(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096673
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】フッ化ポリマー、及び、多様な溝パターンを有する化学機械研磨パッド
(51)【国際特許分類】
B24B 37/26 20120101AFI20240709BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20240709BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20240709BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B24B37/26
B24B37/24 C
B24B37/005 A
H01L21/304 622F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023213735
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】18/145,584
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/168,621
(32)【優先日】2023-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・アール・ガディンスキ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ソー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低いダウンフォース圧力で、より高い除去率を実現でき、好ましくは、欠陥の発生が少なく、良好な平坦化を実現できる化学機械研磨パッドを提供する。
【解決手段】化学機械研磨に適した研磨パッドであって、溝パターンを有する上面を有する研磨層を含み、前記溝パターンは、第一の溝断面を有する複数の第一の溝を含み、前記複数の第一の溝は、隣接する第一の溝の間の複数の領域を画定し、及び、前記隣接する第一の溝の間の複数の領域の一部において、第二の溝断面を有する複数の第二の溝であって、前記第二の溝断面は、前記第一の溝断面の50%未満である第二の溝、を含み、前記研磨層は、少なくとも1.05グラム/立方センチメートルの比重を有すること、をさらに特徴とする研磨パッド。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨に適した研磨パッドであって、
ソフト相、及び、ハード相を有するポリウレアを含む研磨層であって、前記ソフト相は、脂肪族フッ素を非含有の種、及び、フッ化脂肪族種の共重合体であり、ハード相は、ジイソシアネート含有セグメント、及び、アミン硬化剤、から形成された、研磨層を含み、
前記研磨層が、溝パターンを有する上面を有し、
前記溝パターンが、第一の溝断面を有する複数の第一の溝を含み、前記複数の第一の溝が、隣接する第一の溝の間の複数の領域を画定し、隣接する第一の溝の間の前記複数の領域の一部において、第二の溝断面を有する複数の第二の溝を有し、前記第二の溝断面は、前記第一の溝断面の50%未満であり、
前記研磨層が、少なくとも1.05グラム/立方センチメートルの比重を有することをさらに特徴とする、
研磨パッド。
【請求項2】
比重が1.1以上である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
非多孔質である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記第一の溝のピッチは、前記第一の溝の幅の2.5~15倍であり、前記第二の溝のピッチは、前記第二の溝の幅の1.5~10倍である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記隣接する第一の溝の間の複数の領域の各々が、前記複数の第二の溝を含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記隣接する第一の溝の間の領域における前記複数の第二の溝が、少なくとも三つの前記第二の溝を含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記研磨層が、剪断条件下での研磨中に親水性である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項8】
基板を研磨する方法であって、上面を有する研磨パッドを提供することを含み、上面が溝パターンを有し、前記溝パターンが、
第一の断面を有する複数の第一の溝であって、前記複数の溝が隣接する第一の溝の間の複数の領域を画定する第一の溝と、
前記隣接する第一の溝の間の複数の領域の一部において、第二の溝断面を有する複数の第二の溝と
を含み、
前記第二の溝断面が、前記第一の溝断面の50未満であり、
前記研磨層は、少なくとも1.05グラム/立方センチメートルの比重を有し、前記基板から材料を除去するために、前記研磨パッドの前記上面を、前記基板に対して30キロパスカル(kPa)未満のダウンフォースで移動さること、をさらに特徴とする、
基板を研磨する方法。
【請求項9】
20kPaのダウンフォースにおける前記基板からの前記材料の除去率であって、請求項1の研磨パッドの前記溝パターンは有していないが、同じ比重、及び、組成を有するパッドにおいて、前記同じ研磨条件下で達成されたよりも少なくとも40%高い除去率、を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板が、過剰な材料で充填されたトレンチを有するウェハーを含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、化学機械研磨(chemical mechanical polishing)、及び、化学機械研磨に有用なパッドである。
【背景技術】
【0002】
化学機械平坦化(Chemical Mechanical Planarization:CMP)は、集積回路、又は、同様の構造の構成層を平滑化、又は、平坦化するために広く使用されている研磨プロセスのバリエーションである。特に、CMPは、付加積層(additive stacking)、及び、平坦化プロセスによって三次元回路構造を構築する製造において、定義された厚さの平坦な均一層を製造するために頻繁に使用された。CMPは、基板(例えば、ウェハー)表面上の過剰な堆積材料を除去して、均一な厚さの極めて平坦な層を製造するものであり、前記均一性は基板(例えば、ウェハー)領域全体にわたって広がる。
【0003】
CMPは、スラリーと称されるナノサイズの粒子を含むことができる液体を使用する。スラリーは、回転する多層ポリマーパッド(研磨シートと称される場合もある)の表面上に供給され、パッドは、回転するプラテン上に取り付けられる。研磨パッドは研磨層を含み、サブパッドを含むこともできる。基板(例えば、ウェハー)は、別個の回転手段を有する別個の固定具、又は、キャリア、に取り付けられ、制御された負荷下で、パッドの表面に押し付けられる。これにより、基板(例えば、ウェハー)と研磨パッドの間の相対運動が高速になり、その結果、基板とパッド表面の両方が高速に剪断、又は、磨耗される。この剪断、及び、パッドと基板の接合部に捕捉されたスラリー粒子により基板(例えば、ウェハー)表面が摩耗されて、基板表面から材料が除去される。
【0004】
CMPの用途の一つに、シャロー・トレンチ・アイソレーション(shallow trench isolation:STI)がある。
図1を参照し、一例として、シャロー・トレンチ・アイソレーションでは、まず、基板1(例えば、ウェハー)の表面に、ハードマスク2(窒化シリコン等)をパターン状に形成し(ステップA)、次に、ステップBで、ハードマスク2の開口領域によって露出された基板の領域をエッチングしてトレンチ3を形成することにより、基板1にトレンチ3を形成する。次に、トレンチ3は、誘電体等の別の材料4で充填される。トレンチへの完全な充填を確実にするために、過剰分5の材料4が塗布され、化学機械研磨によって、除去されることができる。研磨は、ハードマスク材料2、及び、トレンチを充填する材料4、の平坦な表面を形成するために実施することができる。
【0005】
STIでは、トレンチ内に欠陥があるとデバイスが使用に適さなくなる可能性があるため、デバイスの性能を確保するためには、高い平坦度、及び、低い欠陥発生率、が重要である。欠陥を減少させるために、CMPは、低いダウンフォース圧力(例えば、約3ポンド/平方インチ)で実施することができる。しかし、低いダウンフォースは、除去率、及び、製造のスループットを低下させる。CMPパッドの研磨層の気孔率を増加させることで、除去率を向上させることができるが、気孔率の増加は、平坦性に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、気孔率を有していても、低いダウンフォースでの除去率は低いままである。
【0006】
したがって、低いダウンフォース圧力で、より高い除去率を実現でき、好ましくは、欠陥の発生が少なく、良好な平坦化を提供できる化学機械研磨パッドに対するニーズは残ったままである。
【発明の概要】
【0007】
本明細書においては、化学機械研磨に適した研磨パッドであって、ソフト相、及び、ハード相を有するポリウレアを含む研磨層含み、ソフト相は、脂肪族フッ素非含有種、及び、フッ化脂肪族種の共重合体であり、ハード相は、ジイソシアネート含有セグメント、及び、アミン硬化剤から形成され、研磨層は、溝パターンを有する上面を有し、溝パターンは、第一の溝断面を有する複数の第一の溝を含み、複数の第一の溝は、隣接する第一の溝の間の複数の領域を画定し、及び、隣接する第一の溝の間の複数の領域の一部において、第二の溝断面を有する複数の第二の溝であって、第二の溝断面は、第一の溝断面の50%未満である複数の第二の溝であり、研磨層は、少なくとも1.05グラム/立方センチメートルの比重を有すること、をさらに特徴とする、研磨パッドが開示される。
【0008】
又、基板を研磨する方法であって、上面を有する研磨パッドを提供することを含み、上面は溝パターンを有し、溝パターンが、第一の溝断面を有する複数の第一の溝であって、複数の溝は、隣接する第一の溝の間の複数の領域を画定する第一の溝と、隣接する第一の溝の間の複数の領域の一部において、第二の溝断面を有する複数の第二の溝とを含み、第二の溝断面は、第一の溝断面の50未満であり、研磨層は、さらに、少なくとも1.05グラム/立方センチメートルの比重を有し、前記基板から材料を除去するために、研磨パッドの上面を、30キロパスカル(kPa)未満の下向きの力で、基板に対して移動させ、基板から材料を除去すること、をさらに特徴とする、基板を研磨する方法が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下は、同様の要素には同様の番号を付している図を参照した、例示的な実施形態である。
【
図1】シャロー・トレンチ・アイソレーションを示す概略図である。
【
図2】本明細書において開示されるパッドの、一例の、溝パターンの一部を示す、断面図である。
【
図3】本明細書において開示される溝パターンを有するパッドの、一例の、上面図である(スケールは不正確)。
【
図4】本発明の研磨後のサンプル1と同様なパッド内の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である。
【
図5】研磨後のサンプルCと同様なパッドの走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である。
【
図6】研磨後のサンプルDと同様なパッドの走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である。
【
図7】研磨後のサンプルBと同様なパッドの走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
本明細書に開示される研磨パッドは、ハード相、及び、ソフト相を有するフッ素含有ポリウレアを含む研磨層を含む。研磨層は、使用中に良好なテクスチャーを提供する溝パターンを上面に有する。この溝パターンは、驚くべきことに、他のポリマー材料を含み、より低い比重を有し(より高い多孔性を有し)、標準的なパッド溝パターンのみを有し、研磨パッドを含む他のパッドよりも、特に、高比重、又は、非多孔質研磨層であっても、フッ素含有ポリウレアと組み合わせて使用される場合に、低い研磨ダウンフォースで、より良好な除去率をもたらすことが見出されている。
【0011】
溝パターン
研磨パッドは、比較的大きな深さ、比較的大きな幅(したがって、大きな第一の断面)、及び、比較的大きなピッチを有する複数の第一の溝を含む。本明細書において、断面とは溝の断面積である。直交する溝である場合、断面は、幅に深さを乗じたものである。直交しない断面の場合、様々な幾何学的方程式、及び、測定値を使用して、断面を決定することができる。第一の溝のピッチは、例えば、溝の幅の、2.5から15、又は、3から10倍、とすることができる。複数の第一の溝の隣接する溝の間には、比較的小さい深さ、比較的小さい幅(したがって、小さい第二の溝の断面)、及び、比較的小さいピッチ、を有する複数の第二の溝が散在する。第二の溝のピッチは、例えば、第二の溝の幅の1.5から10、又は、2から8倍、とすることができる。
【0012】
第二の溝断面は、第一の溝断面の、5%から、又は、10%から最大50%、最大40%、又は、それ未満、とすることができる。
【0013】
例えば、
図2は、研磨層15を有するパッド10の一部の断面を示しており、より小さい断面の第二の溝12の1グループが、隣接しているより大きい断面の第一の溝11の間の領域16に位置している。
【0014】
第一の溝11は、第一の溝の深さa、第一の溝の幅b、及び、第一の溝のピッチc、を有する。図示したような矩形の溝の場合、溝の深さaに溝の幅bを掛けると、第一の溝の断面となる。第二の溝12は、第二の溝の深さd、第二の溝の幅e、及び、第二の溝のピッチf、を有することができる。矩形の溝の場合、溝の深さdに溝の幅eを掛けると、第二の溝の断面となる。明確にするために、「ピッチ」(例えば、c、又は、f)とは、第一の溝のその溝の開口部を横切った第一のエッジから、その溝のグループにおける隣接する溝の第一のエッジまで、の距離である。溝は、矩形の断面で示されているが、第一の溝と第二の溝のいずれか一方、又は、両方に対して、曲線、又は、円弧の断面、又は、台形の断面を、代替的に使用することもできる。
【0015】
第一の溝11に関して、第一の溝の深さaは、研磨層15の厚さの50%まで、とすることができる。より深い溝は、パッドが平坦化能力を失う点まで、パッド全体の剛性を低下させる傾向がある。例えば、第一の溝の深さaは、少なくとも0.5、少なくとも0.55、少なくとも0.6、少なくとも0.65、又は、少なくとも0.7mm、とすることができ、一方、第一の溝の深さaは、最大1.1、最大1、最大0.9、又は、最大0.8mm、とすることができる。第一の溝の幅bは、少なくとも0.35、少なくとも0.4、少なくとも0.45、少なくとも0.47、又は、少なくとも0.5mmとすることができる。第一の溝の幅bは、最大0.8、最大0.75、最大0.7、最大0.65、又は、最大0.6mm、とすることができる。第一の溝のピッチcは、少なくとも2、少なくとも2.5mm、最大5、又は、最大4mm、とすることができる。
【0016】
第二の溝12について、第二の溝の深さdは、深さaの30~70%、好ましくは40~60%、とすることができる。代替的に、又は、追加的に、第二の溝の深さdは、少なくとも0.1、又は、少なくとも0.15、又は、少なくとも0.2、又は、少なくとも0.25mm~0.5、又は、最大0.45mm、とすることができる。第二の溝の幅eは、幅bの30~70%、好ましくは40~60%、とすることができる。代替的に、又は、追加的に、第二の溝の幅eは、少なくとも0.05、少なくとも0.1、又は、少なくとも0.12mm~最大0.33、又は、最大0.3、又は、最大0.27mm、とすることができる。第二の溝のピッチfは、0.5~1mm、とすることができる。第二の溝12は、パッド10内の各領域16内に、複数(例えば、3、4、又は、5等)で存在することができる。
【0017】
図3は、パッド上に同心円状に配置された大きな第一の溝11の隣接する溝の間に、小さな第二の溝12を有する、パッドの上面図(スケールなし)を示す。中央の、溝なし部分、又は、中央ボタン13、が示されている。同心円に加えて、又は、同心円の代わりに、他の溝配置を使用することができる。例えば、パッドの中心からパッドの外縁に向かって延びる放射状の溝を使用することができる。例えば、同心円状の溝を放射状の溝と組み合わせて使用することができる。例えば、大きな第一の溝は、同心円状の溝と放射状の溝の両方を含み、小さな第二の溝は、大きな第一の溝の間の領域に配置することができる。例えば、大きな溝と小さな溝は、同心円状であり、放射状の溝は、大きな同心円状の溝と小さな同心円状の溝の両方と交差させることができる。溝の他のレイアウトとしては、多角形、例えば、八角形、の溝を含む。溝は、パッドの中心点の周囲に配置することができ、又は、オフセット構造を使用することができる。
【0018】
研磨層は、0.8mmから4mmまで、1mmから3mmまで、又は、1.2mmから2.5mmまで、の平均厚さを有することができる。
【0019】
研磨層の構成
研磨層は、ハードセグメントとソフトセグメントを有するフッ化ポリウレアを含むことができる。
【0020】
ハード相は、剛性を提供する硬いハードセグメントを含む。ハード相は、非晶質であることができ、又は、部分的に結晶質であり、且つ、部分的に非晶質であることができる。非晶質部分は、ソフト相(ソフトセグメント)と比較して、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する。ハード相のTgは、例えば、100~170℃の範囲であることができる。結晶部分は、融解温度Tm、200~270℃を有することができる。
【0021】
ソフト相は、一般的に、ハード相のセグメントのTgに対して低いTgを有するセグメントを含み、室温で、より柔軟である。相分離は、ハードセグメントとソフトセグメントとの間の、不混和性により発生する。ソフト相のTgは、例えば、-40~130℃の範囲であることができる。TgとTmは、動的な機械分光法によって決定することができる。
【0022】
ハードセグメント、及び、ソフトセグメントは、ポリアミン(例えば、ジアミン)等の硬化剤を使用して、共有結合させることができる。アミン基は、ハードセグメント成分(例えば、プレポリマー)、及び、ソフトセグメント(例えば、プレポリマー)のイソシアネート基と反応し、ポリウレアのウレア結合を形成する。
【0023】
ソフト相は、一つ以上の脂肪族フッ素非含有種(例えば、モノマー、ダイマー、トリマー、又は、より高次のオリゴマー)と、各々が二つの反応性末端基を有する少なくとも一つのフッ化種(例えば、モノマー、又は、オリゴマー、等の高分子)と、を有するソフトセグメントから形成することができる。フッ化種は、少なくとも6個、少なくとも8個、最大20個、又は、16個、の炭素原子の長さを有することができる。例えば、フッ化種は、フッ化アルキレンオキシド、及び、非フッ化アルキレンオキシドの高分子(例えば、オリゴマー)を含むことができる。脂肪族フッ素非含有ポリマー基は、少なくとも一つのフッ化種の反応性末端基と結合される。結合は、窒素含有結合であることができる。窒素含有結合の例には、ウレア基、及び、ウレタン基を含む。脂肪族フッ素非含有ポリマー基は、少なくとも一つのフッ化種の窒素含有結合に結合された一端を有する。イソシアネート基は、脂肪族フッ素非含有ポリマー基の反応性末端をキャップすることができる。典型的には、反応している脂肪族フッ素非含有ポリマー種は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定値、又は、製品文献に明記されるように、200~7500、又は、250~5000グラム/モルの数平均分子量を有することができる。明確にするために、脂肪族フッ素非含有ポリマー基末端の数平均分子量は、イソシアネート末端基、窒素含有結合、又は、アミン硬化剤、のいずれも含まない。ソフトセグメントは、ポリウレアマトリックス内にソフト相を形成する。脂肪族フッ素非含有ポリマー基は、フッ化種と結合するポリテトラメチレンエーテルであることができる。フッ化種は、少なくとも一つのフッ化エーテルを含むことができる。フッ化種は、フッ化エチレンオキシド、フッ化オキシメチレン、及び、エチレンオキシドの反応生成物を含むことができる。フッ化エチレンオキシド、及び、フッ化オキシメチレン、等のフッ化エーテル基の、エチレンオキシドに対する原子比は、3未満であることができる。
【0024】
ハード相は、フッ素基を含まないジイソシアネート含有ハードセグメント、及び、アミン含有硬化剤、から形成することができる。ハードセグメントは、アミン含有硬化剤と反応した脂肪族フッ素非含有ポリマー基の外端をキャッピングするイソシアネート基から形成されたウレア基を含む。好ましくは、ハードセグメントは、ソフト相中にハード相として析出する。この形態は、セリア相互作用を改善するためのフッ素リッチ相、及び、複数のウェハーを研磨する際のパッドの寿命、及び、安定性を向上させるための研磨アスペリティの完全性を改善するためのソフト相を強化するためのハード相、を提供する。好ましくは、ハードセグメント、及び、ソフトセグメントは、プレポリマーをアミン含有硬化剤と反応させてポリウレアマトリックスを形成する前に、プレポリマーを形成する。ソフトセグメント中のフッ化物部分の存在は、ソフトセグメントのガラス転移温度、又は、ソフト相のTg、を上昇させる。このガラス転移温度の予想外の上昇は、ポリマーの熱安定性を向上させる。空気中のポリマーの非常に上部の表面では、研磨中に、フッ化ソフトセグメント成分の濃縮が発生する。このように、表面におけるフッ素リッチ相が、その場で、及び、連続的に生成されたことが、少量のフッ素ポリマーの有益な効果をさらに高める。フッ化ソフトセグメント濃度が比較的低い場合(例えば、ソフトセグメント総含有量の20重量%以下)、フッ化種の量は、ポリマーがその後に水にさらされたとき、特に剪断下で、水の分子双極子の再配列を防ぐには不十分である。これは、液滴が剪断にさらされたときに複雑な濡れ挙動をもたらす結果となる。具体的には、水表面が再配列し、ポリマーの親水性部分との水の相互作用が増大すると考えられる。これは、研磨中に、液滴の後退接触角の減少し、及び、表面エネルギーの対応する増加という結果となる。その結果、剪断下では、本発明の研磨パッドは、フッ素を含まない類似品よりもさらに親水性であることができる。
【0025】
本明細書に開示された研磨パッドの研磨層に使用されたポリウレアは、ブロック共重合体である。本明細書に開示された化学機械研磨パッドの研磨層の形成に使用することができるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、多官能性イソシアネート、及び、二つ以上の成分を含み、そのうちの一つはフッ化されているプレポリマー混合物、を含む成分の反応生成物を含むことができる。
【0026】
イソシアネートは、多官能性であり、例えば、ジイソシアネートである。ジイソシアネートの例としては、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、パラ-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、及び、これらの混合物、が含まれる。ジイソシアネートは、トルエンジイソシアネートであることができる。
【0027】
脂肪族フッ素非含有ポリマー基は、ジオール、ポリオール、ポリオールジオール、それらの共重合体、及び、それらの混合物、を含む群から反応させることができる。例えば、脂肪族フッ素非含有ポリマー基をジイソシアネートと反応させ、次いで、フッ化種をジイソシアネートに結合させることができる。プレポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリオキシエチレン)グリコール等の、アルキレンが2個~5個の炭素原子を含むポリアキレングリコール、)、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、これらの混合物、これらの1種以上と、エチレングリコールを含む群から選択される1以上の低分子量ポリオールとの混合物、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及び、トリプロピレングリコール、を含む群から選択することができる。プレポリマーポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG)、ポリエチレンエーテルグリコール(PEG)、又は、エチレングリコール等の選択された1以上の低分子量ポリオールと任意に混合された、これらの混合物、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及び、トリプロピレングリコール、であることができる。プレポリマーポリオールは、主に(例えば、≧90重量%)ポリテトラメチレンエーテルであることができる。フッ化ポリオールは、フッ素が置換を介して添加され、上記で引用された、非フッ化ポリオールのいずれかから製造することができる。これにより、最終的な機械的特性のばらつきが、最小限の発生となる。
【0028】
イソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、8.5~9.5重量%の未反応イソシアネート(NCO)濃度を有することができる。市販のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの例としては、Imuthane(登録商標)プレポリマー(例えば、PET-80A、PET-85A、PET-90A、PET-93A、PET-95A、PET-60D、PET-70D、PET-75D等、COIM USA, Inc.から入手可能)、Adiprene(登録商標)プレポリマー(例えば、LF-800A、LF-900A、LF-910A、LF-930A、LF-931A、LF-939A、LF-950A、LF-952A、LF-600D、LF-601D、LF-650D、LF-667、LF-700D、LF-750D、LF-751D、LF-752D、LF-753D、及び、L325等、Chemtura社から入手可能)、Andur(登録商標)プレポリマー(例えば、70APLF、80APLF、85APLF、90APLF、95APLF、60DPLF、70APLF、75APLF等、アンダーソン・デベロップメント社から入手可能)、を含む。
【0029】
イソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、遊離トルエンジイソシアネート(TDI)モノマー含有量を、0.1重量%未満有する、低遊離イソシアネート末端ウレタンプレポリマーであることができる。
【0030】
硬化剤は、例えば、多官能性アミン、又は、多官能性アルコール、等であることができる。多官能性アミン系硬化剤は、多官能性芳香族アミンであることができる。そのようなアミンの具体例としては、ビス(4-アミノ-2-クロロ-3,5-ジエチルフェニル)メタン(「MCDEA」)、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミン、及び、その異性体、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、及び、その異性体(例えば、3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン)、4,4’-ビス-(sec-ブチルアミノ)ジフェニルメタン、1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)ベンゼン、4,4’-メチレン-ビス-(2-クロロアニリン)ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート、N,N-ジアルキルジアミノジフェニルメタン、p,p’-メチレンジアニリン(MDA)、m-フェニレンジアミン(MPDA)、4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)(MBOCA)、4,4’-メチレン-ビス-(2,6-ジエチルアニリン)(MDEA)、4,4’-メチレン-ビス-(2,3-ジクロロアニリン)(MDCA)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、2,2’,3,3-テトラクロロジアミノジフェニルメタン、トリメチレングリコールジ-p-アミノベンゾエート、及び、これらの混合物、を含む。
【0031】
研磨層は、低い気孔率、又は、気孔率がないこと、を示す高い比重を有することができる。例えば、研磨層は、ASTM D1622(2014)に従って測定された、1.05より大きいか、1.10より大きいか、1.12より大きいか、1.15大きいか、1.16より大きいか、又は、1.17グラム/立方センチメートルより大きい、比重を有することができる。研磨層は、体積%の気孔率が0~5、0~2、0~1、0~0.5、0~0.1、又は、ゼロであることができるように、少量のポロゲン(porogen:例えば、多孔質微小球)を含むか、又は、ポロゲンを含まないことができる。気孔率の体積%は、充填されていない研磨層の比重と、ポロゲンを含む研磨層の比重との差を、充填されていない研磨層の比重で割ることによって決定することができる。研磨層は、気孔を含まないことができる。研磨層は、ポロゲンを含まないことができる。
【0032】
研磨層は、ポリマー粒子、潤滑粒子、研磨粒子、等の固体、非多孔質フィラーを含むことができる。含まれる場合には、そのような固体、非多孔質フィラーの量は、研磨層の総重量に基づいて、0~30、0~20、0~15、又は、0.1~15重量%、の量で含まれる。研磨層は、フィラーを含まないこともできる。
【0033】
研磨パッドの製造と使用
本明細書に開示された研磨層は、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを提供すること、硬化性成分を別に提供すること、及び、イソシアネート末端ウレタンプレポリマー、及び、硬化性成分を組み合わせて、組み合わせ、を形成すること、組み合わせを反応させて、生成物を形成することができるようにすること、生成物をスカイビング(すなわち、スライス)すること等により、所望の厚さの研磨層を形成して、生成物から研磨層を形成すること、を含む方法によって製造することができる。或いは、それらを、より精密なネット状の形態で製造することができる。例えば、以下のプロセスを使用することができる:1.熱硬化性射出成形(しばしば、「反応射出成形:reaction injection molding」、又は、「RIM」と称される);2.熱可塑性、又は、熱硬化性、射出ブロー成形;3.圧縮成形;又は、4.任意の類似タイプのプロセスであって、流動性材料が、配置され、及び、固化され、それによって、パッドのマクロテクスチャ、又は、ミクロテクスチャ、の少なくとも一部が作成される、任意の類似タイプのプロセス。成形の例としては:1;「流動性の材料は、構造体、又は、基板の、中に押し込まれる、又は、上に置かれる」;2.「構造体、又は、基材は、固化される際に、材料に表面テクスチャーを付与する」;及び、3.「構造体、又は、基材は、その後、固化された材料から分離される」である。研磨層を形成した後、溝が、機械加工によって、付与されることができる。或いは、ある程度の溝を、溝パターンを有するモールドで、個々の層を形成することによって、設けることができる。
【0034】
本明細書に開示された研磨パッドは、任意選択的に、研磨層とインターフェース接続された少なくとも一つの追加層をさらに含む。例えば、CMP研磨パッドは、任意選択的に、研磨層に接着される圧縮性ベース層(サブパッドとも称される)をさらに含むことができる。圧縮性ベース層は、研磨された基板の表面に対する、研磨層の適合性を改善させることができる。
【0035】
本明細書に開示された研磨パッドは、研磨機のプラテンと連動するように適合させることができる。例えば、CMP研磨パッドは、研磨機のプラテンに(例えば、感圧接着剤、又は、真空の少なくとも一つを使用して)貼り付けるように適合させることができる。
【0036】
CMP研磨パッドは、本明細書の背景技術に記載されているように、研磨スラリーと共に使用することができ、及び、好ましくは、使用される。特に、本明細書に開示されたような溝パターンを有する研磨パッドは、以下の方法、研磨される基板を提供すること、本明細書に記載されたような溝パターンを有する上面を有する研磨パッドを提供すること、研磨パッドの上面を基板に対して移動させ、基板から材料を除去することによって、基板を研磨すること、で使用することができる。特に、研磨動作は、30キロパスカル(kPa)未満、好ましくは、28kPa未満、より好ましくは、25kPa未満、等の低いダウンフォースであることができる。ダウンフォースは、少なくとも15kPa、又は、少なくとも20kPa、であることができる。驚くべきことに、そのようなパッドを使用するこの方法は、同じ組成のパッドであっても、列挙された溝パターンを欠くパッドよりも、実質的に高い除去率を達成することができる。例えば、20kPaのダウンフォースで基板を研磨する方法は、同じ比重、及び、組成を有するが、開示された溝パターンを有しないパッドに対して、同じ研磨条件下で達成された除去率よりも、少なくとも30%(好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも60%、さらにより好ましくは、少なくとも70%、最も好ましくは、75%を超える)高い除去率をもたらすことができる(ここでの%は、類似のパッドの除去率に基づく)。低いダウンフォースでのこの相対的な除去率の増加は、特に、1.05、1.1、又は、1.15グラム/立方センチメートル、を超える比重を有する、実質的に非多孔質のパッドで達成された。
【0037】
したがって、この方法は、基板が、過剰な材料で充填されたトレンチを有するウェハーを含むシャロー・トレンチ・アイソレーションに、特に、適している。
【実施例0038】
材料
PTMEGは、様々なPTMEGの混合物であった。
【0039】
4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)。
【0040】
トルエンジイソシアネート(TDI)。
【0041】
トルエンジイソシアネート(「H12MDI/TDI」)PTMEGは、8.95~9.25重量%のNCOを有するプレポリマーであった。
【0042】
ポリマー微小球は、約20μmの平均粒径を有する塩化ビニリデン-ポリアクリロニトリル共重合体微小球であった。
【0043】
フルオロポリマーは、エトキシル化パーフルオロエーテルであった。このフルオロポリマーは、エチレンオキシドでキャップされた、フッ化エチレンオキシド-フッ化オキシメチレンという線状構造を有していた。フッ化エーテルのエチレンオキシドに対する原子比Rは、1.9、又は、5.3であった。
【0044】
MCDEAは、ビス(4-アミノ-2-クロロ-3,5-ジエチルフェニル)メタンであった。
【0045】
フッ化ポリウレア共重合体を使用したパッドの製造方法
フッ化プレポリマーは、約200グラムから1000グラムのバッチで合成された。エトキシル化パーフルオロエーテル、及び、PTMEGは、ポリテトラメチルエーテルの所望のフッ化レベルが得られるように混合された。TDI、及び、H12MDIは、混合物に添加される前に、80:20の重量比で混合された。その後、エトキシル化パーフルオロエーテル、及び、PTMEGの混合物には、所望のNCO重量%を達成するために十分であるイソシアネート混合物が添加された。混合物全体が再び混合され、その後、使用前に、65℃に予熱したオーブンに、4時間入れられた。
【0046】
プレポリマーは、65℃に加熱された。硬化剤(MBOCA、及び、MCDEAの50/50重量混合物)が予め計量され、及び、110℃のオーブンで溶融された。使用される場合には、ポリマー微小球は、4時間の反応時間後、又は、一旦加熱した後に、プレポリマーに添加され、真空を介して、プレポリマー中のポリマー微小球が脱気される。すべての充填されたサンプルは、比重、又は、最終密度のいずれかに達するのに十分なポリマー微小球の分布を含む。脱気後、及び、一旦両方の成分が温度に達したら、硬化剤がプレポリマーに加えられ、混合された。混合後、サンプルが加熱されたプレート上に流し込まれ、175ミル(4.4mm)に設定されたスペーサーを有するテフロン(登録商標)フルオロポリマー被覆されたバーを使用して延伸された。その後、このプレートは、オーブン内に移され、104℃に加熱され、及び、その温度に16時間保持された。その後、ドローダウンが脱型され、22インチ(55.9cm)までに打ち抜かれ、研磨用の積層パッドを準備するために使用された。すべてのパッドは、直径30インチ(76cm)であって、80ミル(2.0mm)のトップパッド、サブパッド用の感圧接着フィルム、Suba IV(登録商標)ポリウレタン含浸ポリエステルフェルトのサブパッド、及び、感圧プラテン接着剤を有していた。
【0047】
実施例1
表1に示されたように、研磨層ポリマー材料、比重、ポリマー微小球、及び、第二の溝パターンを有するパッドが準備された。各パッドは、幅20ミル(0.508mm)、深さ30ミル(0.762mm)、及び、ピッチ120ミル(3.048mm)を有する円形同心溝、及び、円形同心溝と同じ幅、及び、深さを有する放射状溝、を有する第一の溝パターンを有していた。いくつかのパッドは、第一の同心溝の各対の間に、第二の溝パターンの3本の溝を有していた。これらの第二の溝は、幅10ミル(0.254mm)、深さ15ミル(0.381mm)、及び、ピッチ30ミル(0.762mm)を有していた。
【表1】
*この非フッ化ポリウレタンは、NCOのモル数に基づいて105%のアミン対NCOモル比で105%のMBOCAと反応させた、9.15重量%のNCOの量のイソシアネートを有する、PTMEGプレポリマーから得られたものである。
【0048】
実施例2
パッドB、C、D、及び、研磨後の走査型電子顕微鏡写真は、パッドの材質、及び、溝形成によってもたらされた、異なるテクスチャーを明らかにさせた。
図7は、パッドBのSEM写真であり、非フッ化ポリマーを使用した場合で、さらに本明細書に開示されたような溝パターンを使用した場合でも、実質的に平坦なテクスチャーが示された。対照的に、
図4は、サンプル1のSEM写真であり、本明細書に開示されたような溝を有するフッ化共重合体が未充填のパッドにおいて、実質的な小歯状のテクスチャーが示された。
図5は、サンプルCのSEM写真であり、フッ化共重合体が未充填のパッドであるが、第二の溝がなく、
図4で示されたよりもより平坦な領域で、いくらかのテクスチャーが示される。
図6は、低比重(すなわち多孔性の)を有するサンプルDのSEM写真であり、テクスチャーを示すが、サンプル1よりも均一性がないことが示される。
【0049】
実施例3
これらのパッドを、標準的なセリアのスラリーと共に使用し、3、4、及び、5psiのダウンフォースで、酸化ケイ素を含む基板を研磨した。結果が表2に示される。サンプル1は、他のサンプルよりも、3psi(20kPa)で、オングストローム/分の著しく優れた除去率が示され、及び、4psiでは優れた除去率が示された。表2は、又、同じ組成と比重を持つパッドを比較すると、小さな2番目の溝を追加することで、低いダウンフォースでの除去率が著しく向上されることが示される。
【表2】
【0050】
本開示は、さらに以下の態様を含む。
【0051】
第1の態様、
化学機械研磨に適した研磨パッドであって、ソフト相、及び、ハード相を有するポリウレアを含む研磨層であって、ソフト相は、脂肪族フッ素を非含有の種、及び、フッ化脂肪族種の共重合体であり、ハード相は、ジイソシアネート含有セグメント、及び、アミン硬化剤から形成された、研磨層であり、研磨層が、溝パターンを有する上面を有し、溝パターンが、第一の溝断面を有する複数の第一の溝を含み、複数の第一の溝が、隣接する第一の溝の間の複数の領域を画定し、隣接する第一の溝の間の複数の領域の一部において、第二の溝断面を有する複数の第二の溝を有し、第二の溝断面は、第一の溝断面の50%未満であり、好ましくは、40%未満であり、好ましくは、少なくとも10%であり、好ましくは、少なくとも20%であり、研磨層が、少なくとも1.05グラム/立方センチメートルの比重を有することをさらに特徴とする、研磨パッド。
【0052】
第2の態様、
第一の溝が、第一の幅、及び、第一のピッチを有し、第一のピッチが、第一の幅の2.5倍から15倍(幅、及び、ピッチは、溝の頂部で測定される)である、第1の態様に記載の研磨パッド。
【0053】
第3の態様、
第二の溝が、第二の幅、及び、第二のピッチを有し、第二のピッチが、第二の幅の1.5倍~10倍(幅、及び、ピッチは、溝の頂部で測定される)である、第1の態様、又は、第2の態様に記載の研磨パッド。
【0054】
第4の態様、
化学機械研磨に適した研磨パッドであって、ソフト相、及び、ハード相を有するポリウレアを含む研磨層であって、ソフト相は、脂肪族フッ素を非含有の種、及び、フッ化脂肪族種の共重合体であり、ハード相は、ジイソシアネート含有セグメント、及び、アミン硬化剤、から形成された、研磨層を含み、研磨層が、少なくとも1.05グラム/立方センチメートルの比重を有し、0.35mmより大きく0.8mmまで(好ましくは、0.4~0.75mm、より好ましくは、0.45~0.7mm、さらに好ましくは、0.47~0.65mm、及び、最も好ましくは、0.5~0.6mm)の第一の溝の幅、0.5~1.1mmまで(好ましくは、0.6~1mm、さらに好ましくは、0.6~0.9mm、最も好ましくは、0.7~0.8mm)、の第一の溝の深さ、及び、2~5mmまで(好ましくは、2.5~4mm)の第一の溝のピッチ、を有する複数の第一の溝を含む溝パターンを有する上面を有し、複数の第一の溝は、隣接する第一の溝の間に複数の領域を画定し、隣接する第一の溝の間の複数の領域の一部において、第二の溝の幅、を有する複数の第二の溝であって、第二の溝の深さ、及び、第二の溝のピッチが、(a)「第二の溝の幅が第一の溝の幅の30~70%(好ましくは、40~60%)であり、第二の溝の深さが、第一の溝の深さの30~70%(好ましくは、40~60%)であり、及び、第二の溝のピッチが、第一の溝のピッチの15~40%である。」、(b)「第二の溝の幅が、0.05~0.33mm(好ましくは、0.1~0.3mm、より好ましくは、0.12~0.27mm)であり、第二の溝の深さが、0.1~0.5mm(好ましくは、0.25~0.45mm)、第二の溝のピッチが、0.5~1mmである。」、のいずれか、又は、両方を特徴とする、研磨パッド。
【0055】
第5の態様、
比重が、1.1以上である、前記各態様のいずれか一態様に記載の研磨パッド。
【0056】
第6の態様、
非多孔質である、前記各態様のいずれか一態様に記載の研磨パッド。
【0057】
第7の態様、
隣接する第一の溝の間の領域における複数の第二の溝が、二つ、又は、少なくとも二つ、三つ、又は、少なくとも三つ、四つ、又は、少なくとも四つ、五つ、又は、少なくとも五つ、の第二の溝を含む、前記各態様のいずれか一態様に記載の研磨パッド。
【0058】
第8の態様、
隣接する第一の溝の間の複数の領域の各々が、複数の第二の溝を含む、前記各態様のいずれか一態様に記載の研磨パッド。
【0059】
第9の態様、
研磨層が、好ましくは、30重量%未満、より好ましくは、20重量%未満、さらにより好ましくは、15重量%未満、の量の非多孔質充填剤をさらに含む、前記各態様のいずれか一態様に記載の研磨パッド。
【0060】
第10の態様、
複数の第一の溝の少なくとも一部(、又は、全部)が、パッドの中心の周りに同心円状に配置される、前記各態様のいずれか一態様に記載の研磨パッド。
【0061】
第11の態様、
複数の第一の溝の少なくとも一部が、パッドの中心から半径方向に延伸される、前記各態様のいずれか一態様に記載の研磨パッド。
【0062】
第12の態様、
複数の第二の溝の少なくとも一部が、パッドの中心の周りに同心円状に配置されている、第10の態様に記載の研磨パッド。
【0063】
第13の態様、
複数の第一の溝の少なくとも一部が、パッドの中心から半径方向に延伸され、複数の第二の溝が、パッドの中心から半径方向に延伸される複数の第一の溝の一部と交差する、第12の態様に記載の研磨パッド。
【0064】
第14の態様、
基板を研磨する方法であって、上面を有する研磨パッドを提供することを含み、上面が溝パターンを有し、溝パターンが第一の溝断面を有する複数の第一の溝であって、複数の第一の溝が、隣接する第一の溝の間の複数の領域を画定する第一の溝、及び、隣接する第一の溝の間の複数の領域の一部における、第二の溝断面を有する複数の第二の溝であって、第二の溝断面が、第一の溝断面の幅の、50%未満、好ましくは、40%未満、好ましくは、少なくとも10%、好ましくは、少なくとも20%である、第二の溝、を含み、研磨層は、さらに、基板から材料を除去するために、研磨パッドの上面を、基板に対して30キロパスカル(kPa)未満、好ましくは、28kPa未満、より好ましくは、25kPa未満、のダウンフォースで移動させ、少なくとも1.05グラム/立方センチメートルの比重を有すること、を特徴とする、方法。
【0065】
第15の態様、
研磨パッドが、第1の態様~第13の態様のいずれか一態様に記載の研磨パッドである、第14の態様に記載の方法。
【0066】
第16の態様、
ダウンフォースが、少なくとも15kPAである、第14の態様、又は、第15の態様に記載の方法。
【0067】
第17の態様、
20kPaのダウンフォースにおける基板からの材料の除去率が、第一の態様の研磨パッドの溝パターンは有していないが、同じ比重、及び、組成を有するパッドにおいて、同じ研磨条件下で達成されたよりも、少なくとも30%(好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、さらに好ましくは、少なくとも60%、さらにより好ましくは、少なくとも70%、最も好ましくは、75%を超える)(ここで、%は、類似のパッドの除去率に基づく)高い、第14の態様~第16の態様のいずれか一態様に記載の方法。
【0068】
第18の態様、
基板が、過剰な材料で充填されたトレンチを有するウェハーを含む、第14の態様~第17の態様のいずれか一態様に記載の方法。
【0069】
第19の態様、
研磨パッドの上面、及び、基板の間に、研磨スラリーを供給することを含む、第14の態様~第18の態様のいずれか一態様に記載の方法。
【0070】
本明細書に開示されたすべての範囲は、その各終点を含み、その各終点は、互いに独立して組み合わせることができる(例えば、「最大25重量%、より具体的には、5重量%~20重量%」の範囲は、その各終点、及び、「5重量%~25重量%」の範囲のすべての中間値、を含む)。さらに、記載された上限値、及び、下限値を組み合わせて、範囲を形成することもできる。(例えば、「少なくとも1重量%、又は、少なくとも2重量%」、及び、「最大10重量%、又は、5重量%」を、「1~10重量%」、又は、「1~5重量%」、又は、「2~10重量%」、又は、「2~5重量%」の範囲として組み合わせることができる)。
【0071】
本開示は、代替的に、本明細書に開示された任意の適切な成分、から構成されるか、又は、それらから本質的に構成されるか、を含むことができる。本開示は、追加的に、又は、代替的に、先行技術の組成物において使用された、又は、本開示の機能、及び/又は、目的の達成に必要ではない任意の成分、材料、成分、アジュバント(adjuvants)、又は、種、を含まないように、又は、実質的に含まないように、策定することができる。
【0072】
本明細書において別段の規定がない限り、すべての試験規格は、本出願の出願日現在において有効な最新の規格、又は、優先権が主張されている場合は、その試験規格が記載されている最先の優先権出願の出願日において有効な最新の規格である。