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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009669
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】パウチ保持具
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/28 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
A47J43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111364
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】516208499
【氏名又は名称】宇留野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】宇留野 修
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053CA30
(57)【要約】
【課題】パウチの内容物の取出し作業等を容易とし、利便性を向上させたパウチ保持具を提供する。
【解決手段】パウチPの外周を囲う保持具本体1と、保持具本体1に設けられる挟持手段2と、を備え、挟持手段2は、パウチPに向かって所定の押圧力が付与されることで、保持具本体1と共にパウチPを挟持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチの外周を囲う保持具本体と、前記保持具本体に設けられる挟持手段と、を備え、
前記挟持手段は、前記パウチに向かって所定の押圧力が付与されることで、前記保持具本体と共に前記パウチを挟持する、パウチ保持具。
【請求項2】
前記挟持手段は、前記保持具本体と共に、前記パウチのサイドシール部を挟持可能に構成されている、請求項1に記載のパウチ保持具。
【請求項3】
前記挟持手段は、前記パウチの一方のサイドシール部を挟持するための第一挟持手段と、前記パウチの他方のサイドシール部を挟持するための第二挟持手段と、を有する、請求項2に記載のパウチ保持具。
【請求項4】
前記第一挟持手段と前記第二挟持手段とは、別体に構成され、
前記第一挟持手段及び第二挟持手段は、それぞれ、前記保持具本体から外部に露出する第一本体部及び第二本体部と、前記第一本体部及び第二本体部に連接される第一押圧部及び第二押圧部と、前記第一本体部及び第二本体部から上下方向に沿って延びる第一回動軸部及び第二回動軸部と、を含み、
前記第一本体部及び第二本体部は、それぞれ、前記第一回動軸部及び第二回動軸部が前記保持具本体に軸支されることで、前記第一回動軸部及び第二回動軸部周りに往復回動可能に構成され、
前記第一押圧部及び第二押圧部は、それぞれ、前記第一本体部及び第二本体部の回動動作でもって、前記サイドシール部を前記保持具本体に押圧する、請求項3に記載のパウチ保持具。
【請求項5】
前記第一挟持手段と前記第二挟持手段とは、隣接して設けられ、
前記第一本体部には、前記第二挟持手段に向かって延び、前記第二本体部の内側面と対向する連動突起が設けられ、
前記連動突起は、前記第一本体部の回動動作でもって前記第二本体部を押圧し、前記第一本体部の回動方向と逆方向に前記第二本体部を回動させる、請求項4に記載のパウチ保持具。
【請求項6】
前記連動突起が前記第二本体部に当接した状態において、前記第一回動軸部の中心軸から前記連動突起と前記第二本体部との当接部分までの距離は、前記第二回動軸部の中心軸から前記当接部分までの距離よりも長くなるように構成されている、請求項5に記載のパウチ保持具。
【請求項7】
前記第二押圧部には、前記サイドシール部に向かって突設された爪状突起が、上下方向に沿って複数設けられている、請求項4~6の何れかに記載のパウチ保持具。
【請求項8】
前記第一本体部及び第二本体部の少なくとも何れか一方には、その前後方向に貫通して形成された小窓部が設けられている、請求項4~6の何れかに記載のパウチ保持具。
【請求項9】
前記保持具本体には、前記パウチの一側面に向かって突設された伝熱突起が形成され、
前記伝熱突起は、前記パウチの加熱膨張時において、平面視における前記パウチの略中央に当接することで、前記パウチの一側面を窪ませる、請求項1~6の何れかに記載のパウチ保持具。
【請求項10】
前記保持具本体は、前記パウチが載置される載置部を有する、請求項1~6の何れかに記載のパウチ保持具。
【請求項11】
前記載置部における内側面には、前記パウチの底部に当接する複数の突条が設けられている、請求項10に記載のパウチ保持具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト食品等が収容されるパウチを保持する、パウチ保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レトルト食品やゼリー飲料等を包装するために、柔軟性のある包装体(所謂パウチ)が多用されてきた。
【0003】
パウチは、内容物が収容される空間を形成する本体部と、この本体部の外周をシールするシール部と、により構成されており、使用者は、シール部に設けられた切込みにより、パウチを開封することができる。
また、パウチによる包装は、密閉性や再封性に優れ、軽量であり、環境負荷の軽減にも繋がる等、様々なメリットがある。
【0004】
ここで、パウチに関する発明として、例えば、特許文献1には、食品などの内容物を蒸して調理することができ、均一な蒸しあがりを得ることのできる電子レンジ加熱用のパウチが記載されている。
【0005】
このパウチは、その内部に、調理される内容物のほか、内容物を挟んでその両側に水を充填した2個の独立した小パウチ構造が付帯しており、小パウチ構造には加熱によって水が気化してパウチ内部に通蒸する機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-210484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のようなパウチは、内容物や用途等に合わせて、自立するタイプ(所謂スタンディングパウチ)と自立しないタイプとが使い分けられているが、何れのタイプのパウチについても、以下のような問題点が存在する。
【0008】
即ち、使用者は、加熱されたパウチ(特に本体部)を素手で把持した際、火傷の恐れがあることから、しっかりと把持できず、左右に設けられた切り口が繋がるように綺麗に開封することが困難となる。
また、これにより、切り離せずに残存した開封部分が、内容物の取出しの際の障害となる等の問題点が発生することとなる。
【0009】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、パウチの内容物の取出し作業等を容易とし、利便性を向上させたパウチ保持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、パウチの外周を囲う保持具本体と、前記保持具本体に設けられる挟持手段と、を備え、
前記挟持手段は、前記パウチに向かって所定の押圧力が付与されることで、前記保持具本体と共に前記パウチを挟持する。
【0011】
本発明によれば、使用者は、パウチに直接触れることなく、保持具本体及び挟持手段を介してパウチを把持できるため、加熱後であっても、自身の手へ伝熱が抑制され、内容物の取出し作業が容易となる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記挟持手段は、前記保持具本体と共に、前記パウチのサイドシール部を挟持可能に構成されている。
【0013】
このような構成とすることで、使用者が、保持具本体及び挟持手段により、パウチを強く挟持した場合であっても、内容物の形状等に影響を与えず、パウチの開封時に内容物が飛び出す恐れもなくなる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記挟持手段は、前記パウチの一方のサイドシール部を挟持するための第一挟持手段と、前記パウチの他方のサイドシール部を挟持するための第二挟持手段と、を有する。
【0015】
このような構成とすることで、使用者は、保持具本体の内部に配置されたパウチを、より安定的に挟持・運搬等することが可能となる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記第一挟持手段と前記第二挟持手段とは、別体に構成され、
前記第一挟持手段及び第二挟持手段は、それぞれ、前記保持具本体から外部に露出する第一本体部及び第二本体部と、前記第一本体部及び第二本体部に連接される第一押圧部及び第二押圧部と、前記第一本体部及び第二本体部から上下方向に沿って延びる第一回動軸部及び第二回動軸部と、を含み、
前記第一本体部及び第二本体部は、それぞれ、前記第一回動軸部及び第二回動軸部が前記保持具本体に軸支されることで、前記第一回動軸部及び第二回動軸部周りに往復回動可能に構成され、
前記第一押圧部及び第二押圧部は、それぞれ、前記第一本体部及び第二本体部の回動動作でもって、前記サイドシール部を前記保持具本体に押圧する。
【0017】
このような構成とすることで、第一本体部及び第二本体部の回動動作でもって、各サイドシール部を挟持することができるため、例えばピストンのような直動動作による挟持と比較して、挟持手段の構成を簡素化しつつ、挟持状態の解除作業が容易となる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記第一挟持手段と前記第二挟持手段とは、隣接して設けられ、
前記第一本体部には、前記第二挟持手段に向かって延び、前記第二本体部の内側面と対向する連動突起が設けられ、
前記連動突起は、前記第一本体部の回動動作でもって前記第二本体部を押圧し、前記第一本体部の回動方向と逆方向に前記第二本体部を回動させる。
【0019】
このような構成とすることで、第一挟持手段を回動させるのみで、各サイドシール部を挟持することができるため、使用者は、片手での第一本体部の押圧作業のみでもって、パウチを安定的に挟持・運搬等することが可能となる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記連動突起が前記第二本体部に当接した状態において、前記第一回動軸部の中心軸から前記連動突起と前記第二本体部との当接部分までの距離は、前記第二回動軸部の中心軸から前記当接部分までの距離よりも長くなるように構成されている。
【0021】
このような構成とすることで、押圧力が直接的に伝わる第一押圧部と、連動突起を介して間接的に伝わる第二押圧部とで、各サイドシール部に付与される押圧力(挟持力)の差を減らし、片手での押圧作業のみであっても、よりパウチを安定的に挟持・運搬等することが可能となる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記第二押圧部には、前記サイドシール部に向かって突設された爪状突起が、上下方向に沿って複数設けられている。
【0023】
このような構成とすることで、第二押圧部に対向する一方のサイドシール部が挟持される際、各爪状突起に押圧されることとなり、一方のサイドシール部を、より強力に挟持することが可能となる。
【0024】
本発明の好ましい形態では、前記第一本体部及び第二本体部の少なくとも何れか一方には、その前後方向に貫通して形成された小窓部が設けられている。
【0025】
このような構成とすることで、パウチを保持具本体の内部に保持した状態であっても、小窓部を介して、パウチ表面の情報(賞味期限等)を確認することができ、本パウチ保持具の利便性が向上する。
【0026】
本発明の好ましい形態では、前記保持具本体には、前記パウチの一側面に向かって突設された伝熱突起が形成され、
前記伝熱突起は、前記パウチの加熱膨張時において、平面視における前記パウチの略中央に当接することで、前記パウチの一側面を窪ませる。
【0027】
このような構成とすることで、上記一側面に対向する保持具本体において、加熱後のパウチの熱を、伝熱突起に優先的に受けさせることができる。
このため、保持具本体の外側面の温度上昇が抑制されるため、使用者は、加熱後であっても、本パウチ保持具を把持し易くなる。
【0028】
本発明の好ましい形態では、前記保持具本体は、前記パウチが載置される載置部を有する。
【0029】
このような構成とすることで、サイドシール部を挟持しなくとも、保持具本体の内部に配置されたパウチを運搬することができる上、スタンディングパウチでないパウチであっても、安定的に立てた状態での運搬・保管等が可能となる。
【0030】
本発明の好ましい形態では、前記載置部における内側面には、前記パウチの底部に当接する複数の突条が設けられている。
【0031】
このような構成とすることで、載置部において、加熱後のパウチの熱を、各突条に優先的に受けさせることができる。
このため、載置部の外側面の温度上昇が抑制されるため、使用者は、加熱後であっても、本パウチ保持具をより把持し易くなる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、パウチの内容物の取出し作業等を容易とし、利便性を向上させたパウチ保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態に係るパウチ保持具の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るパウチ保持具の平面図である。
図3】本発明の実施形態に係るパウチ保持具の挟持手段を示す図であって、(a)平面図、(b)第二挟持手段の左側面図である。
図4】本発明の実施形態に係るパウチ保持具の挟持手段の動作説明図である。
図5】本発明の実施形態に係るパウチ保持具の使用方法の説明図である。
図6】本発明の実施形態に係るパウチ保持具の使用方法の説明図である。
図7】本発明の実施形態に係るパウチ保持具の使用方法の説明図である。
図8】本発明の実施形態に係るパウチ保持具の使用方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係るパウチ保持具について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号Xは、本実施形態に係るパウチ保持具を示す。
【0035】
<構成>
以下、図1図4を用いて、パウチ保持具Xの構成について説明する。
なお、以下説明の便宜上、図1に示すx軸方向を前後方向、y軸方向を左右方向、z軸方向を鉛直方向と称し、x軸方向における矢印側を前方、y軸方向における矢印側を左方、z軸方向における矢印側を上方と称する。
【0036】
図1に示すように、パウチ保持具Xは、パウチP(図5等参照)の外周を囲う保持具本体1と、保持具本体1に設けられる挟持手段2と、を備えている。
なお、保持具本体1及び挟持手段2は、それぞれ、耐熱性を有する素材(耐熱性樹脂等)により形成されることが好ましい。
【0037】
<<保持具本体1>>
図1及び図2に示すように、保持具本体1は、パウチPが載置される載置部11と、載置部11に連接された側壁部12と、を有している。
【0038】
載置部11は、左右方向に長い略長方形状の板状体として構成されている。
また、載置部11における内側面には、前記パウチの底部に当接する複数の突条jが設けられている。
【0039】
突条jは、前後方向に延びる細長の突起であり、左右方向に所定の間隔を置いて、複数設けられている。
【0040】
側壁部12は、パウチPの前側面と対向する前方壁部12aと、パウチPの後側面と対向する後方壁部12bと、含む。
【0041】
前方壁部12aは、載置部11の前端面に連接され、挟持手段2の下方に配置される基台部f1と、基台部f1から上方に立設された立設部f2と、により構成されている。
【0042】
基台部f1には、後述する第一挟持手段21における下方の第一回動軸部21c及び第二挟持手段22における下方の第二回動軸部22cが軸支される、一対の略円筒状の軸支孔(図示せず)が形成されている。
なお、上記各軸支孔は、それぞれ、後述する各軸支孔hと同軸上に形成されている。
【0043】
立設部f2は、正面視で、下方に開口した略コ字状の枠体として構成されている。
また、立設部f2の上部には、後述する第一挟持手段21における下方の第一回動軸部21c及び第二挟持手段22における下方の第二回動軸部22cが軸支される、一対の略円筒状の軸支孔hが設けられている。
さらに、立設部f2は、その左右両端から、後述する第一押圧部21b及び第二押圧部22bに向かって延びる、一対の回動抑制突起tが設けられている。
なお、基台部f1と、これに連接された枠体の立設部f2と、により、正面視で略長方形状の露出窓Wが形成されている。
【0044】
各回動抑制突起tは、上下方向に沿って延び、その後端が丸みを帯びて形成された細長の突起であり、これにより、第一押圧部21b及び第二押圧部22bの、過度な前方側への回動動作が抑制される。
【0045】
後方壁部12bは、全体として載置部11の内側面(上面)から立設されている。
また、後方壁部12bは、平面視で前方に開口した略コ字状の後方壁部本体r1と、後方壁部本体r1の両端から左右方向に沿って延びる一対の挟持壁部r2と、各挟持壁部r2から後方に延び、平面視で略L字状の一対の補助壁部r3と、により構成されている。
【0046】
後方壁部本体r1には、平面視における略中央に、前方に向かって突設され、且つ上下方向に沿って延びる伝熱突起mが形成されている。
なお、伝熱突起mの先端(前端面)は、丸みを帯びた形状となされている。
【0047】
各挟持壁部r2は、後述する第一押圧部21b及び第二押圧部22bと共に、パウチPの右サイドシール部Pr(図5等参照)、左サイドシール部Pl(図5等参照)を挟持する。
【0048】
各補助壁部r3は、パウチ保持具X全体の堅牢性を向上させると共に、挟持手段2と共に一定の収容空間を形成し、パウチPの載置状態の安定性を向上させる。
また、各補助壁部r3により、パウチPを上方から載置部11に載置した際、各サイドシール部Pr、Plが、後方壁部本体r1と各挟持壁部r2との間に入ることなく、スムーズに、各挟持壁部r2と、第一押圧部21b及び第二押圧部22bと、の間に配置される。
【0049】
なお、保持具本体1は、上記構成により、上方に加え、左側方及び右側方(各回動抑制突起tと挟持壁部r2との間)が部分的に開放された構成となされている。
【0050】
<<挟持手段2>>
図3に示すように、挟持手段2は、パウチPの右サイドシール部Prを挟持するための第一挟持手段21と、第一挟持手段21と別体に構成され、パウチPの左サイドシール部Plを挟持するための第二挟持手段22と、を有している。
【0051】
第一挟持手段21は、その外側面が露出窓Wから外部に露出する第一本体部21aと、第一本体部21aに連接される第一押圧部21bと、第一本体部21aから上下方向に沿って延びる第一回動軸部21cと、を含む。
【0052】
第一本体部21aには、第二挟持手段22に向かって延び、第二本体部22aの内側面(後述する受圧板部R)と対向する連動突起Tが設けられている。
また、第一本体部21aには、特に図1に示すように、その前後方向に貫通して形成された小窓部wと、その外側面の右方上部に形成された円形状の窪み部gと、が設けられている。
なお、窪み部gは、第一回動軸部21cよりも右方に配置されている。
【0053】
第一押圧部21bは、挟持壁部r2と略同一の高さに構成された、略長方形状の薄板状体であり、その後側面が、右方の挟持壁部r2と対向している。
【0054】
第一回動軸部21cは、第一本体部21aの上方及び下方それぞれから突設された略円柱状体であり、上方の第一回動軸部21cと下方の第一回動軸部21cとは、同軸上に形成されている。
また、上方の第一回動軸部21cは、右方の軸支孔hに挿通され、下方の第一回動軸部21cは、基台部f1の図示しない右方の軸支孔に挿通されている。
【0055】
第二挟持手段22は、第一挟持手段21と同様に、その外側面が露出窓Wから外部に露出する第二本体部22aと、第二本体部22aに連接される第二押圧部22bと、第二本体部22aから上下方向に沿って延びる第二回動軸部22cと、を含む。
【0056】
第二本体部22aの一部は、第一挟持手段21に向かって延び、連動突起Tの外側面と対向する、薄板状体の受圧板部Rとして形成されている。
また、第二本体部22aは、その外側面が、第一本体部21aと異なり平坦であるが、第一本体部21aと同様に小窓部wが設けられていても良い。
【0057】
第二押圧部22bは、挟持壁部r2と略同一の高さに構成された、略長方形状の薄板状体であり、その後側面が、左方の挟持壁部r2と対向している。
また、第二押圧部22bには、左サイドシール部Plに向かって突設された爪状突起kが設けられている。
【0058】
爪状突起kは、上下方向に沿って複数設けられており、それぞれが、下端部が鋭利となるように、左側面視で略台形状を呈している。
また、各爪状突起kは、平面視で、左方から右方に向かうに伴って、漸次後方に向かって傾斜していくように構成されている。
【0059】
第二回動軸部22cは、第二本体部22aの上方及び下方それぞれから突設された略円柱状体であり、上方の第二回動軸部22cと下方の第二回動軸部22cとは、同軸上に形成されている。
また、上方の第二回動軸部22cは、左方の軸支孔hに挿通され、下方の第一回動軸部22cは、基台部f1の図示しない左方の軸支孔に挿通されている。
【0060】
上記のように構成された挟持手段2は、図4に示すように動作する。
【0061】
即ち、図4(a)に示す状態から、使用者が、自身の指で窪み部gを押圧することで、第一挟持手段21が、第一回動軸部21c周りに、平面視で反時計回りに回動する。
これにより、連動突起Tの外側面が受圧板部Rの内側面に当接する。
【0062】
そして、第一挟持手段21の回動動作でもって受圧板部Rが押圧されることで、第二挟持手段22が、第二回動軸部22c周りに、平面視で時計回りに回動し、図4(b)に示す状態となる。
このように、連動突起T(及び受圧板部R)でもって、第一挟持手段21と第二挟持手段22とが連動して回動する。
【0063】
ここで、図4(b)に示すように、第一回動軸部21cの中心軸p1から連動突起Tと受圧板部Rとの当接部分sまでの距離d1は、第二回動軸部22cの中心軸p2から当接部分sまでの距離d2よりも長くなるように構成されている。
【0064】
<使用方法>
以下、図5図9を用いて、パウチ保持具Xの使用方法について説明する。
なお、図6は、図5におけるQQ´線断面図である。
【0065】
ここで、本実施形態におけるパウチPは、一般的なパウチと同様に、樹脂等の素材で形成され、内容物が収容される空間を形成された本体部P1と、本体部P1の外周をシールするシール部P2と、により構成されている。
また、左右側方上部それぞれに、切込みnが設けられており、特に、右方の切込みnが設けられている側方のシール部P2を右サイドシール部Pr、左方の切込みnが設けられている側方のシール部を左サイドシール部Pl、と称することとする。
さらに、本体部P1の前側面の右下部には、賞味期限表示部zが設けられている。
【0066】
なお、本実施形態において、パウチ保持具Xにより保持されるパウチPの内容物は、レトルトのミートボールM及びソースS(図6等参照)であるが、特にこれに限られず、カレーやパスタソース、スープ等どのような食品であっても良い。
また、パウチ保持具Xは、シャンプーやリンスの詰め替え容器等、内容物が食品ではないパウチを保持するために用いられても良い。
【0067】
まず、使用者は、図5に示すように、載置部11にパウチPを載置し、パウチ保持具X
を電子レンジ内部に載置し、加熱を開始する。
なお、使用者は、図5に示す状態とすることで、パウチPを、冷蔵庫の内部や台所下部の収納空間、浴室棚等所定の場所に安定的に配置しておくこともできる。
【0068】
加熱によりパウチPが膨張することで、パウチ保持具X及びパウチPは、図6(a)から図6(b)に示す状態となる。
即ち、パウチPの膨張により、パウチPの後側面の略中央が伝熱突起mに当接し、後側面が部分的に窪んだ状態となる。
【0069】
これにより、パウチPの後側面は、伝熱突起mにのみ当接し、後方壁部本体r1の内側面から離間した状態となる。
なお、このとき、パウチPの前側面は、第一挟持手段21をやや前方に押圧する。
【0070】
加熱が終了した後、使用者は、パウチ保持具X及びパウチPを電子レンジから取出し、何れか一方(本実施形態においては左方)の切込みnを契機に、パウチPを開封する。
なお、このとき、図7においても示すように、開封部分(切込みnより上方の部分)を本体部P1から完全に離間させる必要はない。
【0071】
パウチPを開封した後、使用者は、パウチ保持具Xを、図6(b)から図6(c)に示す状態とする。
即ち、図4を用いて説明したように、使用者は、保持具本体1を把持しつつ、自身の指で窪み部gを押圧する(矢印a1)ことで、第一挟持手段21及び第二挟持手段22を同時に回動させる(矢印a2)。
なお、後述する作業を考慮すると、使用者は、右手で保持具本体1を把持し、右手の親指で窪み部gを押圧することが好ましい。
【0072】
これにより、第一押圧部21bと右方の挟持壁部r2とで、右サイドシール部Prが挟持され、第二押圧部22b(各爪状突起k)と左方の挟持壁部r2とで、左サイドシール部Plが挟持されることで、保持具本体1内部でのパウチPの動きが拘束される。
なお、左サイドシール部Plへの挟持力を向上させる観点から、左サイドシール部Plを挟持した際、各爪状突起kの平面視における傾斜方向と、各爪状突起kに対向する左方の挟持壁部r2の面方向とが、略平行となるように構成することが好ましい。
【0073】
最後に、使用者は、上記の通り右手でパウチPの拘束状態を維持したまま、図7に示すように、左手で開封部分を把持し、右手でパウチ保持具Xを回転させ、パウチPの開口を下方に向ける(矢印a3)。
【0074】
これにより、パウチPの内容物(ミートボールM及びソースS)が排出され(矢印a4)、使用者は、所望の容器にこれら内容物を移していくことができる。
【0075】
<効果>
本実施形態のパウチ保持具Xによれば、以下の効果を奏する。
【0076】
<<主な効果>>
即ち、本実施形態によれば、使用者は、本体部P1に直接触れることなく、保持具本体1及び挟持手段2を介してパウチPを把持できるため、加熱後であっても、自身の手へ伝熱が抑制され、内容物の取出し作業が容易となる。
【0077】
また、挟持手段2は、保持具本体1と共に、パウチPの各サイドシール部Pl、Prを挟持可能に構成されていることで、使用者が、保持具本体1及び挟持手段2により、パウチPを強く挟持した場合であっても、ミートボールMの形状等に影響を与えず、パウチPの開封時に内容物が飛び出す恐れもなくなる。
【0078】
また、第一挟持手段21及び第二挟持手段22により、使用者は、保持具本体1の内部に配置されたパウチPを、より安定的に挟持・運搬等することが可能となる。
【0079】
また、第一挟持手段21及び第二挟持手段22における、回動動作可能となる具体的構成により、例えばピストンのような直動動作による挟持と比較して、挟持手段2の構成を簡素化しつつ、挟持状態の解除作業が容易となる。
【0080】
また、連動突起T(及び受圧板部R)により、使用者は、片手での第一本体部21aの押圧作業のみでもって、パウチPを安定的に挟持・運搬等することが可能となる。
【0081】
また、距離d1が距離d2よりも長くなるように構成されていることで、各サイドシール部Pr、Plに付与される押圧力(挟持力)の差を減らし、片手での押圧作業のみであっても、よりパウチPを安定的に挟持・運搬等することが可能となる。
【0082】
また、複数の爪状突起kにより、左サイドシール部Plを、より強力に挟持することが可能となる。
【0083】
また、第一本体部21aに小窓部wが設けられていることで、使用者は、小窓部wを介して、パウチPの賞味期限表示部zを確認することが可能となる。
【0084】
また、伝熱突起mにより、後方壁部12bの外側面の温度上昇が抑制されるため、使用者は、加熱後であっても、パウチ保持具Xを把持し易くなる。
【0085】
また、保持具本体1が載置部11を有することで、各サイドシール部Pr、Plを挟持しなくとも、保持具本体1の内部に配置されたパウチPを運搬することができる上、スタンディングパウチでないパウチであっても、安定的に立てた状態での運搬・保管等が可能となる。
【0086】
また、載置部に設けられた各突条jにより、載置部11の外側面の温度上昇が抑制されるため、使用者は、加熱後であっても、パウチ保持具Xをより把持し易くなる。
【0087】
<<その他の効果>>
この他、本実施形態のパウチ保持具Xによれば、以下の効果も奏する。
【0088】
即ち、上記内容物を排出した後のパウチPは、通常、特にその開口端や開封部分にソースSが付着する。
特に、パウチPがスタンディングパウチでない場合、使用者は、ソースSが他の箇所へ付着することを防止するにあたって、パウチPの置き場所に難儀する。
【0089】
このところ、パウチ保持具Xを用いれば、パウチPを立てた状態で保持させられるため、使用者は、図8に示すように、内容物を排出した後、パウチPを所望の場所に載置しておくことができる。
【0090】
また、上記と同様に、パウチPがスタンディングパウチでない場合、使用者は、電子レンジでの加熱時において、加熱ムラ等を防止するために、別途一定の深さの容器の中に、パウチPを立てておく必要がある。
そして、使用者は、加熱された内容物を取出す際、衛生上の観点から、パウチPの外面と接触する上記容器とは別の容器を用意しておき、この容器に内容物を移し替える作業が必要となり、加熱作業自体に手間がかかる上、余計な洗い物が増えることとなる。
【0091】
このところ、パウチ保持具Xを用いれば、上記した使用方法の通り、加熱作業を簡易なものとし、容器を複数用意する必要もなくなるため、内容物を食する際や片付ける際等の利便性が大きく向上する。
【0092】
また、上記内容物を排出した後、パウチPを処分する際も、使用者は、ゴミ袋等にパウチPの開口を向けて、第一挟持手段21の左方や第二挟持手段22の右方を押圧することで、挟持状態を解除し、スムーズにパウチPをゴミ袋等に廃棄する(落下させる)ことができる。
【0093】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0094】
例えば、本実施形態においては、第一挟持手段21が右方、第二挟持手段22が左方に配置されている構成としたが、これとは逆に、第一挟持手段21が左方、第二挟持手段22が右方に配置される構成としても良い。
【符号の説明】
【0095】
X パウチ保持具
1 保持具本体
11 載置部
12 側壁部
2 挟持手段
21 第一挟持手段
22 第二挟持手段
P パウチ
M ミートボール
S ソース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8