(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096718
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ドア用部品、グロメット及び配線モジュール
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20240709BHJP
H01B 17/58 20060101ALI20240709BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20240709BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240709BHJP
B60J 10/86 20160101ALI20240709BHJP
B60J 5/04 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
H02G3/22
H01B17/58 C
F16L5/02 A
B60R16/02 622
B60J10/86
B60J5/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024049289
(22)【出願日】2024-03-26
(62)【分割の表示】P 2020101375の分割
【原出願日】2020-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】小森 洋和
(57)【要約】
【課題】そこで、ドアパネルへのドア用部品の組付性の向上を図ることができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】ドア用部品は、ドアパネル12に対して周縁の一部を横切るように組付けられるグロメット20と、前記ドアパネル12に対して前記周縁に沿って延びるように組付けられるウェザーストリップ50と、を備える。前記グロメット20は互いに異なる向きに開口するように形成された第1筒部32及び第2筒部33を含む。前記ウェザーストリップ50は長手方向に沿って第1端部51と第2端部52とを有する。前記ウェザーストリップ50の前記第1端部51が前記第1筒部32に嵌め込まれ、前記第2端部52が前記第2筒部33に嵌め込まれている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアパネルに対して周縁の一部を横切るように組付けられるグロメットと、
前記ドアパネルに対して前記周縁に沿って延びるように組付けられるウェザーストリップと、
を備え、
前記グロメットは互いに異なる向きに開口するように形成された第1筒部及び第2筒部を含み、
前記ウェザーストリップは長手方向に沿って第1端部と第2端部とを有し、
前記ウェザーストリップの前記第1端部が前記第1筒部に嵌め込まれ、前記第2端部が前記第2筒部に嵌め込まれており、
前記ウェザーストリップは、潰されていない状態で、前記第1端部から前記第2端部まで同一断面が連続する、ドア用部品。
【請求項2】
請求項1に記載のドア用部品であって、
前記グロメットにおいて、前記第1筒部の内面のうち少なくとも車体側部分に周方向に延びるリップが形成され、
前記リップはドア閉状態において前記ウェザーストリップの前記第1端部の一部分を局所的に潰す、ドア用部品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のドア用部品であって、
前記グロメットにおいて、前記第1筒部の開口部のうち車体側部分から前記第1筒部の外側に向けて延びるフランジが形成され、
ドア閉状態において前記ウェザーストリップの外面に前記フランジが密着する、ドア用部品。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のドア用部品であって、
前記ウェザーストリップの前記第1端部及び前記第2端部の間に前記ウェザーストリップの途切れる区間があり、
前記グロメットには、前記区間を前記ウェザーストリップに代わって止水するウェザーストリップ代替部が設けられている、ドア用部品。
【請求項5】
請求項4に記載のドア用部品であって、
前記ウェザーストリップ代替部は、前記ドアパネル側に向けて突出するドア向き凸部と、車体側に向けて突出する車体向き凸部とを有し、
前記ドア向き凸部及び前記車体向き凸部は前記第1筒部及び前記第2筒部をつなぐと共にそれぞれつぶれるように弾性変形可能であり、
前記ドア向き凸部は前記グロメットが前記ドアパネルに組付けられた状態で常時つぶれた状態とされ、
前記車体向き凸部はドア閉状態においてつぶれるように弾性変形し、ドア開状態で弾性復帰する、ドア用部品。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のドア用部品であって、
前記グロメットに通された配線部材をさらに備え、
前記配線部材は前記ウェザーストリップ代替部と重なるように前記グロメットの内部を通っている、ドア用部品。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のドア用部品であって、
前記ウェザーストリップは前記第1端部から前記第2端部まで前記ドアパネルの周縁を囲うことが可能に一つながりに形成されている、ドア用部品。
【請求項8】
ドアパネルに対して周縁を横切るように組付けられるグロメットであって、
互いに異なる向きに開口する第1筒部及び第2筒部を備え、
前記第1筒部及び前記第2筒部は、前記ドアパネルに対して前記周縁に沿うように組付けられるウェザーストリップの第1端部及び第2端部がそれぞれ嵌め込み可能に形成されており、
前記ウェザーストリップは、潰されていない状態で、前記第1端部から前記第2端部まで同一断面が連続する、グロメット。
【請求項9】
請求項8に記載のグロメットと、
前記グロメットに通された配線部材と、
を備える、配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドア用部品、グロメット及び配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ドアと車体とを接続する配線部材には、通常、グロメットが取付けられる。このグロメットとドアパネルとの組付構造としては、例えば特許文献1に記載されるように、ドアパネルに形成された貫通孔にグロメットが通される構造と、例えば特許文献2に記載されるように、ドアパネルの表面に沿ってグロメットが配置される構造とがある。特許文献2に記載されるようなグロメットは、特許文献1に記載されるグロメットのようにドアパネルに形成された貫通孔に通される必要がないことから、貫通レスグロメットなどとも呼ばれる。
【0003】
また車室内への水の浸入を抑制するため、通常、ドアパネルにはウェザーストリップがドアパネルの周縁に沿って組付けられる。グロメットが貫通レスグロメットである場合、ウェザーストリップは、特許文献2に記載されるように貫通レスグロメットを横切るように車体側を向く表面に配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-217229号公報
【特許文献2】特開2002-27640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウェザーストリップと特許文献2のような貫通レスグロメットとがドアパネルに組付けられる場合、ウェザーストリップが先にドアパネルに組付けられると、貫通レスグロメットをドアパネルとウェザーストリップとの間に通す必要が生じる。このため、組付性に向上の余地があった。
【0006】
そこで、ドアパネルへのドア用部品の組付性の向上を図ることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のドア用部品は、ドアパネルに対して周縁の一部を横切るように組付けられるグロメットと、前記ドアパネルに対して前記周縁に沿って延びるように組付けられるウェザーストリップと、を備え、前記グロメットは互いに異なる向きに開口するように形成された第1筒部及び第2筒部を含み、前記ウェザーストリップは長手方向に沿って第1端部と第2端部とを有し、前記ウェザーストリップの前記第1端部が前記第1筒部に嵌め込まれ、前記第2端部が前記第2筒部に嵌め込まれている、ドア用部品である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ドアパネルへのドア用部品の組付性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は実施形態1にかかるドア用部品及びこれが組付けられるドアパネルを示す概略平面図である。
【
図2】
図2は実施形態1にかかるドア用部品を示す斜視図である。
【
図3】
図3は実施形態1にかかるドア用部品を示す正面図である。
【
図4】
図4は実施形態1にかかるドア用部品を示す側面図である。
【
図5】
図5は実施形態1にかかるドア用部品を示す底面図である。
【
図6】
図6は実施形態1にかかるドア用部品を示す背面図である。
【
図7】
図7は
図2のVII-VII線に沿って切断された断面図である。
【
図8】
図8は
図2のVIII-VIII線に沿って切断された断面図である。
【
図11】
図11はドア閉状態におけるドア用部品を示す断面図である。
【
図12】
図12は実施形態2にかかるドア用部品を示す斜視図である。
【
図13】
図13は実施形態2にかかるドア用部品を示す分解背面図である。
【
図16】
図16はドア開状態におけるドア用部品を示す断面図である。
【
図17】
図17はドア閉状態におけるドア用部品を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示のドア用部品は、次の通りである。
【0012】
(1)ドアパネルに対して周縁の一部を横切るように組付けられるグロメットと、前記ドアパネルに対して前記周縁に沿って延びるように組付けられるウェザーストリップと、を備え、前記グロメットは互いに異なる向きに開口するように形成された第1筒部及び第2筒部を含み、前記ウェザーストリップは長手方向に沿って第1端部と第2端部とを有し、前記ウェザーストリップの前記第1端部が前記第1筒部に嵌め込まれ、前記第2端部が前記第2筒部に嵌め込まれている、ドア用部品である。ウェザーストリップの第1端部が第1筒部に嵌め込まれ、第2端部が第2筒部に嵌め込まれている。このため、先にドアパネルに組付けられたウェザーストリップの端部が後からドアパネルに組付けられたグロメットに嵌め込まれることも、先にドアパネルに組付けられたグロメットに後からドアパネルに組付けられたウェザーストリップの端部が嵌め込まれることも、グロメットにウェザーストリップの端部が嵌め込まれた状態で両者がドアパネルに組付けられることも可能となる。これにより、ドアパネルへのドア部品の組付け性の向上を図ることができる。
【0013】
(2)(1)のドア用部品において、前記グロメットにおいて、前記第1筒部の内面のうち少なくとも車体側部分に周方向に延びるリップが形成され、前記リップはドア閉状態において前記ウェザーストリップの前記第1端部の一部分を局所的に潰してもよい。これにより、グロメットとウェザーストリップとの間のシール性の向上を図ることができる。
【0014】
(3)(1)又は(2)のドア用部品において、前記グロメットにおいて、前記第1筒部の開口部のうち車体側部分から前記第1筒部の外側に向けて延びるフランジが形成され、ドア閉状態において前記ウェザーストリップの外面に前記フランジが密着してもよい。これにより、グロメットとウェザーストリップとの間のシール性の向上を図ることができる。
【0015】
(4)(1)から(3)のいずれか1つのドア用部品において、前記ウェザーストリップの前記第1端部及び前記第2端部の間に前記ウェザーストリップの途切れる区間があり、前記グロメットには、前記区間を前記ウェザーストリップに代わって止水するウェザーストリップ代替部が設けられていてもよい。これにより、ウェザーストリップの短尺化を図ることができる。
【0016】
(5)(4)のドア用部品において、前記ウェザーストリップ代替部は、前記ドアパネル側に向けて突出するドア向き凸部と、車体側に向けて突出する車体向き凸部とを有し、前記ドア向き凸部及び前記車体向き凸部は前記第1筒部及び前記第2筒部をつなぐと共にそれぞれつぶれるように弾性変形可能であり、前記ドア向き凸部は前記グロメットが前記ドアパネルに組付けられた状態で常時つぶれた状態とされ、前記車体向き凸部はドア閉状態においてつぶれるように弾性変形し、ドア開状態で弾性復帰してもよい。これにより、ウェザーストリップ代替部における止水性が高まる。
【0017】
(6)(4)又は(5)のドア用部品において、前記グロメットに通された配線部材をさらに備え、前記配線部材は前記ウェザーストリップ代替部と重なるように前記グロメットの内部を通っていてもよい。これにより、ウェザーストリップのつぶれに配線部材が関与することが抑制され、ウェザーストリップのつぶれ方が安定する。
【0018】
(7)(1)から(6)のいずれか1つのドア用部品において、前記ウェザーストリップは前記第1端部から前記第2端部まで前記ドアパネルの周縁を囲うことが可能に一つながりに形成されていてもよい。これにより、ウェザーストリップがドアパネルの周縁を囲う環状であっても、線状のウェザーストリップを曲げてそのまま用いることができ、無端環状のウェザーストリップを用いずに済む。
【0019】
(8)また、本開示のグロメットは、ドアパネルに対して周縁を横切るように組付けられるグロメットであって、互いに異なる向きに開口する第1筒部及び第2筒部を備え、前記第1筒部及び前記第2筒部は、前記ドアパネルに対して前記周縁に沿うように組付けられるウェザーストリップの第1端部及び第2端部がそれぞれ嵌め込み可能に形成されている、グロメットである。ウェザーストリップの第1端部が第1筒部に嵌め込まれることが可能であり、第2端部が第2筒部に嵌め込まれることが可能である。このため、先にドアパネルに組付けられたウェザーストリップの端部が後からドアパネルに組付けられたグロメットに嵌め込まれることも、先にドアパネルに組付けられたグロメットに後からドアパネルに組付けられたウェザーストリップの端部が嵌め込まれることも、グロメットにウェザーストリップの端部が嵌め込まれた状態で両者がドアパネルに組付けられることも可能となる。これにより、ドアパネルへのドア部品の組付け性の向上を図ることができる。
【0020】
(9)また、本開示の配線モジュールは、(8)のグロメットと、前記グロメットに通された配線部材と、を備える、配線モジュールである。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のドア用部品、グロメット及び配線モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかるドア用部品、グロメット及び配線モジュールについて説明する。
【0023】
<ドア>
まず
図1を参照しつつ車両におけるドアについて説明する。
図1は実施形態1にかかるドア用部品及びこれが組付けられるドアパネル12を示す概略平面図である。
【0024】
ドア10は、全体として偏平な形状に形成されており、車両において車室内と車室外とを仕切るように開閉可能に設けられる部分である。以下では、車両におけるドア10の開状態及び閉状態は、単に、開状態及び閉状態と称される。ドア10は、運転席側ドア、助手席側ドア、後部座席用ドアである場合等が想定される。なお、以下ではドア10がサイドドアであるものとして説明される。ドアはバックドアなどであってもよい。またドア10がヒンジドアであるものとして説明される。ドアはスライドドアなどであってもよい。ドア10は、ドアパネル12と、ドア用部品と、を備える。
【0025】
ドアパネル12は、アウターパネル13と、インナーパネル14とを備える。アウターパネル13は、ドア10のうち車両外側に面する部分に設けられ、ボディと共に車両の外観を構成する部分である。インナーパネル14は、アウターパネル13の車室側に設けられる。インナーパネル14は内板部分15と側板部分16とを有する。内板部分15は閉状態において車室側を向く部分である。内板部分15とアウターパネル13との間には、ウインドウ又は電気機器などを収容可能な空間が設けられる。側板部分16は内板部分15の縁部からアウターパネル13に向けて延びる部分である。特にここでは側板部分16は内板部分15の縁部のうち車両の前側(ヒンジドアにおけるヒンジがある側)に位置する縁部から延びる。側板部分16はウインドウ又は電気機器などを収容可能な空間を仕切る。
【0026】
ドア用部品は、ドア10に組込まれる部品である。ドア用部品は、グロメット20と、ウェザーストリップ50と、配線部材60とを備える。
【0027】
グロメット20は、いわゆる貫通レスグロメットである。グロメット20は、ドアパネル12におけるインナーパネル14に対して周縁の一部を横切るように組付けられる。グロメット20は、側板部分16に取付けられる。グロメット20にウェザーストリップ50の一部が取付けられる。グロメット20は第1筒部32及び第2筒部33を含む。第1筒部32及び第2筒部33は互いに異なる向きに開口する。ここでは第1筒部32及び第2筒部33は互いに反対向きに開口する。第1筒部32及び第2筒部33にウェザーストリップ50が挿入される。
【0028】
ウェザーストリップ50は、ドアパネル12に対して周縁に沿って延びるように組付けられる。ウェザーストリップ50は、インナーパネル14に対して周縁に沿って延びるように組付けられる。ウェザーストリップ50は第1端部51及び第2端部52を有する。第1端部51が第1筒部32に嵌め込まれている。第2端部52が第2筒部33に嵌め込まれている。ここでは、ウェザーストリップ50は第1端部51から第2端部52まで一つながりに形成されている。つまり、一つの線状のウェザーストリップ50の一方の端部が第1端部51とされ、他方の端部が第2端部52とされる。ウェザーストリップ50はドアパネル12を囲うように組付けられる。ウェザーストリップ50の長さ寸法は、ドアパネル12の周縁の長さ寸法と同じくらいの(ここでは若干短い)長さ寸法を有する。
【0029】
配線部材60は、ドア10に組込まれる機器に対して電力を供給したり、ドア10に組込まれる機器と、車体に組込まれる機器との間の信号を伝送したりする部材である。ここでは配線部材60は、複数の電線62を含む。配線部材60は、光ファイバーケーブルなどを含んでいてもよい。車両における配線部材60の経路及び接続相手は特に限定されるものではないが、例えば以下のような経路及び接続相手が考えられる。すなわち配線部材60の一端部は車体に配置される。配線部材60の一端部にはコネクタC1が設けられる。このコネクタC1はバッテリ、電子制御ユニットなどから延びる車体側の配線部材に設けられた車体側コネクタに接続される。配線部材60の他端部はドア10に配置される。配線部材60の他端部はドア10に組込まれる機器に接続される。配線部材60とドア10に設けられる機器とは例えばコネクタ接続されてもよい。この場合、配線部材60の他端部にはコネクタC2が設けられるとよい。
【0030】
配線部材60の中間部は車体とドア10との間に掛け渡される。より詳細には、配線部材60は、一端部から他端部に向けて、車体に設けられた貫通孔から延び出て、ドアパネル12における側板部分16に向けて延びる。配線部材60は側板部分16に達した後、ドアパネル12に沿って側板部分16から内板部分15に向けて延びる。配線部材60のうち車体に設けられた貫通孔から内板部分15に達する部分までの区間がグロメット20によって覆われ、保護される。配線部材60のうちグロメット20が取付けられた部分は複数の電線62が一体的に延びる。内板部分15に達した配線部材60は、グロメット20から延び出て、内板部分15上で複数の電線62が分岐しつつ接続される機器の位置まで延びる。
【0031】
なお、ドア10には、配線部材60が接続される上記機器のほかに例えば意匠トリム等が組込まれる。意匠トリムは、ドア10のうち車室内側に面する部分に設けられ、車両の内観を構成する部分である。意匠トリムには例えば、ドアハンドル、車載機器の操作部等が取付けられる。配線部材60のうちグロメット20から延び出て内板部分15に沿う部分は意匠トリムに覆われる。
【0032】
以下、
図1に加えて
図2から
図11を参照しつつドア用部品について詳述する。
図2は実施形態1にかかるドア用部品を示す斜視図である。
図3は実施形態1にかかるドア用部品を示す正面図である。
図4は実施形態1にかかるドア用部品を示す側面図である。
図5は実施形態1にかかるドア用部品を示す底面図である。
図6は実施形態1にかかるドア用部品を示す背面図である。
図7は
図2のVII-VII線に沿って切断された断面図である。
図8は
図2のVIII-VIII線に沿って切断された断面図である。
図9は
図3の領域A1の拡大図である。
図10は
図9のVII-VII線に沿って切断された断面図である。
図11は
図10と同じ位置の断面図であり、閉状態におけるドア用部品を示す断面図である。
【0033】
<グロメット>
ここではグロメット20は、アウター部材21とインナー部材44とを備える。アウター部材21はエラストマーなどの弾性材料による成形品である。インナー部材44は、樹脂又は金属などを材料とした成形品である。インナー部材44はアウター部材21よりも高剛性である。ここでは、アウター部材21とインナー部材44とは別個に成形された後に、装着可能とされる。
【0034】
アウター部材21はドア取付部22と保護筒部40と車体取付部42とを含む。
【0035】
ドア取付部22はドアパネル12に取付けられる部分である。ドア取付部22は側板部分16に取付けられる。ドア取付部22はベース部23と引出筒部31と第1筒部32と第2筒部33とウェザーストリップ代替部34とフランジ38、39とを有する。
【0036】
ベース部23は扁平に形成される。ベース部23が側板部分16の表面に広がるように取付けられる。ベース部23は配線収容部24と延出部25とを有する。
【0037】
配線収容部24は配線部材60を収容する部分である。配線収容部24は配線部材60のうち側板部分16に沿って延びる部分を収容する。配線収容部24は筒状に形成される。配線収容部24の一方開口は、ベース部23の一方表面に開口する。配線収容部24の一方開口は、円形孔状に形成される。配線収容部24の他方開口は、ベース部23の側面に開口する。配線収容部24の他方開口は、扁平な長孔状に形成される。配線収容部24の他方開口は引出筒部31に連通する。延出部25は配線収容部24の周縁から外側に広がる部分である。
【0038】
ベース部23は
図5に示すように一部をヒンジ部26として開閉可能に形成されている。ここでは延出部25のうち車両の内外方向に沿って内側に位置し、鉛直方向に延びる周縁がヒンジ部26とされる。ベース部23のうち車体側部分27とドア側部分28とがヒンジ部26を介してつながっている。閉状態において車体側部分27はドア側部分28よりも車体80側に位置し、ドア側部分28は車体側部分27よりもドアパネル12側に位置する。配線収容部24は車体側部分27とドア側部分28とに分かれる。つまり配線収容部24の一部は車体側部分27に設けられ、他の一部がドア側部分28に設けられる。延出部25も車体側部分27とドア側部分28とに分かれる。ベース部23がヒンジ部26を起点に開閉可能であることによって、配線収容部24及び保護筒部40への配線部材60の収容作業が容易となる。
【0039】
ここでは配線部材60のうち側板部分16に沿う部分が配線収容部24に収容され、側板部分16から内板部分15に向けて曲がって延びる部分が引出筒部31に収容される。ここでは配線部材60のうち配線収容部24に収容される部分及び引出筒部31に収容される部分はインナー部材44に収容される。このため配線収容部24及び引出筒部31はインナー部材44を収容可能に形成される。配線収容部24及び引出筒部31の形状は、インナー部材44の形状に応じた形状に形成される。配線収容部24はインナー部材44の一端側部分を両側から覆うことが可能とされる。車体側部分27における配線収容部24は、
図2に示すように平坦に形成される。車体側部分27における配線収容部24に一方開口が形成される。ドア側部分28における配線収容部24は、
図6に示すように凸状に形成される。引出筒部31はインナー部材44の他端側部分を挿入可能とされる。
【0040】
延出部25は、車体側部分27及びドア側部分28のいずれにおいても平坦である。延出部25のうち車体側部分27は配線収容部24のうち車体側部分27と同じ平面に沿って広がる。延出部25のうちドア側部分28は配線収容部24のうちドア側部分28の周縁から平坦に広がる。配線収容部24のうちドア側部分28は、延出部25のうちドア側部分28よりもドアパネル12側に突出する。
【0041】
ベース部23には取付孔29が形成されている。取付孔29にはボルト、クリップなどが通される。取付孔29に通されたボルト、クリップなどがドアパネル12に締められたり係止したりすることによってベース部23がドアパネル12に取付けられる。ここではベース部23に2つの取付孔29が形成されている。2つの取付孔29は、延出部25に形成される。2つの取付孔29は、配線収容部24に対して鉛直方向上側及び下側に分かれて設けられる。2つの取付孔29は、第1筒部32及び第2筒部33に対して同じ側(ここでは車両の内外方向に沿って外側)に位置するように形成されている。
【0042】
配線収容部24には嵌合孔30が形成されている。嵌合孔30は、車体側部分27及びドア側部分28のそれぞれに2箇所ずつ形成される。車体側部分27に形成される嵌合孔30と、ドア側部分28に形成される嵌合孔30とは対応する位置に形成される。嵌合孔30は、配線部材60を収容する内部空間からベース部23の一方表面(車体側部分27の表面)及び他方表面(ドア側部分28の表面)に向けて凹むように形成される。ここでは嵌合孔30は、ベース部23の一方表面及び他方表面まで貫通している。嵌合孔30は、インナー部材44の外面に形成された突起47が嵌ることが可能に形成される。2箇所の嵌合孔30は鉛直方向に離れた位置に形成される。嵌合孔30はヒンジ部26に近い位置(ヒンジ部26よりもわずかに外側の位置)に形成される。
【0043】
引出筒部31はベース部23のうちヒンジ部26となる縁部に連なっている。引出筒部31は配線部材60のうち側板部分16から内板部分15に向けて曲がって延びる部分を収容する。引出筒部31は横断面が扁平で中心軸が曲がった筒状に形成されている。引出筒部31は配線収容部24と連通する。引出筒部31はヒンジ部26によって開閉しない。ベース部23がヒンジ部26を起点に開かれたとき、
図5の二点鎖線で示されるように、保護筒部40と筒状の引出筒部31とが同じ側に延びるように並んだ姿勢とされる。このとき、引出筒部31の一方開口が車体側部分27とドア側部分28との間の位置であって、ヒンジ部26の隣の位置に現れる。これにより、インナー部材44の他端側部分が引出筒部31に容易に挿入可能となる。
【0044】
第1筒部32及び第2筒部33は延出部25に設けられる。第1筒部32及び第2筒部33は配線収容部24に対して鉛直方向上側及び下側に分かれて設けられる。ここではグロメット20がドア10に取付けられた状態で第1筒部32が配線収容部24に対して鉛直上方に位置すると共に第2筒部33が鉛直下方に位置するように設けられる。第1筒部32及び第2筒部33は鉛直方向に延びる。第1筒部32は鉛直上方に開口し、第2筒部33は鉛直下方に開口する。ここでは第1筒部32の開口部と第2筒部33の開口部とは車両の内外方向に沿って互いにずれて設けられている。第1筒部32の開口部が第2筒部33の開口部よりも車両の内外方向に沿って外側に位置する。第1筒部32及び第2筒部33は第1筒部32の開口部と第2筒部33の開口部との間で緩やかに曲がりつつ延びている。第1筒部32の開口部と第2筒部33の開口部とは、車両の内外方向に沿って同じ位置に設けられていてもよい。
【0045】
図8には、第2筒部33の横断面形状が示されている。以下、
図8に即して第2筒部33の横断面形状について説明するが、第1筒部32の横断面形状も第2筒部33の横断面形状と同様の形状に形成される。
図8に示すように第2筒部33はベース部23と同様に車体側部分27とドア側部分28とに分かれる。車体側部分27において、第2筒部33は延出部25から延出部25の表面上に突出する。またドア側部分28において、第2筒部33は延出部25から延出部25の表面上に突出する。第2筒部33の肉厚は、延出部25の肉厚と同程度である。第2筒部33のうち車体側部分27における延出部25からの突出量がドア側部分28における延出部25からの突出量よりも大きい。ウェザーストリップ50の大部分は第2筒部33のうち車体側部分27に収まる。第2筒部33のうちドア側部分28は車体側部分27の蓋をする。第2筒部33は閉状態においてウェザーストリップ50と共に潰される。
【0046】
ウェザーストリップ代替部34は、ウェザーストリップ50の途切れる区間をウェザーストリップ50に代わって止水する部分である。ここではウェザーストリップ代替部34は第1筒部32及び第2筒部33をつなぐ。ウェザーストリップ代替部34は、車体向き凸部35とドア向き凸部36とを有する。車体向き凸部35及びドア向き凸部36はそれぞれつぶれるように弾性変形可能である。
図7に示すように車体向き凸部35の肉厚及びドア向き凸部36の肉厚はそれぞれベース部23の肉厚と同程度とされる。このため、車体向き凸部35の内部及びドア向き凸部36の内部は空洞とされる。
【0047】
車体向き凸部35はベース部23から車体80側に向けて突出する。車体向き凸部35は閉状態においてつぶれるように弾性変形し、開状態で弾性復帰する。車体向き凸部35は、車体側部分27において第1筒部32及び第2筒部33をつなぐ。車体向き凸部35は車体側部分27における第1筒部32及び第2筒部33と同様の大きさ、形状に形成されている。従って、車体側部分27において、同じ横断面形状の溝がベース部23を横切るように形成される。溝の一端部が第1筒部32の車体側部分27である。溝の他端部が第2筒部33の車体側部分27である。溝の中間部が車体向き凸部35である。
【0048】
ドア向き凸部36は、ベース部23からドアパネル12側に向けて突出する。ドア向き凸部36はグロメット20がドアパネル12に組付けられた状態で常時つぶれた状態とされる。ドア向き凸部36は、ドア側部分28におい第1筒部32及び第2筒部33をつなぐ。ドア向き凸部36の一端部は、配線収容部24の上側の延出部25において第1筒部32とつながる。ドア向き凸部36の他端部は、配線収容部24の下側の延出部25において第2筒部33とつながる。ドア向き凸部36の中間部は配線収容部24を横切る。ドア向き凸部36は第1筒部32及び第2筒部33のうちドア側部分28よりも大きく形成されている。ドア向き凸部36は車体向き凸部35と同じ大きさ、形状で車体向き凸部35と線対称に形成される。従って、ドア側部分28において、横断面形状が変わる溝がベース部23を横切るように形成される。溝の一端部が第1筒部32のドア側部分28である。溝の他端部が第2筒部33のドア側部分28である。溝の中間部がドア向き凸部36である。溝の中間部における大きさが、溝の一端部及び他端部における大きさよりも大きい。
【0049】
図7に示すように、車体向き凸部35及びドア向き凸部36の間にインナー部材44が介在する。インナー部材44が車体向き凸部35及びドア向き凸部36の変形を支持する。
【0050】
第1筒部32の内面にリップ37が形成されている(
図8から
図11参照)。リップ37は、第1筒部32の内面のうち少なくとも車体側部分27に形成されている。リップ37は、第1筒部32の内面の周方向に延びるように形成されている。ここではリップ37は車体側部分27に形成され、ドア側部分28に形成されていない。このためリップ37は周方向一端部及び他端部を有する。リップ37はウェザーストリップ50の後述する筒状部53に面する部分に形成されている。リップ37は閉状態においてウェザーストリップ50の第1端部51のうちその長手方向に沿った方向における一部分を局所的に潰す(
図11参照)。第2筒部33の内面にも同様のリップ37が設けられている(
図3参照)。第2筒部33に設けられたリップ37は閉状態においてウェザーストリップ50の第2端部52のうちその長手方向に沿った方向における一部分を局所的に潰す。
【0051】
フランジ38は第1筒部32の開口部のうち車体側部分27から延びる。フランジ38は第1筒部32の開口縁における車体側部分27から外側に向けて延びるように形成されている。フランジ38は第1筒部32から第1筒部32の軸方向外側に向かうにつれてウェザーストリップ50に向かうように斜めに突出する。
図11に示すように、閉状態において潰されたウェザーストリップ50の外面にフランジ38が密着する。特にここでは閉状態においてリップ37に潰されて湾曲するウェザーストリップ50の外面にフランジ38が密着する。第1筒部32と同様に第2筒部33にもフランジ38が設けられる。
【0052】
より詳細には、フランジ38は第1筒部32よりも薄肉に形成される。フランジ38は第1筒部32の径方向における外面側から突出する。これにより、フランジ38は第1筒部32とつながる基端部を支点として先端部が第1筒部32の径方向外側に弾性変形する。フランジ38の先端部は第1筒部32の内から外に向かうように第1筒部32の軸方向に対して斜めに切られた形状とされる。これによりフランジ38の先端部が第1筒部32の軸方向に対して直交する方向に切られた形状の場合と比べて、フランジ38の先端面が大きくなる。ウェザーストリップ50のうちリップ37に潰された部分に対して長手方向に沿って隣の部分は車体80側に向かって膨出するように湾曲する。この湾曲する部分がフランジ38に接触して先端部を外側に押す。これによりフランジ38の先端部がこの湾曲する部分に密着する。好ましくはフランジ38のうち先端面が第1筒部32の内から外に向かう形状に形成されていると、フランジ38のうち先端面がウェザーストリップ50の外面に面接触する。
【0053】
フランジ38は、第1筒部32よりも薄いため、第1筒部32とフランジ38との境界における段差は小さい。このため、ウェザーストリップ50は、自身の多少の弾性変形(例えば、筒状部53の弾性変形)によって、第1筒部32とフランジ38との段差を埋めることができる。上記のように、フランジ38の先端部が斜めに切られた形状に形成されていることとあいまって、ウェザーストリップ50は、第1筒部32とフランジ38とに対してなるべく隙間を少なくした状態で接することができる。
【0054】
なお
図10及び
図11は、ウェザーストリップ50が曲がりつつ延びる部分を直線(
図9のX-X線)に沿って切断した断面図である。このため、閉状態を示す
図11において、ウェザーストリップ50の長手方向に沿って、車体80と第1筒部32及びウェザーストリップ50との間に隙間が空いている部分が存在する。しかしながら、隙間が空いている部分に対してウェザーストリップ50の周方向に沿って
図11に断面で示される部分とは異なる部分では、車体80と第1筒部32及びウェザーストリップ50とは密着している。つまり、
図11に断面で示される部分には、車体80と第1筒部32及びウェザーストリップ50とが密着している部分からわずかにずれた部分が示される部分が存在する。実際には、ウェザーストリップ50の長手方向に沿って、車体80とグロメット20及びウェザーストリップ50とは密着状態が連続している。そして、グロメット20とウェザーストリップ50との境界部分(第1筒部32の開口部付近)においてもフランジ38があることによって、車体80との隙間が少なくされている。
【0055】
フランジ39はベース部23の外縁に設けられる。フランジ39はベース部23のうち車体側部分27の外縁に設けられる。フランジ39は第1筒部32の外側に設けられるフランジ38及び第2筒部33の外側に設けられるフランジ38とつながっている。フランジ39はドア10側に向けて斜めに突出する。フランジ39の肉厚はベース部23の肉厚よりも薄肉であり、フランジ38の肉厚と同様の肉厚に形成される。フランジ39はベース部23のうちドア側部分28よりもドア10側に突出する。グロメット20がドアパネル12に取付けられた状態で、フランジ39はドアパネル12に沿うように弾性変形し、ドアパネル12に密着する。
【0056】
なお、閉状態を示す
図11において、ウェザーストリップ50の長手方向に沿って、ドアパネル12と第1筒部32及びウェザーストリップ50との間に隙間が空いている部分が存在する。これは、上記したように、
図11が、ウェザーストリップ50が曲がりつつ延びる部分を直線(
図9のX-X線)に沿って切断した断面図であるためである。車体80とグロメット20及びウェザーストリップ50との間と同様に、ドアパネル12とグロメット20及びウェザーストリップ50との間も、ウェザーストリップ50の長手方向に沿って密着状態が連続している。グロメット20とウェザーストリップ50との境界部分(第1筒部32の開口部付近)において、フランジ38、39が、ウェザーストリップ50の周囲に密着すると共に、フランジ39がドアパネル12に密着しているため、水の浸入が抑制される。
【0057】
保護筒部40は配線収容部24のうち車体側部分27の表面に突出するように設けられる。保護筒部40は配線収容部24と連通する。保護筒部40は、可撓性を有するように形成される。保護筒部40が可撓性を有するための構成は如何なるものであってもよい。ここでは保護筒部40は蛇腹状に形成されて可撓性を有する。
【0058】
車体取付部42は保護筒部40の他端部に設けられる。ここでは車体取付部42は車体80に形成された貫通孔に係止可能に設けられる。
【0059】
インナー部材44は扁平筒状に形成されている。インナー部材44は第1部品45と第2部品46とを含む。第1部品45と第2部品46とは別に成形されている。第1部品45と第2部品46とは成形後に組合わされる。閉状態において第1部品45は第2部品46よりも車体80側に位置し、第2部品46は第1部品45よりもドアパネル12側に位置する。
【0060】
第1部品45は平板部分45aと周壁部分45bとを有する。平板部分45aの周縁に周壁部分45bが形成されている。平板部分45aは一端部が半円状とされ、中間部から他端部までが長方形状とされる。また平板部分45aは、中間部から他端部に至る途中で、平面同士が交差するように曲っている。周壁部分45bは平板部分45aの一方主面上に突出するように形成される。周壁部分45bは平板部分45aのうち他端部を除く部分に形成されている。また平板部分45aの一端部にインナー部材44の一方開口が形成される。インナー部材44の一方開口は、配線収容部24の一方開口に対応する位置に形成される。
【0061】
第2部品46は平板部分46aと側壁部分46bと周壁部分46cとを有する。平板部分46aの周縁に側壁部分46bが形成され、側壁部分46bの周縁に周壁部分46cが形成される。平板部分46aは、平板部分45aに対応する形状に形成されている。平板部分46aは、平板部分45aよりも小さく形成されている。平板部分46aと、平板部分45aとは間隔をあけて平行する。平板部分46aと平板部分45aとの間に配線部材60が収容される。側壁部分46bは平板部分46aと交差するように斜めに延びる。周壁部分46cは側壁部分46bの一方主面上に突出するように形成される。側壁部分46b及び周壁部分46cは平板部分46aのうち他端部を除く部分に形成されている。ここでは第2部品46の周縁が第1部品45の周壁部分45bに囲まれる。インナー部材44の他端部における第1部品45と第2部品46との間がインナー部材44の他方開口とされる。
【0062】
ベース部23に対して、第1部品45は車体側部分27に面し、第2部品46はドア側部分28に面する。第1部品45及び第2部品46それぞれの外面に突起47が形成される。第1部品45の突起47は車体側部分27の嵌合孔30に嵌る。第2部品46の突起47はドア側部分28の嵌合孔30に嵌る。例えば突起47は嵌合孔30よりもわずかに大きく形成され、嵌合孔30に圧入されてもよい。
【0063】
<ウェザーストリップ>
図8に示すように、ウェザーストリップ50は、筒状部53と取付部54とを有する。筒状部53は閉状態においてドアパネル12と車体80との間に挟まれて弾性変形し、車体80に密着する部分である。取付部54はドアパネル12に取付けられる部分である。ウェザーストリップ50の第1端部51が第1筒部32に嵌め込まれ、第2端部52が第2筒部33に嵌め込まれている。ウェザーストリップ50のうち第1端部51からグロメット20の外方に延びる部分及び第2端部52からグロメット20の外方に延びる部分は、取付部54を用いてドアパネル12に取付けられる。例えば取付部54は板状に形成されて側板部分16に対してクリップなどを用いて取付けられる。また例えば取付部54はドアパネル12における凹部にはめ込まれる。ウェザーストリップ50はエラストマーなどの弾性材料による成形品である。ウェザーストリップ50は例えば長尺な線状に押出成形された部材が必要な長さに切断されて用いられる。この場合、ウェザーストリップ50において同一断面が連続する。
【0064】
ウェザーストリップ50はドア10の周縁を囲う。ウェザーストリップ50の長さ寸法は、ドアパネル12の周縁の長さ寸法よりも若干短い長さ寸法を有する。このため、ウェザーストリップ50の第1端部51及び第2端部52の間にウェザーストリップ50の途切れる区間がある。ウェザーストリップ50の途切れる区間において、グロメット20にウェザーストリップ代替部34が設けられている。例えば、ウェザーストリップ50の途切れる区間の長さ寸法は、第1筒部32に差し込まれるウェザーストリップ50の第1端部51の長さ寸法よりも長い。
【0065】
図8に示すように、第1端部51が第1筒部32に嵌め込まれた状態で、ウェザーストリップ50の取付部54は延出部25の車体側部分27よりもドア10側に突出する。また、
図7に示すように、ウェザーストリップ代替部34が設けられる部分において車体側部分27とドア側部分28との間にインナー部材44が収容される。これにより、ウェザーストリップ50の第1端部51が第1筒部32に挿入された際、挿入過多となると、第1端部51の先端部(ここでは取付部54の先端部)がインナー部材44に接触する。これにより、第1筒部32への第1端部51のそれ以上の挿入が抑制される。第2端部52が第2筒部33に挿入される際も同様である。
【0066】
<配線部材>
配線部材60の中間部は、グロメット20に通されている。配線部材60のうち保護筒部40に通される部分は複数の電線62の横断面形状がなるべく円形状に近づくように束ねられている。これにより、配線部材60のうち保護筒部40に通される部分は保護筒部40の曲げに追従可能とされる。配線部材60のうちインナー部材44に収容される部分は複数の電線62が一の方向(ここでは鉛直方向)に沿って並べられて、扁平とされる。配線部材60は、保護筒部40とインナー部材44との連結部分の近傍において、円形状から扁平形状に形状が変形する。
【0067】
配線部材60はウェザーストリップ代替部34と重なるようにグロメット20の内部を通っている。
図3の正面視において、ベース部23の内部の配線部材60はウェザーストリップ50の第1端部51と第2端部52との間に位置する。
【0068】
グロメット20にウェザーストリップ50が組込まれたものはドア用部品とされる。このドア用部品がドア組立工場(車両組立工場)に搬送されて、ドアパネル12に組付けられてもよい。ドア用部品には配線部材60が組込まれていてもよい。また配線部材60がグロメット20に通されて配線モジュールとされる。この配線モジュールとウェザーストリップ50とが別々にドア組立工場(車両組立工場)に搬送されて、ドアパネル12に組付けられてもよい。
【0069】
<実施形態1の効果等>
以上のように構成されたグロメット20、及びこれを備えるドア用部品又は配線モジュールによると、ウェザーストリップ50の第1端部51が第1筒部32に嵌め込まれ、第2端部52が第2筒部33に嵌め込まれている。このため、先にドアパネル12に組付けられたウェザーストリップ50の端部が後からドアパネル12に組付けられたグロメット20に嵌め込まれることも、先にドアパネル12に組付けられたグロメット20に後からドアパネル12に組付けられたウェザーストリップ50の端部が嵌め込まれることも、グロメット20にウェザーストリップ50の端部が嵌め込まれた状態で両者がドアパネル12に組付けられることも可能となる。これにより、ドアパネル12へのドア用部品の組付け性の向上を図ることができる。
【0070】
また閉状態においてウェザーストリップ50の第1端部51の一部分を局所的に潰すリップ37がグロメット20に設けられている。これにより、グロメット20とウェザーストリップ50との間のシール性の向上を図ることができる。
【0071】
また閉状態において潰されたウェザーストリップ50の外面にフランジ38が密着する。これにより、グロメット20とウェザーストリップ50との間のシール性の向上を図ることができる。
【0072】
またグロメット20には、ウェザーストリップ代替部34が設けられている。これにより、ウェザーストリップ50の短尺化を図ることができる。ウェザーストリップ代替部34は、車体向き凸部35及びドア向き凸部36を有する。閉状態において車体向き凸部35及びドア向き凸部36がつぶれた状態となることにより、ウェザーストリップ代替部34における止水性が高まる。
【0073】
また配線部材60はウェザーストリップ代替部34と重なるようにグロメット20の内部を通っている。これにより、ウェザーストリップ50のつぶれに配線部材60が関与することが抑制され、ウェザーストリップ50のつぶれ方が安定する。
【0074】
またウェザーストリップ50は第1端部51から第2端部52までドアパネル12の周縁を囲うことが可能に一つながりに形成されている。これにより、ウェザーストリップ50がドアパネル12の周縁を囲う環状であっても、線状のウェザーストリップ50を曲げてそのまま用いることができ、無端環状のウェザーストリップ50を用いずに済む。ここでウェザーストリップ50が無端環状とされる場合、通常、押出成形後に切断された状態の一方に長尺なウェザーストリップの一端部と他端部とが接着されたり融着されたりしてつなげられる。これに対して、本例のウェザーストリップ50は、一方に長尺な線状のまま用いられることが可能であるため、ウェザーストリップ50を無端環状にする作業が省略される。
【0075】
[実施形態2]
実施形態2にかかるドア用部品、グロメット及び配線モジュールについて説明する。
図12は実施形態2にかかるドア用部品を示す斜視図である。
図13は実施形態2にかかるドア用部品を示す分解背面図である。
図14は
図13のXIV-XIV線に沿って切断された断面図である。
図15は
図13のXV-XV線に沿って切断された断面図である。なお、本実施形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0076】
実施形態2にかかるドア用部品では、グロメット120におけるアウター部材121の形状が、上記グロメット20におけるアウター部材21の形状とは異なる。上記アウター部材21ではドア取付部22においてベース部23は二枚の板材が重なるように形成されて、二枚の板材のつなぎ目をヒンジ部26として開閉可能に形成されていた。これに対して、アウター部材121ではドア取付部122においてベース部123は一枚の板状に形成されて開閉しないように形成されている。
【0077】
より詳細には、ベース部123は、ベース部23と同様に車体側部分27を有する。ベース部23に設けられていたドア側部分28は、ベース部123において省略されている。ウェザーストリップ代替部134は、ウェザーストリップ代替部34と同様に車体向き凸部35を有する。ウェザーストリップ代替部34に設けられていたドア向き凸部36は、ウェザーストリップ代替部134において省略されている。このため、
図14に示すように、ベース部123に対してインナー部材144がドアパネル12側に露出する。
【0078】
またドア取付部122において、ドア側部分28が省略されていることにより、第1筒部132及び第2筒部133が半筒状とされている。このため、
図15に示すように、ウェザーストリップ50のうち第1筒部132に挿入された第1端部51及び第2筒部133に挿入された第2端部52がそれぞれドアパネルと接触する。なお、ここで半筒状とは、ウェザーストリップ50の周方向に沿った一部のみを囲う形状であることを言い、必ずしも半分である必要はない。第1筒部132及び第2筒部133は、ウェザーストリップ50における筒状部53のうち半周以上(ここでは筒状部53のうち取付部54とつながらない部分の周囲全体)を囲う。これにより、第1筒部132及び第2筒部133に挿入されたウェザーストリップ50が、第1筒部132及び第2筒部133から軸方向と交差する方向に抜けにくい。
【0079】
本例のドア用部品ではグロメット120におけるインナー部材144の形状も、上記グロメット20におけるインナー部材44の形状とは異なる。インナー部材144における第1部品145は、リブ48をさらに有する。インナー部材144において、リブ48が設けられている点以外の点については、上記インナー部材44と同様である。リブ48付きのインナー部材144は、実施形態1のドア用部品に適用されてもよい。
【0080】
リブ48は、平板部分45aにおける一端部の開口(配線部材60を保護筒部40に導くための開口)の周縁に設けられている。リブ48は保護筒部40の基端部に嵌る。またインナー部材144において、インナー部材44と同様に突起47が嵌合孔30に嵌る。これらより、ベース部123に対してインナー部材144が露出しても、ベース部123に対してインナー部材144が位置ずれしにくい。リブ48は平板部分45aにおける開口の周方向に沿った一部又は全体を囲う。ここではリブ48は平板部分45aにおける開口の周方向に沿った全体を囲う円筒状に形成されている。リブ48の基端部は平板部分45aにつながる。リブ48は、基端部から先端部に行くにつれて徐々に平板部分45aから離れると共に、径が小さくなるように設けられている。これにより、配線部材60が平板部分45aにおける開口の周縁で強くこすれることが抑制される。
【0081】
アウター部材121において、ベース部123と引出筒部31との間にヒンジ部126が設けられる。ヒンジ部126は引出筒部31の軸方向と直交する方向に延びる。ヒンジ部126が設けられることによって、ベース部123と引出筒部31とが曲げ容易とされる。引出筒部31にインナー部材144の一端部が挿入された後に、ヒンジ部126の位置で引出筒部31が曲げられてインナー部材144の他端部のリブ48が保護筒部40に嵌められる。
【0082】
また本例のドア用部品は、補強プレート70をさらに備えている。補強プレート70は例えば、樹脂又は金属等による成形品である。補強プレート70は、ドア側部分28の表面に配置される。補強プレート70は、保護筒部40の周囲の一部を囲う。ここでは補強プレート70は、平面視で凹形状に形成される。補強プレート70の凹部71に保護筒部40の基端部が収まる。
【0083】
補強プレート70の外縁は、第1筒部132、第2筒部133、車体向き凸部35及び保護筒部40から離れて設けられている。これにより、補強プレート70が第1筒部132、第2筒部133、車体向き凸部35及び保護筒部40の変形を阻害することが抑制される。
【0084】
補強プレート70には取付孔72が形成されている。取付孔72は、取付孔29に対応する位置に設けられている。取付孔29、72に通されたボルト等によって、補強プレート70は、グロメット120と共にドアパネル12に固定される。補強プレート70は、実施形態1のドア用部品に適用されてもよい。
【0085】
図16はドア開状態におけるドア用部品を示す断面図である。
図17はドア閉状態におけるドア用部品を示す断面図である。
図16及び
図17は、
図10及び
図11と同様の位置における断面図である。
【0086】
グロメット120及びウェザーストリップ50は、閉状態において、
図17に示すように変形する。具体的には、閉状態において、第1筒部132に設けられたリップ37が第1端部51のうちその長手方向に沿った方向における一部分を局所的に潰し、第2筒部133に設けられたリップ37が第2端部52のうちその長手方向に沿った方向における一部分を局所的に潰す。潰されたウェザーストリップ50の外面にフランジ38が密着する。特にここでは閉状態においてリップ37に潰されて湾曲するウェザーストリップ50の外面にフランジ38が密着する。第1筒部132及び第2筒部133が半筒状であるため、ウェザーストリップ50は、フランジ38に密着する側とは反対側ではドアパネル12に直接密着する。
【0087】
<実施形態2の効果等>
このようなグロメット120を備えるドア用部品においても、実施形態1のドア用部品と同様の効果を得ることができる。
【0088】
[付記]
これまで、グロメット20にリップ37が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。グロメット20にリップ37が設けられていなくてもよい。
【0089】
またこれまで、グロメット20にフランジ38、39が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。グロメット20にフランジ38、39が設けられていなくてもよい。
【0090】
またこれまで、ウェザーストリップ代替部34は、車体向き凸部35とドア向き凸部36とを有するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、車体向き凸部35又はドア向き凸部36に代わって車体80又はドアパネル12側に凸形状が形成されていてもよい。またこれまで、グロメット20にウェザーストリップ代替部34が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。グロメット20にウェザーストリップ代替部34が設けられていなくてもよい。またウェザーストリップ50の第1端部51及び第2端部52の間にウェザーストリップ50が途切れる区間があるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。ウェザーストリップ50の第1端部51及び第2端部52がグロメット20の内部で突き合わされているなどして、第1端部51及び第2端部52の間にウェザーストリップ50が途切れる区間がなくてもよい。
【0091】
またこれまで、配線部材60がウェザーストリップ代替部34と重なるようにグロメット20の内部を通っているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、配線部材60がウェザーストリップ50と重なるようにグロメット20の内部を通っていてもよい。つまり第1筒部32又は第2筒部33が配線収容部24に重なるように形成されていてもよい。
【0092】
またこれまで、ウェザーストリップ50が第1端部51から第2端部52までドアパネル12の周縁を囲うことが可能に一つながりに形成されているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。ウェザーストリップ50は第1端部51から第2端部52に向かう途中で途切れていてもよい。つまり、ウェザーストリップは第1端部51を有する第1ウェザーストリップと、第2端部52を有し、第1ウェザーストリップとは別部材の第2ウェザーストリップとを含んでいてもよい。
【0093】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0094】
10 ドア
12 ドアパネル
13 アウターパネル
14 インナーパネル
15 内板部分
16 側板部分
20、120 グロメット
21、121 アウター部材
22、122 ドア取付部
23、123 ベース部
24 配線収容部
25 延出部
26、126 ヒンジ部
27 車体側部分
28 ドア側部分
29 取付孔
30 嵌合孔
31 引出筒部
32、132 第1筒部
33、133 第2筒部
34、134 ウェザーストリップ代替部
35 車体向き凸部
36 ドア向き凸部
37 リップ
38、39 フランジ
40 保護筒部
42 車体取付部
44、144 インナー部材
45、145 第1部品
46 第2部品
45a、46a 平板部分
45b、46c 周壁部分
46b 側壁部分
47 突起
48 リブ
50 ウェザーストリップ
51 第1端部
52 第2端部
53 筒状部
54 取付部
60 配線部材
62 電線
70 補強プレート
71 凹部
72 取付孔
80 車体
C1、C2 コネクタ