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特開2024-96664セラミック材料およびこれを形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096664
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】セラミック材料およびこれを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/18 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
C04B35/18
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138009
(22)【出願日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】112100167
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ ▲天▼恒
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 禹▲函▼
(72)【発明者】
【氏名】邱 國創
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低温焼結、低誘電率、低誘電損失、および低共振周波数の温度係数を伴う、低温同時焼成セラミックス(LTCC)コンポーネントおよびパッケージ用粉体、並びにその形成方法を提供する。
【解決手段】セラミック材料を形成する方法は、結晶性ケイ酸アルミニウム、非晶質フラックス剤および非晶質改質剤の前駆体を含む固体粉末の混合物を準備する工程を含む。本方法はさらに、1600℃から1800℃で前記固体粉末の混合物を焼結して、化学式AlSix1.5+2x(式中、xは0.21から0.35である)を有する前記結晶性ケイ酸アルミニウム100重量部と、前記非晶質フラックス剤10から15重量部と、前記非晶質改質剤5から10重量部とを含むセラミック材料を形成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式AlSix1.5+2x(式中、xは0.21から0.35である)を有する結晶性ケイ酸アルミニウム100重量部と、
非晶質フラックス剤10から15重量部と、
非晶質改質剤5から10重量部と、
を含むセラミック材料。
【請求項2】
前記非晶質フラックス剤には、酸化ホウ素、酸化ビスマス、またはこれらの組み合わせが含まれる、請求項1に記載のセラミック材料。
【請求項3】
前記非晶質改質剤には、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化銅、酸化カリウム、またはこれらの組み合わせが含まれる、請求項1に記載のセラミック材料。
【請求項4】
前記結晶性ケイ酸アルミニウムが、化学式AlSi0.352.20、AlSi0.292.08、AlSi0.211.92またはAlSi0.282.06を有する、請求項1に記載のセラミック材料。
【請求項5】
誘電率が3.7から14.1(1GHz)である、請求項1に記載のセラミック材料。
【請求項6】
誘電損失が5×10-4から3.1×10-2(1GHz)である、請求項1に記載のセラミック材料。
【請求項7】
300℃における熱膨張係数が5.9×10-6/℃から6.0×10-6/℃である、請求項1に記載のセラミック材料。
【請求項8】
結晶性ケイ酸アルミニウム、非晶質フラックス剤および非晶質改質剤の前駆体を含む固体粉末の混合物を準備する工程、ならびに
1600℃から1800℃で前記固体粉末の混合物を焼結して、化学式AlSix1.5+2x(式中、xは0.21から0.35である)を有する前記結晶性ケイ酸アルミニウム100重量部と、前記非晶質フラックス剤10から15重量部と、前記非晶質改質剤5から10重量部とを含むセラミック材料を形成する工程、
を含むセラミック材料を形成する方法。
【請求項9】
前記非晶質フラックス剤には、酸化ホウ素、酸化ビスマス、またはこれらの組み合わせが含まれる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記非晶質改質剤には、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化銅、酸化カリウム、またはこれらの組み合わせが含まれる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記結晶性ケイ酸アルミニウムが、化学式AlSi0.352.20、AlSi0.292.08、AlSi0.211.92またはAlSi0.282.06を有する、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野はセラミック材料およびこれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICT/IoTにおける5G移動広帯域通信、ウェアラブル電子機器、およびグリーンエネルギー応用の需要の拡大は、例えばミリ波基板、材料/コポーネント、およびモジュール集積化のような国内の高周波産業関連市場の成長を加速している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾特許出願公開第201806660号明細書
【特許文献2】台湾特許出願公開第201727153号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
全5Gアプリケーション(4Gまたは5Gサブ6GHzおよび5Gミリ波)を達成するためには、低温同時焼成セラミックス(LTCC)コンポーネントおよびパッケージ用粉体が、低温焼結、低誘電率、低誘電損失、および低共振周波数の温度係数を伴い開発されなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態は、化学式AlSix1.5+2x(式中、xは0.21から0.35である)を有する結晶性ケイ酸アルミニウム100重量部と、非晶質フラックス剤10から15重量部と、非晶質改質剤5から10重量部と、を含むセラミック材料を提供する。
【0006】
本開示の一実施形態は、セラミック材料を形成する方法であって、結晶性ケイ酸アルミニウム、非晶質フラックス剤、および非晶質改質剤の前駆体を含む固体粉末の混合物を準備する工程、ならびに固体粉末の混合物を1600℃から1800℃で焼結して、化学式AlSix1.5+2x(式中、xは0.21から0.35である)を有する結晶性ケイ酸アルミニウム100重量部と、非晶質フラックス剤10から15重量部と、非晶質改質剤5から10重量部とを含むセラミック材料を形成する工程、を含むセラミック材料を形成する方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
このようにして、ミリ波高周波および低損失の要求を満たす、高集積化能力、低吸水性および高放熱性を有する高信頼性、小型化LTCCパッケージング技術を達成することができる。
【0008】
添付の図面を参照して、以下の実施形態において詳細な説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面を参照して以下の詳細な説明および実施例を読むことによって、本開示をより十分に理解することができる。
【0010】
図1】本開示の一実施形態におけるセラミック材料のXRDスペクトルを示す。
図2】本開示の一実施形態におけるセラミック材料のXRDスペクトルを示す。
図3】本開示の一実施形態におけるセラミック材料のXRDスペクトルを示す。
図4】本開示の一実施形態におけるセラミック材料のXRDスペクトルを示す。
図5】本開示の一実施形態におけるセラミック材料のXRDスペクトルを示す。
図6】本開示の一実施形態におけるセラミック材料のXRDスペクトルを示す。
図7】本開示の一実施形態におけるセラミック材料のXRDスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な記載では、開示される実施形態が十分に理解されるよう、説明の目的で、多数の特定の詳細が示される。しかし、これらの特定の詳細がなくとも、1つまたはそれ以上の実施形態が実施可能であるということは明らかであろう。また、図を簡潔とするために、既知の構造および装置は概略的に描かれる。
【0012】
本開示の一実施形態は、結晶性ケイ酸アルミニウム、非晶質フラックス剤および非晶質改質剤の前駆体を含む固体粉末の混合物を準備する工程を含むセラミック材料を形成する方法を提供する。例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、および酸化カルシウムを含むガラス粉末(結晶性ケイ酸アルミニウムの前駆体および非晶質改質剤の前駆体として用いる)、酸化アルミニウム粉末(結晶性ケイ酸アルミニウムの前駆体として用いる)、ならびにホウ酸粉末(非晶質フラックス剤の前駆体として用いる)を混合して混合物を形成することができる。さらに、酸化アルミニウム粉末(結晶性ケイ酸アルミニウムの前駆体として用いる)、酸化ケイ素粉末(結晶性ケイ酸アルミニウムの前駆体として用いる)、水酸化カルシウム粉末(非晶質改質剤の前駆体として用いる)、およびホウ酸粉末(非晶質フラックス剤の前駆体として用いる)を混合して混合物を形成することができる。あるいは、他の結晶性ケイ酸アルミニウム、非晶質フラックス剤および非晶質改質剤の前駆体の固体粉末を混合して、混合物を形成することができる。
【0013】
次いで、固体粉末の混合物を1600℃から1800℃で焼結してセラミック材料を形成する。セラミック材料は、化学式AlSix1.5+2x(式中、xは0.21から0.35である)を有する結晶性ケイ酸アルミニウム100重量部と、非晶質フラックス剤10から15重量部と、非晶質改質剤5から10重量部と、を含む。いくつかの実施形態において、xは0.28から0.35であってよい。Xが小さすぎる(つまり、酸化ケイ素の量が少なすぎる、または酸化アルミニウムの量が多すぎる)と、酸化アルミニウムの相が優位を占めるようになり、セラミック材料の誘電率(Dk)の値がより高くなってしまう。Xが大きすぎる(つまり、酸化ケイ素の量が多すぎる、または酸化アルミニウムの量が少なすぎる)と、大量の酸化ケイ素の相が析出して、セラミック材料の結晶性を低下させてしまい、これによりセラミック材料のDkおよび誘電損失(Df)の値が増加してしまう。非晶質フラックス剤の量が少なすぎると、相形成温度が高まって、セラミック材料が結晶化されにくくなってしまう。非晶質フラックス剤の量が多すぎると、相形成温度が低くなって、セラミック材料の溶融状態が形成されやすくなってしまう。そのため、セラミック材料が結晶化されにくくなる。非晶質改質剤の量が少なすぎると、セラミック材料の結晶性も低下する。非晶質改質剤の量が多すぎると、セラミック材料中に不純物相が形成されやすくなる。
【0014】
いくつかの実施形態において、非晶質フラックス剤には、酸化ホウ素、酸化ビスマス、またはこれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、非晶質フラックス剤は酸化ホウ素である。いくつかの実施形態において、非晶質改質剤には、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化銅、酸化カリウム、またはこれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、非晶質改質剤は酸化カルシウムである。
【0015】
いくつかの実施形態において、結晶性ケイ酸アルミニウムは、化学式AlSi0.352.20を有する。いくつかの実施形態において、結晶性ケイ酸アルミニウムは、化学式AlSi0.292.08を有する。いくつかの実施形態において、結晶性ケイ酸アルミニウムは、化学式AlSi0.211.92を有する。いくつかの実施形態において、結晶性ケイ酸アルミニウムは、化学式AlSi0.282.06を有する。いくつかの実施形態において、セラミック材料の誘電率は3.7から14.1(1GHz)である。例えば、セラミック材料の誘電率は3.7から6.9(1GHz)である。いくつかの実施形態において、セラミック材料の誘電損失は5×10-4から3.1×10-2(1GHz)である。例えば、セラミック材料の誘電損失は5×10-4から3.1×10-3(1GHz)である。いくつかの実施形態において、300℃におけるセラミック材料の熱膨張係数は5.9×10-6/℃から6.0×10-6/℃である。
【0016】
続いて、適量のセラミック材料粉末をプレスして、所定の時間800℃から900℃に保ち、セラミック体に成形することができる。なお、セラミック材料粉末を成形してセラミック体を形成するための成形温度は、セラミック材料粉末の形成温度よりも大幅に低いため、セラミック体を粉砕したセラミック材料粉末を再度プレスして別のセラミック体を成形することができる、という点に留意されたい。換言すると、セラミック材料粉末はリサイクル性を有している。
【0017】
セラミック材料を形成する方法は、ゾルゲルプロセスを必要としない、固体焼結に係るものであって、シンプルかつ大量生産に適している。
【0018】
以下に、当該分野において通常の知識を有する者が容易に理解できるよう、添付の図面を参照して、例示的な実施形態を詳細に説明する。本発明概念は、ここに示される例示的な実施形態に限定されることなく様々な形式で具体化され得る。明瞭にするために既知の部分の説明は省き、全体を通して類似する参照数字は類似する構成要素を示すものとする。
【実施例0019】
実施例1
ガラス粉末A18.6g(酸化アルミニウム10.69wt%、酸化ケイ素50.65wt%、酸化カルシウム10.58wt%、および酸化ホウ素20.77wt%を含む)、酸化アルミニウム11.4g、ならびにホウ酸3gをエタノールに加え、砕いて分散させ、次いで、ベークした後、その乾燥した混合物を1650℃まで加熱して2時間焼結してから、冷却してセラミック材料粉末を得た。そのセラミック材料粉末をXRDで分析したところ、図1に示されるように、スペクトルは結晶性ケイ酸アルミニウム(Al2.22Si0.784.89、つまりAlSi0.352.20)、および結晶性酸化ケイ素(SiO2)のシグナルを示した。元素分析の結果によれば、セラミック材料粉末はAl23を49.78重量部、SiO2を34.2重量部、B23を11.39重量部、およびCaOを6.43重量部含んでいた。Al23およびSiO2は、結晶性ケイ酸アルミニウムおよび少量の結晶性酸化ケイ素を構成していた。B23およびCaOは非晶質材料であったため、XRDスペクトル中にシグナルは観察されなかった。
【0020】
適量のセラミック材料を圧力40kg/m2でプレスして直径11mmの丸形のビレットを形成し、2時間850℃に保ち、セラミック材料粉末を成形した。得られた成形品の誘電率Dkは5.5558(1GHz)、誘電損失Dfは5×10-4(1GHz)、300℃における熱膨張係数は5.91×10-6/℃であった。誘電率および誘電損失はIPC-TM-650標準にしたがって測定し、熱膨張係数はASTM E288-11標準にしたがって測定した。
【0021】
実施例2
酸化アルミニウム13.12g、酸化ケイ素5.43g、水酸化カルシウム2.24g、およびホウ酸10.06gをエタノールに加え、砕いて分散させ、次いで、ベークした後、その乾燥した混合物を1650℃まで加熱して2時間焼結してから、冷却してセラミック材料粉末を得た。そのセラミック材料粉末をXRDで分析したところ、図2に示されるように、スペクトルは結晶性ケイ酸アルミニウム(Al4.64Si1.369.68、つまりAlSi0.292.08)、および結晶性酸化ケイ素(SiO2)のシグナルを示した。元素分析の結果によれば、セラミック材料粉末は、Al23を60.06重量部、SiO2を22.85重量部、B23を9.78重量部、およびCaOを7.31重量部含んでいた。Al23およびSiO2は、結晶性ケイ酸アルミニウムおよび少量の結晶性酸化ケイ素を構成していた。B23およびCaOは非晶質材料であったため、XRDスペクトル中にシグナルは観察されなかった。
【0022】
適量のセラミック材料を圧力40kg/m2でプレスして直径11mmの丸形のビレットを形成し、2時間850℃に保ち、セラミック材料粉末を成形した。得られた成形品の誘電率Dkは3.7996(1GHz)、誘電損失Dfは1.6×10-3(1GHz)であった。誘電率および誘電損失はIPC-TM-650標準にしたがって測定した。
【0023】
実施例3
酸化アルミニウム20.392g、酸化ケイ素10.192g、炭酸カルシウム3.9305g、およびホウ酸15.407gをエタノールに加え、砕いて分散させ、次いで、ベークした後、その乾燥した混合物を1650℃まで加熱して2時間焼結してから、冷却してセラミック材料粉末を得た。そのセラミック材料粉末をXRDで分析したところ、図3に示されるように、スペクトルは結晶性ケイ酸アルミニウム(Al4.95Si1.059.52、つまりAlSi0.211.92)および結晶性酸化ケイ素(SiO2)のシグナルを示した。元素分析の結果によれば、セラミック材料粉末は、Al23を56.74重量部、SiO2を25.37重量部、B23を12.03重量部、およびCaOを5.86重量部含んでいた。Al23およびSiO2は、結晶性ケイ酸アルミニウムおよび少量の結晶性酸化ケイ素を構成していた。B23およびCaOは非晶質材料であったため、XRDスペクトル中にシグナルは観察されなかった。
【0024】
適量のセラミック材料を圧力40kg/m2でプレスして直径11mmの丸形のビレットを形成し、2時間850℃に保ち、セラミック材料粉末を成形した。得られた成形品の誘電率Dkは14.054(1GHz)、誘電損失Dfは3.03×10-2(1GHz)であった。誘電率および誘電損失はIPC-TM-650標準にしたがって測定した。
【0025】
実施例4
酸化アルミニウム39.8g、酸化ケイ素24.6g、水酸化カルシウム5.1g、およびホウ酸30.5gをエタノールに加え、砕いて分散させ、次いで、ベークした後、その乾燥した混合物を1650℃まで加熱して2時間焼結してから、冷却してセラミック材料粉末を得た。そのセラミック材料粉末をXRDで分析したところ、図4に示されるように、スペクトルは結晶性ケイ酸アルミニウム(Al2.34Si0.664.83、つまりAlSi0.282.06)および結晶性酸化ケイ素(SiO2)のシグナルを示した。元素分析の結果によれば、セラミック材料粉末は、Al23を52.16重量部、SiO2を32.15重量部、B23を11.84重量部、およびCaOを4.85重量部含んでいた。Al23およびSiO2は、結晶性ケイ酸アルミニウムおよび少量の結晶性酸化ケイ素を構成していた。B23およびCaOは非晶質材料であったため、XRDスペクトル中にシグナルは観察されなかった。
【0026】
適量のセラミック材料を圧力40kg/m2でプレスして直径11mmの丸形のビレットを形成し、2時間850℃に保ち、セラミック材料粉末を成形した。得られた成形品の誘電率Dkは6.801(1GHz)、誘電損失Dfは3.1×10-3(1GHz)であった。誘電率および誘電損失はIPC-TM-650標準にしたがって測定した。
【0027】
比較例1
ガラス粉末A18.6g(酸化アルミニウム10.69wt%、酸化ケイ素50.65wt%、酸化カルシウム10.58wt%、および酸化ホウ素20.77wt%を含む)ならびに酸化アルミニウム5.4gをエタノールに加え、砕いて分散させ、次いで、ベークした後、その乾燥した混合物を1650℃まで加熱して2時間焼結してから、冷却してセラミック材料粉末を得た。そのセラミック材料粉末をXRDで分析した。実施例1におけるXRDスペクトル(例えば、図5中の(A)の部分)に比べ、比較例1におけるXRDスペクトル(例えば、図5中の(B)の部分)は、セラミック材料粉末が、ターゲットのケイ酸アルミニウム(Al2.22Si0.784.89、つまりAlSi0.352.20)の結晶相から逸脱していることを示した。比較例1におけるXRDスペクトル(例えば、図5中の(B)の部分)は、弱い結晶性酸化ケイ素(SiO2)のシグナルを示した。
【0028】
適量のセラミック材料を圧力40kg/m2でプレスして直径11mmの丸形のビレットを形成し、2時間850℃に保ち、セラミック材料粉末を成形した。その成形品の誘電率Dkは7.3342(1GHz)、誘電損失Dfは2.4×10-3(1GHz)であり、実施例1における誘電率Dk5.5558(1GHz)および誘電損失Df5×10-4(1GHz)よりも高かった。誘電率および誘電損失はIPC-TM-650標準にしたがって測定した。
【0029】
比較例2
ガラス粉末A18.6g(酸化アルミニウム10.69wt%、酸化ケイ素50.65wt%、酸化カルシウム10.58wt%、および酸化ホウ素20.77wt%)、ならびに酸化アルミニウム11.4gをエタノールに加え、砕いて分散させ、次いで、ベークした後、その乾燥した混合物を1650℃まで加熱して2時間焼結してから、冷却してセラミック材料粉末を得た。そのセラミック材料粉末をXRDで分析した。実施例1におけるXRDスペクトル(例えば、図6中の(A)の部分)に比べ、比較例2におけるXRDスペクトル(例えば、図6中の(B)の部分)は、ホウ酸を加えずに形成されたセラミック材料粉末が、結晶性酸化ケイ素(SiO2)の不純物相のシグナルがより強い結晶性ケイ酸アルミニウム(Al2.22Si0.784.89、つまりAlSi0.352.20)を形成することを示していた。
【0030】
適量のセラミック材料を圧力40kg/m2でプレスして直径11mmの丸形のビレットを形成し、2時間850℃に保ち、セラミック材料粉末を成形した。その成形品の誘電率Dkは6.1172(1GHz)、誘電損失Dfは9×10-4(1GHz)であり、実施例1における誘電率Dk5.5558(1GHz)および誘電損失Df5×10-4(1GHz)よりも高かった。誘電率および誘電損失はIPC-TM-650標準にしたがって測定した。
【0031】
実施例5
酸化アルミニウム20.392g、酸化ケイ素10.196g、炭酸カルシウム0.9098g、およびホウ酸4.5314gをエタノールに加え、砕いて分散させ、次いで、ベークした後、その乾燥した混合物を1650℃まで加熱して2時間焼結してから、冷却してセラミック材料粉末を得た。そのセラミック材料粉末をXRDで分析したところ、図7に示されるように、そのスペクトルは、結晶性ケイ酸アルミニウム(Al4.95Si1.059.52、つまりAlSi0.211.92)、および結晶性酸化ケイ素(SiO2)のシグナルを示した。
【0032】
開示された方法および材料に様々な変更および変化を加え得るということは、当業者には明らかであろう。明細書および実施例は単に例示としてみなされるように意図されており、本開示の真の範囲は、以下のクレームおよびそれらの均等物によって示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7