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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096609
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電子機器、接続方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/02 20060101AFI20240709BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20240709BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20240709BHJP
   H04W 84/10 20090101ALN20240709BHJP
【FI】
G06F15/02 335E
G06F15/02 309
H04W76/10
H04W8/00 110
H04W84/10 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000215
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 博明
【テーマコード(参考)】
5B019
5K067
【Fターム(参考)】
5B019DB02
5B019GA10
5K067AA34
(57)【要約】
【課題】複数の外部機器から接続を所望する外部機器の選択をより簡便にする。
【解決手段】スライドスイッチ121は、CALモード時、計算結果の数値丸めの桁数を指定するための既存のスイッチであり、「4」、「3」、「2」、「1」、「0」のいずれかの切替位置に操作子121aを移動させることで、計算結果の小数点以下を何桁まで求めるかを指定する。また、スライドスイッチ121は、PCモード時、接続対象の外部機器を指定するための切り替え手段として用いられる。PCモード時に、ユーザがスライドスイッチ121の操作子121aをいずれかの切替位置に移動させると、プロセッサ10は、その切替位置に紐付けて登録されている外部機器とペアリングするように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の位置のうちいずれかの位置を選択可能な操作子を備える操作入力部と、無線通信部と、制御部とを備え、
前記制御部は、
前記操作子の位置が切り替えられた場合に、前記複数の外部機器の中から前記切り替えられた操作子の位置に対応する外部機器を選択して、前記無線通信部を介して接続を行うよう制御する、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記外部機器との接続中に前記操作子の位置が変更された場合、変更された後の位置に基づいて、接続中の前記外部機器とは異なる外部機器を選択して接続を行うよう制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記複数の位置と前記複数の外部機器のペアリング情報とを対応付けて記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記切り替えられた操作子の位置に対応するペアリング情報を前記記憶部から読み出し、前記読み出したペアリング情報に基づいて、前記外部機器と接続を行うよう制御する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
テンキーと、前記制御部によって処理される前記テンキーに対する操作に基づき演算する計算機能と、前記テンキーに対する操作に基づき特定された数値データを前記接続対象の外部機器へ送信する送信機能とを更に備え、
前記操作入力部は、前記計算機能による演算結果における数値丸めの桁数を、前記操作子の切替位置で指定するスイッチである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記スイッチは、前記計算機能を実行している場合は前記計算機能において演算結果における数値丸めの桁数を指定するためのものとして機能し、前記送信機能を実行している場合は、前記計算機能において演算結果における数値丸めの桁数を指定するためのものとして機能しない、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記スイッチは、前記切替位置を前記操作子の停止位置で指定するスライドスイッチである、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
複数の位置のうちいずれかの位置を選択可能な操作子を備える操作入力部と、無線通信部と、制御部とを備える電子機器による外部機器との接続方法であって、
前記操作子の位置が切り替えられた場合には、前記複数の外部機器の中から前記切り替えられた操作子の位置に対応する外部機器を選択して、前記無線通信部を介して接続を行うよう制御する制御ステップと、
を含むことを特徴とする接続方法。
【請求項8】
複数の位置のうちいずれかの位置を選択可能な操作子を備える操作入力部と、無線通信部とを備える電子機器のコンピュータに、
前記操作子の位置が切り替えられた場合には、前記複数の外部機器の中から前記切り替えられた操作子の位置に対応する外部機器を選択して、前記無線通信部を介して接続を行うよう制御する制御機能、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、接続方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の外部機器に無線接続可能なキーボードであって、表示手段に接続先を表示する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-230277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された表示手段は、複数の外部機器のうち現在どの外部機器に接続されているかを表示するものであり、例えば、複数の外部機器の中から接続を所望する外部機器の選択するときは、接続が確立された後でないと、その所望の外部機器に接続されているか否か、ユーザは確認できないという問題点がある。
【0005】
そこで本発明は、複数の外部機器から接続を所望する外部機器の選択をより簡便にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電子機器は、複数の位置のうちいずれかの位置を選択可能な操作子を備える操作入力部と、無線通信部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記操作子の位置が切り替えられた場合に、前記複数の外部機器の中から前記切り替えられた操作子の位置に対応する外部機器を選択して、前記無線通信部を介して接続を行うよう制御する、ことを特徴とする。
【0007】
この発明に係る接続方法は、複数の位置のうちいずれかの位置を選択可能な操作子を備える操作入力部と、無線通信部と、制御部とを備える電子機器による外部機器との接続方法であって、前記操作子の位置が切り替えられた場合には、前記複数の外部機器の中から前記切り替えられた操作子の位置に対応する外部機器を選択して、前記無線通信部を介して接続を行うよう制御する制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
この発明に係るプログラムは、複数の位置のうちいずれかの位置を選択可能な操作子を備える操作入力部と、無線通信部とを備える電子機器のコンピュータに、前記操作子の位置が切り替えられた場合には、前記複数の外部機器の中から前記切り替えられた操作子の位置に対応する外部機器を選択して、前記無線通信部を介して接続を行うよう制御する制御機能、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、複数の外部機器から接続を所望する外部機器の選択をより簡便にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の電子機器(電卓)1の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態による電子機器1の外観正面図及び電子機器1のキー入力部12のスライドスイッチ121の外観を示す模式図である。
図3】本実施形態の電子機器(電卓)1における接続先テーブルの構成を示す概念図である。
図4】本実施形態の電子機器(電卓)1の動作(メイン処理)を示すフローチャートである。
図5】本実施形態の電子機器(電卓)1の動作(アドバタイズ処理)を示すフローチャートである。
図6】本実施形態の電子機器(電卓)1における操作手順及び表示例(その1)を示す模式図である。
図7】本実施形態の電子機器(電卓)1における操作手順及び表示例(その2)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.実施形態
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
図1は、本実施形態の電子機器(電卓)1の構成を示すブロック図である。電子機器1は、プロセッサ10と、メモリ11と、キー入力部12と、表示駆動部13と、表示部14と、通信部15とを備えている。電子機器1は、卓上計算機、所謂電卓であるが、電卓以外の数値の計算機能を有する各種の電子機器であってもよい。また、電子機器1は、図1で示した以外の構成を備えていてもよい。
【0013】
プロセッサ10は、電子機器1の各種動作を制御するプロセッサである。プロセッサ10は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。また、プロセッサ10は、2つ以上のプロセッサで構成されていてもよい。プロセッサ10は、キー入力部12のうちの特定の操作キーの操作方法を判定する判定部として動作する。また、プロセッサ10は、キー入力部12に含まれる各種操作キーの操作に応じた様々な処理(演算処理など)を実行する。特に、本実施形態では、プロセッサ10は、通信部15による無線通信を介して外部機器200と接続し、当該電子機器1のキー入力部12(の一部)のキーをテンキーとして利用できるようにデータ通信を行う。
【0014】
メモリ11は、RAM及びROMを含む。RAMは、揮発性のメモリである。RAMは、プロセッサ10における各種のデータを一時記憶する作業メモリや、入力される数値、演算子、演算結果を表示部14に表示するためのフレームメモリ等に用いられる。特に、本実施形態では、後述するスライドスイッチ121の操作子(接点)の切替位置と接続対象となる外部機器のペアリング情報とを紐付けて保持する接続先テーブル111を記憶している。ROMは、不揮発性のメモリである。ROMには、各種の電子機器能を実行するための計算プログラムや、通信制御プログラムなどの各種プログラムが記憶されている。
【0015】
キー入力部12は、ユーザが電子機器1を操作するための各種のキーである。キー入力部12を用いた操作が受け付けられたとき、その操作に応じた入力信号がプロセッサ10に伝達される。特に、本実施形態では、キー入力部12の既存のスライドスイッチ121を用いて、スライドスイッチ121の操作子(接点)の切替位置に基づいて、複数の外部機器の中から接続対象とする外部機器を指定するようになっている。なお、スライドスイッチ121の構造については後述する。
【0016】
表示駆動部13は、プロセッサ10の制御の下、表示部14を駆動する。表示駆動部13は、表示部14の駆動に必要な各種の信号を表示部14に送出する。表示部14は、液晶ディスプレイ等の7セグメント表示器であり、電卓機能に係る各種の表示を行う。通信部15は、低消費電力の無線通信規格であるBluetooth(登録商標)low energy(ブルートゥース(登録商標)ローエナジー;以下、単に無線通信と記す)通信を適用し、図1に示すように、電子機器1をスレーブ(ペリフェラル)側端末、外部機器200をマスター(セントラル)側端末として双方向のデータ通信を行う。
【0017】
図2(a)は、本実施形態による電子機器1の外観正面図であり、同図(b)は、電子機器1のキー入力部12のスライドスイッチ121の外観を示す模式図である。図2に示すように、電子機器1の筐体正面には、キー入力部12と表示部14とが設けられている。キー入力部12は、数値キーや、演算キー、機能キーなどを有している。数値キーは、数値を入力するためのキーであって、例えば、00及び0から9のそれぞれの数値に対応したキーを含む。演算キーは、四則演算の実施のためのキーであって、例えば+(加算)、-(減算)、×(乗算)、÷(除算)のそれぞれの演算子に対応した演算子キーと、=(演算実行)イコールキーとを含む。機能キーは、電子機器1の各種機能の実施のためのキーであって、例えばACキー(オールクリアキー)122、Cキー(クリアキー)、MRCキー、M+キー、M-キー(メモリキー)、SET(%)キー123、PC/CALキー124を含む。
【0018】
特に、PC/CALキー124は、当該電子機器1をPCモードで動作させるか、CALモードで動作させるかを指定するために用いる。PCモードは、当該電子機器1を外部機器に無線通信により接続し、外部機器(マスター側端末)に対してスレーブ側端末(テンキー)として動作させるモードである。CALモードは、当該電子機器1を電卓として動作させるモードである。
【0019】
図2(b)に示すように、スライドスイッチ121は、CALモード時、計算結果の数値丸めの桁数を指定するための既存のスイッチであり、小数点セレクタとも呼ばれる。図示のスライドスイッチ121は、5つの接点(切替位置)を備えており、「4」、「3」、「2」、「1」、「0」のいずれかの切替位置に操作子121aを移動させることで、計算結果の小数点以下を何桁まで求めるかを指定するようになっている。また、「ADD」は、「.」を押下しなくても自動的に小数第2位で小数点を表示させるためのものである。
【0020】
本実施形態では、PCモード時に、既存のスライドスイッチ121を用いて、接続対象の外部機器を指定するようになっている。具体的には、PCモード時に、ユーザがスライドスイッチ121の操作子121aを「4」の切替位置に移動させると、プロセッサ10は、「4」の切替位置に紐付けて登録されている外部機器と自動的に接続する。また、ユーザがスライドスイッチ121の操作子121aを「3」の切替位置に移動させると、プロセッサ10は、「3」の切替位置に紐付けて登録されている外部機器と自動的に接続する。以下同様に、スライドスイッチ121の操作子121aを「2」の切替位置に移動させると、「2」の切替位置に対応する外部機器と接続し、「1」の切替位置に移動させると、「1」の切替位置に対応する外部機器と接続し、「0」の切替位置に移動させると、「0」の切替位置に対応する外部機器と接続する。このように、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置がそのまま接続対象の外部機器を指示するようになっているため、ユーザは、接続したい外部機器を容易に指定することができ、また、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置を目視するだけで、どの外部機器と接続されているかを確認することができる。
【0021】
図3は、本実施形態の電子機器(電卓)1における接続先テーブル111の構成を示す概念図である。本実施形態では、上述したように、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置と接続対象である外部機器のペアリング情報とを接続先テーブル111に紐付けて設定している。図3に示すように、接続先テーブル111には、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置毎に、無線通信のための外部機器とのペアリング情報が設定されている。図示の例では、スライドスイッチ121の「0」には、外部機器として「PC1」のペアリング情報が設定されており、スライドスイッチ121の「1」には、外部機器として「PC2」のペアリング情報が設定されている。以下同様に、スライドスイッチ121の操作子121aの「2」には「PC3」のペアリング情報、「3」の切替位置には「PC4」のペアリング情報、「4」の切替位置には「PC5」のペアリング情報が設定されている。なお、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置と接続対象の外部機器とはいつでも変更(再登録、解除等)することが可能となっている。
【0022】
図4は、本実施形態の電子機器(電卓)1の動作(メイン処理)を示すフローチャートである。ユーザは、CALモードから電子機器(電卓)1を外部機器のテンキーとして用いるPCモードへ変更する場合、あるいは、PCモードから電卓として用いるCALモードへ変更する場合には、PC/CALキー124を押下して切り替える。
【0023】
プロセッサ10は、PC/CALキー124の状態を検知し、PCモードであるか否かを判断し(ステップS10)、PCモードでなければ、すなわちCALモードであれば(ステップS10のNO)、CALモード(電卓)の動作を実行する(ステップS12)。
【0024】
一方、PCモードであれば(ステップS10のYES)、プロセッサ10は、SETキー123が長押し(例えば、連続して2秒以上)されたか否かを判断する(ステップS14)。そして、SETキー123が長押しされたと判断されるまで待機し(ステップS14のNO)、SETキーが長押しされたと判断すると(ステップS14のYES)、プロセッサ10は、外部機器とのペアリングを行うためのアドバタイズ処理を実行する(ステップS16)。なお、アドバタイズ処理の詳細については後述する。
【0025】
アドバタイズ処理に先だって、又はアドバタイズ処理中、ユーザは、スライドスイッチ121の操作子121aを、ペアリングしたい外部機器に対応する切替位置にスライドさせる。アドバタイズ処理では、プロセッサ10は、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置に紐付けられた外部機器とのペアリングを実行する。
【0026】
上述したように、スライドスイッチ121の操作子121aは、アドバタイズ処理中に変更可である。しかしながら、スライドスイッチ121の操作子121aをどの切替位置に設定しても、いずれの外部機器ともペアリングできない可能性もある。そこで、アドバタイズ処理が終了すると、プロセッサ10は、現在のスライドスイッチ121の操作子121aの切替位置に紐付けられた外部機器とペアリングされたか否か、すなわち、いずれかの外部機器とペアリング中であるか否かを判断する(ステップS18)。
【0027】
そして、外部機器とペアリング中でないと判断した場合、すなわち、ペアリングが成功していない場合(ステップS18のNO)には、ステップS16に戻り、再び、アドバタイズ処理を実行する。
【0028】
一方、現在のスライドスイッチ121の操作子121aの切替位置に紐付けられた外部機器とペアリング中であると判断した場合には(ステップS18のYES)、プロセッサ10は、PCモード(テンキー)の動作を実行する(ステップS20)。より具体的には、電子機器(電卓)1のキー入力部12のキーが押下されると、そのキーのコードを、無線通信を介して外部機器へ送信することで、電子機器(電卓)1をテンキー(キーボード)として利用可能とする。
【0029】
次に、プロセッサ10は、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置を取得し(ステップS22)、スライドスイッチ121の操作子121aの現在の切替位置と、スライドスイッチ121の操作子121aの前回の切替位置とを比較する(ステップS24)。
【0030】
そして、現在の切替位置と前回の切替位置とが異なる場合には(ステップS24の「異なる」)、プロセッサ10は、ステップS16に戻り、再び、アドバタイズ処理を実行し、スライドスイッチ121の操作子121aの現在の切替位置に紐付けられた外部機器とのペアリングを行う。つまり、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置が変更された場合には、再び、アドバタイズ処理を実行し、スライドスイッチ121の操作子121aの現在の切替位置に紐付けられた外部機器とのペアリングを再度行うことになる。そして、新たな外部機器とペアリングが成功すると、プロセッサ10は、ステップS20で、新たな外部機器に対してPCモード(テンキー)の動作を実行する。
【0031】
一方、現在の切替位置と前回の切替位置とが同じ場合には(ステップS24の「同じ」)、プロセッサ10は、PC/CALキー124の状態を検知し、CALモードであるか否かを判断し(ステップS26)、CALモードでないと判断した場合、すなわちPCモードが継続されていれば(ステップS26のNO)、プロセッサ10は、ステップS18に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0032】
一方、ユーザによりPCモードからCALモードに切り替えられた場合には(ステップS26のYES)、プロセッサ10はこれを判断し、外部機器とのペアリングを解除し(ステップS28)、ステップS12に戻り、CALモード(電卓)の動作を実行する。
【0033】
図5は、本実施形態の電子機器(電卓)1の動作(アドバタイズ処理)を示すフローチャートである。アドバタイズ処理では、プロセッサ10は、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置を取得し(ステップS40)、接続先テーブル111からスライドスイッチ121の操作子121aの現在の切替位置に紐付けられた接続対象である外部機器のペアリング情報を読み込む(ステップS42)。次に、プロセッサ10は、アドバタイズを発信し(ステップS44)、上記読み込んだペアリング情報に対応する外部機器からのペアリング要求があったか否かを判断する(ステップS46)。
【0034】
ここで、接続対象の外部機器からペアリング要求がないと判断した場合には(ステップS46の「無し」)、プロセッサ10は、ACキー122が押下されたか否かを判断する(ステップS48)。そして、ACキー122が押下されなかったと判断した場合には(ステップS48の「無し」)、プロセッサ10は、所定の時間待機し(ステップS50)、ステップS44に戻り、再度、アドバタイズを発信する。アドバタイズの発信は、ユーザによるACキー122の押下が検出されるまで繰り返される。
【0035】
一方、接続対象の外部機器からペアリング要求が検出されず、かつユーザによるACキー122の押下が検出された場合には(ステップS48の「有り」)、プロセッサ10は、アドバタイズを終了し(ステップS52)、上述したメイン処理(ステップS18)へ戻る。この場合、ユーザは、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置を変更し、異なる外部機器へのペアリングを試みるか、あるいは、PC/CALキー124を押下してPCモードを終了し、CALモードに戻らせることになる。
【0036】
一方、上記読み込んだペアリング情報に対応する外部機器からのペアリング要求があったと判断した場合には(ステップS46の「有り」)、プロセッサ10は、アドバタイズの発信を終了し(ステップS54)、接続対象となる外部機器のペアリング情報を、スライドスイッチ121の操作子121aの現在の切替位置に紐付けて接続先テーブル111に登録する(ステップS56)。次に、プロセッサ10は、接続対象の外部機器とのペアリングを設定し(ステップS58)、上述したメイン処理(ステップS18)に戻る。そして、接続対象の外部機器とのペアリングが成功したと判断すると、プロセッサ10は、ステップS20で、ペアリングした外部機器に対してPCモード(テンキー)の動作を実行する。
【0037】
図6は、本実施形態の電子機器(電卓)1における操作手順及び表示例(その1)を示す模式図である。図6(a)に示すように、CALモードにて、ユーザがACキー122を押下すると、全ての内容がクリアされ、表示部14には「0.」と表示される。次に、図6(b)に示すように、ユーザが、PC/CALキー124を押下すると、表示部14にはPCモードに移行したことを示す「PC mode」と表示される。「PC mode」と表示されることで、ユーザは、現在、PCモードであることを視認することができる。
【0038】
次に、図6(c)に示すように、ユーザがACキー122を押下すると、表示部14には「0.」と表示される。そして、図6(d)に示すように、ユーザがSETキー123を長押しすると、長押し中、表示部14の表示画面が消灯され、長押し後(例えば、2秒後)、図6(e)に示すように、表示部14には「PC mode」、「SET」と表示されるとともに、「0.」と表示される。これにより、ユーザは、現在、PCモードであり、アドバタイズ処理中であることを知ることができる。
【0039】
このとき、図6(f)に示すように、ユーザがスライドスイッチ121の操作子121aを「1」に指定していると、プロセッサ10は、アドバタイズを発信し、「1」に対応する外部機器のペアリング情報に基づいてペアリングを設定する。この間、図6(g)に示すように、表示部14には「PC mode」、「SET」と表示されるとともに、「0.」と表示される。また、アドバタイズの発信及びペアリングの設定中、ユーザは、必要に応じてスライドスイッチ121の操作子121aを異なる切替位置、すなわちペアリング先として異なる外部機器に対応する切替位置に移動させてもよい。
【0040】
そして、図6(h)に示すように、ペアリングの設定が完了すると、表示部14から「SET」の表示が消えて、「PC mode」、「0.」と表示される。ユーザは、表示部14から「SET」の表示が消えたことでペアリングが成功したことを知ることができる。
【0041】
図7は、本実施形態の電子機器(電卓)1における操作手順及び表示例(その2)を示す模式図である。図7には、アドバタイズの発信及びペアリングの設定中、ユーザが、スライドスイッチ121の操作子121aを異なる切替位置、すなわちペアリング先として異なる外部機器に対応する切替位置に移動させたときの操作及び表示例を示している。また、図7に示す表示例では、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置を、表示部14に数値として表示するようになっている。
【0042】
図7(a)に示すように、CALモードにて、ユーザがACキー122を押下すると、全ての内容がクリアされ、表示部14には「0.」と表示される。次に、図7(b)に示すように、ユーザが、PC/CALキー124を押下すると、表示部14にはPCモードに移行したことを示す「PC mode」と表示される。「PC mode」と表示されることで、ユーザは、現在、PCモードであることを視認することができる。
【0043】
次に、図7(c)に示すように、ユーザがACキー122を押下すると、表示部14には「0.」と表示される。そして、図7(d)に示すように、ユーザがSETキー123を長押しすると、長押し中、表示部14の表示画面が消灯され、長押し後(例えば、2秒後)、図7(e)に示すように、表示部14には「PC mode」、「SET」と表示されるとともに、現在のスライドスイッチ121の操作子121aの切替位置(このとき、「2」の切替位置にあるとする)として、「2.」と表示される。これにより、ユーザは、現在、PCモードであり、操作子121aの「2」の切替位置に対応する外部機器とペアリングするためのアドバタイズ処理中であることを知ることができる。このとき、プロセッサ10は、アドバタイズを発信し、「2」に対応する外部機器のペアリング情報に基づいてペアリングを設定する。
【0044】
アドバタイズ処理の過程で、図7(f)に示すように、ユーザがスライドスイッチ121の操作子121aを「3」に移動させると、「PC mode」、「SET」と表示されるとともに、「3.」と表示される。このとき、プロセッサ10は、アドバタイズを発信し、「3」に対応する外部機器のペアリング情報に基づいてペアリングを設定する。
【0045】
さらに、図7(g)に示すように、ユーザがスライドスイッチ121の操作子121aを「1」に移動させると、「PC mode」、「SET」と表示されるとともに、「1.」と表示される。このとき、プロセッサ10は、アドバタイズを発信し、「1」に対応する外部機器のペアリング情報に基づいてペアリングを設定する。
【0046】
そして、ペアリングの設定が完了すると、図7(f)に示すように、表示部14から「SET」の表示が消えるともに、最終的にペアリングした時点の、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置を示す「1.」が表示される。ユーザは、表示部14から「SET」の表示が消え、数字の「1」が表示されることで、「1」に対応する外部機器とのペアリングが成功したことを知ることができる。
【0047】
なお、図7(f)において、ペアリングの設定が完了した際に、最終的にペアリングした時点の、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置を示す「1.」を点滅表示するようにしてもよい。ユーザは、表示部14から「SET」の表示が消え、数字の「1」が点滅表示されることで、より明確に「1」に対応する外部機器とのペアリングが成功したことを知ることができる。
【0048】
なお、上述した本実施形態において、操作子121aをスライドするスライドスイッチ121を用いて、無線通信により接続対象となる外部機器を指定するようにしたが、これに限らず、電子機器(電卓)1に既存のスイッチであれば、操作子を回転させるロータリスイッチや、選択肢それぞれに設けられた(押下した状態が維持される)プッシュスイッチなどの形態であってもよい。
【0049】
上述した実施形態においては、プロセッサ10によって、操作子121aの位置が切り替えられた場合に、複数の外部機器の中から切り替えられた操作子121aの位置に対応する外部機器を選択して、通信部15を介して接続を行うよう制御するようにしたので、別途ハードウェアを追加することなく、複数の外部機器から接続を所望する外部機器の選択をより簡便にすることができる。
【0050】
上述した本実施形態によれば、接続中にスライドスイッチ121の操作子121aの切替位置が変更された場合、プロセッサ10によって、変更された後の切替位置に基づいて、接続中の外部機器とは異なる外部機器を選択して接続を行うようにしたので、別途ハードウェアを追加することなく、接続対象の外部機器を容易に変更することができ、かつ接続対象の外部機器を容易に識別することができる。
【0051】
上述した本実施形態によれば、複数の切替位置と接続対象の外部機器のペアリング情報とを対応付けて接続先テーブル111に記憶しておき、プロセッサ10によって、スライドスイッチ121の操作子121aの切替位置に対応するペアリング情報を接続先テーブル111から読み出し、該読み出したペアリング情報に基づいて、外部機器と接続を行うようにしたので、別途ハードウェアを追加することなく、複数の外部機器から接続を所望する外部機器の選択をより簡便にすることができる。
【0052】
上述した本実施形態によれば、接続対象の外部機器を指定する手段として、電子機器1で演算される演算結果における数値丸めの桁数を、操作子121aの切替位置で指定する既存のスライドスイッチ121を利用するようにしたので、別途ハードウェアを追加することなく、複数の外部機器から接続を所望する外部機器の選択をより簡便にすることができる。
【0053】
上述した本実施形態によれば、CALモード実行時には、スライドスイッチ121を、演算結果における数値丸めの桁数を指定するためのものとして機能させ、PCモード実行時には、スライドスイッチ121を、演算結果における数値丸めの桁数を指定するためのものとして機能させないようにしたので、別途ハードウェアを追加することなく、CALモード及びPCモードのいずれの動作モードでも、それぞれの用途に応じて使い分けることができる。この結果、複数の外部機器から接続を所望する外部機器の選択をより簡便にすることができる。
【0054】
上述した本実施形態によれば、操作子121aの切替位置を、操作子121aの停止位置で指定するスライドスイッチとしたので、別途ハードウェアを追加することなく、複数の外部機器から接続を所望する外部機器の選択をより簡便にすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1…電子機器、10…プロセッサ、11…メモリ、111…接続先テーブル、12…キー入力部、121…スライドスイッチ、121a…操作子、13…表示駆動部、14…表示部、15…通信部、122…ACキー、123…SETキー、124…PC/CALキー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7