▶ 小澤 富士男の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096682
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】気泡緩衝材減容装置
(51)【国際特許分類】
B02C 18/06 20060101AFI20240709BHJP
B02C 18/14 20060101ALI20240709BHJP
B02C 18/18 20060101ALI20240709BHJP
B02C 23/04 20060101ALI20240709BHJP
B26F 1/24 20060101ALI20240709BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20240709BHJP
B26D 7/22 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B02C18/06
B02C18/14
B02C18/18
B02C23/04
B26F1/24
B26D7/18 C
B26D7/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000005
(22)【出願日】2024-01-01
(31)【優先権主張番号】P 2023000322
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023116376
(32)【優先日】2023-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】394001526
【氏名又は名称】小澤 富士男
(72)【発明者】
【氏名】小澤 富士男
【テーマコード(参考)】
3C021
3C060
4D065
4D067
【Fターム(参考)】
3C021FB01
3C021HA02
3C060AA06
3C060AB01
3C060BA06
3C060BC05
3C060BC21
3C060BD03
3C060BE08
3C060BG17
4D065CA12
4D065CC01
4D065DD04
4D065EB14
4D065ED43
4D067EE40
(57)【要約】
【課題】
人体に安全で、気泡緩衝材の腰の強弱やサイズに無関係で、分離詰まりの無い工業用から家庭用迄、幅の広い対象範囲の気泡緩衝材減容装置を得ようとするものである。
【解決手段】
圧縮ギャップ距離を可変とする方法、側面側から減容対象を投入する側面投入ガイドで安全性を高める方法、掻き車と被掻き車で受けローラを回転させる方法、移動する気泡緩衝材との摩擦で自由に回転できる様にした分離車を分離板に組み込んで分離詰まりを無くす方法の内、少なくとも1つの方法を用いる様にした。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由回転する分離車を埋め込んだ分離板を用いた事を特徴とする気泡緩衝材減容装置。
【請求項2】
押しローラに掻き車、受けローラに被掻き車を設けた事を特徴とする気泡緩衝材減容装置。
【請求項3】
仮減容した気泡緩衝材の排出ルートと、本減容した気泡緩衝材の排出ルートを、案内板で選択可能にした事を特徴とする気泡緩衝材減容装置。
【請求項4】
第1の減容部で減容した気泡緩衝材を、第2の減容部の投入ガイドに一旦溜めた後、
第2の減容部でまとめて減容する様にした事を特徴とする気泡緩衝材減容装置。
【請求項5】
受けローラシャフト台に、中心を異にして受けローラを搭載し、
穿孔ローラと受けローラ間の圧縮ギャップ距離を変更可能とした事を特徴とする気泡緩衝材減容装置。
【請求項6】
補助受けローラシャフト台に、中心を異にして補助受けローラを搭載し、
穿孔ローラと補助受けローラ間の圧縮ギャップ距離を変更可能とした事を特徴とする気泡緩衝材減容装置。
【請求項7】
面又はシャフトを用いて、前腕を少なくとも2点で拘束し、
手指や前腕が減容部に届かない構造にした投入ガイドを有する事を特徴とする気泡緩衝材減容装置。
【請求項8】
ローラ対の左右両側に側面ガイド板を設けた事を特徴とする気泡緩衝材減容装置。
【請求項9】
穿孔板に歯車機能を持たせ、これを歯車付きシャフトで駆動する事を特徴とする気泡緩衝材減容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
荷物を運搬する際に梱包資材として気泡緩衝材が使用される。
これは2枚の樹脂シートで空気を閉じ込めた円柱状の空気溜まりを作り、その空気圧で緩衝材の機能を実現するものであり、エアパッキン、エアキャップ、プチプチ等と商標登録された物を含み様々な呼び名がある。
本願発明ではこれを気泡緩衝材と呼び、その空気を閉じ込めた円形の底面を持つ円柱状部分を空気溜まりと呼ぶものとする。
【0002】
気泡緩衝材の構造の詳細や、有用であるが使用後は嵩張る事が欠点であり、その減容化が望まれるという事は特許文献1~特許文献12等で詳細に記述されており、いわば公知の事項なので、本願では詳述しないが、本願発明はその気泡緩衝材の減容装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
本願で減容対象とする気泡緩衝材の形状は角形、丸形、その他種々であり、明確な数値としての基準は無いが、説明を判り易くする為の便宜として、減容対象として減容装置から見た場合の大きさとして以下の様に呼ぶ場合がある。
小さい物は幅、長さ共に数Cmの小形対象物。その内比較的長い物は長尺小形対象物。
縦・横数十Cm以上ある大形対象物。その内比較的長い物は長尺大形対象物。
【0004】
気泡緩衝材には多くの種類があるが具体的な数値例としては、φ10mmの気泡の一般的に流通している気泡緩衝材を典型例とすると、折り畳まず1層のままの状態で3mm程度、重ねて圧力を加えない場合に4枚重ねの厚さで12mm、16枚重ねの厚さで48mm程度である。
但し、気泡緩衝材の気泡の空気は満杯でなく充填は数十%程度なので、柔軟で軟体とも形容すべき態様であり、正確な寸法は規定できず大凡の値である。
又、軽い力で圧縮しても容易に12mmは6mmに、48mmは24mmになるので、大まかな性質として、軽い力で大凡半分の厚さになる、と言える。
【0005】
気泡緩衝材減容装置の幅を小さくする為には、大形対象物を折り畳んだり、ランダムに丸めて気泡緩衝材減容装置に投入する事になるが、その場合は大形対象物の厚みは大きくなるので、気泡緩衝材減容装置にはそれなりの工夫が必要になる。
なお、以降では各図に於いて同一物は、同じ名称と番号を用いるので、一旦説明した事項については、それ以降の文中では説明や番号を繰り返さない場合がある。
【0006】
気泡緩衝材の減容装置に関しては、従来種々の装置が提案されているが、何れも装置が大形で複雑、製作が困難で量産には不向きであり、ましてや家庭用としての小形、安価な製品は現時点では皆無である。
実際に公表されている特許文献1~特許文献12の様な従来の気泡緩衝材減容装置に於いて、どの様な問題があるかは特許文献13で詳述されているのでここでは繰り返さない。
【0007】
特許文献13と特許文献14の方法は極めて実用的なものであり、安価で、工業用としても適用可能で、汎用品として小形化し、家庭でも使用できる気泡緩衝材減容装置の製作方法であるので、本願では特許文献13と特許文献14の方法に準じた
図1の気泡緩衝材減容装置(基本型)を基本とする。
【0008】
なお、「背景技術」と言っても、現時点で市場に出ている気泡緩衝材減容装置は存在しないので、それに対して言及したり改善すべき技術も無い。
従ってここで述べる「背景技術」は技術皆無の状態から全く新規に気泡緩衝材減容装置を開発する過程で判明した改善事項であり、通常の「背景技術」とは趣が異なるものである。
【0009】
図1の気泡緩衝材減容装置(基本型)に於いて投入ガイド1は気泡緩衝材を減容部2にガイドする為の物で、気泡緩衝材の投入作業をし易くする為の物である。
減容部2は穿孔ローラ203、受けローラ204、分離板205を有し、主としてこの3つで気泡緩衝材を穿孔、圧縮、分離、移動を行なう。この動作については特許文献13に詳しく述べられている。
【0010】
駆動部3は穿孔ローラ203等を駆動するモータと、モータを制御する各種スイッチや制御回路でありその回路や、穿孔ローラ203や受けローラ204のシャフトを減容部2に設置する際の軸受けに何を用いるか等の機構については、公知の技術を用いれば様々な実現方法があり、一般に公知の技術で良く、当業者であれば容易に製作できるので詳述は省く。
脚4は前記投入ガイド1、減容部2、駆動部3を一体と成した物を支える事ができれば公知の棒状の物でも、箱状の物でも良く、本願の主題とは無関係なので以降では特に言及はせず、図にも記載しないものとする。
【0011】
特許文献14で、
図2に概要を示した分離板208による
図3の様な穿孔ユニット209が提案されている。
この分離板208は大方の気泡緩衝材に対して上手く機能するが、例えば現時点で市場に流通している気泡緩衝材d35(川上産業株式会社)の様な軟らかい製品の場合、分離板から分離しきれずそのまま2つの分離板間の溝に引っ掛かり、
図3(b)に示す様に穿孔板用の溝に分離詰まりが発生する場合がある。
【0012】
ここで、
図10の正面図に示す様に、穿孔板207は2個の分離板208でサンドイッチ状に挟まれて居り、2個の分離板の穿孔板が入るスペースが溝状の空間になっている事に予め留意されたい。
【0013】
分離詰まりの現象を
図3で説明する。
図3(a)に於いて穿孔板207の外周円207Aと分離板208の分離面208Cとの交点は分離点208Dと呼び、シャフト中心からの距離が等しく、三角形状突起207から気泡緩衝材8が分離する点である。
通常は分離点208Dに於いて、気泡緩衝材8はその進行方向にそのまま進み、シャフト中心からの距離が分離点より大きくなるので問題無く穿孔板207から分離する。
【0014】
実際には減容動作中は分離面208Cと気泡緩衝材の摩擦により気泡緩衝材には移動をさせない方向の力が掛かって居り、分離点208D直前で分離面208Cに沿って移動し難く、軟らかい、いわば腰の弱い気泡緩衝材は三角状突起207Bの移動方向に曲げられ易い為、
図3(b)に示す様に三角状突起から分離せず三角状突起の回転方向にそのまま移動させられて分離詰まりになり易い。
一方、腰が強い気泡緩衝材の場合は三角状突起の移動方向に曲がり難いので分離点に到ってもそのまま分離面に沿って移動し、正常に分離する。
【0015】
穿孔板の回転速度が遅い程前記の分離詰まりの現象は出難くなるが、d35の様に軟らかい物でも分離詰まりが出ない程回転速度を低速に、即ち減容処理能力を落とす事は実用的ではない。
【0016】
図4において、分離点208D部で、穿孔板の中心から三角状突起の先端に向かうFoutで示す方向の力が気泡緩衝材に働けば、両者は容易に分離し、分離詰まりは生じない筈であるが、
図2の分離板では力Foutは生じない。
【0017】
力Foutを生じさせる方法として
図5に示す掻き出しローラ212を設ける方法が考えられる。
これは掻き出し板212Aを設けた掻き出しローラシャフト212Bを回転させ、気泡緩衝材8に対して力Foutを与えて穿孔板207から分離させるものである。
【0018】
なお、掻き出し板212Aは穿孔板8と穿孔板8の間に位置するもので、穿孔板の数+1個が必要である。
掻き出しローラ212を実現するには、駆動装置、多数の部品、スペースが必要であり、コストアップ、装置の大形化につながり良い方法とは言えない。
【0019】
力Foutを生じさせる別の方法として
図6に示す空気を気泡緩衝材に吹き付ける方法が考えられる。
これも有効ではあるが、空気駆動装置、多数の部品、スペースが必要であり、コストアップ、装置の大形化につながり良い方法とは言えない。
本願はその対策を示すものである。
【0020】
本願
図1気泡緩衝材減容装置(基本形)の場合、後出の圧縮ギャップ距離は一定であり、減容対象に応じて変更できず不便であった。
本願ではユーザの要望に応じて圧縮ギャップ距離を変更したり、ユーザが自由に圧縮ギャップ距離を変更できる様にするものである。
【0021】
特許文献14の7頁で、「なお、受けローラ204は自由回転させても、歯車を介して穿孔ローラ203と連動して互いに逆方向に回転させても良い。 後者はコストが掛かるが、減容対象を穿孔ローラ203に巻き込み易くなる利点がある。」とされている。
実際に
図16に於いて、受けローラ204が自由回転のままだと、気泡緩衝材を減容していない状態では受けローラは回転しないので、投入された気泡緩衝材8が受けローラに載ると穿孔ローラ203側に移動せず減容が開始されないので、気泡緩衝材を投入し直す等してその位置を調整する必要がある。
【0022】
もし、
図16の受けローラ204を矢印の方向に回転させていれば、気泡緩衝材は穿孔ローラ側に移動させられ、減容を開始させる事ができる。
その為に
図17に示す様に、穿孔ローラ203に穿孔ローラ歯車203Bを、受けローラ204に受けローラ歯車204Dを設けて、穿孔ローラの回転に伴い、それと逆方向に受けローラを回転させる方法がある。
【0023】
但し、歯車を用いる場合は以下の点で不利である。
(a)標準的な市販の歯車を用いる場合は、モジュールと歯数の関係で歯車のピッチ円の直径が決まるので、
図17に於いて、穿孔ローラ203と受けローラ204のシャフト中心間距離L2と、各歯車の歯数は自由に決定できず、穿孔ローラと受けローラの設計に於ける制約となる。
特に本来は2つの歯車の歯数を等しくすべきであるが、構造上そうできず、やむを得ず2つの歯車の歯数を違える場合がある。
L2や歯数を歯車サイズで拘束されなくするには、歯車203Bと歯車204Dの間に他の歯車を介在させる必要があり、装置が複雑になりコストアップになる。
【0024】
(b)減容動作中は
図18(a)に示す様に、穿孔板207により速度v1で移動する気泡緩衝材8と受け板204Aの間の受け板外周円204Bに働く摩擦で受け板204Aには図の矢印に示す方向に回転させる力が働く。
もし受けローラが歯車で回転させられていなければ穿孔板と同じv1で回転するが、互いに歯数が異なる歯車で回転させられている場合は、その回転比で決まる速度(v2とする)で回転させる力も働く。
【0025】
図18(b)のv1<v2の場合、
図18(c)のv1>v2の場合に応じて摩擦力204Cは太い矢印で示す方向に働く。
これにより受け板外周円204Bではv1とv2の差分のすべりが生じ、モータから見ると無駄な負荷となり、消費電流の増加、回転数の低下を発生させる。
あるいはモータの出力を無駄な負荷分だけ大きくする必要が生ずる場合も有り得る。
【0026】
(c)v1とv2が異なる場合、
図18(b)、(c)で示す様に気泡緩衝材8の穿孔板側と受けローラ側の移動速度が異なるので、減容後はカールが掛かった形状になり、実質体積が増える事になり、減容目的に反する現象となる。
【0027】
以上から、気泡緩衝材を減容中でない場合は受けローラを能動的に回転させ、減容中は受けローラは気泡緩衝材との摩擦で受動的に回転させられる様にするのが望ましい事が判る。
その為には歯車以外にチェーンやベルトを用いたり、ラチェット機構を用いる方法も考えられるが、構造が複雑になり、大形化、コストアップになる。
本願はその対策を示すものである。
【0028】
図1の気泡緩衝材減容装置(基本型)が工業用の大形でない装置の場合は穿孔ローラと受けローラの径、及び安全面を考慮した減容部2の入口の寸法に制約があり、自ずと一度に処理できる気泡緩衝材の量に制約ができる。
また、一度仮減容として減容した気泡緩衝材を複数枚重ねてもその合計厚さは小さいので、そのまま本減容として再度減容する事により、空気を追い出す圧縮とバリ接合がより確実になり、減容効果も大きくなる。
しかし、2度手間になり面倒でもあるので、仮減容と本減容をし易くする事が望ましい。
本願はその方法を示すものである。
【0029】
特許文献14ではその要約書にある様に、小形で安全性が高い気泡緩衝材減容装置を得ようとして、種々の工夫がされている。
それらは概して、減容部入口境界を細長の長方形にして人体が入り難くしようとするものである。
【0030】
しかし、
図27(a)に示す様に、気泡緩衝材を複数回折って平板(平面)状にした場合、投入する気泡緩衝材の厚さが減容部入口境界201やローラ交差部206の間隙の大きさに近い場合は、気泡緩衝材がローラ交差部206に到らず減容が開始されないので、気泡緩衝材の上部を減容部方向に押し込んでローラ交差部206に届く様にする必要がある。
【0031】
その場合
図27(b)に示す様に、軟らかい気泡緩衝材では複数層重ねて平板状にしても腰が弱く、押し込んでも気泡緩衝材の途中が腰折れし、先端位置は動かず、ローラ交差部206に届き難く、手間取る。
【0032】
又、
図28に示す様に、気泡緩衝材の層数が少なく薄い場合でも、腰が弱いと先端の方向制御が難しく、分離板205や受けローラ204に引っ掛かりローラ交差部206に届き難い。
その様な場合は、投入し直して気泡緩衝材先端の向きを何回も調整したり、棒状の物で突く様な作業が必要であり、手間が掛かる。
【0033】
さらに、対象気泡緩衝材の幅が広い仕様の場合は、穿孔ローラと受けローラの幅も大きくする必要があり、所要穿孔板や受け板の数も多くなり、コストアップ、大形化、モータの大出力化が必要になる。
【0034】
なお、特許文献14で詳しく述べられているが、穿孔ローラ203と受けローラ204は強い力で板状物体に多数の穴を開けるものであり、人体にとり極めて危険な物と言える。
従って、気泡緩衝材減容装置の製作に当たっては、安全対策が重要な要素になり、安全対策の一つとして、特許文献14の
図8の様な構造が提案されているが、前側板を可動にし、リミットスイッチと連動させる等、構造的には複雑になる。
【0035】
気泡緩衝材減容装置とは異なるが、家庭用シュレッダ等では実際に子供が指先を巻き込まれる事故が発生し、一時期社会問題にもなり、その後家庭用シュレッダでは対策が義務付けられる様になった。
その際に、参考資料として非特許文献1から転載した
図68の試験指をシュレッダに差し込んでその構造が安全かどうかを検証する方法が用いられている。
これは幼児の手先を想定しているので、安全対策検討の参考とするには適していると言えるものである。
【0036】
家庭用としての気泡緩衝材減容装置は従来市販されていないので、その様な事故は報告されていないが、今後製品化する上では安全対策は必須である。
さらに、気泡緩衝材減容装置は開発途上にあるが故に細かい点で不備もあるので、本願はそれらを含めて種々の課題の対策を示すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特許2826628
【特許文献2】特許4010235
【特許文献3】特許4452852
【特許文献4】特開平11-277297
【特許文献5】特開2001-191329
【特許文献6】特開2001-191416
【特許文献7】特開2003-260709
【特許文献8】特開2004-298845
【特許文献9】特開2006-168030
【特許文献10】特開2010-29964
【特許文献11】特開2013-176928
【特許文献12】特開2001-277241
【特許文献13】特許7023652
【特許文献14】特願2021-153759
【非特許文献】
【0038】
【非特許文献1】技術基準改正(文書細断機:シュレッダー)に関する情報 (財)電気安全環境研究所 https://www.jet.or.jp/common/data/new/20070817b_kaisei.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
解決しようとする課題は、人体に対して安全で、詰まる事無しに、小形から大形、長尺迄の種々のサイズの気泡緩衝材の減容が可能な気泡緩衝材減容装置を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0040】
第1は、分離板に自由回転する分離車を組み込み、腰の弱い気泡緩衝材でも確実に穿孔板から分離できる様にした。
【0041】
第2は、押しローラに掻き車を、受けローラに被掻き車を設け、減容していない状態では掻き車と被掻き車を介して受けローラを回転させ、減容中は掻き車と被掻き車を介さず、受けローラと気泡緩衝材との摩擦で受けローラを回転させる様にした。
【0042】
第3は、仮減容した気泡緩衝材の仮受け箱と、本減容した気泡緩衝材の本受け
箱を設け、それらの何れに減容後の気泡緩衝材を導入するかを、案内板により容易に切り替える様にした。
【0043】
第4は、第1の減容部で仮減容した気泡緩衝材を、第2の減容部の投入ガイドに一旦溜めた後、第2の減容部でまとめて本減容する様にした。
【0044】
第5は、受けローラシャフト台を用い、穿孔ローラと受けローラ間の圧縮ギャップ距離を変更可能とした。
【0045】
第6は、補助受けローラを設け、補助受けローラシャフト台を用い、穿孔ローラと補助受けローラ間の圧縮ギャップ距離を変更可能とした。
【0046】
第7は、投入ガイドの構造を、面又はシャフトを用いて、前腕を少なくとも2点で拘束し、手指や前腕が減容部に届かない様にした。
【0047】
第8は、ローラ対の左右両側に側面ガイド板を設けて気泡緩衝材がローラ対の両側にはみ出さない様にした。
【0048】
第9は、穿孔板に歯車機能を持たせ、これを駆動する歯車を搭載したシャフトを設けてギアの機能を持たせた。
【発明の効果】
【0049】
本願発明によると、人体に対して安全で、種々のサイズの気泡緩衝材を、分離詰まりする事無く、ユーザの減容対象に応じた圧縮ギャップ距離を得られ、確実で手間が少なく減容可能な気泡緩衝材減容装置を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図23】排出ルート選択可能な気泡緩衝材減容装置の説明図である。
【
図24】排出ルート選択可能な気泡緩衝材減容装置の動作説明図である。
【
図25】2段階気泡緩衝材減容装置の説明図である。
【
図26】開閉版付き2段階気泡緩衝材減容装置の説明図である。
【
図28】気泡緩衝材の分離板への引っ掛かり例である。
【
図30】筒形投入ガイド付き気泡緩衝材減容装置の説明図である。
【
図37】投入ローラ付き筒形投入ガイドの一例である。
【
図38】三角形状突起の形状による特長説明図である。
【
図39】投入ガイド所要高さと腕の長さの説明図である。
【
図40】側面投入ガイド付き気泡緩衝材減容装置である。
【
図42】側面投入ガイド(
図41 C-C’断面)の説明図である。
【
図44】肘関節が側面投入ガイド内に入る場合の説明図である。
【
図45】側面投入ガイド(
図41 C-C’断面)背面板の形状例である。
【
図46】側面投入ガイドのシャフト2本の適用例である。
【
図47】側面投入ガイドのシャフト3本の適用例である。
【
図48】側面投入ガイドのローラシャフトの機能説明図である。
【
図49】ローラ対両端の減容不可部の説明図である。
【
図52】ギア兼用穿孔ローラを用いた気泡緩衝材減容装置である。
【
図54】圧縮ギャップと気泡緩衝材層数との関係説明図である。
【
図56】受けローラシャフト台の使用方法説明図(側面図)である。
【
図57】受けローラシャフト台の使用方法説明図(上面図)である。
【
図58】受けローラシャフト台の固定板による固定方法の一例である。
【
図59】円形受けローラシャフト台の固定レバー使用方法の一例である。
【
図60】円形受けローラシャフト台の寸法関係図である。
【
図61】受けローラシャフト台の圧縮ギャップ距離計算用説明図である。
【
図62】長方形の受けローラシャフト台の一例である。
【
図63】長方形の受けローラシャフト台の使用例である。
【
図64】正六角形の受けローラシャフト台の一例である。
【
図65】正六角形の受けローラシャフト台の使用例である。
【
図67】補助受けローラシャフト台の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
穿孔ローラ、受けローラ、投入ガイドに種々の新技術を導入する事により、種々のサイズの気泡緩衝材が詰まる事無く減容可能で、安全性が高い気泡緩衝材減容装置を実現した。
【0052】
本願の気泡緩衝材減容装置は現時点で世の中に無い物であり、用語自体が従来無いものが多いので、技術を説明するには新たに定義すべき用語の説明が必要になる。
従って、最初に本願で使用する用語を定義する。
(a)減容対象
記述が冗長になるのを避ける為に誤解を生じない範囲で、減容対象である気泡緩衝材を「減容対象」と呼ぶ。
(b)ローラ対
本願の気泡緩衝材減容装置では基本的に穿孔ローラと受けローラを対にして構成し、穿孔、圧縮、分離、移動を行なう。
この穿孔ローラと受けローラをまとめて「ローラ対」と呼ぶ。
(c)穿孔板
記述が冗長になるのを避ける為に三角形状突起具備円板を「穿孔板」と呼ぶ。
三角形状突起具備円板は特許文献13で用いられている用語であり、「穿孔板」も機能は同一の物である。
【0053】
(d)分離詰まり
減容対象が穿孔板から分離せず、分離板と分離板間の溝に詰まる事を「分離詰まり」と呼ぶ。
(e)バリ接合
特許文献13による、減容時に断裂突起と断裂口が絡み合う事で空気溜まりの上下のシート同士や、重なった気泡緩衝材同士が接着された状態を示すものであり、本願ではバリにより接合されるという意味で「バリ接合」と呼ぶ。
【0054】
(f)本減容、仮減容
一度減容した気泡緩衝材を複数まとめて再度減容すると、圧縮とバリ接合の効果が大きくなる。
その場合、一つの気泡緩衝材を複数回減容することになるが、最後の減容を本減容、それ以前の減容を仮減容と呼ぶ。
減容を一度しかしない場合はそれが本減容である。
又、受けローラを2個設け、2段階に分けて減容する場合も、1個目の受けローラによる減容を仮減容、2個目の受けローラによる減容を本減容と呼ぶ。
(g)分離板、分離車、掻き車、被掻き車
現状の斯界では一般的な言葉でなく、本願発明に伴い新たに作った部品名称であり、詳細は各実施例で説明している。
【0055】
(h)投入ガイド、側面投入ガイド
何れも減容対象を減容部に導く為の機能を持つ部品で、投入ガイドは入口を上面、側面投入ガイドは入口を側面に設けたものである。
説明上その区別は重要でなく、単にガイド機能を持つ部品を示す場合は「投入ガイド」と呼ぶ場合がある。
【0056】
本願で記述する実施例はあくまでも「例」であり、当業者から見れば同等機能を実現する方法にはそれらから組み合わせの変更や応用、派生、類推される種々のバリエーションが容易に考えられる「当業者が適宜に設定し得る設計事項」であり、発明が示す原理に基づく限りはそれらは全て本願発明の範囲に含まれるものとする。
【0057】
又、設計値等を具体的数値で示す場合には、あくまでも説明を判り易くする為の具体例(実施例)としてのものであり、当業者であれば各目的仕様に応じた別の値での実施も容易であり、それらは全て本願発明の範囲に含まれるものとする。
【0058】
又、気泡緩衝材減容装置に付属する各種扉、蓋、投入ガイド等安全に関わる部位の開閉にはモータを停止する等のインターロック機構を付加するのは常識であり、その実現方法や付加場所も含め当業者が適宜に設定し得る設計事項であるので、本願構成の主旨に関わる部分以外では、必要インターロックは有るべきものとして特に言及しない。
又、人体部位に関する寸法は安全を確保する上で、大人、幼児、個人毎のばら付きを鑑みて、最も安全な数値である事を前提とし、その事をその都度前提条件として説明する事はしない。
【0059】
同様に金属類による穿孔ローラや受けローラの破損防止の為に、金属探知機を設ける等の事も、工業用システムでは常識であり、その方法や、要否は「当業者が適宜に設定し得る設計事項」として特には言及しない。
【0060】
さらに、以下では気泡緩衝材減容装置の対象を気泡緩衝材として記述しているが、それ以外にもクッション封筒、豆腐パック等の各種食品用プラスチック容器、ペットボトル等、あるいはダンボール等の嵩張る紙製品も減容可能であり、本願の発明原理による装置としては、気泡緩衝材減容装置に限定するものでなく、同一原理が適用できる他の品物の減容装置にも及ぶものである。
【0061】
なお、説明の中で「所要の~」と記述する場合があるが、その意味する処は、本願発明によると工業用から家庭用迄広い範囲に渡る気泡緩衝材減容装置を製作する事が可能であり、その要求仕様は、対象とする気泡緩衝材減容装置の処理可能な気泡緩衝材重ね層数やサイズ、処理速度、装置の寸法、重量、耐久性、駆動能力等で大きく異なるので、各場合毎にその仕様を満足する為に必要な要件を「所要の~」として表すものである。
【実施例0062】
図7は本願発明の請求項1による分離車付き分離板を第三角法で示した実施例である。
分離車無しの分離板については先に
図2を用いて説明した様に分離詰まりが生ずるが、本実施例では以下の理由で生じない。
【0063】
図7の分離板208において、ローラシャフト用穴208Aは穿孔ローラ用シャフトを通す穴である。
連結シャフト用穴208Bは複数の分離板を連結して固定する為のシャフトを通す穴であり、他の方法で連結するのであれば、その為の構造とすれば良く、連結シャフト用穴は必須ではない。
【0064】
分離板208Cは分離面であり、穿孔板の三角形状突起に突き刺さった気泡緩衝材が穿孔板の回転でこの面に沿って移動する事により、穿孔板から分離される様にするガイドの機能を果たすものである。
【0065】
分離車用穴208Eは分離車208Fを埋め込む穴であり、その中で分離車208Fは自由回転する様にしたものであり、その外周の接線方向に力を加えれば容易に回転する様になっている。
【0066】
図8の分離車付き分離板の説明図と、
図9の分離車の説明図において、分離車の直径φD1と分離車用穴208Eの直径φD2と、下部の間隙の幅L1、及び分離車用穴部の厚さt2と分離車の厚さt1は以下の関係として、分離車が自由に回転可能で、下部の間隙から抜け落ちず、分離車が両側の穿孔板(図示無し)当たらない様にする。
L1<φD1<φD2
t1≦t2
上記を満足すれば材質は特に拘らないが、潤滑油無しで分離車が自由回転し易くするには、POM等のプラスチックが有力な候補となる。
【0067】
本実施例の場合は分離板と分離車は単体では外れるが、穿孔ローラとして組み立てると、分離車はその両側の穿孔板にサンドイッチ状に挟まれるので、分離車が外れる事はない。
単体でも外れない様にする方法は実施例2に示す。
【0068】
図10で分離車付き分離板の原理を説明する。
同図では分離板208と穿孔板207を組み合わせた穿孔ユニット209として描いたものである。
左側面図において、O1は穿孔ローラシャフト用穴の中心である。
外周円207Aは、中心O1から穿孔板207の三角形状突起の頂点迄の距離を半径とする円である。
P1は分離板208の分離面208Cが分離車用穴208Eと交わる点である。
P2は分離車208Fと外周円207Aとの交点であり、分離点208Dでもある。
P3はO1と、分離車208Fの中心O2とを通る直線と分離車の外周の交点である。
この時、O1、P1、P2、P3の互いの距離は以下の関係となる様にする。
O1~P1間距離 < O1~P2(分離点)間距離 < O1~P3間距離
【0069】
この距離関係がある場合の、気泡緩衝材の分離動作を
図11で説明する。
なお、説明を判り易くする為に、三角形状突起207Bの移動状態を1つのみについて図示する。
図11(a)分離開始前では、気泡緩衝材は分離面に沿って三角形状突起の先端に向かって移動する。
【0070】
図11(b)分離開始では気泡緩衝材が分離点208Dを越えた部分は三角形状突起から完全に分離される事になる。
三角形状突起部に於ける分離車と気泡緩衝材の接触部では、摩擦が分離車を回転させる力になり、気泡緩衝材は停止せず、
図11(c)分離中の様に分離車との相対位置を保ったまま、即ち分離車と滑り無しで密着したまま、共にその回転方向に移動すると同時に、O1~三角形状突起間の距離が増し、三角形状突起から気泡緩衝材を分離させる方向の力Foutが分離車から働いて気泡緩衝材は分離する。
結果的に、この動作により腰の弱い気泡緩衝材でも分離詰まりが発生しない。
【0071】
図7の分離板は下部に分離車を1個設けているが、穿孔ローラを逆回転させる場合の為に、上部にも分離車を追加しても良い。
本実施例によると分離車にシャフトを用いる事無く、簡単な構造の、安価で、減容処理能力を落とさずに、確実に腰の弱い気泡緩衝材でもを穿孔板から分離させる事が可能になる。
【実施例0072】
図12と
図13は本願発明の請求項1による他の実施例であり、分離車208Fと分離板208を第三角法で示したものである。
図12の分離車には分離車の側面周囲に断面がV形の分離車溝208Gを切る。
図13の分離板208の分離車用穴208Eの壁面には分離車溝受け208H、208H1を設けてある。
【0073】
分離車を分離板に押し込んで分離車溝と分離車溝受けを互いに嵌合させられるものとし、且つ分離車は滑らかに自由回転可能としている。
これに因り、分離板が単体の状態でも分離車は分離車用穴内に留まり散逸しないので、取り扱いが容易になる。
分離車溝の断面形状は対応した分離車溝受け溝を設ける事ができればV字型でなく、方形、扇形、楕円の一部等でも良く、形状には特に拘らない。
【0074】
又、分離車が傾いても外れる事がないだけの充分な分離車の厚さがある場合は、分離車溝受けは208H、又は208H1の何れか1つでも良く、他の位置でも構わない。
又、分離車溝受け208Hは嵌合させられるだけの弾性があれば
図14の様に分離車用穴208Eの壁面周囲全面に設けても良い。
【実施例0075】
図15は請求項1の分離板の他の実施例であり、第三角法で示したものである。
左側面図では説明を判り易くする為に穿孔板207と分離車208Fを鎖線で示している。
既出と同じ記号を用いた部分については既に説明済みである。
図15では分離車208Fを上下2箇所に設けているが、下方の1箇所でも良い。
さらに、実施例2の様に分離車溝受けを設け、分離車溝を有する分離車と組み合わせる様にしても良い。
又、穿孔ローラのシャフト迄幅を広げ、このシャフトを通す穴を明けても良い。
【0076】
本実施例の分離板は、穿孔板の受けローラ側に近い一部を覆うものであり、
図7の分離板の様に穿孔板の殆どを覆うのとは異なる。
工業用気泡緩衝材減容装置の様に、高い処理能力が必要な場合は、穿孔板の直径を大きくする必要がある。
この時、
図7の様に穿孔板の多くを覆うと、分離板も大きくする必要が有り、高価な材料を用いるとコストが高くなる。
【0077】
それを回避したのが
図15の分離板である。穿孔板が大きくなると回転時のブレも大きくなり易く、三角形状突起と受けローラの受け板と接触する可能性も高くなるが、本分離板はそのブレを抑える機能も果たす。
【実施例0078】
図19の掻き車214と
図20の被掻き車215は本願発明の請求項2の実施例であり、第三角法で示したものである。
使用方法は、
図17において穿孔ローラ歯車203Bを掻き車214に置き換え、受けローラ歯車204Dを被掻き車215に置き換えるイメージである。(図示無し)
当然ながら上記位置でなく、穿孔ローラ、受けローラの右側でも良く、左側板105や右側板106の外側等、目的が果たせる位置なら何処でも良い。
【0079】
図19の掻き車214について説明する。
掻き爪214Aは被掻き車を掻く様にして回転させる部分であり、
図19では4個有るが、1個以上あれば機能するものであり、仕様に応じて決定すれば良いものである。
弾性橋214Bは掻き爪を支え、且つ弾性を持つ物とし、外力によりΔdの矢印の方向に可動とする。
その為の材料の一例としてPOM等のプラスチックがある。
【0080】
弾性橋用間隙214Cは掻き車に開けた空洞であり、これにより弾性橋を作る事ができる。
穿孔ローラシャフト用穴214Dは穿孔ローラのシャフトを通す穴であり、形状はシャフト断面に合わせれば良い。
掻き車外周円214Eは掻き車が回転した場合の、掻き爪の頂点の軌道に相当するものである。
【0081】
図20の被掻き車215について説明する。
受けローラシャフト用穴215Aは受けローラのシャフトを通す穴であり、形状はシャフト断面に合わせれば良い。
図20の正面図に見える被掻き車の円周面は、掻き車で掻かれたら回転するだけの摩擦係数を持つ材料を用いるか、梨地加工、又は数カ所に浅い溝を設ける等で所要の摩擦力を得られるものとする。(図示無し)
【0082】
図21は穿孔ローラに掻き車、受けローラに被掻き車を設けた場合の側面図であり、これにより動作説明する。
受けローラは小さな外力で回転させられるものとし、穿孔ローラと受けローラの中心間距離をL2とする。
(a)被掻き車静止状態の図において、R1は掻き車外周円214Eの半径、
R1Xは掻き車214の中心と外縁との距離、R2は被掻き車215の半径である。
ここで、掻き車と被掻き車は以下の関係を満足するものとする。
なお、Δdは掻き爪214Aの変位とする。
(R1X+R2)< L2 <(R1+R2)
(R1+R2-Δd)= L2
上記の寸法関係である場合、(a)では掻き車と被掻き車間には間隙が有るので掻き車が矢印の方向に回転しても被掻き車は回転しない。
【0083】
さらに掻き車が回転し(R1X+R2)=L2になると、掻き爪が被掻き車と接触し始め、(b)被掻き車回転状態の図の位置に来ると(R1X+R2-Δd)=L2となり、変位Δdに伴う反発力により掻き爪と被掻き車と間に摩擦力が生じ、掻き車の回転とは逆方向に被掻き車は回転させられる。
これに伴い、投入された気泡緩衝材が受けローラに載ってもローラ交差部に移動させられる。
【0084】
又、受けローラを小さな外力で回転させられる様にしてあれば、一旦受けローラが回転を始めれば、掻き車がさらに回転して被掻き車との間に間隙が生じても受けローラは慣性で回り続ける事ができる。
【0085】
先述した様に、減容動作中は気泡緩衝材との大きな摩擦力により受けローラは回転させられる。その部分は図示していないが、(c)被掻き車滑り状態は減容動作中の掻き爪と被掻き車の様子を示したものである。
この時の気泡緩衝材との摩擦力による大きな力で受けローラが回転させられるイメージとして減容動作に伴う回転215Bを太矢印で示す。
【0086】
他方、変位Δdに伴う摩擦力による受けローラの回転力は小さく、減容動作に伴う回転215Bとの回転速度の差は滑り箇所214Fで掻き爪は滑るので、モータ動力としては大きなロスにはならない。
【0087】
以上の動作をまとめると、本実施例によると、気泡緩衝材を減容中でない場合は掻き車で受けローラを能動的に回転させ、減容中は受けローラは気泡緩衝材との摩擦で受動的に回転させられる事になり、理想的な動作が実現される。
しかも、その構造はチェーンやベルトやラチェット機構を用いる事に比較して、極めてコンパクトであり安価になる。
【0088】
さらに、歯車の場合と異なり、穿孔ローラと受けローラのシャフト間距離に制約を受けず設計の自由度が高まる点、被掻き車を受けローラで代用する事ができるので、これにより部品種類を減らせる点も大きな利点である。
【実施例0089】
図22の掻き車214は請求項2の別の実施例であり、第三角法で示したものである。
図22に於ける掻き爪214はΔdの矢印の方向に変位するのが
図21と異なるが、機能的には全く同じ動作を実現できる。
【0090】
本実施例から判る様に、請求項2を満足する掻き車と被掻き車の形状は種々のバリエーションがあり得るのであり、その実現方法は本願の各実施例に限定されるものではない。
【実施例0091】
図23は本願発明の請求項3による排出ルート選択可能な気泡緩衝材減容装置を第三角法で示した実施例である。
基本部分は
図1と同様であるが、減容後の気泡緩衝材を受ける為の本受け箱904と仮受け箱905を設けたのが大きな違いである。
市販に前例としての装置は無いが、
図1に受け箱を設けるとすれば、通常は本受け箱904だけとなる処である。
【0092】
仮受け箱905は装置外部で、且つ、人が作業し易い位置に設けるものとし、一例として
図23では装置正面側に設けている。
減容部2の下方に案内板シャフト902を軸とした案内板901を設け、装置外部に設けた案内板レバー903を操作する事で案内板の位置を変える事ができる。
排出口906は仮減容した気泡緩衝材を、案内板901を介して仮受け箱905に移動させる為のもので、気泡緩衝材に対する装置の出口である。
以下これらの動作を
図24で示す。
【0093】
図24の(a)仮減容で示す位置に案内板901を置くと、仮減容された気泡緩衝材は案内板901から排出口906を経由して仮受け箱905で受けられる。
仮減容を複数回行ない、仮受け箱905に気泡緩衝材が溜まったらそれらを取り出して重ね合わせ、必要に応じて丸めたり、折ったりしてまとめる。(図示無し)
【0094】
次に、案内板レバー903を操作して案内板901を
図24の(b)本減容で示す位置に切り替え、同図の様に前記でまとめた気泡緩衝材を本減容として再度減容すると、減容された気泡緩衝材は落下して本受け箱904に溜まる。
【0095】
本受け箱904だけしか無ければ、仮減容する為にその都度装置内部にある本受け箱904に溜まった多数の気泡緩衝材から、仮減容された物を選んで取り出す作業が必要になるが、本実施例に依れば仮減容を容易に、任意回数繰り返す事ができるのが大きなメリットである。
【0096】
案内板901の構造は実施例の方法だけでなく、案内板を回転させるのでなく平行移動させたり、気泡緩衝材減容装置でない他の装置に於ける、板の位置を変えて何らかの通路を代える多くの公知の技術を応用する事も可能であり、さらには、コストを惜しまなければ、案内板を電動化する事や、仮受け箱から仮減容した気泡緩衝材を本減容の為に投入ガイドに移動させるのに作業者の代わりに機械化したり、ロボット化したりする事も可能であり、本願の実施例だけの方法に限定するするものではない。(図示無し)
【実施例0097】
図25は本願発明の請求項4による、第1の減容部2で仮減容をし、第2の減容部2Aで本減容を行なう気泡緩衝材減容装置を第三角法で示した実施例である。
投入ガイド1Aは第2の減容部2Aの為の物であり、第1の減容部2で仮減容した気泡緩衝材を受け、溜める様にした物である。
【0098】
図25(a)仮減容では第1の減容部2で仮減容し、第2の減容部2Aのローラ対を停止させておく。
これにより仮減容された気泡緩衝材は投入ガイド1Aに溜まる。
貯留量が適量になったら
図25(b)本減容に示す様に、第1の減容部2のローラ対を停止するか、気泡緩衝材の投入を止め、第2の減容部2Aのローラ対を起動し、本減容を開始すると本減容された気泡緩衝材は本受け箱904に落下し貯留される。
これにより、仮減容と本減容が確実、且つ容易に行なえる。
【0099】
受け板との間に気泡緩衝材を挟む穿孔板はその「ハの字」形の三角形状突起により、穿孔、空気追い出し、層間のバリ接合を行なうが、以降これを「ハの字」効果と呼ぶ。
三角形状突起の形状の観点からは穿孔及び空気追い出しと層間バリ接合はトレードオフの関係にある。
【0100】
即ち、穿孔及び空気追い出しでは
図38(a)に示す様に、三角形状突起の先端は細い方が穿孔し易く、底辺が広い、即ち「ハの字」の両辺角度が大きい方が気泡緩衝材が底辺側に移動し難いので圧縮効果が大きい。
一方、
図38(b)に示す様に、三角形状突起の先端は鋭くない方がバリを作り易く、「ハの字」の両辺角度が小さい方が気泡緩衝材が底辺側に移動し易く、多層の気泡緩衝材を貫通し易いので層間バリ接合に適す。
【0101】
又、圧縮ギャップ距離についてもその大小はトレードオフの関係にある。
図53により圧縮ギャップ距離Gについて説明する。
圧縮ギャップは穿孔板207の内周円207A1と受け板外周円204Bの最短距離でありその大きさを圧縮ギャップ距離と呼ぶものとする。
穿孔されながら通過する減容対象(気泡緩衝材)は圧縮ギャップで最も大きく圧縮される。
【0102】
穿孔板207の内周円207A1の半径をR1、受け板外周円204Bの半径をR2とし、穿孔板207の中心O1、受け板外周円204Bの中心O2としO1-O2間距離をLとすると、圧縮ギャップ距離Gは
G=L-(R1+R2)
である。
従ってO1-O2間距離Lを変えると圧縮ギャップ距離も変わる。
【0103】
圧縮ギャップと気泡緩衝材層数との関係を説明する
図54(a)の様に気泡緩衝材8の層数が少なく、穿孔された気泡緩衝材8の厚さが圧縮ギャップ距離Gより小さいと穿孔板を回転させるトルクは小さいが、気泡緩衝材の圧縮は三角形状突起207Bの「ハの字」効果でしか行なわれないので、圧縮の程度は低い。
【0104】
一方、
図54(b)の様に気泡緩衝材8の層数が多く、穿孔された気泡緩衝材の厚さが圧縮ギャップ距離Gより大きいと穿孔板を回転させるのに必要なトルクは大きくなるが、気泡緩衝材の圧縮は受け板外周円204Bと穿孔板内周円207A1で行なわれるので圧縮の程度が高い。
【0105】
又、
図66の穿孔板と受け板の位置関係説明図に示す様に、穿孔板207と受け板204Aの間隙の大きさS1+S2と、重なりの大きさBは、それらの大小が減容動作の効果の上ではトレードオフの関係にある。
【0106】
即ち、
図66(a)の様に相対位置が密でS1+S2が小さく、Bが大きければ穿孔板207を回転させる所要トルクは大きいが、気泡緩衝材圧縮の程度も高い。
他方、
図66(b)の様に相対位置が粗でS1+S2が大きく、Bが小さければ穿孔板207を回転させる所要トルクは小さいが、気泡緩衝材圧縮の程度も低い。
【0107】
ローラ対が1組の場合その穿孔板の設計では、前記各種のトレードオフを鑑みた上で特定の観点での妥協が必要であるが、本実施例の様に減容部を2個有する場合は、第1の減容部は穿孔と圧縮(空気追い出し)を主目的にし、第2の減容部は層間バリ接合を主目的に設計すれば良く、各々に応じて最適化したローラ対の設計が可能になる。
【0108】
例えば第2の減容部の穿孔板では、気泡緩衝材の気泡を漏れなく潰す必要はないので三角形状突起の先端間隔や、穿孔ローラに於ける穿孔板同士の間隔を大きく出来るのでその為の動力は小さくなり、穿孔板の数も減らせ、板厚を大きくできるので強度が高い装置が出来る。
さらに仮減容後の減容対象の厚さは小さいのでローラ対の直径を小さくできる。
【0109】
あるいは、第1の減容部は多層の気泡緩衝材に対応する必要がないので、
図25に於いて圧縮ギャップ距離を小さくしてその空気追い出し能力を高めても良い。
以上から、本発明には減容効果が大きく、消費電力が小さく、且つ効率的で壊れにくい気泡緩衝材減容装置を実現できる大きなメリットがある事が判る。
【0110】
ローラ対の起動や停止は、コストを惜しまなければ手動以外に、公知の技術で自動制御も可能である。
又、投入ガイド1Aの高さ(深さ)に気泡緩衝材の長さを合わせる為に、何れかの投入ガイド入口で、必要に応じて気泡緩衝材を適当な長さにカットする機構を付加しても良い。(図示無し)
【実施例0111】
図26は本願発明の請求項4による、第1の減容部2で仮減容をし、第2の減容部2Aで本減容を行なう気泡緩衝材減容装置を第三角法で示した実施例である。
実施例7との主な相違点は本実施例では減容部2Aの入口に開閉板2Bを設けた点である。
これによりローラ対は常時回転させて置いても良いので、それらの制御が不要になる。
開閉板2Bは手動でも電動、あるいは自動制御でも良い。
システムとしてのメリットは実施例7と同様である。
【実施例0112】
図55は本願発明の請求項5による円形の受けローラシャフト台12を第三角法で示した実施例である。
受けローラシャフト穴1201は受けローラのシャフトを通す為の穴であり、シャフト保持にベアリングを使用している場合はそのベアリングを受ける様にすれば良い。
O2は受けローラシャフトの中心である。
O3は受けローラシャフト台12の中心であり、O2、O3は重ならない、即ち、O2はO3に対して偏心させてあり、その距離をdとする。
以上を用いると後述する様に圧縮ギャップ距離を変更する事が可能になる。
【0113】
以下受けローラシャフト台12の気泡緩衝材減容装置への適用方法を
図56と
図57で示す。
図57に示す様に受けローラシャフト台12が嵌合する穴を開けた減容部2の左側板105と右側板106に受けローラシャフト台12を実装し、これに受けローラを通す。
【0114】
図56はその様子を側面から見たものである。
受けローラシャフト台12を実装した以外は
図1の気泡緩衝材減容装置(基本形)と同様である。
ここで受けローラシャフト台12はO3を中心として回転できる様にする。
但し減容中は固定させ、且つ受けローラシャフト方向に移動して側板105、106から脱落しないようにする必要があるが、その方法の一例を
図58に示す。
【0115】
固定板1202に固定ネジ1203を通す穴を設け、一方のネジを側板105、106に固定し、他方のネジで受けローラシャフト台12を抑え付けて固定するか、受けローラシャフト台12にネジ穴を設けて固定する。
側板又は受けローラシャフト台に複数のネジ穴を設ければ受けローラシャフト台を回転させたらその位置で固定できる。
【0116】
なお、受けローラシャフト台12を固定する方法は前記方法だけでなく、公知の技術で様々な方法が得られるのであり、本願の主眼ではないので以降必要な場合を除き、固定方法については言及しないものとする。
【0117】
図60に各部の寸法関係を示す。
O1は穿孔ローラシャフト203Aの中心であり、穿孔板の中心でもある。
R1は穿孔板内周円207A1の半径(固定値)、
O2は受けローラシャフト204Eの中心、
R2は受け板204Aの半径(固定値)、
O3は受けローラシャフト台12の中心、
LはO1-O3間距離(固定値)、
LXはO1-O2間距離(可変値)、
dはO2-O3間距離(固定値)
θはO1-O3-O2の成す角(可変値)であり、∠O1 O3 O2で示す。
GXは圧縮ギャップ距離であり、θを変数とする関数で表せる。
但し、θは左右の受けローラシャフト台12で同じ値になる様にする。さもないと受けローラが捻れて受け板と穿孔板が衝突する。
なお、受けローラシャフト台12の回転に伴い、O2は鎖線で示す半径dの円の軌跡を描く。
【0118】
GXをθの関数として求める為に
図60の寸法関係を
図61に書き直すと以下の関係が判る。なお、nのべき乗を「^n」で表示する。
GX=LX-(R1+R2) ・・・(1)
第2余弦定理により、
LX^2=L^2+d^2-2・L・d・cosθ ・・・(2)
(1)、(2)より
GX=(L^2+d^2-2・L・d・cosθ)^1/2
-(R1+R2) ・・・(3)
【0119】
(3)式からGXはθの関数になる事が判る。これは受けローラシャフト台の実装方向を変えてθを変える事により、穿孔ローラと受けローラ間の圧縮ギャップ距離を減容対象に応じて変える事が可能になる事を示し、気泡緩衝材減容装置が使用し易くなる事を示す。
因に、θ=0° でGX=(L-d)-(R1+R2)、
θ=90° でGX=(L^2+d^2)^1・2-(R1+R2)、
θ=180°でGX=(L+d)-(R1+R2)
である。
【0120】
なお、180°<θ≦360°はGXの大きさとしては0°≦θ≦180°と同等になるので気泡緩衝材減容装置の構造としては何れかのθの範囲を実現できれば良い。
【0121】
本願請求項5では受けローラのシャフトが移動しても請求項2の穿孔ローラの掻き車の掻き爪214Aが被掻き車に届く様に充分な変位Δdが得られる掻き車を用いるものとする。
同様に受けローラのシャフトが移動しても後出の請求項8の側面ガイドが有効である様な形状であるものとする。
【実施例0122】
図59は本願発明の請求項5による円形の受けローラシャフト台12を設けた気泡緩衝材減容装置である。
本実施例は受けローラシャフト台12が円形の場合に限るが、固定レバー1204の一方を受けローラシャフト台12にネジ1203でネジ止めし、他方を気泡緩衝材減容装置外部に出し、外部で固定用板等(図示無し)に固定するものである。
これにより、作業者が減容対象に応じて固定レバー1204を
図59の矢印方向に動かす事により圧縮ギャップ距離を変更できる様になり、ユーザの立場からは使い勝手が大幅に良くなる。
【実施例0123】
図56の本願発明の請求項5による円形の受けローラシャフト台12に、受けローラのシャフトに掛かる圧力を測定する圧力センサと、受けローラシャフト台12をO3を中心に回転させる回転機構を設け、自動制御により圧縮ギャップ距離を最短にする様に制御する気泡緩衝材減容装置が製作可能である。(何れも図示無し)
これらは何れも公知の技術で実現可能であり詳細は割愛するが、この気泡緩衝材減容装置によれば減容対象の層数、固さに無関係に常に安定して良い減容結果を得る事ができる。
【実施例0124】
図62は本願発明の請求項5による長方形の受けローラシャフト台12を第三角法で示した実施例である。
使用方法や圧縮ギャップ距離については実施例9と同様であり、詳細説明は割愛する。
【0125】
長方形の受けローラシャフト台では
図63に示す様に圧縮ギャップ距離はG1、G2の2つだけであるが、気泡緩衝材減容装置の構造はその分簡単になる。
【実施例0126】
図64は本願発明の請求項5による正六角形の受けローラシャフト台12を第三角法で示した実施例である。
使用方法や圧縮ギャップ距離については実施例9と同様であり、詳細説明は割愛する。
【0127】
正六角形の受けローラシャフト台では
図65に示す様に圧縮ギャップ距離は
4通りを得る。(∠O1 O3 O2=180°は(図示無し))
基本的には受けローラシャフト台12の形状は任意であり、装置の製造し易さや要求仕様やコストを考慮して設計すれば良い。
但し、円形以外はその実装方向を受けローラシャフト台を側板に実装したままではできず、一旦側板から外す必要があるのでユーザが行なうのは困難である。
通常は円形が最も応用範囲が広いと言える。
【実施例0128】
図67は本願発明の請求項6による補助受けローラシャフト台14を用いた気泡緩衝材減容装置の実施例である。
本願発明の最大の特長は第3のローラともいうべき補助受けローラ13を設ける事である。
【0129】
図67において、補助受けローラ13は受けローラ
図1の気泡緩衝材減容装置(基本形)の受けローラ204と機能的、構造的に同様のものであり、詳細は割愛する。
補助受けローラシャフト台14は請求項5の受けローラシャフト台と機能的、構造的に同様のものであり、詳細は割愛する。
補助受けローラシャフト穴1401は補助受けローラ13を支持するものであり、 請求項5の受けローラシャフト台の受けローラシャフト穴1201に相当するものである。
【0130】
実施例7で前記した様に、穿孔ローラと受けローラが1個の場合には減容動作に対する各種トレードオフを行なう必要がある。
その対策方法として請求項4の減容部を2個設ける方法があるが、装置が大型になり使用電力も増え、装置コストもランニングコストも大きくなるという欠点がある。
【0131】
それに対し、
図67では減容部は1個のままで受けローラを2個とし、機能分担をして減容効果を高める事ができる。
即ち、受けローラ204は主として穿孔と仮減容を行ない、補助受けローラ13で本減容を行なう。
【0132】
補助受けローラシャフト台14に載せた補助受けローラ13は請求項5の受けローラと同じ機能的メリットがあり、圧縮ギャップ距離を最適にでき、これに固定レバーを設ければ(図示無し)ユーザが圧縮ギャップ距離を設定する事も可能になる。
【0133】
この場合、受けローラ204は
図66(b)相対位置 粗の場合の様に穿孔板207と受け板204の間隙の大きさS1+S2が大きく、重なりの大きさBを小さくできるので、大きな強度が不要、且つ製作上の精度要求も下がり、製作工数もコストも下がる。
【0134】
気泡緩衝材は受けローラ204で仮減容されているので補助受けローラ13の受け板の直径はそのシャフト直径に重なりの大きさBを考慮したもので良く、受けローラ204の受け板の直径の数分の一程度に小形化可能である。
間隙の大きさS1+S2を小さくするにしても、受け板の直径が小さいので製作上の精度管理がし易く、シャフトと一体で切削加工で精度良く比較的安価に製作する事も可能であり、製作上のメリットも大きいと言える。
【0135】
なお、請求項5では受けローラのシャフトが移動しても請求項2の穿孔ローラの掻き車の掻き爪214Aが被掻き車に届く様に充分な変位Δdが得られる掻き車を必要としたり、後出の請求項8の側面ガイドには、受けローラのシャフトが移動してもガイド機能が有効である様な形状のものとする必要があった。
一方、補助受けローラでは、気泡緩衝材は受けローラで既に仮減容されているので被掻き車や側面ガイドは不要である事もメリットである。
【0136】
以上から、本願発明の請求項6によるとトレードオフ事項をバランス良くクリアした高性能、小形軽量で比較的安価な気泡緩衝材減容装置を製作する事ができる。
【実施例0137】
本願発明の請求項6による
図67に示す円形補助受けローラシャフト台14に、補助受けローラのシャフトに掛かる圧力を測定する圧力センサと、補助受けローラシャフト台14にO5中心に回転させる回転機構を設け、自動制御により圧縮ギャップ距離を最短にする様に制御する気泡緩衝材減容装置を製作可能である。(何れも図示無し)
これらは何れも公知の技術で実現可能であり詳細は割愛するが、この気泡緩衝材減容装置によれば減容対象の層数、固さに無関係に常に安定して良い減容結果を得る事ができる。
【実施例0138】
図40は本願発明の請求項7による、側面投入ガイド5を用いた気泡緩衝材減容装置を第三角法で示した実施例である。
側面投入ガイド5は減容対象を側面側から投入するものであり、
図40では正面側に投入口506がある。
【0139】
本願の
図1、
図23、
図30、
図36の投入ガイド1、筒形投入ガイド7の場合、ローラ対への巻き込まれ事故防止の為には
図39に示す様に、投入ガイドの高さHを人間の腕の長さLA以上にする必要があり、装置の小形化を図る場合のネックになる。
あるいは前記した様に、特許文献14中の
図7の様な構造が提案されているが、構造的には複雑になる。
【0140】
本実施例は前記の欠点を解決するものであり、
図41に側面投入ガイド5の詳細を示す。
正面板501、背面板502、天板503、左側面板504、右側面板505で筒状の逆四角錐台の箱となし、減容対象は投入口506から投入し、減容部入口境界201から下方に出る様にしたものである。
各板の形状は一例であり、機能を果たせば他の形状でも良い。
【0141】
又、それらの材料は所要の強度が得られれば何でも良いが、特に正面板501、背面板502、天板503は作業性の観点から、投入ガイド内部の状態が見えるアクリルやPET等の透明樹脂を推奨する。
【0142】
図42は
図41のC-C’に於ける断面図であり、気泡緩衝材8を投入口506から投入する様子を示す。
気泡緩衝材8は
図42の右側面(装置正面側)から投入すると、投入ガイド又は作業者により、内部で下方の出口に方向を変える。
Gは投入口506の縦方向の寸法であり、減容対象を投入する上では大きい方が使用し易く、Hは側面投入ガイド5の高さ寸法であり、装置としては小さい方が良い。
【0143】
図43は
図41のC-C’に於ける断面図であり、側面投入ガイド5の安全性の根拠を説明するものである。
天板503はその位置による効果を説明する為に二枚描いているが、何れか一方のみ実装される。
【0144】
ここで前提条件として手1101は背面板502に当たる処で止まり、それ以上奥には入れられないものとする。
さらに、正面板501の高さHFは、前記の状態で手1101の先端がローラ対に届かないだけの充分な大きさを持たせたものとする。
加えて、手1101が背面板502に当たる状態において、黒丸点(●)で示す拘束点Aに対する拘束点B1(又は拘束点B2)の位置を上方、且つ
図43に於いて右方となる様にし、拘束点Aと拘束点B1(又は拘束点B2)が必ず前腕1103に当たる様に天板503の高さ位置、奥行き寸法を決めるものとする。
【0145】
先ず天板503が下側、即ち、高さがHB1、投入口506の縦方向の寸法がGB1となる様に実装された場合について説明する。
投入口506から手で気泡緩衝材(図示無し)を押し込むと棒状の腕は拘束点Aと拘束点B1で拘束され、前腕1103は図中の太い破線矢印方向には動かせない。
これに伴い手1101も拘束され、図示以上は減容部入口境界201方向には
移動できない。
一方図中の太い実線矢印方向については、拘束点B1が前腕1103に働かないので自由に動かせる。
【0146】
同様に、天板503が上側、即ち、高さがHB2、投入口506の縦方向の寸法がGB2となる様に実装された場合も、投入口506から手で気泡緩衝材(図示無し)を押し込むと棒状の腕は拘束点Aと拘束点B2で拘束され、前腕1103は図中の太い破線矢印方向には動かせない。
これに伴い手1101も拘束され、図示以上は減容部入口境界201方向には
移動できない。
一方前腕1103は図中の太い実線矢印方向には自由に動かせる。
【0147】
以上から、前腕1103と手首1102が安全な位置で拘束され、且つ投入ガイドとして使用し易くなる様に適切に天板503の高さ位置と横方向突き出し寸法を設定し、HB1とGB1(又はHB2とGB2)と拘束点Aと拘束点B1(又はB2)を設定すれば、安全な側面投入ガイド5を実現できる事が判る。
【0148】
後出の実施例25での説明からも判る様に、実用的にはHB1は最小30Cm程度、GB1は最小10Cm程度あれば良く、
図39の様なHが90Cm前後必要な投入ガイドに比べて充分小形化できると言える。
【0149】
但し、完全に安全な装置とするには、厳密には前腕1103が最短、かつその太さが最小の人体を考慮して各寸法を決定する必要がある。
【0150】
拘束点Aと拘束点B1(又は拘束点B2)が必ず前腕1103に当たる様にする、との前記前提条件が満足されない場合に、肘関節1104が拘束点Aより投入ガイドの内側に入った場合を
図44に示す。
この場合は前腕1103の位置と方向を拘束する物が無いので、最悪の場合は
図44の様に手1101は減容部入口境界201からはみ出してローラ対に届き事故を発生させる可能性がある。
この様な場合は高さHFを充分大きくして、手1101が減容部入口境界201から出ない様すれば事故を防げる。
【0151】
なお、請求項7の方法は気泡緩衝材減容装置だけでなく、紙を粉砕するシュレッダ等の装置にも適用可能である。
即ち、一般的な家庭用シュレッダは乳幼児の指先が入らない様に紙の投入口の幅を3mm前後にしており、一度に処理できる紙は2~3枚程度であり効率が悪いが、本願の方法に依れば、紙の投入口の幅を大きくする事が出来、モータの駆動力が許す範囲で、同時に多数枚の紙を処理できる様になる。
【実施例0152】
図45は
図41のC-C’に於ける断面図であり、本願発明の請求項7による側面投入ガイド5を用いた気泡緩衝材減容装置を第三角法で示した実施例であり、背面板502の形状の特徴を示すものである。
【0153】
側面投入ガイド5は本質的には、硬い棒状の腕は2点で拘束されるが、気泡緩衝材は筒状にしたとしても柔らかく、任意に曲がるので拘束されないという相違点を利用したものである。
従って使用上は気泡緩衝材を投入口506から投入後、下方の減容部入口境界201方向に曲げ易い構造が望まれる。
【0154】
図45の(a)は背面板502を「く」の字状に曲げたものであり、図の右側から投入された気泡緩衝材8は背面板502で下方に反射されて方向が変わるので、使用し易い。
【0155】
図45の(b)は背面板502を曲線にしたものであり、図の右側から投入された気泡緩衝材8は背面板502で下方に反射されて方向転換されるので、(a)と同様に使用し易い。
曲線は減容対象の方向転換をさせ易いものであれば円弧、楕円弧、放物線、双曲線等何でも良い。
なお、(a)(b)何れの場合も背面板502は摩擦が小さい材料が有利であり、背面板502の表面を滑らかにする潤滑材等を塗布する事も有効である。
【実施例0156】
図46は本願発明の請求項7による側面投入ガイド5を第三角法で示した実施例である。
実施例16との違いはローラシャフト1 507、ローラシャフト2 508で2つの拘束点を生成している点である。
ここでローラシャフト1 507、ローラシャフト2 508は単にシャフトだけでも良いし、自由回転するローラにシャフトを通したローラシャフトでも良い。
【0157】
但し、減容対象を投入ガイドに押し込む度にローラシャフト1 507、ローラシャフト2 508に手や腕が接触するので、不快感や擦過傷の危惧を取り除く為には、ローラを有するローラシャフトが望ましい。
【0158】
通常は拘束点には手1101や前腕1103の力が直接掛かるので、実施例16の
図41の場合は、正面板501、天板503にはそれに耐える強度が必要であり、透明樹脂で製作する場合等は注意が必要である。
一方
図46の場合は、金属製シャフトにすれば強度を持たせるのは容易であり、直接力が掛からない正面板501、天板503の製作はし易くなる。
【0159】
さらに、実施例16の
図43では正面板501の拘束点Aや天板503の拘束点B1(又はB2)に気泡緩衝材が接触した場合に滑りが悪いのでローラ対で気泡緩衝材を引き込むのに要する力が増える。
他方、
図46でローラを用いたローラシャフト1 507、ローラシャフト2 508にすると、ローラ対で気泡緩衝材を引き込むのに要する力が少なくて済む。
以上から、ローラシャフトを用いると製作、機能、使用に於ける大きなメリットを得られる事が判る。
【実施例0160】
図47は本願発明の請求項7による側面投入ガイド5を第三角法で示した実施例である。
図46との違いはローラシャフト3 509の有無であり、そのメリットは2つ有り、第1のメリットは乳幼児の安全向上である。
側面投入ガイド5の寸法によっては
図41や
図46の場合は投入口506の直近迄乳幼児の肩が入る事が有り得る。
その場合は
図44で示す様に、上腕から手先迄が側面投入ガイド5の内部に入り、指先がローラ対に届いて事故に繋がる危険性がある。
対して、
図47ではローラシャフト3 509により、投入口506の直近迄乳幼児の肩が入る事を防げるので、安全である。
【0161】
第2のメリットはローラシャフト3 509により長尺の気泡緩衝材が側面投入ガイド5の内部に引き込み易くなる事である。
図48にその様子を示す。
(a)ローラシャフト2本の場合には気泡緩衝材8はローラシャフト2 508で急激に折れ曲がるので引き込みに要する力が大きくなる。
一方(b)ローラシャフト3本の場合には気泡緩衝材8はローラシャフト2 508とローラシャフト3 509に跨がって緩やかに折れ曲がるので引き込みに要する力が小さくなる。
【0162】
以上により、1本のローラシャフト3を追加するだけで、安全面、使用面での大きなメリットを得られる事が判る。
【実施例0163】
図50は本願発明の請求項8による側面ガイド板2010を第三角法で示した実施例である。
但し、その形状は飽くまでも一例であり、穿孔ローラ203と受けローラ204の形状に合わせて製作する必要があるので、
図50とは異なる形状になる可能性も高い。
【0164】
図49は側面ガイド板2010が無い場合の穿孔ローラ203と受けローラ204で成るローラ対の間に気泡緩衝材8が投入された状態を上面から見たものである。
ローラ対の左端と左側板105、ローラ対の右端と右側板106の間の斜線でハッチングした部分に入った気泡緩衝材8の減容不可部801は穿孔板から外れるので穿孔、圧縮がされず、減容されないままになる。
【0165】
側面ガイド板2010 2個を
図51に示す様に、ローラ対左右両端に実装する事により減容不可部801を無くす事ができる。
これに伴い、減容作業で減容されない部分が大幅に減り、気泡緩衝材減容装置の機能が向上する。
【実施例0166】
本願の気泡緩衝材減容装置は、穿孔板207が数枚で減容対象が小さく、層数も少なく、減容に大きな駆動力を必要としない手動の気泡緩衝材減容装置を製作する事も可能であり、
図52はその一例として請求項9による気泡緩衝材減容装置を第三角法で示した実施例であり、減容部2、筒形投入ガイド7、駆動部として歯車付きシャフト2011、ハンドル2012で構成する。
【0167】
図3に示す様に、星形の穿孔板207は三角形状突起207Bを有するが、特定の形状に限定されるものではなく、実装する際には設計者の裁量の範囲事項として任意に決定すれば良いものである。
【0168】
一方、ギアに使用される平歯車の歯の形状は一般的にはインボリュート曲線が用いられる。
そこで、
図52の穿孔ローラ203に用いる穿孔板207の三角形状突起207Bをインボリュート曲線またはそれに近い形状にして歯車の機能を持たせ、専用の歯車を不要にする。(図示無し)
【0169】
一方、歯車付きシャフト2011の歯車を穿孔ローラ203の歯形状に対応させて両者でギアを構成する。
ここで歯車付きシャフト2011の歯車は穿孔板207の全て、又は複数枚に対応する幅を持たせる。
これにより、歯車付きシャフト2011で穿孔ローラ203のシャフトを多数点で駆動するので、その捻り剛性は小さくて済む事になり、全体として装置の小形化を図る事ができる。
【0170】
もし
図52において、一般的な方法に従って穿孔ローラ203のシャフトとシャフト2011に1個ずつの歯車を設けて穿孔ローラ203駆動するならば、穿孔ローラ203のシャフトの捻り剛性を高める為にシャフトを太くし、歯車のスペース分装置のサイズを増やす必要が生ずる。
即ち、本願は特に押し板が数枚の小形気泡緩衝材減容装置を製作する場合に大きなメリットが得られる。
【実施例0171】
請求項1の分離板と請求項2の掻き車と被掻き車を請求項3、請求項4の気泡緩衝材減容装置のローラ対に適用する。(図示無し)
これにより、既に記述済みの両発明のメリットを得る高性能の気泡緩衝材が実現可能である。
【実施例0172】
図23の投入ガイド1と減容部2を
図40の側面投入ガイド5に置き換える(図示無し)と既に記述済みの両発明のメリットを得る高性能の気泡緩衝材が実現可能である。
【実施例0173】
本願各請求項の発明事項は
図1の気泡緩衝材減容装置(基本型)の各部分を個別に改善するものであり、基本的にはそれらは競合せず、個別に各発明事項を採用するかしないかを決定すれば良い。
即ち、実施例22、実施例23だけでなく、気泡緩衝材減容装置を製作する上で各発明事項は単独でなく任意に必要な複数の発明事項を組み合わせて使用する事ができる。
【0174】
又、さらに発展させた物として、減容対象の層数の多寡で圧縮ギャップ距離を手動又は自動で変更可能とし、最適圧縮仕上がりや、バリ接合を最適化する事も可能である。(図示無し)
【0175】
さらに、将来的にはカメラやその他のセンサを設け、駆動部に設けたCPU上のAI機能(人工知能)により、気泡緩衝材の有無や危険箇所への人間の侵入や接触を判定し、安全対策も含めた自動運転を行なうシステムとする事も可能である。(図示無し)
【0176】
以下に本願気泡緩衝材減容装置に関する技術上の参考として、請求項に含まれない実施例を示す。
【実施例0177】
図30は気泡緩衝材減容装置の一例で、その側面に1つ以上のスリットを設けた筒形投入ガイド7を有する気泡緩衝材減容装置を第三角法で示した実施例である。
減容部2は
図1の減容部2と同様の構成で、気泡緩衝材の減容を行なう。
図1との主な相違点は投入ガイド1を筒形投入ガイド7にした点である。
【0178】
図1の投入ガイド1の減容部入口境界201は気泡緩衝材を複数回折って平面状にする事を想定しているので、ローラ対の軸方向に長く、それと直角の辺は安全性を考慮して短くした、いわば細長い長方形である。
この時前述した様に、
図1では軟らかい気泡緩衝材では平板状にしても腰が弱く、押し込んでも気泡緩衝材の途中が腰折れして先端位置は変わらず、ローラ交差部206に届き難く、手間取る
又、
図1の場合で対象気泡緩衝材の幅が広い仕様の場合は、穿孔ローラと受けローラの幅も大きくする必要があり、所要穿孔板や受け板の数も多くなり、コストアップ、大形化、モータの大出力化が必要になる。
【0179】
一方、
図29気泡緩衝材のまとめ形状例(a)~(c)の様に丸めるか蛇腹状にしてまとめると筒状になり、軟らかい気泡緩衝材でも腰が強くなる。
気泡緩衝材を筒状にする事を前提としたのが
図30の筒形投入ガイド7であり、減容部入口境界201は横断面の縦横比が1:1~1:2程度の円形、楕円形、正方形、長方形、多角形等の形状とし、その横断面形状を高さ方向に延ばして筒状にするものである。
【0180】
上記で種々の横断面形状を上げているが、その意味は
図29(a)~(c)の筒状にまとめた気泡緩衝材をスムーズに通せる横断面形状であれば何れの形状でも構わないという事である。
又、長い気泡緩衝材では
図29(d)~(f)の様に先端部を筒状にして筒形投入ガイド7に投入すれば、減容に伴って気泡緩衝材の筒状になっていない部分も筒形投入ガイド7に引き込まれるのに伴い自動的に筒状に丸められる。
【0181】
現状で市販されている気泡緩衝材の幅は最大1200mm程度であり、それを円筒状に丸めるとφ70mm前後である。
従って、処理能力の仕様にも依るが、
図30の筒形投入ガイド7の直径は無闇に大きくする必要は無く、φ70~φ300mm程度に限定でき、穿孔ローラと受けローラの幅と、穿孔板、分離板、受け板の数もそれに対応させれば良いので、コストダウン、小形化、モータの低出力化が図れる。
【0182】
筒形投入ガイド7の内径をφD、穿孔ローラ203の穿孔板の外周円の半径をR1、受けローラ204の受け板の半径をR2とした場合、ローラ詰まりせずスムーズに減容する為には、特許文献14でその
図22を用いて説明されている様に、
φD≒(R1+R2)/2
となる様にすれば良い事が判明している。
通常はR1=R2で良く、それをRとすると、
φD=R
である。
【0183】
筒形投入ガイド7の高さHに関しては、人体の安全を確保する為に、φDの寸法に応じて決定する。
即ち、幼児の手が入らない程φDが小さければHも小さくて良く、大人の手が入る程φDが大きい場合は、Hを大人の腕の長さより大きくし、たとえ手や腕を入れても減容部入口境界201に届かない様にすれば良い。
【0184】
あるいは、筒形投入ガイド7の入口の高さが人間の肩より上方にある場合は、Hは手先から肘迄の長さ以上あれば良い。
以上から、処理能力の仕様に応じてφD、R、Hを決定すれば良く、家庭用から工業用の気泡緩衝材減容装置迄、統一された手順で柔軟に製作可能である事が判る。
【0185】
図31は横断面が円形、内径φDの筒形投入ガイド7の一例である。
2個のスリット701は幅W2、縦H1であり、その間のスリット間バリア702の幅はW1である。
スリット701の下辺は筒形投入ガイド7の下辺からH2である。
【0186】
W2は人体の手の指は入るが手の平や手の甲は入らない幅とし、H2はスリットに入れた指先が減容部入口境界に届かない大きさにして、指先がローラ対に届かないする事により安全を確保する。
具体例として
図68の試験指に依れば単位をmmとして、W2<15、H2<90、又はW2<19、H2<96、又はW2<21.5、H2<136、又はW2<25.4、H2<154であれば安全である。
スリット間バリア702の幅W1は2本の指の操作がし易く、強度が保てる値とすれば良い。
具体的にW1、W2、H2を幾らにするかは設計者の裁量の範囲事項である。
【0187】
筒状にした気泡緩衝材を減容の為に筒形投入ガイドに押し込む際に、互いに径が近いと、
図32の筒形投入ガイド押し込み詰まり例に示す様に気泡緩衝材8は筒形投入ガイド7の内壁面に引っ掛かって詰まり、ローラ対側に移動しない場合が生ずる。
これに対し、
図33気泡緩衝材引き込み動作の説明図の様にスリット701を通して気泡緩衝材の先端側を下側に引き込むと詰まる事無く、スムーズに移動するのであり、スリット701はその為に設けたものである。
【0188】
以下にその詳細を説明する。
図33(a)の様に、筒形投入ガイド7に気泡緩衝材8の先端を投入したら、2個のスリット701から指を差し込んで気泡緩衝材の先端を摘まんで下方に引き込むと、詰まる事無く容易に(b)の位置に移動させる事ができる。
気泡緩衝材の先端がローラ対に届き引き込まれて減容動作が開始する迄これを繰り返す。
一旦減容動作が開始すると、以降は自動的に気泡緩衝材は引き込まれ減容動作が継続する。
【0189】
即ち、本実施例のスリットを設けた筒形投入ガイドに依れば、処理性能に応じた小形、低消費電力、安価で且つ引き込み詰まりの無い、安全な気泡緩衝材減容装置を得る事ができる。
【0190】
尚、メンテナンスを考慮すると筒形投入ガイド7は容易に外せる様にすべきである。
その方法は、蝶番、ネジ止め、パチン錠、ねじ込み方式等、公知の技術で可能な様々の方法が考えられるが、設計者の裁量の範囲事項であるので割愛する。(図示無し)
【実施例0191】
気泡緩衝材減容装置の一例として、
図33の様に、気泡緩衝材を指で摘まんで引き込む代わりに、
図34の引き込み具10を用いる事もできる。
引き込み具10の先端幅W4は筒形投入ガイド7のスリット幅W2より小さくし、先端からストッパ1004迄の距離L4は、筒形投入ガイド7のH2より小さくする。
図35の引き込み具使用状態に示す様に、2つのスリット701から引き込み具10を差し込んで気泡緩衝材8をつまんで下方に引き込む事ができるが、スリット間バリア702にストッパ1004に当たるので、誤って引き込み具が減容部に巻き込まれて気泡緩衝材減容装置や引き込み具が壊れる事は無い。
これは気泡緩衝材をメカ的に自動化する事も可能である事を示す。
【0192】
なお、スリットが1個の場合でも、操作はし難くなるが気泡緩衝材を2本の指でつまむか、ピンセット状かアイスピック状の治具を準備する事で本願の目的は果たす事ができる。(図示無し)
【実施例0193】
図36は横断面が円形の場合の筒形投入ガイドの投入口の例であり、形状を変更する事により気泡緩衝材を投入し易くしたものである。
基本的には入口を広くするものであり、(a)~(c)だけでなくその他のバリエーションも考えられ、且つ横断面形状が円形以外の筒形投入ガイドでも適用できるが、設計者の裁量の範囲事項であるので割愛する。(図示無し)
【実施例0194】
気泡緩衝材減容装置のさらに別の例として、
図37に投入ローラ付き筒形投入ガイドの一例を示す。
これは筒形投入ガイドの入口周囲に、円板の中心を軸として自由回転する様にした投入ローラ703を複数設けたものである。
これにより、投入ガイド入口の外部で下側に垂れ下がる程長尺の気泡緩衝材でもスムーズに引き込める様にできる。
投入ローラ703の設置方法は公知の種々の技術を適用すれば良く、設計者の裁量の範囲事項であるので割愛する。(図示無し)
【産業上の利用可能性】
【0195】
本願発明によると、人体に安全で、気泡緩衝材の腰の強弱やサイズに無関係で
、分離詰まりの無い工業用から家庭用迄、幅の広い対象範囲の気泡緩衝材減容装置を製作できる様になる。
【符号の説明】
【0196】
1、1A 投入ガイド
105 左側板
106 右側板
2、2A 減容部
2B 開閉版
201 減容部入口境界
202 排出口
203 穿孔ローラ
203A 穿孔ローラシャフト
203B 穿孔ローラ歯車
204 受けローラ
204A 受け板
204B 受け板外周円
204C 摩擦力
204D 受けローラ歯車
204E 受けローラシャフト
205 分離板
206 ローラ交差部
207 穿孔板
207A 穿孔板外周円
207A1 穿孔板内周円
207B 三角形状突起
208 分離板
208A ローラシャフト用穴
208B 連結シャフト用穴
208C 分離面
208D 分離点
208E 分離車用穴
208F 分離車
208G 分離車溝
208H、208H1 分離車溝受け
209 穿孔ユニット
2010 側面ガイド板
2011 歯車付きシャフト
2012 ハンドル
212 掻き出しローラ
212A 掻き出し板
212B 掻き出しローラシャフト
214 掻き車
214A 掻き爪
214B 弾性橋
214C 弾性橋用間隙
214D 穿孔ローラシャフト用穴
214E 掻き車外周円
214F 滑り箇所
215 被掻き車
215A 受けローラシャフト用穴
215B 減容動作に伴う回転
3 駆動部
4 脚
5 側面投入ガイド
501 正面板
502 背面板
503 天板
504 左側面板
505 右側面板
506 投入口
507 ローラシャフト1
508 ローラシャフト2
509 ローラシャフト3
7 筒形投入ガイド
701 スリット
702 スリット間バリア
703 投入ローラ
8 気泡緩衝材
801 減容不可部
901 案内板
902 案内板シャフト
903 案内板レバー
904 本受け箱
905 仮受け箱
906 排出口
10 引き込み具
1001 支点
1002 力点
1003 作用点
1004 ストッパ
1005 ストッパ貫通孔
1101 手
1102 手首
1103 前腕
1104 肘関節
1105 上腕
12 受けローラシャフト台
1201 受けローラシャフト穴
1202 固定板
1203 固定ネジ
1204 固定レバー
13 補助受けローラ
14 補助受けローラシャフト台
1401 補助受けローラシャフト穴
68