(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096659
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】多相抽出液処理のためのオゾン触媒酸化システムおよびプロセス
(51)【国際特許分類】
C02F 1/78 20230101AFI20240709BHJP
B01J 23/72 20060101ALI20240709BHJP
C01B 13/10 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C02F1/78
B01J23/72 M
C01B13/10 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036212
(22)【出願日】2023-03-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202310008616.2
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】515190906
【氏名又は名称】南京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】許柯
(72)【発明者】
【氏名】呉子安
(72)【発明者】
【氏名】王艶茹
(72)【発明者】
【氏名】任洪強
(72)【発明者】
【氏名】馬思佳
(72)【発明者】
【氏名】林原
【テーマコード(参考)】
4D050
4G042
4G169
【Fターム(参考)】
4D050AA12
4D050AB07
4D050BB02
4D050BC06
4D050BD02
4D050BD03
4G042CE01
4G169AA03
4G169BB02A
4G169BC31A
4G169BC43A
4G169CA05
4G169CA07
4G169DA05
4G169EA02X
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多相抽出液処理におけるオゾン触媒酸化効率の継続的な高さと安定性を確保するシステムおよびプロセスを提供する。
【解決手段】オゾン触媒酸化システムは、外部反応筒1および内部反応筒を含み、内部反応筒の底部および中央部の外周にそれぞれ第1触媒アセンブリおよび第2触媒アセンブリが嵌設され、触媒は銅-セリウムバイメタルセラミックペレット触媒である。オゾン触媒酸化プロセスは、S1、液体注入ステップと、S2、乱流触媒するステップと、S3、還流するステップと、S4、逆洗するステップとを含む。本発明は、オゾン触媒とオゾンガスの接触効果を高め、廃水とオゾン空気の接触時間を延長して、オゾンの水への溶解度を高めることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部反応筒(1)と、および前記外部反応筒(1)の内部に設けられた内部反応筒(2)
と、を含み、
前記外部反応筒(1)の頂部にトップカバー(11)が設けられ、前記内部反応筒(2)
の頂部中心に水入口金具(21)が設けられ、前記水入口金具(21)は前記トップカバ
ー(11)の底部に固定的に接続され、水入口金具(21)の一側に主注水管(3)が設
けられ、内部反応筒(2)の中央部に内側注水管(22)が設けられ、前記内側注水管(
22)は前記主注水管(3)に接続され、内側注水管(22)の底部が内部反応筒(2)
を貫通した後外部反応筒(1)の内底部に延伸し、内部反応筒(2)の外部は下から上へ
第1触媒アセンブリ(4)および第2触媒アセンブリ(5)がそれぞれ嵌設され、内部反
応筒(2)の頂部両側に還流窓(23)がそれぞれ設けられ、内部反応筒(2)の内部に
2つの昇降パイプ(24)が対称に設けられ、前記昇降パイプ(24)の頂部が内部反応
筒(2)の頂部を貫通した後トップカバー(11)の上方にある空気管(16)に接続さ
れ、2つの昇降パイプ(24)の頂部の一側に還流管(25)がそれぞれ設けられ、前記
還流管(25)が水入口金具(21)を貫通した後内側注水管(22)と連通し、外部反
応筒(1)の側壁の頂部に主排水管(12)および逆洗排水管(13)が設けられ、外部
反応筒(1)の内底部の中心に内側注水管(22)の位置に対応するマイクロポーラスデ
ィフューザー(14)が設けられ、外部反応筒(1)の内底部に前記第1触媒アセンブリ
(4)および第2触媒アセンブリ(5)の位置に対応する多数のマイクロポーラスディフ
ューザー(14)がさらに設けられ、
前記第1触媒アセンブリ(4)は、第1触媒盤(41)を含み、前記第1触媒盤(41)
は前記内部反応筒(2)に回転可能に接続され、前記第2触媒アセンブリ(5)は、第2
触媒盤(51)を含み、前記第2触媒盤(51)は前記外部反応筒(1)の内壁との間に
スライドおよびスライダー構造を介して上下に摺動可能に接続され、第1触媒盤(41)
および第2触媒盤(51)の内部にいずれも触媒が充填され、前記触媒は銅-セリウムバ
イメタルセラミックペレット触媒である、ことを特徴とする多相抽出液処理のためのオゾ
ン触媒酸化システム。
【請求項2】
前記トップカバー(11)の中心に第1回転リング(7)が設けられ、前記第1回転リン
グ(7)の底部に内部反応筒(2)の外側にある2つの接続ロッド(71)が対称に設け
られ、内部反応筒(2)の外壁の中央部に第2回転リング(8)が嵌設され、前記第2回
転リング(8)の底部に垂直方向に4つの補助リンクロッド(81)が設けられ、各補助
リンクロッド(81)の底部にいずれも補助バッフル(82)が設けられ、前記補助バッ
フル(82)は前記第1触媒盤(41)の底部に固定的に接続され、各補助リンクロッド
(81)の底部に環形バッフル(83)がともに接続され、前記環形バッフル(83)の
外周の各補助リンクロッド(81)に対応する位置にいずれも突起が設けられ、内部反応
筒(2)の底部に4つの傾斜ロッド(9)が設けられ、各前記傾斜ロッド(9)の中央部
がスプリング(91)を介して内部反応筒(2)の外壁に接続され、各傾斜ロッド(9)
の頂部が前記環形バッフル(83)上の突起の外縁に1対1で当接され、傾斜ロッド(9
)の頂部の外側に第3触媒盤(92)がさらに設けられ、傾斜ロッド(9)の底部が内部
反応筒(2)の外側壁にヒンジで接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の多相抽
出液処理のためのオゾン触媒酸化システム。
【請求項3】
前記第1回転リング(7)に突起が設けられ、前記トップカバー(11)の内部に係合溝
(15)が設けられ、前記突起は前記係合溝(15)内に係合され、前記トップカバー(
11)の一側に第1回転リング(7)をトップカバー(11)内で回転させるように駆動
するための駆動モータ(72)が設けられ、前記駆動モータ(72)の出力端にギア(7
3)が設けられ、前記ギア(73)は第1回転リング(7)の上面に設けられた歯溝(7
4)と噛み合って接続される、ことを特徴とする請求項2に記載の多相抽出液処理のため
のオゾン触媒酸化システム。
【請求項4】
第3触媒盤(92)の端部に第1攪拌棒(93)が設けられ、前記第1攪拌棒(93)の
端部が第1触媒盤(41)の内部まで延伸し、第1攪拌棒(93)の端部に第1クロスバ
ー(42)が設けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の多相抽出液処理のためのオ
ゾン触媒酸化システム。
【請求項5】
前記第2回転リング(8)の頂面に2つの第2攪拌棒(84)が対称に設けられ、前記第
2攪拌棒(84)の端部に第2クロスバー(85)が回転可能に接続され、前記第2クロ
スバー(85)が前記第2触媒盤(51)の内部まで延伸し、前記トップカバー(11)
の下方にプッシュロッドモータ(6)が設けられ、前記プッシュロッドモータ(6)の出
力端に第1伸縮ロッド(61)が接続され、第1伸縮ロッド(61)の底部が第2触媒盤
(51)に接続され、内部反応筒(2)の他側に前記第1伸縮ロッド(61)と対称な第
2伸縮ロッド(62)が設けられ、前記第2伸縮ロッド(62)の底部が第2触媒盤(5
1)に接続され、頂部がトップカバー(11)に接続され、第2触媒盤(51)の内側壁
に多数のスロット(52)が設けられ、第2触媒盤(51)が前記外部反応筒(1)の底
部に下方に移動すると、前記スロット(52)が前記第3触媒盤(92)に相互に当接さ
れ、前記第2触媒盤(51)の外壁の両側にスライダー(53)がそれぞれ設けられ、前
記スライダー(53)が前記外部反応筒(1)の内壁に設けられたシュート(17)に摺
動可能に接続される、ことを特徴とする請求項2に記載の多相抽出液処理のためのオゾン
触媒酸化システム。
【請求項6】
前記トップカバー(11)の頂部の一側に二方向通気弁(18)が設けられ、前記内側注
水管(22)の中央部に一方向弁(26)が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記
載の多相抽出液処理のためのオゾン触媒酸化システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の多相抽出液処理のためのオゾン触媒酸化システムに
よる多相抽出液処理のオゾン触媒酸化プロセスであって、
S1、液体注入:多相抽出液を主注水管(3)から内側注水管(22)に注入し、内側注
水管(22)の位置に対応するマイクロポーラスディフューザー(14)を開いて内側注
水管(22)内にオゾンを注入し、多相抽出液とオゾンを予備接触させるステップと、
S2、乱流触媒:多相抽出液を内側注水管(22)の底部から外部反応筒(1)内に流出
し、第1触媒アセンブリ(4)および第2触媒アセンブリ(5)の位置に対応するマイク
ロポーラスディフューザー(14)を開いて外部反応筒(1)内にオゾンを注入した後、
第1触媒盤(41)および第2触媒盤(51)を順番に通過して多相抽出液が流動し、第
1触媒盤(41)および第2触媒盤(51)の内部の触媒により多相抽出液に対して触媒
酸化処理を行うステップと、
S3、還流:多相抽出液が外部反応筒(1)の上部を流れるとき、一部の多相抽出液が還
流窓(23)から内部反応筒(2)の内部に還流し、空気管(16)の外側に接続された
空気ポンプを開いて内部反応筒(2)の内部に空気を注入して膨らませて、内部反応筒(
2)の内部の多相抽出液が昇降パイプ(24)に入れ、さらに昇降パイプ(24)の頂部
の還流管(25)から内側注水管(22)に入れ、多相抽出液が主排水管(12)から全
部排出されるまで、上記ステップS1~S2を繰り返すステップと、
S4、逆洗:すべてのマイクロポーラスディフューザー(14)を開き、マイクロポーラ
スディフューザー(14)から外部反応筒(1)の内部に注水し、第1触媒盤(41)お
よび第2触媒盤(51)の内部触媒をリンスし、リンス後生成した廃水が逆洗排水管(1
3)から排出されるステップと、を含む、ことを特徴とする多相抽出液処理のオゾン触媒
酸化プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境廃水の集中処理の技術分野に関し、具体的には、多相抽出液処理のための
オゾン触媒酸化システムおよびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
多相抽出技術は、効率的で環境に優しい汚染地の原位置浄化技術であり、地下の汚染地域
から土壌ガス、地下水、油膜などを地上に抽出して相分離処理を行い、処理効果を得るも
のである。相分離で得られる多相抽出液は、成分が複雑で生分解が難しく、水質・水量の
変動が大きいという特徴があり、物理的・化学的手法でなければ処理できない。触媒式オ
ゾン処理技術は、活性酸素の発生により有機物の分解を促進し、無機化率を高めるもので
、効率がよく、二次汚染の心配がないなどの利点がある。
内部循環型オゾンとオゾン触媒を組み合わせたオゾン触媒酸化プロセスは、多相抽出物の
オゾン酸化を効果的に触媒し、有機物の分解速度を向上させ、酸化プロセスを加速し、塩
素イオンに対する遮蔽効果を高め、触媒効果を強化することができる。しかし、既存のオ
ゾン触媒酸化技術による多相抽出物の処理では、時間の経過とともに触媒効果が低下する
ため、オゾン触媒酸化システムおよびプロセスを目標通りに最適化し、触媒効率の継続的
な高さと安定性を確保することが求められている。
【発明の概要】
【0003】
上記の問題を解決するために、本発明は、多相抽出液処理のためのオゾン触媒酸化システ
ムおよびプロセスを提供する。
本発明の技術的解決策は、以下のとおりである。
多相抽出液処理のためのオゾン触媒酸化システムは、外部反応筒、および前記外部反応筒
の内部に設けられた内部反応筒を含み、
前記外部反応筒の頂部にトップカバーが設けられ、前記内部反応筒の頂部中心に水入口金
具が設けられ、前記水入口金具は前記トップカバーの底部に固定的に接続され、水入口金
具の一側に主注水管が設けられ、内部反応筒の中央部に内側注水管が設けられ、前記内側
注水管は前記主注水管に接続され、内側注水管の底部が内部反応筒を貫通した後外部反応
筒の内底部に延伸し、内部反応筒の外部は下から上へ第1触媒アセンブリおよび第2触媒
アセンブリがそれぞれ嵌設され、内部反応筒の頂部両側に還流窓がそれぞれ設けられ、内
部反応筒の内部に2つの昇降パイプが対称に設けられ、前記昇降パイプの頂部が内部反応
筒の頂部を貫通した後トップカバーの上方にある空気管に接続され、2つの昇降パイプの
頂部の一側に還流管がそれぞれ設けられ、前記還流管が水入口金具を貫通した後内側注水
管と連通し、外部反応筒の側壁の頂部に主排水管および逆洗排水管が設けられ、外部反応
筒の内底部の中心に内側注水管の位置に対応するマイクロポーラスディフューザーが設け
られ、外部反応筒の内底部に前記第1触媒アセンブリおよび第2触媒アセンブリの位置に
対応する多数のマイクロポーラスディフューザーがさらに設けられ、
前記第1触媒アセンブリは、第1触媒盤を含み、前記第1触媒盤は前記内部反応筒に回転
可能に接続され、前記第2触媒アセンブリは、第2触媒盤を含み、前記第2触媒盤は前記
外部反応筒の内壁との間にスライドおよびスライダー構造を介して上下に摺動可能に接続
され、第1触媒盤および第2触媒盤の内部にいずれも触媒が充填され、前記触媒は銅-セ
リウムバイメタルセラミックペレット触媒である。
本発明の一側面として、前記トップカバーの中心に第1回転リングが設けられ、前記第1
回転リングの底部に内部反応筒の外側にある2つの接続ロッドが対称に設けられ、内部反
応筒の外壁の中央部に第2回転リングが嵌設され、前記第2回転リングの底部に垂直方向
に4つの補助リンクロッドが設けられ、各補助リンクロッドの底部にいずれも補助バッフ
ルが設けられ、前記補助バッフルは前記第1触媒盤の底部に固定的に接続され、各補助リ
ンクロッドの底部に環形バッフルがともに接続され、前記環形バッフルの外周の各補助リ
ンクロッドに対応する位置にいずれも突起が設けられ、内部反応筒の底部に4つの傾斜ロ
ッドが設けられ、各前記傾斜ロッドの中央部がスプリングを介して内部反応筒の外壁に接
続され、各傾斜ロッドの頂部が前記環形バッフル上の突起の外縁に1対1で当接され、傾
斜ロッドの頂部の外側に第3触媒盤がさらに設けられ、傾斜ロッドの底部が内部反応筒の
外側壁にヒンジで接続される。
説明:第1回転リングを設けることで、トップカバーに対して相対的に回転することがで
きるので、第1触媒盤を安定性を維持しながら回転駆動し、第1触媒盤の内部触媒と多相
抽出液の接触を促進し、触媒効果を向上させる同時に、環形バッフルを設けることで傾斜
ロッドと協力して往復運動を完成し、第3触媒盤が往復運動を行い、触媒効果をさらに向
上させることができる。
本発明の一側面として、前記第1回転リングに突起が設けられ、前記トップカバーの内部
に係合溝が設けられ、前記突起は前記係合溝内に係合され、前記トップカバーの一側に第
1回転リングをトップカバー内で回転させるように駆動するための駆動モータが設けられ
、前記駆動モータの出力端にギアが設けられ、前記ギアは第1回転リングの上面に設けら
れた歯溝と噛み合って接続される。
本発明の一側面として、前記第1触媒盤および第2触媒盤は頂部が開放されたメッシュ構
造であり、前記第3触媒盤は矩形のメッシュ構造であり、第3触媒盤の端部に第1攪拌棒
が設けられ、前記第1攪拌棒の端部が第1触媒盤の内部まで延伸し、第1攪拌棒の端部に
第1クロスバーが設けられる。
説明:メッシュ構造を設けることで、触媒が脱出して溢れることがなく多相抽出液に十分
に接触し、第1クロスバーを設けることで、第3触媒盤と伴って往復運動する同時に第1
触媒盤の内部触媒を攪拌し、触媒効果を向上させ、機能汎用性を実現することができる。
本発明の一側面として、前記第2回転リングの頂面に2つの第2攪拌棒が対称に設けられ
、前記第2攪拌棒の端部に第2クロスバーが回転可能に接続され、前記第2クロスバーが
前記第2触媒盤の内部まで延伸し、前記トップカバーの下方にプッシュロッドモータが設
けられ、前記プッシュロッドモータの出力端に第1伸縮ロッドが接続され、第1伸縮ロッ
ドの底部が第2触媒盤に接続され、内部反応筒の他側に前記第1伸縮ロッドと対称な第2
伸縮ロッドが設けられ、前記第2伸縮ロッドの底部が第2触媒盤に接続され、頂部がトッ
プカバーに接続され、第2触媒盤の内側壁に多数のスロットが設けられ、第2触媒盤が前
記外部反応筒の底部に下方に移動すると、前記スロットが前記第3触媒盤に相互に当接さ
れ、前記第2触媒盤の外壁の両側にスライダーがそれぞれ設けられ、前記スライダーが前
記外部反応筒の内壁に設けられたシュートに摺動可能に接続される。
説明:第2クロスバーを設けることで、第1回転リングが回転する時、第1伸縮ロッドお
よび第2伸縮ロッドに衝突することなく、第2触媒盤の内部触媒を攪拌するように駆動さ
れる。スライダーとシュートを設けることで第2触媒盤を上下に摺動させて逆洗工程を容
易にすることができる。
本発明の一側面として、前記トップカバーの頂部の一側に二方向通気弁が設けられ、前記
内側注水管の中央部に一方向弁が設けられる。
説明:二方向通気弁を設けることで、外部反応筒の内部圧力を調節することができ、一方
向弁を設けることで、内側注水管の内部の多相抽出液が一方向に流れ、還流現象を防止す
ることができる。
本発明の別の側面として、上記オゾン触媒酸化システムによる多相抽出液処理のオゾン触
媒酸化プロセスをさらに提供し、
S1、液体注入:多相抽出液を主注水管から内側注水管に注入し、内側注水管の位置に対
応するマイクロポーラスディフューザーを開いて内側注水管内にオゾンを注入し、多相抽
出液とオゾンを予備接触させるステップと、
S2、乱流触媒:多相抽出液を内側注水管の底部から外部反応筒内に流出し、第1触媒ア
センブリおよび第2触媒アセンブリの位置に対応するマイクロポーラスディフューザーを
開いて外部反応筒内にオゾンを注入した後、第1触媒盤および第2触媒盤を順番に通過し
て多相抽出液が流動し、第1触媒盤および第2触媒盤の内部の触媒により多相抽出液に対
して触媒酸化処理を行うステップと、
S3、還流:多相抽出液が外部反応筒の上部を流れるとき、一部の多相抽出液が還流窓か
ら内部反応筒の内部に還流し、空気管の外側に接続された空気ポンプを開いて内部反応筒
の内部に空気を注入して膨らませて、内部反応筒の内部の多相抽出液が昇降パイプに入れ
、さらに昇降パイプの頂部の還流管から内側注水管に入れ、多相抽出液が主排水管から全
部排出されるまで、上記ステップS1~S2を繰り返すステップと、
S4、逆洗:すべてのマイクロポーラスディフューザーを開き、マイクロポーラスディフ
ューザーから外部反応筒の内部に注水し、第1触媒盤および第2触媒盤の内部触媒をリン
スし、リンス後生成した廃水が逆洗排水管から排出されるステップと、を含む。
【0004】
従来技術と比較すると、本発明は以下の有益な効果を有する。
(1)本発明の多相抽出液処理のためのオゾン触媒酸化システムは、出口水循環を確立す
ることによって水流の乱れを増加させ、内部外部反応筒内に良好な乱流状態となり、内側
注水管と外部反応筒におけるオゾンと多相抽出液の逆流接触、および2層の触媒アセンブ
リで多相抽出液との混合接触を通じて、触媒アセンブリの最適化設計および空気管と昇降
パイプの管直径の設計により、オゾン触媒とオゾンガスの接触効果を向上させ、内部外部
反応筒の高さと直径の割合を最適化し、廃水とオゾン空気の接触時間を延長し、オゾンの
水への溶解度を高め、ガスと水の十分な接触および混合を達成し、内部外部反応筒内のガ
スと液体のフローパターンを最適化する。
(2)本発明の多相抽出液処理のためのオゾン触媒酸化システムは、第1回転リングを設
けることでトップカバーに対して相対的に回転することができ、第1触媒盤を安定性を維
持しながら回転駆動し、第1触媒盤の内部触媒と多相抽出液の接触を強化し、触媒効果を
高める同時に、環形バッフルを設けることで傾斜ロッドと協力して往復運動し、第3触媒
盤を往復運動させ、触媒効果をさらに向上させ、メッシュ構造を設けることで触媒が脱出
して溢れることがなく多相抽出液に十分に接触し、第1クロスバーを設けることで第3触
媒盤と伴って往復運動する同時に、第1触媒盤の内部触媒を攪拌することができ、触媒と
多相抽出液の接触時間を延長し、触媒効果を高め、機能汎用性を達成し、第2クロスバー
を設けることで第1回転リングの回転時、第1伸縮ロッドおよび第2伸縮ロッドに衝突す
ることなく、第2触媒盤の内部触媒を攪拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明のオゾン触媒酸化システムの全体構造を示す模式図である。
【
図2】本発明のオゾン触媒酸化システムの内部構造を示す模式図である。
【
図3】本発明のオゾン触媒酸化システムの内底部構造を示す模式図である。
【
図4】本発明のオゾン触媒酸化システムの内部反応筒の外底部構造を示す模式図である。
【
図5】本発明のオゾン触媒酸化システムの内部正面図および内側注水管の構造を示す模式図である。
【
図6】本発明のオゾン触媒酸化システムの内部正面図および昇降パイプの構造を示す模式図である。
【
図7】本発明のオゾン触媒酸化システムトップカバーおよび第1回転リングの接続構造を示す断面図である。
【
図8】本発明のオゾン触媒酸化システムの第2攪拌棒および第2クロスバーの部分拡大模式図である。
【0006】
[符号の説明]
1 外部反応筒
11 トップカバー
12 主排水管
13 逆洗排水管
14 マイクロポーラスディフューザー
15 係合溝
16 空気管
17 シュート
18 二方向通気弁
2 内部反応筒
21 水入口金具
22 内側注水管
23 還流窓
24 昇降パイプ
25 還流管
26 一方向弁
3 主注水管
4 第1触媒アセンブリ
41 第1触媒盤
42 第1クロスバー
5 第2触媒アセンブリ
51 第2触媒盤
52 スロット
53 スライダー
6 プッシュロッドモータ
61 第1伸縮ロッド
62 第2伸縮ロッド
7 第1回転リング
71 接続ロッド
72 駆動モータ
73 ギア
74 歯溝
8 第2回転リング
81 補助リンクロッド
82 補助バッフル
83 環形バッフル
84 第2攪拌棒
85 第2クロスバー
9 傾斜ロッド
91 スプリング
92 第3触媒盤
93 第1攪拌棒
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施例1
図1、2に示すように、多相抽出液処理のためのオゾン触媒酸化システムは、外部反応筒
1、および外部反応筒1の内部に設けられた内部反応筒2を含み、
図2、5、6に示すように、外部反応筒1の頂部にトップカバー11が設けられ、内部反
応筒2の頂部中心に水入口金具21が設けられ、水入口金具21はトップカバー11の底
部に固定的に接続され、水入口金具21の一側に主注水管3が設けられ、内部反応筒2の
中央部に内側注水管22が設けられ、内側注水管22は主注水管3に接続され、内側注水
管22の底部が内部反応筒2を貫通した後外部反応筒1の内底部に延伸し、内部反応筒2
の外部は下から上へ第1触媒アセンブリ4および第2触媒アセンブリ5がそれぞれ嵌設さ
れ、内部反応筒2の頂部両側に還流窓23がそれぞれ設けられ、内部反応筒2の内部に2
つの昇降パイプ24が対称に設けられ、昇降パイプ24の頂部が内部反応筒2の頂部を貫
通した後トップカバー11の上方にある空気管16に接続され、2つの昇降パイプ24の
頂部の一側に還流管25がそれぞれ設けられ、還流管25が水入口金具21を貫通した後
内側注水管22と連通し、外部反応筒1の側壁の頂部に主排水管12および逆洗排水管1
3が設けられ、外部反応筒1の内底部の中心に内側注水管22の位置に対応するマイクロ
ポーラスディフューザー14が設けられ、外部反応筒1の内底部に第1触媒アセンブリ4
および第2触媒アセンブリ5の位置に対応する多数のマイクロポーラスディフューザー1
4がさらに設けられ、マイクロポーラスディフューザー14は市販品であり、トップカバ
ー11の頂部の一側に二方向通気弁18が設けられ、内側注水管22の中央部に一方向弁
26が設けられ、
図2、3に示すように、第1触媒アセンブリ4は、第1触媒盤41を含み、第1触媒盤4
1は内部反応筒2に回転可能に接続され、第2触媒アセンブリ5は、第2触媒盤51を含
み、第2触媒盤51は外部反応筒1の内壁との間にスライドおよびスライダー構造を介し
て上下に摺動可能に接続され、第1触媒盤41および第2触媒盤51の内部にいずれも触
媒が充填され、触媒は銅-セリウムバイメタルセラミックペレット触媒であり、
図3、6、7、8に示すように、トップカバー11の中心に第1回転リング7が設けられ
、第1回転リング7の底部に内部反応筒2の外側にある2つの接続ロッド71が対称に設
けられ、内部反応筒2の外壁の中央部に第2回転リング8が嵌設され、第2回転リング8
の底部に垂直方向に4つの補助リンクロッド81が設けられ、各補助リンクロッド81の
底部にいずれも補助バッフル82が設けられ、補助バッフル82は第1触媒盤41の底部
に固定的に接続され、各補助リンクロッド81の底部に環形バッフル83がともに接続さ
れ、環形バッフル83の外周の各補助リンクロッド81に対応する位置にいずれも突起が
設けられ、内部反応筒2の底部に4つの傾斜ロッド9が設けられ、各傾斜ロッド9の中央
部がスプリング91を介して内部反応筒2の外壁に接続され、各傾斜ロッド9の頂部が環
形バッフル83上の突起の外縁に1対1で当接され、傾斜ロッド9の頂部の外側に第3触
媒盤92がさらに設けられ、傾斜ロッド9の底部が内部反応筒2の外側壁にヒンジで接続
され、第1回転リング7に突起が設けられ、トップカバー11の内部に係合溝15が設け
られ、突起は係合溝15内に係合され、トップカバー11の一側に第1回転リング7をト
ップカバー11内で回転させるように駆動するための駆動モータ72が設けられ、駆動モ
ータ72の出力端にギア73が設けられ、ギア73は第1回転リング7の上面に設けられ
た歯溝74と噛み合って接続され、
図2~4に示すように、第1触媒盤41および第2触媒盤51は頂部が開放されたメッシ
ュ構造であり、第3触媒盤92は矩形のメッシュ構造であり、第3触媒盤92の端部に第
1攪拌棒93が設けられ、第1攪拌棒93の端部が第1触媒盤41の内部まで延伸し、第
1攪拌棒93の端部に第1クロスバー42が設けられ、第2回転リング8の頂面に2つの
第2攪拌棒84が対称に設けられ、第2攪拌棒84の端部に第2クロスバー85が回転可
能に接続され、第2クロスバー85が第2触媒盤51の内部まで延伸し、トップカバー1
1の下方にプッシュロッドモータ6が設けられ、プッシュロッドモータ6は市販されてい
るプッシュロッドモータであり、プッシュロッドモータ6の出力端に第1伸縮ロッド61
が接続され、第1伸縮ロッド61の底部が第2触媒盤51に接続され、内部反応筒2の他
側に第1伸縮ロッド61と対称な第2伸縮ロッド62が設けられ、第2伸縮ロッド62の
底部が第2触媒盤51に接続され、頂部がトップカバー11に接続され、第2触媒盤51
の内側壁に多数のスロット52が設けられ、第2触媒盤51が外部反応筒1の底部に下方
に移動すると、スロット52が第3触媒盤92に相互に当接され、第2触媒盤51の外壁
の両側にスライダー53がそれぞれ設けられ、スライダー53が外部反応筒1の内壁に設
けられたシュート17に摺動可能に接続される。
【0008】
実施例2
本実施例で記載されている実施例1の多相抽出液処理のためのオゾン触媒酸化システムに
よる多相抽出液処理のオゾン触媒酸化プロセスは、
S1、液体注入:多相抽出液を主注水管3から内側注水管22に注入し、内側注水管22
の位置に対応するマイクロポーラスディフューザー14を開いて内側注水管22内にオゾ
ンを注入し、多相抽出液とオゾンを予備接触させるステップと、
S2、乱流触媒:多相抽出液を内側注水管22の底部から外部反応筒1内に流出し、第1
触媒アセンブリ4および第2触媒アセンブリ5の位置に対応するマイクロポーラスディフ
ューザー14を開いて外部反応筒1内にオゾンを注入した後、第1触媒盤41および第2
触媒盤51を順番に通過して多相抽出液が流動し、第1触媒盤41および第2触媒盤51
の内部の触媒により多相抽出液に対して触媒酸化処理を行うステップと、
S3、還流:多相抽出液が外部反応筒1の上部を流れるとき、一部の多相抽出液が還流窓
23から内部反応筒2の内部に還流し、空気管16の外側に接続された空気ポンプを開い
て内部反応筒2の内部に空気を注入して膨らませて、内部反応筒2の内部の多相抽出液が
昇降パイプ24に入れ、さらに昇降パイプ24の頂部の還流管25から内側注水管22に
入れ、多相抽出液が主排水管12から全部排出されるまで、上記ステップS1~S2を繰
り返すステップと、
S4、逆洗:すべてのマイクロポーラスディフューザー14を開き、マイクロポーラスデ
ィフューザー14から外部反応筒1の内部に注水し、第1触媒盤41および第2触媒盤5
1の内部触媒をリンスし、リンス後生成した廃水が逆洗排水管13から排出されるステッ
プと、を含む。
動作原理:以下、本発明の方法を参照しながら本発明のシステム動作原理を簡単に説明す
る。
ステップS2において、駆動モータ72を始動し、ギア73を回転させ、歯溝74の作用
下で第1回転リング7を係合溝15の内部で回転させ、さらに接続ロッド71および第2
回転リング8を回転させ、その同時に、第2回転リング8上の第2攪拌棒84および第2
クロスバー85により第2触媒盤51の内部触媒を回転しながら攪拌して、第2触媒盤5
1の内部触媒と多相抽出液の接触時間を増加させ、オゾンの水への溶解度を高め、ガスと
水の十分な接触および混合を達成し、触媒酸化効果を向上させ、
同時に、第2回転リング8上の補助リンクロッド81は補助バッフルの作用下で第1触媒
盤41を回転させ、第1触媒盤41の内部触媒と多相抽出液の接触時間を増加させ、オゾ
ンの水への溶解度を高め、ガスと水の十分な接触および混合を達成し、触媒酸化効果を向
上させ、
同時に、環形バッフル83の回転中、傾斜ロッド9のスプリングを間欠的に押圧して、傾
斜ロッド9により第3触媒盤92を間欠的に押し出し往復運動させ、第3触媒盤92の内
部触媒と多相抽出液の接触時間を増加させ、オゾンの水への溶解度を高め、ガスと水の十
分な接触および混合を達成し、触媒酸化効果を向上させ、
同時に、第1攪拌棒93により第1クロスバー42を間欠的に押し出し往復運動させ、回
転中の第1触媒盤41の内部触媒をさらに攪拌し、オゾンの水への溶解度を高め、ガスと
水の十分な接触および混合を達成し、触媒酸化効果を向上させ、
ステップS4において、第2触媒盤51を降下させる必要があり、このとき、まず傾斜ロ
ッド9が環形バッフル83の突起に妨げられなく、第2回転リング8の環形バッフル83
を適切な位置に調節し、次にプッシュロッドモータ6を始動し、第2触媒盤51を所定位
置まで降下させて第1触媒盤41と同一平面まで第1伸縮ロッド61を降下させると、マ
イクロポーラスディフューザー14を開いて高圧水を注入して逆洗を行う同時に、再び上
記と同様に駆動モータ72を始動して、第3触媒盤92をスロット52内で往復運動させ
、リンス効率を高め、3つの触媒盤とも良好なリンス効果が得られ、リンス廃水が逆洗排
水管13から排出される。
【0009】
実験例
実施例4中の実験方法を用いて現場で複数組の模擬実験を行い、結果が以下のとおりであ
る。
第1組:オゾン投与量が200mg/(L*h)であり、温度が25℃であり、水力保持
時間が1hであり、オゾン濃度が16.66mg/Lであり、間欠反応、30%の触媒添
加、COD濃度を238mg/Lから130mg/Lに減少し、COD除去率が45.3
%であり、通常のオゾン反応塔より15%増加し、
第2組:オゾン投与量が400mg/(L*h)であり、温度が25℃であり、水力保持
時間が1hであり、オゾン濃度が22.5mg/Lであり、間欠反応、30%の触媒添加
、COD濃度を238mg/Lから96mg/Lに減少し、COD除去率が57.7%で
あり、通常のオゾン反応塔より19.5%増加し、
第3組:オゾン投与量が200mg/(L*h)であり、温度が25℃であり、水力保持
時間が1hであり、オゾン濃度が16.66mg/Lであり、連続流反応、30%オゾン
触媒添加、COD濃度を200mg/Lから102mg/Lに減少し、COD除去率が4
9.5%であり、通常のオゾン反応塔より10%増加した。