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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096731
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】多重化触媒レポーター沈着
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20240709BHJP
   C12Q 1/25 20060101ALN20240709BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALN20240709BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
G01N33/543 545D
C12Q1/25
C12Q1/6876 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024052808
(22)【出願日】2024-03-28
(62)【分割の表示】P 2020567242の分割
【原出願日】2019-06-06
(31)【優先権主張番号】62/682,765
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/760,450
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518401856
【氏名又は名称】アルティヴュー, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボブロウ, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ヘネック, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】マネッセ, メイル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多重化触媒レポーター沈着(CARD)を含む、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法が提供される。
【解決手段】(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されており、(2)1つまたは2つのステップでは、試料を、(a)核酸鎖に連結されている酵素、ならびに、(b)標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に特異的に結合することが可能な第1のドメイン及び酵素に連結されている核酸鎖に特異的に結合することが可能な第2のドメインを含む中間部分、と接触させること、ならびに(3)ステップ(2)の試料を、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること、を含む方法。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されており、さらに前記方法が、
(2)1つまたは2つのステップでは、前記試料を、(a)核酸鎖に連結されている酵素、ならびに、(b)前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に特異的に結合することが可能な第1のドメイン及び前記酵素に連結されている前記核酸鎖に特異的に結合することが可能な第2のドメインを含む中間部分、と接触させること、ならびに
(3)ステップ(2)の前記試料を、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること、を含み、前記基質及び検出可能標識が、任意に放出型リンカーで連結されており、さらに前記方法が、
(4)任意に、前記結合型酵素を不活化すること、
(5)任意に、前記結合型検出可能標識からのシグナルを検出すること、ならびに
(6)任意に、ステップ(1)~(5)またはそのサブセットを繰り返し、任意に、イメージングのステップ(5)の前に、ステップ(3)~(4)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記中間部分の第2の領域が、反復配列を含み、前記配列のそれぞれが、前記酵素に連結されている前記核酸鎖の対応する配列に直接的または間接的に特異的に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法がさらに、核酸増幅反応により、ステップ(1)の前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に結合している前記中間部分を増幅して反復配列のアンプリコンを形成することを含み、前記配列のそれぞれが、前記酵素に連結されている前記核酸鎖の対応する配列に直接的または間接的に特異的に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記核酸増幅反応が、ヘアピンベースのコンカテマー化反応またはヘアピンベースの樹状化反応を含み、任意に、前記増幅反応がプライマー交換反応である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されており、さらに前記方法が、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、及び
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること、を含み、前記基質及び検出可能標識が、任意に放出型リンカーで連結されており、さらに前記方法が、
(6)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、前記結合型酵素を不活化すること、
(8)任意に、前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、及び
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(8)の前に、ステップ(1)~(7)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【請求項6】
1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されており、さらに前記方法が、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの第1のメンバーと接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの未結合の第1のメンバーを除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、酵素に連結されている前記結合ペアの第2のメンバーと接触させること、及び、任意に、前記酵素に連結されている前記結合ペアの未結合の第2のメンバーを除去すること、ならびに
(6)ステップ(5)の前記試料を、標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること、を含み、前記基質及び標識が、任意に放出型リンカーで連結されており、さらに前記方法が、
(7)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(8)任意に、前記結合型酵素を不活化すること、
(9)任意に、前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、及び
(10)任意に、ステップ(1)~(9)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(9)の前に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【請求項7】
さらに、(11)任意に、前記標識及び前記基質間の前記放出型リンカーを切断することにより、ステップ(9)の後に、前記結合型検出可能標識を放出すること、ならびに任意に、ステップ(1)~(9)及び(11)のうちのいずれかを繰り返すこと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されており、さらに前記方法が、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、及び
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、核酸鎖結合型基質からなる基質コンジュゲートと接触させること、を含み、前記基質及び核酸鎖が、任意に第1の放出型リンカーで連結されており、さらに前記方法が、
(6)任意に、未結合基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、前記結合型酵素を不活化すること、及び
(8)ステップ(5)または任意にステップ(6)~(7)の前記試料を、任意に第2の放出型リンカーで連結されている、核酸鎖結合型検出可能標識と接触させること、を含み、前記核酸鎖が、ステップ(5)の前記核酸鎖に対する特異的結合ペアメンバーであり、さらに前記方法が、
(9)任意に、前記結合型標識を検出するために前記試料をイメージングすること、
(10)任意に、ステップ(5)または任意にステップ(8)または任意にステップ(5)及び(8)の前記リンカーを任意に放出することにより、ステップ(8)の前記結合型標識を放出すること、ならびに
(11)任意に、ステップ(1)~(10)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(9)の前に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【請求項9】
1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、前記方法が、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つの標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、前記標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、さらに前記方法が、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合型核酸鎖と接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、及び
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、検出可能に標識されたフェノール含有基質からなる基質コンジュゲートと接触させること、を含み、前記基質及び前記検出可能標識が、任意に放出型リンカーで連結されており、さらに前記方法が、
(6)任意に、未結合の基質を除去すること、
(7)任意に、前記HRPを不活化すること、
(8)任意に、前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、及び
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、ステップ(8)の前に、ステップ(1)~(7)またはそのサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【請求項10】
前記酵素が、酵素不活化剤を使用して不活化され、前記酵素不活化剤が、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、還元型グルタチオン、過酸化物、シアン化物、フッ化物、またはアジドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記結合型酵素を不活化するステップ(4)が、20分未満で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記結合型酵素を不活化するステップ(4)が、10分未満で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記結合型酵素を不活化するステップ(4)が、2分未満で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されており、さらに前記方法が、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、及び
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること、を含み、以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされ:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記酵素が、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている、さらに前記方法が、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、及び
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること、を含み、前記基質及び検出可能標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されており、さらに前記方法が、
(6)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、前記結合型酵素を放出すること、
(8)任意に、前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、及び
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(8)の前に、ステップ(1)~(7)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【請求項15】
ステップ(3)において、前記検出可能に標識された基質からなる前記基質コンジュゲートが、前記酵素と反応して、活性化基質コンジュゲートを形成し、前記活性化基質コンジュゲートが、前記活性化基質コンジュゲートに対する受容体に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記活性化基質コンジュゲートに対する前記受容体が、前記試料中に存在し、前記検出可能標識の前記沈着が生じる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
さらに、(10)任意に、前記第3の放出型リンカーを放出することにより、ステップ(8)の後に、前記結合型検出可能標識を放出すること、及び、任意にステップ(1)~(10)またはその任意のサブセットを繰り返すことを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項18】
1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されており、さらに前記方法が、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、及び
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの第1のメンバーと接触させること、を含み、以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされ:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記結合ペアの前記第1のメンバーが、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている、さらに前記方法が、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの未結合の第1のメンバーを除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、任意に第3の放出型リンカーで酵素に連結されている前記結合ペアの第2のメンバーと接触させること、及び、任意に、前記酵素に連結されている前記結合ペアの未結合の第2のメンバーを除去すること、ならびに
(6)ステップ(5)の前記試料を、標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること、を含み、前記基質及び標識が、任意に、第4の放出型リンカーで連結されている、さらに前記方法が、
(7)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(8)任意に、前記結合ペアの前記結合型第1または第2のメンバーを放出すること、
(9)任意に、前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、及び
(10)任意に、ステップ(1)~(9)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(9)の前に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【請求項19】
さらに、(11)任意に、前記標識及び前記基質間の前記第3の放出型リンカーを切断することにより、ステップ(9)の後に、前記結合型検出可能標識を放出すること、ならびに、任意に、ステップ(1)~(11)またはその任意のサブセットを繰り返すことを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されており、さらに前記方法が、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること、を含み、以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされ:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記酵素が、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている、さらに前記方法が、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、及び
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、核酸鎖結合型基質からなる基質コンジュゲートと接触させること、を含み、前記基質及び核酸鎖が、任意に第3の放出型リンカーで連結されており、さらに前記方法が、
(6)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、前記結合型酵素を放出すること、
(8)ステップ(5)または任意にステップ(6)~(7)の前記試料を、任意に第4の放出型リンカーで連結されている、核酸鎖結合型検出可能標識と接触させること、を含み、前記核酸鎖が、ステップ(5)の前記核酸鎖に対する特異的結合ペアメンバーであり、さらに前記方法が、
(9)任意に、前記結合型標識を検出するために前記試料をイメージングすること、
(10)任意に、ステップ(5)または任意にステップ(8)または任意にステップ(5)及び(8)の前記放出型リンカーを任意に放出することにより、ステップ(8)の前記結合型標識を放出すること、ならびに
(11)任意に、ステップ(1)~(10)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、及び、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、ステップ(9)の前に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【請求項21】
1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つの標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、前記標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、さらに前記方法が、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、及び
(3)前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合型核酸鎖と接触させること、を含み
以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされ:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記HRPが、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている、さらに前記方法が、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、検出可能に標識されたフェノール含有基質からなる基質コンジュゲートと接触させること、を含み、前記基質及び前記検出可能標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されており、さらに前記方法が、
(6)任意に、未結合の基質を除去すること、
(7)任意に、前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、
(8)任意に、前記結合型検出可能標識を放出すること、及び
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(7)の前に、ステップ(1)~(6)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【請求項22】
ステップ(5)の後、前記フェノール部分が、活性化状態に酵素的に変換されて、前記標識の前記沈着が生じる、請求項9に記載の方法。
【請求項23】
前記結合型標識が、放出型リンカーを使用して、または放出型リンカーを使用せずに放出される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記結合型標識が、前記標識及び前記基質間の前記放出型リンカーを切断することにより、または前記基質及び前記核酸間の前記放出型リンカーを切断することにより放出される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記結合型標識が、ステップ(5)の前記核酸鎖に結合しているステップ(8)の前記核酸鎖の脱ハイブリダイゼーションにより放出される、請求項8に記載の方法。
【請求項26】
前記方法がさらに、ステップ(1)の前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖またはその一部を増幅することを含み、任意に、前記増幅ステップが、ステップ(3)の前に実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項27】
前記方法がさらに、ステップ(5)の前記核酸鎖結合型基質の前記核酸鎖またはその一部を増幅することを含み、任意に、前記増幅ステップが、ステップ(5)または任意のステップ(6)または任意のステップ(7)の後に、実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項28】
前記方法がさらに、ステップ(1)の前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖またはその一部の第1の増幅を含み、任意に、前記増幅ステップが、ステップ(3)の前に実施され、さらに前記方法が、ステップ(5)の前記核酸鎖結合型基質の前記核酸鎖またはその一部の第2の増幅を含み、任意に、前記第2の増幅ステップが、ステップ(5)または任意のステップ(6)または任意のステップ(7)の後に実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項29】
前記放出型リンカーが、ジスルフィド結合、エステル、ビシナルジオール、スルホン、及び光切断可能なリンカーのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記酵素が、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、及びリガーゼから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記酵素が、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、及びグリコシダーゼから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、及びβ-ガラクトシダーゼから選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記結合ペアが、免疫型または非免疫型である、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記免疫型結合ペアが、抗原-抗体及びハプテン-抗ハプテンから選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記結合ペアの前記抗体メンバーが、ポリクローナル、モノクローナル、またはそれらの免疫反応性フラグメントである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記非免疫型結合ペアが、ビオチン-アビジン、ビオチン-ストレプトアビジン、及び相補的プローブ核酸葉酸-葉酸結合タンパク質から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記非免疫型結合ペアが、任意にマレイミド及びハロアセチル誘導体イソチオシアナート、スクシンイミジルエステル、スルホニルハロゲン化物、クリックケミストリー、3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)、ならびに3-(ジメチル-アミノ)安息香酸(DMAB)から選択される、スルフヒドリル反応性基、アミン反応性基、及びカプラー染料を介して共有結合を形成する、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記検出可能標識が、酵素、放射性同位体、蛍光性、化学発光、及び電気化学物質から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)であり、前記基質が、フェノール性基質である、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記酵素が、加水分解酵素であり、前記基質が、エステル、アミド、またはグリコシド基質である、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
組成物であって、
(1)複数の標的特異的結合パートナーに結合している試料、を含み、各結合パートナーが、核酸鎖に結合しており、前記組成物が、
(2)前記標的特異的結合パートナーに結合している前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に対する酵素、を含み、
以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされ:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記酵素が、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている、さらに前記組成物が、
(3)検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートを含み、前記基質及び標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている、前記組成物。
【請求項43】
組成物であって、
(1)複数の標的特異的結合パートナーに結合している試料を含み、各結合パートナーが、核酸鎖に結合しており、前記組成物が、
(2)(i)前記標的特異的結合パートナーに結合している前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている第1のメンバー、及び
(ii)酵素に連結されている第2のメンバー、
を含む結合ペアを含み、
以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされ:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記結合ペアの前記第1のメンバーが、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている、さらに前記組成物が、
(3)検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートを含み、前記基質及び標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されており、
前記結合ペアの前記第2のメンバーが、第4の放出型リンカーで前記酵素に連結されている、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書
関連出願との相互参照
本出願は、2018年6月8日に出願された米国仮出願第62/682,765号、及び2018年11月13日に出願された米国仮出願第62/760,450号の優先権の利益を主張し、これら全ての内容は、あらゆる目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本出願は一般に、分析物(例えば、標的)の検出の分野に関し、特に、触媒レポーター沈着(CARD)を使用する検出方法に関する。
【背景技術】
【0003】
研究及び医療用途では、単一の細胞または組織試料内の複数の生物学的に関連する分子を検出することが望ましい可能性がある。免疫学的方法は一般に、この目的のために使用される。そのような方法は一般に、試料中の目的の分子に対する抗体に結合すること、目的の各分子が別のものと区別されるように、抗体と関連する検出可能シグナルを生じること、及びシグナルを検出する分析法を使用すること、を含む。触媒レポーター沈着(CARD)は、抗体と関連する増強されたシグナルを生じさせるために、そのような免疫学的方法で使用されている。CARDの代表的なワークフローは、標的分子特異的抗体を試料に適用し、次に、1次抗体を認識する2次抗体を適用することである。2次抗体は、すぐ近くのフェノール残基(例えば、チロシン)に結合する反応剤に基質を変換する酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ)に連結されている。フェノール残基が細胞試料中で豊富であるので、その結果、1次抗体の付近に高密度の標識化がある。
【0004】
CARDに伴う技術的な問題の1つは、試料から2次抗体を除去するのが難しいことである。さらなる1次抗体を使用して、同じ試料中の目的のさらなる分子をプローブすることが望ましい場合に、この問題が生じる。2次抗体を除去するために、熱またはマイクロ波を使用することが可能であるが、この方法は、試料を損傷して、後続の試験の品質を低下させる可能性がある。さらに、この処理は多くの場合、時間がかかることがある。
【0005】
それ故、過酷な試料処理を回避し且つ単一の試料中の目的の複数の分子の検出を可能にする方法は、CARDの方法論において有用な進歩であろう。
【発明の概要】
【0006】
本明細書によれば、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、触媒レポーター沈着(CARD)を多重化するために、及びより高いレベルの多重化検出を達成するために、提供される。
【0007】
一実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)核酸鎖が、第1の放出型リンカーで標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)酵素が、第2の放出型リンカーで相補的な核酸鎖に連結されている)、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び検出可能標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、結合型酵素を放出すること、
(8)任意に、試料をイメージングして、結合型検出可能標識を検出すること、ならびに
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(8)の前に、ステップ(1)~(7)またはその任意のサブセットを繰り返すこと。
【0008】
一部の実施形態では、この方法はさらに、イメージングのステップ(8)の前に、ステップ(3)~(7)を繰り返すことを含む。
【0009】
一部の実施形態では、ステップ(5)において、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートは、酵素と反応して、活性化基質コンジュゲートを形成し、活性化基質コンジュゲートは、活性化基質コンジュゲートに対する受容体に結合する。さらに、活性化基質コンジュゲートに対する受容体は、固体支持体上に固定化されている試料中に存在して、検出可能標識の沈着が生じ得る。
【0010】
別の実施形態では、この方法はさらに、(10)任意に、第3の放出型リンカーを放出することにより、ステップ(8)の後に、結合型検出可能標識を放出すること、及び、任意にステップ(1)~(10)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、を含んでもよい。
【0011】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに、連結されている核酸鎖、またはその一部を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0012】
一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの第1のメンバーと接触させること(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)核酸鎖が、第1の放出型リンカーで標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)結合ペアの第1のメンバーが、第2の放出型リンカーで相補的な核酸鎖に連結されている)
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの未結合の第1のメンバーを除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、任意に第3の放出型リンカーで酵素に連結されている結合ペアの第2のメンバーと接触させること、及び、任意に、酵素に連結されている結合ペアの未結合の第2のメンバーを除去すること、
(6)ステップ(5)の試料を、標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び標識が、任意に、第4の放出型リンカーで連結されている)、
(7)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(8)任意に、結合ペアの結合型第1または第2のメンバーを放出すること、
(9)任意に、試料をイメージングして、結合型検出可能標識を検出すること、ならびに
(10)任意に、ステップ(1)~(9)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(9)の前に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと。
【0013】
一部の実施形態では、この方法はさらに、(11)任意に、標識及び基質間の第3の放出型リンカーを切断することにより、ステップ(9)の後に、結合型検出可能標識を放出すること、ならびに、任意に、ステップ(1)~(11)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、を含んでもよい。
【0014】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖またはその一部を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0015】
一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)核酸鎖が、第1の放出型リンカーで標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)酵素が、第2の放出型リンカーで相補的な核酸鎖に連結されている)、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、核酸鎖結合型基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び核酸鎖が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、結合型酵素を放出すること、
(8)ステップ(5)または任意にステップ(6)~(7)の試料を、任意に第4の放出型リンカーで連結されている、核酸鎖結合型検出可能標識と接触させること(核酸鎖が、ステップ(5)の核酸鎖に対する特異的結合ペアメンバーである)、
(9)任意に、試料をイメージングして、結合型標識を検出すること、
(10)任意に、ステップ(8)の結合型標識を放出すること、ならびに
(11)任意に、ステップ(1)~(10)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、及び、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、ステップ(9)の前に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと。
【0016】
一部の実施形態では、結合型標識は、放出型リンカーの使用と共に放出される。一部の実施形態では、ステップ(10)において、結合型標識は、ステップ(5)または任意にステップ(8)または任意にステップ(5)及び(8)の放出型リンカーを切断することにより放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、放出型リンカーの使用なしに放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、核酸鎖の脱ハイブリダイゼーションにより放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、ステップ(5)の核酸鎖に結合しているステップ(8)の核酸鎖の脱ハイブリダイゼーションにより放出される。
【0017】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0018】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(5)の核酸鎖結合型基質の核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(5)または任意のステップ(6)または任意のステップ(7)の後に実施される。
【0019】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)の第1の増幅、及び、ステップ(5)の核酸鎖結合型基質の核酸鎖の第2の増幅、を含んでもよい。一部の実施形態では、第1の増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施され、第2の増幅ステップは、ステップ(5)または任意のステップ(6)または任意のステップ(7)の後に実施される。
【0020】
一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つの標的特異的結合パートナーと接触させること(標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的なHRP結合核酸鎖と接触させること、
((i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)核酸鎖が、第1の放出型リンカーで標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)HRPは、第2の放出型リンカーで相補的な核酸鎖に連結されている)、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、検出可能に標識されたフェノール含有基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び検出可能標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質を除去すること、
(7)任意に、試料をイメージングして、検出可能標識を検出すること、
(8)任意に、結合型標識を放出すること、ならびに
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(7)の前に、ステップ(1)~(6)またはその任意のサブセットを繰り返すこと。
【0021】
一部の実施形態では、ステップ(5)の後、フェノール部分が活性化状態に酵素的に変換されて、標識の沈着が生じる。
【0022】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0023】
一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び検出可能標識が、任意に放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、結合型酵素を不活化すること、
(8)任意に、試料をイメージングして、結合型検出可能標識を検出すること、ならびに
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(8)の前に、ステップ(1)~(7)またはその任意のサブセットを繰り返すこと。
【0024】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0025】
一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの第1のメンバーと接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの未結合の第1のメンバーを除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、酵素に連結されている結合ペアの第2のメンバーと接触させること、及び、任意に、酵素に連結されている結合ペアの未結合の第2のメンバーを除去すること、
(6)ステップ(5)の試料を、標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び標識が、任意に放出型リンカーで連結されている)、
(7)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(8)任意に、結合型酵素を不活化すること、
(9)任意に、試料をイメージングして、結合型検出可能標識を検出すること、ならびに
(10)任意に、ステップ(1)~(9)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(9)の前に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと。
【0026】
一部の実施形態では、方法はさらに、(11)任意に、標識及び基質間の放出型リンカーを切断することにより、ステップ(9)の後に、結合型検出可能標識を放出すること、ならびに、任意に、ステップ(1)~(9)及び(11)のうちのいずれかを繰り返すこと、を含む。
【0027】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0028】
一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、核酸鎖結合型基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び核酸鎖が、任意に第1の放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、結合型酵素を不活化すること、
(8)ステップ(5)または任意にステップ(6)~(7)の試料を、任意に第2の放出型リンカーで連結されている、核酸鎖結合型検出可能標識と接触させること(核酸鎖が、ステップ(5)の核酸鎖に対する特異的結合ペアメンバーである)、
(9)任意に、試料をイメージングして、結合型標識を検出すること、
(10)任意に、ステップ(8)の結合型標識を放出すること、ならびに
(11)任意に、ステップ(1)~(10)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(9)の前に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと。
【0029】
一部の実施形態では、結合型標識は、放出型リンカーの使用と共に放出される。一部の実施形態では、ステップ(10)において、結合型標識は、ステップ(5)または任意にステップ(8)または任意にステップ(5)及び(8)の放出型リンカーを切断することにより放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、放出型リンカーの使用なしに放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、核酸鎖の脱ハイブリダイゼーションにより放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、ステップ(5)の核酸鎖に結合しているステップ(8)の核酸鎖の脱ハイブリダイゼーションにより放出される。
【0030】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0031】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(5)の核酸鎖結合型基質の核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(5)または任意のステップ(6)または任意のステップ(7)の後に実施される。
【0032】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)の第1の増幅、及び、ステップ(5)の核酸鎖結合型基質の核酸鎖の第2の増幅、を含んでもよい。一部の実施形態では、第1の増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施され、第2の増幅ステップは、ステップ(5)または任意のステップ(6)または任意のステップ(7)の後に実施される。
【0033】
一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つの標的特異的結合パートナーと接触させること(標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的なHRP結合核酸鎖と接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、検出可能に標識されたフェノール含有基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び検出可能標識が、任意に放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質を除去すること、
(7)任意に、HRPを不活化すること、
(8)任意に、試料をイメージングして、結合型検出可能標識を検出すること、ならびに
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、ステップ(8)の前に、ステップ(1)~(7)またはそのサブセットを繰り返すこと。
【0034】
一部の実施形態では、方法はさらに、(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0035】
一部の実施形態では、酵素は、酵素不活化剤を使用して不活化され、酵素不活化剤は、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、還元型グルタチオン、過酸化物、シアン化物、フッ化物、またはアジドを含む。
【0036】
一部の実施形態では、結合型酵素を不活化するステップ(7)は、20分未満、10分未満、5分未満、2分未満、または1分以下で実施される。一部の実施形態では、結合型酵素を不活化するステップ(7)は、20分未満で実施される。一部の実施形態では、結合型酵素を不活化するステップ(7)は、10分未満で実施される。一部の実施形態では、結合型酵素を不活化するステップ(7)は、5分未満で実施される。一部の実施形態では、結合型酵素を不活化するステップ(7)は、2分未満で実施される。一部の実施形態では、結合型酵素を不活化するステップ(7)は、1分以下で実施される。
【0037】
さらなる目的及び利点は、部分的には、続く本明細書に記載されることになり、部分的には、本明細書から明らかとなり、または実施によりわかり得る。目的及び利点は、特に添付の特許請求の範囲で指摘される要素及び組み合わせにより実現及び達成されるであろう。
【0038】
上述の一般的記載及び以下の詳述される記載の両方は、単なる例示的及び説明的であり、特許請求の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
【0039】
本明細書に組み込まれ且つ本明細書の一部を構成する添付図面は、1つの(いくつかの)実施形態(複数可)を例示し、記載と共に本明細書に記載の原理を説明するのに役立つ。
【0040】
特許または出願ファイルは、カラーで実行された少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面(複数可)を伴う本特許または特許出願公開のコピーは、請求及び必要な料金の支払いに応じて、官庁から提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】多重化触媒レポーター沈着(CARD)の2つの概略図を提供する。Aは、スタッキングを含まない概略図を提供する。Bは、スタッキングを含む概略図を提供する。
図2】結合ペアが核酸鎖(バーコードである、またはバーコードを含む)及び相補的な核酸鎖である、結合ペアを使用した多重化触媒レポーター沈着(CARD)の概略図を提供する。
図3】本明細書に記載の多重法を使用して2つの標的分子が検出される例示的な実施形態を示す。
図4A】酵素が切断される例示的な実施形態を示す。
図4B】酵素が不活化される例示的な実施形態を示す。
図5】基質バーコードが使用される例示的な実施形態を示す。
図6】例示的な基質バーコードを合成するためのスキームを示す。
図7】実施例1に従って蛍光チラミド試薬の逐次的沈着を使用して取得したCD8、CD68、PD-L1、及びCK標的(核対比染色は示さず)の4重の画像を示す。CD8は、緑色で示され;CD68は、赤で示され;PD-L1は、シアンで示され;CKは、マゼンタで示される。核対比染色は示されない。
図8】実施例2による、TCEP処理でのHRP酵素の不活化(図8A)対TCEP処理なしの対照(図9B)の比較を示す。
図9】実施例3に従って核酸バーコードの逐次的沈着を使用して得られたCD8、CD68、PD-L1、及びCK標的の4重の画像を示す。CD8は、緑色で示され;CD68は、赤で示され;PD-L1は、シアンで示され;CKは、マゼンタで示される。核対比染色は示されない。
【発明を実施するための形態】
【0042】
実施形態の記載
I.定義
「沈着」という用語は、下記のように特異的結合ペア相互作用の形成から生じる、受容体への活性化基質コンジュゲートの直接結合を意味する。
【0043】
「受容体」という用語は、下記のように特異的結合ペア相互作用の形成を介して活性化基質コンジュゲートに結合する部位を意味する。
【0044】
「活性化基質コンジュゲート」という用語は、基質コンジュゲートが、受容体と結合するために、レポーター酵素によりプライミングされていることを意味する。
【0045】
「検出可能に標識された」基質コンジュゲートという用語は、基質が、沈着後の検出を容易にするために、検出可能標識(「レポーター」という用語が互換的に使用されてもよい)または特異的結合ペアの未標識の第1のメンバーのいずれかに結合することができることを意味する。基質が、特異的結合ペアの未標識のメンバーに結合される場合、沈着後に、基質特異的結合ペア複合体は、レポーター(または標識)に結合される結合ペアの第2のメンバーと反応する。あるいは、基質特異的結合ペア複合体は、沈着前に、特異的結合ペアの検出可能に標識された第2のメンバーと事前に反応させることができる。
【0046】
本明細書に記載される場合、「増幅すること」または「増幅」という用語は、核酸鎖またはその一部(例えば、バーコード)などの核酸配列のコピー数を増加させて、その結果、核酸配列の複数のコピーが、それぞれの標的特異的結合パートナーに連結されることを指す。核酸配列のコピー数を増加させる当該技術分野で既知の種々の増幅方法が使用されてもよい。核酸増幅法の例としては、ハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)(Dirks et al.,2014,PMID:15492210,24712299)、DNAヘアピンベースの樹状化反応(HDR)(Yin et al.,2008,PMID 18202654)、ローリングサークル増幅(RCA)、プライマー交換反応(PER)、及び例えば、WO2018/107054;WO2017/143006;WO2018/132392A2に記載されるような他の核酸増幅法が挙げられ、これらのそれぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれる。この増幅は、CARDから生じるシグナル増幅とは異なる。
【0047】
II.多重化触媒レポーター沈着の方法
本出願は、多重触媒レポーター沈着(CARD)のための方法を開示する。多重化触媒レポーター沈着の概略図は、図1A、1B、2、及び3で提示される。
【0048】
本明細書によれば、一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験する方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、任意に放出型リンカーを使用して、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)標的特異的結合パートナー上の鎖に相補的な核酸鎖に連結されている、後続の酵素標識化用の酵素または特異的結合ペアのメンバーと試料を接触させること(標的特異的結合パートナーに結合している核酸鎖が放出型リンカーを使用して連結されていない場合、酵素または特異的結合ペアのメンバーは、放出型リンカーを使用して、ステップ(3)の相補的な鎖に連結され、標的特異的結合パートナーに結合している核酸鎖が放出型リンカーを使用して連結される場合、酵素または特異的結合ペアのメンバーは、任意に放出型リンカーを使用して、ステップ(3)の相補的な鎖に連結されている)、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素または特異的結合ペアメンバーを除去すること、
(5)特異的結合ペアのメンバーが、任意に放出型リンカーで酵素に連結されている特異的結合ペアの第2のメンバーと、試料を接触させるステップ(3)で利用される場合、任意に、特異的結合ペアの第2のメンバーに連結されている未結合の酵素を除去すること、
(6)試料を検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び標識が、任意に放出型リンカーで連結されている)、
(7)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(8)任意に、結合型酵素、第1または第2の特異的結合ペアメンバーを放出すること、
(9)任意に、結合型検出可能標識を検出すること、
(10)任意に、ステップ(1)~(9)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを検出のステップ(9)の前に繰り返すこと。
【0049】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0050】
A.酵素がプローブ鎖に結合している多重CARD
一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)核酸鎖が、第1の放出型リンカーで標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)酵素が、第2の放出型リンカーで相補的な核酸鎖に連結されている)、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、結合型酵素を放出すること、
(8)任意に、試料をイメージングして、結合型検出可能標識を検出すること、ならびに
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(8)の前に、ステップ(1)~(7)またはその任意のサブセットを繰り返すこと。
【0051】
一部の実施形態では、ステップ(5)において、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートは、酵素と反応して、活性化基質コンジュゲートを形成し、活性化基質コンジュゲートは、活性化基質コンジュゲートに対する受容体に結合する。
【0052】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0053】
一部の実施形態では、活性化基質コンジュゲートに対する受容体が試料中に存在して、検出可能標識の沈着が生じる。
【0054】
一部の実施形態では、全ての標識が除去され、標識化用の上記ステップは、もう1ラウンドの多重化を可能にするために(「スタッキング」)を再度開始する。一部の実施形態では、方法はさらに、(10)イメージングステップ(8)の後に結合型検出可能標識を放出すること、及び、任意に、ステップ(1)~(10)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、を含む。一部の実施形態では、結合型標識は、放出型リンカーを使用して放出される。一部の実施形態では、ステップ(10)において、結合型標識は、第3の放出型リンカーを切断することにより放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、放出型リンカーを使用せずに放出される。
【0055】
図1A~1Bは、スタッキングを含まず(図1A)且つスタッキングを含む(図1B)多重化CARDの方法の実施形態を示す。
【0056】
図1Aに示されるスタッキングのない多重化CARDでは、最初に、標的特異的結合パートナーがバーコード(バーコード、102)を含む核酸鎖に連結されている標的特異的結合パートナー(抗体、101)に結合している試料(組織、100)を得、抗体(101)に連結されているバーコード(バーコード、102)を含む核酸鎖に相補的な核酸鎖(プローブ、104)に連結されている酵素(103)と接触させる。バーコード(バーコード、102)を含む核酸鎖は、第1の放出型リンカー(105)で抗体(101)に連結されている。あるいは、酵素(103)は、第2の放出型リンカー(106)を有するバーコード(プローブ、104)に相補的な配列を含む相補的な核酸鎖に連結されている。任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素が除去される。
【0057】
次に、検出可能標識(108)を含有する基質コンジュゲート(標識された基質、107)と、試料(100)を接触させる。検出可能標識は、酵素と反応して、活性化基質コンジュゲートを形成し、活性化基質コンジュゲートが、試料中に存在する活性化基質コンジュゲートに対する受容体に結合して、試料(108)上の検出可能標識の沈着が生じる。未結合の基質コンジュゲート(107)は任意に、洗浄ステップで除去される。次に、酵素は、切断剤で放出型リンカーを切断することにより放出される。第1の放出型リンカー(105)または第2の放出型リンカー(106)の使用に応じて、放出型リンカーの切断後、(左下)相補的な核酸鎖(プローブ、104)に連結されている酵素(103)が除去されるか、または、(右下)核酸鎖が切断され、その結果、酵素、抗体(101)に連結されているバーコード(バーコード、102)を含む核酸鎖、及び酵素に連結されている相補的な核酸鎖(プローブ、104)が除去される。検出可能標識の上記の沈着は、各標的に対して繰り返すことができる。次に、試料は、種々の標的の結合型検出可能標識を検出するためにイメージングされる。
【0058】
図1Bに示されるスタッキングを有する多重化CARDでは、基質(107)及び標識(108)は、第3の放出型リンカー(109)で連結することができ、イメージングステップの後、結合型標識の全てが、第3の放出型リンカー(109)を切断することにより除去され、上記のステップは、より多くの標的(「スタッキング」)の検出のための標識の沈着のために繰り返される。
【0059】
図3はまた、2つの標的分子が本明細書に記載の方法を使用して検出される例示的な実施形態を示す。組織試料では、2つの標的1及び2が、それぞれの抗体に結合しており、各抗体が、異なる核酸鎖に連結されている(ステップA)。核酸鎖が、標的1の抗体に連結されている核酸鎖に相補的である核酸鎖に連結されている酵素(酵素プローブ1)は、標的1の抗体に連結されている核酸鎖に結合しており、未結合の酵素プローブは任意に、洗浄される(ステップB)。次に、標識された基質が、試料に添加され(ステップC)、酵素と反応して、活性化基質コンジュゲートを形成する。活性化基質コンジュゲートが、試料に存在する活性化基質コンジュゲートに対する受容体に結合して、検出可能標識の沈着が生じる(ステップD)。酵素プローブ1は、放出型リンカーを切断剤で切断することにより(ステップE)、または酵素阻害剤(もしくは酵素不活化剤)により酵素を不活化することにより(ステップF)、放出される。ステップ3では、放出型リンカーの位置に応じて、酵素が除去されるか、または酵素に連結されているバーコード及びプローブがまた、酵素と共に除去される(ステップG)。標識の上記の沈着は、標的2に対して繰り返すことができる(ステップH及びI)。次に、試料は、両方の標的の結合型検出可能標識を検出するためにイメージングされる。任意に、標識のシグナルは、当該技術分野で周知の方法(例えば、化学的退色、光退色、及び/または光化学的退色)を使用することにより必要に応じて低減され得る。
【0060】
B.結合ペアを有する多重CARD
一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの第1のメンバーと接触させること(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)核酸鎖が、第1の放出型リンカーで標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)結合ペアの第1のメンバーが、第2の放出型リンカーで相補的な核酸鎖に連結されている)
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの未結合の第1のメンバーを除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、任意に第3の放出型リンカーで酵素に連結されている結合ペアの第2のメンバーと接触させること、及び、任意に、酵素に連結されている結合ペアの未結合の第2のメンバーを除去すること、
(6)ステップ(5)の試料を、標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び標識が、任意に、第4の放出型リンカーで連結されている)、
(7)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(8)任意に、結合ペアの結合型第1または第2のメンバーを放出すること、
(9)任意に、試料をイメージングして、結合型検出可能標識を検出すること、ならびに
(10)任意に、ステップ(1)~(9)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(9)の前に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと。
【0061】
一部の実施形態では、方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0062】
一部の実施形態では、スタッキングの場合、方法はさらに、(11)任意に、結合型検出可能標識を放出すること、を含む。一部の実施形態では、結合型標識は、標識及び基質間の第3の放出型リンカーを放出することにより放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、放出型リンカーを使用せずに放出される。
【0063】
一部の実施形態では、方法はさらに、(11)任意に、第3の放出型リンカーを放出することにより、イメージングステップ(9)の後に、結合型検出可能標識を放出することを含み、さらに、任意に、ステップ(1)~(11)またはその任意のサブセットを繰り返すことを含む。一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む:
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)核酸鎖が、第1の放出型リンカーで標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)酵素が、第2の放出型リンカーで相補的な核酸鎖に連結されている)、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、核酸鎖結合型基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び核酸鎖が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、結合型酵素を放出すること、
(8)ステップ(5)または任意にステップ(6)~(7)の試料を、任意に第4の放出型リンカーで連結されている、核酸鎖結合型検出可能標識と接触させること(核酸鎖が、ステップ(5)の核酸鎖に対する特異的結合ペアメンバーである)、
(9)任意に、試料をイメージングして、結合型標識を検出すること、
(10)任意に、ステップ(8)の結合型標識を放出すること、ならびに
(11)任意に、ステップ(1)~(10)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(9)の前に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと。
【0064】
一部の実施形態では、結合型標識は、放出型リンカーと共に放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、ステップ(5)または任意にステップ(8)または任意にステップ(5)及び(8)の放出型リンカーを切断することにより放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、放出型リンカーの使用なしに放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、互いに結合している核酸鎖の脱ハイブリダイゼーションにより放出される。一部の実施形態では、結合型標識は、ステップ(5)の核酸鎖に結合しているステップ(8)の核酸鎖の脱ハイブリダイゼーションにより放出される。核酸の脱ハイブリダイゼーションは、加熱、カオトロピック剤(例えば、尿素、ホルムアミド、及び塩化グアニジニウム)の添加、ならびに低イオン強度を含む、当該技術分野で既知の従来の方法で達成されてもよい。核酸鎖を含有する培地の温度の上昇またはイオン強度の低下により、核酸鎖間の結合親和性が破壊される。加熱、1つ以上のカオトロピック剤、及び低イオン強度はそれぞれ、核酸を脱ハイブリダイズさせるために独立して使用することができるか、または、これらの条件のうちの1つ以上の組み合わせを使用することができる。本明細書で使用される場合、「低イオン強度」は、300mM未満の培地中の塩濃度の量により測定される培地のイオン強度を意味する。一実施形態では、塩濃度は、Tmが周囲温度よりも低くなるために必要な濃度を下回り、例えば、70mMよりも低い。ハイブリダイゼーション率は、塩濃度が低いほど減少する。低イオン強度での脱ハイブリダイゼーションは、従来の方法、例えば、水を添加することにより塩(例えば、Na)濃度を低減させることにより達成されてもよい。
【0065】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施される。
【0066】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(5)の核酸鎖結合型基質の核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、ステップ(5)または任意のステップ(6)または任意のステップ(7)の後に実施される。
【0067】
一部の実施形態では、この方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)の第1の増幅、及び、ステップ(5)の核酸鎖結合型基質の核酸鎖の第2の増幅、を含んでもよい。一部の実施形態では、第1の増幅ステップは、ステップ(3)の前に実施され、第2の増幅ステップは、ステップ(5)または任意のステップ(6)または任意のステップ(7)の後に実施される。
【0068】
図2は、結合ペアを使用する多重化触媒レポーター沈着(CARD)の方法の実施形態を示し、結合ペアが、核酸鎖(バーコードであるか、またはバーコードを含む)及び相補的な核酸鎖である。
【0069】
最初に、標的特異的結合パートナーがバーコード(バーコード、202)を含む核酸鎖に連結されている標的特異的結合パートナー(抗体、201)に結合している試料(組織、200)を得、抗体(201)に連結されている核酸鎖(バーコード、202)に相補的な核酸鎖(プローブ、204)に連結されている酵素(203)と接触させる。核酸鎖(バーコード、202)は、第1の放出型リンカー(205)で抗体(201)に連結されている。あるいは、酵素(203)は、第2の放出型リンカー(206)で相補的な核酸鎖(プローブ、204)に連結されている。任意に、相補的な核酸鎖(202)に連結されている未結合の酵素(203)が除去される。
【0070】
次に、試料(200)を核酸鎖結合型基質(217)と接触させ、基質(217)及び核酸鎖(227)が組織上に沈着する。次に、未結合の基質コンジュゲート及び/または結合型酵素は、切断剤(例えば、TCEP、DTT、または過ヨウ素酸塩)で放出型リンカーを切断することにより除去される。核酸結合基質の上記の沈着は、各標的について繰り返すことができる。沈着の最後のラウンドの洗浄ステップは任意である。
【0071】
次に、任意に第4の放出型リンカー(209)と連結されている核酸鎖結合型検出可能標識(208)と、組織試料(200)を接触させ、核酸鎖(プローブ、208)は、プローブに相補的な核酸鎖(227)に特異的結合ペアメンバーである。4つの異なる標的に結合する4つの1次抗体が提供される場合、4つの異なる標識プローブ(208)が提供される。組織試料(200)は、様々な標的に結合している検出可能標識を検出するためにイメージングされる。さらなる標的を検出するために、イメージングステップの後、結合型標識の全ては、切断剤を使用して標識及びプローブ(208)間の第3の放出型リンカー(209)を切断するために洗浄ステップで除去され、より多くの標的を検出する標識の沈着(「スタッキング」)のための上記のステップが繰り返される。上記のステップまたはその任意のサブセットは、より多くの標的を検出するために必要に応じて繰り返される。
【0072】
C.フェノール性基質を使用する実施形態
一部の実施形態では、多重化CARD法は、多重化されているチラミドシグナル増幅(TSA)法である。フルオロフォアを容易に退色することができるTSA増幅法がまた使用されてもよい。例えば、多くのシアニンフルオロフォア及びAlexaフルオロフォアは、酸性または塩基性条件で過酸化水素により容易に退色することができる(PMID:26399630)。あるいは、チラミド及びフルオロフォア間に切断可能な結合を含有するTSA色素を合成することができる。この場合、フルオロフォアは、この結合を切断して洗浄することにより不活化することができる。
【0073】
一部の実施形態では、1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法は、以下を含む、(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つの標的特異的結合パートナーと接触させること(標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されている)、(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、(3)試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的なHRP結合核酸鎖と接触させること、((i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:(i)核酸鎖が、第1の放出型リンカーで標的特異的結合パートナーに連結されている、及び(ii)HRPは、第2の放出型リンカーで相補的な核酸鎖に連結されている)、(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の試料を、検出可能に標識されたフェノール基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(基質及び検出可能標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)、(6)任意に、未結合の基質を除去すること、(7)任意に、試料をイメージングして、試料を検出すること、(8)任意に、結合型標識を放出すること、ならびに(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返し、任意に、複数の標的特異的結合パートナーが使用される場合、イメージングのステップ(7)の前に、ステップ(1)~(6)またはその任意のサブセットを繰り返すこと。
【0074】
一部の実施形態では、ステップ(5)の後、フェノール基質は、活性化状態に酵素的に変換されて、標識の沈着が生じる。一部の実施形態では、フェノール基質は、チラミドである。
【0075】
一部の実施形態では、この方法はさらに、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含んでもよい。一部の実施形態では、増幅ステップは、試料を、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的なHRP結合核酸鎖と接触させるステップ(3)の前に実施される。触媒レポーター沈着は、シグナル増幅の方法であり、標的特異的結合パートナーに直接的または間接的に結合されている酵素を利用し、これが、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートの、活性化基質コンジュゲートに対する受容体に結合する活性化基質コンジュゲートへの変換を触媒して、検出可能標識の沈着が生じる。従前の触媒レポーター沈着の例は、例えば、米国特許第5,196,306号、同第5,583,001号、及び同第5,731,158に記載されていた。
【0076】
触媒レポーター沈着は、免疫組織化学、免疫細胞化学、in situハイブリダイゼーション、ELISA、フローサイトメトリー、電子顕微鏡、及びその他の用途でシグナルを増強するために利用されている。
【0077】
しかし、以前の触媒レポーター沈着には、いくつかの制限がある。制限の1つは、多重化する能力、すなわち、同じアッセイで複数のアッセイ標的を検出する能力、である。アッセイで同種の抗体を利用する場合、制限が悪化する。同種の抗体を利用する2つの標的の検出は、1つの標的を検出するための触媒レポーター沈着の使用、及び第2の標的に対する標準的検出により達成されている(Shindler J.Histochem Cytochem 1996 Vol 44 No 11 1331-1335)。
【0078】
触媒レポーター沈着を使用して免疫組織化学アッセイを多重化するための従前の試みでは、組織切片のマイクロ波照射を、レポーター沈着の各ラウンド間に実施した(Toth J.Histochem Cytochem 2007 Vol 55(6)545-554)。マイクロ波照射は、抗体及びレポーター酵素を除去するが、検出可能標識は、無傷のままである。マイクロ波照射は、各抗体及びレポーターが逐次的に添加され、続いて、それらを除去するためにマイクロ波照射する必要があるので、多くのステップを追加する。マイクロ波照射の使用例として、Opal(商標)7固形腫瘍免疫キット(PerkinElmer)は、1サイクル当たり90分以上を必要とし、全体の手順は、完了するのに2日かかる。マイクロ波照射はまた、イメージングされる試料を改変または損傷し得る。
【0079】
別の従前の試みでは、熱不活化を用いて、5重アッセイを検出した(Zhang,W.,Hubbard,A.,Jones,T.et al.j.immunotherapy cancer(2015)3(Suppl 2):P111)。4回の熱不活化サイクルにより、使用された5つの蛍光標識の12~50%の蛍光が低減した。アッセイは、完了するのに9時間かかった。加熱の他の変化は、加熱変化の技術について、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,689,875号及び同第9,874,571号に記載されている。しかし、熱不活化は、イメージングされる試料を変更または損傷してもよい。
【0080】
サイクル間のマイクロ波照射または熱不活化では、検出可能標的の数は依然として、リーダー及びソフトウェアが区別することができる標識の数により制限される。免疫腫瘍学の分野では、検出が望まれる標的の数はすでに、12~20の範囲にあり、これは、リーダー及びソフトウェアの限界をはるかに上回る。
【0081】
本開示による上述の方法は、簡単且つ迅速な方法で多重化して、加熱及びマイクロ波照射などの過酷な試料処理を回避することができ且つより高いレベルで多重化の能力を有するシグナル増幅法を提供する。
【0082】
D.キット
一部の実施形態では、キットは、(1)1つ以上の標的特異的結合パートナー(各結合パートナーが、核酸鎖に結合している)、(2)1つ以上の標的特異的結合パートナーに結合している核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素((i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:(i)核酸鎖が、第1の放出型リンカーで各標的特異的結合パートナーに連結されている、及び(ii)酵素が、第2の放出型リンカーで相補的な核酸鎖に連結されている)、ならびに(3)検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲート(基質及び標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)を含む組成物を含む。
【0083】
一部の実施形態では、キットは、(1)1つ以上の標的特異的結合パートナー(各結合パートナーが、核酸鎖に結合している)、(2)各標的特異的結合パートナーに結合している核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている第1のメンバー、及び酵素に連結されている第2のメンバーを含む結合ペア、((i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:(i)核酸鎖が、第1の放出型リンカーで各標的特異的結合パートナーに連結されている、及び(ii)結合ペアの第1のメンバーが、第2の放出型リンカーで相補的な核酸鎖に連結されている)、ならびに、(3)検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲート(基質及び標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されており、結合ペアの第2のメンバーが、第4の放出型リンカーで酵素に連結されている)を含む組成物を含む組成物を含む。
【0084】
一部の実施形態では、キットはさらに、流体交換ステップを実施する流体システム、流体システム及び時間を制御し、ならびに/または流体ステップをイメージングステップと同期させるソフトウェア、を含む。一部の実施形態では、キットはさらに、試料のイメージングを可能にするために、少なくとも1つの光学的に透明な側に目的の試料上に固定するイメージングチャンバーを含む。
【0085】
III.方法の構成要素
A.CARDで使用される酵素
標的特異的結合パートナーに直接的または間接的に結合するのに適する酵素としては、加水分解酵素、リアーゼ、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼイソメラーゼ、リガーゼ、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、及びグリコシダーゼが挙げられる。具体例としては、アルカリホスファターゼ、リパーゼ、β-ガラクトシダーゼ、及び西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)が挙げられる。必要に応じて、各酵素に固有の基質コンジュゲートと組み合わせて、複数の酵素を同時に使用することができる。
【0086】
B.特異的結合ペア
本発明の実施での使用に適する特異的結合ペアのメンバーは、免疫型または非免疫型であり得る。免疫性特異的結合ペアは、抗原/抗体システムまたはハプテン/抗ハプテンシステムにより例示される。結合ペアの抗体メンバーは、ポリクローナルであれ、モノクローナルであれ、その免疫反応性フラグメントであれ、当業者らによく知られている慣習的方法で生成することができる。免疫反応性抗体フラグメントまたは免疫反応性フラグメントという用語は、抗体の結合領域を含有するフラグメントを意味する。そのようなフラグメントは、インタクト抗体の重鎖構成要素を連結するジスルフィド結合の還元的開裂により得られる、Fc部分を欠くフラグメントとして定義されるFab型フラグメント、例えば、Fab、Fab’、及びF(ab’)フラグメント、であってよい。フラグメントはまた、重鎖または軽鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体であってよく、ナノボディを含んでもよい。特異的結合ペアの抗原メンバーは、免疫原性でない、例えば、ハプテン、である場合、免疫原性を付与するように、担体タンパク質に共有結合させることができる。
【0087】
非免疫性結合ペアは、2つの構成要素が互いに自然な親和性を共有するが抗体ではないシステムを含む。例示的な非免疫性結合ペアは、ビオチン-アビジンまたはビオチン-ストレプトアビジン、相補的プローブ核酸葉酸-葉酸結合タンパク質などである。互いに共有結合を形成する非免疫性結合ペアも含まれる。例示的な共有結合ペアとしては、スルフヒドリル反応性基、例えば、マレイミド及びハロアセチル誘導体、ならびに、アミン反応性基、例えば、イソチオシアネート、スクシンイミジルエステル、スルホニルハロゲン化物、及びクリックケミストリー、ならびに、カプラー染料、例えば、3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)及び3-(ジメチルアミノ)安息香酸(DMAB)などが挙げられる。
【0088】
相補的なプローブ核酸は、ローリングサークル増幅(Paul M Lizardi,et al.Nature Genetics,19(3):225-232,1998)及びプライマー交換反応(WO2017/143006 Al)などの方法を使用して、核酸プローブに対する結合部位の数を増加させることにより、シグナルを増加させるために使用することができる。
【0089】
C.標的特異的結合-パートナー
本発明を実施するための好適な標的特異的結合パートナーは、免疫型または非免疫型であり得る。免疫性特異的結合ペアは、抗原/抗体システムにより例示される。結合ペアの抗体メンバーは、ポリクローナルであれ、モノクローナルであれ、その免疫反応性フラグメントであれ、当業者らによく知られている慣習的方法で生成することができる。免疫反応性抗体フラグメントまたは免疫反応性フラグメントという用語は、抗体の結合領域を含有するフラグメントを意味する。そのようなフラグメントは、インタクト抗体の重鎖構成要素を連結するジスルフィド結合の還元的開裂により得られる、Fc部分を欠くフラグメントとして定義されるFab型フラグメント、例えば、Fab、Fab’、及びF(ab’)フラグメント、であってよい。フラグメントはまた、重鎖または軽鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体であってよく、ナノボディを含んでもよい。特異的結合ペアの抗原メンバーは、免疫原性ではない、例えば、炭水化物またはリン酸化アミノ酸である場合、免疫原性を付与するように、担体タンパク質に共有結合させることができる。
【0090】
表1は、標的及び対応する標的認識部分の代表的な一覧を示す。
【0091】
表2は、追加の標的の一覧を提供する。これらの標的の抗体及び他の既知の結合パートナーは、標的認識部分として使用されてもよい。
【0092】
非免疫性結合ペアは、2つの構成要素が互いに自然な親和性を共有するが抗体ではないシステムを含む。
【0093】
例示的な非免疫性結合ペアとしては、相補的なプローブ核酸及びアプタマーが挙げられる。相補的なプローブ核酸は、核酸(例えば、DNAまたはRNA)標的のための好適な標的特異的結合パートナーである。
【0094】
1.結合ペアに使用される核酸鎖
一部の実施形態では、結合ペアで使用される核酸は、一本鎖DNA、RNA、または核酸アナログなどの一本鎖核酸である。核酸アナログ(非天然核酸としても知られる)は、改変リン酸骨格、改変ペントース糖、及び/または改変核酸塩基を含んでもよい。核酸アナログは、2’-O-メチルリボ核酸、2’-フルオロリボ核酸、ペプチド核酸、モルホリノ及びロックされた核酸、グリコール核酸、ならびにトレオース核酸を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0095】
一部の実施形態では、核酸鎖は、一本鎖核酸を含み、約5~20ヌクレオチド長、約8~15、または約10~12ヌクレオチド長であってよい。一部の実施形態では、核酸鎖は、約5、8、9、10、11、12、13、14、15、18、または20ヌクレオチド長である。
【0096】
核酸鎖は、独立した要素であっても、標的認識部分の一部であってもよい。
【0097】
核酸鎖は、液体培地または緩衝液で提供されてもよい。
【0098】
標的特異的結合パートナーは、液体培地または緩衝液で提供されてもよい。
【0099】
D.受容体への活性化基質コンジュゲートの結合
受容体への活性化基質コンジュゲートの直接結合は、特異的結合ペア相互作用の形成からもたらされる。受容体に結合する活性化基質での使用に適する特異的結合ペアのメンバーは、免疫型または非免疫型のものであり得る。免疫性特異的結合ペアは、抗原/抗体システムまたはハプテン/抗ハプテンシステムにより例示される。結合ペアの抗体メンバーは、ポリクローナルであれ、モノクローナルであれ、その免疫反応性フラグメントであれ、当業者らによく知られている慣習的方法で生成することができる。免疫反応性抗体フラグメントまたは免疫反応性フラグメントという用語は、抗体の結合領域を含有するフラグメントを意味する。そのようなフラグメントは、インタクト抗体の重鎖構成要素を連結するジスルフィド結合の還元的開裂により得られる、Fc部分を欠くフラグメントとして定義されるFab型フラグメント、例えば、Fab、Fab’、及びF(ab’)2フラグメント、であってよい。
【0100】
非免疫性結合ペアは、2つの構成要素が互いに自然な親和性を共有するが抗体ではないシステムを含む。例示的な非免疫性結合ペアは、互いに共有結合を形成するペアである。例示的な共有結合ペアとしては、フェノール性部分(例えば、チラミン及びチロシン)の二量体化、スルフヒドリル反応性基、例えば、マレイミド及びハロアセチル誘導体、ならびに、アミン反応性基、例えば、イソチオシアネート、スクシンイミジルエステル、スルホニルハロゲン化物、及びクリックケミストリー、ならびに、カプラー染料、例えば、3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)及び3-(ジメチルアミノ)安息香酸(DMAB)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
E.レポーターまたは標識
多種多様なレポーター(または標識)は、基質に結合して基質コンジュゲートを生成するか、または特異的結合ペアのメンバーに結合するために利用可能である。レポーター(または標識)は、酵素、蛍光、比色、化学発光、質量タグ、磁性、プラズモン、または電気化学材料であり得るが、これらに限定されない。
【0102】
一部の実施形態では、限定されないが、フルオロフォア、例えば、限定されないが、フルオレセイン、ローダミン、シアニン色素、Alexa色素、DyLight色素、Atto色素などを含む有機小分子などの蛍光を発する分子が使用されてもよい。
【0103】
発色性、蛍光性、及び化学発光性材料は、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)、ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスファート(BCIP)、及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドイル-β-D-ガラクトピラノシド(X-Gal)を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0104】
一部の実施形態では、pドットなどの有機ポリマーが用いられてもよい。一部の実施形態では、観察可能な部分は、限定されないが、蛍光タンパク質または蛍光核酸(ホウレンソウ及びその誘導体を含む蛍光RNAを含む)を含む生体分子であってよい。一部の実施形態では、観察可能な部分は、Qドットを含む無機部分であってよい。一部の実施形態では、観察可能な部分は、ナノ粒子及び表面増強ラマン分光法(SERS)レポーター(例えば、4-メルカプト安息香酸、2,7-メルカプト-4-メチルクマリン)などの、弾性または非弾性散乱のいずれかの散乱を介して機能する部分であり得る。一部の実施形態では、観察可能な部分は、ルテニウム錯体及びルシフェラーゼなどの化学発光/電気化学発光エミッターであってよい。観察可能な部分は、光シグナル、電磁シグナル(電磁スペクトル全体にわたって)、原子/分子量(例えば、質量分析により検出可能)、実在の質量(例えば、原子間力顕微鏡により検出可能)、電流、または電圧を生じ得る。
【0105】
F.基質
基質コンジュゲートに使用される基質は、選択された酵素に特異的であり、当業者らに既知である。西洋ワサビペルオキシダーゼ(米国特許第5,196,306号、同第5,583,001号、同第5,573,1158号、同第5,863,748号、及び同第6,355,443号)と共に使用される多くのフェノール性基質が記載されており、これらのそれぞれは、フェノール基質の教示のために参照により組み込まれる。加水分解酵素の基質も記載されており(米国特許第5,196,306号、同第5,583,001号、同第5,573,1158号、同第7,291,474号、及びPolaske,Bioconjugate Chemistry(2016))、これらのそれぞれは、加水分解酵素基質の教示のために参照により組み込まれる。
【0106】
一部の実施形態では、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)であり、基質は、フェノール性基質(例えば、チラミン(図6)及びチロシン)である。一部の実施形態では、酵素は、加水分解酵素であり、基質は、エステル、アミド、またはグリコシド基質である。
【0107】
G.放出型リンカー
本開示を通して、第1、第2、または第3の放出型リンカーが言及されてもよく、さらに、多くの実施形態では、それらの一部または全ては、任意である。単に第2または第3の放出型リンカーに言及することは、2つまたは3つの放出型リンカーの存在を必要としない。その代わりに、この番号は、本出願を通して、リンカーに名前を付けて、互いに区別するために使用されている。従って、第2の放出型リンカーを含む実施形態は、必ずしも2つの放出型リンカーなどを有するとは限らない。この言語は、どれくらいのリンカーが存在するかではなく、どのリンカーが存在するかを示すのみである。
【0108】
放出型リンカーは、2つ以上の分子、例えば、タンパク質、核酸、タンパク質と核酸、及び基質と検出可能標識、を連結し得る官能性を含有し且つ加熱またはマイクロ波照射なしで切断することができる結合を組み込むものである。切断することができる例示的な結合は、ジスルフィド結合(ジチオスレイトール(DTT)またはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)などの還元剤により切断される)、エステル(ヒドロキシルアミンにより切断される)、ビシナルジオール(メタ過ヨウ素酸ナトリウムにより切断される)、スルホン(塩基性条件下で切断される)、及び2-ニトロベンジル基を含有するような光切断可能なリンカーである。
【0109】
放出型リンカーを使用する別の方法は、核酸鎖に結合している酵素または特異的結合ペアのメンバーを完全に除去することである。除去は、核酸鎖間の結合親和性を破壊することにより、または固有の核酸配列を酵素的に切断することにより促進され得る。例示的な除去方法としては、USER酵素(New England Biolabs)、培地のイオン強度の低下、温度の上昇、ならびに/またはグアニジン、エチレンカーボネート、及び/またはホルムアミドなどのカオトロピック剤の使用を含む。
【0110】
一部の実施形態では、放出型リンカーは、光化学的に(例えば、UV曝露、可視光、赤外線、近赤外線、X線、マイクロ波、電波、またはガンマ線により)切断することができる光切断可能なリンカーを含む。一部の実施形態では、放出型リンカーは、酵素により切断することができる部分を含有する。そのような酵素的に切断可能な部分の例としては、様々なRNaseにより切断することができるリボヌクレオチド;USER(New England Biolabs)などの酵素の組み合わせにより切断することができるデオキシウリジン;及び配列特異的ニッキング酵素または制限酵素により切断することができる制限部位が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、放出型リンカーは、ウラシル基がウラシル-DNAグリコシラーゼにより切断され得るデオキシウリジンを含む。一部の実施形態では、放出型リンカーは、エンドヌクレアーゼにより切断され得る脱塩基部位を含む。
【0111】
1.核酸分解酵素
多数の酵素は、核酸分子内の共有結合を切断し得る。例えば、一部のグリコシラーゼは、ヌクレオチドの糖部分から塩基を除去し得、エンドヌクレアーゼは、核酸分子内で、ホスホジエステルブリッジ内の結合を切断し得るが、エキソヌクレアーゼは同様に、逐次的方法で核酸分子の5’または3’末端でホスホジエステルブリッジを切断し得る。別の例は、DNAザイムまたはデオキシリボザイム、核酸分子のホスホジエステル結合を切断することが可能な触媒活性を有するオリゴヌクレオチドを含む。これらの型の酵素は全て、放出型リンカーを放出するために操作されてもよく、放出型リンカーを酵素的に切断、修飾、または分解することを構成する。
【0112】
グリコシラーゼ。グリコシラーゼは、塩基対合に関与する塩基を特異的に除去し得る場合、2本の鎖の間の相互作用の強さを低減させ得る。例えば、放出型リンカーのデオキシチミジン(dT)を置き換えるために、デオキシウリジン(dU)が使用され得る。dUは、dTが対合するようにdAと対合し得るが、特に、ウラシルDNAグリコシラーゼにより除去することができる(UDG、New England Biolabsから市販されている、カタログ番号M0280S)。この反応により、検出可能標識に連結されている核酸鎖上の脱塩基部位(複数可)が生じるであろう。そのような脱塩基部位はさらに、エンドヌクレアーゼVIIIにより切断することができる。さらに、これにより、結合ペアの残りの間の解離が促進される。UDG及びエンドヌクレアーゼVIIIの両方を含む酵素ブレンドはまた、市販されている(例えば、New England Biolabs製、USERの商標名で、カタログ番号M5505S)。検出可能標識に連結されている核酸鎖中に約1~20、1~15、1~10、または1~5のdUヌクレオチドが配置されてもよい。USERを用いると、dUは、Uの除去後に、残りが、自発的且つ迅速に解離する程十分に短く(例えば、約9、8、7、6、5、4、3、2、または1ヌクレオチド以下)なるように配置されてもよい。UDG(すなわち、エンドヌクレアーゼVIII)のみを使用する場合、dUユニットを除去すると、除去が容易するのに十分な程度に鎖が不安定になり得る。dU除去後の結合ペア間の塩基対の総数は、9、8、7、6、5、4、3、2、または1ヌクレオチド以下であってよい。従って、一部の実施形態では、放出型リンカーは、USERによる切断が可能な少なくとも1つのUを含んでもよい。
【0113】
温度に加えて残りの配列は、自発的に解離するための残りのあるべき短さに影響を及ぼす。例えば、長さがより短いGC含量の高い配列は、長さがより長い別の配列よりも、より高い結合親和性を有し得る。従って、一部の場合では、9量体は、安定的結合に十分であってもよく、他の場合では、9量体は、解離するのに十分であってよい。当業者は、ここで、及び以下で考察される非天然ヌクレオチドの切断において、配列、温度、及び親和性を評価し得る。
【0114】
制限エンドヌクレアーゼ及びニッキングエンドヌクレアーゼ。放出型リンカーの制限部位が操作されてもよい。これにより、そのような制限部位を切断する対応する制限エンドヌクレアーゼの使用を可能にし、これは、放出型リンカーを破壊する。一例として、Cas9(CRISPR関連タンパク質9)は、対応する配列の特定の認識部位を操作することにより、放出型リンカーを特異的に切断するために使用することができるRNA誘導エンドヌクレアーゼである。これにより、両方のストランドが切断され、対応する標的を再捜索することが防止される。この問題を解決するために、1本の鎖を切断するだけのニッキングエンドヌクレアーゼが使用され得る。一例として、Cas9ニッカーゼは、Cas9の高い特異性を維持しながら一本鎖切断が生じる1つの活性な切断部位のみを含むように設計されているCas9酵素である。部位特異的活性を有するエンドヌクレアーゼの他の例としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、及びデオキシリボザイムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
Rnase。DNAヌクレオチド(デオキシヌクレオチドとも呼ばれる)の代わりに、放出型リンカーRNAヌクレオチド(リボヌクレオチドとも呼ばれる)にヌクレオチドの一部または全てが作製されてもよい。そのようなRNAヌクレオチドは、Rnaseで除去することができる。
【0116】
ポリメラーゼ。放出型リンカーは、鎖置換活性または5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを使用することにより除去することもできる。
【0117】
非天然ヌクレオチドの切断。特定の酵素の基質として機能する非天然ヌクレオチドが使用されてもよい。例えば、8-オキソグアニンは、DNAグリコシラーゼOGG1で切断されてもよい。脱塩基部位はまた、エンドヌクレアーゼで切断され得る検出可能標識に連結されているDNA鎖などのDNA鎖に組み込まれてもよい。例えば、1’,2’-ジデオキシリボース、dSpacer、アプリン/アピリミジン、テトラヒドロフラン、または脱塩基フランは、エンドヌクレアーゼVIIIで切断されてもよい。従って、一部の実施形態では、検出可能標識または中間鎖に連結されている核酸鎖は、エンドヌクレアーゼVIIIによる切断が可能な少なくとも1つの脱塩基部位を含んでもよい。一部の実施形態では、検出可能標識または中間鎖に連結されている核酸鎖は、少なくとも1つのデオキシウリジン、及びUSER、UDG、またはエンドヌクレアーゼVIIIで切断可能な少なくとも1つの脱塩基部位を含んでもよい。リボスペーサー(rSpacer)またはAbasic II修飾などの、光切断可能なスペーサーまたはRNA脱塩基部位も使用されてもよい。非天然ヌクレオチドの他のペア及びそれらの対になった酵素が用いられてもよい。
【0118】
H.酵素の不活化
放出型リンカーを使用するか、または核酸鎖に結合している酵素もしくは特異的結合ペアメンバーを除去するための代替方法は、酵素を不活化することである。例示的な酵素不活化剤としては、過酸化物、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、及び還元型グルタチオン、ジイソプロピルフルオロホスファート(DFP)、α-ジフルオロメチルオルニチン、フッ化物塩、シアン化物塩、アジド、ならびに抗体及びアプタマーなどの特異的結合ペアメンバーなどの還元剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
一部の実施形態では、酵素は、酵素不活化剤を使用して不活化され、酵素不活化剤は、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、還元型グルタチオン、過酸化物、シアン化物、フッ化物、またはアジドを含む。
【0120】
一部の実施形態では、酵素の不活化は、20分未満、10分未満、5分未満、2分未満、または1分以下で実施される。
【0121】
一部の実施形態では、酵素の不活化は、試料を酵素不活化剤と20分未満、10分未満、5分未満、2分未満、または1分以下で接触させることにより実施される。
【0122】
I.中間部分/増幅/プレアンプリコン
一部の場合では、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖は、中間部分を介して酵素に連結されている核酸鎖に結合する。
【0123】
一部の実施形態では、中間部分は、核酸を含む中間鎖である。一部の実施形態では、核酸は、一本鎖DNA、RNA、または核酸アナログなどの一本鎖核酸である。核酸アナログ(非天然核酸としても知られる)は、改変リン酸骨格、改変ペントース糖、及び/または改変核酸塩基を含んでもよい。核酸アナログは、2’-O-メチルリボ核酸、2’-フルオロリボ核酸、ペプチド核酸、モルホリノ及びロックされた核酸、グリコール核酸、ならびにトレオース核酸を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0124】
一部の実施形態では、中間鎖は、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的な第1の領域、及び酵素に連結されている核酸鎖に相補的な第2の領域を有する。そのような実施形態では、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖が、酵素に連結されている核酸鎖に相補的である必要はない。
【0125】
一部の実施形態では、標的特異的結合パートナーに連結されている中間鎖及び核酸鎖は、別個のステップで付加されない。一部の場合では、標的特異的結合パートナーに連結されている中間鎖及び核酸鎖は、単一のステップで添加される前に一緒にハイブリダイズされる。
【0126】
一部の実施形態では、酵素に連結されている中間鎖及び核酸鎖は、別個のステップで付加されない。一部の場合では、酵素に連結されている中間鎖及び核酸鎖は、単一のステップで添加される前に一緒にハイブリダイズされる。
【0127】
一部の実施形態では、中間鎖は、反復配列を含む既製のアンプリコンであり、配列のそれぞれは、酵素に連結されている核酸鎖に結合することが可能である。一部の実施形態では、中間鎖は、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖の対応する領域に相補的な第1の領域、及び反復配列を含む第2の領域であり、配列のそれぞれは、酵素に連結されている核酸鎖の対応する配列に直接的または間接的に特異的に結合する。
【0128】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法はさらに、ステップ(1)の標的特異的結合パートナーに直接的または間接的に連結されている核酸鎖(またはその一部)を増幅することを含む。
【0129】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法はさらに、以下でさらに記載されるプライマー交換反応(PER)によりステップ(1)の標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に結合している中間部分を増幅することを含む。一部の実施形態では、標識されたヌクレオチドは、増幅反応に使用される。
【0130】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法はさらに、反復配列を含む中間部分を追加することを含む。一部の実施形態では、反復配列は、本明細書に記載のプライマー交換反応(PER)を使用して作製される。一部の実施形態では、プレアンプリコンは、本明細書に記載のローリングサークル増幅(RCA)を使用して作製される。
【0131】
1.プライマー交換反応(PER)
PERは、複数のプローブ結合部位(すなわち、本明細書に記載の中間部分)を含有する核酸産物を調製するために使用することができ、次に、この核酸産物は、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸(またはそのバーコードドメイン)に結合することができ、そこで、核酸産物は、プローブ結合部位を示し得る。そのような実施形態では、プローブ結合部位は、標的特異的結合パートナーのバーコードドメインに相補的ではないでことがある。
【0132】
種々のPER及びPERベースのシグナル増幅法は、Saka et al.,“Highly multiplexed in situ protein imaging with signal amplification by Immuno-SABER”(2018;2019年6月6日現在のwww.biorxiv.org/content/10.1101/507566v1のプレプリントで入手可能);WO2017/143006;及びWO2018/132392A2に記載されており、これらのそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
PER反応により、コンカテマー(反復)配列が形成される。PERコンカテマーは、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖に相補的な第1のドメイン及び反復配列を含む第2のドメインを有する。反復配列は、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖と同じであってよい。反復配列は、標的特異的結合パートナーに連結されている核酸鎖とは異なってよい。
【0134】
IV.多重イメージングの方法に関するサポート情報
A.スペクトル及び逐次的多重化
交換イメージングにおける多重化の作成のための2つの主要な方法:スペクトル多重化及び逐次的多重化が存在する。スペクトル多重化は、単一ラウンドのイメージングに、異なる標識(例えば、異なるフルオロフォア)を使用する性能を指す。スペクトル多重化は、第2の標識を表示する前に、第1の標識のシグナルを消滅させる必要はない。例えば、フルオロフォアの場合、異なる励起波長の光は、異なるフルオロフォアを個別に励起するために使用することができる。これは、別々のイメージングラウンドを必要としない。逐次的多重化は、第2ラウンドのイメージングの前に第1ラウンドのイメージングのシグナルを消滅させることにより、複数ラウンドのイメージングで同じ標識(例えば、同じフルオロフォア)を使用する能力を指す。スペクトル多重化及び逐次的多重化は、単独で、または互いに組み合わせて使用することができる。しかし、多重化の複数の手法を使用することは、ユーザーが特定の実験中に可視化し得る標的数を著しく増加させ得る。
【0135】
一部の実施形態では、複数ラウンドのイメージングが、同じフルオロフォアの少なくとも一部を用いて実施される。例えば、第1ラウンドのイメージングにおいて、標的Aは、標識Xでイメージングすることができ、標的Bは、標識Yでイメージングすることができ、標的Cは、標識Zでイメージングすることができる。次のステップとして、これらの標識のシグナルを消滅させることができる。次に、第2ラウンドのイメージングでは、標的Dは、標識Xでイメージングすることができ、標的Eは、標識Yでイメージングすることができ、標的Fは、標識Zでイメージングすることができる。一部の実施形態では、少なくとも2つの標的は、少なくとも2つの標識を使用してイメージングされ、シグナルが消滅し、次に、少なくともあと1つの標的は、同じ標識のうちの少なくとも1つを使用してイメージングされ、イメージングステップは、いずれの順序で実施されてもよい。これは、ステップの順序を逆にすることができるので、第1のイメージングステップが少なくとも1つの標的をイメージングすることを含み、シグナルが消滅し、第2イメージングステップが少なくとも2つの標的をイメージングすることを含むことを意味する。
【0136】
スペクトル多重化及び逐次的多重化の両方を組み合わせることは、ユーザーのためのイメージングを実施する全体的な利便性を向上させ、イメージングされる試料の破壊を低減し得る。
【0137】
B.対照実験及びバックグラウンド除去
対照実験及びバックグラウンド除去は、1つ以上の標的の存在について試料を試験する方法の結果をさらに改善するために用いられてもよい。これらの態様はいずれも、有用な実験には必要とされないが、ともに多重化の品質を改善し、単独で、または互いに組み合わせて使用することができる。
【0138】
1.対照実験
対照測定は、標的特異的結合パートナー(またはバーコードなどのその一部)に結合している、核酸鎖に相補的ではないヌクレオチド配列を有する結合ペアと、試料を接触させることにより制御ステップを実施することにより、多重化プロセスの複数の時点で追加されてもよい。
【0139】
2.バックグラウンド除去
本出願を通して考察される実施形態のいずれかにおいて、この方法は、バックグラウンド除去を用いてもよい。一部の実施形態では、方法は、バックグラウンドシグナルを検出及び/または測定するために試料をイメージングすること、ならびに結合型標識を検出するために試料の画像からバックグラウンドシグナルを除去することを含む。そのようなバックグラウンドシグナルは、結合型標識からのシグナルを不完全に消滅させることに関連する自家蛍光及び/または残留蛍光を含んでもよい。一部の実施形態では、バックグラウンドシグナルは、結合型標識を検出するために、試料の画像前に測定される。他の実施形態では、バックグラウンドシグナルは、結合型標識を検出するために、試料の画像の後に測定される。
【0140】
C.試料の記載
1.試料の種類
種々の種類の試料は、これらの方法を使用してイメージングされてもよい。一部の実施形態では、試料は、固定試料である。一部の実施形態では、試料は、細胞、細胞溶解物、組織、組織溶解物、及び/または生物全体である。一部の実施形態では、試料は、細胞もしくは組織試料、細胞もしくは組織溶解物、または体液である。一部の実施形態では、試料は、組織であり、イメージングは、免疫染色のための組織内多重化を含む。
【0141】
試料は、液体培地または緩衝液で提供されてもよい。
【0142】
2.抗原の回収
一部の実施形態では、標的特異的結合パートナーで試料を染色することは、特定の条件を必要とし、全ての標的特異的結合パートナーは、同じ条件下で抗原に結合するわけではない。これは、それらの標的抗原が同じ条件下で利用できないためであり得る。
【0143】
3.標的の記載及びバイオマーカーの同定における使用
一部の実施形態では、この方法は、バイオマーカーを同定するために有用である。一部の場合では、試料がイメージングされ、データ解析がこれらの試料に対して実施される。一部の実施形態では、複数の標的が、各標的の対応する標的特異的結合パートナーの使用について試験される。一部の場合では、異なる標的間の関係が評価されてもよく;例えば、ユーザーは、複数のマーカー対病状の関係を判定しようとしてもよく、疾患試料は、そのバイオマーカーの分布を有しない健康組織と比較して、Aのレベルが増加しており、Bのレベルが減少しており、Cのレベルが一定の範囲内にあると結論付ける。
【0144】
一部の実施形態では、少なくとも10、96、100、384、または500の試料がイメージングされ、データ解析は、それらの試料で実施される。
【0145】
一部の実施形態では、少なくとも5、10、15、25、30、50、75、または100以上の標的が、各標的に対応する標的特異的結合パートナーを使用するために試験される。
【0146】
D.機器及びソフトウェア
1.フローセルなどのイメージングチャンバー
一部の実施形態では、イメージングチャンバーを用いることができる。一部の場合では、イメージングチャンバーは、入口及び出口のない固定チャンバーである。一部の実施形態では、イメージングチャンバーは、単一の入口/出口の組み合わせを有する。他の例では、イメージングチャンバーは、流れを可能にし、フローセルと称される。フローセルは、上面及び下面を有し且つそれらの間に流体を有するフローセルを得るために、第2の光学的に透明な材料(例えば、ガラスまたはプラスチックのカバースリップ)と組み合わせた第1の光学的に透明な支持体から構成されてもよい。第1及び第2の光学的に透明な材料は、使用される場合、互いに平行に配置されてもよい。平行に関しては、それは、完全に平行である幾何学的配置、及び平行から1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、または10°ずれた幾何学的配置を含む。一部の実施形態では、第2の光学的に透明な材料は、第1の光学的に透明な材料に極めて近接しており、例えば、約5ミクロン~5mm、50ミクロン~500ミクロン、または500ミクロン~5mm近接している。
【0147】
イメージングチャンバーはまた、第1の光学的に透明な支持体及びガスケット(アイソレーターまたはスペーサーとも呼ばれる)から構成されてもよい。ガスケットは、上面上で空気に開放されていても、閉じて、光学的に透明な上面を有してもよい。ガスケットは、混合型の入口/出口を有しても、入口及び出口の両方を有してもよい。ガスケットはまた、出口を有さなくてもよい。ガスケットは、プラスチック、ゴム、接着剤であってもよい。ガスケットは、CoverWellチャンバーガスケット(Thermo Fisher)、直立・倒立顕微鏡(Bioscience Tools)用の超薄型密閉チャンバー、またはインキュベーションチャンバー(Grace Bio-Labs、HybriSlip(商標)ハイブリダイゼーションカバー、HybriWell(商標)シーリングシステム、CoverWell(商標)インキュベーションチャンバー、イメージングスペーサー、SecureSeal(商標)ハイブリダイゼーションチャンバー、FlexWell(商標)インキュベーションチャンバー、FastWells(商標)試薬バリア、及びSilicone Isolators(商標)を含む)を含んでもよい。
【0148】
一部の場合では、ガスケットは、イメージングチャンバーまたはフローセルの上面を形成するカバースリップと共に用いられてもよい。
【0149】
限定されないが、フローセルなどのイメージングチャンバーは、再利用可能または使い捨てであってよい。
【0150】
2.流体ステップを制御するためのソフトウェア
一部の実施形態では、全ての流体交換ステップは、電子的及び/または空気圧及び/または油圧及び/または電気流体作動装置及びシステムを含む流体システムを使用して実施される。特定の状況では、流体システムは、ソフトウェアにより制御される。一部の実施形態では、流体システムは、上述の段落に記載の方法の上述のステップ(複数可)をイメージングステップと同期させるソフトウェアにより自動的に制御される。
【0151】
一部の実施形態では、流体システムは、上述の段落に記載のステップ番号を参照して、イメージングソフトウェアと通信することにより、方法の上述のステップ(複数可)をイメージングステップと同期させるソフトウェアにより制御される。
【0152】
一部の実施形態では、全ての流体ステップは、試料がイメージングデバイス上にある間に実施される。
【0153】
試料は、使い捨てイメージングチャンバー(例えば、フローセル)、再利用可能なイメージングチャンバー(例えば、フローセル)、スライド、カバースリップ付きスライド、または他の任意の構成で固定されてもよい。
【実施例0154】
実施例1.HRPサイクリングによる蛍光レポーターの沈着
それぞれの蛍光チラミド試薬の逐次的沈着を使用して、CD8、CD68、PD-L1、及びCKの4つの異なる標的を標識した。具体的には、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織スライドをベークし、次に、後続の全てのステップでBOND RX自動染色装置(Leica Biosystems、Nussloch GmbH)にロードした。スライドを脱ろうし、BONDエピトープ回収液2(Leica Biosystems)を使用して、抗原を回収した。内因性ペルオキシダーゼ活性を3%Hでクエンチし、次に、抗体希釈剤(Ultivue、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を用いて室温で15分間ブロックした。核酸バーコードにコンジュゲートされ且つ抗体希釈液で希釈された4つの異なる1次抗体(抗CD8、抗CD68、抗PD-L1、及び抗CK)の混合物を、組織試料と共に室温で30分間インキュベートした。試料を、BOND洗浄液(Leica Biosystems)で洗浄し、次に、前増幅ミックス(Ultivue)と共に室温で10分間インキュベートし、続いて、さらなる洗浄ステップを行った。試料を増幅液(Ultivue)と共に15~20分間インキュベートし、次に、洗浄した。抗CD8抗体コンジュゲートに相補的な且つジスルフィド結合でHRP酵素に連結されている核酸プローブ鎖の第1のセットを、試料に添加し、15分間パートナー鎖にイブリダイズさせた。未結合のHRP結合型プローブを洗浄ステップで除去した。Alexa Fluor(商標)488チラミド試薬(Invitrogen(商標))の使用液を、パッケージの指示に従って組織試料に適用して、CD8標的を標識した。1分間トリス緩衝液中のTCEP溶液を添加することにより、試料の核酸プローブ鎖の第1のセットに連結されているHRP酵素を不活化した。第1ラウンドのCARDと関連するHRP酵素の不活化後に、ジスルフィド結合でHRP酵素に連結されている、抗CD68抗体コンジュゲートに相補的な核酸プローブ鎖の第2のセットを試料に添加し、パートナー鎖にハイブリダイズさせた。未結合のHRP結合型プローブを洗浄ステップで除去した。Alexa Fluor(商標)555チラミド試薬(Invitrogen)の使用液を、パッケージの指示に従って組織試料に適用して、CD68標的を標識した。1分間トリス緩衝液中のTCEP溶液を添加することにより、試料の核酸プローブ鎖の第2のセットに連結されているHRP酵素を不活化した。第2ラウンドのCARDと関連するHRP酵素の不活化後に、ジスルフィド結合でHRP酵素に連結されている、抗PD-L1抗体コンジュゲートに相補的な核酸プローブ鎖の第3のセットを試料に添加し、パートナー鎖にハイブリダイズさせた。未結合のHRP結合型プローブを洗浄ステップで除去した。Alexa Fluor(商標)647チラミド試薬(Invitrogen)の使用液を、パッケージの指示に従って組織試料に適用して、PD-L1標的を標識した。1分間トリス緩衝液中のTCEP溶液を添加することにより、試料の核酸プローブ鎖の第3のセットに連結されているHRP酵素を不活化した。第3ラウンドのCARDと関連するHRP酵素の不活化後に、ジスルフィド結合でHRP酵素に連結されている、抗CK抗体コンジュゲートに相補的な核酸プローブ鎖の第4のセットを試料に添加し、パートナー鎖にハイブリダイズさせた。未結合のHRP結合型プローブを洗浄ステップで除去した。Alexa Fluor(商標)750チラミド試薬(Invitrogen)の使用液を、パッケージの指示に従って組織試料に適用して、CK標的を標識した。核対比染色をスライドに施し、試料にカバースリップをかけ、蛍光顕微鏡でイメージングした。
【0155】
図7は、CD8、CD68、PD-L1、及びCKの4つの標的が、それぞれの蛍光レポーターの逐次的沈着を使用して正常に標識されたことを示す。ボックスAは、例示的な標識されたCD8の位置;標識されたCD68のボックスB;標識されたPD-L1のボックスC;標識されたCKのボックスDを示す。
【0156】
実施例2.周期的沈着のためのHRPの不活化
HRPベースの酵素反応を使用して、標識の周期的沈着を達成するために、HRP酵素は、連続する沈着ラウンドの間に、除去または不活化する必要がある。HRP酵素は、加熱もしくはpHベースの変性を介して不活化されても、不安定なリンカーを介して試料から切断されてもよい(図4A)。この例では、いかなる不安定なリンカーもない状態で、還元剤を使用して、HRP酵素を不活化した(図4B)。
【0157】
FFPE組織スライドを60℃で30分間ベークし、次に、脱ろうし、BOND RX自動染色装置(Leica Biosystems)でBONDエピトープ回収液2(Leica Biosystems)を用いて、抗原を回収した。後続のステップのために、スライドをBOND RXから取り出した。3%のHを使用して、内因性ペルオキシダーゼ活性を20分間クエンチし、PBSで洗浄し、次に、抗体希釈液(Ultivue、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を用いて室温で15分間ブロックした。核酸バーコードにコンジュゲートされた(実施例1の)1次抗体を、抗体希釈剤中で希釈し、組織試料と共に室温で1時間インキュベートした。試料を洗浄し、前増幅ミックス(Ultivue)と共に室温で25分間インキュベートし、続いて、さらなる洗浄ステップを行った。試料を増幅液(Ultivue)と共に30℃で15分間インキュベートし、次に、PBSで洗浄した。HRP酵素(ジスルフィド架橋なし)に連結されている抗体がコンジュゲートされた核酸バーコードの1つと相補的な核酸プローブ鎖の第1のセットを、試料に添加し、パートナー鎖にハイブリダイズさせた。未結合のHRP結合型プローブを洗浄ステップで除去した。HRPを不活化するために、組織スライドをTCEP溶液に5分間さらすか、または対照としてのTris緩衝液にさらした。Alexa Fluor(商標)647チラミド(Invitrogen)の使用液を、全てのスライドに添加し、室温で10分間インキュベートし、PBSで洗い流した。最後に、スライドを核対比染色で染色し、洗浄し、カバースリップをかけた。スライドを蛍光顕微鏡でイメージングした。
【0158】
図8A~8Bは、チラミド試薬の沈着前にTCEP溶液で処理された試料がチラミド沈着をもたらさなかったが、チラミド試薬はTCEPに曝露されなかった対照試料でうまく沈着したことを示す。この驚くべき結果は、TCEP溶液がHRP酵素を不活化したことを示す。
【0159】
実施例3.HRPサイクリングによる結合ペアの沈着
FFPE組織スライドをベークし、次に、後続の全ステップのために、BOND RX自動染色装置(Leica Biosystems)にロードした。スライドを脱ろうし、BONDエピトープ回収液2(Leica Biosystems)を使用して、抗原を回収した。3%Hを使用して内因性ペルオキシダーゼ活性をクエンチし、次に、抗体希釈剤(Ultivue、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を用いて室温で15分間ブロックした。核酸バーコードにコンジュゲートされ且つ抗体希釈液で希釈された4つの異なる1次抗体(抗CD8、抗CD68、抗PD-L1、及び抗CK)の混合物を、組織試料と共に室温で30分間インキュベートした。次に、試料を洗浄し、前増幅ミックス(Ultivue)と共に室温で10分間インキュベートし、続いて、さらなる洗浄ステップを行った。試料を増幅液(Ultivue)と共に15~25分間インキュベートし、次に、洗浄した。抗CD8抗体コンジュゲートに相補的な且つジスルフィド結合でHRP酵素に連結されている核酸プローブ鎖の第1のセットを、試料に添加し、15分間パートナー鎖にイブリダイズさせた。未結合のHRP結合型プローブを洗浄ステップで除去した。フェノールHRP反応性基質(図6)に連結されている核酸バーコードの使用液を組織試料に適用して、CD8標的の部位にさらなる核酸バーコードを沈着させた(例えば、図5に示される)。1分間トリス緩衝液中のTCEP溶液を添加することにより、試料の核酸プローブ鎖の第1のセットに連結されているHRP酵素を不活化した。第1ラウンドのCARDと関連するHRP酵素の不活化後に、ジスルフィド結合でHRP酵素に連結されている、抗CD68抗体コンジュゲートに相補的な核酸プローブ鎖の第2のセットを試料に添加し、パートナー鎖にハイブリダイズさせた。未結合のHRP結合型プローブを洗浄ステップで除去した。フェノールHRP反応性基質に連結されている核酸バーコードの使用液を組織試料に適用して、CD68標的の部位にさらなる核酸バーコードを沈着させた。1分間トリス緩衝液中のTCEP溶液を添加することにより、試料の核酸プローブ鎖の第2のセットに連結されているHRP酵素を不活化する。第2ラウンドのCARDと関連するHRP酵素の不活化後に、ジスルフィド結合でHRP酵素に連結されている、抗PD-L1抗体コンジュゲートに相補的な核酸プローブ鎖の第3のセットを試料に添加し、パートナー鎖にハイブリダイズさせる。未結合のHRP結合型プローブを洗浄ステップで除去した。フェノールHRP反応性基質に連結されている核酸バーコードの使用液を組織試料に適用して、PD-L1標的の部位にさらなる核酸バーコードを沈着させた。1分間トリス緩衝液中のTCEP溶液を添加することにより、試料の核酸プローブ鎖の第3のセットに連結されているHRP酵素を不活化した。第3ラウンドのCARDと関連するHRP酵素の不活化後に、ジスルフィド結合でHRP酵素に連結されている、抗CK抗体コンジュゲートに相補的な核酸プローブ鎖の第4のセットを試料に添加し、パートナー鎖にハイブリダイズさせた。未結合のHRP結合型プローブを洗浄ステップで除去した。フェノールHRP反応性基質に連結されている核酸バーコードの使用液を組織試料に適用して、CK標的の部位にさらなる核酸バーコードを沈着させた。試料を洗浄し、核酸バーコードに相補的な蛍光標識プローブ鎖の混合物を試料にハイブリダイズさせた。未結合の蛍光標識プローブ鎖を除去し、核対比染色をスライドに施した。試料にカバースリップをかけ、蛍光顕微鏡でイメージングした。
【0160】
図9は、CD8、CD68、PD-L1、及びCKの4つの標的が、それぞれの蛍光レポーターの逐次的沈着を使用して正常に標識されたことを示す。ボックスAは、例示的な標識されたCD8の位置;標識されたCD68のボックスB;標識されたPD-L1のボックスC;標識されたCKのボックスDを示す。
【0161】
実施例4.追加の実施形態
以下の番号が付された条項は、本明細書の実施形態に対する追加のサポート及び説明を提供する。
【0162】
条項1。1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記酵素が、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている)、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(前記基質及び検出可能標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、前記結合型酵素を放出すること、
(8)前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、ならびに
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【0163】
条項2。ステップ(5)において、前記検出可能に標識された基質からなる前記基質コンジュゲートが、前記酵素と反応して、活性化基質コンジュゲートを形成し、前記活性化基質コンジュゲートが、前記活性化基質コンジュゲートに対する受容体に結合する、条項1に記載の方法。
【0164】
条項3。前記活性化基質コンジュゲートに対する前記受容体が、固体支持体上に固定化されて、前記検出可能標識の前記沈着が生じる、条項2に記載の方法。
【0165】
条項4。さらに、(10)任意に、前記第3の放出型リンカーを放出することにより、ステップ(8)の後に、前記結合型検出可能標識を放出すること、及び、任意にステップ(1)~(10)またはその任意のサブセットを繰り返すことを含む、条項1に記載の方法。
【0166】
条項5。1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの第1のメンバーと接触させること(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記結合ペアの前記第1のメンバーが、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている)
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの未結合の第1のメンバーを除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、任意に第3の放出型リンカーで酵素に連結されている前記結合ペアの第2のメンバーと接触させること、及び、任意に、前記酵素に連結されている前記結合ペアの未結合の第2のメンバーを除去すること、
(6)ステップ(5)の前記試料を、標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(前記基質及び標識が、任意に、第4の放出型リンカーで連結されている)、
(7)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(8)任意に、前記結合ペアの前記結合型第1または第2のメンバーを放出すること、
(9)前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、ならびに
(10)任意に、ステップ(1)~(9)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【0167】
条項6。さらに、(11)任意に、前記標識及び前記基質間の前記第3の放出型リンカーを切断することにより、ステップ(9)の後に、前記結合型検出可能標識を放出すること、ならびに、任意に、ステップ(1)~(11)またはその任意のサブセットを繰り返すことを含む、条項5に記載の方法。
【0168】
条項7。1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記酵素が、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている)、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、核酸鎖結合型基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(前記基質及び核酸鎖が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、前記結合型酵素を放出すること、
(8)ステップ(5)または任意にステップ(6)~(7)の前記試料を、任意に第4の放出型リンカーで連結されている、核酸鎖結合型検出可能標識と接触させること(前記核酸鎖が、ステップ(5)の前記核酸鎖に対する特異的結合ペアメンバーである)、
(9)任意に、前記結合型標識を検出するために前記試料をイメージングすること、
(10)任意に、ステップ(5)または任意にステップ(8)または任意にステップ(5)及び(8)の前記放出型リンカーを放出することにより、ステップ(8)の前記結合型標識を放出すること、ならびに
(11)任意に、ステップ(1)~(10)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【0169】
条項8。1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つの標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、前記標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、さらに前記方法が、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な、前記西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)酵素結合型核酸鎖と接触させること、
(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記HRPが、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている)、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、検出可能に標識されたフェノール含有基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(前記基質及び前記検出可能標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質を除去すること、
(7)前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、
(8)任意に、前記結合型検出可能標識を放出すること、ならびに
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【0170】
条項9。ステップ(5)の後、前記フェノール部分が、活性化状態に酵素的に変換されて、前記標識の前記沈着が生じる、条項8の方法。
【0171】
条項10。前記放出型リンカーが、少なくとも1つのジスルフィド結合、エステル、ビシナルジオール、スルホン、及び光切断可能なリンカーを含む、条項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【0172】
条項11。前記酵素が、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、及びリガーゼから選択される、条項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【0173】
条項12。前記酵素が、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、及びグリコシダーゼから選択される、条項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【0174】
条項13。前記酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、及びβ-ガラクトシダーゼから選択される、条項12に記載の方法。
【0175】
条項14。前記酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼである、条項13に記載の方法。
【0176】
条項15。前記結合ペアが、免疫型または非免疫型である、条項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【0177】
条項16。前記免疫型結合ペアが、抗原-抗体及びハプテン-抗ハプテンから選択される、条項15に記載の方法。
【0178】
条項17。前記結合ペアの前記抗体メンバーが、ポリクローナル、モノクローナル、またはそれらの免疫反応性フラグメントである、条項16に記載の方法。
【0179】
条項18。前記非免疫型結合ペアが、ビオチン-アビジン、ビオチン-ストレプトアビジン、及び相補的なプローブ核酸葉酸-葉酸塩結合タンパク質から選択される、条項15に記載の方法。
【0180】
条項19。前記非免疫型結合ペアが、スルフヒドリル反応性基(例えば、マレイミド及びハロアセチル誘導体)、アミン反応性基(例えば、イソチオシアナート、スクシンイミジルエステル、スルホニルハロゲン化物、クリックケミストリー)、ならびにカプラー染料(例えば、3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)及び3-(ジメチル-アミノ)安息香酸(DMAB))を介して共有結合を形成する、条項18に記載の方法。
【0181】
条項20。前記検出可能標識が、酵素、放射性同位体、蛍光性、化学発光、及び電気化学物質から選択される、条項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【0182】
条項21。前記酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)であり、前記基質が、フェノール基質である、条項1~20のいずれか1項の方法。
【0183】
条項22。前記酵素が、加水分解酵素であり、前記基質が、エステル、アミド、またはグリコシド基質である、条項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【0184】
条項23。組成物であって、
(1)複数の標的特異的結合パートナーに結合している試料(各結合パートナーが、核酸鎖に結合しており)、
(2)前記標的特異的結合パートナーに結合している前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に対する酵素、
(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記酵素が、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている)、ならびに
(3)検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲート(前記基質及び標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)を含む、前記組成物。
【0185】
条項24。組成物であって、
(1)複数の標的特異的結合パートナーに結合している試料(各結合パートナーが、核酸鎖に結合しており)、
(2)(i)前記標的特異的結合パートナーに結合している前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている第1のメンバー、及び
(ii)酵素に連結されている第2のメンバー、を含む結合ペア
(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記結合ペアの前記第1のメンバーが、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている)、ならびに、
(3)検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲート(前記基質及び標識が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)、を含み、
前記結合ペアの前記第2のメンバーが、第4の放出型リンカーで前記酵素に連結されている、前記組成物。
【0186】
条項25。組成物であって、
(1)複数の標的特異的結合パートナーに結合している試料(各結合パートナーが、核酸鎖に結合しており)、
(2)前記標的特異的結合パートナーに結合している前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素
(以下の(i)もしくは(ii)またはその両方が満たされる:
(i)前記核酸鎖が、第1の放出型リンカーで前記標的特異的結合パートナーに連結されている、及び
(ii)前記酵素が、第2の放出型リンカーで前記相補的な核酸鎖に連結されている)、ならびに
(3)核酸鎖結合型基質からなる基質コンジュゲート(前記基質及び核酸鎖が、任意に第3の放出型リンカーで連結されている)
(4)任意に第4の放出型リンカーで連結されている、核酸鎖結合型検出可能標識((4)の前記核酸鎖が、(3)の前記核酸鎖に特異的結合ペアのメンバーである)
を含む、前記組成物。
【0187】
条項26。1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(前記基質及び検出可能標識が、任意に放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、前記結合型酵素を不活化すること、
(8)任意に、前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、ならびに
(9)任意に、ステップ(1)~(8)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【0188】
条項27。1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの第1のメンバーと接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている結合ペアの未結合の第1のメンバーを除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、酵素に連結されている前記結合ペアの第2のメンバーと接触させること、及び、任意に、前記酵素に連結されている前記結合ペアの未結合の第2のメンバーを除去すること、
(6)ステップ(5)の前記試料を、標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(前記基質及び標識が、任意に放出型リンカーで連結されている)、
(7)任意に、未結合の基質コンジュゲートを除去すること、
(8)任意に、前記結合型酵素を不活化すること、
(9)任意に、前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、ならびに
(10)任意に、ステップ(1)~(9)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、を含む、前記方法。
【0189】
条項28。さらに、(11)任意に、前記標識及び前記基質間の前記放出型リンカーを切断することにより、ステップ(9)の後に、前記結合型検出可能標識を放出すること、ならびに、任意に、ステップ(1)~(9)及び(11)のうちのいずれかを繰り返すこと、を含む、条項27に記載の方法。
【0190】
条項29。1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること(各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)ステップ(1)または任意にステップ(2)の前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的な核酸鎖に連結されている酵素と接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、核酸鎖結合型基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(前記基質及び核酸鎖が、任意に第1の放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合基質コンジュゲートを除去すること、
(7)任意に、前記結合型酵素を不活化すること、
(8)ステップ(5)または任意にステップ(6)~(7)の前記試料を、任意に第2の放出型リンカーで連結されている、核酸鎖結合型検出可能標識と接触させること(前記核酸鎖が、ステップ(5)の前記核酸鎖に対する特異的結合ペアメンバーである)、
(9)任意に、前記結合型標識を検出するために前記試料をイメージングすること、
(10)任意に、ステップ(5)または任意にステップ(8)または任意にステップ(5)及び(8)の前記リンカーを放出することにより、ステップ(8)の前記結合型標識を放出すること、ならびに
(11)任意に、ステップ(1)~(10)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【0191】
条項30。1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つの標的特異的結合パートナーと接触させること(前記標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されている)、
(2)任意に、未結合の標的特異的結合パートナーを除去すること、
(3)前記試料を、前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に相補的なHRP結合核酸鎖と接触させること、
(4)任意に、相補的な核酸鎖に連結されている未結合の酵素を除去すること、
(5)ステップ(3)または任意にステップ(4)の前記試料を、検出可能に標識されたフェノール含有基質からなる基質コンジュゲートと接触させること(前記基質及び前記検出可能標識が、任意に放出型リンカーで連結されている)、
(6)任意に、未結合の基質を除去すること、
(7)任意に、前記試料をイメージングして、前記結合型検出可能標識を検出すること、
(8)任意に、前記HRPを不活化すること、ならびに
(9)任意に、ステップ(1)~(8)のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【0192】
条項31。前記酵素が、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、還元型グルタチオン、過酸化物、シアン化物、フッ化物、またはアジドを使用して不活化される、条項26~30のいずれか1項に記載の方法。
【0193】
均等物
上述の書面による明細書は、当業者が実施形態を実施することを可能にするのに十分であると考えられる。上述の説明及び実施例は、特定の実施形態を詳述し、本発明者らにより企図される最良の方法を記載する。しかし、上述のものが、いかに詳細にテキストで表され得るとしても、実施形態は、多くの方法で実施されてもよく、添付の特許請求の範囲及びその任意の均等物に従って解釈されるべきであることが、理解されるであろう。
【0194】
本明細書で使用される場合、約という用語は、明示的に示されているか否かに関わらず、例えば、整数、分数、及び割合を含む数値を指す。約という用語は一般に、当業者が列挙した値と同等と考える(例えば、同じ機能または結果を有する)数値の範囲(列挙された範囲の例えば、+/-5~10%)を指す。少なくとも及び約などの用語が、数値または範囲の一覧に先行する場合、用語は、一覧に提示される数値または範囲の全てを修飾する。一部の場合では、約という用語には、有効数字に四捨五入される数値を含んでもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の標的の存在について試料を試験するための方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験される試料を、1つ以上の標的特異的結合パートナーと接触させること、を含み、各標的特異的結合パートナーが、核酸鎖に連結されており、特異性が異なる標的特異的結合パートナーが、異なる核酸鎖に連結されており、さらに前記方法が、
(2)1つまたは2つのステップでは、前記試料を、(a)核酸鎖に連結されている酵素、ならびに、(b)前記標的特異的結合パートナーに連結されている前記核酸鎖に特異的に結合することが可能な第1のドメイン及び前記酵素に連結されている前記核酸鎖に特異的に結合することが可能な第2のドメインを含む中間部分、と接触させること、ならびに
(3)ステップ(2)の前記試料を、検出可能に標識された基質からなる基質コンジュゲートと接触させること、を含み、前記基質及び検出可能標識が、任意に放出型リンカーで連結されており、さらに前記方法が、
(4)任意に、前記結合型酵素を不活化すること、
(5)任意に、前記結合型検出可能標識からのシグナルを検出すること、ならびに
(6)任意に、ステップ(1)~(5)またはそのサブセットを繰り返し、任意に、イメージングのステップ(5)の前に、ステップ(3)~(4)またはその任意のサブセットを繰り返すこと、
を含む、前記方法。
【外国語明細書】