(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096663
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ファイル保存システム、ファイル保存方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/04 20120101AFI20240709BHJP
G06Q 20/10 20120101ALI20240709BHJP
【FI】
G06Q30/04
G06Q20/10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121166
(22)【出願日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2023000287
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523004523
【氏名又は名称】合同会社 The Story of Life
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】星山 涼駿
【テーマコード(参考)】
5L020
5L030
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA32
5L030BB11
5L049BB11
5L055AA32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、容易に請求書を保存するファイル保存システム、ファイル保存方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】請求書保存システム1は、電子書類である請求書を保存し、請求書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する内容情報取得手段と、内容情報に基づき、請求書の発行日を示す日付情報、請求書の請求金額を示す金額情報又は請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する取引情報取得手段と、取引情報を含むファイル名で、請求書を保存する保存手段と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子書類である請求書を保存するファイル保存システムであって、
前記請求書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する内容情報取得手段と、
前記内容情報に基づき、前記請求書の発行日を示す日付情報、前記請求書の請求金額を示す金額情報又は前記請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する取引情報取得手段と、
前記取引情報を含むファイル名で、前記請求書を保存する保存手段と、を備えることを特徴とするファイル保存システム。
【請求項2】
前記取引情報取得手段は、前記内容情報において、数字と、数字以外の日付に関する文字又は記号とが隣接している部分を含む一群のテキストデータに基づき、前記日付情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のファイル保存システム。
【請求項3】
前記取引情報取得手段は、前記内容情報において、数字以外の通貨額を示す文字の前若しくは後に複数の数字が連なる一群のテキストデータのうち、数字の部分のみを数値として認識して、最も大きい数値の一群のテキストデータに基づき、前記金額情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のファイル保存システム。
【請求項4】
前記取引情報取得手段は、前記内容情報において、所定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータのうち、特定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータ以外の一群のテキストデータに基づき、前記発行者情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のファイル保存システム。
【請求項5】
電子書類である請求書を保存するファイル保存システムが実行する方法であって、
前記請求書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得するステップと、
前記内容情報に基づき、前記請求書の発行日を示す日付情報、前記請求書の請求金額を示す金額情報又は前記請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得するステップと、
前記取引情報を含むファイル名で、前記請求書を保存するステップと、を含むことを特徴とするファイル保存方法。
【請求項6】
電子書類である請求書を保存するファイル保存システムを、
前記請求書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する内容情報取得手段、
前記内容情報に基づき、前記請求書の発行日を示す日付情報、前記請求書の請求金額を示す金額情報又は前記請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する取引情報取得手段、
前記取引情報を含むファイル名で、前記請求書を保存する保存手段、として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
電子書類である契約書を保存するファイル保存システムであって、
前記契約書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する内容情報取得手段と、
前記内容情報に基づき、前記契約書の契約日を示す日付情報、前記契約書で規定された金額を示す金額情報又は前記契約書における取り引き相手である取引者を示す取引者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する取引情報取得手段と、
前記取引情報を含むファイル名で、前記契約書を保存する保存手段と、を備えることを特徴とするファイル保存システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子書類である請求書を保存するファイル保存システム、ファイル保存方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子帳簿保存法において、請求書等の国税関係帳簿を電磁的記録する場合、コンピュータにおいて、国税関係帳簿を所定の検索要件により検索可能な状態で保存することが規定されている。
【0003】
このため、例えば、特許文献1には、金銭取引における品目ごとの金額と、当該金銭取引を識別する取引識別子とを含む債務データのリストである債務データリストを記憶する債務データリスト記憶部を備える債務者によって使用される債権債務管理装置と、金銭取引における品目ごとの金額と、当該金銭取引を識別する取引識別子とを含む債権データのリストである債権データリストを記憶する債権データリスト記憶部と、前記債務データリスト記憶部が記憶する前記債務データに基づいて第1の外部装置が行う前記債務者から債権者への送金処理に基づく入金金額と前記取引識別子とを含む入金情報を前記第1の外部装置から取得する入金情報取得部と、前記入金情報取得部が取得する前記入金情報に含まれる前記取引識別子と同一の取引識別子を、前記債権データリスト記憶部に記憶された債権データリストに含まれる債権データにおいて検索し、検索した前記取引識別子に対応する前記債権データに含まれる前記金額と、前記送金処理に基づく前記入金金額と、を照合する照合部と、を備える前記債権者によって使用される債権債務管理装置と、を備えることを特徴とする債権債務管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシステムは、債務データリスト記憶部を備える債務者によって使用される債権債務管理装置と、債権データリスト記憶部を備える債権者によって使用される債権債務管理装置と、からなる大規模なシステムである。当該システムを導入するには、多大なコストと、当該システムを管理するための専門知識を有する者が必要となる。
【0006】
一方、電子帳簿保存法は、国税の納付義務を有する事業体に適用されるところ、事業体の規模が小さい等の場合、特許文献1のシステムを導入するには、コスト面、人材面等で困難な場合がある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、容易に請求書を保存することが可能なファイル保存システム、ファイル保存方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 電子書類である請求書を保存するファイル保存システムであって、
前記請求書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する内容情報取得手段と、
前記内容情報に基づき、前記請求書の発行日を示す日付情報、前記請求書の請求金額を示す金額情報又は前記請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する取引情報取得手段と、
前記取引情報を含むファイル名で、前記請求書を保存する保存手段と、を備えることを特徴とするファイル保存システム。
【0009】
(1)の発明では、ファイル保存システムは、内容情報取得手段と、取引情報取得手段と、保存手段と、を備え、電子書類である請求書を保存する。
内容情報取得手段は、請求書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する。
取引情報取得手段は、内容情報に基づき、請求書の発行日を示す日付情報、請求書の請求金額を示す金額情報又は請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する。
保存手段は、取引情報を含むファイル名で、請求書を保存する。
【0010】
ここで、一般的に、会社等の事業体は、その規模の大小に関わらず、汎用的なOS(Operating System(オペレーティングシステム))により制御されたコンピュータが導入されている。このような汎用的なOSは、通常、ファイル名で、ファイルを検索する機能を有する。
【0011】
(1)の発明によれば、請求書の発行日を示す日付情報、請求書の請求金額を示す金額情報又は請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を含むファイル名で、電子書類である請求書を保存できる。
【0012】
これにより、国税の納付義務を有する事業体は、既に導入している汎用的なOSにより制御されたコンピュータにおいて、汎用的なOSの検索機能を利用し、請求書の発行日、請求金額又は請求書の発行者を検索キーワードとして、保存した請求書を検索可能となる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、容易に請求書を保存することが可能となる。
【0013】
(2) 前記取引情報取得手段は、前記内容情報において、数字と、数字以外の日付に関する文字又は記号とが隣接している部分を含む一群のテキストデータに基づき、前記日付情報を取得することを特徴とする(1)に記載のファイル保存システム。
【0014】
ここで、ある事業体が保存する請求書は、様々な形式で作成されており、請求書の発行日が、各請求書で記載されている位置が異なる。一方、請求書において、発行日は、数字と、数字以外の日付に関する文字(例えば、「年」、「月」、「日」等)又は記号とが隣接している。
【0015】
(2)の発明によれば、数字と、数字以外の日付に関する文字又は記号とが隣接している部分を含む一群のテキストデータに基づき、日付情報を取得するので、請求書毎に発行日の位置等を特定しなくとも、正確に日付情報を取得できる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、より容易に請求書を保存することが可能となる。
【0016】
(3) 前記取引情報取得手段は、前記内容情報において、数字以外の通貨額を示す文字の前若しくは後に複数の数字が連なる一群のテキストデータのうち、数字の部分のみを数値として認識して、最も大きい数値の一群のテキストデータに基づき、前記金額情報を取得することを特徴とする(1)に記載のファイル保存システム。
【0017】
ここで、ある事業体が保存する請求書は、様々な形式で作成されており、請求書の請求金額が、各請求書で記載されている位置が異なる。一方、請求書において、請求金額は、数字の前又は後に、数字以外の通貨額を示す文字(例えば、「¥」、「円」、「$」等)が付されている。また、請求書には、請求項目の各金額、請求項目の各金額の合計値、税額、請求項金額等の複数の金額が記載されている。請求金額は、請求項目の各金額の合計値に、税額を含めた金額であり、請求書に記載された金額の中で、最も大きい値である。
【0018】
(3)の発明によれば、数字以外の通貨額を示す文字の前若しくは後に複数の数字が連なる一群のテキストデータのうち、数字の部分のみを数値として認識して、最も大きい数値の一群のテキストデータに基づき、金額情報を取得するので、請求書毎に請求金額の位置等を特定しなくとも、正確に金額情報を取得できる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、より容易に請求書を保存することが可能となる。
【0019】
(4) 前記取引情報取得手段は、前記内容情報において、所定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータのうち、特定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータ以外の一群のテキストデータに基づき、前記発行者情報を取得することを特徴とする(1)に記載のファイル保存システム。
【0020】
ここで、ある事業体が保存する請求書は、様々な形式で作成されており、請求書の発行者名が、各請求書で記載されている位置が異なる。一方、請求書において、請求書の発行者が事業体である場合が多く、事業体が会社であれば、発行者名に所定の文字として、例えば「会社」が含まれている。また、請求書において、請求先である事業体の名称には、特定の文字として、例えば「御中」が含まれており、発行者の名称には、このような特定の文字は含まれていない。
【0021】
(4)の発明によれば、所定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータのうち、特定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータ以外の一群のテキストデータに基づき、発行者情報を取得するので、請求書毎に発行者名の位置等を特定しなくとも、正確に発行者情報を取得できる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、より容易に請求書を保存することが可能となる。
【0022】
(5) 電子書類である請求書を保存するファイル保存システムが実行する方法であって、
前記請求書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得するステップと、
前記内容情報に基づき、前記請求書の発行日を示す日付情報、前記請求書の請求金額を示す金額情報又は前記請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得するステップと、
前記取引情報を含むファイル名で、前記請求書を保存するステップと、を含むことを特徴とするファイル保存方法。
【0023】
(6) 電子書類である請求書を保存するファイル保存システムを、
前記請求書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する内容情報取得手段、
前記内容情報に基づき、前記請求書の発行日を示す日付情報、前記請求書の請求金額を示す金額情報又は前記請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する取引情報取得手段、
前記取引情報を含むファイル名で、前記請求書を保存する保存手段、として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【0024】
(5)及び(6)の発明によれば、(1)の発明と同様の作用効果を奏する。
【0025】
(7) 電子書類である契約書を保存するファイル保存システムであって、
前記契約書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する内容情報取得手段と、
前記内容情報に基づき、前記契約書の契約日を示す日付情報、前記契約書における金額を示す金額情報又は前記契約書における取り引き相手である取引者を示す取引者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する取引情報取得手段と、
前記取引情報を含むファイル名で、前記契約書を保存する保存手段と、を備えることを特徴とするファイル保存システム。
【0026】
(7)の発明では、ファイル保存システムは、内容情報取得手段と、取引情報取得手段と、保存手段と、を備え、電子書類である契約書を保存する。
内容情報取得手段は、契約書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する。
取引情報取得手段は、内容情報に基づき、契約書の契約日を示す日付情報、契約書で規定された金額を示す金額情報又は契約書における取り引き相手である取引者を示す取引者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する。
保存手段は、取引情報を含むファイル名で、契約書を保存する。
【0027】
(7)の発明によれば、契約書の契約日を示す日付情報、契約書で規定された金額を示す金額情報又は契約書における取り引き相手である取引者を示す取引者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を含むファイル名で、電子書類である契約書を保存できる。
【0028】
これにより、国税の納付義務を有する事業体は、既に導入している汎用的なOSにより制御されたコンピュータにおいて、汎用的なOSの検索機能を利用し、契約書の契約日、契約書で規定された金額又は契約書における取り引き相手である取引者を検索キーワードとして、保存した請求書を検索可能となる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、容易に契約書を保存することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、容易に請求書を保存することが可能なファイル保存システム、ファイル保存方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係る請求書保存システムの概要を説明する図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る請求書保存システムの機能構成を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る請求書保存システムの取引情報取得手段による処理の一例を説明する図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る請求書保存システムにおける発行者情報識別テーブルの一例を説明する図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る請求書保存システムが実行する請求書保存処理フローを示す図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る契約書保存システムの機能構成を示す図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る契約書保存システムの取引情報取得手段による処理の一例を説明する図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る契約書保存システムにおける取引者情報識別テーブルの一例を説明する図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る契約書保存システムが実行する契約書保存処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ又は同類の要素には同じ番号または符号を付している。
【0032】
[基本概念/基本構成]
まず、電子帳簿保存法では、請求書等の国税関係帳簿や、契約書等の取引関係書類等を電磁的記録する場合、コンピュータにおいて、請求書等や契約書等を、所定の検索要件により検索可能な状態で保存することが規定されている。所定の検索要件としては、取引年月日(例えば、請求書発行日等)、取引金額(例えば、請求金額等)、取引先(例えば、請求者(請求書の発行者)等)の記録項目により検索できることが規定されている。
【0033】
図1は、本発明の第1実施形態に係る請求書保存システムの概要を説明する図である。
本発明の第1実施形態に係る請求書保存システム1は、請求書等の国税関係帳簿や、契約書等の取引関係書類等を、電磁的記録する場合、上記所定の検索要件を遵守可能に保存するファイル保存システムの一例である。
【0034】
[第1実施形態]
請求書保存システム1は、国税関係帳簿の1つである、国税納付義務を有する事業体が、請求書を、上記所定の検索要件を遵守可能に保存するものである。
【0035】
具体的には、請求書保存システム1は、請求書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する。本実施形態において、請求書は、電磁的記録されたファイルである。請求書保存システム1は、内部の記憶手段や、外部装置(例えば、国税関係帳簿が電磁的記録されたサーバ等)から、請求書を読み出し、その内容を示すテキストデータである内容情報を取得する。
【0036】
請求書保存システム1は、内容情報に基づき、請求書の発行日を示す日付情報、請求書の請求金額を示す金額情報又は請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する。
【0037】
そして、請求書保存システム1は、取引情報を含むファイル名で、請求書を、記憶手段に保存する。
【0038】
これにより、事業体は、既に導入している汎用的なOSにより制御されたコンピュータにおいて、汎用的なOSの検索機能を利用し、請求書の発行日、請求金額又は請求書の発行者を検索キーワードとして、保存した請求書を検索可能となる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、容易に請求書を保存することが可能となる。
【0039】
[機能構成]
図2は、本発明の第1実施形態に係る請求書保存システムの機能構成を示す図である。
請求書保存システム1は、内容情報取得手段10と、取引情報取得手段20と、保存手段30と、記憶手段40と、を備える。
【0040】
内容情報取得手段10は、請求書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する。具体的には、内容情報取得手段10は、記憶手段40や、外部装置(例えば、国税関係帳簿が電磁的記録されたサーバ等)から、請求書を読み出し、その内容を示すテキストデータである内容情報を取得する。
【0041】
内容情報取得手段10は、読み出した請求書にテキストデータが含まれていなかった場合(紙の請求書がスキャンされた画像データであった場合等)には、OCR(Optical Character Recognition)により、テキストデータである内容情報を取得する。
【0042】
取引情報取得手段20は、内容情報取得手段10が取得した内容情報に基づき、請求書の発行日を示す日付情報、請求書の請求金額を示す金額情報又は請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する。
【0043】
具体的には、取引情報取得手段20は、内容情報取得手段10が取得した内容情報を、文字や記号が連続している部分、又は、文字や記号が所定数(例えば、2つ)以内のスペースを挟んで連続している部分を、一群のテキストデータと認識する。このように、取引情報取得手段20は、内容情報を、複数の一群のテキストデータからなるものとして認識する。なお、本実施形態の説明において、「文字」、「記号」、「数字」には、それぞれ1つのテキストデータである場合のみならず、複数のテキストデータからなるものも含まれる。
【0044】
そして、取引情報取得手段20は、請求書に含まれる複数の一群のテキストデータのうち、発行日、請求金額又は発行者を示す一群のテキストデータを特定し、特定した一群のテキストデータが示す内容を、日付情報、金額情報又は発行者情報として取得する。
【0045】
詳細には、取引情報取得手段20は、日付情報取得手段21と、金額情報取得手段22と、発行者情報取得手段23と、を備える。
図3は、本発明の第1実施形態に係る請求書保存システムの取引情報取得手段による処理の一例を説明する図である。
【0046】
日付情報取得手段21は、内容情報において、数字と、数字以外の日付に関する文字又は記号(例えば、年号を示す「令和」、「年」、「月」、「日」、「/」、「.」等)とが隣接している部分を含む一群のテキストデータに基づき、日付情報を取得する。
【0047】
例えば、
図3に示す例において、日付情報取得手段21は、内容情報(請求書のテキストデータ)を参照して、数字と、数字以外の日付に関する文字又は記号(「令和」、「年」、「月」、「日」)が含まれる一群のテキストデータ「令和4年12月1日」を特定し、この一群のテキストデータを日付情報として取得する。
【0048】
なお、日付情報取得手段21は、一群のテキストデータ「令和4年12月1日」を、西暦表示の日付を示す8桁の数字「20221201」に変換して、変換したものを日付情報として取得してもよい。
【0049】
図2に戻って、金額情報取得手段22は、内容情報において、数字以外の通貨額を示す文字(例えば、「¥」、「円」、「$」等)の前若しくは後に複数の数字が連なる一群のテキストデータのうち、数字の部分のみを数値として認識して、最も大きい数値の一群のテキストデータに基づき、金額情報を取得する。
【0050】
例えば、
図3に示す例において、金額情報取得手段22は、内容情報(請求書のテキストデータ)を参照して、数字以外の通貨額を示す文字(「¥」)の後に複数の数字が連なる一群のテキストデータとして、「¥50,000」、「¥40,000」、「¥90,000」、「¥9,000」、「¥99,000」、「¥1,000」、「¥100,000」を数値として認識する。そして、金額情報取得手段22は、これらの数値のうち、最も大きい数値の一群のテキストデータである「¥100000」を金額情報として取得する。
【0051】
なお、金額情報取得手段22は、数字以外の通貨額を示す文字を、金額情報に含めても含めなくともよいが、通貨額を示す文字を金額情報に含めることで、複数の数値を含む日付情報と、区別することが可能となり、検索の容易性が向上する。
【0052】
図2に戻って、発行者情報取得手段23は、内容情報において、所定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータのうち、特定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータ以外の一群のテキストデータに基づき、発行者情報を取得する。
【0053】
図4は、本発明の第1実施形態に係る請求書保存システムにおける発行者情報識別テーブルの一例を説明する図である。
発行者情報識別テーブルは、記憶手段40に記憶され、所定の文字(例えば、「法人」、「会社」、「組合」、「事務所」等)と、特別の文字(振り込み先を示す情報であり、例えば、「名義」、「口座」、「銀行」等)と、特定の文字(請求書の宛先を示す情報であり、例えば、「様」、「御中」、「宛て」等)が規定されている。
【0054】
詳細には、発行者情報取得手段23は、所定の文字や、特別の文字や、特定の文字が規定された発行者情報識別テーブルを参照して、内容情報において、所定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータのうち、特定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータ以外の一群のテキストデータに基づき、発行者情報を取得する。
【0055】
ここで、請求書の発行者が、個人である場合、一般化できる所定の文字(例えば、「法人」、「会社」、「組合」、「事務所」等)が発行者名に含まれていない。一方、請求書には、請求金額の振り込み先である銀行口座の名義人名が記載されている。このような名義人名は、カタカナで表記されている。
【0056】
そこで、発行者情報取得手段23は、内容情報において、所定の文字を含む一群のテキストデータが存在しないと判定した場合、特別の文字が含まれる一群のテキストデータを検索し、検索された特別の文字が含まれる一群のテキストデータと、同じ行又は上下の行において、カタカナで表記されている一群のテキストデータに基づき、発行者情報を取得する。
【0057】
なお、発行者情報取得手段23は、発行者情報識別テーブルを参照する態様に限らず、個別に予め設定された所定の文字、特別の文字及び特定の文字に基づき、発行者情報を取得してもよい。
【0058】
例えば、
図3に示す例において、発行者情報取得手段23は、発行者情報識別テーブル(
図4参照)を参照して、内容情報において、所定の文字(「会社」)が隣接している部分を含む一群のテキストデータとして、「BB株式会社 御中」と、「株式会社あいう」と、を抽出する。そして、発行者情報取得手段23は、これらのうち、特定の文字(「御中」)が隣接している部分を含む一群のテキストデータ「BB株式会社 御中」以外の一群のテキストデータである「株式会社あいう」を、発行者情報として取得する。
【0059】
なお、発行者情報取得手段23は、一群のテキストデータ「株式会社あいう」から、予め設定された文字(例えば、「株式会社」)を除いた部分「あいう」を発行者情報として取得してもよい。これにより、発行者情報のデータ量が少なくなり、コンピュータの処理負担が軽減される。また、後述する保存手段30により設定される請求書のファイル名が短くなり、検索が容易となる。
【0060】
図2に戻って、保存手段30は、取引情報取得手段20が取得した取引情報を含むファイル名で、内容情報取得手段10が読み出した請求書を、記憶手段40に保存する。
【0061】
例えば、
図3に示す例において、保存手段30は、取引情報取得手段20が取得した取引情報(「20221201」、「¥100000」、「株式会社あいう」)を羅列したファイル名で、請求書を保存している。
【0062】
なお、保存手段30は、取引情報取得手段20が、日付情報、金額情報及び発行者情報を取得していれば、これらの3つの情報を組み合わせたファイル名で請求書を保存する。しかしながら、これに限らず、保存手段30は、取引情報取得手段20が、日付情報、金額情報及び発行者情報のうちの1つ又は2つの情報だけを取得していれば、1つ又は2つの情報を含むファイル名で、請求書を保存する。
【0063】
また、保存手段30は、記憶手段40において、管理者等により予め指定された領域(フォルダ等)に請求書を保存する。例えば、保存手段30は、取引情報取得手段20が、日付情報及び金額情報のみを取得していた場合において、これらの2つの情報を組み合わせたファイル名で、予め指定された所定のフォルダ(例えば、請求書の発行者毎に設けられたフォルダ)に請求書を保存してもよい。これにより、取引情報取得手段20が発行者情報を取得しなくとも、請求書の発行者毎のフォルダを指定して、請求書発行日及び請求金額で検索することで、請求書発行日、請求金額、請求者(請求書の発行者)の記録項目により、コンピュータ内に保存されている請求書を検索することが可能となる。
【0064】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータプログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータプログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータプログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信装置(例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイス、第3世代、第4世代及び第5世代移動通信システム等の国際電気通信連合の規格に準拠した無線デバイス等))を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0065】
[処理フロー]
図5は、本発明の第1実施形態に係る請求書保存システムが実行する請求書保存処理フローを示す図である。
【0066】
ステップS1において、内容情報取得手段10は、記憶手段40や、外部装置(例えば、国税関係帳簿が電磁的記録されたサーバ等)から、請求書を読み出し、その内容を示すテキストデータである内容情報を取得する。
【0067】
ステップS2において、取引情報取得手段20は、ステップS1で内容情報取得手段10が取得した内容情報に基づき、請求書の発行日を示す日付情報、請求書の請求金額を示す金額情報又は請求書の発行者を示す発行者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する。
【0068】
ステップS3において、保存手段30は、ステップS2で取引情報取得手段20が取得した取引情報を含むファイル名で、ステップS1で内容情報取得手段10が読み出した請求書を、記憶手段40に保存する。
【0069】
このような請求書保存システム1によれば、国税の納付義務を有する事業体は、既に導入している汎用的なOSにより制御されたコンピュータにおいて、汎用的なOSの検索機能を利用し、請求書の発行日、請求金額又は請求書の発行者を検索キーワードとして、保存した請求書を検索可能となる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、容易に請求書を保存することが可能となる。
【0070】
また、請求書保存システム1によれば、数字と、数字以外の日付に関する文字又は記号とが隣接している部分を含む一群のテキストデータに基づき、日付情報を取得するので、請求書毎に発行日の位置等を特定しなくとも、正確に日付情報を取得できる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、より容易に請求書を保存することが可能となる。
【0071】
また、請求書保存システム1によれば、数字以外の通貨額を示す文字の前若しくは後に複数の数字が連なる一群のテキストデータのうち、数字の部分のみを数値として認識して、最も大きい数値の一群のテキストデータに基づき、金額情報を取得するので、請求書毎に請求金額の位置等を特定しなくとも、正確に金額情報を取得できる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、より容易に請求書を保存することが可能となる。
【0072】
また、請求書保存システム1によれば、所定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータのうち、特定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータ以外の一群のテキストデータに基づき、発行者情報を取得するので、請求書毎に発行者名の位置等を特定しなくとも、正確に発行者情報を取得できる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、より容易に請求書を保存することが可能となる。
【0073】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るファイル保存システムの一例である契約書保存システム1Aについて説明する。契約書保存システムは、契約書等の取引関係書類等を、電磁的記録する場合、電子帳簿保存法における上記所定の検索要件を遵守可能に保存する。
【0074】
[機能構成]
図6は、本発明の第2実施形態に係る契約書保存システムの機能構成を示す図である。
契約書保存システム1Aは、内容情報取得手段10と、取引情報取得手段20Aと、保存手段30と、記憶手段40と、を備える。
【0075】
内容情報取得手段10は、契約書の内容を示すテキストデータである内容情報を取得する。具体的には、内容情報取得手段10は、記憶手段40や、外部装置(例えば、国税関係帳簿が電磁的記録されたサーバ等)から、契約書を読み出し、その内容を示すテキストデータである内容情報を取得する。
【0076】
内容情報取得手段10は、読み出した契約書にテキストデータが含まれていなかった場合(紙の契約書がスキャンされた画像データであった場合等)には、OCR(Optical Character Recognition)により、テキストデータである内容情報を取得する。
【0077】
取引情報取得手段20Aは、内容情報取得手段10が取得した内容情報に基づき、契約書の契約日を示す日付情報、契約書で規定された金額を示す金額情報又は契約書における取り引き相手である取引者を示す取引者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する。
【0078】
具体的には、取引情報取得手段20Aは、内容情報取得手段10が取得した内容情報を、文字や記号が連続している部分、又は、文字や記号が所定数(例えば、2つ)以内のスペースを挟んで連続している部分を、一群のテキストデータと認識する。このように、取引情報取得手段20Aは、内容情報を、複数の一群のテキストデータからなるものとして認識する。なお、本実施形態の説明において、「文字」、「記号」、「数字」には、それぞれ1つのテキストデータである場合のみならず、複数のテキストデータからなるものも含まれる。
【0079】
そして、取引情報取得手段20Aは、契約書に含まれる複数の一群のテキストデータのうち、日付情報、金額情報又は取引者情報を示す一群のテキストデータを特定し、特定した一群のテキストデータが示す内容を、日付情報、金額情報又は取引者情報として取得する。
【0080】
詳細には、取引情報取得手段20Aは、日付情報取得手段21と、金額情報取得手段22と、取引者情報取得手段24と、を備える。
図7は、本発明の第2実施形態に係る契約書保存システムの取引情報取得手段による処理の一例を説明する図である。
【0081】
日付情報取得手段21は、内容情報において、数字と、数字以外の日付に関する文字又は記号(例えば、年号を示す「令和」、「年」、「月」、「日」、「/」、「.」等)とが隣接している部分を含む一群のテキストデータに基づき、日付情報を取得する。
【0082】
例えば、
図7に示す例において、日付情報取得手段21は、内容情報(契約書のテキストデータ)を参照して、数字と、数字以外の日付に関する文字又は記号(「令和」、「年」、「月」、「日」)が含まれる一群のテキストデータ「令和5年7月30日」を特定し、この一群のテキストデータを日付情報として取得する。
【0083】
ここで、一般的に、契約書において、契約日は、契約書の規定の後に、当該契約書の当事者の住所及び氏名とともに、表記される。このため、契約書保存システム1Aの日付情報取得手段21は、例えば、内容情報の最初から検索をし、複数の数字と、数字以外の日付に関する文字又は記号が含まれる一群のテキストデータが、複数抽出された場合、最後に抽出された複数の数字と、数字以外の日付に関する文字又は記号が含まれる一群のテキストデータを、日付情報として取得してもよい。
【0084】
なお、日付情報取得手段21は、一群のテキストデータ「令和5年7月30日」を、西暦表示の日付を示す8桁の数字「20230730」に変換して、変換したものを日付情報として取得してもよい。
【0085】
図6に戻って、金額情報取得手段22は、内容情報において、数字以外の通貨額を示す文字(例えば、「¥」、「円」、「$」等)の前若しくは後に複数の数字が連なる一群のテキストデータのうち、数字の部分のみを数値として認識して、最も大きい数値の一群のテキストデータに基づき、金額情報を取得する。金額情報取得手段22は、内容情報において、数字以外の通貨額を示す文字の前若しくは後に複数の数字が連なる一群のテキストデータが一つしか無い場合には、当該一群のテキストデータを金額情報として取得する。
【0086】
例えば、
図7に示す例において、金額情報取得手段22は、内容情報(契約書のテキストデータ)を参照して、数字以外の通貨額を示す文字(「円」)の前に複数の数字が連なる一群のテキストデータとして、「10000円」を金額情報として取得する。
【0087】
また、金額情報取得手段22は、内容情報において、除外文字列(例えば、「損害」、「賠償」、「違約」等)の前後において近接(例えば、10文字以内、同じ一文内等)する複数の数字が連なる一群のテキストデータを除外して、最も大きい数値の一群のテキストデータに基づき、金額情報を取得する。
【0088】
なお、金額情報取得手段22は、数字以外の通貨額を示す文字を、金額情報に含めても含めなくともよいが、通貨額を示す文字を金額情報に含めることで、複数の数値を含む日付情報と、区別することが可能となり、検索の容易性が向上する。また、金額情報取得手段22は、内容情報における通貨額を示す文字を別の態様に変換して金額情報に含めてもよい。例えば、
図7に示す例では、「円」を「¥」に変換して、金額情報として取得している。
【0089】
図6に戻って、取引者情報取得手段24は、内容情報において、所定の文字(例えば、「法人」、「会社」、「組合」、「事務所」等)が隣接している部分を含む一群のテキストデータのうち、特定の文字(例えば、「甲」、「乙」、「丙」等)が近接(例えば、前後5文字以内等)している一群のテキストデータに基づき、取引者情報を取得する。
【0090】
また、取引者情報取得手段24は、内容情報において、所定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータのうち、特定の文字に近接しており、区切り文字(例えば、「と」、「、」・「。」等の句読点、「(」・「)」・「「」・「」」(全角・半角)等の括弧等)の間における一群のテキストデータに基づき、取引者情報を取得してもよい。
【0091】
図8は、本発明の第2実施形態に係る契約書保存システムにおける取引者情報識別テーブルの一例を説明する図である。
取引者情報識別テーブルは、記憶手段40に記憶され、所定の文字(例えば、「法人」、「会社」、「組合」、「事務所」等)と、特別の文字(契約の当事者を示す情報であり、例えば、「氏名」、「名称」等)と、特定の文字(契約の当事者を識別する情報であり、例えば、「甲」、「乙」、「丙」等)が規定されている。
【0092】
詳細には、取引者情報取得手段24は、所定の文字や、特別の文字や、特定の文字が規定された取引者情報識別テーブル(
図8参照)を参照して、内容情報において、所定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータのうち、特定の文字が近接している一群のテキストデータに基づき、取引者情報を取得する。なお、取引者情報取得手段24は、ユーザにより予め設定された特定の文字と近接している一群のテキストデータに基づき、取引者情報を取得してもよい。具体的には、
図7に示す例では、例えば、取引者情報取得手段24は、特定の文字として「乙」が設定されていた場合、所定の文字(「会社」)が隣接している部分を含む複数の一群のテキストデータのうち、「乙」に近接している「YYY株式会社」を、取引者情報として取得してもよい。
【0093】
ここで、契約書における取り引き相手である取引者が、個人である場合、一般化できる所定の文字(例えば、「法人」、「会社」、「組合」、「事務所」等)が発行者名に含まれていない。一方、契約書には、契約の当事者を示す情報(例えば、「氏名」、「名称」等)が表記されている。
【0094】
そこで、取引者情報取得手段24は、内容情報において、所定の文字を含む一群のテキストデータが存在しないと判定した場合、特別の文字が含まれる一群のテキストデータを検索し、検索された特別の文字が含まれる一群のテキストデータと、同じ行又は上下の行に表記されている一群のテキストデータに基づき、取引者情報を取得する。
【0095】
なお、取引者情報取得手段24は、取引者情報識別テーブルを参照する態様に限らず、個別に予め設定された所定の文字、特別の文字及び特定の文字に基づき、取引者情報を取得してもよい。例えば、取引者情報取得手段24は、予め設定された名前や名称(例えば、契約書保存システム1Aにより、ファイルを保存するユーザの名前や名称)を示すテキストデータを除外データとして、当該除外データ以外の一群のテキストデータに基づき、取引者情報を取得する。
【0096】
例えば、
図7に示す例において、取引者情報取得手段24は、取引者情報識別テーブル(
図7参照)を参照して、内容情報において、所定の文字(「会社」)が隣接している部分を含む一群のテキストデータとして、「株式会社XXX」と、「YYY株式会社」と、を抽出する。そして、取引者情報取得手段24は、これらのうち、「XXX」が除外データとして設定されていた場合、「YYY株式会社」を、取引者情報として取得する。
【0097】
また、取引者情報取得手段24は、内容情報において、所定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータを複数抽出し、いずれも除外データを含んでいない場合、抽出した複数の一群のテキストデータを全て連ねたテキストデータを、取引者情報として取得してもよい。具体的には、取引者情報取得手段24は、除外データ(例えば、「XXX」)を含まない「YYY株式会社」と、「ZZZ株式会社」と、を抽出した場合、「YYY株式会社ZZZ株式会社」を、取引者情報として取得する。
【0098】
なお、取引者情報取得手段24は、一群のテキストデータ「YYY株式会社」から、予め設定された文字(例えば、「株式会社」)を除いた部分「YYY」を取引者情報として取得してもよい。これにより、取引者情報のデータ量が少なくなり、コンピュータの処理負担が軽減される。また、後述する保存手段30により設定される契約書のファイル名が短くなり、検索が容易となる。
【0099】
図6に戻って、保存手段30は、取引情報取得手段20Aが取得した取引情報を含むファイル名で、内容情報取得手段10が読み出した契約書を、記憶手段40に保存する。
【0100】
例えば、
図7に示す例において、保存手段30は、取引情報取得手段20Aが取得した取引情報(「20230730」、「YYY株式会社」、「¥10000」)を羅列したファイル名で、契約書を保存している。
【0101】
なお、保存手段30は、取引情報取得手段20Aが、日付情報、金額情報及び取引者情報を取得していれば、これらの3つの情報を組み合わせたファイル名で契約書を保存する。しかしながら、これに限らず、保存手段30は、取引情報取得手段20Aが、日付情報、金額情報及び取引者情報のうちの1つ又は2つの情報だけを取得していれば、1つ又は2つの情報を含むファイル名で、契約書を保存する。
【0102】
また、保存手段30は、記憶手段40において、管理者等により予め指定された領域(フォルダ等)に契約書を保存する。例えば、保存手段30は、取引情報取得手段20Aが、日付情報及び金額情報のみを取得していた場合において、これらの2つの情報を組み合わせたファイル名で、予め指定された所定のフォルダ(例えば、契約書の取引者毎に設けられたフォルダ)に契約書を保存してもよい。これにより、取引情報取得手段20Aが取引者情報を取得しなくとも、契約書の取引者毎のフォルダを指定して、契約書発行日及び金額で検索することで、契約書発行日、金額、取引者の記録項目により、コンピュータ内に保存されている契約書を検索することが可能となる。
【0103】
なお、取引情報取得手段20Aは、更に、書類タイトル情報取得手段を備えてもよい。この場合、書類タイトル情報取得手段は、内容情報において、最上部(最初の1行)のテキストデータ(例えば、「契約書」、「覚書」等)を、書類タイトル情報として取得する。そして、保存手段30は、取引情報取得手段20Aが、書類タイトル情報を取得していれば、上記3つの情報に加え、書類タイトル情報を組み合わせたファイル名で契約書を保存する。なお、保存手段30は、第1実施形態の取引情報取得手段20が、取引情報取得手段20Aと同様に、書類タイトル情報を取得していれば、上記3つの情報に加え、書類タイトル情報を組み合わせたファイル名で請求書を保存してもよい。
【0104】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータプログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータプログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータプログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信装置(例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイス、第3世代、第4世代及び第5世代移動通信システム等の国際電気通信連合の規格に準拠した無線デバイス等))を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0105】
[処理フロー]
図9は、本発明の第2実施形態に係る契約書保存システムが実行する契約書保存処理フローを示す図である。
【0106】
ステップS11において、内容情報取得手段10は、記憶手段40や、外部装置(例えば、国税関係帳簿が電磁的記録されたサーバ等)から、契約書を読み出し、その内容を示すテキストデータである内容情報を取得する。
【0107】
ステップS12において、取引情報取得手段20Aは、ステップS11で内容情報取得手段10が取得した内容情報に基づき、契約書の契約日を示す日付情報、契約書で規定された金額を示す金額情報又は契約書における取り引き相手である取引者を示す取引者情報の、少なくとも1つを含む取引情報を取得する。
【0108】
ステップS13において、保存手段30は、ステップS12で取引情報取得手段20Aが取得した取引情報を含むファイル名で、ステップS1で内容情報取得手段10が読み出した契約書を、記憶手段40に保存する。
【0109】
このような契約書保存システム1Aによれば、国税の納付義務を有する事業体は、既に導入している汎用的なOSにより制御されたコンピュータにおいて、汎用的なOSの検索機能を利用し、契約書の契約日、契約書で規定された金額又は契約書における取り引き相手である取引者を検索キーワードとして、保存した請求書を検索可能となる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、容易に契約書を保存することが可能となる。
【0110】
また、契約書保存システム1Aによれば、数字と、数字以外の日付に関する文字又は記号とが隣接している部分を含む一群のテキストデータに基づき、日付情報を取得するので、契約書毎に契約日の位置等を特定しなくとも、正確に日付情報を取得できる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、より容易に契約書を保存することが可能となる。
【0111】
また、契約書保存システム1Aによれば、数字以外の通貨額を示す文字の前若しくは後に複数の数字が連なる一群のテキストデータのうち、数字の部分のみを数値として認識して、最も大きい数値の一群のテキストデータに基づき、金額情報を取得するので、契約書毎に金額の位置等を特定しなくとも、正確に金額情報を取得できる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、より容易に契約書を保存することが可能となる。
【0112】
また、契約書保存システム1Aによれば、所定の文字が隣接している部分を含む一群のテキストデータのうち、特定の文字が近接している一群のテキストデータに基づき、取引者情報を取得するので、契約書毎に取り引き相手である取引者名の位置等を特定しなくとも、正確に取引者情報を取得できる。
したがって、電子帳簿保存法の検索要件に即した態様で、より容易に契約書を保存することが可能となる。
【0113】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、ファイル保存システムについて説明したが、本発明においてファイル保存システムが実行する方法や、ファイル保存システムを各種部として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。
【符号の説明】
【0114】
1 請求書保存システム(ファイル保存システム)
1A 契約書保存システム(ファイル保存システム)
10 内容情報取得手段
20,20A 取引情報取得手段
21 日付情報取得手段
22 金額情報取得手段
23 発行者情報取得手段
24 取引者情報取得手段
30 保存手段
40 記憶手段