(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096789
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】超弾性ニッケルチタン合金のワイヤ及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
C22C 19/03 20060101AFI20240709BHJP
C22F 1/10 20060101ALI20240709BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
C22C19/03 A
C22F1/10 G
C22F1/00 604
C22F1/00 623
C22F1/00 624
C22F1/00 625
C22F1/00 626
C22F1/00 630K
C22F1/00 630L
C22F1/00 675
C22F1/00 685Z
C22F1/00 686A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 691Z
C22F1/00 694A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024060856
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2022519258の分割
【原出願日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】62/907,500
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】パリクシス ケー.クマー
(57)【要約】
【課題】良好な合金などを提供すること。
【解決手段】平均粒子サイズが0.2~10ミクロンであり、回復可能な歪みが9%を超えるニッケルチタン合金が本明細書に開示されており、この合金は、ニッケルチタン合金に形状固定熱処理を課すことを含む方法を使用して形成される。熱処理は、225℃~350℃の温度で20分~240分の時間、熱を加えることを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.2~10ミクロンの平均粒子サイズと、9%を超える回復可能な歪みを有する、ニッケルチタン合金。
【請求項2】
前記ニッケルチタン合金は7%を超える上方プラトー長さを有する、請求項1記載のニッケルチタン合金。
【請求項3】
前記ニッケルチタン合金は、250MPa未満の下方プラトー応力を有する、請求項1又は2記載のニッケルチタン合金。
【請求項4】
前記ニッケルチタン合金は、400MPa未満の上方プラトー応力を有する、先行の請求項のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
【請求項5】
前記ニッケルチタン合金は、15%を超える破断点伸び率を有する、先行の請求項のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
【請求項6】
インプラント可能なメディカルデバイスにさらに加工される、先行の請求項のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
【請求項7】
0.2~10ミクロンの平均粒子サイズを有するニッケルチタン合金を提供すること、及び、
前記ニッケルチタン合金に形状固定熱処理を課すことを含む方法を使用して形成されたニッケルチタン合金であって、
前記熱処理は、225℃~350℃の温度で20分~240分の時間、熱を加えることを含む、ニッケルチタン合金。
【請求項8】
前記ニッケルチタン合金は9%を超える回復可能な歪みを有する、請求項7記載のニッケルチタン合金。
【請求項9】
前記ニッケルチタン合金は、6%を超える上方プラトー長さを有する、請求項7又は8記載のニッケルチタン合金。
【請求項10】
前記ニッケルチタン合金は、250MPa未満の下方プラトー応力を有する、請求項7~9のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
【請求項11】
前記ニッケルチタン合金は、400MPa未満の上方プラトー応力を有する、請求項7~10のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
【請求項12】
前記ニッケルチタン合金は、15%を超える破断点伸び率を有する、請求項7~11のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
【請求項13】
インプラント可能なメディカルデバイスにさらに加工される、請求項7~12のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
【請求項14】
ニッケルチタン合金を形成するための方法であって、
ニッケルチタン合金を35%~46%の冷間加工状態で提供すること、
550℃~700℃の温度で最大60分間、部分アニーリング熱処理を課すこと、及び、
前記ニッケルチタン合金に熱処理を課すことを含み、
前記熱処理は、225℃~350℃の温度で20分~240分の時間、熱を加えることを含む、方法。
【請求項15】
前記ニッケルチタン合金は、9%を超える回復可能な歪みを有する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記ニッケルチタン合金は、6%を超える上方プラトー長さを有する、請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
前記ニッケルチタン合金は、250MPa未満の下方プラトー応力を有する、請求項14~16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記ニッケルチタン合金は、400MPa未満の上方プラトー応力を有する、請求項14~17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記ニッケルチタン合金は、15%を超える破断点伸び率を有する、請求項14~18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記ニッケルチタン合金をインプラント可能なメディカルデバイスに加工することをさらに含む、請求項14~19のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2019年9月27日に出願された米国仮出願第62/907,500号の優先権を主張し、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
分野
本開示は、一般に、ニッケルチタン合金及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ニッケルチタンなどの形状記憶及び超弾性合金に大きな関心が寄せられてきた。この合金ファミリーは、ニチノール(ニッケルチタン国防省海軍武器研究所)としても知られている。ニチノール合金の性能を活用するための鍵は、オーステナイト相とマルテンサイト相の間で遷移する結晶構造の相変態である。オーステナイト相は一般に高温相と呼ばれ、マルテンサイト相は一般に低温相と呼ばれている。特定の相特性及びある相から別の相への繰り返し可能な変化は、ニチノールのユニークな超弾性と形状記憶特性を達成するための機構である。
【0004】
ニッケルチタン合金は、診断及び治療のためのメディカルデバイスで頻繁に使用されている。例えば、メディカルデバイスの低侵襲的インプラント処置は、標的治療部位へのデリバリーのために、より小さなサイズに収縮され、次いで、解放され、機能的構成に拡張され、ニチノールの超弾性及び/又は形状記憶特性を利用することができるデバイスを要求する。ニッケルチタン合金の特性を維持又は改善しながら、より小さな収縮プロファイルが好ましいメディカルデバイスに特に適した、現在知られている6%の超弾性を超えて増加した超弾性などの特性を有するニッケルチタン合金を製造するためのニチノール材料特性の向上及び製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
要旨
開示される様々な概念はニッケルチタン合金に関する。1つの例(「例1」)によれば、合金は、0.2~10ミクロンの平均粒子サイズと、9%を超える回復可能な歪みを有する。
【0006】
例1に加えて別の例(「例2」)によれば、前記ニッケルチタン合金は7%を超える上方プラトー長さを有する。
【0007】
例1又は2に加えて別の例(「例3」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、250MPa未満の下方プラトー応力を有する。
【0008】
先行する任意の例に加えて別の例(「例4」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、400MPa未満の上方プラトー応力を有する。
【0009】
先行する任意の例に加えて別の例(「例5」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、15%を超える破断点伸び率を有する。
【0010】
先行する任意の例に加えて別の例(「例6」)によれば、前記合金はインプラント可能なメディカルデバイスに加工される。
【0011】
別の例(「例7」)によれば、0.2~10ミクロンの平均粒子サイズを有するニッケルチタン合金を提供すること、及び、前記ニッケルチタン合金に形状固定熱処理を課すことを含む方法を使用して形成されたニッケルチタン合金である。熱処理は、225℃~350℃の温度で20分~240分の時間熱を加えることを含む。
【0012】
例7に加えて別の例(「例8」)によれば、前記ニッケルチタン合金は9%を超える回復可能な歪みを有する。
【0013】
例7又は8に加えて別の例(「例9」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、6%を超える上方プラトー長さを有する。
【0014】
例7~9のいずれか1つに加えて別の例(「例10」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、250MPa未満の下方プラトー応力を有する。
【0015】
例7~10のいずれか1つに加えて別の例(「例11」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、400MPa未満の上方プラトー応力を有する。
【0016】
例7~11のいずれか1つに加えて別の例(「例12」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、15%を超える破断点伸び率を有する。
【0017】
例7~12のいずれか1つに加えて別の例(「例13」)によれば、前記合金は、インプラント可能なメディカルデバイスに加工される。
【0018】
別の例(「例14」)によれば、ニッケルチタン合金を形成するための方法が開示される。この方法は、ニッケルチタン合金を35%~46%の冷間加工状態で提供すること、550℃~700℃の温度で最大60分間、部分アニーリング熱処理を課すこと、及び、前記ニッケル-チタン合金に熱処理を課すことを含む。熱処理は、225℃~350℃の温度で20分~240分の時間、熱を加えることを含む。
【0019】
例14に加えて別の例(「例15」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、9%を超える回復可能な歪みを有する。
【0020】
例14又は15に加えて別の例(「例16」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、6%を超える上方プラトー長さを有する。
【0021】
例14~16のいずれか1つに加えて別の例(「例17」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、250MPa未満の下方プラトー応力を有する。
【0022】
例14~17のいずれか1つに加えて別の例(「例18」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、400MPa未満の上方プラトー応力を有する。
【0023】
例14~18のいずれか1つに加えて別の例(「例19」)によれば、前記ニッケルチタン合金は、15%を超える破断点伸び率を有する。
【0024】
例14~19のいずれか1つに加えて別の例(「例20」)によれば、この方法は、前記ニッケルチタン合金をインプラント可能なメディカルデバイスに加工することをさらに含む。
【0025】
前述の例はまさに実施例であり、本開示によって他の方法で提供される発明の概念のいずれかの範囲を制限又は他の方法で狭めるために読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して記載する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0027】
【
図1】
図1は、従来の処理方法によるNiTi(ニッケルチタン)合金の処理(冷間加工、アニーリング及び形状固定)に関連する様々な工程の流れ図を示している。
【0028】
【
図2】
図2は、本明細書に開示される実施形態による、NiTi(ニッケルチタン)合金を処理する方法(冷間加工、アニーリング及び形状固定)に関連する工程の流れ図を示す。
【0029】
【
図3】
図3は、本明細書に開示される方法を使用して形成されたワイヤの断面微細構造の例を示している。
【0030】
【
図4】
図4は、本明細書に開示された方法による1つの実施形態で形成されたワイヤの応力-歪み曲線の例を示している。
【0031】
【
図5】
図5は、本明細書に開示される処理方法を使用して形成され、従来の処理方法を使用して得られる典型的な応力-歪み応答と比較された、異なる物理特性を有する応力-歪み曲線の例を示す。
【0032】
【
図6】
図6A~6Dは、様々な実施形態による本明細書に開示されるとおりのワイヤを使用して形成されうるインプラント可能なメディカルデバイスの例を示す。
【0033】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0034】
詳細な説明
定義及び用語
本開示は、限定的な方法で読まれることを意図されていない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰する意味の関係で広く読まれるべきである。
【0035】
不正確さの用語に関して、「約」及び「ほぼ」という用語は、交換可能に、記載された測定値を含み、また、記載された測定値に合理的に近い測定値を含む測定値を指すために使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるように、合理的に少量だけ記載された測定値から逸脱している。このような逸脱は、例えば、測定誤差又は性能を最適化するために行われた小さな調整に起因する可能性がある。
【0036】
「ニチノール」(NiTi)という用語は、ニッケルとチタンのほぼ等原子の合金(銅、クロム、鉄、バナジウム、コバルト又はニオブなどの三元、四元又はより多元の元素を含むことができる)を指す。「ニチノール合金」、「NiTi合金」、「ニッケルチタン合金」及び/又は「NiTi合金材料」は、形状記憶又は超弾性挙動を示すNiTiを指すために、本開示全体を通して交換可能に使用されうる。
【0037】
さらに、「ワイヤ」という用語は、本開示全体を通して幾つかの例で言及されているが、シート及びステントフレームなどの他の形態の金属は、本明細書に開示される機械特性と同じ又は類似の機械特性を達成するためにワイヤと同じプロセスを経験しうることが理解されるべきである。
【0038】
「冷間加工」という用語は、金属材料がその再結晶温度よりも低い温度、例えば周囲温度で成形されるプロセスを指す。冷間加工の冷間引抜きプロセス中に、潤滑されたダイを通してワイヤを引張って直径を縮小させる。伸線に伴う変形により、材料における応力が増加し、延性を回復するために、高温での熱処理又はアニーリングの様々な方法によって応力を最終的に緩和しなければならず、これにより、材料をさらに小さな直径に冷間加工できる。冷間加工は、典型的に、ダイを最後に通過する際の断面積の減少を表すパーセンテージで表示される。ワイヤの初期調製はロッドストックから開始し、次いで、冷間加工及びアニーリングを1回以上繰り返すことができる。ワイヤの物理特性は、冷間加工プロセス及びアニーリングプロセスに基づいて決定される。冷間加工としては、ワイヤに対して行われる圧搾、曲げ、引き抜き及びせん断が挙げられ、ワイヤの部分で硬化している製作品を塑性変形させて形状を変化させる。冷間加工は、ワイヤを製造する合金の再結晶温度よりも低い温度で手順が実行されるのでこのように呼ばれる。
【0039】
「アニーリング」又は「アニーリング熱処理」という用語は、完全アニーリング熱処理又は部分アニーリング熱処理のいずれかを含む。完全なアニーリング熱処理は、ランダム結晶配向を持つ材料をもたらすことができ、冷線引き抜き中に生成される様々な材料又は繊維「テクスチャ」は、完全アニーリング及び再結晶中にほとんど除去される。部分アニーリングプロセス中に、結晶粒の成長及び再結晶が起こるが、冷間伸線プロセス中に発生した一定量の材料テクスチャは保持される。部分アニーリングは、冷間加工低減アニーリングプロセスと呼ばれることもある。
【0040】
様々な実施形態の説明
図1は、ニッケルチタン合金から作られたワイヤなどの製品がその特性を獲得するようにする従来の処理プロセス100を示している。形状記憶材料から作られたワイヤ製品は、溶融プロセスから比較的厚い熱間加工されたロッドストックを形成することによって製造される。次に、冷間加工及びアニーリングの組み合わせを使用してロッドストックを細い直径のワイヤに引き抜くことにより、ロッドストックをさらにワイヤへと加工する。
【0041】
従来のワイヤアニーリングは、典型的に、結晶粒成長をもたらす。ニチノールの典型的なアニーリング温度は、様々な時間範囲で550℃を超える。
【0042】
プロセス100の工程102において、ワイヤは、上述の冷間加工及びアニーリングプロセスを受ける。冷間加工としては、とりわけ、ワイヤに対して行われる圧搾、曲げ、引き抜き及びせん断が挙げられ、ワイヤの部分上で硬化している望ましい作製品に塑性変形を経験させ、形状を変化させることを含む。冷間加工は、ワイヤを製造する合金の再結晶温度よりも低い温度で手順が行われるのでこのように呼ばれる。冷間加工中に形成された転位は蓄積し、ワイヤ内の内部応力場をもたらし、それによって閉ループ超弾性を生じる。しかしながら、ワイヤに対して行われる冷間加工が多すぎるならば、ワイヤを形成する材料の多くが内部で固定又はロックされるように、ワイヤは変態に関与する材料の減少を被ることがある。中間アニーリング熱処理は、ワイヤの延性を回復するのに役立ち、冷間加工とアニーリングを交互に使用すると、棒材を所望のワイヤサイズに低減するのに役立つ。幾つかの例において、工程102により、ワイヤは35%~46%の冷間加工状態になる。
【0043】
工程104において、ワイヤは、その後、「形状固定」又は「形状固定熱処理」としばしば呼ばれる後続の熱処理工程又はプロセスを通過する。この工程は、形状固定熱処理の前に材料をマンドレルに固定して材料を新しい形状に拘束することにより、ニチノールワイヤ(又は幾つかの例ではチューブ又はシート)を特定の幾何形状に成形する。所望の結果として得られる形状が複雑な幾何形状を含むならば、追加の形状固定工程106は、工程104の熱処理に続く。ニチノール及びその合金では、典型的な形状固定温度は最大40分の形状固定熱処理時間で400℃~550℃の範囲であることが可能である。
【0044】
図2は、本明細書に開示されるとおりの処理プロセス200を示している。プロセス200の工程202では、ワイヤが工程102で説明された上記の冷間加工及びアニーリングプロセスを受ける。冷間加工は、他の作用の中でもとりわけ、ワイヤに対して行われる圧搾、曲げ、引き抜き及び剪断が挙げられ、ワイヤの部分で硬化している所望の作製物に塑性変形を経験させ、このようにして形状変化を達成する。冷間加工は、合金の再結晶温度より低い温度で行われる。冷間加工中に形成された転位は蓄積し、ワイヤ内の内部応力場をもたらし、それによって閉ループ超弾性を生じさせる。しかしながら、ワイヤに対して行われる冷間加工が多すぎると、ワイヤを形成する材料の多くが内部で固定又はロックされるように、ワイヤは変態に関与する材料の低減を被ることがある。中間アニーリング熱処理は、ワイヤに延性を回復するのに役立ち、冷間加工とアニーリングを交互に使用すると、棒材を所望のワイヤサイズに減らすのに役立つ。幾つかの例において、工程202は、ワイヤを35%~40%、40%~42%、42%~44%、44%~46%又はそれらの任意の組み合わせの冷間加工状態にする。
【0045】
工程204において、ワイヤは、ワイヤを、例えば、流動浴、ソルトポット又は空気炉を介して、合金の再結晶温度より高く、溶融温度より低い温度に加熱し、ワイヤを一定時間その温度に維持し、次にワイヤを冷却する冷間加工低減アニーリングプロセスを受け、それにより、冷間加工プロセスによってワイヤにかかる応力を部分的に緩和し、すなわち冷間加工を減らす。幾つかの例において、冷間加工低減アニーリングプロセスの温度は550℃~700℃である。幾つかの例において、温度は、550℃~600℃、600℃~650℃、650℃~700℃又はそれらの任意の組み合わせの範囲である。幾つかの例において、冷間加工低減アニーリングプロセスは、例えば、最大30分、最大45分、又は最大60分の時間続く。幾つかの例において、工程204の冷間加工低減アニーリングプロセスによって低減される冷間加工の量は、5%より大きく、7%より大きく、10%より大きく、12%より大きく、15%より大きく、20%より大きく、又はそれらの間の任意の値である。
【0046】
工程204からの冷間加工低減アニーリングプロセスは、転位の消滅をもたらし、それにより、内部応力を低減することができ、閉ループ超弾性を可能にする。一方、ワイヤに対するその後の熱処理を行うことによって形成される析出物は、ワイヤ内のコヒーレント応力場を可能にするが、析出物の形成だけでは、閉ループ超弾性を生成することはできない。そのため、閉ループ超弾性を引き起こすには、十分な冷間加工プロセスを析出と組み合わせる必要がある。工程204は、ワイヤが実質的により少ない冷間加工を伴う形態で受け取られるように、工程202に続いて行うことができる。
【0047】
あるいは、ワイヤは、工程206によって示されるように、より少ない冷間加工(すなわち、最後の工程における断面積のより少ない減少)を有するように処理されることができ、ここで、ワイヤは、ワイヤが低い冷間加工パーセンテージを有するように提供される。幾つかの例において、低い冷間加工パーセンテージは、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満又はそれらの間の任意の範囲として規定される。幾つかの例において、工程204の後のワイヤ及び工程206で提供されるワイヤは両方とも、0.2~0.5ミクロン、0.5~1ミクロン、1~2ミクロン、2~4ミクロン、4~6ミクロン、6~8ミクロン、8~10ミクロン又はそれらの任意の組み合わせの範囲の平均粒子サイズを有する。
【0048】
次に、ワイヤは、工程208に従って、低温熱処理プロセスを経る。ここで、熱処理プロセスの温度は、工程104で説明されるような従来の形状固定熱処理温度よりも低い。例えば、工程104の形状固定熱処理プロセスは、400℃~530℃の温度範囲にあり、一方、工程208の低温形状固定熱処理プロセスの温度は、225℃~350℃の範囲である。幾つかの例において、熱処理温度は、225℃~270℃、270℃~300℃、300℃~320℃、320℃~350℃又はそれらの任意の組み合わせの範囲である。
【0049】
各プロセスが行われる時間もまた様々である。幾つかの例において、工程104の形状固定熱処理プロセスは5~40分の間続く。比較すると、幾つかの例における工程208の低温形状固定熱処理プロセスは、より長くかかり、20分~30分、30分~40分、40分~60分、60分~120分、120分~200分、200分を超える、又はそれらの任意の組み合わせの範囲である。幾つかの例において、工程208の熱処理プロセスは、60分未満続くが、他の例において、工程208の熱処理プロセスは、最大240分続く。
【0050】
幾つかの例において、ワイヤはまた、工程208の熱処理中に形状固定プロセスを受け、これは、熱処理前にマンドレルに材料を固定することにより、材料をその新しい形状に拘束することによって、ニチノールワイヤ(又は幾つかの例において、チューブ又はシート)を特定の幾何形状に変換する。幾つかの例において、上述の工程106(
図2には示されていない)と同様の追加の形状固定プロセスは、所望の結果として生じる形状が複雑な幾何形状を含むならば、工程208の熱処理に続く。
【0051】
図3は、上記で説明したプロセス200を使用して処理されたワイヤの断面の拡大図を示している。例えば、画像300は、ワイヤの長さに対して長手方向に切断されたワイヤの図であり、画像302は、ワイヤの長さに対して横断方向に切断されたワイヤの図である。幾つかの例において、画像300又は302に示されているワイヤは、平均サイズの粒子サイズが0.2~10ミクロンで、オーステナイト系仕上げの変態温度が-100℃~50℃であることを示している。幾つかの例において、アニーリング熱処理プロセスの温度が上昇すると、粒子サイズが増加する。
【0052】
プロセス200における上述の各工程の間に、ワイヤの物理特性は変化を受け、ここで、物理特性は、弾性率、永久歪み、回復可能な歪み、プラトー応力、ならびに本明細書でさらに論じられる他の特性などを含む。これらの特性は、ニッケル-チタン超弾性材料の引張試験のためのASTM F2516標準試験方法として知られている試験方法を使用して測定される。ASTM F2516法において、ニチノールワイヤのサンプルは、ワイヤの両端を測定装置の固定具に固定することによって負荷される。ワイヤが測定装置にしっかりと固定された後に、ワイヤが指定された歪みパーセンテージに達するまで、ワイヤの両端が指定された速度で互いに引き離される。幾つかの例において、この指定された歪みパーセンテージは、ワイヤの長さの6%である。次に、ワイヤの両端の移動方向を逆にして、負荷が所定の限界を下回るまで両端を互いに近づける。最終的に、今度はワイヤが断線するまでワイヤの両端を再び引き離す。各工程で取られた測定値は、試験対象のニチノールの物理特性を表す応力-歪み曲線を作成するために使用される。このような応力-歪み曲線の例を下記に説明するように
図4に示す。
【0053】
図4は、ニチノールワイヤの閉ループ超弾性を示す応力-歪み曲線400の例を示す。応力-歪み曲線400は、ASTM F2516法を使用して決定することができるニチノールワイヤの特性の幾つかを含む。両端を反対方向に引っ張ることによってワイヤに初期歪みが加えられると、ワイヤは、引張歪みに対する引張応力の比を規定するE
A(すなわち、ヤング率又は弾性率)の勾配を有する線形弾性(非永久)変形402を受ける。次に、引張応力は、ワイヤに追加の応力が加えられることなくワイヤが引張歪みを受ける平坦な領域又はプラトー404を経験する。ASTM F2516法の仕様によれば、上方プラトー応力(UPS)は、このプラトー404で測定された応力として定義され、特に引張応力が初期的に加えられたときの3%の歪みで規定される。次に、ASTM F2516法の仕様によれば、歪みが適用歪み405に達するまで引張応力が加えられ、この適用歪みは、ASTM F2516の仕様により6%であり、ニチノールを試験するための初期荷重歪み又は回復可能(すなわち、可逆的)歪みである。その後、負荷解除プロセス406中に方向が逆になり、ワイヤの両端が互いに近づく。ワイヤは、このプロセスで別のプラトー408を経て、ワイヤが初期6%の歪みに達した後に、2.5%歪みでASTM F2516法の仕様に従って下方プラトー応力(LPS)が測定される。UPS404とLPS408の値の差は、機械的ヒステリシスとして規定される。適用歪み405の異なる値について、異なる量の残留伸び411が観察されることに留意されたい。回復可能な歪みは、歪み405が適用された後に残留伸び411がほとんど又は全く観察されない歪み(例えば、0.5%未満)である。
【0054】
その後、ASTM F2516法の仕様に従って、ワイヤに7MPaの応力が加えられる。他の応力の不在において、ワイヤは初期長さに戻ることができる。多くのニチノールワイヤにおいて、ワイヤの長さは変化しないか、又は、ほとんど変化せず、例えば、6%の初期歪みに達する前後の長さの変化は0.5%未満であるが、幾つかの場合において、ワイヤの得られる長さは初期長さより長い。これらの場合において、ワイヤは、得られるワイヤの長さを初期長さと比較することによって決定される残留伸び411を備えた永久変形410を受けたと言われる。最後に、ワイヤの両端が再び反対方向に引っ張られ、ワイヤは弾性変形402及び上方プラトー404を経る。しかし、今回、ワイヤは6%の歪みを超えて引っ張られ、第二の弾性荷重領域412を受け、塑性(永久)変形を伴うことができる。その後、ワイヤが破損又は破壊し、これにより、ワイヤの破断点伸び率413を表す。幾つかの例において、破断点伸び率413は、15%以上の歪みである。上記の方法で試験されたワイヤでは、上方プラトー長さ(UPL)414は、ワイヤの荷重の開始(つまり、0%の歪み)から、第二の荷重領域412の直前の上方プラトー404の終了までの合計歪みとして規定される。幾つかの例において、UPL414は、7%を超える歪み、8%を超える歪み又は9%を超える歪みである。幾つかの例において、UPS404は400MPa未満であり、LPS408は250MPa未満である。
【0055】
ニチノールワイヤを処理するために使用される方法の例、ならびにその方法を使用して調製された各ワイヤの結果として生じる特性を以下に開示する。これらの例ではニチノールワイヤの使用について記載するが、チューブ又はシートなどの他の材料の形態にも適用できる。これらの方法は例示的なものであり、限定的なものでなく、さらなる使用は、当業者によって認識されるであろう。
【0056】
例1:ニチノールワイヤ(例えば、0.0206インチ又は0.523mmのワイヤ直径のASTM F2516準拠超弾性ニチノールワイヤ)は、450℃~500℃で15~20分の時間、熱処理された典型的なニチノールワイヤの例を示す。熱処理は、幾らかの冷間加工を緩和し、また、ワイヤ内に析出物を形成させ、これは、ニチノールワイヤ内の析出硬化のプロセスを助けて、その降伏強度を増加させる。
【0057】
例2:ニチノールワイヤは、ワイヤの直径を減少させるために、上記のプロセス200の工程202で述べられたように冷間加工プロセスを受ける。具体的には、ニチノールワイヤは、ワイヤの再結晶温度(550℃)よりもはるかに低い室温(約25℃)で引き抜きプロセスを受ける。次に、工程204において、ワイヤは、合金の再結晶温度(550℃)より高く、溶融温度(1310℃)より低い温度にワイヤを加熱し、冷間加工に関連する応力を部分的に緩和するために、一定時間ワイヤをその温度に維持するアニーリングプロセスを受ける。この例において、ワイヤは670℃で10分間のアニーリングプロセスを受けた。その後、次の工程106において、部分的にアニーリングされたワイヤは、ワイヤが再結晶温度より低い温度(この例では320℃)で40分間加熱される低温熱処理を受ける。
【0058】
図5は、例1及び2に従って同じNiTi合金材料を処理することから生じる異なる閉ループ応力-歪み曲線500及び502を比較している。具体的には、応力-歪み曲線500は、例1で処理されたワイヤの曲線であり、応力-歪み曲線502は、例2で処理されたワイヤの曲線である。
図5から判るように、曲線502は、9.2%でより長い上方プラトー長さを有し、一方、曲線500は、6%でプラトー長さを有する。さらに、UPS 404及びLPS 408はまた、曲線502において、曲線500よりも低い。さらに、曲線500の破壊点伸び率は、例1のワイヤが歪み下で破壊するときの11%である。他方、曲線502は、破損することなく11%よりも高い歪みに耐えることができ、それにより、例2のワイヤの延性を示している。
【0059】
幾つかの例において、得られたワイヤは、8%を超える、9%を超える、又は10%を超える回復可能な歪みを有する。幾つかの例において、NiTi合金は、巻線デバイスなどのワイヤ構造に加工される。幾つかの例において、巻線デバイスは、それに取り付けられたカバーを有して、巻線されたNiTiチューブを備えたカバー付きステントを形成する。NiTi合金を使用する他の適切な構造も、例えば医療目的のために想定される。
【0060】
図6A~6Dは、本明細書に開示されるとおりのワイヤを使用して作製されうる様々なインプラント可能なメディカルデバイスの例を示している。ワイヤは、当該技術分野で知られている任意の適切な方法を使用して、これらのメディカルデバイスのいずれか1つ以上に加工されうる。例は単なる例示であり、網羅的であることを意図するものではなく、メディカルデバイスの形状及び構成は、図に示されているものに限定されない。
【0061】
図6Aは、1つ以上のワイヤ又はステント601及び1つ以上の膜状材料又はグラフト602を含むステントグラフト600の例を示す。ワイヤ又はステント601は、グラフト602の周囲にらせん状に形成されうるが、任意の適切な構成が想定されうる。
【0062】
図6Bは、ワイヤ又はストラット611と、中央支持部材613に取り付けられた1つ以上の膜状材料又はフィルタ要素612とを含む塞栓フィルタ610の例を示す。ストラット611は、真っ直ぐであり、湾曲状であり、又は他の任意の適切な形状及び構成を有することができる。
【0063】
図6Cは中隔閉塞器又は心臓シーリングデバイス620の例を示し、前記デバイスは、ワイヤフレーム621を形成する1つ以上のワイヤ、1つ以上の膜状材料又はシーリング部材622、及び、そこを通る流体流を制御するために閉塞されても又は閉塞されなくてもよい1つ以上のアイレット623を含む。ワイヤフレーム621は、アイレット623に取り付けられるか又はそれとともに実装されることができ、シール部材622は、ワイヤフレーム621に取り付けられることができる。ワイヤフレーム621は、当該技術分野で知られているとおりの任意の適切な構成をとることができる。
【0064】
図6Dは、弁フレーム631を形成する1つ以上のワイヤと、1つ以上の膜状材料又はカバー632とを含む心臓弁又は人工器官保持要素630の例を示す。カバー632は、弁フレーム631に取り付けられるか又はそれとともに実装されることができる。弁フレーム631は、当該技術分野で知られているとおりの任意の適切な構成をとることができる。
【0065】
本明細書に開示される実施形態及び方法は、様々な形状記憶物品を可能にするように使用されうる。形状記憶物品は、好ましくは、メディカルデバイスであり、より好ましくは、インプラント可能なメディカルデバイスである。インプラント可能なメディカルデバイスは、最も好ましくは、ニチノール形状記憶合金のデバイスであり、最も特には、通常の体温(約37℃)で超弾性である。インプラント可能なメディカルデバイスは、24時間以上の時間、生体内に留まることが意図されるデバイスと定義される。
【0066】
形状記憶合金物品は、円形、楕円形、正方形、矩形などを含む様々な横断面形状のワイヤなどの様々な形状の材料から製造されうる。あるいは、物品は、シート、チューブ又はロッドなどの、前駆体形態を機械加工することによって、又は、放電加工(EDM)、レーザ切断、化学ミリングなどにより製造することができる。
【0067】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関しての両方で上記に記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入るかぎり、本発明の変更及び変形を網羅することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関しての両方で上記に記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入るかぎり、本発明の変更及び変形を網羅することが意図される。
(態様)
(態様1)
0.2~10ミクロンの平均粒子サイズと、9%を超える回復可能な歪みを有する、ニッケルチタン合金。
(態様2)
前記ニッケルチタン合金は7%を超える上方プラトー長さを有する、態様1記載のニッケルチタン合金。
(態様3)
前記ニッケルチタン合金は、250MPa未満の下方プラトー応力を有する、態様1又は2記載のニッケルチタン合金。
(態様4)
前記ニッケルチタン合金は、400MPa未満の上方プラトー応力を有する、先行の態様のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
(態様5)
前記ニッケルチタン合金は、15%を超える破断点伸び率を有する、先行の態様のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
(態様6)
インプラント可能なメディカルデバイスにさらに加工される、先行の態様のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
(態様7)
0.2~10ミクロンの平均粒子サイズを有するニッケルチタン合金を提供すること、及び、
前記ニッケルチタン合金に形状固定熱処理を課すことを含む方法を使用して形成されたニッケルチタン合金であって、
前記熱処理は、225℃~350℃の温度で20分~240分の時間、熱を加えることを含む、ニッケルチタン合金。
(態様8)
前記ニッケルチタン合金は9%を超える回復可能な歪みを有する、態様7記載のニッケルチタン合金。
(態様9)
前記ニッケルチタン合金は、6%を超える上方プラトー長さを有する、態様7又は8記載のニッケルチタン合金。
(態様10)
前記ニッケルチタン合金は、250MPa未満の下方プラトー応力を有する、態様7~9のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
(態様11)
前記ニッケルチタン合金は、400MPa未満の上方プラトー応力を有する、態様7~10のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
(態様12)
前記ニッケルチタン合金は、15%を超える破断点伸び率を有する、態様7~11のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
(態様13)
インプラント可能なメディカルデバイスにさらに加工される、態様7~12のいずれか1項記載のニッケルチタン合金。
(態様14)
ニッケルチタン合金を形成するための方法であって、
ニッケルチタン合金を35%~46%の冷間加工状態で提供すること、
550℃~700℃の温度で最大60分間、部分アニーリング熱処理を課すこと、及び、
前記ニッケルチタン合金に熱処理を課すことを含み、
前記熱処理は、225℃~350℃の温度で20分~240分の時間、熱を加えることを含む、方法。
(態様15)
前記ニッケルチタン合金は、9%を超える回復可能な歪みを有する、態様14記載の方法。
(態様16)
前記ニッケルチタン合金は、6%を超える上方プラトー長さを有する、態様14又は15記載の方法。
(態様17)
前記ニッケルチタン合金は、250MPa未満の下方プラトー応力を有する、態様14~16のいずれか1項記載の方法。
(態様18)
前記ニッケルチタン合金は、400MPa未満の上方プラトー応力を有する、態様14~17のいずれか1項記載の方法。
(態様19)
前記ニッケルチタン合金は、15%を超える破断点伸び率を有する、態様14~18のいずれか1項記載の方法。
(態様20)
前記ニッケルチタン合金をインプラント可能なメディカルデバイスに加工することをさらに含む、態様14~19のいずれか1項記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.2~10ミクロンの平均粒子サイズと、9%を超える回復可能な歪みを有する、ニッケルチタン合金。
【外国語明細書】