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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096784
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】老化防止剤及び老化防止方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/13 20160101AFI20240709BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240709BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
A23L33/13
A61P3/00
A61K31/7088
A61K48/00
A61P43/00 105
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060723
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2020546069の分割
【原出願日】2019-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2018172712
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516211374
【氏名又は名称】田中 めぐみ
(71)【出願人】
【識別番号】516211385
【氏名又は名称】田中 経丸
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】田中 経丸
(57)【要約】      (修正有)
【課題】長期間にわたって摂取しても安全であり、老化の進展を効果的に防止することができる、老化防止剤等を提供する。
【解決手段】ニコチンアミドモノヌクレオチドを有効成分とするホルモン分泌改善用の老化防止剤であって、ホルモンが、成長ホルモン、グレリン、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質ホルモン、性ホルモン、プロラクチン、抗利尿ホルモン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン及びメラトニンから選ばれる1種又は2種以上である老化防止剤が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチンアミドモノヌクレオチドを有効成分とするホルモン分泌改善用の老化防止剤であって、
前記ホルモンが、成長ホルモン、グレリン、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質ホルモン、性ホルモン、プロラクチン、抗利尿ホルモン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン及びメラトニンから選ばれる1種又は2種以上である老化防止剤。
【請求項2】
老化防止剤が、老化防止用の食品である、請求項1に記載の老化防止剤。
【請求項3】
老化防止剤が、老化防止用の医薬品である、請求項1に記載の老化防止剤。
【請求項4】
ニコチンアミドモノヌクレオチドの有効量を、それを必要とする対象に摂取さ
せることを特徴とする、ホルモン分泌改善による老化防止方法であって、
前記ホルモンが、成長ホルモン、グレリン、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質ホルモン、性ホルモン、プロラクチン、抗利尿ホルモン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン及びメラトニンから選ばれる1種又は2種以上である老化防止方法(ヒトに対する医療行為を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老化防止剤及び老化防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医学の進歩や公衆衛生の向上等によって人間の寿命はどんどん延びており、最近の報告によると、我が国では、2060年には男性が84.19年、女性が90.93年となり、女性の平均寿命は90年を超えることが見込まれている。また、我が国の総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は約25%であって、急速に高齢化社会が進展していることが報告されている。そして、平均寿命の上昇に伴って今後も高齢化率は上昇し、高齢化社会はさらに持続していくことが予測されている。
【0003】
ところで、我が国の高齢化社会が抱える問題点の1つとして、平均寿命の延びに比べて日常生活に制限のない健康寿命の延びが小さく、平均寿命と健康寿命の差が広がりつつある点が指摘されている。老化は全ての生物にとって避けることができない現象であるにしても、老化を少しでも遅らせて健康寿命を延ばし、健康な状態で長生きすることは誰もが抱いている願望である。
【0004】
こうした高齢化社会の問題点を解消すべく、近年、老化を1つの疾患とみなし、治療することによって老化の到来自体を遅らせようとする抗加齢医学の分野(アンチエイジング)の研究が盛んに行われるようになってきている。抗加齢医学は、内分泌や代謝、動脈硬化、栄養、運動器、感覚器等、幅広い領域をカバーしており、また高齢者だけを対象とするのではなく、全ての年代の人を対象にして、自己の現在の年齢よりも若々しい身体機能をもって健康的に過ごせる時間を延ばすことが目標とされている。
【0005】
一般に、老化は加齢に伴って細胞の数が減少し、身体的機能、生理的機能、精神的機能が衰える現象であると理解されている。老化による身体的変化は成熟期に達したあと、40歳くらいから始まり、皮膚のシワ、頭髪や歯の脱落、視力や聴力の低下、運動機能の低下、骨量の低下等が見られるようになる。老化は、それ自体、病気とはいえないものの、身体的機能、生理的機能の低下は、動脈硬化、骨粗鬆症、白内障等のいわゆる老年病のリスクを高めることになり、また身体的機能の衰えに付随して記憶や学習といった精神的機能についての老化が生じることになる。
【0006】
抗加齢医学の分野において、老化に関する研究は多方面で進められており、その結果、老化が起こる原因について以下に示すような幾つかの仮説が提唱されている。しかし、いずれも仮説のレベルであり、全容までは解明されていないのが現状である。
1)遺伝子プログラム説
遺伝情報を担っている染色体の末端にテロメアと呼ばれる部位があり、これは、細胞分裂の際、遺伝情報を正しくコピーして受け渡す働きをしているが、細胞分裂するたびに短くなっていき、ある程度まで短くなるとテロメア機能不全が起こり、それにより細胞の再生が低下して組織の機能が衰えると考えられている。すなわち、テロメアによって細胞分裂の回数は制限されており、細胞分裂ができなくなると必然的に生体の活性は失われ、老化を招くことになる。
2)DNA損傷説
DNAが紫外線、大気汚染物質等の刺激により損傷し、その損傷が修復される前に細胞分裂して、損傷・劣化した情報が蓄積された結果、老化がもたらされると考えられている。なお、損傷したDNAは定常的に修復されるが、年齢を重ねることにより、その修復速度は低下するようになる。
3)活性酸素説
生体内で使用されなかった一部の酸素が活性酸素となり、細胞を酸化させると、酸化された細胞が正常な働きができなくなり、その結果、老化が進行すると考えられている。活性酸素を発生しやすくする原因としては、紫外線に当たること、ストレス、喫煙や大気汚染の環境、脂質の多い食事や添加物の多い食生活等が指摘されている。
4)ホルモン説
年齢に比例して特定のホルモン、例えば、代謝のコントロールに関係する「成長ホルモン」、睡眠に関係する「メラトニン」、男女それぞれの生殖に関係する「性ホルモン」等の分泌が低下して、それらのホルモンによる生理的機能が失われる結果、老化が進行すると考えられている。
5)免疫機能説
加齢とともに、外来病原体に対する免疫機能が低下したり、過剰な炎症反応傾向が出現したりすることで、新陳代謝や細胞の再生が衰え、老化を加速化すると考えられている。なお、加齢により免疫機能が低下する理由については胸腺の萎縮との関係性が指摘されている。胸腺はT細胞が分化・増殖し、免疫反応発現の中心的器官であるが、加齢により萎縮することが知られている。
【0007】
これまでの研究によると、老化の進行を抑えて、若々しい健康な状態を保つためには、毎日の生活習慣を改善して、バランスのとれた食生活を送り、適度な運動をすることが重要であるとされる。これらのうち食生活に関しては、近年、老化を防止する上で有効とされる食品成分が一般に知られるようになってきており、例えば、脳の老化を防ぐ食品成分として、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ビタミンB群(B、B12、葉酸)、レシチン、コリン、トリプトファン;免疫力を高める食品成分として、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB群(パントテン酸、B、B12、葉酸)、亜鉛;骨量を増やす食品成分として、カルシウム、タンパク質、ビタミンD、ビタミンK;活性酸素を除去する食品成分として、カロチノイド(リコピン、ルテイン、ビタミンA等)、アスタキサンチン、ポリフェノール類(フラボノイド、カテキン、イソフラボン、セサミン、クルクミン等)、ビタミンE、ビタミンC、コエンザイムQ等が知られている。一方、活性酸素を消去する酵素として、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼ等が知られている。
【0008】
また近年、老化を防止するための新たな老化防止剤も開発されるようになってきている。例えば、皮膚の老化を防止、とりわけ皮膚の色素の沈着を改善することができる老化防止剤として、(A)アスコルビン酸2-グルコシド、及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種、並びに(B)アデニン、アデノシン、アデノシン2’-一リン酸、アデノシン3’-一リン酸、アデノシン5’-一リン酸、サイクリックアデノシン3’,5’-一リン酸、アデノシン5’-二リン酸、アデノシン5’-三リン酸、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する老化防止剤が報告されている(特許文献1)。
【0009】
その他の例として、褐藻類のホンダワラ属(Sargassum)アカモク(Sargassum horneri)を水で抽出し、当該抽出処理工程においてセルラーゼを使用した酵素処理によって得た抽出物を有効成分として配合したことを特徴とする老化防止剤が報告されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4129574号公報
【特許文献2】特許第4926448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、老化の進行を抑え、若々しさを回復するのに有効であって、かつ、長期間にわたって摂取しても安全である老化防止剤及び老化防止方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、補酵素NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の生合成に関与する中間代謝物であるニコチンアミドモノヌクレオチドが優れた老化防止効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明は、以下に示すものである。
[1]ニコチンアミドモノヌクレオチドを有効成分とする老化防止剤。
[2]皮膚の老化症状、乾燥肌、皮膚のしみ、そばかす、又は肌荒れの改善用である、[1]に記載の老化防止剤。
[3]ホルモン分泌の改善用である、[1]に記載の老化防止剤。
[4]ホルモンが、成長ホルモン、グレリン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質ホルモン、性ホルモン、プロラクチン、抗利尿ホルモン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン及びメラトニンから選ばれる1種又は2種以上である、[3]に記載の老化防止剤。
[5]生体内の活性酸素の低減用である、[1]に記載の老化防止剤。
[6]老化防止剤が、老化防止用の食品である、[1]~[5]のいずれかに記載の老化防止剤。
[7]老化防止剤が、老化防止用の医薬品である、[1]~[5]のいずれかに記載の老化防止剤。
[8]ニコチンアミドモノヌクレオチドの有効量を、それを必要とする対象に摂取させることを特徴とする、老化防止方法(ヒトに対する医療行為を除く)。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、優れた老化防止効果を有しており、また生体内NADの生合成に関与する中間代謝物であるニコチンアミドモノヌクレオチドを有効成分とするものであるため安全であり、長期間にわたって摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ナイアシン(ニコチンアミドとニコチン酸の総称)に関与する代謝経路を示す説明図である。
図2a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体のメラトニン血中濃度の推移を表す図である。
図2b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者のメラトニン血中濃度の推移を表す図である。
図2c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者のメラトニン血中濃度の推移を表す。
図3a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までのメラトニン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図3b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までのメラトニン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図3c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までのメラトニン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図4a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の成長ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図4b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の成長ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図4c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の成長ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図5a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までの成長ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図5b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までの成長ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図5c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までの成長ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図6a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体のグレリン血中濃度の推移を表す図である。
図6b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者のグレリン血中濃度の推移を表す図である。
図6c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者のグレリン血中濃度の推移を表す図である。
図7a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までのグレリン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図7b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までのグレリン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図7c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までのグレリン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図8a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の甲状腺刺激ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図8b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の甲状腺刺激ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図8c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の甲状腺刺激ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図9a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までの甲状腺刺激ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図9b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までの甲状腺刺激ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図9c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までの甲状腺刺激ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図10a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の遊離サイロキシン血中濃度の推移を表す図である。
図10b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の遊離サイロキシン血中濃度の推移を表す図である。
図10c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の遊離サイロキシン血中濃度の推移を表す図である。
図11a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までの遊離サイロキシン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図11b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までの遊離サイロキシン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図11c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までの遊離サイロキシン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図12a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の副甲状腺ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図12b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の副甲状腺ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図12c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の副甲状腺ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図13a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までの副甲状腺ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図13b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までの副甲状腺ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図13c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までの副甲状腺ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図14a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体のエストラジオール血中濃度の推移を表す図である。
図14b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者のエストラジオール血中濃度の推移を表す図である。
図14c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者のエストラジオール血中濃度の推移を表す図である。
図15a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までのエストラジオール血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図15b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までのエストラジオール血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図15c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までのエストラジオール血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図16a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体のテストステロン血中濃度の推移を表す図である。
図16b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者のテストステロン血中濃度の推移を表す図である。
図16c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者のテストステロン血中濃度の推移を表す図である。
図17a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までのテストステロン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図17b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までのテストステロン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図17c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までのテストステロン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図18a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体のプロラクチン血中濃度の推移を表す図である。
図18b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者のプロラクチン血中濃度の推移を表す図である。
図18c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者のプロラクチン血中濃度の推移を表す図である。
図19a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までのプロラクチン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図19b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までのプロラクチン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図19c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までのプロラクチン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図20a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の副腎皮質刺激ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図20b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の副腎皮質刺激ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図20c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の副腎皮質刺激ホルモン血中濃度の推移を表す図である。
図21a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までの副腎皮質刺激ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図21b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までの副腎皮質刺激ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図21c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までの副腎皮質刺激ホルモン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図22a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体のコルチゾール血中濃度の推移を表す図である。
図22b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者のコルチゾール血中濃度の推移を表す図である。
図22c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者のコルチゾール血中濃度の推移を表す図である。
図23a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までのコルチゾール血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図23b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までのコルチゾール血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図23c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までのコルチゾール血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図24a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体のカルシトニン血中濃度の推移を表す図である。
図24b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者のカルシトニン血中濃度の推移を表す図である。
図24c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者のカルシトニン血中濃度の推移を表す図である。
図25a】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、対象者全体の24週までのカルシトニン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図25b】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、男性対象者の24週までのカルシトニン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
図25c】ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の、女性対象者の24週までのカルシトニン血中濃度の変化率(%)を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る老化防止剤は、ニコチンアミドモノヌクレオチドを有効成分としており、老化防止効果を奏するものである。本発明において、「老化防止」とは、狭義の老化防止だけでなく、老化現象の改善、老化の遅延、若返り等を広く含む意味であり、加齢に伴う身体的機能、生理的機能、精神的機能の衰えの防止、改善、遅延、若返り、正常化等の一切を含み、具体的に言えば、例えば、皮膚の老化症状(しわ、たるみの発生、皮膚の張りの喪失等)、老化による乾燥肌(皮膚の保湿性の低下)、皮膚のしみ、そばかす、肌荒れ、ホルモン(成長ホルモン、グレリン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質ホルモン、性ホルモン、プロラクチン、抗利尿ホルモン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、メラトニン等)分泌の低下や亢進、活性酸素による細胞(脳細胞、心筋細胞等)の傷害、頭髪や歯の脱落、視力や聴力の低下、運動機能の低下、骨量の低下、体力の低下、記憶力の低下、学習能力の低下、免疫機能の低下、老年病の発生等に対する、防止、改善、遅延等の作用効果をいう。
ニコチンアミドモノヌクレオチドを有効成分とすることによって、そのような作用効果が得られる詳細な理由は現在検討中であるが、NAD依存性脱アセチル化酵素Sirt1、Sirt3に代表される「サーチュイン」をニコチンアミドモノヌクレオチドが促進し、その結果、耐糖能や、成長ホルモン、コルチゾール等のホルモン分泌系を正常化することが主たる理由の1つとして考えられる。以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
ニコチンアミドモノヌクレオチド(化学式:C1115P)は、ヒトを含む多くの生物の体内で作られる、下記の構造式[化1]で表される化合物である。一般にNMN(Nicotinamide mononucleotide)と呼ばれており、補酵素NADの生合成に関与する中間代謝物として知られている。
【0018】
【化1】
【0019】
前記老化防止剤の有効成分であるニコチンアミドモノヌクレオチドは、生体内では、肝臓組織によるNAD代謝経路、すなわち、キヌレニン経路を経てキノリン酸からニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の合成に関与する経路において産生されている。この点について、図1を参照して具体的に説明する。図1はビタミンBとして知られるナイアシン(ニコチンアミドとニコチン酸の総称)に関与する代謝経路を示す説明図である。食事から摂取したニコチン酸は肝臓に取り込まれ、ニコチンアミドに変換され、ニコチンアミドは血流を介して全身に供給される。各細胞は血液中からニコチンアミドを取り込み、NAD、NADPに変換して利用する。ニコチンアミドはトリプトファンからも生合成される。
【0020】
図1に示すように、生体内においては、トリプトファンを出発物質とした場合、トリプトファンはトリプトファン代謝経路であるキヌレニン経路を経てキノリン酸(QA)に変換され、さらにニコチン酸モノヌクレオチド(NaMN)となる。他方、ニコチン酸(Na)を出発物質とした場合、ニコチン酸は直接NaMNに変換される。NaMNはその後、ニコチン酸アデニンジヌクレオチド(NaAD)を経て、NADサイクルによってNAD、ニコチンアミド(NaM)、ニコチンアミドモノヌクレオチドと相互に変換される。ニコチンアミド(NaM)は、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)によってニコチンアミドモノヌクレオチドに変換され、次いでニコチンアミドモノヌクレオチドがニコチンアミドモノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ(NMNAT)により変換されてNADが生成される。なお、NAD中間代謝産物であるニコチンアミドリボシド(NR)からもニコチンアミドモノヌクレオチドが産生される。
【0021】
ニコチンアミドモノヌクレオチドには光学異性体としてα体、β体の2種類が存在しているが、本発明ではβ体が使用される。ニコチンアミドモノヌクレオチドは、例えば、ニコチンアミドとリボースからニコチンアミドリボシドを合成し(Bioorg. Med. Chem. Lett., 12, 1135-1137 (2002) 参照)、次いで、リボース部分の5位水酸基をリン酸化する(Chem. Comm., 1999, 729-730参照)ことにより得ることができる。具体的には、例えば、まず、ニコチンアミドとL-リボーステトラアセテートとを、無水アセトニトリルに溶解し、窒素気流下、トリメチルシリルトリフルオロスルホン酸を過剰量添加後、室温にて撹拌し、メタノールを添加して反応を停止させた上記反応液を、活性炭を充填したカラムに付し、蒸留水で洗浄後、メタノールで溶出して生成物を回収する。次いで、この生成物のL-リボース部分の5位水酸基のリン酸化反応を行うために、上記生成物をトリメトキシリン酸に溶解し、氷冷下、オキシ塩化リンを滴下し、窒素気流下で撹拌し、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和させ、反応を停止させた上記反応液に、冷アセトニトリル-エーテル溶液を添加する。その後、下層(水相)を陰イオン交換樹脂に通して反応物を回収し、さらに陽イオン交換樹脂で精製することにより、純度の高いニコチンアミドモノヌクレオチドを回収することができる。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドは市販されており、それらの市販品を購入して使用することができる。
【0022】
前記ニコチンアミドモノヌクレオチドは不純物の含有量が少ない精製物、特にはその純度は90%以上が好ましく、95%以上がさらに好ましい。前記純度が90%未満であると、異臭が発生したり、あるいは、ニコチンアミドモノヌクレオチドの作用が減弱されて本発明の効果が十分に得られなくなる恐れがある。
【0023】
前述したようにニコチンアミドモノヌクレオチドの純度は90%以上が好ましいが、その純度(質量比)は無水換算で100%からニコチンアミドモノヌクレオチド以外の不純物を除いた値として定義される。したがって、ニコチンアミドモノヌクレオチドの純度は、式:ニコチンアミドモノヌクレオチドの純度(%)=100-ニコチンアミドモノヌクレオチド以外の不純物(%)により求めることができる。ここで、該不純物としては、図1に示したような、NAD代謝経路に関与するニコチンアミドモノヌクレオチドを除く代謝物、特に、ニコチンアミド、及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチドが挙げられる。本発明で使用されるニコチンアミドモノヌクレオチド中にNAD代謝経路に関与する上記代謝物のような夾雑物が存在すると、ニコチンアミドモノヌクレオチドの生体細胞内への取り込みが減少したりするなどして、結果的に本発明の効果が減弱される恐れがある。なお、NAD代謝経路に関与する上記不純物の定量は、乾燥されたニコチンアミドモノヌクレオチド粉末の試験溶液をHPLC装置に注入し、得られたクロマトグラフのピーク面積を求め、標準試料を用いた絶対検量線法にて行う(縦軸:ピーク面積、横軸:濃度)。微量物質の場合は、ピーク高を用いると精度よく定量できるので、用いる装置の特性に応じて適宜選択する。なお、分離された物質の特定は保持時間により行う。
【0024】
本発明に係る老化防止剤は、ニコチンアミドモノヌクレオチドを単独で使用するか、又は他の成分を混合することにより容易に製造される。他の成分は、本発明の効果を奏する限り特に限定されない。
【0025】
他の成分の例としては、前述したように、脳の老化を防ぐ食品成分として知られる、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ビタミンB群(B、B12、葉酸)、レシチン、コリン、トリプトファン;免疫力を高める食品成分として知られる、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB群(パントテン酸、B、B12、葉酸)、亜鉛;骨量を増やす食品成分として知られる、カルシウム、タンパク質、ビタミンD、ビタミンK;活性酸素を除去する食品成分として知られる、カロチノイド(リコピン、ルテイン、ビタミンA等)、アスタキサンチン、ポリフェノール類(フラボノイド、カテキン、イソフラボン、セサミン、クルクミン等)、ビタミンE、ビタミンC、コエンザイムQ等を挙げることができる。また、食品分野で慣用の補助成分である、例えば各種ビタミン類、微量元素、クエン酸、リンゴ酸、香料、無機塩等を他の成分として含めてもよい。
【0026】
本発明において、その老化防止作用を増強させる上で特に有効な他の成分として、レスベラトロールが挙げられる。レスベラトロールは、ブドウの果皮、赤ワイン、ピーナッツの皮、イタドリ、グネモン等に含まれる抗酸化物質として知られている。レスベラトロールには、トランス及びシス異性体、トランスーシス異性体混合物、二量体、メチル化レスベラトロール等のレスベラトロール誘導体が含まれる。通常は熱に対して安定なトランス異性体が健康食品等に使用される。また、レスベラトロールは、あらゆる起原原料から抽出、精製して調製されたもののほか、合成的に調製されたものでもよい。
【0027】
レスベラトロールとニコチンアミドモノヌクレオチドの配合割合については限定されるものではないが、本発明の効果を最大限に引き出す観点からは、成人1日当たりの摂取量において、レスベラトロールが1~100質量部に対して、ニコチンアミドモノヌクレオチドが1~25質量部となるように両者の配合割合を調整することが好ましい。
【0028】
本発明に係る老化防止剤は、老化防止を図るため、主として経口的に摂取される。本発明において、「老化防止」とは、前述したように、狭義の老化防止だけでなく、老化現象の改善、老化の遅延、若返り等を含む広い意味であり、したがって加齢に伴う身体的機能、生理的機能、精神的機能の衰えの防止、改善、遅延、若返り、正常化等の一切を含み、具体的に言えば、例えば、皮膚の老化症状(しわ、たるみの発生、皮膚の張りの喪失等)の発生、老化による乾燥肌(皮膚の保湿性の低下)、皮膚のしみ、そばかす、肌荒れの発生、ホルモン(成長ホルモン、グレリン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質ホルモン、性ホルモン、プロラクチン、抗利尿ホルモン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、メラトニン等)分泌の低下や亢進、活性酸素による細胞(脳細胞、心筋細胞等)の傷害、頭髪や歯の脱落、視力や聴力の低下、運動機能の低下、骨量の低下、体力の低下、記憶力の低下、学習能力の低下、免疫機能の低下、老年病の発生等に対する、防止、改善、遅延の作用効果を挙げることができる。
【0029】
本発明に係る老化防止剤は、皮膚の老化症状、老化による乾燥肌(皮膚の保湿性の低下)、皮膚のしみ、そばかす、肌荒れに対して有効である。ここで、「皮膚の老化症状」とは、加齢に伴う皮膚の弾力性低下による、主として、しわ、たるみの発生、皮膚の張りの喪失等をいう。本発明によって皮膚の老化症状の予防、改善がもたらされる理由としては、ニコチンアミドモノヌクレオチドが衰えた皮膚代謝機能を賦活させることやコラーゲン生成を促進すること、その他、後述するように活性酸素を低減させることが考えられる。
【0030】
本発明に係る老化防止剤は、顔や手等の皮膚にうるおいを与え、皮膚の保湿性を持続的に向上させて乾燥肌を改善するために使用することができる。本発明の適用により、皮膚中の水分量が多くなり、皮膚の保湿性が向上する結果、肌の乾燥、張り、弾力性、柔軟性等が改善される。本発明によって皮膚の保湿性の向上がもたらされる理由としては、ニコチンアミドモノフクレオチドが天然保湿因子や角質細胞間脂質の産生亢進に影響を与えていることやヒアルロン酸生成を促進すること等が考えられる。
【0031】
本発明に係る老化防止剤は、加齢に伴うメラニンの生成、沈着を予防し、皮膚のしみ、そばかすを予防又は改善する美白効果を得るために使用することができる。本発明によって美白効果がもたらされる理由としては、ニコチンアミドモノヌクレオチドがメラニンの排泄を促進させること等が考えられる。
【0032】
本発明に係る老化防止剤は、加齢に伴う肌荒れを予防、改善するために使用することができる。肌荒れの原因に応じて、抗炎症剤、ビタミン、ホルモン、植物エキス、殺菌剤、油性成分等を適宜配合すると、より効果的である。本発明によって肌荒れの予防、改善効果がもたらされる理由としては、ニコチンアミドモノヌクレオチドが皮膚組織におけるサーチュインの活性を向上させること等が考えられる。
【0033】
また、本発明に係る老化防止剤は、幾つかのホルモン(主として年齢に比例して分泌量が低下するとされるホルモン)、具体的には、例えば、成長ホルモン、グレリン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質ホルモン、性ホルモン、プロラクチン、抗利尿ホルモン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン及びメラトニンから選ばれる1種又は2種以上の分泌を改善し、これらの各ホルモンによってもたらされる生理作用を若返らせて、それにより老化防止効果を発揮する。したがって、これらのホルモンの分泌を改善させることを用途として、本発明に係る老化防止剤を使用することができる。なお、「ホルモン分泌の改善」とは、ホルモン分泌量を促進又は抑制して該ホルモン分泌量を適正な方向に向かわせることをいう。
【0034】
成長ホルモンは、主に、視床下部の脳下垂体を中心として分泌されるホルモンであり、標的器官に分泌されることでその器官組織の成長を促し、また、代謝をコントロールする作用がある。別名「若返りホルモン」ともいわれ、加齢により基礎分泌や反応性が低下する。この低下の機序として、成長ホルモン分泌細胞の減少、産生量の低下、成長ホルモン放出ホルモンに対する反応性の低下、成長ホルモン分泌細胞のインスリン様成長因子(IGF-1)に対する感受性の亢進、視床下部における成長ホルモン放出ホルモン分泌不全、ソマトスタチンの分泌亢進等が考えられている。成人の場合、健常人が通常感じる健康感の保持に、成長ホルモンが重要な役割を果たしているとされる。その他、記憶力の向上、疲労感や気分の低下防止、骨密度の促進、生殖機能の保持、免疫機能の強化、脂肪燃焼の促進、筋肉の成長促進等の効果を発揮するとされる。
【0035】
グレリンは、胃から分泌されるホルモンであり、成長ホルモン分泌促進活性作用、摂食亢進作用、消化管運動促進作用、心血管系保護作用、抗炎症作用など、多様な生理作用をもつ。
【0036】
甲状腺刺激ホルモンは、下垂体前葉の甲状腺刺激ホルモン分泌細胞から分泌されるホルモンであり、甲状腺に働きかけ甲状腺ホルモンの分泌を促す。
【0037】
甲状腺ホルモンは、甲状腺から分泌されるホルモンであり、サイロキシン(T)とトリヨードサイロニン(T)の2種類が知られ、一般に全身の細胞に作用して細胞の代謝率を上昇させる。加齢により甲状腺そのものの機能が低下し、また甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)に対する甲状腺刺激ホルモン(TSH)の反応性が低下して、トリヨードサイロニンの分泌量は減少することが知られている。具体的には、皮膚の保湿性の向上、記憶力の向上、疲れや気分の低下防止、中年太りの防止、寒がりの防止、薄毛の防止等の効果を発揮するとされる。
【0038】
プロラクチンは、主に下垂体前葉のプロラクチン分泌細胞から分泌されるホルモンであり、女性のプロラクチン濃度は、エストロゲン低下のため閉経前後から低下するといわれる。
【0039】
副腎皮質刺激ホルモンは、下垂体前葉から分泌されるホルモンであり、副腎皮質に作用し、糖質コルチコイドなどの副腎皮質ホルモンの分泌を促進する。
【0040】
副腎皮質ホルモンは、副腎皮質から分泌されるホルモンであり、副腎皮質は球状帯、束状帯、網状帯に分かれており、球状帯からは鉱質コルチコイド(アルドステロン等)が産生され、束状帯からは糖質コルチコイド(コルチゾール等)が産生され、網状帯からは副腎性アンドロゲンが産生される。副腎皮質ホルモンは、抗炎症作用、免疫抑制作用、抗ストレス作用、水・電解質調節作用、糖代謝作用、脂質代謝作用、蛋白同化作用、蛋白同化抑制作用、血液凝固促進作用、下垂体抑制作用等、多くの生理作用を有する。なお、アンドロゲンは男性ホルモンの総称であり、副腎性アンドロゲンの男性ホルモンとしての生物活性は,精巣から分泌されるテストステロンに比べると弱い。
【0041】
性ホルモンは、主として精巣の間質細胞で産生される男性ホルモンと卵巣から分泌される女性ホルモンに大別される。男性ホルモンは、いわゆる男性の特性を亢進させる働きをする。20~30歳でピークとなり、その後次第に分泌は低下する。代表的な男性ホルモンはテストステロンである。男性ホルモンは、骨や筋肉の強度の維持、性機能の維持、血管の状態の維持、動脈硬化の予防、メタボリックシンドロームの予防等の働きがある。一方、女性ホルモンは、女性らしさをつくる卵胞ホルモン(エストロゲン)と妊娠を助ける黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類がある。代表的な卵胞ホルモンはエストラジオールである。女性は50歳前後に更年期に入り、女性ホルモンの分泌が激減し、骨粗鬆症や、いわゆる自律神経失調症としての症状(のぼせ、発汗、倦怠感、フラフラ感など)が出現する。
【0042】
プロラクチンは、主に脳下垂体前葉から分泌されるホルモンであり、乳腺の発育促進、乳汁の産生と分泌促進、性腺抑制作用、黄体機能維持、子宮内膜増殖、水・電解質調節作用、免疫賦活作用等の働きがある。エストロゲン低下のため、女性のプロラクチン濃度は、閉経前後から低下するといわれる。
【0043】
抗利尿ホルモンは、脳下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、腎臓の尿細管に働きかけ、尿を濃縮し、水分を体に貯留させるように作用する。加齢により腎臓の機能が衰えると、尿の濃縮機能が低下して薄い尿が大量に出てしまうため、水分を身体に保持しにくくなるが、抗利尿ホルモンはこうした状況を防ぐ働きがある。高齢者では抗利尿ホルモンの分泌量が少なくなり、その結果、頻尿、尿漏れ、夜間頻尿を起こしやすくなる。
【0044】
副甲状腺ホルモンは、副甲状腺からから分泌されるホルモンであり、甲状腺から分泌されるカルシトニンやビタミンDと共に、血液中や体液中のカルシウム濃度を一定にする働きがある。加齢とともに、カルシウムの吸収が低下し、それに対して副甲状腺ホルモンの持続的な過剰分泌を招き、この過剰分泌が、破骨細胞が古い骨を破壊する骨吸収の亢進や骨のターンオーバーの上昇をもたらして、老年病の1つである骨粗鬆症が起こるといわれている。
【0045】
カルシトニンは、甲状腺の傍濾胞細胞などから分泌されるホルモンであり、血中のカルシウム濃度の上昇により分泌が促進され、カルシウム濃度が低下すると分泌が抑制される。
【0046】
メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンであり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、生物が有する生体リズムに関わり、人の睡眠覚醒に影響し、夜間、神経を沈静化させる作用、睡眠に向かわせる作用があり、分泌は夜間に高く、目覚めで分泌が止まるという日内変動が認められる。メラトニンは幼児期に一番多く分泌され、歳を重ねるごとに分泌量が減っていき、60歳以上になると夜間のメラトニンの増加はほとんど認められなくなる。加齢によってメラトニン分泌量が低下するため、眠る時間が短くなり、睡眠障害の原因となり、高齢者では睡眠障害が多い。また、メラトニンは眠りを誘うことに加えて、抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促進したり、疲労を取ってくれるため、老化防止に効果を発揮するとされており、注目されているホルモンの一つである。さらに、メラトニンは、神経伝達物質、ホルモン、サイトカインなど、様々な生理活性物質の働きに作用して、神経系や免疫系を制御する生体応答修飾物質としての作用を発揮して多くの生体機能を調節しており、この調節は老化防止の方向で作用する。
【0047】
また、本発明に係る老化防止剤は、老化の原因の1つとされる活性酸素(スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル)を低減させて活性酸素から細胞を保護し、それにより老化防止に貢献する。したがって、活性酸素を低減させることを用途として、本発明に係る老化防止剤を使用することができる。生体において特に皮膚は紫外線が皮膚に当たることによって活性酸素が発生しやすいので、活性酸素の低減は、前述したように肌の老化防止効果をもたらす理由の1つとして考えられる。本発明に係る老化防止剤が、どのような仕組みで活性酸素を低減させるかは検討中であるが、Sirt1等を活性化させて細胞内の抗酸化機能を高めることによりその作用を発揮することが考えられる.
【0048】
前記老化防止剤の製造方法は特に限定されず、その形態に応じてそれを製造するのに用いられる一般的な製造方法を適宜選択して行えばよい。例えば、形態が粉末剤であれば、ニコチンアミドモノヌクレオチド、及び必要に応じて配合される他の成分を均一に混練して製造することができる。なお、有効成分であるニコチンアミドモノヌクレオチドは市場に流通しており、商業的に入手することができる。特に、ニコチンアミドモノヌクレオチドについては、近年、ニコチンアミドモノヌクレオチドの品質管理体制及び量産体制が確立されている。
【0049】
本発明に係る老化防止剤は、食品や医薬品として用いることができる。食品として用いる場合には、該老化防止剤は、食品分野において、老化防止用の食品として提供することができる。食品の形態で日常的に摂取すると、老化防止効果が連続的に発揮されるため、老化を防止する上で特に有効である。本発明の対象となる食品の種類については特に限定されず、一般の食品のほか、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、食品添加物、飼料、介護食、食事療法食、治療食、ダイエット食等が対象となる。具体的には、菓子類(ガム、キャンディー、クッキー、グミ、ビスケット、ケーキ、チョコレート、和菓子、ゼリー等)、パン、麺類、米・穀類の加工品(シリアル等)、肉類加工品、魚介類加工品、野菜加工品、惣菜、発酵食品、調味料(ソース、ドレッシング、ケチャップ等)、香辛料、乳製品(ヨーグルト、チーズ、牛乳等)、アイスクリーム、冷凍食品、レトルト食品、飲料(炭酸飲料、清涼飲料、乳飲料、アルコール飲料、スポーツ飲料、果汁飲料、茶類、栄養飲料、濃縮飲料等)、粉末飲料(粉末ジュース、粉末スープ等)等が例示される。また、前記食品の形態は限定されず、特に機能性食品や特定保健用食品等の場合には、例えば、粉末剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤、ゼリー剤、液剤、ペースト剤等に加工して提供することができる。
【0050】
前記食品の摂取量については、食品の種類、摂取する対象の年齢、性別、体重、期待される効果、症状等により異なるが、食品に含まれるニコチンアミドモノヌクレオチドの成人1日当たりの摂取量は、通常1mg~500mg、好ましくは5mg~250mg、より好ましくは50mg~200mgを挙げることができる。1mgよりも少ないと、本発明の効果が得られなくなる恐れがあり、一方、500mgより多くしても得られる効果は特に変わらず、経済的に不利になる。なお、前記食品中のニコチンアミドモノヌクレオチドの配合割合は食品総重量に対し、100%以下の範囲内で適宜設定することができる。
【0051】
前記食品は、安全で副作用も特に認められないことから、老化防止の目的で長期間にわたって摂取することもできる。高齢者だけでなく若年者にも適用することができる。
【0052】
一方、本発明に係る老化防止剤は、医薬品分野において、老化防止用の医薬品(医薬部外品を含む)として経口的あるいは非経口的に投与することができる。該医薬品の剤形は特に制限されるものではないが、例えば、散剤、錠剤、持続性錠剤、チュアブル錠、発泡錠、トローチ剤、バッカル錠、舌下錠、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、ドライシロップ、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等の経口投与製剤、並びに注射剤、輸液、坐剤、外用剤等が挙げられる。これらのうち、服用の容易性や有効成分の安定性等を考慮すると、散剤、錠剤、カプセル剤等の経口投与製剤が好ましい。
【0053】
前記医薬品には、物理化学的性質、生物学的性質等を考慮して、その剤形に適切な薬学的に許容される公知の製剤用添加剤を適宜配合させることができる。そのような製剤用添加剤としては、例えば、賦形剤(乳糖、デンプン、結晶セルロース、リン酸ナトリウム等)、溶剤(水、大豆油、食塩水、注射用非水性溶剤等)、結合剤(デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(デンプン、カルメロースナトリウム等)、滑沢剤(タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、マクロゴール、ショ糖脂肪酸エステル等)、コーティング剤(白糖、HPC、セラック、ゼラチン、グリセリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート等)、安定剤(亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン等)、保存剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、ベンジルアルコール、フェノール、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、チメロサール等)、粘稠剤(メチルセルロース、カルメロースナトリウム、コンドロイチン硫酸、アルギン酸ナトリウム等)、懸濁化剤(各種非イオン性界面活性剤、メチルセルロース、カルメロースナトリウム等)、乳化剤(アラビアゴム、コレステロール、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム等)、緩衝剤(クエン酸、酢酸、リン酸ナトリウム、ホウ酸)、界面活性剤(水素添加ヒマシ油、ポリソルベート80等)、着色剤(水溶性食用色素、レーキ色素等)、矯味剤(乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール等)、矯臭剤(芳香性精油類等)、可塑剤(フタル酸エステル類、植物油、ポリエチレングリコール等)等が例示される。
【0054】
前記医薬品の投与量については、投与対象者の年齢、体重、症状、投与回数等によって異なり一律に規定することはできないが、該医薬品の投与量として、成人1日当たりの投与されるニコチンアミドモノヌクレオチドの量は、通常1mg~500mg、好ましくは5mg~250mg、より好ましくは50mg~200mgを挙げることができる。1mgよりも少ないと、本発明の効果が得られなくなる恐れがあり、一方、500mgより多くしても得られる効果は特に変わらず、経済的に不利になる。なお、前記医薬品中のニコチンアミドモノヌクレオチドの配合割合については、該医薬品の剤形や投与量等に応じて適宜設定することができる。
【0055】
前記医薬品の投与回数については、投与対象の年齢、体重、症状、該医薬品の1回当たりの投与量等に応じて適宜設定できる。該医薬品の1日当たりの投与回数の一例として、1~3回を挙げることができる。
【0056】
ニコチンアミドモノヌクレオチドは、前述したように、老化防止効果を有することから、本発明は、さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチドの有効量を、それを必要とする対象に摂取させることを特徴とする、老化防止方法を提供する。すなわち、本発明に係る老化防止剤を摂取させることにより、摂取させる対象の老化を防止する方法である。摂取させる対象としては、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等の哺乳類が好ましく、特にヒトが好ましい。前記方法において、ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取量、1日当たりの摂取回数等については、前記老化防止剤について説明した通りである。また、前記老化防止剤は、いついかなる場合にも摂取させることができ、かつ、長期間にわたって対象に摂取させることができる。
【実施例0057】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
[実施例]
実施例1.ニコチンアミドモノヌクレオチドによるメラトニン分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後におけるメラトニン量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例1のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が100mg(低用量)と200mg(高用量))(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に低用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。低用量群:100mg/日摂取)。一方、50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に高用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。高用量群:200mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中のメラトニン量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中のメラトニン濃度(pg/ml)の推移を図2a~cに示す。図2aは対象者全体の推移、図2bは男性対象者の推移、図2cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までのメラトニン血中濃度の変化率(%)を図3a~cに示す。図3aは対象者全体の変化率、図3bは男性対象者の変化率、図3cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中のメラトニン濃度(pg/ml)の数値を表1に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0059】
【表1】
【0060】
2.評価結果
図2a~c、3a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中のメラトニン濃度が高い変化率で上昇した。 以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによるメラトニン分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0061】
実施例2.ニコチンアミドモノヌクレオチドによる成長ホルモン分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後における成長ホルモン量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例2のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が200mg)(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。200mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中の成長ホルモン量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中の成長ホルモン濃度(ng/ml)の推移を図4a~cに示す。図4aは対象者全体の推移、図4bは男性対象者の推移、図4cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までの成長ホルモン血中濃度の変化率(%)を図5a~cに示す。図5aは対象者全体の変化率、図5bは男性対象者の変化率、図5cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中の成長ホルモン濃度(ng/ml)の数値を表2に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0062】
【表2】
【0063】
2.評価結果
図4a~c、5a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中の成長ホルモン濃度が高い変化率で上昇した。 以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによる成長ホルモン分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0064】
実施例3.ニコチンアミドモノヌクレオチドによるグレリン分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後におけるグレリン量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例3のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が200mg)(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。200mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中のグレリン量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中のグレリン濃度(pg/ml)の推移を図6a~cに示す。図6aは対象者全体の推移、図6bは男性対象者の推移、図6cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までのグレリン血中濃度の変化率(%)を図7a~cに示す。図7aは対象者全体の変化率、図7bは男性対象者の変化率、図7cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中のグレリン濃度(pg/ml)の数値を表3に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0065】
【表3】
【0066】
2.評価結果
図6a~c、7a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中のグレリン濃度が高い変化率で上昇した。 以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによるグレリン分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0067】
実施例4.ニコチンアミドモノヌクレオチドによる甲状腺刺激ホルモン分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後における甲状腺刺激ホルモン量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例4のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が200mg)(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。200mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中の甲状腺刺激ホルモン量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中の甲状腺刺激ホルモン濃度(μU/ml)の推移を図8a~cに示す。図8aは対象者全体の推移、図8bは男性対象者の推移、図8cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までの甲状腺刺激ホルモン血中濃度の変化率(%)を図9a~cに示す。図9aは対象者全体の変化率、図9bは男性対象者の変化率、図9cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中の甲状腺刺激ホルモン濃度(μU/ml)の数値を表4に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0068】
【表4】
【0069】
2.評価結果
図8a~c、9a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中の甲状腺刺激ホルモン濃度が高い変化率で上昇した。以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによる甲状腺刺激ホルモン分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0070】
実施例5.ニコチンアミドモノヌクレオチドによる遊離サイロキシン(T)分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後における遊離サイロキシン量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例5のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が200mg)(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に高用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。200mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中の遊離サイロキシン量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中の遊離サイロキシン濃度(ng/dl)の推移を図10a~cに示す。図10aは対象者全体の推移、図10bは男性対象者の推移、図10cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までの遊離サイロキシン血中濃度の変化率(%)を図11a~cに示す。図11aは対象者全体の変化率、図11bは男性対象者の変化率、図11cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中の遊離サイロキシン濃度(ng/dl)の数値を表5に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0071】
【表5】
【0072】
2.評価結果
図10a~c、11a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中の遊離サイロキシン濃度が高い変化率で上昇した。 以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによる遊離サイロキシン分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0073】
実施例6.ニコチンアミドモノヌクレオチドによる副甲状腺ホルモン分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後における副甲状腺ホルモン量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例6のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が100mg(低用量)と200mg(高用量))(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に低用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。低用量群:100mg/日摂取)。一方、50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に高用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。高用量群:200mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中の副甲状腺ホルモン量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中の副甲状腺ホルモン濃度(pg/ml)の推移を図12a~cに示す。図12aは対象者全体の推移、図12bは男性対象者の推移、図12cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までの副甲状腺ホルモン血中濃度の変化率(%)を図13a~cに示す。図13aは対象者全体の変化率、図13bは男性対象者の変化率、図13cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中の副甲状腺ホルモン濃度(pg/ml)の数値を表6に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0074】
【表6】
【0075】
2.評価結果
図12a~c、13a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中の副甲状腺ホルモン濃度が高い変化率で上昇した。 以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによる副甲状腺ホルモン分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0076】
実施例7.ニコチンアミドモノヌクレオチドによるエストラジオール分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後におけるエストラジオール量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例7のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が100mg)(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に高用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。100mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中のエストラジオール量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中のエストラジオール濃度(pg/ml)の推移を図14a~cに示す。図14aは対象者全体の推移、図14bは男性対象者の推移、図14cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までのエストラジオール血中濃度の変化率(%)を図15a~cに示す。図15aは対象者全体の変化率、図15bは男性対象者の変化率、図15cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中のエストラジオール濃度(pg/ml)の数値を表7に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0077】
【表7】
【0078】
2.評価結果
図14a~c、15a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中のエストラジオール濃度が高い変化率で上昇した。 以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによるエストラジオール分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0079】
実施例8.ニコチンアミドモノヌクレオチドによるテストステロン分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後におけるテストステロン量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例8のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が200mg)(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に高用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。200mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中のテストステロン量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中のテストステロン濃度(ng/ml)の推移を図16a~cに示す。図16aは対象者全体の推移、図16bは男性対象者の推移、図16cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までのテストステロン血中濃度の変化率(%)を図17a~cに示す。図17aは対象者全体の変化率、図17bは男性対象者の変化率、図17cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中のテストステロン濃度(ng/ml)の数値を表8に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0080】
【表8】
【0081】
2.評価結果
図16a~c、17a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中のテストステロン濃度が高い変化率で上昇した。 以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによるテストステロン分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0082】
実施例9.ニコチンアミドモノヌクレオチドによるプロラクチン分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後におけるプロラクチン量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例9のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が100mg)(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に高用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。100mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中のプロラクチン量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中のプロラクチン濃度(ng/ml)の推移を図18a~cに示す。図18aは対象者全体の推移、図18bは男性対象者の推移、図18cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までのプロラクチン血中濃度の変化率(%)を図19a~cに示す。図19aは対象者全体の変化率、図19bは男性対象者の変化率、図19cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中のプロラクチン濃度(ng/ml)の数値を表9に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0083】
【表9】
【0084】
2.評価結果
図18a~c、19a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中のプロラクチン濃度が高い変化率で上昇した。 以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによるプロラクチン分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0085】
実施例10.ニコチンアミドモノヌクレオチドによる副腎皮質刺激ホルモン分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後における副腎皮質刺激ホルモン量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例10のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が200mg)(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に高用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。200mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中の副腎皮質刺激ホルモン量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中の副腎皮質刺激ホルモン濃度(pg/ml)の推移を図20a~cに示す。図20aは対象者全体の推移、図20bは男性対象者の推移、図20cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までの副腎皮質刺激ホルモン血中濃度の変化率(%)を図21a~cに示す。図21aは対象者全体の変化率、図21bは男性対象者の変化率、図21cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中の副腎皮質刺激ホルモン濃度(pg/ml)の数値を表10に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0086】
【表10】
【0087】
2.評価結果
図20a~c、21a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中の副腎皮質刺激ホルモン濃度が高い変化率で上昇した。以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによる副腎皮質刺激ホルモン分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0088】
実施例11.ニコチンアミドモノヌクレオチドによるコルチゾール分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後におけるコルチゾール量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例11のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が200mg)(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に高用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。200mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中のコルチゾール量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中のコルチゾール濃度(μg/ml)の推移を図22a~cに示す。図22aは対象者全体の推移、図22bは男性対象者の推移、図22cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までのコルチゾール血中濃度の変化率(%)を図23a~cに示す。図23aは対象者全体の変化率、図23bは男性対象者の変化率、図23cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中のコルチゾール濃度(μg/dl)の数値を表10に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0089】
【表11】
【0090】
2.評価結果
図22a~c、23a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中のコルチゾール濃度が高い変化率で上昇した。 以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによるコルチゾール分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0091】
実施例12.ニコチンアミドモノヌクレオチドによるカルシトニン分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後におけるカルシトニン量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例12のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が200mg)(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に高用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。200mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血漿中のカルシトニン量測定は、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。24週にわたる血漿中のカルシトニン濃度(pg/ml)の推移を図24a~cに示す。図24aは対象者全体の推移、図24bは男性対象者の推移、図24cは女性対象者の推移を表す。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドを対象者に24週にわたって経口投与した際の24週までのカルシトニン血中濃度の変化率(%)を図25a~cに示す。図25aは対象者全体の変化率、図25bは男性対象者の変化率、図25cは女性対象者の変化率を表す。さらに、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)における血漿中のカルシトニン濃度(pg/ml)の数値を表11に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0092】
【表12】
【0093】
2.評価結果
図24a~c、25a~cに示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血漿中のカルシトニン濃度が高い変化率で上昇した。 以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによるカルシトニン分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
【0094】
実施例13.ニコチンアミドモノヌクレオチドによるサーチュイン1(Sirt1)分泌促進効果の評価
ニコチンアミドモノヌクレオチドの摂取前後におけるSirt1量の変化を確認するため、50~70歳の健康な男女を対象に試験を行った。
実施例13のサンプルとして、ニコチンアミドモノヌクレオチドと澱粉を配合したカプセル剤(4カプセル中のニコチンアミドモノヌクレオチド量が200mg)(新興和製薬社製)を用いた。
50~70歳の年齢層に偏りがない健康な男女各5名に高用量の前記カプセル剤を1日1回4カプセルずつ、24週間にわたって摂取させた(全体10名。200mg/日摂取)。適正な評価を行うため、慢性疾患のために医薬品を常用している者、臨床研究に影響する可能性のある健康食品を摂取している者、及び現在他の臨床研究・治験に参加している者、あるいは過去3ヶ月以内に他の他の臨床研究・治験に参加した者は評価の対象者から除外した。前記カプセル剤は、水又はぬるま湯と共に午前10時(食間・空腹時)に摂取させた(経口投与)。
血液中のSirt1量測定については、外部公的機関に依頼して定法にしたがって測定した。サーチュイン遺伝子Sirt1のmRNA発現量について、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取前(0週)、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取後(24週)に採取した血液から、リアルタイムPCR法を用いて解析した。なお、解析は、血液サンプル取得日にcDNAまで精製し、-80℃にて保管しておき、全サンプルが揃ってから一度にリアルタイムPCR法を実施した。リファレンス遺伝子としてGAPDHを用いて発現量を補正した。サーチュイン遺伝子Sirt1のmRNA発現量(GAPDH比)の数値を表12に示す。なお、該数値は平均値±標準偏差を表す。
【0095】
【表13】
【0096】
2.評価結果
表12に示す結果からわかるように、ニコチンアミドモノヌクレオチド摂取により血液中のSirt1の発現量が増加した。以上の結果から、ニコチンアミドモノヌクレオチドを中高年の男女に対して経口投与することによるSirt1分泌促進作用が確認され、ニコチンアミドモノヌクレオチドが老化防止に有効であることが明らかとなった。
また、前記評価の対象者は24週にわたる摂取を行っても腹痛・悪心・嘔吐、頭痛などの不定愁訴や便通異常は全く認められず、ニコチンアミドモノヌクレオチドの安全性が確認された。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図11c
図12a
図12b
図12c
図13a
図13b
図13c
図14a
図14b
図14c
図15a
図15b
図15c
図16a
図16b
図16c
図17a
図17b
図17c
図18a
図18b
図18c
図19a
図19b
図19c
図20a
図20b
図20c
図21a
図21b
図21c
図22a
図22b
図22c
図23a
図23b
図23c
図24a
図24b
図24c
図25a
図25b
図25c