(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096674
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】着色粒子ブレンド並びにその生成及び使用のための方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/314 20170101AFI20240709BHJP
C08K 3/20 20060101ALI20240709BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240709BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240709BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240709BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240709BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240709BHJP
【FI】
B29C64/314
C08K3/20
C08K3/04
C08L101/00
B29C64/153
B33Y10/00
B33Y70/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023215360
(22)【出願日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】18/150,089
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】トミスラフ イヴァンチッチ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン クナピク
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ロートン
【テーマコード(参考)】
4F213
4J002
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】 (修正有)
【課題】付加製造において、着色を有する印刷物を形成するための着色粉末粒子を提供する。
【解決手段】着色粒子ブレンドは、色が互いに異なる熱可塑性ポリマー粒子を組み合わせることによって製造することができ、第1の熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第1の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤とを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、第2の熱可塑性ポリマーと、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第2の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第2の着色剤とを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子とを含んでもよい。第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子は第1の色を有し、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の着色剤は、存在する場合、第1の着色剤とは異なる。着色粒子ブレンドは視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色粒子ブレンドであって、
第1の色を有し、第1の熱可塑性ポリマーを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、
前記第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、を含み、
前記着色粒子ブレンドが、付加製造によって印刷可能であり、外観が視覚的に均質であり、前記第1の色及び前記第2の色とは異なる単一の色として見える、着色粒子ブレンド。
【請求項2】
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の前記熱可塑性ポリマー粒子の内部において前記第1の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤を含み、前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、任意選択的に、前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の前記熱可塑性ポリマー粒子の内部において前記第2の熱可塑性ポリマーとブレンドされた前記第1の着色剤とは異なる第2の着色剤を含む、請求項1に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項3】
前記第2の着色剤が存在しない、請求項2に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項4】
前記単一の色が、前記第1の色の明るくされた変異色である、請求項3に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項5】
第3の色を有し、第3の熱可塑性ポリマーを含む第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子を更に含み、
前記第3の色は、前記第1の色及び前記第2の色とは異なり、前記単一の色は、前記第1の色の明るくされた変異色ではない、
請求項1に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項6】
前記第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、前記第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の前記熱可塑性ポリマー粒子の内部において前記第3の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第3の着色剤を含む、請求項5に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項7】
少なくとも前記第1の色が原色である、請求項1に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項8】
前記第1の熱可塑性ポリマー及び前記第2の熱可塑性ポリマーが、同じである、請求項1に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項9】
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の前記熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に配置された第1の複数のナノ粒子と、前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の前記熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に配置された第2の複数のナノ粒子と、
を更に含む、請求項1に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項10】
前記第1の複数のナノ粒子及び前記第2の複数のナノ粒子が、酸化物ナノ粒子、カーボンブラック、ポリマーナノ粒子、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のナノ粒子を含む、請求項9に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項11】
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、以下の特性:
約25%以下だけ異なる真円度、
約25%以下だけ異なるハウスナー比、
約25%以下だけ異なる安息角、
約0.9~約1.0の範囲内の真円度、
約1.0~約1.5の範囲内のハウスナー比、又は
約20°~約45°の範囲内の安息角、のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項12】
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、約10%以下だけ異なる平均直径を有する、請求項1に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項13】
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、約10μm~約120μmの範囲の平均直径及び約0.2~約2の範囲の直径スパンを有する、請求項1に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項14】
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子対前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子の質量比が、約1:99~約99:1の範囲である、請求項1に記載の着色粒子ブレンド。
【請求項15】
方法であって、
第1の色を有し、第1の熱可塑性ポリマーを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、
前記第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて、外観が視覚的に均質であり、前記第1の色及び前記第2の色とは異なる単一の色として見える着色粒子ブレンドを得ることと、を含み、
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子がそれぞれ、溶融乳化によって別々に生成されている、方法。
【請求項16】
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の前記熱可塑性ポリマー粒子の内部において前記第1の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤を含み、前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、任意選択的に、前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の前記熱可塑性ポリマー粒子の内部において前記第2の熱可塑性ポリマーとブレンドされた前記第1の着色剤とは異なる第2の着色剤を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
着色マスターバッチ熱可塑性ポリマーを着色剤を含まないベース熱可塑性ポリマーと組み合わせ、前記着色マスターバッチ熱可塑性ポリマー及び前記着色剤を含まない前記ベース熱可塑性ポリマーの溶融ブレンドを行うことによって、前記第1の着色剤及び前記第2の着色剤(存在する場合)をそれぞれ前記第1の熱可塑性ポリマー及び前記第2の熱可塑性ポリマーに導入し、
前記溶融ブレンドを行った後に、前記溶融乳化を行う、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の前記熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に位置する第1の複数のナノ粒子を更に含み、前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の前記熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に位置する第2の複数のナノ粒子を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、以下の特性:
約25%以下だけ異なる真円度、
約25%以下だけ異なるハウスナー比、
約25%以下だけ異なる安息角、
約0.9~約1.0の範囲内の真円度、
約1.0~約1.5の範囲内のハウスナー比、
約20°~約45°の範囲内の安息角、
約10%以下だけ異なる平均直径、又は
約10μm~約120μmの範囲の平均直径及び約0.2~約2の範囲の直径スパン、のうちの少なくとも1つを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
方法であって、
第1の色を有し、第1の熱可塑性ポリマーを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、
前記第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて、外観が視覚的に均質であり、前記第1の色及び前記第2の色とは異なる単一の色として見える着色粒子ブレンドを得ることと、を含み、
前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、以下の特性:
約25%以下だけ異なる真円度、
約25%以下だけ異なるハウスナー比、
約25%以下だけ異なる安息角、
約0.9~約1.0の範囲内の真円度、
約1.0~約1.5の範囲内のハウスナー比、
約20°~約45°の範囲内の安息角、
約10%以下だけ異なる平均直径、又は
約10μm~約120μmの範囲の平均直径及び約0.2~約2の範囲の直径スパン、のうちの少なくとも1つを有している、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、付加製造に関し、より詳細には、着色粒子ブレンド、及び着色粒子ブレンドを利用して着色を有する印刷物を形成する付加製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元(three-dimensional、3-D)印刷としても知られる付加製造は、急速に成長している技術分野である。付加製造は、伝統的にラピッドプロトタイピング作業に使用されてきたが、この技術は、任意の数の複雑な形状の商業部品及び工業部品(印刷物)を製造するためにますます採用されている。付加製造プロセスは、1)溶融印刷材料又は印刷材料への液体前駆体の流れ、又は2)印刷材料の粉末粒子、のいずれかの層ごとの堆積によって行われる。層ごとの堆積は、通常、コンピュータの制御下で行われ、製造される部品のデジタル三次元「ブループリント」(コンピュータ支援設計モデル)に基づいて印刷材料を正確な位置に堆積及び固化する。特定の実施例では、粉末粒子の固化は、層ごとに堆積された粉末床において、レーザ又は電子ビームを使用して粉末床の正確な位置を加熱し、それによって、特定の粉末粒子を固化させて、所望の形状を有する部品を形成する三次元印刷システムを使用して行われてもよい。粉末床における粉末粒子の融合は、局所加熱による粉末粒子の固化を促進するためにレーザを用いる選択的レーザ焼結(selective laser sintering、SLS)によって行われ得る。
【0003】
三次元印刷で使用可能な粉末粒子の中には、熱可塑性ポリマーを含むものがある。このような粉末粒子は、本明細書では熱可塑性ポリマー粒子又は熱可塑性ポリマー粒子と呼ばれる。幅広い熱可塑性ポリマーが知られているが、特に選択的レーザ焼結によって粒子固化を行うときに、現在の三次元印刷技術での使用に適合する特性を有することは比較的少ない。選択的レーザ焼結による固化に好適な熱可塑性ポリマーとしては、融解開始と結晶化の開始との間に著しい差を有するものが挙げられ、印刷温度のわずかな変動を許容し、得られる印刷部品の構造的及び機械的完全性を良好に保つことができる。
【0004】
粉末粒子を使用して良好な印刷性能を実現するために、粉末粒子は固体状態で良好な流動特性を維持する必要がある。流動特性は、例えば、試料からの、指定のサイズの標準篩を通過することができる粉末粒子の割合を測定することによって、及び/又は安息角を測定することによって評価され得る。篩分け可能な粉末粒子の割合が高いことは、粒子が凝集しておらず、実質的に個々の粒子として存在しているということを示し得るが、これは粉末流動しやすいことの特徴であり得る。相対的に低い安息角の値は、粉末が容易に流動することを示す特性であり得る。試料中の粒子形状(通常は球形)の相対的に狭い粒径分布及び規則性も、良好な粉体流性能を促進する助けとなり得る。粒子形状、特に実質的に球状の粒子の規則性、及び狭い粒径分布はまた、粉末床内の最密充填又はほぼ最密充填された粒子を促進することができ、これは更に良好な印刷性能に寄与することができる。
【0005】
市販の粉末粒子は、多くの場合、極低温粉砕又は沈殿プロセスによって得られ、これは、不規則な粒子形状及び/又は広い粒径分布をもたらす場合があり、これらの両方が、付加製造プロセス中の不十分な粉末流動及び充填効率に寄与する場合がある。粉体流動性能が不十分であっても、粉末粒子を外部添加剤として充填剤及び流動助剤と乾燥ブレンドすることによってある程度対処され得るが、これらの技法は、エラストマーなどのより軟質のポリマー材料を用いた場合には、粒子が凝集することにより、その効果が限定的なものとなり得る。更に、充填剤及び流動助剤は、様々な形状及び/又はサイズの粉末粒子と様々な程度に相互作用する可能性があり、したがって、付加製造プロセス中に粉末流動性能を適切に調節する能力が限られていることを示す可能性がある。加えて、印刷物内にかなりの量の充填剤及び流動助剤を組み込むことは、充填剤及び流動助剤が機械的特性に悪影響を与える可能性があるため、場合によっては望ましくない可能性がある。
【0006】
付加製造は、様々な種類の印刷物を製造するため一層幅広く採用されるようになってきたため、様々な色を有する印刷物を利用できることが、多くの場合で望ましくなっている。付加製造に好適な市販の粉末粒子は、典型的には、従来の熱可塑性ポリマーから製造され、結果として無色である(すなわち、粒子の色は、熱可塑性ポリマー自体に固有のものであり、典型的には白色又は無色である)。印刷物又はその一部の着色が所望される場合、色は、例えば、塗装、噴霧、又は染色などのプロセスを使用して、印刷後に導入されてもよい。印刷後に色を導入することの主な欠点は、そのようにすると製造ラインが長くなり、生産コストが増加する可能性があることである。細かい色の詳細を導入するためにカスタムカラーブレンドが必要とされる場合があり、印刷物に全範囲の色を導入するために複数のパスが必要とされる場合があり、これは製造ラインを更に複雑にし、在庫管理の問題を増加させる場合がある。更に、着色は、主に印刷物上の表面層として導入されてもよく、結果として過度に堅牢でなくてもよい。
【0007】
印刷物に着色を加えるための別の可能性のある技術は、着色粉末粒子を利用することによるものである。市販の粉末粒子は、典型的には着色されていないが、着色剤は、時として、付加製造プロセスにおける使用に適合する粉末粒子内にうまく組み込まれ得る。着色剤は、粉末粒子の内部にあっても外部にあってもよい。前述の色導入アプローチは、所望の多色スキームを印刷物に導入するために、ある範囲の微細な色変動を有する複数のタイプの粉末粒子を備蓄することを必要とする場合があり、やはり在庫管理問題につながる。加えて、着色粒子の使用は、意図された色を有する印刷物を生成するために、指定された時間に異なる種類の粉末粒子を3次元印刷システムに装填することを必要とする場合があり、これもまた、複数の色を有する印刷物の製造ラインを複雑にする場合がある。着色粒子をうまく調達できたとしても、不規則な形状及びサイズの粉末粒子の異なる粉末流動性能は、複数のタイプの粉末粒子を用いた印刷を非常に困難にする可能性がある。更に、限られたパレットの利用可能な色を有する着色粒子を利用する場合、印刷物にカスタムカラーを導入する容易な方法がない。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、着色熱可塑性ポリマー粒子及びそれを用いた付加製造に関する。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の着色粒子ブレンドは、第1の色を有し、第1の熱可塑性ポリマーを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子とを含む。着色粒子ブレンドは、付加製造によって印刷可能であり、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える。
【0010】
いくつかの又は他の実施形態では、本明細書に記載の着色粒子ブレンドは、第1の熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第1の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤とを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子であって、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が第1の色を有する、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、第2の熱可塑性ポリマーと、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第2の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第2の着色剤とを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子であって、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が第1の色とは異なる第2の色を有する、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子とを含む。第2の着色剤は、存在する場合、第1の着色剤とは異なる。着色粒子ブレンドは、付加製造によって印刷可能であり、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える。
【0011】
いくつかの実施形態では、着色粒子ブレンドを形成するための方法は、第1の色を有し、第1の熱可塑性ポリマーを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて、外観が視覚的に均一であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える着色粒子ブレンドを得ることと、を含む。第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、それぞれ溶融乳化によって別々に製造され、及び/又は第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、以下の特性:約25%以下の異なる真円度、約25%以下の異なるハウスナー比、約25%以下の異なる安息角、約0.9~約1.0の範囲内の真円度、約1.0~約1.5の範囲内のハウスナー比、約20°~約45°の範囲内の安息角、約10%以下の異なる平均直径、又は約10μm~約120μmの範囲の平均直径及び約0.2~約2の範囲の直径スパンのうちの少なくとも1つを有する。
【0012】
いくつかの又は他の実施形態では、着色粒子ブレンドを形成するための方法は、第1の熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第1の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤とを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子であって、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が第1の色を有する、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、第2の熱可塑性ポリマーと、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第2の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第2の着色剤とを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子であって、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が第2の色を有する、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、第2の着色剤が存在する場合、第2の着色剤は第1の着色剤とは異なり、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて、外観が視覚的に均一であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える着色粒子ブレンドを得ることと、を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の図は、本開示のある特定の態様を例示するために含まれ、排他的な実施形態としてみなされるべきではない。開示される主題は、形態及び機能において、当業者が想到し、かつ本開示の利益を有するような、相当な修正、変更、組み合わせ、及び同等物が可能である。
【
図1】溶融乳化を行うための非限定的な例示的方法のフローチャートである。
【
図2】溶融乳化によって製造された代表的な熱可塑性ポリマー粒子の図である。
【
図3】様々なブレンド比の例示的な着色粒子ブレンドを示す写真である。
【
図4】着色粒子ブレンドを使用して形成された例示的な印刷物の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、付加製造に関し、より詳細には、着色粒子ブレンド、及び着色粒子ブレンドを利用して着色を有する印刷物を形成する付加製造方法に関する。
【0015】
上述したように、粉末粒子を使用する付加製造プロセスは、不規則な粒子形状及び広い粒径分布の結果としての不十分な粉末流動性能及び不完全な粒子固化によって複雑化され得る。着色を印刷物に導入する必要がある付加製造プロセスは、依然としてますます複雑になっている。付加製造プロセスに適したほとんどの市販の粉末粒子は着色されておらず、それによって、印刷後に印刷物の表面に着色を導入する必要がある。着色粉末粒子をうまく調達できたとしても、粒子は、典型的には、形状が不規則であり、広い粒径分布を有し、これは、粉末流動性能及び粒子固化に悪影響を及ぼし得る。更に、市販の着色粉末粒子のかなり狭いカラーパレットは、印刷される物体に導入され得る色の範囲を著しく制限する。
【0016】
付加製造に適した有利な粉末粒子は、特に乳化安定剤としてナノ粒子の存在下で、高沸点不活性溶媒中での熱可塑性ポリマーの溶融乳化により形成され得る。2020年6月30日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2021/0070993号は、ナノ粒子、特にシリカナノ粒子又は他の酸化物ナノ粒子の存在下での熱可塑性ポリマーの溶融乳化によって形成される熱可塑性ポリマー粒子を記載している。溶融乳化によって製造される熱可塑性ポリマー粒子は、それらの狭い粒径分布、規則的な粒子形状(高度に球状)、良好な粉末流動性能、及び付加製造プロセス中の容易な焼結の点で特に有利であり得る。溶融乳化中に存在するナノ粒子は、おそらく、熱可塑性ポリマー中の外表面上に少なくとも部分的に埋め込まれることによって、溶融乳化プロセス中に熱可塑性ポリマー粒子の外表面上に強固に組み込まれ得る。得られる粒径分布を更に調整するために、溶融乳化中に界面活性剤を任意選択的に含めることができる。ナノ粒子及び/又は界面活性剤は、典型的には、溶融乳化中に非常に少量で存在し、熱可塑性ポリマー粒子から形成される印刷物の構造的完全性も、本明細書の開示の適用を通して印刷物内に生じる着色も有意に変化させない。任意選択的に、溶融乳化後にナノ粒子を除去してもよい。
【0017】
着色剤は、前述の溶融乳化プロセスによって製造された熱可塑性ポリマー粒子にも導入することができる。着色剤は、熱可塑性ポリマーを溶融乳化に供する前に熱可塑性ポリマーと溶融ブレンド又は乾燥ブレンドされてもよく、又は着色剤は、溶融乳化プロセス自体に直接導入されてもよい。いずれの場合も、着色剤は、熱可塑性ポリマー粒子の内部の熱可塑性ポリマー全体にわたって分配され得る。着色を有する熱可塑性ポリマー粒子は、前述の方法のうちの少なくとも1つにおいて溶融乳化を介して生成され得るが、それを行うことは、多様な色のパレットの印刷を容易にするために広範囲の着色熱可塑性ポリマー粒子を備蓄する必要性から生じる在庫管理問題を依然として解決しない。
【0018】
本開示は、溶融乳化によって生成された着色熱可塑性ポリマー粒子をうまく組み合わせて、選択的レーザ焼結などの付加製造プロセスによって容易に印刷可能なままであり得るカスタムカラーブレンドを生成することができるという驚くべき結果を実証する。乳化安定剤としてナノ粒子を使用する溶融乳化プロセスから生じる狭い粒径分布、実質的に球状の粒子形状、及び容易な粉末流動特性は、前述のことを容易にし得る。すなわち、溶融乳化によって製造される熱可塑性ポリマー粒子の望ましい特性は、良好な粉末流動特性を促進し、ひいては、熱可塑性ポリマー粒子を一緒に組み合わせた後であっても、付加製造による容易な印刷適性を促進する。特に、2つ以上の異なる色を有する着色された熱可塑性ポリマー粒子は、別個の溶融乳化プロセスによって生成されてもよく、次いで、それらは一緒に乾燥ブレンドされる。乾燥ブレンドプロセスは、広範囲のブレンド比にわたって色が視覚的に均質に見え、最初に混合された色とは異なる単一の(ブレンドされた)色を示す、十分に混合された着色粒子ブレンドを生成することができる。
【0019】
着色剤の添加は、溶融乳化を介して形成される熱可塑性ポリマー粒子の有利な物理的特性(例えば、狭い粒径分布、球形、及び良好な粉末流動性能)を著しく変化させない。上記は、付加製造プロセスによる熱可塑性ポリマー粒子の印刷適性を容易にすることができる。したがって、着色されていない(未使用の)熱可塑性材料と一緒に着色されたマスターバッチ熱可塑性物質の小部分を混合することは、着色されていない熱可塑性ポリマー粒子単独と比較して、最終粉末粒子の粒径分布又は粉末流動性能に著しい影響を与えない。したがって、溶融乳化条件の所与のセットは、一緒に適切に組み合わせることができる着色及び無着色熱可塑性ポリマー粒子を生成するために利用することができる。更に、様々な比率の着色及び非着色熱可塑性ポリマー粒子(又は様々な比率の異なる色を有する2つ以上の異なる熱可塑性ポリマー粒子)を一緒に組み合わせて、カスタム着色を有する印刷物の生成を容易にすることができる。
【0020】
通常、同様の粒径分布を有する熱可塑性ポリマー粒子を一緒に組み合わせることが望ましいが、特定の状況では、異なるサイズ及び着色を有する熱可塑性ポリマー粒子も、粉末流動特性が同様のままであれば、適切に組み合わせることができることを理解されたい。例えば、離間した狭い粒径分布を有する2種類以上の熱可塑性ポリマー粒子の混合物は、得られる色の均一性を高めるために、状況によっては望ましい場合がある。加えて、異なる粒径分布を有する熱可塑性ポリマー粒子のブレンドは、固化前に粉末床においてより密な充填をもたらすことができ、それによって、得られる印刷物における空隙形成がより少なくなる。
【0021】
有利には、いくつかの基本色(例えば、赤色、青色、及び黄色などの原色、並びに任意選択的に未着色の熱可塑性ポリマー粒子)の熱可塑性ポリマー粒子を形成することによって、任意の色を有する着色粒子ブレンドは、様々なブレンド比での2つ以上のタイプの熱可塑性ポリマー粒子の適切な組合せを介してアクセスされ得る。溶融乳化プロセスは、良好な粉末流動性能をもたらす物理的パラメータと組み合わせて狭い粒径分布をもたらすことができるので、異なる色を有する別個の製造バッチからの着色熱可塑性ポリマー粒子(又は無着色熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせた着色熱可塑性ポリマー粒子)、同様の粉末流動性能、及び狭い粒径分布を一緒に組み合わせて、印刷性能に悪影響を及ぼすことなくカスタマイズされた色を有する着色粒子ブレンドをもたらすことができる。
【0022】
熱可塑性ポリマー粒子をいくつかの基本色で提供し、特定の着色スキームを有する物体を印刷するために必要に応じて熱可塑性ポリマー粒子をカスタムカラーブレンドに乾燥ブレンドすることによって、在庫管理問題の著しい改善が実現され得る。着色粒子ブレンドは、粉末粒子を付加製造システムに供給する前に様々な熱可塑性ポリマー粒子(粉末粒子)を乾燥ブレンドすることによって予備混合されてもよく、又は着色粒子ブレンドは、印刷プロセス中に付加製造システム内でその場で形成されてもよい。いずれの場合も、付加製造に適した本質的に無限のカラーパレットを実現することができる。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「不混和性」は、組み合わせられたときに、大気圧で、及び室温で、又は構成成分が室温で固体である場合には構成成分の融点以上で、互いに5重量%未満の可溶性を有する2つ以上の相を形成する構成成分の混合物を指す。例えば、10,000g/モルの分子量を有するポリエチレンオキシドは、室温で固体であり、65℃の融点を有する。したがって、室温で液体である材料及び当該ポリエチレンオキシドが65℃以上で互いに5重量%未満の溶解性を有する場合、当該ポリエチレンオキシドは、当該材料と不混和性である。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「熱可塑性ポリマー」は、加熱及び冷却により、可逆的に軟化及び硬化するポリマー材料を指す。熱可塑性ポリマーは、熱可塑性エラストマーを包含する。
【0025】
本明細書で使用するとき、「エラストマー」という用語は、結晶性「硬質」部分及び非晶性「軟質」部分を含むコポリマーを指す。ポリウレタンの場合、結晶性部分は、ウレタン官能性及び任意選択的な鎖延長基を含むポリウレタンの一部分を含み得、軟質部分は、例えば、ポリオールを含み得る。
【0026】
本明細書で使用するとき、「ポリウレタン」という用語は、ジイソシアネートと、ポリオールと、任意選択的な鎖延長剤とのポリマー反応生成物を指す。
【0027】
本明細書で使用するとき、「酸化物」という用語は、金属酸化物及び非金属酸化物の両方を指す。本開示の目的では、ケイ素は、金属であるとみなされる。
【0028】
本明細書で使用するとき、「酸化物ナノ粒子」という用語は、約1nm~約500nmの範囲の粒径を有し、かつ金属酸化物又は非金属酸化物を含む、粒子材料を指す。
【0029】
本明細書で使用するとき、その「会合した」、「会合」という用語、及びその文法的な変形は、表面へのナノ粒子の化学結合及び/又は物理的付着を指す。理論によって限定されるものではないが、本明細書に記載される熱可塑性ポリマーと熱可塑性ポリマー粒子中のナノ粒子との間の会合は、主に物理的接着によるものであると考えられる。しかしながら、化学結合がある程度発生している可能性がある。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「埋め込む」は、ナノ粒子が熱可塑性ポリマー粒子の外表面上に単に接線方向に置かれた場合よりも、熱可塑性ポリマーがナノ粒子とより大きな程度で接触するように、ナノ粒子が熱可塑性ポリマー粒子の外表面上の熱可塑性ポリマー中に少なくとも部分的に延在することを指す。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「D10」は、試料の10%(別段の指定がない限り体積基準で)が、当該直径未満の直径を有する粒子からなる直径を指す。本明細書で使用するとき、用語「D50」は、試料の50%(別段の指定がない限り体積基準で)が、当該直径未満の直径を有する粒子からなる直径を指す。D50はまた、「平均粒径」と称され得る。本明細書で使用するとき、用語「D90」は、試料の90%(別段の指定がない限り体積基準で)が、当該直径未満の直径を有する粒子からなる直径を指す。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「直径スパン」、「スパン」、及び「スパンサイズ」は、粒径分布の幅の指標を提供し、(D90-D10)/D50として定義される。
【0033】
粒径は、Malvern社製MASTERSIZER(商標)3000を使用した光散乱技術によって、又は光学デジタル顕微鏡写真の分析によって決定され得る。別途指定のない限り、光散乱技術は、本明細書において、粒径を分析するために使用される。光散乱技術については、対照試料は、Malvern Analytical Ltdから入手したQuality Audit Standards QAS4002(商標)という商品名の、直径が15μm~150μmの範囲内であるガラスビーズであった。別途記載のない限り、試料を乾燥粉末として分析した。分析した粒子は、空気中に分散させ、MASTERSIZER(商標)3000により、AERO S乾燥粉末分散モジュールを使用して分析した。粒径は、サイズの関数としての体積密度のプロットから、計器ソフトウェアを使用して導出した。
【0034】
本明細書で使用するとき、「真円度」及び「球形度」という用語は、粒子が完全な球体に近い程度を指す。真円度を判定するには、粒子の光学顕微鏡画像を撮影する。顕微鏡画像の平面内での粒子の周囲の長さ(P)及び面積(A)を計算する(例えば、Malvern Instrumentsから入手可能な、SYSMEX FPIA 3000粒子形状及び粒径分析器を使用する)。粒子の真円度は、CEA/Pであり、CEAは、実際の粒子の面積(A)と等価な面積を有する円の円周である。1未満の真円度値は、完全な真円度からの偏差を示す。
【0035】
本明細書で使用される場合、熱可塑性ポリマーの融点は、特に指定がない限り、10℃/分の昇温速度及び冷却速度で、ASTM E794-06(2018)によって決定される。本明細書で使用される場合、熱可塑性ポリマーの軟化温度又は軟化点は、特に指定がない限り、ASTM D6090-17によって決定される。軟化温度は、1℃/分の加熱速度で0.50グラムの試料を使用して、Mettler-Toledoから入手可能なカップアンドボール装置を使用することによって測定することができる。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「焼結ウィンドウ」は、熱可塑性ポリマー粒子の性能を指す場合、溶融温度(Tm)開始と結晶化温度(Tc)開始との間の差を指す。Tm及びTcは、ASTM E794-06(2018)による示差走査熱量測定で10℃/分の昇温速度及び10℃/分の冷却速度を使用して決定される。
【0037】
本明細書で使用するとき、「剪断」という用語は、流体中で機械的撹拌を誘導する撹拌又は同様のプロセスを指す。
【0038】
安息角は、粉末の流動性の尺度である。安息角測定は、Carr指数によって特性評価されるASTM D6393-14「Standard Test Method for Bulk Solids」を使用する、Hosokawa Micronの粉末特徴試験機PT-Rを使用して判定される。
【0039】
ハウスナー比(Hr)は、粉末の流動性の尺度であり、Hr=ρtap/ρbulkにより計算され、式中、ρbulkは、ASTM D6393-14によるバルク密度であり、ρtapはASTM D6393-14によるタップ密度である。
【0040】
本明細書で使用するとき、キャリア流体の粘度は、別途記載のない限り、ASTM D445-19により測定して、25℃での動粘度として報告される。商業的に調達されるキャリア流体(例えば、PDMSオイル)では、本明細書に引用される動粘度データは、前述のASTMに従って測定されたか、又は別の標準測定技術によって測定されたかにかかわらず、製造業者によって提供された。
【0041】
本開示の更なる文脈を提供するために、非限定的な溶融乳化プロセスを
図1を参照して説明する。
図1は、溶融乳化を行うための非限定的な例示的方法101のフローチャートである。熱可塑性ポリマー102と、キャリア流体104と、ナノ粒子106(又はナノ粒子及び任意の界面活性剤106)とが混ぜ合わされて108、混合物110を生成する。熱可塑性ポリマー102、キャリア流体104、及びナノ粒子106は、任意の順序で組み合わせられ得、組み合わせプロセス108中に混合及び/又は加熱を含み得る。以下で更に説明するように、着色剤は、熱可塑性ポリマー102内に導入されてもよく、あるいはキャリア流体104と直接組み合わされてもよい。
【0042】
次いで、熱可塑性ポリマー102の融点又は軟化温度以上の温度で混合物110に十分に高い剪断力を適用することによって混合物110を処理して112、溶融乳化物114を形成する。温度は熱可塑性ポリマー102の融点又は軟化温度を超えるため、熱可塑性ポリマー102は、ポリマー溶融物となる。剪断速度は、ポリマー溶融物をキャリア流体104中に液化液滴として分散させるのに十分である。理論に制限されるものではないが、すべての他の要因が同じであれば、剪断力を増加させることによって、キャリア流体104中の液化液滴のサイズが減少すると考えられる。しかしながら、ある時点では、剪断を増加させ、液滴サイズを減少させた際に戻りが減少する場合がある、又は液滴の内容物が崩壊して、それから生成される粒子の品質が低下する場合がある。
【0043】
次に、溶融乳化114を冷却して116、液化液滴を熱可塑性ポリマー粒子(本明細書では、固化熱可塑性ポリマー粒子、粉末粒子、又は粒子とも呼ばれる)に固化する。次いで、冷却された混合物118を処理120して、熱可塑性ポリマー粒子122を他の構成成分124(例えば、キャリア流体104、過剰なナノ粒子106、着色剤、他の添加剤など)から分離することができる。処理120は、少なくとも、冷却された混合物118を溶媒で洗浄してキャリア流体104を除去することを含み得る。任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子122は、精製された熱可塑性ポリマー粒子128を生成するために、更なる処理又は精製を受けてもよい。
【0044】
図2は、溶融乳化によって製造された代表的な熱可塑性ポリマー粒子の図である。図示されるように、熱可塑性ポリマー粒子200は、熱可塑性ポリマー粒子200の内部にある熱可塑性ポリマー202と、熱可塑性ポリマー粒子200の外表面208をコーティングするナノ粒子206とを含む。ナノ粒子206は、外面208上の完全又は部分的なコーティングとして存在してもよい。熱可塑性ポリマー202の種類、溶融乳化中に到達する温度、及び冷却速度などの様々な要因に応じて、ナノ粒子206は、外面208内に少なくとも部分的に埋め込まれ得る。埋め込みが起こらない場合であっても、ナノ粒子206は、熱可塑性ポリマー粒子200と強固に会合したままで、その更なる使用を容易にし得る。対照的に、既に形成された(例えば、低温粉砕又は沈殿プロセスによって形成された)熱可塑性ポリマー粒子と、シリカナノ粒子(例えば、ヒュームドシリカナノ粒子)のような流動助剤との乾燥ブレンドは、熱可塑性ポリマー粒子上の流動助剤の堅牢で均一なコーティングをもたらさない。着色剤は、存在する場合、熱可塑性ポリマー粒子200の内部に存在してもよい。
【0045】
特定の熱可塑性ポリマー粒子を製造するための熱可塑性ポリマー及びキャリア流体は、溶融乳化が行われる温度で熱可塑性ポリマー及びキャリア流体が不混和性であるように選択されてもよい。考慮され得る熱可塑性ポリマーとキャリア流体との好適な組み合わせを選択するための更なる因子は、得られる液化液滴とキャリア流体との間の粘度差である。粘度差は、液滴形成及び粒径分布に影響を与え得る。理論によって限定されるものではないが、液化液滴及びキャリア流体の粘度があまりにも類似している場合、全体としての製品の真円度は、ほぼ真円度から逸脱し得ると考えられる。粘度差に加えて、ナノ粒子及び任意選択的に界面活性剤の存在ならびにそれらの量は、平均粒径及び粒径分布にも影響を及ぼし得る。
【0046】
好適な熱可塑性ポリマーの例としては、限定するものではないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエテン、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸)、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフェニレンスルフィド、ビニルポリマー、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアミド-イミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを含むコポリマー(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)、グラフト化又は非グラフト化熱可塑性ポリオレフィン、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマーポリマー、官能化又は非官能化エチレン/アルキル(メタ)アクリレート、官能化又は非官能化(メタ)アクリル酸ポリマー、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマー/アルキル(メタ)アクリレートターポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/カルボニルターポリマー、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(SBM)ブロックターポリマー、塩素化又はクロロスルホン化ポリエチレン、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、フェノール樹脂、ポリ(エチレン/ビニルアセテート)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン系ブロックコポリマー、ポリアクリロニトリル、シリコーンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。また、前述の1つ以上を含むコポリマーが本開示の方法及びシステムにおいて使用され得る。
【0047】
好適な熱可塑性ポリマーは、エラストマー系又は非エラストマー系であり得る。熱可塑性ポリマーの前述の例のうちのいくつかは、ポリマーの正確な組成に応じて、エラストマー又は非エラストマーであってもよい。例えば、エチレンとプロピレンとのコポリマーであるポリオレフィンは、ポリマー中のプロピレンの量に応じて、エラストマーであっても又はエラストマーでなくてもよい。
【0048】
熱可塑性エラストマーは、概して、スチレン系ブロックコポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性加硫ゴム(エラストマー合金とも称される)、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、及び熱可塑性ポリアミド(典型的にはポリアミドを含むブロックコポリマー)の6つのクラスのうちの1つの範囲内に入る。熱可塑性エラストマーの例は、Handbook of Thermoplastic Elastomers,2nd ed.,B.M.Walker and C.P.Rader,eds.,Van Nostrand Reinhold,New York,1988に見出すことができる。熱可塑性エラストマーの例としては、エラストマー性ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロックを含むコポリマー(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(SBM)ブロックターポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン系ブロックコポリマー、並びにポリアクリロニトリル、シリコーンなどが挙げられるが、これらに限定されない。弾性スチレン系ブロックコポリマーとしては、イソプレン、イソブチレン、ブチレン、エチレン/ブチレン、エチレン-プロピレン、及びエチレン-エチレン/プロピレンの群から選択される少なくとも1つのブロックが挙げられ得る。より具体的な弾性スチレン系ブロックコポリマーの例としては、ポリ(スチレン-エチレン/ブチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/プロピレン)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン-エチレン-プロピレン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、ポリ(スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレン)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
ポリアミドの例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6、ポリアミド6、又はPA6)、ポリ(ヘキサメチレンサクシンアミド)(ナイロン4,6、ポリアミド4,6、又はPA4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6、ポリアミド6,6、又はPA6,6)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン5,6、ポリアミド5,6、又はPA5,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10、ポリアミド6,10、又はPA6,10)、ポリウンデカアミド(ナイロン11,ポリアミド11,又はPA11)、ポリドデカアミド(ナイロン12、ポリアミド12、又はPA12)、及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T、ポリアミド6T、又はPA6T)、ナイロン10,10(ポリアミド10,10又はPA10,10)、ナイロン10,12(ポリアミド10,12又はPA10,12)、ナイロン10,14(ポリアミド10,14又はPA10,14)、ナイロン10,18(ポリアミド10,18又はPA10,18)、ナイロン6,18(ポリアミド6,18又はPA6,18)、ナイロン6,12(ポリアミド6,12又はPA6,12)、ナイロン6,14(ポリアミド6,14又はPA6,14)、ナイロン12,12(ポリアミド12,12又はPA12,12)など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。コポリアミドも使用され得る。コポリアミドの例としては、PA11/10,10、PA6/11、PA6,6/6、PA11/12、Pa 10,10/10,12、PA10,10/10,14、PA11/10,36、PA11/6,36、PA10,10/10,36、PA6T/6,6など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアミドの後に第1の数字、コンマ、第2の数字が続くものは、ペンダント=Oを有しない部分の窒素の間の第1の数の主鎖炭素と、ペンダント=Oを有する部分の2つの窒素の間にある第2の数の主鎖炭素とを有するポリアミドである。非限定的な例として、ナイロン6,10は、[NH-(CH2)6-NH-CO-(CH2)8-CO]nである。ポリアミドの後に数字、バックスラッシュ、数字が付いたものは、バックスラッシュの前後の数字によって示されたポリアミドのコポリマーである。
【0050】
ポリウレタンの例としては、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、混合ポリエーテル及びポリエステルポリウレタンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。熱可塑性ポリウレタンの例としては、ポリ[4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)-alt-1,4-ブタンジオール/ジ(プロピレングリコール)/ポリカプロラクトン]、ELASTOLLAN(登録商標)1190A(ポリエーテルポリウレタンエラストマー、BASFから入手可能)、ELASTOLLAN(登録商標)1190A10(ポリエーテルポリウレタンエラストマー、BASFから入手可能)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
好適な熱可塑性ポリマーは、約50℃~約450℃、又は約50℃~約125℃、又は約100℃~約175℃、又は約150℃~約280℃、又は約200℃~約350℃、又は約300℃~約450℃の融点又は軟化温度を有し得る。更に、好適な熱可塑性ポリマーは、約-50℃~約400℃、又は約-50℃~約0℃、又は約-25℃~約50℃、又は約0℃~約150℃、又は約100℃~約250℃、又は約150℃~約300℃、又は約200℃~約400℃のガラス転移温度(10℃/分の昇温速度及び冷却速度を有するASTM E1356-08(2014))を有し得る。
【0052】
溶融乳化を受ける熱可塑性ポリマーは、添加剤を任意選択的に含んでもよい。添加剤は、溶融乳化中に熱可塑性ポリマーをキャリア流体に添加する前に、熱可塑性ポリマーと溶融ブレンド、乾燥ブレンド、又は他の方法で混合することができる。したがって、液化液滴及び結果として生じる熱可塑性ポリマー粒子において、添加剤は、個々の熱可塑性ポリマー粒子又は液化液滴の内部全体にわたって存在し得る。そのため、明確にするために、この添加剤は本明細書では「内部添加剤」と称され得る。着色剤は、本明細書の開示における使用に適し得る内部添加剤の一例にすぎない。対照的に、ナノ粒子は、溶融乳化前に熱可塑性ポリマーと予め混合されておらず、溶融乳化中に熱可塑性ポリマー粒子の外表面上に主に局在化するので、外部添加剤である。
【0053】
内部添加剤の例としては、充填剤、強化剤、pH調整剤、着色剤、酸化防止剤、安定剤など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。充填剤の例としては、ガラス繊維、ガラス粒子、鉱物繊維、炭素繊維、酸化物粒子(例えば、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウム)、金属粒子(例えば、アルミニウム粉体)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。着色剤の例としては、顔料、染料などが挙げられ、これらは本質的に有機であっても無機であってもよい。着色剤は、固定着色剤であってもよく、又は着色剤は、熱活性化(例えば、溶融乳化中)、酸化などの刺激に応答してその色を変化させてもよい。適切な着色剤は、着色剤が溶融乳化条件に対して熱的に安定であり、選択された熱可塑性ポリマー中に所望の程度まで組み込まれるならば、特に限定されないと考えられる。広範囲の好適な着色剤が当業者に知られている。例示的な着色剤としては、S-46051イエローTPUマスターバッチ、S-54034レッドTPUマスターバッチ、S-700150ロイヤルブルーTPUマスターバッチ、S-64622ライトグリーンTPUマスターバッチを挙げることができ、これらはすべてRTP Companyから入手可能である。
【0054】
存在する場合、着色剤又は他の内部添加剤が、それぞれ熱可塑性ポリマーの質量に基づいて、約0.1重量%~約60重量%、又は約0.1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約5重量%~約20重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%、又は約40重量%~約60重量%で熱可塑性ポリマー中に存在し得る。着色熱可塑性ポリマー粒子を形成するために着色マスターバッチとして導入される場合、着色マスターバッチは、溶融乳化中に未着色の熱可塑性ポリマーと組み合わされて、特定の色を有する着色熱可塑性ポリマー粒子を形成し得る。市販の着色マスターバッチについては、着色マスターバッチの未着色熱可塑性ポリマーに対する割合は、通常、得られるブレンドポリマーにおいて製造業者が指定した色値を与えるように製造業者が推奨する。一般に、着色マスターバッチは、溶融乳化中に、全ポリマーの0.5重量%~約15重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約6重量%、又は約2重量%~約4重量%で、未着色の熱可塑性ポリマーと組み合わせることができる。あるいは、着色マスターバッチ及び未着色熱可塑性ポリマーは、溶融乳化を行う前に溶融ブレンドによって互いに組み合わせることができ、得られた溶融ブレンドを溶融乳化によって加工して、本明細書に記載の着色粒子を形成することができる。
【0055】
好適なキャリア流体は、25℃で約1,000cSt~約150,000cSt、又は約1,000cSt~約60,000cSt、又は約40,000cSt~約100,000cSt、又は約75,000cSt~約150,000cStの粘度を有し得る。好適なキャリア流体の例としては、限定するものではないが、シリコーンオイル、フッ素化シリコーンオイル、ペルフッ素化シリコーンオイル、ポリエチレングリコール、アルキル末端ポリエチレングリコール(例えば、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(tetraethylene glycol dimethyl ether、TDG)などC1~C4末端アルキル基)、パラフィン、流動ワセリン、ミンクオイル、タートルオイル、大豆油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンドオイル、カロフィルムオイル、パームオイル、パールリームオイル、グレープシードオイル、ゴマ油、トウモロコシ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、杏油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物胚芽油、ラノリン酸のエステル、オレイン酸のエステル、ラウリン酸のエステル、ステアリン酸のエステル、脂肪族エステル、高級脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸変性ポリシロキサン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。シリコーンオイルの例としては、限定するものではないが、ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。任意選択的に、キャリア流体は、溶融乳化中に1つ以上の相を含むことができる。
【0056】
溶融乳化中、キャリア流体は、熱可塑性ポリマーとキャリア流体の合計質量に基づいて、約40重量%~約95重量%。又は約75重量%~約95重量%、又は約70重量%~約90重量%、又は約55重量%~約80重量%、又は約50重量%~約75重量%、又は約40重量%~約60重量%存在してもよい。
【0057】
溶融乳化中に使用するのに好適なナノ粒子としては、酸化物ナノ粒子、カーボンブラック、ポリマーナノ粒子、又はこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。酸化物ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子、非金属酸化物ナノ粒子、又はこれらの混合物を含み得る。好適な酸化物ナノ粒子の例としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄、酸化銅、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化タリウム、及び酸化タングステンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、及びアルミノホウケイ酸塩のような混合された金属酸化物及び/又は非金属酸化物も、金属酸化物という用語に含まれる。好適な酸化物ナノ粒子は、親水性又は疎水性であり得、これは、ナノ粒子表面に固有であり得るか、又はナノ粒子に行う表面処理に起因し得る。例えば、ジメチルシリル、トリメチルシリルなどのような疎水性表面処理を有するシリカナノ粒子が本開示において使用することができる。非官能化酸化物ナノ粒子もまた同様に、使用に好適であり得る。
【0058】
シリカナノ粒子、特にその上に疎水性官能化を有するヒュームドシリカナノ粒子は、疎水性官能化の種類及び粒径が様々である、様々な官能化シリカが利用可能なので、本明細書の開示における使用に特に適し得る。親水性ヒュームドシリカナノ粒子はまた、本明細書の開示において好適に使用され得る。シラザン及びシラン疎水性官能化は、本開示で使用され得る疎水性官能化の中に含まれる。したがって、本明細書の開示で使用される複数のナノ粒子は、シリカナノ粒子、特に、疎水変性又は親水変性されたシリカナノ粒子を含んでもよく、又はこれらから本質的になってもよい。
【0059】
本明細書の開示における使用に好適な特定のシリカナノ粒子は、疎水変性され得る。疎水性官能化は、やはり高度に疎水性であり得る溶融乳化キャリア流体中へのシリカナノ粒子の分散を改善することができる。疎水性官能化は、シリカナノ粒子の表面に非共有結合又は共有結合され得る。共有結合は、例えば、シリカナノ粒子の表面ヒドロキシル基の官能化により行われ得る。非限定的な実施例では、シリカナノ粒子をジクロロジメチルシラン又はヘキサメチルジシラザンで処理して、疎水性変性の共有結合を得てもよい。市販の疎水官能化シリカナノ粒子としては、例えば、AEROSIL RX50(Evonik、平均粒径=40nm、25~45m2/g BET表面積)、AEROSIL R812S(Evonik、平均粒径=7nm、195~245m2/g BET表面積)、及びAEROSIL R972(Evonik、平均粒径=16nm、90~130m2/g BET表面積)が挙げられる。
【0060】
ポリマーナノ粒子は、本明細書の開示において好適に使用され得る別の種類のナノ粒子である。好適なポリマーナノ粒子は、本明細書の開示による溶融乳化によって処理されたときに溶融しないように、熱硬化性であり、かつ/又は架橋されている、1つ以上のポリマーを含み得る。高融点又は分解点を有する高分子量熱可塑性ポリマーを含むナノ粒子は、同様に、本明細書の開示での使用に適している可能性がある。
【0061】
好適なナノ粒子は、約1nm~約500nm、又は約10nm~約150nm、又は約25nm~約100nm、又は約100nm~約250nm、又は約250nm~約500nmの平均直径(D50)を有し得る。
【0062】
好適なナノ粒子は、BET表面積が、約10m2/g~約500m2/g又は約10m2/g~約150m2/g、又は約25m2/g~約100m2/g、又は約100m2/g~約250m2/g、又は250m2/g~約500m2/gであってもよい。
【0063】
溶融乳化中、ナノ粒子は、熱可塑性ポリマーの質量に基づいて、約0.01重量%%~約10重量%、又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約1重量%~約5重量%、又は約5重量%~約10重量%の濃度でキャリア流体中に存在し得る。
【0064】
濁度測定に基づいて、シリカナノ粒子などの利用可能なナノ粒子の約80~90%が、熱可塑性ポリマー粒子の外表面上で会合するようになる。ナノ粒子の充填は熱可塑性ポリマーに対して測定されるため、熱可塑性ポリマー粒子に会合したナノ粒子の量は、溶融乳化中に熱可塑性ポリマー粒子を形成する際に使用されるナノ粒子充填の約80~90%であり得る。したがって、溶融乳化中の0.25重量%のナノ粒子充填の場合、熱可塑性ポリマー粒子と会合するナノ粒子の対応する量は、約0.2重量%~約0.225重量%であり得、1.0重量%のナノ粒子充填の場合、熱可塑性ポリマー粒子と会合するナノ粒子の対応する量は、約0.8重量%~約0.9重量%であり得る。熱可塑性ポリマー粒子に会合するナノ粒子のより高い又はより低い量は、キャリア流体中のより高い又はより低いナノ粒子充填に対して実現され得る。
【0065】
本明細書の開示による溶融乳化を行うのに適した混合装置は、溶融乳化を熱可塑性ポリマーの融点又は軟化温度以上の温度に維持しながら、得られた熱可塑性ポリマー溶融物を液化液滴としてキャリア流体中に分散させるのに十分な剪断速度を維持するように選択され得る。好適な混合装置の例としては、押出機(例えば、連続押出機、バッチ押出機など)、撹拌反応器、ブレンダー、インラインホモジナイザーシステムを備える反応器など、及びそれから派生する装置が挙げられ得るが、これらに限定されない。有利には、本明細書に記載の乳化押し出しプロセスは、連続的に操作することができ、これは、所望の粒径分布を有する球状性の高い熱可塑性ポリマー粒子の工業レベル生産のための潜在的にスケール変更可能な方法を提供する。
【0066】
溶融乳化が行われる温度は、熱可塑性ポリマーの融点又は軟化温度以上であり、その中で使用される任意の成分の分解温度以下である。例えば、溶融乳化は、熱可塑性ポリマーの融点又は軟化温度よりも約1℃~約50℃、又は約1℃~約25℃、又は約5℃~約30℃、又は約20℃~約50℃高い温度で行って溶融乳化を形成し得る。
【0067】
溶融乳化が行われる剪断速度は、ポリマー溶融物を特定のサイズの液化液滴としてキャリア流体中に分散させるのに十分に高くてもよい。当該液滴は、約1000μm以下、又は約1μm~約1000μm、又は約1μm~約50μm、又は約10μm~約100μm、又は約10μm~約250μm、又は約50μm~約500μm、又は約250μm~約750μm、又は約500μm~約1000μmの直径を有することができる。
【0068】
溶融乳化が行われる時間(特に溶融乳化の加熱及び剪断速度操作)は、約10秒から約18時間以上の範囲、例えば、約10秒~約30分、又は約5分~約1時間、又は約15分~約2時間、又は約1時間~約6時間、又は約3時間~約18時間であってもよい。理論に束縛されるものではないが、液滴サイズは定常状態に達し、その時点で加熱と剪断力の更なる変化は停止し得ると考えられる。定常状態に達する時間は、とりわけ、温度、剪断速度、熱可塑性ポリマー、キャリア流体、ナノ粒子、及びこれらの組み合わせに依存し得る。その後、溶融乳化混合物は、剪断を継続して又は継続せずに冷却されてもよい。
【0069】
最初に熱可塑性ポリマー粒子を得るための冷却中、冷却条件は、低速(例えば、溶融乳化を周囲条件下で冷却させる)から高速(例えば、急冷)までの範囲であってよい。例えば、冷却速度は、約10℃/時間~約100℃/秒、更には急冷(例えば、ドライアイス急冷)でのほぼ瞬時まで、例えば約10℃/時間~約60℃/時間、又は約0.5℃/分~約20℃/分、又は約1℃/分~約5℃/分、又は約10℃/分~約60℃/分、又は約0.5℃/秒~約10℃/秒、又は約10℃/秒~約100℃/秒の範囲であり得る。冷却中、剪断力はほとんど又は全く溶融乳化物に適用されないことがある。あるいは、場合によっては、加熱中に適用される剪断速度は冷却中に適用されてもよく、又は更により速い剪断速度が使用されてもよい。
【0070】
冷却が行われた後、得られた冷却混合物は、キャリア流体から熱可塑性ポリマー粒子を単離するための処理を受けることができる。好適な処理としては、限定するものではないが、洗浄、濾過、遠心分離、デカントなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0071】
熱可塑性ポリマー粒子を洗浄するために使用される溶媒は一般に、キャリア流体と少なくとも混和性であり、(b)熱可塑性ポリマーと非反応性(例えば、非膨潤性及び非溶融性)であるべきである。溶媒の選択は、とりわけ、キャリア流体の組成及び熱可塑性ポリマーの組成に依存し得る。好適な溶媒の例としては、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、デカン、ドデカン、トリデカン、及びテトラデカン)、芳香族炭化水素溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、2-メチルナフタレン、及びクレゾール)、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、及びジオキサン)、ケトン溶媒(例えば、アセトン及びメチルエチルケトン)、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びn-プロパノール)、エステル溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、及び酪酸ブチル)、ハロゲン化溶媒(例えば、クロロホルム、ブロモホルム、1,2-ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、及びヘキサフルオロイソプロパノール)、水など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
溶媒で処理されると、熱可塑性ポリマー粒子は、濾過、デカンテーション、遠心分離などによって、キャリア流体及び溶媒から分離され得る。所望であれば、キャリア流体を除去するために複数回の溶媒洗浄を行ってもよい。次いで、残留溶媒は、空気乾燥、熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、又はこれらのハイブリッドなどの適切な方法を用いて熱可塑性ポリマー粒子から除去されてもよい。加熱を行う場合には、好ましくは、熱可塑性ポリマーのガラス転移点より低い温度(例えば、約50℃~約150℃)で行われてもよい。
【0073】
任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子は、精製された熱可塑性ポリマー粒子を製造するために更に処理されてもよい。例えば、熱可塑性ポリマー粒子は、約10μm~約250μm(例えば約10μm~約100μm、又は約50μm~約200μm、又は約150μm~約250μm)の孔径を有する篩を通過させることによって更に分類できる。
【0074】
別の例では、ナノ粒子の少なくとも一部は、適切な化学処理によって熱可塑性ポリマー粒子の表面から除去されてもよい。例えば、シリカナノ粒子は、熱可塑性ポリマー粒子を水性塩基で洗浄することによって少なくとも部分的に除去することができる。
【0075】
上記の開示に従って製造される熱可塑性ポリマー粒子は、熱可塑性ポリマー粒子の総質量に基づいて、約90重量%~約99.5重量%、又は約90重量%~約95重量%、又は約92重量%~約97重量%、又は約95重量%~約99.5重量%の範囲の量で熱可塑性ポリマーを含んでもよい。熱可塑性ポリマー粒子の外表面上に存在する(及び任意選択的に、外表面に少なくとも部分的に埋め込まれた)ナノ粒子は、熱可塑性ポリマー粒子の総質量に基づいて、約10重量%以下、例えば約0.01重量%~約10重量%、又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約3重量%~約7重量%、又は約5重量%~約10重量%で存在してもよい。着色剤又は他の添加剤は、熱可塑性ポリマー粒子の総質量に基づいて、約10重量%以下又は約5重量%以下、例えば、約0.01重量%~約10重量%、又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約3重量%~約7重量%、又は約5重量%~約10重量%で熱可塑性ポリマー粒子内に存在してもよい。
【0076】
ナノ粒子は、熱可塑性ポリマー粒子の外表面上にコーティングとして配置されてもよい。コーティングは、外側表面上に実質的に均一に配置され得る。コーティングに関して、「実質的に均一」という用語は、コーティングによって覆われた表面位置における均一なコーティング厚さを指す。均一であろうと不均一であろうと、コーティングは完全であっても不完全であってもよい。したがって、ナノ粒子は、熱可塑性ポリマー粒子の表面積の少なくとも5%(例えば約5%~約100%、又は約5%~約25%、又は約20%~約50%、又は約40%~約70%、又は約50%~約80%、又は約60%~約90%、又は約70%~約100%)を被覆するコーティングを形成し得る。熱可塑性ポリマー粒子の外表面上のナノ粒子の被覆率は、例えば、SEM顕微鏡写真の画像分析又は別の好適な画像化技術を使用して決定することができる。
【0077】
上記の開示に従って製造された熱可塑性ポリマー粒子は、約0.1μm~約125μm、又は約0.1μm~約5μm、又は約1μm~約10μm、又は約5μm~約30μm、又は約1μm~約25μm、又は約25μm~約75μm、又は約50μm~約85μm、又は約75μm~約125μmのD10を有し得る。約0.5μm~約200μm、又は約0.5μm~約10μm、又は約5μm~約50μm、又は約30μm~約100μm、又は約30μm~約70μm、又は約25μm~約50μm、又は約50μm~約100μm、又は約75μm~約150μm、又は約100μmから約200μmのD50、約3μm~約300μm、又は約3μm~約15μm、又は約10μm~約50μm、又は約25μm~約75μm、又は約70μm~約200μm、又は約60μm~約150μm、又は約150μm~約300μmのD90を有し得、D10<D50<D90である。ポリマー粒子はまた、約0.2~約10、又は約0.2~約0.5、又は約0.4~約0.8、又は約0.5~約1.0、又は約1~約3、又は約2~約5、又は約5~約10の直径スパンを有し得る。
【0078】
熱可塑性ポリマー粒子は、約0.7以上、又は約0.7~約0.95、又は約0.9~約1.0、又は約0.93~約0.99、又は約0.95~約0.99、又は約0.97~約0.99、又は約0.98~1.0の真円度を有し得る。
【0079】
熱可塑性ポリマー粒子は、約20°~約45°、又は約25°~約35°、又は約30°~約40°、又は約35°~約45°の安息角を有し得る。
【0080】
熱可塑性ポリマー粒子は、約1.0~約1.5(又は約1.0~約1.2、又は約1.1~約1.3、又は約1.2~約1.35、又は約1.3~約1.5)のハウスナー比を有し得る。
【0081】
熱可塑性ポリマー粒子は、約0.3g/cm3~約0.8g/cm3、又は約0.3g/cm3~約0.6g/cm3、又は約0.4g/cm3~約0.7g/cm3、又は約0.5g/cm3~約0.6g/cm3、又は約0.5g/cm3~約0.8g/cm3のバルク密度を有し得る。
【0082】
熱可塑性ポリマー粒子は、約0.3g/cm3~約0.8g/cm3、又は約0.3g/cm3~約0.5g/cm3、又は約0.5g/cm3~約0.8g/cm3、又は約0.8g/cm3~約1.2g/cm3、又は約0.3g/cm3~約1.2g/cm3のタップ密度を有し得る。
【0083】
上述のように、溶融乳化によって製造された熱可塑性ポリマー粒子は、無色であってもよく(すなわち、熱可塑性ポリマーの本来の色)であってもその中に存在する着色剤によって定義される色を有することができる。本開示によれば、着色粒子ブレンドは、第1の色を有する第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、第2の色を有する第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子とを組み合わせることによって製造することができる。第1の色及び第2の色は互いに異なり、任意選択的に、第1の色又は第2の色のうちの1つは無色状態を表してもよい(すなわち、熱可塑性ポリマー粒子中の熱可塑性ポリマーの本来の色であってもよい)。第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、一緒に組み合わされると、付加製造によって印刷可能なままであり、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見えてもよい。
【0084】
したがって、本開示は、第1の色を有し、第1の熱可塑性ポリマーを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、を含む着色粒子ブレンドを提供する。着色粒子ブレンドは、付加製造によって印刷可能であり、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える。
【0085】
より具体的には、本開示は、第1の熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第1の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤とを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子であって、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子は第1の色を有する、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、第2の熱可塑性ポリマーと、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第2の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第2の着色剤とを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子であって、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は第1の色とは異なる第2の色を有する(第2の着色剤が存在しない場合、第2の複数の熱可塑性粒子は、その中に熱可塑性ポリマーの色を有し得る)、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子とを含む着色粒子ブレンドを提供する。第2の着色剤は、存在する場合、第1の着色剤とは異なる。着色粒子ブレンドは、付加製造によって印刷可能であり、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える。いくつかの実施形態では、第2の着色剤が存在し、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子とは明確に異なる色を有する。
【0086】
本明細書で使用される場合、「外観が視覚的に均質」という用語は、着色粒子ブレンドが、更に拡大することなくヒトの眼で通常観察した場合に、単一色(例えば、赤色の色調、青色の色調、黄色の色調など)であるように見えることを意味する。すなわち、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、少なくとも肉眼では、個々の色のいずれかに関連する着色粒子ブレンド内に残留ドメインが存在しないように見える程度まで十分にブレンドされる。むしろ、着色粒子ブレンドは、個々の色の実質的に均一な混合と一致する視覚的外観を有する。しかしながら、人間の目による拡大観察及び/又は適切な機器技術を用いた観察は、個々の熱可塑性ポリマー粒子を第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び/又は第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子からそれらの元の色として区別することができる(又は第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が異なるサイズ及び/又は形状を有することを示す)ことが理解されるべきである。したがって、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせることから得られるブレンド色は、着色剤のいずれかの化学反応ではなく、粒子の物理的混合から得られると考えられる。
【0087】
任意選択的に、第2の着色剤は存在しない。第2の着色剤が存在しない場合、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、典型的には白色又は無色である。この場合、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子とブレンドすることによって生成される単一色は、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子の明るくされた色調であってもよい。すなわち、単一の色は、第1の色の明るくされた変異色(色調)であり得る。したがって、例えば、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が赤色である場合、第2の着色剤の非存在下で得られる着色粒子ブレンドは、ピンク色から第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子の色よりも明るい赤色までの色の範囲であり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、第1の着色剤及び第2の着色剤のうちの少なくとも1つは、原色(赤色、青色、又は黄色)である色を熱可塑性ポリマー粒子に伝えてもよい。すなわち、少なくとも第1色は原色であってもよい。原色をブレンドして任意の他の色を生成することができるので、第1の着色剤及び第2の着色剤が原色である場合、得られる粒子混合物は、任意の他の色を呈することができ(任意選択的に、やはり原色である第3の着色剤とブレンドして)、次いで、印刷物の少なくとも一部分内に表現することができる。第3の着色剤は、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子又は第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子のいずれかに存在してもよい。あるいは、第3の着色剤を含有する第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子を、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせてもよい。
【0089】
第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が着色されていない(すなわち、第2の着色剤が存在しない)場合、第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子を使用することもできる。第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、第1の色及び第2の色とは異なる第3の色を有してもよい。第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の内部において第3の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第3の着色剤を含んでもよく、第3の色は第1の色及び第2の色とは異なる。この場合、第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子を組み合わせることによって得られる単一の色は、第1の色の明るくされた変異色ではない。すなわち、第1、第2、及び第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子を組み合わせることから生じる単一の色は、第1及び第3の着色剤から生じ、単一の色の色調は、存在する未着色の熱可塑性ポリマー粒子(第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子)の量によって修正され得る。
【0090】
あるいは、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、原色である第1の着色剤及び第2の着色剤を含み、単色が二次色(すなわち、オレンジ、緑、又は紫)である場合、着色剤を含まない第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子を着色粒子ブレンドに導入して、単色の色調を明るくすることができる。
【0091】
第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子(及び任意選択的に第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子)に含まれる好適な熱可塑性ポリマー粒子は、特に限定されないと考えられる。好適な熱可塑性ポリマーの特定の例は、上に提供されている。好ましくは、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子(及び任意選択的に第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子)は、同じ熱可塑性ポリマーを含有する。すなわち、少なくとも第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーは同じである。
【0092】
良好な粉末流動性能及び印刷適性を促進するために、着色粒子ブレンド内の第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、以下の特性:約10%以下又は約25%以下だけ異なる真円度、約10%以下又は約25%以下だけ異なるハウスナー比、及び約10%以下又は約25%以下だけ異なる安息角のうちの少なくとも1つを有し得る。より具体的な例では、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、以下の特性:約0.9~約1.0の範囲内の真円度、約1.0~約1.5の範囲内のハウスナー比、及び約20°~約45°の範囲内の安息角のうちの少なくとも1つを有し得る。
【0093】
粉末流動性能は、粒度分布によっても影響され得る。したがって、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、約1%~約10%、又は約10%~約25%、又は約25%~約50%、又は約50%~約75%の偏差など、約10%以下、又は約25%以下、又は約50%以下、又は約75%以下だけ異なる平均直径を有し得る。第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子のサイズが著しく異なる場合であっても、それらの粉末流動特性は、安息角及びハウスナー比の値の調整を通じて依然として同様であり得る。安息角及びハウスナー比の値の調整は、溶融乳化プロセス中に(例えば、乳化安定剤としてその中で使用される酸化物ナノ粒子の量を調整することによって)、及び/又はその製造後に流動助剤を熱可塑性ポリマー粒子と乾燥ブレンドすることによって行われてもよい。より具体的な例では、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、約10~μm又は20μm~約120μmの範囲の平均直径、好ましくは約0.2~約10、又は約0.2~約2、又は約0.5~約1.1の範囲の直径スパンを有し得る。他の好適な平均粒径(平均直径)は、熱可塑性ポリマー粒子について上記に提供される。
【0094】
良好な粉末流動性能及び印刷適性を促進する前述の特性のいずれか1つ以上は、互いに組み合わせて存在してもよい。より具体的には、本開示の着色粒子ブレンドは、以下のうちの1つ以上によって特徴付けられ得る:約25%以下の異なる真円度、約25%以下の異なるハウスナー比、約25%以下の異なる安息角、約0.9~約1.0の範囲内の真円度、約1.0~約1.5の範囲内のハウスナー比、約20°~約45°の範囲内の安息角、約10%以下の異なる平均直径、又は約10μm~約120μmの範囲の平均直径及び約0.2~約2の範囲の直径スパン。前述の特性の2つ、3つ、又はそれ以上が、互いに組み合わせて存在してもよい。
【0095】
前述の1つ以上は、熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に位置する複数のナノ粒子を含むことによって実現されてもよい。すなわち、第1の複数のナノ粒子は、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に位置してもよく、第2の複数のナノ粒子は、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に位置してもよい。第1の複数のナノ粒子及び第2の複数のナノ粒子内の好適なナノ粒子としては、上記でより詳細に説明したように、酸化物ナノ粒子、カーボンブラック、ポリマーナノ粒子など、又はこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。第1の複数のナノ粒子及び第2の複数のナノ粒子は、同じであっても異なっていてもよい。同様に、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子上のナノ粒子の量及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子上のナノ粒子の量は、同じであっても異なっていてもよい。好適なナノ粒子は、上述のように、溶融乳化中に熱可塑性ポリマー粒子上に導入されてもよい。
【0096】
第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、所望の単一の(ブレンドされた)色(場合によっては、第1の色の明るくされた色調/変異色であり得る)を生成するために、任意の比率で互いに組み合わされてもよい。非限定的な例では、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子対第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子の質量比は、生成されるブレンド色に応じて、約1:99~約99:1の範囲であってもよい。任意選択的に、第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子を、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて、単色を更に変化させてもよい。
【0097】
本明細書に記載の着色粒子ブレンドは、好ましくは適切な溶融乳化技術によって得られる第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供し、次いで第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて着色粒子ブレンドを得ることによって形成されてもよい。組み合わせは、乾燥ブレンドプロセスによって行うことができる。より具体的には、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせることは、タンブリング、撹拌、エアロゾル化、インペラによる撹拌(例えば、ブレンダー内での)などの1つ以上の機械的ブレンドプロセスを含み得る。
【0098】
上記のように、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、好ましくは乳化安定剤として機能する複数のナノ粒子の存在下で、任意選択的に更に界面活性剤の存在下で、溶融乳化によって得ることができ、それによってナノ粒子を熱可塑性ポリマー粒子の外表面上に導入する。好ましくは、溶融乳化が行われるキャリア流体に第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーを導入する前に、第1の着色剤及び第2の着色剤(存在する場合)をそれぞれ第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーに導入してもよい。いくつかの実施形態において、第1の着色剤及び第2の着色剤(存在する場合)は、各熱可塑性ポリマーのポリマー溶融物を形成し、着色剤を対応するポリマー溶融物に溶融ブレンドすることによって、それぞれ第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーに導入されてもよい。次いで、ポリマー溶融物を固化させ、溶融乳化条件に供することができる。他の実施形態では、熱可塑性ポリマー中の着色剤の濃縮マスターバッチを形成又は供給してもよく、次いでマスターバッチを着色剤を含まない熱可塑性ポリマーと溶融ブレンドしてもよい。得られた着色ポリマー溶融物を固化させた後、着色熱可塑性ポリマーを溶融乳化条件に供することができる。更に他の実施形態では、熱可塑性ポリマー中の着色剤の濃縮マスターバッチを形成又は供給してもよく、次いで、マスターバッチを着色剤を含まない熱可塑性ポリマーと乾燥ブレンドしてもよい。十分にブレンドした後、乾燥ブレンドを溶融乳化条件に直接導入してもよい。更に別の選択肢として、着色剤は、熱可塑性ポリマーと組み合わせて導入されるのではなく、溶融乳化条件に直接導入されてもよい。溶融乳化条件への着色剤の直接導入は、例えば、液体着色剤用のポンプ又は固体着色剤用の粉末供給装置を使用して達成することができる。
【0099】
したがって、本開示の方法は、本明細書に記載の第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び本明細書に記載の第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える(すなわち、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子とは異なる色を有する)着色粒子ブレンドを得るために、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせることとを含み得る。着色粒子ブレンドは、付加製造によって印刷可能であってもよい。
【0100】
本明細書に記載される着色粒子ブレンドは、付加製造プロセス、特に粒子固化を促進するために選択的レーザ焼結を採用するものに利用され得る。本開示の着色粒子ブレンドは、商業的に入手可能なものなどの不規則な形状及び/又は広い粒子分布を有する熱可塑性ポリマー粒子よりも有利な特性を呈し得る。非限定的な例では、本開示の着色粒子ブレンドは、1つ以上の位置に着色を有する印刷物を製造するために、付加製造プロセスにおいて選択的レーザ焼結固化を受け得る。有利なことに、着色粒子ブレンドは、比較的低いレーザ出力で固化を受けることができ、印刷物において低い程度の空隙形成をもたらすことができる。着色は、印刷の完了時に塗布される表面コーティングとして存在するのとは対照的に、印刷物の内部にまで及ぶことがある。
【0101】
本開示の付加製造プロセスは、複数の熱可塑性ポリマー粒子を含む粉末床を形成することであって、粉末床の少なくとも一部が本開示の着色粒子ブレンドを含む、粉末床を形成することと、粉末床中の熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部を加熱して、その固化を促進し、印刷物を形成することであって、印刷物の少なくとも一部が着色粒子ブレンドに関連する着色を示す(すなわち、ブレンド色)、形成することと、を含む。印刷物におけるブレンド色は、特に望ましい例では、外観が実質的に均一であり得る。粉末床内の熱可塑性ポリマー粒子の加熱は、選択的レーザ焼結によって加熱及び固化が行われるように、レーザを使用する印刷システム内で行われてもよい。粉末床は、印刷物を形成する過程で、熱可塑性ポリマー粒子が堆積され、層ごとに固化されて、順次構築されてもよい。したがって、着色粒子ブレンドは、印刷物に着色を導入するために必要とされる位置及び深さで粉末床内に堆積され得る。すなわち、着色粒子ブレンドは、必ずしも粉末床全体にわたって存在する必要はない。
【0102】
付加製造プロセスにおいて使用される場合、着色粒子ブレンドは、印刷システムへの導入前に予め混合されて単一色を形成してもよく、又は着色粒子ブレンドは、単一(ブレンド)色を含有する特定の着色パターンを有する印刷物を形成するために使用される印刷システム内でインラインで形成されてもよい。いずれの場合も、広いパレットのブレンド色を製造することができ、それによって、印刷後の色の導入に関連する在庫管理問題及びプロセスラインの複雑さの両方、及び/又は印刷のために広範囲の色ブレンドを備蓄するときの問題を軽減することができる。
【0103】
本開示の着色粒子ブレンドを使用して印刷され得る物体の例としては、限定するものではないが、容器(例えば、食品、飲料、化粧品、パーソナルケア組成物、医薬品などの用途)、靴底、玩具、家具部品及び家庭用装飾品、プラスチックギア、ねじ、ナット、ボルト、ケーブルタイ、自動車部品、医療関係物品、プロテーゼ、整形外科用インプラント、航空宇宙/航空機関連部品、教育学習を支援する人造物の作製、手術を支援するための3D解剖学的モデル、ロボット、生物医学的装置(装具)、家電、歯科用具、電子機器、スポーツ用品などが挙げられる。本開示の着色粒子ブレンドの他の用途としては、塗料及び粉末コーティング、インクジェット材料、及び電子写真トナーなどの充填剤としての使用が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0104】
本明細書に開示される実施形態は、以下を含む。
【0105】
A.着色粒子ブレンド。着色粒子ブレンドは、第1の色を有し、第1の熱可塑性ポリマーを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、を含み、着色粒子ブレンドが、付加製造によって印刷可能であり、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える。
【0106】
A1.着色粒子ブレンド。着色粒子ブレンドは、第1の熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第1の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤とを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子であって、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が第1の色を有する、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、第2の熱可塑性ポリマーと、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第2の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第2の着色剤とを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子であって、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が第1の色とは異なる第2の色を有する、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、を含み、第2の着色剤が、存在する場合、第1の着色剤とは異なり、着色粒子ブレンドが、付加製造によって印刷可能であり、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色を有する、着色粒子ブレンド。
【0107】
B.着色粒子ブレンドを形成するための方法。本方法は、第1の色を有し、第1の熱可塑性ポリマーを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、それぞれ溶融乳化によって別々に製造され、及び/又は第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、以下の特性:約25%以下の異なる真円度、約25%以下の異なるハウスナー比、約25%以下の異なる安息角、約0.9~約1.0の範囲内の真円度、約1.0~約1.5の範囲内のハウスナー比、約20°~約45°の範囲内の安息角、約10%以下の異なる平均直径、又は約10μm~約120μmの範囲の平均直径及び約0.2~約2の範囲の直径スパンのうちの少なくとも1つを有し、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える着色粒子ブレンドを得ることと、を含む、方法。着色粒子ブレンドは、付加製造によって印刷可能であってもよい。
【0108】
B1.着色粒子ブレンドを形成する方法。方法は、第1の熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第1の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤とを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子であって、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が第1の色を有する、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、第2の熱可塑性ポリマーと、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第2の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第2の着色剤とを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子であって、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が第2の色を有する、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、第2の着色剤が存在する場合、それは第1の着色剤とは異なり、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色を有する着色粒子ブレンドを得ることと、を含む、方法。着色粒子ブレンドは、付加製造によって印刷可能であってもよい。
【0109】
実施形態A、A1、B、及びB1は、以下の要素のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含み得る。
【0110】
要素1:第2の着色剤が存在しない。
【0111】
要素2:第3の色は、第1の色の明るくされた変異色である。
【0112】
要素3:着色粒子ブレンドが、第3の色を有し、第3の熱可塑性ポリマーを含む第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子を更に含み、第3の色は、第1の色及び第2の色とは異なり、単一の色は、第1の色の明るくされた変異色ではない。
【0113】
要素3A:第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の内部において第3の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第3の着色剤を含む。
【0114】
要素3B:着色粒子ブレンドは、第3の熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第3の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第3の着色剤とを含む第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子を含み、第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、第1の色及び第2の色とは異なる第3の色を有し、単一の色は、第1の色の明るくされた変異色ではない。
【0115】
要素4:少なくとも第1の色は原色である。
【0116】
要素5:第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーが、同じである。
【0117】
要素6:着色粒子ブレンドは、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に位置する第1の複数のナノ粒子と、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に位置する第2の複数のナノ粒子とを更に含む。
【0118】
要素6A:第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に位置する第1の複数のナノ粒子を更に含み、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に位置する第2の複数のナノ粒子を更に含む。
【0119】
要素7:複数の第1のナノ粒子及び複数の第2のナノ粒子は、酸化物ナノ粒子、カーボンブラック、ポリマーナノ粒子、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のナノ粒子を含む。
【0120】
要素8:第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、以下の特性:約25%以下だけ異なる真円度、約25%以下だけ異なるハウスナー比、及び約25%以下だけ異なる安息角のうちの少なくとも1つを有する。
【0121】
要素9:第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、以下の特性:約0.9~約1.0の範囲内の真円度、約1.0~約1.5の範囲内のハウスナー比、及び約20°~約45°の範囲内の安息角のうちの少なくとも1つを有する。
【0122】
要素10:第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、約10%以下だけ異なる平均直径を有する。
【0123】
要素10A:第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、約25%以下、又は約50%以下、又は約75%以下だけ異なる平均直径を有する。
【0124】
要素11:第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、μ約10m~約120μmの範囲の平均直径及び約0.2~約2の範囲の直径スパンを有する。
【0125】
要素12:第1の複数の熱可塑性ポリマー対第2の複数の熱可塑性ポリマーの質量比が、約1:99~約99:1の範囲である。
【0126】
要素13:着色マスターバッチ熱可塑性ポリマーを、着色剤を含まないベース熱可塑性ポリマーと組み合わせ、着色マスターバッチ熱可塑性ポリマーと着色剤を含まないベース熱可塑性ポリマーとの溶融ブレンドを行うことによって、第1の着色剤及び第2の着色剤(存在する場合)をそれぞれ第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーに導入する。
【0127】
要素13A:着色マスターバッチ熱可塑性ポリマーを、着色剤を含まないベース熱可塑性ポリマーと組み合わせ、着色マスターバッチ熱可塑性ポリマーと着色剤を含まないベース熱可塑性ポリマーとの溶融ブレンドを行うことによって、第1の着色剤及び第2の着色剤(存在する場合)をそれぞれ第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーに導入する。第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーが溶融乳化によって加工されて、それぞれ第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を生成する。
【0128】
要素14:第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子は、付加製造プロセス中にその場で組み合わされる。
【0129】
A、A1、B、及びB1に適用可能な非限定的な例示的な組み合わせには、1及び2;1及び3/3A/3B;1及び4;1-3/3A/3B;1’、2’、及び4’;1~4;1及び5;1及び6/6A;1、6/6A、及び7;1、及び8、9、10又は10A、及び/又は11;1及び12;3/3A/3B及び4;3/3A/3B及び5;3/3A/3B及び6/6A;3/3A/3B、6/6A、及び7;3/3A/3B、及び8、9、10又は10A、及び/又は11;3/3A/3B及び12;4及び5;4及び6/6A;4、6/6A、及び7;4、及び8、9、10又は10A、及び/又は11;4及び12;5及び6/6A;5、6又は6A、及び7;5、及び8、9、10又は10A、及び/又は11;5及び12;6/6A及び7;6/6A、及び8、9、10又は10A、及び/又は11、及び6/6A及び12が含まれるが、これらに限定されない。1~12のいずれかは、13、13A、又は14と更に組み合わされてもよく、又は前述の組み合わせのいずれかは、13/13A又は14と更に組み合わされてもよい。
【0130】
本開示はまた、以下の非限定的な条項を対象とする。
条項1 着色粒子ブレンドであって、
第1の色を有し、第1の熱可塑性ポリマーを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、
第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と、を含み、
着色粒子ブレンドが、付加製造によって印刷可能であり、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える、着色粒子ブレンド。
条項2:第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の内部において第1の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤を含み、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、任意選択的に、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の内部において第2の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤とは異なる第2の着色剤を含む、条項1に記載の着色粒子ブレンド。
条項3 第2の着色剤が存在しない、条項2に記載の着色粒子ブレンド。
条項4 単一の色が第1の色の明るくされた変異色である、条項3に記載の着色粒子ブレンド。
条項5
第3の色を有し、第3の熱可塑性ポリマーを含む第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子を更に含み、
第3の色は、第1の色及び第2の色とは異なり、単一の色は、第1の色の明るくされた変異色ではない、条項1に記載の着色粒子ブレンド。
条項6:第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、第3の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第3の着色剤を、第3の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の内部に含む、条項5に記載の着色粒子ブレンド。
条項7 少なくとも第1の色が原色である、条項1~6のいずれか1つに記載の着色粒子ブレンド。
条項8 第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーが同じである、条項1~7のいずれか1つに記載の着色粒子ブレンド。
条項9
第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に配置された第1の複数のナノ粒子と、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に配置された第2の複数のナノ粒子と、を更に含む、条項1~8のいずれか1つに記載の着色粒子ブレンド。
条項10 第1の複数のナノ粒子及び第2の複数のナノ粒子が、酸化物ナノ粒子、カーボンブラック、ポリマーナノ粒子、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のナノ粒子を含む、条項9に記載の着色粒子ブレンド。
条項11 第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、以下の特性:
約25%以下だけ異なる真円度、
約25%以下だけ異なるハウスナー比、
約25%以下だけ異なる安息角、のうちの少なくとも1つを有する、条項1~10のいずれか1つに記載の着色粒子ブレンド。
条項11A 第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、以下の特性:
約0.9~約1.0の範囲内の真円度、
約1.0~約1.5の範囲内のハウスナー比、及び
約20°~約45°の範囲内の安息角、のうちの少なくとも1つを有する、条項1~11のいずれか1つに記載の着色粒子ブレンド。
条項12 第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、約10%以下の異なる平均直径を有する、条項1~11又は11Aのいずれか1つに記載の着色粒子ブレンド。
条項13 第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、約10μm~約120μmの範囲の平均直径及び約0.2~約2の範囲の直径スパンを有する、条項1~11、11A又は12のいずれか1つに記載の着色粒子ブレンド。
条項14 第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子対第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子の質量比が、約1:99~約99:1の範囲である、条項1~11、11A、12又は13のいずれか1つに記載の着色粒子ブレンド。
条項15 方法であって、
第1の色を有し、第1の熱可塑性ポリマーを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、
第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、
第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える着色粒子ブレンドを得ることと、を含み、
第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子がそれぞれ、溶融乳化によって別々に生成されている、方法。
条項16A着色粒子ブレンドが、付加製造によって印刷可能である、条項16に記載の方法。
条項16 第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の内部において第1の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤を含み、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、任意選択的に、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の内部において第2の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤とは異なる第2の着色剤を含む、条項15に記載の方法。
条項17:着色マスターバッチ熱可塑性ポリマーを着色剤を含まないベース熱可塑性ポリマーと組み合わせ、着色マスターバッチ熱可塑性ポリマーと着色剤を含まないベース熱可塑性ポリマーとの溶融ブレンドを行うことによって、第1の着色剤及び第2の着色剤(存在する場合)をそれぞれ第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーに導入し、
溶融ブレンドを行った後に、溶融乳化を行う、条項16に記載の方法。
条項18:第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に位置する第1の複数のナノ粒子を更に含み、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子内の熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも一部の外表面上に位置する第2の複数のナノ粒子を更に含む、条項15~17のいずれか1つに記載の方法。
条項19 第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、以下の特性:
約25%以下だけ異なる真円度、
約25%以下だけ異なるハウスナー比、
約25%以下だけ異なる安息角、のうちの少なくとも1つを有する、条項15~18のいずれか1つに記載の着色粒子ブレンド。
条項19A 第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、以下の特性:
約0.9~約1.0の範囲内の真円度、
約1.0~約1.5の範囲内のハウスナー比、及び
約20°~約45°の範囲内の安息角、のうちの少なくとも1つを有する、条項15~19のいずれか1つに記載の着色粒子ブレンド。
条項19B 第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、約10%以下だけ異なる平均直径を有する、条項15~19又は19Aのいずれか1つに記載の方法。
条項19C 第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、約10μm~約120μmの範囲の平均直径及び約0.2~約2の範囲の直径スパンを有する、条項15~19、19A、又は19Bのいずれか1つに記載の方法。
条項20 方法であって、
第1の色を有し、第1の熱可塑性ポリマーを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、
第1の色とは異なる第2の色を有し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、
第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える着色粒子ブレンドを得ることと、を含み、
第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子及び第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子が、以下の特性:
約25%以下だけ異なる真円度、
約25%以下だけ異なるハウスナー比、
約25%以下だけ異なる安息角、
約0.9~約1.0の範囲内の真円度、
約1.0~約1.5の範囲内のハウスナー比、
約20°~約45°の範囲内の安息角、
約10%以下だけ異なる平均直径、又は
約10μm~約120μmの範囲の平均直径及び約0.2~約2の範囲の直径スパン、のうちの少なくとも1つを有している、方法。
条項20A:着色粒子ブレンドが、付加製造によって印刷可能である、条項20に記載の方法。
条項21:方法であって、
第1の熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第1の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第1の着色剤とを含む第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することであって、前記第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子が第1の色を有する、ことと、
第2の熱可塑性ポリマーと、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子の内部で第2の熱可塑性ポリマーとブレンドされた第2の着色剤とを含む第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子であって、前記第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子第2の色を有する、第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子を提供することと、
第2の着色剤が、存在する場合、第1の着色剤とは異なり、
第1の複数の熱可塑性ポリマー粒子を第2の複数の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて、外観が視覚的に均質であり、第1の色及び第2の色とは異なる単一の色として見える着色粒子ブレンドを得ることと、を含む、方法。
条項21A:着色粒子ブレンドが、付加製造によって印刷可能である、条項21に記載の方法。
【0131】
本開示の実施形態のより良好な理解を容易にするために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の実施例を付与する。以下の実施例は、決して、本開示の範囲を制限するか、又は定義するように読解されるべきではない。
【実施例0132】
実施例1:着色剤を含まない熱可塑性ポリウレタン粒子の押出機製造のための例示的な条件。押出機ベースの溶融乳化プロセスを使用して、ELASTOLLAN 1190A10 熱可塑性ポリウレタン(ポリエ-テルポリウレタンエラストマー、BASF)から着色剤を含まない熱可塑性ポリウレタン粒子を製造した。簡単に説明すると、ポリマーペレットを25mm二軸押出機(Werner&Pfleiderer ZSK-25)に導入し、所望の押出機プロセス温度(表1参照)にし、ヒュームドシリカナノ粒子(40nmの平均粒径を有するAEROSIL(登録商標)RX50又は7nmの平均粒径を有するR812S、Evonik)を分散させたポリジメチルシロキサン(PDMS、10,000cSt粘度)の混合物を押出機内の溶融ポリマーに導入した。PDMS混合物は、熱可塑性ポリウレタンと組み合わせられる前に押出機プロセス温度まで予熱された。次いで、得られた溶融乳化ブレンドを押出し、得られた熱可塑性ポリマー粒子を容器に回収し、数時間かけて室温まで冷却した。他の操作パラメータ及び得られた粒径分布も表1に示す。ヘプタンで溶媒洗浄してPDMSを除去した後、粒径を測定した。
【0133】
【表1】
aPDMS及びTPUの合わせた質量に対して測定された値
bTPUに対して測定された値
示されるように、溶融乳化中に使用される加工条件及びシリカナノ粒子の量は、得られた粒径分布に対してある程度の制御をもたらした。
【0134】
実施例2:着色剤を含まない熱可塑性ポリウレタン粒子のバッチ製造のための例示的な条件。500mLのガラス反応器に、320gのポリジメチルシロキサン(PDMS、30,000cSt粘度)を、0.25重量%のヒュームドシリカナノ粒子(40nmの平均粒径を有するAEROSIL(登録商標)RX50)と共に添加した。反応器を、オーバーヘッド撹拌機を用いて200rpmの撹拌速度に設定し、温度を190℃まで上昇させた。200℃まで更に加熱し、この時点で、80gの熱可塑性ポリウレタンペレット(ELASTOLLAN(登録商標)1190A10)を撹拌混合物に添加した。熱可塑性ポリウレタンペレットをPDMS混合物と完全に組み合わせた後、撹拌速度を500rpmまで上昇させ、温度を200℃で60分間維持した。その後、撹拌を中断し、得られたスラリーを室温まで冷却させた。スラリーをヘキサンで4回洗浄し、真空濾過後に熱可塑性ポリウレタン粒子を得た。平均粒径は95.6μm及び直径スパンは0.889であった。
【0135】
実施例3:着色剤を含有する熱可塑性ポリウレタン粒子の押出機製造のための例示的な条件。赤色、緑色又は青色の熱可塑性ポリウレタンマスターバッチを得て、個々のマスターバッチの小部分を、着色剤(ELASTOLLAN 1190A10)を含まない熱可塑性ポリウレタンと2%の希釈比で乾燥ブレンドした。レットダウン比は、ポリマーの総量に対する着色マスターバッチの百分率を指す。次に、得られた着色熱可塑性ポリウレタンをペレット形態で、実施例1で特定した条件からわずかに変更した条件下で押出機に供給した。この場合、押出機バレルを210℃に設定し、スクリュー速度を550RPMに設定した27mm二軸押出機(Leistritz)を使用した。着色熱可塑性ポリウレタンを10kg/時間の速度で押出機に供給し、PDMS(30,000cSt)のみを14.55kg/時間の速度で押出機に供給し、ヒュームドシリカナノ粒子(AEROSIL(登録商標)RX50、シリカナノ粒子と混合したPDMSに対して10重量%)と予め混合したPDMS(30,000cSt)を0.05kg/時間の速度で押出機に供給した。添加速度は、溶融乳化条件下で熱可塑性ポリウレタンに対して0.5重量%のシリカナノ粒子を提供するように調節した。
【0136】
押出機から得られた溶融分散体を金属コンベヤベルト上で冷却して粒子の合体を防止し、次いでベルトの端部でドラム中に収集した。回収したスラリーをヘプタンで4回洗浄し、最初の洗浄は1.6:1のヘプタン対スラリー比を有し、その後の全ての洗浄は1.2:1のヘプタン対スラリー比を有した。各洗浄後に粒子を真空濾過によって溶媒から分離し、次いで最終洗浄後に真空下で50℃で48時間乾燥させた。得られた赤色、緑色、青色の熱可塑性ポリウレタン粒子の平均粒径D50は、それぞれ50.0μm、45.1μm、48.6μmであった。対応する直径スパンは、それぞれ1.110、1.039、及び1.088であった。平均粒径測定値を、Malvern Mastersizer 3000 Aero S粒径分析器を使用して得た。赤色、緑色、及び青色熱可塑性ポリウレタン粒子の対応する比表面積値は、124.0m2/kg、136.3m2/kg、及び127.2m2/kgであった。
【0137】
実施例4:着色粒子ブレンドの調製。着色剤を含まず、49の平均粒径を有する熱可塑性ポリウレタン粒子μを調製し、実施例3で調製した赤色熱可塑性ポリウレタン粒子(平均粒径=50μm)と様々な比率で乾燥ブレンドした。乾燥ブレンドは、赤色熱可塑性ポリウレタン粒子を、着色剤を含まない熱可塑性ポリウレタン粒子と、以下の質量比(各タイプの全熱可塑性ポリマー粒子に対して):1%、5%、10%、25%、50%、及び75%で数分間手動で混合することによって行った。得られた粒子ブレンドは、外観が均質であり、色が淡桃色から淡赤色の範囲であった(様々なブレンド比でのブレンドの外観の写真を示す
図3を参照)。表2は、未着色熱可塑性ポリウレタン粒子、赤色熱可塑性ポリウレタン粒子、及び得られた50%着色粒子ブレンドの比較特性を示す。示されるように、着色粒子ブレンドにおける測定値は、成分熱可塑性ポリウレタン粒子の測定値から本質的に変化しなかった。この場合、等量の未着色熱可塑性ポリウレタン粒子及び赤色熱可塑性ポリウレタン粒子を使用したので、一方のタイプの熱可塑性ポリウレタン粒子に関連する特性が他方のタイプの熱可塑性ポリウレタン粒子に対して重み付けされることはない。安息角測定は、ASTM D6393-14「Standard Test Method for Bulk Solids Characterized by Carr Indices」を使用して、Hosokawa Micron Powder Characteristics Tester PT-Rを使用して実施した。通気バルク密度及びタップバルク密度は、ASTM D6393-14によって決定した。均質な着色外観は、両方のタイプの熱可塑性ポリウレタン粒子に関連する高い真球度(真円度)及び類似の粒径分布に起因する易流動性及び高密度充填能力に起因すると考えられる。
【0138】
【0139】
実施例5.着色粒子ブレンドの印刷。実施例4の50%着色粒子ブレンドを、Snow White SLSプリンターシステム(Sharebot)を使用して30mm×30mmの正方形として印刷した。粉末床温度を135℃に設定し、実際に測定されたチャンバ温度は108℃であった。設定温度に到達した後、1,200秒の安定化期間が、印刷チャンバ全体にわたる温度平衡のために与えられた。レーザは、40%の出力設定及び40,000ポイント/秒の移動速度に設定した。着色粒子ブレンドの良好な色均一性は、印刷物において維持された(
図4)。
【0140】
本明細書に記載の全ての文書は、そのような実施が許可される全ての法域の目的のために、参照により本明細書に組み込まれ、このテキストと矛盾しない範囲で、任意の優先文書及び/又は試験手順を含む。前述の一般的な説明及び具体的な実施形態から明らかなように、本開示の形態が例示及び説明されてきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができる。したがって、本開示がそれによって限定されることは意図されていない。例えば、本明細書に記載の組成物は、本明細書に明示的に列挙又は開示されていない任意の成分、又は組成物を含まなくてもよい。いずれの方法も、本明細書に列挙又は開示されていない任意のステップを欠いていてもよい。同様に、「備える、含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」という用語と同義であると考えられる。方法、組成物、要素、又は要素の群が「備える、含む(comprising)」という移行句に先行されている場合はいつでも、本発明者らが、組成物、要素、又は複数の要素の列挙に先行する「から本質的になる」、「からなる」、「からなる群から選択される」、又は「である」という移行句を伴う同じ組成物又は要素の群も企図すること、及びその逆もまた同様であることが理解される。
【0141】
別途指示のない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分、分子量などの特性、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての事例において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入技法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0142】
下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。とりわけ、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a to b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a-b)」という形態の)値の全ての範囲は、より広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載するものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって明示的かつ明確に定義されない限り、平易な通常の意味を有する。加えて、特許請求の範囲で使用するとき、「a」又は「an」という不定冠詞は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ又は1つ超を意味するように定義される。
【0143】
1つ以上の例示的な実施形態が本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装形態の全ての特徴が本出願に説明又は図示されているわけではない。本開示の物理的な実施形態の開発では、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約によるコンプライアンスなど、実装によって及び随時に変動する開発者の目標を達成するために、数多くの実装固有の決定がなされなければならないことが理解される。開発者の努力に多くの時間が費やされる可能性があるが、それでも、そのような努力は、本開示の利益を有する当業者にとって日常的な仕事であろう。
【0144】
したがって、本開示は、言及された目標及び利点、並びにそれに固有の目標及び利点を達成するように十分に適合されている。上記に開示された特定の実施形態は例示的なものに過ぎず、本明細書に教示の利益を有する当業者にとって明らかである、異なるが同等の方式で本開示が修正及び実施され得る。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細に限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された特定の例示的実施形態を、変更、組み合わせ、又は修正してもよく、全てのそのような変形が、本開示の範囲及び趣旨内で考慮されることは明らかである。好適に本明細書に例示的に開示される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素、及び/又は本明細書に開示される任意の任意選択的な要素の不在下で実施され得る。