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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096622
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/08 20060101AFI20240709BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20240709BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F04D25/08 301Z
A41D13/002 105
A41D13/005 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000244
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】518369350
【氏名又は名称】株式会社ACB
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】松井 正和
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
3H130
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
3B011AC03
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC02
3B211AC03
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC27
3H130BA33H
3H130DD05
3H130DF09Z
3H130EA04A
3H130EA07H
3H130ED04H
(57)【要約】
【課題】電源の温度上昇を抑えることができる空調衣服用送風装置の提供。
【解決手段】送風装置10は、空調衣服に形成された挿通孔に装着可能であって、モータ11と、モータ11によって駆動するファン12を回転可能に収容するハウジング13と、モータ11に電力を供給する電源部14とを有し、ファン12の回転軸方向視野において、電源部14の少なくとも一部がハウジング13の内側に存在するように配置しているので、電源の温度上昇を抑えることができる。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調衣服に形成された挿通孔に装着可能な送風装置であって、
モータと、
前記モータによって駆動するファンを回転可能に収容するハウジングと、
前記モータに電力を供給する電源部とを有し、
前記ファンの回転軸方向視野において、前記電源部の少なくとも一部が前記ハウジングの内側に存在するように配置した、
送風装置。
【請求項2】
前記電源部が、前記ファンの回転軸の軸線上に存在するように配置した、
請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記電源部が、前記ハウジングの前記空調衣服の外側の位置に設けられた、
請求項1に記載の送風装置。
【請求項4】
前記電源部が、前記ハウジングの前記空調衣服の内側の位置に設けられた、
請求項1に記載の送風装置。
【請求項5】
前記電源部が、前記ファンの回転軸方向視野において、前記ハウジングの内周面の内側に存在するように配置した、
請求項1に記載の送風装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調衣服には、モータと、モータによって駆動するファンと、モータに電力を供給する電源部とを有する送風装置が設置される。
【0003】
本発明者は、送風部と、電源部とを一体的に構成した送風装置を提案している(特許文献1~3)。この送風装置によれば、モータから離れた位置にある電源からケーブルを介してモータに電力を供給する構成の送風装置において発生する問題、すなわち、空調衣服の着脱時などにケーブルやケーブル端子が損傷するという問題が発生しにくいというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6528069号公報
【特許文献2】特許第6590231号公報
【特許文献3】特許第7018669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空調衣服は、猛暑地などの高温環境で使用されることが多い。電源として一般に用いられるリチウムイオン電池は、25℃程度の環境での使用を基準としている。高温での使用は、性能劣化を引き起こし、場合によっては電子回路および内部配線の絶縁劣化の原因となることがある。空調衣服の通常の使用環境においては、リチウムイオン電池の最高許容周囲温度である45℃に到達することは想定しにくいものの、性能劣化を抑制するためには電源の温度上昇を抑えることが好ましい。
【0006】
本発明は、電源の温度上昇を抑えることができる空調衣服用送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、「空調衣服に形成された挿通孔に装着可能な送風装置であって、
モータと、
前記モータによって駆動するファンを回転可能に収容するハウジングと、
前記モータに電力を供給する電源部とを有し、
前記ファンの回転軸方向視野において、前記電源部の少なくとも一部が、前記ハウジングの内側に存在するように配置された、
送風装置。」を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電源の温度上昇を抑えることができるので、空調衣服用送風装置の性能劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る送風装置の例を示す分解図である。
図2図2は、本実施形態に係る送風装置の例を示す側面図である。
図3図3は、本実施形態に係る送風装置の例を示す平面図である。
図4図4は、本実施形態に係る送風装置の電源部の例を示す側面図である。
図5図5は、他の実施形態に係る送風装置の例を示す側面図である。
図6図6は、他の実施形態に係る送風装置の例を示す平面図である。
図7図7は、他の実施形態に係る送風装置の例を示す側面図である。
図8図8は、他の実施形態に係る送風装置の例を示す側面図である。
図9図9は、他の実施形態に係る送風装置の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1~4は、本実施形態に係る送風装置の例を示す図である。図1は分解図であり、図2は側面図であり、図3は平面図であり、図4は、電源部の例を示す拡大側面図である。図5~9は、他の実施形態に係る送風装置の例を示す図である。図5、7、8および9は側面図、図6は平面図である。ただし、一部の図において、モータ、ファンなどの図示を省略している。
【0012】
図1~4に示すように、本実施形態に係る送風装置10は、空調衣服に形成された挿通孔に装着可能な送風装置10である。本実施形態に係る送風装置10は、モータ11と、モータ11によって駆動するファン12を回転可能に収容するハウジング13と、モータ11に電力を供給する電源部14とを有している。本実施形態に係る送風装置10は、ファン12の回転軸方向視野において、電源部14の少なくとも一部が、ハウジング13の内側、すなわち、内周面13Sの内側に存在するように配置されている。
【0013】
ここで、図1、2、5~9において、線a1,a2は、ハウジング13の内周面13Sの位置におけるファン12の回転軸と平行な線(仮想線)を示している。すなわち、ファン12の回転軸方向視野において、電源部14の少なくとも一部がハウジング13の内側に存在するように配置されているとは、具体的には、電源部14の少なくとも一部が線a1および線a2の間の領域に存在していることを意味し、また、図3に示す例においては、ハウジング13の内周面13Sで構成される円の内側に電源部14の少なくとも一部が存在するように配置されていることを意味する。
【0014】
本実施形態に係る送風装置10は、このような構成を有しているので、使用時に電源部14を冷却することができる。
【0015】
図1に示すように、モータ11は、ハウジング13内に設置されている。モータ11は、後段で説明する操作スイッチおよび制御部を介して電源部14に接続されている。ファン12の回転軸方向において、モータ11は、ハウジング13の電源部14と同じ側に設置されていてもよいし(図2に示す例では左側)、反対側(図2に示す例では右側)に設置されていてもよい。ただし、配線のしやすさの観点から、モータ11がハウジング13の電源部14と同じ側(図2に示す例では左側)に設置されていることが好ましい。
【0016】
ファン12は、モータ11のシャフトに接続され、モータ11の駆動により回転する。ファン12の羽の数やそれぞれの羽の形状には制約がない。
【0017】
ハウジング13は、内部に少なくともモータ11およびファン12を収容し、ファン12の回転を阻害しない十分な大きさの空間を備えている。ハウジング13は、空調衣服の内側に位置する内部枠部13aと、空調衣服の外側に位置する外部枠部13bとで構成されており、内部枠部13aおよび外部枠部13bには、それぞれガードグリル13c、13dが設けられている。ガードグリル13c、13dは、気体の流動を阻害せず、かつ指などがファン12に接触しない程度の隙間を備える。
【0018】
本実施形態に係る送風装置10において、ファン12が回転すると、空調衣服外の気体が外部枠部13bのガードグリル13dを通じてハウジング13内に導入され、内部枠部13aのガードグリル13cを通じて空調衣服内に導入される。すなわち、本実施形態に係る送風装置10において、気体の流動方向はファンの回転軸方向と一致している。電源部14は、ハウジング13の内周面13Sで構成される円の内側にその少なくとも一部が存在するように配置されているので、送風装置10の稼働時には常に流動する気体と接触するので、冷却されやすくなる。
【0019】
ハウジング13の内部枠部13aおよび外部枠部13bの相互に対向する位置には、それぞれフランジ13e、13fと、雄ねじ13g、雌ねじ13hが設けられている。空調衣服の貫通孔に雄ねじ13gを挿入した状態で螺合し、空調衣服をフランジ13e、13fの間で挟み込むことによりハウジング13を空調衣服に取り付けることができる。フランジ13e、13fの外径は、空調衣服の貫通孔の内径より大きいため、送風装置10が空調衣服から脱落しない。ハウジング13を空調衣服に取り付ける構成については、このような構成に限定されず、クリップやねじなど、別の部材を用いて取り付ける構成でもよい。
【0020】
ハウジング13には、操作スイッチ(図示省略)および制御部(図示省略)が取り付けられていてもよい。操作スイッチは、少なくともオン・オフをするためのスイッチを備える。操作スイッチは、回転速度の調整をするためのスイッチを備えていてもよい。制御部は、操作スイッチによる入力に従ってモータ11の回転速度を調整することにより、空調衣服内に導入される気体の流通量を調整する。なお、操作スイッチおよび制御部は、ハウジング13内でケーブル等により接続されるため、ハウジング13の外部にケーブルが露出することがなく、ケーブルの損傷を回避できる。また、操作スイッチおよび制御部は、ファン12の回転軸方向において、ハウジング13の電源部14と同じ側に設置されていてもよいし、反対側に設置されていてもよい。ただし、配線のしやすさの観点から、操作スイッチおよび制御部がハウジング13の電源部14と同じ側に設置されていることが好ましい。
【0021】
電源部14は、少なくともバッテリ14aと、バッテリケース14bとを含む。操作スイッチ(図示省略)および制御部(図示省略)は、電源部14に取り付けられていてもよいし、電源部14に内蔵されていてもよい。電源部14は、空調衣服の内側のハウジング13(具体的には内部枠部13a)に設けられていてもよいし(例えば、図5参照)、空調衣服の外側のハウジング13(具体的には外部枠部13b)に設けられていてもよい(例えば、図2参照)。電源部14が空調衣服の内側に設けられている場合(例えば、図5参照)、電源部14により導入された空気を分流することができ、空調衣服内全体に気体を流通させやすい。一方、電源部14が空調衣服の外側に設けられている場合(例えば、図2参照)、電源部14の自重によりファン12の回転軸を上方に向けるため、空調衣服内全体に気体を流通させやすくなる。
【0022】
図4に示すように、ファン12の回転軸方向において、バッテリケース14bのハウジング13と接する端部を一端部140、ハウジング13から離間した端部を他端部141とするとき、一端部140はハウジング13と接する平面部140aと、湾曲部140b、140cを備えることが好ましい。電源部14が空調衣服の内側のハウジング13(具体的には内部枠部13a)に設けられている場合(例えば、図5参照)、このような構成のバッテリケース14bであれば、ファン12によって導入された気体の流通を妨げにくくなる。また、空調衣服の外側のハウジング13(具体的には外部枠部13b)に設けられている場合(例えば、図2参照)、このような構成のバッテリケース14bであれば、ファン12によって導入される気体の流通量の低減を抑制する。
【0023】
他端部141は、湾曲部141a、141bを備えることが好ましい。電源部14が空調衣服の内側のハウジング13(具体的には内部枠部13a)に設けられている場合(例えば、図5参照)、このような角がない構成のバッテリケース14bであれば、空調衣服の内部で着用者の腰などに接触したとしても傷つけにくい。また、空調衣服の外側のハウジング13(具体的には外部枠部13b)に設けられている場合(例えば、図2参照)、このような角がない構成のバッテリケース14bであれば、空調衣服の外部で着用者の腕などに接触したとしても傷つけにくい。また、衝撃を分散させやすく電源部14を破損しにくいというメリットもある。
【0024】
電源部14は、ファン12の回転軸の軸線上に存在するように配置されていることが好ましい。すなわち、電源部14は、線Aに交差する位置に配置されていることが好ましい(例えば、図2および図5参照)。このような構成であれば、使用時に電源部14を冷却しやすい。また、ファン12の回転軸方向の視野において、送風装置10の中心付近に電源部14を設置することになるので、また空調衣服を着用時に着用者の腕などと接触しにくい。電源部14が空調衣服の内側のハウジング13(具体的には内部枠部13a)に設けられている場合も同様である。
【0025】
図6に示すように、電源部14は、ファン12の回転軸方向視野において、ハウジング13の内周面13Sの内側に存在するように配置されていてもよい。このような構成であれば、使用時に電源部14を冷却しやすく、また空調衣服を着用時に着用者の腕などと接触しにくい。図6に示す例では、電源部14が空調衣服の外側のハウジング13(具体的には外部枠部13b)に設けられている例を示すが、電源部14が空調衣服の内側のハウジング13(具体的には内部枠部13a)に設けられている場合も同様である。
【0026】
図7に示すように、電源部14は、ファン12の回転軸の軸線から離れた位置に存在するように空調衣服の外側のハウジング13(具体的には外部枠部13b)に取り付けられていてもよい。このような構成であれば、使用時に電源部14を冷却しやすく、気体の流通を阻害しにくい。
【0027】
図8に示すように、電源部14は、ファン12の回転軸の軸線から離れた位置に存在するように空調衣服の内側のハウジング13(具体的には内部枠部13a)に取り付けられていてもよい。このような構成であれば、使用時に電源部14を冷却しやすく、気体の流通を阻害しにくい。また、送風装置10を空調衣服に取り付ける際に、電源部14の位置がファン12の回転軸の軸線より下方となるようにすれば、導入された気体を上方に流通させやすくなる。
【0028】
図9に示すように、電源部14は、少なくとも一部がハウジング13の外部枠部13bのガードグリル13d内に存在するように配置されていてもよい。このような構成であれば、使用時に電源部14を冷却しやすく、空調衣服の外部で着用者の腕などに接触したとしても傷つけにくい。図9に示す例のように、電源部14の一部がハウジング13の外部枠部13bのガードグリル13dの突出していてもよいし、突出していなくてもよい。突出していない場合には、空調衣服の外部で着用者の腕などをより傷つけにくい。突出している場合には、外部枠部13bの容積を増大させて使用感を阻害しにくい。
【0029】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)~(付記5)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0030】
(付記1)
空調衣服に形成された挿通孔に装着可能な送風装置であって、
モータと、
前記モータによって駆動するファンを回転可能に収容するハウジングと、
前記モータに電力を供給する電源部とを有し、
前記ファンの回転軸方向視野において、前記電源部の少なくとも一部が前記ハウジングの内側に存在するように配置した、
送風装置。
【0031】
(付記2)
前記電源部が、前記ファンの回転軸の軸線上に存在するように配置した、
付記1に記載の送風装置。
【0032】
(付記3)
前記電源部が、前記ハウジングの前記空調衣服の外側の位置に設けられた、
付記1に記載の送風装置。
【0033】
(付記4)
前記電源部が、前記ハウジングの前記空調衣服の内側の位置に設けられた、
付記1に記載の送風装置。
【0034】
(付記5)
前記電源部が、前記ファンの回転軸方向視野において、前記ハウジングの内周面に存在するように配置した、
付記1に記載の送風装置。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、電源の温度上昇を抑えることができるので、空調衣服用送風装置の性能劣化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 送風装置
11 モータ
12 ファン
13 ハウジング
13S 内周面
13a 内部枠部
13b 外部枠部
13c、13d ガードグリル
13e、13f フランジ
13g 雄ねじ
13h 雌ねじ
14 電源部
14a バッテリ
14b バッテリケース
140 一端部
140a 平面部
140b、140c 湾曲部
141 他端部
141a、141b 湾曲部
a1,a2 仮想線
A 仮想線(ファンの回転軸)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9