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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096632
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240709BHJP
【FI】
G06N20/00 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000272
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山村 祐介
(57)【要約】
【課題】諸元からのパルスのパターンを効果的にクラスタリングする情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、情報処理装置は、インターフェースと、プロセッサと、を備える。インターフェースは、パルスの時間間隔を示す二次元座標から構成されるパターンを取得する。プロセッサは、前記パターンから前記パターンの特徴量を示す特徴ベクトルを生成し、凸クラスタリング法で前記特徴ベクトルをクラスタリングする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスの時間間隔を示す二次元座標から構成されるパターンを取得するインターフェースと、
前記パターンから前記パターンの特徴量を示す特徴ベクトルを生成し、
凸クラスタリング法で前記特徴ベクトルをクラスタリングする、
プロセッサと、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記二次元座標は、前記パルスの前方のパルスとの時間間隔と、後方のパルスとの時間間隔と、を示す、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記二次元座標を含む凸多角形を導出し、
前記パターンの特徴量は、前記凸多角形に関連する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
二次元空間を所定の個数に分割し、
前記パターンの特徴量として、分割された各空間に含まれる、前記凸多角形の頂点の個数を算出する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記パターンの特徴量として、前記二次元座標の平均値を算出する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記パターンの特徴量として、前記二次元座標の最小値と最大値との差を算出する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
クラスタの混合比を算出し
前記混合比から対数尤度を算出し、
前記対数尤度の増分が所定の閾値より大きい場合、前記混合比を更新する、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記対数尤度の増分が前記所定の閾値以下になると、所定の閾値よりも小さい混合比のクラスタを除外する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
プロセッサによって実行される情報処理方法であって、
パルスの時間間隔を示す二次元座標から構成されるパターンを取得し、
前記パターンから前記パターンの特徴量を示す特徴ベクトルを生成し、
凸クラスタリング法で前記特徴ベクトルをクラスタリングする、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線でパルスを受信してパルスの送信元である諸元を識別する情報処理装置が提供されている。そのような情報処理装置は、受信パルスごとに、前方のパルスとの時間間隔と後方のパルスとの時間間隔とを二次元座標のパターンとして取得する。情報処理装置は、パターンをテンプレートなどとマッチングすることで諸元を識別する。
【0003】
情報処理装置は、テンプレートを作成するため類似のパターンを集めてクラスタリングすることがある。情報処理装置は、クラスタリングにk-means法等を用いる場合、クラスタ数を事前に決定する必要がある。しかしながら、クラスタ数が事前に判明することは、希である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-027447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するため、諸元からのパルスのパターンを効果的にクラスタリングする情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、情報処理装置は、インターフェースと、プロセッサと、を備える。インターフェースは、パルスの時間間隔を示す二次元座標から構成されるパターンを取得する。プロセッサは、前記パターンから前記パターンの特徴量を示す特徴ベクトルを生成し、凸クラスタリング法で前記特徴ベクトルをクラスタリングする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る分類システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る間隔分析装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る分類装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る分類システムが受信したパルスの例を示すグラフである。
図5図5は、実施形態に係るパターンを示すグラフである。
図6図6は、実施形態に係るパターンの平均値及び最大差の例を示すグラフである。
図7図7は、実施形態に係るパターンから凸多角形を生成する動作例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係るパターンの特徴量を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る分類装置の表示例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る間隔分析装置の動作例を示すフローチャートである。
図11図11は、実施形態に係る分類装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
実施形態に係る分類システムは、複数の諸元から無線でパルス(たとえば、スタガ変調)を受信する。分類システムは、1つの諸元から受信されるパルスのパターンを取得する。分類システムは、複数のパターンをクラスタリングする。
【0009】
たとえば、分類システムは、クラスタに基づいて諸元を識別するためのテンプレートなどを生成する。
【0010】
図1は、実施形態に係る分類システム1の構成例を示す。図1が示すように、分類システム1は、アンテナ2、間隔分析装置10及び分類装置20などから構成される。アンテナ2は、間隔分析装置10に接続する。間隔分析装置10は、分類装置20に接続する。
【0011】
アンテナ2は、無線でパルスを受信する。アンテナ2は、所定の周波数帯において電磁波を受信する。アンテナ2は、受信された電磁波を電圧に変換する。アンテナ2は、電磁波から変換された電圧を間隔分析装置10に供給する。
【0012】
たとえば、アンテナ2は、電磁波を電圧に変換するコンバータ及びコンバータに電磁波を集光する反射部材などから構成される。
【0013】
間隔分析装置10は、パルスごとに前方のパルスとの時間間隔と後方のパルスとの時間間隔とを示す二次元座標のパターンを生成する。間隔分析装置10は、パターンを分類装置20に供給する。間隔分析装置10については、後に詳述する。
【0014】
分類装置20(情報処理装置)は、間隔分析装置10から複数のパターンを取得する。分類装置20は、取得された複数のパターンをクラスタリングする。即ち、分類装置20は、複数のパターンをクラスタに分類する。分類装置20については、後に詳述する。
【0015】
次に、間隔分析装置10について説明する。
図2は、間隔分析装置10の構成例を示す。図2が示すように、間隔分析装置10は、プロセッサ11、ROM12、RAM13、NVM14、操作部15、表示部16、アンテナインターフェース17及び通信インターフェース18などを備える。
【0016】
プロセッサ11とROM12、RAM13、NVM14、操作部15、表示部16、アンテナインターフェース17及び通信インターフェース18とは、データバスなどを介して互いに接続する。
なお、間隔分析装置10は、図2が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、間隔分析装置10から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0017】
プロセッサ11は、間隔分析装置10全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ11は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ11は、内部メモリ、ROM12又はNVM14が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0018】
なお、プロセッサ11がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0019】
ROM12は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM12に記憶される制御プログラム及び制御データは、間隔分析装置10の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0020】
RAM13は、揮発性のメモリである。RAM13は、プロセッサ11の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM13は、プロセッサ11からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM13は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0021】
NVM14は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。たとえば、NVM14は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM14は、間隔分析装置10の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0022】
操作部15は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部15は、入力された操作を示す信号をプロセッサ11へ送信する。たとえば、操作部15は、マウス、キーボード又はタッチパネルなどから構成される。
【0023】
表示部16は、プロセッサ11からの画像データを表示する。たとえば、表示部16は、液晶モニタから構成される。なお、操作部15がタッチパネルから構成される場合、表示部16は、操作部15としてのタッチパネルと一体的に形成されるものであってもよい。
【0024】
アンテナインターフェース17は、アンテナ2に接続するためのインターフェースである。アンテナインターフェース17は、アンテナ2から供給される電圧(アナログ信号)を、当該電圧を示す信号(デジタル信号)に変換して、プロセッサ11に供給する。なお、アンテナインターフェース17は、プロセッサ11からの制御に従ってアンテナ2に制御信号などを送信するものであってもよい。
【0025】
通信インターフェース18は、分類装置20などとデータを送受信するインターフェースである。たとえば、通信インターフェース18は、ネットワークなどを介して分類装置20などに接続する。たとえば、通信インターフェース18は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)接続をサポートする。
【0026】
次に、分類装置20について説明する。
図3は、分類装置20の構成例を示す。図3が示すように、分類装置20は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、NVM24、操作部25、表示部26及び通信インターフェース27などを備える。
【0027】
プロセッサ21と、ROM22、RAM23、NVM24、操作部25、表示部26及び通信インターフェース27と、は、データバスなどを介して互いに接続する。
なお、分類装置20は、図3が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、分類装置20から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0028】
プロセッサ21は、分類装置20全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ21は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ21は、内部メモリ、ROM22又はNVM24が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0029】
なお、プロセッサ21がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ21は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0030】
ROM22は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM22に記憶される制御プログラム及び制御データは、分類装置20の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0031】
RAM23は、揮発性のメモリである。RAM23は、プロセッサ21の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM23は、プロセッサ21からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM23は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0032】
NVM24は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。たとえば、NVM24は、たとえば、HDD、SSD又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM24は、分類装置20の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0033】
操作部25は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部25は、入力された操作を示す信号をプロセッサ21へ送信する。たとえば、操作部25は、マウス、キーボード又はタッチパネルなどから構成される。
【0034】
表示部26は、プロセッサ21からの画像データを表示する。たとえば、表示部26は、液晶モニタから構成される。なお、操作部25がタッチパネルから構成される場合、表示部26は、操作部25としてのタッチパネルと一体的に形成されるものであってもよい。
【0035】
通信インターフェース27は、間隔分析装置10などとデータを送受信するインターフェースである。たとえば、通信インターフェース27は、ネットワークなどを介して間隔分析装置10などに接続する。たとえば、通信インターフェース27は、有線又は無線のLAN接続をサポートする。
【0036】
次に、間隔分析装置10が実現する機能について説明する。間隔分析装置10が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ、ROM12又はNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0037】
まず、プロセッサ11は、アンテナ2を通じてパルスを受信する機能を有する。
たとえば、プロセッサ11は、操作部15を通じて、パルスの受信を開始する操作の入力を受け付ける。当該操作の入力を受け付けると、プロセッサ11は、アンテナインターフェース17を通じて、アンテナ2が受信した電磁波の強度の取得を開始する。即ち、プロセッサ11は、アンテナ2を通じて、パルスを時系列で取得する。プロセッサ11は、所定の期間においてアンテナ2を通じて1つの諸元から複数のパルスを受信する。
【0038】
なお、プロセッサ11は、操作部15を通じて、アンテナ2が受信する電波の周波数帯を設定する操作の入力を受け付けてもよい。この場合、プロセッサ11は、アンテナインターフェース17を通じて、当該操作に従って、受信する電波の周波数帯をアンテナ2に設定してもよい。
【0039】
図4は、アンテナ2が受信した電磁波を示すグラフである。図4では、横軸は、時間を示し、縦軸は、アンテナ2が受信した電磁波の強度を示す。図4が示すように、アンテナ2は、パルスとして、一定の幅を持つ波(たとえば、矩形波)を受信する。アンテナ2は、1つの諸元から連続して複数のパルスを受信する。
【0040】
ここでは、プロセッサ11は、複数(n個)の諸元からそれぞれ複数のパルスを時系列で受信する。
【0041】
また、プロセッサ11は、1つの諸元から受信される複数のパルスの時間間隔を二次元座標に変換する機能を有する。
プロセッサ11は、1つの諸元から受信される複数のパルスから1つのパルスを設定する。パルスを設定すると、プロセッサ11は、設定されたパルスと設定されたパルスの直前に受信されたパルス(前方のパルス)との時間間隔(前方パルス時間間隔)を算出する。また、プロセッサ11は、設定されたパルスと設定されたパルスの直後に受信されたパルス(後方のパルス)との時間間隔(後方パルス時間間隔)を算出する。
【0042】
前方パルス時間間隔と後方パルス時間間隔とを算出すると、プロセッサ11は、設定されたパルスに対応する二次元の座標点として、前方パルス時間間隔をX座標、後方パルス時間間隔をY座標とする。即ち、プロセッサ11は、1つのパルスに対応する二次元の座標点を設定する。
【0043】
プロセッサ11は、各パルスにおいて同様に前方パルス時間間隔と後方パルス時間間隔とを算出して、各パルスに対応する二次元の座標点を設定する。
【0044】
即ち、プロセッサ11は、1つの諸元から受信される複数のパルスに基づいて、二次元座標から構成されるパターンPを生成する。
パターンPは、以下のように表現される。
【0045】
【数1】
【0046】
ここで、Nは、パターンPが持つ座標点の個数を示す。また、Piは、i番目の座標点を示す。(xi,yi)は、Piの二次元空間における座標を示す。
【0047】
図5は、パターンPの各座標点がプロットされている二次元座標空間を示す。図5では、X軸は、前方パルス時間間隔を示し、Y軸は、後方パルス時間間隔を示す。図5が示すように、パターンPの複数の座標点が二次元座標空間にプロットされている。
【0048】
なお、プロセッサ11は、パターンPを正規化するものであってもよい。パターンPが正規化されると、xi及びyiは、以下の範囲に収まる。
【0049】
【数2】
【0050】
プロセッサ11は、各諸元から受信されるパルスについてパターンPを生成する。即ち、プロセッサ11は、n個のパターンPを生成する。
【0051】
また、プロセッサ11は、n個のパターンPを分類装置20に送信する機能を有する。
たとえば、プロセッサ11は、操作部15を通じてパターンPを送信することを指示する操作を入力する。当該操作を入力すると、プロセッサ11は、通信インターフェース18を通じてn個のパターンPを分類装置20に送信する。
【0052】
また、プロセッサ11は、分類装置20からのリクエストに従ってn個のパターンPを分類装置20に送信してもよい。
【0053】
また、プロセッサ11は、所定のタイミングでn個のパターンPを分類装置20に送信するものであってもよい。また、プロセッサ11は、生成されたパターンPの個数がnに達した場合にn個のパターンPを分類装置20に送信してもよい。
【0054】
また、プロセッサ11は、1つのパターンPを生成する毎に生成されたパターンPを分類装置20に送信してもよい。
【0055】
次に、分類装置20が実現する機能について説明する。分類装置20が実現する機能は、プロセッサ21が内部メモリ、ROM22又はNVM24などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0056】
まず、プロセッサ21は、n個のパターンPを間隔分析装置10から取得する機能を有する。
【0057】
プロセッサ21は、通信インターフェース27を通じてn個のパターンPを間隔分析装置10から取得する。
【0058】
たとえば、プロセッサ21は、操作部25を通じてパターンPの分類を開始する操作などを入力する。当該操作を入力すると、プロセッサ21は、通信インターフェース27を通じてパターンPのリクエストを間隔分析装置10に送信するものであってもよい。プロセッサ21は、当該リクエストに対するレスポンスとしてn個のパターンPを間隔分析装置10から取得するものであってもよい。
【0059】
また、プロセッサ21は、1つのパターンPから1つの特徴ベクトルVを生成する機能を有する。
【0060】
特徴ベクトルVは、d個の特徴量v(v1乃至vd)から構成される。即ち、特徴ベクトルVは、以下の式で示される。
【0061】
【数3】
【0062】
まず、プロセッサ21は、パルス間隔の平均値と、パルス間隔の最大値と最小値との差(最大差)と、を算出する。
【0063】
図6は、平均値と最大差との例を示す。図6では、X軸は、前方パルス時間間隔を示し、Y軸は、後方パルス時間間隔を示す。図6が示すように、複数のパターンPの座標点が二次元座標空間にプロットされている。
【0064】
たとえば、プロセッサ11は、1つのパターンPから各座標のX座標及びY座標を取得する。プロセッサ11は、取得された複数のX座標及びY座標を平均して平均値を算出する。
【0065】
また、プロセッサ11は、取得された複数のX座標及びY座標から最大値と最小値とを取得する。プロセッサ11は、最大値から最小値を減算して最大差を算出する。また、プロセッサ11は、最大差に所定の係数を乗算してもよい。
【0066】
プロセッサ11は、平均値をv1とし、最大差(又は係数が乗算された最大差)をv2とする。
【0067】
また、プロセッサ11は、所定のアルゴリズムに従って、パターンPの座標点を含む凸多角形を導出する。たとえば、プロセッサ11は、ギフト包装法により凸多角形を導出する。
【0068】
図7は、プロセッサ11が凸多角形を導出する動作例を示す。図7では、X軸は、前方パルス時間間隔を示し、Y軸は、後方パルス時間間隔を示す。図7が示すように、1つのパターンPの座標点が二次元座標空間にプロットされている。
【0069】
たとえば、プロセッサ11は、パターンPから座標値が最も小さい座標点を注目点として抽出する。注目点を抽出すると、プロセッサ11は、注目点と他の座標点との偏角を求める。プロセッサ11は、最も偏角が大きい座標点を次の注目点とする。プロセッサ11は、最初の注目点に戻るまで上記の動作を繰り返す。プロセッサ11は、注目点を順になぞることで凸多角形を導出する。
【0070】
また、プロセッサ11は、パターンPが描写される二次元空間を縦にm個、横にm個に(m×mに)分割する。また、分割された領域をai(1≦i≦m×m)とする。
【0071】
図8は、プロセッサ11が二次元空間をm×mに分割する動作例を示す。図8が示す例では、プロセッサ11は、二次元空間を4×4に分割する。また、図8が示すように、分割された領域を領域a1乃至a16とする。
【0072】
プロセッサ11は、各領域aに含まれる、凸多角形の頂点の個数を算出する。図8では、プロセッサ11は、領域a3、a5、a6、a11及びa14(斜線が示す領域)に含まれる頂点の個数を1とする。また、プロセッサ11は、他の領域に含まれる頂点の個数を0とする。
【0073】
プロセッサ11は、v3乃至vd(凸多角形に関連する特徴量)を各領域aに含まれる頂点の個数とする。dは、領域aの個数+2である。図8の例では、プロセッサ11は、v3乃至v18を、領域a1乃至a16にそれぞれ含まれる頂点の個数とする。
【0074】
プロセッサ11は、同様に各パターンPについて特徴ベクトルVを生成する。プロセッサ11が各パターンPの特徴ベクトルVを算出する際に、mの値は、同一である。従って、各特徴ベクトルVの次元は、一致する。
【0075】
プロセッサ11は、n個のパターンPについて特徴ベクトルVを生成する。即ち、プロセッサ11は、n個の特徴ベクトルVを生成する。
【0076】
また、プロセッサ11は、n個の特徴ベクトルVをクラスタリングする機能を有する。
ここでは、プロセッサ11は、クラスタ数が不明であってもクラスタリングすることができる凸クラスタリング法によりn個の特徴ベクトルVをクラスタリングする。
【0077】
ここでは、n個の特徴ベクトルVは、未知のc個のクラスタω1,ω2,…ωcから構成されるものとする。また、クラスタωiの確率密度関数をd次元の正規分布とし、クラスタωiの混合比をπiとする。また、k番目の特徴ベクトルVkは、以下の混合正規分布に従って発生するものとする。
【0078】
【数4】
【0079】
ここで、μi、Σiは、それぞれクラスタωiの平均ベクトル(プロトタイプ)、共分散行列である。また、パラメータθは、以下の式で表される。
【0080】
【数5】
【0081】
凸クラスタリング法では、1)共分散行列は等方的且つ各クラスタで共通である、2)各クラスタのプロトタイプ(代表値)はパターン集合の中から選択する、という制約がある。
【0082】
1)の制約については、共分散行列Σiを対角成分がσ^2の対角行列とすることで充足される。σ^2は、オペレータからの操作などにより事前に設定される。
【0083】
2)の制約については、n個の特徴ベクトルVがそれぞれn個のクラスタのプロトタイプとなるような初期値を設定することで充足される。混合比πiを推定する過程で、プロセッサ21は、πiが0または閾値以下の値となったものを除外し、最終的に除外されなかったπiの数をクラスタ数とする。このため、クラスタ数c=n、プロトタイプμi=Viの制約に置き換えられる。
【0084】
以上を踏まえて、プロセッサ21は、以下の手順でクラスタωiの混合比πiを推定する。最終的に除外されなかったπiの添え字iが判明すれば、クラスタωiのプロトタイプμiも決定される。
【0085】
まず、混合比πiについて以下が成立する。
【0086】
【数6】
【0087】
また、
【0088】
【数7】
【0089】
であるから、クラスタωiの確率密度関数は、以下の式で表される。
【0090】
【数8】
【0091】
混合比πiの初期値は、πi=1/nで与えられる。プロセッサ21は、以下の式より
【0092】
【数9】
【0093】
を求める。
【0094】
【数10】
【0095】
プロセッサ21は、πiに
【0096】
【数11】
【0097】
を代入する。πiを算出すると、プロセッサ21は、以下の式に従って対数尤度を算出する。
【0098】
【数12】
【0099】
プロセッサ21は、対数尤度の増分が所定の閾値よりも大きければ、式(1)に従ってπiを更新する。πiを更新すると、プロセッサ21は、式(2)に従って対数尤度を算出する。プロセッサ21は、対数尤度の増加分が所定の閾値以下になるまで上記の動作を繰り返す。
【0100】
プロセッサ21は、対数尤度の増加分が所定の閾値以下であればπiの計算を終了する。
【0101】
πiの計算を終了すると、プロセッサ21は、0又は所定の閾値以下であるπiを除外する。プロセッサ21は、残ったπiに対応するクラスタωiを特徴ベクトルVのクラスタとして取得する。即ち、プロセッサ21は、残ったπiに対応するクラスタωiをパターンPのクラスタとして取得する。
【0102】
次に、プロセッサ21は、特徴ベクトルVのクラスタωiを出力する機能を有する。
たとえば、プロセッサ21は、クラスタωi、プロトタイプμi及び特徴ベクトルVを表示部26に表示する。
【0103】
図9は、プロセッサ21がクラスタωi、プロトタイプμi及び特徴ベクトルVを表示する表示画面の例を示す。図9では、横軸は、v1を示す。また、縦軸は、v2を示す。
【0104】
図9が示すように、プロセッサ21は、円としてクラスタωiを表示する。プロセッサ21は、クラスタωiを、確率密度関数の値がσ以下である領域を示す円として表示する。
【0105】
また、プロセッサ21は、クラスタωiに重ねて特徴ベクトルVをプロットする。また、プロセッサ21は、特徴ベクトルが各クラスタωiに所属する確率を表示するものであってもよい。
また、プロセッサ21は、クラスタωiに対応するプロトタイプμiを表示する。
【0106】
また、プロセッサ21は、通信インターフェース27を通じて、特徴ベクトルVのクラスタωiを外部装置に送信するものであってもよい。プロセッサ21は、通信インターフェース27を通じて、特徴ベクトルVのクラスタωi、プロトタイプμi及び、特徴ベクトルが各クラスタωiに所属する確率などを外部装置に送信するものであってもよい。
【0107】
また、プロセッサ21は、特徴ベクトルVのクラスタωiをNVM24に保存するものであってもよい。プロセッサ21は、特徴ベクトルVのクラスタωi、プロトタイプμi及び、特徴ベクトルが各クラスタωiに所属する確率などをNVM24に保存するものであってもよい。
【0108】
次に、分類システム1の動作例について説明する。
まず、間隔分析装置10の動作例について説明する。
図11は、間隔分析装置10の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0109】
間隔分析装置10のプロセッサ11は、アンテナ2を通じて諸元からパルスを受信する(S11)。パルスを受信すると、プロセッサ11は、パルス時間間隔を算出する(S12)。
【0110】
パルス時間間隔を算出すると、プロセッサ11は、パターンPを生成する(S13)。パターンPを生成すると、プロセッサ11は、通信インターフェース18を通じて、生成されたパターンPを分類装置20に送信する(S14)。
【0111】
生成されたパターンPを分類装置20に送信すると、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0112】
なお、プロセッサ11は、S14において、n個のパターンPを分類装置20に送信してもよい。また、プロセッサ11は、1つのパターンPを分類装置20に随時送信するものであってもよい。
【0113】
次に、分類装置20の動作例について説明する。
図11は、分類装置20の動作例について説明するためのフローチャートである。
分類装置20のプロセッサ21は、通信インターフェース27を通じて、n個のパターンPを取得する(S21)。n個のパターンPを取得すると、プロセッサ21は、各パターンPの平均値及び最大差を算出する(S22)。
【0114】
各パターンPの平均値及び最大差を算出すると、プロセッサ21は、各パターンPの各座標点を含む凸多角形を導出する(S23)。凸多角形を導出すると、プロセッサ21は、各パターンPにおいて、各領域aに含まれる頂点の個数を算出する(S24)。
【0115】
各領域aに含まれる頂点の個数をカウントすると、プロセッサ21は、各パターンPの特徴ベクトルVを生成する(S25)。特徴ベクトルVを生成すると、プロセッサ21は、混合比πiの初期値を設定する(S26)。
【0116】
混合比πiの初期値を設定すると、プロセッサ21は、式(1)に従って混合比πiを更新する(S27)。混合比πiを更新すると、プロセッサ21は、式(2)に従って対数尤度を算出する(S28)。
【0117】
対数尤度を算出すると、プロセッサ21は、対数尤度の増分が所定の閾値以下であるかを判定する(S29)。対数尤度の増分が所定の閾値以下でないと判定すると(S29、NO)、プロセッサ21は、S27に戻る。
【0118】
対数尤度の増分が所定の閾値以下であると判定すると(S29、YES)、プロセッサ21は、クラスタωiを出力する(S30)。
クラスタωiを出力すると、プロセッサ21は、動作を終了する。
【0119】
なお、プロセッサ21は、クラスタωiに属する特徴ベクトルVに対応するパターンPからテンプレートを生成するものであってもよい。
【0120】
また、間隔分析装置10と分類装置20とは、一体的に構成されるものであってもよい。
また、分類装置20は、パターンPから特徴ベクトルVを生成する装置と特徴ベクトルVをクラスタリングする装置とから構成されるものであってもよい。
【0121】
以上のように構成された分類システムは、諸元から受信されたパルスの時間間隔を示すパターンを生成する。分類システムは、パターンの特徴量を示す特徴ベクトルを生成する。分類システムは、クラスタ数が不明であってもクラスタリングすることができるアルゴリズムで特徴ベクトルをクラスタリングする。その結果、分類システムは、パルスのパターンを効果的に分類することができる。
【0122】
本実施形態に係るプログラムは、電子機器に記憶された状態で譲渡されてよいし、電子機器に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記憶媒体に記憶された状態で譲渡されてもよい。記憶媒体は、非一時的な有形の媒体である。記憶媒体は、コンピュータ可読媒体である。記憶媒体は、CD-ROM、メモリカード等のプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1…分類システム、2…アンテナ、10…間隔分析装置、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…NVM、15…操作部、16…表示部、17…アンテナインターフェース、18…通信インターフェース、20…分類装置、21…プロセッサ、22…ROM、23…RAM、24…NVM、25…操作部、26…表示部、27…通信インターフェース、a…領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11