(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096643
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電力システム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/20 20060101AFI20240709BHJP
H02J 9/00 20060101ALI20240709BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H02H3/20 A
H02J9/00
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000293
(22)【出願日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】522095610
【氏名又は名称】株式会社力電
(74)【代理人】
【識別番号】100150153
【弁理士】
【氏名又は名称】堀家 和博
(72)【発明者】
【氏名】本家 正雄
【テーマコード(参考)】
5G004
5G015
5G066
【Fターム(参考)】
5G004AA01
5G004AB01
5G004BA01
5G004CA02
5G004DA01
5G004FA00
5G015FA02
5G015GB01
5G015JA60
5G066AA09
5G066AE07
5G066HA10
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】地絡過電圧継電部へ停電時に電源電力を供給するコンデンサ装置を設けて「停電時における地絡過電圧状態の検知」などを実現する。
【解決手段】発電部2、変換部3、変圧器4及び系統接続部5を有した電力システム1は、零相電圧検出器7からの零相出力電流Zに基づき地絡過電圧状態を検知する地絡過電圧継電部8へ停電時に電源電力を供給するコンデンサ装置9を有する。又、計器用変圧器10からの変圧出力電流S及びセンサ変流器11からのセンサ出力電流Bに基づき逆電力発生状態を検知する逆電力継電部12を有したり、地絡過電圧継電部8が地絡過電圧状態を検知した際や逆電力継電部12が逆電力発生状態を検知した際に変換部3の変換を停止させたり、地絡過電圧継電部8及び逆電力継電部12と高圧電路6Hの電力等を算出する算出部13を1つの装置筐体14内に設けても良い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電部(2)と、前記発電部(2)からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流(L)に変換する変換部(3)と、前記変換部(3)からの低圧交流電流(L)をより高圧な高圧交流電流(H)に変圧する変圧器(4)と、前記変圧器(4)を系統(K)に接続する系統接続部(5)を有した電力システムであって、
前記系統接続部(5)は、
前記変圧器(4)と系統(K)の間を接続し且つ高圧交流電流(H)を流す高圧電路(6H)と、
前記高圧電路(6H)に設けられた零相電圧検出器(7)と、
前記零相電圧検出器(7)からの零相出力電流(Z)を流す零相出力電路(6Z)に接続され且つ前記零相出力電流(Z)に基づいて地絡過電圧状態を検知する地絡過電圧継電部(8)と、
前記地絡過電圧継電部(8)へ電源電力を供給するコンデンサ出力電路(6D)に接続され且つ前記地絡過電圧継電部(8)へ停電時に電源電力を供給するコンデンサ装置(9)を有していることを特徴とする電力システム。
【請求項2】
前記系統接続部(5)は、
前記高圧電路(6H)に設けられ且つ前記高圧電路(6H)に流れる高圧交流電流(H)をより低圧な変圧出力電流(S)に変圧する計器用変圧器(10)と、
前記高圧電路(6H)に設けられ且つ前記高圧電路(6H)に流れる高圧交流電流(H)からより小電流のセンサ出力電流(B)を出力するセンサ変流器(11)と、
前記計器用変圧器(10)からの変圧出力電流(S)を流す変圧出力電路(6S)及び前記センサ変流器(11)からのセンサ出力電流(B)を流すセンサ出力電路(6B)に接続され且つ前記変圧出力電流(S)及びセンサ出力電流(B)に基づいて逆電力発生状態を検知する逆電力継電部(12)を有していることを特徴とする請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電力システムにおける前記地絡過電圧継電部(8)が地絡過電圧状態を検知した際に、前記変換部(3)への信号を介して、前記変換部(3)の変換を停止させる、及び/又は、
請求項2に記載の電力システムにおける前記逆電力継電部(12)が逆電力発生状態を検知した際に、前記変換部(3)への信号を介して、前記変換部(3)の変換を停止させることを特徴とする電力システム。
【請求項4】
前記地絡過電圧継電部(8)及び逆電力継電部(12)と、
前記変圧出力電流(S)及びセンサ出力電流(B)に基づいて前記高圧電路(6H)における電力を少なくとも算出する算出部(13)を、
1つの装置筐体(14)内に設けていることを特徴とする請求項2に記載の電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電部、変換部、変圧器、及び、系統接続部を有した電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電源が発電した電力を商用系統と連系可能とするパワーコンディショナを含む発電システムに用いられるパワーコンディショナを遠隔操作するシステムが知られている(特許文献1参照)。
このシステムは、前記発電システムの状態を監視する監視装置と、前記監視装置及び前記パワーコンディショナにシーケンス制御可能に接続される遠隔操作補助装置と、前記監視装置と接続され、前記パワーコンディショナの状態を制御する制御手段と、前記パワーコンディショナに配設され、前記商用系統側における第一の異常を検出可能な第一検出部と、を備え、前記制御手段は、前記監視装置、前記遠隔操作補助装置を介して、前記第一検出部に前記第一の異常の異常検出信号とは異なる操作信号を送信し、シーケンス制御により、前記パワーコンディショナを運転状態から停止状態とする場合と、前記パワーコンディショナを停止状態から運転状態とする場合と、がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムは、前記第一の異常が、地絡過電圧であり、前記第一検出部が、地絡過電圧継電器からの前記異常検出信号を受信可能としているところ、実際のシステム(系統)には、地絡と共に停電も発生し得ることから、地絡及び停電が発生した場合、これと同時に、地絡過電圧継電器への電力供給も止まるため、地絡過電圧継電器からの異常検出信号を出力することが出来ない問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑み、地絡過電圧継電部へ停電時に電源電力を供給するコンデンサ装置を設けることで、「停電時における地絡過電圧状態の検知」などを実現し得る電力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電力システム1は、発電部2と、前記発電部2からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する変換部3と、前記変換部3からの低圧交流電流Lをより高圧な高圧交流電流Hに変圧する変圧器4と、前記変圧器4を系統Kに接続する系統接続部5を有した電力システムであって、前記系統接続部5は、前記変圧器4と系統Kの間を接続し且つ高圧交流電流Hを流す高圧電路6Hと、前記高圧電路6Hに設けられた零相電圧検出器7と、前記零相電圧検出器7からの零相出力電流Zを流す零相出力電路6Zに接続され且つ前記零相出力電流Zに基づいて地絡過電圧状態を検知する地絡過電圧継電部8と、前記地絡過電圧継電部8へ電源電力を供給するコンデンサ出力電路6Dに接続され且つ前記地絡過電圧継電部8へ停電時に電源電力を供給するコンデンサ装置9を有していることを第1の特徴とする。
【0007】
本発明に係る電力システム1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記系統接続部5は、前記高圧電路6Hに設けられ且つ前記高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hをより低圧な変圧出力電流Sに変圧する計器用変圧器10と、前記高圧電路6Hに設けられ且つ前記高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hからより小電流のセンサ出力電流Bを出力するセンサ変流器11と、前記計器用変圧器10からの変圧出力電流Sを流す変圧出力電路6S及び前記センサ変流器11からのセンサ出力電流Bを流すセンサ出力電路6Bに接続され且つ前記変圧出力電流S及びセンサ出力電流Bに基づいて逆電力発生状態を検知する逆電力継電部12を有している点にある。
【0008】
本発明に係る電力システム1の第3の特徴は、第1の特徴の電力システムにおける前記地絡過電圧継電部8が地絡過電圧状態を検知した際に、前記変換部3への信号を介して、前記変換部3の変換を停止させる、及び/又は、第2の特徴の電力システムにおける前記逆電力継電部12が逆電力発生状態を検知した際に、前記変換部3への信号を介して、前記変換部3の変換を停止させる点にある。
【0009】
本発明に係る電力システム1の第4の特徴は、上記第2の特徴に加えて、前記地絡過電圧継電部8及び逆電力継電部12と、前記変圧出力電流S及びセンサ出力電流Bに基づいて前記高圧電路6Hにおける電力を少なくとも算出する算出部13を、1つの装置筐体14内に設けている点にある。
【0010】
これらの特徴により、零相電圧検出器7からの零相出力電流Zに基づいて地絡過電圧状態を検知する地絡過電圧継電部8へ停電時に電源電力を供給するコンデンサ装置9を有することによって、特許文献1とは異なり、地絡と共に停電も発生した場合でも、地絡過電圧継電部8への電力供給は止まらず、地絡過電圧継電部からの信号を出力することが可能となり、停電時であっても地絡過電圧状態の検知が実現する。
【0011】
又、計器用変圧器10からの変圧出力電流S及びセンサ変流器11からのセンサ出力電流Bに基づいて逆電力発生状態を検知する逆電力継電部12を有することによって、発電部2で発電した電力が、変換部3や変圧器4、系統接続部5を介して、系統Kへ逆流することを防止・低減し得る。
【0012】
更に、地絡過電圧継電部8が地絡過電圧状態を検知した際や、逆電力継電部12が逆電力発生状態を検知した際に、変換部3への信号を介して、変換部3の変換を停止させることによって、変換部3を介しての発電部2で発電した電力が、系統Kへ逆流することを防止できると共に、変換部3の変換を停止した場合には、当該変換停止を再開する際に、変換部3からの出力を系統Kの電圧及び位相等に合わせる必要はないため、変換部3から系統Kまでの電路における何れかを遮断した場合と比べて、電力システム1の復帰がより短時間で、より手間なく行うことが可能となるとも言える。
【0013】
そして、地絡過電圧継電部8及び逆電力継電部12と、高圧電路6Hの電力等を算出する算出部13を、1つの装置筐体14内に設けることによって、1つの装置筐体14内に設けた分だけ「省スペース化」が図られ、その他の機器を設置するスペースが十分に確保できる。
これと共に、継電部と算出部を別々の機器で行った場合は、継電部と算出部ごとで発生する微小な誤差が異なるため、例えば、継電部側だけが勝手に逆電力発生状態などを検知する」誤動作が生じることがなく、誤動作の低減が図れる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電力システムによると、地絡過電圧継電部へ停電時に電源電力を供給するコンデンサ装置を設けることで、「停電時における地絡過電圧状態の検知」などを実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る電力システムを示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<電力システム1の全体構成>
図1に示されたように、本発明に係る電力システム1は、後述する発電部2と、変換部3と、変圧器4と、系統接続部5を有し、系統接続部5内に、後述する高圧電路6Hと、零相電圧検出器7と、零相出力電路6Zと、地絡過電圧継電部8と、コンデンサ出力電路6Dと、コンデンサ装置9を有している。
電力システム1は、系統接続部5内に、後述する計器用変圧器10と、センサ変流器11と、変圧出力電路6Sと、センサ出力電路6Bと、逆電力継電部12を有していても良い。
電力システム1は、系統接続部5内に、後述する算出部13と、装置筐体14を有していても良い。
【0017】
更に、電力システム1は、後述する発電遮断器21や、負荷22(動力負荷22a、電灯負荷22b)、負荷変圧器23、負荷遮断器24を有していても良い。
その他、電力システム1は、系統接続部5と系統Kの間の電路(高圧電路6H)に、取引用変成器(Voltage and Current Transformer、VCT)31aを有していても良く、図示しない買電用電力量計や、売電用電力量計、柱上気中開閉器(Pole Air Switches、PAS)、柱上気中開閉器に付属する保護継電器装置(Storage Over Current Ground、SOG)などを有していても良い。又、柱上気中開閉器は、別途、計器用変圧器や、零相電圧検出器、避雷器を内蔵していても良い。
これらの取引用変成器31aや、買電用電力量計、売電用電力量計、柱上気中開閉器、保護継電器装置は、後述する系統K側(電力会社側)のシステムが有していることとしても良い。
【0018】
ここで、本発明における電流、電圧、電力、容量は、定格範囲の値であっても良く、この場合、定格電流、定格電圧、定格電力、定格容量と言える。これら定格電流等とは、電気製品を安全に使用するために製造者によって補償された電流等の限度値であるとも言え、更に、定格とは、機器や装置で、安全・適性な動作が保証される使用限度や条件であるとも言える。
本発明における電流が交流の場合、電流の値(電流値)、電圧の値(電圧値)、電力の値(電力値)、容量の値(容量値)は、実効値であっても良い。
尚、本発明における「電路」とは、電気(電流)を流すものであって、銅、アルミニウム、銀、金、ニクロム等の導体や、この導体を絶縁物で覆ったケーブル、一般的な電線などを含む。
【0019】
<発電部2>
図1に示されたように、発電部2は、発電をする部分であり、何れの構成でも良く、例えば、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、太陽熱発電、大気中の熱その他の自然界に存する熱による発電、バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの)による発電などを行うものであっても良い。
この他、発電部2は、海洋温度差や波力、潮流(海流)、潮汐による発電を行うものであっても良い。
【0020】
1つの電力システム1において、発電部2の個数は、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良い。
発電部2の発電力(容量)も、特に限定はないが、例えば、100kW以上30000kW以下、好ましくは300kW以上20000kW以下、更に好ましくは500kW以上10000kW以下であっても良い。
以下は、特に、太陽光発電を行う太陽光発電部2について述べる。
【0021】
太陽光発電部2は、太陽電池2aを備えている。
この他、太陽光発電部2は、日射強度を測定する日射計や、太陽電池2aや接続箱等からの直流電流を集めて、後述する変換部3へ送る集電部などを有していても良い。
太陽光発電部2における太陽電池2aは複数であっても良く、これら複数の太陽電池2aが直列に繋がって太陽電池ストリングを形成していても良い。
太陽光発電部2において、複数の太陽電池ストリングが並列に接続された接続箱を有していても良く、このような接続箱は複数であっても構わない。
【0022】
<太陽電池2a>
図1に示されたように、太陽電池2aそれぞれは、光が照射されることによって、+極と-極の間に直流電力を発生する。太陽電池2aは、通常パネル状であり、その設置する際の角度によって、発電量が異なる。
太陽電池2aは、設置個所に対して、架台(図示せず)等を介して所定の角度にて設置されていても良く、この場合、架台の下を、芝生の育成値や農作物の耕作地などとしても構わない。
又、複数ある太陽電池2aのうち、ある太陽電池2aの+極に別の太陽電池2aの-極を接続し、別の太陽電池2aの+極にまた別の太陽電池2aの-極を接続し、以下、これを繰り返して、複数の太陽電池2aを直列に接続して、1本の太陽電池ストリングとなる。
【0023】
このように、複数の太陽電池2aが直列に繋がった太陽電池ストリング全体としての+極と、-極の間の電圧は、各太陽電池2aで発生された直流電圧の和であって、天候、時刻などで変動する。太陽電池ストリングの電力出力端から出力される電力は、各太陽電池2aの電力の和であって、500W以上6000W以下となっても良い。
上述した複数の太陽電池ストリングが、1個の接続箱へ並列に接続されている。従って、それぞれの太陽電池ストリングの+極と-極の間の電圧は、同一となる。
但し、1個の接続箱に対して、複数の太陽電池ストリングの電流が流れ込み、接続箱に集まる電力は、2.5kW以上90kW以下であっても良い。
【0024】
<変換部3>
図1に示されたように、変換部3は、上述した発電部2からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する部分である。
変換部3は、太陽電池2aからの直流電流を交流電流に変換するインバータ等を備えていても良く、その他、このインバータが変換する交流の電圧や周波数を制御する制御機や、気中遮断機(ACB)等を備えていても構わない。
尚、変換部3は、パワコン(パワーコンディショナーの略)とも呼ばれる。
1つの電力システム1において、変換部3の個数は、特に限定はないが、例えば、複数(例えば、4つや5つなど)であったり、1つであっても良い。
【0025】
変換部3の変換できる変換電力(容量)も、特に限定はないが、例えば、30kW以上10000kW以下、好ましくは50kW以上5000kW以下、更に好ましくは100kW以上2000kW以下(250kWや、500kWなど)であっても良い。
尚、変換部3の変換電力は、上述した太陽光発電部2としての発電力より小さく(換言すれば、発電力が、変換電力より大きく)とも良く、この場合、太陽電池2aは、変換部3に対して過積載であるとも言える。
その他、変換部3は、不足電圧継電器(Under Voltage Relay、UVR)や、過電圧継電器(Over Voltage Relay、OVR)、不足周波数継電器(Under Frequency Relay、UFR)、過周波数継電器(Over Frequency Relay、OFR)を有していたり、受動的方式や能動的方式の単独運転保護装置を有していても良い。
【0026】
<変圧器4>
図1に示されたように、変圧器4は、上述した変換部3からの低圧交流電流Lを、より高圧な高圧交流電流Hに変圧(昇圧)する機器であり、所謂、トランスである。尚、トランスとは、トランスフォーマーの略である。尚、変圧器4は、変換部3を介して発電部2からの電流を変圧することから、発電変圧器であるとも言える。
1つの電力システム1において、変圧器4の個数は、特に限定はないが、例えば、複数(例えば、2つなど)であったり、1つであっても良い。
又、変圧器4は、後述する電力システム1においては、系統K(高圧電路6H側)と変換部3(低圧電路6L側)の間に接続されることとなるとも言える。
変圧器4の容量(単位はVA、連続定格)も、特に限定はないが、例えば、50kVA以上2000kVA以下、好ましくは100kVA以上1500kVA以下、更に好ましくは200kVA以上1000kVA以下(300kVAや、500kVAなど)であっても良い。
【0027】
変圧器4は、その構成に限定はないが、例えば、二巻線変圧器であったり、三巻線変圧器であったり、四巻線以上の変圧器であっても良い。
以下、変圧器4は、二巻線変圧器であるとして主に述べる。
二巻線変圧器である変圧器4は、例えば、その1次側は高圧電路6H側であり、その2次側が低圧電路6L側であっても良く、この場合、具体的な値は特に制限はないが、例えば、高圧電路6H側である1次側の電圧は、5000V以上40000V以下、好ましくは5500V以上30000V以下、更に好ましくは6000V以上25000V以下(6600Vや、22000Vなど)であったり、低圧電路6L側である2次側の電圧は、10V以上1000V以下、好ましくは50V以上800V以下、更に好ましくは100V以上600V以下(210Vや、105V~210Vなど)であっても構わない。
【0028】
変圧器4は、その1、2次側の結線方式についても特に制限はないが、例えば、高圧電路6H側である1次側が星型結線(Y結線)で、低圧電路6L側である2次側が三角形結線(Δ結線)で(つまり、Y-Δ結線)であっても良く、その他、1次側・2次側の順で、Y-Y結線やΔ-Y結線、Δ-Δ結線であっても構わない。
変圧器4は、油入式変圧器(自冷式や風冷式、水冷式など)であったり、乾式変圧器(自冷式や風冷式、水冷式など)であっても良く、その他、混触防止板が付いていたり、B種接地であっても構わない。
【0029】
<系統接続部5>
図1に示されたように、系統接続部5は、上述した変圧器4を系統Kに接続する部分である。
系統接続部5は、上述したように、後述する高圧電路6Hと、零相電圧検出器7と、零相出力電路6Zと、地絡過電圧継電部8と、コンデンサ出力電路6Dと、コンデンサ装置9等を有している。
系統接続部5は、上述したように、後述する計器用変圧器10と、センサ変流器11と、変圧出力電路6Sと、センサ出力電路6Bと、逆電力継電部12を有していたり、後述する算出部13と、装置筐体14を有していても良い。
系統接続部5は、後述する真空遮断器5aや、断路器5b、負荷開閉器5cを有していたり、その他、後述する過電流継電器5dや、計器用変流器11aを有していても構わない。
【0030】
<真空遮断器5a、断路器5b、負荷開閉器5c、過電流継電器5d>
図1に示されたように、真空遮断器(Vacuum Circuit Breaker 、VCB)5aは、後述する高圧電路6Hに設けられ、高圧交流電流H(負荷電流)が流れた状態の高圧電路6Hを(三相3線一括で)開閉する機器であり、真空バルブの中でアーク消弧させる。
真空遮断器5aは、例えば、後述する計器用変圧器10(変圧分岐電路6S’の分岐点)とセンサ変流器11(又は、計器用変流器11a)の間に設けられていても良い。又、真空遮断器5aは、電動ばね操作(キャパシタトリップ)方式であっても良い。
図1に示されたように、断路器(Disconnecting Switch 、DS)5bは、後述する高圧電路6Hに設けられ、高圧交流電流H(負荷電流)が流れていない状態の高圧電路6Hを開閉する機器であって、断路器5bには、電流を遮断する機能はなく、別の遮断器で電流を遮断してから、断路器5bの開閉を行う。断路器5bは、例えば、計器用変圧器10(変圧分岐電路6S’の分岐点)と系統K(又は、取引用変成器31a)の間に設けられていても良い。又、断路器5bの開閉は、フック操作にて行っても良い。
【0031】
図1に示されたように、負荷開閉器(Load Break Switch、LBS)5cは、後述する高圧電路6Hに設けられても良く、高圧交流電流H(負荷電流)が流れた状態の高圧電路6Hを(三相3線一括で)開閉する機器であり、高圧交流負荷開閉器とも呼ばれる。負荷開閉器5cは、電力ヒューズ(4つなど)を有していても良い。又、負荷開閉器5cは、絶縁バリア付であったり、負荷開閉器5cの開閉は、フック操作にて行っても良い。1つの電力システム1において、負荷開閉器5cの個数も、特に限定はないが、例えば、複数(例えば、2つなど)であったり、1つであっても良く、又、変圧器の個数(上述した変圧器(発電変圧器)4や、後述する負荷変圧器23を合わせた個数)と同じ数であっても構わない。以下、負荷開閉器5cの個数は、2つであるとして主に述べる。2つの負荷開閉器5cは、例えば、センサ変流器11(又は、計器用変流器11a)と、各変圧器(発電変圧器4、負荷変圧器23)の間で分岐した高圧電路6Hに、それぞれ設けられていても良い。
図1に示されたように、過電流継電器(Over Current Relay、OCR)5dは、系統接続部5が計器用変流器11aを有する場合、後述する変流出力電路6Rを介して計器用変流器11aに接続され、計器用変流器11aから出力された変流出力電流R(高圧電路6Hに流れる低圧交流電流Lに応じた、より低圧の変流出力電流R)が入力され、その変流出力電流Rが、一定の値(動作電流の値)を、一定の時間(動作時間約1秒など)超えた際に、所定の動作をする(例えば、上述した変換部3の変換を停止する等の停止信号を出力等する)機器である。1つの電力システム1において、過電流継電器5dの個数と、上述した計器用変流器11aの個数は同じであり、その個数は、1つ又は複数であっても良い。過電流継電器5dの電源は、無停電電源装置(図示せず)などに接続されて、当該無停電電源装置などから入力される。
【0032】
<高圧電路6H、低圧電路6L>
図1に示されたように、高圧電路6Hは、上述した変圧器4と系統Kの間を接続して、高圧交流電流Hを流す電路であり、高圧ケーブルであるとも言える。尚、高圧電路6Hは、途中で(例えば、センサ変流器11(又は、計器用変流器11a)と変圧器4の間で)、変圧器4と、後述する負荷変圧器23それぞれに分岐していても良く、これらそれぞれ分岐した電路も、高圧交流電流Hを流すことから、高圧電路6Hであると言える。高圧電路6Hは、三相3線(3φ3W)や単相3線(1φ3W)等であれば3本1組となり、単相2線(1φ2W)等であれば2本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
その他、
図1に示されたように、低圧電路6Lは、上述した変換部3と変圧器4の間を接続して、低圧交流電流Lを流す電路であり、低圧ケーブルであるとも言える。尚、低圧電路6Lも、途中で(例えば、変圧器4と変換部3の間で)、変換部3の個数に応じて、変換部3それぞれに分岐していても良く、これらそれぞれ分岐した電路も、低圧交流電流Lを流すことから、低圧電路6Lであると言える。その他、変圧器4と後述の負荷22(動力負荷22a)の間の電路や、後述する負荷変圧器23と負荷22(電灯負荷22b)の間の電路も、低圧交流電流Lを流すことから、低圧電路6Lであると言える。低圧電路6Lも、三相3線(3φ3W)や単相3線(1φ3W)等であれば3本1組となり、単相2線(1φ2W)等であれば2本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
【0033】
<零相電圧検出器7など>
図1に示されたように、零相電圧検出器(Zero Phase Potential Device 、ZPD)7は、上述した高圧電路6Hに設けられ、電力システム1における高圧電路6H側等のシステム(系統K側も含む)における何れかに地絡(三相3線中の完全1線地絡など)が発生して、高圧電路6H側に零相電圧が発生したか否かを検出する機器である。尚、零相電圧検出器7は、零相計器用変圧器(Zero Phase Voltage Transformer、ZVT)等とも呼ばれる。
零相電圧検出器7から、後述する地絡過電圧継電部8までの間の電路は、零相出力電路6Zであり、零相出力電路6Zは、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
零相出力電路6Zにおいて、零相電圧検出器7が零相電圧を検出した際には、電力システム1等に発生した零相電圧に応じた、より低圧の電圧(例えば、約1Vや、約6~9Vなど)の零相出力電流Zが、零相電圧検出器7から出力され、零相出力電路6Zに流れる。
その他、零相電圧検出器7は、コンデンサを内蔵して分圧しても良く、又、A種接地であっても構わない。
【0034】
尚、「零相電圧検出器7が高圧電路6Hに設けられる」とは、零相電圧検出器7が、高圧電路6Hから分岐する零相分岐電路6Z’に接続されることを意味し、この零相分岐電路6Z’は、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
零相分岐電路6Z’は、高圧電路6Hの何れから分岐しても良いが、例えば、高圧電路6Hにおける負荷開閉器5cと変圧器4の間から分岐しても構わない。
【0035】
<地絡過電圧継電部8>
図1に示されたように、地絡過電圧継電部8は、上述した零相出力電路6Zを介して零相電圧検出器7に接続され、零相出力電流Zに基づいて地絡過電圧状態を検知する部分であって、この地絡過電圧継電部8が、地絡過電圧状態を検知した際には、上述した変換部3の変換を停止する等の信号を出力しても良い。
ここで、「地絡過電圧状態を検知する」とは、上述したように、電力システム1等における何れかに地絡が発生して高圧電路6H側に零相電圧が生じ、零相電圧検出器7から出力された零相出力電流Z(高圧電路6H側等に発生した零相電圧に応じた、より低圧の零相出力電流Z)が地絡過電圧継電部8に入力され、その零相出力電流Zが、所定の値(閾値)以上となったことを意味する。
又、「零相出力電流Zが、所定の値以上となる」とは、零相出力電流Zが、厳密に閾値以上となることを意味する以外に、地絡過電圧継電部8の分解能や設定等によっては、その零相出力電流Zが「当該閾値とみなせる値以上となる」ことを意味しても許容し、「当該閾値とみなせる値」とは、地絡過電圧継電部8の分解能に応じていても良く、例えば、当該閾値と1mAや1μA、1nAなどとの和であっても良い。
尚、零相出力電流Zが、所定の値(閾値)以上となった直後、すぐに変換部3への信号を出力する場合だけでなく、所定の時間を経過した後に、信号を出力する場合も含む。
ここで、「所定の時間」とは、零相出力電流Zが所定の値以上となってから、0.1秒以上15.0秒以下や、0.3秒以上5.0秒以下、0.5秒以上や2.0秒以上であっても良い。
【0036】
地絡過電圧継電部8からの出力信号は、変換部3に直接入力されても良いが、その他、変換部3の後述する制御装置(図示せず)や、算出部13に入力しても良い。尚、地絡過電圧継電部8からの出力信号が変換部3に直接入力される場合、当該地絡過電圧継電部8が制御装置であるとも言える。
1つの電力システム1において、地絡過電圧継電部8の個数と、上述した零相電圧検出器7の個数は同じであり、その個数は、1つ又は複数であっても良い。
地絡過電圧継電部8の電源は、後述するコンデンサ装置9や、計器用変圧器10、その他、無停電電源装置(図示せず)などに接続されて、当該コンデンサ装置9などから入力される。
尚、地絡過電圧継電部8は、地絡過電圧継電器(Over Voltage Ground Relay、OVGR)であるとも言える。
【0037】
<コンデンサ装置9>
図1に示されたように、コンデンサ装置9は、電気(電気エネルギー)を充電・放電する装置であり、上述した地絡過電圧継電部8へ電源電力(制御電源)を供給するコンデンサ出力電路6Dによって、地絡過電圧継電部8と接続されている。尚、コンデンサ装置9は、キャパシタ装置とも言える。
コンデンサ装置9への充電は、電力システム1等が停電していない時(非停電時)は、後述する計器用変圧器10からの変圧出力電流Sを流す変圧出力電路6Sから分岐するコンデンサ入力電路6D’を介して、計器用変圧器10からの電気を充電する。尚、変圧出力電路6Sが三相3線である場合には、電圧計切替開閉器(図示せず)を介して単相2線のコンデンサ入力電路6D’としてコンデンサ装置9へ入力されても良い。
コンデンサ装置9からの放電は、停電時に、充電していた電気を放電して、コンデンサ出力電路6Dにコンデンサ出力電流D(140Vや154Vなど)を流して、地絡過電圧継電部8へ電源電力を供給する。
これにより、コンデンサ装置9は、コンデンサ出力電路6Dを介して、電力システム1における高圧電路6H側等のシステム(系統K側も含む)において停電が発生した時に、地絡過電圧継電部8へ電源電力を供給する。
【0038】
コンデンサ装置9は、充電された(満充電となった)際に点灯する充電表示ランプや、当該コンデンサ装置9の取付・取外時など強制放電させる場合に用いる放電スイッチ(上述した充電表示ランプが消灯するまで押し続ける構成など)を有していても良い。
コンデンサ装置9は、電気を充電・放電する電気部品としてのコンデンサを有している他、コンデンサ入力電路6D’を介して変圧出力電流Sが入力された直後の電路に設けられたヒューズ(φ5.2×20mm 5Aなど)、コンデンサ入力電路6D’を介して入力される交流である変圧出力電流Sを直流に整流する整流器や、整流器の前及び/後に設けられたサージアブゾーバー、整流された直流をコンデンサへ充電する電路に設けられた充電電流制限抵抗、上述した放電スイッチを押された際に放電させる電路に設けられた放電用抵抗、上述した充電表示ランプのランプ電流制限抵抗、停電時に放電させる電路に設けられたダイオードなどを有していて良い。
コンデンサ装置9は、その入力電圧は10V以上500V以下、好ましくは40V以上400V以下、更に好ましくは80V以上300V以下(100Vや110V、200V、220Vなど)で、充電電圧(放電されるコンデンサ出力電流Dの電圧とも言える)は10V以上600V以下、好ましくは50V以上500V以下、更に好ましくは100V以上400V以下(140Vや154V、280V、308Vなど)で、消費電流(放電されるコンデンサ出力電流Dの電流とも言える)は1mA以上100mA以下、好ましくは3mA以上70mA以下、更に好ましくは5mA以上40mA以下(8mAや20mAなど)で、コンデンサ容量(電子部品としてのコンデンサの容量)は100μF以上5000μF以下、好ましくは200μF以上4000μF以下、更に好ましくは300μF以上3000μF以下(470μFや1500μFなど)で、充電時間は0.01秒以上0.50秒以下、好ましくは0.05秒以上0.40秒以下、更に好ましくは0.10秒以上0.30秒以下(0.2秒以内など)で、放電時間は0.1秒以上30.0秒以下、好ましくは0.5秒以上20.0秒以下、更に好ましくは1.0秒以上10.0秒以下(約3秒や、約6~7秒など)であっても良い。尚、この放電時間は、上述した地絡過電圧継電部8における所定の時間や、後述する逆電力継電部12における所定の時間より長く(又は、2倍や3倍以上長く)とも良い。
【0039】
<計器用変圧器10など>
図1に示されたように、計器用変圧器(Voltage Transformer、VT)10は、上述した高圧電路6Hに設けられ、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hをより低圧な変圧出力電流Sに変圧(降圧)する機器である。尚、計器用変圧器10は、1つの電力システム1において、1つ存在するだけでなく、複数(2つなど)存在しても良い。
計器用変圧器10から、後述する逆電力継電部12(又は、算出部13)までの間の電路は、変圧出力電流Sを流す変圧出力電路6Sであり、変圧出力電路6Sは、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。尚、変圧出力電路6Sが三相3線である場合には、上述したように、電圧計切替開閉器(図示せず)を介して単相2線として逆電力継電部12等へ入力されても良い。
変圧出力電路6Sは、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hの電圧に応じた、より低圧の電圧(例えば、110Vなど)の変圧出力電流S(の少なくとも一部)が、計器用変圧器10から出力され、変圧出力電路6Sに流れる。
【0040】
計器用変圧器10の容量も、特に限定はないが、例えば、10VA以上500VA以下、好ましくは20VA以上300VA以下、更に好ましくは40VA以上200VA以下(100VAなど)であっても良い。
計器用変圧器10は、その構成に限定はなく、三巻線以上の変圧器であっても良いが、二巻線変圧器であるとして主に述べる。
二巻線変圧器である計器用変圧器10は、例えば、その1次側は高圧電路6H側であり、その2次側が逆電力継電部12等側であっても良く、この場合、具体的な値は特に制限はないが、例えば、高圧電路6H側である1次側の電圧は、5000V以上40000V以下、好ましくは5500V以上30000V以下、更に好ましくは6000V以上25000V以下(6600Vや、22000Vなど)であったり、逆電力継電部12側である2次側の電圧は、10V以上600V以下、好ましくは20V以上400V以下、更に好ましくは50V以上300V以下(110Vなど)であっても構わない。
計器用変圧器10は、1次側及び/又は2次側に電力ヒューズ(Power Fuse、PF)を有していても良い。
【0041】
尚、「計器用変圧器10が高圧電路6Hに設けられる」とは、計器用変圧器10が、高圧電路6Hから分岐する変圧分岐電路6S’に接続されることを意味し、この変圧分岐電路6S’は、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
変圧分岐電路6S’は、高圧電路6Hの何れから分岐しても良いが、例えば、高圧電路6Hにおける真空遮断器5aと断路器5bの間から分岐しても構わない。
【0042】
<センサ変流器11>
図1に示されたように、センサ変流器11は、後述する高圧電路6Hに設けられ、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hからより小電流のセンサ出力電流Bを出力する機器である。尚、センサ変流器11も、1つの電力システム1において、1つ存在するだけでなく、複数(2つなど)存在しても良い。
センサ変流器11から、後述する逆電力継電部12(又は、算出部13)までの間の電路は、センサ出力電流Bを流すセンサ出力電路6Bであり、センサ出力電路6Bは、単相2線(1φ2W)等であれば2本1組となり、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組になるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。尚、センサ出力電路6Bが三相3線である場合には、上述したように、電流計切替開閉器(図示せず)を介して単相2線として逆電力継電部12等へ入力されても良い。
センサ出力電路6Bは、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hの電流に応じた、より小電流の電流(例えば、5mAや数mA、1mA以上20mA以下など)のセンサ出力電流Bが、センサ変流器11から出力され、センサ出力電路6Bに流れる。
【0043】
センサ変流器11の巻線がコイルに巻回される回数(巻回数)は、特に限定はないが、例えば、100回以上20000回以下、好ましくは500回以上10000回以下、更に好ましくは1000回以上5000回以下(3000回など)であっても良い。
センサ変流器11の巻回数に対して、高圧電路6H(や、後述する変流出力電路6R)の巻回数は1回と言えることから、センサ変流器11としての1次側(高圧電路6H等側)と2次側(出力側)の変流比は、1:センサ変流器11の巻回数となる。その変流比の値も、特に限定はないが、例えば、1:100以上1:20000以下、好ましくは1:500以上1:10000以下、更に好ましくは1:1000以上1:5000以下(1:3000など)であっても良い。
センサ変流器11における電流の定格範囲は、特に限定はないが、例えば、0.01A以上5.00A以下であったり、1A以上200A以下(10Aや、60Aなど)であっても良い。
尚、センサ変流器11に実際に流れる電流の範囲の最大値は、上述した電流の定格範囲の最大値の10倍以上20倍以下であっても良く、例えば、100kA以下、好ましくは80kA以下、更に好ましくは60kA以下(40kAなど)であっても構わない。
【0044】
尚、「センサ変流器11が高圧電路6Hに設けられる」とは、センサ変流器11が、直接高圧電路6Hに設けられる(例えば、三相3線の高圧電路(高圧ケーブル)6Hのうち2本に対して、各高圧ケーブル6Hを開裂することなく取付可能な開閉型(分割型とも言い、フラックスゲート式やホール素子式など)のセンサ変流器11自らが開閉して後付けする等)だけでなく、後述する計器用変流器11aからの変流出力電流Rを流す変流出力電路6R(謂わば、計器用変流器11aの2次側)に設けても良く、この変流出力電路6Rは、単相2線(1φ2W)等であっても構わない。尚、センサ変流器11が変流出力電路6Rに設けられるとは、例えば、単相2線の変流出力電路6Rのそれぞれに対して、各変流出力電路6Rを開裂することなく取付可能な開閉型のセンサ変流器11自らが開閉して後付けする等であっても良い。
以下、計器用変流器11aについて述べる。
【0045】
<計器用変流器11a>
図1に示されたように、計器用変流器(Current Transformer、CT)11aは、後述する高圧電路6Hに設けられ、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hをより小電流の変流出力電流Rに変流する機器である。
計器用変流器11aから、上述した過電流継電器5dまでの間の電路は、上述したように、変流出力電流Rを流す変流出力電路6Rであり、変流出力電路6Rも、単相2線(1φ2W)等であれば2本1組となり、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組になるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。尚、変流出力電路6Rが三相3線である場合には、上述したように、電流計切替開閉器(図示せず)を介して単相2線として過電流継電器5dへ入力されても良い。
変流出力電路6Rは、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hの電流に応じた、より小電流の電流(例えば、約10Aなど)の変流出力電流Rが、センサ変流器11から出力され、センサ出力電路6Bに流れる。
【0046】
計器用変流器11aの巻線がコイルに巻回される回数(巻回数)は、特に限定はないが、例えば、10回以上10000回以下、好ましくは100回以上6000回以下、更に好ましくは500回以上4000回以下(1500回など)であっても良い。
計器用変流器11aの巻回数に対して、高圧電路6Hの巻回数は1回と言えることから、計器用変流器11aとしての1次側(高圧電路6H側)と2次側(出力側)の変流比は、1:計器用変流器11aの巻回数となる。その変流比の値も、特に限定はないが、例えば、1:10以上1:10000以下、好ましくは1:100以上1:6000以下、更に好ましくは1:500以上1:4000以下(1:1500など)であっても良い。
計器用変流器11aにおける電流の定格範囲は、特に限定はないが、例えば、15A以上1800A以下、好ましくは20A以上1650A以下、更に好ましくは25A以上1500A以下(60Aなど)であっても良い。
尚、計器用変流器11aに実際に流れる電流の範囲の最大値は、上述した電流の定格範囲の最大値の10倍以上20倍以下であっても良く、例えば、100kA以下、好ましくは80kA以下、更に好ましくは60kA以下(40kAなど)であっても構わない。
【0047】
尚、「計器用変流器11aが高圧電路6Hに設けられる」とは、計器用変流器11aが、直接高圧電路6Hに設けられることを意味し、例えば、三相3線の高圧電路(高圧ケーブル)6Hのうち2本に対して、各高圧ケーブル6Hを開裂して当初から取り付けたり、各高圧ケーブル6Hを開裂することなく取付可能な開閉型(フラックスゲート式やホール素子式など)の計器用変流器11a自らが開閉して後付けする等であっても良い。
計器用変流器11aは、高圧電路6Hの何れに設けられていても良いが、例えば、高圧電路6Hにおける真空遮断器5aと負荷開閉器5cの間に設けられても構わない。
【0048】
<逆電力継電部12>
図1に示されたように、逆電力継電部12は、上述した変圧出力電路6Sを介して計器用変圧器10に接続されると同時に、上述したセンサ出力電路6Bを介してセンサ変流器11に接続され(又は、算出部13に接続され)、変圧出力電流S及びセンサ出力電流Bに基づいて逆電力発生状態を検知する部分であって、この逆電力継電部12が、逆電力発生状態を検知した際には、上述した変換部3の変換を停止する等の信号を出力しても良い。
ここで、「逆電力発生状態を検知する」とは、上述したように、変圧出力電流S及びセンサ出力電流Bに基づいて、後述する算出部13が算出した逆電力(高圧電路6H側から系統Kへ逆流する電力)が生じたことがわかり、当該逆電力が、所定の値(閾値)以上となったことを意味する。
又、「逆電力が、所定の値以上となる」とは、逆電力が、厳密に閾値以上となることを意味する以外に、逆電力継電部12の分解能や設定等によっては、その逆電力が「当該閾値とみなせる値以上となる」ことを意味しても許容し、「当該閾値とみなせる値」とは、逆電力継電部12の分解能に応じていても良く、例えば、当該閾値と1mAや1μA、1nAなどとの和であっても良い。
尚、逆電力が、所定の値(閾値)以上となった直後、すぐに変換部3への信号を出力する場合だけでなく、所定の時間を経過した後に、信号を出力する場合も含む。
ここで、「所定の時間」とは、逆電力が所定の値以上となってから、0.1秒以上30.0秒以下や、0.2秒以上20.0秒以下、0.3秒以上や15.0秒以上であっても良い。
【0049】
逆電力継電部12からの出力信号は、変換部3に直接入力されても良いが、その他、変換部3の後述する制御装置や、算出部13に入力しても良い。尚、逆電力継電部12からの出力信号が変換部3に直接入力される場合、当該逆電力継電部12が制御装置であるとも言える。
1つの電力システム1において、逆電力継電部12の個数と、上述した計器用変圧器10やセンサ変流器11の個数は同じであっても、異なっていても良く、その個数は、1つ又は複数であっても構わない。
逆電力継電部12の電源も、後述するコンデンサ装置9や、計器用変圧器10、その他、無停電電源装置(図示せず)などに接続されて、当該コンデンサ装置9などから入力されると言える。
尚、逆電力継電部12は、逆電力継電器(Reverse Power Relay、RPR)であるとも言える。
【0050】
<算出部13>
図1に示されたように、算出部13は、上述した変圧出力電流S及びセンサ出力電流Bに基づいて、高圧電路6Hにおける電力を少なくとも算出する部分である。
算出部13は、少なくとも高圧電路6Hにおける電力を算出できるのであれば、特に限定はないが、例えば、電子式や機械式であったり、三相式(三相3線のうち、二相を計測する方式)であったり、単相式などであっても良い。
以下、算出部13は、主に電子式で且つ三相式であるとして述べる。
算出部13は、高圧電路6Hにおける電力以外に、例えば、高圧電路6Hにおける電流や、電圧、力率、電力量の少なくとも1つを、変圧出力電流S及びセンサ出力電流Bに基づいて算出しても良い。
算出部13における電力等の算出は、所定の時間ごとに行われても良いが、当該所定の時間とは、例えば、0.01秒以上5.00秒以下(0.1秒など)であっても構わない。
尚、算出部13は、地絡過電圧継電部8が地絡過電圧状態を検知した際や、逆電力継電部12が逆電力発生状態を検知した際に、変換部3への信号を介して、変換部3の変換を停止させることを、当該算出部13がまとめて行っても良く、この場合、算出部13が制御装置であるとも言える。
又、上述した計器用変圧器10やセンサ変流器11と逆電力継電部12との間の電路では、算出部13を介して接続されていても良く、この算出部13を介した接続でも、計器用変圧器10と逆電力継電部12の間は変圧出力電路6Sで接続され、センサ変流器11と逆電力継電部12の間はセンサ出力電路6Rで接続されているとも言える。この算出部13を介した接続では、計器用変圧器10からの変圧交流電流Sやセンサ変流器11からセンサ出力電流Rは、まずは算出部13に入力されて、高圧電路6Hにおける電力(逆電力)等を算出し、この算出した逆電力を、算出部13から逆電力継電部12へ入力させることも含むとも言える。
【0051】
<装置筐体14>
図1に示されたように、装置筐体14は、上述した地絡過電圧継電部8と、逆電力継電部12と、算出部13を内部に設ける(内蔵する)筐体である。
装置筐体14は、地絡過電圧継電部8と逆電力継電部12と算出部13を内蔵するのであれば、その形状・大きさ・構成などについて、特に限定はないが、例えば、形状は、略立方体状や、略直方体状などであっても良い。
装置筐体14は、上述した算出部13によって算出された電力の値などを表示する表示部を有していても良く、この表示部も、その形状・大きさ・位置・構成などについて、特に限定はないが、例えば、形状は、略矩形状や略正方形状であっても構わない。
表示部に表示される内容も、算出部13によって計測された電力の値だけでなく、その電力を積算した電力(つまり、電力量)等や、モードや状態を表す数字などが表示されていても良い。
【0052】
装置筐体14は、操作部を有していても良く、この操作部も、その構成・役割・位置などについて、特に限定はないが、例えば、複数のボタンが設けられていても構わない。
操作部の役割としては、例えば、表示部をオンオフするボタン(ディスプレイボタン)や、電機器1をリセットするリセットボタン、モードや状態を選択するためのボタン(「+」ボタンや「-」ボタンなど)や、選択したモード等を決定する(セットする)セットボタンなどであっても良い。
このような操作部の位置も、例えば、装置筐体14の正面において、上述した表示部の下方に設けられていても構わない。
装置筐体14は、端子部(端子台)を有していても良く、この端子部も、その個数・位置などについて、特に限定はないが、例えば、1つの装置筐体14に、1つの端子部や、複数(3つなど)の端子部が設けられていても構わない。
このように、地絡過電圧継電部8と逆電力継電部12の複数の継電部等を、1つの装置筐体14に内蔵する装置は、「複合型継電装置(複合型継電器)20」であるとも言える。
このような複合型継電装置20である場合、その装置筐体14内において、地絡過電圧継電部8と逆電力継電部12と算出部13は互いに接続しているとも言えることから、零相電圧検出器7からの零相出力電路6Zや、コンデンサ装置9からのコンデンサ出力電路6D、計器用変圧器10からの変圧出力電路6S、センサ変流器11からのセンサ出力電路6Bが、複合型継電装置20に接続されていれば、零相電圧検出器7からの零相出力電路6Zやコンデンサ装置9からのコンデンサ出力電路6Dが地絡過電圧継電部8に接続され、計器用変圧器10からの変圧出力電路6Sやセンサ変流器11からのセンサ出力電路6Bが逆電力継電部12に接続されているとも言える。又、この複合型継電装置20の場合において、地絡過電圧継電部8と逆電力継電部12と算出部13の電源部を1つにまとめても良く、この電源部は、複合型継電装置20に入力されるコンデンサ出力電流Dの電圧に対応した電源範囲であり、例えば、コンデンサ出力電流Dが直流ならば、DC80V以上143V以下やDC20V以上56V以下に対応したり、コンデンサ出力電流Dが交流ならば、AC85V以上264V以下に対応しても構わない。
【0053】
<発電遮断器21、負荷22、負荷変圧器23、負荷遮断器24>
図1に示されたように、発電遮断器21は、上述した変換部3からの低圧交流電流Lを遮断可能な機器であり、換言すれば、後述する低圧電路6Lに設けられ、低圧電路6Lを遮断可能な機器であり、低圧遮断器であるとも言える。発電遮断器21は、配線用遮断器(MCCB、Molded Case Circuit Break)や、漏電遮断器(ELCB、Earth Leakage Circuit Breaker)であっても良い。発電遮断器21は、1つの電力システム1において、1つ存在するだけでなく、複数存在しても良く、例えば、上述したように、低圧電路6Lが変圧器4と変換部3の間で、変換部3の個数に応じて、変換部3それぞれに分岐する場合、当該分岐点と変圧器4の間に1つ設け、分岐点から各変換部3の間にも1つずつ設けても良い。
図1に示したように、負荷22は、発電部2から変換部3を介しての電力や、系統Kから系統接続部5や変圧器4等を介しての電力等を消費する機器である。負荷22は、何れの構成でも良いが、例えば、工場内などのインダストリアルモータ(動力負荷)22aであったり、工場内等の照明(電灯負荷)22bであったり、複数の照明22bと接続された照明分電盤などであっても良く、その他、住宅やビル等の建物内のエアコン、蛍光灯、家電、電気自動車やガソリン自動車等の車両、当該車両内の機器などであっても構わない。
【0054】
図1に示されたように、負荷変圧器23は、系統Kからの電力や、発電部2からの電力等を変圧(降圧)する機器であり、所謂、トランスである。尚、トランスとは、トランスフォーマーの略である。負荷変圧器23の容量は、上述した変圧器4と同様であっても良く、負荷変圧器23の構成は、二巻線変圧器等であっても構わない。負荷変圧器23の1次側も高圧電路6H側であり、その2次側が低圧側であるとも言え、この場合、具体的な値は特に制限はないが、例えば、高圧電路6H側である1次側の電圧は、上述した変圧器4と同様であっても良く、低圧側である2次側の電圧は、10V以上1000V以下、好ましくは50V以上800V以下、更に好ましくは100V以上600V以下(105V~210Vなど)であっても構わない。負荷変圧器23は、その1、2次側の結線方式についても特に制限はないが、例えば、高圧電路6H側である1次側が星型結線(Y結線)で、低圧側である2次側が単相三線で(つまり、Y-三結線)であっても良く、その他、1次側・2次側の順で、Y-Δ結線やY-Y結線、Δ-Y結線、Δ-Δ結線であっても構わない。負荷変圧器23も、油入式変圧器や、乾式変圧器であっても良く、その他、混触防止板が付いていたり、B種接地であっても構わない。
図1に示されたように、負荷遮断器24は、上述した負荷変圧器23と負荷22(電灯負荷22b)の間の電路や、上述した発電変圧器4と負荷22(動力負荷22a)の間の電路等を遮断可能な機器であり、配線用遮断器や漏電遮断器であっても良い。
尚、上述した変圧器4は、その2次側が、発電部2・変換部3だけでなく、上述したように、動力負荷22aにも接続されているため、発電変圧器と負荷変圧器を兼ねているとも言える。
【0055】
<制御装置>
制御装置は、上述した地絡過電圧継電部8や逆電力継電部12等に接続されて、地絡過電圧継電部8や逆電力継電部12から出力された停止信号を入力して、上述した変換部3の変換を停止させる等の制御をする装置であっても良く、スマートロガーや、シーケンサ、コンピュータ等であっても良い。
1つの電力システム1において、制御装置の個数は、1つ又は複数であっても良い。
制御装置の電源は、無停電電源装置(図示せず)などに接続されて、当該無停電電源装置などから入力されても良い。又、制御装置の監視・設定変更・操作等は、使用者が直接触れて行っても良いが、インターネットや電話回線等を介して遠隔で行っても構わない。
【0056】
<その他>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。電力システム1等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
電力システム1は、系統接続部5内に、計器用変圧器10やセンサ変流器11、逆電力継電部12を有していなくとも良く、その他、地絡過電圧継電部8が地絡過電圧状態を検知した際や、逆電力継電部12が逆電力発生状態を検知した際でも、変換部3の変換を停止させる信号を、変換部3へ出力しなかったり、地絡過電圧継電部8や逆電力継電部12、算出部13を、1つの装置筐体14内に設けていなくとも構わない。
又、電力システム1は、算出部13や装置筐体14を有していなくとも良い。
【0057】
電力システム1は、蓄電をする蓄電部を有していても良く、蓄電部は、上述したコンデンサ装置9や、無停電電源装置であったり、その他、鉛蓄電池やリチウムイオン蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池などの蓄電池(バッテリ)であったり、発電部21からの発電力等を用いた水の電気分解等により生成した水素を貯蔵し、必要なときに燃料電池等にて電力を取り出す他、フライホール等にて運動エネルギーとしての蓄電(貯蔵)や、揚水にて位置エネルギーとしての蓄電(貯蔵)などをする装置であっても構わない。この場合、蓄電部は、上述した変換部3や、低圧電路6L等の電路に接続されていても良く、発電部2等から出力される電力を充電したり、充電した電力を負荷22側に流して当該負荷22で消費(自家消費)させたり、売電が可能であれば、充電した電力を系統K側に流しても良い。
電力システム1において、上述した系統接続部5や、零相電圧検出器7、地絡過電圧継電部8、コンデンサ装置9、計器用変圧器10、センサ変流器11、逆電力継電部12、算出部13、装置筐体14、発電遮断器21などは、1つの盤筐体(謂わば、1つの配電盤)内に設けられていても良い。
その他、系統接続部5が内部に設けられた盤筐体(謂わば、系統盤で、既存の盤)とは別の盤筐体(謂わば、発電接続盤で、追加した盤)内に、零相電圧検出器7、地絡過電圧継電部8、コンデンサ装置9、計器用変圧器10、センサ変流器11、逆電力継電部12、算出部13、装置筐体14、発電遮断器21などが設けられていても良い。
電力システム1において、負荷22、負荷変圧器23(負荷変圧器と発電変圧器を兼用する変圧器4)、負荷遮断器24、系統接続部5が既に存在していた場合、これら既存の負荷22等を自家消費型の発電プラントとするには、発電部2、変換部3、零相電圧検出器7、地絡過電圧継電部8、コンデンサ装置9、センサ変流器11、逆電力継電部12、算出部13、装置筐体14、発電遮断器21などを、既存の負荷22等に後付けすることで可能となるとも言える。
ここまで述べた電力システム1に関わる系統Kについて、以下に詳解する。
【0058】
<系統K>
図1に示されたように、系統Kは、電力システム1に送電する(受電させる)ものであって、電力会社などが電気を消費者に供給するためのシステム全体のことを言い、電力系統Kとも言える。系統Kは、具体的には、変電所・送電線・配電線などの設備を備え、発電所が含まれる場合もある。又、系統Kは、上述した取引用変成器31a、買電用電力量計、売電用電力量計、柱上気中開閉器、保護継電器装置を有していても良い。
このような系統Kで扱われる電力は、交流、直流の何れでも良いが、以下は、交流であるとして述べる。
系統Kでは、送電される電力の多くが交流であるため、送電線で三相3線(3φ3W)式により送電され、その送電の際の送電ロスを減らすため、基幹的な長距離送電の区間は出来るだけ高電圧(例えば、6600Vや22000Vなど)で送電される。
系統Kで送電される電力は、消費地に近い場所で何段かに分けて電圧が変圧(降圧)され、柱上変圧器等以降は単相2線(1φ2W)などでの配電も行なわれる。
系統Kは、電力会社などの系統(商用電力系統)であったり、企業・自治体などの組織が独自に有するシステムやプラント内部の系統(独立電力系統)であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の電力システムは、自家消費型の太陽光発電プラントなどに対して、その発電量や規模に関わらず利用でき、自家消費型の太陽光発電プラント以外に、自家消費型でない太陽光発電プラントや、風力、水力、波力、地熱等によって回転される発電機(交流モータ等)によって発電するプラントにおいて使用でき、屋外・屋内を問わず利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 電力システム
2 発電部
3 変換部
4 変圧器
5 系統接続部
6H 高圧電路
6Z 零相出力電路
6D コンデンサ出力電路
6S 変圧出力電路
6B センサ出力電路
7 零相電圧検出器
8 地絡過電圧継電部
9 コンデンサ装置
10 計器用変圧器
11 センサ変流器
12 逆電力継電部
13 算出部
14 装置筐体
L 低圧交流電流
H 高圧交流電流
Z 零相出力電流
S 変圧出力電流
B センサ出力電流
K 系統