に示すように、ログ記録部21bは、S82の処理が終了すると、電池30から電源回路16に電気が供給されなくなったことを示す情報としての電源喪失情報と、電圧監視回路17によって監視されている現在の電圧とを例えば現在の日時などの情報と関連付けて電源喪失ログとして記憶部20に記録して(S83)、図5に示す動作を終了する。
【0063】
なお、電源喪失情報だけでなく、電圧監視回路17によって監視されていた電圧も電源喪失ログに含める理由は、ログ記録部21bの誤作動による電源喪失ログの誤記録の対策のためである。利用者は、電源喪失ログに含まれている電源喪失情報だけでなく、電源喪失ログに含まれている電圧がゼロであることを確認することによって、電源喪失ログに含まれている日時に電池30から電源回路16に電気が供給されなくなったことを認識することができる。
【0064】
以上に説明したように、アルコール測定装置10は、電池30からの電気の供給が停止された場合に図4に示すようにキャパシター18から供給される電気によって動作して電源喪失ログを記録する(S83)ので、電池30からの電気の供給が停止されたことを示すログを記録することができる。
【0065】
アルコール測定装置10は、電池30からアルコール測定装置10への電気の供給が停止された場合にキャパシター18から操作部11、表示部12、呼気圧センサー13、吸引ポンプ14およびアルコールセンサー15への電気の供給を停止させる(S82)ので、キャパシター18に蓄えられている電力が操作部11、表示部12、呼気圧センサー13、吸引ポンプ14およびアルコールセンサー15によって消費される可能性を低減することができ、その結果、キャパシター18に蓄えられている電力によって電源喪失ログを記録することができる可能性を向上することができる。
【0066】
S54において記録される測定動作ログは、呼気中のアルコール濃度の測定の開始時の動作のログである。しかしながら、アルコール測定装置10は、S54において記録される測定動作ログ以外にも、呼気中のアルコール濃度の測定の開始以降、測定結果ログの記録前の少なくとも一部の動作のログを測定動作ログとして記録しても良い。アルコール測定装置10は、呼気中のアルコール濃度の測定の開始以降、測定結果ログの記録前の少なくとも一部の動作のログを測定動作ログとして記録する場合、呼気中のアルコール濃度の測定の開始以降、測定結果ログの記録前に、電池30からアルコール測定装置10への電気の供給が停止されたときに、呼気中のアルコール濃度の測定の開始以降、測定結果ログの記録前に、電池30からアルコール測定装置10への電気の供給が停止されたことを、測定動作ログ、測定結果ログおよび電源喪失ログに基づいて利用者に認識させることができる。
【0067】
例えば、トラック、バス、タクシーなどの事業用自動車の運転者は、飲酒後にアルコールが抜けきっていない可能性があることを自覚している場合に、呼気中のアルコール濃度の測定をアルコール測定装置10を使用して実行するとき、例えばS59の処理の実行後からS60の処理の実行前までの間など、呼気中のアルコール濃度の測定の開始以降、測定結果ログの記録前に、測定の結果としてのアルコール濃度が高い可能性があるという不安に駆られた結果、測定結果ログの記録を防止するために、アルコール測定装置10から電池30を取り外す不正を実行する可能性がある。しかしながら、アルコール測定装置10は、呼気中のアルコール濃度の測定の開始以降、測定結果ログの記録前の少なくとも一部の動作のログを測定動作ログとして記録する場合、呼気中のアルコール濃度の測定の開始以降、測定結果ログの記録前に、電池30からアルコール測定装置10への電気の供給が停止されたときに、呼気中のアルコール濃度の測定の開始以降、測定結果ログの記録前に、電池30からアルコール測定装置10への電気の供給が停止されたことを、測定動作ログ、測定結果ログおよび電源喪失ログに基づいて、自動車運送事業者の運行管理者などの利用者に認識させることができる。すなわち、運行管理者などの利用者は、特定の測定の測定動作ログが存在している場合に、この測定の測定結果ログが存在しておらず、この測定の実行中であったと考えられる日時の電源喪失ログが存在しているとき、この測定の開始以降、測定結果ログの記録前に、電池30からアルコール測定装置10への電気の供給が停止されたと認識することができる。
【0068】
アルコール測定装置10は、電池30からアルコール測定装置10への電気の供給が停止された場合に、呼気中のアルコール濃度の測定の実行中であるとき、呼気中のアルコール濃度の測定の実行を中止する(S81)ので、キャパシター18に蓄えられている電力が呼気中のアルコール濃度の測定によって消費される可能性を低減することができ、その結果、キャパシター18に蓄えられている電力によって電源喪失ログを記録することができる可能性を向上することができる。
【0069】
アルコール測定装置10は、静電気を利用して蓄電することができるキャパシター18が補助電源であるので、化学変化によって蓄電することができる電池が補助電源である構成と比較して、補助電源の寿命を延ばすことができる。また、アルコール測定装置10は、キャパシター18が補助電源であるので、電池が補助電源である構成と比較して、補助電源の取り扱いを容易化することができる。また、アルコール測定装置10は、キャパシター18が補助電源であるので、電池が補助電源である構成と比較して、補助電源のコストを低減することができる。なお、アルコール測定装置10は、キャパシターに代えて電池を補助電源として備えても良い。
【0070】
アルコール測定装置10は、本実施の形態において、電池30が電源である。しかしながら、アルコール測定装置10は、電源が電池ではなくても良い。例えば、アルコール測定装置10は、電源として商用AC電源が採用されても良い。アルコール測定装置10は、電源として商用AC電源が採用される場合、例えば、商用AC電源と、アルコール測定装置10とを接続するACアダプターが商用AC電源およびアルコール測定装置10の少なくとも一方から取り外されることによって、電源からアルコール測定装置10への電気の供給が停止されることが可能である。
【0071】
本発明の電子機器は、本実施の形態において、アルコール測定装置である。しかしながら、本発明の電子機器は、電源から供給される電気によって動作する電子機器であれば、アルコール測定装置以外の電子機器でも良い。
【符号の説明】
【0072】
10 アルコール測定装置(電子機器)
11 操作部(特定の負荷)
12 表示部(特定の負荷)
13 呼気圧センサー(特定の負荷)
14 吸引ポンプ(特定の負荷)
15 アルコールセンサー(特定の負荷)
18 キャパシター(補助電源)
20a プログラム
20e 電源喪失ログ
21a アルコール測定部
21b ログ記録部
30 電池(電源)
図1
図2
図3
図4
図5
図6