(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096692
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】クマリン系架橋試薬
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20240709BHJP
G01N 33/532 20060101ALI20240709BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240709BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240709BHJP
C12N 9/04 20060101ALI20240709BHJP
C12N 9/16 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G01N33/53 J
G01N33/532 A
C07K16/00
C12N15/11 Z
C12N9/04
C12N9/16 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024038577
(22)【出願日】2024-03-13
(62)【分割の表示】P 2021514981の分割
【原出願日】2019-09-18
(31)【優先権主張番号】62/733,814
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】511286517
【氏名又は名称】ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ラフィーバー, マーク
(72)【発明者】
【氏名】メイ, エリック
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本明細書に開示されるのは、新規のクマリン系試薬、例えばリンカー、および開示されるクマリン系試薬の1つ以上を含むコンジュゲートである。
【解決手段】いくつかの実施形態では、クマリン系試薬内のクマリン部分の存在は、典型的には検出が困難である標識、例えば特定のハプテンの検出を可能にする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IA)または(IB):
(式中、
AおよびBは、独立して、反応性官能基、検出可能な標識、または酵素反応性部分であり、
L
1およびL
2はリンカーであり、
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
Zは結合、-CH-基、-CH-CH
2-基、または-CH
2-CH-基であり、
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
のいずれかの構造によって定義される、化合物。
【請求項2】
AおよびBの両方が反応性官能基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが反応性官能基であり、Bが検出可能な標識である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記検出可能な標識がハプテン、色素原、またはフルオロフォアである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記ハプテンが、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素、ローダミンチオ尿素以外のチオ尿素、ジニトロフェニルまたはトリニトロフェニル以外のニトロアリール、ロテノイド、シクロリグナン、ヘテロビアリール、アゾアリール、およびベンゾジアゼピンからなる群から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Aが、チラミド部分、チラミド部分の誘導体である部分、およびキノンメチド前駆体部分からなる群から選択される酵素反応性部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記酵素反応性部分が式(VIIA):
(式中、各R
11基は、Hまたは1~4個の炭素原子を有する低級アルキル基から独立して選択され、かつ式中、R
xは、HまたはC
1~C
4アルキル基である)
の構造を有する、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
前記酵素反応性部分が式(VIIIA):
(式中、
R
2は、ホスフェート、アミド、ニトロ、尿素、スルフェート、メチル、エステル、ベータ-ラクタム、または糖から選択される基であり、
R
13はハロゲン化物であり、
R
15、R
16、R
17、およびR
18は、水素または1~4個の炭素原子を有する脂肪族基から独立して選択され、
R
14は、-(CH
2)
wNH-、-O(CH
2)
wNH-、-N(H)C(O)(CH
2)
wNH-、-C(O)N(H)(CH
2)
wNH-、-(CH
2)
wO-、-O(CH
2)
wO-、-O(CH
2CH
2O)
w-、-N(H)C(O)(CH
2)
wO-、-C(O)N(H)(CH
2)
wO-、-C(o)N(H)(CH
2CH
2O)
w-、-(CH
2)
wS-、-O(CH
2)
wS-、-N(H)C(O)(CH
2)
wS-、-C(O)N(H)(CH
2)
wS-、-(CH
2)
wNH-、-C(O)N(H)(CH
2CH
2O)
wCH
2CH
2NH、-C(O)(CH
2CH
2O)
wCH
2CH
2NH-、-C(O)N(H)(CH
2)NHC(O)CH(CH
3)(CH
2)
wNH-、または-N(H)(CH
2)
wNH-であり、式中、wは1~12の範囲の整数である)
によって提供される構造を有する、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
Bがハプテンである、請求項6~8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
Bがクリックケミストリー反応に関与することができる反応性基である、請求項6~8のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
前記クリックケミストリー反応に関与することができる基が、DBCO基、アジド、TCO基、アルケン基、またはテトラジン基である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Wが式(IVA)または(IVB):
(式中、Qは結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC
1~C
16アルキル基、-[(CH
2CH
2)
j-O]
k-CH
2-、-[(CH
2)
j-O]
k-CH
2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-R
x-;-C(O)-N-R
x-;または-N-R
x-C(O)-であり、R
xはHまたはC
1~C
4アルキル基であり、Yは置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分である)
のいずれかの構造を有する、請求項1~11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
前記置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分が、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NRxRy;-S-Rx;-SO2;-SO2Cl;-SO3H;-SO4H;-SO2NRxRy;-N(H)-NRxRy;および-NRxRyからなる群から選択される1つ以上の部分を含み、かつ式中、RxおよびRyは独立してHまたはC1~C4アルキル基である、請求項1~11のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
Wが式(VA)または(VB):
(式中、式(VA)の部分は、0、1、2、3、または4個のR
t基で置換されてもよく、式(VB)の化合物は、0、1、2、3、4、または5個のR
t基で置換されてもよく、各R
tは、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
12アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
12アルコキシ基、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
12ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NR
xR
y;-S-R
x;-SO
2;-SO
2Cl;-SO
3H;-SO
4H;-SO
2NR
xR
y;-N(H)-NR
xR
y;-NR
xR
yから独立して選択され、かつ式中、R
xおよびR
yは独立してHまたはC
1~C
4アルキル基であり、
R
1は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH
2-、-N(R
x)-、または-S-であり、
R
5は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC
1~C
16アルキル基;-[(CH
2)
j-O]
k-CH
2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-R
x-;-C(O)-N-R
x-;または-N-R
x-C(O)-であり、式中、R
xはHまたはC
1~C
4アルキル基である)
のいずれかの構造を有する、請求項1~11のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
Wが式(VC)または(VD):
(式中、
R
2、R
3、R
4、R
6、およびR
7は、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NR
xR
y;-S-R
x;-SO
2;-SO
2Cl;-SO
3H;-SO
4H;-SO
2NR
xR
y;-N(H)-NR
xR
y;-NR
xR
yから独立して選択され、
R
5は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
R
1は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH
2-、-N(R
x)-、または-S-であり、
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC
1~C
16アルキル基;-[(CH
2)
j-O]
k-CH
2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-R
x-;-C(O)-N-R
x-;または-N-R
x-C(O)-であり、
式中、各R
xおよびR
yは、独立してHまたはC
1~C
4アルキル基である)
のいずれかの構造を有する、請求項1~11のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
各L
1および/またはL
2基が独立して式(VIA):
(式中、
fは0または1~24の範囲の整数であり、
jは1~24の範囲の整数であり、
R
8は結合またはO、S、-N(R
c)(R
d)、または-N
+(R
c)(R
d)(R
e)であり、
R
aおよびR
bは独立してH、C
1~C
4アルキル基、F、Cl、または-N(R
c)(R
d)であり、
R
c、R
d、およびR
eは、HまたはC
1~C
4アルキル基から独立して選択され、
R
9およびR
10は、独立して、結合、または最大6個の炭素原子を有し、カルボニル、アミド、イミド、エステル、エーテル、アミン、チオン、またはチオールを含む基である)
を有する、請求項1~15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
式(IXA)または(IXB):
(式中、
Tは、特異的結合実体、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、薬物、脂質、またはナノ粒子から選択される置換基であり、
R
zは検出可能な標識であり、
oは1~10の範囲の整数であり、
L
1およびL
2はリンカーであり、
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
Zは結合、-CH-基、-CH-CH
2-基、または-CH
2-CH-基であり、
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
のいずれかの構造によって定義される、化合物。
【請求項18】
Tが抗体である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
前記抗体が一次抗体である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記抗体が二次抗体である、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
Tが核酸である、請求項17に記載の化合物。
【請求項22】
Rzがハプテンである、請求項17~21のいずれかに記載の化合物。
【請求項23】
Rzが酵素である、請求項17~21のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
前記酵素が、ペルオキシダーゼおよびホスファターゼからなる群から選択される、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
Wが式(VC)または(VD):
(式中、
R
2、R
3、R
4、R
6、およびR
7は、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NR
xR
y;-S-R
x;-SO
2;-SO
2Cl;-SO
3H;-SO
4H;-SO
2NR
xR
y;-N(H)-NR
xR
y;-NR
xR
yから独立して選択され、
R
5は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
R
1は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH
2-、-N(R
x)-、または-S-であり、
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC
1~C
16アルキル基;-[(CH
2)
j-O]
k-CH
2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-R
x-;-C(O)-N-R
x-;または-N-R
x-C(O)-であり、
式中、各R
xおよびR
yは、独立してHまたはC
1~C
4アルキル基である)
のいずれかの構造を有する、請求項17~23のいずれかに記載の化合物。
【請求項26】
各L
1および/またはL
2基が独立して式(VIA):
(式中、
fは0または1~24の範囲の整数であり、
jは1~24の範囲の整数であり、
R
8は結合またはO、S、-N(R
c)(R
d)、または-N
+(R
c)(R
d)(R
e)であり、
R
aおよびR
bは独立してH、C
1~C
4アルキル基、F、Cl、または-N(R
c)(R
d)であり、
R
c、R
d、およびR
eは、HまたはC
1~C
4アルキル基から独立して選択され、
R
9およびR
10は、独立して、結合、または最大6個の炭素原子を有し、カルボニル、アミド、イミド、エステル、エーテル、アミン、チオン、またはチオールを含む基である)
を有する、請求項17~25のいずれかに記載の化合物。
【請求項27】
生物学的サンプル内の1つ以上の標的を検出する方法であって、
(a)前記生物学的サンプル内の前記標的のうちの1つの第1の標的を、前記第1の標的に特異的な一次抗体で標識することと、
(b)式(IXC)または(IXD):
(式中、
Abは二次抗体であり、
R
zは検出可能な標識であり、
oは1~10の範囲の整数であり、
L
1およびL
2はリンカーであり、
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
Zは結合、-CH-基、-CH-CH
2-基、または-CH
2-CH-基であり、
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)のいずれかの化合物と前記サンプルを接触させることと、
(c)前記サンプルを1つ以上の試薬と接触させて、前記検出可能な標識R
zを検出することと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記Abが抗一次抗体抗体である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記一次抗体がハプテンに複合化されており、かつAbが抗ハプテン抗体である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、請求項20、および22~26のいずれかの化合物である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
生物学的サンプル内の1つ以上の標的を検出する方法であって、
(a)前記生物学的サンプル内の前記標的のうちの1つの第1の標的を、前記サンプルを酵素を含むコンジュゲートおよび前記第1の標的に特異的な一次抗体と接触させることにより、酵素で標識することと、
(b)式(IA)または(IB):
(式中、
Aは酵素反応性部分であり、
Bは検出可能な標識であり、
L
1およびL
2はリンカーであり、
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
Zは結合、-CH-基、-CH-CH
2-基、または-CH
2-CH-基であり、
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)のいずれかの化合物と前記サンプルを接触させることと、
(c)前記サンプルを1つ以上の試薬と接触させて、前記検出可能な標識Bを検出することと、
を含む、方法。
【請求項32】
前記Wが式(VC)または(VD):
(式中、
R
2、R
3、R
4、R
6、およびR
7は、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NR
xR
y;-S-R
x;-SO
2;-SO
2Cl;-SO
3H;-SO
4H;-SO
2NR
xR
y;-N(H)-NR
xR
y;-NR
xR
yから独立して選択され、
R
5は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
R
1は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH
2-、-N(R
x)-、または-S-であり、
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC
1~C
16アルキル基;-[(CH
2)
j-O]
k-CH
2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-R
x-;-C(O)-N-R
x-;または-N-R
x-C(O)-であり、
式中、各R
xおよびR
yは、独立してHまたはC
1~C
4アルキル基である)
のいずれかの構造を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
式(IA)または(IB)のいずれかの前記化合物が少なくとも15,000M-1cm-1の吸光係数を有する、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が、請求項6から11のいずれかに記載の化合物である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
Wが式(IVA)または(IVB):
(式中、Qは結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC
1~C
16アルキル基、-[(CH
2CH
2)
j-O]
k-CH
2-、-[(CH
2)
j-O]
k-CH
2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-R
x-;-C(O)-N-R
x-;または-N-R
x-C(O)-であり、R
xはHまたはC
1~C
4アルキル基であり、Yは置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分である)
のいずれかの構造を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分が、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NRxRy;-S-Rx;-SO2;-SO2Cl;-SO3H;-SO4H;-SO2NRxRy;-N(H)-NRxRy;および-NRxRyからなる群から選択される1つ以上の部分を含み、かつ式中、RxおよびRyは独立してHまたはC1~C4アルキル基である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
Wが式(VA)または(VB):
(式中、式(VA)の部分は、0、1、2、3、または4個のR
t基で置換されてもよく、式(VB)の化合物は、0、1、2、3、4、または5個のR
t基で置換されてもよく、各R
tは、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
12アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
12アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
12ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NR
xR
y;-S-R
x;-SO
2;-SO
2Cl;-SO
3H;-SO
4H;-SO
2NR
xR
y;-N(H)-NR
xR
y;-NR
xR
yから独立して選択され、かつ式中、R
xおよびR
yは独立してHまたはC
1~C
4アルキル基であり、
R
1は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH
2-、-N(R
x)-、または-S-であり、
R
5は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC
1~C
16アルキル基;-[(CH
2)
j-O]
k-CH
2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-R
x-;-C(O)-N-R
x-;または-N-R
x-C(O)-であり、式中、R
xはHまたはC
1~C
4アルキル基である)
のいずれかの構造を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記Wが式(VC)または(VD):
(式中、
R
2、R
3、R
4、R
6、およびR
7は、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NR
xR
y;-S-R
x;-SO
2;-SO
2Cl;-SO
3H;-SO
4H;-SO
2NR
xR
y;-N(H)-NR
xR
y;-NR
xR
yから独立して選択され、
R
5は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
R
1は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH
2-、-N(R
x)-、または-S-であり、
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC
1~C
16アルキル基;-[(CH
2)
j-O]
k-CH
2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-R
x-;-C(O)-N-R
x-;または-N-R
x-C(O)-であり、
式中、各R
xおよびR
yは、独立してHまたはC
1~C
4アルキル基である)
のいずれかの構造を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
各L
1および/またはL
2基が独立して式(VIA):
(式中、
fは0または1~24の範囲の整数であり、
jは1~24の範囲の整数であり、
R
8は結合またはO、S、-N(R
c)(R
d)、または-N
+(R
c)(R
d)(R
e)であり、
R
aおよびR
bは独立してH、C
1~C
4アルキル基、F、Cl、または-N(R
c)(R
d)であり、
R
c、R
d、およびR
eは、HまたはC
1~C
4アルキル基から独立して選択され、
R
9およびR
10は、独立して、結合、または最大6個の炭素原子を有し、かつカルボニル、アミド、イミド、エステル、エーテル、アミン、チオン、またはチオールを含む基である)
を有する、請求項34~38のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
免疫組織化学(IHC)は、特定の抗原に特異的な抗体を使用して、生物学的サンプル中のタンパク質などの抗原を検出、局在化、および/または定量化するプロセスを指す。IHCは、特定のタンパク質が組織サンプル内のどこにあるかを正確に特定するという実質的な利点を提供する。組織自体を調べるのにも効果的な方法である。in situハイブリダイゼーション(ISH)は、核酸を検出、局在化、および定量化するプロセスを指す。IHCとISHはどちらも、組織(新鮮凍結、ホルマリン固定、パラフィン包埋など)および細胞学的サンプルなどの様々な生物学的サンプルに対して実施することができる。標的の認識は、標的が核酸であるか抗原であるかに関わらず、様々な標識(例えば、発色性、蛍光性、発光性、放射性)を使用して検出することができる。臨床現場で標的を確実に検出し、場所を特定し、定量化するには、診断目的で存在量の少ない細胞マーカーを確実に検出する機能がますます重要になるため、認識イベントの増幅が望まれている。例えば、単一の抗原検出イベントに応答してマーカーの部位に数百または数千の標識分子を沈着させると、増幅を通じて、その認識イベントを検出する能力が増強される。
【0002】
組織の抗原および核酸を検出するためにハプテンなどの小分子を使用することは、IHCの主要な方法になっている。ハプテンは、抗ハプテン抗体と組み合わせて、特定の分子標的を検出するのに役立つ。例えば、一次抗体および核酸プローブなどの特異的結合部分は、1つ以上のハプテン分子で標識することができ、これらの特異的結合部分がそれらの分子標的に結合すると、発色ベースの検出システムまたは蛍光標識などの検出可能な標識の一部としての酵素を含む抗ハプテン抗体コンジュゲートを使用して検出することができる。検出可能な抗ハプテン抗体コンジュゲートのサンプルへの結合は、サンプル中の標的の存在を示す。
【0003】
一部のハプテンは検出が困難であり、その結果、ハプテン負荷において一般的に過大評価されて、コンジュゲート濃度の過小評価につながると考えられている。
【発明の概要】
【0004】
【0005】
(式中、
【0006】
AおよびBは、独立して、反応性官能基、検出可能な標識、または酵素反応性部分であり、
【0007】
L1およびL2はリンカーであり、
【0008】
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
【0009】
Zは結合、-CH-基、-CH-CH2-基、または-CH2-CH-基であり、
【0010】
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
のいずれかの構造によって定義される化合物である。
【0011】
いくつかの実施形態においては、AおよびBの両方が反応性官能基(例えば、カルボン酸基)である。いくつかの実施形態においては、Aは反応性官能基であり、Bは検出可能な標識である。いくつかの実施形態においては、検出可能な標識はハプテン、色素原、またはフルオロフォアである。いくつかの実施形態では、Bはハプテンである。いくつかの実施形態において、ハプテンは、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素、ローダミンチオ尿素以外のチオ尿素、ジニトロフェニルまたはトリニトロフェニル以外のニトロアリール、ロテノイド、シクロリグナン、ヘテロビアリール、アゾアリール、およびベンゾジアゼピンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ハプテンは、ベンゾフランハプテンおよびチアゾールスルホンアミドハプテンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ハプテンは、5-ニトロ-3-ピラゾールカルバミド(NP)、2-アセトアミド-4-メチル-5-チアゾールスルホンアミド(TS)、7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボン酸(carboxyylic acid)(DCC)、および2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-5-カルバミド(BF)からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、Aは、チラミド部分、チラミド部分の誘導体である部分、およびキノンメチド前駆体部分からなる群から選択される酵素反応性部分である。
【0012】
いくつかの実施形態において、式(IA)または(IB)のいずれかの化合物は、少なくとも10,000M-1cm-1の吸光係数を有する。いくつかの実施形態において、式(IA)または(IB)のいずれかの化合物は、少なくとも15,000M-1cm-1の吸光係数を有する。さらに他の実施形態において、式(IA)または(IB)のいずれかの化合物は、少なくとも20,000M-1cm-1の吸光係数を有する。いくつかの実施形態において、式(IA)または(IB)のいずれかの化合物は、少なくとも25,000M-1cm-1の吸光係数を有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分は式(VIIA):
【0014】
(式中、各R11基は、Hまたは1~4個の炭素原子を有する低級アルキル基から独立して選択され、かつ式中、Rxは、HまたはC1~C4アルキル基である)
の構造を有する。
【0015】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分は式(VIIIA):
(式中、
【0016】
R2は、ホスフェート、アミド、ニトロ、尿素、スルフェート、メチル、エステル、ベータ-ラクタム、または糖から選択される基であり、
【0017】
R13はハロゲン化物であり、
【0018】
R15、R16、R17、およびR18は、水素または1~4個の炭素原子を有する脂肪族基から独立して選択され、
【0019】
R14は、-(CH2)wNH-、-O(CH2)wNH、-N(H)C(O)(CH2)wNH-、-C(O)N(H)(CH2)wNH-、-(CH2)wO-、-O(CH2)wO-、-O(CH2CH2O)w-、-N(H)C(O)(CH2)wO-、-C(O)N(H)(CH2)wO-、-C(o)N(H)(CH2CH2O)w-、-(CH2)wS-、-O(CH2)wS-、-N(H)C(O)(CH2)wS-、-C(O)N(H)(CH2)wS-、-(CH2)wNH-、-C(O)N(H)(CH2CH2O)wCH2CH2NH、-C(O)(CH2CH2O)wCH2CH2NH-、-C(O)N(H)(CH2)NHC(O)CH(CH3)(CH2)wNH-、または-N(H)(CH2)wNH-であり、wは1~12の範囲の整数である)
によって提供される構造を有する。
【0020】
いくつかの実施形態において、Bはクリックケミストリー反応に関与することができる反応性基(例えば、アジド基)である。いくつかの実施形態において、クリックケミストリー反応に関与することができる基は、DBCO基、アジド、TCO基、アルケン基、またはテトラジン基である。
【0021】
いくつかの実施形態において、Wは式(IVA)または(IVB):
【0022】
(式中、Qは結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC1~C16アルキル基、-[(CH2CH2)j-O]k-CH2-、-[(CH2)j-O]k-CH2-(式中、jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-Rx-;-C(O)-N-Rx-;または-N-Rx-C(O)-であり、RxはHまたはC1~C4アルキル基であり、Yは置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分である)。いくつかの実施形態において、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分が、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルキル基、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NRxRy;-S-Rx;-SO2;-SO2Cl;-SO3H;-SO4H;-SO2NRxRy;-N(H)-NRxRy;および-NRxRyからなる群から選択される1つ以上の部分を含み、かつ式中、RxおよびRyは独立してHまたはC1~C4アルキル基である)
のいずれかの構造を有する。
【0023】
いくつかの実施形態において、Wは式(VA)または(VB):
【0024】
(式中、式(VA)の部分は、0、1、2、3、または4個のRt基で置換されてもよく、式(VB)の化合物は、0、1、2、3、4、または5個のRt基で置換されてもよく、各Rtは、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C12アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C12アルコキシ基、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C12ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NRxRy;-S-Rx;-SO2;-SO2Cl;-SO3H;-SO4H;-SO2NRxRy;-N(H)-NRxRy;-NRxRyから独立して選択され、かつ式中、RxおよびRyは独立してHまたはC1~C4アルキル基であり、
【0025】
R1は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH2-、-N(Rx)-、または-S-であり、
【0026】
R5は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
【0027】
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC1~C16アルキル基;-[(CH2)j-O]k-CH2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-Rx-;-C(O)-N-Rx-;または-N-Rx-C(O)-(RxはHまたはC1~C4アルキル基である)である)
のいずれかの構造を有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、Wは式(VC)または(VD):
【0029】
(式中、
【0030】
R2、R3、R4、R6、およびR7は、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NRxRy;-S-Rx;-SO2;-SO2Cl;-SO3H;-SO4H;-SO2NRxRy;-N(H)-NRxRy;-NRxRyから独立して選択され、
【0031】
R5は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
【0032】
R1は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH2-、-N(Rx)-、または-S-であり、
【0033】
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC1~C16アルキル基;-[(CH2)j-O]k-CH2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-Rx-;-C(O)-N-Rx-;または-N-Rx-C(O)-であり、
【0034】
式中、各RxおよびRyは、独立してHまたはC1~C4アルキル基である)
のいずれかの構造を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、各L
1および/またはL
2基は、独立して式(VIA):
【0036】
(式中、
【0037】
fは0または1~24の範囲の整数であり、
【0038】
jは1~24の範囲の整数であり、
【0039】
R8は結合またはO、S、-N(Rc)(Rd)、または-N+(Rc)(Rd)(Re)であり、
【0040】
RaおよびRbは独立してH、C1~C4アルキル基、F、Cl、または-N(Rc)(Rd)であり、
【0041】
Rc、Rd、およびReは、HまたはC1~C4アルキル基から独立して選択され、
【0042】
R9およびR10は、独立して、結合、または最大6個の炭素原子を有し、カルボニル、アミド、イミド、エステル、エーテル、アミン、チオン、またはチオールを含む基である)
を有する。
【0043】
本開示の別の態様では、式(IXA)または(IXB):
【0044】
(式中、
【0045】
Tは、特異的結合実体、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、薬物、脂質、またはナノ粒子から選択される置換基であり、
【0046】
Rzは検出可能な標識であり、
【0047】
oは1~10の範囲の整数であり、
【0048】
L1およびL2はリンカーであり、
【0049】
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
【0050】
Zは結合、-CH-基、-CH-CH2-基、または-CH2-CH-基であり、
【0051】
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
のいずれかの構造によって定義される化合物である。
【0052】
いくつかの実施形態において、Tは抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、一次抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、二次抗体である。いくつかの実施形態において、Tは核酸である。いくつかの実施形態では、Rzはハプテンである。いくつかの実施形態では、Rzは酵素である。いくつかの実施形態において、酵素は、ペルオキシダーゼおよびホスファターゼからなる群から選択される。
【0053】
いくつかの実施形態において、Wは式(VC)または(VD):
【0054】
(式中、
【0055】
R2、R3、R4、R6、およびR7は、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NRxRy;-S-Rx;-SO2;-SO2Cl;-SO3H;-SO4H;-SO2NRxRy;-N(H)-NRxRy;-NRxRyから独立して選択され、
【0056】
R5は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
【0057】
R1は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH2-、-N(Rx)-、または-S-であり、
【0058】
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC1~C16アルキル基;-[(CH2)j-O]k-CH2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-Rx-;-C(O)-N-Rx-;または-N-Rx-C(O)-であり、
【0059】
式中、各RxおよびRyは、独立してHまたはC1~C4アルキル基である)
のいずれかの構造を有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、各L
1および/またはL
2基は、独立して式(VIA):
【0061】
(式中、
【0062】
fは0または1~24の範囲の整数であり、
【0063】
jは1~24の範囲の整数であり、
【0064】
R8は結合またはO、S、-N(Rc)(Rd)、または-N+(Rc)(Rd)(Re)であり、
【0065】
RaおよびRbは独立してH、C1~C4アルキル基、F、Cl、または-N(Rc)(Rd)であり、
【0066】
Rc、Rd、およびReは、HまたはC1~C4アルキル基から独立して選択され、
【0067】
R9およびR10は、独立して、結合、または最大6個の炭素原子を有し、カルボニル、アミド、イミド、エステル、エーテル、アミン、チオン、またはチオールを含む基である)
を有する。
【0068】
本開示の別の態様では、生物学的サンプル内の1つ以上の標的を検出する方法であって、(a)生物学的サンプル内の標的のうちの1つに特異的な一次抗体でサンプルを標識することと、(b)サンプルを式(IXC)または(IXD):
【0069】
(式中、
【0070】
Abは二次抗体であり、
【0071】
Rzは検出可能な標識であり、
【0072】
oは1~10の範囲の整数であり、
【0073】
L1およびL2はリンカーであり、
【0074】
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
【0075】
Zは結合、-CH-基、-CH-CH2-基、または-CH2-CH-基であり、
【0076】
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)のいずれかの化合物とサンプルを接触させることと、
【0077】
(c)サンプルを1つ以上の試薬と接触させて、検出可能な標識Rzを検出することと、
を含む、方法である。
【0078】
いくつかの実施形態において、Abは、抗一次抗体抗体である。いくつかの実施形態では、一次抗体はハプテンに複合化されており、Abは抗ハプテン抗体である。
【0079】
本開示の別の態様は、生物学的サンプル内の1つ以上の標的を検出する方法であって、(a)酵素および生物学的サンプル内の標的のうちの1つに特異的な一次抗体を含むコンジュゲートとサンプルを接触させることにより、サンプルを酵素で標識することと、(b)サンプルを式(IA)または(IB):
【0080】
(式中、
【0081】
Aは酵素反応性部分であり、
【0082】
Bは検出可能な標識であり、
【0083】
L1およびL2はリンカーであり、
【0084】
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
Zは結合、-CH-基、-CH-CH2-基、または-CH2-CH-基であり、
【0085】
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)のいずれかの化合物とサンプルを接触させることと、
【0086】
(c)サンプルを1つ以上の試薬と接触させて、検出可能な標識Bを検出することと、
を含む、方法である。
【0087】
いくつかの実施形態において、式(IA)または(IB)のいずれかの化合物は、少なくとも10,000M-1cm-1の吸光係数を有する。いくつかの実施形態において、式(IA)または(IB)のいずれかの化合物は、少なくとも15,000M-1cm-1の吸光係数を有する。さらに他の実施形態では、式(IA)または(IB)のいずれかの化合物は、少なくとも20,000M-1cm-1の吸光係数を有する。いくつかの実施形態において、式(IA)または(IB)のいずれかの化合物は、少なくとも25,000M-1cm-1の吸光係数を有する。
【0088】
いくつかの実施形態において、Wが式(VC)または(VD):
【0089】
(式中、
【0090】
R2、R3、R4、R6、およびR7は、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NRxRy;-S-Rx;-SO2;-SO2Cl;-SO3H;-SO4H;-SO2NRxRy;-N(H)-NRxRy;-NRxRyから独立して選択され、
【0091】
R5は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
【0092】
R1は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH2-、-N(Rx)-、または-S-であり、
【0093】
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC1~C16アルキル基;-[(CH2)j-O]k-CH2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-Rx-;-C(O)-N-Rx-;または-N-Rx-C(O)-であり、
【0094】
式中、各RxおよびRyは、独立してHまたはC1~C4アルキル基である)
のいずれかの構造を有する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
本開示の特徴の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同一の要素を特定するために、全体を通して同様の参照符号が使用されている。
【0096】
【
図1】
図1は、核酸プローブにコンジュゲートされたクマリン系の化合物によるサンプルの染色を示し、クマリン系の化合物は、ジゴキシゲニン(「DIG」)に結合されており、DIGは、当技術分野で知られているように、適切な検出試薬の適用によって検出され得る。
【0097】
【
図2】
図2は、ヤギ抗ウサギ抗体およびDIGハプテンを含むクマリン系コンジュゲートによるサンプルの染色を示す。ここでは、2つの扁桃腺組織サンプルをPD-L1に特異的な一次抗体で標識した後、クマリン系コンジュゲートを導入して、サンプル内の標識をDIGで標識した。次に、ペルオキシダーゼに結合した抗DIG抗体の導入によってDIGが検出され、ペルオキシダーゼは導入された3,3’-ジアミノベンジジン(「DAB」)に作用する。
【0098】
【
図3】
図3は、ヤギ抗ウサギ抗体およびDIGハプテンを含むクマリン系コンジュゲートによるサンプルの染色を示す。ここでは、2つの扁桃腺組織サンプルをエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、HER2、およびKi67に特異的な一次抗体で標識し、続いてクマリン系コンジュゲートを導入してサンプル内の標的をDIGで標識した。次に、ペルオキシダーゼに結合した抗DIG抗体の導入によってDIGが検出され、ペルオキシダーゼは導入された3,3’-ジアミノベンジジン(「DAB」)に作用する。
【0099】
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による多重検出戦略の工程を示すフローチャートを示す。
【0100】
【
図5】
図5は、チラミド部分およびハプテン、例えばDIGに結合した式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、および(IIID)のいずれかのクマリン系の部分の使用を示し、DIGに対して結合されたチラミド部分と染色性能を比較する。
【0101】
【
図6】
図6は、AR2Gバイオセンサー上でのタンパク質の共有結合による固定化と、それに続く分析物結合のためのスキームを提供する。活性化、固定化およびクエンチの後、固定化されたリガンドと分析物との間の会合および解離の動力学が測定される。
【0102】
【
図7】
図7は、上に示すマウス抗ハプテン抗体のBSA-CL-BF免疫原との会合および解離工程の代表的な交差反応性スクリーンを示す。Ms抗BF mAb(H1、H6)、Ms抗PPT mAb(C1、C6)、およびMs抗DABSYL mAb(D1、D6)の認識を示す。抗PPTまたは抗DABSYL mAbとの有意な相互作用は観察されなかった。
【0103】
【
図8】
図8は、上に示すマウス抗ハプテン抗体のBSA-CL-BF免疫原との会合および解離工程の代表的な交差反応性スクリーンを示す。Ms抗NP mAb(B1、B6;C1、C6)およびMs抗TS mAb(H1、H6;G1、G6)BSA-CLBF認識を上に示す。
【0104】
【
図9】
図9は、上に示すマウス抗ハプテン抗体のBSA-CL-BF免疫原との会合および解離工程の代表的な交差反応性スクリーンを示す。Ms抗NCA mAb(B1、B6;C1、C6)およびMs抗HQ mAb(H1、H6;G1、G6)BSA-CLBF認識を上に示す。
【0105】
【
図10】
図10は、上に示すマウス抗ハプテン抗体のBSA-CL-BF免疫原との会合および解離工程の代表的な交差反応性スクリーンを示す。Ms抗DCC mAb(B1、B6;D1、D6)およびMs抗ROT mAb(F1、F6;G1、G6)BSA-CLBF認識を上に示す。
【0106】
【
図11】
図11は、上に示すマウス抗ハプテン抗体のBSA-CL-BF免疫原との会合および解離工程の代表的な交差反応性スクリーンを示す。Ms抗DIG mAb(B1、B6;C1、C6)およびMs抗DNP mAb(F1、F6;G1、G6)BSA-CLBF認識を上に示す。
【0107】
【
図12】
図12は、上に示すマウス抗ハプテン抗体のBSA-CL-BF免疫原との会合および解離工程の代表的な交差反応性スクリーンを示す。Ms抗BD mAb(C1、C6;D1、D6)およびMs抗DNP mAb(F1、F6;G1、G6)BSA-CLBF認識を上に示す。
【0108】
【
図13】
図13は、分岐鎖色素原リンカーGAR-lys(DCC)dPEG8TS(化合物A)およびGAR-dPEG4-lys(DCC)dPEG8TS(化合物B)を示す。
【0109】
【
図14】
図14は、Rb mAb固定化(600~1800秒)、GAR-Rb認識(2400~4200秒)、および抗TS標識認識(6000~7800秒)により行われたBLI Elisaアッセイプロファイルを示す。GAR-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲート(D1、C1)、GAR-dPEG4-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲート(F1、E1)、および未修飾のGAR pAb(G1、H1)認識を示す。
【0110】
【
図15】
図15は、GAR-Rb認識(2400~4200秒)とその後の解離(4200~6000秒)を示すBLI Elisaアッセイプロファイルを示す。GAR-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲート(C1、C6;D1、D6)、GAR-dPEG4-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲート(F1、F6;E1、E6)、および未修飾のGAR pAb(H1、H6;G1、G6)Rb mAb認識を示す。
【0111】
【
図16】
図16は、TSハプテン標識(6000~7800秒)のMs抗TS mAb認識およびその後のAb解離(7800~8800秒)について示されるBLI Elisaアッセイプロファイルを示す。GAR-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲート(C1、C8;D1、D8)、GAR-dPEG4-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲート(E1、E8;F1、F8)、および未修飾のGAR pAb(G1、G8;H1、H8)認識を示す。
【0112】
【
図17】
図17は、Rb mAb固定化(600~1800秒)、GAR-Rb認識(2400~4200秒)、および抗BF標識認識(6000~7800秒)により行われたBLI Elisaアッセイプロファイルを示す。GAR-dPEG8BFコンジュゲート(G1、B1)およびGAR-CLBFコンジュゲート(黄、ティール)を示す。Rb mAb固定化のない陰性対照センサーを示す(E1、A1)
【0113】
【
図18】
図18は、GAR-Rb認識(2400~4200秒)とその後の解離(4200~6000秒)を示すBLI Elisaアッセイプロファイルを示す。GAR-dPEG8BFコンジュゲート(B1、B6;G1、G6)およびGAR-CLBFコンジュゲート(A1、A8;E1、E8)を示す。
【0114】
【
図19】
図19は、BFハプテン標識(6000~7800秒)のMs抗BF mAb認識およびその後のAb解離(7800~8800秒)について示されるBLI Elisaアッセイプロファイルを示す。GAR-dPEG8BFコンジュゲート(B1、B8;G1、G8)およびGAR-CLBFコンジュゲート(A1、A8;E1、E8)を示す。
【0115】
【
図20】
図20は、マレイミド、NHSエステル、ヒドラジドおよびエチルカルボジアミドを含むがこれらに限定されない、生物学的タンパク質に対する標識試薬の例を示す。
【0116】
【
図21】
図21は、本開示のクマリン系コンジュゲートの吸光度スペクトルを示す。
【0117】
【
図22】
図22は、本開示のクマリン系コンジュゲートの吸光度スペクトルを示す。
【0118】
【
図23】
図23は、280nmおよび346nmの波長での吸光度スペクトルの比を提供する表を示す。
【0119】
【
図24】
図24は、本開示による
図23の3つのクマリン系コンジュゲートのサイズ排除クロマトグラフィー(chorography)スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0120】
反対に明確に示されない限り、複数のステップまたは行為を含む本明細書において特許請求の範囲に記載される任意の方法において、方法のステップまたは行為の順序は、必ずしも方法のステップまたは行為が記載される順序に限定されないことも理解されたい。
【0121】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。同様に、「または」という単語は、文脈が明確に別のことを示さない限り、「および」を含むことを意図している。「含む」という用語は、「AまたはBを含む」がA、B、またはAおよびBを含むことを意味するように、包括的に定義される。
【0122】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有することを理解されたい。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的であると解釈されるものとし、すなわち、要素の数またはリストの少なくとも1つを含むが、複数、および必要に応じて追加のリストに記載されていない項目を含むと解釈される。「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合、「からなる」など、反対に明確に示される用語のみは、数または要素のリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」など、排他性の用語が先行する場合にのみ、排他的な代替案(すなわち、「一方または他方であるが双方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。「から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0123】
「備える」、「含む」、「有する」などの用語は、交換可能に使用され、同じ意味を有する。同様に、「備える」、「含む」、「有する」などは、交換可能に使用され、同じ意味を有する。具体的には、各用語は、「含む」という一般的な米国特許法の定義と一致して定義されているため、「少なくとも以下」を意味するオープン用語(open term)として解釈され、また、追加の特徴、制限、態様などを排除することを意図するものではない。したがって、例えば、「構成要素a、b、およびcを有する装置」は、装置が少なくとも構成要素a、b、およびcを備えることを意味する。同様に、「工程a、b、およびcを含む方法」という句は、その方法が少なくとも工程a、b、およびcを含むことを意味する。さらに、工程およびプロセスは、本明細書において特定の順序で概説され得るが、当業者は、工程を順序づけすることおよびプロセスは変化し得ることを認識するであろう。
【0124】
本明細書の明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」という句は、要素のリストの任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも要素のリスト内に具体的にリスト化されているありとあらゆる要素の少なくとも1つを含まなくてもなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が参照する要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定されるそれらの要素に関連するかどうかにかかわらず、必要に応じて存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて1つを超えるAを含み、Bが存在しない(および必要に応じて、B以外の要素を含む)を指すことができ、別の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて1つを超えるBを含み、Aが存在しない(および必要に応じて、A以外の要素を含む)を指すことができ、さらに別の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて1つを超えるAを含み、少なくとも1つ、必要に応じて1つを超えるBを含む(および必要に応じて、他の要素を含む)などを指すことができる。
【0125】
「類縁体」または「誘導体」は、化学および生物学におけるその明白な通常の意味に従って使用され、別の化合物(すなわち、いわゆる「参照」化合物)と構造的に類似しているが、例えば、ある原子を異なる元素の原子で置き換える場合、または特定の官能基の存在下で、またはある官能基を別の官能基で置き換える場合、または参照化合物の1つ以上のキラル中心の絶対立体化学において、組成が異なる化合物を指す。したがって、類縁体は、機能および外観が類似または同等であるが、構造または起源が参照化合物と類似していない化合物である。
【0126】
「アルキル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、完全に飽和、モノまたはポリ不飽和であり得て、指定された炭素原子数(すなわち、C1~C10は1~10個の炭素を意味する)を持つジおよび多価ラジカルを含むことができる直鎖(すなわち、非分岐鎖)または分岐鎖、またはそれらの組み合わせを意味する。「アルキル」は環化されていない。アルキル基の例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、(シクロヘキシル)メチル、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどのホモログおよび異性体などの基が挙げられる。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、限定されるものではないが、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-および3-プロピニル、3-ブチニル、ならびにより高次のホモログおよび異性体が挙げられる。アルコキシは、酸素リンカー(-O-)を介して分子の残りの部分に結合したアルキルである。
【0127】
「アルキレン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、-CH2CH2CH2CH2-によって例示されるが、限定されるものではない、アルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1~24個の炭素原子を有し、10個以下の炭素原子を有するそれらの基が本発明において好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般に8個以下の炭素原子を有する、より短い鎖のアルキルまたはアルキレン基である。
【0128】
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体でまたは別の用語との組み合わせで、特に明記しない限り、少なくとも1個の炭素原子、ならびにO、N、SiおよびSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子からなる、安定した直鎖もしくは分岐鎖、またはそれらの組み合わせを意味し、窒素および硫黄原子は任意に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は任意に四級化されてもよい。ヘテロ原子(複数の場合がある)O、N、P、SおよびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、またはアルキル基が分子の残部に付加される位置に置かれてもよい。ヘテロアルキルは環化されていない。例として、限定されるものではないが、以下が挙げられる:-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3、-O-CH3、-O-CH2-CH3、および-CN。例えば、-CH2-NH-OCH3などの、最大2個のヘテロ原子が連続している場合がある。
【0129】
「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体で、または他の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、それぞれ、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状バージョンを意味する。シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは芳香族ではない。
【0130】
上記の用語のそれぞれ(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」など)は、示されるラジカルの置換形態および非置換形態の両方を含む。
【0131】
アルキルおよびヘテロアルキルのラジカル(しばしばアルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと呼ばれる基を含む)の置換基は、限定されるものではないが、0~(2m’+1)の範囲の数の-OR’、-O、-NR’、-N-OR’、-NR’R-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)2R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)-NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)-NR’’’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R’’、-NRSO2R’、-CN、および-NO2から選択される様々な基のうちの1つ以上であり得て、m’はそのようなラジカルの炭素原子の総数である。R’、R’’、R’’’、およびR’’’’はそれぞれ、好ましくは独立して、水素、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール(例えば、1~3個のハロゲンで置換されたアリール)、置換または非置換のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が複数のR基を含む場合、例えば、R基のそれぞれは、これらの基が1つを超えて存在する場合、各R’、R’’、R’’’、およびR’’’’基と同様に独立して選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に付加される場合、それらは窒素原子と結合し、4、5、6、または7員環を形成することができる。例えば、-NR’Rには、限定されるものではないが、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルが含まれる。置換基の上記の検討より、当業者は、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば、-CF3および-CH2CF3)およびアシル(例えば、-C(O)CH3、-C(O)CF3、-C(O)CH2OCH3など)の水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基を含むことを意味することを理解するであろう。
【0132】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子を指し、例として、限定されるものではないが、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、それらの組み合わせ、ならびに任意の脊椎動物における(例えば、ヒト、ヤギ、ウサギおよびマウスなどの哺乳動物における)免疫応答中に産生される類似の分子、ならびに他の分子への結合を実質的に排除するために、目的の分子(または目的の非常に類似する分子のグループ)に特異的に結合する抗体断片を指す。抗体は、さらに、抗原のエピトープを特異的に認識して結合する少なくとも軽鎖または重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドリガンドを指す。抗体は、重および軽鎖で構成されてもよく、それらの各々には可変重(VH)領域および可変軽(VL)領域と呼ばれる可変領域がある。まとまって、VH領域およびVL領域は、抗体によって認識される抗原を結合することの原因となる。抗体という用語はまた、インタクトの免疫グロブリン、ならびに当技術分野でよく知られているそれらの変異体および部分を含む。
【0133】
本明細書で使用される場合、「生物学的サンプル」、「組織サンプル」、「標本」などの用語は、ウイルスを含む任意の生物から得られる生体分子(タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物、またはそれらの組み合わせなど)を含む任意のサンプルを指す。生物の他の例は、哺乳類(人間、猫、犬、馬、牛、および豚などの獣医動物、ならびにマウス、ラット、霊長類などの実験動物など)、昆虫、環形動物、クモ形類動物、有袋類、爬虫類、両生類、細菌、および菌類などを含む。生物学的サンプルは、組織サンプル(組織切片や組織の針生検など)、細胞サンプル(Pap塗抹標本もしくは血液塗抹標本などの細胞学的塗抹標本、またはマイクロダイセクションによって得られた細胞のサンプルなど)、または細胞分画、断片または細胞小器官(細胞を溶解し、遠心分離などによってそれらの成分を分離することによって得られる)を含む。生物学的サンプルの他の例は、血液、血清、尿、精液、糞便、脳脊髄液、間質液、粘膜、涙、汗、膿、生検組織(例えば、外科的生検または針生検によって得られる)、乳頭吸引物、耳垢、乳、膣液、唾液、ぬぐい液(頬スワブなど)、または最初の生物学的サンプルに由来する生体分子を含む任意の材料を含む。特定の実施形態では、本明細書で使用される「生物学的サンプル」という用語は、対象から得られた腫瘍またはその一部から調製されたサンプル(均質化または液化されたサンプルなど)を指す。
【0134】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲート」という用語は、より大きな構築物に共有結合している2つ以上の分子または部分(高分子または超分子分子を含む)を指す。いくつかの実施形態において、コンジュゲートは、1つ以上の他の分子部分に共有結合された1つ以上の生体分子(ペプチド、タンパク質、酵素、糖、多糖類、脂質、糖タンパク質、およびリポタンパク質など)を含む。
【0135】
本明細書で使用される「クマリン」という用語は、蛍光誘導体化剤を指す。本明細書で使用される場合、クマリンは、例えば、ハロ置換クマリン(例えば、クロロクマリン、フルオロクマリン、ブロモクマリンおよびその誘導体)、ヒドロキシクマリンおよびその誘導体(ウンベリフェロンおよびその誘導体を含む)、シアノクマリンおよびその誘導体、メチルクマリンおよびその誘導体、エトキシクマリンおよびその誘導体、ベンゾクマリンおよびその誘導体、フェニルクマリンおよびその誘導体、アセチルクマリンおよびその誘導体を含む)、ならびにそれらのカルボキシル化誘導体およびスクシンイミジルエステルなどのその誘導体を含む。前述の誘導体は非限定的であり、単に例として提供されているにすぎない。
【0136】
本明細書で使用される場合、「結合」または「結合する」という用語は、ある分子または原子の別の分子または原子への結合(joining)、結合(bonding)(例えば、共有結合)、または連結を指す。
【0137】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、それら自体でまたは別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、「ハロ(C1~C4)アルキル」という用語は、これらに限定されないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含む。
【0138】
本明細書で使用される場合、「ハプテン」は、抗体と特異的に結合することができるが、典型的には、担体分子との組み合わせを除いて免疫原性であることが実質的に不可能である小分子である。
【0139】
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書で使用される場合、ホウ素(B)、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、およびケイ素(Si)を含むことを意味する。
【0140】
本明細書で使用される「低級置換基(lower substituent)」または「低級置換基(lower substituent group)」は、「置換基」について上記のすべての置換基から選択される基を意味し、各置換または非置換アルキルは、置換または非置換C1~C8アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは、置換または非置換の2~8員のヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは、置換または非置換C5~C7シクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは、置換または非置換の5~7員ヘテロシクロアルキルである。
【0141】
本明細書で使用される場合、「一次抗体」という用語は、組織サンプル中の標的タンパク質抗原に特異的に結合する抗体を指す。一次抗体は通常、免疫組織化学的手法で使用される第1の抗体である。
【0142】
本明細書で使用される「反応性基」または「反応性官能基」という用語は、異なる部分の官能基と化学的に反応して共有結合を形成することができる官能基を意味する。
【0143】
本明細書で使用される場合、本明細書での「二次抗体」という用語は、一次抗体に特異的に結合し、それにより、もしあれば、一次抗体と後続の試薬(例えば、標識、酵素など)との間に架橋を形成する抗体を指す。二次抗体は、一般的に免疫組織化学的手法で使用される第2の抗体である。
【0144】
本明細書で使用される場合、「特異的結合実体」という用語は、特異的結合対のメンバーを指す。特異的結合対は、他の分子への結合を実質的に排除して互いに結合することを特徴とする分子の対である(例えば、特異的結合対は、生物学的サンプル中の他の分子との結合対の2つのメンバーのいずれかの結合定数よりも少なくとも10^3M-1大きい、10^4M-1大きいまたは10^5M-1大きい結合定数を有することができる)。特異的結合部分の特定の例は、特異的結合タンパク質(例えば、抗体、レクチン、ストレプトアビジンなどのアビジン、およびプロテインA)を含む。特異的結合部分はまた、そのような特異的結合タンパク質によって特異的に結合される分子(またはその部分)を含むことができる。
【0145】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「染色」、「染色している」などの用語は、一般に、生物学的標本中の特定の分子(脂質、タンパク質、または核酸など)または特定の構造(正常または悪性の細胞、細胞質ゾル、核、ゴルジ装置、または細胞骨格など)の存在、位置、および/または量(濃度など)を検出および/または区別する生物学的標本の任意の処理を指す。例えば、染色は、特定の分子または特定の細胞構造と生物学的標本の周囲の部分との間のコントラストを提供することができ、染色の強度は、標本中の特定の分子の量の尺度を提供することができる。染色を、明視野顕微鏡だけでなく、位相差顕微鏡、電子顕微鏡、および蛍光顕微鏡などの他の観察ツールを使用して、分子、細胞構造、および生物の観察を支援するために使用することができる。システムによって実行されるいくつかの染色は、細胞の輪郭を視覚化するために使用されることができる。システムによって実行される他の染色は、他の細胞成分の染色なしで、または比較的少ない染色で、染色される特定の細胞成分(分子または構造など)に依存する場合がある。システムによって実行される染色方法のタイプの例は、これらに限定されるものではないが、組織化学的方法、免疫組織化学的方法、および核酸分子間のハイブリッド形成反応などの分子間の反応(非共有結合相互作用を含む)に基づく他の方法を含む。特定の染色法は、これらに限定されるものではないが、一次染色法(例えば、H&E染色、Pap染色など)、酵素結合免疫組織化学的方法、および蛍光原位置ハイブリッド形成(FISH)などの原位置RNAおよびDNAハイブリッド形成法を含む。
【0146】
本明細書で使用される場合、「標的」という用語は、存在、位置、および/または濃度が判定される、または判定されることができる任意の分子を指す。標的分子の例は、タンパク質、核酸配列、およびタンパク質に共有結合したハプテンなどのハプテンを含む。標的分子は、通常、特異的結合分子と検出可能な標識の1つ以上の共役を使用して検出される。
【0147】
本明細書全体を通して「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所での「一実施形態において」または「実施形態において」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。さらにまた、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせられることができる。
[00100] 本明細書で提供される見出しは、便宜上のものであり、開示される実施形態の範囲または意味を解釈するものではない。
【0148】
クマリン系試薬
【0149】
本明細書でさらに詳細に記載されるように、本開示は、新規のクマリン系試薬、例えばリンカー、および開示されるクマリン系試薬の1つ以上を含むコンジュゲートを提供する。いくつかの実施形態では、クマリン系試薬内のクマリン部分の存在は、典型的には検出が困難である標識、例えば特定のハプテンの検出を可能にする。いくつかの実施形態では、検出が困難なハプテンとしては、ベンゾフランハプテンおよびチアゾールスルホンアミドハプテンが挙げられる。いくつかの実施形態において、検出が困難なハプテンとしては、5-ニトロ-3-ピラゾールカルバミド(NP)、2-アセトアミド-4-メチル-5-チアゾールスルホンアミド(TS)、7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボン酸(carboxyylic acid)(DCC)、および2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-5-カルバミド(BF)が挙げられる。抗体の変性および/または凝集は、一般に、これらの検出が困難な標識について分析された範囲でバックグラウンドUV/VIS吸収を引き起こすと考えられている。結果として、ハプテン標識を検出するのが難しいコンジュゲートは、一般的にハプテン負荷において過大評価され、コンジュゲート濃度の過小評価につながる。本明細書に開示されるクマリン系試薬の使用は、この問題を軽減すると考えられる。
【0150】
いくつかの実施形態では、本開示のクマリン系試薬は、少なくとも10,000M-1cm-1の吸光係数を有する。他の実施形態では、本開示のクマリン系試薬は、少なくとも15,000M-1cm-1の吸光係数を有する。さらに他の実施形態では、本開示のクマリン系試薬は、少なくとも20,000M-1cm-1の吸光係数を有する。さらなる実施形態では、本開示のクマリン系試薬は、少なくとも25,000M-1cm-1の吸光係数を有する。いくつかの実施形態では、本開示のクマリン系の化合物は、約340nm~約500nmの吸光度波長を有する。
【0151】
いくつかの実施形態において、本開示のクマリン系試薬は、式(IA)または(IB):
【0152】
(式中、
【0153】
AおよびBは、独立して、反応性官能基、検出可能な標識、または酵素反応性部分であり、
【0154】
L1およびL2はリンカーであり、
【0155】
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
【0156】
Zは結合、-CH-基、-CH-CH2-基、または-CH2-CH-基であり、
【0157】
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
の構造を有する。
【0158】
いくつかの実施形態では、mおよびnは独立して1または2である。いくつかの実施形態では、mまたはnの少なくとも1つは1である。いくつかの実施形態では、mおよびnの両方が1である。いくつかの実施形態では、mまたはnの一方は1であり、mまたはnの他方は2である。
【0159】
いくつかの実施形態では、AおよびBの両方が反応性官能基である。そのような化合物の例は、本明細書では化合物(42)として提示されている。そのような化合物は、例えば、架橋剤、例えば2つの抗体またはタンパク質を互いに架橋する、架橋剤として有用であり得る。
【0160】
基A、B、L1、L2、W、m、およびnのそれぞれは、本明細書でさらに詳細に定義される。
【0161】
いくつかの実施形態において、本開示のクマリン系試薬は、式(IIA)または(IIB):
【0162】
(式中、
【0163】
A1は反応性官能基であり、
【0164】
B1は検出可能な標識であり、
【0165】
L1およびL2はリンカーであり、
【0166】
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
【0167】
Zは結合、-CH-基、-CH-CH2-基、または-CH2-CH-基であり、
【0168】
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
の構造を有する。
【0169】
一部の実施形態では、検出可能な部分は、ハプテンである。他の実施形態では、検出可能な部分は、酵素である。他の実施形態では、検出可能な部分は、色素原である。さらなる実施形態では、検出可能な部分は、フルオロフォアである。これらのタイプの検出可能な標識のそれぞれの具体例が本明細書に開示されている。
【0170】
いくつかの実施形態では、式(IIA)および(IIB)の化合物は、別の高分子、薬物、または生体分子に結合することができる。例えば、反応性官能基は、タンパク質または抗体のアミン基と反応して、タンパク質または抗体とクマリン系試薬とのコンジュゲートを形成することができる場合がある。他の結合方法が想定され、本明細書に開示されている。いくつかの実施形態において、そのようなコンジュゲートは、組織標識または染色試薬として利用され得る。
【0171】
いくつかの実施形態において、本開示のクマリン系試薬は、式(IIC)または(IID):
【0172】
(式中、
【0173】
A1は反応性官能基であり、
【0174】
B2はハプテンであり、
【0175】
L1およびL2はリンカーであり、
【0176】
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
【0177】
Zは結合、-CH-基、-CH-CH2-基、または-CH2-CH-基であり、
【0178】
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
の構造を有する。
【0179】
いくつかの実施形態において、ハプテンは、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素、ローダミンチオ尿素以外のチオ尿素、ジニトロフェニルまたはトリニトロフェニル以外のニトロアリール、ロテノイド、シクロリグナン、ヘテロビアリール、アゾアリール、ベンゾジアゼピンである。他の実施形態では、ハプテンは、ベンゾフラザンまたはチアゾールスルホンアミドである。いくつかの実施形態において、ハプテンは、5-ニトロ-3-ピラゾールカルバミド、2-アセトアミド-4-メチル-5-チアゾールスルホンアミド、7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボン酸(carboxyylic acid)、および2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-5-カルバミドである。他の適切なハプテンが本明細書に開示されている。いくつかの実施形態において、A1は、マレイミド部分、またはNHS-エステル基を含む。いくつかの実施形態において、L1またはL2のうちの少なくとも1つは、リジン部分を含む。いくつかの実施形態では、L1またはL2のうちの少なくとも1つは、少なくとも1個のdPEG基を含む。
【0180】
式(IIC)または(IID)を有する化合物の非限定的な例は、本明細書において、化合物(16)、(24)、(34)、(54)、および(66)として提示される。
【0181】
いくつかの実施形態では、式(IIC)および(IID)の化合物は、別の高分子、薬物、または生体分子に結合することができる。例えば、反応性官能基は、タンパク質または抗体のアミン基と反応して、タンパク質または抗体とクマリン系試薬とのコンジュゲートを形成することができる場合がある。そのようなコンジュゲートは、組織標識または染色試薬として利用され得る。
【0182】
いくつかの実施形態において、本開示のクマリン系の試薬は、式(IIIA)または(IIIB):
【0183】
(式中、
【0184】
A2は酵素反応性部分であり、
【0185】
B1は検出可能な標識であり、
【0186】
L1およびL2はリンカーであり、
【0187】
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
【0188】
Zは結合、-CH-基、-CH-CH2-基、または-CH2-CH-基であり、
【0189】
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
の構造を有する。
【0190】
酵素反応性部分(チラミド部分、チラミド部分の誘導体である部分、およびキノンメチド前駆体部分を含む)、検出可能な標識、L1、L2、W、Z、m、およびnのそれぞれは、本明細書でさらに詳細に記載されている。
【0191】
いくつかの実施形態において、A2は、本明細書に記載されるチラミド部分またはチラミド誘導体を含む部分である。他の実施形態では、A2は、本明細書に記載されるようなキノンメチド前駆体部分である。いくつかの実施形態では、B1はハプテンである。いくつかの実施形態において、ハプテンは、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素、ローダミンチオ尿素以外のチオ尿素、ジニトロフェニルまたはトリニトロフェニル以外のニトロアリール、ロテノイド、シクロリグナン、ヘテロビアリール、アゾアリール、ベンゾジアゼピンである。他の実施形態では、B1は色素原である。さらに他の実施形態では、B1はフルオロフォアである。いくつかの実施形態において、L1またはL2のうちの少なくとも1つは、リジン部分を含む。いくつかの実施形態では、L1またはL2のうちの少なくとも1つは、少なくとも1個のdPEG基を含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、式(IIIA)および(IIIB)の化合物は、酵素、例えばホスファターゼまたはペルオキシダーゼで標識された、生物学的サンプル中の標的を検出するのに使用するのに適している。現在開示されている試薬を用いる使用に適合させることができるそのような検出プロセスは、米国特許出願公開第2017/0089911号に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0193】
いくつかの実施形態において、本開示のクマリン系試薬は、式(IIIC)または(IIID):
【0194】
(式中、
【0195】
A2は酵素反応性部分であり、
【0196】
B2はハプテンであり、
【0197】
L1およびL2はリンカーであり、
【0198】
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
【0199】
Zは結合、-CH-基、-CH-CH2-基、または-CH2-CH-基であり、
【0200】
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
の構造を有する。
【0201】
上記のように、酵素反応性部分(チラミド部分、チラミド部分の誘導体である部分、およびキノンメチド前駆体部分を含む)、検出可能な標識、L1、L2、W、Z、m、およびnのそれぞれは、本明細書でさらに詳細に記載されている。いくつかの実施形態において、ハプテンは、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素、ローダミンチオ尿素以外のチオ尿素、ジニトロフェニルまたはトリニトロフェニル以外のニトロアリール、ロテノイド、シクロリグナン、ヘテロビアリール、アゾアリール、ベンゾジアゼピンである。他の実施形態では、ハプテンは、ベンゾフラザンまたはチアゾールスルホンアミドである。いくつかの実施形態において、ハプテンは、5-ニトロ-3-ピラゾールカルバミド、2-アセトアミド-4-メチル-5-チアゾールスルホンアミド、7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボン酸(carboxyylic acid)、および2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-5-カルバミドである。いくつかの実施形態において、L1またはL2のうちの少なくとも1つは、リジン部分を含む。いくつかの実施形態では、L1またはL2のうちの少なくとも1つは、少なくとも1個のdPEG基を含む。
【0202】
式(IIIC)または(IIID)を有する化合物の非限定的な例は、本明細書において、化合物(17)、(25)、および(35)として提示される。
【0203】
いくつかの実施形態では、式(IIIC)および(IIID)の化合物は、本明細書に記載されるように、酵素、例えばホスファターゼまたはペルオキシダーゼで標識された、生物学的サンプル中の標的を検出するのに使用するのに適している。
【0204】
いくつかの実施形態において、本開示のクマリン系試薬は、式(IIIE)または(IIIF):
【0205】
(式中、
【0206】
A2は酵素反応性部分であり、
【0207】
B3はクリックケミストリー反応に関与することができる反応性基であり、
【0208】
L1およびL2はリンカーであり、
【0209】
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
【0210】
Zは結合、-CH-基、-CH-CH2-基、または-CH2-CH-基であり、
【0211】
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
の構造を有する。
【0212】
いくつかの実施形態では、B3はDBCO基である。他の実施形態では、B3はアジド基である。クリックケミストリー反応に関与することができるさらに他の適切な官能基が本明細書に開示されている。いくつかの実施形態において、L1またはL2のうちの少なくとも1つは、リジン部分を含む。いくつかの実施形態では、L1またはL2のうちの少なくとも1つは、少なくとも1個のdPEG基を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、式(IIIE)および(IIIF)の化合物は、酵素、例えば、PCT公開番号WO/2018/002016(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているような、レポーター部分に結合したクリックコンジュゲートを利用する実施形態を含むホスファターゼまたはペルオキシダーゼで標識された生物学的サンプル中の標的を検出するのに使用するのに適している。
【0214】
置換もしくは非置換クマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換誘導体または類縁体である部分
【0215】
いくつかの実施形態において、Wは式(IVA)または(IVB):
【0216】
(式中、Qは結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC1~C16アルキル基、-[(CH2CH2)j-O]k-CH2-、-[(CH2)j-O]k-CH2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-Rx-;-C(O)-N-Rx-;または-N-Rx-C(O)-であり、RxはHまたはC1~C4アルキル基であり、
【0217】
Yは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分である)
のいずれかの構造を有する。
【0218】
いくつかの実施形態において、(i)置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいは(ii)クマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分が、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルキル基、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NRxRy;-S-Rx;-SO2;-SO2Cl;-SO3H;-SO4H;-SO2NRxRy;-N(H)-NRxRy;-NRxRyからなる群から選択される少なくとも1個の基を含み、かつ式中、RxおよびRyは独立してHまたはC1~C4アルキル基である。
【0219】
いくつかの実施形態において、Wは式(VA)または(VB):
【0220】
(式中、式(VA)の部分は、0、1、2、3、または4個のRt基で置換されてもよく、式(VB)の化合物は、0、1、2、3、4、または5個のRt基で置換されてもよく、各Rtは、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C12アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C12アルコキシ基、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C12ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NRxRy;-S-Rx;-SO2;-SO2Cl;-SO3H;-SO4H;-SO2NRxRy;-N(H)-NRxRy;-NRxRyから独立して選択され、かつ式中、RxおよびRyは独立してHまたはC1~C6アルキル基であり、
【0221】
式(VA)の部分は、1個の-R1-X-基および1個の-R5-X-基で置換され、式(VB)の部分は、1個の-R5-X-基で置換され、
【0222】
R1は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH2-、-N(Rx)-、または-S-であり、
【0223】
R5は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
【0224】
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC1~C16アルキル基;-[(CH2)j-O]k-CH2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-Rx-;-C(O)-N-Rx-;または-N-Rx-C(O)-(RxはHまたはC1~C4アルキル基である)である)
のいずれかの構造を有する。
【0225】
いくつかの実施形態において、式(VA)および(VB)の化合物は、1個のRt基を含み、これは、クマリン部分のいずれかの環上にあり得る。いくつかの実施形態において、式(VA)および(VB)の化合物は、2個のRt基を含む。
【0226】
いくつかの実施形態において、R1は、C1~C6分岐鎖または非分岐鎖アルキル基である。いくつかの実施形態において、R5は、C1~C6分岐鎖または非分岐鎖アルキル基である。
【0227】
いくつかの実施形態において、Wは式(VC)または(VD):
【0228】
(式中、
【0229】
R2、R3、R4、R6、およびR7は、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC1~C6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NRxRy;-S-Rx;-SO2;-SO2Cl;-SO3H;-SO4H;-SO2NRxRy;-N(H)-NRxRy;-NRxRyから独立して選択され、かつ式中、RxおよびRyは独立してHまたはC1~C4アルキル基であり、
【0230】
R5は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
【0231】
R1は、C1~C10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH2-、-N(Rx)-、または-S-であり、
【0232】
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC1~C16アルキル基;-[(CH2)j-O]k-CH2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-Rx-;-C(O)-N-Rx-;または-N-Rx-C(O)-(RxはHまたはC1~C4アルキル基である)である)
のいずれかの構造を有する。
【0233】
いくつかの実施形態において、R1は、C1~C6分岐鎖または非分岐鎖アルキル基である。いくつかの実施形態において、R5は、C1~C6分岐鎖または非分岐鎖アルキル基である。
【0234】
リンカー
【0235】
いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約20g/mol~約3000g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、L1およびL2は、それぞれ独立して、約40g/mol~約2000g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、L1およびL2は、それぞれ独立して、約50g/mol~約1500g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、L1およびL2は、それぞれ独立して、約50g/mol~約1250g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、L1およびL2は、それぞれ独立して、約75g/mol~約1000g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、L1およびL2は、それぞれ独立して、約100g/mol~約800g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、L1およびL2は、それぞれ独立して、約100g/mol~約600g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、L1およびL2は、それぞれ独立して、約100g/mol~約400g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、L1およびL2は、それぞれ独立して、約100g/mol~約200g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、L1およびL2は、それぞれ独立して、約250g/mol~約500g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、L1およびL2は、それぞれ独立して、約20g/mol~約150g/molの範囲の分子量を有する。
【0236】
いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約0.5nm~約150nmの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約0.5nm~約100nmの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約0.5nm~約50nmの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約0.5nm~約30nmの範囲の長さを有する。他の実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約20nm未満の長さを有する。さらに他の実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約15nm未満の長さを有する。
【0237】
いくつかの実施形態では、L1およびL2は、それぞれ独立して荷電していてもよく、非荷電であってもよい。いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、1つ以上の荷電基を含む。例えば、いくつかの実施形態において、基L1およびL2は、1つ以上の第四級アミン基、ピリジニウム基、環状尿素、または硫酸基を含み得る。
【0238】
他の実施形態では、L1およびL2は、単一のアミノ酸残基(例えば、リジン)、ペプチドまたはポリマーを含み得て、これらは、荷電または非荷電であり得る。いくつかの実施形態において、L1およびL2は、独立して、2~20アミノ酸を有するペプチド、2~10アミノ酸を有するペプチド、2~8アミノ酸を有するペプチド、または1~4アミノ酸を有するペプチドを含み得る。例として、ペプチドは、リジン-[U]q-リジンであり得て、Uはアミノ酸を表し、qは、0または1~18の範囲の整数である。qが1以上である場合、Uは、均一または不均一なペプチド配列、すなわち、同じまたは異なるアミノ酸を含むものを表し得る。いくつかの実施形態において、Uは、リジン、アラニン、アルギニン、グアニン、グルタミン酸、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。適切な荷電ポリマーは、米国特許出願公開第2002/0052335号、同第2004/0058446号、同第2004/0197318号、および同第2004/0162235号に記載されており、これらの開示はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0239】
いくつかの実施形態において、L1およびL2基は、独立して、1つ以上の可溶化基を含む。いくつかの実施形態において、可溶化基は、ポリエチレングリコール(PEG)基(または、Quanta Biodesignから入手可能な個別のPEGS(dPEG))を含む。いくつかの実施形態では、L1およびL2基は、独立して、約2~約24のPEG基を含む。いくつかの実施形態では、L1およびL2基は、独立して、約2~約18のPEG基を含む。いくつかの実施形態では、L1およびL2基は、独立して、約2~約12のPEG基を含む。いくつかの実施形態では、L1およびL2基は、独立して、約2~約6のPEG基を含む。さらに他の実施形態では、L1およびL2基は、独立して、4個のPEG基を含む。さらに他の実施形態では、L1およびL2基は、独立して、8個のPEG基を含む。さらに他の実施形態では、L1およびL2基は、独立して、12個のPEG基を含む。さらに他の実施形態では、L1およびL2基は、独立して、16個のPEG基を含む。さらに他の実施形態では、L1およびL2基は、独立して、24個のPEG基を含む。そのようなアルキレンオキシドリンカーの組み込みは、クマリン系試薬の親水性を増加させると考えられている。
【0240】
いくつかの実施形態において、各L1およびL2は、独立して、分岐鎖または非分岐鎖、線状または環状、置換または非置換、飽和または不飽和の、2~200個の炭素原子を有し、任意にO、N、またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する基である。いくつかの実施形態において、各L1およびL2は、独立して、分岐鎖または非分岐鎖、線状または環状、置換または非置換、飽和または不飽和の、2~120個の炭素原子を有し、任意にO、N、またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する基である。いくつかの実施形態において、各L1およびL2は、独立して、分岐鎖または非分岐鎖、線状または環状、置換または非置換、飽和または不飽和の、2~80個の炭素原子を有し、任意にO、N、またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する基である。いくつかの実施形態において、各L1およびL2は、独立して、分岐鎖または非分岐鎖、線状または環状、置換または非置換、飽和または不飽和の、4~40個の炭素原子を有し、任意にO、N、またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する基である。いくつかの実施形態において、各L1およびL2は、独立して、分岐鎖または非分岐鎖、線状または環状、置換または非置換、飽和または不飽和の、6~20個の炭素原子を有し、任意にO、N、またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する基である。
【0241】
いくつかの実施形態では、各L
1および/またはL
2基は、独立して式(VIA):
【0242】
(式中、
【0243】
fは0または1~24の範囲の整数であり、
【0244】
jは1~24の範囲の整数であり、
【0245】
R8は結合またはO、S、-N(Rc)(Rd)、または-N+(Rc)(Rd)(Re)であり、
【0246】
RaおよびRbは独立してH、C1~C4アルキル基、F、Cl、または-N(Rc)(Rd)であり、
【0247】
Rc、Rd、およびReは、HまたはC1~C4アルキル基から独立して選択され、
【0248】
R9およびR10は、独立して、結合、または最大6個の炭素原子を有し、カルボニル、アミド、イミド、エステル、エーテル、アミン、チオン、またはチオールを含む基である)
を有する。
【0249】
いくつかの実施形態では、RaまたはRbの少なくとも1つはHである。いくつかの実施形態では、RaまたはRbの少なくとも1つはHであり、fは1または2である。いくつかの実施形態では、RaまたはRbの少なくとも1つはHであり、fは1であり、sは少なくとも2である。いくつかの実施形態では、RaおよびRbはHであり、R8は結合である。いくつかの実施形態では、式(VIA)のリンカーは、2~40個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、式(VIA)のリンカーは、4~20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約100g/mol~約600g/molの範囲の分子量を有する。いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約100g/mol~約400g/molの範囲の分子量を有する。いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約100g/mol~約200g/molの範囲の分子量を有する。
【0250】
いくつかの実施形態では、各L
1および/またはL
2基は、独立して式(VIB):
【0251】
(式中、fはまたは1~12の範囲の整数であり、
【0252】
R8は結合またはO、S、-N(Rc)(Rd)、または-N+(Rc)(Rd)(Re)であり、
【0253】
Rc、Rd、およびReは独立してCH3またはHである。
【0254】
R9およびR10は、独立して、結合、またはカルボニル、アミド、イミド、エステル、エーテル、アミン、またはチオールから選択される基であり、
【0255】
jは1~24の範囲の整数である)
を有する。
【0256】
いくつかの実施形態では、fは1であり、sは少なくとも2である。いくつかの実施形態では、R8は結合であり、fは1であり、jは2~16である。他の実施形態では、R8は結合であり、fは1であり、jは2~12である。他の実施形態では、R8は結合であり、fは1であり、jは2~8である。
【0257】
いくつかの実施形態では、式(VIB)のリンカーは、2~40個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、式(VIB)のリンカーは、4~20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約100g/mol~約600g/molの範囲の分子量を有する。いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約100g/mol~約400g/molの範囲の分子量を有する。いくつかの実施形態では、基L1およびL2は、それぞれ独立して、約100g/mol~約200g/molの範囲の分子量を有する。
【0258】
いくつかの実施形態では、各L
1および/またはL
2基は、独立して式(VIC):
【0259】
(式中、fは0または1~12の範囲の整数であり、
【0260】
jは1~24の範囲の整数であり、
【0261】
R9およびR10は、独立して、結合、またはカルボニル、アミド、イミド、エステル、エーテル、アミン、またはチオールから選択される基である)
を有する。
【0262】
いくつかの実施形態では、fは1であり、jは少なくとも2である。いくつかの実施形態では、fは1であり、jは2である。いくつかの実施形態では、fは1であり、jは3である。いくつかの実施形態では、fは1であり、jは4である。いくつかの実施形態では、fは2であり、jは2~16の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、fは2であり、jは2~12の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、fは2であり、jは2~8の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、fは2であり、jは少なくとも2である。いくつかの実施形態では、fは2であり、jは少なくとも3である。いくつかの実施形態では、fは2であり、jは少なくとも4である。
【0263】
当業者は、式(IA)および/または(IIB)のmおよびnが1より大きい場合、それに応じて複数のL1またはL2基が結合されてもよく、各L1またはL2基が同じに異なる可能性があることを理解するであろう。例として、mが2の場合、基-[L1]-[L1]-の各L1は同一または異なってもよい。例えば、基-[L1]-[L1]-の一方のL1には繰り返しアルキレンオキシド基が含まれ、基-[L1]-[L1]-のもう一方のL1には非置換C1~C10アルキル基が含まれ得る。別の例として、基-[L1]-[L1]-の一方のL1には少なくとも1個のPEGまたはdPEG基が含まれ、基-[L1]-[L1]-のもう一方のL1にはリジン残基が含まれ得る。別の例として、基-[L1]-[L1]-の一方のL1には少なくとも1個のPEGまたはdPEG基が含まれ、基-[L1]-[L1]-のもう一方のL1にはリジン残基が含まれ得て、L2基は少なくとも1個のPEGまたはdPEG基を含み得る。
【0264】
反応性官能基
【0265】
一般に、反応性官能基は、2つの分子が一緒に結合して付加物を形成することを容易にする任意の基であり得る。いくつかの実施形態において、反応性官能基は、求核性置換(例えば、アミンおよびアルコールとハロゲン化アシル、活性エステルとの反応)、求電子性置換(例えば、エナミン反応)、ならびに炭素-炭素および炭素-ヘテロ原子の複数の結合への付加(例えば、マイケル反応、ディールス・アルダー付加)に関与することができるものである。これらおよび他の有用な反応は、例えば、March,ADVANCED,ORGANIC CHEMISTRY,3rd Ed.,John,Wiley&Sons,New York,1985、Hermanson,BIOCONJUGATE,TECHNIQUES,Academic,Press,San Diego,1996、およびFeeney,et,al.,MODIFICATION,OF,PROTEINS;Advances,in,Chemistry Series,Vol.,198,American,Chemical,Society,Washington,D.C.,1982において検討されている。
【0266】
いくつかの実施形態において、反応性官能基は、カルボン酸、カルボン酸の活性化エステル、カルボジイミド、ハロゲン化スルホニル、ハロゲン化アシル、ハロゲン化シリル、アシルアジド、アシルニトリル、アクリルアミド、アミン、アルデヒド、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化物は、後で、例えば、アミン、カルボキシレートアニオン、チオールアニオン、カルバニオン、またはアルコキシドイオンなどの求核性基で置換されてもよく、それにより、ハロゲン原子の部位に新たな基の共有結合をもたらす)、ハロゲン化アリール、スルホン酸アルキル、スルホン酸エステル、無水物、アジド、アジリジン、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ホスホルアミデート、チオール(いくつかの実施形態では、ジスルフィドに変換されるか、ハロゲン化アシルと反応するか、または金属に結合することができる)、ヒドロキシル(エステル、エーテル、アルデヒドなどに変換することができる)、ヒドラジンおよびアルキン(例えば、付加環化、アシル化、マイケル付加を受けることができる)である。いくつかの実施形態において、反応性官能基は、カルボキシル基またはその様々な誘導体であり、限定されるものではないが、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシベンズトリアゾールエステル、酸ハロゲン化物、アシルイミダゾール、チオエステル、p-ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニルおよび芳香族エステルである。いくつかの実施形態において、反応性官能基は、例えば、マレイミド基などのディールス・アルダー反応に関与することができるジエノフィル基である。いくつかの実施形態において、反応性官能基は、例えば、イミン、ヒドラゾン、セミカルバゾンもしくはオキシムなどのカルボニル誘導体の形成を介して、またはグリニャール付加もしくはアルキルリチウム付加などのメカニズムを介して、その後の誘導体化が可能であるようなアルデヒド基またはケトン基である。
【0267】
他の実施形態では、反応性官能基は、カルボン酸、カルボン酸の活性化エステル、ハロゲン化スルホニル、ハロゲン化アシル、アミン、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリール、無水物、アジド、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、ヒドラジン、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ホスホルアミデート、チオール、ヒドロキシルおよびアルキンから選択される。さらに他の実施形態では、反応性官能基は、カルボン酸、カルボン酸の活性化エステル、アミン、アジド、ハロアセトアミド、ヒドラジン、イソシアネート、マレイミド、およびアルキンから選択される。
【0268】
いくつかの実施形態では、反応性官能基は、それらが本明細書に記載のコンジュゲートの化学的安定性に関与しない、または干渉しないように選択することができる。あるいは、反応性官能基は、保護基の存在によって架橋反応に関与することから保護することができる。
【0269】
いくつかの実施形態において、反応性官能基は、「クリックケミストリー」反応を受けることができる部分である。「クリックケミストリー」は、SharplessおよびMeldalのグループによって独自に定義された化学哲学であり、小さなユニットを結合することによって物質を迅速かつ確実に生成するように調整された化学を説明する。「クリックケミストリー」は、信頼性が高く自律的な有機反応のコレクションに適用されている(Kolb,H.C.Finn,M.G.;Sharpless,K.B.Angew).Chem.Int.Ed.2001,40,2004-2021)。例えば、水中での信頼性の高い分子結合としての銅触媒によるアジド-アルキン[3+2]環化付加の同定(Rostovtsev,V.V.;et al.Angew.Chem.Int.Ed.2002,41,2596-2599)は、生体分子相互作用のいくつかのタイプの調査を補強するために使用されてきた(Wang,Q.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,3192-3193;Speers,A.E.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,4686-4687;Link,A.J.;Tirrell,D.A.J.Am.Chem.Soc.2003,125,11164-11165;Deiters,A.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,11782-11783)。さらに、有機合成(Lee,L.V.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,9588-9589)、創薬(Kolb,H.C.;Sharpless,K.B.Drug Disc.Today 2003,8,1128-1137;Lewis,W.G.;et al.Angew.Chem.Int.Ed.2002,41,1053-1057)、および表面の官能化(Meng,J.-C.;et al.Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,1255-1260;Fazio,F.;et al.J.Am.Chem.Soc.2002,124,14397-14402;Collman,J.P.;et al.Langmuir 2004,ASAP,in press;Lummerstorfer,T.;Hoffmann,H.J.Phys.Chem.B 2004,印刷中)への応用も登場している。一般に、クリックケミストリーは、範囲が広く、化学収率が高く、無害な副生成物を生成し、化学特異的で、単純な反応条件を必要とし、すぐに利用できる出発物質および試薬を使用する、無溶媒であるか温和な溶媒(水など)を使用しているため、生成物の分離が容易であり、単一の反応生成物との反応に有利な大きな熱力学的駆動力を持ち、および/またはアトムエコノミー(atom economy)が高い、モジュラーアプリケーションを持つ反応を促進する。特定の一般的な基準は本質的に主観的なものである可能性があるが、すべての基準を満たす必要はない。
【0270】
当業者は、式(IA)、(IB)、(IIIE)、(IIIF)の化合物のいずれかが、適切に官能化された別の化合物(例えば、アジド基を有する化合物)とクリック付加物を形成し得る適切な反応性基(例えば、DBCO基)で終結し得ることを理解するであろう(PCT公開WO/2018/002015号に記載されているものを含み、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。クリックケミストリー反応で反応することができる反応性基のペアを次の表に示す。
【0271】
検出可能な標識
【0272】
一般に、検出可能な標識には、発色性、蛍光性、りん光性、発光性の分子および材料、ある物質を別の物質に変換して検出可能な差異を提供する(無色の物質を着色された物質に変換する、またはその逆、または沈殿物を生成するか、サンプルの濁度を増加させることなどによる)触媒(酵素など)、追加の検出可能な標識抗体コンジュゲートならびに常磁性および磁性分子または材料を使用する抗体-ハプテン結合相互作用により検出され得るハプテンが含まれる。もちろん、レポーター部分自体も間接的に検出することができ、例えば、検出可能な標識がハプテンである場合、当業者に知られているように、その検出可能な標識に特異的なさらに別の抗体を、検出可能な標識の検出に利用することができる。
【0273】
いくつかの実施形態では、適切なハプテンとしては、限定されるものではないが、ピラゾール(例えば、ニトロピラゾール)、ニトロフェニル化合物、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素(例えば、フェニル尿素)、チオ尿素(例えば、フェニルチオ尿素)、ロテノンおよびロテノン誘導体、オキサゾール(例えば、オキサゾールスルホンアミド)、チアゾール(例えば、チアゾールスルホンアミド)、クマリンおよびクマリン誘導体、ならびにシクロリグナンが挙げられる。ハプテンの追加の非限定的な例としては、チアゾール、ニトロアリール、ベンゾフラン、トリペルペン、およびシクロリグナンが挙げられる。ハプテンの特定の例としては、ジニトロフェニル、ビオチン、ジゴキシゲニン、およびフルオレセイン、ならびにそれらの任意の誘導体または類縁体が挙げられる。他の適切なハプテンは、米国特許第8,846,320号、同第8,618,265号、同第7,695,929号、同第8,481,270号、および同第9,017,954号に記載され、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の適切なハプテンは、米国特許出願公開第2013/0109019号および同第2010/0184087号に記載されており、それらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0274】
いくつかの実施形態において、適切なフルオロフォアは、クマリン、フルオレセイン(またはフルオレセイン誘導体および類縁体)、ローダミン、レゾルフィン、ルミノフォアおよびシアニンを含むいくつかの一般的な化学クラスに属する。蛍光分子の追加の例は、Molecular Probes Handbook-A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies,Molecular Probes,Eugene,OR,TheroFisher Scientific,11th Editionに見ることができる。他の実施形態では、フルオロフォアは、キサンテン誘導体、シアニン誘導体、スクアライン誘導体、ナフタレン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、オキサジン誘導体、アクリジン誘導体、アリールメチン誘導体、およびテトラピロール誘導体から選択される。他の実施形態では、蛍光部分は、CF色素(Biotiumから入手可能)、DRAQおよびCyTRAKプローブ(BioStatusから入手可能)、BODIPY(Invitrogen)、Alexa Fluor(Invitrogen)、DyLight Fluor(例えば、DyLight 649)(Thermo Scientific、Pierceから入手可能)、AttoおよびTracy(Sigma Aldrichから入手可能)、FluoProbes(Interchimから入手可能)、Abberior Dyes(Abberiorから入手可能)、DY and MegaStokes Dyes(Dyomicsから入手可能)、Sulfo Cy dyes(Cyandyeから入手可能)、HiLyte Fluor(AnaSpecから入手可能)、Seta、SeTau およびSquare Dyes(SETA BioMedicalsから入手可能)、QuasarおよびCal Fluor dyes(Biosearch Technologiesから入手可能)、SureLight Dyes(APC、RPEPerCP、Phycobilisomesから入手可能)(Columbia Biosciences)、ならびにAPC、APCXL、RPE、BPE(Phyco-Biotech、Greensea、Prozyme、Flogenから入手可能)から選択される。
【0275】
いくつかの実施形態において、適切な酵素としては、限定されるものではないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼまたはβ-ラクタマーゼが挙げられる。他の実施形態では、酵素には、オキシドレダクターゼまたはペルオキシダーゼ(例えば、HRP、AP)が含まれる。これらの実施形態において、抗標識抗体に複合化された酵素は、発色基質の、標的の近位または直接のサンプルに共有結合する反応性部分への変換を触媒する。
【0276】
発色性化合物/基質の特定の非限定的な例としては、ジアミノベンジジン(DAB)、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gal)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー、テトラゾリウムバイオレット、N,N’-ビスカルボキシペンチル-5,5’-ジスルホナト-インド-ジカルボシアニン(Cy5)、4-(ジメチルアミノ)アゾベンゼン-4’-スルホンアミド(DABSYL)、テトラメチルローダミン(DISCOパープル)、およびローダミン110(ローダミン)が挙げられる。ペルオキシダーゼおよび過酸化水素の存在下で酸化されるDABは、酵素活性の部位に褐色のアルコール不溶性沈殿物の沈着をもたらす。いくつかの実施形態において、発色性基質は、潜在的反応性部分および発色性部分を含むシグナル伝達コンジュゲートである。
【0277】
いくつかの実施形態において、シグナル伝達コンジュゲートの潜在的反応性部分は、触媒活性化を受けて、サンプルまたは他の検出成分と共有結合することができる反応性種を形成するように構成される。触媒活性化は、1つ以上の酵素(例えば、オキシドレダクターゼ酵素および西洋ワサビペルオキシダーゼのようなペルオキシダーゼ酵素)によって駆動され、反応種の形成をもたらす。これらの反応種は、それらの生成の近位、すなわち酵素の近くの発色部分と反応することができる。シグナル伝達コンジュゲートの具体例は、米国特許出願公開第2013/0260379号に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0278】
他の適切な検出可能な標識は、米国特許出願公開第2018/002015号に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例えば、適切な標識には、互いに直接的または間接的に結合された少なくとも2つの発色団を有する多色素コンジュゲートが含まれる。
【0279】
検出可能な標識のさらに他の例としては、限定されるものではないが、DAB、AEC;CN;BCIP/NBT;ファストレッド;ファストブルー;フクシン;NBT;ALK GOLD;カスケードブルーアセチルアジド;ダポキシルスルホン酸/カルボン酸スクシンイミジルエステル;DY-405;Alexa Fluor 405スクシンイミジルエステル;カスケードイエロースクシンイミジルエステル;ピリジルオキサゾールスクシンイミジルエステル(PyMPO);パシフィックブルースクシンイミジルエステル;DY-415;7-ヒドロキシクマリン-3-カルボン酸スクシンイミジルエステル;DYQ-425;6-FAMホスホルアミダイト;ルシファーイエロー;ヨードアセトアミド;Alexa Fluor 430スクシンイミジルエステル;ダブシルスクシンイミジルエステル;NBD塩化物/フッ化物;QSY 35スクシンイミジルエステル;DY-485XL;Cy2スクシンイミジルエステル;DY-490;オレゴングリーン488カルボン酸スクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 488スクシンイミジルエステル;BODIPY 493/503C3スクシンイミジルエステル;DY-480XL;BODIPY FL C3スクシンイミジルエステル;BODIPY FL C5スクシンイミジルエステル;BODIPY FL-Xスクシンイミジルエステル;DYQ-505;オレゴングリーン514カルボン酸スクシンイミジルエステル;DY-510XL;DY-481XL;6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(JOE);DY-520XL;DY-521XL;BODIPY R6G C3スクシンイミジルエステル;エリスロシンイソチオシアネート;5-カルボキシ-2’,4’,5’,7’-テトラブロモスルホンフルオレセインスクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 532スクシンイミジルエステル;6-カルボキシ-2’,4,4’,5’7,7’-ヘキサクロロフルオレセインスクシンイミジルエステル(HEX);BODIPY 530/550 C3スクシンイミジルエステル;DY-530;BODIPY TMR-Xスクシンイミジルエステル;DY-555;DYQ-1;DY-556;Cy3スクシンイミジルエステル;DY-547;DY-549;DY-550;Alexa Fluor 555スクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 546スクシンイミジルエステル;DY-548;BODIPY 558/568 C3スクシンイミジルエステル;ローダミンレッド-Xスクシンイミジルエステル;QSY 7スクシンイミジルエステル;BODIPY 564/570 C3スクシンイミジルエステル;BODIPY 576/589 C3スクシンイミジルエステル;カルボキシ-X-ローダミン(ROX);スクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 568スクシンイミジルエステル;DY-590;BODIPY 581/591 C3スクシンイミジルエステル;DY-591;BODIPY TR-Xスクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 594スクシンイミジルエステル;DY-594;カルボキシナフトフルオレセインスクシンイミジルエステル;DY-605;DY-610;Alexa Fluor 610スクシンイミジルエステル;DY-615;BODIPY 630/650-Xスクシンイミジルエステル;エリオグラウシン;Alexa Fluor 633スクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 635スクシンイミジルエステル;DY-634;DY-630;DY-631;DY-632;DY-633;DYQ-2;DY-636;BODIPY 650/665-Xスクシンイミジルエステル;DY-635;Cy5スクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 647スクシンイミジルエステル;DY-647;DY-648;DY-650;DY-654;DY-652;DY-649;DY-651;DYQ-660;DYQ-661;Alexa Fluor 660スクシンイミジルエステル;Cy5.5スクシンイミジルエステル;DY-677;DY-675;DY-676;DY-678;Alexa Fluor 680スクシンイミジルエステル;DY-679;DY-680;DY-682;DY-681;DYQ-3;DYQ-700;Alexa Fluor 700スクシンイミジルエステル;DY-703;DY-701;DY-704;DY-700;DY-730;DY-731;DY-732;DY-734;DY-750;Cy7スクシンイミジルエステル;DY-749;DYQ-4;およびCy7.5スクシンイミジルエステルが挙げられる。
【0280】
二次抗体に結合したものなどのレポーター部分を、上記の検出可能な標識のいずれかから選択することができる。
【0281】
酵素反応性部分
【0282】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分は、チラミド、チラミド誘導体、ならびにキノンメチド前駆体およびそれらの誘導体を含む。
【0283】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分は、チラミドまたはその誘導体もしくは類縁体である。適切なチラミド部分およびチラミド誘導体としては、米国特許出願公開第2012/0171668号に記載されるものが挙げられ、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、チラミド部分またはチラミド誘導体は、酵素の基質、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素であるペルオキシダーゼ酵素である。
【0284】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分は式(VIIA):
(式中、各R
11基は、Hまたは1~4個の炭素原子を有する低級アルキル基から独立して選択され、かつ式中、R
xは、HまたはC
1~C
4アルキル基である)
によって提供される構造を有する。
【0285】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分は式(VIIB):
によって提供される構造を有する。
【0286】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分は、キノンメチド前駆体またはその誘導体である。適切なキノンメチド前駆体または誘導体は、米国特許出願公開第2017/0089911号明細書に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、キノンメチド前駆体またはその誘導体は、酵素の基質、例えばホスファターゼ、アルカリホスファターゼである。
【0287】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分は式(VIIIA):
(式中、
R
2は、ホスフェート、アミド、ニトロ、尿素、スルフェート、メチル、エステル、ベータ-ラクタム、または糖から選択される基であり、
R
13はハロゲン化物であり、
R
15、R
16、R
17、およびR
18は、水素または1~4個の炭素原子を有する脂肪族基から独立して選択され、
R
14は、-(CH
2)
wNH-、-O(CH
2)
wNH-、-N(H)C(O)(CH
2)
wNH-、-C(O)N(H)(CH
2)
wNH-、-(CH
2)
wO-、-O(CH
2)
wO-、-O(CH
2CH
2O)
w-、-N(H)C(O)(CH
2)
wO-、-C(O)N(H)(CH
2)
wO-、-C(o)N(H)(CH
2CH
2O)
w-、-(CH
2)
wS-、-O(CH
2)
wS-、-N(H)C(O)(CH
2)
wS-、-C(O)N(H)(CH
2)
wS-、-(CH
2)
wNH-、-C(O)N(H)(CH
2CH
2O)
wCH
2CH
2NH、-C(O)(CH
2CH
2O)
wCH
2CH
2NH-、-C(O)N(H)(CH
2)NHC(O)CH(CH
3)(CH
2)
wNH-、または-N(H)(CH
2)
wNH-であり、wは1~12の範囲の整数である)
によって提供される構造を有する。
【0288】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分は式(VIIIB):
によって提供される構造を有する。
【0289】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分は式(VIIIC):
【0290】
(式中、R13-(CH2)wNH-、-O(CH2)wNH-、-N(H)C(O)(CH2)wNH-、C(O)N(H)(CH2)wNH-、-(CH2)wO-、-O(CH2)wO-、-O(CH2CH2O)w-、-N(H)C(O)(CH2)wO-、-C(O)N(H)(CH2)wO-、-C(o)N(H)(CH2CH2O)w-、-(CH2)wS-、-O(CH2)wS-、-N(H)C(O)(CH2)wS-、-C(O)N(H)(CH2)wS-、-(CH2)wNH-、-C(O)N(H)(CH2CH2O)wCH2CH2NH、-C(O)(CH2CH2O)wCH2CH2NH-、-C(O)N(H)(CH2)NHC(O)CH(CH3)(CH2)wNH-、または-N(H)(CH2)wNH-、ここでwは独立して1~12の範囲の整数である)によって提供される構造を有する。いくつかの実施形態では、R7はC(O)N(H)(CH2)wNHであり、wは上記で定義されたとおりである。他の実施形態では、R7はC(O)N(H)(CH2)wNHであり、wは2~6の範囲である。
【0291】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分は式(VIIID):
(式中、wは1~12の範囲である)によって提供される構造を有する。いくつかの実施形態において、wは1~8の範囲である。他の実施形態において、wは2~8の範囲である。さらに他の実施形態では、wは2~6の範囲である。さらなる実施形態では、wは6である。
【0292】
さらなるクマリン系試薬
【0293】
いくつかの実施形態において、クマリン系試薬は、以下:
(式中、R
vは酵素反応性部分または反応性官能基である)
の構造を有する。
【0294】
いくつかの実施形態において、クマリン系試薬は、以下:
(式中、R
vは酵素反応性部分または反応性官能基である)
の構造を有する。
【0295】
いくつかの実施形態において、クマリン系試薬は、以下:
【0296】
(式中、R
vは酵素反応性部分または反応性官能基である)
の構造を有する。
【0297】
いくつかの実施形態において、クマリン系試薬は、以下:
(式中、R
vは酵素反応性部分または反応性官能基である)
の構造を有する。
【0298】
いくつかの実施形態において、クマリン系試薬は、以下:
(式中、R
vは酵素反応性部分または反応性官能基である)
の構造を有する。
【0299】
いくつかの実施形態において、クマリン系試薬は、以下:
(式中、R
vは酵素反応性部分または反応性官能基である)
の構造を有する。
【0300】
クマリン系試薬を含むコンジュゲート
【0301】
本開示はまた、クマリン系試薬と別の置換基、例えば高分子、薬物、または生体分子、クマリン系試薬とのコンジュゲートを提供する。いくつかの実施形態において、式(IA)、(IB)、(IIA)、(IIB)、(IIC)、または(IID)のクマリン系試薬を、高分子、薬物、または生体分子と反応させることができる。いくつかの実施形態において、コンジュゲートは、T-[クマリン系試薬]oの一般的な構造を有し、Tは、特異的結合実体、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、薬物、脂質、またはナノ粒子であり、oは1~10の範囲の整数である。
【0302】
クマリン系試薬を高分子、薬物、または生体分子に結合するために使用できる様々な方法が存在する。例えば、この結合を容易にするために、クマリン系試薬を、活性エステル基、アミノ基、スルフヒドリル基、炭水化物基、アジド基またはカルボキシ基などの生体分子反応性基に付着させることができる。生体分子反応性基を高分子または高分子フラグメントと反応させるための様々な方法論が存在する。そのような方法論の例は、光架橋およびグルタルアルデヒド架橋である。そのような結合を達成するためのさらに他の方法は、当業者に見出されるであろう。そのような方法の例については、Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Elsevier Science,London,2008を参照のこと。
【0303】
本発明の活性エステル基は、それらがタンパク質または高分子への拡張連結基の結合を損なわないように選択されなければならない。当業者は、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドまたはN-ヒドロキシスルホスクシンイミドなどの活性エステルを本発明で使用できることを理解するであろう。あるいは、拡張連結基の第一級アミノ基は、グルタルアルデヒドによってタンパク質の第一級アミノ基に結合され得る。タンパク質のアミノ基は、拡張連結基のカルボキシ基に結合している場合がある。さらに、拡張連結基は、可視光を照射したときにタンパク質へのカップリングが起こるように、ニトロフェニルアジドで修飾することができる。そのような結合を達成するためのさらに他の方法は、当業者に見出されるであろう。
【0304】
いくつかの実施形態において、本開示のコンジュゲートは、式(IXA)または(IXB):
(式中、Tは、特異的結合実体、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、薬物、脂質、またはナノ粒子から選択される置換基であり、
R
zは、上記で定義されるような検出可能な標識であり、
oは1~10の範囲の整数であり、
L
1およびL
2はリンカーであり、
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
Zは結合、-CH-基、-CH-CH
2-基、または-CH
2-CH-基であり、
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
のいずれかの構造を有する。
【0305】
いくつかの実施形態において、特異的結合実体は、抗体、抗体断片、薬物/抗体複合体、または核酸である。いくつかの実施形態において、抗体は、一次抗体である。他の実施形態において、抗体は、二次抗体である。
【0306】
いくつかの実施形態では、Rzはハプテンである。いくつかの実施形態において、Rzは、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素、ローダミンチオ尿素以外のチオ尿素、ジニトロフェニルまたはトリニトロフェニル以外のニトロアリール、ロテノイド、シクロリグナン、ヘテロビアリール、アゾアリール、ベンゾジアゼピンである。他の実施形態では、Rzは、ベンゾフラザンまたはチアゾールスルホンアミドである。
【0307】
他の実施形態では、Rzは酵素、例えば、ペルオキシダーゼまたはホスファターゼである。さらに他の実施形態では、Rzはフルオロフォアである。
【0308】
いくつかの実施形態において、本開示のコンジュゲートは、式(IXC)または(IXD):
Abは、抗体であり、
R
zは、上記で定義されるような検出可能な標識であり、
oは1~10の範囲の整数であり、
L
1およびL
2はリンカーであり、
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
Zは結合、-CH-基、-CH-CH
2-基、または-CH
2-CH-基であり、
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
のいずれかの構造を有する。
【0309】
いくつかの実施形態において、本開示のコンジュゲートは、式(IXE)または(IXF):
(式中、NAは核酸であり、
R
zは、上記で定義されるような検出可能な標識であり、
oは1~10の範囲の整数であり、
L
1およびL
2はリンカーであり、
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
Zは結合、-CH-基、-CH-CH
2-基、または-CH
2-CH-基であり、
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
のいずれかの構造を有する。
【0310】
いくつかの実施形態では、Rzはハプテンである。いくつかの実施形態において、Rzは、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素、ローダミンチオ尿素以外のチオ尿素、ジニトロフェニルまたはトリニトロフェニル以外のニトロアリール、ロテノイド、シクロリグナン、ヘテロビアリール、アゾアリール、ベンゾジアゼピンである。他の実施形態では、Rzは、ベンゾフラザンまたはチアゾールスルホンアミドである。
【0311】
いくつかの実施形態において、クマリン系試薬(例えば、式(IIA)または(IIB)を有するもの)は、抗体の任意の部分に結合され得る。抗体の3個の官能基は、共有結合修飾の部位、アミン(-NH2)、チオール基(-SH)、および炭水化物残基(Shrestha D,et al,2012)である。したがって、本明細書に開示される少なくとも1個の反応性官能基を有するクマリン系試薬のいずれかは、アミン残基、チオール残基、および炭水化物残基、またはそれらの任意の組み合わせに結合され得る。いくつかの実施形態において、クマリン系試薬は、抗体のFc部分に結合される。他の実施形態では、クマリン系試薬は、抗体のヒンジ領域に結合されている。いくつかの実施形態において、クマリン系試薬は、抗体の1つ以上のFc領域および抗体の1つ以上のヒンジ領域に結合される。実際、本開示では、任意の組み合わせが企図されている。
【0312】
アミノ基は、主に抗体にこれらの部分が豊富にあるため、一般的に好まれる。ただし、アミノ基のランダム性は、抗体が不活性化されるリスクをもたらす。(Adamczyk M,et al,1999,Bioconjug Chem;Jeanson A,et al,1988,J Immunol Methods;Vira S,et al,2010,Anal Biochem;Pearson JE et al,1998,J Immunol Methods)。いくつかの実施形態において、1つ以上のクマリン系試薬は、抗体のアミノ基に結合される。
【0313】
一方、適切な反応条件下では、スルフヒドリル標識は、ヒンジ領域の抗体の2つの重鎖間のジスルフィド結合の高い特異性ターゲティングを提供する。ヒンジ領域は抗原結合部位から離れているため、この修飾は抗体の結合親和性をよりよく保存すると考えられている。いくつかの実施形態において、1つ以上のクマリン系試薬は、抗体のチオール基に結合される。
【0314】
抗体のFc部分に存在する炭水化物部分での結合はチオール基の結合と類似しており、抗原結合部位から離れた-CHO基で修飾が起こる。この場合も、炭水化物での複合化は、抗体の結合親和性に対する悪影響が少ないと考えられている。標識化の程度は、特定の抗体のグリコシル化状態によって異なる。しかしながら、抗体親和性の喪失は、Jeanson A,et al,1988,J Immunol Methods.によって依然として報告されている。いくつかの実施形態において、1つ以上のクマリン系試薬は、抗体の炭水化物基に結合される。
【0315】
クマリン系コンジュゲートの検出
【0316】
いくつかの実施形態では、式(IXA)、(IXB)、(IXC)、および(IXD)のいずれかのコンジュゲートは、コンジュゲートの直接検出を容易にする検出可能な標識を含む。例えば、クマリン系コンジュゲートの標識がフルオロフォアまたは発色団を含む場合、フルオロフォアまたは発色団は、当業者に知られている方法に従って直接検出することができる。
【0317】
他の実施形態では、特定の試薬を利用して、式(IXA)、(IXB)、(IXC)、(IXD)、(IXE)、および(IXF)の任意のコンジュゲート、したがって組織サンプル中の標的の検出を可能にする。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの特定の検出可能な標識に特異的な検出試薬が利用される。いくつかの実施形態では、検出試薬は、コンジュゲートの標識、例えばコンジュゲートのハプテン部分に特異的な二次抗体を含む。例えば、二次抗体は、それ自体がレポーター部分に複合化されている抗標識抗体または抗ハプテン抗体であり得る。
【0318】
いくつかの実施形態において、二次抗体または抗ハプテン抗体は、式(IXA)、(IXB)、(IXC)、(IXE)、および(IXF)のコンジュゲートの検出を達成するために「レポーター部分」にコンジュゲートされ得る。上記の検出可能な標識のいずれかがこの目的に適しており、すなわち、レポーター部分として機能し得る。いくつかの実施形態において、二次抗体のレポーター部分には、発色性、蛍光性、りん光性、発光性の分子および材料、ある物質を別の物質に変換して検出可能な差異を提供する(無色の物質を着色された物質に変換する、またはその逆、または沈殿物を生成するか、サンプルの濁度を増加させることなどによる)触媒(酵素など)、追加の検出可能な標識抗体コンジュゲートならびに常磁性および磁性分子または材料を使用する抗体-ハプテン結合相互作用により検出され得るハプテンが含まれる。もちろん、検出可能な標識自体も間接的に検出することができ、例えば、検出可能な標識がハプテンである場合、本明細書に記載されるように、当業者に知られている、そのハプテンに特異的なさらに別の抗体(例えば、抗ハプテン抗体)を、検出可能な標識の検出に利用することができる。
【0319】
式(IXA)、(IXB)、(IXC)、および(IXD)のいずれかのクマリン系コンジュゲートおよび検出試薬を用いて標的を検出する方法
【0320】
本開示はまた、本明細書に記載の式(IXA)、(IXB)、(IXC)、(IXD)、(IXE)、および(IXF)のコンジュゲートのいずれかを使用して、生物学的サンプル内の1つ以上の標的を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態では、式(IXA)、(IXB)、(IXC)、(IXD)、(IXE)、および(IXF)のいずれかのコンジュゲートをシンプレックスアッセイで使用して、生物学的サンプル内の特定の標的(例えば、バイオマーカー)を直接的または間接的に検出することができる(例えば、PD-L1、ER、PR、HER2 CD68、Ki67、CD20など)。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、核酸(例えば、DNA、RNA、mRNAなど)である。例えば、
図1は、核酸プローブに複合化されたクマリン系試薬による染色を示している(式(IXE)および(IXF)のコンジュゲートを使用する場合など)(クマリン系試薬はDIGに結合され、DIGは、当技術分野で知られている適切な検出試薬の適用によって検出され得る)。
【0321】
いくつかの実施形態において、式(IXA)、(IXB)、(IXC)、および(IXD)のいずれかのコンジュゲートは、一次抗体(例えば、PD-L1、ER、PR、HER2 CD68、Ki67、CD20に特異的な抗体など)を含む。これらの実施形態では、一次抗体を含むコンジュゲートを使用して、コンジュゲートで標的を直接「標識」することができる。他の実施形態では、式(IXA)、(IXB)、(IXC)、および(IXD)のいずれかのコンジュゲートは、二次抗体を含む。これらの実施形態において、そして本明細書においてより詳細に論じられるように、標的(例えば、タンパク質標的または核酸標的)は、一次抗体(IHCの場合)または核酸コンジュゲート(例えば、ISHの場合、ハプテンに結合された核酸配列)で標識された後、一次抗体または核酸コンジュゲートを、二次抗体を含む式(IXA)、(IXB)、(IXC)、および(IXD)のいずれかのコンジュゲート(後で検出することができる)で「標識」することができる。これらおよび他の実施形態は、本明細書でさらに説明される。
【0322】
例として、
図2および3は、組織上に沈着した一次抗体を標識するために利用される二次抗体-クマリン系試薬コンジュゲートを示す。これらの図では、二次抗体は抗抗体抗体であり、コンジュゲートはDIGに結合される。DIGは、酵素に結合した抗DIG抗体を使用し、続いて色素原、例えばDABを導入することで検出または視覚化することができる。
【0323】
いくつかの実施形態において、クマリン系コンジュゲートは一次抗体を含み、クマリン系の一次抗体コンジュゲートは目的の標的に特異的であり、クマリン系の一次抗体コンジュゲートを組織サンプルに適用すると、標的クマリン系一次抗体コンジュゲート複合体が形成される。クマリン系の一次抗体コンジュゲートの適用に続いて、標的-クマリン系の一次抗体コンジュゲート複合体が検出され得るように、検出試薬(例えば、抗標識抗体または抗ハプテン抗体)が続いて適用され得る。いくつかの実施形態において、検出試薬は、クマリン系の一次抗体コンジュゲートの特定のハプテン検出可能標識に特異的な抗ハプテン抗体を含み、抗ハプテン抗体は、レポーター部分を含む。次に、単一の標的を視覚化するか、そうでなければ検出することができる。
【0324】
他の実施形態では、組織サンプルを、最初に一次抗体または核酸プローブと接触させ、標的-一次抗体複合体または標的-核酸プローブ複合体のいずれかを形成する。続いて、二次抗体を含むクマリン系コンジュゲートを組織サンプルに導入し、クマリン系コンジュゲートの二次抗体部分は、(i)一次抗体、(ii)一次抗体に複合化された標識、または(iii)核酸プローブに複合化された標識のいずれかに特異的である。クマリン系二次抗体コンジュゲートを適用すると、二次複合体の形成が可能になり、標的を「標識」することができる。クマリン系の二次抗体コンジュゲートの適用および二次複合体の形成に続いて、二次複合体が検出され得るように、検出試薬(例えば、抗標識抗体、抗ハプテン抗体)が適用され得る。いくつかの実施形態において、検出試薬は、クマリン系の二次抗体コンジュゲートの特定の標識に特異的な抗ハプテン抗体を含み、抗ハプテン抗体は、レポーター部分を含む。次に、標的は、結合されたレポーター部分を介して視覚化または他の方法で検出され得る。
【0325】
本開示のいくつかの態様において、自動化された多重検出を含む多重検出の方法が提供される。
図4は、組織サンプルが複数のクマリン系コンジュゲートと同時に接触する(工程100)、標的の多重検出のための1つの方法を示すフローチャートを提供し、各クマリン系コンジュゲートは特定の標的に特異的であり、各クマリン系コンジュゲートは、異なる検出可能な標識を含む。
図4は、クマリン系コンジュゲートの適用を示しており、当業者は、クマリン系コンジュゲートが、サンプル内の標的(例えば、核酸配列、一次抗体クマリン系コンジュゲートによって認識されるタンパク質標的、または二次抗体クマリン系コンジュゲートによって認識される事前に沈着された一次抗体)に応じて、クマリン系核酸コンジュゲート、クマリン系一次抗体コンジュゲート、およびクマリン系二次抗体コンジュゲートを含み得ることを理解する。
【0326】
いくつかの実施形態において、サンプルを2つのクマリン系コンジュゲートと接触させることができ、各クマリン系コンジュゲートは、特定の標的に特異的であり、各クマリン系コンジュゲートは、異なる検出可能な標識を含む。他の実施形態において、サンプルを3つのクマリン系コンジュゲートと接触させることができ、各クマリン系コンジュゲートは、特定の標的に特異的であり、各クマリン系コンジュゲートは、異なる検出可能な標識を含む。
【0327】
クマリン系コンジュゲート(式(IXA)、(IXB)のコンジュゲートのいずれかなど)を、特定のアッセイに必要なクマリン系コンジュゲートのそれぞれを含む「プール」または「カクテル」として組織サンプルに供給することができる。クマリン系コンジュゲートは、少なくとも交差反応性が染色性能を妨げる程度までは、互いに交差反応性ではないと考えられているため、クマリン系コンジュゲートのプーリングが可能であると考えられている。各クマリン系コンジュゲートは、それぞれの標的に結合し、検出可能な標的-クマリン系コンジュゲート複合体を形成する。いくつかの実施形態において、そしてクマリンベーコンジュゲートの適用に続いて、ブロッキング工程が実施される。
【0328】
クマリン系コンジュゲートの同時適用(工程100)に続いて、複数の検出試薬が組織サンプルに同時に適用され(工程110)、各検出試薬は、最初に適用されたクマリン系コンジュゲートの1つの検出を容易にし(工程100)、各検出試薬は異なる検出可能な標識を含む。他の実施形態では、検出試薬は、クマリン系コンジュゲートの検出可能な標識に特異的な二次抗体(例えば、クマリン系コンジュゲートの標識に特異的な抗標識抗体)である。抗ハプテン抗体が使用される実施形態において、抗ハプテン抗体は、標的-クマリン系抗体コンジュゲート複合体の検出に必要な抗ハプテン抗体のそれぞれを含むプールまたはカクテルとして組織サンプルに供給され得る。検出試薬の適用に続いて、いくつかの実施形態では、組織サンプルは対比染色で染色され得る。レポーター部分のそれぞれからのシグナルは、視覚化されるか、そうでなければ検出され得る(例えば、同時に視覚化または検出され得る)。
【0329】
クマリン系コンジュゲートを利用したマルチプレックスアッセイの一例は次のとおりである。第1の検出可能であり、第1の標的に特異的(例えば、PD-L1、ER、PR、HER2、CD68、Ki67、CD20などのうちの1つに特異的)な標識を含む第1のクマリン系の抗体コンジュゲートを組織サンプルに導入する。いくつかの実施形態において、第1のクマリン系抗体コンジュゲートは、検出可能な第1の標的-クマリン系抗体コンジュゲート複合体を形成する。同時に、検出可能な標識を含み、第2の標的(例えば、PD-L1、ER、PR、HER2、CD68、Ki67、CD20などの別のもの)に特異的な第2のクマリン系の抗体コンジュゲートをサンプルに導入して、第2の標的-クマリン系抗体コンジュゲート複合体を形成する。他の標的に特異的であり(「n」標的検出プローブ複合体を形成する)、異なる検出可能な標識を有する第3、第4、および第nの追加のクマリン系コンジュゲートを、第1および第2のクマリン系コンジュゲートと同時にさらに導入する。
【0330】
クマリン系の抗体コンジュゲートが沈着した後、それらは、もちろん、それらの構成に応じて、直接的または間接的に検出され得る。いくつかの実施形態において、抗標識抗体は、標的-クマリン系の抗体コンジュゲート複合体のそれぞれの検出を可能にするために導入される。いくつかの実施形態において、抗標識抗体は、クマリン系コンジュゲートの異なるレポーター部分に特異的であり、抗標識抗体は、それぞれ、異なる検出可能な標識に複合化される。いくつかの実施形態では、検出可能な試薬は、それぞれフルオロフォアに複合化した抗標識抗体である。いくつかの実施形態では、第1、第2、および第nの抗標識抗体が同時に導入され、第1、第2、および第nの検出試薬はそれぞれ、異なるクマリン系コンジュゲートに特異的であり、抗標識抗体のそれぞれがフルオロフォアに複合化されている。他の実施形態では、第1、第2、および第nの抗標識抗体が連続して導入され、第1、第2、および第nの検出試薬はそれぞれ、異なるクマリン系コンジュゲートに特異的であり、抗標識抗体のそれぞれが酵素に複合化されている。
【0331】
本開示によるマルチプレックスアッセイのさらなる例として、第1の標的(例えば、PD-L1、ER、PR、HER2)に特異的な第1のクマリン系抗体コンジュゲートを組織サンプルに導入し、第1のクマリン系抗体は第1の検出可能な標識を有する。いくつかの実施形態において、第1のクマリン系抗体コンジュゲートは、検出可能な第1の標的-クマリン系抗体コンジュゲート複合体を形成する。同時に、あるいはその後に、第2の標的(例えば、PD-L1、ER、PR、HER2)に特異的な第2のクマリン系の抗体コンジュゲートをサンプルに導入して、第2の標的-クマリン系抗体コンジュゲート複合体を形成し、第2のクマリン系抗体コンジュゲートは第2の検出可能な標識を有する。第3、第4、および第nの追加のクマリン系抗体コンジュゲートは、それぞれ他の標的に特異的であり(「n」個の標的-クマリン系の抗体コンジュゲート複合体を形成する)、さらに第1および/または第2のクマリン系抗体コンジュゲートと連続してまたは同時に導入されてもよく、第3、第4、および第nのクマリン系抗体コンジュゲートはそれぞれ異なる検出可能な標識をさらに持つ。クマリン系の抗体コンジュゲートは沈着した後に検出することができる。いくつかの実施形態において、標的の検出を可能にするために追加の検出試薬を導入し、追加の検出試薬としては、本明細書に記載されるもの(例えば、発色性検出試薬)が挙げられる。いくつかの実施形態では、第1、第2、および第nの検出試薬が順次導入され、第1、第2、および第nの検出試薬はそれぞれ、(i)クマリン系抗体コンジュゲートの検出可能な標識のそれぞれに特異的な二次抗体、すなわち抗標識抗体、および二次抗体が酵素に複合化されている場合、(ii)発色基質を含み、第1、第2、および第nの発色基質のそれぞれは異なる。
【0332】
さらに他の実施形態では、多重検出方法は、(i)生物学的サンプルを第1のクマリン系の抗体コンジュゲートと接触させて、第1の標的クマリン系抗体コンジュゲート複合体を形成する工程、(ii)生物学的サンプルを第1の標識コンジュゲートと接触させる工程であって、第1の標識コンジュゲートは第1の酵素を含む(第1の標識コンジュゲートは第1のクマリン系の抗体コンジュゲートに特異的に結合する抗標識抗体であり、酵素で標的を標識するように構成される)工程、(iii)生物学的サンプルを、第1の潜在的反応性部分および第1の発色部分を含む第1のシグナル伝達コンジュゲートと接触させる工程(例えば、米国特許出願第13/849,160号を参照されたい。その開示は、シグナル伝達コンジュゲートとそれらの構成成分の説明について参照により本明細書に組み込まれる)、(iv)サンプルを第1の酵素不活性化組成物と接触させて、生物学的サンプルに含まれる第1の酵素を実質的に不活性化または完全に不活性化することなどによって、第1の酵素を不活性化する工程を含む。
【0333】
第1の酵素が不活性化された後(任意に)、上記多重法は、(v)生物学的サンプルを第2のクマリン系抗体コンジュゲートと接触させて第2の標的クマリン系抗体コンジュゲートを形成する工程、(vi)生物学的サンプルを第2の標識コンジュゲートと接触させる工程であって、第2の標識コンジュゲートが第2の酵素を含む(第2の標識コンジュゲートは、第2のクマリン系抗体コンジュゲートに特異的に結合する抗標識抗体であり、酵素により標的を標識するように構成される)工程、(vii)生物学的サンプルを、第2の潜在的反応性部分および第2の発色性部分を含む第2のシグナル伝達コンジュゲートと接触させる工程、(viii)サンプルを第1の酵素不活性化組成物と接触させて、生物学的サンプルに含まれる第1の酵素を実質的に不活性化または完全に不活性化するなどによって第2の酵素を不活性化する工程、を含む。
【0334】
第2の酵素が不活性化された後、追加のクマリン系抗体コンジュゲートが追加の検出試薬と共に導入されて、他の標的の検出を達成することができるように、この方法を繰り返すことができる。すべてのクマリン系抗体コンジュゲート(および他の検出プローブ)およびそれぞれの検出試薬またはキットの導入に続いて、この方法は、サンプルを対比染色する工程および/または第1、第2、および第nの発色性部分からの(手動または自動化された方法を介して)シグナルを検出する工程をさらに含み、第1、第2、および第nの発色性部分のそれぞれはそれぞれ異なる。あるいは、クマリン系の抗体コンジュゲートのそれぞれを同時にまたは連続して加えることができるが、標識コンジュゲートを加える前に加える。別の例として、3つのクマリン系抗体コンジュゲートを、任意の検出試薬の導入前に最初に連続して適用し、次に各検出試薬を連続して添加することができる。
【0335】
複数の標的が連続して検出され、検出が酵素の使用を採用するマルチプレックスアッセイの状況では、連続する検出工程の間に任意の試薬または内因性酵素を不活性化することが望ましい。結果として、いずれか1つの検出工程に存在する酵素は、後の検出工程の酵素に干渉しないと考えられている。これは次に、マルチプレックスアッセイで使用される異なる検出可能な部分の視覚化および検出を改善すると考えられている。当技術分野で知られている任意の酵素不活化組成物をこの目的に使用することができる。いくつかの実施形態において、酵素不活性化組成物は、各検出工程の後に試薬または内因性酵素を不活性化するために適用される。例示的な酵素不活性化組成物は、米国特許出願公開第2018/0120202号に開示されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0336】
いくつかの実施形態では、変性工程は、検出試薬の第1のセットで使用される酵素が第2の基質に作用するのを防ぐ。いくつかの実施形態では、変性剤は、第1の検出試薬セット中の酵素を変性させる物質である。いくつかの実施形態において、変性剤は、例えば、ホルムアミド、アルキル置換アミド、尿素または尿素系の変性剤、チオ尿素、塩酸グアニジン、またはそれらの誘導体である。アルキル置換アミドの例には、N-プロピルホルムアミド、N-ブチルホルムアミド、N-イソブチルホルムアミド、およびN,N-ジプロピルホルムアミドが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、変性剤は緩衝液中で提供される。例えば、ホルムアミドは、20mMデキストラン硫酸(50~57%%ホルムアミド(UltraPureホルムアミド原液)、2×SSC(0.3Mクエン酸塩および3M NaClを含む20×SSC原液)、2.5mM EDTA(0.5M EDTAス原液)、5mM Tris、pH7.4(1mM Tris、pH7.4原液)、0.05%Brij-35(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルを含む10%原液)、pH7.4を含む。いくつかの実施形態では、サンプルを、第1の標的プローブ検出酵素、例えばアルカリホスファターゼを変性させるのに十分な条件下で、一定期間、変性剤で処理する。いくつかの実施形態において、サンプルを、約37℃で約15~約30分間、好ましくは約20~24分間、変性剤で処理する。いくつかの実施形態において、サンプルを、標的への第2の核酸プローブのハイブリダイゼーションを維持しながら、標的酵素を変性させるのに十分な期間および条件下で、変性剤で処理する。
【0337】
酵素に複合化された抗標識抗体を使用するこれらの実施形態では、シグナル伝達コンジュゲートまたは発色基質を生物学的サンプルと共に導入するのに適した条件が使用され、典型的には、過酸化物(例えば、過酸化水素)を含み、酵素がその所望の機能を実行することを可能にするかまたは促進するのに適した塩濃度およびpHを有する反応緩衝液または溶液を提供することを含む。一般に、方法のこの工程は、約35℃~約40℃の範囲の温度で実施されるが、当業者は、選択された酵素およびシグナル伝達コンジュゲートに適切な、適切な温度範囲を選択することができる。例えば、これらの条件は、酵素と過酸化物が反応し、シグナル伝達コンジュゲートの潜在的な反応性部分でのラジカル形成を促進することを可能にすると考えられている。潜在的な反応性部分、したがって全体としてのシグナル伝達コンジュゲートは、生物学的サンプル、特に固定化酵素コンジュゲートの近位のチロシン残基、酵素コンジュゲートの酵素部分のチロシン残基、および/または酵素コンジュゲートの抗体部分のチロシン残基の1つ以上に共有結合により沈着する。次に、生物学的サンプルに光を照射し、シグナル伝達コンジュゲートの発色部分によって生成される光の吸光度によって標的を検出することができる。
【0338】
他の特異的結合実体と組み合わせて、式(IXA)、(IXB)、(IXC)、(IXD)、(IXE)、および(IXF)のいずれかのコンジュゲートを検出する方法
【0339】
本開示のいくつかの態様において、式(IXA)、(IXB)、(IXC)、および(IXD)のいずれかのコンジュゲートは、組織サンプル中の標的の多重検出をもたらすために他の特異的結合実体と組み合わせて使用される。当業者は、上記で特定された方法および手順のいずれかが、式(IXA)、(IXB)、(IXC)、および(IXD)のいずれかのコンジュゲート、ならびに他の特異的結合実体の両方を用いる任意のアッセイに適宜適合され得ることを理解することができよう。いくつかの実施形態において、他の特異的結合実体は、in situハイブリダイゼーションのための核酸およびIHCのための未修飾抗体を含む。本明細書で使用される場合、「未修飾抗体」または「未修飾抗体」という用語は、本明細書に開示されるクマリン系試薬を含まないが、ハプテンまたは別の標識に結合した抗体を含む抗体を指す。本質的に、「未修飾抗体」は、IHCアッセイで伝統的に使用されているネイティブ抗体であり、特定の標的(例えば、抗CD3抗体)に特異的であり、抗種二次抗体、またはそれらが標識を含む場合には抗標識抗体などで検出することができる。例として、ウサギ抗CD3抗体は、ヤギ抗ウサギ抗体で検出することができる。同様に、ハプテンに結合したウサギ抗CD3抗体は、抗ハプテン抗体で検出することができる。例えば、ERに特異的な未修飾抗体をサンプルに導入し、後で検出することができるのに対し、同時にまたは連続して、PRに特異的な本開示のクマリン系コンジュゲートを同じサンプルに導入し、そして検出することができる。
【0340】
式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、および(IIID)のクマリン系試薬を使用してサンプル中の標的を検出する方法
【0341】
本開示はまた、クマリン系試薬、例えば、式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、および(IIID)のこれらの化合物を使用して組織サンプル内の1つ以上の標的を検出する方法を提供する。
【0342】
いくつかの実施形態において、酵素反応性部分(例えば、「A」がチラミドの誘導体またはキノンメチド誘導体である場合)を有し、検出可能な標識(例えば、「B」がハプテンである場合)を有する式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、および(IIID)の化合物を、標的結合酵素(例えば、抗体-酵素コンジュゲートまたは生物学的サンプルにすでに沈着している核酸-酵素コンジュゲート)と接触させて、反応性中間体を生成する。例えば、抗体-ペルオキシダーゼコンジュゲートは、標的上に沈着されてもよく、そしてペルオキシダーゼ酵素は、式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、および(IIID)のサンプルへの導入時にいずれかの化合物の酵素反応性部分と反応し得る。別の例として、核酸-ホスファターゼコンジュゲートは、サンプル内の標的にハイブリダイズすることができ、複合化したホスファターゼ酵素は、式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、および(IIID)のサンプルへの導入時にいずれかの化合物の酵素反応性部分と反応することができる。
【0343】
いくつかの実施形態において、反応性中間体は、生物学的サンプル上またはその内部で求核試薬への共有結合を形成して、固定化された組織-クマリン系の化合物複合体を提供する。式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、および(IIID)の化合物の検出可能な標識のおかげで、組織-クマリン系の複合体を視覚化することができる。例えば、検出可能な標識がハプテンである場合、レポーターに複合化された抗ハプテン抗体(例えば、色素原またはフルオロフォア)を導入して、組織-クマリン系の化合物複合体を検出することができる。酵素反応性部分を有する化合物を使用する検出および視覚化の方法は、米国特許出願公開第2017/0089911号および同第2012/0171668号に記載されており、それらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0344】
図5は、チラミド部分およびハプテン、例えばDIGに結合した式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、および(IIID)のいずれかのクマリン系の部分の使用を示し、DIGに対して結合されたチラミド部分と染色性能を比較する。
【0345】
式(IIIE)および(IIIF)のクリックコンジュゲートを使用してサンプル内の標的を検出する方法
【0346】
式(IIIE)および(IIIF)の試薬は、特定のクリックコンジュゲートを使用してサンプル内の標的を検出するために使用され得る。いくつかの実施形態において、酵素反応性部分を含み、クリックケミストリー反応に関与することができる官能基をさらに含む、式(IIIE)または(IIIF)を有する試薬を標的結合酵素(例えば、標的結合酵素は、生物学的サンプルにすでに沈着している抗体-酵素コンジュゲートであり得る)と接触させて反応性中間体を生成する。いくつかの実施形態において、反応性中間体は、生物学的サンプル上またはその内部で求核試薬への共有結合を形成して、固定化された組織-クマリン系の化合物複合体を提供する。次に、固定化組織クリックコンジュゲート複合体は、レポーター部分を含み、クリックケミストリー反応に関与することができる官能基を含むクリックコンジュゲートと反応することができるが、ただし、クリックコンジュゲートおよび固定化組織クリックコンジュゲート複合体は、互いに反応して共有結合を形成することができる反応性官能基を有し得る。固定化された組織クリックコンジュゲート複合体とクリックコンジュゲートの反応生成物は、固定化された組織クリック付加物複合体を生成する。組織クリック付加物複合体は、連結されたレポーター部分から伝達されるシグナルによって検出され得る。固定化された組織クリックコンジュゲート複合体と反応するのに有用なクリックコンジュゲートには、PCT公開番号WO/2018/002016に記載されているものが含まれ、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。検出方法のさらなる詳細は、PCT公開番号WO/2018/002016にも開示されており、これらの開示はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0347】
クマリン系試薬の合成
【0348】
式(IA)または(IB)の試薬のいずれかなど、様々なタイプのクマリン系試薬を合成する方法を以下に説明する。
【0349】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキシレートの合成
【0350】
7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボン酸(Sigma-Aldrich、500mg、2.27mmol)を10mlの乾燥DMFに溶解し、その溶液にDSC(641mg、2.50mmol)およびDMAP(416mg、3.40mmol)を加えた。溶液を室温(r.t.)で1時間撹拌し、次に50mlのDCMで希釈した。溶液を50mlの水で3回、そして50mlのブラインで1回洗浄し、次いで真空下で濃縮した後、シリカゲルクロマトグラフィー(2%イソプロパノール/DCMから10%イソプロパノール/DCM)により精製して、632mg(86%収率)の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキシレート(化合物10)を得た。
【0351】
tert-ブチル(1-(7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-クロメン-3-イル)-1-オキソ-6,9,12-トリオキサ-2-アザペンタデカン-15-イル)カルバメートの合成
【0352】
この例では、リンカー基がクマリン部分に導入されている。
【0353】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキシレート(500mg、1.65mmol)を10mlのDCMに溶解し、その溶液にtert-ブチル(3-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)プロピル)カルバメート(547mg、1.98mmol)およびトリエチルアミン(334mg、3.3mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。完了したら、反応物を減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(2%メタノール/DCMから10%メタノール/DCM)によって精製して、黄色の油として688mg(82%収率)のtert-ブチル(1-(7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-クロメン-3-イル)-1-オキソ-6,9,12-トリオキサ-2-アザペンタデカン-15-イル)カルバメート(化合物11)を得た。
【0354】
tert-ブチル2-((3-((2,2-ジメチル-4-オキソ-3,9,12,15-テトラオキサ-5-アザオクタデカン-18-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)アセテートの合成
【0355】
tert-ブチル(1-(7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-クロメン-3-イル)-1-オキソ-6,9,12-トリオキサ-2-アザペンタデカン-15-イル)カルバメート(407mg、0.80mmol)を10mlの乾燥DMFに溶解し、その溶液にtert-ブチル2-ブロモアセテート(172mg、0.884mmol)および炭酸カリウム(330mg、2.41mmol)を加え、反応物を60℃の油浴上で撹拌した。3時間後、反応物を70mlのDCMで希釈し、溶液を100mlの水で3回、100mlのブラインで1回洗浄した。溶液を真空下で濃縮した後、シリカゲルクロマトグラフィー(2%メタノール/DCMから12%メタノール/DCM)で精製して、398mg(80%収率)のtert-ブチル2-((3-((2,2-ジメチル-4-オキソ-3,9,12,15-テトラオキサ-5-アザオクタデカン-18-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)アセテート(化合物12)を得た。
【0356】
2-((3-((3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)-カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸の合成
【0357】
tert-ブチル2-((3-((2,2-ジメチル-4-オキソ-3,9,12,15-テトラオキサ-5-アザオクタデカン-18-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)アセテート(398mg、0.64mmol)を20mlの35%TFA/DCMに溶解し、HPLCで反応が完了するまで(約4時間)室温で撹拌した。次に、反応物を真空下で濃縮し、トルエンで3回共沸させ、高真空下で一晩乾燥させて、2-((3-((3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸(化合物13)(1:1)と共に372mgの2,2,2-トリフルオロ酢酸化合物を得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0358】
2-((3-((1-(((3S,10S,12R,13S,14S,17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-2,10-ジオキソ-15,18,21-トリオキサ-3,11-ジアザテトラコサン-24-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸の合成
【0359】
この例では、ハプテン部分が導入されている。
【0360】
3mlの乾燥DMF中の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル7-(2-(((3S,10S,12R,13S,14S,17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)アセトアミド)ヘプタノエート(90mg、0.137mmol)の溶液に2-((3-((3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(1:1)(120mg、0.205mmol)およびヒューニッヒ塩基(82μL、0.480mmol)を加え、反応物を室温で一晩(o.n.)攪拌した。粗反応物を0.2ミクロンフィルタでフィルタにかけ、分取HPLCで精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、116mg(83%収率)の2((3-((1-(((3S,10S,12R,13S,14S,17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-2,10-ジオキソ-15,18,21-トリオキサ-3,11-ジアザテトラコサン-24-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸(化合物14)を灰白色の粉末として得た。
【0361】
1-((3-((1-(((3S,10S,12R,13S,14S,17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-2,10-ジオキソ-15,18,21-トリオキサ-3,11-ジアザテトラコサン-24-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸の合成
【0362】
この例では、第2のリンカーがクマリン部分に導入されている。
【0363】
10mlの乾燥DCM中の2-((3-((1-(((3S,10S,12R,13S,14S,17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-2,10-ジオキソ-15,18,21-トリオキサ-3,11-ジアザテトラコサン-24-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸(130mg、0.129mmol)の溶液にN-ヒドロキシスクシンイミド(19mg、0.167mmol)およびDCM中の1.0M DCC(167μL、0.167mmol)を加え、HPLCによって決定されるように活性エステルの形成が完了するまで(約4時間)反応物を室温で攪拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、溶液に1-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オイック酸(44mg、0.167mmol)およびヒューニッヒ塩基(66μL、0.167mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCによって精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、125mg(76%収率)の1-((3-((1-(((3S,10S,12R,13S,14S,17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-2,10-ジオキソ-15,18,21-トリオキサ-3,11-ジアザテトラコサン-24-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(化合物15)を灰白色の粉末として得た。
【0364】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-((1-(((3S,10S,12R,13S,14S,17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-2,10-ジオキソ-15,18,21-トリオキサ-3,11-ジアザテトラコサン-24-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエートの合成
【0365】
この例では、出発物質は、得られた試薬をタンパク質または抗体などの高分子に結合できるように誘導体化されている。
【0366】
10mlの乾燥DCM中の1-((3-((1-(((3S,10S,12R,13S,14S,17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-2,10-ジオキソ-15,18,21-トリオキサ-3,11-ジアザテトラコサン-24-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(25mg、0.02mmol)の溶液にN-ヒドロキシスクシンイミド(2.3mg、0.03mmol)およびDCM中の1.0M DCC(30μL、0.03mmol)を加え、HPLCによって決定されるように活性エステルの形成が完了するまで(約4時間)反応物を室温で攪拌した。尿素副生成物をフィルタにより除去し、反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCにより精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、22mg(80%収率)の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-((1-(((3S,10S,12R,13S,14S,17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-2,10-ジオキソ-15,18,21-トリオキサ-3,11-ジアザテトラコサン-24-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエート(化合物16)を灰白色の粉末として得た。
【0367】
4-ヒドロキシフェニルエチル1-((3-((1-(((3S,10S,12R,13S,14S,17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-2,10-ジオキソ-15,18,21-トリオキサ-3,11-ジアザテトラコサン-24-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエートの合成
【0368】
この例では、酵素反応性部分、具体的にはチラミド部分が導入されている。
【0369】
2mlの乾燥DMF中の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-((1-(((3S、10S、12R、13S、14S、17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-2,10-ジオキソ-15,18,21-トリオキサ-3,11-ジアザテトラコサン-24-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエート(20mg、0.015mmol)の溶液にチラミン(4.1mg、0.030mmol)およびトリエチルアミン(4.2μL、0.030mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。粗反応物を0.2ミクロンフィルタでフィルタにかけ、分取HPLCで精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、17mg(81%収率)の4-ヒドロキシフェニルエチル1-((3-((1-(((3S,10S,12R,13S,14S,17R)-12,14-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-2,10-ジオキソ-15,18,21-トリオキサ-3,11-ジアザテトラコサン-24-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエート(化合物17)を灰白色の粉末として得た。
【0370】
2-((3-((2,2-ジメチル-4-オキソ-3,9,12,15-テトラオキサ-5-アザオクタデカン-18-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸の合成
【0371】
50mlのジオキサン/水(1:1)中の2-((3-((3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸(1:1)(8.03g、13.83mmol)の2,2,2-トリフルオロ酢酸塩の溶液に(Boc)2O(3.02g、13.83mmol)およびトリエチルアミン(4.38ml、31.46)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を100mlのDCMで希釈し、50mlの水で2回、ブラインで1回洗浄した。有機相をMgSO4のプラグを通してフィルタにかけることにより乾燥させ、次にシリカゲルクロマトグラフィー(4%メタノール/DCMから15%メタノール/DCM)による精製の前に濃縮して、6.48g(83%収率)の2-((3-((2,2-ジメチル-4-オキソ-3,9,12,15-テトラオキサ-5-アザオクタデカン-18-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸(化合物20)を得た。
【0372】
1-((3-((2,2-ジメチル-4-オキソ-3,9,12,15-テトラオキサ-5-アザオクタデカン-18-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸の合成
【0373】
40mlの乾燥DCM中の2-((3-((2,2-ジメチル-4-オキソ-3,9,12,15-テトラオキサ-5-アザオクタデカン-18-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸(6.48g、11.4mmol)の溶液にDCM中の1.0M DCC(17.16ml、17.16mmol)およびNHS(1.97g、17.16mmol)を加え、反応物をエステル形成が完了するまで(5時間)室温で撹拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、溶液に1-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オイック酸(4.55g、17.16mmol)およびヒューニッヒ塩基(2.22g、17.16mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCによって精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、7.42g(収率80%)の1-((3-((2,2-ジメチル-4-オキソ-3,9,12,15-テトラオキサ-5-アザオクタデカン-18)-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(化合物21)を得た。
【0374】
1-((3-((3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-プロピル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(1:1)の合成
【0375】
1-((3-((2,2-ジメチル-4-オキソ-3,9,12,15-テトラオキサ-5-アザオクタデカン-18-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(7.42g、9.12mmol)を50mlの35%TFA/DCMに溶解し、HPLCによって反応が完了するまで室温で撹拌した(約4時間)。次に、反応物を真空下で濃縮し、トルエンで3回共沸させ、高真空下で一晩乾燥させて、7.92gの1-((3-((3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸の2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(化合物22)(1:1)を淡黄色の油として得た。
【0376】
1-((3-((1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1-オキソ-6,9,12-トリオキサ-2-アザペンタデカン-15-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸の合成
【0377】
5mlの乾燥DCM中のベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-カルボン酸(13mg、0.079mmol)の溶液に、DCM中の1.0M DCC(100ul、0.10mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(12mg、0.10mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約4時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、溶液に
【0378】
1-((3-((3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸の2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(1:1)(82.8mg、0.10mmol)およびトリエチルアミン(30mg、0.30mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCによって精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、42mg(62%の収率)の1-((3-((1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1-オキソ-6,9,12-トリオキサ-2-アザペンタデカン-15-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(化合物23)を得た。
【0379】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-((1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1-オキソ-6,9,12-トリオキサ-2-アザペンタデカン-15-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエートの合成
【0380】
10mlの乾燥DCM中の1-((3-((1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1-オキソ-6,9,12-トリオキサ-2-アザペンタデカン-15-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(42mg、0.049mmol)の溶液に、DCM中の1.0M DCC(60μL、0.06mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(12mg、0.06mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約4時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物をフィルタにより除去し、反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCにより精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、38mg(81%収率)の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-((1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1-オキソ-6,9,12-トリオキサ-2-アザペンタデカン-15-イル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエート(化合物24)を得た。
【0381】
N-(1-(7-((21-(4-ヒドロキシフェニル)-2,18-ジオキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3,19-ジアザヘニコシル)オキシ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-イル)-1-オキソ-6,9,12-トリオキサ-2-アザペンタデカン-15-イル)ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-カルボキサミドの合成
【0382】
5mlの乾燥DCM中のベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-カルボン酸(13mg、0.079mmol)の溶液に、DCM中の1.0M DCC(100ul、0.10mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(12mg、0.10mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約4時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、溶液にN-(3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)-7-((21-(4-ヒドロキシフェニル)-2,18-ジオキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3,19-ジアザヘニコシル)オキシ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド2,2,2-トリフルオロアセテート(94.7mg、0.10mmol)およびトリエチルアミン(30mg、0.30mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCによって精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、40mg(52%の収率)のN-(1-(7-((21-(4-ヒドロキシフェニル)-2,18-ジオキソ-6,9,12,15-テトラオキサ)-3,19-ジアザヘニコシル)オキシ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-イル)-1-オキソ-6,9,12-トリオキサ-2-アザペンタデカン-15-イル)ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-カルボキサミド(化合物25)を得た。
【0383】
tert-ブチル3-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)プロパノエートの合成
【0384】
30mlの乾燥DCM中の2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホニルクロリド(1.01g、3.97mmol)の溶液に、tert-ブチル3-アミノプロパノエート(1.44g、7.94mmol)およびトリエチルアミン(2.21ml、15.88mmol)を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。反応物を約5mlに濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(1%メタノール/DCMから15%メタノール/DCM)により精製して、1.33g(92%収率)のtert-ブチル3-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール)-4-スルホンアミド)プロパノエート(化合物30)を得た。
【0385】
3-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)プロパン酸の合成
【0386】
tert-ブチル3-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)プロパノエート(1.33g、3.65mmol)を30mlの30%TFA/DCMに取り、反応がHPLCによって完了するまで(約3時間)反応物を室温で撹拌した。次に、反応物を真空下で濃縮し、トルエンで3回共沸させ、高真空下で一晩乾燥させて、3-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)プロパン酸(化合物31)を得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0387】
2-((3-((17-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸の合成
【0388】
20mlの乾燥DCM中の3-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)プロパン酸)(325mg、1.06mmol)の溶液に、DCM中の1.0M DCC(1.27ml、1.27mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(146mg、1.27mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約4時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、溶液に2-((3-((3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)カルバモイル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(1:1)(850mg、1.46mmol)およびトリエチルアミン(442μL、3.17mmol)を加え、反応物を室温で撹拌した。粗反応物を0.2ミクロンフィルタでフィルタにかけ、分取HPLCで精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、627mg(79%収率)の2-((3-((17-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-15-オキソ-4,7,10)-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸(化合物32)を得た。
【0389】
1-((3-((17-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸の合成
【0390】
10mlの乾燥DCM中の2-((3-((17-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸(142mg、0.188mmol)の溶液にDCM中の1.0M DCC(0.226μL、0.226mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(26mg、0.226mmol)に加え、HPLCによって反応が完了するまで(約3.5時間)、溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、溶液に1-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オイック酸(60mg、0.226mmol)およびトリエチルアミン(79μL、0.564mmol)を加え、反応を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCによって精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、158mg(収率84%)の1-((3-((17-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(化合物33)を得た。
【0391】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-((17-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル))カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエートの合成
【0392】
10mlの乾燥DCM中の1-((3-((17-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(250mg、0.216mmol)の溶液にDCM中の1.0M DCC(275μL、0.275mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(32mg、0.275mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約3時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物をフィルタにより除去し、反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCにより精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、193mg(83%の収率)の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-((17-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエート(化合物34)を得た。
【0393】
N-(17-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)-7-((21-(4-ヒドロキシフェニル)-2,18-ジオキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3,19-ジアザヘニコシル)オキシ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミドの合成
【0394】
5mlの乾燥DCM中の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-((17-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエート(50mg、0.045mmol)の溶液にチラミン(8mg、0.059mmol)およびトリエチルアミン(19μL、0.135mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。粗反応物を0.2ミクロンフィルタでフィルタにかけ、分取HPLCで精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、43mg(収率86%)のN-(17-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)-7-((21-(4-ヒドロキシフェニル)-2,18-ジオキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3,19-ジアザヘニコシル)オキシ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド(化合物35)を得た。
【0395】
2-((3-((17-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸の合成
【0396】
20mlの乾燥DCM中の3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパン酸(500mg、2.96mmol)の溶液に、DCM中の1.0M DCC(3.55ml、3.55mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(408mg、3.55mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約1時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、溶液に2-((3-((3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(1:1)(1.20g、2.00mmol)およびトリエチルアミン(700μL、5.00mmol)を加え、反応物を室温で一晩(o.n.)撹拌した。粗反応物を0.2ミクロンフィルタでフィルタにかけ、分取HPLCで精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、889mg(72%収率)の2-((3-((17-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-15)を得た。-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸(化合物40)を得た。
【0397】
1-((3-((17-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸の合成
【0398】
20mlの乾燥DCM中の2-((3-((17-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸(573mg、0.928mmol)の溶液にDCM中の1.0M DCC(1.20ml、01.20mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(139mg、01.26mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約3時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、溶液に1-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オイック酸(369mg、1.80mmol)およびトリエチルアミン(388μL、0.564mmol)を加え、反応を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCによって精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、586mg(73%の収率)の1-((3-((17-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-15)-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(化合物41)を得た。
【0399】
20mlの乾燥DCM中の2-((3-((17-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)酢酸(573mg、0.928mmol)の溶液にDCM中の1.0M DCC(1.20ml、01.20mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(139mg、01.26mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約3時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、溶液に1-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オイック酸(369mg、1.80mmol)およびトリエチルアミン(388μL、0.564mmol)を加え、反応を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCによって精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、586mg(73%の収率)の1-((3-((17-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-15)-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(化合物41)を得た。
【0400】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-((17-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエートの合成
【0401】
5mlの乾燥DMF中の1-((3-((17-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(367mg、0.424mmol)の溶液にDSC(ビス(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)カーボネート)(120mg、0.467)およびDMAP(78mg、0.636mmol)に加え、HPLCで反応が完了するまで(約30分)溶液を室温で撹拌した。粗反応物を0.2ミクロンフィルタでフィルタにかけ、分取HPLCで精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、351mg(86%収率)の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-((17-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H)-ピロール-1-イル)-15-オキソ-4,7,10-トリオキサ-14-アザヘプタデシル)カルバモイル)-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)オキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエート(化合物42)を得た。
【0402】
N-(1-(7-アミノ-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-3-イル)-2-オキソ-7,10,13-トリオキサ-3-アザヘキサデカン-16-イル)ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-カルボキサミドの合成
【0403】
5mlの乾燥DMF中の2-(7-アミノ-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-3-イル)酢酸(152mg、0.652mmol)の溶液にDSC(176mg、0.685)およびDMAP(120mg、0.978mmol)を加え、HPLCで反応が完了するまで(約30分)溶液を室温で撹拌した。次に、N-(3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-カルボキサミド2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(360mg、0.749mmol)およびトリエチルアミン(273μL、1.956mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCによって精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、269mg(71%の収率)のN-(1-(7-アミノ-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-3-イル)-2-オキソ-7,10,13-トリオキサ-3-アザヘキサデカン-16-イル)ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-カルボキサミド(化合物50)を得た。
【0404】
tert-ブチル2-((3-(1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1,17-ジオキソ-6,9,12-トリオキサ-2,16-ジアザオクタデカン-18-イル)-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)アミノ)アセテートの合成
【0405】
10mlの乾燥DMF中のN-(1-(7-アミノ-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-3-イル)-2-オキソ-7,10,13-トリオキサ-3-アザヘキサデカン-16-イル)ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-カルボキサミド(200mg、0.344mmol)の溶液にtert-ブチル2-ブロモアセテート(67mg、0.344mmol)およびトリエチルアミン(144μL、1.03mmol)を加え、反応物を60℃で一晩撹拌した。反応物を50mlのDCMで希釈し、50mlの飽和重炭酸ナトリウムで2回洗浄し、次に50mlのブラインで2回洗浄した。有機相を約5mlに濃縮し、次にシリカゲルクロマトグラフィー(2%メタノール/DCMから16%メタノール/DCM)により精製して、218mg(91%収率)のtert-ブチル2-((3-(1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1,17-ジオキソ-6,9,12-トリオキサ-2,16-ジアザオクタデカン-18-イル)-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)アミノ)アセテート(51)を得た。
【0406】
2-((3-(1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1,17-ジオキソ-6,9,12-トリオキサ-2,16-ジアザオクタデカン-18-イル)-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)アミノ)酢酸の合成
【0407】
tert-ブチル2-((3-(1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1,17-ジオキソ-6,9,12-トリオキサ-2,16-ジアザオクタデカン-18-イル)-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)アミノ)アセテート(218mg、0.313mmol)を20mlの30%TFA/DCMに取り、反応がHPLCによって完了するまで(約4.5時間)反応物を室温で撹拌した。次に、反応物を真空下で濃縮し、トルエンで3回共沸させ、高真空下で一晩乾燥させて、220mg(定量的収率)の2-((3-(1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5))-イル)-1,17-ジオキソ-6,9,12-トリオキサ-2,16-ジアザオクタデカン-18-イル)-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)アミノ)酢酸を得て、これを、さらに精製せずに使用した(52)。
【0408】
1-((3-(1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1,17-ジオキソ-6,9,12-トリオキサ-2,16-ジアザオクタデカン-18-イル)-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)アミノ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸の合成
【0409】
10mlの乾燥DCM中の2-((3-(1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1,17-ジオキソ-6,9,12-トリオキサ-2,16-ジアザオクタデカン-18-イル)-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)アミノ)酢酸(220mg、0.345mmol)の溶液にDCM中の1.0M DCC(413μL、0.413mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(47mg、0.413mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約4時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、溶液に1-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オイック酸(182mg、0.686mmol)およびトリエチルアミン(200μL、1.44mmol)を加え、反応を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCによって精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、517mg(85%の収率)の1-((3-(1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1,17-ジオキソ)-6,9,12-トリオキサ-2,16-ジアザオクタデカン-18-イル)-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)アミノ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(化合物53)を得た。
【0410】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-(1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1,17-ジオキソ-6,9,12)-トリオキサ-2,16-ジアザオクタデカン-18-イル)-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)アミノ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエートの合成
【0411】
10mlの乾燥DCM中の1-((3-(1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5-イル)-1,17-ジオキソ-6,9,12-トリオキサ-2,16-ジアザオクタデカン-18-イル)-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)アミノ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オイック酸(120mg、0.135mmol)の溶液にDCM中の1.0M DCC(156μL、0.156mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(18mg、0.156mmol)に加え、反応がHPLCによって完了するまで(約5時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物をフィルタにより除去し、反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCにより精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、109mg(82%収率)の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-((3-(1-(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-5)-イル)-1,17-ジオキソ-6,9,12-トリオキサ-2,16-ジアザオクタデカン-18-イル)-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イル)アミノ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-オエート(化合物54)を得た。
【0412】
2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド)ヘキサン酸の合成
【0413】
25mlの乾燥DCM中の7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボン酸(1.57g、6.02mmol)の溶液にDCM中の1.0M DCC 7.22ml、7.22mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(830mg、7.22mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約4時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、溶液に6-アミノ-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサン酸(1.77g、0.686mmol)およびトリエチルアミン(2.52ml、18.06mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を50mlのDCMで希釈し、50mlの飽和重炭酸ナトリウムで2回洗浄し、次に50mlのブラインで2回洗浄した。有機相を約5mlに濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(3%メタノール/DCMから16%メタノール/DCM)により精製して、2.62g(89%収率)の2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド)ヘキサン酸(化合物60)を得た。
【0414】
2-アミノ-6-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド)ヘキサン酸の合成
【0415】
2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド)ヘキサン酸(2.62g、5.36mmol)を50mlの35%TFA/DCMに溶解して、HPLCで反応が完了するまで(約3時間)室温で撹拌した。次に、反応物を真空下で濃縮し、トルエンで3回共沸させ、高真空下で一晩乾燥させて、2-アミノ-6-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド)ヘキサン酸(化合物61)の2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(1:1)を得て、これをさらに精製せずに使用した。
【0416】
1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサヘプタコサン-27-オイック酸の合成
【0417】
15mlの乾燥DCM中の2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホニルクロリド(246mg、0.967mmol)の溶液に、1-アミノ-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサヘプタコサン-27-オイック酸(507mg、0.967mmol)およびトリエチルアミン(350μL、2.50mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を20mlのDCMで希釈し、30mlの飽和重炭酸ナトリウムで2回洗浄し、次に30mlのブラインで2回洗浄した。有機相を約5mlに濃縮し、次にシリカゲルクロマトグラフィー(4%メタノール/DCMから15%メタノール/DCM)で精製して、530mg(83%収率)の1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサヘプタコサン-27-オイック酸(化合物62)を得た。
【0418】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサヘプタコサン-27-オエートの合成
【0419】
20mlの乾燥DCM中の1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサヘプタコサン-27-オイック酸(530mg、0.803mmol)の溶液にDCM中の1.0M DCC(964μL、0.964mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(111mg、0.964mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約3時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物をフィルタにより除去し、反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCにより精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、510mg(収率84%)の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサヘプタコサン-27-オエート(化合物63)を得た。
【0420】
[1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-29-(4-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド)ブチル)-27-オキソ-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサ-28-アザトリアコンタン-30-オイック酸の合成
【0421】
25mlの乾燥DCM中の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサヘプタコサン-27-オエート(608mg、0.803mmol)の溶液に、2-アミノ-6-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド)ヘキサン酸の2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(1:1)(485、0.9636mmol)およびトリエチルアミン(336μL、2.409mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約6時間)溶液を室温で撹拌した。反応物を30mlのDCMで希釈し、40mlの飽和重炭酸ナトリウムで2回洗浄し、次に40mlのブラインで2回洗浄した。有機相を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCで精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、637mg(77%収率)の1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-29-(4-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H)-クロメン-3-カルボキサミド)ブチル)-27-オキソ-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサ-28-アザトリアコンタン-30-オイック酸(化合物64)を得た。
【0422】
1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-29-(4-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド)ブチル)-27,30-ジオキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,34,37,40,43-ドデカオキサ-28,31-ジアザヘキサテトラコンタン-46-オイック酸の合成
【0423】
20mlの乾燥DCM中の1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-29-(4-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド)ブチル)-27-オキソ-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサ-28-アザトリアコンタン-30-オイック酸(310mg、0.301mmol)の溶液にDCM中の1.0M DCC(450μL、0.450mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(52mg、0.450mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約3.5時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物を濾過により除去し、反応物に1-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オイック酸(96mg、0.361mmol)およびトリエチルアミン(126μL、0.903mmol)を加え、反応物を室温で一晩攪拌した。反応物を30mlのDCMで希釈し、50mlの飽和重炭酸ナトリウムで2回洗浄し、次に50mlのブラインで2回洗浄した。有機相を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCで精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、327mg(97%収率)の1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-29-(4-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H)-クロメン-3-カルボキサミド)ブチル)-27,30-ジオキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,34,37,40,43-ドデカオキサ-28,31-ジアザヘキサテトラコンタン-46-オイック酸(化合物65)を得た。
【0424】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-29-(4-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド))ブチル)-27,30-ジオキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,34,37,40,43-ドデカオキサ-28,31-ジアザヘキサテトラコンタン-46-オエートの合成
【0425】
15ml乾燥DCM中の1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-29-(4-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド)ブチル)-27,30-ジオキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,34,37,40,43-ドデカオキサ-28,31-ジアザヘキサテトラコンタン-46-オイック酸(178mg、0.139mmol)の溶液に、DCM中の1.0M DCC(167μL、0.167mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(19mg、0.167mmol)を加え、反応がHPLCによって完了するまで(約4.5時間)溶液を室温で撹拌した。尿素副生成物をフィルタにより除去し、反応物を濃縮し、最小のメタノールに取り、分取HPLCにより精製した。純粋な画分を合わせて凍結乾燥し、168mg(88%収率)の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-(2-アセトアミド-5-メチルチアゾール-4-スルホンアミド)-29-(4-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボキサミド)ブチル)-27,30-ジオキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,34,37,40,43-ドデカオキサ-28,31-ジアザヘキサテトラコンタン-46-オエート(化合物66)を得た。
【0426】
自動化
【0427】
マルチプレックスアッセイおよび方法を自動化することができ、検体処理装置と組み合わせることができる。標本処理装置は、Ventana Medical Systems,Inc.によって販売されているBENCHMARK XT機器およびSYMPHONY機器などの自動装置とすることができ、Ventana Medical Systems,Inc.は、米国特許第5,650,327号明細書、第5,654,200号明細書、第6,296,809号明細書、第6,352,861号明細書、第6,827,901号明細書および第6,943,029号明細書、ならびに米国特許出願公開第2003/0211630号明細書および第2004/0052685号明細書を含む、自動分析を実行するシステムおよび方法を開示する複数の米国特許の譲受人であり、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。あるいは、標本を手動で処理することもできる。
【0428】
標本処理装置は、標本に固定剤を塗布することができる。固定剤は、架橋剤(例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、およびグルタルアルデヒドなどのアルデヒド、ならびに非アルデヒド架橋剤)、酸化剤(例えば、四酸化オスミウムおよびクロム酸などの金属イオンおよび複合体)、タンパク質変性剤(例えば、酢酸、メタノール、エタノール)、メカニズム不明の固定剤(例えば、塩化水銀、アセトン、およびピクリン酸)、配合試薬(例えば、カルノイ固定剤、メタカーン、ブアン液、B5固定剤)、ロスマンの液体、およびゲンドレの液体、マイクロ波、およびその他の固定剤(例えば、容積固定および蒸気固定を除外)を含むことができる。
【0429】
標本がパラフィンに埋め込まれたサンプルである場合、適切な脱パラフィン液を使用して、標本処理装置によりサンプルを脱パラフィン化することができる。廃液除去剤が脱パラフィン液(複数の場合がある)を除去した後、任意の数の物質を連続して標本に塗布することができる。物質は、前処理(例えば、タンパク質架橋、核酸を露出させるなど)、変性、ハイブリッド形成、洗浄(例えば、厳密洗浄)、検出(例えば、視覚的またはマーカー分子のプローブへの連結)、増幅(例えば、タンパク質、遺伝子などの増幅)、逆染色、カバースリップなどのためのものとすることができる。
【0430】
標本処理装置は、標本に幅広い物質を塗布することができる。物質は、これらに限定されるものではないが、染色剤、プローブ、試薬、リンス、および/またはコンディショナを含む。物質は、流体(例えば、気体、液体、または気体/液体混合物)などとすることができる。液体は、溶媒(例えば、極性溶媒、非極性溶媒など)、溶液(例えば、水溶液または他のタイプの溶液)などとすることができる。試薬は、これらに限定されるものではないが、染色剤、湿潤剤、抗体(例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体など)、抗原回収液(例えば、水性または非水性ベースの抗原回収溶液、抗原回収緩衝液など)を含むことができる。プローブは、検出可能な標識またはレポーター分子に付着した、単離された核酸または単離された合成オリゴヌクレオチドとすることができる。標識は、放射性同位元素、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光または蛍光剤、ハプテン、および酵素を含むことができる。
【0431】
標本が処理された後、ユーザは、標本を含むスライドを画像化装置に輸送することができる。ここで使用するイメージング装置は、明視野撮像装置ライドスキャナーである。明視野撮像装置の1つは、Ventana Medical Systems,Inc.が販売しているiScan Coreo(商標)明視野スキャナーである。自動化された実施形態では、画像化装置は、「IMAGING SYSTEM AND TECHNIQUES」と題された国際特許出願第PCT/US2010/002772号(国際公開第2011/049608号パンフレット)、または2011年9月9日に出願された「IMAGING SYSTEMS,CASSETTES,AND METHODS OF USING THE SAME」と題された米国特許出願公開第2014/0178169号明細書に開示されているようなデジタル病理学装置である。
【0432】
対比染色
【0433】
対比染色は、顕微鏡下で標的の構造をより簡単に視覚化できるように、サンプルを薬剤で染色した後、サンプルを後処理して1つ以上の標的を検出する方法である。例えば、免疫組織化学的染色をより明確にするために、任意に、封入の前に対比染色を使用する。対比染色は、一次染色とは色が異なる。ヘマトキシリン、エオシン、メチルグリーン、メチレンブルー、ギムザ、アルシアンブルー、ニュークリアファストレッドなど、数多くの対比染色がよく知られている。DAPI(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)は、使用できる蛍光染色剤である。
【0434】
いくつかの例では、複数の染色剤を一緒に混合して対比染色剤を生成することができる。これにより、柔軟性と染色を選択する機能が提供される。例えば、最初の染色は、特定の属性を持っているが、別の望ましい属性を持っていない混合物に対して選択することができる。不足している目的の属性を表示する2回目の染色を混合物に追加することができる。例えば、トルイジンブルー、DAPI、およびポンタミンスカイブルーを混合して対比染色を形成することができる。
【0435】
イメージング
【0436】
開示される実施形態の特定の態様、またはすべてをコンピュータ分析および/または画像分析システムによって自動化し、容易にすることができる。一部の適用では、正確な色または蛍光比が測定される。いくつかの実施形態では、光学顕微鏡法を画像分析に利用する。特定の開示される実施形態は、デジタル画像の取得を含む。これは、デジタルカメラを顕微鏡に連関させることによって行うことができる。染色されたサンプルから得られたデジタル画像を、画像分析ソフトウェアを使用して分析する。色または蛍光をいくつかの異なる方法で測定できる。例えば、色を赤色、青色、緑色の値;色相、彩度、および強度の値;および/またはスペクトルイメージングカメラを使用して特定の波長もしくは波長範囲を測定することによって測定することができる。サンプルを、定性的および半定量的に評価することもできる。定性的評価には、染色強度の評価、染色に関与する陽性染色細胞および細胞内コンパートメントの特定、ならびにサンプル全体またはスライドの品質の評価が含まれる。試験サンプルに対して個別の評価を実行し、この分析には、サンプルが異常な状態を表しているかどうかを判断するための既知の平均値との比較を含めることができる。
【0437】
サンプルおよび標的
【0438】
サンプルには生物学的成分が含まれており、一般に、対象となる1つ以上の標的分子が含まれていることが疑われる。標的分子は細胞の表面にあってもよく、細胞は懸濁液または組織切片にあってもよい。また標的分子は細胞内にあってもよく、細胞溶解またはプローブによる細胞の浸透時に検出することができる。当業者は、サンプル内の標的分子を検出する方法が、使用されるサンプルおよびプローブのタイプに応じて変化することを理解するであろう。サンプルを収集および調製する方法は当技術分野で知られている。
【0439】
組織または他の生物学的サンプルなど、本明細書に開示される組成物を用いる方法の実施形態で使用するサンプルは、当業者によって当技術分野で知られている任意の方法を使用して調製することができる。サンプルを、定期的なスクリーニングのための対象から、または遺伝的異常、感染もしくは新生物などの障害を有することが疑われる対象から得ることができる。開示される方法の記載される実施形態はまた、「正常な」サンプルと呼ばれる、遺伝的異常、疾患、障害などを有さないサンプルに適用することができる。このような正常サンプルは、他のサンプルと比較するための対照として、とりわけ有用である。サンプルを様々な目的で分析することができる。例えば、サンプルは、科学的研究で、もしくは疑わしい病気の診断のために、または治療の成功、生存などの予後指標として使用することができる。
【0440】
サンプルは、プローブまたはレポーター分子によって特異的に結合できる複数の標的を含む場合がある。標的は、核酸配列またはタンパク質であり得る。いくつかの例では、標的は、ウイルス、細菌などの病原体、またはウイルスゲノムなどの細胞内寄生体に由来するタンパク質若しくは核酸分子である。例えば、標的タンパク質は、疾患に関連する(例えば、相関する、因果関係があるなど)標的核酸配列から産生され得る。
【0441】
当業者は、以下の標的のいずれかに特異的なクマリン系コンジュゲートが開発され得ることを理解するであろう。
【0442】
特定の非限定的な例において、標的タンパク質は、新生物(例えば、癌)に関連する標的核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)によって産生される。腫瘍細胞、特にB細胞およびT細胞白血病、リンパ腫、乳癌、結腸癌、神経癌などの癌細胞において、多数の染色体異常(転座および他の再配列、増幅または欠失を含む)が確認されている。したがって、いくつかの例では、標的分子の少なくとも一部は、サンプル中の細胞の少なくともサブセットにおいて増幅または欠失された核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)によって産生される。
【0443】
他の例では、標的タンパク質は、悪性細胞において欠失(喪失)される腫瘍抑制遺伝子である核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)から産生される。例えば、染色体9p21にあるp16領域(D9S1749、D9S1747、p16(INK4A)、p14(ARF)、D9S1748、p15(INK4B)、およびD9S1752を含む)は、特定の膀胱癌で欠失される。第1染色体の短腕の遠位領域(例えば、SHGC57243、TP73、EGFL3、ABL2、ANGPTL1、およびSHGC-1322を包含する)、および第19染色体のセントロメア周辺領域(例えば、19p13-19q13)(例えば、MAN2B1、ZNF443、ZNF44、CRX、GLTSCR2、およびGLTSCR1を包含する)が関与する染色体欠失は、中枢神経系の特定のタイプの固形腫瘍の特徴的な分子的特徴である。
【0444】
腫瘍性形質転換および/または増殖と相関する他の多くの細胞遺伝学的異常が、当業者に知られている。また、腫瘍性形質転換と相関しており、開示される方法において有用である核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)によって産生される標的タンパク質としては、EGFR遺伝子(7p12;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000007、ヌクレオチド55054219-55242525)、C-MYC遺伝子(8q24.21;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000008、ヌクレオチド128817498-128822856)、D5S271(5p15.2)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)遺伝子(8p22;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000008、ヌクレオチド19841058-19869049)、RB1(13q14;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000013、ヌクレオチド47775912-47954023)、p53(17p13.1;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000017、補体、ヌクレオチド7512464-7531642))、N-MYC(2p24;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000002、補体、ヌクレオチド151835231-151854620)、CHOP(12q13;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000012、補体、ヌクレオチド56196638-56200567)、FUS(16p11.2;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000016、ヌクレオチド31098954-31110601)、FKHR(13p14;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000013、補体、ヌクレオチド40027817-40138734)、と並んで、例えば、ALK(2p23;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000002、補体、ヌクレオチド29269144-29997936)、Ig重鎖、CCND1(11q13;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000011、ヌクレオチド69165054.69178423)、BCL2(18q21.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000018、補体、ヌクレオチド58941559-59137593)、BCL6(3q27;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000003、補体、ヌクレオチド188921859-188946169)、MALF1、AP1(1p32-p31;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000001、補体、ヌクレオチド59019051-59022373)、TOP2A(17q21-q22;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000017、補体、ヌクレオチド35798321-35827695)、TMPRSS(21q22.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000021、補体、ヌクレオチド41758351-41801948)、ERG(21q22.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000021、補体、ヌクレオチド38675671-38955488);ETV1(7p21.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000007、補体、ヌクレオチド13897379-13995289)、EWS(22q12.2;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000022、ヌクレオチド27994271-28026505);FLI1(11q24.1-q24.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000011、ヌクレオチド128069199-128187521)、PAX3(2q35-q37;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000002、補体、ヌクレオチド222772851-222871944)、PAX7(1p36.2-p36.12;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000001、ヌクレオチド18830087-18935219)、PTEN(10q23.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000010、ヌクレオチド89613175-89716382)、AKT2(19q13.1-q13.2;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000019、補体、ヌクレオチド 45431556-45483036)、MYCL1(1p34.2;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000001、補体、ヌクレオチド40133685-40140274)、REL(2p13-p12;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000002、ヌクレオチド60962256-61003682)およびCSF1R(5q33-q35;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000005、補体、ヌクレオチド149413051-149473128)が挙げられる。
【0445】
[実施例]
【0446】
バイオコンジュゲートの合成および精製
【0447】
BSA-ハプテンコンジュゲート
【0448】
BSAタンパク質固体(画分V、60mg)を3mLのPBS(100mMリン酸、150mM NaCl、pH=7.5)に溶解し、室温で1時間回転させた。得られた溶液を0.2μ Pall GHPシリンジフィルタでフィルタにかけ、UV-VISで濃度を分析して、18.1mg/mLの溶液を得た。BSA原液(1mL)を、無水DMF中の適切な標識試薬のNHSエステル20当量で処理した。DMFの量を約15%(v/v)以下に維持した。得られた混合物を室温で一晩回転させた。得られた混合物を0.2μ Pall GHPシリンジフィルタでフィルタにかけ、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。得られたコンジュゲート画分を合わせ、UV-VISで濃度および標識/タンパク質比を分析した。サンプルを使用するまで2~6℃で保存した。
【0449】
GAR-ハプテンコンジュゲート
【0450】
ヤギ抗ウサギpAb(PBS中1mg/mL)を、無水DMF中の適切な標識試薬の30当量のNHSエステルで処理した。DMFの量を約15%(v/v)以下に維持した。得られた混合物を室温で一晩回転させた。得られた混合物を0.2μ pall GHPシリンジフィルタでフィルタにかけ、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。得られたコンジュゲート画分を合わせ、UV-VISで濃度および標識/タンパク質比を分析した。サンプルを使用するまで2~6℃で保存した。
【0451】
バイオレイヤー干渉(BLI)分析
【0452】
個々のタンパク質コンジュゲート(抗体コンジュゲートまたはBSA免疫原)を、本明細書に開示される新たなクマリン系試薬、ならびにチラミド-dPEG8-ハプテンおよびNHS-dPEG8-ハプテン標識試薬(
図20を参照)(およびPCT出願番号PCT/US2011/042849号、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で標識した。バイオレイヤー干渉(BLI)を使用して、アミン反応性第2世代(AR2G)バイオセンサーを備えたPall-ForteBio Octet Red機器でのタンパク質相互作用に対するタンパク質標識の影響を特徴付けた(
図6)。AR2Gバイオセンサーは、表面に高密度のカルボン酸を提供し、非特異的な相互作用の傾向を低くする。タンパク質の固定化は、タンパク質上の反応性アミンとカルボキシ末端バイオセンサー表面との間に共有結合を作るための、標準的なEDC触媒アミド結合形成によって達成された。カルボン酸は、EDC(1-エチル-3-[3-ジメチル-アミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)およびs-NHS(N-ヒドロキシスルホスクシンイミド)との反応によって活性化され、反応性の高いNHSエステルを生成した。エステルはタンパク質の第一級アミンと急速に反応して、非常に安定したアミド結合を形成した。共有結合による固定化により、タンパク質がバイオセンサー表面に固定され、結合イベントの分析および速度論的特性評価が可能になる。
【0453】
代表的なBLIアッセイ
【0454】
Octet RED BLI分析アッセイを、Pall-ForteBio AR2Gバイオセンサーチップを使用して実施した。アッセイ条件を、Pall-ForteBio DipおよびRead(商標)アミン反応性第2世代テクニカルノート26に提案されているように、わずかな変更を加えて実行した。テクニカルノート26で示唆されているように、AR2Gバイオセンサーの活性化およびクエンチングを行った。バックグラウンド結合イベントを最小限に抑えながらシグナル対ノイズ比を最大化するために、必要に応じて各アッセイで必要に応じて個々の試薬濃度を変更した。すべてのBLIアッセイステップを37℃で実施した。それぞれの代表的なアッセイについて以下に説明する。
【0455】
クマリン系試薬抗体交差反応性研究
【0456】
このアッセイを、本明細書に記載のクマリン系試薬との任意の潜在的な交差反応性にアクセスするために実施した。BSA-CLBF免疫原を、100mM NaOAc(pH=5)中の1.25μg/mL濃度でAR2Gバイオセンサーに固定化した。抗ハプテン交差反応性の評価を、Pall-ForteBio Kinetics Additiveを使用してPBS(100mMリン酸、150mM NaCl、pH=7.5)中の725ng/mLの抗ハプテンmAbで実施した。次の表に時間ステップを示す。
【0457】
クマリン系試薬が抗原および抗標識認識に与える影響[Rb固定化-標識GAR認識-抗標識認識]
【0458】
このアッセイは、クマリン系試薬構造が、標識抗体の抗原検出能力にどのように影響するかをよりよく理解するために実施された。加えて、リンカー構造が標識検出にどのように影響するかをよりよく理解するために、二次抗標識抗体を使用した。ウサギpAbを、100mM NaOAc(pH=5)中の25μg/mL濃度でAR2Gバイオセンサーに固定化した。Rb mAbのGAR認識を、Pall-ForteBio Kinetics Additiveを使用してPBS(100mMリン酸、150mM NaCl、pH=7.5)中の3μg/mLで行った。抗標識認識を、Pall-ForteBio Kinetics Additiveを用いてPBS(100mMリン酸、150mM NaCl、pH=7.5)中3μg/mLで行った。次の表に時間ステップを示す。
【0459】
結果および考察
【0460】
クマリン系試薬の抗体交差反応性研究
【0461】
本開示のクマリン系試薬の使用は、検出が困難なハプテン標識の検出を可能にする。ハプテン標識は、抗ハプテン抗体ライブラリとの相互作用が観察されるかどうかを理解するための要件を設定する多重染色アッセイで一般的に使用される。BSA-CLBF免疫原が先端に固定化された場所でバイオレイヤー干渉研究を実施した。次に、抗ハプテン抗体ライブラリを、可能性のある交差反応性についてスクリーニングした。
図7は、MS抗BF mAb(H1、H6)と修飾されたチップとの予想される相互作用の例を示している。センサーチップに結合するMS抗BF mAbは、チップ上の層成長の正味の増加を引き起こし、4800秒の間、正の会合シグナルをもたらす。正味の解離は、4800秒後の最後のフレームに表示される。Ms抗PPT mAb(C1、C6)およびMs抗DABSYL mAb(D1、D6)抗体は、クマリンリンカー修飾バイオセンサーチップとの有意な相互作用を示さない。
【0462】
残りのMs抗ハプテンライブラリを、別のBLI実験で同様のBSA-CLBF修飾バイオセンサーチップに対してスクリーニングした。クマリン系試薬修飾バイオセンサーチップ、ならびにMs抗NP mAb(B1、B6;C1、C6)およびMs抗TS mAb(H1、H6;G1、G6)抗体では、
図8において有意な相互作用は観察されなかった。Ms抗NCA mAb(B1、B6;C1、C6)およびMs抗HQ mAb(H1、H6;G1、G6)抗体も、クマリン系試薬修飾バイオセンサーチップとの有意な相互作用を示さなかった(
図8を参照)。クマリン系試薬修飾バイオセンサーチップ、ならびにMs抗DCC mAb(B1、B6;D1、D6)およびMs抗ROT mAb(F1、F6;G1、G6)抗体では、
図10において有意な相互作用は観察されなかった。
図11のBLIの結果はMs抗DIG mAb、(赤色、光青色)との相互作用が観察されなかったことを示しているが、Ms抗DNP mAb(B1、B6;C1、C6)抗体は、クマリン系試薬との正の相互作用を示した。観察されたMs抗DNP mAb BLI結合応答(80pm)は、MS抗BF mAb BLI結合応答(520pm、
図7)の約15%であった。さらに、Ms抗DNP mAb抗体の非特異的結合は、バイオセンサーの先端から容易に解離できず、組織のバックグラウンド染色が観察されることを示唆している。Ms抗DNP mAb(F1、F6;G1、G6)クマリンリンカー認識は、
図11に示される別のBLI実験で確認された。この場合も、Ms抗DNP mAb抗体はバイオセンサーチップから容易に解離できなかった。
図12のBLIの結果はまた、Ms抗BD mAb(C1、C6;D1、D6)およびバイオセンサーチップとの相互作用が観察されなかったことを示した。
【0463】
リンカーが抗原および抗標識認識に与える影響[Rb固定化-標識GAR認識-抗標識認識]
【0464】
GAR-lys(DCC)dPEG8TS対GAR-dPEG4-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲート:
【0465】
GAR-lys(DCC)dPEG8TSおよびGAR-dPEG4-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲートは、分岐リガンドとしてリジンアミノ酸コアを利用した。検出が容易なDCCクマリンハプテンを潜在的な発色団として使用し、リジン一級アミンに直接結合させた。第2-dPEGTSハプテン基は、標識の定量が困難なため、リジンコアの第二級アミンに結合して使用した(
図13-化合物Aを参照)。この基を、リジン分岐鎖に直接NHS基を付けてタンパク質に直接複合化した。リジン架橋からの分離を提供するためにdPEG4ハンドルが付加された第2の架橋リジンリンカーコアを生成した(
図13-化合物Bを参照)。余分なdPEG4スペーサー基は、立体相互作用を減少させ、標識基により多くの柔軟性を提供し、タンパク質ローディング能力とアッセイ検出性能(1次抗原および抗標識認識)の両方を容易にすることが期待された。
【0466】
GAR pAb(1mg、1mg/mL)は、30当量の両方のリンカーコンストラクトと結合した。GAR-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲート(GAR+化合物A)により、リンカー/GAR比=3.3(913mg、89%の収率)を得た。GAR-dPEG4-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲート(GAR+化合物B)により、リンカー/GAR比=5.4(913mg、84%の収率)を得た。リジン架橋とNHSエステルとの間の余分なdPEG4スペーサーは、予想通りに作用して、より高い抗体標識ローディングを提供した。両方のコンジュゲートで同等の収率が得られた。
【0467】
BLIアッセイは、組織染色アッセイを模倣して設計された。ウサギmAbをバイオセンサーチップに結合させ、上記のコンジュゲートで認識した。さらに、ウサギの認識に対する標識の影響を比較するために、変更されていないGAR標準を使用した。TSハプテン標識の三次認識は、Ms抗TS mAbを使用して実施した(
図14を参照)。GAR抗体コンジュゲートは、未修飾のGAR抗体と同様に、ウサギ抗体をロードしたバイオセンサーチップを認識した。GAR-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲートよりもGAR-dPEG4-lys(DCC)dPEG8TSコンジュゲートの方にわずかに厚いElisa層が観察された(
図15を参照)。修飾されたGARコンジュゲートの解離速度に違いは観察されなかった。GAR-dPEG4-lys(DCC)dPEG8TSのリジン架橋とNHSエステルとの間の追加のdPEG4スペーサーも、より多くのMs抗TS mAbを提供した(
図16を参照)。
【0468】
GAR-CLBFコンジュゲート
【0469】
GAR pA(2mg、1mg/mL)を、30当量のBFdPEG8NHSおよびBFCLNHS試薬で標識した。GAR-CLBFコンジュゲートUV/VIS分析は、BF/GAR比=5.85(1.6mg、80%収率)を示した。CLクマリンの検出可能な部分は、予想される範囲の標識/Ab比および収率を持つコンジュゲートを提供した。GAR-dPEG8BFコンジュゲートUV/VIS分析では、予想どおりBF/GAR比=38.1(860mg、収率43%)を過大評価していた。GAR-dPEG8BF共役データは不正確であり、相対的な近似値として使用する必要がある。
【0470】
BLIアッセイは、ここでも組織染色アッセイを模倣して設計された。ウサギmAbをバイオセンサーチップに結合させ、上記のコンジュゲートで認識した。BFハプテン標識の三次認識を、Ms抗BF mAbを使用して実施した(
図17を参照)。GAR抗体コンジュゲートは、同様にウサギ抗体をロードしたバイオセンサーチップを認識した(
図18を参照)。GAR-dPEG8BFコンジュゲートよりもGAR-CLBFコンジュゲートの方にわずかに厚いElisa層が観察された。修飾されたGARコンジュゲートの解離速度に顕著な違いは観察されなかった。-dPEG4-クマリン-dPEG4-BFリンカーは、-dPEG-BF標識よりも剛性が高いと考えられている。GAR-CLBFコンジュゲートは、Ms抗BF mAbによって認識された場合に、バイオセンサーの先端に厚いElisa層を提供した(
図19を参照)。Ms抗BF mAbは、GAR-dPEG8BFコンジュゲートよりもGAR-CLBFコンジュゲートからわずかに速く解離した。
【0471】
このGAR-CLBFコンジュゲートからのMs抗BF mAb解離の増加は、Ms抗BF mAb親和性相互作用とアビディティーの相互作用の増加によって引き起こされる結合の緩み(より速いkoff)の結果である可能性がある。前に述べたように、CLクマリンリンカーはより剛性であると予想されている。-dPEG-BF標識の追加された柔軟性により、非結合BF標識が曲がって、Ms抗BF mAbの他の相補的ドメインに親和性相互作用により結合して、より強い結合力をもたらす可能性がある。アビディティー性結合(2-1)は、クマリンリンカーと競合する可能性のある親和性相互作用(1-1)よりも常に解離が少なくなる。同様の解離現象が交差反応性研究で観察された(上記の
図7を参照)。
【0472】
本明細書中で言及されるおよび/または出願データシートにおいてリスト化されるすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、および刊行物の概念を使用してさらに別の実施形態を提供するように修正することができる。
【0473】
本開示は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本開示の原理の精神および範囲内に含まれるであろう多くの他の変更および実施形態が当業者によって考案されることができることを理解されたい。より具体的には、合理的な変形および変更は、本開示の精神から逸脱することなく、前述の開示、図面、および添付の特許請求の範囲内の主題の組み合わせ構成の構成部品および/または配置において可能である。構成部品および/または配置の変形および変更に加えて、代替の使用法も当業者にとって明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IXA)または(IXB):
(式中、
Tは、特異的結合実体、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、薬物、脂質、またはナノ粒子から選択される置換基であり、
R
zは検出可能な標識であり、
oは1~10の範囲の整数であり、
L
1およびL
2はリンカーであり、
Wは、置換もしくは非置換のクマリン部分、あるいはクマリンの置換もしくは非置換の誘導体または類縁体である部分を含み、
Zは結合、-CH-基、-CH-CH
2-基、または-CH
2-CH-基であり、
mおよびnは、独立して1~4の範囲の整数である)
のいずれかの構造によって定義される、化合物。
【請求項2】
Tが抗体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記抗体が一次抗体である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記抗体が二次抗体である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
Tが核酸である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Rzがハプテンである、請求項1~5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
Rzが酵素である、請求項1~5のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
前記酵素が、ペルオキシダーゼおよびホスファターゼからなる群から選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Wが式(VC)または(VD):
(式中、
R
2、R
3、R
4、R
6、およびR
7は、置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6アルキル基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6アルコキシ基;置換または非置換の直鎖または分岐鎖のC
1~C
6ヘテロアルキル基;トリフルオロメチル基;ヒドロキシル基;硫酸基;シアノ基;ハロゲン;リン酸基;糖類;カルボン酸基;ニトロ基;-C(O)NR
xR
y;-S-R
x;-SO
2;-SO
2Cl;-SO
3H;-SO
4H;-SO
2NR
xR
y;-N(H)-NR
xR
y;-NR
xR
yから独立して選択され、
R
5は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-C(O)-O-、-C(O)-N(H)-であり、
R
1は、C
1~C
10の置換または非置換の分岐鎖または非分岐鎖のアルキル基、-O-、-O-CH
2-、-N(R
x)-、または-S-であり、
各Xは、独立して、結合、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のC
1~C
16アルキル基;-[(CH
2)
j-O]
k-CH
2-(jは1~4の範囲の整数であり、kは1~16の範囲の整数である);-N-R
x-;-C(O)-N-R
x-;または-N-R
x-C(O)-であり、
式中、各R
xおよびR
yは、独立してHまたはC
1~C
4アルキル基である)
のいずれかの構造を有する、請求項
1~
7のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
各L
1および/またはL
2基が独立して式(VIA):
(式中、
fは0または1~24の範囲の整数であり、
jは1~24の範囲の整数であり、
R
8は結合またはO、S、-N(R
c)(R
d)、または-N
+(R
c)(R
d)(R
e)であり、
R
aおよびR
bは独立してH、C
1~C
4アルキル基、F、Cl、または-N(R
c)(R
d)であり、
R
c、R
d、およびR
eは、HまたはC
1~C
4アルキル基から独立して選択され、
R
9およびR
10は、独立して、結合、または最大6個の炭素原子を有し、カルボニル、アミド、イミド、エステル、エーテル、アミン、チオン、またはチオールを含む基である)
を有する、請求項
1~
9のいずれかに記載の化合物。
【外国語明細書】