(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096672
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】小さな流れ抵抗を有する管路コネクタ
(51)【国際特許分類】
F16L 37/32 20060101AFI20240709BHJP
F16K 1/42 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F16L37/32
F16K1/42 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211965
(22)【出願日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】23150315
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503126212
【氏名又は名称】ティ・アイ・オートモーティヴ(フルダブリュック)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】イーリス・バルテル
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・レーダー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・ローデ
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・イェンゼン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ・ヘッケル
(72)【発明者】
【氏名】カイ・ブーベ
【テーマコード(参考)】
3H052
3J106
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA11
3H052CB01
3H052EA02
3J106AA01
3J106AB10
3J106BA01
3J106BA02
3J106BA03
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106EA03
3J106ED33
3J106GA02
3J106GA04
3J106GA11
3J106GA23
3J106GB01
(57)【要約】
【課題】小さな流れ抵抗を有する、弁を有する管路コネクタを得る。
【解決手段】相補的な管路コネクタ2と流体を連通させる管路コネクタ1であって、内部通路8内に弁10が配置されており、該弁10が、弁ガイド11と、軸方向に可動な弁体12と、弁座13とを含んでおり、弁ガイド11が弁体12の移動方向を規定しており、弁体12が弁10の閉止状態において弁座13に流体密に接触し弁10の開放状態において弁座13に接触しないように、管路コネクタ1が形成されている、前記管路コネクタにおいて、断面において、あるいは正面で見て、中心軸線に関して同心状に配置された円形とは異なる少なくとも1つの流れ開口部7を弁座13が備えており、及び/又は弁ガイド11が弁座13のガイド収容部16において軸方向に摺動するように支持されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補的な管路コネクタ(2)と流体を連通させる管路コネクタ(1)であって、該管路コネクタ(1)がコネクタ本体部(3)を含んでおり、該コネクタ本体部(3)が、配管(5)又はアセンブリとの結合のための結合部(4)と、相補的な管路コネクタ(2)との連結のための連結部(6)とを備えており、該連結部(6)及び結合部(4)が、コネクタ本体部(3)の内部通路(8)を介して互いに連通しており、内部通路(8)の、連結部(6)に割り当てられた部分が、連結ブッシュ(1)の長手断面において、中心軸線(M)と、軸方向と、径方向と、周方向とを規定しており、連結部(6)が、軸方向外側の方向において、連結開口部(9)によって閉鎖され、内部通路(8)内に弁(10)が配置されており、該弁(10)が、弁ガイド(11)と、軸方向に可動な弁体(12)と、弁座(13)とを含んでおり、弁ガイド(11)が弁体(12)の移動方向を規定しており、弁体(12)が弁(10)の閉止状態において弁座(13)に流体密に接触し弁(10)の開放状態において弁座(13)に接触しないように、管路コネクタ(1)が形成されている、前記管路コネクタにおいて、
断面において、あるいは正面で見て、中心軸線(M)に関して同心状に配置された円形とは異なる少なくとも1つの流れ開口部(7)を弁座(13)が備えていること、及び/又は弁ガイド(11)が弁座(13)のガイド収容部(16)において軸方向に摺動するように支持されていることを特徴とする管路コネクタ。
【請求項2】
弁座(13)が、それぞれ全周に設けれた縁部(14)を有する、少なくとも2つ又は3つの、好ましくは2つのみの流れ開口部(7)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項3】
少なくとも1つ又は1つのみの流れ開口部(7)が円形とは異なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの流れ開口部(7)が、断面において、あるいは正面で見て細長いとともに湾曲されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項5】
弁体(12)が、弁(10)の閉鎖状態において弁座(13)あるいは少なくとも1つの流れ開口部(7)に流体密に接触するシール面(15)を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項6】
弁ガイド(11)の軸方向外方の端部が、弁座(13)あるいはガイド収容部(16)から軸方向外側の方向へ突出していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項7】
弁座(13)が、コネクタ本体部(3)とは別に製造されているとともに、コネクタ本体部(3)あるいはコネクタ本体部(3)の弁座部分に固定されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項8】
弁(10)が復帰要素(17)を含んでおり、該復帰要素(17)が、好ましくは弁座(13)あるいはガイド収容部(16)の軸方向外方に配置されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項9】
管路コネクタ(1)が、弁座(13)をコネクタ本体部(3)においてロックする弁座ホルダ(23)を含んでいることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項10】
コネクタ本体部(3)が、一体的に、好ましくは統合して形成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項11】
弁(10)の開放状態において、及び/又は弁(10)の閉鎖状態において、弁体(12)がコネクタ本体部(3)に接触しないことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項12】
管路コネクタ(1)が、弁(10)が相補的な管路コネクタ(2)との管路コネクタ(1)の結合に依存して開放あるいは閉鎖するように形成されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項13】
管路コネクタ(1)が連結ブッシュ(18)又は連結プラグ(19)であることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)と、配管(5)とを含む流体管路。
【請求項15】
原動機付き車両、特に陸上車両あるいは路上車両における、及び好ましくは乗用車又は商用車における、管路コネクタ(1)又は流体管路、特に請求項1~13のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)又は請求項14に記載の流体管路の使用であって、電動車両における使用が好ましいことを特徴とする使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相補的な管路コネクタと流体を連通させる管路コネクタに関するものであり、管路コネクタがコネクタ本体部を含んでおり、コネクタ本体部が、配管又はアセンブリとの結合のための結合部と、相補的な管路コネクタとの連結のための連結部とを備えており、連結部及び結合部が、コネクタ本体部の内部通路を介して互いに連通しており、内部通路には弁が配置されており、弁が、弁ガイドと、軸方向に可動な弁体と、弁座とを含んでおり、弁ガイドが弁体の移動方向を規定しており、弁体が弁の閉止状態において弁座に流体密に接触し弁の開放状態において弁座に接触しないように、管路コネクタが形成されている。
【背景技術】
【0002】
連結ブッシュの形態での、及び連結プラグの形態でのこのような管路コネクタは、例えば特許文献1又は特許文献2から知られており、管路コネクタは、それぞれ1つの弁を備えている。両管路コネクタを1つの連結装置へ接合することで、各管路コネクタにある弁がそれぞれ他の弁によって更に各管路コネクタの内部へ押圧され、これにより、両弁が同時に開放される。連結装置の解除時には、両弁は、それぞれ弁構造における復帰要素を用いて自動的に閉鎖されるため、連結装置の解除時の流体損失が回避されるか、大きく低減される。したがって、弁は連結装置の結合状態に依存してのみ開閉するため、当該弁は、流れに依存するか、あるいは流体圧に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許出願公開第868631号明細書
【特許文献2】独国特許発明第102004026209号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、当該従来技術の管路コネクタは、弁を有さない管路コネクタに比べて、弁により流れ抵抗がかなり大きいという欠点を有している。本発明の基礎となる課題は、小さな流れ抵抗を有する、弁を有する管路コネクタを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当該課題は、相補的な管路コネクタと流体を連通させる管路コネクタであって、該管路コネクタがコネクタ本体部を含んでおり、該コネクタ本体部が、配管又はアセンブリとの結合のための結合部と、相補的な管路コネクタとの連結のための連結部とを備えており、該連結部及び結合部が、コネクタ本体部の内部通路を介して互いに連通しており、内部通路の、連結部に割り当てられた部分が、連結ブッシュの長手断面において、中心軸線と、軸方向と、径方向と、周方向とを規定しており、連結部が、軸方向外側の方向において、連結開口部によって閉鎖され、内部通路内に弁が配置されており、該弁が、弁ガイドと、軸方向に可動な弁体と、弁座とを含んでおり、弁ガイドが弁体の移動方向を規定しており、弁体が弁の閉止状態において弁座に流体密に接触し弁の開放状態において弁座に接触しないように、管路コネクタが形成されている、前記管路コネクタにおいて、断面において、あるいは正面で見て、中心軸線に関して同心状に配置された円形とは異なる少なくとも1つの流れ開口部を弁座が備えていること、及び/又は弁ガイドが弁座のガイド収容部において軸方向に摺動するように支持されていることを特徴とする管路コネクタによって解決される。
【0006】
まず、本発明は、冒頭に挙げた課題が異なる2つの解決手段によって解決されることができるという認識に基づくものであり、両解決手段は、重複して用いられることが可能である。
【0007】
第1の解決手段によれば、弁座の少なくとも1つの流れ開口部が同心状の円形とは異なっていることで、冒頭にあげた課題が満たされる。例えば、流れ開口部は、星形又は花形に形成されることができ、これにより、流れ開口部の周囲が同心状の円形に比べて大幅に拡大される。合目的には弁座あるいは流れ開口部に対して相補的に形成された弁体が弁座から離れると、上記両形状例の場合に本質的に星あるいは花の輪郭を有する流れ通路が弁において生じる。ただし、流体は、実質的に各流れ開口部の外側の縁部においてのみ流れる。なぜなら、弁体がそこで最初に弁座から離れるためである。その結果、流量あるいは流れ抵抗に関して、流れ開口部の周囲が面積よりも決定的である。
【0008】
また、流れ抵抗は、弁座の総面積をそれらの間で実質的に配分する2つ以上の流れ開口部を弁座が備えることによっても大幅に低減されることが可能である。なぜなら、個々の流れ開口部の周囲の合計は、1つの大きな流れ開口部の周囲よりも大きいためである。例えば2つ又は3つの円形状の流れ開口部が弁座に設けられれば、中心軸線Mに関しては同心状に配置されていない円形である。結果的に、円形状でない流れ開口部又は円形状ではあるが同心状に配置されていない流れ開口部によって、流れ抵抗の低減が可能であり、これにより、冒頭に挙げた課題が解決される。
【0009】
第2の解決手段によれば、弁ガイドが弁座のガイド収容部において軸方向に摺動するように支持されていることによって、冒頭にあげた課題が満たされる。これにより、公知の弁ガイドを保持あるいは支持する、弁体の軸方向内側における弁ブラケットを省略することができる。当該公知の弁ブラケットは、その側で支持部を介して管路コネクタの内壁に結合されており、当該支持部が流れ抵抗を生じさせる。弁座あるいは弁座における弁ガイドのブラケット/保持部に弁ブラケットの機能を統合することで、内部通路において別々に形成された弁ブラケットが回避される。その結果、流れ抵抗が低減され、冒頭に挙げた課題が解決される。
【0010】
「軸方向内方(内側)」という表現は、好ましくは管路コネクタあるいは相補的な管路コネクタの連結開口部から管路コネクタあるいは相補的な管路コネクタ内へあるいは結合部への軸方向を意図している。合目的には、「軸方向内方(内側)」あるいは「軸方向外方(外側)」という記載は、それぞれ管路コネクタに関してのものであるため、管路コネクタの軸方向内側の方向は、相補的な管路コネクタの軸方向内側の方向とは反対である。
【0011】
「軸方向に摺動するように」という表現は、好ましくは、軸方向の摺動に必要な径方向のわずかのみの遊びが存在することを意図している。弁座における弁ガイドの回転が阻止されるように弁ガイド及び弁座を形成することが可能である。これは、弁の特に信頼性のあるシール作用に寄与する。
【0012】
弁ガイドは、有利には細長く、好ましくはロッド状に形成されている。好ましくは、弁ガイドの長手延長部あるいは最も長い延長部は軸方向に延在している。これにより、できる限り抵抗の少ない弁の形成が可能となる。弁ガイド、弁体及び/又は弁座が少なくとも軸方向において部分的に回転対象に形成されており、及び/又は同心状に配置されていることが好ましい。合目的には、弁座は、弁が開放された状態及び/又は閉鎖された状態において、少なくとも軸方向において部分的に、弁体よりも更に軸方向に外側へ配置されている。有利には、弁座及び/又は弁体は、径方向及び/又は軸方向において、完全にコネクタ本体部内に入れられている。
【0013】
弁座は好ましくは弁座リングを含んでおり、当該弁座リングは、更に好ましくは弁座の外側の縁部を形成する。有利には、弁座は、例えば射出成形によって一体的に、及び好ましくは統合して形成されている。合目的には、弁座は、弁ガイドを支持するガイド収容部を含んでいる。合目的には、弁座は、ガイド収容部を弁座リングに結合する少なくとも1つの弁座ウェブを含んでいる。
【0014】
少なくとも1つの弁座ウェブは、有利には管路コネクタの長手部分において軸方向内側の方向へ、及び/又は軸方向外側の方向へ、好ましくは軸方向内側の方向及び軸方向外側の方向へ先細となっている(縮径している)。有利には、少なくとも1つの弁座は、軸方向における管路コネクタの長手部分において中央部分を備えており、当該中央部分は、径方向において、弁座ウェブの軸方向外側の部分及び/又は軸方向内側の部分よりも更に延長されている。これにより、流体の流れが最適化される。有利には、少なくとも1つの弁座ウェブの輪郭あるいは断面は管路コネクタの長手部分において丸められており、好ましくは少なくとも1つの軸方向へ滴状に、及び特に好ましくは両軸方向へ滴状に形成されている。
【0015】
非常に好ましい一実施形態によれば、弁座は、それぞれ全周に設けれた縁部を有する、少なくとも2つ又は3つの、好ましくは2つのみの流れ開口部を備えている。流れ開口部が少なくとも2つあるいは3つの弁座ウェブを形成することが好ましい。弁座は、有利には少なくとも2つあるいは3つの弁座ウェブを備えている。有利には、弁座ウェブは、1つの/前記のガイド収容部を弁座リングに結合させる。
【0016】
非常に有利な一実施形態によれば、少なくとも1つの、又は1つのみの流れ開口部は円形ではない。少なくとも1つの流れ開口部は、例えば花形又は星形に構成されることが可能である。少なくとも1つの弁座ウェブが弁座リングから更に径方向内方へ延びることが可能であり、好ましくは、複数の弁座ウェブの1つの弁座ウェブの径方向内方の端部が1つの/上記のガイド収容部を形成する。
【0017】
少なくとも1つの流れ開口部、好ましくは両流れ開口部が断面において、あるいは正面から見て細長く、及び湾曲されていることが特に好ましい。これは、流れ開口部の全周長さの拡大を可能とするとともに、同時に別々の弁ブラケットを回避することに寄与する。有利には、少なくとも1つの流れ開口部あるいは両流れ開口部は、C字状に形成されている。両流れ開口部が、湾曲された輪郭あるいはC字状の輪郭により、正面から見てガイド収容部を少なくとも部分的に包囲することが非常に好ましい。
【0018】
特に好ましくは、弁体は、弁が閉鎖された状態で弁座あるいは少なくとも1つの流れ開口部に流体密に接触するシール面を含んでいる。有利には、少なくとも1つの流れ開口部の縁部は、弁が閉鎖された状態において、軸方向にシール面に係合する。これは、流れ抵抗の低減あるいは弁のシール作用に寄与する。弁体あるいはシール面が、弁が開放された状態において弁座収容部を備えていることが好ましい。弁座収容部は、好ましくは、弁座ウェブを収容する少なくとも1つのウェブ収容部及び/又は弁座のガイド収容部のための収容部を含んでいる。
【0019】
弁ガイドの軸方向外側の端部が軸方向外側の方向において弁座あるいはガイド収容部から突出することが特に好ましい。弁体が、その連結開口部に割り当てられた側、あるいは軸方向外側で弁ガイドに結合されていることが非常に有利である。これは、別々の弁ブラケットの回避に寄与する。好ましくは、弁ガイドの軸方向内側の端部は弁体に接続されている。弁ガイドの軸方向外側の端部が、弁が閉鎖されている状態において、弁が閉鎖されている状態に比べて軸方向に更に外側の方向へ突出することが有利である。
【0020】
非常に好ましい一実施形態によれば、弁座は、コネクタ本体部とは別に形成されているとともに、コネクタ本体部の弁体あるいは弁座部分に固定されている。これにより、コネクタ本体部の統合した形成が可能であるため、特に、2つ以上の部分から成るコネクタ本体部が不要である。弁座は、嵌合式、係合式及び/又は材料結合式にコネクタ本体部に固定されることができ、弁座は、有利には嵌合式及び/又は係合式にコネクタ本体部に固定されている。弁座は、特にコネクタ本体部あるいは弁座部分に挟着されることができ、挟着力は、好ましくは径方向に作用する。有利には、弁座の弁座リングは、その径方向外側においてコネクタ本体部の弁座部分に対して相補的に形成され、弁座部分へはめ込まれている。弁座部分は、コネクタ本体部内で弁座の軸方向の位置を規定するために径方向内方へ突出するショルダ部を備えている。
【0021】
特に好ましくは、弁は復帰要素を含んでおり、復帰要素は、好ましくは弁座あるいはガイド収容部の軸方向外側に配置されている。復帰要素が弁が閉鎖された状態において弁体を弁座に対して押圧するように、復帰要素が、弁体に対して、好ましくは弁座の方向に力を加えることが合目的である。復帰要素あるいは復帰要素の内側の端部が弁座の軸方向外側あるいはガイド収容部の1つにおいて支持されていることが非常に好ましい。有利には、復帰要素は、弾性要素、特に弾性バネ要素及び好ましくはコイルバネとして構成されている。復帰要素が弁ガイドを少なくとも軸方向において部分的に径方向に包囲していることが非常に好ましい。有利には、復帰要素の軸方向外側の端部は、弁ガイドの軸方向外側の端部に支持されている。有利には、弁ガイドの軸方向外側の端部は、径方向外方へ突出する突出部を含んでおり、当該突出部は、好ましくはフランジとして形成されている。復帰要素は、好ましくは、弁ガイドの軸方向外側の端部において径方向外方へ突出する突出部と弁座あるいはガイド収容部との間に配置されている。
【0022】
有利には、管路コネクタは、コネクタ本体部において弁座をロックするための弁座ホルダを含んでいる。弁座ホルダは、リング状及び好ましくは円環状に形成されることが可能である。弁座ホルダは、好ましくは弁座に対して軸方向外側に配置されている。弁座ホルダは、コネクタ本体部に嵌合式、係合式及び/又は材料結合式に固定され、特にコネクタ本体部に挟着されることが可能である。有利には、弁座ホルダは、コネクタ本体部における弁座の軸方向の遊びを紡糸する。
【0023】
好ましい一実施形態によれば、コネクタ本体部は、一体的に、及び好ましくは統合して形成されている。これにより、特に安価な製造が可能となる。コネクタ本体部は、二部材で構成されることができ、例えば、係合及び/又は嵌合により互いに結合された2つの部材を含むことが可能である。一体的なコネクタ本体部が、材料結合を用いて、特に溶接によって互いに結合された、別々に形成された2つの部材を備えることが可能である。
【0024】
合目的には、弁体、弁座、弁ホルダ及び/又はコネクタ本体部は、合成樹脂を含んでいるか、あるいは主に合成樹脂を含んでいる。復帰要素は、好ましくは金属、更に好ましくは主に金属を備えている。有利には、弁体の材料あるいは弁体のシール面の材料は、弁座及び/又は弁ガイドの材料よりも軟らかい。弁ガイドは、金属及び/又は合成樹脂を備えることができるか、あるいは主に備えることが可能である。
【0025】
弁の開放状態において、及び/又は弁の閉鎖状態において、弁体がコネクタ本体部に接触しないことが非常に好ましい。これは、流れ抵抗の小さな弁に寄与する。有利には、弁体は、弁の開放状態と弁の閉鎖状態の間のいかなる時点においてもコネクタ本体部に接触しない。好ましくは、コネクタ本体部は、閉鎖された状態から開放された状態へ及びその逆の移行中に弁ガイドを介してのみガイドされる。好ましくは、弁体は、弁ガイドを少なくとも軸方向において部分的に径方向に少なくとも部分的に、好ましくは全周にわたって包囲している。
【0026】
非常に好ましい一実施形態によれば、弁体は、弁が閉鎖された状態で、好ましくは弁座を介してのみコネクタ本体部に結合されている。好ましくは、弁あるいは弁体の軸方向内側の端部は、弁あるいは弁体をコネクタ本体部に結合する要素を有していない。管路コネクタが弁座のほかに別の弁ブラケットを有さないことが非常に好ましい。これにより、流れ抵抗及び部材点数が低減される。
【0027】
特に好ましくは、弁あるいは管路コネクタは、弁が相補的な管路コネクタとの管路コネクタの結合に依存して開放あるいは閉鎖するように形成されている。有利には、弁あるいは管路コネクタは、相補的な管路コネクタとの完全な結合時に、特に管路コネクタにおける相補的な管路コネクタの係止時に、弁が開放するように構成されている。有利には、弁あるいは管路コネクタは、弁が内部通路における流れ方向及び/又は流体圧とは無関係に開放あるいは閉鎖するように形成されている。
【0028】
合目的には、弁は、開放された状態において、弁体の径方向に更に内側に位置する範囲が弁体の径方向に更に外側に位置する範囲と同様に軸方向に弁座から更に離れているように形成されている。これは、フレキシブルな、例えばダイヤフラム状の弁体に対する重要な差異であり、当該弁体においては、径方向外側の範囲が、流体によって、径方向に更に内側に位置する範囲よりも弁座から更に離れるように押圧される。
【0029】
好ましくは、弁体は、長手部分において、径方向外側の方向へ径方向に拡大する部分と、径方向外側の方向へ径方向に先細となる部分とを含んでいる。先細となる部分は、拡大する部分よりお軸方向に更に外方に配置されることが可能である。これは、流れ抵抗の低減に寄与する。
【0030】
管路コネクタは、連結ブッシュ又は連結プラグであってよい。合目的には、連結ブッシュは、連結プラグの形態の相補的な管路コネクタが連結ブッシュへ流体密に差し込まれることが可能であるように形成されている。合目的には、連結プラグは、当該連結プラグが連結ブッシュの形態の相補的な管路コネクタへ流体密に差し込まれることが可能であるように形成されている。有利には、連結ブッシュは、好ましくは連結プラグを連結ブッシュに好ましくはリバーシブルに保持するリテーナを含んでいる。リテーナは、有利には、連結プラグとの係合に至る。リテーナは好ましくは係止要素として形成されているため、連結プラグは、連結ブッシュへの挿入時に、リテーナとの好ましくはリバーシブルな係止結合に至る。リテーナは、例えばU字状に、又は周囲に形成されることが可能である。リテーナは、金属及び/又は合成樹脂を含むことができる。
【0031】
流体管路は、少なくとも1つの本発明による管路コネクタ及び配管を含むことが可能である。流体管路は2つの管路コネクタを含むことができ、合目的には、それぞれ1つの管路コネクタが配管の両端のうち1つの端部に固定されている。配管は、好ましくは管路コネクタの結合部に嵌合式、係合式及び/又は材料結合式に接続されている。配管は、特に、嵌合及び係合によって、例えばプレスばめを介して、好ましくは結合部へ押し込むことで管路コネクタと結合されることが可能である。好ましい一実施形態によれば、配管は、材料結合を用いて、好ましくは溶接、特にレーザ溶接を用いて管路コネクタあるいは結合部に固定されている。特に好ましくは、配管は、結合部へはめ込まれているとともに、摩擦溶接又はレーザ溶接、好ましくはレーザ溶接を用いて、結合部あるいは管路コネクタに結合されている。
【0032】
冒頭に挙げた課題は、原動機付き車両、特に陸上車両あるいは路上車両における、及び好ましくは乗用車又は商用車における、管路コネクタ、特に本発明による管路コネクタの使用によって解決され、電動車両における使用が好ましい。
【0033】
以下に、本発明を複数の図面を用いて複数の実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明による管路コネクタ及び本発明による相補的な管路コネクタを有する連結装置の斜視図である。
【
図2】結合された状態における、開放された弁を有する
図1に基づく連結装置を通る長手断面図である。
【
図3】部分的にのみ結合された状態における、閉鎖された弁を有する
図1及び
図2の連結装置を通る長手断面図である。
【
図4A】
図2及び
図3に基づく弁の本発明による弁座及び本発明による弁体の分解斜視図である。
【
図5】本発明の第2の実施例の弁座の正面図である。
【
図6】本発明の第3の実施例の弁座の正面図である。
【
図7】本発明の第4の実施例の弁座の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1には、本発明の第1の実施例の連結装置1,2が示されている。連結装置1,2は、連結ブッシュの好ましい形態での第1の管路コネクタ1と、連結プラグ19の好ましい形態での第2のあるいは相補的な管路コネクタ2とを含んでいる。管路コネクタ1も、また相補的な管路コネクタ2も、本実施例ではVDA管路コネクタとして形成されている。管路コネクタ1及び/又は相補的な管路コネクタ2は、コネクタ本体部3を備えている。本実施例の管路コネクタ1は、好ましくはリテーナ20を含んでいる。
【0036】
本実施例のリテーナ20は、U字状あるいは本質的にU字状に構成されたワイヤストラップとして形成されている。リテーナ20の2つのU字脚部は、好ましくはコネクタ本体部3の内部へ突出し、そこで、好ましくは、それ自体公知で図では選択された斜視方向により視認できない相補的な管路コネクタ2の係止要素内で、あるいは当該係止要素において係合する。係止要素は、溝又はショルダ部として形成されることが可能である。相補的な管路コネクタ2を管路コネクタ1へ挿入するときに、係止要素がU字脚部に到達しそこでU字脚部を係止するまで、相補的な管路コネクタ2がリテーナ20のU字脚部を拡げることが非常に好ましい。
【0037】
管路コネクタ1及び/又は相補的な管路コネクタ2は、配管5又はアセンブリとの結合のための結合部4を含んでいる。アセンブリは、例えば、タンク、ポンプ、ノズル又はこれらに類するものであり得る。結合部4は、配管5あるいはアセンブリと嵌合式、材料結合式及び/又は係合式に結合されることが可能である。結合部4は、一体的に、及び好ましくは統合してアセンブリに結合されることが可能である。特に、管路コネクタ1あるいは管路コネクタ2が結合部4を介してアセンブリに特に射出成形によってオーバーモールドされることが可能である。
【0038】
管路コネクタ1は、相補的な管路コネクタ2との連結のための連結部6を含んでいる。合目的には、相補的な管路コネクタ2は、管路コネクタ1との連結のために形成された連結部6(
図2参照)を含んでいる。「連結部」という用語は、好ましくは、軸方向においてそれぞれ他の管路コネクタ1と重なる部分を意図している。合目的には、結合部及び/又は連結部6は、管路コネクタ1あるいは相補的な管路コネクタ2のコネクタ本体部3の構成部材、好ましくは一体的であり、特に好ましくは統合された構成部材である。管路コネクタ1あるいは相補的な管路コネクタ2のコネクタ本体部3が一体的であり、好ましくは統合して形成されていれば好ましい。
【0039】
図2では、管路コネクタ1あるいは相補的な管路コネクタ2の結合部4が管路コネクタ1あるいは相補的な管路コネクタ2の内部通路8を介して管路コネクタ1あるいは相補的な管路コネクタ2の連結部6に連通していることが見て取れる。合目的には、管路コネクタ1は、好ましくはシールリング21と、更に好ましくはシールリングホルダ22とを含むシール部21,22を含んでいる。管路コネクタ1及び相補的な管路コネクタ2の内部通路8は、シール部21,22を用いて、流体密に互いに接続(連通)されている。
【0040】
本実施例の相補的な管路コネクタ2は、その連結部6において連結面25を含んでおり、当該連結面は、合目的には、管路コネクタ1の連結部6に対して相補的に円筒状に形成されているとともに、特にシールリング21をもって流体密な嵌合及び係合に至る(
図3参照)。有利には、連結装置1,2あるいは管路コネクタ1あるいは管路コネクタ2は、1つあるいは複数の弁10が開放される前に連結面25がシールリング21に接触するように形成されている(
図2及び
図3参照)。
【0041】
好ましくは、管路コネクタ1における弁10及び/又は相補的な管路コネクタ2における弁10は、管路コネクタ1へ相補的な管路コネクタ2が完全に挿入されることによって開放される。本実施例では、管路コネクタ1の弁10及び相補的な管路コネクタ2の弁10は同一に構成されているため、以下では管路コネクタ1の弁10の構造のみを説明する。
【0042】
管路コネクタ1の弁10は、弁ガイド11と、弁体12と、弁座13とを含んでいる。弁10は、好ましくは復帰要素17を含んでおり、当該復帰要素は、本実施例ではコイルバネとして形成されている。有利には、弁10は弁座ホルダ23を備えており、当該弁座ホルダは、弁座13を管路コネクタ1あるいはコネクタ本体部3に保持あるいは固定する。弁座ホルダ23は、例えばリング状に形成され、弁座13に対して相対的に軸方向外方へ配置され、及び/又はコネクタ本体部3に嵌合式、材料結合式及び/又は係合式に固定されることが可能である。合目的には、弁座13は、コネクタ本体部3の弁座部分に配置されている。弁座部分は、長手部分において、径方向内方へ突出するショルダ部を備えることができ、当該ショルダ部は、弁座の軸方向位置を規定する。
【0043】
本実施例の弁ガイド11は、細長く形成されているとともに、好ましくはその軸方向外方の端部に押圧面24を含んでいる。押圧面24は、(ある)1つの/上記相補的な管路コネクタ2へ向いているとともに、好ましくは、相補的な管路コネクタ2の弁10の弁ガイド11の押圧面24に接触するように形成されている。有利には、押圧面24は、弁ガイド11あるいは弁ガイド11の突出部又は押圧カラー部29の構成部材あるいは軸方向外側である。
【0044】
図3では、相補的な管路コネクタ2は、復帰要素17に作用する圧縮力がゼロであるよう両押圧面24がちょうど接触するように管路コネクタ1へ挿入されている。相補的な管路コネクタ2を管路コネクタ1へ更に挿入することで、増大する圧縮力により両復帰要素17がますます圧縮され、これにより、各復帰要素17にはますますより大きな復帰エネルギーが蓄積される。復帰要素17は、それぞれその軸方向外方の端部で各押圧カラー部29において支持されており、当該押圧カラー部は、好ましくは同時に各押圧面24を形成している。
【0045】
図2及び
図3における各復帰要素17の軸方向内側では、復帰要素17が弁座13によって支持されている。弁ガイド11を軸方向に可動に支持するガイド収容部16を弁座13が備えていることが好ましい。有利には弁体12が軸方向外方の方向において弁座13に対して引っ張られるように復帰要素17が軸方向外方の方向へ弁ガイド11の押圧カラー部29に対して押圧することが好ましい。これにより、合目的には、連結装置1,2の開放された状態あるいは結合されていない状態において、弁10が閉鎖されるように、弁体12は、弁座13に接触する(
図3参照)。
【0046】
図3からの更なる挿入により復帰要素17が圧縮され、これにより、本実施例の弁ガイド11及び弁体12は軸方向内方へ更に移動し、これによって、弁体12が弁座13から離れる(
図2参照)。このとき、相補的な管路コネクタ2は、リテーナ20において係合し、これにより、ほぼ同時に機械的なロック及び流体的な開放が行われる。逆に、連結装置1,2の解除時には、連結装置1,2の解除時の液体損失が最小となるように両弁の流体的な閉鎖がなされる。
【0047】
図4Aには、弁座13及びこれに関連する相補的に構成された弁体12が斜視図及び互いに対する分解図で示されている。本実施例の弁座13は、好ましくは細長く形成され、及び/又は好ましくは湾曲され、及び/又は特にC字状に構成された2つの流れ開口部7を含んでいる。流れ開口部7は、それぞれ縁部14によって画定されている。
図4Bには、弁座13及び弁体12がそれぞれ正面図で示されている。
【0048】
図4A、
図4Bに基づく両流れ開口部7の間には好ましくはガイド収容部16が配置されており、当該ガイド収容部は、各弁ガイド11を軸方向において可動に支持している。好ましくは、ガイド収容部16は、2つの弁座ウェブ30を介して弁座13の残りの部分に結合されている。弁座13は、有利には弁座縁部28を含んでおり、当該弁座縁部は、合目的にはリング状及び特に円環状に形成されている。弁座縁部28は、好ましくは弁座ウェブ30を介してガイド収容部16に結合されている。
図4Aによれば、本実施例の弁座ウェブ30は、流れについて最適化されているとともに、軸方向内側の方向において、及び軸方向外側の方向においても先細となっている。
【0049】
図4A、
図4Bによる実施例のガイド収容部16は、好ましくは中心軸線Mに対して同心状に配置された貫通孔である。有利には、ガイド収容部16により、軸方向及び周方向での弁ガイド11の移動が可能であるものの、わずかな遊びを除いて、径方向の移動は可能でない。ガイド収容部16あるいは弁ガイド11あるいは弁10が、ガイド収容部16での弁ガイド11の周方向における移動方向が阻止されるように形成されることが可能である。これにより、弁体12が、常にぴったりと、あるいは正確な向きで軸方向に弁座13へ向けて移動することが保証される。
【0050】
図4A、
図4Bによる実施例の弁体12は、エラストマを含んでいるか、又はエラストマで構成されている。弁座13は、好ましくは合成樹脂、特にエラストマ成分を有さない合成樹脂を備えている。有利には、弁体12の材料は弁座13の材料よりも軟らかいため、有利には、弁座13と弁体12の間の特に良好な密閉が得られる。ここでは図示されていない他の実施例では、弁体をエラストマ層でコーティングすることが可能である。
【0051】
合目的には、弁体12は、好ましくは弁体12の軸方向外方の範囲に配置されたシール面15を含んでいる(
図4A、
図4B参照)。シール面15は、好ましくは、弁座13の流れ開口部7を密閉する、弁体12の面である。
図4Aの実施例による弁座13の2つの流れ開口部7により、弁体12のシール面15は2つの部分を含んでおり、好ましくは両部分のそれぞれは、両流れ開口部7のそれぞれに割り当てられている。
【0052】
図4A、
図4Bによる弁体12は、軸方向外方の範囲において好ましくは弁座収容部26を含んでおり、弁10が閉鎖されている場合に、当該弁座収容部26に弁座13が係合する。弁座収容部26は、好ましくは1つの弁ガイド収容部27及び好ましくは2つのウェブ収容部31を含んでいる。弁体12は、ガイド収容部16のための収容部32を備えることが可能である。特に
図2及び
図3から見て取れるように、好ましくは、弁ガイド収容部27と、ガイド収容部16のための収容部32とが部分的に一致する。このとき、弁座13のガイド収容部16のための収容部32は、弁体12内で、有利には、弁体12の弁ガイド収容部27よりも軸方向に更に外方に配置されている(
図2、
図3参照)。
【0053】
弁ガイド収容部27は、弁ガイド11に弁体12を固定する機能を果たす。これに対して、ガイド収容部16のための収容部32は、弁体12と弁座13の間の密閉を容易にするよう弁体12と弁座13の間の軸方向の重なりを拡大する役割を果たす。特に、収容部32により、流れについて好都合な弁体12の形状が可能となる。したがって、
図2及び
図3の長手断面に基づき、シール面15あるいはシール面15の両部分が、収容部32から軸方向内側の方向に径方向へ拡大することが見て取れる。これにより、流体が実質的に垂直な壁に当たらないため、乱流が低減され、流れ抵抗ができる限り小さく抑えられる。好ましくは、弁体12は、軸方向に更に内側の方向において、ひいてはシール面の軸方向後方で先細となっているとともに、有利には、その軸方向内側の端部において丸められて閉じられる。弁体12の形状により、全体として、連結装置1,2内におけるできる限り抵抗の小さな流れ推移が得られる。
【0054】
特に、
図4Bを参照して弁10の流れ特性を良好に説明することができる。弁10が閉鎖された状態では、シール面15あるいはシール面15の両部分は、流体密な態様で弁座13の両流れ開口部7に位置している。逆に、弁座13のガイド収容部16及び弁座ウェブ30は、弁体12の弁座収容部26に着座する。シート面15が流れ開口部7から離れる瞬間に、流体は、流れ開口部7の周囲に沿って流れ開口部7を通って流れる。したがって、第1の瞬間には、アクティブな流れ面は、実質的に
図4Bに基づく両流れ開口部7のC字形状の周囲線に対応する。弁体12が更に軸方向内方へ少しだけ変位するとアクティブな流れ面が拡大するため、アクティブな流れ面は、もはや細い線ではなく、むしろ両流れ開口部7の周囲に沿った太い線に対応する。特に、流体がとりわけ流れ開口部7の縁部14にはないため、
図4Bにおいて両流れ開口部7の中央範囲への流れはほとんどなされない。流れ開口部7の内部範囲は、流体に関して実質的に無視できる。両流れ開口部7の周囲長さは1つの円形状のここでは不図示の流れ開口部の周囲長さよりもはるかに大きいため、円形状の流れ開口部は、はるかにより短い周囲長さ、ひいてははるかにより大きな流れ抵抗を有している。
【0055】
図5には、弁座13の第2の実施例が正面図において示されている。本実施例の弁体12は図示されていない。なぜなら、当該弁体は、弁座13に対して相補的に形成されており、そのほかは
図4A、
図4Bの実施例による弁体12の形状を有しているためである。第2の実施例の弁座13は、同一の大きさ及び同一の形状であり得る3つの流れ開口部7を含んでいる。有利には、
図5による実施例の弁座13はガイド収容部16を含んでおり、当該ガイド収容部は、好ましくは中心軸線Mに対して同心状に配置されているとともに、弁ガイド11を軸方向に可動に支持する。合目的には、
図5による3つの流れ開口部7は、それぞれ弁座ウェブ30によって互いに分離されており、弁座ウェブ30は、有利には弁座13の正面図における中央範囲においてまとまり、ガイド収容部16を形成する。そのほか、第2の実施例の弁座縁部28は、第1の実施例と同一に構成されることが可能である。
【0056】
図6には弁座13の第3の実施例が示されており、弁座縁部28は、ここでも上述の両実施例のものと同一であってよい。第3の実施例の弁座13は1つの流れ開口部7のみを含んでおり、当該流れ開口部は、円形ではなく、波状又は花形の輪郭を有することが可能である。波状又は花形の輪郭によって、流れ開口部7の縁部14の周囲長さが拡大され、これにより、流れ抵抗が対応する理想的な円形に比べて低減される。
【0057】
図6に示された実施例では、弁座13はガイド収容部を含んでいない。その結果、
図6では不図示の弁体12は、第1及び第2の実施例の弁体12と比べて根本的に異なるように形成されている。例えば、第3の実施例の弁体12が、更に軸方向内方に配置された弁ブラケットにおいて支持される軸方向内方に配置された弁ガイドを備えることが可能である(例えば特許文献1参照)。したがって、
図6による第3の実施例は、円形とは異なる思想を支持された、あるいは保持された従来の弁にも応用可能であることを示している。
【0058】
図7における第4の実施例は、流れ開口部7のみ及び同時にガイド収容部16を備える弁座13が可能であることを示している。当該実施例では、相応に厚く形成された弁座ウェブ30は、1つの流れ開口部7へ突出するガイド収容部16を保持している。弁座ウェブ13の範囲における縁部14によって、アクティブな流れ面が純粋な円形を有する流れ開口部に比べて大幅に拡大されるため、
図7に示された実施例も従来の弁に比べて小さな流れ抵抗をもたらす。
【符号の説明】
【0059】
1 管路コネクタ
2 相補的な管路コネクタ
3 コネクタ本体部
4 結合部
5 配管
6 連結部
7 流れ開口部
8 内部通路
9 連結開口部
10 弁
11 弁ガイド
12 弁体
13 弁座
14 流れ開口部の縁部
15 弁体のシール面
16 弁座のガイド収容部
17 復帰要素
18 連結ブッシュ
19 連結プラグ
20 リテーナ
21 シールリング
22 シールホルダ
23 弁座ホルダ
24 弁ガイドの押圧面
25 相補的なコネクタ、連結プラグの連結面
26 弁体の弁座収容部
27 弁体の弁ガイド収容部
28 弁座縁部
29 弁ガイドの押圧カラー部
30 弁座の弁座ウェブ
31 弁体のウェブ収容部
32 弁体の弁座のガイド収容部のための収容部
【手続補正書】
【提出日】2024-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
図7における第4の実施例は、流れ開口部7のみ及び同時にガイド収容部16を備える弁座13が可能であることを示している。当該実施例では、相応に厚く形成された弁座ウェブ30は、1つの流れ開口部7へ突出するガイド収容部16を保持している。弁座ウェブ13の範囲における縁部14によって、アクティブな流れ面が純粋な円形を有する流れ開口部に比べて大幅に拡大されるため、
図7に示された実施例も従来の弁に比べて小さな流れ抵抗をもたらす。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.相補的な管路コネクタ(2)と流体を連通させる管路コネクタ(1)であって、該管路コネクタ(1)がコネクタ本体部(3)を含んでおり、該コネクタ本体部(3)が、配管(5)又はアセンブリとの結合のための結合部(4)と、相補的な管路コネクタ(2)との連結のための連結部(6)とを備えており、該連結部(6)及び結合部(4)が、コネクタ本体部(3)の内部通路(8)を介して互いに連通しており、内部通路(8)の、連結部(6)に割り当てられた部分が、連結ブッシュ(1)の長手断面において、中心軸線(M)と、軸方向と、径方向と、周方向とを規定しており、連結部(6)が、軸方向外側の方向において、連結開口部(9)によって閉鎖され、内部通路(8)内に弁(10)が配置されており、該弁(10)が、弁ガイド(11)と、軸方向に可動な弁体(12)と、弁座(13)とを含んでおり、弁ガイド(11)が弁体(12)の移動方向を規定しており、弁体(12)が弁(10)の閉止状態において弁座(13)に流体密に接触し弁(10)の開放状態において弁座(13)に接触しないように、管路コネクタ(1)が形成されている、前記管路コネクタにおいて、
断面において、あるいは正面で見て、中心軸線(M)に関して同心状に配置された円形とは異なる少なくとも1つの流れ開口部(7)を弁座(13)が備えていること、及び/又は弁ガイド(11)が弁座(13)のガイド収容部(16)において軸方向に摺動するように支持されていることを特徴とする管路コネクタ。
2.弁座(13)が、それぞれ全周に設けれた縁部(14)を有する、少なくとも2つ又は3つの、好ましくは2つのみの流れ開口部(7)を備えていることを特徴とする上記1.に記載の管路コネクタ(1)。
3.少なくとも1つ又は1つのみの流れ開口部(7)が円形とは異なっていることを特徴とする上記1.又は2.に記載の管路コネクタ(1)。
4.少なくとも1つの流れ開口部(7)が、断面において、あるいは正面で見て細長いとともに湾曲されていることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)。
5.弁体(12)が、弁(10)の閉鎖状態において弁座(13)あるいは少なくとも1つの流れ開口部(7)に流体密に接触するシール面(15)を備えていることを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)。
6.弁ガイド(11)の軸方向外方の端部が、弁座(13)あるいはガイド収容部(16)から軸方向外側の方向へ突出していることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)。
7.弁座(13)が、コネクタ本体部(3)とは別に製造されているとともに、コネクタ本体部(3)あるいはコネクタ本体部(3)の弁座部分に固定されていることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)。
8.弁(10)が復帰要素(17)を含んでおり、該復帰要素(17)が、好ましくは弁座(13)あるいはガイド収容部(16)の軸方向外方に配置されていることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)。
9.管路コネクタ(1)が、弁座(13)をコネクタ本体部(3)においてロックする弁座ホルダ(23)を含んでいることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)。
10.コネクタ本体部(3)が、一体的に、好ましくは統合して形成されていることを特徴とする上記1.~9.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)。
11.弁(10)の開放状態において、及び/又は弁(10)の閉鎖状態において、弁体(12)がコネクタ本体部(3)に接触しないことを特徴とする上記1.~10.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)。
12.管路コネクタ(1)が、弁(10)が相補的な管路コネクタ(2)との管路コネクタ(1)の結合に依存して開放あるいは閉鎖するように形成されていることを特徴とする上記1.~11.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)。
13.管路コネクタ(1)が連結ブッシュ(18)又は連結プラグ(19)であることを特徴とする上記1.~12.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)。
14.上記1.~13.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)と、配管(5)とを含む流体管路。
15.原動機付き車両、特に陸上車両あるいは路上車両における、及び好ましくは乗用車又は商用車における、管路コネクタ(1)又は流体管路、特に上記1.~13.のいずれか1つに記載の管路コネクタ(1)又は上記14.に記載の流体管路の使用であって、電動車両における使用が好ましいことを特徴とする使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補的な管路コネクタ(2)と流体を連通させる管路コネクタ(1)であって、該管路コネクタ(1)がコネクタ本体部(3)を含んでおり、該コネクタ本体部(3)が、配管(5)又はアセンブリとの結合のための結合部(4)と、相補的な管路コネクタ(2)との連結のための連結部(6)とを備えており、該連結部(6)及び結合部(4)が、コネクタ本体部(3)の内部通路(8)を介して互いに連通しており、内部通路(8)の、連結部(6)に割り当てられた部分が、連結ブッシュ(1)の長手断面において、中心軸線(M)と、軸方向と、径方向と、周方向とを規定しており、連結部(6)が、軸方向外側の方向において、連結開口部(9)によって閉鎖され、内部通路(8)内に弁(10)が配置されており、該弁(10)が、弁ガイド(11)と、軸方向に可動な弁体(12)と、弁座(13)とを含んでおり、弁ガイド(11)が弁体(12)の移動方向を規定しており、弁体(12)が弁(10)の閉止状態において弁座(13)に流体密に接触し弁(10)の開放状態において弁座(13)に接触しないように、管路コネクタ(1)が形成されている、前記管路コネクタにおいて、
断面において、あるいは正面で見て、中心軸線(M)に関して同心状に配置された円形とは異なる少なくとも1つの流れ開口部(7)を弁座(13)が備えていること、及び/又は弁ガイド(11)が弁座(13)のガイド収容部(16)において軸方向に摺動するように支持されていることを特徴とする管路コネクタ。
【請求項2】
弁座(13)が、それぞれ全周に設けれた縁部(14)を有する、少なくとも2つ又は3つの、好ましくは2つのみの流れ開口部(7)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項3】
少なくとも1つ又は1つのみの流れ開口部(7)が円形とは異なっていることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの流れ開口部(7)が、断面において、あるいは正面で見て細長いとともに湾曲されていることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項5】
弁体(12)が、弁(10)の閉鎖状態において弁座(13)あるいは少なくとも1つの流れ開口部(7)に流体密に接触するシール面(15)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項6】
弁ガイド(11)の軸方向外方の端部が、弁座(13)あるいはガイド収容部(16)から軸方向外側の方向へ突出していることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項7】
弁座(13)が、コネクタ本体部(3)とは別に製造されているとともに、コネクタ本体部(3)あるいはコネクタ本体部(3)の弁座部分に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項8】
弁(10)が復帰要素(17)を含んでおり、該復帰要素(17)が、好ましくは弁座(13)あるいはガイド収容部(16)の軸方向外方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項9】
管路コネクタ(1)が、弁座(13)をコネクタ本体部(3)においてロックする弁座ホルダ(23)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項10】
コネクタ本体部(3)が、一体的に、好ましくは統合して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項11】
弁(10)の開放状態において、及び/又は弁(10)の閉鎖状態において、弁体(12)がコネクタ本体部(3)に接触しないことを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項12】
管路コネクタ(1)が、弁(10)が相補的な管路コネクタ(2)との管路コネクタ(1)の結合に依存して開放あるいは閉鎖するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項13】
管路コネクタ(1)が連結ブッシュ(18)又は連結プラグ(19)であることを特徴とする請求項1に記載の管路コネクタ(1)。
【請求項14】
請求項1に記載の管路コネクタ(1)と、配管(5)とを含む流体管路。
【請求項15】
原動機付き車両、特に陸上車両あるいは路上車両における、及び好ましくは乗用車又は商用車における、管路コネクタ(1)又は流体管路、特に請求項1~13のいずれか1項に記載の管路コネクタ(1)又は請求項14に記載の流体管路の使用であって、電動車両における使用が好ましいことを特徴とする使用。
【外国語明細書】