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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096613
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】改札システムおよび自動改札機
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240709BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240709BHJP
【FI】
G07B15/00 J
G07B15/00 C
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000227
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 昌人
【テーマコード(参考)】
3E127
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA03
3E127BA14
3E127BA51
3E127CA02
3E127CA05
3E127CA37
3E127CA40
3E127DA06
3E127EA02
3E127EA31
3E127FA03
3E127FA41
5L049CC43
5L050CC43
(57)【要約】
【課題】有効時間帯外の入場であっても、有料列車に乗車する場合であれば、出場時に乗車運賃を徴収せずに時差定期券で出場可能とする改札システムを提供する。
【解決手段】改札システムは、改札機と予約管理サーバを備える。改札機は、有効時間帯、有効時間帯外での入場であるか否かを示す利用区分、媒体識別子を含む媒体記録情報が記録された媒体に対して改札処理を行う。予約管理サーバは、有料列車の座席の予約状況についての予約管理情報を媒体識別子と紐付けて管理するとともに、予約管理情報に紐付けられた媒体識別子を含むリストを生成して改札機に送信する予約管理処理部を有する。改札機は、送信されたリストのデータを蓄積したマスタファイルを生成し、媒体から読み込んだ媒体記録情報における利用区分が有効時間帯外であることを示す場合、媒体識別子がマスタファイルに含まれているか応じて、出場時に異なる改札処理を行う改札処理部を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み書き可能なメモリに有効区間、有効期間、有効時間帯、有効時間帯外での入場であるか否かを示す利用区分、および媒体識別子を含む媒体記録情報が記録された媒体に対して改札処理を行う改札機と、
前記改札機と通信可能に接続され、乗車運賃に加えて所定の利用料金を要するとともに、座席を利用するために予約を要する列車について前記座席の予約を管理する予約管理サーバと、を備え、
前記予約管理サーバは、前記座席の予約状況についての予約管理情報を前記媒体識別子と紐付けて管理するとともに、前記予約管理情報に紐付けられた前記媒体識別子を含むリストを生成して前記改札機に送信する予約管理処理部を有し、
前記改札機は、前記予約管理サーバから送信された前記リストのデータを蓄積したマスタファイルを生成し、前記媒体から読み込んだ前記媒体記録情報における前記利用区分が前記有効時間帯外であることを示す場合、該媒体記録情報における前記媒体識別子が前記マスタファイルに含まれているか否かに応じて、出場時に異なる前記改札処理を行う改札処理部を有する
改札システム。
【請求項2】
前記改札処理部は、
前記媒体から読み込んだ前記媒体記録情報における前記利用区分が前記有効時間帯外であることを示すとともに、該媒体記録情報における前記媒体識別子が前記マスタファイルに含まれている場合、前記有効時間帯での入場であるとみなして前記改札処理を出場時に行い、
前記媒体から読み込んだ前記媒体記録情報における前記利用区分が前記有効時間帯外であることを示すとともに、該媒体記録情報における前記媒体識別子が前記マスタファイルに含まれていない場合、前記有効時間帯外での入場であるとして前記改札処理を出場時に行う
請求項1に記載の改札システム。
【請求項3】
前記改札処理部は、前記有効時間帯での入場であるとみなして行う出場時の前記改札処理において、前記媒体記録情報の前記利用区分を前記有効時間帯での入場であることを示す値に更新して前記媒体に書き込む
請求項2に記載の改札システム。
【請求項4】
前記有効区間および前記有効期間に前記媒体で入場された場合、前記改札処理部は、
前記有効時間帯での入場であるとみなして行う出場時の前記改札処理において、前記列車の乗車運賃を徴収せず、
前記有効時間帯外での入場であるとして行う出場時の前記改札処理において、前記列車の乗車運賃を徴収する
請求項3に記載の改札システム。
【請求項5】
前記予約管理処理部は、前記リストの生成と同期して、前記列車の運行当日の前記リストを前記列車の運行区間内の各駅の前記改札機に送信する
請求項1に記載の改札システム。
【請求項6】
前記改札処理部は、前記予約管理サーバから送信された前記列車の運行当日の前記リストのデータを蓄積した前記マスタファイルを生成する
請求項5に記載の改札システム。
【請求項7】
読み書き可能なメモリに有効区間、有効期間、有効時間帯、有効時間帯外での入場であるか否かを示す利用区分、および媒体識別子を含む媒体記録情報が記録された媒体に対して改札処理を行う改札機であって、
乗車運賃に加えて所定の利用料金を要するとともに、座席を利用するために予約を要する列車の運行当日の前記座席の予約状況を管理する情報と紐付けられた前記媒体識別子を含むリストのデータを蓄積したマスタファイルを生成し、前記媒体から読み込んだ前記媒体記録情報における前記利用区分が前記有効時間帯外であることを示す場合、該媒体記録情報における前記媒体識別子が前記マスタファイルに含まれているか否かに応じて、出場時に異なる前記改札処理を行う改札処理部を有する
改札機。
【請求項8】
前記改札処理部は、
前記媒体から読み込んだ前記媒体記録情報における前記利用区分が前記有効時間帯外であることを示すとともに、該媒体記録情報における前記媒体識別子が前記マスタファイルに含まれている場合、前記有効時間帯での入場であるとみなして前記改札処理を出場時に行い、
前記媒体から読み込んだ前記媒体記録情報における前記利用区分が前記有効時間帯外であることを示すとともに、該媒体記録情報における前記媒体識別子が前記マスタファイルに含まれていない場合、前記有効時間帯外での入場であるとして前記改札処理を出場時に行う
請求項7に記載の改札機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、改札システムおよび自動改札機に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道などの交通機関で使用される定期券の種類の一つに、利用可能な時間帯(有効時間帯)が予め設定された時間帯に限られている定期券(以下、時差定期券という)がある。時差定期券の有効時間帯としては、例えば平日朝の通勤通学のピーク時間帯以外の時間帯(オフピーク時間帯)や土休日の全時間帯などが挙げられる。このため、有効時間帯がオフピーク時間帯に設定された時差定期券では、ピーク時間帯に入場駅の自動改札機から入場した場合、定期利用として自動改札機から出場することができない。この場合、有効区間内であっても、例えば出場駅の自動改札機でSF(Stored Fare)利用として乗車区間の運賃を徴収できなければ、該自動改札機から出場できない。
【0003】
例えば、特急列車や追加料金が必要な座席が設定された列車(以下、まとめて有料列車という)をピーク時間帯に時差定期券で利用する場合、所定の利用料金(特急料金、指定席料金、グリーン料金など)の他、切符等での利用の場合と同様に乗車運賃(乗車区間の普通運賃)も必要となる。すなわちこの場合、乗車運賃を時差定期券で充当できない。したがって、時差定期券によってピーク時間帯における普通列車の混雑緩和が図られる一方で、有料列車の利用促進が図られないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-203261号公報
【特許文献2】特開平06-44419号公報
【特許文献3】特開平06-215214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態が解決しようとする課題は、時差定期券で有効時間帯外に入場した場合であっても、有料列車の利用料金を予め支払って該列車に乗車する場合であれば、出場時に乗車運賃を徴収せずに時差定期券で出場可能とする改札システムおよび自動改札機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の改札システムは、改札機と、予約管理サーバとを備える。前記改札機は、読み書き可能なメモリに有効区間、有効期間、有効時間帯、有効時間帯外での入場であるか否かを示す利用区分、および媒体識別子を含む媒体記録情報が記録された媒体に対して改札処理を行う。前記予約管理サーバは、前記改札機と通信可能に接続され、乗車運賃に加えて所定の利用料金を要するとともに、座席を利用するために予約を要する列車について前記座席の予約を管理する。かかる改札システムにおいて、前記予約管理サーバは、前記座席の予約状況についての予約管理情報を前記媒体識別子と紐付けて管理するとともに、前記予約管理情報に紐付けられた前記媒体識別子を含むリストを生成して前記改札機に送信する予約管理処理部を有する。前記改札機は、前記予約管理サーバから送信された前記リストのデータを蓄積したマスタファイルを生成し、前記媒体から読み込んだ前記媒体記録情報における前記利用区分が前記有効時間帯外であることを示す場合、該媒体記録情報における前記媒体識別子が前記マスタファイルに含まれているか否かに応じて、出場時に異なる前記改札処理を行う改札処理部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る改札システムのネットワーク構成を概略的に示す図。
図2】同実施形態に係る改札システムの改札機の構成を概略的に示すブロック図。
図3】同実施形態に係る改札システムの予約管理サーバの構成を概略的に示すブロック図。
図4】同実施形態に係る改札システムの動作の流れの一例を示すフローチャート。
図5】同実施形態に係る改札システムで用いられる媒体(時差定期券)のメモリに記録された媒体記録情報のレコードイメージの一例を示す図。
図6】同実施形態に係る改札システムの改札機におけるマスタファイル(救済マスタ)のレコードイメージの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る改札システム1のネットワーク構成を概略的に示す図である。改札システム1は、例えば鉄道事業者などによって用いられ、鉄道駅の改札口における利用者の通行(入出場)を許可または禁止する改札業務を管理する機能を有する。具体的には、定期券で有料列車が利用された場合において、該定期券での出場時の改札業務を管理する機能を有する。本実施形態における利用者は、定期券で有料列車を利用する旅客を含む。有料列車は、乗車運賃に加えて所定の利用料金(特急料金、指定席料金、グリーン料金など)を要するとともに、座席を利用するために事前予約を要する列車であり、例えば特急列車や所定の利用料金が必要な座席(指定席やグリーン席など)が設定された列車などが該当する。乗車運賃は、乗車区間を切符などで乗車した場合の運賃(普通運賃)である。
【0009】
図1に示すように、改札システム1は、自動改札機(以下、単に改札機という)20、監視盤30、および予約管理サーバ40を備える。改札機20、監視盤30、および予約管理サーバ40は、ネットワーク50を介して通信可能に接続されている。接続態様は、有線、無線、その両方のいずれであっても構わない。なお、図1においては便宜的に一台の改札機20および監視盤30のみ示されているが、本実施形態に係る改札システム1は任意の複数台の改札機20および監視盤30を備える。予約管理サーバ40は、少なくとも一台が備えられていればよい。
【0010】
改札機20は、鉄道駅の改札口などに設置され、利用者(旅客)が所持する媒体60に対する改札を行う。また、改札機20は、利用者が通行可能な所定の通路を規定し、媒体60の改札結果に応じて利用者に対する該通路の通過を許可または禁止する。
【0011】
図2は、改札機20の構成を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、改札機20は、主たる構成要素として、主制御部21、改札処理部22、扉開閉処理部23、通信処理部24、情報格納部25を有している。
【0012】
主制御部21は、CPU、メモリ、記憶装置(不揮発性メモリ)、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。例えば、主制御部21は、各種データを入出力回路により読み込み、記憶装置からメモリに読み出したプログラムを用いてCPUで演算処理し、処理結果に基づいて改札処理部22、扉開閉処理部23、通信処理部24、情報格納部25などの動作を制御する。かかる動作制御により、改札機2における改札処理が実行される。
【0013】
改札処理部22は、利用者が所持する媒体60に対する改札処理を行う。改札処理において、改札処理部22は、媒体60に記録された情報(以下、媒体記録情報という)を読み取るとともに、読み取った媒体記録情報を必要に応じて書き換える。本実施形態において、改札処理部22は媒体60との無線通信により媒体記録情報を読み書きする。改札処理部22は、例えば媒体60の媒体記録情報を読み書きするリーダライタ、該リーダライタを動作させるプログラムや基板などを含む。リーダライタは、利用者が所持する媒体60と通信可能なエリアを有している。例えば、かかるエリア内に媒体60がかざされると、改札処理が開始される。改札処理が開始されると、リーダライタは、定期券情報の読み取りもしくは書き込みのコマンドを無線通信により媒体60に送信し、媒体60に対して媒体記録情報の読み取りもしくは書き込みを行う。
【0014】
本実施形態において、媒体60は、IC(Integrated Circuit)チップが埋め込まれたICカードである。ただし、媒体60は、例えばスマートフォンやスマートウォッチなどの電子機器に設けられた機能として実現されるものであってもよい。媒体60は、例えば制御回路、メモリ、改札処理部22との間で無線通信を行う送受信部、アンテナなどを備えている。メモリは、改札処理部22による媒体記録情報の読み書きが可能なデータ記録領域である。
【0015】
また、媒体60は、有効区間および有効期間が設定された定期券であり、本実施形態では一例として、利用可能な時間帯(有効時間帯)が予め設定された時間帯に限られている定期券(以下、時差定期券という)を含む。時差定期券の有効時間帯としては、例えば平日朝の通勤通学のピーク時間帯以外の時間帯(オフピーク時間帯)などを設定可能である。一例として、ピーク時間帯が平日朝の6時から9時などに設定されている場合、時差定期券は、それ以外のオフピーク時間帯に入場すれば、有効区間内および有効期間内において定期利用することができる。
【0016】
媒体60の媒体記録情報は、例えば、利用者の識別子(利用者番号など)、媒体60の識別子(ICカード番号など)、有効区間、有効期間、有効時間帯、入場駅、入場機器の識別子、入場時刻、出場駅、出場機器の識別子、出場時刻、SF(Stored Fare)残額、利用区分などを組み合わせた所定の情報である。媒体記録情報は、媒体60のメモリに改札処理部22によって読み書き可能に記録されている。
【0017】
また、改札処理部22は、情報格納部25に格納された救済マスタを管理する。救済マスタは、媒体60が時差定期券である場合に、該時差定期券の有効時間帯外での有料列車の利用時であれば、有効時間帯での利用、つまり定期利用とみなすために用いられる。改札処理部22は、予約管理サーバ40から後述するIDiリストのデータを受信すると、これと同期して救済マスタを更新する。本実施形態においては一例として、改札処理部22における救済マスタの管理手段はプログラムとして構成されており、主制御部21の記憶装置に格納され、IDiリストの受信時にメモリに読み出されて実行される。
【0018】
扉開閉処理部23は、改札処理部22による改札処理の結果に応じて、改札機20の扉(図示省略)を適宜開閉させる。改札機20の扉は、例えば改札機20の筐体(図示省略)に対して回動可能に、改札機20が規定する通路を利用者が通過する方向の上流側(入口側)および下流側(出口側)にそれぞれ設けられている。
【0019】
通信処理部24は、例えば通信制御モジュールや通信制御基板などとして構成され、監視盤30および予約管理サーバ40(具体的には後述する通信処理部43)との間で改札処理に必要な各種データの送受信を行い、データ送受信の通知や受信したデータを主制御部21や改札処理部22に付与する。通信処理部24は、例えば改札処理部22が実行する改札処理に必要な各種データの送受信や通知を行う。
【0020】
情報格納部25は、救済マスタを格納する。上述したように、救済マスタは、媒体60が時差定期券である場合に例外的に定期利用とみなすために用いられ、後述する複数のIDiリストのデータが蓄積されたマスタファイル(マスタテーブル)として生成されている。救済マスタは、予約管理サーバ40からのIDiリストのデータ受信と同期して改札処理部22によって更新され、常に最新のIDiリストのデータが蓄積された状態とされている。
【0021】
図1の説明に戻る。監視盤30は、改札機20が設置された各々の鉄道駅の駅務員室などに設置され、改札機20の状態監視や動作指示、改札機20と予約管理サーバ40との間のデータ通信の仲介制御などを行う。監視盤30が状態監視や動作指示を行う改札機20は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。監視盤30は、CPU、メモリ、記憶装置(不揮発性メモリ)、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。例えば、監視盤30は、各種データを入出力回路により読み込み、記憶装置からメモリに読み出したプログラムを用いてCPUで演算処理を実行し、処理結果に基づいて改札機20の状態監視や動作指示などを行う。
【0022】
予約管理サーバ40は、改札機20とは離れた遠隔地(リモートエリア)、例えば鉄道事業者の本社やシステムセンタなどに設置され、有料列車の各座席の予約状況を管理する。図1に示すように、予約管理サーバ40は、監視盤30とはネットワーク50を経由して通信可能に接続され、改札機20とは監視盤30を介してネットワーク50経由で通信可能に接続されている。ただし、予約管理サーバ40は、図示例のような接続態様ではなく、例えば改札機20とネットワーク50を介して直接接続されていてもよい。
【0023】
また、本実施形態において、予約管理サーバ40は、利用者が所持するパソコン、スマートフォン、タブレット端末などの情報機器からオンライン接続可能とされている。さらに、例えば鉄道駅において構内のホーム上に設置された有料列車の利用券の券売機などと通信可能に接続されていてもよい。
【0024】
図3は、予約管理サーバ40の構成を概略的に示すブロック図である。図3に示すように、予約管理サーバ40は、主たる構成要素として、主制御部41、予約管理処理部42、通信処理部43、情報格納部44を有している。
【0025】
主制御部41は、CPU、メモリ、記憶装置(不揮発性メモリ)、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。例えば、主制御部41は、各種データを入出力回路により読み込み、記憶装置からメモリに読み出したプログラムを用いてCPUで演算処理し、処理結果に基づいて予約管理処理部42、通信処理部43、情報格納部44などの動作を制御する。かかる動作制御により、有料列車の各座席の予約状況を管理する処理(以下、予約管理処理という)が実行される。
【0026】
本実施形態において、予約管理処理は、例えば予約管理サーバ40にオンライン接続された利用者が所持する情報機器から有料列車の座席予約の操作がなされることで実行開始される。また本実施形態において、予約管理処理の結果は、改札機2の改札処理部22で実行される改札処理のパラメータとして用いられる。
【0027】
予約管理処理部42は、予約管理処理を行う。本実施形態では一例として、予約管理処理部42は、主制御部41において実行されるプログラム(予約処理プログラム)として構成されており、主制御部41の記憶装置に格納されて予約管理処理時にメモリに読み出されて実行される。予約管理処理部42は、予約管理処理において、有料列車の座席に対して新規予約、予約変更、予約削除などがされる際、該座席についての予約管理情報を追加、変更、削除する。
【0028】
予約管理情報は、有料列車の各座席の予約状況を管理する情報であり、情報格納部44に格納されている。予約管理情報は、有料列車につき、列車番号、列車名、運行日時、運行区間(始発駅、終着駅、途中停車駅等)などの列車情報に、例えば各座席の予約状況情報(予約有無)および予約者情報が紐付けられて管理されている。予約者情報は、有料列車の座席を予約した利用者を特定することが可能な該利用者に固有の情報である。
【0029】
本実施形態において、予約管理処理部42は、予約者情報を媒体60の媒体記録情報と紐付け可能に予約管理情報を管理する。例えば、有料列車の利用料金の決済時に予約者情報と媒体記録情報とが紐付けられて予約管理情報が管理される。具体的なケースとして、有料列車の利用料金が媒体60のSF残額による電子マネーやクレジットカード機能を有する媒体60で決済された際、該媒体60に固有の識別情報、例えばICカード番号などを予約者情報と紐付けて予約管理情報が管理される場合などが想定できる。
【0030】
予約管理処理部42は、このように予約者情報と媒体記録情報とを紐付けた際、予約管理情報から媒体60に固有の識別情報、例えばICカード番号などを抽出して所定のリストデータ(以下、IDiリストという)を生成する。すなわち、予約管理処理部42は、有料列車の座席に対して新規予約、予約変更、予約削除などがされる際、IDiリストを生成すると、そのリストデータを改札機20に送信する。本実施形態においては、有料列車の運行当日のIDiリストのデータが運行区間内の各駅の改札機20に送信される。
【0031】
通信処理部43は、例えば通信制御モジュールや通信制御基板などとして構成され、監視盤30および改札機20(具体的には通信処理部24)との間で予約管理処理に伴う各種データの送受信を行い、データ送受信の通知や受信したデータを主制御部41に付与する。通信処理部43は、例えば主制御部41によって動作制御された予約管理処理部42の動作に応じて、予約管理処理に必要な各種データの送受信や通知を行う。本実施形態において、予約管理処理部42が生成するIDiリストのデータは、通信処理部43が改札機20に送信するデータの一つである。
【0032】
情報格納部44は、予約管理処理部42によって追加、更新、削除可能に予約管理情報を管理する。
【0033】
次に、本実施形態に係る改札システム1の動作について説明する。図4は、改札システム1の動作の流れの一例を示すフローチャートである。以下、図4に示すフローチャートに従って、改札システム1の動作の流れの一例を説明する。
【0034】
図4に示すフローチャートは、媒体60が時差定期券であり、有効区間内および有効期間内において利用者が該時差定期券で有効時間帯外に入場し、出場駅(降車駅や乗換駅)の改札機20から出場する際の改札システム1の動作、具体的には出場時の改札処理の流れを示す。また、図4に示すフローチャートの開始時には、有料列車の運行当日のIDiリストのデータが予約管理サーバ40から運行区間内の各駅の改札機20に送信され、該改札機20の救済マスタが該運行当日における最新の状態とされている。
【0035】
出場時の改札処理は、例えば、改札処理部22のリーダライタの通信可能エリア内に利用者が所持する媒体60である時差定期券がかざされることで開始される。出場時の改札処理が開始されると、改札処理部22は、時差定期券の媒体記録情報を読み込み、該媒体記録情報の利用区分を参照する(S101)。本実施形態において、利用区分としては、時差定期券が有効時間帯外での利用であるか否か、具体的には有効時間帯外に入場したか否かを示す情報(以下、時間帯フラグという)が記録されている。
【0036】
図5は、媒体60である時差定期券のメモリ61に記録された媒体記録情報611のレコードイメージの一例を示す図である。例えば、入場駅(乗車駅)の改札機20への入場時刻が有効時間帯である場合、つまり有効時間帯での利用時には時間帯フラグの値が0、改札機20への入場時刻が有効時間帯外である場合、つまり有効時間帯外での利用時である場合、時間帯フラグの値が1としてそれぞれ記録されている。時間帯フラグには、入場駅の改札機20で実行される入場時の改札処理において、入場開始時刻に応じて有効時間帯もしくは有効時間帯外での利用のいずれかを示す値が記録される。
【0037】
別の捉え方をすれば、媒体記録情報の利用区分(時間帯フラグ)は、媒体の種類(種別)を示しており、時間帯フラグが1である場合、その媒体が時差定期券であることと同意である。
【0038】
利用区分を参照すると、改札処理部22は、時間帯フラグとして記録された値を判定する。本実施形態では一例として、改札処理部22は、時間帯フラグの値が1であるか否かを判定する(S102)。
【0039】
時間帯フラグの値が1でないと判定した場合(S102においてNo)、改札処理部22は、時差定期券が有効時間帯で利用されているとして、改札処理として定期出場処理を実行する(S103)。定期出場処理は、有効区間内および有効期間内において、有効時間帯に時差定期券で入場駅の改札機20から入場した場合に、出場駅の改札機20からの出場時に実行される改札処理である。すなわち、定期出場処理は、乗車運賃(乗車区間の普通運賃)を徴収しない定期利用としての改札処理である。
【0040】
なお、上述したとおり、時間帯フラグが1である場合にはその媒体が時差定期券であることと同意であり、時差定期券で有効時間帯外に入場されたことを示す。換言すれば、有効時間帯が限定されていない通常の定期券の場合、例えば入場時に時間帯フラグは必ず0とされる、もしくは初期値が0として固定されている。したがって、通常の定期券が利用される場合、S102においては時間帯フラグの値が1でない(No)と判定され、該定期券の有効区間内および有効期間内であれば、改札処理として定期出場処理が実行される(S103)。
【0041】
定期出場処理において、改札処理部22は、例えば媒体記録情報の出場駅、出場機器の識別子、出場時刻などの情報を更新し、更新した情報を媒体記録情報として書き込む。このような改札処理部22による媒体記録情報の更新とともに、扉開閉処理部23は、改札機20を開扉する。これにより、利用者は、出場駅の改札機20を通過することが可能となる。またこれにより、かかる時差定期券に対する改札処理(定期出場処理)が終了する。
【0042】
これに対し、時間帯フラグの値が1であると判定した場合(S102においてYes)、改札処理部22は、時差定期券の有効時間帯外での利用であっても定期利用とみなすことができるか否かを判定し、判定結果に応じて改札処理を引き続き行う。
【0043】
この場合、改札処理部22は、情報格納部25の救済マスタを読み込み、該救済マスタを参照する(S104)。
【0044】
そして、改札処理部22は、S101で読み込んだ媒体記録情報の時差定期券に固有の情報(媒体識別子)、例えば該時差定期券のICカード番号などが救済マスタに含まれているか否かを判定する(S105)。図6は、救済マスタ200のレコードイメージの一例を示す図である。図6に示す救済マスタ200の例では、n個(nは任意の自然数)の媒体識別子、例えばICカード番号に対応するレコードが保持されている。これらの媒体識別子(ICカード番号)は、有料列車の運行当日、つまり図4に示す改札システム1の動作時点において利用料金を支払って該有料列車の座席を予約している状況であることを示す。
【0045】
判定にあたって、改札処理部22は、例えばS101で読み込んだ時差定期券のICカード番号の救済マスタからの抽出を行う。ICカード番号が抽出できた場合、改札処理部22は、救済マスタに時差定期券の固有情報が含まれていると判定する。この場合、時差定期券の固有情報(一例としてICカード番号)は、予約管理サーバ40の予約管理情報に紐付けられており、有料列車の座席が予約されている状況であると判定できる。つまり、有料列車の利用料金が支払われているものと判定できる。したがってこの場合には、時差定期券の有効時間帯外での利用であっても、該時差定期券については定期利用とみなすことが可能となる。
【0046】
一方、時差定期券のICカード番号が抽出できない場合、改札処理部22は、救済マスタに時差定期券の固有情報が含まれていないと判定する。この場合、時差定期券の固有情報(一例としてICカード番号)は、予約管理サーバ40の予約管理情報に紐付けられておらず、有料列車の座席が予約されていない状況であると判定できる。つまり、有料列車の利用料金が支払われていないものと判定できる。したがってこの場合には、かかる時差定期券については定期利用とはみなさない。
【0047】
時差定期券に固有の情報、例えば該時差定期券のICカード番号などが救済マスタに含まれていると判定した場合(S105においてYes)、改札処理部22は、時差定期券の媒体記録情報の利用区分(時間帯フラグ)の値を1から0に更新する(S106)。すなわち、入場駅への入場時に1(有効時間帯外利用)として記録された時間帯フラグの値は、出場駅からの出場時に0(有効時間帯利用)に書き換えられる。
【0048】
そして、改札処理部22は、時差定期券を有効時間帯外での利用でない(有効時間帯での利用である)とみなし、改札処理として定期出場処理を実行する(S103)。したがって、出場時の情報が媒体記録情報に書き込まれるとともに、出場駅の改札機20が開扉される。これにより、利用者は、出場駅の改札機20を通過することが可能となる。その際、時差定期券が定期利用として扱われるため、実際には有効時間帯外の利用であっても、有料列車の乗車運賃は徴収されない。そして、かかる時差定期券に対する改札処理(定期出場処理)が終了する。
【0049】
これに対し、時差定期券に固有の情報、例えば該時差定期券のICカード番号などが救済マスタに含まれていないと判定した場合(S105においてNo)、改札処理部22は、時差定期券が有効時間帯外での利用であるとして、改札処理としてSF出場処理を実行する(S107)。SF出場処理は、有効区間内および有効期間内において、有効時間帯外に時差定期券で入場駅の改札機20から入場した場合に、出場駅の改札機20からの出場時に実行される改札処理である。すなわち、SF出場処理は、乗車運賃を徴収するSF利用としての改札処理である。ここでは、有料列車の座席が予約されていないと判定されているため、時差定期券を定期利用とみなすことなく、SF利用として乗車運賃を徴収する。
【0050】
SF出場処理において、改札処理部22は、例えばS101で読み込んだ媒体記録情報のSF残額を参照し、該SF残額から乗車運賃を徴収できるか否かを判定する。
乗車運賃を徴収できる場合、改札処理部22は、該運賃を徴収し、現在のSF残額から運賃額を差し引いた額にSF残額を更新し、更新後のSF残額を媒体記録情報として書き込む。このようなSF残額の更新とともに、扉開閉処理部23は、改札機20を開扉する。これにより、利用者は、出場駅の改札機20を通過することが可能となる。またこれにより、かかる時差定期券に対する改札処理(SF出場処理)が終了する。
【0051】
一方、乗車運賃を徴収できない場合、例えば改札処理部22はSF残額を更新せず、扉開閉処理部23は改札機20を閉扉する。この場合、利用者は、精算窓口での精算や精算機でのチャージなどを行って出場駅から出場する。
【0052】
以上のように、時差定期券に対して定期出場処理(S103)もしくはSF出場処理(S107)のいずれかが実行されると、該時差定期券に対する出場駅での出場時の一連の改札処理が終了する。
【0053】
このように本実施形態によれば、時差定期券が有効時間帯外に利用される場合であっても、例外的に有効時間帯外での利用でない、つまり有効時間帯での利用(定期利用)であるとみなすことができる。すなわち、有効時間帯外の利用であっても、有料列車の利用料金を予め支払って該列車に乗車する場合であれば、出場時に乗車運賃を徴収せずに時差定期券で出場させることができる。
【0054】
したがって、例えば平日朝の通勤通学のピーク時間帯などの有効時間帯における普通列車の混雑緩和を図るとともに、有料列車の利用促進を併せて図ることができる。これにより、利用者に対するサービスの向上を図ることが可能となる。
【0055】
また、例えば鉄道駅において構内のホーム上に設置された有料列車の利用券の券売機を利用する場合に加えて、利用者が所持するパソコン、スマートフォン、タブレット端末などの情報機器から予約管理サーバ40にオンライン接続し、座席を予約して有料列車を利用する場合などであっても、時差定期券に固有の情報、例えばICカード番号などを含むIDiリストを予約管理サーバ40で生成することが可能となる。したがって、かかる時差定期券のICカード番号などを救済マスタに含ませることがきる。このため、有料列車のこれらの予約態様であっても、有効時間帯外において時差定期券を定期利用とみなすことができる。これにより、利用者に対するサービスの向上をより一層図ることが可能となる。
【0056】
加えて、本実施形態においては、このように時差定期券を例外的に有効時間帯外での利用でない、つまり有効時間帯での利用(定期利用)であるとみなす際、該時差定期券の利用区分(時間帯フラグ)の値を出場時に1から0に更新している。これにより、例えば有効時間帯外に時差定期券で入場して有料列車に乗車し、同一鉄道会社の別路線に改札機20を通過して乗り換えるような場合、乗換駅での入場時や降車駅での出場時に定期利用としての扱いを引き継ぐことが可能となる。したがって、乗換駅での入場時や降車駅での出場時にSF利用として扱われて乗車運賃が徴収されることを回避できる。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1…改札システム、20…改札機、21…主制御部、22…改札処理部、23…扉開閉処理部、24…通信処理部、25…情報格納部、30…監視盤、40…予約管理サーバ、41…主制御部、42…予約管理処理部、43…通信処理部、44…情報格納部、50…ネットワーク、60…媒体、61…メモリ、200…救済マスタ、611…媒体記録情報。
図1
図2
図3
図4
図5
図6