(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096710
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】放射線画像診断及び医療装置一体化のためのスレッドテーブル
(51)【国際特許分類】
A61B 6/04 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
A61B6/04 503
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024044617
(22)【出願日】2024-03-21
(62)【分割の表示】P 2021515462の分割
【原出願日】2019-09-20
(31)【優先権主張番号】62/734,190
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520042696
【氏名又は名称】エッグ メディカル,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EGG MEDICAL,INC.
【住所又は居所原語表記】3758 Dunlap Street N,Arden Hills,Minnesota 55112 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,ロバート エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ゲイナー,ジョン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】モンタギュー,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】バレティー,ウマ エス.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】放射線遮蔽を可能にする構造強度を向上させたX線処置テーブル、一体化した医療装置及びモニタリングシステムを提供する。
【解決手段】スレッドテーブル10は、X線画像診断処置のために設計され、標準的なペデスタルに取り付けられたテーブル頂部12が、底部14と、頭壁18と、上側範囲及び下側範囲を有する側壁または側部材20とを有する開放スレッドの形態である。開放側部材をスレッドテーブルに付加することにより、スレッドテーブル10の剛性強度が増し、より大きな重量制限が可能となる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペデスタルとスレッドテーブルとを有するX線テーブルであって、前記スレッドテーブルは、
前記ペデスタルに取り付けられ、第1端及び第2端を有し、前記第2端は前記ペデスタルに取り付けられ、前記第1端は前記第2端のみが前記ペデスタルに支持されるように前記ペデスタルから延びる、底部と、
前記第1端と前記第2端との間の前記底部に沿って延在し、前記スレッドテーブルに構造的剛性を付加する側部材と、を備えるX線テーブル。
【請求項2】
前記底部及び前記側部材は、上側範囲及び下側範囲を有し、前記下側範囲は、前記側部材が前記底部から上方に延びるように前記底部に取り付けられる、請求項1に記載のX線テーブル。
【請求項3】
前記底部及び前記側部材は、二重壁構造を備える、請求項2に記載のX線テーブル。
【請求項4】
前記底部及び前記側部材は、上側範囲及び下側範囲を有し、前記側部材は、前記上側範囲と前記下側範囲との間の前記底部に取り付けられ、前記底部を有するIビーム構造を形成する、請求項1に記載のX線テーブル。
【請求項5】
前記Iビーム構造は、前記底部の上で且つ前記側部材の間に、第1キャビティを形成し、また、前記底部の下で且つ前記側部材の間に、第2キャビティを形成し、前記上部キャビティは、前記下部キャビティよりも大きい、請求項4に記載のX線テーブル。
【請求項6】
前記上部キャビティに受容されるマットレスをさらに備える、請求項5に記載のX線テーブル。
【請求項7】
前記側部材は、上側範囲を有し、前記側部材の前記上側範囲から外方に延びるアームレストをさらに備える、請求項1に記載のX線テーブル。
【請求項8】
前記側部材は、湾曲し、前記底部から上方に延びる、請求項1に記載のX線テーブル。
【請求項9】
前記底部は、ビーム構造を備える、請求項1に記載のX線テーブル。
【請求項10】
ビームをさらに含み、前記底部が前記ビームの頂部に結合される、請求項1に記載のX線テーブル。
【請求項11】
クロス部材をさらに備え、前記クロス部材は、前記側壁の間に延在し、前記底部から離れて配置され、前記クロス部材と、前記底部と、前記側部材との間にキャビティを形成する、請求項1に記載のX線テーブル。
【請求項12】
テーブル頂部とペデスタルとを有する既存のX線テーブルの強度及び剛性を向上する方法であって、前記テーブル頂部の長手方向側部に沿って側部材を取り付けることを含む方法。
【請求項13】
前記側部材が、前記テーブル頂部の前記長手方向側部を受容するブラケットを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記側部材を前記テーブル頂部の前記長手方向側部に沿って取り付けることは、前記テーブル頂部を前記ブラケットに結合することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記側部材は、上部及び下部のクロス部材で互いに取り付けられてスリーブを形成し、前記側部材が、前記スリーブを前記テーブル頂部上で摺動させることによって前記テーブル頂部に取り付けられる、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
X線テーブルを形成するためのペデスタルに取り付け可能なスレッドテーブルであって、
前記ペデスタルに取り付けられ、第1端及び第2端を有し、前記第2端は前記ペデスタルに取り付けられ、前記第1端は前記第2端のみが前記ペデスタルに支持されるように前記ペデスタルから延びる、底部と、
前記第1端と前記第2端との間の前記底部に沿って延在し、前記スレッドテーブルに構造的剛性を付加する側部材と、
前記側部材の間で且つ前記底部の上に形成されたキャビティ内にあるフォームマットレスと、
前記フォームマットレスを覆い、前記側部材にシールされ、不浸透性の上面を含むカバーと、を備えるスレッドテーブル。
【請求項17】
前記カバーがパッドを備える、請求項16に記載のスレッドテーブル。
【請求項18】
前記側部材に沿って延在し、ワイヤ及びガスラインを収容することができるキャビティを画成するレールをさらに備える、請求項16に記載のスレッドテーブル。
【請求項19】
前記ワイヤ及び/又は前記ガスラインによって供給される電子コントローラを含む、前記キャビティ内の構成要素をさらに備える、請求項18に記載のスレッドテーブル。
【請求項20】
前記構成要素は、熱を前記構成要素から逃がすベントホールを備える、請求項19に記載のスレッドテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、「放射線画像診断及び医療装置一体化のためのスレッドテーブル」と題する、2018年9月20日に出願された米国仮出願第62/734,190号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
身体の放射線画像診断を行う医療処置を受ける場合、患者は一般的にはX線透過性のX線テーブル1の上に横になる(
図1及び
図2)。テーブルはカーボンファイバから作られることが多く、細いビームのような形状をしている。ビームは、床又は天井に固定されたペデスタル2から延びている。患者は、テーブル頂部の上に独立して置かれたフォームマットの上に横になる。ペデスタルは、テーブルの高さ及びピッチを処置室の床に対して調整するための電動システムを含むことが多い。典型的には、カーボンファイバビームは、ダイビングボードのように、ペデスタルから非対称に延びる。
【0003】
ダイビングボードのような形状はレバーを形成し、ダイビングボードの端部における患者の重量が、テーブルに大きな負荷をかける。過度の荷重がかかると、テーブルが曲がったり、構造的に破損したりして、けがや死亡につながることがある。重要なことに、このテーブルは、患者の体重がかかるだけでなく、任意の取り付けられた構成要素の負荷及び心肺蘇生などの処置中に加えられた負荷もかかる。その結果、重量制限がX線テーブルに設けられており、これらの重量制限により、テーブルへ他の装置を追加することが制限される。結果的に、X線室には、フロアマウント上で、テーブルの近くに配置された、無菌処置領域内に垂れ下がるケーブルを有する複数の装置がある。これにより、安全性及び感染の危険性が生じ、床に取り付けられた装置がテーブルの動きに同調して移動しないので、処置室内の作業の流れ及び動きが遅くなることが多い。
【0004】
X線検査室における別の問題は、患者から散乱された放射線に対するスタッフの被曝である。X線管ハウジングから放出されたX線が漏れたり、患者から反射されたりして、職員の放射線被曝につながる。この被曝は重大な健康リスクとして認識されている。このような処置のための放射線遮蔽は、遮蔽が重いために制限されている。X線テーブルの構造上の限界及びテーブルの中間点を越えた箇所における取付点の欠如により、X線テーブル、特に散乱放射線が最大であるテーブルの中央及び頭部の周りに、重要な遮蔽物を取り付けることができなかった。
【0005】
X線検査を受ける患者は、血圧、心電図、呼吸、血中酸素濃度などのバイタルサインのモニタリングも必要となることが多い。さらに、X線画像診断以外の多くの装置が、これらの処置中に使用されることも多い。例えば、血管アクセス及び生検には超音波画像検査が用いられることが多い。血管内超音波検査は、処置中に血管の画像を撮影するために用いられる。血管内圧測定カテーテルは体外の電子機器に取り付けられる。輸液ポンプは、生理食塩水やX線造影剤などの輸液に使用される。アテレクトミー装置などの治療器具も使用される。さらに、処置の間、患者は、酸素、亜酸化窒素、空気、一酸化窒素または他の化学物質のような医療用ガスを必要とすることが多い。場合によっては、体液を吸引するために吸引が必要になることもある。
【0006】
典型的なX線テーブルは、それらが内部チェンバを有さず、また、その構造設計では、構造上のビーム強度が限られていることにより重大な重量制限が課されることになるため、これらのさらなる必要性に対処することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術のX線テーブルにおける前述の欠点及び制限に対処し、テーブルの機能性に制限を加えることなく、構造的により強いテーブル設計を提供する。本発明はまた、既存のテーブルを補強してより強くするための装置を提供する。
【0008】
本発明の一態様は、ペデスタル及びスレッドテーブルを有するX線テーブルであって、前記スレッドテーブルは、前記ペデスタルに取り付けられ、第1端及び第2端を有し、前記第2端は前記ペデスタルに取り付けられ、前記第1端は前記第2端のみが前記ペデスタルに支持されるように前記ペデスタルから延びる、底部と、前記第1端と前記第2端との間の前記底部に沿って延在し、前記スレッドテーブルに構造的剛性を付加する側部材と、を備えるX線テーブルを提供する。
【0009】
前記底部及び前記側部材は、上側範囲及び下側範囲を有することができ、前記下側範囲は、前記側部材が前記底部から上方に延びるように前記底部に取り付けることができる。
【0010】
前記底部及び前記側部材は、二重壁構造を有することができる。
【0011】
前記底部及び前記側部材は、上側範囲及び下側範囲を有することができ、前記側部材は、前記上側範囲と前記下側範囲との間の前記底部に取り付けられ、前記底部を有するIビーム構造を形成することができる。いくつかの実施形態では、前記Iビーム構造は、前記底部の上で且つ前記側部材の間に第1キャビティを形成し、また、前記底部の下で且つ前記側部材の間に第2キャビティを形成することができ、前記上部キャビティは、前記下部キャビティよりも大きい。
【0012】
本発明の一態様は、前記上部キャビティに受容されるマットレスを提供する。
【0013】
別の態様では、前記側部材は、上側範囲を有し、前記側部材の前記上側範囲から外方に延びるアームレストをさらに備える。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、湾曲し、前記底部から上方に延びる前記側部材を含む。
【0015】
前記底部は、ビーム構造であり得る。
【0016】
一態様では、ビームをさらに含み、前記底部が前記ビームの頂部に結合される。
【0017】
前記テーブルは、クロス部材を含めることができ、前記クロス部材は、前記側壁の間に延在し、前記底部から離れて配置され、前記クロス部材と、前記底部と、前記側部材との間にキャビティを形成する。
【0018】
本発明の別の態様は、テーブル頂部とペデスタルとを有する既存のX線テーブルの強度及び剛性を向上する方法であって、前記テーブル頂部の長手方向側部に沿って側部材を取り付けることを含む方法である。
【0019】
本方法の一態様では、前記側部材が、前記テーブル頂部の前記長手方向側部を受容するブラケットを有する。
【0020】
前記側部材を前記テーブル頂部の前記長手方向側部に沿って取り付けることは、前記テーブル頂部を前記ブラケットに結合することを含めることができる。
【0021】
本方法の少なくとも1つの実施形態では、前記側部材は、上部及び下部のクロス部材で互いに取り付けられてスリーブを形成し、前記側部材が、前記スリーブを前記テーブル頂部上で摺動させることによって前記テーブル頂部に取り付けられる。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、X線テーブルを形成するためのペデスタルに取り付け可能なスレッドテーブルを提供する。前記スレッドテーブルは、前記ペデスタルに取り付けられ、第1端及び第2端を有し、前記第2端は前記ペデスタルに取り付けられ、前記第1端は前記第2端のみが前記ペデスタルに支持されるように前記ペデスタルから延びる、底部と、前記第1端と前記第2端との間の前記底部に沿って延在し、前記スレッドテーブルに構造的剛性を付加する側部材と、前記側部材の間で且つ前記底部の上に形成されたキャビティ内にあるフォームマットレスと、前記フォームマットレスを覆い、前記側部材にシールされ、不浸透性の上面を含むカバーと、を含む。
【0023】
前記カバーはパッドであり得る。
【0024】
前記スレッドテーブルは、前記側部材に沿って延在し、ワイヤ及びガスラインを収容することができるキャビティを画成するレールを有することができる。
【0025】
請求項18に記載のスレッドテーブルは、前記ワイヤ及び/又は前記ガスラインによって供給される電子コントローラを含む、前記キャビティ内の構成要素を含み得る。
【0026】
前記構成要素は、熱を前記構成要素から逃がすベントホールを有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の実施形態が可能であるこれら及び他の態様、特徴及び利点は、本発明の実施形態の以下の説明から明らかであり、また解明され、以下の図面が参照される。
【0028】
【
図1】
図1は、従来技術のテーブル頂部の斜視図である。
【0029】
【
図2】
図2は、従来技術のテーブルの斜視図である。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態の斜視図である。
【0040】
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態の斜視図である。
【0041】
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態の斜視図である。
【0042】
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態の立面図である。
【0043】
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態の立面図である。
【0044】
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態について説明する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載する実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全かつ完結であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。添付の図面に示される実施形態の詳細な説明において使用される用語は、本発明を限定することを意図したものではない。図面において、同様の番号は、同様の要素を指す。
(スレッドテーブル)
【0046】
ここで図を参照し、最初に
図3A~3Iを参照するが、ここでは本発明のテーブルの実施形態10が示される。スレッドテーブル10は、X線画像診断処置のために設計され、標準的なペデスタルに取り付けられたテーブル頂部12が、底部14と、頭壁18と、上側範囲及び下側範囲を有する側壁または側部材20とを有する開放スレッドの形態である。開放側部材20をスレッドテーブルに付加することにより、スレッドテーブル10の剛性強度が増し、より大きな重量制限が可能となる。また、これらの側部材20は、テーブルのねじり強度を大幅に増加させるが、これは、テーブルが不均一に荷重を受ける場合に重要な要素である(例えば、患者が乗る/降りる間や、多くの場合、手動による胸骨圧迫などの緊急処置中)。
【0047】
スレッドテーブル10の構造は、多くの形態をとることができ、それらは依然として本発明の構造目標を達成することができる。例えば、
図3B~3Iは、スレッドテーブル10の断面の様々な実施形態を示す。
図3Bは、底部14b及び側部材20bが全て単一壁構造である実施形態10bを示す。
【0048】
図3Cは、底部14c及び側部材20cが全て二重壁構造である実施形態10cを示す。
【0049】
図3Dは、底部14d及び側部材20dが底部14dの下に延びるようにIビームを形成する実施形態10dを示す。
【0050】
図3Eは、側部材20eの頂部から外方に延びるアームレスト24を含む実施形態10eを示す。これらのアームレスト24は、構造物の上面に沿った水平面がビームの屈曲に対して非常に耐性があるので、さらなる構造的剛性を付加する。
【0051】
図3Fは、側部材20fがわずかに湾曲し、底部14fから外側にフレア状に広がる実施形態10fを示す。
【0052】
図3Gは、底部14gがビーム構造である実施形態10gを示す。
【0053】
図3Hは、底部14b及び側部材20bを有する実施形態10hを示し、底部14bは、ビーム26の頂部に結合される。
【0054】
図3Iは、底部14i及び側部材20iを有する実施形態10iを示し、側部材20iの間に延び、底部14iの上に配置されたクロス部材28をさらに含む。第2のカーボンファイバ層を、スレッドテーブルの曲げの中立軸より上の構造物に配置することは、2つの利点を提供する。すなわち、水平ビームのスレッド底部からの間隔を大きくすることにより、システムの曲げ強度が大きく改善する。さらに、スレッドの底部の2つの層の間の空間を使用して、患者の体重とは別の配線または他の構成要素を含むことができる。
【0055】
図4に示すように、キャビティ22は、側部20によって形成され、フォームマットレス30または他の圧縮性マテリアルで充填されて、患者が横たわるのに快適な表面32を形成することができる。
【0056】
図5に示すように、スレッド10の頂部及びマットレス30は、スレッド頂部の自由縁部(頭壁18及び側壁20)と嵌合する円周方向チャネル42を含む成形フォーム頂部40によって可逆的にシールすることができる。この可逆的シールは、比較的不浸透性にすることができ、感染性汚染のリスクを低減し、一方で、内部構成要素を除去、追加、または修復するために、スレッドテーブルの内部への再アクセスを可能にする。
【0057】
図6~8に示す、さらなる実施形態50において、スレッドテーブルのIビーム特徴52を用いて、既存のテーブル1をスレッドテーブル50に変換する。このIビーム形状は、テーブルの強度及び剛性を増加させ、特にペデスタル2と反対側の端部において、より高い重量負荷を可能にする。
図7~8において、2つの取り付け方法が示される。
図7の実施形態では、Iビーム52は、ブラケット58内でテーブルの両側に結合される。これにより、既存のテーブル1の上に第1キャビティ54が形成され、既存のテーブル1の下に第2キャビティ56が形成される。テーブルの上のキャビティ54がより大きく、患者の快適さのためのフォームの配置を可能にするので、Iビームは、非対称のIビームとして最適に構成される。
【0058】
図7の実施形態では、Iビーム52は、既存のテーブルを受け、結合及び支持面を形成するためのブラケット58を有する。あるいは、
図8に見られるように、既存のテーブルへのIビーム取り付けは、既存のテーブル1の上に適合するスリーブ60の形態であり得る。この形態は、既存のテーブル頂部を囲む内側ビームにより、さらなる強度を提供する。
【0059】
テーブルの剛性を改善する鍵は、テーブルの断面慣性モーメント(I)を増加させることである。断面慣性モーメントの最大の増加は、構造物の曲げ平面から離れた場所にマテリアルを配置することによって達成される。略矩形の断面を持つ標準的なテーブルの場合、この増加はテーブルを厚くすることによって達成される。テーブルの上面と下面は、テーブルの高さの中心線である中立軸としても知られる曲げ平面からの最大距離である。矩形断面の慣性モーメントの増加は、テーブルを厚くすることにより達成される。しかしながら、厚すぎるカーボンファイバテーブルは、ビームを患者にどれだけ近づけることができるかに影響を与え、X線画像の質に影響を与える。本発明では、構造的なスレッドテーブルがマットレスの高さを組み込んでいるため、構造構成要素の全体の高さは、標準的なテーブルの高さよりもかなり高く、したがって、システムの断面慣性モーメント及び全体の剛性を増加させる。例として、高さ2インチ及び幅方向18インチであり、0.150インチの壁の厚さを持つ仮定の矩形テーブルは、4.75 in
4の断面慣性モーメントを有する。単純なIビーム設計では、
図3Dに示すように、テーブルの上と下の両方にフランジ高さが3インチ、壁の厚さが0.150インチ、幅が18インチの場合、断面慣性モーメントは5.40 in
4であり、このアプリケーションでは、片持ち荷重での曲げ時の重量容量に直接相関する慣性モーメントの13.6%の増加である。3E及び3G~3Iに示すような、より複雑な断面は、さらに大きな断面慣性モーメントを有し、これにより、負荷下でのシステム性能がさらに向上し、カテーテル室のテーブルの重量容量が増加する。
【0060】
スレッドテーブルに側部があるため、レールの取り付けと放射線遮蔽が可能となる。さらなる実施形態では、放射線遮蔽マテリアルを、遮蔽の取り付けを容易にする垂直縁部を有し得るアームボードへの取り付けを含めて、スレッドの側部に取り付けることができる。さらなる実施形態では、1つ以上のレールシステムをスレッド側部に取り付けることができる。レールシステムは閉じている、又は中空とし得る。中空レールを使用して、医療ガス、電力、電子データ配線、または他の導管を無菌領域から隔離するために含めることができる。一実施形態では、使い捨て導管マテリアルは、レールに取り付けられ、無菌領域まで延び得る。さらに、自動心肺蘇生装置をレールに取り付けることができ、患者の周囲での取り付けの速度と安定性を高める。
【0061】
閉じられたレールをスレッドテーブルの垂直面に取り付け、また、放射線遮蔽をレールに取り付けることができる。円形レールは、放射線遮蔽マテリアルをレール上で揺動させことを可能にする。これは、X線ガントリがレール上でシールドを外側に揺動させることによってシールドを押しのけることができるC形アームX線システムにとって有利である。
【0062】
別の実施形態では、スレッドの水平(底部)部は、導管マテリアルを含み得る。導管は、1つの部分が水平面によって閉鎖され、反対の部分が開放されるように、Iビームの形態とすることができる。導管は、必要なサイズ、さらなる剛性強度に対する要望、及び放射線不浸透性に基づいて、多くの異なる実施形態を取ることができることが認識される。
(スレッドテーブルキャビティのシールの問題と解決策)
【0063】
スレッドテーブルの形態によって生成されるキャビティの存在により、処置中にスレッドテーブル上に横たわっている間、患者の快適さを改善するために、キャビティをフォームで充填する機会ができる(
図4)。フォームを挿入する際の1つの問題は、血液または他の体液がフォームまたはスレッドテーブルの内側のキャビティに入る可能性があることである。1つの解決策は、不浸透性のマテリアル(被覆されたビニール布またはポリマーシートマテリアルなど)でテーブルを包むことである。その欠点は、このようなラップが、カバーを損傷することなくスレッドテーブルのキャビティ内へ再進入することを妨げることである。ジッパーまたはフックアンドアイ型シールのような可逆性シールを有するカバーを設ける他の問題は、シールが破られることが多く、シーラー自体が洗浄の困難な隙間を有することである。
【0064】
本明細書において示される発明では、スレッドテーブル頂部を、不浸透性表面を有するパッドでシールすることができる(
図5)。パッドは、その周囲にチャネルを有する。チャンネルは、スレッドテーブル側部リムの縁部を反映し、チャンネルがチャンネルにぴったりと合うような幅を有する(
図5)。弾性フォームマテリアルを使用することができ、フォームチャネルの寸法は、シール縁部を通る流体の侵入を防止するのに十分な摩擦嵌合を提供するように調整されることが予想される。
【0065】
シールパッドに対する他の実施形態が複数存在する。フォームパッドは、不浸透性の布または同様のマテリアルで包むことができ、布はフォームの表面となる。布マテリアルは、フォームパッドの全部または一部に結合することができる。シールパッド内のチャネルは、シールパッド内にセットまたは成形されるU形チャネル(または他の形状)から構成することができる。フォーム自体は、異なるタイプのフォームと異なる弾性体とのブレンドとすることができる。シールパッドは、フォームを使用せずに構成することもできる。別のポリマー、または単にシールチャネルに結合された、またはそうでなければ、取り付けられた不浸透性布を使用することができる。
(スレッドテーブル内のレール及び電子部品)
【0066】
既存のテーブル設計とは異なり、上述したように、スレッドテーブル上に垂直な表面が存在することにより、
図9に見られるように、取付レール70を付加することができる。中空レール70を使用して、それぞれ、医療ガス、吸引、電気、及び電子データ伝達のための導管72、74、76、及び78を含めることができる。これにより、部屋の周りの器具や電源から滅菌領域にワイヤ、ケーブル、チューブが垂れ下がる必要性が減少し、偶発的な切断による安全性が向上し、つまずきの危険性が減少し、滅菌領域への感染性侵入が減少する。スレッドテーブルは、接続が部屋のワークフローの邪魔にならない、スレッドテーブル端部の(各エージェントに対して)単一の点において医療ガスと吸引のための供給源に取り付けられることが予想される。同様に、他の医療装置ネットワーク及び電源への接続は、ワークフローへの影響を最小限に抑えるために配置される。
【0067】
スレッドテーブルの垂直面に内部導体を有するレールが存在することにより、これらの導体を内部のスレッドテーブルキャビティに接続することができる。これにより、患者をモニタし、診断し、治療するために使用される電子コントローラ80、モニタ、及び他の装置を、スレッドテーブルに配置することができる。その結果、これらのデバイスを床または天井に取り付ける必要がない。多くの場合、内部装置や医療ガスへの付属物は、レール上にあるか、レールから伸びている。その結果、レールは、スレッドテーブルの垂直面によりスレッドテーブルの長さを延長することができるので、患者までのケーブルの長さが最小となる。
【0068】
内部スレッドテーブルキャビティに再び入ることができるため、キャビティを再シールすることができる内部構成要素をメンテナンスすることが可能である。スレッドテーブルの底部のベントホール82は、体液汚染のリスクを最小限にして、キャビティの換気及び電子部品によって発生する熱の換気を可能にする。冷却を増大させるために、ファン84をテーブルにさらに含めることができる。
【0069】
本発明は、特定の実施形態及び用途に関して説明したが、当業者は、この教示に照らして、請求項に係る発明の精神から逸脱することなく、または請求項に係る発明の範囲を超えることなく、追加の実施形態及び修正を生成することができる。したがって、図面及び本明細書の説明は、本発明の理解を容易にするために一例として提供されるものであり、その範囲を限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペデスタルとスレッドテーブルとを有するX線テーブルであって、前記スレッドテーブルは、
前記ペデスタルに取り付けられ、第1端及び第2端を有し、前記第2端は前記ペデスタルに取り付けられ、前記第1端は前記第2端のみが前記ペデスタルに支持されるように前記ペデスタルから延びる、底部と、
前記第1端と前記第2端との間の前記底部に沿って延在し、前記スレッドテーブルに構造的剛性を付加する側部材と、を備えるX線テーブル。
【外国語明細書】