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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096614
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】コネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20240709BHJP
   H01R 13/621 20060101ALI20240709BHJP
   H01R 13/74 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01R13/52 301H
H01R13/621
H01R13/74 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000231
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】左合 一輝
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC29
5E021HC19
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF03
5E087FF06
5E087FF12
5E087FF18
5E087GG22
5E087LL03
5E087LL04
5E087LL13
5E087MM05
5E087MM08
5E087MM12
5E087QQ04
5E087RR12
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】組み付け時の作業性を向上可能としたコネクタアセンブリを提供すること。
【解決手段】コネクタアセンブリ11は、金属ケースに固定される第1コネクタ21と、第1コネクタ21に接続可能な第2コネクタ31とを備える。第1コネクタ21は、第1ハウジング22と第1端子23とを有する。第2コネクタ31は、第1ハウジング22に対して嵌合方向に沿って相対移動されることで第1ハウジング22に嵌合可能な第2ハウジング32と、第2ハウジング32が第1ハウジング22に嵌合したハウジング嵌合状態で第1端子23と嵌合する第2端子33と、第2ハウジング32に保持されハウジング嵌合状態で第1ハウジング22と第2ハウジング32との間を止水するシールゴム38とを有する。第1ハウジング22は、ハウジング嵌合状態となる手前の嵌合手前状態でシールゴム38との摩擦力によって第2ハウジング32を仮保持する仮保持部22eを有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部材に固定される第1コネクタと、
前記第1コネクタに接続可能な第2コネクタと、
を備えたコネクタアセンブリであって、
前記第1コネクタは、
第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに保持される第1端子と、を有し、
前記第2コネクタは、
前記第1ハウジングに対して嵌合方向に沿って相対移動されることで前記第1ハウジングに嵌合可能な第2ハウジングと、
前記第2ハウジングに保持され前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに嵌合したハウジング嵌合状態で前記第1端子と嵌合する第2端子と、
前記第2ハウジングに保持され前記ハウジング嵌合状態で前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間を止水するシールゴムと、を有し、
前記第1ハウジングは、前記ハウジング嵌合状態となる手前の嵌合手前状態で前記シールゴムとの摩擦力によって前記第2ハウジングを仮保持する仮保持部を有する、
コネクタアセンブリ。
【請求項2】
前記コネクタアセンブリは、ボルトを備え、
前記第2ハウジングは、前記嵌合方向に沿って貫通する固定孔を有し、前記固定孔を貫通して前記基部材に設けられた雌ねじに螺合される前記ボルトによって、前記基部材に固定される、
請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項3】
前記第2ハウジングは、外周面に前記シールゴムが配設される内側筒部を有し、
前記第1ハウジングは、前記ハウジング嵌合状態で内周面に前記シールゴムが密着される外側筒部を有し、
前記仮保持部は、前記外側筒部から前記嵌合方向に沿って突出して設けられ前記嵌合手前状態で内周面に前記シールゴムが接触される、
請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項4】
前記仮保持部は、前記外側筒部が前記シールゴムと密着するよりも小さい面圧で前記シールゴムと接触するように設定されている、
請求項3に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項5】
前記第2端子は、前記嵌合方向と直交する軸方向に沿って延びるとともに、前記嵌合方向及び前記軸方向と直交する幅方向に複数設けられ、
前記仮保持部は、前記外側筒部における前記幅方向の両側から前記嵌合方向に沿って突出している、
請求項3に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項6】
前記仮保持部は、前記幅方向の外側に突出するとともに前記嵌合方向に沿って延びるサイドリブを有し、
前記第2ハウジングは、前記嵌合手前状態で前記サイドリブと前記軸方向に係合可能な係合部を有する、
請求項5に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項7】
前記サイドリブは、前記外側筒部における前記幅方向の外側まで連続して前記嵌合方向に沿って延びている、
請求項6に記載のコネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタアセンブリとしては、車体パネルや金属ケース等の基部材に固定される第1コネクタと、第1コネクタに接続可能な第2コネクタとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。第1コネクタは、第1ハウジングと、第1ハウジングに保持される第1端子とを有する。また、第2コネクタは、第1ハウジングに対して嵌合方向に沿って相対移動されることで第1ハウジングに嵌合可能な第2ハウジングと、第2ハウジングに保持される第2端子とを有する。第2ハウジングは、嵌合方向に沿って貫通する固定孔を有する。そして、第2ハウジングは、固定孔を貫通して基部材の雌ねじに螺合されるボルトによって基部材に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-110026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなコネクタアセンブリでは、第1コネクタと第2コネクタとを組み付ける際の作業性の向上が求められている。例えば、ボルトを螺合させる際に生じる嵌合方向に沿った力を利用して第1端子と第2端子とを嵌合させる構成では、例えば、作業者は第2ハウジングを手で支えながらボルトを螺合させる必要がある。このような場合等、上記のようなコネクタアセンブリでは、作業性が悪いという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、組み付け時の作業性を向上可能としたコネクタアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタアセンブリは、基部材に固定される第1コネクタと、前記第1コネクタに接続可能な第2コネクタと、を備えたコネクタアセンブリであって、前記第1コネクタは、第1ハウジングと、前記第1ハウジングに保持される第1端子と、を有し、前記第2コネクタは、前記第1ハウジングに対して嵌合方向に沿って相対移動されることで前記第1ハウジングに嵌合可能な第2ハウジングと、前記第2ハウジングに保持され前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに嵌合したハウジング嵌合状態で前記第1端子と嵌合する第2端子と、前記第2ハウジングに保持され前記ハウジング嵌合状態で前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間を止水するシールゴムと、を有し、前記第1ハウジングは、前記ハウジング嵌合状態となる手前の嵌合手前状態で前記シールゴムとの摩擦力によって前記第2ハウジングを仮保持する仮保持部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のコネクタによれば、組み付け時の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態におけるコネクタアセンブリの分解斜視図である。
図2図2は、一実施形態におけるコネクタアセンブリの分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態におけるコネクタアセンブリの分解側面図である。
図4図4は、一実施形態におけるコネクタアセンブリの断面図である。
図5図5は、図4における5-5線に沿った断面図である。
図6図6は、図5における6-6線に沿った断面図である。
図7図7は、一実施形態の嵌合手前状態におけるコネクタアセンブリの側面図である。
図8図8は、一実施形態の嵌合手前状態におけるコネクタアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタアセンブリは、
[1]基部材に固定される第1コネクタと、前記第1コネクタに接続可能な第2コネクタと、を備えたコネクタアセンブリであって、前記第1コネクタは、第1ハウジングと、前記第1ハウジングに保持される第1端子と、を有し、前記第2コネクタは、前記第1ハウジングに対して嵌合方向に沿って相対移動されることで前記第1ハウジングに嵌合可能な第2ハウジングと、前記第2ハウジングに保持され前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに嵌合したハウジング嵌合状態で前記第1端子と嵌合する第2端子と、前記第2ハウジングに保持され前記ハウジング嵌合状態で前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間を止水するシールゴムと、を有し、前記第1ハウジングは、前記ハウジング嵌合状態となる手前の嵌合手前状態で前記シールゴムとの摩擦力によって前記第2ハウジングを仮保持する仮保持部を有する。
【0010】
同構成によれば、第1ハウジングは、ハウジング嵌合状態となる手前の嵌合手前状態でシールゴムとの摩擦力によって第2ハウジングを仮保持する仮保持部を有するため、組み付け時の作業性が良好となる。なお、例えば、第1ハウジングや第2ハウジングが樹脂製や金属製である場合、シールゴムを用いずに、仮保持可能な構造とするには各部品を高精度に製造する必要が生じる。これに対して、本構成では、製造誤差を吸収可能なシールゴムとの摩擦力を用いるため、各部品の高精度な製造が不要となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記コネクタアセンブリは、ボルトを備え、前記第2ハウジングは、前記嵌合方向に沿って貫通する固定孔を有し、前記固定孔を貫通して前記基部材に設けられた雌ねじに螺合される前記ボルトによって、前記基部材に固定されてもよい。
【0012】
同構成によれば、第2ハウジングは、固定孔を貫通して雌ねじに螺合されるボルトによって、基部材に固定されるものであるため、例えば、ボルトを螺合させる前に第1ハウジングに第2ハウジングを仮保持させておくことができる。よって、例えば、作業者は第2ハウジングから手を離してボルトを螺合させる作業を行うことができる。よって、組み付け作業時の作業性が良好となる。
【0013】
[3]上記[1]または上記[2]において、前記第2ハウジングは、外周面に前記シールゴムが配設される内側筒部を有し、前記第1ハウジングは、前記ハウジング嵌合状態で内周面に前記シールゴムが密着される外側筒部を有し、前記仮保持部は、前記外側筒部から前記嵌合方向に沿って突出して設けられ前記嵌合手前状態で内周面に前記シールゴムが接触されてもよい。
【0014】
同構成によれば、仮保持部は、外側筒部から嵌合方向に沿って突出して設けられ嵌合手前状態でシールゴムと接触されるため、簡単な構成でシールゴムの摩擦力によって第2ハウジングを仮保持することができる。
【0015】
[4]上記[3]において、前記仮保持部は、前記外側筒部が前記シールゴムと密着するよりも小さい面圧で前記シールゴムと接触するように設定されていてもよい。
同構成によれば、仮保持部は、外側筒部がシールゴムと密着するよりも小さい面圧でシールゴムと接触するように設定されているため、嵌合手前状態とする際にシールゴムが内側筒部から捲れ上がってしまうことが抑制される。また、ハウジング嵌合状態では、外側筒部がシールゴムと大きい面圧で接触することで、止水性が良好となる。
【0016】
[5]上記[3]または上記[4]において、前記第2端子は、前記嵌合方向と直交する軸方向に沿って延びるとともに、前記嵌合方向及び前記軸方向と直交する幅方向に複数設けられ、前記仮保持部は、前記外側筒部における前記幅方向の両側から前記嵌合方向に沿って突出していてもよい。
【0017】
同構成によれば、仮保持部は、外側筒部における幅方向の両側から嵌合方向に沿って突出しているため、ハウジング嵌合状態では、軸方向に沿って延びる第2端子を避けるように配置することができる。すなわち、例えば、仮保持部が外側筒部における全周から突出している場合では、ハウジング嵌合状態で第2端子と接触しないようにするためには、第2ハウジングを嵌合方向に長く形成する必要があるが、これを回避することができる。これにより、コネクタアセンブリの嵌合方向に沿った小型化を図ることができる。
【0018】
[6]上記[5]において、前記仮保持部は、前記幅方向の外側に突出するとともに前記嵌合方向に沿って延びるサイドリブを有し、前記第2ハウジングは、前記嵌合手前状態で前記サイドリブと前記軸方向に係合可能な係合部を有していてもよい。
【0019】
同構成によれば、仮保持部は、幅方向の外側に突出するとともに嵌合方向に沿って延びるサイドリブを有し、第2ハウジングは、嵌合手前状態でサイドリブと軸方向に係合可能な係合部を有するため、嵌合手前状態で第2ハウジングが回り止めされる。すなわち、嵌合手前状態で、第1ハウジングに対して第2ハウジングが嵌合方向に沿った軸中心で回転してしまうことが防止される。なお、この係合は、第1ハウジングが第2ハウジングを仮保持する際の補助的な機能を果たす。
【0020】
[7]上記[6]において、前記サイドリブは、前記外側筒部における前記幅方向の外側まで連続して前記嵌合方向に沿って延びていてもよい。
同構成によれば、サイドリブは、外側筒部における幅方向の外側まで連続して延びているため、ハウジング嵌合状態で、第1ハウジングに対して第2ハウジングが嵌合方向に沿った軸中心で回転してしまうことが強固に防止される。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタアセンブリの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
[コネクタアセンブリ11の構成]
図1及び図2に示すように、コネクタアセンブリ11は、第1コネクタ21と、第1コネクタ21に対して接続可能な第2コネクタ31とを備える。コネクタアセンブリ11は、車両に設けられるものである。例えば、第1コネクタ21は、車両において、基部材としての金属ケース41に固定されるものである。また、例えば、第2コネクタ31は、2本の電線42の端部に固定されるものである。
【0023】
なお、図中には、第1軸線Xと、第1軸線Xと直交する第2軸線Yと、第1軸線Xと第2軸線Yとに直交する第3軸線Zとを図示している。本実施形態では、第1軸線Xに沿った方向を幅方向とし、第2軸線Yに沿った方向を嵌合方向とし、第3軸線Zに沿った方向を軸方向として説明する。
【0024】
[第1コネクタ21の構成]
図1に示すように、第1コネクタ21は、第1ハウジング22と、第1ハウジング22に保持される2つの第1端子23とを有する。第1ハウジング22は、樹脂製である。第1ハウジング22は、基部22aと、固定部22bと、端子保護部22cと、外側筒部22dと、仮保持部22eとを有する。
【0025】
基部22aは、板状に形成されている。基部22aは、嵌合方向から見て、幅方向に長い四角形状であって、角が円弧形状によって面取りされた形状に形成されている。基部22aには、2つの第1端子23が幅方向に並んで保持される。第1端子23は、嵌合方向に沿って延びている。第1端子23の先端には、樹脂製またはゴム製のキャップ23aが固定されている。固定部22bは、基部22aの外縁の一部から一対延出して設けられている。固定部22bには、嵌合方向に沿って貫通する貫通孔22fが設けられている。第1ハウジング22は、貫通孔22fを貫通して金属ケース41に設けられた図示しない雌ねじに螺合される固定ボルト24によって、金属ケース41に固定される。
【0026】
端子保護部22cは、基部22aにおいて、第1端子23の周囲から嵌合方向に沿って突出して設けられている。本実施形態の端子保護部22cは、第1端子23と幅方向に僅かに離間しつつ第1端子23を覆うように設けられている。
【0027】
外側筒部22dは、基部22aの外縁の全周から嵌合方向に沿って突出して設けられている。仮保持部22eは、外側筒部22dから嵌合方向に沿って突出して設けられている。本実施形態の仮保持部22eは、外側筒部22dにおける幅方向の両側から嵌合方向に沿って突出している。また、図3に示すように、仮保持部22eは、先端部における軸方向の両側に、先端に向かうほど互いの距離が近づく傾斜部22gを有する。
【0028】
また、仮保持部22eは、幅方向の外側に突出するとともに嵌合方向に沿って延びるサイドリブ22hを有する。また、仮保持部22eは、幅方向の外側に突出するとともに嵌合方向に沿って延びる補強リブ22jを有する。サイドリブ22hは、仮保持部22eにおける軸方向の両側寄りに一対設けられている。補強リブ22jは、仮保持部22eにおける軸方向の中央であって一対のサイドリブ22hの間に設けられている。サイドリブ22h及び補強リブ22jは、外側筒部22dにおける幅方向の外側まで連続して嵌合方向に沿って延びている。サイドリブ22h及び補強リブ22jは、仮保持部22eと外側筒部22dにおける嵌合方向の全体に形成されている。
【0029】
[第2コネクタ31の構成]
図1及び図2に示すように、第2コネクタ31は、第2ハウジング32と、第2端子33とを備える。第2ハウジング32は、第1ハウジング22に対して嵌合方向に沿って相対移動されることで第1ハウジング22に嵌合可能とされている。第2端子33は、第2ハウジング32に保持され、第2ハウジング32が第1ハウジング22に嵌合したハウジング嵌合状態(図5及び図6参照)で第1端子23に嵌合する。
【0030】
詳しくは、図5に示すように、第2コネクタ31は、さらに、樹脂ハウジング34と、ゴム栓35と、リテーナ36と、金属ブラケット37とを備える。また、図4及び図6に示すように、第2コネクタ31は、シールゴム38を備える。
【0031】
電線42は、芯線42aと絶縁被覆42bとを有する。第2端子33は、絶縁被覆42bから露出した芯線42aの端部に接続される。第2端子33は、軸方向に沿って延びるとともに、幅方向に電線42と対応した数であって2つ設けられる。第2端子33は、第1端子23が嵌合可能な端子嵌合部33aと、芯線42aと接続される板状の端子接続部33bとを有する。なお、第2端子33は、金属板材が折り曲げられて形成されているが、図面では、その詳細を図示せずに模式的に図示している。また、本実施形態では、端子接続部33bと芯線42aとは抵抗溶接されている。
【0032】
樹脂ハウジング34は、露出した芯線42a及び第2端子33を覆うように筒状に形成されている。なお、樹脂ハウジング34は、端子嵌合部33aに嵌合される第1端子23を通過させるための開口を有している。
【0033】
第2ハウジング32は、金属製であり、電磁シールド機能を有した金属シェルである。第2ハウジング32は、樹脂ハウジング34を覆うように形成されている。第2ハウジング32は、軸方向の基端部に開口部32aを有しつつ軸方向の先端方向に延びるハウジング収容部32bを有する。ハウジング収容部32bは、樹脂ハウジング34の形状に応じて、樹脂ハウジング34をほぼ隙間無く収容可能な形状に形成されている。ハウジング収容部32bは、樹脂ハウジング34の数に応じて幅方向に2つ並設されている。
【0034】
ゴム栓35は、筒状に形成され、絶縁被覆42bと開口部32aとの間に介在されている。これにより、ゴム栓35は、絶縁被覆42bに沿った第2コネクタ31内への液体の浸入を阻止する。
【0035】
リテーナ36は、樹脂製である。リテーナ36は、第2ハウジング32に係止され、ゴム栓35の開口部32aからの脱落を阻止する。
金属ブラケット37は、絶縁被覆42bを覆うシールド部材としての一括シールド部材Sが接続されるとともに第2ハウジング32に接続される。詳しくは、本実施形態のシールド部材は、複数の絶縁被覆42bをまとめて覆う筒状の一括シールド部材Sである。また、本実施形態の一括シールド部材Sは、銅合金やアルミニウム合金などの導電性の素線が筒状に編み込まれた編組部材である。金属ブラケット37は、一括シールド部材Sの全周が接続されつつ、第2ハウジング32に接続されている。
【0036】
また、第2ハウジング32は、2つのハウジング収容部32bの間に、区画壁32cを有する。区画壁32cは、第2ハウジング32の軸方向の全体に形成されている。そして、区画壁32cには、嵌合方向に沿って貫通する固定孔32dが設けられている。すなわち、固定孔32dは、複数の電線42が並設される幅方向において、複数の電線42同士の間に設けられている。言い換えると、固定孔32dは、一方の電線42が配設される幅方向の位置と、他方の電線42が配設される幅方向の位置との間の幅方向の位置に設けられている。図4に示すように、第2ハウジング32は、固定孔32dを貫通して金属ケース41に設けられた雌ねじ41aに螺合されるボルト43によって、金属ケース41に固定可能とされている。第2ハウジング32は、ボルト43を螺合させる際に生じる嵌合方向に沿った力によって第1ハウジング22に対して嵌合方向に沿って相対移動されることで第1ハウジング22に嵌合される。
【0037】
図4及び図6に示すように、第2ハウジング32は、ハウジング嵌合状態で第1ハウジング22の外側筒部22dの内側に嵌まる内側筒部32eを有する。そして、シールゴム38は、内側筒部32eの外周面に配置されている。シールゴム38は、環状に形成され、内側筒部32eに外嵌され、内側筒部32eに嵌着されるフロントリテーナ39によって、内側筒部32eからの脱落が防止されている。シールゴム38は、ハウジング嵌合状態で外側筒部22dの内周面と密着されることで、第1ハウジング22と第2ハウジング32との間を止水する。
【0038】
また、図5に示すように、第2ハウジング32は、サイドリブ22hと軸方向に係合可能な係合部32fを有する。詳しくは、第2ハウジング32は、サイドリブ22h及び補強リブ22jをまとめて収容可能な凹部32gを有し、その凹部32gを構成する一対の側面が係合部32fを構成している。係合部32fは、ハウジング嵌合状態となる手前の嵌合手前状態(図7及び図8参照)でサイドリブ22hと係合可能とされている。
【0039】
ここで、図8に示すように、仮保持部22eは、ハウジング嵌合状態となる手前の嵌合手前状態でシールゴム38との摩擦力によって第2ハウジング32を仮保持可能に設定されている。なお、シールゴム38との摩擦力とは、シールゴム38とシールゴム38に接触した仮保持部22eとの相対移動に対する抵抗力である。仮保持部22eは、嵌合手前状態で内周面にシールゴム38が接触されることによって、第2ハウジング32を仮保持する。なお、ここで言う仮保持とは、例えば、図7に示すように、嵌合方向が水平方向である場合に、嵌合手前状態で、作業者が第2ハウジング32から手を離しても、第1ハウジング22から第2ハウジング32が脱落しない程度の保持を言う。
【0040】
また、仮保持部22eは、外側筒部22dがシールゴム38と密着する(図6参照)よりも小さい面圧でシールゴム38と接触するように設定されている。すなわち、仮保持部22eの対向する内周面同士の間隔は、同方向に対向する外側筒部22dの内周面同士の間隔よりも大きくなるように形成されている。言い換えると、仮保持部22eと外側筒部22dとは、嵌合手前状態(図8参照)よりもハウジング嵌合状態(図6参照)の方がシールゴム38を大きく潰すように形成されている。
【0041】
また、本実施形態では、第1端子23と第2端子33とは、ボルト43を螺合させる際に生じる嵌合方向に沿った大きな力を利用して嵌合されるように設定されている。すなわち、第1端子23と第2端子33とは、作業者が単に第2ハウジング32を把持して嵌合方向に押し込むだけでは嵌合が困難な寸法に設定されている。このように設定されることにより、第1端子23と第2端子33とは、接触抵抗が小さくなる。
【0042】
次に、上記のように構成されたコネクタアセンブリ11の作用について説明する。
図7及び図8に示すように、第1コネクタ21と第2コネクタ31とを組み付ける際、作業者は、まず第2ハウジング32を把持して第1ハウジング22に対して嵌合方向に沿って相対移動させることでハウジング嵌合状態となる手前の嵌合手前状態とする。
【0043】
嵌合手前状態では、第2ハウジング32は、仮保持部22eとシールゴム38との摩擦力によって第1ハウジング22に対して仮保持される。すなわち、嵌合手前状態では、作業者が第2ハウジング32から手を離しても、第2ハウジング32が第1ハウジング22から脱落しない。そして、例えば、作業者は、工具を用いて、固定孔32dを貫通したボルト43を金属ケース41の雌ねじ41aに螺合させる。
【0044】
すると、ボルト43を螺合させる際に生じる嵌合方向に沿った大きな力によって、第2ハウジング32と第1ハウジング22とが嵌合されるとともに、第2端子33と第1端子23とが嵌合される。また、この際、シールゴム38は、内側筒部32eの外周面と外側筒部22dの内周面とに密着されることで、第1ハウジング22と第2ハウジング32との間が止水される。
【0045】
また、一括シールド部材Sは、金属ブラケット37、第2ハウジング32、ボルト43を介して金属ケース41に電気的に接続されて、アース接続される。よって、一括シールド部材S、金属ブラケット37及び第2ハウジング32に覆われる電線42及び第2端子33からの電磁ノイズの放射が良好に抑制される。
【0046】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)第1ハウジング22は、ハウジング嵌合状態となる手前の嵌合手前状態でシールゴム38との摩擦力によって第2ハウジング32を仮保持する仮保持部22eを有するため、組み付け時の作業性が良好となる。なお、例えば、本実施形態のように第1ハウジング22や第2ハウジング32が樹脂製や金属製である場合、シールゴム38を用いずに、仮保持可能な構造とするには各部品を高精度に製造する必要が生じる。これに対して、本構成では、製造誤差を吸収可能なシールゴム38との摩擦力を用いるため、各部品の高精度な製造が不要となる。
【0047】
(2)第2ハウジング32は、固定孔32dを貫通して雌ねじ41aに螺合されるボルト43によって、金属ケース41に固定されるものである。よって、例えば、ボルト43を螺合させる前に第1ハウジング22に第2ハウジング32を仮保持させておくことができる。よって、例えば、作業者は第2ハウジング32から手を離してボルト43を螺合させる作業を行うことができる。よって、組み付け作業時の作業性が良好となる。
【0048】
(3)仮保持部22eは、ハウジング嵌合状態で内周面にシールゴム38が密着される外側筒部22dから嵌合方向に沿って突出して設けられ嵌合手前状態でシールゴム38と接触される。よって、簡単な構成でシールゴム38の摩擦力によって第2ハウジング32を仮保持することができる。
【0049】
(4)仮保持部22eは、外側筒部22dがシールゴム38と密着するよりも小さい面圧でシールゴム38と接触するように設定されているため、嵌合手前状態とする際にシールゴム38が内側筒部32eから捲れ上がってしまうことが抑制される。また、ハウジング嵌合状態では、外側筒部22dがシールゴム38と大きい面圧で接触することで、止水性が良好となる。
【0050】
(5)仮保持部22eは、外側筒部22dにおける幅方向の両側から嵌合方向に沿って突出しているため、ハウジング嵌合状態では、軸方向に沿って延びる第2端子33を避けるように配置することができる。すなわち、例えば、仮保持部22eが外側筒部22dにおける全周から突出している場合では、ハウジング嵌合状態で第2端子33と接触しないようにするためには、第2ハウジング32を嵌合方向に長く形成する必要があるが、これを回避することができる。これにより、コネクタアセンブリ11の嵌合方向に沿った小型化を図ることができる。
【0051】
(6)仮保持部22eは、幅方向の外側に突出するとともに嵌合方向に沿って延びるサイドリブ22hを有し、第2ハウジング32は、嵌合手前状態でサイドリブ22hと軸方向に係合可能な係合部32fを有する。よって、嵌合手前状態で第2ハウジング32が回り止めされる。すなわち、嵌合手前状態で、第1ハウジング22に対して第2ハウジング32が嵌合方向に沿った軸中心で回転してしまうことが防止される。なお、この係合は、第1ハウジング22が第2ハウジング32を仮保持する際の補助的な機能を果たす。
【0052】
(7)サイドリブ22hは、外側筒部22dにおける幅方向の外側まで連続して延びているため、ハウジング嵌合状態で、第1ハウジング22に対して第2ハウジング32が嵌合方向に沿った軸中心で回転してしまうことが強固に防止される。
【0053】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、第2ハウジング32は、固定孔32dを貫通して雌ねじ41aに螺合されるボルト43によって、金属ケース41に固定されるものであるとしたが、これに限定されず、他の構造で金属ケース41に固定されるものであってもよい。第2ハウジング32が他の構造で金属ケース41に固定されるものであっても、第2ハウジング32を仮保持させておくことができるので、組み付け作業時の作業性が良好となる。
【0054】
・上記実施形態では、第2ハウジング32は、外周面にシールゴム38が配設される内側筒部32eを有するとしたが、これに限定されず、例えば、内周面にシールゴムが配設される筒部を有していてもよい。なお、もちろん、この場合、第1ハウジング22の外側筒部22dや仮保持部22eの構成も変更する必要がある。
【0055】
・上記実施形態では、仮保持部22eは、外側筒部22dから嵌合方向に沿って突出して設けられるとしたが、嵌合手前状態でシールゴム38と接触することができれば、他の構成としてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、仮保持部22eは、外側筒部22dがシールゴム38と密着するよりも小さい面圧でシールゴム38と接触するように設定されているとしたが、これに限定されず、例えば、外側筒部22dと同じ面圧でシールゴム38と接触してもよい。また、仮保持部22eは、外側筒部22dがシールゴム38と密着するよりも大きい面圧でシールゴム38と接触してもよい。
【0057】
・上記実施形態では、仮保持部22eは、外側筒部22dにおける幅方向の両側から嵌合方向に沿って突出しているとしたが、これに限定されず、例えば、仮保持部22eが外側筒部22dにおける全周から突出していてもよい。なお、この場合等、例えば、第2端子33が嵌合方向に沿って延びる第2コネクタ31としてもよい。例えば、第2端子33が嵌合方向に沿って延びる第2コネクタ31であれば、仮保持部22eが外側筒部22dの全周から突出していても第2端子33と接触しないようにできるため、コネクタアセンブリ11の嵌合方向に沿った大型化を避けることができる。
【0058】
・上記実施形態では、仮保持部22eは、サイドリブ22hを有し、第2ハウジング32は、嵌合手前状態でサイドリブ22hと係合可能な係合部32fを有するとしたが、これに限定されず、サイドリブ22h及び係合部32fを有していなくてもよい。また、サイドリブ22hの数は、変更してもよい。なお、もちろん、この場合、係合部32fの数も変更する必要がある。
【0059】
・上記実施形態では、サイドリブ22hは、外側筒部22dにおける幅方向の外側まで連続して延びているとしたが、これに限定されず、仮保持部22eにのみ設けられていてもよい。
【0060】
・上記実施形態では、仮保持部22eは、補強リブ22jを有するとしたが、これに限定されず、補強リブ22jを有していなくてもよい。また、補強リブ22jの数は、変更してもよい。
【0061】
・上記実施形態では、第2ハウジング32は、金属シェルであるとしたが、これに限定されず、樹脂製であってもよい。第2コネクタ31は、電磁シールド機能を有していなくてもよい。このような場合、絶縁被覆42bは一括シールド部材Sに覆われていなくてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、固定孔32dは、幅方向において、複数の電線42同士の間に設けられるとしたが、これに限定されず、他の位置に設けられていてもよい。例えば、固定孔32dは、第2ハウジング32の軸方向や幅方向の外側に突出した固定部に設けられていてもよい。
【0063】
・上記実施形態では、第2コネクタ31は、2つの電線42の端部に固定されるものであるとしたが、これに限定されず、例えば、3つ以上の電線の端部に固定されるものとしてもよい。なお、この場合、第1端子23や第2端子33や樹脂ハウジング34やゴム栓35の数を、電線42の数に応じて変更する必要がある。
【0064】
・上記実施形態では、基部材を金属ケース41としたが、これに限定されず、他の基部材に変更してもよい。例えば、金属ケース41は、車両パネル等の他の基部材であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
11 コネクタアセンブリ
21 第1コネクタ
22 第1ハウジング
22a 基部
22b 固定部
22c 端子保護部
22d 外側筒部
22e 仮保持部
22f 貫通孔
22g 傾斜部
22h サイドリブ
22j 補強リブ
23 第1端子
23a キャップ
24 固定ボルト
31 第2コネクタ
32 第2ハウジング
32a 開口部
32b ハウジング収容部
32c 区画壁
32d 固定孔
32e 内側筒部
32f 係合部
32g 凹部
33 第2端子
33a 端子嵌合部
33b 端子接続部
34 樹脂ハウジング
35 ゴム栓
36 リテーナ
37 金属ブラケット
38 シールゴム
39 フロントリテーナ
41 金属ケース(基部材)
41a 雌ねじ
42 電線
42a 芯線
42b 絶縁被覆
43 ボルト
S 一括シールド部材
X 第1軸線
Y 第2軸線
Z 第3軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8