(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096810
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】接触表面に所望の滑りトルクを有する、2つの構成要素間にトレランス・リングを有するアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16D 7/02 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
F16D7/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061635
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2022525031の分割
【原出願日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】62/948,133
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】310004529
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス レンコール リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スレイン、アンドリュー アール.
(72)【発明者】
【氏名】サンダース、スティーブン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内側構成要素、外側構成要素、及び、内側構成要素と外側構成要素との間に位置し、両者間の締り嵌めを提供するトレランス・リング100を含むアセンブリを提供する。
【解決手段】トレランス・リングは、第1の径方向表面上の径方向に延在する複数の突起部108と、第1の径方向表面の反対側の第2の径方向表面上の未形成領域114と、を含む側壁102を含む。トレランス・リング100は、トレランス・リング突起部108と内側構成要素又は外側構成要素との間の脱離トルクとして定義される第1の脱離トルクτ
1を提供し、トレランス・リング100は、未形成領域114と内側構成要素又は外側構成要素の他方との間の脱離トルクとして定義される第2の脱離トルクτ
2を提供し、1.1τ
2≦τ
1である。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレランス・リングであって、
前記トレランス・リングは側壁を有し、前記側壁は、第1の径方向表面上の、径方向に
延びる複数の突起部と、前記第1の径方向表面の反対側の第2の径方向表面上の未形成領
域とを有し、前記トレランス・リングは、前記トレランス・リング突起部と内側構成要素
又は外側構成要素との間の脱離トルクとして定義される第1の脱離トルクτ1を提供し、
また前記トレランス・リングは、前記未形成領域と前記内側構成要素又は前記外側構成要
素の他方との間の脱離トルクとして定義される第2の脱離トルクτ2を提供し、1.1τ
2≦τ1である、トレランス・リング。
【請求項2】
アセンブリであって、
内側構成要素と、
外側構成要素と、
前記内側構成要素と前記外側構成要素との間に位置し、両者間の締り嵌めを提供するト
レランス・リングと
を有し、
前記トレランス・リングは側壁を有し、前記側壁は、第1の径方向表面上の、径方向に
延びる複数の突起部と、前記第1の径方向表面の反対側の第2の径方向表面上の未形成領
域とを有し、前記トレランス・リングは、前記トレランス・リング突起部と内側構成要素
又は外側構成要素との間の脱離トルクとして定義される第1の脱離トルクτ1を提供し、
また前記トレランス・リングは、前記未形成領域と前記内側構成要素又は前記外側構成要
素の他方との間の脱離トルクとして定義される第2の脱離トルクτ2を提供し、1.1τ
2≦τ1である、アセンブリ。
【請求項3】
1.2τ2≦τ1である、請求項1又は2に記載のトレランス・リング又はアセンブリ
。
【請求項4】
前記トレランス・リング突起部は、前記内側構成要素と前記外側構成要素との間の公差
補償を提供するように適合された第1のタイプの突起部と、前記内側構成要素又は前記外
側構成要素と係合して、前記トレランス・リングと前記内側構成要素又は前記外側構成要
素との間の円周方向脱離トルクτを増加させるように適合された第2のタイプの突起部と
を有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載のトレランス・リング又はアセンブ
リ。
【請求項5】
前記突起部の各々は、円周方向幅及び径方向高さ、並びに径方向に延びる円周方向尾根
部を含み、前記尾根部は、前記円周方向幅内でピークまで上昇し且つ前記ピークから下降
しており、また一対の肩部によって軸方向に固定されている、請求項1から3までのいず
れかに一項に記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【請求項6】
前記第1のタイプの突起部は、前記第2のタイプの突起部に対して異なる径方向高さを
有する、請求項4又は5に記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【請求項7】
前記第1のタイプの突起部は、前記第2のタイプの突起部に対して異なる円周方向幅を
有する、請求項4から6までのいずれか一項に記載のトレランス・リング又はアセンブリ
。
【請求項8】
前記第1のタイプの突起部は、前記第2のタイプの突起部に対して異なる肩部長さを有
する、請求項4から7までのいずれか一項に記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のタイプの突起部は、前記第2のタイプの突起部に対して異なる、円周方向尾
根部の傾きを有する、請求項4から8までのいずれか一項に記載のトレランス・リング。
【請求項10】
前記第1のタイプの突起部は、前記第2のタイプの突起部に対して異なる剛性を有する
、請求項4から9までのいずれか一項に記載のトレランス・リング。
【請求項11】
前記複数の突起部は径方向内側に延び、且つ前記内側構成要素に接触する、請求項1か
ら10までのいずれか一項に記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【請求項12】
前記複数の突起部は径方向外側に延び、且つ前記外側構成要素に接触する、請求項1か
ら11までのいずれか一項に記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【請求項13】
前記内側構成要素又は前記外側構成要素の少なくとも1つは、前記突起部の少なくとも
1つを収容するように適合された溝を有し、それにより前記トレランス・リング突起部と
前記溝との間の円周方向運動を防止する、請求項1から12までのいずれか一項に記載の
トレランス・リング又はアセンブリ。
【請求項14】
前記トレランス・リングは、軸方向ギャップを有する、請求項1から13までのいずれ
か一項に記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【請求項15】
前記側壁は、金属を含む、請求項1から14までのいずれか一項に記載のトレランス・
リング又はアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してトレランス・リングに関し、特にトルク・アセンブリを修正するトレ
ランス・リングに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、トレランス・リングは、相対的に移動する部品の間の、例えば外側構成要素
内のボア内の回転する内側構成要素の運動を拘束する。さらに、トレランス・リングは、
多数の他の潜在的な利点を有し、それらは例えば、正確な寸法に機械加工されない部品に
対するトレランス(公差)を補償する、部品間の異なる膨張係数を補償する、迅速なアセ
ンブリを可能にする、及び耐久性などである。1つのタイプのトレランス・リングは、内
側構成要素の外面と外側構成要素のボアの内面との間のギャップ内に位置し、アセンブリ
内にトルクを伝えてもよい。例示的なアセンブリは、ドア、フード、テールゲート及びエ
ンジン室ヒンジ・シート、ステアリング・コラム、フライホイール、駆動軸アセンブリを
含んでもよく、又は、特に自動車用途において用いられる他のアセンブリを含んでもよい
。時々、この種のアセンブリの内側構成要素及び外側構成要素の所望の表面で所望の滑り
を有する必要が存在する。それゆえ、改善された滑り性能を提供し、適切な公差補償を維
持し、アセンブリのより長い寿命を提供する改善されたトレランス・リングの継続的な必
要が存在する。
【0003】
本開示は、添付の図面を参照することによって、より良く理解され、その多数の特徴及
び利点は、当業者にとって明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】一実施例によるトレランス・リングを生成する方法を含む。
【
図2A】一実施例によるトレランス・リングの一実施例の断面図を含む。
【
図2B】一実施例によるトレランス・リングの一実施例の断面図を含む。
【
図2C】一実施例によるトレランス・リングの一実施例の断面図を含む。
【
図2D】一実施例によるトレランス・リングの一実施例の断面図を含む。
【
図3A】本発明によって構築されるトレランス・リングの一実施例の斜視図を含む。
【
図3B】本発明によって構築されるトレランス・リングの一実施例の平面図を含む。
【
図3C】本発明によって構築されるトレランス・リングの一実施例の側面図を含む。
【
図4】本発明によって構築されるトレランス・リングの他の実施例の斜視図を含む。
【
図5A】アセンブリでの
図3Aのトレランス・リングの軸方向断面図を含む。
【
図5B】アセンブリでの
図3Aのトレランス・リングの径方向断面図を含む。
【
図6】一実施例によるアセンブリでのトレランス・リングの端面図を含む。
【
図7】一実施例によるトレランス・リングを試験するとき、時間(s)の関数としてのトルク(N・m)のサンプル・グラフを含む。
【
図8】自由状態又はアセンブリでの多角的な制御トレランス・リングを含む。
【
図9】一実施例による自由状態又はアセンブリでの多角的な実験用トレランス・リングを含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
当業者は、図中の要素が単純化及び明瞭化のために示されており、必ずしも縮尺どおり
に描かれていないことを認識する。例えば、図中の要素のいくつかの寸法は、本発明の実
施例の理解を改善するのを助けるために、他の要素に対して誇張されることがある。複数
の図面における同一の参照符号の使用は、同一又は類似のアイテムを示す。
【0006】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示を理解するのを助けるた
めに提供される。以下の説明は、本教示の具体的な実装及び実施例に着目するものである
。この着目は、本教示を説明するのを助けるために提供されており、本教示の範囲又は適
用性に対する限定として解釈されるべきではない。しかしながら、本出願で開示される教
示に基づいて他の実施例を使用することができる。
【0007】
「有する」、「有している」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している
」という用語又はその任意の他の変形は、非排他的包含を含むことを意図している。例え
ば、特徴のリストを有する方法、物品又はアセンブリは、必ずしもそれらの特徴のみに限
定されず、そのような方法、物品又はアセンブリに明示的にリスト化されていないか又は
固有ではない他の特徴を含んでもよい。さらに、明示的にそうではないことが述べられて
いない限り、「又は」は、包含的な「又は」を指し、排他的な「又は」を意味しない。例
えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる。Aは真(又は存在する
)且つBは偽(又は存在しない)、Aは偽(又は存在しない)且つBは真(又は存在する
)、及び、AとBの両方が真(又は存在する)である。
【0008】
また、「1つ」の使用は、本明細書に記載の要素及び構成要素を説明するために使用さ
れる。これは単に便宜上及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われている。
この説明は、他を意味することが明確でない限り、1つ、少なくとも1つ又は複数も含む
単数形又はその逆を含むように読む必要がある。例えば、本明細書で単一の実施例が説明
される場合、単一の実施例の代わりに2つ以上の実施例が使用されてもよい。同様に、本
明細書で2つ以上の実施例が説明される場合、単一の実施例は、その2つ以上の実施例の
代わりにしてもよい。
【0009】
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は、
本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。材料、
方法及び実例は、例示的なものにすぎず、限定的であることを意図しない。本明細書で説
明しない範囲で、具体的な材料及び処理作用に関する多くの詳細は、従来的なものであり
、トレランス・リング及びトレランス・リング・アセンブリ技術の範囲内の教科書及び他
のソースに見出されてもよい。
【0010】
図1は、例示を目的として、トレランス・リングを形成するための形成プロセス10を
示す図を含む。形成プロセス10は、基板を含む材料又は複合材料を提供する第1のステ
ップ12を含んでもよい。オプションで、形成プロセス10は、材料又は複合材料の端部
をカールさせて、トレランス・リングを形成する第2のステップ14をさらに含んでもよ
い。
【0011】
図2Aは、形成プロセス10の第1のステップ12のトレランス・リングに形成されて
もよい材料1000の例示を含む。トレランス・リングは、基板119を含んでもよい。
一実施例では、基板119は、少なくとも部分的に金属を含むことができる。特定の実施
例によれば、金属は、鉄、銅、チタン、スズ、アルミニウム、それらの合金を含んでもよ
く、又は別の種類の金属でもよい。より具体的には、基板119は、ステンレス鋼、炭素
鋼又はばね鋼などの鋼を少なくとも部分的に含むことができる。例えば、基板119は、
301ステンレス鋼を少なくとも部分的に含むことができる。301ステンレス鋼は、焼
鈍、1/4硬質、1/2硬質、3/4硬質又は完全硬質でもよい。さらに、鋼は、クロム
、ニッケル又はこれらの組み合わせを含むステンレス鋼を含むことができる。一実施例で
は、基板119は、織布メッシュ又は膨張金属グリッドを含んでもよい。織布メッシュ又
は膨張金属グリッドは、金属又は金属合金、例えばアルミニウム、鋼、ステンレス鋼、青
銅などを含むことができる。或いは、織布メッシュは、織布ポリマー・メッシュとするこ
とができる。他の実施例では、基板119は、メッシュ又はグリッドを含まなくてもよい
。さらに、基板119は、≧350、例えば、≧375、≧400、≧425、又は≧4
50とすることができる、ビッカース・ピラミッド硬度数VPNを含むことができる。V
PNはまた、≦500、≦475又は≦450とすることができる。VPNはまた、本明
細書で説明するVPN値のいずれか間で、且つそれらを含む範囲内とすることができる。
別の態様では、基板119は、その耐腐食性を高めるように処理することができる。具体
的には、基板119は、不動態化することができる。例えば、基板119は、ASTM規
格A967に従って、不動態化することができる。基板119は、面取り、旋削、リーマ
仕上げ、鍛造、押出、成型、焼結、圧延又は鋳造のうちの少なくとも1つによって形成さ
れてもよい。
【0012】
基板119は、約1ミクロンから約1000ミクロン、例えば、約50ミクロンから約
500ミクロン、例えば、約100ミクロンから約250ミクロン、例えば、約75ミク
ロンから約150ミクロンの厚さTsを有することができる。いくつかの実施例では、基
板119は、約50から1000ミクロンの厚さTsを有してもよい。基板119の厚さ
Tsは、上記の最小値及び最大値の任意の間の任意の値でもよいことがさらに認識される
であろう。基板119の厚さは、均一とすることができ、すなわち、基板119の第1の
位置での厚さは、それに沿った第2の位置での厚さに等しくてもよい。基板119の厚さ
は、不均一でもよく、すなわち、基板119の第1の位置での厚さは、それに沿った第2
の位置での厚さとは異なることができる。
【0013】
図2Bは、形成プロセス10の第1のステップ12のトレランス・リングに形成されて
もよい、材料1000の代替の複合材料1001の例示を含む。
図2Bは、例示を目的と
して、トレランス・リングの複合材料1001の多層構成を示す。いくつかの実施例では
、複合材料1001は、(上述した)基板119と、基板119に結合されたか又は基板
119を覆う低摩擦層104と、を含んでもよい。より特定の実施例では、複合材料10
01は、基板119と、基板119を覆う複数の低摩擦層104と、を含んでもよい。図
2Bに示すように、低摩擦層104は、基板119の少なくとも一部分に結合可能である
。特定の実施例では、低摩擦層104は、別の構成要素の別の表面との界面を形成するよ
うに、基板表面119に結合可能である。低摩擦層104は、径方向内側の基板表面11
9に結合可能である。或いは、低摩擦層104は、径方向外側の基板表面119に結合可
能である。
【0014】
いくつかの実施例では、低摩擦層104は、低摩擦材料を含むことができる。低摩擦材
料は、例えば、ポリケトン、ポリアラミド、ポリフェニレン・スルフィド、ポリエーテル
サルホン、ポリフェニレン・スルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、フ
ッ素重合体、ポリベンソイミダゾール、ポリアセタール、ポリブチレン・テレフタレート
(PBT)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエー
テルイミド、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ポ
リスルホン、ポリアミド(PA)、ポリフェニレン・オキシド、ポリフェニレン・スルフ
ィド(PPS)、ポリウレタン、ポリエステル、液晶ポリマー(LCP)などのポリマー
又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。実例において、低摩擦層104は、例え
ば、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリエーテル・ケトン、ポリエーテ
ル・ケトン・ケトン、ポリエーテル・ケトン・エーテル・ケトンなどのポリケトン、その
誘導剤又はそれらの組み合わせを含む。追加の実例において、低摩擦層104は、超高分
子量ポリエチレンを含んでもよい。他の実例では、低摩擦層104は、フッ化エチレン・
プロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデ
ン(PVDF)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テトラフルオロエチレン
の三元重合体、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデン(THV)、ポリクロロ
トリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(E
TFE)又はエチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE))を含むフ
ッ素重合体を含んでもよい。低摩擦層104は、リチウム石鹸、黒鉛、窒化ホウ素、二硫
化モリブデン、タングステン・ジスルフィド、ポリテトラフルオロエチレン、窒化炭素、
タングステン・カーバイド又はダイヤモンド状炭素、金属(例えば、アルミニウム、亜鉛
、銅、マグネシウム、スズ、白金、チタン、タングステン、鉄、青銅、鋼、ばね鋼、ステ
ンレス鋼)、金属合金(リストされる金属を含む)、陽極酸化金属(リストされる金属を
含む)又はそれらの任意の組み合わせを含む固体系材料を含んでもよい。フッ素重合体は
、具体的な実施例に従って用いられてもよい。一実施例において、低摩擦層104は、織
布メッシュ又は膨張金属グリッドを含んでもよい。織布メッシュ又は膨張金属グリッドは
、金属又は金属合金、例えば、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、青銅などを含むことが
できる。或いは、織布メッシュは、織布ポリマー・メッシュとすることができる。代替実
施例では、低摩擦層104は、メッシュ又はグリッドを含まなくてもよい。
【0015】
いくつかの実施例では、低摩擦層104は、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン、PEE
K、芳香族ポリエステル、炭素粒子、青銅、フルオロポリマー、熱可塑性フィラー、酸化
アルミニウム、ポリアミドイミド(PAI)、PPS、ポリフェニレン・スルホン(PP
SO2)、LCP、芳香族ポリエステル、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛
、グラフェン、膨張黒鉛、窒化ホウ素、タルク、フッ化カルシウム又はそれらの任意の組
み合わせを含むフィラーをさらに含んでもよい。さらに、フィラーは、アルミナ、シリカ
、二酸化チタン、フッ化カルシウム、窒化ホウ素、雲母、ウォラストナイト、炭化ケイ素
、窒化ケイ素、ジルコニア、カーボン・ブラック、顔料又はそれらの任意の組み合わせを
含むことができる。フィラーは、ビーズ、繊維、粉末、メッシュ又はそれらの任意の組み
合わせの形態とすることができる。フィラーは、低摩擦層の総重量に基づき、少なくとも
10重量%、例えば、少なくとも15重量%、20重量%、25重量%又は30重量%で
もよい。
【0016】
一実施例では、低摩擦層104は、約1ミクロンから約500ミクロン、例えば、約1
0ミクロンから約250ミクロン、例えば、約30ミクロンから約150ミクロン、例え
ば、約40ミクロンから約100ミクロンの厚さTLFLを有することができる。いくつ
かの実施例では、低摩擦層104は、約50から250ミクロンの厚さTLFLを有して
もよい。低摩擦層104の厚さTLFLは、上記の最小値及び最大値の任意の間の任意の
値でもよいことがさらに認識されるであろう。低摩擦層104の厚さは、均一でもよく、
すなわち、低摩擦層104の第1の位置での厚さは、それに沿った第2の位置での厚さに
等しくすることができる。低摩擦層104の厚さは、不均一でもよく、すなわち、低摩擦
層104の第1の位置での厚さは、それに沿った第2の位置での厚さと異なることができ
る。異なる低摩擦層104が異なる厚さを有してもよいことを認識することができる。低
摩擦層104は、図示のように基板119の一方の主表面を覆ってもよいし、又は両方の
主表面を覆ってもよい。基板119は、低摩擦層104によって少なくとも部分的にカプ
セル化されてもよい。すなわち、低摩擦層104は、基板119の少なくとも一部分を覆
ってもよい。基板119の軸方向表面は、低摩擦層104から露出されてもよい。
【0017】
図2Cは、形成プロセス10の第1のステップ12のトレランス・リングに形成されて
もよい、材料1000、1001の代替の、複合材料1002の代替の実施例の例示を含
む。
図2Cは、例示を目的として、トレランス・リングの複合材料1002の多層構成を
示す。この特定の実施例によれば、この複合材料1002がまた、低摩擦層104を基板
119及び低摩擦層104に結合してもよい少なくとも1つの接着剤層121も含んでも
よいことを除いて、複合材料1002は、
図2Bの複合材料1001と類似してもよい。
他の代替実施例では、基板119は、固体構成要素、織布メッシュ又は膨張金属グリッド
として、低摩擦層104と基板119との間に含まれる少なくとも1つの接着剤層121
の間に埋設されてもよい。
【0018】
接着剤層121は、これらに限定されるものではないが、フルオロポリマー、エポキシ
樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミド・コポリマー、エチレン酢酸ビニル、
エチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、ETFEコポリマー、パーフルオロア
ルコキシ(PFA)又はそれらの任意の組み合わせを含むリング技術に一般的な任意の公
知の接着材料を含んでもよい。さらに、接着剤は、-C=O、-C-O-R、-COH、
-COOH、-COOR、-CF2=CF-OR又はそれらの任意の組み合わせから選択
される少なくとも1つの官能基を含むことができ、Rは、1から20個の炭素原子を含有
する環状又は線状の有機基である。さらに、接着剤は、コポリマーを含むことができる。
【0019】
フィラー粒子(機能的及び/又は非機能的)が、接着剤層121、例えば、カーボン・
フィラー、カーボン・ファイバ、カーボン粒子、黒鉛、金属フィラー、例えば、青銅、ア
ルミニウム及び他の金属及びそれらの合金、金属酸化物フィラー、金属皮膜カーボン・フ
ィラー、金属皮膜ポリマー・フィラー又はそれらの任意の組み合わせに追加されてもよい
。
【0020】
一実施例では、ホット・メルト接着剤は、250℃以下、例えば、220℃以下の融点
を有することができる。別の実施例では、接着剤は、200℃超、例えば、220℃超で
破壊してもよい。さらなる実施例では、ホット・メルト接着剤の融解温度は、250℃超
、さらには300℃超とすることができる。接着剤層121は、約1ミクロンから約50
0ミクロン、例えば、約10ミクロンから約250ミクロン、例えば、約30ミクロンか
ら約150ミクロン、例えば、約40ミクロンから約100ミクロンの厚さTALを有し
てもよい。いくつかの実施例では、接着剤層121は、約50から250ミクロンの厚さ
TALを有してもよい。いくつかの実施例では、接着剤層121は、約80から120ミ
クロンの厚さTALを有してもよい。接着剤層121の厚さTALは、上記の最小値及び
最大値の任意の間の任意の値でもよいことがさらに認識されるであろう。接着剤層121
の厚さは、均一でもよく、すなわち、接着剤層121の第1の位置での厚さは、それに沿
った第2の位置での厚さに等しくすることができる。接着剤層121の厚さは、不均一で
もよく、すなわち、接着剤層121の第1の位置での厚さは、それに沿った第2の位置で
の厚さとは異なることができる。
【0021】
図2Dは、形成プロセス10の第1のステップ12のトレランス・リングに形成されて
もよい、材料1000、1001、1002の代替の、複合材料1003の代替の実施例
の例示を含む。
図2Dは、例示を目的として、トレランス・リングの複合材料1003の
多層構成を示す。この特定の実施例によれば、この複合材料1003がまた、少なくとも
1つの腐食保護層704、705及び708と、基板119及び低摩擦層104を結合し
てもよい接着促進剤層127及びエポキシ層129を含むことができる耐食性コーティン
グ1124と、を含んでもよいことを除いて、複合材料1003は、
図2Cの複合材料1
002と類似してもよい。
【0022】
基板119は、処理前の複合材料1003の腐食を防止するために、腐食保護材料を含
む腐食保護層704及び705でコーティングされてもよい。さらに、腐食保護層708
は、層704の上に塗布可能である。層704、705及び708のそれぞれは、約1か
ら50ミクロンの厚さ、例えば、約7から15ミクロンの厚さを有することができる。層
704及び705は、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン又はそれらの任意の組み合
わせを含む腐食保護材料又はナノセラミック層を含むことができる。さらに、層704及
び705は、官能性シラン、ナノスケール・シラン系プライマー、加水分解シラン、オル
ガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シラン・プライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態
化表面、市販の亜鉛(機械的/ガルバニック)若しくは亜鉛ニッケル・コーティング又は
それらの任意の組み合わせを含む腐食防止材料を含むことができる。層708は、官能性
シラン、ナノスケール・シラン系プライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進
剤、溶媒/水系シラン・プライマーを含むことができる。腐食保護層704、1706及
び708は、処理中に除去又は保持されることができる。
【0023】
上で述べたように、複合材料1003は、耐食性コーティング125をさらに含んでも
よい。耐食性コーティング125は、約1から50ミクロンの厚さ、例えば、約5から2
0ミクロン及び約7から15ミクロンの厚さを有することができる。耐食性コーティング
125は、接着促進剤層127及びエポキシ層129を含むことができる。接着促進剤層
127は、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸スズ又はそれらの任意の組み
合わせを含む腐食保護材料又はナノセラミック層を含むことができる。接着促進剤層12
7は、官能性シラン、ナノスケール・シラン系の層、加水分解シラン、オルガノシラン接
着促進剤、溶媒/水系シラン・プライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販
の亜鉛(機械的/ガルバニック)若しくは亜鉛ニッケル・コーティング又はそれらの任意
の組み合わせを含む腐食保護材料を含むことができる。接着促進剤層127は、スプレー
・コーティング、eコーティング、ディップ・スピン・コーティング、静電コーティング
、フロー・コーティング、ロール・コーティング、ナイフ・コーティング、コイル・コー
ティングなどによって塗布可能である。
【0024】
エポキシ層129は、熱硬化エポキシ、UV硬化エポキシ、IR硬化エポキシ、電子ビ
ーム硬化エポキシ、放射線硬化エポキシ又は空気硬化エポキシを含む腐食保護材料とする
ことができる。さらに、エポキシ層129は、ポリグリシジルエーテル、ジグリシジルエ
ーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、オキシラン、オキサシクロプロパン、エ
チレンオキシド、1,2-エポキシプロパン、2-メチルオキシラン、9,10-エポキ
シ-9,10-ジヒドロアントラセン又はそれらの任意の組み合わせを含む腐食保護材料
を含むことができる。エポキシ層129は、硬化剤をさらに含むことができる。硬化剤は
、アミン、酸無水物、フェノール・ノボラック・ポリ[N-(4-ヒドロキシフェニル)
マレイミド](PHPMI)などのフェノール・ノボラック硬化剤、レゾール・フェノー
ル・ホルムアルデヒド、脂肪アミン化合物、ポリカルボン酸無水物、ポリアクリレート、
イソシアネート、カプセル化ポリイソシアネート、三フッ化ホウ素アミン錯体、クロミウ
ムなどのクロム系硬化剤、ポリアミド又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる
。一般的に、酸無水物は、式R-C=O-O-C=O-R’に適合することができ、Rは
、上述したようにCXHYXZAUとすることができる。アミンは、モノエチルアミン、
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンなどの脂肪族アミン、脂環式アミン、
環状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、アミドアミン、ポリアミド、ジシアンジアミド、
イミダゾール誘導体などの芳香族アミン又はそれらの任意の組み合わせを含むことができ
る。一般的に、アミンは、式R1R2R3Nに適合する第一級アミン、第二級アミン又は
第三級アミンとすることができ、ここで、Rは、上述したようにCXHYXZAUとする
ことができる。一実施例では、エポキシ層129は、炭素フィラー、炭素繊維、炭素粒子
、黒鉛、青銅、アルミニウム及び他の金属材料、並びにそれらの合金などの金属フィラー
、金属酸化物フィラー、金属コーティング炭素フィラー、金属コーティング・ポリマー・
フィラー又はそれらの任意の組み合わせなどの、導電率を向上させるためのフィラーを含
むことができる。導電性フィラーは、電流がエポキシ・コーティングを通過することを可
能にすることができ、導電性フィラーのない複合材料と比較して、複合材料の導電率を高
めることができる。一実施例では、エポキシ層129は、スプレー・コーティング、eコ
ーティング、ディップ・スピン・コーティング、静電コーティング、フロー・コーティン
グ、ロール・コーティング、ナイフ・コーティング、コイル・コーティングなどによって
塗布可能である。さらに、エポキシ層129は、熱硬化、UV硬化、IR硬化、電子ビー
ム硬化、照射硬化又はそれらの任意の組み合わせなどによって硬化可能である。好ましく
は、低摩擦層104、接着剤層121、基板119又は接着促進剤層127のいずれの降
伏温度も超えて構成要素の温度を上昇させることなく、硬化を達成することができる。し
たがって、エポキシは、約250℃未満で、さらには約200℃未満で硬化されてもよい
。
【0025】
一実施例では、
図1のステップ12の下で、上述した材料又は複合材料1000、10
01、1002、1003上の層のいずれかが、各々ロール状に配置され、そこから剥が
され、圧力下で、高温(熱間プレス若しくは圧延、又は冷間プレス若しくは圧延)で、接
着剤によって、又はそれらの任意の組み合わせによって、ともに接合されてもよい。上述
した材料又は複合材料1000、1001、1002、1003の層のいずれかは、それ
らが少なくとも部分的に互いに重なるように、ともに積層させてもよい。上述した材料又
は複合材料1000、1001、1002、1003の層のいずれかは、例えば、物理蒸
着又は気相蒸着、スプレー、めっき、粉末コーティングなどのコーティング技術を使用し
て、又は他の化学技術若しくは電気化学技術を通して、ともに塗布可能である。特定の実
施例では、低摩擦層104は、例えば、押出コーティングを含むロール・ツー・ロール・
コーティング・プロセスによって塗布されてもよい。低摩擦層104は、溶融状態又は半
溶融状態に加熱して、スロット・ダイを通して基板119の主表面上へ押出されてもよい
。一実施例では、材料又は複合材料1000、1001、1002、1003は、単一の
一体的帯状材料でもよい。
【0026】
他の実施例では、
図1のステップ12の下で、上述した材料又は複合材料1000、1
001、1002、1003上の層のいずれかが、例えば、物理蒸着又は気相蒸着、スプ
レー、めっき、粉末コーティングなどのコーティング技術によって、又は他の化学技術若
しくは電気化学技術を通して、ともに塗布されてもよい。特定の実施例では、低摩擦層1
04は、例えば、押出コーティングを含むロール・ツー・ロール・コーティング・プロセ
スによって塗布可能である。低摩擦層104は、溶融状態又は半溶融状態に加熱して、ス
ロット・ダイを通して基板119の主表面上へ押出されてもよい。別の実施例では、低摩
擦層104は、鋳造又は成型されてもよい。
【0027】
一実施例では、低摩擦層104又は任意の層は、溶融接着剤層121を使用して基板1
19に接着して、積層体を形成することができる。一実施例では、材料又は複合材料10
00、1001、1002、1003上の介在層又は未処理層のうちのいずれも、積層体
を形成してもよい。積層体は、トレランス・リングに形成することができる帯状板又はブ
ランク材に切断することができる。積層体の切断は、スタンプ、プレス、パンチ、ソーの
使用を含んでもよいか、又は異なる方法で機械加工されてもよい。積層体を切断すること
で、基板119の露出部を含む切断縁部を作成することができる。
【0028】
一実施例では、
図1のステップ14の下で、ブランク材は、積層帯状板又はブランク材
の端部をカールさせることによって、トレランス・リングに形成されてもよい。トレラン
ス・リングは、スタンプ、プレス、パンチ、ソー、圧延、フランジング、深絞りによって
形成されてもよく、又は異なる方法で機械加工されてもよい。
【0029】
半仕上げのトレランス・リングを成形した後に、半仕上げのトレランス・リングは、洗
浄され、形成及び成形プロセスで用いられる任意の潤滑油及び油を除去してもよい。加え
て、洗浄は、コーティングの塗布のための耐荷重基板の露出表面を準備することができる
。洗浄は、溶媒による化学洗浄及び/又は機械的洗浄、例えば超音波洗浄を含んでもよい
。
【0030】
図3Aは、上述したように、材料又は複合材料1000、1001、1002、100
3のブランク材から形成される一実施例を含むトレランス・リング100を描写する。ト
レランス・リング100は、側壁102を含む。側壁102は、上述したように、ブラン
ク材から形成されてもよく、中央軸線3000の周りにリング状(実質的に環状であるか
又は概して円筒状)形状に湾曲されてもよい基板119(例えばばね鋼)を含み、開口1
15を形成してもよい。側壁102の両端は、接触しなくてもよく(例えば、それは、分
割リングとして形成されてもよく)、それにより、側壁102の円周に隣接した軸方向ギ
ャップ106を生ずる。他の実施例では、側壁は、両端が互いに重複するように、湾曲さ
れてもよい。さらに他の実施例では、
図3Bに最も良く示されるように、側壁102は、
連続した完全なリングでもよい。側壁102は、側壁102の形状に従う低摩擦層104
をさらに含むことができ、上述したように、複合材料1000、1001、1002、1
003のブランク材からの低摩擦層104と同様に形成される。トレランス・リング10
0及び/又は側壁102は、第1の軸方向端120及び第2の軸方向端122を有しても
よい。トレランス・リング100及び/又は側壁102は、内面130及び外面132を
有してもよい。トレランス・リング100及び/又は側壁102の内面130は、上述し
たように、複合材料1000、1001、1002、1003から形成されるように、側
壁の形状に従う低摩擦層104を有してもよい。
【0031】
トレランス・リング100は、トレランス・リング100の外面132から径方向内側
又は外側に延在する複数の間隔を置かれた突起部108を有してもよい。突起部は、圧縮
に応じて変形可能でもよい。突起部108は、スタンピングを介して形成されてもよい(
例えば、最適に成形された型、回転波形状などを用いて押圧される)。オプションで、突
起部108の少なくとも1つの軸方向端に位置する複合材料の平坦な円周方向に延在する
リム109が存在してもよい。或いは、突起部108の軸方向端は、トレランス・リング
100の第1の軸方向端120又は第2の軸方向端122に配置されてもよい。オプショ
ンで、各突起部108は、その隣接した突起部108からトレランス・リング100の未
形成部分110によって分離されてもよく、未形成部分110は、リム109とともに連
続して形成され、隣接する突起部108の第1の対の間に円周方向に間隔を置かれてもよ
い。突起部108は、従来のトレランス・リングに用いられる波と形状の点で同様でもよ
い径方向に延在する軸方向に細長い円周方向尾根部(リッジ)を含んでもよい。各尾根部
のピーク113は、曲線的でもよく、各尾根部の軸方向端は、一対のテーパー肩部111
で終端する。オプションで、トレランス・リング100は、突起部108が径方向に延在
する表面と対向する面上の未形成領域114を含んでもよい。例えば、
図3Aに示される
ように、未形成領域114は、内面130上にあり、一方、突起部108は、外面132
に沿って径方向外側に延在する。未形成領域114は、突起部を含まず、側壁102に連
続してもよい。
【0032】
図3Aから
図3Cに示されるように、トレランス・リング100は、異なるタイプの複
数の突起部108を含んでもよい。トレランス・リング100は、第1のタイプの突起部
108a及び第2のタイプの突起部108bを含んでもよい。第1のタイプの突起部10
8aは、径方向高さH
PAを有してもよい。本明細書において記載されている実施例の目
的には、第1のタイプの突起部108aの径方向高さH
PAは、
図3Bに最も良く示され
るように、突起部108aのピーク113から側壁102の未形成領域114までの距離
である。特定の実施例によれば、第1のタイプの突起部108aの径方向高さH
PAは、
少なくとも約0.1mm又は少なくとも約0.2mm又は少なくとも約0.3mm又は少
なくとも約0.4mm又は少なくとも約0.5mmでもよい。さらに他の実施例によれば
、第1のタイプの突起部108aの径方向高さH
PAは、約10mm以下でもよく、例え
ば、8mm以下、6mm以下、5mm以下、3mm以下、1mm以下、0.9mm以下、
又は、約0.8mm以下でもよい。いくつかの実施例では、第1のタイプの突起部108
aの径方向高さH
PAは、少なくとも約0.1mmから約1.5mm以下の範囲でもよい
。第1のタイプの突起部108aの径方向高さH
PAが上記の最小値及び最大値の任意の
間の範囲内でもよいことが認識されるであろう。第1のタイプの突起部108aの径方向
高さH
PAが上記の最小値及び最大値の任意の間の任意の値でもよいことがさらに認識さ
れるであろう。第1のタイプの突起部108aの径方向高さH
PAがその円周に沿って変
化してもよく、複数のトレランス・リングにわたって変化してもよいこともまた認識可能
である。
【0033】
第1のタイプの突起部108aは、円周方向幅W
PAを有してもよい。本明細書におい
て記載されている実施例の目的には、第1のタイプの突起部108aの円周方向幅W
PA
は、
図3Bに最も良く示されるように、第1のタイプの突起部108aに隣接した1つの
未形成部分110の端から第1のタイプの突起部108aの円周方向に反対側の未形成部
分110までの距離である。特定の実施例によれば、第1のタイプの突起部108aの円
周方向幅W
PAは、少なくとも約0.1mm又は少なくとも約0.2mm又は少なくとも
約0.3mm又は少なくとも約0.4mm又は少なくとも約0.5mmでもよい。さらに
他の実施例によれば、第1のタイプの突起部108aの円周方向幅W
PAは、約20mm
以下でもよく、例えば、約15mm以下、10mm以下、5mm以下、1mm以下、0.
9mm以下、又は、約0.8mm以下でもよい。いくつかの実施例では、第1のタイプの
突起部108aの円周方向幅W
PAは、少なくとも約1mmから約10mm以下の範囲で
もよい。第1のタイプの突起部108aの円周方向幅W
PAが上記の最小値及び最大値の
任意の間の範囲内でもよいことが認識されるであろう。第1のタイプの突起部108aの
円周方向幅W
PAが上記の最小値及び最大値の任意の間の任意の値でもよいことがさらに
認識されるであろう。第1のタイプの突起部108aの円周方向幅W
PAがその円周に沿
って変化してもよく、複数のトレランス・リングにわたって変化してもよいこともまた認
識可能である。
【0034】
第1のタイプの突起部108aは、肩部長さL
SAを有してもよい。本明細書において
記載されている実施例の目的には、第1のタイプの突起部108aの肩部長さL
SAは、
図3Cに最も良く示されるように、トレランス・リング100のリム109又は軸方向端
120、122からピーク113における肩部111の上部の端までの距離である。特定
の実施例によれば、第1のタイプの突起部108aの肩部長さL
SAは、少なくとも約0
.1mm又は少なくとも約0.2mm又は少なくとも約0.3mm又は少なくとも約0.
4mm又は少なくとも約0.5mmでもよい。さらに他の実施例によれば、第1のタイプ
の突起部108aの肩部長さL
SAは、約5mm以下でもよく、例えば、1mm以下、約
0.9mm以下、又は、約0.8mm以下でもよい。いくつかの実施例では、第1のタイ
プの突起部108aの肩部長さL
SAは、少なくとも約0.3mmから約2mm以下の範
囲でもよい。第1のタイプの突起部108aの肩部長さL
SAが上記の最小値及び最大値
の任意の間の範囲内でもよいことが認識されるであろう。第1のタイプの突起部108a
の肩部長さL
SAが上記の最小値及び最大値の任意の間の任意の値でもよいことがさらに
認識されるであろう。第1のタイプの突起部108aの肩部長さL
SAがその円周に沿っ
て変化してもよく、複数のトレランス・リングにわたって変化してもよいこともまた認識
可能である。
【0035】
第1のタイプの突起部108aは、尾根部の傾きSRPAを有してもよい。本明細書に
おいて記載されている実施例の目的には、第1のタイプの突起部108aの尾根部の傾き
SRPAは、第1のタイプの突起部108aの円周方向幅WPAの半分で割った第1のタ
イプの突起部108aの径方向高さHPAである。特定の実施例によれば、第1のタイプ
の突起部108aの尾根部の傾きSRPAは、少なくとも約0.1又は少なくとも約0.
2又は少なくとも約0.3又は少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約
1、少なくとも約2、少なくとも約4、少なくとも約6又は少なくとも約10でもよい。
さらに他の実施例によれば、第1のタイプの突起部108aの尾根部の傾きSRPAは、
約50以下でもよく、例えば、約20以下、又は、約10以下でもよい。いくつかの実施
例では、第1のタイプの突起部108aの尾根部の傾きSRPAは、少なくとも約0.0
2から約3以下までの範囲でもよい。第1のタイプの突起部108aの尾根部の傾きSR
PAが上記の最小値及び最大値の任意の間の範囲内でもよいことが認識されるであろう。
第1のタイプの突起部108aの尾根部の傾きSRPAが上記の最小値及び最大値の任意
の間の任意の値でもよいことがさらに認識されるであろう。第1のタイプの突起部108
aの尾根部の傾きSRPAが第1のタイプの突起部108aの円周方向長さに沿って変化
してもよく、複数のトレランス・リングにわたって変化してもよいこともまた認識可能で
ある。
【0036】
特定の実施例では、トレランス・リング100の第1のタイプの突起部108aは、約
50から約6000Nの径方向剛性を有することができる。さらに、第1のタイプの突起
部108aの径方向剛性はまた、上記の値のいずれかの範囲内且つ上記の値のいずれかを
含むことができる。トレランス・リング100の第1のタイプの突起部108aの径方向
剛性は、円周方向の構成要素(後述するように内側構成要素又は外側構成要素)のクリア
ランスのために第1のタイプの突起部108aを圧縮するのに必要な径方向力を測定する
ことにより測定可能である。
【0037】
第2のタイプの突起部108bは、径方向高さH
PBを有してもよい。本明細書におい
て記載されている実施例の目的には、第2のタイプの突起部108bの径方向高さH
PB
は、
図3Bに最も良く示されるように、突起部108bのピーク113から側壁102の
未形成領域114までの距離である。特定の実施例によれば、第2のタイプの突起部10
8bの径方向高さH
PBは、少なくとも約0.1mm又は少なくとも約0.2mm又は少
なくとも約0.3mm又は少なくとも約0.4mm又は少なくとも約0.5mmでもよい
。さらに他の実施例によれば、第2のタイプの突起部108bの径方向高さH
PBは、約
10mm以下でもよく、例えば、8mm以下、6mm以下、5mm以下、3mm以下、1
mm以下、0.9mm以下、又は、約0.8mm以下でもよい。いくつかの実施例では、
第2のタイプの突起部108bの径方向高さH
PBは、少なくとも約0.1mmから約1
.5mm以下の範囲でもよい。第2のタイプの突起部108bの径方向高さH
PBが上記
の最小値及び最大値の任意の間の範囲内でもよいことが認識されるであろう。第2のタイ
プの突起部108bの径方向高さH
PBが上記の最小値及び最大値の任意の間の任意の値
でもよいことがさらに認識されるであろう。第2のタイプの突起部108bの径方向高さ
H
PBがその円周に沿って変化してもよく、複数のトレランス・リングにわたって変化し
てもよいこともまた認識可能である。いくつかの実施例では、第1のタイプの突起部10
8aは、第2のタイプの突起部108bに対して、異なる径方向高さを有してもよい。こ
れは、結果として、第2のタイプの突起部108bに対して、異なる特性又は挙動を有す
る第1のタイプの突起部108aを生じ得る。
【0038】
第2のタイプの突起部108bは、円周方向幅W
PBを有してもよい。本明細書におい
て記載されている実施例の目的には、第2のタイプの突起部108bの円周方向幅W
PB
は、
図3Bに最も良く示されるように、第2のタイプの突起部108bに隣接した1つの
未形成部分110の端から第2のタイプの突起部108bの円周方向に反対側の未形成部
分110までの距離である。特定の実施例によれば、第2のタイプの突起部108bの円
周方向幅W
PBは、少なくとも約0.1mm又は少なくとも約0.2mm又は少なくとも
約0.3mm又は少なくとも約0.4mm又は少なくとも約0.5mmでもよい。さらに
他の実施例によれば、第2のタイプの突起部108bの円周方向幅W
PBは、約20mm
以下でもよく、例えば、約15mm以下、10mm以下、5mm以下、1mm以下、0.
9mm以下、又は、約0.8mm以下でもよい。いくつかの実施例では、第2のタイプの
突起部108bの円周方向幅W
PBは、少なくとも約1mmから約10mm以下の範囲で
もよい。第2のタイプの突起部108bの円周方向幅W
PBが上記の最小値及び最大値の
任意の間の範囲内でもよいことが認識されるであろう。第2のタイプの突起部108bの
円周方向幅W
PBが上記の最小値及び最大値の任意の間の任意の値でもよいことがさらに
認識されるであろう。第2のタイプの突起部108bの円周方向幅W
PBがその円周に沿
って変化してもよく、複数のトレランス・リングにわたって変化してもよいこともまた認
識可能である。いくつかの実施例では、第1のタイプの突起部108aは、第2のタイプ
の突起部108bに対して、異なる円周方向幅を有してもよい。これは、結果として、第
2のタイプの突起部108bに対して、異なる特性又は挙動を有する第1のタイプの突起
部108aを生じ得る。
【0039】
第2のタイプの突起部108bは、肩部長さL
SBを有してもよい。本明細書において
記載されている実施例の目的には、第2のタイプの突起部108bの肩部長さL
SBは、
図3Cに最も良く示されるように、トレランス・リング100のリム109又は軸方向端
120、122からピーク113における肩部111の上部の端までの距離である。特定
の実施例によれば、第2のタイプの突起部108bの肩部長さL
SBは、少なくとも約0
.1mm又は少なくとも約0.2mm又は少なくとも約0.3mm又は少なくとも約0.
4mm又は少なくとも約0.5mmでもよい。さらに他の実施例によれば、第2のタイプ
の突起部108bの肩部長さL
SBは、約5mm以下でもよく、例えば、約1mm以下、
約0.9mm以下、又は、約0.8mm以下でもよい。いくつかの実施例では、第2のタ
イプの突起部108bの肩部長さL
SBは、少なくとも約0.3mmから約2mm以下の
範囲でもよい。第2のタイプの突起部108bの肩部長さL
SBが上記の最小値及び最大
値の任意の間の範囲内でもよいことが認識されるであろう。第2のタイプの突起部108
bの肩部長さL
SBが上記の最小値及び最大値の任意の間の任意の値でもよいことがさら
に認識されるであろう。第2のタイプの突起部108bの肩部長さL
SBがその円周に沿
って変化してもよく、複数のトレランス・リングにわたって変化してもよいこともまた認
識可能である。いくつかの実施例では、第1のタイプの突起部108aは、第2のタイプ
の突起部108bに対して、異なる肩部長さを有してもよい。これは、結果として、第2
のタイプの突起部108bに対して、異なる特性又は挙動を有する第1のタイプの突起部
108aを生じ得る。
【0040】
第2のタイプの突起部108bは、尾根部の傾きSRPBを有してもよい。本明細書に
おいて記載されている実施例の目的には、第2のタイプの突起部108bの尾根部の傾き
SRPBは、第2のタイプの突起部108bの円周方向幅WPBの半分で割った第2のタ
イプの突起部108bの径方向高さHPBである。特定の実施例によれば、第2のタイプ
の突起部108bの尾根部の傾きSRPBは、少なくとも約0.1又は少なくとも約0.
2又は少なくとも約0.3又は少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約
1、少なくとも約2、少なくとも約4、少なくとも約6又は少なくとも約10でもよい。
さらに他の実施例によれば、第2のタイプの突起部108bの尾根部の傾きSRPBは、
約50以下でもよく、例えば、約20以下、又は、約10以下でもよい。いくつかの実施
例では、第2のタイプの突起部108bの尾根部の傾きSRPBは、少なくとも約0.0
2から約3以下までの範囲でもよい。第2のタイプの突起部108bの尾根部の傾きSR
PBが上記の最小値及び最大値の任意の間の範囲内でもよいことが認識されるであろう。
第2のタイプの突起部108bの尾根部の傾きSRPBが上記の最小値及び最大値の任意
の間の任意の値でもよいことがさらに認識されるであろう。第2のタイプの突起部108
bの尾根部の傾きSRPBが第2のタイプの突起部108bの円周方向長さに沿って変化
してもよく、複数のトレランス・リングにわたって変化してもよいこともまた認識可能で
ある。いくつかの実施例では、第1のタイプの突起部108aは、第2のタイプの突起部
108bに対して、突起部の少なくとも1つの尾根部の異なる傾きを有してもよい。これ
は、結果として、第2のタイプの突起部108bに対して、異なる特性又は挙動を有する
第1のタイプの突起部108aを生じ得る。
【0041】
特定の実施例では、トレランス・リング100の第2のタイプの突起部108bは、約
50から約6000Nの径方向剛性を有することができる。さらに、第2のタイプの突起
部108bの径方向剛性は、上記の値のいずれかの範囲内且つ上記の値のいずれかを含む
ことができる。トレランス・リング100の第2のタイプの突起部108bの径方向剛性
は、円周方向の構成要素(後述するように内側構成要素又は外側構成要素)のクリアラン
スのために第2のタイプの突起部108bを圧縮するのに必要な径方向力を測定すること
により測定可能である。いくつかの実施例では、第2のタイプの突起部108bのトルク
は、約2500N/mmでもよい。
【0042】
図4は、トレランス・リング200の他の実施例を描写する。
図3と同様に、トレラン
ス・リング200及び/又は側壁202は、第1の軸方向端220及び第2の軸方向端2
22を有し、中央軸線3000の周りに形成され、開口215を形成してもよい。トレラ
ンス・リング200及び/又は側壁202は、内面230及び外面232を有してもよい
。側壁202はまた、その内面130から径方向内側に延在する複数の突起部208(2
08a、208b)を有してもよい。突起部208(208a、208b)は、図示する
ように円周方向に互いに当接してもよいか、又は、
図3Aの実施例のように円周方向に間
隔を置いてもよい。突起部208(208a、208b)は、
図3Aから
図3Cにおいて
上述した突起部108(108a、108b)のように、類似の形状、パラメータ(例え
ば、突起部の径方向高さ、突起部の剛性)又は配向でもよい。
【0043】
動作において、トレランス・リング100は、アセンブリで2つの構成要素の間に位置
してもよい。例えば、それは、内側構成要素(例えば、シャフト)と、外側構成要素(例
えば、ハウジング)内のボアと、の間の環状スペース内に位置してもよい。突起部108
は、内側構成要素と外側構成要素との間で圧縮されてもよい。各突起部108は、ばねと
して作用してもよく、変形し、構成要素をともにその間にゼロ・クリアランスで取り付け
る。換言すれば、内側構成要素は、トレランス・リング100の内面130に接触し、外
側構成要素は、トレランス・リング100の外面132に接触する。
【0044】
図5Aは、トレランス・リング200の実施例を含む例示的なアセンブリ300を通し
て、軸方向断面図を描写する。アセンブリ300は、例えば、
図3Aに示されるトレラン
ス・リング200を組み込む。アセンブリ300は、中央軸線3000の下にハウジング
302又は外側構成要素を含んでもよい。ハウジング302は、その中に形成される軸方
向ボア304を有してもよく、軸方向ボア304は、シャフト306又は内側構成要素を
受け入れる。環状ギャップは、シャフト306の外面308とボア304の内面310と
の間に存在する。シャフト306及びボア304の直径が製造公差内で変化し得るので、
この環状ギャップのサイズは可変でもよい。ボア304内のシャフト306の振動を防止
するために、環状ギャップは、トレランス・リング200によって充填され、構成要素の
間にゼロ・クリアランスの適合を形成する。使用中、トレランス・リング200の円周方
向突起部208は、突起部208が内側構成要素306に接触するように、シャフト30
6とハウジング302との間の環状ギャップ内で径方向に圧縮されてもよい。トレランス
・リングは、トルクを伝えるためか、又は、この種の応用におけるトルク制限装置として
用いてもよい。
【0045】
図5Bは、トレランス・リング100の他の実施例を含む例示的なアセンブリ400に
よる軸方向断面図を描写する。アセンブリ300は、例えば、
図3Aに示されるトレラン
ス・リング100を組み込む。アセンブリ400は、中央軸線3000の下にハウジング
302又は外側構成要素を含んでもよい。ハウジング302は、その中に形成される軸方
向ボア304を有してもよく、軸方向ボア304は、シャフト306又は内側構成要素を
受け入れる。環状ギャップは、シャフト306の外面308とボア304の内面310と
の間に存在する。シャフト306及びボア304の直径が製造公差内で変化し得るので、
この環状ギャップのサイズは可変でもよい。ボア304内のシャフト306の振動を防止
するために、環状ギャップは、トレランス・リング100によって充填され、構成要素の
間にゼロ・クリアランスの適合を形成する。使用中、トレランス・リング100の円周方
向突起部108は、突起部108が外側構成要素302に接触するように、シャフト30
6とハウジング302のボア304の内側との間の環状ギャップ内で径方向に圧縮されて
もよい。
【0046】
いくつかの実施例では、
図3A及び
図4から
図5Bに示されるように、トレランス・リ
ング100、200は、トレランス・リング100、200の第1の軸方向端120、2
20と第2の軸方向端122、22との間で測定される長さL
TRを有してもよい。長さ
L
TRが、
図2Aから
図2Dに示す材料又は複合材料1000、1001、1002、1
003の長さと実質的に類似していてもよいことが認識されるであろう。特定の実施例に
よれば、トレランス・リング100、200の長さL
TRは、少なくとも約1mm、例え
ば、少なくとも約10mm又は少なくとも約30mm又は少なくとも約50mm又は少な
くとも約100mm又は少なくとも約500mmでもよい。さらに他の実施例によれば、
トレランス・リング100、200の長さL
TRは、約1000mm以下でもよく、例え
ば、約500mm以下、又は、約250mm以下でもよい。トレランス・リング100、
200の長さL
TRが上記の最小値及び最大値の任意の間の範囲内でもよいことが認識さ
れるであろう。トレランス・リング100、200の長さL
TRが上記の最小値及び最大
値の任意の間の任意の値でもよいことがさらに認識されるであろう。トレランス・リング
100、200の長さL
TRがその円周に沿って変化してもよいこともまた認識可能であ
る。
【0047】
いくつかの実施例では、
図3B及び
図5Bに最も良く示されるように、トレランス・リ
ング100、200は、特定の内径IR
TRを有してもよい。本明細書において記載され
ている実施例の目的には、トレランス・リング100、200の内径IR
TRは、中央軸
線3000から内面130、230までの距離である。特定の実施例によれば、トレラン
ス・リング100、200の内径IR
TRは、少なくとも約10mm又は少なくとも約2
0mm又は少なくとも約30mm又は少なくとも約50mm又は少なくとも約100mm
でもよい。さらに他の実施例によれば、トレランス・リング100、200の内径IR
T
Rは、約500mm以下でもよく、例えば、約250mm以下、又は、約100mm以下
でもよい。トレランス・リング100、200の内径IR
TRが上記の最小値及び最大値
の任意の間の範囲内でもよいことが認識されるであろう。トレランス・リング100、2
00の内径IR
TRが上記の最小値及び最大値の任意の間の任意の値でもよいことがさら
に認識されるであろう。トレランス・リング100、200の内径IR
TRがその円周に
沿って変化してもよく、複数のトレランス・リングにわたって変化してもよいこともまた
認識可能である。
【0048】
いくつかの実施例では、
図3B及び
図5Bに最も良く示されるように、トレランス・リ
ング100、200は、特定の外径OR
TRを有してもよい。本明細書において記載され
ている実施例の目的には、トレランス・リング100、200の外径OR
TRは、中央軸
線3000から外面132、232までの距離である。特定の実施例によれば、トレラン
ス・リング100、200の外径OR
TRは、少なくとも約10mm又は少なくとも約2
0mm又は少なくとも約30mm又は少なくとも約50mm又は少なくとも約100mm
でもよい。さらに他の実施例によれば、トレランス・リング100、200の外径OR
T
Rは、約500mm以下でもよく、例えば、約250mm以下、又は、約100mm以下
でもよい。トレランス・リング100、200の外径OR
TRが上記の最小値及び最大値
の任意の間の範囲内でもよいことが認識されるであろう。トレランス・リング100、2
00の外径OR
TRが上記の最小値及び最大値の任意の間の任意の値でもよいことがさら
に認識されるであろう。トレランス・リング100、200の外径OR
TRがその円周に
沿って変化してもよく、複数のトレランス・リングにわたって変化してもよいこともまた
認識可能である。
【0049】
いくつかの実施例では、
図2Aから
図2D及び
図5Aに最も良く示されるように、トレ
ランス・リング100、200は、特定の厚さT
TRを有してもよい。本明細書において
記載されている実施例の目的には、トレランス・リング100、200の厚さT
TRは、
内面130、230から外面132、232までの距離である。トレランス・リング10
0、200の厚さT
TRが、
図2Aから
図2Dで示す材料又は複合材料1000、100
1、1002、1003と類似又は同一の厚さでもよいことが認識されるであろう。特定
の実施例によれば、トレランス・リング100、200の厚さT
TRは、少なくとも約0
.1mm又は少なくとも約0.2mm又は少なくとも約0.3mm又は少なくとも約0.
4mm又は少なくとも約0.5mmでもよい。さらに他の実施例によれば、トレランス・
リング100、200の厚さT
TRは、約1mm以下でもよく、例えば、約0.9mm以
下、又は、約0.8mm以下でもよい。トレランス・リング100、200の厚さT
TR
が上記の最小値及び最大値の任意の間の範囲内でもよいことが認識されるであろう。トレ
ランス・リング100、200の厚さT
TRが上記の最小値及び最大値の任意の間の任意
の値でもよいことがさらに認識されるであろう。トレランス・リング100、200の厚
さT
TRがその円周に沿って変化してもよいこともまた認識可能である。トレランス・リ
ング100、200の厚さT
TRがその円周に沿って変化してもよく、複数のトレランス
・リングにわたって変化してもよいこともまた認識可能である。
【0050】
図6は、トレランス・リング100の他の実施例を含む例示的なアセンブリ500によ
る端面図を描写する。アセンブリ500は、例えば、
図3Aに示されるトレランス・リン
グ100を組み込む。アセンブリ500は、ハウジング302又は外側構成要素を含んで
もよい。ハウジング302は、その中に形成される軸方向ボア304を有してもよく、軸
方向ボア304は、シャフト306又は内側構成要素を受け入れる。環状ギャップは、シ
ャフト306の外面308とボア304の内面310との間に存在する。シャフト306
及びボア304の直径が製造公差内で変化し得るので、この環状ギャップのサイズは可変
でもよい。ボア304内のシャフト306の振動を防止するために、環状ギャップは、ト
レランス・リング100によって充填され、構成要素の間にゼロ・クリアランスの適合を
形成する。使用中、トレランス・リング100の円周方向突起部108は、突起部108
が外側構成要素302に接触するように、シャフト306とハウジング302のボア30
4の内側との間の環状ギャップ内で径方向に圧縮されてもよい。この実施例では、内側構
成要素306又は外側構成要素302の少なくとも1つは、突起部108のうちの少なく
とも1つを収容するように構成される溝303を含み、トレランス・リング突起部108
と溝303との間の円周方向運動を防止してもよい。他の実施例では、内側構成要素30
6又は外側構成要素302の少なくとも1つは、トレランス・リング100自体を収容す
るように構成される溝を含み、トレランス・リング100と内側構成要素306又は外側
構成要素302との間の軸方向運動を防止してもよい。例えば、
図6に示されるように、
溝303は、外側構成要素302上に位置し、第2のタイプの外側に突出し、径方向に延
在する突起部108bを収容してもよい。その結果、突起部108bと外側構成要素30
2内の溝303との間のロックに起因して、トレランス・リング100は、中央軸線30
00に沿って又は中央軸線3000の周りで、軸方向又は円周方向に移動することが制約
されてもよい。
【0051】
少なくとも1つの実施例では、アセンブリ300、400、500は、潤滑剤を含んで
もよい。少なくとも1つの実施例では、潤滑剤は、リチウム石鹸、二硫化リチウム、黒鉛
、鉱油又は植物油、シリコーン・グリース、フルオロエーテル系グリース、アピエゾン、
食品用グリース、石油化学用グリースの少なくとも1つを含むグリースを含んでもよいか
、又は、異なるタイプでもよい。少なくとも1つの実施例では、潤滑剤は、グループI-
グループIII+油、パラフィン系油、ナフテン系油、芳香油、バイオ潤滑油、ヒマシ油
、キャノーラ油、パーム油、ヒマワリ種子油、ナタネ油、トール油、ラノリン、合成油、
ポリアルファ-オレフィン、合成エステル、ポリアルキレン・グリコール、リン酸エステ
ル、アルキル化ナフタレン、ケイ酸塩エステル、イオン性流体、マルチ・アルキル化シク
ロペンタン、石油化学系の油の少なくとも1つを含む油を含んでもよいか、又は、異なる
タイプでもよい。少なくとも1つの実施例では、潤滑剤は、リチウム石鹸、黒鉛、窒化ホ
ウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、金属、金
属合金の少なくとも1つを含む固体ベースの潤滑剤を含んでもよいか、又は、異なるタイ
プでもよい。潤滑剤を使用する場合、少なくとも所望の滑り界面(後述する)に沿って配
置されることが望ましい。
【0052】
通常動作において、回転トルクは、内側構成要素及び外側構成要素の一方に加えられ、
そのトルクは、トレランス・リングの締り嵌め(しまりばめ;interference
fit)によって内側構成要素及び外側構成要素の他方に伝えられる。しかしながら、
構成要素の1つが回転して結合される場合、トレランス・リングは、内側構成要素と外側
構成要素との間の滑りを許容するように機能する。本明細書における実施例によれば、そ
の滑りは、所望の滑り界面、一般的には突起部の反対側の表面で起こる。例えば、外向き
に突出する突起部を有するように示されるいくつかの実施例では、滑り界面は、トレラン
ス・リング/内側構成要素界面で、トレランス・リングの径方向内側表面に沿って発生す
る。これは、上述したように、径方向高さ、円周方向幅、肩部長さ、傾き又は剛性の違い
に基づいて、各々異なる特性を有する第1のタイプの径方向に延在する突起部及び第2の
タイプの径方向に延在する突起部を用いることに起因してもよい。所望の界面での滑りを
確実にするために、波部/突起部の反対の2つの界面(トレランス・リングの径方向に対
向する面)における脱離トルクτは異なる。脱離トルクτは、以下で定義される。ここで
、所望の滑り界面での脱離トルクτは、滑らない界面での脱離トルクτより低い。
【0053】
非限定的な実例によって、第2のタイプの突起部108bは、突起部が接触する内側構
成要素又は外側構成要素により積極的に係合し得るより鋭い輪郭を含んでもよい。第2の
タイプの突起部108bは、第1のタイプの突起部108aとは、それらのパラメータ(
例えば、径方向高さ、円周方向幅、肩部長さ、傾き又は剛性)の違いを有し、それによっ
て、より鋭い輪郭を生じ、各タイプの突起部の異なる挙動及び特性を提供してもよい。そ
の結果、特定の実施例によれば、第1のタイプの突起部は、所望の公差補償を提供し、内
側構成要素と外側構成要素との間の製造公差に適応する。加えて、第2のタイプは、トレ
ランス・リングと、接触する内側/外側の部材との間に強化された「かみ合い」又は「グ
リップ」を提供し、次に、その界面での脱離トルクを強化する。第1のタイプの突起部1
08aに対する第2のタイプの突起部108bの数、配置及びパラメータ(例えば、径方
向高さ、円周方向幅、肩部長さ、傾き又は剛性)は、突起部に異なる特性及び/又は挙動
を与え、強いトルク性能を有する所望の滑り性能を達成するとともに、内側構成要素又は
外側構成要素の所望の表面に滑りを拘束するように選択される。
【0054】
実施例によれば、トレランス・リングは、トレランス・リング突起部と、突起部が接触
する内側構成要素又は外側構成要素と、の間の脱離トルクとして定義される第1の脱離ト
ルクτ1と、未形成領域と内側構成要素及び外側構成要素の他方との間の脱離トルクとし
て定義される第2の脱離トルクτ2と、を有してもよい。いくつかの実施例では、1.1
τ2≦τ1であり、例えば、1.2τ2≦τ1であり、例えば、1.5τ2≦τ1であり
、例えば、2τ2≦τ1であり、又は、5τ2≦τ1である。上述したように、第1のタ
イプの突起部は、内側構成要素と外側構成要素との間の公差補償を提供するように構成さ
れてもよく、第2のタイプの突起部は、内側構成要素306又は外側構成要素302と係
合し、円周方向の脱離トルクτ2をその界面で増加させるように構成されてもよい。
【0055】
本明細書において記載されているトルク値の測定は、Mecmesin Ltdにより
提供されるトルク試験装置のモデルHelixa-iを用いて行われる。トレランス・リ
ングは、内側構成要素と外側構成要素との間に配置され、内側構成要素に確実に固定され
、径方向外側の界面で脱離トルクを測定し、次に、別の試験で、径方向内側の界面で脱離
トルクを測定するために、外側構成要素に確実に固定される。固定は、金属の構成要素を
互いに貼るように設計されているSuper Glueのような接着剤を用いて行われて
もよい。装置は、室温(約21℃)+360°、-360°において30rpmで50サ
イクルにわたり作動し、内側構成要素と外側構成要素との間に増加したトルクを加え、滑
りが開始するときのトルク値にほぼ相関する測定されたピークのトルクが記録される。試
験は、低摩擦コーティングを有さないが、評価されている滑り界面に沿って、グリースが
設けられているトレランス・リングで行われる。したがって、低摩擦層を有する実施例で
は、試験は、測定された脱離トルク値がこの種の低摩擦層に依存しないことを確実にする
ために、低摩擦層を除去して行われる。
図7として、時間(s)の関数としてのトルク(
N・m)のサンプルの結果として生じるグラフが示される。示されるように、円で囲った
領域702は、分断トルク(ブレーク・トルク)が発生するところである。
【実施例0056】
2つのトレランス・リングが試験された。第1のトレランス・リング(リングA)は、
径方向外側に向く第1のタイプの突起部の突起部のみを有した制御リングである。
図8に
は、自由状態又は(内側構成要素306の周りに)取り付けた状態のいくつかの観点での
リングA800の図面が示される。リングAは、円周の周りに等間隔に設置され、最大0
.2の許容可能なばり仕様を有する14個の第1のタイプの突起部を有する。11.85
9mmの直径の内側構成要素と12.692mmの外側構成要素との間にアセンブルされ
るとき、18から32kgのアセンブリ力が感知された。端波部高さは、最小で約0.4
2mmであった。リングAは、12.5mmの直径、3mmの長さ及び0.2±0.01
3mmの厚さを有する。リングAは、約400から約450VPNの材料硬度を有する。
リングAは、ステンレス鋼でできている。第2のトレランス・リング(リングB)は、本
明細書における実施例による実験的なリングであり、両方とも径方向外側に向く第1のタ
イプの突起部及び第2のタイプの突起部の突起部を有していた。
図9には、自由状態又は
(内側構成要素306の周りに)取り付けた状態のいくつかの観点でのリングB900の
図面が示される。リングBは、円周の周りに等間隔に設置され、最大0.2の許容可能な
ばり仕様を有して示される10個の第1のタイプの突起部及び4個の第2のタイプの突起
部を有する。11.82mmの直径の内側構成要素と12.692mmの外側構成要素と
の間にアセンブルされるとき、18から32kgのアセンブリ力が感知された。端波部高
さは、最小で約0.42mmであった。リングBは、12.5mmの直径、3mmの長さ
及び0.2±0.013mmの厚さを有する。リングBは、約400から約450VPN
の材料硬度を有する。リングBは、ステンレス鋼でできている。トレランス・リングは、
滑りがハウジングの代わりにシャフトに対して発生するように求められるように設計され
た。リングA及びBの両方は、2つの条件で滑りトルクが試験された。1)ハウジング又
は外側構成要素上の滑り面上の滑りを確実にするために、シャフト又は内側構成要素に接
着される、又は、2)シャフト又は内側構成要素上の滑り面上の滑りを確実にするために
、ハウジング又は外側構成要素に接着される。これらの試験のために、内側構成要素及び
外側構成要素は、両方とも真鍮C3604であり、潤滑剤は、トレランス・リングと内側
構成要素又は外側構成要素の一方の滑り面との間にのみ加えられた。これらの試験の結果
は、以下の表1に示される。
【表1】
【0057】
示されるように、システムの傾向は、必要なトルクがシャフト上よりも低かったので、
ハウジングに対して滑ることである。さらに示されるように、2つのタイプの突起部を有
するリングBは、滑りがハウジング内で生じるほぼ倍のトルクを有し、シャフト上の滑り
のためのトルクにわずかな影響を及ぼした。それゆえ、シャフト上で滑るトルクは、ハウ
ジング内で滑るトルクより低いので、滑りは、第2のタイプの突起部を含むことに起因し
て、シャフト上にあると結論付けてもよい。
【0058】
この種の実施例のための応用は、例えば、電気モータ(例えば、ワイパー・モータ)又
は軸方向摺動応用(例えば、ステアリング・コラム調整機構)などの回転装置に関連した
アセンブリを含む。本明細書において開示される実施例は、ロボット工学、メカトロニク
ス、自動車部品又は他の用途で見出される応用を有する。トレランス・リング又はアセン
ブリの使用は、いくつかの応用において、増加した利点を提供し得る。本明細書における
実施例によれば、トレランス・リングは、所望の界面においてのみ所望の滑りを提供し得
る。この特徴は、滑りが発生するトルク値に対する大きな変化なく、(軸方向又は円周方
向の)所望の表面で複数の動作サイクルにわたり、トルクの所定レベルで滑ることによっ
て過負荷からアセンブリ300、400、500の構成要素を保護することができる。加
えて、2つのあり得る滑り界面のうちの一方のみにおいて、トレランス・リングが滑るよ
うに構成することによって、トレランス・リングは、例えば、回転アセンブリの場合、ハ
ウジング又はシャフトに沿って軸方向に移動するのを防止することによって、アセンブリ
内の適所に維持可能である。その結果、本明細書における実施例に従うトレランス・リン
グ100、200は、トルク又は滑り性能を改善し得るとともに、適切な公差補償及び位
置を維持し、結果として、アセンブリ、トレランス・リング及び他の隣接した構成要素の
寿命を増加させ、効果及び性能を改善する。
【0059】
多くの異なる態様及び実施例が可能である。それらの態様及び実施例のいくつかは後述
される。この明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様及び実施例が単なる図示であり
、本発明の範囲を制限するものではないと認めるであろう。実施例は、以下にリストされ
る実施例のいずれか1つ又は複数に従ってもよい。
【0060】
実施例1:トレランス・リングであって、トレランス・リングは、側壁を有し、側壁は
、第1の径方向表面上の径方向に延在する複数の突起部と、第1の径方向表面の反対側の
第2の径方向表面上の未形成領域と、を有し、トレランス・リングは、トレランス・リン
グ突起部と内側構成要素又は外側構成要素との間の脱離トルクとして定義される第1の脱
離トルクτ1を提供し、トレランス・リングは、未形成領域と内側構成要素又は外側構成
要素の他方との間の脱離トルクとして定義される第2の脱離トルクτ2を提供し、1.1
τ2≦τ1である、トレランス・リング。
【0061】
実施例2:アセンブリであって、アセンブリは、内側構成要素と、外側構成要素と、内
側構成要素と外側構成要素との間に位置し、両者間の締り嵌めを提供するトレランス・リ
ングと、を有し、トレランス・リングは、側壁を有し、側壁は、第1の径方向表面上の径
方向に延在する複数の突起部と、第1の径方向表面の反対側の第2の径方向表面上の未形
成領域と、を有し、トレランス・リングは、トレランス・リング突起部と内側構成要素又
は外側構成要素との間の脱離トルクとして定義される第1の脱離トルクτ1を提供し、ト
レランス・リングは、未形成領域と内側構成要素又は外側構成要素の他方との間の脱離ト
ルクとして定義される第2の脱離トルクτ2を提供し、1.1τ2≦τ1である、アセン
ブリ。
【0062】
実施例3:1.2τ2≦τ1、1.5τ2≦τ1、2τ2≦τ1、又は、5τ2≦τ1
である、実施例1又は2に記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0063】
実施例4:トレランス・リング突起部は、内側構成要素と外側構成要素との間の公差補
償を提供するように構成される第1のタイプの突起部と、内側構成要素又は外側構成要素
と係合し、トレランス・リングと内側構成要素又は外側構成要素との間の円周方向の脱離
トルクτを増加させるように構成される第2のタイプの突起部と、を有する、実施例1か
ら3のいずれか1つに記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0064】
実施例5:突起部の各々は、円周方向幅及び径方向高さ及び径方向に延在する円周方向
尾根部を含み、尾根部は、円周方向幅内でピークまで上昇し、ピークから下降し、一対の
肩部によって軸方向に固定される、実施例1から4のいずれか1つに記載のトレランス・
リング又はアセンブリ。
【0065】
実施例6:第1のタイプの突起部は、第2のタイプの突起部に対して、異なる径方向高
さを有する、実施例4又は5に記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0066】
実施例7:第1のタイプの突起部は、第2のタイプの突起部に対して、異なる円周方向
幅を有する、実施例4から6のいずれか1つに記載のトレランス・リング又はアセンブリ
。
【0067】
実施例8:第1のタイプの突起部は、第2のタイプの突起部に対して、異なる肩部長さ
を有する、実施例4から7のいずれか1つに記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0068】
実施例9:第1のタイプの突起部は、第2のタイプの突起部に対して、円周方向尾根部
の異なる傾きを有する、実施例4から8のいずれか1つに記載のトレランス・リング。
【0069】
実施例10:第1のタイプの突起部は、第2のタイプの突起部に対して、異なる剛性を
有する、実施例4から9のいずれか1つに記載のトレランス・リング。
【0070】
実施例11:複数の突起部は、径方向内側に延在し、内側構成要素に接触する、実施例
1から10のいずれか1つに記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0071】
実施例12:複数の突起部は、径方向外側に延在し、外側構成要素に接触する、実施例
1から11のいずれか1つに記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0072】
実施例13:内側構成要素又は外側構成要素の少なくとも1つは、突起部の少なくとも
1つを収容するように構成される溝を有し、トレランス・リング突起部と溝の間の円周方
向運動を防止する、実施例1から12のいずれか1つに記載のトレランス・リング又はア
センブリ。
【0073】
実施例14:トレランス・リングは、軸方向ギャップを有する、実施例1から13のい
ずれか1つに記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0074】
実施例15:側壁は、金属を含む、実施例1から14のいずれか1つに記載のトレラン
ス・リング又はアセンブリ。
【0075】
実施例16:金属は、炭素鋼又はステンレス鋼を有する、実施例15に記載のトレラン
ス・リング又はアセンブリ。
【0076】
実施例17:第1の径方向表面及び第2の径方向表面は、金属の外面を有する、実施例
15又は16に記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0077】
実施例18:トレランス・リングは、AAからBBmmの範囲内の内径を有する、実施
例1から17のいずれか1つに記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0078】
実施例19:トレランス・リングは、CCmmからDDmmの範囲内の外径を有する、
実施例1から18のいずれか1つに記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0079】
実施例20:トレランス・リングは、FFからGGmmの範囲内の長さを有する、実施
例1から19のいずれか1つに記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0080】
実施例21:トレランス・リングは、潤滑剤を有する、実施例1から20のいずれか1
つに記載のトレランス・リング又はアセンブリ。
【0081】
上記の全ての特徴が必要なわけではなく、特定の特徴の領域が必要でなくてもよく、説
明したものに加えて1つ以上の特徴が提供されてもよいことに留意されたい。さらに、特
徴が説明される順序は、必ずしも特徴が設置される順序ではない。
【0082】
特定の特徴は、明確にするために、別個の実施例の文脈で本明細書に記載されているが
、単一の実施例において組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために、単一
の実施例の文脈で説明されるさまざまな特徴は、別個に又は任意の副組み合わせで提供さ
れてもよい。
【0083】
特定の実施例に関して、利益、他の利点及び課題の解決策が上述されたが、利益、利点
、課題の解決策及び任意の利益、利点又は解決策を発生させる又はより明確にさせること
ができる任意の特徴は、任意又は全ての請求項の重要な、必要な、又は本質的な特徴とし
て解釈されるべきではない。
【0084】
本明細書に記載された実施例の明細及び例示は、さまざまな実施例の構造の一般的な理
解を提供することを意図している。明細及び例示は、本明細書に記載の構造又は方法を使
用するアセンブリ及びシステムの全ての要素及び特徴の網羅的且つ包括的な説明として役
立つことを意図するものではない。別個の実施例はまた、単一の実施例において組み合わ
せて提供されてもよく、逆に、簡潔にするために、単一の実施例の文脈で説明されている
さまざまな特徴もまた、別個に又は任意の副組み合わせで提供されてもよい。さらに、複
数の範囲で述べられた値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。本明細書を
読んだだけで、他の多くの実施例が当業者には明らかであろう。本開示の範囲から逸脱す
ることなく、構造的置換、論理的置換又は任意の変更が行われてもよいように、他の実施
例が使用され、本開示から導出されてもよい。したがって、本開示は限定的ではなく例示
的とみなされるべきである。
前記内側構成要素又は前記外側構成要素の少なくとも1つは、前記突起部の少なくとも1つを収容するように適合された溝を有し、それにより前記突起部と前記溝との間の円周方向運動を防止する、請求項2に記載のアセンブリ。