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特開2024-96615生体用データ中継機器、及び生体デバイス用無線通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096615
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】生体用データ中継機器、及び生体デバイス用無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240709BHJP
   G06F 1/3209 20190101ALI20240709BHJP
【FI】
A61B5/00 A
G06F1/3209
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000232
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 弘稀
(72)【発明者】
【氏名】木村 宗斗
(72)【発明者】
【氏名】佐野 高也
(72)【発明者】
【氏名】田中 功二
【テーマコード(参考)】
4C117
5B011
【Fターム(参考)】
4C117XA04
4C117XB01
4C117XB03
4C117XB04
4C117XC11
4C117XE23
4C117XE58
4C117XH12
4C117XJ42
4C117XJ52
4C117XN07
5B011DA06
5B011EA10
5B011FF04
5B011JA07
5B011KK11
(57)【要約】
【課題】無線通信の切断時に再接続の可能性を残しつつ、生体情報の出力を維持するとともに、生体用データ中心機器の消費電力を抑制する。
【解決手段】生体用データ中継機器は、第1通信部と、出力部と、第1制御部と、を備えている。第1通信部は、生体デバイスから無線通信で生体情報を受信可能である。出力部は、生体情報を、ディスプレイに出力可能である。出力部は、第1通信部が生体デバイスに対して無線通信できなくなった場合に、受信済みの生体情報をディスプレイに対して出力を行う。また、第1制御部は、第1通信部が生体デバイスに対して無線通信できない状態の第1時間をカウントする。第1制御部は、第1時間が予め定められた第1規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、電源オン状態を維持する。第1制御部は、第1時間が第1規定時間以上になった場合には、電源オフ状態に切り替えて出力を停止する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給する第1バッテリと、
生体情報を取得する生体デバイスから無線通信で前記生体情報を受信可能な第1通信部と、
前記第1通信部が受信した前記生体情報を、前記生体デバイスとは別の外部機器に出力可能な出力部と、
電源オン状態及び電源オフ状態の切り替えを制御する第1制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、
前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できなくなった場合に、受信済みの前記生体情報を前記外部機器に対して出力を行うように前記出力部を制御するとともに、
前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できない状態の第1時間をカウントし、前記第1時間が予め定められた第1規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、電源オン状態を維持し、前記第1時間が前記第1規定時間以上になった場合には、電源オン状態から電源オフ状態に切り替え、前記外部機器に対して前記生体情報の出力を停止する
生体用データ中継機器。
【請求項2】
生体情報を取得する生体デバイスと、前記生体デバイスと無線通信可能な生体用データ中継機器と、を備え、
前記生体用データ中継機器は、
電力を供給する第1バッテリと、
前記生体デバイスから無線通信で前記生体情報を受信可能な第1通信部と、
前記第1通信部が受信した前記生体情報を、前記生体デバイスとは別の外部機器に出力可能な出力部と、
前記生体用データ中継機器の電源オン状態、及び前記生体用データ中継機器の電源オフ状態の切り替えを制御する第1制御部と、
を備え、
前記生体デバイスは、
電力を供給する第2バッテリと、
取得した前記生体情報を無線通信で送信可能な第2通信部と、
前記生体デバイスの電源オン状態、及び前記生体デバイスの電源オフ状態の切り替えを制御する第2制御部と、
を備え、
前記生体デバイスは、前記第2通信部が前記生体用データ中継機器に対して無線通信できない状態の第2時間をカウントし、前記第2時間が予め定められた第2規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、前記生体デバイスを電源オン状態に維持し、前記第2時間が前記第2規定時間以上になったことを条件に、前記生体デバイスを電源オン状態から電源オフ状態に切り替え、
前記生体用データ中継機器は、
前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できなくなった場合に、受信済みの前記生体情報を、前記外部機器に対して出力を行うように前記出力部を制御するとともに、
前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できない状態の第1時間をカウントし、前記第1時間が予め定められた第1規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、前記生体用データ中継機器を電源オン状態に維持し、前記第1時間が前記第1規定時間以上になった場合には、前記生体用データ中継機器を電源オン状態から電源オフ状態に切り替え、前記外部機器に対して前記生体情報の出力を停止する
生体デバイス用無線通信システム。
【請求項3】
前記第1規定時間は、前記第2規定時間よりも短い時間に定められている
請求項2に記載の生体デバイス用無線通信システム。
【請求項4】
前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できなくなってから再び無線通信できるようになった場合に、前記第1通信部が前記生体デバイスから受信する前記生体情報が予め定められた正常範囲外かどうかを確認し、正常範囲外となったとき、前記生体デバイスに対して無線通信が可能になった以後も、前記第1時間をカウントする
請求項2に記載の生体デバイス用無線通信システム。
【請求項5】
前記生体用データ中継機器は、データを記憶可能な第1記憶部を更に有し、
前記第1記憶部は、前記第1制御部が前記生体用データ中継機器を電源オフ状態に切り替えたときのオフ時刻と、無線通信できなくなった直前に無線通信していた前記生体デバイスを特定するためのID情報と、を記憶し、
前記第1制御部が前記生体用データ中継機器を電源オフ状態から電源オン状態に切り替えたとき、
前記第1通信部は、
電源オン状態に切り替えた時刻と前記オフ時刻との差分が予め定められた第3規定時間未満であることを条件に、前記第1記憶部に記憶されている前記ID情報に対応する前記生体デバイスを新たな無線通信の接続先としてサーチし、
電源オン状態に切り替えた時刻と前記オフ時刻との差分が前記第3規定時間以上であることを条件に、前記生体デバイスを特定せずに、新たな無線通信の接続先としていずれかの前記生体デバイスをサーチする
請求項2に記載の生体デバイス用無線通信システム。
【請求項6】
前記生体デバイスは、データを記憶可能な第2記憶部を更に有し、
前記第2記憶部は、前記第2通信部が前記生体用データ中継機器に対して無線通信できなくなった場合に、無線通信できなくなってから再び無線通信できるようになるまでに取得した前記生体情報の少なくとも一部を記憶し、
前記第1通信部は、再び無線通信できたときに、無線通信できない期間に前記第2記憶部に記憶した前記生体情報を、特定生体情報として前記生体用データ中継機器に送信し、
前記出力部は、前記特定生体情報のうち、予め定められた正常値から最も離れた前記生体情報を前記外部機器に出力する
請求項2に記載の生体デバイス用無線通信システム。
【請求項7】
前記第1通信部が無線通信できない状態で前記第1制御部が前記生体用データ中継機器を電源オフ状態に切り替える場合、前記出力部は、前記生体デバイスに対して無線通信ができないことを示す通知信号を、前記外部機器に出力する
請求項2に記載の生体デバイス用無線通信システム。
【請求項8】
前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できなくなってから再び無線通信できるようになった場合に、前記第1通信部が前記生体デバイスから受信する前記生体情報が予め定められた正常範囲外かどうかを確認し、正常範囲外となったとき、前記生体デバイスに対して無線通信が可能になった以後も、前記第1時間をカウントする
請求項1に記載の生体用データ中継機器。
【請求項9】
前記第1通信部が無線通信できない状態で前記第1制御部が電源オフ状態に切り替える場合、前記出力部は、前記生体デバイスに対して無線通信ができないことを示す通知信号を、前記外部機器に出力する
請求項1に記載の生体用データ中継機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体用データ中継機器、及び生体デバイス用無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の変換アダプタは、生体センサと無線通信することにより、生体情報を受信する。そして、変換アダプタは、生体情報を生体情報モニタに出力する。また、変換アダプタは、無線通信部を備えている。無線通信部は、受信された電波の強度に応じて特定の生体センサとの接続を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/215342号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような変換アダプタは、手術など緊急時に使用されることがある。このような場合、必要時にユーザが生体情報を確認できるように、変換アダプタは、生体情報を出力し続けることが好ましい。一方で、特許文献1に記載のような変換アダプタは、生体センサとの間で無線通信が一時的に途絶することがある。無線接続が切断された際には、変換アダプタは再接続を試みるが、生体センサと接続できない状況が続くと、その分、バッテリの電力が消費されてしまう。そして、電力消費によりバッテリの電力不足を引き起こし、変換アダプタは、生体情報の通知を維持できなくなるおそれがある。そこで、本発明は、無線通信が切断された場合であっても、再接続の可能性を残しつつ、バッテリの消費電力を抑制可能な構成の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、電力を供給する第1バッテリと、生体情報を取得する生体デバイスから無線通信で前記生体情報を受信可能な第1通信部と、前記第1通信部が受信した前記生体情報を、前記生体デバイスとは別の外部機器に出力可能な出力部と、電源オン状態及び電源オフ状態の切り替えを制御する第1制御部と、を備え、前記第1制御部は、前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できなくなった場合に、受信済みの前記生体情報を前記外部機器に対して出力を行うように前記出力部を制御するとともに、前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できない状態の第1時間をカウントし、前記第1時間が予め定められた第1規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、電源オン状態を維持し、前記第1時間が前記第1規定時間以上になった場合には、電源オン状態から電源オフ状態に切り替え、前記外部機器に対して前記生体情報の出力を停止する生体用データ中継機器である。
【0006】
また、上記課題を解決するため、本発明は、生体情報を取得する生体デバイスと、前記生体デバイスと無線通信可能な生体用データ中継機器と、を備え、前記生体用データ中継機器は、電力を供給する第1バッテリと、前記生体デバイスから無線通信で前記生体情報を受信可能な第1通信部と、前記第1通信部が受信した前記生体情報を、前記生体デバイスとは別の外部機器に出力可能な出力部と、前記生体用データ中継機器の電源オン状態、及び前記生体用データ中継機器の電源オフ状態の切り替えを制御する第1制御部と、を備え、前記生体デバイスは、電力を供給する第2バッテリと、取得した前記生体情報を無線通信で送信可能な第2通信部と、前記生体デバイスの電源オン状態、及び前記生体デバイスの電源オフ状態の切り替えを制御する第2制御部と、を備え、前記生体デバイスは、前記第2通信部が前記生体用データ中継機器に対して無線通信できない状態の第2時間をカウントし、前記第2時間が予め定められた第2規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、前記生体デバイスを電源オン状態に維持し、前記第2時間が前記第2規定時間以上になったことを条件に、前記生体デバイスを電源オン状態から電源オフ状態に切り替え、前記生体用データ中継機器は、前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できなくなった場合に、受信済みの前記生体情報を、前記外部機器に対して出力を行うように前記出力部を制御するとともに、前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できない状態の第1時間をカウントし、前記第1時間が予め定められた第1規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、前記生体用データ中継機器を電源オン状態に維持し、前記第1時間が前記第1規定時間以上になった場合には、前記生体用データ中継機器を電源オン状態から電源オフ状態に切り替え、前記外部機器に対して前記生体情報の出力を停止する生体デバイス用無線通信システムである。
【0007】
上記の各構成によれば、第1通信部が生体デバイスに対して通信できなくなっても、出力部は、外部機器に対して生体情報を出力する。すなわち、外部機器に対して生体情報の表示が担保される。さらに、データ中継機器は、生体デバイスに対して無線通信できない状態の第1時間が第1規定時間以上になったときに、電源オフ状態になる。したがって、生体デバイスから生体情報を受信していないにも拘らず、データ中継機器が過度に長期間に亘って生体情報を外部機器に出力し続けるという事態は生じない。また、データ中継機器は、生体デバイスに対して無線通信できない状態の第1時間が第1規定時間となる前に再接続できた場合には、電源をオン状態に維持する。したがって、データ中継機器が不要にオフ状態に切り替わることを防止できる。
【発明の効果】
【0008】
再接続の可能性を残しつつ、ユーザへの生体情報を通知するとともに、データ中心機器の消費電力の抑制が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、生体デバイス用無線通信システムの概略図である。
図2図2は、生体デバイス及びデータ中継機器の概略構成図である。
図3図3は、生体情報の送信制御の一連の処理を示すフローチャートである。
図4図4は、生体情報の受信・出力制御の一連の処理を示すフローチャートである。
図5図5は、生体デバイスの通信途絶時制御の一連の処理を示すフローチャートである。
図6図6は、データ中継機器の通信途絶時制御の一連の処理を示すフローチャートである。
図7図7は、デバイスサーチ制御の一連の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、生体用データ中継機器、及び生体デバイス用無線通信システムの一実施形態を、図面を参照して説明する。以下の説明では、生体用データ中継機器を備える生体デバイス用無線通信システムを例に説明する。
【0011】
図1に示すように、生体デバイス用無線通信システム100は、生体デバイス10と、データ中継機器20と、ディスプレイ30と、を備えている。
生体デバイス10は、測定対象に取り付けられて使用される。例えば、生体デバイス10は、貼り付け用シート11を介して、測定対象に取り付けられる。生体デバイス10は、測定対象である例えば入院患者、及び手術を受ける人等の生体情報を取得する。本実施形態では、生体情報は、体温である。このように、生体デバイス10は、生体情報を検出するセンサとしての役割を有する。そして、生体デバイス10は、体温を継続的に検出し、これを継続的に取得する。なお、ここでいう「継続的に取得」とは、予め定められた時間間隔を開けて複数回に亘って体温を取得することも含む。なお、生体デバイス10はひとつに限らず、複数でもよい。
【0012】
生体デバイス10は、データ中継機器20との間で無線通信が可能である。そして、生体デバイス10は、生体情報を、無線通信によって送信可能である。なお、無線通信の方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)である。
【0013】
図2に示すように、生体デバイス10は、第2バッテリ12と、温度センサ13と、第2通信部14と、第2記憶部15と、第2制御部16と、を有している。第2バッテリ12は、温度センサ13、第2通信部14、第2記憶部15、第2制御部16等の、生体デバイス10内部の電子機器に電力を供給する。温度センサ13は、測定対象の生体の温度を体温として検出する。第2通信部14は、取得した生体情報をデータ中継機器20に無線通信で送信可能である。
【0014】
第2記憶部15は、第2制御部16により読み取り可能な記憶媒体である。第2記憶部15は、第2制御部16が実行する各種の処理をプログラムデータの形で記憶している。また、第2記憶部15は、第2制御部16が実行する各種の処理に必要な各種の制御用の値を予め記憶している。更に、第2記憶部15は、データとして生体情報を記憶可能である。なお、生体情報は、検出値としての体温と、その体温が検出された時刻と、が関連付けられたデータである。
【0015】
第2制御部16は、1又は複数のプロセッサを含む回路(circuitry)である。なお、第2制御部16は、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、又はそれらの組み合わせを含む回路であってもよい。第2制御部16は、第2通信部14による通信、第2記憶部15に対するデータの書き込み及び読み出し等、各種の処理を実行する。特に、第2制御部16は、生体デバイス10の電源オン状態、及び生体デバイス10の電源オフ状態の切り替えを制御する。なお、電源オフ状態とは、生体デバイス10がデータ中継機器20等に生体情報の送信をしない、所謂スリープ状態になっている場合も含む。また、スリープ状態ではなく、生体デバイス10が完全に電源オフ状態になった場合には、生体デバイス10が有する図示しないスイッチ等にて、生体デバイス10は電源オン状態に切り替えられる。また、図示は省略するが、生体デバイス10は、電源回路、クロック回路などの周辺回路も備えている。
【0016】
図1に示すように、データ中継機器20は、生体デバイス10から、無線通信によって、生体情報を受信可能である。データ中継機器20は、生体用である。データ中継機器20は、本体ケース21と、出力端子22と、を備えている。出力端子22は、ディスプレイ30に接続可能となっている。
【0017】
データ中継機器20は、出力端子22がディスプレイ30に接続されることにより、ディスプレイ30と通信可能である。データ中継機器20は、受信した生体情報を、出力端子22を通じてディスプレイ30へ出力する。
【0018】
図2に示すように、データ中継機器20は、第1バッテリ23と、第1通信部24と、第1記憶部25と、第1制御部26と、出力部27と、を有している。第1バッテリ23は、第1通信部24、第1記憶部25、第1制御部26、出力部27等の、データ中継機器20の内部の電子機器に電力を供給する。第1通信部24は、生体デバイス10から無線通信で生体情報を受信可能である。
【0019】
第1記憶部25は、第1制御部26により読み取り可能な記憶媒体である。第1記憶部25は、第1制御部26が実行する各種の処理をプログラムデータの形で記憶している。また、第1記憶部25は、第1制御部26が実行する各種の処理に必要な各種の制御用の値を予め記憶している。更に、第1記憶部25は、データとして、第1制御部26がデータ中継機器20を電源オフ状態に切り替えたときのオフ時刻と、無線通信できなくなった直前に無線通信していた生体デバイス10を特定するためのID情報と、を記憶可能である。
【0020】
第1制御部26は、1又は複数のプロセッサを含む回路(circuitry)である。なお、第1制御部26は、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、又はそれらの組み合わせを含む回路であってもよい。第1制御部26は、第1通信部24による通信、第1記憶部25に対するデータの書き込み及び読み出し等、各種の処理を実行する。特に、第1制御部26は、データ中継機器20の電源に対して電源オン状態及び電源オフ状態の切り替えを制御する。生体デバイス10の電源オフ状態と同様に、データ中継機器20の電源オフ状態は、データ中継機器20が生体情報の受信及びディスプレイ30等への生体情報の出力等をしない、所謂スリープ状態になっている場合を含む。また、スリープ状態ではなく、データ中継機器20が完全に電源オフ状態になった場合には、データ中継機器20が有する図示しないスイッチ等にて、データ中継機器20は電源オン状態に切り替えられる。
【0021】
出力部27は、第1通信部24が受信した生体情報を、生体デバイス10とは別の外部機器に出力可能である。本実施形態では、外部機器はディスプレイ30である。なお、図示は省略するが、データ中継機器20は、電源回路、クロック回路などの周辺回路も備えている。
【0022】
ディスプレイ30は、例えば液晶ディスプレイである。ディスプレイ30は、データ中継機器20から、受信した生体情報を表示する。具体的には、ディスプレイ30は、取得した生体情報を、例えば、数値を示す画像として表示する。ディスプレイ30は、生体情報を受信する度に、表示する数値の画像を更新する。
【0023】
<無線通信が可能なときの生体デバイスの制御について>
生体デバイス10の第2制御部16は、第2記憶部15に記憶されているプログラムを実行することにより、生体情報の送信制御の各処理を実行する。また、第2制御部16は、生体デバイス10の電源がオン状態かつ、データ中継機器20と無線通信中に生体情報の送信制御を、予め定められた所定の制御周期で繰り返し実行する。
【0024】
図3に示すように、第2制御部16は、生体情報の送信制御を開始すると、先ず、ステップS11の処理を実行する。ステップS11では、第2制御部16は、温度センサ13を介して、測定対象の生体の体温を検出値として取得する。そして、第2制御部16は、体温とその体温の検出時刻とを関連付けて、生体情報として取得する。その後、第2制御部16は、ステップS12の処理を実行する。
【0025】
ステップS12では、第2制御部16は、第2通信部14を介して、取得した生体情報を、無線通信でデータ中継機器20に送信する。その後、第2制御部16による一連の生体情報の送信制御の1サイクルが終了し、第2制御部16は、再び生体情報の送信制御を開始する。
【0026】
<無線通信が可能なときのデータ中継機器の制御について>
データ中継機器20の第1制御部26は、第1記憶部25に記憶されているプログラムを実行することにより、生体情報の受信・出力制御の各処理を実行する。また、第1制御部26は、データ中継機器20の電源がオン状態かつ、生体デバイス10と無線通信中に生体情報の受信・出力制御を繰り返し実行する。
【0027】
図4に示すように、第1制御部26は、生体情報の受信・出力制御を開始すると、先ず、ステップS21の処理を実行する。ステップS21では、第1制御部26は、第1通信部24を制御して、生体デバイス10の第2通信部14から無線通信で生体情報を受信する。その後、第1制御部26は、ステップS22の処理を実行する。
【0028】
ステップS22では、第1制御部26は、出力部27を制御して、受信した生体情報を、ディスプレイ30に出力する。これにより、受信した生体情報は、ディスプレイ30に数値を示す画像として表示される。この表示は少なくとも1回出力されていればよく、画像が途切れた場合であっても、出力したことに含まれる。その後、第1制御部26による一連の生体情報の受信・出力制御の1サイクルが終了し、第1制御部26は、再び生体情報の受信・出力制御を開始する。
【0029】
<無線通信できないときの生体デバイスの制御について>
生体デバイス10の第2制御部16は、第2記憶部15に記憶されているプログラムを実行することにより、通信途絶時制御の各処理を実行する。また、第2制御部16は、生体デバイス10の電源がオン状態かつ、データ中継機器20との通信が切断されたときに通信途絶時制御を1度実行する。
【0030】
図5に示すように、第2制御部16は、通信途絶時制御を開始すると、先ず、ステップS31の制御を実行する。ステップS31では、第2制御部16は、第2時間のカウントを開始する。第2時間は、第2通信部14がデータ中継機器20に対して無線通信ができない状態の時間である。本実施形態では、第2通信部14がデータ中継機器20に対して無線通信ができなくなってからの時間である。なお、カウントは第2制御部16に限定されず、生体デバイス10の他の構成要素にカウントさせてもよい。その後、第2制御部16は、ステップS32の処理を実行する。
【0031】
ステップS32では、第2制御部16は、第2時間が予め定められた第2規定時間以上か否かを判定する。第2規定時間は、例えば、数時間である。ステップS32において肯定判定の場合、第2制御部16は、ステップS33の処理を実行する。
【0032】
ステップS33では、第2制御部16は、温度センサ13を介して体温を取得する。その後、第2制御部16は、ステップS34の処理を実行する。
ステップS34では、第2制御部16は、取得した体温が予め定められた正常範囲外か否かを判定する。正常範囲は、人間の体温として取得し得る体温を含む範囲として定められている。例えば、正常範囲は、34度以上43度以下として予め定められている。ステップS34において否定判定の場合、第2制御部16は、カウントをリセットする。すなわち、第2制御部16は、第2時間をゼロにする。そして、第2制御部16は、再びステップS31の処理を実行する。
【0033】
また、ステップS34において肯定判定の場合、第2制御部16は、ステップS35の処理を実行する。ステップS35では、第2制御部16は、生体デバイス10を電源オン状態から電源オフ状態に切り替える。すなわち、第2制御部16は、第2通信部14がデータ中継機器20に対して無線通信できない状態の第2時間が第2規定時間以上になったことを条件に、生体デバイス10を電源オフ状態に切り替える。その後、第2制御部16は、一連の通信途絶時制御を終了する。
【0034】
一方、ステップS32において否定判定の場合、第2制御部16は、ステップS36の処理を実行する。ステップS36では、第2制御部16は、温度センサ13を介して体温を取得する。その後、第2制御部16は、ステップS37の処理を実行する。
【0035】
ステップS37では、第2制御部16は、第2記憶部15を制御して、ステップS37で取得した体温を記憶する。その後、第2制御部16は、ステップS38の処理を実行する。
【0036】
ステップS38では、第2制御部16は、第2通信部14がデータ中継機器20と無線接続できている状態であるか否かを判定する。すなわち、第2制御部16は、第2通信部14がデータ中継機器20と再接続できたか否かを判定する。ステップS38において否定判定の場合、第2制御部16は、再びステップS32の処理を実行する。なお、このように、ステップS32、ステップS36、ステップS37の処理が繰り返されることで、第2記憶部15は、無線通信できなくなってから再び無線通信できるようになるまでに取得した複数の生体情報を記憶する。なお、第2記憶部15は、無線通信できなくなってから再び無線通信できるようになるまでの期間のすべての生体情報を記憶していなくてもよい。すなわち、第2記憶部15は、当該期間の生体情報について少なくとも一部を記憶していればよい。以下では、このように無線通信できない期間に第2記憶部15に記憶した体温を、特定体温とする。特定体温は、特定生体情報の一例である。
【0037】
また、ステップS38において肯定判定の場合、第2制御部16は、ステップS39の処理を実行する。ステップS39では第2制御部16は、カウントをリセットする。すなわち、第2制御部16は、第2時間をゼロにする。また、このように、第2時間が第2規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、生体デバイス10は電源オン状態を維持する。その後、第2制御部16は、ステップS40の処理を実行する。
【0038】
ステップS40では、第2制御部16は、第2通信部14を制御して、特定体温をデータ中継機器20に送信する。すなわち、第2通信部14は、再び無線通信できたときに、無線通信できない期間に第2記憶部15に記憶した特定体温を、データ中継機器20に送信する。その後、第2制御部16は、一連の通信途絶時制御を終了する。
【0039】
<無線通信できないときのデータ中継機器の制御について>
データ中継機器20の第1制御部26は、第1記憶部25に記憶されているプログラムを実行することにより、通信途絶時制御の各処理を実行する。また、第1制御部26は、データ中継機器20の電源がオン状態かつ、生体デバイス10と通信が切断されたときに通信途絶時制御を1度実行する。
【0040】
図6に示すように、第1制御部26は、通信途絶時制御を開始すると、先ず、ステップS41の制御を実行する。ステップS41では、第1制御部26は、第1時間のカウントを開始する。第1時間は、第1通信部24が生体デバイス10に対して無線通信ができない状態の時間である。なお、カウントは第1制御部26に限定されず、データ中継機器20の他の構成要素にカウントさせてもよい。その後、第1制御部26は、ステップS42の処理を実行する。なお、カウントは、無線通信が切断された場合、所定の時間で無線通信できない状態を確認してその後、開始される。所定の時間はゼロも含むものであり、例えば、0~5秒で設定してもよい。すなわち、所定の時間をゼロとして無線切断された瞬間、つまり、通信途絶時制御が開始された瞬間から第1時間がカウントされてもよい。また、所定の時間を1秒として、通信途絶時制御が開始されてから1秒間無線通信できない状態を確認し、その後から第1時間がカウントされてもよい。
【0041】
ステップS42では、第1制御部26は、出力部27を制御して、無線通信できなくなる直前の体温を、ディスプレイ30に対して出力を行う。すなわち、出力部27は、無線通信できなくなる前に受信した最新の体温をディスプレイ30に出力する。なお、出力部27は、無線通信ができない時間の間、継続して体温の値を出力し続けてもよいし、一時的に出力を行うようにしてもよい。その後、第1制御部26は、ステップS43の処理を実行する。
【0042】
ステップS43では、第1制御部26は、第1時間が予め定められた第1規定時間以上か否かを判定する。第1規定時間は、第2規定時間よりも短い時間に定められている。例えば、第1規定時間は、数分から数十分である。ステップS43において肯定判定の場合、第1制御部26は、ステップS44の処理を実行する。
【0043】
ステップS44では、第1制御部26は、出力部27を制御して、データ中継機器20が生体デバイス10に対して無線通信ができないことを示す通知信号を、ディスプレイ30に出力する。なお、当該通知信号を受信したディスプレイ30は、無線通信不可であることを示す文字画像及びアイコンなどを表示する。すなわち、出力部27は、第1通信部24が無線通信できない状態で、第1制御部26がデータ中継機器20を電源オフ状態に切り替える場合、生体デバイス10と無線通信ができなくなったことを通知する。その後、第1制御部26は、ステップS45の処理を実行する。
【0044】
ステップS45では、第1制御部26は、第1記憶部25を制御して、現在時刻と、第1制御部26が無線通信できなくなった直前に無線通信していた生体デバイス10を特定するためのID情報と、を記憶する。なお、第1記憶部25は、現在時刻を、データ中継機器20を電源オフ状態に切り替えたときのオフ時刻として記憶する。その後、第1制御部26は、ステップS46の処理を実行する。
【0045】
ステップS46では、第1制御部26は、データ中継機器20を電源オン状態から電源オフ状態に切り替える。すなわち、第1制御部26は、第1通信部24が生体デバイス10に対して無線通信できなくなってからの第1時間が第1規定時間以上になった場合、データ中継機器20を電源オフ状態に切り替える。また、電源オフ状態に切り替わることにより、出力部27は、ディスプレイ30に対しての生体情報の出力を停止する。その後、第1制御部26は、一連の通信途絶時制御を終了する。
【0046】
一方、S43において否定判定の場合、第1制御部26は、ステップS47の処理を実行する。ステップS47では、第1制御部26は、第1通信部24が生体デバイス10と無線通信状態であるか否かを判定する。すなわち、第1制御部26は、第1通信部24が生体デバイス10と再接続できたか否かを判定する。ステップS47において否定判定の場合、第1制御部26は、再びステップS42の処理を実行する。また、ステップS47において肯定判定の場合、第1制御部26は、ステップS48の処理を実行する。
【0047】
ステップS48では、第1制御部26は、第1通信部24を制御して、生体デバイス10から最新の体温を受信する。そして、第1制御部26は、受信する体温が、上述した正常範囲内であるか否かを判定する。ステップS48において否定判定の場合、第1制御部26は、再びステップS42の処理を実行する。すなわち、第1制御部26は、第1通信部24が生体デバイス10から受信する体温が正常範囲外となったとき、無線通信が可能になった以後も、第1時間のカウントを継続する。
【0048】
ステップS48において肯定判定の場合、第1制御部26は、ステップS49の処理を実行する。ステップS49では、第1制御部26は、第1通信部24を制御して、生体デバイス10から上述した特定体温を、無線通信で受信する。その後、第1制御部26は、ステップS50の処理を実行する。
【0049】
ステップS50では、第1制御部26は、先ず、特定体温の各値と正常値との差分の絶対値を算出する。そして、第1制御部26は、出力部27を制御して、当該差分が最も大きい値、すなわち、特定体温のうち正常値から最も離れた特定体温を、ディスプレイ30に出力する。なお、正常値は、上述した正常範囲内に含まれる数値として予め定められている。正常値は、例えば、人間の体温の平均値として36.5度として定められている。その後、第1制御部26は、ステップS51の処理を実行する。
【0050】
ステップS51では、第1制御部26は、カウントをリセットする。すなわち、第1制御部26は、第1時間をゼロにする。また、このように、第1時間が第1規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、データ中継機器20は電源オン状態を維持する。そして、第1制御部26は、一連の通信途絶時制御を終了する。
【0051】
<デバイスサーチ制御について>
データ中継機器20の第1制御部26は、第1記憶部25に記憶されているプログラムを実行することにより、デバイスサーチ制御の各処理を実行する。また、第1制御部26は、上述の通信途絶時制御によってデータ中継機器20を電源オフ状態にした後、電源オン状態に切り替えたときに、デバイスサーチ制御を1度だけ実行する。
【0052】
図7に示すように、第1制御部26は、デバイスサーチ制御を開始すると、先ず、ステップS61の制御を実行する。ステップS61では、第1制御部26は、現在時刻を、データ中継機器20を電源オン状態に切り替えた時刻として取得する。そして、第1制御部26は、現在時刻と、データ中継機器20の通信途絶時制御において取得したオフ時刻との差分である差分時間を算出する。そして、第1制御部26は、差分時間が第3規定時間未満であるか否かを判定する。第3規定時間は、データ中継機器20が電源オフ状態からオン状態になるまでの時間が短いことを示す時間として、予め定められている。例えば、第3規定時間は数分である。ステップS61において肯定判定の場合、第1制御部26は、ステップS62の処理を実行する。
【0053】
ステップS62では、第1制御部26は、第1通信部24を制御して、データ中継機器20の通信途絶時制御で記憶したID情報に対応する生体デバイス10を新たな無線通信の接続先としてサーチする。つまり、第1通信部24は、上記ID情報に対応しない生体デバイス10が無線通信の範囲内に存在したとしても、その生体デバイス10を、無線通信の接続先としては認識しない。その後、第1制御部26は、ステップS63の処理を実行する。
【0054】
ステップS63では、第1制御部26は、第1通信部24が生体デバイス10と無線通信状態であるか否かを判定する。すなわち、第1制御部26は、第1通信部24が生体デバイス10と接続できたか否かを判定する。ステップS63において肯定判定の場合、第1制御部26は、一連のデバイスサーチ制御を終了する。
【0055】
また、ステップS61において否定判定の場合、第1制御部26は、ステップS64の処理を実行する。ステップS64では、第1通信部24は、生体デバイス10を特定せずに、新たな無線通信の接続先としていずれかの生体デバイス10をサーチする。その後、第1制御部26は、ステップS63の処理を実行する。
【0056】
また、ステップS63において否定判定の場合、第1制御部26は、ステップS65の処理を実行する。ステップS65では、第1制御部26は、現在時刻を取得する。そして、第1制御部26は、ステップS61で取得した現在時刻、すなわち電源オン状態に切り替えた時刻と、現在時刻との差分である経過時間を算出する。そして、第1制御部26は、経過時間が、第4規定時間よりも大きいか否かを判定する。第4規定時間は、例えば、数十分として予め定められている。ステップS65において否定判定の場合、第1制御部26は、ステップS63の処理を再び実行する。
【0057】
一方で、ステップS65において肯定判定の場合、第1制御部26は、ステップS66の処理を実行する。ステップS66では、第1制御部26は、データ中継機器20を電源オン状態から電源オフ状態に切り替える。その後、第1制御部26は、一連のデバイスサーチ制御を終了する。
【0058】
<本実施形態の作用>
データ中継機器20は、生体デバイス10に対する無線通信が確立すると、当該生体デバイス10から生体情報としての体温を受信し続ける。ただし、生体デバイス10を取り付けたユーザが移動したり、データ中継機器20と生体デバイス10との間に障害物が入ったりすると、データ中継機器20が一時的に生体デバイス10と無線通信できなくなることがある。また、生体デバイス10の電源がオフ状態に切り替えられたときにも、データ中継機器20が生体デバイス10と無線通信できなくなる。
【0059】
<本実施形態の効果>
(1)上記実施形態によれば、第1通信部24が生体デバイス10に対して通信できなくなっても、出力部27は、ディスプレイ30に対する体温の出力を継続する。すなわち、ディスプレイ30に対する体温の表示が担保される。さらに、データ中継機器20は、生体デバイス10に対して無線通信できない状態の第1時間が第1規定時間以上になったときに、電源オフ状態になる。したがって、生体デバイス10から体温を受信していないにも拘らず、データ中継機器20が過度に長期間に亘って体温をディスプレイ30に出力し続けるという事態は生じない。また、データ中継機器20が無用に電力を消費し続けることも防げる。また、データ中継機器20は、第1時間が第1規定時間となる前に生体デバイス10と再接続できた場合には、電源をオン状態に維持する。したがって、上記実施形態によれば、データ中継機器20が不要にオフ状態に切り替わることを防止できる。
【0060】
(2)上記実施形態によれば、生体デバイス10及びデータ中継機器20が無線通信できない状態が継続した場合に、データ中継機器20が先に電源オフ状態に切り替わる。したがって、体温の受信に加えて体温の出力を担うデータ中継機器20、すなわち比較的に電力消費の激しいデータ中継機器20の電力消費を抑えられる。
【0061】
(3)生体デバイス10から受信した体温が正常範囲外であるときには、生体デバイス10が測定対象に対して正しく取り付けられていない状況や、データ中継機器20が意図しない他の生体デバイス10に無線接続している状況が考え得る。このような場合にまで、データ中継機器20と生体デバイス10との無線通信を継続すると、データ中継機器20の第1バッテリ23の電力を無駄に消費することになる。上記実施形態では、データ中継機器20の通信途絶時制御のステップS48において第1制御部26は、第1通信部24が生体デバイス10から受信する体温が正常範囲外であるとき、第1時間のカウントを継続する。換言すれば、第1制御部26は、正常範囲外の体温を検出する生体デバイス10に無線接続された場合には、無線接続されていないものとみなす。この構成によれば、データ中継機器20が、再接続の際に意図しない生体デバイス10に無線接続したままになってしまって、無用に電力を消費することを防げる。
【0062】
(4)上記実施形態において、例えば、生体デバイス10とデータ中継機器20とが無線通信できない期間に、測定対象のユーザの容体が不安定になって、体温として正常値から離れた値が取得されたとする。この場合、上記実施形態によれば、正常値から離れた体温は、特定体温として生体デバイス10の第2記憶部15に記憶された後、データ中継機器20に送信される。そして、データ中継機器20からは、正常値から最も離れた特定体温がディスプレイ30へと出力される。したがって、ディスプレイ30側においても、無線通信できない期間において正常値から離れた体温が取得されたことを把握できる。
【0063】
(5)上記実施形態において、生体デバイス10とデータ中継機器20とが無線通信できない期間に、生体デバイス10が多くの体温を取得した場合でも、データ中継機器20は、再接続時に正常値から最も離れた特定体温のみを表示する。このように、表示する体温を正常値から最も離れた特定体温に限定することで、重要度の高い体温の表示が他の体温の表示に紛れてしまうことが防げる。
【0064】
(6)上記実施形態では、差分時間が、第3規定時間未満である場合、データ中継機器20が電源オフ状態からオン状態になるまでの時間が短いことが想定される。このような状況として、測定者がデータ中継機器20を継続して使用する状態であるにも拘わらず、データ中継機器20が電源オフ状態になってしまい、すかさずデータ中継機器20が電源オン状態に切り替えられた状況が考え得る。上記実施形態では、差分時間が第3規定時間未満であることを条件に、第1記憶部25に記憶されているID情報に対応する生体デバイス10を新たな無線通信の接続先としてサーチする。したがって、上記状況において、データ中継機器20は、電源オフ状態になる前に接続していた生体デバイス10と、速やかに無線通信可能となる。
【0065】
(7)上記実施形態では、無線通信できない状態でデータ中継機器20を電源オフ状態に切り替える場合、出力部27は、無線通信ができなくなったことを示す通知信号を、ディスプレイ30に出力する。この構成によれば、測定者が、故障などの他の理由によりデータ中継機器20が電源オフ状態になっていないことを判断できる。
【0066】
(8)生体デバイス10が取得した体温が正常範囲内である場合には、生体デバイス10が、測定対象に取り付けられたままの状態であることが想定される。そのため、無線通信していない状態に生体デバイス10が取得した体温が正常範囲内である際には、データ中継機器20との無線通信の可能性を残しておくことが好ましい。上記実施形態では、生体デバイス10の通信途絶制御において、第2時間が、第2規定時間以上になった場合でも、取得した体温が正常範囲内である際には、第2制御部16はカウントをリセットし、再度カウントを開始する。すなわち、上記実施形態では、生体デバイス10は、データ中継機器20との無線通信の可能性をできる限り残すことができる。
【0067】
(9)上記実施形態では、デバイスサーチ制御において、経過時間が第4規定時間より大きい場合には、データ中継機器20は電源オフ状態に切り替えられる。この構成によれば、データ中継機器20がいずれの生体デバイス10とも接続していないにも拘らず電源オン状態が長期間に及ぶことを抑制できる。
【0068】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
・生体デバイス10は、貼り付け用シート11を介して、測定対象に取り付けられるものに限られない。
・生体デバイス10とデータ中継機器20との通信方式は、上記実施形態の例に限られない。両者の無線通信の方式は、ZigBee(登録商標)や、無線LANであってもよい。
【0070】
・生体情報は、例えば、血圧、血糖値、酸素飽和度、心拍数、脈拍数、などでもよいし、これらのうちの複数を含んでいてもよい。なお、生体情報がこれらのパラメータを含んでいる場合、第1制御部26は、これらのパラメータに関する正常範囲及び正常値を有していればよい。
【0071】
・データ中継機器20は、出力端子22によって、生体情報を出力するものに限られない。例えば、データ中継機器20は、ディスプレイ30に有線で接続されている状態で、ディスプレイ30へと生体情報を出力してもよい。また例えば、データ中継機器20は、無線通信によってディスプレイ30へと生体情報を出力してもよい。
【0072】
・上記実施形態における正常値、及び正常範囲は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、正常範囲は、「34度以上」等、上限値のない範囲であってもよい。
・第2制御部16は、生体デバイス10の通信途絶時制御において、ステップS33及びステップS34の処理を省略可能である。すなわち、第2時間が第2規定時間以上となった場合、無条件で第2制御部16は、生体デバイス10を電源オフ状態に切り替えてもよい。
【0073】
・第2制御部16は、生体デバイス10の通信途絶時制御において、ステップS36、ステップS37、及びステップS40の処理を省略可能である。すなわち、第2時間が第2規定時間未満の場合、生体デバイス10は、体温の取得、記憶及び送信を行わなくてもよい。
【0074】
・ステップS42において出力する体温は、無線通信できなくなる直前の体温に限定されない。無線通信時に受信済みの体温であればよく、例えば、受信済みの体温における所定の期間の平均値を出力してもよい。
【0075】
・第1制御部26は、データ中継機器20の通信途絶時制御において、ステップS44及びステップS45の処理を省略可能である。すなわち、第1時間が第1規定時間以上となった場合、無条件で第1制御部26は、データ中継機器20を電源オフ状態に切り替えてもよい。
【0076】
・第1時間のカウントを開始するタイミングは、無線通信できない状態であればいつでもよい。すなわち、上記実施形態のステップS41において、所定の時間を0~5秒で設定してもよいとしたが、これは一例である。この点、第2時間のカウントを開始するタイミングも同様である。
【0077】
・第1規定時間は、第2規定時間と同じでもよい。また、第1規定時間は、第2規定時間よりも長くてもよい。ただし、データ中継機器20の電力消費を抑制するうえでは、第1規定時間は、第2規定時間よりも短い方が好ましい。
【0078】
・第1制御部26は、データ中継機器20の通信途絶時制御において、ステップS48、ステップS49、ステップS50の処理を省略可能である。すなわち、第1時間が第1規定時間未満の場合、データ中継機器20は、体温の受信及び出力を行わなくてもよい。
【0079】
・データ中継機器20の通信途絶時制御のステップS50において、正常値から最も離れた特定体温を選定するにあたり、その選定方法は、正常値との差分に限定されない。例えば、第1制御部26は、特定体温の各値と正常値との比を算出し、当該比に応じて特定体温のうち正常値から最も離れた特定体温を選定してもよい。
【0080】
・第1制御部26は、データ中継機器20の通信途絶時制御のステップS50において出力する特定体温は、正常値から最も離れた体温に限定されない。例えば、出力部27は、特定体温のうち、最新の特定体温のみを出力してもよい。また、出力部27は、複数の特定体温を連続的に出力してもよい。
【0081】
・第1制御部26は、デバイスサーチ制御において、無線通信状態が確立されなかった場合、経過時間が、第4規定時間より短い時間として予め定められた第5規定時間より大きい場合、生体デバイス10のサーチを停止してもよい。この構成によれば、無線通信されていない状態が長時間続くことを抑制できる。また、データ中継機器20は、図示しないスイッチを有しており、当該スイッチを操作することにより、停止された生体デバイス10のサーチを開始するものとしてもよい。
【0082】
・第1制御部26は、デバイスサーチ制御を省略可能である。その場合、データ中継機器20を電源オン状態に切り替えたときに、ID情報に基づいて生体デバイス10をサーチするか否かを予め設定しておけばよい。
【0083】
<付記>
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
[1]電力を供給する第1バッテリと、生体情報を取得する生体デバイスから無線通信で前記生体情報を受信可能な第1通信部と、前記第1通信部が受信した前記生体情報を、前記生体デバイスとは別の外部機器に出力可能な出力部と、電源オン状態及び電源オフ状態の切り替えを制御する第1制御部と、を備え、前記第1制御部は、前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できなくなった場合に、受信済みの前記生体情報を前記外部機器に対して出力を行うように前記出力部を制御するとともに、前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できない状態の第1時間をカウントし、前記第1時間が予め定められた第1規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、電源オン状態を維持し、前記第1時間が前記第1規定時間以上になった場合には、電源オン状態から電源オフ状態に切り替え、前記外部機器に対して前記生体情報の出力を停止する生体用データ中継機器。
【0084】
[2]生体情報を取得する生体デバイスと、前記生体デバイスと無線通信可能な生体用データ中継機器と、を備え、前記生体用データ中継機器は、電力を供給する第1バッテリと、前記生体デバイスから無線通信で前記生体情報を受信可能な第1通信部と、前記第1通信部が受信した前記生体情報を、前記生体デバイスとは別の外部機器に出力可能な出力部と、前記生体用データ中継機器の電源オン状態、及び前記生体用データ中継機器の電源オフ状態の切り替えを制御する第1制御部と、を備え、前記生体デバイスは、電力を供給する第2バッテリと、取得した前記生体情報を無線通信で送信可能な第2通信部と、前記生体デバイスの電源オン状態、及び前記生体デバイスの電源オフ状態の切り替えを制御する第2制御部と、を備え、前記生体デバイスは、前記第2通信部が前記生体用データ中継機器に対して無線通信できない状態の第2時間をカウントし、前記第2時間が予め定められた第2規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、前記生体デバイスを電源オン状態に維持し、前記第2時間が前記第2規定時間以上になったことを条件に、前記生体デバイスを電源オン状態から電源オフ状態に切り替え、前記生体用データ中継機器は、前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できなくなった場合に、受信済みの前記生体情報を、前記外部機器に対して出力を行うように前記出力部を制御するとともに、前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できない状態の第1時間をカウントし、前記第1時間が予め定められた第1規定時間になるまでに無線通信が可能になった場合には、前記生体用データ中継機器を電源オン状態に維持し、前記第1時間が前記第1規定時間以上になった場合には、前記生体用データ中継機器を電源オン状態から電源オフ状態に切り替え、前記外部機器に対して前記生体情報の出力を停止する生体デバイス用無線通信システム。
【0085】
[3]前記第1規定時間は、前記第2規定時間よりも短い時間に定められている[2]に記載の生体デバイス用無線通信システム。
[4]前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できなくなってから再び無線通信できるようになった場合に、前記第1通信部が前記生体デバイスから受信する前記生体情報が予め定められた正常範囲外かどうかを確認し、正常範囲外となったとき、前記生体デバイスに対して無線通信が可能になった以後も、前記第1時間をカウントする[2]または[3]に記載の生体デバイス用無線通信システム。
【0086】
[5]前記生体用データ中継機器は、データを記憶可能な第1記憶部を更に有し、前記第1記憶部は、前記第1制御部が前記生体用データ中継機器を電源オフ状態に切り替えたときのオフ時刻と、無線通信できなくなった直前に無線通信していた前記生体デバイスを特定するためのID情報と、を記憶し、前記第1制御部が前記生体用データ中継機器を電源オフ状態から電源オン状態に切り替えたとき、前記第1通信部は、電源オン状態に切り替えた時刻と前記オフ時刻との差分が予め定められた第3規定時間未満であることを条件に、前記第1記憶部に記憶されている前記ID情報に対応する前記生体デバイスを新たな無線通信の接続先としてサーチし、電源オン状態に切り替えた時刻と前記オフ時刻との差分が前記第3規定時間以上であることを条件に、前記生体デバイスを特定せずに、新たな無線通信の接続先としていずれかの前記生体デバイスをサーチする[2]~[4]のいずれか1つに記載の生体デバイス用無線通信システム。
【0087】
[6]前記生体デバイスは、データを記憶可能な第2記憶部を更に有し、前記第2記憶部は、前記第2通信部が前記生体用データ中継機器に対して無線通信できなくなった場合に、無線通信できなくなってから再び無線通信できるようになるまでに取得した前記生体情報の少なくとも一部を記憶し、前記第1通信部は、再び無線通信できたときに、無線通信できない期間に前記第2記憶部に記憶した前記生体情報を、特定生体情報として前記生体用データ中継機器に送信し、前記出力部は、前記特定生体情報のうち、予め定められた正常値から最も離れた前記生体情報を前記外部機器に出力する[2]~[5]のいずれか1つに記載の生体デバイス用無線通信システム。
【0088】
[7]前記第1通信部が無線通信できない状態で前記第1制御部が前記生体用データ中継機器を電源オフ状態に切り替える場合、前記出力部は、前記生体デバイスに対して無線通信ができないことを示す通知信号を、前記外部機器に出力する[2]~[6]のいずれか1つに記載の生体デバイス用無線通信システム。
【0089】
[8]前記第1通信部が前記生体デバイスに対して無線通信できなくなってから再び無線通信できるようになった場合に、前記第1通信部が前記生体デバイスから受信する前記生体情報が予め定められた正常範囲外かどうかを確認し、正常範囲外となったとき、前記生体デバイスに対して無線通信が可能になった以後も、前記第1時間をカウントする[1]に記載の生体用データ中継機器。
【0090】
[9]前記第1通信部が無線通信できない状態で前記第1制御部が電源オフ状態に切り替える場合、前記出力部は、前記生体デバイスに対して無線通信ができないことを示す通知信号を、前記外部機器に出力する[1]または[8]に記載の生体用データ中継機器。
【符号の説明】
【0091】
10…生体デバイス
12…第2バッテリ
14…第2通信部
15…第2記憶部
16…第2制御部
20…データ中継機器
23…第1バッテリ
24…第1通信部
25…第1記憶部
26…第1制御部
27…出力部
30…ディスプレイ
100…生体デバイス用無線通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
前記生体デバイスは、データを記憶可能な第2記憶部を更に有し、
前記第2記憶部は、前記第2通信部が前記生体用データ中継機器に対して無線通信できなくなった場合に、無線通信できなくなってから再び無線通信できるようになるまでに取得した前記生体情報の少なくとも一部を記憶し、
前記第通信部は、再び無線通信できたときに、無線通信できない期間に前記第2記憶部に記憶した前記生体情報を、特定生体情報として前記生体用データ中継機器に送信し、
前記出力部は、前記特定生体情報のうち、予め定められた正常値から最も離れた前記生体情報を前記外部機器に出力する
請求項2に記載の生体デバイス用無線通信システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
ステップS37では、第2制御部16は、第2記憶部15を制御して、ステップS3で取得した体温を記憶する。その後、第2制御部16は、ステップS38の処理を実行する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
また、ステップS63において否定判定の場合、第1制御部26は、ステップS65の処理を実行する。ステップS65では、第1制御部26は、現在時刻を取得する。そして、第1制御部26は、ステップS6で取得した現在時刻、すなわち電源オン状態に切り替えた時刻と、現在時刻との差分である経過時間を算出する。そして、第1制御部26は、経過時間が、第4規定時間よりも大きいか否かを判定する。第4規定時間は、例えば、数十分として予め定められている。ステップS65において否定判定の場合、第1制御部26は、ステップS63の処理を再び実行する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
[6]前記生体デバイスは、データを記憶可能な第2記憶部を更に有し、前記第2記憶部は、前記第2通信部が前記生体用データ中継機器に対して無線通信できなくなった場合に、無線通信できなくなってから再び無線通信できるようになるまでに取得した前記生体情報の少なくとも一部を記憶し、前記第通信部は、再び無線通信できたときに、無線通信できない期間に前記第2記憶部に記憶した前記生体情報を、特定生体情報として前記生体用データ中継機器に送信し、前記出力部は、前記特定生体情報のうち、予め定められた正常値から最も離れた前記生体情報を前記外部機器に出力する[2]~[5]のいずれか1つに記載の生体デバイス用無線通信システム。