(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096680
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ステイコネクテッド環境特性評価システムの配備可能ユニット、配備可能ユニットネット、および配備可能ユニットのネットの動作方法
(51)【国際特許分類】
B64G 4/00 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B64G4/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023222231
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】18/149,937
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511166688
【氏名又は名称】ハミルトン サンドストランド スペース システムズ インターナショナル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100140361
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 幸二
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア トッド
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル フレッチャー
(57)【要約】
【課題】 ステイコネクテッド(STAY-C)環境特性評価システムの配備可能ユニットを提供する。
【解決手段】 本配備可能ユニットは、本体と、テレスコープ式固定スパイクであって、通常は引き込み位置を取り、本体を固定するために、テレスコープ式固定スパイクを地表に挿入可能な引き出し位置を選択的に取る、テレスコープ式固定スパイクと、局所環境状態を特性化するように構成された内部回路と、内部回路に電力を供給するように構成された電源と、本体に支持された第1の作動可能要素及び第2の作動可能要素とを含む。第1の作動可能要素は、テレスコープ式固定スパイクに引き出し位置を取らせるように作動可能である。第2の作動可能要素は、内部回路を起動するように作動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステイコネクテッド(STAY-C)環境特性評価システムの配備可能ユニットであって、
本体と、
テレスコープ式固定スパイクであって、通常は引き込み位置を取り、前記本体を固定するために、前記テレスコープ式固定スパイクを地表に挿入可能な引き出し位置を選択的に取る、前記テレスコープ式固定スパイクと、
局所環境状態を特性化するように構成された内部回路と、
前記内部回路に電力を供給するように構成された電源と、
前記本体に支持された第1の作動可能要素及び第2の作動可能要素であって、前記第1の作動可能要素が、前記テレスコープ式固定スパイクに前記引き出し位置を取らせるように作動可能であり、前記第2の作動可能要素が、前記内部回路を起動するように作動可能である、前記第1の作動可能要素及び前記第2の作動可能要素と、
を備える、配備可能ユニット。
【請求項2】
前記配備可能ユニットの動作モード及び前記局所環境状態の詳細を伝えるために、前記内部回路によってユーザインターフェース(UI)を表示可能な画面をさらに備える、請求項1に記載の配備可能ユニット。
【請求項3】
前記電源はバッテリを備え、前記配備可能ユニットは、前記バッテリを充電可能な充電ポートをさらに備える、請求項1に記載の配備可能ユニット。
【請求項4】
前記本体に取り付け可能な、かつ前記電源として動作可能な光起電(PV)パネルをさらに備える、請求項1に記載の配備可能ユニット。
【請求項5】
前記本体を船外活動(EVA)スーツに固定可能な固定要素をさらに備える、請求項1に記載の配備可能ユニット。
【請求項6】
前記内部回路が、天候パターン及び放射線パターンを外挿することによって前記局所環境状態を特性化する、請求項1に記載の配備可能ユニット。
【請求項7】
前記内部回路が、
フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)と、
前記局所環境状態を特性化するためのデータを収集するように構成されたセンサと
を備える、請求項1に記載の配備可能ユニット。
【請求項8】
前記センサが、湿度センサ、温度センサ、線量計、及びシングルイベントアップセット(SEU)モニタを含む、請求項7に記載の配備可能ユニット。
【請求項9】
前記内部回路は、前記FPGAと信号通信するように配置されたマスター/スレーブユニットをさらに備え、
前記マスター/スレーブユニットは、他の配備可能ユニットのマスター/スレーブユニットと通信して、前記配備可能ユニットがハブであるかチェーン接続されているかを判定し、それに応じてデータを受信/送信する、請求項7に記載の配備可能ユニット。
【請求項10】
ステイコネクテッド(STAY-C)環境特性評価システムの配備可能ユニットネットであって、
地表の場所に配備可能であり、それぞれがハブであるか、またはチェーン接続されている、配備可能ユニットであって、
本体と、
テレスコープ式固定スパイクであって、通常は引き込み位置を取り、前記本体を固定するために、前記テレスコープ式固定スパイクを地表に挿入可能な引き出し位置を選択的に取る、前記テレスコープ式固定スパイクと、
局所環境状態を特性化して、マスターまたはスレーブとしてのステータスを自己判定し、それに応じて他の配備可能ユニットの内部回路と通信するように構成された内部回路と、
前記内部回路に電力を供給するように構成された電源と、
前記本体に支持された第1の作動可能要素及び第2の作動可能要素であって、前記第1の作動可能要素が、前記テレスコープ式固定スパイクに前記引き出し位置を取らせるように作動可能であり、前記第2の作動可能要素が、前記内部回路を起動するように作動可能である、前記第1の作動可能要素及び前記第2の作動可能要素と、
を備える、前記配備可能ユニット、
を備える、配備可能ユニットネット。
【請求項11】
各配備可能ユニットが、前記配備可能ユニットの動作モード及び前記局所環境状態の詳細を伝えるために、前記内部回路によってユーザインターフェース(UI)を表示可能な画面をさらに備える、請求項10に記載の配備可能ユニットネット。
【請求項12】
各配備可能ユニットの前記電源がバッテリをさらに備え、前記配備可能ユニットのそれぞれが、前記バッテリを充電可能な充電ポートをさらに備える、請求項10に記載の配備可能ユニットネット。
【請求項13】
各配備可能ユニットが、前記本体に取り付け可能な、かつ前記電源として動作可能な光起電(PV)パネルをさらに備える、請求項10に記載の配備可能ユニットネット。
【請求項14】
各配備可能ユニットが、前記本体を船外活動(EVA)スーツに固定可能な固定要素をさらに備える、請求項10に記載の配備可能ユニットネット。
【請求項15】
各配備可能ユニットの前記内部回路が、天候パターン及び放射線パターンを外挿することによって前記局所環境状態を特性化する、請求項10に記載の配備可能ユニットネット。
【請求項16】
各配備可能ユニットの前記内部回路が、
フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)と、
前記局所環境状態を特性化するためのデータを収集するように構成されたセンサと
を備える、請求項10に記載の配備可能ユニットネット。
【請求項17】
前記センサが、湿度センサ、温度センサ、線量計、及びシングルイベントアップセット(SEU)モニタを含む、請求項16に記載の配備可能ユニットネット。
【請求項18】
前記内部回路は、前記FPGAと信号通信するように配置されたマスター/スレーブユニットをさらに備え、
前記マスター/スレーブユニットは、他の配備可能ユニットのマスター/スレーブユニットと通信して、前記配備可能ユニットがハブであるかチェーン接続されているかを判定し、それに応じてデータを受信/送信する、請求項16に記載の配備可能ユニットネット。
【請求項19】
ステイコネクテッド(STAY-C)環境特性評価システムの配備可能ユニットのネットの動作方法であって、各配備可能ユニットが、局所環境状態を特性化して、マスターまたはスレーブとしてのステータスを自己判定し、それに応じて他の配備可能ユニットの内部回路と通信するように構成された内部回路を備え、前記方法は、
前記配備可能ユニットを地表の場所に配備することであって、各配備可能ユニットが、ハブであるか、またはチェーン接続されている、前記配備することと、
前記配備可能ユニットのそれぞれに対してシステム完全性チェックを実行することと、
前記配備可能ユニットのそれぞれのスリープモードを開始させることと、
前記配備可能ユニットのそれぞれをスリープ解除し、その際に、前記内部回路が、マスターまたはスレーブとしてのステータスを自己判定することと、
各配備可能ユニットの前記内部回路を、前記局所環境状態を特性化することに関与させることと、
前記マスターステータスまたは前記スレーブステータスに従って前記局所環境状態のデータを受信/送信することと、
を含む、動作方法。
【請求項20】
各配備可能ユニットの前記内部回路が、天候パターン及び放射線パターンを外挿することによって前記局所環境状態を特性化する、請求項19に記載の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、環境特性評価システムに関し、特に、接続されたままであるステイコネクテッド(STAY-C)環境特性評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境を特性化することがしばしば必要である。これを行うデバイスは、様々なセンサを含むことができ、耐放射線強化構成要素及び意図的に配備される放射線感受性構成要素を組み込み得る。そのようなデバイスは地球上で一般的に使用されるが、火星の地形などの非地球体に継続的に配備することができるデバイスまたはデバイスのシステムはない。したがって、非地球表面特性評価のための一貫した局所的な環境モニタリングは存在しない。もちろん、船外活動(EVA)スーツとの連動が可能なものも何ひとつとして存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、上記の不利な点が低減されるように、冒頭で述べた種類のシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の態様によれば、ステイコネクテッド(STAY-C)環境特性評価システムの配備可能ユニットが提供される。本配備可能ユニットは、本体と、テレスコープ式固定スパイクであって、通常は引き込み位置を取り、本体を固定するために、テレスコープ式固定スパイクを地表に挿入可能な引き出し位置を選択的に取る、テレスコープ式固定スパイクと、局所環境状態を特性化するように構成された内部回路と、内部回路に電力を供給するように構成された電源と、本体に支持された第1の作動可能要素及び第2の作動可能要素とを含む。第1の作動可能要素は、テレスコープ式固定スパイクに引き出し位置を取らせるように作動可能である。第2の作動可能要素は、内部回路を起動するように作動可能である。
【0005】
追加または代替の実施形態によれば、配備可能ユニットは、配備可能ユニットの動作モード及び局所環境状態の詳細を伝えるために、内部回路によってユーザインターフェース(UI)を表示可能な画面をさらに含む。
【0006】
追加または代替の実施形態によれば、電源はバッテリを含み、配備可能ユニットは、バッテリを充電可能な充電ポートをさらに含む。
【0007】
追加または代替の実施形態によれば、配備可能ユニットは、本体に取り付け可能な、かつ電源として動作可能な光起電(PV)パネルをさらに含む。
【0008】
追加または代替の実施形態によれば、配備可能ユニットは、本体を船外活動(EVA)スーツに固定可能な固定要素をさらに含む。
【0009】
追加または代替の実施形態によれば、内部回路は、天候パターン及び放射線パターンを外挿することによって局所環境状態を特性化する。
【0010】
追加または代替の実施形態によれば、内部回路は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)と、局所環境状態を特性化するためのデータを収集するように構成されたセンサとを含む。
【0011】
追加または代替の実施形態によれば、センサは、湿度センサ、温度センサ、線量計、及びシングルイベントアップセット(SEU)モニタを含む。
【0012】
追加または代替の実施形態によれば、内部回路は、FPGAと信号通信するように配置されたマスター/スレーブユニットをさらに含み、マスター/スレーブユニットは、他の配備可能ユニットのマスター/スレーブユニットと通信して、配備可能ユニットがハブであるかチェーン接続されているかを判定し、それに応じてデータを受信/送信する。
【0013】
本開示の態様によれば、ステイコネクテッド(STAY-C)環境特性評価システムの配備可能ユニットネットが提供される。本配備可能ユニットネットは、配備可能ユニットを含み、これは、地表の場所に配備可能であり、それぞれがハブであるか、またはチェーン接続されている。各配備可能ユニットは、本体と、テレスコープ式固定スパイクであって、通常は引き込み位置を取り、本体を固定するために、テレスコープ式固定スパイクを地表に挿入可能な引き出し位置を選択的に取る、テレスコープ式固定スパイクと、局所環境状態を特性化して、マスターまたはスレーブとしてのステータスを自己判定し、それに応じて他の配備可能ユニットの内部回路と通信するように構成された内部回路と、内部回路に電力を供給するように構成された電源と、本体に支持された第1の作動可能要素及び第2の作動可能要素とを含む。第1の作動可能要素は、テレスコープ式固定スパイクに引き出し位置を取らせるように作動可能である。第2の作動可能要素は、内部回路を起動するように作動可能である。
【0014】
追加または代替の実施形態によれば、各配備可能ユニットは、配備可能ユニットの動作モード及び局所環境状態の詳細を伝えるために、内部回路によってユーザインターフェース(UI)を表示可能な画面をさらに含む。
【0015】
追加または代替の実施形態によれば、各配備可能ユニットの電源はバッテリをさらに含み、配備可能ユニットのそれぞれは、バッテリを充電可能な充電ポートをさらに含む。
【0016】
追加または代替の実施形態によれば、各配備可能ユニットは、本体に取り付け可能な、かつ電源として動作可能な光起電(PV)パネルをさらに含む。
【0017】
追加または代替の実施形態によれば、各配備可能ユニットは、本体を船外活動(EVA)スーツに固定可能な固定要素をさらに含む。
【0018】
追加または代替の実施形態によれば、各配備可能ユニットの内部回路は、天候パターン及び放射線パターンを外挿することによって局所環境状態を特性化する。
【0019】
追加または代替の実施形態によれば、各配備可能ユニットの内部回路は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)と、局所環境状態を特性化するためのデータを収集するように構成されたセンサとを含む。
【0020】
追加または代替の実施形態によれば、センサは、湿度センサ、温度センサ、線量計、及びシングルイベントアップセット(SEU)モニタを含む。
【0021】
追加または代替の実施形態によれば、内部回路は、FPGAと信号通信するように配置されたマスター/スレーブユニットをさらに含み、マスター/スレーブユニットは、他の配備可能ユニットのマスター/スレーブユニットと通信して、配備可能ユニットがハブであるかチェーン接続されているかを判定し、それに応じてデータを受信/送信する。
【0022】
本開示の態様によれば、ステイコネクテッド(STAY-C)環境特性評価システムの配備可能ユニットのネットを動作させる方法が提供される。各配備可能ユニットは、局所環境状態を特性化して、マスターまたはスレーブとしてのステータスを自己判定し、それに応じて他の配備可能ユニットの内部回路と通信するように構成された内部回路を含む。本方法は、配備可能ユニットを地表の場所に配備することであって、各配備可能ユニットが、ハブであるか、またはチェーン接続されている、配備することと、配備可能ユニットのそれぞれに対してシステム完全性チェックを実行することと、配備可能ユニットのそれぞれのスリープモードを開始させることと、配備可能ユニットのそれぞれをスリープ解除し、その際に、内部回路が、マスターまたはスレーブとしてのステータスを自己判定することと、各配備可能ユニットの内部回路を、局所環境状態を特性化することに関与させることと、マスターステータスまたはスレーブステータスに従って局所環境状態のデータを受信/送信することと、を含む。
【0023】
追加または代替の実施形態によれば、各配備可能ユニットの内部回路は、天候パターン及び放射線パターンを外挿することによって局所環境状態を特性化する。
【0024】
さらなる特徴及び利点が本開示の手法を通して実現される。他の実施形態及び本開示の態様は、本明細書において詳細に記載され、請求された技術的概念の一部であると判断される。利点及び特徴を伴う本開示をより良好に理解するために、説明及び図面を参照されたい。
【0025】
本開示をより完全に理解するために、次に、添付図面及び詳細な説明に関連して以下の簡単な説明を参照する。ここでは同様の参照数字は同様の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】A及びBは、実施形態による配備可能ユニットの直交透視図である。
【
図2】実施形態による
図1の配備可能ユニットの内部回路の概略図である。
【
図3】実施形態による宇宙飛行士によって形成される配備可能ユニットのネットのグラフィック図である。
【
図4】実施形態による配備可能ユニットのネットの動作方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ヒューストンと火星の地表でEVAを行う宇宙飛行士との間には、著しい時間遅延が存在する。この遅延は、地球と火星との間の呼び出し及び応答に対して最大40分であり、問題が生じた場合、ともすれば重大な通信を妨げる。具体的には、遅延は、突発的な異常環境状態の監視を欠かす原因になることがあり、それが長時間にわたる地上EVA中の乗務員の死または資産の喪失を引き起こす可能性がある。現時点では、特に火星の地形などの非地球表面を対象にした表面特性評価のための一貫した局所的な環境モニタリングは存在しない。非地球体上に継続的に配備することができ、耐放射線強化構成要素及び意図的に配備される放射線感受性構成要素の両方を組み込むデバイスは疑いなく現存しない。
【0028】
したがって、以下に説明するように、ステイコネクテッド(STAY-C)環境特性評価システムの配備可能可動ユニットが提供され、これはソーラーパネル及び予備バッテリによって電力供給され、温度センサ、圧力センサ、湿度センサ、及び放射線センサの1つ以上を組み込んで、月の地形または火星の地形などの非地球表面を局所的に特性評価することを可能にする。配備可能可動ユニットのそれぞれは、それらが通信チェーン内のどこにあるかを自己識別し、嵐または温度降下/温度スパイクなどの有害かつ危険な環境影響を検出しかつ予測することができる地表マップを、時間をかけて作り上げることができるようになる。人工知能アルゴリズムがまた、総電離放射線及びシングルイベント効果を経時的に特性化して、将来の永久的または半永久的な構造体に情報を与えるデータを、より高い信頼度で提供することになる。
【0029】
図1A及び
図1Bならびに
図2を参照すると、STAY-C環境特性評価システムの配備可能ユニット101が提供されており、これは、本体110と、テレスコープ式固定スパイク120と、内部回路210(
図2参照)と、電源220(
図2参照)と、第1の作動可能要素130と、第2の作動可能要素140とを含む。本体110は、対向する主面111及び112、対向する副上面113及び副下面114、ならびに対向する副側面115及び116を有する容積本体とされ得る。テレスコープ式固定スパイク120は、副下面114で支持され得、通常は引き込み位置を取るが、本体110を固定するために、テレスコープ式固定スパイク120を地表(すなわち、月面または火星面などの非地球表面)に挿入可能な引き出し位置を選択的に取ることができる。内部回路210は、局所環境状態を特性化するように構成されており、これについては以下でより詳細に説明する。電源220は、内部回路210に電力を供給するように構成されており、これについても以下でより詳細に説明する。第1の作動可能要素130は、ボタンとして提供され得、本体110上に支持される。第1の作動可能要素130は、テレスコープ式固定スパイク120に引き出し位置を取らせるように作動可能である。第2の作動可能要素140は、ボタンまたはボタンのセットとして提供され得る。第2の作動可能要素140は、本体110に支持され、内部回路210を起動するように作動可能である。
【0030】
実施形態によれば、本体110は、耐放射線強化材料から形成され得るか、または別様に、放射線から内部回路210を保護するように構成され得る。例示的な場合では、本体110は、鉛または別の適切な材料で裏打ちされ得る。
【0031】
実施形態によれば、配備可能ユニット101は、配備可能ユニット101の動作モード及び局所環境状態の詳細を伝えるために、内部回路によってユーザインターフェース(UI)151を表示可能な画面150をさらに含み得る。また、電源220は、バッテリ221(
図2参照)を含むか、またはバッテリ221として提供され得、これらの場合または他の場合には、配備可能ユニット101は、バッテリ221を充電可能な充電ポート160をさらに含み得る。場合によっては、配備可能ユニット101は、本体110(すなわち、副上面113)に取り付け可能な光起電(PV)パネル230を含むことがあり、これが電源220として動作可能であってもよい。
【0032】
引き続き
図1を参照し、追加で
図3を参照すると、さらに他の実施形態によれば、配備可能ユニット101は、本体110を船外活動(EVA)スーツ301に固定可能な固定要素170を含み得る。固定要素170は、Velcro(商標)171で覆われたブラケットを含むか、またはそのブラケットとして提供され得る。これらの場合または他の場合において、EVAスーツを着用する宇宙飛行士は、EVAの間に各自のスーツに取り付けられる複数の配備可能ユニット101を有し得る。各宇宙飛行士が各場所を歩くときに、彼/彼女は、彼/彼女のEVAスーツ301から配備可能ユニット101を引き離し、第1の作動可能要素130を作動させてテレスコープ式固定スパイク120を地表に突き刺し、その後、第2の作動可能要素140を作動させて内部回路210を起動することによって、所与の場所に配備可能ユニット101を配備し得る。このようにして、宇宙飛行士は、STAY-C環境特性評価システムのネット302を形成することができ、ネット302は、以下に説明するように、互いに相互通信可能な配備可能ユニット101から形成される。
【0033】
再び
図2を参照すると、内部回路210は、天候パターン及び放射線パターンを外挿することによって局所環境状態を特性化するように構成されている。この目標を達成するために、内部回路210は、DC/DCコンバータ212を介して電源220から電力を受け取るフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)211と、局所環境状態を特性化するためのデータを収集するように構成されたセンサ213とを含み得る。センサ213は、配備可能ユニット101の周囲の局所湿度を感知するための湿度センサ2131と、配備可能ユニット101の周囲の局所温度を感知するための温度センサ2132と、配備可能ユニット101の周囲の局所放射線レベルを感知するための線量計2133と、単一の荷電粒子が配備可能ユニット101に衝突して内部回路210に損傷を与える可能性があるときなど、配備可能ユニット101が現在さらされている放射線の量を感知するためのシングルイベントアップセット(SEU)モニタ2134とを含み得る。内部回路210は、FPGA211と信号通信するように配置されたマスター/スレーブユニット214、215をさらに含み得る。マスター/スレーブユニット214、215は、他の配備可能ユニットのマスター/スレーブユニットと通信して、配備可能ユニット101がハブであるかチェーン接続されているかを判定し、それに応じてデータを受信/送信する。
【0034】
上記のように内部回路210を設ければ、
図3に示すように、配備可能ユニット101をネット302の一部として配備することができる。このネット302は、ハブ310として機能する配備可能ユニット101と、チェーン接続された配備可能ユニット320として機能する配備可能ユニット101とを含む。この場合、ネット302内の各配備可能ユニット101は、それ自体のステータスをハブ310として、またはチェーン接続された配備可能ユニット320の1つとして自己判定することができ、配備可能ユニット101が、チェーン接続された配備可能ユニット320からデータを受信するハブ310として機能するとともに、チェーン接続された遠位の配備可能ユニット320からデータを受信するチェーン接続された配備可能ユニット320のそれぞれとして機能し、チェーン接続された内側の配備可能ユニット320またはハブ310にデータを送信することができる。
【0035】
ハブ310がそれ自体のデータを生成し、かつネット302内のチェーン接続された全ての配備可能ユニット320から全データを効率的に受信するので、人間のオペレータは、ハブ310(またはチェーン接続された配備可能ユニット320のいずれか)と、局所的にまたは遠隔でインタラクトして、データを検討することができる。このデータは、各湿度センサ2131の局所湿度データ、各温度センサ2132からの局所温度データ、ならびに各線量計2133及び各SEUモニタ2134からの局所放射線データを含むことがあり、活動拠点をどのように構築するか、EVAをどこでどのように実行するかについての決定及び他の重要な決定を情報に基づいて行うために使用され得る。
【0036】
例示的な場合では、ネット302内のチェーン接続された配備可能ユニット320のうちの1つ以上が、異常に高いレベルで推移する異常に高いレベルの放射線を報告する場合に、人間のオペレータは、それらのチェーン接続された配備可能ユニット320の近くのいかなる場所にも活動拠点を構築しないことを決定してもよい。同様に、ネット302内のチェーン接続された配備可能ユニット320のうちの1つ以上が、異常に高いレベルの放射線を周期的な間隔でのみ報告する場合に、人間のオペレータは、それらのチェーン接続された配備可能ユニット320の近くのいかなる場所にも活動拠点を構築しないことを決定することがあるが、それらのチェーン接続された配備可能ユニット320の近くで低放射線時間の間にEVAをスケジュールに入れる可能性があることを決定してもよい。
【0037】
図4を参照すると、
図3のネット302などの、配備可能ユニットのネットを動作させる方法が提供される。
図4に示すように、この方法は、各配備可能ユニットをハブにして、またはチェーン接続して、配備可能ユニットを地表の場所に配備すること(ブロック401)と、配備可能ユニットのそれぞれを起動すること(ブロック402)とを含む。この方法はまた、配備可能ユニットのそれぞれに対してシステム完全性チェックを実行すること(ブロック403)と、配備可能ユニットのそれぞれのスリープモードを開始させること(ブロック404)と、配備可能ユニットのそれぞれをスリープ解除し(ブロック405)、その際に、内部回路が、マスターもしくはハブとしてのステータス、またはスレーブもしくはチェーン接続された配備可能ユニットとしてのステータスを自己判定する(ブロック406、407)こととを含む。その後、各配備可能ユニットの内部回路を、例えば、天候パターン及び放射線パターンを外挿することによって局所環境状態を特性化することに関与させ(ブロック408、409)、各配備可能ユニットが、マスターステータスまたはスレーブステータスに従って局所環境状態のデータを受信/送信する(ブロック410、411)。
【0038】
本開示の技術的な効果及び利点は、環境状態及び放射線環境を局所的に共同して特性化することが可能になる配備可能可動ユニットを提供することにある。いずれ、このユニットは、NASA及び将来の宇宙計画に、存続期間にわたる消耗及び損傷を最小限に抑えるため戦略的に半永久的または永久的構造体を配置すべき低リスク領域についての情報を与えるようになる。月面及び火星表面上の放射線イベントを特性化するために人工知能アルゴリズムを実装することによって、宇宙飛行士の健康及び電子的機能性の信頼度の両方が改善されまたは保証されるようになる。
【0039】
以下の特許請求の範囲内の全ての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為、及び均等物は、具体的に請求された他の特許請求要素と組み合わせて機能を遂行するための任意の構造、材料、または行為を含むことが意図される。本開示の記載は、例証及び記載の目的のために提示されているが、開示される形態における技術的概念に対して網羅的であるまたは限定されることは意図されない。多くの変更及び変形は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱せずに、当業者対明らかであろう。実施形態の選択及び説明は、本開示の原理及び実際の応用を最良に説明するために、及び他の当業者が、意図した特定の用途に適した種々の変更とともに種々の実施形態に対する本開示を理解できるようにするために行った。
【0040】
本開示に対する好ましい実施形態について説明してきたが、当業者が、現在及び将来の両方において、以下の特許請求の範囲に含まれる種々の改善及び強化を行い得ることを理解されたい。これらの特許請求の範囲は、最初に説明した開示に対する適切な保護を維持するものと解釈すべきである。
【外国語明細書】