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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009661
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/27 20180101AFI20240116BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240116BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240116BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240116BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240116BHJP
【FI】
F21S43/27
F21S43/14
F21S43/237
F21W103:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111348
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐保 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 航平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直人
(57)【要約】
【課題】光源からの出射光を透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、透光カバーとして左右1対のカバー側壁部が灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる構成となっていても、その灯具後方側にインナーレンズを配置することにより見映え向上を図る。
【解決手段】インナーレンズ26として、その両側縁部に形成された左右1対のレンズ側壁部26Bが、透光カバー14における左右1対のカバー側壁部14Bに沿って灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる構成とする。その上で、インナーレンズ26を、左側インナーレンズ26Lと右側インナーレンズ26Rとに分割された状態で透光カバー14に取り付けられた構成とする。これにより左右1対のレンズ側壁部26Bを左右1対のカバー側壁部14Bに対して近接させた状態で配置可能とし、透光カバー14がカバー本体部14Aの両側縁部まで光って見えるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの出射光を透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、
上記透光カバーは、カバー本体部と、上記カバー本体部の両側縁部から灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びるように形成された左右1対のカバー側壁部とを備えており、
上記透光カバーの灯具後方側に、上記光源からの出射光を制御するためのインナーレンズが配置されており、
上記インナーレンズの両側縁部に、上記左右1対のカバー側壁部に沿って灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる左右1対のレンズ側壁部が形成されており、
上記インナーレンズは、左側インナーレンズと右側インナーレンズとに分割された状態で上記透光カバーに取り付けられている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記インナーレンズは、拡散材が分散された樹脂製部材で構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記左側インナーレンズは、右端部において上下方向および左右方向の位置決めがなされた状態で上記カバー本体部に固定されており、
上記右側インナーレンズは、左端部において上下方向および左右方向の位置決めがなされた状態で上記カバー本体部に固定されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記左側インナーレンズの右端部および上記右側インナーレンズの左端部における上記カバー本体部への位置決めが、位置決め孔と位置決めピンとの係合によって行われている、ことを特徴とする請求項3記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記左側インナーレンズの右端部および上記右側インナーレンズの左端部における上記カバー本体部への固定が、熱カシメによって行われている、ことを特徴とする請求項3記載の車両用灯具。
【請求項6】
上記左側インナーレンズと上記右側インナーレンズとが、位置決め孔と位置決めピンとの係合によって相互間の位置決めがなされている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項7】
上記インナーレンズは、上記左側インナーレンズと上記右側インナーレンズとの間に配置された少なくとも1つの中間インナーレンズを備えている、請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項8】
レンズ本体部と、上記レンズ本体部の両側縁部から上記レンズ本体部の裏面側へ向けて互いに近づく方向に延びるように形成された左右1対のレンズ側壁部とを備えたインナーレンズであって、
上記インナーレンズは、左側の上記レンズ側壁部を備えた左側インナーレンズと、右側の上記レンズ側壁部を備えた右側インナーレンズとに分割されている、ことを特徴とする車両用インナーレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、光源からの出射光を透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具は一般に、光源からの出射光を透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射するように構成されている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具の構成として、回転開閉式のバックドアに装着された可動側灯具と、この可動側灯具の左右両側において車体後部に装着された左右1対の固定側灯具とを備えたものが記載されている。
【0004】
この「特許文献1」に記載された可動側灯具の透光カバーは、そのカバー本体部の両側縁部から灯具後方(すなわち車両前方)へ向けて延びる左右1対のカバー側壁部が、灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びるように形成されている。
【0005】
また、この「特許文献1」に記載された固定側灯具の透光カバーは、そのカバー本体部における可動側灯具側の側端縁部から灯具後方へ向けて延びるカバー側壁部が、灯具後方へ向けて可動側灯具側に傾斜した方向に延びるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6194040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記「特許文献1」に記載された灯具構成を採用することにより、灯具正面視において可動側灯具と固定側灯具との間に形成される隙間が暗部として見えてしまわないようにすることが可能となる。
【0008】
可動側灯具の構成として、透光カバーの灯具後方側に、光源からの出射光を制御するためのインナーレンズが配置された構成とした上で、このインナーレンズの両側縁部に、左右1対のカバー側壁部に沿って灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる左右1対のレンズ側壁部が形成された構成とすれば、透光カバーがそのカバー本体部の両側縁部まで光って見える可能性が生じ、これが実現すれば灯具の見映え向上を図ることが可能となる。
【0009】
しかしながら、このような構成を有するインナーレンズを透光カバーに対して取付可能とするためには、左右1対のレンズ側壁部の各々と透光カバーにおける左右1対のカバー側壁部の各々との間に比較的大きな隙間を確保する必要がある。したがって、透光カバーをそのカバー本体部の両側縁部まで光って見える構成を実現することは困難である。
【0010】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、光源からの出射光を透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、透光カバーとして左右1対のカバー側壁部が灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる構成となっていても、その灯具後方側にインナーレンズを配置することにより見映え向上を図ることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、インナーレンズの構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0012】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
光源からの出射光を透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、
上記透光カバーは、カバー本体部と、上記カバー本体部の両側縁部から灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びるように形成された左右1対のカバー側壁部とを備えており、
上記透光カバーの灯具後方側に、上記光源からの出射光を制御するためのインナーレンズが配置されており、
上記インナーレンズの両側縁部に、上記左右1対のカバー側壁部に沿って灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる左右1対のレンズ側壁部が形成されており、
上記インナーレンズは、左側インナーレンズと右側インナーレンズとに分割された状態で上記透光カバーに取り付けられている、ことを特徴とするものである。
【0013】
上記「車両用灯具」の具体的な用途は特に限定されるものではなく、例えば回転開閉式のバックドア等に装着される可動側灯具等が採用可能である。
【0014】
上記「光源」の種類は特に限定されるものではなく、例えば発光ダイオードや光源バルブ等が採用可能である。
【0015】
上記「左右1対のカバー側壁部」は、カバー本体部の両側縁部から灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びるように形成されていれば、その具体的な形状や傾斜角度等は特に限定されるものではない。
【0016】
上記「インナーレンズ」は、光源からの出射光を制御する構成となっているが、その制御を行うための具体的な構成については特に限定されるものではない。
【0017】
上記「インナーレンズ」は、左側インナーレンズと右側インナーレンズとに分割された状態で透光カバーに取り付けられていれば、左側インナーレンズおよび右側インナーレンズの各々の具体的な構成や透光カバーへの具体的な取付構造は特に限定されるものではない。
【0018】
上記「インナーレンズ」は、左側インナーレンズおよび右側インナーレンズのみで構成されていてもよいし、両者間に中間インナーレンズが配置された構成となっていてもよい。
【0019】
上記「左右1対のレンズ側壁部」は、左右1対のカバー側壁部に沿って灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びるように形成されていれば、その具体的な形状や傾斜角度等は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0020】
本願発明に係る車両用灯具においては、透光カバーが、カバー本体部とその両側縁部から灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる左右1対のカバー側壁部とを備えているので、バックドア等の可動体に装着される可動側灯具等の用途に適したものとすることができる。
【0021】
その上で、透光カバーの灯具後方側には、光源からの出射光を制御するインナーレンズが配置されており、このインナーレンズの両側縁部には、左右1対のカバー側壁部に沿って灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる左右1対のレンズ側壁部が形成されているので、このインナーレンズの光制御機能によって灯具の見映え向上を図ることが可能となる。
【0022】
その際、インナーレンズは左側インナーレンズと右側インナーレンズとに分割された状態で透光カバーに取り付けられているので、左右1対のレンズ側壁部を左右1対のカバー側壁部に対して接触または近接させた状態で配置することが可能となる。したがって、このインナーレンズの光制御機能によって透光カバーがそのカバー本体部の両側縁部まで光って見えるようにすることができ、これにより灯具の見映え向上を図ることができる。
【0023】
このように本願発明によれば、光源からの出射光を透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、透光カバーとして左右1対のカバー側壁部が灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる構成となっていても、その灯具後方側にインナーレンズを配置することにより見映え向上を図ることができる。
【0024】
上記構成において、さらに、インナーレンズの構成として、拡散材が分散された樹脂製部材で構成されたものとすれば、光源からの出射光をインナーレンズによって均一な拡散光とした上で透光カバーに入射させることができる。そしてこれによりインナーレンズによる灯具の見映え向上効果を高めることができる。
【0025】
上記構成において、さらに、左側インナーレンズの構成として、その右端部において上下方向および左右方向の位置決めがなされた状態でカバー本体部に固定された構成とするとともに、右側インナーレンズの構成として、その左端部において上下方向および左右方向の位置決めがなされた状態でカバー本体部に固定された構成とすれば、インナーレンズの透光カバーに対する取付けを精度良く行うことができる。
【0026】
このような構成を採用した場合において、左側インナーレンズの右端部および右側インナーレンズの左端部におけるカバー本体部への位置決めが、位置決め孔と位置決めピンとの係合によって行われる構成とすれば、簡易な構成によってインナーレンズの透光カバーに対する位置決めを行うことができる。
【0027】
その際、左側インナーレンズと右側インナーレンズとがカバー本体部に対して別々に係合する構成となっていてもよいし、左側インナーレンズと右側インナーレンズとが予め係合している状態でカバー本体部に対して係合する構成となっていてもよい。
【0028】
上記構成において、さらに、左側インナーレンズの右端部および右側インナーレンズの左端部におけるカバー本体部への固定が、熱カシメによって行われる構成とすれば、インナーレンズの透光カバーに対する固定を簡易な方法で確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す平断面図
図2図1のII部詳細図
図3図2のIII 部詳細図
図4図3のIV方向矢視図
図5図2のV部詳細図
図6図5のVI方向矢視図
図7】上記車両用灯具の透光カバーに対するインナーレンズの取付けの様子を示す平断面図
図8】上記実施形態の作用を説明する、図3と同様の図
図9】上記実施形態の第1および第2変形例を示す、図7(d)と同様の図
図10】上記実施形態の第3変形例を示す、図3と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0031】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す平断面図である。
【0032】
図1において、Xで示す方向が車両用灯具10としての「前方」(車両としては「後方」)であり、Yで示す方向が車両用灯具10としての「右方向」(車両としても「右方向」)である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両後部において車体2に対して上下方向に回動可能に支持されたバックドア(あるいはトランクリッド)4に装着される可動側灯具として構成されている。
【0034】
すなわち、車両用灯具10は、バックドア4の左右両側において車体2に装着される左右1対の固定側灯具50の間においてこれらと隣接した状態で配置されるように構成されている。これら車両用灯具10および左右1対の固定側灯具50は、いずれもテールランプとして構成されている。
【0035】
車両用灯具10は、バックドア4の全幅にわたって左右方向(すなわち車幅方向)に細長く延びるように形成されており、左右対称の構成を有している。
【0036】
具体的には、車両用灯具10は、左右1対の光源ユニット20が装着されたランプボディ12と、このランプボディ12の前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、3つの導光体22C、22L、22Rとリフレクタ24とインナーレンズ26とが組み込まれた構成となっている。
【0037】
そして、車両用灯具10は、左右1対の光源ユニット20から出射した光を、3つの導光体22C、22L、22Rに入射させ、この入射光を各導光体22C、22L、22Rに沿って車幅方向に導きながらリフレクタ24へ向けて出射させ、この出射光をリフレクタ24で反射させることにより、インナーレンズ26および透光カバー14を介して灯具前方へ照射するように構成されている。
【0038】
透光カバー14は、赤色透明の樹脂製部材で構成されており、バックドア4の表面形状に沿って延びるように形成されている。この透光カバー14は、カバー本体部14Aと、このカバー本体部14Aの両側縁部から灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びるように形成された左右1対のカバー側壁部14Bとを備えている。そして、この透光カバー14は、左右1対のカバー側壁部14Bの先端部においてランプボディ12に溶着等により固定されている。
【0039】
図2図1のII部詳細図である。
【0040】
図2に示すように、光源ユニット20は、光源としての2つの発光素子20A1、20A2がプラグ20Bに搭載された構成となっており、そのプラグ20Bにおいてランプボディ12に支持されている。各発光素子20A1、20A2は赤色発光ダイオードで構成されている。
【0041】
図1に示すように、3つの導光体22C、22L、22Rは、導光体22Cが車幅方向の中央に位置するように配置されており、その左右両側に導光体22L、22Rが位置するように配置されている。
【0042】
導光体22Cは、透光カバー14のカバー本体部14Aに沿って車幅方向に延びているが、その両端部は灯具後方側に略C字状に回り込むように形成されている。そして、この導光体22Cは、その両端面を左右1対の光源ユニット20の発光素子20A1へ向けた状態で配置されている。この導光体22Cの外周面には、その上面部に複数の反射素子22Csが車幅方向に並んだ状態で形成されている。
【0043】
左右1対の導光体22L、22Rも、透光カバー14のカバー本体部14Aに沿って車幅方向に延びているが、その車幅方向内側の端部は灯具後方側に変位して延びるように形成されている。そして、これら左右1対の導光体22L、22Rは、その車幅方向内側の端面を左右1対の光源ユニット20の発光素子20A2へ向けた状態で配置されている。各導光体22L、22Rの外周面には、その上面部に複数の反射素子22Ls、22Rsが車幅方向に並んだ状態で形成されている。
【0044】
3つの導光体22C、22L、22Rは、図示しないブラケットを介してランプボディ12に支持されている。
【0045】
リフレクタ24は、3つの導光体22C、22L、22Rの下方側に位置するように配置されている。このリフレクタ24は、透光カバー14のカバー本体部14Aに沿って車幅方向に延びるように形成された反射面24aを備えている。この反射面24aは、縦縞状に形成された複数の反射素子24sを備えている。そして、このリフレクタ24は、その反射面24aに形成された複数の反射素子24sにおいて3つの導光体22C、22L、22Rからの出射光を灯具前方側へ向けて反射させるように構成されている。
【0046】
リフレクタ24は、図示しないブラケットを介してランプボディ12に支持されている。
【0047】
インナーレンズ26は、透光カバー14の灯具後方近傍において、透光カバー14に沿って延びるように配置されている。
【0048】
具体的には、インナーレンズ26は、カバー本体部14Aに沿って車幅方向に延びるように形成されたレンズ本体部26Aと、このレンズ本体部26Aの両側縁部から左右1対のカバー側壁部14Bに沿って灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びるように形成された左右1対のレンズ側壁部26Bとを備えている。その際、左右1対のカバー側壁部14Bおよび左右1対のレンズ側壁部26Bは、灯具前後方向に対して5~45°程度(例えば20°程度)車幅方向内側に傾斜した方向に延びるように形成されている。
【0049】
インナーレンズ26は、拡散材が分散された樹脂製部材(例えば、シリコーン樹脂あるいはポリスチレン樹脂等の微粒子が分散されたアクリル樹脂製部材)で構成されており、そのレンズ本体部26Aおよび左右1対のレンズ側壁部26Bはいずれも略一定の肉厚で板状に形成されている。そして、このインナーレンズ26は、リフレクタ24からの反射光を均一な拡散光として透光カバー14へ向けて出射するように構成されている。
【0050】
インナーレンズ26は、そのレンズ本体部26Aにおける左右方向の略中央位置において左側インナーレンズ26Lと右側インナーレンズ26Rとに分割されており、この状態で透光カバー14に取り付けられている。その際、インナーレンズ26は、レンズ本体部26Aとカバー本体部14Aとの間隔がレンズ本体部26Aの肉厚よりも狭く、かつ、左右1対のレンズ側壁部26Bの各々と左右1対のカバー側壁部14Bの各々との間隔が左右1対のレンズ側壁部26Bの各々の肉厚よりも狭くなるように配置されている。
【0051】
インナーレンズ26には、そのレンズ本体部26Aの複数箇所に灯具前方側へ向けて突出する台座部26Aaが形成されている。具体的には、左側インナーレンズ26Lおよび右側インナーレンズ26Rの各々における左端部、右端部および中間部の上下2箇所に台座部26Aaが形成されている。そして、左側インナーレンズ26Lおよび右側インナーレンズ26Rは、それぞれ6箇所の台座部26Aaが透光カバー14のカバー本体部14Aに当接することにより、灯具前後方向の位置決めがなされている。
【0052】
その上で、左側インナーレンズ26Lは、その右端部において上下方向および左右方向の位置決めがなされた状態で透光カバー14のカバー本体部14Aに固定されており、また、右側インナーレンズ26Rは、その左端部において上下方向および左右方向の位置決めがなされた状態で透光カバー14のカバー本体部14Aに固定されている。
【0053】
なお、インナーレンズ26の透光カバー14への具体的な取付構造については後述する。
【0054】
図3は、図2のIII 部詳細図であり、図4は、図3のIV方向矢視図である。なお、図4においてZで示す方向が上方である。
【0055】
図3、4に示すように、右側に位置する光源ユニット20(図2参照)の発光素子20A2から出射して導光体22Rに入射した光は、導光体22Rに沿って右方向に導かれる過程で、その外周面上面部に形成された複数の反射素子22Rsで全反射してリフレクタ24へ向けて出射し、このリフレクタ24で反射した光が右側インナーレンズ26Rに到達する。その際、リフレクタ24からの反射光は、右側インナーレンズ26Rのレンズ本体部26Aに到達するとともにインナーレンズ26のレンズ側壁部26Bにも到達する。
【0056】
右側インナーレンズ26Rは拡散材が分散された樹脂製部材で構成されているので、この右側インナーレンズ26Rに入射した光は均一な拡散光として透光カバー14へ向けて出射する。その際、レンズ本体部26Aからの出射光の大半は透光カバー14のカバー本体部14Aに入射し、レンズ側壁部26Bからの出射光の大半は透光カバー14のカバー側壁部14Bに入射するが、レンズ側壁部26Bはカバー側壁部14Bと近接しているので、透光カバー14は、そのカバー本体部14Aがカバー側壁部14Bとの接続部分まで光って見える。
【0057】
次に、インナーレンズ26の透光カバー14への具体的な取付構造について説明する。
【0058】
図5は、図2のV部詳細図であり、図6は、図5のVI方向矢視図である。その際、図5は、図6のV-V線の位置で断面形状を示している。
【0059】
図5、6に示すように、右側インナーレンズ26Rには、そのレンズ本体部26Aの左端部に上下1対の位置決め孔26Ra、26Rbが形成されている。その際、上下1対の位置決め孔26Ra、26Rbは、レンズ本体部26Aの左端部に形成された上下1対の台座部26Aaよりもさらに左側(すなわち先端側)の位置に形成されている。
【0060】
一方、透光カバー14のカバー本体部14Aには、灯具後方へ向けて突出する上下1対の位置決めピン14Aa、14Abが形成されている。
【0061】
そして、右側インナーレンズ26Rは、そのレンズ本体部26Aが6箇所の台座部26Aaにおいて透光カバー14のカバー本体部14Aに押し当てられた状態で、上下1対の位置決め孔26Ra、26Rbに対して上下1対の位置決めピン14Aa、14Abが挿入されて係合することにより、透光カバー14に対して上下方向および左右方向の位置決めがなされるようになっている。
【0062】
その際、上下1対の位置決めピン14Aa、14Abは同一径で形成されている。一方、上下1対の位置決め孔26Ra、26Rbは、上側の位置決め孔26Raが位置決めピン14Aaよりも僅かに大きい円形孔として形成されており、下側の位置決め孔26Rbが位置決めピン14Abよりも僅かに広い左右幅で上下方向に延びる長円形孔として形成されている。
【0063】
さらに、右側インナーレンズ26Rのレンズ本体部26Aには、その左端部における上下1対の位置決め孔26Ra、26Rbよりも左側の位置に、灯具後方へ向けて突出する上下1対の位置決めピン26Rc、26Rdが形成されている。
【0064】
一方、左側インナーレンズ26Lのレンズ本体部26Aには、その右端部に後方オフセット部26L1が形成されている。この後方オフセット部26L1は、レンズ本体部26Aにおける他の一般部分よりも灯具後方側にオフセットした状態で、右側インナーレンズ26Rのレンズ本体部26Aの左端部と重複して延びるように形成されている。この後方オフセット部26L1には、灯具後方へ向けて突出する上下1対の位置決め孔26L1a、26L1bが形成されている。
【0065】
そして、左側インナーレンズ26Lは、そのレンズ本体部26Aが6箇所の台座部26Aaにおいて透光カバー14のカバー本体部14Aに押し当てられた状態で、上下1対の位置決め孔26L1a、26L1bに対して上下1対の位置決めピン26Rc、26Rdが挿入されて係合することにより、右側インナーレンズ26Rに対して上下方向および左右方向の位置決めがなされている。
【0066】
その際、上下1対の位置決めピン26Rc、26Rdは同一径で形成されている。一方、上下1対の位置決め孔26L1a、26L1bは、上側の位置決め孔26L1aが位置決めピン26Rcよりも僅かに大きい円形孔として形成されており、下側の位置決め孔26L1bが位置決めピン26Rdよりも僅かに広い左右幅で上下方向に延びる長円形孔として形成されている。
【0067】
上述したように右側インナーレンズ26Rは透光カバー14に対して上下方向および左右方向の位置決めがなされているので、結果として左側インナーレンズ26Lも透光カバー14に対して上下方向および左右方向の位置決めがなされる構成となっている。
【0068】
図5、6に示すように、左側インナーレンズ26Lの右端部および右側インナーレンズ26Rの左端部の各々に形成された上下1対の台座部26Aaには、左右方向に延びる長孔26Abがそれぞれ形成されている。
【0069】
一方、透光カバー14のカバー本体部14Aには、上下1対の台座部26Aaに対応する位置に、灯具後方へ向けて突出する上下1対のカシメ用突起部14Acが形成されている。各カシメ用突起部14Acは、台形の平面形状で左右方向に延びるように形成されている。
【0070】
そして、左側インナーレンズ26Lおよび右側インナーレンズ26Rは、上下1対の長孔26Abに上下1対のカシメ用突起部14Acが挿入され、上下1対の台座部26Aaがカバー本体部14Aに押し当てられた状態で、熱カシメによってカシメ用突起部14Acが潰されて長孔26Abの上下両側に拡がることにより、透光カバー14に対して固定されている。
【0071】
なお、左側インナーレンズ26Lの左端部および中間部に位置する台座部26Aaならびに右側インナーレンズ26Rの右端部および中間部に位置する台座部26Aaにおいても、同様にして熱カシメによる固定が行われている。
【0072】
図7は、透光カバー14に対するインナーレンズ26の取付けの様子を示す平断面図である。
【0073】
まず、図7(a)~(c)に示すように、透光カバー14に対して右側インナーレンズ26Rを取り付ける。
【0074】
すなわち、図7(a)に単品で示す右側インナーレンズ26Rのレンズ本体部26Aを、図7(b)に示すように、6箇所の台座部26Aaにおいて透光カバー14のカバー本体部14Aに押し当てる。その際、右側インナーレンズ26Rのレンズ本体部26Aに形成された6箇所の長孔26Abに、透光カバー14のカバー本体部14Aに形成された6箇所のカシメ用突起部14Acを挿入するとともに、レンズ本体部26Aの左端部に形成された上下1対の位置決め孔26Ra、26Rbに上下1対の位置決めピン14Aa、14Abを挿入して係合させる。
【0075】
この取付作業は、レンズ側壁部26Bをカバー側壁部14Bに押し当てることにより、右側インナーレンズ26Rが灯具前方側に自然にスライドしてレンズ本体部26Aがカバー本体部14Aに押し当てられるので、極めて容易に行うことが可能である。
【0076】
その後、図7(c)に示すように、6箇所の台座部26Aaから灯具後方側へ突出している6箇所のカシメ用突起部14Acの先端部を熱カシメによって塑性変形させる。これにより右側インナーレンズ26Rを上下方向および左右方向の位置決めがなされた状態で透光カバー14に固定する。
【0077】
次に、図7(c)、(d)に示すように、透光カバー14に対して左側インナーレンズ26Lを取り付ける。
【0078】
この取付けは、右側インナーレンズ26Rの場合と同様にして行うが、左側インナーレンズ26Lの後方オフセット部26L1に形成された上下1対の位置決め孔26L1a、26L1bに、右側インナーレンズ26Rのレンズ本体部26Aの左端部に形成された上下1対の位置決めピン26Rc、26Rdを挿入して係合させることにより、左側インナーレンズ26Lを上下方向および左右方向の位置決めがなされた状態で透光カバー14に固定する。
【0079】
次に、左右1対の固定側灯具50の構成について説明する。
【0080】
図1に示すように、左右1対の固定側灯具50は、車両用灯具10の左右両側において車体2の表面形状に沿って車幅方向外側へ向けて延びるように配置されており、左右対称の構成を有している。
【0081】
具体的には、図3、4に示すように、固定側灯具50は、車両用灯具10と同様、光源としての発光素子60(図1参照)が支持されたランプボディ52と、このランプボディ52の前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー54とで形成される灯室内に、導光体62とリフレクタ64とインナーレンズ66とが組み込まれた構成となっている。
【0082】
透光カバー54は、赤色透明の樹脂製部材で構成されており、カバー本体部54Aと、このカバー本体部14Aの車幅方向内側の側縁部から灯具後方へ向けて車幅方向内側に傾斜した方向に延びるように形成されたカバー側壁部54Bとを備えている。
【0083】
導光体62は、その車幅方向外側の端面を発光素子60へ向けた状態で配置されており、その外周面の上面部には複数の反射素子62sが車幅方向に並んだ状態で形成されている。
【0084】
リフレクタ64は、導光体62の下方側において、透光カバー54のカバー本体部54Aに沿って車幅方向に延びるように形成された反射面64aを備えている。この反射面64aは、縦縞状に形成された複数の反射素子64sを備えており、これら複数の反射素子64sにおいて導光体62からの出射光を灯具前方側へ向けて反射させるように構成されている。
【0085】
インナーレンズ66は、インナーレンズ26と同様、拡散材が分散された樹脂製部材で構成されており、透光カバー54の灯具後方近傍において透光カバー54に沿って延びるように配置されている。
【0086】
すなわち、このインナーレンズ66は、カバー本体部64Aに沿って車幅方向に延びるように形成されたレンズ本体部66Aと、このレンズ本体部66Aの車幅方向内側の側縁部からカバー側壁部54Bに沿って灯具後方へ向けて車幅方向内側に傾斜した方向に延びるように形成されたレンズ側壁部66Bとを備えている。その際、カバー側壁部54Bおよびレンズ側壁部56Bは、灯具前後方向に対して5~45°程度(例えば20°程度)車幅方向内側に傾斜した方向に延びるように形成されている。
【0087】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0088】
本実施形態に係る車両用灯具10は、バックドア4に装着される可動側灯具として構成されているが、その透光カバー14はカバー本体部14Aとその両側縁部から灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる左右1対のカバー側壁部14Bとを備えているので、バックドア4の開閉を円滑に行うことが可能な灯具構成とすることができる。
【0089】
また、車両用灯具10の左右両側において車体2に装着された左右1対の固定側灯具50は、透光カバー54のカバー側壁部54Bが、そのカバー本体部54Aにおける車幅方向内側の側縁部から灯具後方へ向けて車幅方向内側に傾斜した方向に延びるように形成されているので、灯具正面視において車両用灯具10と左右1対の固定側灯具50との間に形成される隙間が暗部として見えてしまわないようにすることができる。
【0090】
その上で、本実施形態に係る車両用灯具10は、透光カバー14の灯具後方側に、発光素子20A1、20A2(光源)からの出射光を制御するインナーレンズ26が配置されており、このインナーレンズ26の両側縁部には、左右1対のカバー側壁部14Bに沿って灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる左右1対のレンズ側壁部26Bが形成されているので、このインナーレンズ26の光制御機能によって車両用灯具10の見映え向上を図ることが可能となる。
【0091】
その際、インナーレンズ26は左側インナーレンズ26Lと右側インナーレンズ26Rとに分割された状態で透光カバー14に取り付けられているので、左右1対のレンズ側壁部26Bを左右1対のカバー側壁部14Bに対して近接させた状態で配置することができる。したがって、このインナーレンズ26の光制御機能によって透光カバー14がそのカバー本体部14Aの両側縁部まで光って見えるようにすることができ、これにより車両用灯具10の見映え向上を図ることができる。
【0092】
図8は、本実施形態の作用を説明するために、本実施形態に係る車両用灯具10を比較例と共に示す、図3と同様の図である。
【0093】
図8(a)に示す比較例においては、インナーレンズ26´が、本実施形態のインナーレンズ26のように左側インナーレンズ26Lと右側インナーレンズ26Rとに分割された構成とはなっておらず、単一の部材として構成されている。
【0094】
このように単一の部材として構成されたインナーレンズ26´を透光カバー14に取り付ける際には、図中矢印A´で示すようにインナーレンズ26´を透光カバー14に対して灯具後方から取り付けることが必要となる。
【0095】
したがって、インナーレンズ26´の構成としては、透光カバー14との干渉を未然に防止するため、そのレンズ側壁部26B´を、透光カバー14のカバー側壁部14Bの内面先端位置を通るようにして灯具前後方向に延びる直線Lよりも左右方向外側へ突出させることはできない。このため、透光カバー14のカバー側壁部14Bとインナーレンズ26´のレンズ側壁部26B´との間に位置する部分が暗部Dとなってしまい、透光カバー14のカバー本体部14Aをその両側縁部まで光って見えるようにすることができない。
【0096】
これに対して、本実施形態に係る車両用灯具10は、インナーレンズ26が左側インナーレンズ26Lと右側インナーレンズ26Rとに分割されているので、図8(b)に示すように、右側インナーレンズ26Rを透光カバー14に取り付ける際、図中矢印Aで示すように右側インナーレンズ26Rを透光カバー14に対して灯具後方斜め左方向から容易に取り付けることができる。
【0097】
したがって、インナーレンズ26の構成として、そのレンズ側壁部26Bが上記直線Lよりも左右方向外側へ突出していても、透光カバー14との干渉を未然に防止した上で透光カバー14への取付けを行うことができる。そしてこれにより、透光カバー14がそのカバー本体部14Aの両側縁部まで光って見えるようにすることができる。
【0098】
このように本実施形態によれば、光源からの出射光を透光カバー14を介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具10において、透光カバー14として左右1対のカバー側壁部14Bが灯具後方へ向けて互いに近づく方向に延びる構成となっていても、その灯具後方側にインナーレンズ26を配置することにより見映え向上を図ることができる。
【0099】
特に、本実施形態のインナーレンズ26は、拡散材が分散された樹脂製部材で構成されているので、発光素子20A1、20A2からの出射光をインナーレンズ26によって均一な拡散光とした上で透光カバー14に入射させることができる。そしてこれによりインナーレンズ26による車両用灯具10の見映え向上効果を高めることができる。
【0100】
しかも、本実施形態のインナーレンズ26は、左側インナーレンズ26Lのレンズ本体部26Aが、その右端部に形成された後方オフセット部26L1において右側インナーレンズ26Rと部分的に重複しているので、インナーレンズ26がその全長にわたって連続的に発光して見えるようにすることができる。
【0101】
また本実施形態においては、左側インナーレンズ26Lが、その右端部において上下方向および左右方向の位置決めがなされた状態でカバー本体部14Aに固定された構成となっており、また、右側インナーレンズ26Rが、その左端部において上下方向および左右方向の位置決めがなされた状態でカバー本体部14Aに固定された構成となっているので、インナーレンズ26の透光カバー14に対する取付けを精度良く行うことができる。
【0102】
その際、本実施形態においては、右側インナーレンズ26Rの左端部における透光カバー14への位置決めが、右側インナーレンズ26Rのレンズ本体部26Aに形成された上下1対の位置決め孔26Ra、26Rbとカバー本体部14Aに形成された上下1対の位置決めピン14Aa、14Abとの係合によって行われる構成となっており、また、左側インナーレンズ26Lの右端部におけるカバー本体部14Aへの位置決めが、左側インナーレンズ26Lの後方オフセット部26L1に形成された上下1対の位置決め孔26L1a、26L1bと右側インナーレンズ26Rのレンズ本体部26Aに形成された上下1対の位置決めピン26Rc、26Rdとの係合によって行われる構成となっているので、簡易な構成によってインナーレンズ26の透光カバー14に対する位置決めを行うことができる。
【0103】
さらに本実施形態においては、左側インナーレンズ26Lの右端部および右側インナーレンズ26Rの左端部におけるカバー本体部14Aへの固定が、左側インナーレンズ26Lの左端部および中間部ならびに右側インナーレンズ26Rの右端部および中間部におけるカバー本体部14Aへの固定と共に、熱カシメによって行われる構成となっているので、インナーレンズ26の透光カバー14に対する固定を簡易な方法で確実に行うことができる。
【0104】
上記実施形態においては、左側インナーレンズ26Lおよび右側インナーレンズ26Rのカバー本体部14Aへの固定が熱カシメによって行われる構成となっているものとして説明したが、熱カシメ以外の固定方法(例えば、冷間カシメ、ネジ締め、ランス係合、超音波溶着等)によって行われる構成とすることも可能である。
【0105】
上記実施形態においては、左右1対の光源ユニット20からの出射光が、導光体22C、22L、22Rおよびリフレクタ24を介してインナーレンズ26に到達するものとして説明したが、これ以外の経路でインナーレンズ26に到達する構成とすることも可能である。
【0106】
上記実施形態においては、車両用灯具10が、車両後部に設けられるテールランプである場合について説明したが、車両に設けられる箇所や機能にかかわらず、上記実施形態と同様の構成を採用することにより上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。例えば、車両用灯具10として、テールランプ以外にも、例えばストップランプ、デイタイムランニングランプ、クリアランスランプ等が採用可能である。その際、これら各灯具の機能に合わせて、赤色の発光ダイオードの他にも、白色やアンバ色の発光ダイオードを使用することが可能である。
【0107】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0108】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0109】
図9(a)は、本変形例に係る車両用灯具のインナーレンズ126を、透光カバー114に取り付けられた状態で示す、図7(d)と同様の図である。
【0110】
図9(a)に示すように、本変形例に係る透光カバー114およびインナーレンズ126の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、インナーレンズ126を構成する左側インナーレンズ126Lおよび右側インナーレンズ126Rが透光カバー114に対して別々に取り付けられている点で上記実施形態の場合と異なっており、これに伴って透光カバー114の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0111】
すなわち本変形例においては、左側インナーレンズ126Lおよび右側インナーレンズ126Rが、上記実施形態の右側インナーレンズ26Rの場合と同様の位置決めがなされた状態で透光カバー114に固定されている。
【0112】
具体的には、左側インナーレンズ126Lおよび右側インナーレンズ126Rは、そのレンズ本体部126Aの台座部126Aaにおいて透光カバー114のカバー本体部114Aに押し当てられ、かつ、そのレンズ本体部126Aの長孔126Abに透光カバー114のカバー本体部114Aのカシメ用突起部114Acが挿入された状態で、熱カシメによって固定されている。
【0113】
その際、右側インナーレンズ126Rは、そのレンズ本体部126Aの左端部に形成された上下1対の位置決め孔126Ra、126Rbに上下1対の位置決めピン114Aa、114Abが挿入されることによって上下方向および左右方向の位置決めがなされている。また、左側インナーレンズ126Lは、そのレンズ本体部126Aの右端部に形成された上下1対の位置決め孔126La、126Lbに上下1対の位置決めピン114Ac、114Adが挿入されることによって上下方向および左右方向の位置決めがなされている。
【0114】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0115】
すなわち、インナーレンズ126は、左側インナーレンズ126Lと右側インナーレンズ126Rとに分割された状態で透光カバー114に取り付けられているので、左右1対のレンズ側壁部126Bを左右1対のカバー側壁部114Bに対して近接させた状態で配置することができ、これにより透光カバー114がそのカバー本体部114Aの両側縁部まで光って見えるようにすることができる。
【0116】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0117】
図9(b)は、本変形例に係る車両用灯具のインナーレンズ226を、透光カバー214に取り付けられた状態で示す、図7(d)と同様の図である。
【0118】
図9(b)に示すように、本変形例に係る透光カバー214およびインナーレンズ226の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、左側インナーレンズ226Lと右側インナーレンズ226Rとの間に中間インナーレンズ226Cが配置された構成となっている点で上記実施形態の場合と異なっており、これに伴って透光カバー214の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0119】
すなわち本変形例においては、左側インナーレンズ226Lおよび右側インナーレンズ226Rが透光カバー214に対して別々に取り付けられており、かつ、中間インナーレンズ226Cは、左側インナーレンズ226Lおよび右側インナーレンズ226Rと係合した状態で透光カバー214に取り付けられている。
【0120】
具体的には、左側インナーレンズ226L、右側インナーレンズ226Rおよび中間インナーレンズ226Cは、そのレンズ本体部226Aの台座部226Aaにおいて透光カバー214のカバー本体部214Aに押し当てられ、かつ、そのレンズ本体部226Aの長孔226Abに透光カバー214のカバー本体部214Aのカシメ用突起部214Acが挿入された状態で、熱カシメによって固定されている。
【0121】
その際、右側インナーレンズ226Rは、そのレンズ本体部226Aの左端部に形成された上下1対の位置決め孔226Ra、226Rbにカバー本体部214Aに形成された上下1対の位置決めピン214Aa、214Abが挿入されることによって上下方向および左右方向の位置決めがなされている。また、左側インナーレンズ226Lは、そのレンズ本体部226Aの右端部に形成された上下1対の位置決め孔226La、226Lbに上下1対の位置決めピン214Ac、214Adが挿入されることによって上下方向および左右方向の位置決めがなされている。
【0122】
中間インナーレンズ226Cの左右両端部には、後方オフセット部226C1がそれぞれ形成されている。これら左右1対の後方オフセット部226C1には、上下1対の位置決め孔226Ca、226Cbがそれぞれ形成されている。一方、右側インナーレンズ226Rの左端部には、灯具後方へ向けて突出する上下1対の位置決めピン226Rc、226Rdが形成されており、左側インナーレンズ226Lの右端部には、灯具後方へ向けて突出する上下1対の位置決めピン226Lc、226Ldが形成されている。
【0123】
そして、中間インナーレンズ226Cは、その右端部において上下1対の位置決め孔226Ca、226Cbに上下1対の位置決めピン226Rc、226Rdが挿入されるとともに、その左端部において上下1対の位置決め孔226Ca、226Cbに上下1対の位置決めピン226Lc、226Ldが挿入されることによって、上下方向および左右方向の位置決めがなされている。
【0124】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0125】
すなわち、インナーレンズ226は、左側インナーレンズ226Lと右側インナーレンズ226Rとに分割された状態で透光カバー214に取り付けられているので、左右1対のレンズ側壁部226Bを左右1対のカバー側壁部214Bに対して近接させた状態で配置することができ、これにより透光カバー214がそのカバー本体部214Aの両側縁部まで光って見えるようにすることができる。
【0126】
しかも、本変形例のインナーレンズ226においては、中間インナーレンズ226Cが左側インナーレンズ226Lおよび右側インナーレンズ226Rと部分的に重複しているので、インナーレンズ226がその全長にわたって連続的に発光して見えるようにすることができる。
【0127】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0128】
図10は、本変形例に係る車両用灯具310の要部を示す、図3と同様の図である。
【0129】
図10に示すように、本変形例に係る車両用灯具310の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、透光カバー314およびインナーレンズ326の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0130】
すなわち、本変形例のインナーレンズ326は、上記実施形態のインナーレンズ26と同一形状を有しているが、拡散材が分散された樹脂製部材ではなく無色透明の樹脂製部材で構成されており、その内面には複数の拡散レンズ素子326sが形成されている。
【0131】
本変形例のインナーレンズ326も、左側インナーレンズ(図示せず)と右側インナーレンズ326Rとに分割された状態で透光カバー314に取り付けられている。
【0132】
右側インナーレンズ326Rにおいて、複数の拡散レンズ素子326sは、レンズ本体部326Aの全領域とレンズ側壁部326Bの前部領域とに形成されており、レンズ側壁部326Bの後部領域は素通し部として構成されている。
【0133】
本変形例の透光カバー314も、上記実施形態の透光カバー14と略同一の形状を有しているが、そのカバー側壁部314Bの外面形状が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0134】
すなわち、本変形例の透光カバー314は、カバー本体部314Aの形状については上記実施形態の場合と同様であるが、カバー側壁部314Bの外面に複数の全反射素子314Bsが形成された構成となっている。
【0135】
右側インナーレンズ326Rに入射したリフレクタ24からの反射光の大半は、複数の拡散レンズ素子326sにおいて拡散光となって右側インナーレンズ326Rから出射し、透光カバー314を介して灯具前方へ向けて出射する。
【0136】
その際、右側インナーレンズ326Rのレンズ側壁部326Bはカバー側壁部314Bと近接しているので、透光カバー314は、そのカバー本体部314Aがカバー側壁部314Bとの接続部分まで光って見える。
【0137】
一方、右側インナーレンズ326Rのレンズ側壁部326Bの後部領域に到達したリフレクタ24からの反射光は、拡散光としてではなくそのまま透光カバー314のカバー側壁部314Bに入射する。
【0138】
カバー側壁部314Bの外面に形成された複数の全反射素子314Bsは、カバー側壁部314Bに入射したリフレクタ24からの反射光を灯具前方へ向けて全反射させる傾斜角度で階段状に形成されている。これにより、レンズ側壁部326Bを介してカバー側壁部314Bに入射したリフレクタ24からの反射光は、複数の全反射素子314Bsで全反射してカバー側壁部314Bの前端面から灯具前方へ向けて出射する。したがって、透光カバー314は、そのカバー本体部314Aがカバー側壁部314Bとの接続部分まで明るく光って見える。
【0139】
本変形例においては、固定側灯具350の構成も上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0140】
すなわち、本変形例に係る固定側灯具350の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、透光カバー354およびインナーレンズ366の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0141】
具体的には、本変形例のインナーレンズ366は、上記実施形態のインナーレンズ66と同一形状を有しているが、拡散材が分散された樹脂製部材ではなく無色透明の樹脂製部材で構成されており、その内面には複数の拡散レンズ素子366sが形成されている。
【0142】
インナーレンズ366において、複数の拡散レンズ素子366sは、レンズ本体部366Aの全領域とレンズ側壁部366Bの前部領域とに形成されており、レンズ側壁部366Bの後部領域は素通し部として構成されている。
【0143】
本変形例の透光カバー354も、上記実施形態の透光カバー54と略同一形状を有しているが、そのカバー側壁部354Bの外面形状および内面形状が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0144】
すなわち、本変形例の透光カバー354は、カバー本体部354Aの形状については上記実施形態の場合と同様であるが、カバー側壁部354Bの外面に複数のレンズ素子354Bs1が形成されるとともにカバー側壁部354Bの内面に複数のレンズ素子354Bs2が形成された構成となっている。
【0145】
インナーレンズ366に入射したリフレクタ64からの反射光の大半は、複数の拡散レンズ素子366sにおいて拡散光となってインナーレンズ366から出射し、透光カバー354を介して灯具前方へ向けて出射する。
【0146】
その際、インナーレンズ366のレンズ側壁部366Bはカバー側壁部354Bと近接しているので、透光カバー354は、そのカバー本体部354Aがカバー側壁部3514Bとの接続部分まで光って見える。
【0147】
さらに、インナーレンズ366のレンズ側壁部366Bの後部領域に到達したリフレクタ64からの反射光は、拡散光としてではなくそのまま透光カバー354のカバー側壁部354Bに入射する。
【0148】
カバー側壁部354Bの外面および内面に形成された複数のレンズ素子354Bs1、354Bs2は、カバー側壁部354Bに入射したリフレクタ364からの反射光を灯具前方へ向けて偏向透過させる傾斜角度で階段状に形成されている。これにより、レンズ側壁部366Bを介してカバー側壁部354Bの後部領域に入射したリフレクタ64からの反射光は、カバー側壁部354Bの外面から灯具前方へ向けて出射する。したがって、透光カバー354は、そのカバー本体部354Aのみならずカバー側壁部354Bも明るく光って見える。
【0149】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0150】
しかも本変形例の構成を採用することにより、車両用灯具310の透光カバー314がそのカバー本体部314Aの両側縁部まで明るく光って見えるようにすることができる。
【0151】
また、本変形例の構成を採用することにより、固定側灯具350の透光カバー354もそのカバー本体部354Aの車幅方向内側の側縁部まで明るく光って見えるようにすることができる。
【0152】
さらに、固定側灯具350の透光カバー354は、そのカバー本体部354Aのみならずカバー側壁部354Bも明るく光って見えるので、灯具正面視において車両用灯具310と固定側灯具350との間に形成される隙間が暗部として見えてしまわないようにすることが容易に可能となる。
【0153】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0154】
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0155】
2 車体
4 バックドア
10、310 車両用灯具
12 ランプボディ
14、114、214、314 透光カバー
14A、114A、214A、314A カバー本体部
14Aa、14Ab、26Rc、26Rd、114Aa、114Ab、114Ac、114Ad、214Aa、214Ab、214Ac、214Ad、226Lc、226Ld、226Rc、226Rd 位置決めピン
14Ac、114Ac、214Ac カシメ用突起部
14B、114B、214B、314B カバー側壁部
20 光源ユニット
20A1、20A2 発光素子(光源)
20B プラグ
22C、22L、22R 導光体
22Cs、22Ls、22Rs、24s 反射素子
24 リフレクタ
24a 反射面
26、126、226、326 インナーレンズ
26A、126A、226A、326A レンズ本体部
26Aa、126Aa、226Aa 台座部
26Ab、126Ab、226Ab 長孔
26B、126B、226B、326B レンズ側壁部
26L、126L、226L 左側インナーレンズ
26L1、226C1 後方オフセット部
26L1a、26L1b、26Ra、26Rb、126La、126Lb、126Ra、126Rb、226Ca、226Cb、226La、226Lb、226Ra、226Rb 位置決め孔
26R、126R、226R、326R 右側インナーレンズ
50、350 固定側灯具
52 ランプボディ
54、354 透光カバー
54A、354A カバー本体部
54B、354B カバー側壁部
60 発光素子
62 導光体
62s 反射素子
64 リフレクタ
64a 反射面
64s 反射素子
66、366 インナーレンズ
66A、366A レンズ本体部
66B、366B レンズ側壁部
226C 中間インナーレンズ
314Bs 全反射素子
326s、366s 拡散レンズ素子
354Bs1、354Bs2 レンズ素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10