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特開2024-96675カルボキシル基を有する有機リン化合物を用いた金属有機構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096675
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】カルボキシル基を有する有機リン化合物を用いた金属有機構造体
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/12 20060101AFI20240709BHJP
   C07F 9/24 20060101ALI20240709BHJP
   C07F 9/572 20060101ALI20240709BHJP
   C07C 63/28 20060101ALI20240709BHJP
   C07C 229/54 20060101ALI20240709BHJP
   B01J 20/22 20060101ALI20240709BHJP
   C07F 3/06 20060101ALN20240709BHJP
   C07F 1/08 20060101ALN20240709BHJP
   C07F 3/02 20060101ALN20240709BHJP
   C07F 15/04 20060101ALN20240709BHJP
   C07F 15/06 20060101ALN20240709BHJP
   C07F 13/00 20060101ALN20240709BHJP
   C07F 15/02 20060101ALN20240709BHJP
   C07F 5/06 20060101ALN20240709BHJP
   C07F 11/00 20060101ALN20240709BHJP
   C07F 7/00 20060101ALN20240709BHJP
   C07F 5/00 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
C07F9/12 CSP
C07F9/24 Z
C07F9/572 A
C07C63/28
C07C229/54
B01J20/22 A
C07F3/06
C07F1/08 B
C07F3/02 Z
C07F15/04
C07F15/06
C07F13/00 A
C07F15/02
C07F5/06 D
C07F11/00 A
C07F7/00 A
C07F5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216762
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2023000228
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】300071579
【氏名又は名称】学校法人立教学院
(71)【出願人】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 真生
(72)【発明者】
【氏名】菅又 功
(72)【発明者】
【氏名】小林 翔
(72)【発明者】
【氏名】白井 昭宏
【テーマコード(参考)】
4G066
4H006
4H048
4H049
4H050
【Fターム(参考)】
4G066AB19B
4G066AD15B
4G066CA21
4G066CA27
4G066CA35
4G066CA38
4G066DA01
4G066FA01
4G066FA21
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB90
4H006BJ50
4H006BS30
4H006BS70
4H006BU46
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB90
4H048VA32
4H048VA56
4H048VA60
4H048VA66
4H048VA70
4H048VA80
4H048VB10
4H049VN06
4H049VP01
4H049VR44
4H049VU25
4H049VW01
4H049VW02
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB90
4H050WB13
4H050WB23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明の課題は、ガス貯蔵機能を有する新規な金属有機構造体並びにそれを用いたガス貯蔵剤及びガス貯蔵方法を提供することにある。
【解決手段】金属有機構造体を構成する有機配位子が、式(1)で表される有機リン化合物である金属有機構造体。

〔式中、Zは、酸素原子などであり、pは0または1の整数であり、Yは、NHで表される基などであり、nは1または2の整数であり、Xは、それぞれ独立にハロゲノ基などであり、mは0~4のいずれかの整数であり、nとmの合計は1~5であり、Rは水酸基、アミノ基、置換/無置換のC1~6アルキル基、置換/無置換のC3~6シクロアルキル基、置換/無置換のフェニル基等である。〕
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価金属イオンと有機配位子から構成される金属有機構造体であって、
前記有機配位子が、式(1)で表される有機リン化合物である金属有機構造体。
【化1】
〔式(1)中、
Zは、酸素原子または硫黄原子である。
pは、0または1の整数である。
Yは、単結合、NHで表される基、NHNHで表される基、NRaで表される基、または酸素原子である。
は、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基である。
Aは、フェニル基、ビフェニル基または9H-カルバゾール-9-イル基である。
nは、1または2の整数である。
Xは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、またはハロゲノ基である。
mは、0~4のいずれかの整数であり、nとmの合計は1~5である。
Xが2以上のとき、各Xは互いに同一でも異なっていてもよい。
Rは、水酸基、アミノ基、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、置換もしくは無置換のC3~6シクロアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、ORで表される基、NHRで表される基、N(Rで表される基、下記の式(2)で表される基、下記の式(3)で表される基または下記の式(4)で表される基である。
【化2】
(式(2)中、Y、X、n、およびmは、上記と同じ意味を示す。*は、リン原子との結合を示す。)
【化3】
(式(3)中、Y、X、n、およびmは、上記と同じ意味を示す。*は、リン原子との結合を示す。)
【化4】
(式(4)中、*は、リン原子との結合を示す。)
は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、置換もしくは無置換のC3~6シクロアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基である。〕
【請求項2】
式(1)で表される有機リン化合物が、式(5)または式(6)で表される有機リン化合物である請求項1に記載の金属有機構造体。
【化5】
(式(5)中、Z、p、Y、X、n、およびmは、式(1)中のそれらと同じ意味を示す。)
【化6】
(式(6)中、Z、p、Rは、式(1)中のそれらと同じ意味を示す。)
【請求項3】
多価金属イオンが、元素の周期表の第2族~第13族の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の多価金属イオンである請求項1又は2に記載の金属有機構造体。
【請求項4】
補助配位子を構成成分として更に含む請求項1又は2に記載の金属有機構造体。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の金属有機構造体を含むガス貯蔵剤。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の金属有機構造体にガスを接触させる工程を含むガスの貯蔵方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機配位子にカルボキシル基を有する有機リン化合物を用いた金属有機構造体、前記金属有機構造体を含むガス貯蔵剤、および前記金属有機構造体にガスを接触させる工程を含むガスの貯蔵方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属有機構造体(以下「MOF」ということがある。)は、金属イオンとそれらを連結する架橋性の有機配位子を組み合わせることで内部に空間(つまり細孔)を持つ高分子構造を有する固体状の物質であり、ガスの貯蔵や分離などの機能をもつ多孔性材料として、この十数年高い興味が持たれてきた。その中には、下記のスキームに示す、トリフェニルホスフィン構造を有する金属有機構造体も知られている(非特許文献1)。文献中では、二酸化炭素の吸脱着能について評価を行っている。
【0003】
【化1】
【0004】
このような開発が行われるなか、金属有機構造体は、用いる金属種、配位子、反応条件により大きく構造が変化することが知られており、ガス貯蔵機能を有する新規な金属有機構造体の開発が更に求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Cryst. Growth Des. 2017, 17, 3257-3266
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ガス貯蔵機能を有する新規な金属有機構造体並びにそれを用いたガス貯蔵剤およびガス貯蔵方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、有機配位子にカルボキシル基を有する有機リン化合物を用いた金属有機構造体を見いだした。また、それらの新規な金属有機構造体には、高い水素貯蔵能力があることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
[1]多価金属イオンと有機配位子から構成される金属有機構造体であって、前記有機配位子が、式(1)で表される有機リン化合物である金属有機構造体。
【0009】
【化2】
【0010】
式(1)中、
Zは、酸素原子または硫黄原子である。
pは、0または1の整数である。
Yは、単結合、NHで表される基、NHNHで表される基、NRaで表される基、または酸素原子である。
は、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基である。
Aは、フェニル基、ビフェニル基または9H-カルバゾール-9-イル基である。
nは、1または2の整数である。
Xは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、またはハロゲノ基である。
mは、0~4のいずれかの整数であり、nとmの合計は1~5である。
Xが2以上のとき、各Xは互いに同一でも異なっていてもよい。
Rは、水酸基、アミノ基、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、置換もしくは無置換のC3~6シクロアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、ORで表される基、NHRで表される基、N(Rで表される基、下記の式(2)で表される基、下記の式(3)で表される基または下記の式(4)で表される基である。Rは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、置換もしくは無置換のC3~6シクロアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基である。
【0011】
【化3】
【0012】
式(2)中、Y、X、n、およびmは、上記と同じ意味を示す。*は、リン原子との結合を示す。
【0013】
【化4】
【0014】
式(3)中、Y、X、n、およびmは、上記と同じ意味を示す。*は、リン原子との結合を示す。
【0015】
【化5】
【0016】
式(4)中、*は、リン原子との結合を示す。
【0017】
[2]式(1)で表される有機リン化合物が、式(5)または式(6)で表される有機リン化合物である上記[1]に記載の金属有機構造体。
【0018】
【化6】
【0019】
式(5)中、Z、p、Y、X、n、およびmは、式(1)中のそれらと同じ意味を示す。
【0020】
【化7】
【0021】
式(6)中、Z、p、Rは、式(1)中のそれらと同じ意味を示す。
【0022】
[3]多価金属イオンが、元素の周期表の第2族~第13族の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンである上記[1]又は[2]に記載の金属有機構造体。
[4]補助配位子を構成成分として更に含む上記[1]又は[2]に記載の金属有機構造体。
[5]上記[1]又は[2]に記載のいずれかの金属有機構造体を含むガス貯蔵剤。
[6]上記[1]又は[2]に記載のいずれかの金属有機構造体にガスを接触させる工程を含むガスの貯蔵方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の金属有機構造体は新規であり、水素、窒素などのガスを貯蔵することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の金属有機構造体は、金属有機構造体を構成する有機配位子が、式(1)で表される有機リン化合物である金属有機構造体である。
【0025】
【化8】
【0026】
式(1)中、Zは、酸素原子または硫黄原子である。pは、0または1の整数である。
【0027】
式(1)中、Yは、単結合、NHで表される基、NHNHで表される基、NRaで表される基、または酸素原子である。
は、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基である。
のC1~6アルキル基としては、直鎖でも、分岐鎖であってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチル-n-ブチル基、i-ヘキシル基などを挙げることができる。
「C1~6アルキル基」における置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基を挙げることができる。
「フェニル基」における置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチル-n-ブチル基、i-ヘキシル基などのC1~6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基;トリフルオロメチル基などのC1~6ハロアルキル基;カルボキシル基;ニトロ基;シアノ基;などを挙げることができる。
Aは、フェニル基、ビフェニル基または9H-カルバゾール-9-イル基である。
【0028】
式(1)中、nは、1または2の整数である。
【0029】
式(1)中、Xは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、またはハロゲノ基である。mは、0~4のいずれかの整数であり、nとmの合計は1~5である。Xが2以上のとき、各Xは互いに同一でも異なっていてもよい。
XのC1~6アルキル基としては、直鎖でも、分岐鎖であってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチル-n-ブチル基、i-ヘキシル基などを挙げることができる。
XのC1~6アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などを挙げることができる。
Xのハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などを挙げることができる。
【0030】
式(1)中、Rは、水酸基、アミノ基、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、置換もしくは無置換のC3~6シクロアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、ORで表される基、NHRで表される基、N(Rで表される基、または下記の式(2)で表される基、下記の式(3)で表される基もしくは下記の式(4)で表される基である。
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】
RのC1~6アルキル基としては、直鎖でも、分岐鎖であってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチル-n-ブチル基、i-ヘキシル基などを挙げることができる。
RのC3~6シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。
「C1~6アルキル基」における置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基を挙げることができる。
「C3~6シクロアルキル基」および「フェニル基」における置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチル-n-ブチル基、i-ヘキシル基などのC1~6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基;トリフルオロメチル基などのC1~6ハロアルキル基;カルボキシル基;ニトロ基;シアノ基;などを挙げることができる。
【0035】
は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、置換もしくは無置換のC3~6シクロアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基である。
のC1~6アルキル基としては、直鎖でも、分岐鎖であってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチル-n-ブチル基、i-ヘキシル基などを挙げることができる。
のC3~6シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。
「C1~6アルキル基」における置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基を挙げることができる。
「C3~6シクロアルキル基」および「フェニル基」における置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチル-n-ブチル基、i-ヘキシル基などのC1~6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基;トリフルオロメチル基などのC1~6ハロアルキル基;カルボキシル基;ニトロ基;シアノ基;などを挙げることができる。
【0036】
式(2)及び式(3)中、Y、X、n、およびmは、上記と同じ意味を示す。式(2)、式(3)及び(4)における*は、リン原子との結合を示す。
【0037】
式(1)で表される有機リン化合物として具体的には、以下の式に表す化合物などを例示することができる。
【0038】
【化12】
【0039】
本発明の金属有機構造体は、式(5)または式(6)で表される有機リン化合物の金属有機構造体であることが好ましい。
【0040】
【化13】
【0041】
式(5)中、Z、p、Y、X、n、およびmは、式(1)中のそれらと同じ意味を示す。
【0042】
【化14】
【0043】
式(6)中、Z、p、Rは、式(1)中のそれらと同じ意味を示す。
【0044】
本発明の金属有機構造体を構成する多価金属イオンとしては、2価以上の金属のイオンであれば、特に制限されないが、元素周期表の第2族~第13族の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属のイオンが好ましく、Zn、Al、Cu、Zr、Ni、Co、Cr、Fe、Sc、Mo、Mn、TiおよびMgから選ばれる少なくとも1種の金属のイオンがより好ましい。本発明の金属有機構造体を構成する多価金属イオンは、1種でもよく2種以上でもよい。
【0045】
これらの多価金属イオンは、種々の金属化合物の形で供給される。金属化合物として具体的には、硝酸亜鉛(Zn(NO・xHO)、硝酸チタン(Ti(NO・xHO)、硝酸コバルト(Co(NO・xHO)、硝酸鉄(III)(Fe(NO・xHO)、硝酸鉄(II)(Fe(NO・xHO)、硝酸ニッケル(II)(Ni(NO・xHO)、硝酸銅(II)(Cu(NO・xHO)、硝酸アルミニウム(III)(Al(NO・xHO)、硝酸マグネシウム(II)(Mg(NO・xHO);塩化亜鉛(ZnCl・xHO)、塩化チタン(TiCl・xHO)、塩化ジルコニウム(ZrCl・xHO)、塩化コバルト(CoCl・xHO)、塩化鉄(III)(FeCl・xHO)、塩化鉄(II)(FeCl・xHO)、塩化クロム(III)(CrCl・xHO)、塩化スカンジウム(III)(ScCl・xHO)、塩化マンガン(II)(MnCl・xHO);酢酸亜鉛(Zn(CHCOO)・xHO)、酢酸チタン(Ti(CHCOO)・xHO)、酢酸ジルコニウム(Zr(CHCOO)・xHO)、酢酸コバルト(Co(CHCOO)・xHO)、酢酸鉄(III)(Fe(CHCOO)・xHO)、酢酸鉄(II)(Fe(CHCOO)・xHO);硫酸亜鉛(ZnSO・xHO)、硫酸チタン(Ti(SO・xHO)、硫酸ジルコニウム(Zr(SO・xHO)、硫酸コバルト(CoSO・xHO)、硫酸鉄(III)(Fe(SO・xHO)、硫酸鉄(II)(FeSO・xHO)、硫酸マグネシウム(II)(MgSO・xHO); 水酸化亜鉛(Zn(OH)・xHO)、水酸化チタン(Ti(OH)・xHO)、水酸化ジルコニウム(Zr(OH)・xHO)、水酸化コバルト(Co(OH)・xHO)、水酸化鉄(III)(Fe(OH)・xHO)、水酸化鉄(II)(Fe(OH)・xHO);臭化亜鉛(ZnBr・xHO)、臭化チタン(TiBr・xHO)、臭化ジルコニウム(ZrBr・xHO)、臭化コバルト(CoBr・xHO)、臭化鉄(III)(FeBr・xHO)、臭化鉄(II)(FeBr・xHO);炭酸亜鉛(ZnCO・xHO)、炭酸コバルト(CoCO・xHO)、炭酸鉄(III)(Fe(CO・xHO);塩化酸化ジルコニウム(ZrOCl・xHO)、酢酸モリブデン(II)二量体((Mo(CHCOO))などが挙げられる。なお、xは、0~12の数である。これらは1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0046】
本発明の金属有機構造体は、式(1)で表わされる有機リン化合物以外の有機配位子を補助配位子として含むことができる。
金属有機構造体に補助配位子を含有させることで、金属有機構造体に高次構造を導入することができる。そのような補助配位子としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、5-シアノイソフタル酸、1,3,5-トリメシン酸、1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン、4,4’-ジカルボキシビフェニル、3,5-ジカルボキシピリジン、2,3-ジカルボキシピラジン、1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン、9,10-アントラセンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、[1,1’:4’,1”]ターフェニル-3,3”,5,5”-テトラカルボン酸、ビフェニル-3,3”,5,5”-テトラカルボン酸、3,3’,5,5’-テトラカルボキシジフェニルメタン、1,3,5-トリス(4’-カルボキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゼン、1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)トリアジン、1,2-ビス(4-カルボキシ-3-ニトロフェニル)エテン、1,2-ビス(4-カルボキシ-3-アミノフェニル)エテン、trans,trans-ムコン酸、フマール酸、ベンゾイミダゾール、イミダゾール、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ピラジン、4,4’-ジピリジル、1,2-ジ(4-ピリジル)エチレン、1,2-ジ(4-ピリジル)エタン、2,7-ジアザピレン、4,4’-アゾビスピリジン、1,5-ナフチリジン、フェナジン、2ビス(3-(4-ピリジル)-2,4-ペンタンジオナト)銅などが挙げられる。
式(1)で表される有機リン化合物と補助配位子を用いる場合の混合モル比は特に制限されない。
【0047】
本発明の金属有機構造体の製造方法として、特に制限されず、溶媒拡散法、溶媒撹拌法、水熱法などの溶液法;反応溶液にマイクロ波を照射して系全体を短時間に均一に加熱するマイクロ波法、反応容器に超音波を照射することにより、反応容器中で圧力の変化が繰り返し起こり、この圧力の変化により、溶媒が気泡を形成し崩壊するキャビテーションと呼ばれる現象がおき、その際に約5000K、10000barもの高エネルギー場が局所的に形成される結晶の各生成の反応場となる超音波法;溶媒を用いずに、金属化合物と有機配位子を混合する固相合成法; 結晶水程度の水を添加して金属化合物と有機配位子を混合するLAG(liquid assisted grinding)法などのいずれの方法も用いることができる。
【0048】
本発明の金属有機構造体の製造方法としては、例えば、金属化合物と溶媒とを含有する第一溶液、式(1)で表される有機リン化合物と溶媒とを含有する第二溶液、および、必要に応じて、補助配位子と溶媒とを含有する第三溶液をそれぞれ調製する工程と、第一溶液と第二溶液および必要に応じて第三溶液を混合して反応液を調製し、この反応液を加熱することで、金属有機構造体を得る工程と、を備える。第一~第三溶液は別々に調製する必要はなく、例えば、上記金属化合物、式(1)で表される有機リン化合物、必要に応じて補助配位子、および溶媒を1度に混合して1つの溶液を調製してもよい。
【0049】
上記金属化合物と式(1)で表される有機リン化合物との混合モル比は、得られてくる金属有機構造体の細孔サイズ、表面特性に応じて任意に選択することができるが、式(1)で表される有機リン化合物1モルに対して金属化合物を0.3モル以上用いるのが好ましく、さらに0.5モル以上、さらに1モル以上、さらに1.5モル以上、さらに2モル以上、さらに3モル以上、さらに4モル以上用いるのが好ましい。また、10モル以下用いるのが好ましい。本発明の金属有機構造体における有機配位子と多価金属元素とのモル比は、有機配位子1モルに対して多価金属元素1モル以上、さらに1.5モル以上、さらに2モル以上、さらに3モル以上、さらに4モル以上が好ましい。
【0050】
反応液中の金属イオンの濃度は、20~400ミリモル/Lの範囲が好ましい。式(1)で表される有機リン化合物の反応液中の濃度は、3~200ミリモル/Lの範囲が好ましい。補助配位子の反応液中の濃度は、10~400ミリモル/Lであるのが好ましい。
【0051】
用いる溶媒としては、特に限定されないが、N,N-ジメチルホルムアミド(以下「DMF」と記載することがある。)、N,N-ジエチルホルムアミド(以下「DEF」と記載することがある。)、N,N-ジメチルアセトアミド(以下「DMA」と記載することがある。)、N-メチル-2-ピロリドン(以下「NMP」と記載することがある。)、ジメチルスルホキシド(以下「DMSO」と記載することがある。)および水からなる群より選ばれる1種または2種以上を混合して用いることができる。また、これらの溶媒にメチルアルコール、エチルアルコールなどのアルコールを混合して用いてもよい。また、適宜、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、テトラフルオロホウ酸、安息香酸などの有機酸または無機酸、ブチルアミン、トリエチルアミンなどの有機アミンなどを適宜添加することができる。
【0052】
反応液の加熱温度は、特に制限されないが、例えば、室温~200℃の範囲、50~190℃の範囲、80~160℃の範囲、90~130℃の範囲などを挙げることができる。また、本発明の金属有機構造体は、上記金属化合物、式(1)で表される有機リン化合物、必要に応じて補助配位子を溶媒中で混合し、これを冷却して-78℃~室温で静置することにより製造することもできる。各成分の混合方法としては特に制限されず、例えば、金属化合物と溶媒とを含有する第一溶液、式(1)で表される有機リン化合物と溶媒とを含有する第二溶液、および、必要に応じて、補助配位子と溶媒とを含有する第三溶液をそれぞれ調製し、氷冷しながら第一溶液に第二溶液および必要に応じて第三溶液を添加してもよい。
【0053】
本発明のガス貯蔵剤は、本発明の金属有機構造体を含む。本発明のガス貯蔵剤は、本発明の金属有機構造体のみからなっていてもよく、ガス貯蔵剤としての使用に支障をきたさない範囲で他の成分を含んでもよい。本発明のガス貯蔵剤の形状は特に制限されず、例えば、粉状、顆粒状、ペレット状などを挙げることができる。本発明の金属有機構造体は、水素、メタン、アセチレン、二酸化炭素、窒素などのガスを吸着または吸蔵することで、前記ガスを貯蔵することができる。本発明の金属有機構造体を用いたガスの貯蔵方法は、特に制限されないが、本発明の金属有機構造体とガスを接触させる方法が好ましく、接触させる方法は、特に制限されない。例えば、タンク中に、本発明の金属有機構造体を充填してガス貯蔵タンクとし、該タンク内にガスを流入する方法、タンクの内壁を構成する表面に本発明の金属有機構造体を担持させてガス貯蔵タンクとし、該タンク内にガスを流入する方法、タンクを本発明の金属有機構造体を含む材料で成形してガス貯蔵タンクとし、該タンク内にガスを流入する方法などを挙げることができる。
【実施例0054】
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。本発明の金属有機構造体を構成する式(1)で表される有機リン化合物として、以下の表1に示す有機配位子1~17を用いた。
【0055】
【表1】
【0056】
[製造例1]有機配位子1の合成
4-ヒドロキシ安息香酸エチル(31.0mmol)をアセトニトリル(20mL)に溶解させ、トリエチルアミン(31.0mmol)およびオキシ塩化リン(10.0mmol)を室温で加え、終夜で攪拌した。得られた反応溶液に水を加え、懸濁液をろ過する事で淡黄色固体を得た。この淡黄色固体を水、メタノールで洗浄する事で8.44mmolのエチルエステル体を得た。次に得られたエチルエステル体および水酸化カリウム(50.6mmol)に水(20mL)とエタノール(20mL)を加えて終夜で加熱還流した。得られた溶液を減圧留去する事で体積を1/3ほどにし、塩酸を加える事で白色の懸濁液を得た。この懸濁液をろ過し、無色の固体を水およびメタノールで洗浄する事で2.03mmolの有機配位子1を無色固体として得た。
【0057】
[製造例2]有機配位子2の合成
製造例1の4-ヒドロキシ安息香酸エチルの代わりに4-アミノ安息香酸エチルを用いた以外は製造例1と同様の操作で行い、有機配位子2を無色固体として得た。
【0058】
[製造例3]有機配位子3の合成
製造例1の4-ヒドロキシ安息香酸エチルの代わりに3-アミノ安息香酸エチルを用いた以外は製造例1と同様の操作で行い、有機配位子3を無色固体として得た。
【0059】
[製造例4]有機配位子4の合成
製造例1の4-ヒドロキシ安息香酸エチルの代わりに5-アミノイソフタル酸ジメチルを用いた以外は製造例1と同様の操作で行い、有機配位子4を無色固体として得た。
【0060】
[製造例5]有機配位子5合成
有機配位子2(1.00mmol)および炭酸カリウム(3.00mmol)をアセトニトリル(5mL)に懸濁させ、ヨウ化メチル(4.00mmol)を加えて終夜撹拌した。得られた懸濁液をロータリーエバポレーターで減圧留去し、得られた固体を水およびメタノールで洗浄する事で0.954mmolのN-メチル体を無色固体として得た。得られたN-メチル体および水酸化カリウム(5.73mmol)に水(5mL)とエタノール(5mL)を加えて終夜で加熱還流した。得られた溶液を減圧留去する事で体積を1/3ほどにし、塩酸を加える事で白色の懸濁液を得た。この懸濁液をろ過し、無色の固体を水およびメタノールで洗浄する事で0.746mmolの有機配位子5を無色固体として得た。
【0061】
[製造例6]有機配位子6の合成
製造例5の有機配位子2の代わりに有機配位子4を用いた以外は製造例5と同様の操作で行い、有機配位子6を無色固体として得た。
【0062】
[製造例7]有機配位子7の合成
製造例2のオキシ塩化リンの代わりに三塩化リン(10.3mmol(4-アミノ安息香酸エチルは三塩化リンに対して3.2当量))および硫黄(11.3mmol(三塩化リンに対して1.1当量))を用いた以外は製造例2と同様の操作で行い、有機配位子7を無色固体として得た。
【0063】
[製造例8]有機配位子8の合成
製造例4のオキシ塩化リンの代わりに三塩化リン(7.47mmol(5-アミノイソフタル酸ジメチルは三塩化リンに対して3.2当量))および硫黄(8.22mmol(三塩化リンに対して1.1当量))を用いた以外は製造例4と同様の操作で行い、有機配位子8を無色固体として得た。
【0064】
[製造例9]有機配位子9の合成
製造例1の4-ヒドロキシ安息香酸エチルの代わりに4-アミノ-2-ヒドロキシ安息香酸メチルを用いた以外は製造例1と同様の操作で行い、有機配位子9を無色固体として得た。
【0065】
[製造例10]有機配位子10の合成
製造例1のオキシ塩化リンの代わりに二塩化ヘキシルホスホン酸を用いた以外は製造例1と同様の操作で行い、有機配位子10を無色固体として得た。
【0066】
[製造例11]有機配位子11の合成
製造例1のオキシ塩化リンの代わりにジクロロリン酸エチルを用いた以外は製造例1と同様の操作で行い、有機配位子11を無色固体として得た。
【0067】
[製造例12]有機配位子12の合成
製造例1のオキシ塩化リンの代わりに二塩化フェニルホスホン酸を用いた以外は製造例1と同様の操作で行い、有機配位子12を無色固体として得た。
【0068】
[製造例13]有機配位子13の合成
製造例4のオキシ塩化リンの代わりに二塩化ヘキシルホスホン酸を用いた以外は製造例4と同様の操作で行い、有機配位子13を無色固体として得た。
【0069】
[製造例14]有機配位子14の合成
製造例4のオキシ塩化リンの代わりにジクロロリン酸エチルを用いた以外は製造例4と同様の操作で行い、有機配位子14を無色固体として得た。
【0070】
[製造例15]有機配位子15の合成
製造例4のオキシ塩化リンの代わりに二塩化フェニルホスホン酸を用いた以外は製造例4と同様の操作で行い、有機配位子15を無色固体として得た。
【0071】
[製造例16]有機配位子16の合成
製造例1の4-ヒドロキシ安息香酸エチルの代わりに4-ヒドラジン安息香酸エチルを用いた以外は製造例1と同様の操作で行い、有機配位子16を無色固体として得た。
【0072】
[製造例17]有機配位子17の合成
3,6-ジアセチルカルバゾール(3.55mmol)をテトラヒドロフラン100mLに溶解させ、-78℃に冷却した。低温下でノルマルブチルリチウム(3.55mmol,2.66M)を加え、1時間攪拌した。攪拌後、塩化ホスホリル(1.08mmol)を滴下し、低温で1時間攪拌した後に、反応溶液を室温で終夜攪拌した。得られた反応混合物を水でクエンチし、ロータリーエバポレーターで減圧留去し、得られた固体を水およびクロロホルムで洗浄する事で0.459mmolのビス(3,6-ジアセチルカルバゾール)ホスホン酸を得た。得られたホスホン酸を50mLのジオキサンに溶解させ、5Mの水酸化ナトリウム水溶液に臭素(27.6mmol)を加えた溶液に滴下し、終夜で加熱攪拌した。攪拌後、反応溶液に亜硫酸ナトリウムおよび塩酸を加え、無色の懸濁液を得た。懸濁液を濾過および水で洗浄することで、0.395mmolの有機配位子17を無色の固体として得た。
【0073】
[製造例18]有機配位子18の合成
4-ブロモアニリン(29.1mmol)をピリジン20mLに溶解させ、オキシ塩化リン(8.81mmol)を室温で加え、終夜で攪拌した。得られた反応溶液に水を加え、懸濁液をろ過することで淡桃色固体を得た。この淡桃色固体を水、メタノールで洗浄することで6.34mmolのp-ブロモ体を得た。次に得られたp-ブロモ体(2.00mmol)およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.120mmol)、炭酸カリウム(30.0mmol)、(4-(メトキシカルボニル)フェニル)ボロン酸(7.20mmol)にジオキサン(20mL)と水(5mL)を加えて48時間加熱攪拌した。得られた懸濁液を減圧留去し、水およびクロロホルムで洗浄することで1.82mmolのメチルエステル体を得た。得られたメチルエステル体と水酸化カリウム(10.69mmol)に水(20mL)とメタノール(20mL)を加えて終夜で加熱還流した。得られた溶液を減圧留去することで体積を1/3ほどにし、塩酸を加えることで白色の懸濁液を得た。この懸濁液をろ過し、無色の固体を水およびメタノールで洗浄する事で1.49mmolの有機配位子18を無色固体として得た。
【0074】
[製造例19]有機配位子19の合成
製造例18と同様の手法で合成したp-ブロモ体(2.00mmol)にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.120mmol)、炭酸カリウム(30.0mmol)、(3、5-ビス(メトキシカルボニル)フェニル)ボロン酸(7.20mmol)にジオキサン(20mL)と水(5mL)を加えて48時間加熱攪拌した。得られた懸濁液を減圧留去し、水を加えてクロロホルムで洗浄した。得られた水層に塩酸を加えることで白色の懸濁液を得た。この懸濁液をろ過し、無色の固体を水およびメタノールで洗浄することで1.41mmolの有機配位子19を得た。
【0075】
得られた有機配位子の1H-NMRデータを以下に示す。
有機配位子1
1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ7.90(d, J = 8.0 Hz, 6H), 7.26(d, J= 8.0 Hz, 6H).
有機配位子2
1H NMR (400 MHz,DMSO-d6): δ12.5(s, 3H), 8.67(d, J = 10.4 Hz,3H), 7.76(d, J = 8.8 Hz, 6H),7.24(d, J = 8.8 Hz, 6H).
有機配位子3
1H NMR (400 MHz,DMSO-d6): δ8.21(d, J = 10.0 Hz, 3H), 7.80(s,3H), 7.40-7.43(m, 6H), 7.28(t, J =8.0 Hz, 3H).
有機配位子4
1H NMR (400 MHz,DMSO-d6): δ8.65(d, J = 9.6 Hz, 3H), 8.01(s,6H), 7.98(s, 3H).
有機配位子5
1H NMR (400 MHz,DMSO-d6): δ7.87(d, J = 8.8 Hz, 6H), 7.43(d,J = 8.8 Hz, 6H),
3.12(d, J = 9.2Hz, 9H).
有機配位子6
1H NMR (400 MHz,DMSO-d6): δ8.14(s, 3H), 8.03(s, 6H), 3.17(d,J = 9.2 Hz, 9H).
有機配位子7
1H NMR (400 MHz,DMSO-d6): δ8.83(d, J = 10.4 Hz, 3H), 7.77(d,J = 8.8 Hz, 6H), 7.29(d, J = 8.8Hz, 6H).
有機配位子8
1H NMR (400 MHz,DMSO-d6): δ8.86(d, J = 9.6 Hz, 3H), 8.06(s,6H), 8.01(s, 3H).
有機配位子9
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ11.4 (s,3H, NH), 8.69 (d, J = 10.0 Hz, 3H), 7.59 (d, J = 8.8 Hz, 3H), 7.59 (m, 6H).
有機配位子10
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ8.20(d, J = 12.0 Hz 2H, NH), 7.73 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 7.17 (d, J = 8.8 Hz, 4H),1.92 (m, 2H), 1.52 (m, 2H), 1.33 (quint, J = 7.2 Hz, 2H), 1.20 (m, 4H), 0.811(t, J = 7.2 Hz, 3H).
有機配位子11
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ8.64(d, J = 9.6 Hz 2H, NH), 7.74 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 7.12 (d, J = 8.8 Hz, 4H),4.08 (quint, J = 7.2 Hz, 2H), 1.26 (t, J = 6.8 Hz, 3H).
有機配位子12
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ8.58(d, J = 12.0 Hz 2H, NH), 7.85 (dd, J = 7.2, 13.6 Hz, 2H), 7.74 (d, J = 8.8 Hz,4H), 7.61 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 7.54 (dt, J = 7.2, 3.2 Hz, 2H).
有機配位子13
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ8.20(d, J = 12.0 Hz 2H, NH), 7.95 (s, 4H), 7.94 (s, 2H), 1.87 (m, 2H), 1.55 (m,2H), 1.33 (m, 2H), 1.19 (m, 4H), 0.800 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
有機配位子14
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ8.63(d, J = 9.2 Hz 2H, NH), 7.96 (s, 2H), 7.90 (d, J = 0.8 Hz, 4H), 4.09 (quint, J= 7.2 Hz, 2H), 1.26 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
有機配位子15
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ8.55(d, J = 12.0 Hz 2H, NH), 8.03 (d, J = 1.6 Hz, 4H), 7.96 (t, J = 1.2 Hz, 2H),7.86 (dd, J = 6.8, 15.2 Hz, 2H), 7.96 (t, J = 1.2 Hz, 2H), 7.86 (dd, J = 6.8,15.2 Hz, 2H), 7.61 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.55 (dt, J = 7.6, 3.2 Hz, 2H).
有機配位子16
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ7.67(d, J = 8.4 Hz 6H), 7.64 (s, 3H, PNHNH), 6.84 (d, J = 9.2 Hz, 6H), 6.63 (d, J =30.0 Hz, 3H).
有機配位子17
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ8.65(s, 4H), 8.38 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 7.88 (dd, J = 8.8, 1.2 Hz, 4H).
有機配位子18
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ8.39(d, J = 10.4 Hz, 6H), 7.95 (d, J = 8.8 Hz, 6H), 7.72 (d, J = 8.4 Hz, 6H), 7.59(d, J = 8.4 Hz, 6H), 7.33 (d, J = 8.8 Hz, 6H).
有機配位子19
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ8.38 (d,J = 10.8 Hz, 3H), 8.37 (s, 3H), 8.30 (s, 6H), 7.60 (d, J = 8.8 Hz, 6H), 7.37(d, J = 8.4 Hz, 6H).
【0076】
補助配位子は、以下の表2に示す化合物を用いた。
【0077】
【表2】
【0078】
以下に金属有機構造体の製造実施例を示す。
[実施例1-1]
密閉できる容器に有機配位子1(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にN、N-ジエチルホルムアミド(DEF)(2mL)、エタノール(4mL)、水(2mL)を加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間48時間)にて加熱した。
室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール(10mL)を用い洗浄後、エタノールを再度加えて終夜浸漬させた。エタノールを除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトン(10mL)を加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、100℃で真空乾燥を6時間行い、ベージュ固体(性状)として金属有機構造体1-1を得た。
【0079】
[実施例1-2]~[実施例1-22]
下記表3に示す金属化合物を用い、表3に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例1-1と同様の操作を行い、金属有機構造体1-2~1-22を得た。その結果を表3に示す。なお、表または文章中、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを、DEFはN,N-ジエチルホルムアミドを、DMAはN,N-ジメチルアセトアミドを表す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
【0080】
【表3】
【0081】
[実施例2-1]
密閉できる容器中に有機配位子2(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDEF2mL、エタノール(4mL)、水(2mL)を加え、密閉してオーブン(反応条件:温度120℃、加熱時間18時間)にて加熱した。
室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール(10mL)を用い洗浄後、エタノールを再度加えて終夜浸漬させた。エタノールを除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトン(10mL)を加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、100℃で真空乾燥を6時間行い、ベージュ固体(性状)として金属有機構造体2-1を得た。
【0082】
[実施例2-2]~[実施例2-68]
下記表4に示す金属化合物および補助配位子を表記の当量で用い、表4に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、金属有機構造体2-2~2-68を得た。その結果を表4に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
金属化合物の当量は有機配位子に対しての当量であり、金属化合物欄の( )内に記載した。未記載の場合は一律2当量である。
実施例2-25~2-27において、補助配位子の当量は、いずれも有機配位子に対して2.6当量である。
実施例2-25~2-27においては、溶媒10mLに対して42%のHBF水溶液を0.1mL添加した。
実施例2-12の金属化合物Aは、ZnTAC24(登録商標)(高砂香料工業社製)である。
実施例2-66~2-68の金属化合物Bは、オルガチックス(登録商標)TC-400(マツモトファインケミカル社製)である。
【0083】
【表4】
【0084】
[実施例3-1]
密閉できる容器中に有機配位子3(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF(2mL)、エタノール(4mL)、水(1mL)を加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間120時間)にて加熱した。
室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール(10mL)を用い洗浄後、エタノールを再度加えて終夜浸漬させた。エタノールを除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトン(10mL)を加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、100℃で真空乾燥を6時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体3-1を得た。
【0085】
[実施例3-2]~[実施例3-15]
下記表5に示す金属化合物および補助配位子を用い、表5に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例3-1と同様の操作を行い、金属有機構造体3-2~3-15を得た。その結果を表5に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。金属化合物は有機配位子に対していずれも2当量加えた。実施例3-7~3-10において、補助配位子を、有機配位子に対していずれも1当量加え、溶媒にHBFを添加しなかった。
実施例3-15の金属化合物Bは、オルガチックス(登録商標)TC-400(マツモトファインケミカル社製)である。
【0086】
【表5】
【0087】
[実施例4-1]
密閉できる容器中に有機配位子4(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF(2mL)、エタノール(4mL)、水(1mL)を加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間120時間)にて加熱した。
室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール(10mL)を用い洗浄後、エタノールを再度加えて終夜浸漬させた。エタノールを除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトン(10mL)を加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、100℃で真空乾燥を6時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体4-1を得た。
【0088】
[実施例4-2]~[実施例4-36]
下記表6に示す金属化合物および補助配位子を表記の当量で用い、表6に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例4-1と同様の操作を行い、金属有機構造体4-2~4-36を得た。その結果を表6に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
金属化合物の当量は有機配位子に対しての当量であり、金属化合物欄の( )内に記載した。未記載の場合は一律2当量である。補助配位子の当量は、有機配位子に対して等量である。
実施例4-20の金属化合物Aは、ZnTAC24(登録商標)(高砂香料工業社製)である。
実施例4-36の金属化合物Bは、オルガチックス(登録商標)TC-400(マツモトファインケミカル社製)である。
【0089】
【表6】
*1 濃度は溶媒中の配位子の割合として算出
【0090】
[実施例5-1]
密閉できる容器中に有機配位子5(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF(2mL)、エタノール(4mL)、水(1mL)を加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間120時間)にて加熱した。
室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール(10mL)を用い洗浄後、エタノールを再度加えて終夜浸漬させた。エタノールを除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトン(10mL)を加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、100℃で真空乾燥を6時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体5-1を得た。
【0091】
[実施例5-2]~[実施例5-11]
下記表7に示す金属化合物を用い、表7に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例5-1と同様の操作を行い、金属有機構造体5-2~5-11を得た。その結果を表7に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
実施例5-11の金属化合物Bは、オルガチックス(登録商標)TC-400(マツモトファインケミカル社製)である。
【0092】
【表7】
【0093】
[実施例6-1]
密閉できる容器中に有機配位子6(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF(2mL)、エタノール(4mL)、水(1mL)を加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間120時間)にて加熱した。
室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール(10mL)を用い洗浄後、エタノールを再度加えて終夜浸漬させた。エタノールを除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトン(10mL)を加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、100℃で真空乾燥を6時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体6-1を得た。
【0094】
[実施例6-2]~[実施例6-11]
下記表8に示す金属化合物を用い、表8に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例6-1と同様の操作を行い、金属有機構造体6-2~6-11を得た。その結果を表8に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
実施例6-11の金属化合物Bは、オルガチックス(登録商標)TC-400(マツモトファインケミカル社製)である。
【0095】
【表8】
【0096】
[実施例7-1]
密閉できる容器中に有機配位子7(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF(2mL)、エタノール(4mL)、水(1mL)を加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間120時間)にて加熱した。
室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール(10mL)を用い洗浄後、エタノールを再度加えて終夜浸漬させた。エタノールを除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトン(10mL)を加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、100℃で真空乾燥を6時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体7-1を得た。
【0097】
[実施例7-2]~[実施例7-11]
下記表9に示す金属化合物を用い、表9に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例7-1と同様の操作を行い、金属有機構造体7-2~7-11を得た。その結果を表9に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
実施例7-11の金属化合物Bは、オルガチックス(登録商標)TC-400(マツモトファインケミカル社製)である。
【0098】
【表9】
【0099】
[実施例8-1]
密閉できる容器中に有機配位子8(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF(2mL)、エタノール(4mL)、水(1mL)を加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間120時間)にて加熱した。
室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール(10mL)を用い洗浄後、エタノールを再度加えて終夜浸漬させた。エタノールを除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトン(10mL)を加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、100℃で真空乾燥を6時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体8-1を得た。
【0100】
[実施例8-2]~[実施例8-23]
下記表10に示す金属化合物を用い、表10に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例8-1と同様の操作を行い、金属有機構造体8-2~8-23を得た。その結果を表10に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
実施例8-23の金属化合物Bは、オルガチックス(登録商標)TC-400(マツモトファインケミカル社製)である。
【0101】
【表10】
*1 濃度は溶媒中の配位子の割合として算出
【0102】
[実施例9-1]
密閉できる容器中に有機配位子9(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF2mL、エタノール(EtOH)4mL、水1mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間72時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、135℃で真空乾燥を5時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体9-1を得た。
【0103】
[実施例9-2]~[実施例9-11]
下記表11に示す金属化合物を用い、表11に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例9-1と同様の操作を行い、金属有機構造体9-2~9-11を得た。その結果を表11に示す。表11及び以降の実施例に関する表中の金属化合物Bは、オルガチックス(登録商標)TC-400(マツモトファインケミカル社製)を表す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
【0104】
【表11】
【0105】
[実施例10-1]
密閉できる容器中に有機配位子10(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF2mL、エタノール(EtOH)4mL、水1mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間72時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、135℃で真空乾燥を5時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体10-1を得た。
【0106】
[実施例10-2]~[実施例10-23]
下記表12に示す金属化合物および補助配位子を表記の当量で用い、表12に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例10-1と同様の操作を行い、金属有機構造体10-2~10-23を得た。その結果を表12に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
金属化合物の当量は有機配位子に対しての当量であり、金属化合物欄の( )内に記載した。未記載の場合は一律2当量である。補助配位子の当量は、有機配位子に対して等量である。
【0107】
【表12】
【0108】
[実施例11-1]
密閉できる容器中に有機配位子11(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF2mL、エタノール(EtOH)4mL、水1mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間72時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、135℃で真空乾燥を5時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体11-1を得た。
【0109】
[実施例11-2]~[実施例11-10]
下記表13に示す金属化合物を用い、表13に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例11-1と同様の操作を行い、金属有機構造体11-2~11-10を得た。その結果を表13に示す。表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
【0110】
【表13】
【0111】
[実施例12-1]
密閉できる容器中に有機配位子12(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF2mL、エタノール(EtOH)4mL、水1mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間72時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、135℃で真空乾燥を5時間行い、ベージュ固体(性状)として金属有機構造体12-1を得た。
【0112】
[実施例12-2]~[実施例12-13]
下記表14に示す金属化合物を表記の当量で用い、表14に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例12-1と同様の操作を行い、金属有機構造体12-2~12-13を得た。その結果を表14に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
金属化合物の当量は有機配位子に対しての当量であり、金属化合物欄の( )内に記載した。未記載の場合は一律2当量である。
【0113】
【表14】
【0114】
[実施例13-1]
密閉できる容器中に有機配位子13(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF2mL、エタノール(EtOH)4mL、HO1mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間72時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、135℃で真空乾燥を5時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体13-1を得た。
【0115】
[実施例13-2]~[実施例13-20]
下記表15に示す金属化合物を表記の当量で用い、表15に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例13-1と同様の操作を行い、金属有機構造体13-2~13-20を得た。その結果を表15に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
金属化合物の当量は有機配位子に対しての当量であり、金属化合物欄の( )内に記載した。未記載の場合は一律2当量である。
【0116】
【表15】
【0117】
[実施例14-1]
密閉できる容器中に有機配位子14(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF2mL、エタノール(EtOH)4mL、HO1mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間72時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、135℃で真空乾燥を5時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体14-1を得た。
【0118】
[実施例14-2]~[実施例14-11]
下記表16に示す金属化合物を用い、表16に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例14-1と同様の操作を行い、金属有機構造体14-2~14-11を得た。その結果を表16に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
【0119】
【表16】
【0120】
[実施例15-1]
密閉できる容器中に有機配位子15(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF2mL、エタノール(EtOH)4mL、HO1mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間72時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、150℃で真空乾燥を5時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体15-1を得た。
【0121】
[実施例15-2]~[実施例15-14]
下記表17に示す金属化合物を表記の当量で用い、表17に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例15-1と同様の操作を行い、金属有機構造体15-2~15-14を得た。その結果を表17に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
金属化合物の当量は有機配位子に対しての当量であり、金属化合物欄の( )内に記載した。未記載の場合は一律2当量である。
【0122】
【表17】
【0123】
[実施例16-1]
密閉できる容器中に有機配位子16(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF2mL、エタノール(EtOH)4mL、水1mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間48時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、135℃で真空乾燥を5時間行い、淡橙色固体(性状)として金属有機構造体16-1を得た。
【0124】
[実施例16-2]~[実施例16-3]
下記表18に示す金属化合物を用い、表18に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例16-1と同様の操作を行い、金属有機構造体16-2~16-3を得た。その結果を表18に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
【0125】
【表18】
【0126】
[実施例17-1]
密閉できる容器中に有機配位子17(0.142mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF2mL、エタノール(EtOH)4mL、水1mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間15時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、135℃で真空乾燥を5時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体17-1を得た。
【0127】
[実施例17-2]~[実施例17-17]
下記表19に示す金属化合物を表記の当量で用い、表19に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例17-1と同様の操作を行い、金属有機構造体17-2~17-17を得た。その結果を表19に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
金属化合物の当量は有機配位子に対しての当量であり、金属化合物欄の( )内に記載した。未記載の場合は一律2当量である。
【0128】
【表19】
【0129】
[実施例18-1]
密閉できる容器中に有機配位子4(0.1mmol)、金属試薬1(硝酸亜鉛六水和物)(0.2mmol)、金属試薬2(硝酸銅三水和物)(0.2mmol)にDMF2mL、エタノール(EtOH)4mL、水1mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間24時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、135℃で真空乾燥を5時間行い、深青色固体(性状)として金属有機構造体18-1を得た。
【0130】
[実施例18-2]~[実施例18-29]
下記表20に示す有機配位子及び金属化合物を組み合わせて表記の当量で用い、表20に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例18-1と同様の操作を行い、金属有機構造体18-2~18-29を得た。その結果を表20に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
金属化合物の当量は有機配位子に対しての当量であり、金属化合物欄の( )内に記載した。未記載の場合は一律2当量である。
【0131】
【表20】
【0132】
[実施例19-1]
密閉できる容器中に有機配位子18(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF2mL、エタノール(EtOH)4mL、水1mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間24時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、135℃で真空乾燥を5時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体19-1を得た。
【0133】
[実施例19-2]~[実施例19-10]
下記表21に示す金属化合物を用い、表21に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例19-1と同様の操作を行い、金属有機構造体19-2~19-10を得た。その結果を表21に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
【0134】
【表21】
【0135】
[実施例20-1]
密閉できる容器中に有機配位子19(0.1mmol)、硝酸亜鉛六水和物(0.2mmol)にDMF7mLを加え、密閉してオーブン(反応条件:温度90℃、加熱時間24時間)にて加熱した。室温に戻し、上澄みを除去した。エタノール(EtOH)10mLを用い洗浄後、溶媒を除去し、アセトンへと溶媒を交換した。アセトンを10mL加え、終夜浸漬させた。アセトンを除去後、135℃で真空乾燥を5時間行い、無色固体(性状)として金属有機構造体20-1を得た。
【0136】
[実施例20-2]~[実施例20-6]
下記表22に示す金属化合物を表記の当量で用い、表22に示す反応条件で反応を行う以外は、実施例20-1と同様の操作を行い、金属有機構造体20-2~20-6を得た。その結果を表22に示す。
表中の濃度(*1)は、溶媒中の配位子の割合として算出した。
金属化合物の当量は有機配位子に対しての当量であり、金属化合物欄の( )内に記載した。未記載の場合は一律2当量である。
【0137】
【表22】
【0138】
[BET比表面積測定及び水素貯蔵量測定]
得られた金属有機構造体の一部について、BET比表面積及び77K-大気圧における水素貯蔵量を測定した。
BET比表面積及び77K-大気圧における水素貯蔵量の測定は、ガス吸着量測定装置Tristar-II(Micromeritics社製)を用いて行った。
BET比表面積は次の方法で算出した。金属有機構造体の50mg程度を、ガラスセルの内部に入れた。ガラスセルの内部は100℃の温度で真空まで減圧し、6時間乾燥させた。ガラスセルをガス吸着量測定装置に装着し、液体窒素入りの恒温槽に浸漬した。ガラスセルに含有される窒素の圧力を徐々に増加させた。ガラスセルの内部に導入された窒素の圧力が1.0×10Paとなるまで測定を行った。
77K常圧での水素貯蔵量は次の方法で算出した。窒素の測定後、水素へとガス種を変更し測定を行った。ガラスセルに含有される水素の圧力を徐々に増加させた。ガラスセルの内部に導入された水素の圧力が1.0×10Paとなるまで測定を行った。
測定したBET比表面積の結果、および測定した77K-大気圧における水素貯蔵量を表23に示した。
【0139】
【表23】
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明の金属有機構造体は、水素などのガスを実用的な水準で貯蔵できる。そのため、燃料電池などの水素を利用したエネルギー分野に好適に使用できる。